誰も悪くないのに「ダメ母」の烙印が苦しくなる、「nina’s」のがんばりすぎママ企画

 今号の「nina’s」(祥伝社)、特集を見る前にまずは2人のママタレインタビューから。今年3月に第二子を出産した後藤真希は、「(長女のムラ食いに悩んで)『子ども ご飯 食べない』って検索したり(笑)」と、日々の育児の悩みをサラリと披露。一方、木下優樹菜は1歳になる次女を伴い親子ファッショントークを中心に、姉妹子育ての難しさについて語っています。自然派育児やクリエィティブ育児をうっとりと語るママタレが多い中、この2人の気負ってない感はなかなかのもの。それがまさか今号の清涼剤となろうとは……。

<トピックス>

◎連載nina’s PEOPLE 後藤真希

◎親子コーデ☆グランプリ

◎私たちの子育てドラマ

■「nina’s」は村上春樹作品並みに固有名詞の支配力が強め

 さて、今号の特集は人気企画街角スナップの拡大版「親子コーデ☆グランプリ」です。キャッチに「定番コーデ、コスパ服、おでかけルック、ハンドメイド 全国のオシャレ親子の着こなしテクをキャッチ」とありますように、全国津々浦々のキメキメ親子をこれでもかとばかりに捕獲しています。

 見どころは「おでかけルック」部門と「ハンドメイド」部門。「おでかけルック」では、「そのコーデで行きたいおでかけ先」まで調査する優秀なページ。「お誕生日パーティー」や「アンパンマンミュージアム」あたりはまだしも、「京都の大山崎山荘美術館」「(香川県の古い倉庫を活用した複合商業施設)北浜アリーのカフェ」「鎌倉のカフェめぐり」「東京都庭園美術館」「(長野県松本市にあるレトロなビル)ラボラトリオでお買い物」「代々木公園のフェス」と、オシャレママの自意識が大暴発してます。

 そして親子コーデの真骨頂である「ハンドメイド」部門。リバティプリントで作ったサロペット、台湾で購入したお醤油柄(?)の布で作ったおそろいスカート、はたまた「プティマインのものにフリンジを作り、ヘアゴムのパーツをつけました」というリメイクものまで百花繚乱。「実家の母に習いながら作ってます」「息子のボトムはばあばの手作り。私のバッグも母が作ってくれました。私も作家さんのものの服を着るのが好きで、このワンピースもヒトハリママさんのもの」と、ハンドメイド魂は一子相伝の秘技であることもしっかり伝えています。

 「番外編」として「キッズ」「マタニティ」「三世代」「パパと一緒」コーナーと盛りだくさんすぎて、他人様のお宅でお出かけビデオを延々と見せられているような、軽い胸やけに襲われます。人は「幸せとはなにか」を探し求める生き物ですが、「nina’s」においては「家族の幸せとはオシャレをして『nina’s』に写真を撮られることである」という明確な解を打ち出しており、オシャレ人生に一片の迷いなしと思った次第です。

 本レビューでも繰り返し申し上げていますが、「nina’s」はオシャレという名のもとに生活の辛苦や生臭さをなかったことにする雑誌。今までもセックスレス問題や共働き家事分担問題を取り上げてはきたものの、なんとなく最終的にはマリメッコの生地でふわ~っと包み込み、「お前が我慢しろ、お母さんが笑顔ならみんなハッピー」みたいな着地点に落ち着いてきたわけです。

 そして今号には「私たちの子育てドラマ」というページが。リードには「ニナーズ読者のほとんどが『これで本当にいいのかな』と日々悩み、模索しながら進めているであろう子育て。何が正解なのか、答えがないだけに難しさもひとしお。今回は3足以上のわらじを履くパワフルママや、子だくさんママなど“先輩ママ”にご登場いただき、どんな育児を実践しているのか、また経験してきたのかを伺いました!」とあります。

 モデルでアパレルブランド経営のシングルマザー・仁香、産後セルフケアインストラクター、オリンピック選手の母で幼児教室講師(シングルマザー)、料理研究家のシングルマザー、そして「筆談ホステス」で話題となった東京都北区議会議員の斉藤りえもシングルと、5人中4人が離婚経験者。それぞれが子育てで最も大切にしていること、苦労したこと、うれしかったこと、工夫していることなどをプライベートフォトを交えて紹介しています。

 シングルということは、もちろん仕事をしながら子育てをしなければならないわけで、「まさに分刻みのスケジュールをこなしていました。車を運転しながら、頭の中がグルグル回って、今自分が何をしているのかわからくなるなんてこともありました」「二人を育てるには元ダンナの3倍の収入が欲しかったんです。そのためには人の3倍働かなきゃいけないし、3倍辛いこともあると思いましたが、それでしかるべき」と、みなさん猛烈に多忙な日々を過ごしてきたそう。

 その上で「お仕事はもちろん大切なんですが、子どもの一瞬一瞬も二度と返ってこないので、忙しくても子どもをできるだけ最優先にした仕事をするようにしています」「絶対手作りのものを食べさせたかったので、作り置きをして手作りにこだわりました」「幼い頃から、よいことと悪いことをしっかり教えていました。『ダメなものはダメ』とガマンを教えることをやって育ててきたので、3人ともグズったり、わがままを言うことはありませんでした。今まで、子育てが大変と思ったことはなかった」と、子育てもきっちりとこなす。う~ん、パワフル。

 それなのにひとりのママなんて「こんなTHEダメ母ですが」と言っているんですよ。一緒にご飯が食べられないならせめて手作りのおかずを……とがんばってる母親が「ダメ母」なはずがない。だけど仕事だろうがなんだろうが子どものそばにいられない母は「ダメ母」であると、自分自身を縛り上げている。なんだか暗澹たる気持ちになりました。

 「これでいいのかと日々悩み、模索しているニナーズ読者」に、この5人のパワフルママたちの子育てはどのように映るのでしょうか。どうか「世の中にはこんなにがんばっている人もいるのに、子どもと二人きりの時間が苦しいとか私はなんてダメ母なんだろう」などと考えないで……。「ダメ母」のハードルが上がって幸せになる人は誰もいません。というわけで、「母」という主語のデカさをあらためて痛感したこの企画。人生いろいろ、お母さんいろいろ、です。

(西澤千央)

「Domani」、“手抜きレシピ”企画を制圧! 高島彩の「忙しくてもちゃんと料理」宣言

 「Domani」(小学館)のコンセプトは、「35歳からの働くいい女」。誌面でも「35歳」はさまざまな企画で使われています。着回しページでは、蛯原友里さん演じる女が「総合商社の経営企画部署勤務の35歳」で、「35歳、この春グルーンとイエローで生き生きする」というページもありますよ。

 先月号から始まった連載「美容刑事」に出てくる明日美(どまみ)も35歳。そして、終わってしまった連載「『美療の森』の歩き方」のしらゆきちゃんも35歳。しらゆきちゃんは、ふくらはぎを細くするために20万円使ってボトックスを30本打ったり、背中ニキビを治すために太めの針で穴をあけて圧をかけて中身を出したり、お財布も体も「美」のために体当たりしていたのですが、明日美ときたら……! 先月号は「サラダ」調査、今月号は「爪に優しい系のネイル」調査ですって。お茶を濁しすぎよー!

 そんな明日美、マニキュア、ジェル、リムーバーの恐ろしさを、「アセトンは自動車の塗装を剥がすときにも使うもの」や「マニキュアに“シックハウス症候群”で有名なホルムアルデヒド!?」と、さんざん煽っておきながら、「爪に優しいネイルは(中略)限られたブランドしかないので、自分で探さなければならない」と、読者へ丸投げ。2種の安全性が高いアイテムが紹介されていますが、100%オーガニックマニキュアには、「現在5色しかないこと、乾燥に時間がかかることは承知しておきたい」とのこと。……明日美、いい加減バカ言うのはやめなっ!

<トピックス>
◎働く35歳は「優しい顔」メークしかしてはいけない!
◎平日は“考えない晩ごはん”
◎「共働き夫婦のお金」どうしてる?

■読者の平均年収に誤りあり?
 既婚の「Domani」読者300名に行ったアンケート企画、「『共働き夫婦のお金』どうしてる?」を見てみましょう。「夫婦の収入や支出、貯金額から具体的エピソードまでを幅広く調査した」とだけあり、なかなか詳細な結果が導かれていましたよ~。

なんでも、読者の4分の1の夫婦は家計を完全に別にしていて、使い道や貯金額もそれぞれ把握していないケースが多数。しかし、夫は小遣い制で家計は「妻が管理する世帯」も全体の3割強あるとのことで、「夫婦のあり方の変化と共に、お財布の考え方もまた、過渡期であることがわかった」と締めています。確かに、夫婦のあり方だけじゃなく、シングルの生き方だっていろいろ変化してきてるので、財布事情もさまざまですな。とはいえ、子どもがいる共働き夫婦は「家計を一緒に運営」する意識が強く、お金のルールも各夫婦で定められているそうです。

 と、真面目なところはここまでにして、下世話目線で、顔出し・名前出しで登場している8組の夫婦の金回りを見ていきますよ! まずビックリしたのは年収7,000万円の男性がいたこと。しかも、「夫の支出:180万円」。この金額のほとんどが家賃で、「会社まで徒歩圏内、2LDKの部屋というこだわりを叶えるため」だそう。そういえば、「Domani」には、「VERY」(光文社)のお家拝見連載「日曜日の風景」みたいなライフスタイルページがないですね。こちらのお宅を覗いてみてはどうでしょう!?

 で、肝心の「お財布事情」といえば……ん? 「妻」「母」の年収が低いような……。8人の女性の年収を平均すると、大体400万円弱? たしか2月号の「リアル白書」では「平均年収548万円」でしたよね。この企画の対象外である未婚の「女」が平均値を押しあげているのか、無作為の8組がたまたま低かっただけ? おそらく前者でしょう。ついでに、男性の年収も見ていきましょう! 7,000万円という数字を除くと、ほかの方は、580万円、620万円、680万円、620万円、1,700万円、1,000万円、500万円という感じ。1,000万円オーバーは3名で、残り5名は500~600万円台。まさに、「Domani」女子の年収とぴったり!

 しかし、ここで疑問浮上です。夫婦の年収1,000万円前後で、「Domani」的生活ができるのか……? だって、「アクセ買うなら『チョーカー』と『バングル』」ページの見開きにあるチョーカーなんて、22万5,000円! 「女」の年収548万円には買うことができても、「妻」や「母」の年収400万円には難しくないですかね? 巻頭の「女 妻 母 働くいい女の『木曜13時』」に出てくるような「働くいい女」ばかりじゃないのか、読者は?

 このアンケートで気になった点がもう1つ。年収が高い男性の配偶者は、同じく稼ぎが良いことが多いようです。年収7,000万円の方の配偶者は700万円、1,000万円の配偶者は850万円……! 今回のアンケートの、女性年収1位&2位です。とはいえ、1,700万円の方の配偶者は100万円だったので、比例するとは言い切れないですけどね。ひょっとして、お金も人も、同じようなところに集まるもの? ならば、「Domani」年収の平均値を上げてる「女」たちのために、稼げる男の生息分布図をいっちょお願いしたいところです! 

 相変わらず毒にも薬にもならないことのみを書いている、高島彩さんの隔月連載「しごと日和、こそだて日和」。1ページが素敵なお写真、そして横の1ページがまるまる原稿ですが、中身を要約すると、家族が多忙になる春に、新しい仕事を始めていいのか迷ったけどやることにしました、以上! 合間にちょいちょい、ネットの掲示板に書かれてそうな“子育てあるある”(子どもに声をかけられると仕事を中断されたようでイラっとする)を挟みこみ、「(仕事をやりたい気持ちが)春を待つ虫たちのように蠢きだしていた」とか「全身の毛穴でライブ感とドキドキ感を味わいながら(番組を作りたい)」など、癖のある表現で己を出すのが、高島さんの持ち味ですね。

 高島さんは、「忙しさを理由に料理に手を抜かない」「ご飯はちゃんとつくる」と決めたと宣言していますが、そんな崇高な精神と真逆をいく企画がありましよ。「毎日忙しく仕事するワーキングウーマンたち」に向けた「平日は“考えない晩ごはん”」! モデルからDomaniサポーター、インスタグラマー、Domani編集長など26人が、自身の「手抜きレシピ」を紹介しています。食材1~3品くらいで作れたり、コンビニのおにぎりやサラダチキンを利用したものなど、正直申しますと見た目に華はないですが、実用的で簡単手間いらず。

高島さん的には、これら晩ごはんはきっとNGラインなのでは? 一体、どんな顔してこのページを見ているのか、そもそも「Domani」を読んだことがあるのか、そこから気になります。そうですね、次の連載では高島家の手を抜かない晩ごはんを披露してもらいたいです!
(白熊春)

 

「Domani」、“手抜きレシピ”企画を制圧! 高島彩の「忙しくてもちゃんと料理」宣言

 「Domani」(小学館)のコンセプトは、「35歳からの働くいい女」。誌面でも「35歳」はさまざまな企画で使われています。着回しページでは、蛯原友里さん演じる女が「総合商社の経営企画部署勤務の35歳」で、「35歳、この春グルーンとイエローで生き生きする」というページもありますよ。

 先月号から始まった連載「美容刑事」に出てくる明日美(どまみ)も35歳。そして、終わってしまった連載「『美療の森』の歩き方」のしらゆきちゃんも35歳。しらゆきちゃんは、ふくらはぎを細くするために20万円使ってボトックスを30本打ったり、背中ニキビを治すために太めの針で穴をあけて圧をかけて中身を出したり、お財布も体も「美」のために体当たりしていたのですが、明日美ときたら……! 先月号は「サラダ」調査、今月号は「爪に優しい系のネイル」調査ですって。お茶を濁しすぎよー!

 そんな明日美、マニキュア、ジェル、リムーバーの恐ろしさを、「アセトンは自動車の塗装を剥がすときにも使うもの」や「マニキュアに“シックハウス症候群”で有名なホルムアルデヒド!?」と、さんざん煽っておきながら、「爪に優しいネイルは(中略)限られたブランドしかないので、自分で探さなければならない」と、読者へ丸投げ。2種の安全性が高いアイテムが紹介されていますが、100%オーガニックマニキュアには、「現在5色しかないこと、乾燥に時間がかかることは承知しておきたい」とのこと。……明日美、いい加減バカ言うのはやめなっ!

<トピックス>
◎働く35歳は「優しい顔」メークしかしてはいけない!
◎平日は“考えない晩ごはん”
◎「共働き夫婦のお金」どうしてる?

■読者の平均年収に誤りあり?
 既婚の「Domani」読者300名に行ったアンケート企画、「『共働き夫婦のお金』どうしてる?」を見てみましょう。「夫婦の収入や支出、貯金額から具体的エピソードまでを幅広く調査した」とだけあり、なかなか詳細な結果が導かれていましたよ~。

なんでも、読者の4分の1の夫婦は家計を完全に別にしていて、使い道や貯金額もそれぞれ把握していないケースが多数。しかし、夫は小遣い制で家計は「妻が管理する世帯」も全体の3割強あるとのことで、「夫婦のあり方の変化と共に、お財布の考え方もまた、過渡期であることがわかった」と締めています。確かに、夫婦のあり方だけじゃなく、シングルの生き方だっていろいろ変化してきてるので、財布事情もさまざまですな。とはいえ、子どもがいる共働き夫婦は「家計を一緒に運営」する意識が強く、お金のルールも各夫婦で定められているそうです。

 と、真面目なところはここまでにして、下世話目線で、顔出し・名前出しで登場している8組の夫婦の金回りを見ていきますよ! まずビックリしたのは年収7,000万円の男性がいたこと。しかも、「夫の支出:180万円」。この金額のほとんどが家賃で、「会社まで徒歩圏内、2LDKの部屋というこだわりを叶えるため」だそう。そういえば、「Domani」には、「VERY」(光文社)のお家拝見連載「日曜日の風景」みたいなライフスタイルページがないですね。こちらのお宅を覗いてみてはどうでしょう!?

 で、肝心の「お財布事情」といえば……ん? 「妻」「母」の年収が低いような……。8人の女性の年収を平均すると、大体400万円弱? たしか2月号の「リアル白書」では「平均年収548万円」でしたよね。この企画の対象外である未婚の「女」が平均値を押しあげているのか、無作為の8組がたまたま低かっただけ? おそらく前者でしょう。ついでに、男性の年収も見ていきましょう! 7,000万円という数字を除くと、ほかの方は、580万円、620万円、680万円、620万円、1,700万円、1,000万円、500万円という感じ。1,000万円オーバーは3名で、残り5名は500~600万円台。まさに、「Domani」女子の年収とぴったり!

 しかし、ここで疑問浮上です。夫婦の年収1,000万円前後で、「Domani」的生活ができるのか……? だって、「アクセ買うなら『チョーカー』と『バングル』」ページの見開きにあるチョーカーなんて、22万5,000円! 「女」の年収548万円には買うことができても、「妻」や「母」の年収400万円には難しくないですかね? 巻頭の「女 妻 母 働くいい女の『木曜13時』」に出てくるような「働くいい女」ばかりじゃないのか、読者は?

 このアンケートで気になった点がもう1つ。年収が高い男性の配偶者は、同じく稼ぎが良いことが多いようです。年収7,000万円の方の配偶者は700万円、1,000万円の配偶者は850万円……! 今回のアンケートの、女性年収1位&2位です。とはいえ、1,700万円の方の配偶者は100万円だったので、比例するとは言い切れないですけどね。ひょっとして、お金も人も、同じようなところに集まるもの? ならば、「Domani」年収の平均値を上げてる「女」たちのために、稼げる男の生息分布図をいっちょお願いしたいところです! 

 相変わらず毒にも薬にもならないことのみを書いている、高島彩さんの隔月連載「しごと日和、こそだて日和」。1ページが素敵なお写真、そして横の1ページがまるまる原稿ですが、中身を要約すると、家族が多忙になる春に、新しい仕事を始めていいのか迷ったけどやることにしました、以上! 合間にちょいちょい、ネットの掲示板に書かれてそうな“子育てあるある”(子どもに声をかけられると仕事を中断されたようでイラっとする)を挟みこみ、「(仕事をやりたい気持ちが)春を待つ虫たちのように蠢きだしていた」とか「全身の毛穴でライブ感とドキドキ感を味わいながら(番組を作りたい)」など、癖のある表現で己を出すのが、高島さんの持ち味ですね。

 高島さんは、「忙しさを理由に料理に手を抜かない」「ご飯はちゃんとつくる」と決めたと宣言していますが、そんな崇高な精神と真逆をいく企画がありましよ。「毎日忙しく仕事するワーキングウーマンたち」に向けた「平日は“考えない晩ごはん”」! モデルからDomaniサポーター、インスタグラマー、Domani編集長など26人が、自身の「手抜きレシピ」を紹介しています。食材1~3品くらいで作れたり、コンビニのおにぎりやサラダチキンを利用したものなど、正直申しますと見た目に華はないですが、実用的で簡単手間いらず。

高島さん的には、これら晩ごはんはきっとNGラインなのでは? 一体、どんな顔してこのページを見ているのか、そもそも「Domani」を読んだことがあるのか、そこから気になります。そうですね、次の連載では高島家の手を抜かない晩ごはんを披露してもらいたいです!
(白熊春)

 

「婦人公論」で始まった鈴木保奈美のエッセー、80年代引きずりまくりの文体の時代錯誤感

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)、表紙は木村拓哉です。口の左端を微妙に上げた不敵スマイルで、キムタク健在をアピール。インタビューは主に映画『無限の住人』の宣伝ですが、「昨年の1月は身辺にいろいろあった時期だったので、目の前にこの作品があったことで、個人的にすごく助けられました。(中略)この時期、起きた出来事に対して、自分が口を開くべきなのかどうか、言葉を発したら、気持ちはちゃんと届くのか。いろいろな思いが心の中にありました。そういう抱え込んだものを、撮影を通して放出できたんです」と、誰もが聞きたい解散ネタを作品への意気込みにスルっと変換。まぁ商売上手。

 ひとつ気になったのはインタビュー後半の「映画なら映画、ドラマならドラマ、何かひとつの仕事にフォーカスを合わせ続けられるようになったことは、すごく新鮮ですね。前は、5チャンネルくらいありましたから」。たまたま出てきたのかもしれない5チャンネルの「5」という数字が頭の中をグルグルしてしまうのですよ。

<トピック>

◎木村拓哉 無駄も、試行錯誤も
◎藤原紀香「結婚生活も仕事も、新たな世界を知る喜びに溢れて」
◎新連載 鈴木保奈美「獅子座、A型、丙牛。」

■インタビューの自作自演まで疑わせる女こそ紀香

 今号の特集は「明日が充実する生き方のヒント」。前号が「かっこよく年を重ねたい」でしたから、ここ何号か現実問題や実用性を排除したざっくり漠然特集が続いています。こういった特集は、なかなかキモが掴みにくい一方で、タレントたちがざっくり漠然としたことをうっとり語るインタビューの宝庫でもあります。

 というわけで、本特集の必読は「藤原紀香 結婚生活も仕事も、新たな世界を知る喜びに溢れて」です。キャッチコピーは「片岡愛之助さんとの出会いに感謝を」。紀香のこれでもかという幸せアピールがモノクロページから匂い立っています。

 世間では「梨園の妻アピールがウザイ」「自分ばかり目立ち過ぎ」など悪評も多い紀香ですが、実際はそんなことはないようですよ。「『この世界に身を置かなかったら、私は知っているようで知らないことを、人生で勉強しないままだったのかもしれない』と思うことが日々あるのです」「周りの方もよく言ってくださいますが、彼は人間的に素晴らしい人です。友人の頃から見ていても、スタッフさんや周りの方々の立場に立ってものを考える人で、弱者にとても優しい」。ほら、謙虚! 旦那ファースト!

 「結婚してからというもの、睡眠はなかなか取りにくくなりました。これまでの自分の生活プラス、パートナーである主人のサポートをするようになり、やることが2倍ですから」と、ほぼ寝ずに夫の世話をしていると語る紀香。夫の健康に気を配り「ご飯は釜で炊いて和食を作る」「栄養士の友人や実家の母などから、ヘルシー料理を教えてもらったり」、また「私がいると冷蔵庫すら開けません」という夫のために「彼の座るテーブルのすぐ見えるところに常温のお水をいつも置いています」「手の届く範囲に、必要なものを全部置いてあるのです。必需品用の整理箱をオーダーして作りました」と、なにからなにまでメーターが振り切れる女、紀香。

 しかし面白いのはここからで「え? ずぼら? そうは思いません。だって、楽屋で歌舞伎役者の仕事の内容や、大変さを見ているでしょう。(中略)家でぐらいはのんびりと根を生やしてもらえれば、と」。おそらくインタビュアーは、「ずぼらですね~」とは言ってないと思います。紀香の脳内ストーリーテラーがそう言ってるのでしょう。「私は本来、三枚目な性格で、周りの友人たちは、テレビのイメージとは全然違うよね、といつも笑っていますね」「デビューしてからずっと、そのギャップの中で生きてきた感じがします」と話す紀香ですが、声を大にして言いたい。もう大抵の人はわかってる。たぶんギャップがあると思っているのは……ご本人だけっす。

■声に出して読みたい鈴木保奈美文体

 今号から新しい連載がいくつかスタートしました。女優・鈴木保奈美の「獅子座、A型、丙牛。」、前号で桃井かおりとカッコイイ女対談したキャスティングディレクター・奈良橋陽子の「ビューティフル・ネーム」、そして清水ミチコがゲストを招く鼎談スタイルの「清水ミチコの三人寄れば無礼講」の3本。

 鈴木が今年51歳、清水57歳。本格的にバブル世代が「婦人公論」に食い込んでいるということなのでしょう。トレンディの波にもまれてきた世代が、老後や年金不安、自立しない子どもに頭を悩ませ始めているのか……と感慨深いものがあります。しかしそんな感慨を一気に吹き飛ばしてくれたのが、鈴木の一人語りエッセー。女優のエッセーなんて……と高を括らず、ぜひぜひお読みいただきたい逸品です。

 初回のタイトルは「奇跡のギャップ萌え」。サンローランのタキシードスーツに12センチのヒール、髪をくしゃくしゃにセットし「クールでアンニュイないい女」として、とある映画の舞台挨拶へ臨んだときのこと。休憩中に「3年前の誕生日に娘が買ってくれたピンクのハート柄の水筒」で白湯を飲んでいたら、30歳くらいのイケメン俳優に「ギャップ萌えっす!」と言われたという、他愛もないお話でございます。しかし鈴木の80年代を引きずりまくった文体が、他愛もないお話に最高のスパイスを加えているのです。

「そんなことおくびにも出しませぬ。アンニュイな大人ですからね」

「どうやら彼は私のイデタチから、ワイルドで男前な孤高のアーティスト、みたいな人物像を想像しているのではあるまいか」

「はて、ギャップモエ? モエって?」

「いえね、あたくし普段お仕事用にはシンプルなシルバーのボトルを携帯しているのですよ」

「若者よ、君のひと言でお姉さんのホルモン値は確実に刺激されたよ」

 この不必要なまでのカタカナ表記、誰に語りかけているのかよくわからない口語体、これぞ80年代カルチャー、いや“軽チャー”。まさか鈴木のコラムから、あの時代の無責任感を追体験する日がくるとは。清水の鼎談の初回ゲストとして登場するYOUの「ぶっちゃけた私」なんて、鈴木のトレンディ力に比べたら風前の灯ですわ。

 長く続く雑誌は、上手に世代交代ができているもの。老後や終活話はまだまだ現実味がない世代を少しずつこちらの世界に引き込む、謎のカタカナが散りばめられた鈴木保奈美の連載がバブル世代の撒き餌のように思えてくるのです。

(西澤千央)

「CLASSY.」の「パリっぽい」特集第二弾、前回に増して雰囲気とアイテムだけのスカスカな中身に

 今月号の「CLASSY.」(光文社)、特集は「この春も気分は『パリっぽい』!」です。リードによりますと「大好評だった昨年12月号の特集『「パリっぽい」が今っぽい!』から引き続いての第二弾です」。マジですか。てっきり“グッバイこなれ”したものの、これといった次の一手が思い浮かばないゆえに、「とりあえずパリ出しとけ」なんだと思ってました。

 12月号では「パリっぽい」「今っぽい」の「ぽい」が、なんとも「CLASSY.」という雑誌を体現していると実感していましたが、第二弾もやっぱり「ぽい」推し。しかも12月号ではまだうっすらとあったパリ的な“思想”は皆無、「かごバッグひとつで簡単パリジェンヌ!」「骨格別・あなたに似合うパリっぽい服」というページが並ぶように、「アイテムと雰囲気だけでパリっぽさをガンガン出していこうぜ」という「CLASSY.」らしい心意気が光る特集となっています。

<トピックス>

◎特集 この春も気分は「パリっぽい」!
◎誰からも好かれるのは「機嫌がよさそうな顔」
◎「幸せそう」はふんわりヘアから生まれる!

■世界観を疑わない方が幸せなのかも……

 この特集の“ぽさ”を最も体現しているのが、「休日はぺたんこ靴をはいておいしいパン屋さんへ」。リードには「カジュアルなのに女らしいパリジェンヌは、リラックスしたい週末服のいいお手本。そして力の抜けたオシャレを楽しみながら、お散歩がてら美味しいパンを買いに行けたらもっと幸せ」とあります……。パリジェンヌ→バレエシューズ→ブーランジェリー。このベタすぎる思考の連鎖を、平成も30年近く経過した世の中でやる。真正面からやる。それが「CLASSY.」なのです。

 パリジェンヌ風コーデを着こなしたモデルが、実際に話題の美味しいパン屋さんへ。もはや「CLASSY.」というより「OZ magazine」(スターツ出版)の世界です。でも一方で、ためらいもなくバレエシューズにボーダーにハンチングを被って、ブーランジェリーのテラス席に座って、カフェオレとクロワッサンを満喫できる――そういう人こそ真の勝ち組なのではないかと思うのもまた事実。

 疑わず、その世界にどっぷり浸かる。その精神がないと読み進められないのが、「CLASSY.」の着回し企画です。今回もぶっ飛んでます。「『もしもパリジェンヌが東京を旅したら…』4月の着回しDiary」は「パリジェンヌ」と言い張る完全な日本人モデルが、パリで撮影してくれた男性カメラマンを忘れられずに東京にやってくる……というストーリー。

 最初に申し上げてしまいますと、最終日にカメラマンと出会います。ちょっとパリジェンヌ、東京の人口をご存じですか。1,360万人ですよ! 無計画にもほどがあるぞ! しかも「今どき東京な写真を撮って帰ろうと足を延ばしたスクランブル交差点。あそこで私を見ているのは…」と、まさかの渋谷のスクランブル交差点で奇跡の再会を果たすのです。ドラマ『世界で一番君が好き!』(フジテレビ系)か!! 浅野温子と三上博史がスクランブル交差点でキスするあれか!!

 パリは女を狂わせると言いますが、「パリという名のもとであれば女性誌はどんな暴挙も可能にする」という真理に気づかされただけで、毎度のことながら着回しコーデは一切頭に入ってきませんでした。

 続いてはビューティーページ「誰からも好かれるのは『機嫌がよさそうな顔』」です。「CLASSY.」名物の“タイトルだけで嫌な予感”企画。「男性にとって女心は分からないもの。心が読めないうえに不機嫌そうだったりすると、面倒な人に見えてしまうかも」とリード。さらにまたまた「CLASSY.」名物“謎の専門家”が登場。今回は「スマイルマスター」たる女性が、「そのメーク『なんだか機嫌が悪そう…』と思われているかも?」という、バッドケース2例を解説。

 ケース1は会社でのメイク。「ボサボサ眉に血色感ゼロの顔は『忙しくて不機嫌な人』!」「仕事のとき不平や不満を常に抱えているように見えたり、お手入れしてない感じがあると『なんだか怖い人』と思われてしまうかも」だそうです。やかましいわ。

 ケース2は、(おそらく結婚式の)二次会。「濃すぎるアイメーク&赤リップは『プライド高そう…』!」「華やかにしたつもりでも、強すぎるメークだとマイナスの印象に。自己主張の強い人と思われて、出会いを逃す可能性大」。さすがスマイルマスター、赤リップに対して小鹿のようにブルブル震える男性諸氏の心情を見事にキャッチアップしていますね。

 それに対し「機嫌がよく見えるメーク」とは、「綺麗に整えられた優しげな太眉」「キツすぎない目元」「血色感のある頬」「プルプルで血色がいい唇」。パーツをパッキリさせず、全体的にぽわ~んとさせるのが正解の様子。「ar」(主婦と生活社)の「おフェロ顔」と対して変わらない気もしますがね。

 しかし言いたいのはそこではありません。このページ、キャッチフレーズには「いくら美人でも怖そうだったら魅力半減」とあります。美しい人と書いて美人、最高じゃないですか。しかしここで述べられているのは“美人だからってお高く留まってんじゃねぇぞ。機嫌良さそうにしないと認めてやらないからな”という強い圧力。美人でコレなのですから、女に向けられる「ニコニコ笑え」という社会からの脅迫の凄まじさたるや……。そしてこれも「パリ」じゃなくて「パリっぽい」と同じ、「機嫌がいい」ではなく「機嫌がよさそうに見える」というのがポイントです。

 軽い絶望感を覚えながら次のページをめくると今度は「『幸せそう』はふんわりヘアから生まれる!」。またガワか! ガワさえよければ中身はいいのか! と無駄に叫んでしまいましたが、よくよく考えてみたらこれ、女性ファッション誌=実際幸せであることよりも、幸せそうに見えることの方が重要な世界、なのでした。ちなみに「CLASSY.」の「幸せそう」ヘアページ、実際は単なる薄毛対策企画なので、興味ある方はぜひ。

(西澤千央)

桃井かおりのカッコイイ女芸と松岡修造のタレント根性でおなかいっぱいになる、「婦人公論」の加齢特集

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は、「かっこよく年を重ねたい」です。久しぶりにやってきた、全編ギャグ&コントのようなインタビューや対談が並ぶ、超お気楽特集。まずは表紙の真矢ミキ。元宝塚トップスターというより、「“あきらめないで”の人」の方が伝わりやすい真矢ですが、インタビュー「人には無限の色がある。ひとつじゃないから面白い」でも、そのサバっとしてポジっとしたパブリックイメージをいかんなく発揮しております。

 「目指したいのは、質のいいニットみたいな人。着ている自分も楽で気持ちいいけれど、まわりの人もほっとするといった感じでしょうか」。なぜ女優という生き物は、なにかをニットとかカシミアとかワインとかにたとえたがるの……。萬田久子の罪は重い。

<トピックス>

◎特集 かっこよく年を重ねたい

◎奈良橋陽子×桃井かおり「経験が支えてくれるから勇気出していい年頃なのよ」

◎松岡修造「『かっこよさ』とは一所懸命から生まれる輝きのこと」

■本当に相槌で「オーマイゴッド」って言ってます

 そんな特集ですので、今号は介護も年金もニートな子どももイヤなご近所も捨てたい夫のことも全て忘れて、サバっとポジっと「年を取るって、素晴らしくない?」と鏡の中の自分に微笑みかけるような気持ちで読みましょう。

 必読はこちら、キャスティングディレクター・奈良橋陽子×女優・桃井かおり「経験が支えてくれるから勇気出していい年頃なのよ」。リードには「54歳でアメリカへ移住、仕事の拠点も移した桃井かおりさん。そのきっかけとなる仕事で、彼女を後押ししたのが奈良橋陽子さんだった。以来、仕事を超えた付き合いだという二人の、“かっこよさ”の基準とは何でしょうか」とあります。60を過ぎても現役バリバリ、海外を拠点に活動する“THEかっこいい女”がお互いを褒めながら、時に軽くディスって仲の良さを匂わせながら、女の生き方を語ります。

 この対談、ものすごくざっくり言うと「LAって最高」「映画も生き方もナチュラルが最高」「この年になってそれ実現している私たちって最高」。2月28日号で、THEかっこいい女界の西の正横綱・夏木マリが「自分の肩書きは『プレイヤー』だと考えています。遊ぶ人です! これからも本気で遊びたいと思います」と高らかに宣言していて無言になりましたが、今号はTHEかっこいいが互いを煽り合っているので、アーティスト的“うっとり”が天井知らず。

 桃井「結婚もして、この辺で静かに遊んで老後ってやつを迎えればいいと思ったりもする。やってみた~いって。でも、まだまだ仕事もやれそう(笑)。映画を撮ったり、文章を書いたり、絵を描いたりしている最中に、『創造の神』が降りて来なくなったらおしまいじゃない?」

 奈良橋「この年になってもバンバン変化球が飛んでくるというか、たいへんな目に遭うのはいいことですよ。年を重ねると、安全や居心地の良さを好みたくなるけど、変化球を好んだほうがいいと思う」

 大半の読者が受け入れるしかない「老後ってやつ」を、「やってみた~い」と言いながら、“だけど創造の神降りてきちゃうから無理~”とアーティストの宿命を説く。加齢とは衰えばかりではないという企画趣旨でしょうが、加齢で自我はますます濃度を上げていくということはよくわかりました。

 さて、続いては今日本の芸能界で最もセルフプロデュースが成功しているであろう2人の男性。偶然にも同特集内にインタビューが並んでいるので、その人気の秘訣を探ってみたいと思います。

 1人は読者モデル・タレントのりゅうちぇる。「好きな服を着続けてかわいいおばあちゃんとおじいちゃんになろうね」で、妻でブランドプロデューサーのぺこと新婚対談しています。もう1人は元プロテニスプレイヤーの松岡修造。インタビュー記事のタイトルは「『かっこよさ』とは一所懸命から生まれる輝きのこと」。2人のインタビューに共通しているのは、隙のなさ。タレントとしては亜流扱いされがちな2人ですが、骨の髄までTHEタレントですよ。

 隙のなさその1は「弱さ」。ハッピーでポジティブなイメージの裏にある苦労や悩みをさらけ出し、読者に「あの人にもそんな部分が……」と思わせる巧さです。りゅうちぇるは「僕は中学まで、自分の見られ方をすごく気にしてたの。しゃべり方がなんか女の子っぽいし、お茶を飲むときに小指立っちゃうし(笑)。だから“ちぇるちぇるランド”の幼稚園や小学校では、からかわれたこともあったの」。中学時代は「普通の男の子っぽく演技して」乗り切っていたようですが、「毎日がものすごくつまらなかったな。自分が好きじゃなかったし」。一方の松岡は「実際の僕はといえば、弱く、消極的な人間です。著書やホームページを通し、悩める子どもたちにアドバイスをしたり、みなさんを励ますメッセージを送ったりしていますが、それらは、僕自身が必要としていたもの」。松岡修造日めくりカレンダーは、彼自身が必要としていたものだったんですね……。

 隙のなさその2は「気遣い」。りゅうちぇるはとにかくぺこを褒めちぎる。最近ダイエットに成功したぺこについて、「あの頃ぺこりんは、急にお仕事が増えたストレスで太っちゃったんだよね。僕をみんなに知ってもらうためにって言ってくれて、ふたりでたくさんお仕事してたから」「ぺこりんが太っていくとき、どんどん外国人みたいになっていってかわいい! と思ってたよ」「ぺこりんは痩せてもかわいい」と、太った理由・過程・ダイエット後まであらゆる方面を完全防備。アンチ虫一匹侵入させまじ。

 松岡の「気遣い」はこれにつきます。若い頃は洋服が好きで、イタリアのものなどをよく買っていたと語りつつ、「今、わが家の洋服ダンスには、僕がイメージキャラクターをしているメーカー2社のものしかありません。(中略)今やそれを着ているのが『自分そのもの』と言えるくらい、両社の服は僕にピタッとなじんでいる」。スポンサーが泣いて喜ぶフレーズを自然と挟み込んでサービスエース。芸能界で生き残るって、大変……。

 「自分らしく生きる」「好きなことをする」、それが「かっこよく年を重ねること」という今号の「婦人公論」。しかし芸能界で「自分らしく生きる」こととは、その本来の意味からは大きく離れ、重大なイメージ管理を課せられるものなのだと、桃井、りゅうちぇる、修造というキャラ芸人たちから学んだ次第です。

(西澤千央)

桃井かおりのカッコイイ女芸と松岡修造のタレント根性でおなかいっぱいになる、「婦人公論」の加齢特集

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は、「かっこよく年を重ねたい」です。久しぶりにやってきた、全編ギャグ&コントのようなインタビューや対談が並ぶ、超お気楽特集。まずは表紙の真矢ミキ。元宝塚トップスターというより、「“あきらめないで”の人」の方が伝わりやすい真矢ですが、インタビュー「人には無限の色がある。ひとつじゃないから面白い」でも、そのサバっとしてポジっとしたパブリックイメージをいかんなく発揮しております。

 「目指したいのは、質のいいニットみたいな人。着ている自分も楽で気持ちいいけれど、まわりの人もほっとするといった感じでしょうか」。なぜ女優という生き物は、なにかをニットとかカシミアとかワインとかにたとえたがるの……。萬田久子の罪は重い。

<トピックス>

◎特集 かっこよく年を重ねたい

◎奈良橋陽子×桃井かおり「経験が支えてくれるから勇気出していい年頃なのよ」

◎松岡修造「『かっこよさ』とは一所懸命から生まれる輝きのこと」

■本当に相槌で「オーマイゴッド」って言ってます

 そんな特集ですので、今号は介護も年金もニートな子どももイヤなご近所も捨てたい夫のことも全て忘れて、サバっとポジっと「年を取るって、素晴らしくない?」と鏡の中の自分に微笑みかけるような気持ちで読みましょう。

 必読はこちら、キャスティングディレクター・奈良橋陽子×女優・桃井かおり「経験が支えてくれるから勇気出していい年頃なのよ」。リードには「54歳でアメリカへ移住、仕事の拠点も移した桃井かおりさん。そのきっかけとなる仕事で、彼女を後押ししたのが奈良橋陽子さんだった。以来、仕事を超えた付き合いだという二人の、“かっこよさ”の基準とは何でしょうか」とあります。60を過ぎても現役バリバリ、海外を拠点に活動する“THEかっこいい女”がお互いを褒めながら、時に軽くディスって仲の良さを匂わせながら、女の生き方を語ります。

 この対談、ものすごくざっくり言うと「LAって最高」「映画も生き方もナチュラルが最高」「この年になってそれ実現している私たちって最高」。2月28日号で、THEかっこいい女界の西の正横綱・夏木マリが「自分の肩書きは『プレイヤー』だと考えています。遊ぶ人です! これからも本気で遊びたいと思います」と高らかに宣言していて無言になりましたが、今号はTHEかっこいいが互いを煽り合っているので、アーティスト的“うっとり”が天井知らず。

 桃井「結婚もして、この辺で静かに遊んで老後ってやつを迎えればいいと思ったりもする。やってみた~いって。でも、まだまだ仕事もやれそう(笑)。映画を撮ったり、文章を書いたり、絵を描いたりしている最中に、『創造の神』が降りて来なくなったらおしまいじゃない?」

 奈良橋「この年になってもバンバン変化球が飛んでくるというか、たいへんな目に遭うのはいいことですよ。年を重ねると、安全や居心地の良さを好みたくなるけど、変化球を好んだほうがいいと思う」

 大半の読者が受け入れるしかない「老後ってやつ」を、「やってみた~い」と言いながら、“だけど創造の神降りてきちゃうから無理~”とアーティストの宿命を説く。加齢とは衰えばかりではないという企画趣旨でしょうが、加齢で自我はますます濃度を上げていくということはよくわかりました。

 さて、続いては今日本の芸能界で最もセルフプロデュースが成功しているであろう2人の男性。偶然にも同特集内にインタビューが並んでいるので、その人気の秘訣を探ってみたいと思います。

 1人は読者モデル・タレントのりゅうちぇる。「好きな服を着続けてかわいいおばあちゃんとおじいちゃんになろうね」で、妻でブランドプロデューサーのぺこと新婚対談しています。もう1人は元プロテニスプレイヤーの松岡修造。インタビュー記事のタイトルは「『かっこよさ』とは一所懸命から生まれる輝きのこと」。2人のインタビューに共通しているのは、隙のなさ。タレントとしては亜流扱いされがちな2人ですが、骨の髄までTHEタレントですよ。

 隙のなさその1は「弱さ」。ハッピーでポジティブなイメージの裏にある苦労や悩みをさらけ出し、読者に「あの人にもそんな部分が……」と思わせる巧さです。りゅうちぇるは「僕は中学まで、自分の見られ方をすごく気にしてたの。しゃべり方がなんか女の子っぽいし、お茶を飲むときに小指立っちゃうし(笑)。だから“ちぇるちぇるランド”の幼稚園や小学校では、からかわれたこともあったの」。中学時代は「普通の男の子っぽく演技して」乗り切っていたようですが、「毎日がものすごくつまらなかったな。自分が好きじゃなかったし」。一方の松岡は「実際の僕はといえば、弱く、消極的な人間です。著書やホームページを通し、悩める子どもたちにアドバイスをしたり、みなさんを励ますメッセージを送ったりしていますが、それらは、僕自身が必要としていたもの」。松岡修造日めくりカレンダーは、彼自身が必要としていたものだったんですね……。

 隙のなさその2は「気遣い」。りゅうちぇるはとにかくぺこを褒めちぎる。最近ダイエットに成功したぺこについて、「あの頃ぺこりんは、急にお仕事が増えたストレスで太っちゃったんだよね。僕をみんなに知ってもらうためにって言ってくれて、ふたりでたくさんお仕事してたから」「ぺこりんが太っていくとき、どんどん外国人みたいになっていってかわいい! と思ってたよ」「ぺこりんは痩せてもかわいい」と、太った理由・過程・ダイエット後まであらゆる方面を完全防備。アンチ虫一匹侵入させまじ。

 松岡の「気遣い」はこれにつきます。若い頃は洋服が好きで、イタリアのものなどをよく買っていたと語りつつ、「今、わが家の洋服ダンスには、僕がイメージキャラクターをしているメーカー2社のものしかありません。(中略)今やそれを着ているのが『自分そのもの』と言えるくらい、両社の服は僕にピタッとなじんでいる」。スポンサーが泣いて喜ぶフレーズを自然と挟み込んでサービスエース。芸能界で生き残るって、大変……。

 「自分らしく生きる」「好きなことをする」、それが「かっこよく年を重ねること」という今号の「婦人公論」。しかし芸能界で「自分らしく生きる」こととは、その本来の意味からは大きく離れ、重大なイメージ管理を課せられるものなのだと、桃井、りゅうちぇる、修造というキャラ芸人たちから学んだ次第です。

(西澤千央)

「Domani」、松嶋菜々子の「平凡な私」語りに潜む“芸能界のマミートラック”を生きる術

 毎号毎号、新連載や、連載終了が「Domani」(小学館)は入り乱れています。そんななか、「堂本剛のなら(ず)もん」は2013年の1月からスタートして5年目に突入。ジャニーズパワーなのか、本当に人気があるのかまったくわかりませんが、厳しいリストラも乗り越え続けたことは「すごい」の一言です。自意識過剰具合が、いやいや1979年生まれという年の頃が「Domani」読者と合うのでしょうか。毎号展開される不思議トークは、筆者の頭を優しく素通りしていきます。内容については、今月も、「一生やらないことリストには、合コン、お見合い、自撮りなんかもあります(笑)この連載で少しずつトライしていくかもしれへんので、今後の展開を楽しみにしていてください!」ですって。5年たってもこのゆるい調子ですよ、これほどに「今後の展開」に可能性が感じられない連載も早々ないのでは……。はい、気長に楽しみにしておりましょう!

<トピックス>
◎キレイの事件は現場で起きている!美容刑事
◎松嶋菜々子「平凡な私が居場所を見つけるまで」
◎「マミートラック」をみんなで考えよう

■パステルカラーだけで生きる春、待つ!
 いよいよ春がやってきましたが、「Domani」4月号は世間のムードと逆走するような「春もやっぱり黒が好き 4月の1 か月コーディネート」を出してきました。「春だからって淡色だけじゃ生きていけない」というリードから匂い立つのは、花の香りではなく、強烈な自意識! 着回しの主人公は「総合商社のインフラ投資系部署で働く35歳」。「同じ会社に勤める彼とは、お互いのスケジュールが合いにくく、すれ違いの日々が続いているのがちょっと悩み」ですって。

 この主人公、出社前に英会話レッスンに通い、退社後は週2でヨガ。休日は、友人のハウスウォーミングパーティへ行ったり、昼間から友人と話題のカフェで「お昼からワインがすすむ〜」とはっちゃけたりと、とにかくプライベートのリア充ぷりが羨ましい限り。仕事では、「後輩の資料をチェックしていたら、提案書の内容にミスを発見!さらに、『てにをは』もなってない(汗)」と月初に汗をかきかきし、しかし月末には「朝から後輩のつくった社内資料をレビュー。前回よりも完成度が高い!信頼できる部下が育ってきた(ハート)」ってな調子で、後輩の成長のスピードが早いのなんのって。

 そのうえ、日帰り韓国出張をしたり、シンガポールの取引先とテレビ電話会議をしたり、なんだか華やかで遠い目になってきますよ。悩みの種の「すれ違いの日々が続いている」彼とも4月中に3日会えてますよ。十分じゃない!? 「Domani」が描く、「最近なんだか、仕事もプライベートも順調」な35歳「女」像ってなんだか憎たらしい~~!

 ここで先月号の「35歳からの『結婚できる』体質改善トレーニング」でのカリスマ婚活アドバイザー・植草先生の言葉を思い出しましょう。たしか、植草先生は「男性と同じく働き続けてきた30代後半以上の女性は“仕事脳”になっている人が多いです。仕事優先なのはもちろん、人に甘えるのも下手、洋服も黒っぽくて体のラインを隠すパンツや長いスカートなど、仕事がデキそうな戦闘服ばかり」って言ってましたよ。「白やピンクなどの服で柔らかい印象に」とも書いてありましたよ! そんな言葉からすると、公私ともに順調だから黒ベースの春服を着れるのねぇ……なんて気持ちに。いっそのこと、「婚活中の35歳オーバーの4月の1か月コーディネート」なんていう、植草先生監修の攻めに攻めた企画出てこないかしら〜? 黒を排除し、淡色だけで生きていかなきゃならない春もあるんですよね!?

■芸能界のマミートラック
 先月号の「女」へ向けた婚活指南とはうってかわり、今月号は、「女」「妻」「母」誰しもが興味深く読めるようにと考えられた企画がありました。少々堅めの「マミートラック」のお話。「マミートラック」とは、「働く母親が職場復帰後、仕事のやりがいを失ったり、昇進・昇格から遠ざかったりする現象をさす」とのことです。NHKオンライン『働く女性のリアルマミートラック〜働くママ1300人の声から〜』の調査によるとマミートラックを経験したことのある人は27.8%とのこと。この数字が多いのか少ないのか、いまいちわからないっていうのが本音ですが、今回はワーキングマザーのリアルボイスが7つのケースによって書かれていました。

 7つの内訳は、「手探りでマミートラック」「キャリアビジョンが描けないマミートラック」「能力が発揮できないマミートラック」「“配慮”されない逆マミートラック」「負担増は妻だけマミートラック」「上司の気使い過多マミートラック」「退職せざるを得ないマミートラック」となっています。

 「女」の立場である筆者がこれらを読むと、「キャリアビジョンが描けない」や「能力が発揮できない」は、マミートラックでなくても普通に起こるし、「負担増は妻だけ」は家庭の問題ではないの? と胸がザワザワ。「“配慮”されない」と「上司の気使い過多」は真逆の意見だし、そもそも「思い」は計れないだけに、クレームや不平の種としていくらでも挙げられますよね……。そんな数々のマミートラックに関わる問題の根源は、シンプルに「コミュニケーション不足」だと「Domani」は解説。会社とワーキングマザー双方の「思い込み」と「コミュニケーション不足」が原因だから、話して伝えて話を聞いて、考えて検討してはどうかい、と提案しております。なんでしょう、このなんにも解決してない感……!

 さて、ワーキングマザーつながりなのか、芸能界で働く母・松嶋菜々子さんのロングインタビュー「平凡な私が居場所をみつけるまで」も必読です。ただ、「子育て」や「仕事」という話ではなく、中心は「美しくしなやかに生きるヒント」であります。

「物事にはひとつずつまっすぐに取り組みたい、不器用なタイプです」
「いろんなことを器用に両立できず、ひとつずつ、正面から取り組みたいというタイプですね」
「自分にはユニークな個性がないと、芸能人としてつまらない人間だなと…モヤモヤしていました(笑)」
「経験を重ねた今でも、なかなか自信はもてません。多分一生そう…」
「移動はもっぱら自転車」

 自分がいかに「謙虚」で「平凡」かを語り尽くしているインタビュー。松嶋さんいわく「仕事と家庭を両立することで、どちらも自分の大切な居場所だと思えるように。周囲の方々にも支えられ、今はもう感謝しかないです」。マミートラックのマの字も出てきちゃないですが、芸能人がブログやインタビューでこぞって言う「感謝」。これが芸能界のマミートラックには最も必要なのかもしれません!

■リードで煽りすぎて息切れ!?
 連載「『美療の森』の歩き方」の後釜に収まった新連載「キレイの事件は現場で起きている!美容刑事」。「誕生、ハードボイルド美容刑事!今月から、熱い美容魂を胸に、美女の“虎の穴”に毎月突入!」と、これまで以上の熱い企画が始まりそうな予感がするのに、今月の突入先は「『サラダランチ』の店」。……は?? ネットにいっぱい情報あふれてるから! 『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)でもやってたし!

 内容はと言いますと、「噂の現場を検証だ!」ということで4軒をレポート。現場1には、「キラキラ客層とキラキラサラダで全身が光り出しそう☆」なーんて、テンションかなり高めの意味不明リードがついていても、残る3軒は、「来る人来る人やせた美人!目で見るダイエットのお手本!」「ダイエット、美肌など、明確な目的をもって食べるサラダ!」「ひとり野菜もOK。野菜不足を一気に解消するならココ!」と、勢いがどんどん収束しています。最後なんか、「美容魂」というより、サラダバーのある店に1人で行けない「お一人様用のサラダバー」的スポットの紹介になってるし。やるなら『ヒルナンデス!』に負けない店を取り上げて! 来月の突入先には期待してるから~!
(白熊春)

「介護」で母親との関係を清算し、復讐を果たそうとする娘たち……「婦人公論」の介護特集

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)、特集の前に「小保方晴子日記 第五回」からレビューを始めたいと思います。作家・瀬戸内寂聴との“伝説的自分語り対談”から、同誌で日記形式の連載を始めた小保方氏。今回は特別編として、かねて小保方氏が提出していた「STAP細胞報道に対するBPO(放送倫理・番組向上機構)への申し立て」の審理結果とともに、その前後数日間の日記を公開。マスコミのバッシングや世間からの心ない中傷で、心身ともに不調をきたした様子を淡々とつづるのがこの日記の肝。

 あまりの悲劇のヒロイン風情に読者が胸やけを起こさないよう、季節や食べ物の描写を入れ、かえって切なさが強調される完璧な構成に毎度「ドえらい女やで……」とため息が漏れます。ちなみに今回の私的ため息ポイントはこちら。BPOが「人権侵害」の認定を発表した翌日、疲れから「強い眠気に襲われて、沈み込むように眠った。時々目が覚めて、この眠りから覚めたら、もしかして、と思ってまた眠った」。語らずに語る。この連載で小保方氏は新たな自分語りの技術を手に入れたようです。

<トピックス>

◎小保方晴子日記 第五回
◎特集 私の暮らしを守る介護
◎内村周子×杉山芙沙子「世界一を育てるためには『待つ』ことが大切です」

■まったく感じられない、太田光の存在……

 今号の特集は「私の暮らしを守る介護」。誰かの面倒を見るという点では「育児」と同じ「介護」。しかし「できない」から「できる」に移行し少しずつ手が離れていく育児に対して、緩やかに(時に急激に)「できない」ことが増えていく介護は、先の見えない不安や焦りとの戦い。老い、年金、人間関係など「先の見えない不安」が大好物の「婦人公論」にとって、「介護」も読者との共有財産といえます。

 特集冒頭に登場するのは、爆笑問題・太田光の妻にして、芸能事務所タイタンの社長、太田光代。インタビュー「実母と姑を同時に看ることに。その時、私が下した決断は」では、一人っ子同士の結婚ゆえの、双方の親ダブル介護の現実について語っています。義父を看取り、続いて義母が骨折……家に引き取りたいけど「実は、その時すでに我が家には私の実母が住んでいたのです」。現実味を増すダブル介護。そこに待ったをかけたのは意外にも「仲が良くて大好きな姑」への思いだったと言います。

 10代で家を出て自活するほど実母と折り合いが悪かったという光代氏。「人にやってもらって当然」という実母の性格から、2人の老女が同居となると「自分は何もせずに、お義母さんを頼って依存する。そんな光景が容易に目に浮かびます」。結局、義母は環境のいい施設へ入り、体調も回復。人生の最期を趣味に使い、3年後に他界。ちなみに実母は健在で「いい歳をして、いまだに母子ケンカをすることも。だから正直、一緒に暮らすのはしんどいです」。

 関係が良好な義母は施設へ。一方仲の良くない実母は自宅へ。そこには他人の預かり知らぬ事情があるのでしょう。子どもが抱えざるを得ない大きな荷物――捨てきれない血縁関係とでも申しましょうか、その深刻さを感じて少し怖くなったのも事実。血縁関係のない義母に対しては「どのような最期が最も本人にとって心地よいか」を俯瞰で見られるのに、実母には「母も施設で暮らしたほうが幸せかな、と感じるときもあり」ながら、その一歩が踏み出せない。それは若いうちに家を出てしまった贖罪なのか、自分の助けなしには生きていけない母親への復讐なのか。一口に介護といっても、そこには平均化できないたくさんの「ノイズ」があるように思います。

■「反抗期」ではなく「過渡期」

 そんなことを考えたのは、こちらの読者体験手記「私は介護をしません!」を読んだからかも。「幼い頃、弟ばかりを可愛がった母とは深い溝が。今さらのご機嫌うかがいに対して、復讐心に燃えた私が取った行動は」は、タイトルそのまま。かわいがっていたはずの弟との同居に疲弊し、急に自分を頼ってくるようになった母親の「面倒をみてほしい」という思いを、あえてスルーする娘。「自分の性格では、老人ホームに入ったとたん他の入居者から嫌われる者になることを、母は知っている。その姿を見るのが楽しみなのだ」「単に親孝行を望むのではなく、親孝行をしてもらえるような人間になるのが大切なのではないだろうか」と、厳しい物言いで母親を断罪します。これもまた介護の現実。

 それまでの親子関係の歴史をすべてなかったことにして「子どもだから親を看るのが当たり前」とするのは、あまりにも酷な話です。そう考えると「育児」から介護は始まっているのかも……。読者体験手記に出てきた母親ははたして「弟ばかり可愛がっていた」自覚はあったのか、娘にそんなふうに思わせてしまった原因はなんなのか。

 続いては、内村周子と杉山芙沙子の対談「世界一を育てるためには『待つ』ことが大切です」。え? 誰? とお思いの貴方、体操の内村航平とテニスの杉山愛の母親たち……と言った方がわかりやすいですよね。子どもを世界的スポーツ選手に育てた2人の母が「世界一を育てる思考と行動」をテーマに語り合っています。

 「子どもは人生の中で優先順位1番。もう愛して愛して、子どもがしたいということをさせてあげたい」という内村母と、「私も、子どもは社会からの預かりものだと思って子育てをしました」という杉山母。スクールへの送り迎えはもちろん、ときに学校のルールとも戦いながら、子どもたちをサポートしてきたと話します。現在は、杉山母が中心となった設立した「ジャパンアスリートペアレンツアカデミー(JAPA)」(内村母も講師として参加)で、「子どもの能力を最大限に伸ばしたい」と願う親たちのサポートに回っているそう。

 興味深かったのは、子どもの「反抗期」について。「反抗期ではなく、『過渡期』だったのだととらえています」と杉山母。内村母は「応援に来るな」と息子から告げられるも「いいえ。『あなたを産んだのは私なのだから、そういうわけにはいかない。もし事故が起きたとき、見ていなかったでは済まないんだ』」と言い張り、結局息子が根負け。「勝ったと思いました」と内村母。「反抗」ではなく「過渡期」、思春期の息子に「勝った」……こんな表現にアスリート母たちの支配欲を感じずにはいられませんでした。

 自分の時間を全て捧げてきたという自負が、母親に「子どものことは自分が一番よくわかっている」という自信を与えるのでしょうか。読者体験手記のように、子どもが「介護」を前に親との関係に落とし前をつけようとするのは、「子どもの人生は自分の人生」と思い込む母親の悲しい性のせいかもしれません。
(西澤千央)

防寒するな・パステル色を着ろ・他人に気を使え! 「CLASSY.」の花見コーデ企画が怖すぎ

 「CLASSY.」(光文社)今月号の特集は、「その仕事服、もっとオシャレにできるはず!」です。リードには「『毎日のことだから手抜きしがちで…』。わかります。でも、だからこそチャンスなんです」と相変わらず深夜のテレビ通販のようなフレーズが並んでいます。

 特集の冒頭に登場するのは「『里子、4月からチームリーダーになる』の巻」。表紙モデルでもある小泉里子が「上司、同僚、後輩、取引先…誰からも好感度が高い仕事服の正解」を探すというもの。男性は一律スーツで「ちゃんとしてる」の基準を満たすのに、女は「上司から信頼され、同僚から認められ、後輩から慕われ、取引先から好かれる」スタイルを、それこそ七変化のように提示しなければいけないなんて。好感度、きちんと感、今っぽさ……そんなに求めるならもっと金をくれ。文句を言うなら金をくれ。心の中の安達祐実がそう叫んでおります……。

<トピックス>

◎特集 その仕事服、もっとオシャレにできるはず!

◎GUでトレンド お試しの3月着回しDiary

◎ピンクでモテる お花見コーディネート

■「CLASSY.」のカップ麺に対する謎の偏見

 そう、世間が女に求める基準を満たそうとするには圧倒的にお金が足りないのです。そんなあなたに朗報。「CLASSY.」久々の着回し企画「GUでトレンドお試しの3月着回しDiary」がやってきました。「トレンドお試し」の「お試し」に、「いつもなら買わないけど……」といういやらしさが漂います。今月の主人公は「デザイン事務所に勤めるグラフィックデザイナー。一見オシャレではあるが、入院中の母の治療費や弟の学費を負担しているため、支出を切り詰めた生活を送る」という、おそらく着回し企画初の貧乏設定。主食はどん兵衛で玉の輿を夢見る29歳が、合コンを抜け出したときに遅れてきた彼と目が合って……。

 こちらの女性、家族への仕送りで生活がキツキツの割には、合コンだの合コンの反省会だの広告代理店とカラオケだの派手に遊びまくっています。時々「やばっ、貧乏設定だった」と思い出すのか、脈絡もなくどん兵衛を食べさせられる主人公。どん兵衛を貧乏のアイコンにするところ自体、世間からズレにズレた感覚です。あ、また女性誌の着回し企画につっこむなんて野暮なことを……。

 そして「留学経験もある医者」のはずのイケメン男性が、実はただの売れない絵描き志望だったことが発覚。この男性に合わせようと「近所に実家があってヴァイオリンが趣味」などと結構なウソを並べていたどん兵衛女子は、自分のことを棚に上げてドン引き。しかし、その後代理店マンとデートしても、商社マンと合コンしてもあの人のこと考えちゃう。これってもしや……そう、完全にドラマ『やまとなでしこ』(フジテレビ系)のオマージュでした。

 まぁそれはいいのですが、デイリーブランド中のデイリーブランドであるGUの着回しに、無理やりな設定を持ってこなければいけない女性誌の息苦しさですよ。これは以前掲載された、「劇団員が役作りのためにペヤング食べまくって体重増。太ってもかわいく見える着回し」企画と同じ流れ。貧乏も太ることも言い訳なしには許されない世界。同時に全身GUでもオシャレに見えるためには、美貌とスタイルとセンスがなくてはならないという、世にも悲しい真実を突き付けられたのでした。

■お花見の意義が覆る

 こなれはダメ、仕事服は好感度とトレンドを両立させろ、太るな、安い服はあくまでお試し……あまりの注文の多さに宮沢賢治センセイもびっくりの「CLASSY.」ワールドですが、まだまだこんなものじゃありません。「ピンクでモテる お花見コーディネート」はリードからしてすごい。「毎年楽しみでもあり、寒さに震える行事でもあるお花見。寒いからってオシャレに気を抜いたり、いろんな人が来るからと気合いを入れすぎたりしていませんか? 男性目線でベストなお花見オシャレの鍵は色にあります」。お花見の意義を根底から揺さぶるような物言いが光ります。

 この企画のメインは、こういった危うい企画で論拠にされてしまう男性座談会です。「お花見の時って結構その人の性格が分かる気がする」「大勢の場ならみんなの食べ物や飲み物に気を使えるかどうかとか」「確かに。地面に座るガチ花見なのにミニスカートで来ちゃうコとかちょっとどうなのかな? って思う」「人のために動く気ないでしょ」と、まずは地蔵状態のミニスカ批判。さらに「あと寒いのは分かるんだけど防寒のことだけ考えました! みたいな服装も萎えるな~」「ダウンにムートンブーツにニット帽ね。春らしい桜を楽しみに来てるのに、ムード台無し」だそうです。ウサギは寂しいと死ぬなどと言いますが、女は冷えると死ぬんですよ。

 結局何がいいのかというと「花見だったらやっぱりパステル系の明るい色を着てほしいよね」「若いコが着るピンクってあざといけど、大人がさりげなく着てるとオシャレに見えるしね」とのことです。そうですか。そのセリフ、林家パー子氏の前でも言えますか。そしてあらためて最後の一文「やっぱ女性の服装は男のテンションも左右するんだよ(笑)」「そう! だから、花見にはきちんと気合いを入れて着てほしい!」に、女性が背負わされた荷物の大きさを思ったのです。

 花を見ながら、酒を飲む。そんなニッポンの年中行事であっても、男性のテンションを上げるような服装を着なければならない。誰の飲み物がないか、食べ物は足りているかチェックしなければいけないし、冷えると神経痛が出るのにわかりやすい防寒をすることは許されない。希望に満ちあふれた春の号に、絶望要素をこれでもかとぶち込む「CLASSY.」。しかし筆者の怒りや心配はよそに、読者女子たちはこう思うのでしょう。「お花見にはピンク着とけばいいのか」。だって、そこに「モテ」があるのだから。

(西澤千央)