膣ケアの重要性を説く「Domani」、必殺フレーズ「介護の快適さも違う」と仰天の提案

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 徐々に秋めいてきましたね。Domani(小学館)11月号も、すっかり秋色、冬色です。「恋愛はご無沙汰気味…」というIT関連会社のディレクターが着回しする「秋色美人な10月の1か月コーディネート」では、「友人がメンズを紹介」してくれるものの、それについてはまったくのスルー展開でして、足早に11月になっております。うん、これがリアルよね。

 そして、珍しくモデルが私生活の切り売り……いやいや、等身大で登場している企画「小濵なつきの“おしゃれと人柄”が評判です」。小濱さんは、「モデルを始めたのは25歳のとき」とあるように、それまで赤文字系、青文字系のどこにも属してなかったので、記憶にあまりない方というのが正直なところ。それに、「Domani」での印象も実はほとんどない。本当に毎月出てる?

 パッとしない存在なのに特集されたのは、「編集部スタッフやプレスの皆さんから『センス抜群』『いい人すぎ』という声しかあがらない」からだそう。って、そんな内輪の話されても読者の印象は「誰……?」ですけどね! 記事の内容も、実に微妙。私服アイテムを使って撮影した姿は、スタジオでバーンとかっこよく撮影されてるから親近感には程遠く、逆に、今年の結婚式のドレス姿写真というものは、小さなカットでやけに荒くて不鮮明。「運動をしていたせいか足が筋肉質」「地元でOLをしていた」と、エピソードも親近感がわくようなわかないような……。切り売り感が少ないから、いまいち記憶に残らない! 押切もえちゃんを見習って(妊娠おめでとう!)!

<トピックス>
◎小濵なつきの“おしゃれと人柄”が評判です
◎HAPPYエイジングは「デリケートゾーン」から
◎バブル上司と平成部下にはさまれて。“プチ管理職”を救え!

 膣に目覚めた「Domani」

 「HAPPYエイジングは『デリケートゾーン』から」。とうとう「Domani」にも、セックスの話ですかー! と期待したら違いましたよ。「植物療法士」という、耳慣れない肩書の先生監修のもと、「膣」にまつわるお小言が始まり始まり~。

 コンパクトに抜粋が難しいので、要点を引用しつつまとめてみますと、「プレ更年期と言われる35歳~40歳」は、女性ホルモンの量がガクッと落ちるタイミング。そして、仕事や子育てなどストレスもいっぱい。加齢にくわえ、ストレスに対応するために体内のビタミンを大量に消費することにより「体の潤い、ひいては膣周りの潤い力が下がる。膣周りの乾燥が、結果、膣とつながっている子宮にも影響を及ぼし、女性ホルモンのバランスを崩す遠因となり、一気に老化のスピードが加速します」とのこと。ここで大切なことは、この負のループに足を突っ込まないように、「膣周りを潤す」=「粘液力を高める」ことらしい。なんと、粘液力が高まれば、「イライラも減り、周囲の人に優しくなれる効果」が期待できるのですって~。じゃあ、このイライラはPMSかと思ってたけど、膣周りがカッサカサで起きてるのかしら……!

 そんな、カッサカサ話の次には、「あそこもたるみます!オイルマッサージを!」を始めととした、9つのアドバイスで構成された「『潤う女』でいるために今できること」が。そのなかには「VIO脱毛は医療レーザーで!」というものもあり、またもやエロの話しを想像しましたが、書かれていたのは、「特にIゾーン、Oゾーンの処理は高齢化社会では必須に。アンダーゾーンがあるのとないのでは、介護にあたっての快適さも違ってきますからね。」。え……「介護」見据えてる? ここでの「快適さ」とは、本人はもちろんのこと、前ページにあるように「他人に不快な思いをさせないという意味でのエチケット」のようです。ごめんなさい、自分、数十年後の未来よりも今のことを考えたい!

 『SEX and the CITY』の映画で、サマンサが自身のアンダーヘアについて「刑務所にいたってツルツルだわ!」と言ってましたが、「Domani」映画ヴァージョンが撮影されたら「老人ホームにいたってツルツルだわ!」って台詞が蛯原友里さんあたりから飛び出すんでしょうか? 締めくくりは「レーザーは黒い色素に反応するので、施術するならアンダーヘアに白髪が混ざる前に!」とのこと。そんなセールストークあり!?

 1980年生まれの、「Domani」世代・高橋一生さんのスペシャルインタビューが。「菩薩みたいな年上の女性が好き。酸いも甘いも噛み分けて、純粋さに立ち戻ろうとしている人って素敵です」。と、ますます「Domani」女が喜ぶような台詞もサラッと言ってしまいます。ま、35歳オーバーの雑誌に「若いピチピチギャルが好き」なーんて、たとえ冗談でも炎上しかねないですね。そして、菩薩が好きとは。「介護」のためにVIO脱毛を考えるという、他者への思いやりにあふれる「Domani」女こそ菩薩ですよ! 

 「“プチ管理職”を救え!」では、「上から下からストレスをかけられるDomani世代。職場でのあるある事件簿からリアルな対処法まで取材しました。プチ管はつらいよ!」と、これまたストレスの話。う~ん、膣周り、急いで潤して! しかし、この手の話はいつの世も繰り返されます。上司、そして部下ともうまくいかないとかなんとか……。20年後は会社の老害、50年後は老人ホームの偏屈BBAにならないように気をつけないと!

 そういえば、大人のストレス発散について、「都会の大人たちはストレス発散というと、疲れをめいいっぱいため込んで、海外や高級ホテル、自然のある遠い地方に行って…というように気合いが必要な方法をとりがちです。お金や時間をかけなくても、彼ら(注:後輩世代です)のように楽にかつ小出しにストレスアウトできる(以下略)」って、マーケティングアナリストの原田曜平さんの今月の連載「後輩世代のトリセツ」に書いてありましたよ。で、今月号の別冊付録には「京都おいしいもん120」! ま、どうでもいいけど膣を潤わせてみますか!
(白熊春)

 

「Domani」スキンケアアイテム企画で見えた、「プロ」と読者の金&意識の哀しき“格差”

 「Domani」(小学館)10月号は、ばっちり秋模様です。ファッション記事に混ざって気になったのは「Domaniのウェブサイトが生まれ変わりました!」の宣伝ページ。ウェブで展開される新連載の紹介を見ると、「デニムで婚活できちゃう!?婚活デニムガイド」「自分の運命数から読み解く、女の週間数字占い」など○○○な「Domani」っぽいものや、「元・銀座No.1ホステスが語る、銀座ではちょいブスがモテる!?の法則」「バツイチわらしべ長者」なんて、雑誌よりも面白そうなものまで! 早速ウェブサイトをチェックしにいったところ、「生まれ変わりました!」とあるように、まだまだコンテンツ不足なのが否めませんでしたが、評判よかったら雑誌は休刊にして、ウェブサイトだけでいこうと目論んでいたりするのでしょうか……? 雑誌もおもしろい連載出せるように、頑張って!

 ところで、雑誌の連載陣の1人、KinKi Kids・堂本剛さん。先月号では「突発性難聴」について触れてなかったのですが、今月号ではその話が。「はっきりとした原因がわからない病気だそうで、ストレスや疲労が原因とも言われていますが、そうなのであればとっくになっているでしょ…って思ったりも(笑)」などと語っていますが、なによりも「退院後は中国鍼治療を受けたり漢方を飲んだり」の言葉がインパクト大。だって、衣装といい、ヘアスタイルといい、まんま! まんま、中国! ソロ活動で中国テイストが入ってくる日も遠くなさそうです。

<トピックス>
◎肌美人の「毎日スキンケア」全品を順番に見せて!
◎堂本剛『なら(ず)もん』
◎ワーキングマザーに学ぶ”時産”のコツ28

■アクアレーベル使って! by梨花
 美容家・神崎恵さんがトップバッターで登場する、「肌美人の『毎日スキンケア』全品を順番に見せて!」企画。「美のプロ」5人と、「読者」4人が、その名の通り、スキンケアアイテムをお披露目するページです。これを見て、化粧品は「プチプラミックスでOK!」「ライン使いは絶対!」という考えは幻想と知りました……。

 まず、「美のプロ」の使用アイテムは、ボトルを見ただけで高級とわかるものだらけ。そして、ライン使いをしている人ゼロ。みーんな、お高いものを堂々と、そしていろんなブランドから、誰に遠慮することなくバンバン紹介しています。意外なことに、おしゃれっぽくて高感度にも見える、オーガニック系を推してるのは1人のみという結果に。アラフォー肌には、「無添加」とか「ナチュラル」とか「天然由来」より、「最先端」や「ケミカル」が必要なのだと、ジワジワ伝わってきます。そこに加えて、「あえてのクリームの重ねづけ」、アイクリームは「パンダのように目周りにたっぷりのせ」るなど、高額アイテムを惜しげもなく消費する、贅沢の極み……。

 そんな「美のプロ」がお姫様ラインナップとすると、「読者」のスキンケアは市井の人々感にあふれています。キュレルとかアルビオンとか無印良品とか極潤など、ドラッグストアやアットコスメなどでよく見るアイテムが多々並んでいて、なんだか無性に安心。もちろん「読者」の中にも、「ポーラのB.Aを長年ライン使いしてる」とお金をかけまくっている方はいましたよ。でも、きっとこれはレアパターン(であってほしい!)。

 それにしても、このお高い化粧品のオンパレードこそ、「たまには僕たち男の意見も聞いてみる?」的な視点が必要じゃないですか? 「美しい妻」「美しい母」でいるためには、当たり前の出費ですか、コレ……?

■ダダ漏れる「既婚子持ち」至上主義
 女優で作家の中江有里さんと壇蜜さんが、交代でテーマに沿って本を紹介する「今月の処方箋BOOK」。今回のテーマは「男性を見る目を養いたい」ということで、中江さんが3冊の本を紹介しています。たしかに、アラフォー女に「ゲス不倫男やヒモ男など、ダメな男性」につかまっている時間はない!

 紹介されているのは、『左目に映る星』(集英社、著・奥田亜希子)、世界的ベストセラー『愛するということ』(紀伊國屋書店、著・エーリッヒ・フロム)、「負け犬」でお馴染みの酒井順子さんの『男尊女子』(集英社)。

 中江さん的、「ダメな男性」につかまらないための指南は、こんな文から始まります。 「見える筋肉なら鍛えられるけど、人を見る目を養うのは難しい。でも、自分の人を見るめに自信がなくても大丈夫。相手の目が鏡になってくれます。相手がなぜあなたを選んだのか、そこにパートナー選びのヒントがあるのではないでしょうか」。……おやおや、つまり「ダメな男性」に選ばれた女性は「ダメな女性」ってこと!? 強気なお言葉は、さすが、1973年生まれ、団塊ジュニア世代だからでしょうか。

 この言葉で察せられるように、紹介された3冊は、ズバリ「男性を見る目を養う」には関係のなさそうなものばかり。『愛するということ』については、「愛とは技術、とあります。気持ちをコントロールできなくなると愛は暴走する。恋愛はひとりでするものではありません。相手と呼吸を合わせて安全走行でいきましょう」と語っていて、いや、だから、安全走行できる車を見分けられるようになりたいんだけど……趣旨、伝わってない!? と不安にすらなりますよ!

 続いて、『男尊女子』については、「男性に愛され守られるより、愛し合い助け合う関係のほうがこれからの主流になると思います」とのこと。兎にも角にも、この3冊を読んだだけじゃ「男性を見る目を養う」ことはできないな、とハッキリ感じました! 薄々わかってはいましたが、「Domani」はアラフォー独身女性へ寄り添ってるフリをしつつも、ある意味「ネタ」として見てるんだな~と、あらためて思ったトンチンカンページでした。
(白熊春)

「たまには男の意見も聞いてみる?」胸がザワつく「Domani」の好戦的座談会、とんだ茶番!

 「Domani」(小学館)の厚さが増してきているような気がしてならない今日この頃。昨年の9月号と比べると約50ページも増えてますよ! その増量したページは、「働く女性」の財布をこじ開けるためのタイアップ記事になってるような。例えば「小泉里子36歳。等身大の美容流儀」。一応、企画記事っぽく「服、気分、シーンで使い分けるのが小泉流。目に見えなくても、香りはファッションの一部」と書かれているけど、紹介されているのはDiorの商品だけ! タイアップ記事? このまま広告が増え、読者の本音や実態がますます見えないつくりになってしまうのかしら。今だって全然本音がわからないっていうのに! 

<トピックス>
◎35→40歳、おしゃれも美容も人生も…HAPPYエイジングでいこう!
◎ドマーニ読者がHappyエイジングに挑戦
◎たまには僕たち男の意見も聞いてみる?

■エビちゃんより涼子でしょ!
 季節の変わり目ということもあり、「35過ぎたら、何より『美容』」という大特集に始まり、ファッションより美容を語ることが多かった今月号。しかし、美容だけでなく、とにかく饒舌に語りかけてくるのが気になりました。

 「35→40歳、おしゃれも美容も人生も…HAPPYエイジングでいこう!」という企画は、ファッショングラビアに一言決意みたいのが添えられ、例えば「いつだって自分自身の足で歩いている」。片手に大量の資料、もう片手にはスマホを持って明後日の方向を見る蛯原友里の写真にこのフレーズ……。なんで資料をその立派な鞄に入れないのか? というか仕事用にしては鞄が小さすぎるだろ、などと気になってはいけません。このフレーズに共感、共鳴して自己啓発されなければ、以降のページはひたすらに苦行!

 次にくるのは、「社会とつながっている、仕事をしている私が好き」。その後も生き方表明が続き、最後は、「心も体にも無理しないのがいちばんと、最近わかってきた」。なんだろう、字面を追ってると、篠原涼子が主演してそうな「働く女」ドラマのケータイ小説版みたいですね。「20代から、仕事もプライベートも頑張って頑張って頑張ってきた日々。そろそろそんな呪縛から解き放たれて、楽な心持ちで生活する方法を見つけたい」とか、篠原が髪の毛かき上げながら、バーで溜め息ついてそうな言葉! 薄ら寒い!

 でもこれ、女性ファッション誌として正しいアプローチですよね。ファッション誌はある意味フィクション。子どもの頃に没頭した“物語の世界”と同じ。現実世界は、面倒なことや納得できないことであふれてて、自分を主人公にして生きていけない場面があるじゃないですか。せめて雑誌の世界だけは、「Domani」の世界だけは、自分を篠原涼子モードにして存分にうっとりしちゃってよ、ってことだと勝手に解釈しましたよ! いっそ、「Domani」監修、篠原涼子ラジオドラマなんてのはどうでしょう?

■35歳読者、32歳男性に「部下」扱いされる
 タイトルを見た瞬間にポカーンでした。今月号の終盤に差し込まれた、男たちの座談会企画「たまには僕たち男の意見も聞いてみる?」。「聞いてみる?」の後に「結構です」と答える選択肢がないのがしんどい限り。じゃあ、聞いてみますよ……。

 内容は、男性陣3名が「『一緒に働きたい』と思う服装 同僚・上司編」「大人ならではの男性ウケ服」について、手元に広がっている(多分)「Domani」をチェックしながら語るというもの。「一緒に働きたいと思う服装」については、

「スカートだと動きづらそうなので、『荷物持ったほうがいいかな』とか、ちょっと気を使いますよね」
「華やかなレースのワンピースだと『今日はデートかな?』と。勝手な邪推かもしれませんが、早く帰らせてあげないといけない気になって、仕事も頼みづらかったり(笑)」

 32~34歳の男たちが寄ってたかって「早く帰らせてあげる」って……。「Domani」読者を30歳手前か新卒と勘違いしているんですかねぇ。ターゲット層は35歳だぞ! むしろ「同僚・上司」の立場なんですけどね! これは、「部下」編を作っていなかった編集部が悪い。「働く女」雑誌を標榜してるに、年下男の部下を想定してるとは。

 こうして男たちがあーだこーだ、ありきたりの見解を述べてる間、実は、女たちがそれを隣の部屋から聞いているという、という二段構えの展開になっていまして。女たちは、「は~? 服くらい好きなもん着させろや」とキレるわけもなく、「明日着ていく服、見直さなくちゃ!」と前向きなリアクション。そして“一応知っておくべきこと”として女性たちが導き出したのは、「結局、必要なのは、“こなれ感”」ですって。あ! それってもしかして、「Domani」がずっと提唱してきたこと!? ……って、とんだ茶番の今号でした。フィクションですもの!
(白熊春)

「たまには男の意見も聞いてみる?」胸がザワつく「Domani」の好戦的座談会、とんだ茶番!

 「Domani」(小学館)の厚さが増してきているような気がしてならない今日この頃。昨年の9月号と比べると約50ページも増えてますよ! その増量したページは、「働く女性」の財布をこじ開けるためのタイアップ記事になってるような。例えば「小泉里子36歳。等身大の美容流儀」。一応、企画記事っぽく「服、気分、シーンで使い分けるのが小泉流。目に見えなくても、香りはファッションの一部」と書かれているけど、紹介されているのはDiorの商品だけ! タイアップ記事? このまま広告が増え、読者の本音や実態がますます見えないつくりになってしまうのかしら。今だって全然本音がわからないっていうのに! 

<トピックス>
◎35→40歳、おしゃれも美容も人生も…HAPPYエイジングでいこう!
◎ドマーニ読者がHappyエイジングに挑戦
◎たまには僕たち男の意見も聞いてみる?

■エビちゃんより涼子でしょ!
 季節の変わり目ということもあり、「35過ぎたら、何より『美容』」という大特集に始まり、ファッションより美容を語ることが多かった今月号。しかし、美容だけでなく、とにかく饒舌に語りかけてくるのが気になりました。

 「35→40歳、おしゃれも美容も人生も…HAPPYエイジングでいこう!」という企画は、ファッショングラビアに一言決意みたいのが添えられ、例えば「いつだって自分自身の足で歩いている」。片手に大量の資料、もう片手にはスマホを持って明後日の方向を見る蛯原友里の写真にこのフレーズ……。なんで資料をその立派な鞄に入れないのか? というか仕事用にしては鞄が小さすぎるだろ、などと気になってはいけません。このフレーズに共感、共鳴して自己啓発されなければ、以降のページはひたすらに苦行!

 次にくるのは、「社会とつながっている、仕事をしている私が好き」。その後も生き方表明が続き、最後は、「心も体にも無理しないのがいちばんと、最近わかってきた」。なんだろう、字面を追ってると、篠原涼子が主演してそうな「働く女」ドラマのケータイ小説版みたいですね。「20代から、仕事もプライベートも頑張って頑張って頑張ってきた日々。そろそろそんな呪縛から解き放たれて、楽な心持ちで生活する方法を見つけたい」とか、篠原が髪の毛かき上げながら、バーで溜め息ついてそうな言葉! 薄ら寒い!

 でもこれ、女性ファッション誌として正しいアプローチですよね。ファッション誌はある意味フィクション。子どもの頃に没頭した“物語の世界”と同じ。現実世界は、面倒なことや納得できないことであふれてて、自分を主人公にして生きていけない場面があるじゃないですか。せめて雑誌の世界だけは、「Domani」の世界だけは、自分を篠原涼子モードにして存分にうっとりしちゃってよ、ってことだと勝手に解釈しましたよ! いっそ、「Domani」監修、篠原涼子ラジオドラマなんてのはどうでしょう?

■35歳読者、32歳男性に「部下」扱いされる
 タイトルを見た瞬間にポカーンでした。今月号の終盤に差し込まれた、男たちの座談会企画「たまには僕たち男の意見も聞いてみる?」。「聞いてみる?」の後に「結構です」と答える選択肢がないのがしんどい限り。じゃあ、聞いてみますよ……。

 内容は、男性陣3名が「『一緒に働きたい』と思う服装 同僚・上司編」「大人ならではの男性ウケ服」について、手元に広がっている(多分)「Domani」をチェックしながら語るというもの。「一緒に働きたいと思う服装」については、

「スカートだと動きづらそうなので、『荷物持ったほうがいいかな』とか、ちょっと気を使いますよね」
「華やかなレースのワンピースだと『今日はデートかな?』と。勝手な邪推かもしれませんが、早く帰らせてあげないといけない気になって、仕事も頼みづらかったり(笑)」

 32~34歳の男たちが寄ってたかって「早く帰らせてあげる」って……。「Domani」読者を30歳手前か新卒と勘違いしているんですかねぇ。ターゲット層は35歳だぞ! むしろ「同僚・上司」の立場なんですけどね! これは、「部下」編を作っていなかった編集部が悪い。「働く女」雑誌を標榜してるに、年下男の部下を想定してるとは。

 こうして男たちがあーだこーだ、ありきたりの見解を述べてる間、実は、女たちがそれを隣の部屋から聞いているという、という二段構えの展開になっていまして。女たちは、「は~? 服くらい好きなもん着させろや」とキレるわけもなく、「明日着ていく服、見直さなくちゃ!」と前向きなリアクション。そして“一応知っておくべきこと”として女性たちが導き出したのは、「結局、必要なのは、“こなれ感”」ですって。あ! それってもしかして、「Domani」がずっと提唱してきたこと!? ……って、とんだ茶番の今号でした。フィクションですもの!
(白熊春)

「Domani」、香水カウンセリングの「なりたい自分に合う香り」が“占い”と重なるワケ

 Domani(小学館)8月号、現実世界7月。1か月のずれはありますが、どちらも暑いことには変わりなし! もちろん誌面も、ファッション面では「セール術」に始まり、「夏色通勤スタイル」、ビューティー面では「匂いや汗」に言及したり、ライフスタイル面では「島旅」などなど、この季節、この時期特有のものばかり。

 が! ここで、「今日本でいちばんスーツが似合う男『Suit Men of the Domani 2017」」という、なんだか暑苦しい企画発見。世の中、クールビズじゃないのか? おいおい、スリーピース着ちゃってる人もいるよ……。全員ジャケット着用だし。見ているこちらも息切れするくらい、スーツ、スーツ、スーツの男祭り! いきなりなんでスーツ特集なの? 秋口まで待てない? とりあえず暑いっす。ただ、一点だけうれしいことに、「オフィスで働くスーツメンSNAP」企画は、「独身・既婚」の記載付き。だけど、これ見てどうしろっていうんだ! 「独身」の人の、連絡先や行きつけのご飯屋さんも書いておいてくれないと、どうにもならんだろ!

<トピックス>
◎蛯原友里、女・妻・母なリアルライフ
◎「Suits Men of the ★Domani 2017」
黒柳徹子~比べない生き方~

■インスタグラマーとしての徹子
 突然きました。「テレビや舞台などで60年以上活躍し続け、800万部という超ミリオンセラーの作者。そして今ではインスタグラムの女王でもある“トットちゃん”」のインタビュー! 80を過ぎた今でも現役で働き続け、そしてWikipediaによれば、ドマーニ世代の38歳で休業をし、NYに1年住んでいたという黒柳徹子さん。確かに「Domani」が目指す女性像のような気もしますね。女が働き続けるための心構え、キャリアを築く中での困難の乗り越え方、そのあたりのお話を中心に聞くのかしら? と思っていたら、「おしゃれのことからお聞きします」「毎日元気でいられるコツ」、最後に「ハッピーでいられるコツ」の3部構成! 仕事の話、さっぱり。そこについては、「念願のNY生活を5月から始めました…!」と浮かれている、「小泉里子 35歳のポートレート」を読めってこと!?

 気を取り直して、徹子さんの「元気のコツ」ですが、夜間(午後10時~深夜2時)に出る成長ホルモンを意識した生活をしているそうですよ。大体、午後11時に帰宅したら、服だけ脱いで、顔も洗わずに、とりあえず就寝。で、3時間後、深夜に目覚めてからメークを落とし、風呂に入って、それからまた寝る……「2回に分けて合計7、8時間寝るというふうにしたら体も気分もね、すごくいい」って、難易度高くて、真似する気になりませんけど……。っていうか、あの厚化粧を落とさず寝てるって肌は? 問題ないの?

 『徹子の部屋』(テレビ朝日系)の弾丸トークさながら、余談、余談、余談で話がどんどん進みます。ポイントだけさらうと、「ハッピーでいられるコツ」は、「『今』に一生懸命になること」「仕事も人生も人と自分を比べないこと」「どうでもいいことは聞き流す」「いちいち物事を深く考えすぎないこと」「自分が選んだことなんだって自覚すること」ですってよ。

 インタビュアーに質問されたんですかね、一応、話の途中で、仕事をしている「Domani」読者に向かって、思い出したかのように語りかけるんですが、「部下もいたり、上司ともうまくやらなきゃいけないし、悩める世代よね。だけど、どんな人にも誠意を尽くして接していたら、うまくいくんじゃないかしら」、以上。とにかく自分のことばかりしゃべりまくり、「どうでもいいことは聞き流す」というのは、まさにその通りのようです。
 読者のどれほどの人が、徹子のライフスタイルやアドバイスを参考にするかといえば、まあ限りなくゼロでしょう! 徹子のファションセンスも人付き合い方法も、「Domani」読者のセンスとハマる要素が見当たらないですもん。でも唯一の接点、インスタグラムなら両者をつなぐ架け橋になり得たのに、インタビューではノータッチ! なら、冒頭で「インスタの女王」と花を持たせないで~。

■匂いの前に臭いでしょうが!
 美容連載「キレイの事件は現場で起きている!」。先月号の連載では、GINZA SIXにあるカフェの高額さに金を出すのを渋ったのに、今月号では「17,500円」「38,000円」「10,500円」と万単位のプライスが誌面を支配。一体、なにが財布の紐を緩めたの?

 連載キャラの明日美、「大人たるもの『これぞ自分を表現する香り!』といえるフレグランスを1本はもっていたい」と思い立ち、「パーソナルフレグランス診断」を行脚することに。それにより、「好きな香り」「なりたい自分に合う香り」「今の自分に合う香り」と、3つの香水が決まっていきましたけど、なんだかこれって、占いみたいだな~と心がざわつきます。だって、「コレをつけると恋愛や婚活がうまくいくよ!」という香水をパーソナルカウンセリングでおすすめしてくれるうえに、カウンセリング料も、120分1万800円や30分1万円と、名うての占い師並! 「腕のにおいをクンクンする」ことで合う香りを診断するという、レベル高めのカウンセリングに至っては、なにを言われても信じるしかないですもんね。結果、わかったことは、女の財布は、占い・鑑定・カウンセリングが絡むと開きがち、ってことですね!

 ただ、 今月号では「香水」とは別に、「困る!真夏のビミョーな美容問題」と題しまして、「飲み会の食べすぎ」に始まり、「ワキ汗」や「足のニオイ」「頭皮のニオイ」「おならが臭い」「口臭」などの「ニオイ」問題にも言及しています。「こ、これは…脱いだら暴動が起きるレベル…」と、お座敷前でしゃがみこんでいる絵も描かれており、危険度マックスな感じ。

 次回あたりに「スメハラ」特集をやりそうなムードがありますね。そしてそして、「頭皮のニオイ」では、「最近は、湯シャンなどもありますが、頭皮のニオイや髪のベタつきが気になる人は、泡でしっかりシャンプーするのがおすすめ。フライパンの油汚れが洗剤なしには落とせないように(以下略)」って、たとえがヒドすぎですよ!

結婚&男へのファンタジーを失った「Domani」、“ごほうび買い”という名の金の亡者に

domani-17-07

 前号の巻末、編集長が「Domani読者の皆さんへ」コーナーで、「たまに『掲載商品が高すぎる』と苦情を言われる(すみません)こともあるドマーニ編集部、次号は本気で『安さと大人のおしゃれ』に取り組みます!安けりゃいいってもんでもない。でも安くていいものはたくさんある。機能性を確認するため、洗えるとうたっている服を実際に洗ってみる、という『暮しの手○』的なことにもトライします」と宣言していたので、攻めた記事が読めるのだろうと楽しみにしていた今号。

 が、ふたを開けてみると、プリプラは、おなじみのUNIQLOや無印良品やPLSTなどなど。知ってるからそれ! 期待の「『安くていい服』が見つかる発掘ブランド、発表!」では、「パンツ¥8,900」や「カラースカート¥9,900」など、“Domani財布”的には安い服が。でもそれ、安いって言わないから!! 読者アンケートに太文字で「掲載商品が高すぎる」と書いて投函しようかしら……いい加減、目を覚まして!

 「“洗える服”を洗ってみました!」を見ると、洗ってみたのは1回限りでブランドプレスからの“売り込み”コメント付き。「暮しの手○」的にやるのなら、メーカー協力なんて言語道断、500回くらい洗濯してほしいものです! 1回だけの洗濯だって、「花王」家事研究スペシャリストがきちんと指南していて、そこまで洗濯を気にかけて、1回でヨレヨレになったら、そのブランド炎上しますから~。手洗い表示でも「時短」のために洗濯機洗いしてみた結果、どうだった? ってところが知りたいんですよ~。

<トピックス>
◎大人の夏は「安くていいもの」しか欲しくない!
◎“洗える服”を洗ってみました!
◎「ごほうび買い」オールスターズ★

■買い物は、確実に自分を幸せにするしね!
 「夏ボーナスで手に入れたい!」と息巻く「『ごほうび買い』オールスターズ★」に加え、今月号は、「シミ、シワ、たるみ…35歳からの『肌落ち』にこれ一本!」という、大金ちらつかせ企画がお目見え。「Domani」、日本の経済を回すために今日も必死です。

 「『ごほうび買い』オールスターズ★」は予算は30万円コースからスタートです。トップを飾るのは、セリーヌのバッグ「トリフォルド」35万5,000円也。商品紹介を読むと、「手にするだけで自信が湧いて、おしゃれも仕事も楽しくなる、働く女性のインフルエンサーバッグ」とのことで、「手にするだけで自信が湧いて」くるとは、まるで宗教のお誘い文句! 「お題目を唱えるだけで幸せになれる」的なこと? インフルエンサーバッグの意味は不明ながら、自信が勝手に湧きあがるうえ仕事が楽しくなるというのなら、35万円、買いなのか!?

 しかし、ちょっと待って。「2017年夏Domani読者のボーナス最新事情」によると、ボーナスの使い道は1位旅行、2位貯金・投資、3位洋服、4位スキルアップ、5位バック・靴とあるのに、バックに靴、アクセサリーをこれでもかと推してくるとは。確かに、暑い時にストーブを売ってこそ、できる営業マンの証拠。だけど、読者に今これを買わせる必要ってあるのか!? 

 「先輩おしゃれプロに聞く!ごほうびに“何買う?”“いつ買う?”を徹底トーク!」でも、30代になると“ボーナス買い”意識は薄くなる、なんて書かれてますし。ますます「ごほうび買い」企画の立つ瀬なし。先にあった、「読者のボーナス最新事情」の2位貯金・投資を意識してか、「時計・ダイヤ・パールは今すぐ買っておくべき」という先輩の意見にも、若干こじつけを感じます。この3つは、「今から未来に向かって、価格が上がっていく場合が多い。今がいちばん安いってことだから、投資するなら早いほうがいいですよ」とのことで、強引にアクセと投資をつなげてきましたよ!

 昨年の7月号では「年下彼氏ファンタジーを盛り上げて… 男子目線をくらませる デートの日だって『やせ見え』コーデ術」なんていう、夢とピチピチ男子にあふれた企画があったのに、今月号は、「安くていいもの」に始まり「ごほうび買い」まで、金と買い物の話ばかり。どうした、ファンタジーは! 夢見る心は金に負けてしまったのか!? 

■婚活、もうやめたの?
 この年になると確かに気になります。「35歳からの『パーティー服』、新ルール」。でも、よく考えるとパーティーなんて行ったこともなけりゃ、行く予定もない……「結婚式の二次会」でもいいのかしら!? いやいや、近頃、婚活指南に目覚めた「Domani」なら、パーティーといえば「婚活パーティー」か?

 と思ったら、「結婚式の二次会」と「ビジネスレセプション」という2シーンをパーティに設定していました。ワンピースとセットアップの2コーディネート別で、とても普通にオシャレにまとまっていました。なんだ……てっきり、婚活パーティーで出会っちゃって、友達の結婚パーティーに彼と出席して、「次は、わたしたちの結婚パーティー」な~んてストーリーが展開されるのかと思ってましたが、ファンタジー皆無! せいぜい、「余裕のある女らしさを狙って!」というキャッチを「いい男を狙って!」と脳内で読み替える程度です。

 そうです。きっと婚活パーティーでパートナーは見つけないんです。「Domani」なキラキラ女は。先月号みたく、「親友から男友達を紹介される」なんていう“頑張りすぎない”出会いがきっと待っているんですよね。うん、君たちかっこつけすぎでしょう!

 最後は、巻末にある編集長の言葉で締めましょう。「突然ですが、おしゃれな男の人が苦手です。正確にいうと『おしゃれすぎる男性』『自分がおしゃれだという自覚がある男性』といるとどうも落ち着かない」です。おっと、これって自分たちのことよね? 「自分がおしゃれしてると自覚している」からこそ、「頑張りすぎない」コーディネートをして隠しているのよね、「自覚」を。でも、かっこつけてるのバレてますよ!
(白熊春)

 

「婦人公論」の「体の不調」特集で暴れる、冨士眞奈美・吉行和子・仲代達矢ら“あっけらかん”としたアラ80

fujinkouoron170613

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は「不調のサインを見逃さない」。キャッチフレーズには「40代から70代の『体の節目』」とあります。「40代に入ると徹夜はできないし、深酒できないし、どんなに疲れていても熟睡できない……」と、この手の話題なら3時間はぶっ通しで話せるようになる、それが中高年たるものの矜持。冒頭のアンケート「私の体の“曲がり角”は?」にも、「私の不調」が生き生きとページに踊っています。そんな中、最も心を掴まれたのが「不調のどん底で考えていたこと」にあった、「年齢的なものだから仕方ない。それに、あんなにキレイな歌手だって尿もれパッドとかきっと使っているはず。そう思えば明るい気持ちになれる」(53歳主婦)という一文。どん底の人間を救う尿もれパッド……これはサラサーティのCMを務めたRIKACOの偉業を讃えるべきでは……。

<トピックス>

◎特集 不調のサインを見逃さない

◎冨士眞奈美×吉行和子 人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね

◎仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために

■「和子っぺ」という愛称のほのぼの昭和感

 こちらの特集、40代以降の女性の体の変化と病気の関係を医学的見地から語るものや、がんと宣告された人のルポ、脳梗塞から生還した磯野貴理子のインタビューなど、ほとんどが「病気」や「体調」を真正面から捉えたものですが、座談会「人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね」だけ毛色が違います。女優の冨士眞奈美、吉行和子、エッセイストの関容子による「仲よし3人、気ままにおしゃべり」と銘打たれておりますが、これを「気まま」という言葉で片づけていいのか……。

 冨士と吉行といえば、芸能界でも有名な仲よしコンビ。関とも40年来の付き合いなのだそう。一応「元気に過ごすために、日々心がけていることは?」というテーマはあるものの、話が進むにつれて完全に脱線。台本の台詞を覚えるのが大変という話で、てっきり「こういう努力をしている」といった女優魂エピソードが出てくるのかと思いきや、「私なんか、受験生向けの記憶促進器具というのがある、と聞いて、慌てて買いに行ったの」(吉行)、「えーっ。そんなのあるの?」(冨士)、「そしたら、結局ウォークマンみたいなものなのよ。自分でしゃべったのを耳から聴いて覚えなさい、ってなわけなの」(吉行)、「なぁーんだ。つまんないの」(冨士)。

 料理をまったくしないことでおなじみの吉行を、「この人、キッチンを何百万もかけて改装して、汚すのがいやだから使わないの」と冨士がイジれば、吉行が「何百万じゃないわよ、何十万よ。面白く言わないでよ」と軽くキレる。その後も冨士の盛りグセはとどまるところを知らず、

「和子っぺが私の家に一度だけ来たことあるのね、そのときにこめかみから血を流してるから、私びっくりして、『どうしたの?』って聞いたら、鍼を200本くらい打ったらしいの」(冨士)

「それは、嘘だと思うけどね」(吉行)

「本当よ。頭のてっぺんとか、瞼の上とか、こめかみとか、もう鍼だらけになって(中略)両側のこめかみから血をタラーっとたらして、家に来たの」(冨士)

「その話は私、信じないな」(吉行)

 この鍼で流血の話は水掛け論が続き、最終的には「今日子ちゃん(故岸田今日子)が、もういないけど、いたら覚えてるわよ、その話。おかげで元気なの、この人」(冨士)と死者まで引っ張り出してくる始末。このやりとりで意外だったのは「和子っぺが私の家に一度だけ来た」というところ。40年来の付き合いで何でも話す仲なのに、その距離感はお互い守り合っているんだなぁと。これこそが長く友情関係を続ける秘訣なのかも。そしてこういう会話ができる相手がいるからこそ「元気で長く生きよう」と思えるのでしょうね。

 “アラ80女”のかしましい座談会のあとは、これまた80代俳優のインタビュー。「仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために」のインタビュアーは、奇しくも先ほどのページに登場していたエッセイストの関容子です。

 6月3日に封切りとなる映画『海辺のリア』の宣伝を兼ねていますが、仲代の生い立ちや無名塾立ち上げエピソードなどかなり盛りだくさん。幼少期に戦争を体験し「爆弾が毎日東京に落ちて、逃げ回っていた。戦争に対する反感の思いは強烈にあります。『鬼畜米英』なんて言っていたのが、8月15日を境に、大人たちが一挙に親米派になったもんですから。その頃から、私にはニヒリズムが備わったわけです」と本人が語るように、仲代の視点はどこか社会に対してケンカ腰。「40歳を過ぎたころ、新しい役者を育てたいと思って、『無名塾』を始めました。妻で女優の宮崎恭子が演出して、私が主演して、教え子たちが周りを固める。そうしたら新聞記者から『ファミリー劇場だ』と言われて、『それがなんでいけないんだ』と喧嘩しました。すると、しばらく批評を書いてくれなくなったりした」。

 こんな調子で熱く、力強く舞台の話をしていたと思えば、役者に必要なものは「運」と「血」であるというくだりで「私の父親が不倫の子という話もあります。祖母が若妻だった時分、『旅回りの團十郎』と言われたいい男の役者と逃げて、生まれたのが私の父だとか。確証はないんですけどね。(中略)また、母方の祖父がスパイで、中国人に扮していた、というのは確かなんです」と、夏休みに祖母宅に泊まりに行くと布団の中で「お前もねぇ、時代が時代だったらお姫様だったかもしれないんだよ~うちは藤原の家系だからね~」と繰り返し話すウチのばあちゃん並みのファンタジー。「旅回りの團十郎」「祖父がスパイ」も、布団の中で聞かされた匂いがプンプンします!

「これからやりたい芝居が、まだ30本ほど、とても全部は実現できないけれど、あれこれ考えるのが楽しくて。気力だけはあります。85歳で引退すると言っていましたが、84になった今も演じ足りない。だって、自分はまだ下手なんですよ」

 80代になっても「鍼打ってこめかみから血ぃ流しながらうちまで来た」「オマエはすぐ話を盛る」と言い争う友達関係、80代になってもまだまだ自分は下手、もっと演じたいという仕事への渇望……まったく趣向の異なる座談会/インタビューながら、長く元気に生きる人間に共通する、一周まわった“あっけらかん”を見せつけられた思いです。そしてその“あっけらかん”は、選ばれた人間にのみ与えられた妙技なのだということも。(西澤千央)

「婦人公論」の「体の不調」特集で暴れる、冨士眞奈美・吉行和子・仲代達矢ら“あっけらかん”としたアラ80

fujinkouoron170613

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は「不調のサインを見逃さない」。キャッチフレーズには「40代から70代の『体の節目』」とあります。「40代に入ると徹夜はできないし、深酒できないし、どんなに疲れていても熟睡できない……」と、この手の話題なら3時間はぶっ通しで話せるようになる、それが中高年たるものの矜持。冒頭のアンケート「私の体の“曲がり角”は?」にも、「私の不調」が生き生きとページに踊っています。そんな中、最も心を掴まれたのが「不調のどん底で考えていたこと」にあった、「年齢的なものだから仕方ない。それに、あんなにキレイな歌手だって尿もれパッドとかきっと使っているはず。そう思えば明るい気持ちになれる」(53歳主婦)という一文。どん底の人間を救う尿もれパッド……これはサラサーティのCMを務めたRIKACOの偉業を讃えるべきでは……。

<トピックス>

◎特集 不調のサインを見逃さない

◎冨士眞奈美×吉行和子 人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね

◎仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために

■「和子っぺ」という愛称のほのぼの昭和感

 こちらの特集、40代以降の女性の体の変化と病気の関係を医学的見地から語るものや、がんと宣告された人のルポ、脳梗塞から生還した磯野貴理子のインタビューなど、ほとんどが「病気」や「体調」を真正面から捉えたものですが、座談会「人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね」だけ毛色が違います。女優の冨士眞奈美、吉行和子、エッセイストの関容子による「仲よし3人、気ままにおしゃべり」と銘打たれておりますが、これを「気まま」という言葉で片づけていいのか……。

 冨士と吉行といえば、芸能界でも有名な仲よしコンビ。関とも40年来の付き合いなのだそう。一応「元気に過ごすために、日々心がけていることは?」というテーマはあるものの、話が進むにつれて完全に脱線。台本の台詞を覚えるのが大変という話で、てっきり「こういう努力をしている」といった女優魂エピソードが出てくるのかと思いきや、「私なんか、受験生向けの記憶促進器具というのがある、と聞いて、慌てて買いに行ったの」(吉行)、「えーっ。そんなのあるの?」(冨士)、「そしたら、結局ウォークマンみたいなものなのよ。自分でしゃべったのを耳から聴いて覚えなさい、ってなわけなの」(吉行)、「なぁーんだ。つまんないの」(冨士)。

 料理をまったくしないことでおなじみの吉行を、「この人、キッチンを何百万もかけて改装して、汚すのがいやだから使わないの」と冨士がイジれば、吉行が「何百万じゃないわよ、何十万よ。面白く言わないでよ」と軽くキレる。その後も冨士の盛りグセはとどまるところを知らず、

「和子っぺが私の家に一度だけ来たことあるのね、そのときにこめかみから血を流してるから、私びっくりして、『どうしたの?』って聞いたら、鍼を200本くらい打ったらしいの」(冨士)

「それは、嘘だと思うけどね」(吉行)

「本当よ。頭のてっぺんとか、瞼の上とか、こめかみとか、もう鍼だらけになって(中略)両側のこめかみから血をタラーっとたらして、家に来たの」(冨士)

「その話は私、信じないな」(吉行)

 この鍼で流血の話は水掛け論が続き、最終的には「今日子ちゃん(故岸田今日子)が、もういないけど、いたら覚えてるわよ、その話。おかげで元気なの、この人」(冨士)と死者まで引っ張り出してくる始末。このやりとりで意外だったのは「和子っぺが私の家に一度だけ来た」というところ。40年来の付き合いで何でも話す仲なのに、その距離感はお互い守り合っているんだなぁと。これこそが長く友情関係を続ける秘訣なのかも。そしてこういう会話ができる相手がいるからこそ「元気で長く生きよう」と思えるのでしょうね。

 “アラ80女”のかしましい座談会のあとは、これまた80代俳優のインタビュー。「仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために」のインタビュアーは、奇しくも先ほどのページに登場していたエッセイストの関容子です。

 6月3日に封切りとなる映画『海辺のリア』の宣伝を兼ねていますが、仲代の生い立ちや無名塾立ち上げエピソードなどかなり盛りだくさん。幼少期に戦争を体験し「爆弾が毎日東京に落ちて、逃げ回っていた。戦争に対する反感の思いは強烈にあります。『鬼畜米英』なんて言っていたのが、8月15日を境に、大人たちが一挙に親米派になったもんですから。その頃から、私にはニヒリズムが備わったわけです」と本人が語るように、仲代の視点はどこか社会に対してケンカ腰。「40歳を過ぎたころ、新しい役者を育てたいと思って、『無名塾』を始めました。妻で女優の宮崎恭子が演出して、私が主演して、教え子たちが周りを固める。そうしたら新聞記者から『ファミリー劇場だ』と言われて、『それがなんでいけないんだ』と喧嘩しました。すると、しばらく批評を書いてくれなくなったりした」。

 こんな調子で熱く、力強く舞台の話をしていたと思えば、役者に必要なものは「運」と「血」であるというくだりで「私の父親が不倫の子という話もあります。祖母が若妻だった時分、『旅回りの團十郎』と言われたいい男の役者と逃げて、生まれたのが私の父だとか。確証はないんですけどね。(中略)また、母方の祖父がスパイで、中国人に扮していた、というのは確かなんです」と、夏休みに祖母宅に泊まりに行くと布団の中で「お前もねぇ、時代が時代だったらお姫様だったかもしれないんだよ~うちは藤原の家系だからね~」と繰り返し話すウチのばあちゃん並みのファンタジー。「旅回りの團十郎」「祖父がスパイ」も、布団の中で聞かされた匂いがプンプンします!

「これからやりたい芝居が、まだ30本ほど、とても全部は実現できないけれど、あれこれ考えるのが楽しくて。気力だけはあります。85歳で引退すると言っていましたが、84になった今も演じ足りない。だって、自分はまだ下手なんですよ」

 80代になっても「鍼打ってこめかみから血ぃ流しながらうちまで来た」「オマエはすぐ話を盛る」と言い争う友達関係、80代になってもまだまだ自分は下手、もっと演じたいという仕事への渇望……まったく趣向の異なる座談会/インタビューながら、長く元気に生きる人間に共通する、一周まわった“あっけらかん”を見せつけられた思いです。そしてその“あっけらかん”は、選ばれた人間にのみ与えられた妙技なのだということも。(西澤千央)

IKKO、坂井より子、小池栄子……「婦人公論」の片づけ特集に集う「自分が絶対」の猛者たち

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)、特集は「スッキリが続く片づけ術」です。「婦人公論」といえば、“物も夫も姑もご近所もなにもかもを捨てたい”でおなじみですが、今回は「断捨離」の気配は薄め。冒頭では家事評論家で随筆家の吉沢久子氏と「暮らしの手帖」(暮しの手帖社)の前編集長・松浦弥太郎氏が対談していますが、「本当に自分に必要か、見極めて選ぶことが何より大事です」(吉沢)、「道具と友だちみたいな関係になるとほかのモノが欲しくなくなって」(松浦)など、生活の達人たる、高レベルのお話が繰り広げられております。道具と友だち……翼くんか!!

 整理整頓系の話は、気づけば精神論に傾くから危険。「愛着あるモノと暮らす。それなら部屋も散らかりません」というタイトルに、「がんばりすぎない、小さな習慣」というキャッチフレーズ。この真綿でじわじわと首を締め上げてくる感じ……これは常套手段! “くらしていねい族”の常套手段です!

<トピックス>

◎特集 スッキリが続く片づけ術

◎IKKO「女に生まれなかった私は 部屋も自分も キレイを保ちたい」 

◎シャーロット・ケイト・フォックス「日本で迎えた最大の試練、今はただ前を向いて」

■モノってそんなに簡単に買っちゃいけないんだっけ?

 今回の特集は片づけの実用的なページが半分、ていねい族のじわじわインタビューが半分といったところでしょうか。タイトルだけでモソモソしちゃう、IKKOの「女に生まれなかった私は 部屋も自分も キレイを保ちたい」と、料理研究家・坂井より子氏の「葉山で三世代同居をする料理家の毎日は」は、IKKOのきらびやかなリビングと、すっきりシンプル系の酒井氏の自宅は真逆なようでその実根は同じだとわかる、非常に興味深いインタビューとなっています。

 「女に生まれたいと思いながら、そう生まれなかった。だから本当の女性以上に努力しないと、女性に近づけない。油断すると、男が出てくる瞬間があるのです。それをまぬがれるには、自分自身が美しくあろうとするのはもちろん、身の回りの環境もつねに美しく整えておくことが何よりも大切なの」というのがIKKO哲学。「ストーリーを感じる」絵画やアンティーク家具や調度品を取りそろえ、玄関には「季節の花を華道家の先生に生けていただいております」とのこと。「新しく何かを取り入れるときは、10年、20年先まで愛せるか、私が作り上げてきた世界に合うかどうかを基準にして選んでいます」と、今時名家の嫁選びに勤しむ姑でも言わないような厳しいコメント。

 一方の坂井氏は、「ご覧の通り、家の中は古いものばかりでしょ。私、なかなかものを買いません。『買う』ということは『好きなものを買う』ということですから(中略)そのかわり、これぞというものに出合ったら、たとえ高価でも、夫にも相談せずに買ってしまう(笑)。居間の箪笥も25年前に出合ってしまったものです」と、出だしから真綿で首……どころか鈍器のようなもので後頭部を殴られたような衝撃。「家の中も、家事も、日々の暮らしも、いかに自分が気持ちよくいられるかを考えてリズムを作っていくと、おのずと自分や家族にとって居心地のいい形になっていくのではないでしょうか」と語ります。

 「美しさ」を求めてもがき、がんばった証しとしての「家」を作り上げたIKKO。そんな世俗的な「欲」を手放し、山と海に囲まれた環境でシンプルな暮らしを続ける酒井氏。しかし両者共通してあるのは自らの審美眼への絶対的な自信。出し方としてはIKKOのほうがだいぶ素直ですがね。スッキリ片づけ術への道は、なかなか小手先ではうまくいかなそうです。

 さて、続きましては人生をスッキリ片づけた方と、あえて片づけない方、2人の女優の登場。今号の表紙を飾ってる小池栄子の「夫婦の関係が変わってきた」と、朝ドラ『マッサン』(NHK総合)でおなじみ、シャーロット・ケイト・フォックスの「日本で迎えた最大の試練、今はただ前を向いて」です。離婚危機を何度もささやかれながら、それでも別れない小池と、アメリカで働く夫と昨年離婚が成立したシャーロット。どちらも「婦人公論」が大好きな、夫婦の話題が中心となったインタビューです。

 縁もゆかりもなかった日本で、朝ドラヒロインを射止めたシャーロット。「来日以来、高くそびえる壁をよじ登るような試練の連続でした。言い換えれば、それはたくさんの新しい挑戦をし、さまざまな経験を積むことができたということ」。言葉、生活習慣、さまざまな高い壁の中でも「至るまでの葛藤も苦しかったし、離婚後のダメージも大きく、本当に心が壊れてしまいそうでした」と、離婚は相当精神的に重かったそう。

「私にとって離婚は、一種の『死』のようなもの。誰よりも大切に思っていた人を失うのですから、その悲しみと苦しみはたとえようもありませんでした」

「当時の私はまさに、スティグマを背負った気がしました。みんなから『離婚するなんてシャーロットが悪い』『シャーロットはダメな人間だ』と思われているのでは、という強迫観念に襲われてしまった」

 完全な偏見ですが、アメリカの方々はもっとドライに結婚や離婚を捉えているイメージがあったので、少しビックリ。「離婚」の感覚一つをとっても、もしかしたら彼女は日本とウマが合っていたのかもしれません。

 さて、一方の小池。昨年の大みそかに「RIZIN」(総合格闘技トーナメント)で引退した夫の坂田亘。冒頭でその経緯について、「RIZINを統括なさっている高田延彦さんとお会いした際、『坂田にケジメをつけさせてください』とお願いしました」「リング上で晒されるのは彼が人として試されるということだと思ったし、何かを引きずった状態のまま、中途半端に生きてもらいたくはなかった」「案の定、ボコボコにされ、流血試合に。かわいそうというよりは『一発一発の重みを受け取って』という思いのほうが強かったですね」と、もはや格闘家の妻というよりは極妻。覚悟しぃや……。

 夫に「ケジメ」つけさせたことで夫婦の関係も変わってきたようで、「数年前『婦人公論』に出させていただいたときは、『昭和タイプの男の人なので』とお話しし、どちらかというと私が尽くすほうでしたが、ちょっと逆になりつつあるというか(笑)」。

 ていねい族が片づけ術で「買うって、好きなものを買うということ」と我々を締め上げるように、ふがいない夫に「別れない」という最大で最強の絞め技をカマしている小池。どちらにせよ、「私が絶対」という強い確信、強い自信をもった人間だけが出せる一撃必殺の術です。

(西澤千央)

IKKO、坂井より子、小池栄子……「婦人公論」の片づけ特集に集う「自分が絶対」の猛者たち

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)、特集は「スッキリが続く片づけ術」です。「婦人公論」といえば、“物も夫も姑もご近所もなにもかもを捨てたい”でおなじみですが、今回は「断捨離」の気配は薄め。冒頭では家事評論家で随筆家の吉沢久子氏と「暮らしの手帖」(暮しの手帖社)の前編集長・松浦弥太郎氏が対談していますが、「本当に自分に必要か、見極めて選ぶことが何より大事です」(吉沢)、「道具と友だちみたいな関係になるとほかのモノが欲しくなくなって」(松浦)など、生活の達人たる、高レベルのお話が繰り広げられております。道具と友だち……翼くんか!!

 整理整頓系の話は、気づけば精神論に傾くから危険。「愛着あるモノと暮らす。それなら部屋も散らかりません」というタイトルに、「がんばりすぎない、小さな習慣」というキャッチフレーズ。この真綿でじわじわと首を締め上げてくる感じ……これは常套手段! “くらしていねい族”の常套手段です!

<トピックス>

◎特集 スッキリが続く片づけ術

◎IKKO「女に生まれなかった私は 部屋も自分も キレイを保ちたい」 

◎シャーロット・ケイト・フォックス「日本で迎えた最大の試練、今はただ前を向いて」

■モノってそんなに簡単に買っちゃいけないんだっけ?

 今回の特集は片づけの実用的なページが半分、ていねい族のじわじわインタビューが半分といったところでしょうか。タイトルだけでモソモソしちゃう、IKKOの「女に生まれなかった私は 部屋も自分も キレイを保ちたい」と、料理研究家・坂井より子氏の「葉山で三世代同居をする料理家の毎日は」は、IKKOのきらびやかなリビングと、すっきりシンプル系の酒井氏の自宅は真逆なようでその実根は同じだとわかる、非常に興味深いインタビューとなっています。

 「女に生まれたいと思いながら、そう生まれなかった。だから本当の女性以上に努力しないと、女性に近づけない。油断すると、男が出てくる瞬間があるのです。それをまぬがれるには、自分自身が美しくあろうとするのはもちろん、身の回りの環境もつねに美しく整えておくことが何よりも大切なの」というのがIKKO哲学。「ストーリーを感じる」絵画やアンティーク家具や調度品を取りそろえ、玄関には「季節の花を華道家の先生に生けていただいております」とのこと。「新しく何かを取り入れるときは、10年、20年先まで愛せるか、私が作り上げてきた世界に合うかどうかを基準にして選んでいます」と、今時名家の嫁選びに勤しむ姑でも言わないような厳しいコメント。

 一方の坂井氏は、「ご覧の通り、家の中は古いものばかりでしょ。私、なかなかものを買いません。『買う』ということは『好きなものを買う』ということですから(中略)そのかわり、これぞというものに出合ったら、たとえ高価でも、夫にも相談せずに買ってしまう(笑)。居間の箪笥も25年前に出合ってしまったものです」と、出だしから真綿で首……どころか鈍器のようなもので後頭部を殴られたような衝撃。「家の中も、家事も、日々の暮らしも、いかに自分が気持ちよくいられるかを考えてリズムを作っていくと、おのずと自分や家族にとって居心地のいい形になっていくのではないでしょうか」と語ります。

 「美しさ」を求めてもがき、がんばった証しとしての「家」を作り上げたIKKO。そんな世俗的な「欲」を手放し、山と海に囲まれた環境でシンプルな暮らしを続ける酒井氏。しかし両者共通してあるのは自らの審美眼への絶対的な自信。出し方としてはIKKOのほうがだいぶ素直ですがね。スッキリ片づけ術への道は、なかなか小手先ではうまくいかなそうです。

 さて、続きましては人生をスッキリ片づけた方と、あえて片づけない方、2人の女優の登場。今号の表紙を飾ってる小池栄子の「夫婦の関係が変わってきた」と、朝ドラ『マッサン』(NHK総合)でおなじみ、シャーロット・ケイト・フォックスの「日本で迎えた最大の試練、今はただ前を向いて」です。離婚危機を何度もささやかれながら、それでも別れない小池と、アメリカで働く夫と昨年離婚が成立したシャーロット。どちらも「婦人公論」が大好きな、夫婦の話題が中心となったインタビューです。

 縁もゆかりもなかった日本で、朝ドラヒロインを射止めたシャーロット。「来日以来、高くそびえる壁をよじ登るような試練の連続でした。言い換えれば、それはたくさんの新しい挑戦をし、さまざまな経験を積むことができたということ」。言葉、生活習慣、さまざまな高い壁の中でも「至るまでの葛藤も苦しかったし、離婚後のダメージも大きく、本当に心が壊れてしまいそうでした」と、離婚は相当精神的に重かったそう。

「私にとって離婚は、一種の『死』のようなもの。誰よりも大切に思っていた人を失うのですから、その悲しみと苦しみはたとえようもありませんでした」

「当時の私はまさに、スティグマを背負った気がしました。みんなから『離婚するなんてシャーロットが悪い』『シャーロットはダメな人間だ』と思われているのでは、という強迫観念に襲われてしまった」

 完全な偏見ですが、アメリカの方々はもっとドライに結婚や離婚を捉えているイメージがあったので、少しビックリ。「離婚」の感覚一つをとっても、もしかしたら彼女は日本とウマが合っていたのかもしれません。

 さて、一方の小池。昨年の大みそかに「RIZIN」(総合格闘技トーナメント)で引退した夫の坂田亘。冒頭でその経緯について、「RIZINを統括なさっている高田延彦さんとお会いした際、『坂田にケジメをつけさせてください』とお願いしました」「リング上で晒されるのは彼が人として試されるということだと思ったし、何かを引きずった状態のまま、中途半端に生きてもらいたくはなかった」「案の定、ボコボコにされ、流血試合に。かわいそうというよりは『一発一発の重みを受け取って』という思いのほうが強かったですね」と、もはや格闘家の妻というよりは極妻。覚悟しぃや……。

 夫に「ケジメ」つけさせたことで夫婦の関係も変わってきたようで、「数年前『婦人公論』に出させていただいたときは、『昭和タイプの男の人なので』とお話しし、どちらかというと私が尽くすほうでしたが、ちょっと逆になりつつあるというか(笑)」。

 ていねい族が片づけ術で「買うって、好きなものを買うということ」と我々を締め上げるように、ふがいない夫に「別れない」という最大で最強の絞め技をカマしている小池。どちらにせよ、「私が絶対」という強い確信、強い自信をもった人間だけが出せる一撃必殺の術です。

(西澤千央)