元NHK・登坂淳一アナ、セクハラ騒動を「妻との絆」に!? 「婦人公論」で語る再婚の“なれそめ”が気になるワケ

 「婦人公論」(中央公論新社)の8月10日号が発売になりました。今回の特集は「後悔しない、迷惑かけない 終活――いまを豊かに生きるために」。

 読者にとってホットな話題である「終活」について実用的な情報が多く提示されていて、大変ためになる今号。ここではあえて、あんまりためにならない部分を見ていきましょう。

<トピックス>
◎読者100人の「やってよかった」「やらなきゃよかった」
◎森進一 歌手生活56年。亡き母の苦労と、息子たちの成長と
◎登坂淳一 不妊治療を経て娘を授かり、人生が変わった

BL本の行く末を考える終活

 まずは特集より、読者アンケート「読者100人の『やってよかった』『やらなきゃよかった』」。終活をはじめたきっかけは? 進捗状況は? 参考にしている人は? などの問いに、「終活に関心のある100人」が答えています。

 最低限「これだけはやろう」と決めたことは? との問いに、「手放せないBL(ボーイズラブ)本が段ボール1箱分ある。これは娘ではなく妹に処分してもらう約束をしている」(62歳)という回答もありました。確かにこれは一つの懸案事項。しかし、できればこっそり棺に一緒に入れてあげてほしい……と余計なおせっかい心も湧きます。

 また「やらなきゃよかった」ことは? の問いには、「早まって、住所録をすべて処分してしまった」(83歳)や、「写真をすべて処分したのが早すぎた。まだ生きている」(77歳)といった、“早まった!”という後悔を挙げる方も。人生100年時代といわれる今、思い出の品を処分するタイミングを計るのも難しいようです。

森進一の加工アプリ的な美肌

 次に気になったのは、森進一のインタビュー「歌手生活56年。亡き母の苦労と、息子たちの成長と」です。なぜ今、森進一? と不思議でしたが、今年4月に森が「春の叙勲」旭日小綬章を受章した記念のインタビューのようです。

 これまでの波乱万丈の人生を振り返り、離婚後のひとり暮らし、息子たちの活躍、若き日のジャニー喜多川さんに「僕のところに来ない?」と誘われた秘話なども語っている森進一。しかし最も目を引くのはグラビアです。本当に73歳なのか疑わしいほどにシワ、シミがない美肌。黒々とした七三(八二?)分けの髪も、かれこれ30~40年前から変わらず。最後のページの満面の笑顔は特に、加工アプリを通したかのようにホワ~ッと光を放っています。加工アプリ肌を持つ73歳、森進一。インタビューで美容やアンチエイジング法についても掘り下げて聞いてほしかったです。

 今号では元NHKで現在フリーの登坂淳一アナウンサーとその妻による対談「本誌独占 夫婦で初登場! 不妊治療を経て娘を授かり、人生が変わった」も掲載されています。「本誌独占」「夫婦で初登場!」とあおられているものの、奥さまの写真は後ろ姿のみ。“ワンピースが高そう”“とにかく上品そう”ということだけがわかります。

 NHK時代、視聴者に「麿」と呼ばれ親しまれた登坂アナ。最初の奥さまとは17年に離婚し、18年にフリーに転身すると「週刊文春」(文藝春秋)でNHK時代のセクハラ疑惑を報じられ、決まっていた民放レギュラーの座を辞退したことも。その時も「婦人公論」で単独インタビューに応じて「彼女が『セクハラを受けた』と感じるような行為をしてしまった」と認めており、よほど同誌との絆は深いようです。

 その後、19年に現在のお相手と再婚。再婚時の発表によれば、現・奥さまとの出会いはNHK札幌放送局時代の10年夏。その後、鹿児島放送局時代の17年5月、奥さまが鹿児島を旅行で訪れた際に再会し、その年の夏に交際に発展したとされていました。

 今回の対談でも、出会いから結婚、不妊治療、今年4月に誕生した娘のことなどが語られているのですが、やはり気になったのは「なれそめ」の部分。今回の対談によれば出会いは11年前の夏。ビアガーデンで何人か取材したうちの一人が奥さまだったといい、「名刺交換をして、実際に映像を使うことになったのでその旨を連絡して――」「その後は、年始に『あけましておめでとうございます』のメールをやり取りする程度のつきあい」「6年くらいたって、僕が鹿児島放送局にいた時、たまたまあなた(妻)が鹿児島に来て――」「すごく自然な流れ」で交際に発展したとのこと。

 NHKのアナウンサーって麿ほど知名度のある人でも映像使用の連絡を自らするのか~、取材相手と気軽にメル友になる感じなのか~、当時は既婚者のはずだけど近くに旅行へ行ったら会ってくれるのか~、などいろいろ驚きです。

 また、セクハラ騒動の際も今の奥さまが支えたそうで、登坂アナは「あの時そばで励ましてくれたことは一生忘れないし、これからの人生で、できるだけのことをしたいと思ったよ」「失敗と大きな挫折があったからこそ、自分にとって何が大切か、改めて見えてきた」とのこと。それが不妊治療にもつながったようで、二人の間では美談となっているようです。タイトルは「不妊治療を経て娘を授かり、人生が変わった」ですが、「セクハラで人生が変わり、不妊治療を経て娘を授かった」のほうが正しそう。

 過去のあやまちが掘り返されがちな今日この頃。今回の「麿」の発言に対しては、親になる=過去のあやまちが清算されるというわけではないぞと思いつつ、“生きているうちに人生やり直す”ことも今号の特集である「終活」の一部なのかもしれないと考えさせられました。

鈴木保奈美、エッセイで離婚を匂わせ!? トイレは石橋貴明のメタファー? 読者に深読みさせる「婦人公論」連載

 「婦人公論」(中央公論新社)の7月27日号が発売中です。暑さが増し、夏本番といった雰囲気のこの頃ですが、今号の特集は「『健康寿命』は何歳からでものばせる」。夏が来るたびに浮かれるほかのファッション誌とは一線を画し、あまり季節感がない特集は同誌の特徴。表紙を飾る前田美波里も、ニット素材に見えるロングなオレンジ色ワンピース(ISSEI MIYAKE)を着用していて暑そうです。

 季節を問わず読者の最大の興味のひとつである、「健康寿命」に特化した今号の中身、早速見ていきましょう。

<トピックス>
◎箱石シツイ 104歳の理容師、聖火ランナーになる
◎ルポ 生きがいに出合って病からV字回復
◎鈴木保奈美 獅子座、A型、丙午。

これだけで買う価値がある104歳オリジナル体操

 表紙を飾った前田美波里もインタビュー中で「美波里流 健康習慣」を語っており、彼女に憧れる“マエダビバラー”にはとても参考になることと思いますが、そのさらに上をいくインタビューが。

 それが、今年3月に聖火ランナーを務めた104歳、箱石シツイさんについての記事です。箱石さんは、体もメンタルも健康で聖火ランナーを務めあげ、さらに現役で理容師としても活躍するスーパー・ウーマン。オンラインで行われたという取材にも難なく適応した様子です。前田美波里は72歳、箱石さんは104歳と親子ほどの年齢差があり、やはり説得力も変わってきます。

 箱石さんの健康の秘訣は、30年以上続けているというオリジナル体操にあるとか。「全部をやり終わるまで1時間近く」という、その名も「シツイさんオリジナル健康ご長寿体操」。その全貌が誌面でまるっと紹介されているのです。箱石さん、この体操を教えるDVD付きエクササイズ本などを出せば一儲けできるのでは……と思えるくらいに充実の全24工程は、足首に重りをつけて(現在は1.2キロとのこと)うつぶせ状態で左右の足を上げ下げするなど思いのほかハード。箱石さんの30年以上の英知が詰まった体操を、箱石さんのポーズ見本写真付きで教えてもらえるなんて……。同誌1冊650円が安いものに思えてくる尊さを感じました。

ICUから美容整形に直行! の潔さ

 病を乗り越えた読者4人から話を聞いたルポ「生きがいに出合って病からV字回復」も興味深いものでした。そのうちのひとりミサトさん(62歳)は、くも膜下出血で意識をなくし緊急手術、そしてICUへ。幸い後遺症はなく退院の日が近づいたが、気力が落ち、鏡に映った「たるんだ頬にがっくり。こんなんじゃ生きていけない」と感じたそう。

 そこでミサトさんは美容整形を決心。退院したその足で、夫に「このまま美容外科の病院に行くからね」と告げ、フェイスリフトのカウンセリングへ直行し、手術を受けたそう。気持ちが上がると体も元気になったという体験談が語られています。なんてすばらしい決断力。美容整形で「健康寿命」が延びるなら、それは立派な医療行為なのでは!? と発想の転換をさせられました。

トイレとスリッパで離婚を匂わす! 鈴木保奈美の文才

 最後に忘れてはならないのが、鈴木保奈美の連載エッセイ「獅子座、A型、丙午。」。7月16日にとんねるず・石橋貴明との離婚を発表し、注目が集まっている彼女ですが、その3日前となる13日に発売された同誌エッセイのタイトルは「デシジョン」(決断)。意味深です。

 内容はといえば、要約すると“海老名サービスエリアで私が選ぶトイレはいつも必ず汚れている!”と嘆くもので、「わたしが選んだトイレは、絶対ハズレなの」「個室が三つ以上並んでいるトイレで、わたしは必ずハズす」と断言しています。

 そんなホナミさん、最近はスリッパを買いに行き、白黒、白グレー、真っ白のどれを選ぶかで迷ったそう。さて彼女が選んだ色とは!? (ぜひ読んで確かめてみてください)。

 ホナミさんのトイレとか、スリッパの色とかどうでもいいし……と思ったあなた、私も最初はそう思いました。しかし離婚発表後に読むと、その文章の意味が変わって見えるのです。まさか汚れたトイレとは石橋のメタファーなのか!? そのスリッパの色を選んだ意味って? ……といった具合に。

 日常を書いたと思いきや、離婚発表後に読むと「もしかして……」と深読みさせる、何ともさりげない匂わせの技術! 意味深で余韻を残す締めの一文!! ホナミ文体の浮遊感と相まって、ミステリー小説かのような味わいです。恐ろしきホナミ引力。

 次回のエッセイで直接、離婚について書いてくれるのか注目したいです。

「婦人公論」の“ポジティブ論”は、結構暗い!? 東ちづるも池上季実子も……シニア世代の幅広い「幸せ」

 「婦人公論」(中央公論新社)の7月13日号が発売になりました。今回の特集は「長生き時代、幸せのカギは『ポジティブ』にあり」です。「不安なときこそ『ポジティブに!』で乗り切る。そのコツを達人たちが伝授します」とのことで、内館牧子(72)、中尾ミエ(75)、東ちづる(61)、池上季実子(62)、渋沢栄一の孫である鮫島純子さん(98)など“ポジティブ・シニア”が多数登場する中身、さっそく詳しく見ていきましょう!

<トピックス>
◎とことん悩めばいい。それが新しい扉への第一歩 東ちづる×池上季実子
◎物忘れが増えても、幸福度は下がらない 増本康平
◎“川柳”で笑い飛ばせ

意外と暗い東ちづる×池上季実子

 特集「長生き時代、幸せのカギは『ポジティブ』にあり」のインタビュー企画が充実しています。朝5時から運動することを日課とし、「体を動かせばクヨクヨ気分も晴れやかに」と説く体育会系な中尾ミエから、「身近にある小さな幸せに感謝」し、ネガティブな気持ちが湧いたときは「世界の平和を祈ります」という達観系の鮫島純子さんまで、幅広いポジティブが網羅されている印象です。

 中でも、東ちづる×池上季実子の対談「とことん悩めばいい。それが新しい扉への第一歩」は共感を呼びそう。明るいイメージの二人ですが、対談ではネガティブな一面を明かし、東は「『ポジティブ』という言葉に縛られすぎてしまうのは、ちょっと怖い気がするの。人間は振り子のように、前向きと後ろ向きの間で気持ちが揺れるもの」と提言。池上も「とことん悩んで、落ちていいと思うの。(中略)悩んだ先にポジティブはある」と語っています。酸いも甘いも知った「婦人公論」読者世代だからこその説得力があるポジティブの形だと感じました。

 個人的にこれまでは、ポジティブという単語から思い浮かべていたのは「ラブ、ドリーム、ハピネス」を信条に掲げるEXILE系若人や、怪しい自己啓発セミナーにハマる系若人、SNSに「#出会いに感謝」と書き込みがちな自己肯定感あふれるパリピ若人などでした。そんな自分の視野の狭さに気づかせてくれた「婦人公論」との出会いに感謝です。

脳トレよりスマホいじりが効く!?

 次は、読み物「老いへの偏見に縛られていませんか 物忘れが増えても、幸福度は下がらない」。神戸大学大学院准教授の増本康平氏が、老いに関するネガティブなイメージを「高齢者心理学」などの研究結果から、変えてくれます。

 まず、年を取ると物忘れが激しくなるというイメージについて。増本氏は「最も記憶力がいいとされる20歳前後の若者でも、ごくあたりまえに物忘れをしている」と言い、「過度に不安を抱く必要もありません」とホッとさせてくれます。また脳トレは「あまり意味がないトレーニング」との見解を述べ、スマホをいじって外の情報に触れることのほうが「脳トレに励むより、よほど記憶力の衰えをカバーできると思います」としています。

 一方、物忘れの域を超えた認知症については「平均寿命まで生きる女性の2人に1人は認知症になると考えられる」との研究結果もあると紹介し、認知症は努力が足りなかったからなるものではなく自然なものだと説明。「前向きに受け入れ、対処することが、幸福な老いにつながる」と締めくくっています。“ありのままに受け入れる=うまく諦める”というポジティブの形。勉強になります。

 最後に見ていくのは、心を和ませてくれる「“川柳”で笑い飛ばせ」のコーナー。ポジティブをテーマに募集した川柳の優秀作が紹介されています。

 「この時代 過ごしたことが 糧になる」(しらたまさん)といった標語型から、「変異株 成長の速さ 見習いたい」(しゃちほこさん)、「『効いてきた』 接種後の腕 見せる父」(ともこ1967さん)といった時事ネタ型、「体重が 増えて念願 Dカップ」(かえるやぎさん)などのシニアあるある型まで、名作が生まれています。

 今号は、特集以外の企画も、いじめ関連(林真理子×斉藤慎二『いじめを受けた私たちが伝えたいこと』)、コロナワクチン関連(夏川草介×坂本史衣『ワクチン接種が、“出口”への切符になる』)、照ノ富士関連(佐藤祥子『照ノ富士よ、さあ綱取りだ。大相撲七月場所は見どころ満載』)など、なんとなく茶化してはならぬ雰囲気の記事が多かった印象。この川柳コーナーや、鈴木保奈美の連載エッセイといったリラックスして読めるページはオアシスでした。

 ちなみに今回の保奈美エッセイは、「小学二年生まで住んでいた街」にあったというおもちゃ屋さんについて、ノスタルジーに浸りきって描いています。五・七・五にも負けないくらいにブレない、トレンディーなホナミ節。閉塞感ある今だからこそ求められているのかもしれないと気づけました。

熊谷真実に憧れる「マミラー」が浜松で発生中!? 「婦人公論」に見る、女“ひとり老後”の楽しい実態

 発売中の「婦人公論」(中央公論新社)の6月22日号、今回の特集は「つながって、支え合って『ひとり老後』を機嫌よく」です。同誌によれば、年齢を重ねるにつれて、夫との死別や子の巣立ちなどをきっかけに「多くの女性が『ひとり暮らし』を経験します」とのこと。

 老後のひとり暮らしというと、お金の問題、孤独死など、マイナスなイメージも浮かびますが、それあらゆる角度から取り除こうとしてくれるのが「婦人公論」。むしろ希望に満ちる「ひとり老後」の世界を教えてくれる今号の中身、さっそく見ていきましょう!

<トピックス>
◎澤地久枝×上野千鶴子 転んで寝たきりになっても、「これで終わり」とは思わなかった
◎熊谷真実 シングルに戻ったけれど浜松住まいを続けます
◎読者体験手記 秘密のMyルーティン

参考にならない“ひとり老後のカリスマ”が誕生

 まずは90歳のノンフィクション作家・澤地久枝と、72歳の社会学者・上野千鶴子の対談「転んで寝たきりになっても、『これで終わり』とは思わなかった」から。澤地氏は昨年5月に自宅で転倒。ひとり暮らしのまま、要介護生活に突入したそう。一時は寝たきりの「要介護4」でしたが、リハビリを経て「今は要介護2」まで改善したとのこと。親族の元や施設に行くしかないと思われがちな“要介護のおひとり様”ですが、澤地氏は介護保険制度を使い、訪問のヘルパーやナースの手を借りながら、ひとり暮らしを実現しているのです。

 今回は、澤地氏が「一生ひとりで過ごす前提で」建てたという自宅を上野氏が訪問し、「危機をいかに乗り切ったか」について、話を聞くというスタイル。しかし読み進めると、澤地氏は“危機を乗り切った”というより、“受け入れている”というイメージが強くなっていきます。澤地氏は「死ぬのは怖くない」「すでにおまけの人生です」と達観しており、「いつ終わるかわからない人生だと思っているから、お医者さんにかかるという気はない」「何かあったら、すぐ死ぬと思う」「この先、私に何かが起きたら、自分の意志で食べなくなるでしょうね」と語っています。

 ここまで腹をくくることができれば、ひとり老後も怖くないのかもしれません。しかし、そこへ行き着くまでが難しい人が大半と思われ、上野氏も「ここまで潔い方の生き方は、あまり普通の人の参考にはならないですね。(笑)」とまとめています。澤地氏、“ひとり老後の孤高のカリスマ”として今後ますます輝きそうです。

 次に見ていくのは、女優・熊谷真実のインタビュー「シングルに戻ったけれど浜松住まいを続けます」。9年前、18歳下の書道家の中澤希水氏と再婚し、昨夏には中澤氏の故郷・静岡県浜松市に夫婦で移住したものの、今年3月に離婚。しかし熊谷は、その後も浜松でひとり暮らしをしています。その訳は、「浜松という土地に恋をしてしまった」からだそう。

 新たな「恋」に生きる熊谷は、とても楽しそう。昨年9月にはYouTubeデビュー。「熊谷真実公式チャンネル」は登録者数約1.49万人(6月15日現在)と盛況とはいかないまでも、浜松グルメ情報、浜松レジャー情報、浜松での朗読……など続々と浜松ネタを発信しています。インタビューでは「浜松にいるとネタが尽きそうにありません。海でしょ、山でしょ、畑でしょ。それから名所めぐりや名産物の紹介とか。浜松産の食材を扱う飲食店、そこに集う温かい人たち……」と語る熊谷。浜松タレントという第二の活路を見出したようです。

 また、インスタグラムでは激安リサイクル着物の着こなしも人気らしく、熊谷いわく「私のことを好きな人たち『マミラー』」も出現中とのこと。試しに「#マミラー」で検索してみると、約80件の投稿が確かにヒット。どうやら浜松で局地的に発生しているようです。おそるべし熊谷真実のパワー。浜松が「熊谷真実の街」と呼ばれるようになるのも時間の問題かもしれません。

 最後に見ていくのは、読者体験手記のコーナー。今号のテーマは「秘密のMyルーティン」です。夫を10年前に亡くし、子どもたちも独立した女性(56歳)からの投稿には、ひとり老後のメリットがあふれています。朝風呂のあと、バスタオル一枚でくつろげる。エビアレルギーのあった娘に気兼ねすることなく、エビ入りの宅配ピザを1枚完食できる。テイクアウトで豪華なディナー。交際5年になる彼氏との「ビデオ通話での顔を見ながらきわどい会話」。彼氏との逢瀬のためにエステ、ダイエット、筋トレ――。楽しそうです。

 「ひとり老後」とは恐れるものではなく、むしろ楽しみに待つものなのでは!? と思わせられる今号でした。

「大野担の86歳」「きよし推しの73歳」……「婦人公論」読者の”推し”は命と直結!?

 発売中の「婦人公論」(中央公論新社)6月8日号、今回の特集は「年齢を味方につけて『いま』を楽しめる人でいたい」です。「昨日より今日、今日より明日をステキな日に」ということで、88歳の女優で作家・岸恵子、1950年生まれのスタイリスト・西ゆり子さん、80歳で少年野球チームを率いる棚原安子さんら、年を重ねて輝きを増すシニアが勢ぞろいしています。

 読んでいくと、昨今のホットワード「推し」が、シニアにも生きがいを与えていると実感することに。さっそく中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎小林照子×村崎芙蓉子 好奇心をエンジンに、86歳現役を貫く
◎読者体験手記 財布のひもをゆるめて、いざ出発
◎田原俊彦 攻めてる還暦についてこいよ!

hyde推しの86歳×大野担の86歳

 最初に見ていくのは、共に86歳で現役の美容研究家兼メイクアップアーティスト・小林照子さんと医師・村崎芙蓉子さんの対談「好奇心をエンジンに、86歳現役を貫く」。

 86歳には見えないほどシャキッとしているお二方。対談を読むと、共通しているのは新しいものに対する好奇心や行動力のようです。小林さんは米国発の新興SNS「Clubhouse」や音声配信「ポッドキャスト」を使いこなしているそう。村崎さんも、最近になって中古マンションを購入。平日はそこを拠点に、夫と離れて過ごす“週末婚”デビューをしたそうです。

 また、“追っかけ体質”も2人の共通点。村崎さんは、嵐・大野智推し。「“大野担”仲間と札幌や名古屋のコンサートにペンライトを持って追いかけたなあ」と嵐の活動休止前を振り返ります。一方の小林さんは、L’Arc-en-Ciel・hydeの大ファン。コンサートに通い「hydeと親しい知人に紹介してもらって楽屋に挨拶に行った」とパワフルで、80代のファンは小林さんだけだと本人にお墨付きをもらったとか。これが“職権乱用”と言われないのも年の功かもしれません。

 推しがいるから心が若いのか、それとも心が若いから推せるのか。卵が先かニワトリが先か、のような問答ですが、更年期治療を専門とする村崎先生に、いつかそのあたりも明らかにしてほしいです。

氷川きよしを推す73歳の生きざま

 読者体験手記のコーナー「財布のひもをゆるめて、いざ出発」でも、氷川きよしを熱烈に推す73歳女性の投稿が採用されています。ファン歴20年のこの女性は、きよしを「生きる希望」と表現。初めての生きよし、初めての出待ち、初めての着物でのライブ参戦など、数々の初体験がイキイキと描写され、トキメキが伝わってきます。

 そんな淡い思いだけで終わらないのが「婦人公論」読者なのでしょうか。投稿者は、「もし私が和楽器を演奏できたなら、近県でコンサートが開催されたときにお手伝いとして声がかかるかも」と、きよしとの共演を夢に見て、お琴を習い始めます。

 さらに近くで開催される『NHKのど自慢』にきよしがゲスト出演すると知ると、観覧だけでなく、出場にもエントリー。もちろん歌うのはきよしの曲。予選会での敗退が続いていて、さらに新型コロナのせいでコンサートも減り、現在はお琴の練習に励む日々だそうです。このようなたくさんのご高齢ファンの「生きる希望」、つまり寿命の要であり続けるきよしの背負う重圧は、想像を超えるものがありそう。ファンの健康とともに、きよしの心の平安も願いたくなる手記でした。

トシちゃんに時代が追いつく

 今号にはトシちゃんこと田原俊彦のインタビュー「攻めてる還暦についてこいよ!」も掲載されていました。歌手活動歴40年を超え、60歳になったトシちゃん。

 今でこそジャニーズタレントの退所や独立が多くなってきましたが、トシちゃんは1994年に33歳でジャニーズを退所。時代を超先取りしていたといっても過言ではありません。一時は干されたものの、地道に新曲を出し続けてきた彼には、現在も熱心なファンがついている様子で、ライブ会場は今でも満席だそう。

 かつてのアイドル仲間であり、ジャニーズ事務所の長男といわれた近藤真彦は、不倫報道をうやむやにしたまま4月に退所。年末の『ジャニーズカウントダウンライブ』で先輩風を吹かせる以外、アイドルとしてどんな仕事をしていたのかよくわからないマッチに比べれば、トシちゃんは若干おでこが広くなっただけで笑顔には自信がみなぎり、“現役のアイドル”感が輝いています。

 トシちゃんも美女との不倫疑惑を報じられることが度々ありますが、今回のインタビューでも「この間なんて、女の子とカフェでデートしていたらバーンと(次女に)肩を叩かれた」「『ママに言うなよ』と口止めしなかったけど、話しただろうな」とネタに。

 不倫疑惑も“いつまでもモテるトシちゃん”という自己演出の一環なのか!? とさえ思わせるプロなアイドル・トシちゃん。マッチ滅びし今、トシちゃん株がどんどん上がっていく……ことを個人的には期待しています。

鈴木保奈美、女優なのに「PASMOで電車に乗った私」をアピール! 「婦人公論」連載でダダ漏れになった自意識

 「婦人公論」(中央公論新社)の5月25日号が発売中です。同誌のカナメといえば、濃い読者手記ですが、今回の特集はその傑作選「私たちのノンフィクション 幸せは涙のあとに」。読者より寄せられたノンフィクション原稿の中から、編集部が選び抜いた「珠玉の6篇」がドドンと掲載されています。胸やけするほど読み応えのある今号の中身、さっそく見ていきましょう!

<トピックス>
◎私たちのノンフィクション 幸せは涙のあとに
◎私はこう読んだ 伊藤比呂美、内田樹
◎鈴木保奈美 獅子座、A型、丙午。

読者の暴走プラトニックブ体験記

 特集「私たちのノンフィクション 幸せは涙のあとに」に掲載された6篇の手記の内容は、とてもヘビー。認知症、不倫、がん闘病、精神科入院、借金、遺産争い、兄からの性的虐待――と、盛りすぎの昼ドラのようなラインナップです。

 そんな中、わずかながら希望が感じられなくもない1篇も。そのテーマは「片思い」。ずっと離婚したいと思っていた夫が亡くなったあと、絵画教室の「若い素敵な」男性の先生(60歳・既婚)に恋している76歳女性による手記です。

 「レッスン日のあとは、絵の仲間には知らせずいつも2人きりで夕食をご一緒している」とあり、イイ感じなのでは!? と思ったのも束の間、「支払いは私持ちというのがちょっと気にかかる」。それってタダ飯要員では。

 しかし、夫の遺産がそれなりにあるこの女性、「払える私が払うのが当然かな」と納得したそうで、ある日、先生に愛を告白。結果は、「不義です。それは罪です」と振られてしまったとのこと。なんてイケ好かない野郎。“生徒を惑わすオレ”に酔っていやがる……!

 先生とは振られたあとも食事を続けているそう。つまり、夫の遺産でタダ飯を与え続けているだけなのですが、女性は「もしかして先生もプラトニックラブと思ってくれているのでは」「ああ、身も心も愛されたい」「せめて指一本くらい触らせて」と暴走ぎみです。恋心はいくつになっても人を狂わせるようだ……と教えられました。

 読者手記のあとには、プロがその内容に感想を述べる「私はこう読んだ」という企画も。詩人の伊藤比呂美氏、思想家の内田樹氏によるコメントが掲載されています。読んでみると、意外と厳しい。

 伊藤氏は「『〇〇さ~ん』の”〜”は禁止(中略)。文芸作品に、こういう記号は不要です。『さーん』でいい」等、こまやかな修正を提案。
 
 内田氏は「感情を自制できていることを示そうとすると、なかなかこれほど生々しいものは書けません」と絶賛する一方で、「もちろん実際にいろいろご苦労をされたわけで、大変な人生だったと思います。しかし、少々厳しく聞こえるかもしれませんが、そのご苦労のいくぶんかは無意識のうちに自分で招き寄せたもののようにも見える」とも指摘。「みなさん自分で『穴』を掘って、その定型の中に自分から進んではまり込んでいるような印象」と語っています。

 一歩間違えば読者による“不幸自慢大会”や“悲劇のヒロイン博覧会”になってしまう手記特集に対する、冷静なツッコミだと感じました。

 読者の超力作手記を読んだあと、ほっと一息つける(気が抜けるとも言える)のが鈴木保奈美の連載エッセイ「獅子座、A型、丙午。」です。

 80年代を引きずったホナミ文体による、THEトレンディー・エッセイ。今回は“女優なのにPASMOを使って電車で現場入りしちゃったホナミ”という自意識を直球アピールする、ほほ笑ましい内容となっています。

 それは「新調したバーミキュラのフライパンで自分史上最高のベーコンエッグができた朝」のできごと。マネジャーから、“高速が大渋滞しているから電車で現場入りするように”と連絡を受けたホナミさん。

「え? 一人で電車? と思われたあなた、あのね、アンジェリーナ・ジョリーじゃないんだから、女優だって電車乗るわよ」
「PASMOも持ってるって」
「撮影現場についたら、『ホナミさん電車で来たの!?』とみんなに言われた。だからさ、ジェニファー・ロペスじゃないんだから」
「PASMOをピローン、って乗ってきたのよ」

 非日常のワクワクどきどき感がダダ漏れです。

 読者の人生全てを注ぎ込んだかのような手記を読んだあとでは、“電車に乗った”というだけでエッセイを一本書けてしまうホナミさんの特殊さが染み入ります。

 ちなみにPASMOは「ピローン」とは鳴りません。「ピピッ」です。次に電車に乗るときには(いつになるのかわかりませんが)ぜひ耳を澄ましてみてください、とホナミさんに伝えたいです。

家事は「女の仕事」でも「愛情」でもない! 「婦人公論」の主張が、読者から反感を買いそうなワケ

 「婦人公論」5月11日号(中央公論新社)が発売になりました。今回の特集は「家事は、もうひと工夫でラクになる」です。ていねいな生き方を目指すイメージが強い「婦人公論」読者。「ラクになる」コツを伝授するはずのこの特集からも、家事へのマジメな姿勢がびしびし伝わる内容となっています。さっそく中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎読者アンケート・126人のホンネ「楽しい」「つらい」の境界線は
◎本橋ひろえ 五つの洗剤だけで家じゅうピカピカに
◎佐光紀子 不機嫌になるくらいならやめてみよう

家事は自分がやってこそ「家事」という価値観

 最初に見ていくのは、特集内の読者アンケート「『楽しい』『つらい』の境界線は」。平均年齢57.7歳、合計126人のアンケート回答から、家事へのホンネを読み解く企画です。

 「好きな家事は?」という問いへの答え1位は「洗濯」で68人。2位は「食材や日用品の買い物」で56人、3位は「布団や洗濯物を干す」で47人。一方の嫌い1位は「お風呂場の掃除」58人、2位は「アイロンがけ」51人、3位は「料理」46人となっていました(共に複数回答可)。嫌いな家事しかない身としては、「好きな家事」があるというだけで尊敬です。
 
 別の問い「家事で疲れを感じるときを教えてください」には、少数ではありますが「特に感じない」派の声も紹介されており、驚きました。「週3回、調理補助のパートをしているので、夫と2人分の食事はチョロいぜ、と思う」「毎日のルーティーンになっているので」とのこと。この“仕事に比べたらラク”や“習慣だから”というのは、“家事に疲れを感じていない”というよりは、“慢性的な疲れで麻痺してる”に近いのでは!? との疑念も浮かびました。
 
 ほかの問いにも「本当はすべての家事が苦手。でもダメな女と思われそうで、必死にやっている」「夫に家事を頼んだら、『俺がやったらお前の仕事がなくなるだろう』と言われた」「食洗機の導入も夫と姑から反対された」「家事は自分がやってこそ『家事』だと思っている」などの回答が。「婦人公論」読者層は主に、昭和な価値観で育った年代であることを痛感させられました。家事の一番のつらいところは、“家族(特に夫)からの圧”なのかもしれません。

 次に見ていくのは、全国でナチュラルクリーニング講座を開催している本橋ひろえさんによる「5つの洗剤だけで家じゅうピカピカに」。“5つもの洗剤を使い分ける”という面倒くさいことが、「ラク」に分類されていることにまず驚きです。

 本橋さんの言う「ナチュラルクリーニング」とは、合成洗剤を一切使用しない掃除。「掃除は毎日のこと」だから「たった5種類の洗剤」で「時短」しましょう、とのことですが、「掃除は毎日のこと」という前提からして、意識の差を感じます。同誌読者にとっては当然の前提なのでしょうか。

 その5種類とは「重曹」「過炭酸ナトリウム」「石けん」「クエン酸」「アルコール」とのこと。“地球にやさしい”という大きなメリットのことを考えれば耐えられる面倒くささ……であるかどうかはその人次第ですが、とにかくこれは一般的な「ラク」ではないと信じたいです。

家事礼賛を「古い価値観」「刷り込み」とバッサリ

 最後に紹介したいのが、ナチュラルライフ研究家・佐光紀子さんによるアドバイス記事「不機嫌になるくらいならやめてみよう」です。

 『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(光文社)や『家事は8割捨てていい』(宝島社)といった、興味をひかれるタイトルの著作で知られる佐光さん。今回の記事でも、「家事は女の仕事であり、ちゃんと家族の世話をするのが良き妻、良き母。そんな古い価値観に縛られている人はまだまだ少なくない」とバッサリいきます。

 さらに「日本では、愛情弁当という言葉もあるように、『家事は愛情の証し』と考えがち」とし、「この発想が『ちゃんと家事をやらなきゃ』につながっているのでしょう」と分析。「家事は愛情ではなく、日々の生活を回すための技術」「何品もおかずを用意し、部屋をきれいにして……ちゃんと家事をする妻・母は愛情深くて素晴らしい。そんな刷り込みから自分を解放して」と提言しています。
 
 佐光さんの著書のAmazonレビューの評価が賛否真っ二つに分かれていることからも想像できるとおり、先のアンケートで「家事に疲れは感じない」と回答した“麻痺してる”群からは、「今まで頑張ってきたことを否定しないで!」といった反感も買いそう。しかし、そんな反感を抱く人にこそ、ちゃんと読んでほしい記事だと感じました。

まるで戦時中の「ぜいたくは敵だ!」! 「婦人公論」90歳絵本作家のインタビューを疑うべき理由

 発売中の「婦人公論」(中央公論新社)4月27日号。「暮らしも遊びもお金をかけず、楽しく豊かに」と銘打った特集で、「使うお金は抑えめに、気持ちの充実を味わうヒント」を紹介する読み物が中心となっています。

 先月にも同誌では、似たような中身の特集「エコだけどケチじゃない『始末のいい』暮らし」(3月9日号)を展開。変化したのは、先月は「エコだけどケチじゃない」にこだわっていたのが、今号では「使うお金は抑えめに」と、はっきり“ケチを推奨”してきた部分でしょうか。コロナ禍が長引くにつれ、誰もが少しずつ余裕をなくしてきたということを示しているようで、怖くなりますが、さっそく中身を見ていきましょう。

<トピックス>
◎門倉多似亜 ささやかな幸せは暮らしのそこかしこに
◎甲斐信枝 90歳の絵本作家、大切なことは草や虫たちが教えてくれた
◎アズマカナコ 冷蔵庫・洗濯機ナシ。家族5人のエコ生活

スタバがなければベランダに出ればいいじゃない?

 まずは特集内の、料理研究家・門倉多似亜さんインタビュー「ささやかな幸せは暮らしのそこかしこに」。昨年8月、東京から夫の実家がある鹿児島県鹿屋市に移住。その日々をつづったエッセイ集『心地よく、ていねいに、ゆとりを楽しむこれからの暮らし方』(扶桑社)を3月に発売したそうで、今回のインタビューでは、「今いる場所でいかに快適に暮らすか」をテーマに語っています。

 鹿児島に転居する際、新居は前回の家とはスペースや間取りが違うと気付いた門倉さん。「そこで、家具はすべてサイズを測り(中略)配置を具体的にイメージし、どうしても入らないものはあきらめました」とのこと。なるほど。それは、引っ越しする人のほとんどがやる作業。しかし、そこを当たり前と思わず、“こんなクリエイティブな作業は自分しかやっていないわ”というスペシャルな気持ちで取り組むことが、「ささやかな幸せ」につながるのかもしれません。

 また、都内在住時にはカフェでの一人時間が好きだったそうですが、転居先には「スターバックスもドトールもありません(笑)」。代わりに家のベランダに鳥がよく飛んでくるそうで、その光景を1時間以上眺めたりしているとか。写真を見る限り、ベランダは広く、日当たりも良さそう。椅子はタイの雑貨店で購入したもので、そこらのスタバやドトールよりずっと快適そうに見えます。

 特集タイトルにある「使うお金は抑えめに」よりも、どちらかといえば「パンがなければケーキを食べればいいじゃない?」的精神が漂う、ゆとりを感じるインタビューでした。

 続いて気になったのも、特集内のインタビュー。絵本作家・甲斐信枝さんの「90歳の絵本作家、大切なことは草や虫たちが教えてくれた」です。

 1930年生まれの甲斐さんは、身近な草花や虫を描く現役の絵本作家で、「戦前の日本人には伝統的な美意識がありました」「両親は子どもの前でお金の話なんてひと言も言わなかった」「極端にいえば、金銭というものは人を卑しくさせる(中略)でも今はお金の価値観も美意識も変わってしまった」と嘆いておられます。

 お金を増やすために「(現代人は)心を売っている」、「人間の心を喰うことによってお金が太る」とまで言っているんです。1940年頃から掲げられた戦時中の「ぜいたくは敵だ!」精神が、沁み込んでいるように思います。

 ここで思い出したのが、昨年の「VERY」(光文社)10月号での作家・大塚英志氏の言葉。「VERY」の企画「アフターコロナの世界をひらく言葉」内で大塚氏は、戦時下の女性たちは「『日々の暮らしを工夫しながら楽しむ』ことを、ある種のエンターテインメント的に与えられ」、「知らず知らずのうちに戦時体制に巻き込まれ」たと指摘し、コロナ禍で再び注目を浴びている「ていねいな暮らし」的な物への不信感をつづっていました。

 年長者の知恵には学ぶべき有難いものが多いのは事実とはいえ、その知恵の背景を、念のため疑うこともしてみたいところです。

 戦時中とまでいかなくても、昭和にまで遡った生活様式を送る人物を紹介するインタビューもありました。それが、省エネ生活研究家で著書『昭和がお手本 衣食住』(けやき出版)などで知られるアズマカナコさんのインタビュー「冷蔵庫・洗濯機ナシ。家族5人のエコ生活」。

 夫婦、子ども3人の5人で東京郊外の築80年の家に暮らすアズマさん一家の電気・ガス・水道代は、合わせて月7,000〜8,000円と激安。その理由は、大学で環境問題を学んだことをきっかけに、できるだけ家電に頼らない生活を心がけ始め、現在は冷蔵庫、洗濯機、エアコン、ストーブ、掃除機を持っていないからだそう。

 今、楽しんでいるのは「自家製の化粧品を作ること」で、卵殻膜やドクダミなどを焼酎につけた「化粧水原液」や、飼育しているミツバチの巣から蜜蝋をとって作る「保湿クリーム」などの写真も掲載されています。肌の基礎力が強くなりそうですね。

 アズマさんは「節約や貯金が目的だと誤解されることがありますが、そうではない」とのこと。「ぜいたくは敵だ!」精神からではなく、環境問題や手作りといった自分の興味に焦点を当てた暮らしであれば、楽しいのかもしれない……と納得させられました。

 「婦人公論」が定期的に紹介する「ていねいな暮らし」系のトピック。今後もコロナ禍でどう進化していくのか見届けたいと思います。

泰葉の母・海老名香葉子、「娘より嫁」「お尻の始末も」! 「婦人公論」インタビューに察した、お嫁さんの大変な苦労

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)、特集は「親子の距離は『ほどほど』がいい」。同誌の読者層には、高齢の親がいるパターン、中年の子がいるパターン、どちらもいる板挟みパターンもいるようです。毒親を持つ人のインタビュー、“老親あるある”対処法、孫育てを手伝わされる苦労……など、さまざまな角度から親子の距離感の難しさが伝えられています。

 巻頭の読者アンケート「こんな関係が理想です」には、「2駅ほど離れたところに住み、ほどよく連絡をとりあい、会うときは体調のいいほうが食事をつくる」「互いのプライバシーに立ち入らない」といった、互いに踏み込みすぎないことを理想とする回答が並びます。親子関係も個人主義、さっぱりとしたものを良しとする時代になったのでしょうか。

 さっぱりどころではなく、娘・泰葉と「絶縁」したともいわれた海老名香葉子のインタビューなど見どころたっぷりの中身、早速見ていきましょう。

<トピックス>
◎海老名香葉子 遠くの娘より、近くの嫁 頼れる相手は血縁だけじゃない
◎緊急読者アンケート 森喜朗さんの発言、私たちはこう受け止めた
◎純烈・酒井一圭のお悩み相談室 脱衣所からこんにちは

「娘より嫁」に見る泰葉の今

 まずは海老名香葉子のインタビュー「遠くの娘より、近くの嫁 頼れる相手は血縁だけじゃない」から。初代林家三平の妻で、二代目三平や泰葉の実母であります。泰葉といえば2017年、香葉子に浴びせられたという暴言を次々とSNSに投稿し、海老名家との「絶縁」を宣言。その真偽は不明ながらも話題となりました。

 今回のタイトルの「遠くの娘より、近くの嫁」という文言が、何かとお騒がせな泰葉を案じている多くの読者の期待を煽ります。

 早速読んでみると、4ページに及ぶロングインタビュー中、泰葉の名前が出てくるのは3回。

「ゆっ子ちゃん(註:長男・正蔵の嫁)は、次女・泰葉の同級生の従妹だったんですよ」
「美どりと泰葉という娘が2人いるけれど、嫁のほうがいい」
「泰葉は療養中ですから、生活をちゃんとしてくれればいい」

のみでした。泰葉が気になる読者としては物足りません。泰葉を“なかったもの”としているようにも感じられるアッサリさです。

 療養中という点についてですが、泰葉は「双極性障害1型」と診断されたと明かしています。19年には清里のペンションで働いて社会復帰(?)し、最近は自撮りにスティーブ・ジョブズやココ・シャネルら、偉人の名言を添えた写真をブログにあげる毎日を送っているのです。近頃は精神的に落ち着いているようで、3月23日付のブログでは、過去のブログを振り返って、「私の症状が、残っていた文章ではっきりとわかりました」「読み返して反省して削除しています」と、自分を客観視できるようになったことを示唆しています。しかし、母を糾弾したブログはまだ残っている状態です。

 確かに泰葉は、香葉子と距離を置いておいたほうがいいと思いますが、一方でお嫁さんの負担の大きさについても考えずにはいられません。香葉子はインタビューで、「(嫁は)私の片腕になってほしい」「娘より嫁のほうがいい」「嫁たちがいなかったらとても生きていかれません」「今後もし寝付いて、お尻の始末をしてもらうようになっても、嫁にだったら頼めます」と話していますが、これらの発言からは、お嫁さんたちの大変な苦労が察せられます。海老名家という特殊な環境で生まれ育っていない「嫁」だからこそ、その苦労になんとか耐えられるのでしょうか。

 特に「お尻の始末」問題は、姑自身の意向だけでなく、嫁の気持ちも聞いてあげてくれ。プロに頼むという選択肢もあるんだから。という気持ちになりました。とりあえず泰葉の寛解を祈ります。

 続いては緊急読者アンケート「森喜朗さんの発言、私たちはこう受け止めた」。今年2月、日本オリンピック委員会の臨時評議員会で、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長(当時)の森喜朗氏が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」などと話して批判され、会長を辞任することになった件について、22歳~83歳の女性115人、男性12人、無記入2人の合計129人にアンケートを取っています。

 「森さんの発言を許せますか?」の問いに67%(87人)が「許せない」、29%(37人)が「許せる」と回答(4%は無回答)。思ったより、許せる派が多い印象です。許せない派には、「首相在任中から女性差別発言を繰り返し、そのたびに腹が立ち、だんだんとあきれるように」「一度目の失言ならば許せるが、いったいもう何度目なのだ」など、森の過去にもあった女性差別・蔑視発言を覚えている方も。一方の許せる派は、「私は女性ですが、日頃から女性はお喋りが長いと感じています」や「あの年代の男性は悪気なく女性を下に見ている」といった意見だったのですが、この「悪気はない」ということが一番の問題である気も……。

 最もクールだったのが22歳女性による「私は正直言って高齢の男性が女性のことをどのように考えているか興味がない」のコメント。確かに学生時代は高齢男性とのかかわりは祖父くらいなのかもしれない、と思いつつ、興味のない彼女がどうやってこのアンケートにたどり着いたのか、そして、回答したのか、非常に興味がわきました。

 最後は人気連載「純烈・酒井一圭のお悩み相談室 脱衣所からこんにちは」。読者層に支持される純烈のリーダー・酒井が、毎号、読者から寄せられた悩みに辛口かつ実践的な回答をするという連載です。

 今回のお悩みは、猫を連れて行く動物病院で「〇〇ちゃん(猫の名前)ママ」と呼ばれると腹が立つ、なぜなら子どもを授かることができず、心に傷を抱えているから、との内容。

 それに対し、酒井は「胸に名札(あなたのだよ!)をつけるのはいかがでしょうか」と具体的にアドバイス。名札を付ける理由についても、「この方法であれば、やんわり優しく『私のことは名前で呼んでくださいね』というメッセージをお伝えできるんじゃないでしょうか」と説明し、「あなたが子どもを授かれなかったことを、当然のことながら獣医さんは知りません。だからといって(中略)直球で言われてしまったら、動揺して、猫の病気を治すという本題を忘れてしまうかもしれない」と続けています。かなりかみ砕いて、誰にでもわかるように回答している印象です。

 結構辛口、だけど納得できるし、わかりやすいし、ちょっと笑える。毒蝮三太夫、綾小路きみまろらが築いてきた伝統を追っているかのようです。

御年70歳の由美かおる、全身タイツ姿に圧倒! 「婦人公論」インタビューに見る“西野”への崇拝

 「婦人公論」3月23日号(中央公論新社)、特集は「疲れない体になるヒント」です。何かと漢方と社交ダンスを持ち出しがちな「婦人公論」ですが、今号は健康がテーマとあって、その2つが大活躍。漢方は「櫻井大典 『食べる漢方』で毎日おいしく養生を」と「新・心とからだの養生学 『なんとなく不調』を解消! 漢方でセルフケア」の2つの記事で取り上げられ、社交ダンスについては、インタビュー記事「槇村さとる 病のトンネルをくぐり抜け、社交ダンスで大逆転」で語られています。漢方と社交ダンスを嗜んでおけば、いかなる困難も乗り越えられそうに思えてきますが、漢方と社交ダンス以外で気になった中身を見ていきましょう。

<トピックス>
◎由美かおる 呼吸法、アコーディオン、母ゆずりの献立で毎日しなやか
◎瀧島未香 90歳、運動を始めるのに遅すぎることはありません
◎鈴木保奈美×三浦しをん アイデアはいっぱい作ってあっさり捨てる

由美かおるが崇拝する「西野」とは

 最初に見ていくのは、御年70歳の女優・由美かおるのインタビュー「呼吸法、アコーディオン、母ゆずりの献立で毎日しなやか」です。ここ30年くらい顔も体形も髪形も変わっていない不思議な存在、由美かおる。本人いわく「15歳からスリーサイズは変わらず」とのこと。その秘訣は、主に「30分ほどの西野流呼吸法」「アコーディオンのレッスン」「バランスのいい食事」の3つだとか。そのおかげで今も「Y字バランス」ができるそうで、ハイネックの全身タイツ(?)に白いベルト(?)という謎の出で立ちの由美が、美しいY字バランスをキメた写真も掲載され、圧倒されます。

 全身タイツももちろん気になるのですが、もっと気になったのは「西野流呼吸法」でした。由美によれば「西野バレエ団の主宰である西野皓三先生が創始されたもの」だそう。あの西野(西野亮廣)は関係なかったことに、ひとまず安心。

 具体的には「“足芯呼吸”という、樹木が根から水を吸い上げるイメージで行う呼吸が基本」で、「実践すると、全身にエネルギーが巡り、細胞が活性化するのを感じますし、代謝が良くなって、食べても太らない身体になる」という魔法のような呼吸法だそうです。

 ますます気になって「西野流呼吸法」を検索してみると、インターネット創生期を彷彿とさせるレトロな公式サイトが出現。西野先生の名言が並ぶ「西野語録」、西野先生の若かりし時代のお写真が拝める「西野アルバム」など、中身は意外と充実しています。

 「著書紹介」のページをクリックすると、西野先生と由美はタッグを組み、1986年発売の書籍『由美かおるのダイナフロービクス』(徳間書店)を皮切りに、2019年の『Y字バランス 奇跡のメソッド』(KADOKAWA)まで、西野呼吸法をテーマとした本を9冊出していることが判明。『由美かおるのダイナフロービクス』『Y字バランス 奇跡のメソッド』の表紙ともに、由美はピンクのタイツ(もしかしてレオタードなのか!?)に白いベルトを巻いた格好でY字バランスを披露しています。30年以上、まったくブレていない由美。「婦人公論」のインタビューも含め、彼女の神秘性に触れられた気がしました。

 次は「瀧島未香 90歳、運動を始めるのに遅すぎることはありません」を見ていきましょう。

 こちらは90歳で日本最高齢フィットネスインストラクター、瀧島未香さんのインタビュー。瀧島さんは65歳で近所のスポーツジムに通い始め、87歳にインストラクターデビュー。現在もオンラインレッスンを開いているそうです。そんな瀧島さんの1日は、朝4時から2時間のウォーキング&ランニングでスタート。午前は家事、午後は1時間の筋トレと1時間ストレッチを行うそうです。なお夜の睡眠時間は4時間で「自然に目が覚めます」「毎朝気分よく起きることができます」とのこと。「健康的な生活」で「毎日楽しくてたまりません」と語っています。超人です。

 由美かおる同様、瀧島さんも凄まじい生命力が写真から伝わってきます。瀧島さんが西野流呼吸法をやり出したら、もう無敵なのではないかと感じました。

鈴木保奈美のトレンディー文体にお墨付き

 最後に見ていくのは、女優・鈴木保奈美と作家・三浦しをんの対談「アイデアはいっぱい作ってあっさり捨てる」。鈴木が同誌で連載していたエッセイをまとめた単行本『獅子座、A型、丙午。』(中央公論新社)の発売を記念した企画です。サイゾーウーマンの女性誌レビューでは、連載スタート時から「80年代を引きずりまくった文体」(17年04月19日配信の記事より)と注目してきたあのトレンディーなエッセイ……ついに書籍化とのことで、おめでとうございます。

 保奈美文体は、売れっ子作家である三浦氏にも好評。「滅多に私、こういうこと言わないのですけど――鈴木さんは小説書くの、向いてると思います」とまで言わせしめています。

 「えっ、えっ、そんなの考えたこともないです。(中略)自分には絶対できないと思ってます」と謙遜する鈴木。そこへさらに「うんにゃ、そんなことねえだ」と被せる三浦氏。「うわあ、どうしましょう」とちょっと乗り気になる鈴木。お決まりの古風なやりとりが、一周回ってほほ笑ましい……。80年代をひきずった文体による80年代を描いた小説、書いてほしいです。