ZARAに心も体も売った!? “その他大勢とは違う私”というプライドを捨てた「GINGER」

 前号では突然モテ路線に変更するも、“モテ”の定義が曖昧で迷走気味だった「GINGER」(幻冬舎)。今月号の表紙は一転、黒とグレーに濃い目ピンクを効かせたクールな印象。何かを悟ったような長谷川潤の表情からは生気が感じられません。以前の、夢見がち要素ゼロの超現実主義へ揺り戻し……? 早速中身をチェックしていきましょう~。

<トピックス>
◎いつだって大人のおしゃれの救世主 私たちにはZARAがある!
◎ネイチャーエレメンツが導き出す 開運ROOMへ改造計画
◎女子に効く、フレーズの裏側

■頼りになるのは男よりも「ZARA」という現実

 これまで数号にわたってチェックしてきた表紙モデルへの巻頭インタビュー「COVER WOMAN」ですが、今回は掲載なし。「GINGER」では、“お疲れ女子代表(3月号参照)”的扱いをされていた長谷川が何を語るのか楽しみにしていただけに残念です。迷走気味の「GINGER」ですから、ロールモデルとなる女性芸能人もネタ切れだったのかもしれません。

 さて、気を取り直してメインファッション企画「いつだって大人のおしゃれの救世主 私たちにはZARAがある!」を見ていきましょう。「とりあえずザラに駆け込めば解決する」「(オフィスも、週末旅行も、キャンプ&BBQも、パーティーも)どんなシーンもザラさえあれば!」など、今さらあの世界的なブランドをごり押しです!!  筆者は、「GINGER」とは、“TPOを意識しつつ他人よりも、ちょっとだけセンスのあるオシャレ”という絶妙に面倒くさいプライドを頑なに守り、適度に流行を取り入れつつも、その他大勢とは被りにくいブランドアイテムを推してきた雑誌と認識していたのですが、ここに来てZARA? その他女性誌たちと横並びのオシャレでよかったの!?

 ページをめくると、まさにZARAに魂売ってしまったのかごとく、「毎日のおしゃれを全方位で支えてくれる、頼もしい存在」「私たちは、ザラをこんなにも愛してたんだってことに気づいてしまったのです!」と鼻息荒いキャッチが飛び込んできます。計44ページの総力特集……どうやら心だけではなく、体(ページ)も売ってしまったようです。

 ところで、よくよく本文を読んでみると、前号でそこかしこに散りばめられた“モテ”というワードは皆無。「職場で女を捨てるな!」と紋切り型のコメントを押し付けてきた男の影も一切見当たりません。やはり定義も曖昧で揺らぎがちな“モテ”という概念にすがるより、コスパ最高でどんな場面でも役に立つZARAの方が、よっぽど頼りになりますもんね! どうやらモテ路線への転向は失敗したようですが、一号で早々に見切りをつけるあたりは潔い。もしかして「GINGER」は自分たちを縛る面倒くさいプライドよりも、実をとった、ということ? むしろ、プライドを捨てたら、残ったものが実だった、というところでしょうか。

 以前から筆者は、「GINGER」は現実主義な雑誌だと言ってきました。それは恋愛企画が皆無で、ファッションについては、個性的だったりハイブランドだったりするわけではなく、実現可能なオシャレを提唱していたからです。しかもそのコーディネートには計算し尽くされた細かいルールが無数に存在しており、読んでいてもまったく気分が上がらない。それは「愛されたいから」「オシャレが好きだから」といった素直な気持ちではなく、「他人に舐められない」ためにするオシャレだから……と感じていました。

 「GINGER」の読者層は都会で働く自立したアラサー女性で、おそらく学生時代には平均以上に勉強ができたでしょうし、仕事も平均以上にできるのでしょう。だからオシャレも、まるで教科書のように文字情報の多い「GINGER」片手に、平均点以上の点数を取るため頑張ってしまう。「GINGER」に“一人旅”や“スピリチュアル”企画がたびたび投入されているのは、そんな真面目で努力家な彼女たちの多くが疲弊しているからと受け取れますし、先月号で唐突に“モテ”や“男”が登場したのも、彼女たちに新たな価値観を与えようとしたからなのではと感じられるのです。しかし、どれもいまいちヒットせず、特に“モテ”特集は、彼女たちを救うどころか、さらに苦しめる結果に終わったように思えます。

 だから、今月号は思い切って、その真面目で努力家が故の面倒くさいプライドを捨ててみた=「誰もが知っているZARAをごり押し」したではないでしょうか。「そんなに頑張らなくていいよ」と、どんな場面でも手を差し伸べてくれるZARAは、まさに「GINGER」女子の救世主だったのかもしれません。

 しかし一方で、何も考えずにZARAを着ていればOKと決めてしまうのは、思考停止状態とも言えます。例えば、「旅行に行くのが趣味だからお金を貯めたい→服の優先順位は自分にとって低いからZARAでOK」といった考え方ならば納得できるものの、そういった“ZARAを着る意味”が誌面から見えて来ないのが気になるのです。「GINGER」の誌面から浮かび上がる女性像は、ある程度のキャリアを持っているものの、自分の言動の根拠に乏しいという一面も垣間見え、それは、将来に対する具体的なイメージがぼんやりしていることにも通じます。「GINGER」を愛読している女子は、バリキャリを目指しているわけでもなさそうだし、かといって恋愛や結婚を志向しているわけでもなく、趣味人というわけでもなさそう。「他人よりも少しばかり抜きん出たい」という唯一のプライドを捨ててしまった今、「GINGER」女子たちは一体何を目指すのか……その自意識の行方が気になるところです。

 今号では、前号では消えていたスピリチュアル企画も復活。「ネイチャーエレメンツが導き出す 開運ROOMへ改造計画」を見ていきましょう。ネイチャーフォーチュンとは、中国の算命学をもとに、ネイチャー(自然)界にあるエレメンツ(要素)で、その人の気質を解いたものだそうで、その人のネイチャーエレメンツに合ったお部屋に大改造しちゃいましょう! そしたら幸せになれるよ! という企画です。まあ、詳しいことはよくわからないけど風水的なものですかね。

 読者や編集部員の実際の部屋の写真を見ながら、人気フォーチュンアドバイザー・イヴルルド遙華先生がアドバイスしてくれるのですが、「外光がたくさん入る窓は運気を高めてくれます」「金運アップは水回りをキレイに」「パソコン、筆記用具など仕事と関係あるもの、よく使うものはキレイに扱って」って、いや、そんなん言われなくても筆者にだってわかるよ。しまいには、ピンクやフリルが盛りだくさんの部屋に住んでいる読者に対して、「甘えん坊の男性に尽くしがち」って、それアドバイスでも何でもないし、イメージで適当に言ってますよね……? 最終的には、自分の居心地がよければ「ごちゃごちゃしていてもいい」、癒やされるために「自分の好きなものを思い出して」と占い要素ゼロの結論に。このアドバイス自体は、お疲れな「GINGER」女子に響くと思いますが、あまりにも雑なまとめです。

 ところで、実は今月の「GINGER」には、ZARAも含めて、ブランドのタイアップ記事が全部で13個もありました。女性誌ですから、タイアップ記事自体は珍しくもなんともないのですが、前号までと比べると、ちょっと多いなという印象。タイトルには、全て露骨にブランド名が入っており、ZARA特集のページ以外は、ただひらすらに単純な商品紹介に徹していました。クリエイティブもへったくれもありません。制作の裏側にどんなエピソードがあったのかは想像の域を脱しませんが、もしかすると編集部も疲弊しきっているのでは……と余計な心配をしてしまいました。
(橘まり子)

四つん這いで、にんじんをくわえる吉岡里帆は「計算じゃない」! 疑問だらけの「ar」モテ指南

 「雌ガール」や「おフェロ」といった新語を生み出してきた20代向けビューティ&ファッション誌「ar」(主婦と生活社)。その「モテよう! 女子力!! 色気出そうぜ!!!」と一切の恥じらいなく発信する世界観は、現在も衰えることなく続行中ですが、5月号のテーマは「可愛くなるチャンスは今! Beauty Addict」。ここ最近のどの号と比べても、大変ざっくりとしたテーマです。さらに誌面のどこを読んでも、なぜ可愛くなるチャンスが今なのか、その根拠は書かれていません。春だからですか? 過ごしやすい時期だからですか? それとも新製品が多く発売される季節なのでしょうか? こういった些細なことにも根拠を求めてしまう女性は、「ar」の世界観とは相容れないように見えますが、実は逆なのではないかと思うのです。なぜなら、一切の論理性を無視したテンションとオシャレっぽい雰囲気に、ただ身を任せることの気持ち良さを感じられるから。そのために、さぁ今月も「ar」を手に取りましょう。

<トピックス>
◎ベビーなエロティック顔がクルーっ(ハート)
◎有村架純、デニムgirlになる
◎モテるよ“ゴルフ女子”

■カタカナ言葉の雰囲気に酔うメイク特集

 ビューティ企画の最初は、メイクアップアーティスト・イガリシノブとモデル・森絵梨佳の“おフェロ”顔ブーム立役者コンビによるページ。今号で提唱される「ベビーなエロティック顔」が、これまでの「おフェロ顔」とどう違うのかは、やっぱりここでもはっきりと示されることはありません。ベビーなエロティック顔とは「最強にソソるオンナ像」であり「ウブでエロスでキュンキュンさせるウワテなベビー顔」だそうですが、この異様なカタカナ多用にどのような効果を持たせたかったのか。そこも、気にせず流しましょう。

 今回のメイク方法は、「自分の主張を押し出さず、キラめきと色に頼り切る」というもの。ベビーのような「ぽや~んとした頼りなさ」を醸し出し、「男子みんなが構いたくなるフレンドリーな愛されオーラ」を発することができるそうです。何度読んでも、ベビーとエロスがイコールでつながりません。ベビーにエロスを感じる男性には普通、犯罪のにおいしか感じないような……?

 しかし、そんなことも考え込んではいけません。思考を停止して「ベビーなエロティック」という、やわらかな文字面の雰囲気だけにときめけばよいのです。そうすると、だんだん気持ちが明るくなってきませんか……? そうは思っていても、1つだけどうしても説明がほしい箇所がありました。水色のネイルが「ベビーなニュアンスを生む」と、特に解説もなく書かれています。なぜ水色ネイルがベビーなのか。編集部に質問状を送りたいまでの衝動にかられます。まったく想像が付かなかったので「水色 ベビー」でネット検索してみたところ、水色のランジェリー(ベビードール)を着たセクシー美女画像がたくさん出てきました。謎は深まるばかりです。

 今号の表紙と巻頭インタビューには有村架純、そして特集には吉岡里帆と、旬な2人の若手女優が登場しています。目次を見てみると「有村架純、デニムgirlになる」「吉岡里帆、うさぎ女子になる」。似すぎています。とっても単純に付けた、転生ものライトノベルのタイトルみたいです。

 まずは有村のインタビューページ、こちらは文字が細い&色が薄すぎて、目を凝らさないと読めません。さらに先へ進んで19ページ、編集部員と有村の対談企画の文字は、1文字が約1.2ミリ幅という超小文字。老眼でなくても、虫眼鏡がほしくなります。有村が「できれば読まないで」と希望している事柄でも語っているのではないかと勘ぐってしまうほどだったので、頑張って全文読んでみましたが、セミヌードになった疑惑の姉・有村藍里について語っているわけでもなく、オンオフの切り替え方や朝ドラの宣伝など通常の内容でした。

 これではっきりしたのは、「ar」にとって大切なのは言葉そのものではなく、文字ヅラ。文字による誌面デザイン。つまり誌面のオシャレさ、雰囲気なのだということでした(しかし有村側はせっかく受けたインタビューをこんなに読みにくい掲載のされ方をして怒らないのだろうか)。

 一方の吉岡は「うさぎ女子」をテーマに、四つん這い体勢で生にんじんを口にくわえたりと、うさぎコスプレを披露しています。メイク特集で赤ちゃんを目指し、こちらではうさぎを目指したり、とにかく「ar」は“男性に守られる女性像”を追い求めているよう。うさぎ女子とは「『こっちは計算してるわけじゃないのに、なんだか惑わしちゃう……』的な、ナチュラルボーン・モテ子」だそうですが、果たして計算ではなく四つん這いで生にんじんをくわえる女性がどこにいるのでしょうか。きっとこの言葉の意味も考えてはいけません。吉岡の可愛らしい写真と、「うさぎ女子」という文字面のほんわかさに酔えば幸せな気持ちになってきますよ。

■やっつけ仕事すぎるゴルフ連載

 見開き2ページの連載物「モテるよ“ゴルフ女子”」8回目の今回は、イケメンゴルファー特集でした。10人の男性ゴルファーを紹介していますが、このページだけやっつけ感が半端ない。ほかのページであれだけおしゃれ感をむんむんさせているのに、レイアウトも写真のチョイスも適当です。イケメンと紹介しておきつつ、お顔がよく見えない写真で掲載されてしまっている方も。お気の毒です。女性を可愛く見せることには全力を注ぐ同誌ですが、男性ゴルファーにはその愛情は注がれない様子。

 言葉の意味も、読みやすさも犠牲にして守られているオシャレな「ar」の誌面。この特集は別の編集プロダクションにでも下請けしているのでしょうか。はたまた連載も8回目を迎え、「ゴルフって別にモテなくない?」などと、編集部側が気づいてしまったのでしょうか。2ページだけが落とし穴のように雑で、現実に引き戻された気持ちになりました。
(島本有紀子)

IKKO、坂井より子、小池栄子……「婦人公論」の片づけ特集に集う「自分が絶対」の猛者たち

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)、特集は「スッキリが続く片づけ術」です。「婦人公論」といえば、“物も夫も姑もご近所もなにもかもを捨てたい”でおなじみですが、今回は「断捨離」の気配は薄め。冒頭では家事評論家で随筆家の吉沢久子氏と「暮らしの手帖」(暮しの手帖社)の前編集長・松浦弥太郎氏が対談していますが、「本当に自分に必要か、見極めて選ぶことが何より大事です」(吉沢)、「道具と友だちみたいな関係になるとほかのモノが欲しくなくなって」(松浦)など、生活の達人たる、高レベルのお話が繰り広げられております。道具と友だち……翼くんか!!

 整理整頓系の話は、気づけば精神論に傾くから危険。「愛着あるモノと暮らす。それなら部屋も散らかりません」というタイトルに、「がんばりすぎない、小さな習慣」というキャッチフレーズ。この真綿でじわじわと首を締め上げてくる感じ……これは常套手段! “くらしていねい族”の常套手段です!

<トピックス>

◎特集 スッキリが続く片づけ術

◎IKKO「女に生まれなかった私は 部屋も自分も キレイを保ちたい」 

◎シャーロット・ケイト・フォックス「日本で迎えた最大の試練、今はただ前を向いて」

■モノってそんなに簡単に買っちゃいけないんだっけ?

 今回の特集は片づけの実用的なページが半分、ていねい族のじわじわインタビューが半分といったところでしょうか。タイトルだけでモソモソしちゃう、IKKOの「女に生まれなかった私は 部屋も自分も キレイを保ちたい」と、料理研究家・坂井より子氏の「葉山で三世代同居をする料理家の毎日は」は、IKKOのきらびやかなリビングと、すっきりシンプル系の酒井氏の自宅は真逆なようでその実根は同じだとわかる、非常に興味深いインタビューとなっています。

 「女に生まれたいと思いながら、そう生まれなかった。だから本当の女性以上に努力しないと、女性に近づけない。油断すると、男が出てくる瞬間があるのです。それをまぬがれるには、自分自身が美しくあろうとするのはもちろん、身の回りの環境もつねに美しく整えておくことが何よりも大切なの」というのがIKKO哲学。「ストーリーを感じる」絵画やアンティーク家具や調度品を取りそろえ、玄関には「季節の花を華道家の先生に生けていただいております」とのこと。「新しく何かを取り入れるときは、10年、20年先まで愛せるか、私が作り上げてきた世界に合うかどうかを基準にして選んでいます」と、今時名家の嫁選びに勤しむ姑でも言わないような厳しいコメント。

 一方の坂井氏は、「ご覧の通り、家の中は古いものばかりでしょ。私、なかなかものを買いません。『買う』ということは『好きなものを買う』ということですから(中略)そのかわり、これぞというものに出合ったら、たとえ高価でも、夫にも相談せずに買ってしまう(笑)。居間の箪笥も25年前に出合ってしまったものです」と、出だしから真綿で首……どころか鈍器のようなもので後頭部を殴られたような衝撃。「家の中も、家事も、日々の暮らしも、いかに自分が気持ちよくいられるかを考えてリズムを作っていくと、おのずと自分や家族にとって居心地のいい形になっていくのではないでしょうか」と語ります。

 「美しさ」を求めてもがき、がんばった証しとしての「家」を作り上げたIKKO。そんな世俗的な「欲」を手放し、山と海に囲まれた環境でシンプルな暮らしを続ける酒井氏。しかし両者共通してあるのは自らの審美眼への絶対的な自信。出し方としてはIKKOのほうがだいぶ素直ですがね。スッキリ片づけ術への道は、なかなか小手先ではうまくいかなそうです。

 さて、続きましては人生をスッキリ片づけた方と、あえて片づけない方、2人の女優の登場。今号の表紙を飾ってる小池栄子の「夫婦の関係が変わってきた」と、朝ドラ『マッサン』(NHK総合)でおなじみ、シャーロット・ケイト・フォックスの「日本で迎えた最大の試練、今はただ前を向いて」です。離婚危機を何度もささやかれながら、それでも別れない小池と、アメリカで働く夫と昨年離婚が成立したシャーロット。どちらも「婦人公論」が大好きな、夫婦の話題が中心となったインタビューです。

 縁もゆかりもなかった日本で、朝ドラヒロインを射止めたシャーロット。「来日以来、高くそびえる壁をよじ登るような試練の連続でした。言い換えれば、それはたくさんの新しい挑戦をし、さまざまな経験を積むことができたということ」。言葉、生活習慣、さまざまな高い壁の中でも「至るまでの葛藤も苦しかったし、離婚後のダメージも大きく、本当に心が壊れてしまいそうでした」と、離婚は相当精神的に重かったそう。

「私にとって離婚は、一種の『死』のようなもの。誰よりも大切に思っていた人を失うのですから、その悲しみと苦しみはたとえようもありませんでした」

「当時の私はまさに、スティグマを背負った気がしました。みんなから『離婚するなんてシャーロットが悪い』『シャーロットはダメな人間だ』と思われているのでは、という強迫観念に襲われてしまった」

 完全な偏見ですが、アメリカの方々はもっとドライに結婚や離婚を捉えているイメージがあったので、少しビックリ。「離婚」の感覚一つをとっても、もしかしたら彼女は日本とウマが合っていたのかもしれません。

 さて、一方の小池。昨年の大みそかに「RIZIN」(総合格闘技トーナメント)で引退した夫の坂田亘。冒頭でその経緯について、「RIZINを統括なさっている高田延彦さんとお会いした際、『坂田にケジメをつけさせてください』とお願いしました」「リング上で晒されるのは彼が人として試されるということだと思ったし、何かを引きずった状態のまま、中途半端に生きてもらいたくはなかった」「案の定、ボコボコにされ、流血試合に。かわいそうというよりは『一発一発の重みを受け取って』という思いのほうが強かったですね」と、もはや格闘家の妻というよりは極妻。覚悟しぃや……。

 夫に「ケジメ」つけさせたことで夫婦の関係も変わってきたようで、「数年前『婦人公論』に出させていただいたときは、『昭和タイプの男の人なので』とお話しし、どちらかというと私が尽くすほうでしたが、ちょっと逆になりつつあるというか(笑)」。

 ていねい族が片づけ術で「買うって、好きなものを買うということ」と我々を締め上げるように、ふがいない夫に「別れない」という最大で最強の絞め技をカマしている小池。どちらにせよ、「私が絶対」という強い確信、強い自信をもった人間だけが出せる一撃必殺の術です。

(西澤千央)

IKKO、坂井より子、小池栄子……「婦人公論」の片づけ特集に集う「自分が絶対」の猛者たち

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)、特集は「スッキリが続く片づけ術」です。「婦人公論」といえば、“物も夫も姑もご近所もなにもかもを捨てたい”でおなじみですが、今回は「断捨離」の気配は薄め。冒頭では家事評論家で随筆家の吉沢久子氏と「暮らしの手帖」(暮しの手帖社)の前編集長・松浦弥太郎氏が対談していますが、「本当に自分に必要か、見極めて選ぶことが何より大事です」(吉沢)、「道具と友だちみたいな関係になるとほかのモノが欲しくなくなって」(松浦)など、生活の達人たる、高レベルのお話が繰り広げられております。道具と友だち……翼くんか!!

 整理整頓系の話は、気づけば精神論に傾くから危険。「愛着あるモノと暮らす。それなら部屋も散らかりません」というタイトルに、「がんばりすぎない、小さな習慣」というキャッチフレーズ。この真綿でじわじわと首を締め上げてくる感じ……これは常套手段! “くらしていねい族”の常套手段です!

<トピックス>

◎特集 スッキリが続く片づけ術

◎IKKO「女に生まれなかった私は 部屋も自分も キレイを保ちたい」 

◎シャーロット・ケイト・フォックス「日本で迎えた最大の試練、今はただ前を向いて」

■モノってそんなに簡単に買っちゃいけないんだっけ?

 今回の特集は片づけの実用的なページが半分、ていねい族のじわじわインタビューが半分といったところでしょうか。タイトルだけでモソモソしちゃう、IKKOの「女に生まれなかった私は 部屋も自分も キレイを保ちたい」と、料理研究家・坂井より子氏の「葉山で三世代同居をする料理家の毎日は」は、IKKOのきらびやかなリビングと、すっきりシンプル系の酒井氏の自宅は真逆なようでその実根は同じだとわかる、非常に興味深いインタビューとなっています。

 「女に生まれたいと思いながら、そう生まれなかった。だから本当の女性以上に努力しないと、女性に近づけない。油断すると、男が出てくる瞬間があるのです。それをまぬがれるには、自分自身が美しくあろうとするのはもちろん、身の回りの環境もつねに美しく整えておくことが何よりも大切なの」というのがIKKO哲学。「ストーリーを感じる」絵画やアンティーク家具や調度品を取りそろえ、玄関には「季節の花を華道家の先生に生けていただいております」とのこと。「新しく何かを取り入れるときは、10年、20年先まで愛せるか、私が作り上げてきた世界に合うかどうかを基準にして選んでいます」と、今時名家の嫁選びに勤しむ姑でも言わないような厳しいコメント。

 一方の坂井氏は、「ご覧の通り、家の中は古いものばかりでしょ。私、なかなかものを買いません。『買う』ということは『好きなものを買う』ということですから(中略)そのかわり、これぞというものに出合ったら、たとえ高価でも、夫にも相談せずに買ってしまう(笑)。居間の箪笥も25年前に出合ってしまったものです」と、出だしから真綿で首……どころか鈍器のようなもので後頭部を殴られたような衝撃。「家の中も、家事も、日々の暮らしも、いかに自分が気持ちよくいられるかを考えてリズムを作っていくと、おのずと自分や家族にとって居心地のいい形になっていくのではないでしょうか」と語ります。

 「美しさ」を求めてもがき、がんばった証しとしての「家」を作り上げたIKKO。そんな世俗的な「欲」を手放し、山と海に囲まれた環境でシンプルな暮らしを続ける酒井氏。しかし両者共通してあるのは自らの審美眼への絶対的な自信。出し方としてはIKKOのほうがだいぶ素直ですがね。スッキリ片づけ術への道は、なかなか小手先ではうまくいかなそうです。

 さて、続きましては人生をスッキリ片づけた方と、あえて片づけない方、2人の女優の登場。今号の表紙を飾ってる小池栄子の「夫婦の関係が変わってきた」と、朝ドラ『マッサン』(NHK総合)でおなじみ、シャーロット・ケイト・フォックスの「日本で迎えた最大の試練、今はただ前を向いて」です。離婚危機を何度もささやかれながら、それでも別れない小池と、アメリカで働く夫と昨年離婚が成立したシャーロット。どちらも「婦人公論」が大好きな、夫婦の話題が中心となったインタビューです。

 縁もゆかりもなかった日本で、朝ドラヒロインを射止めたシャーロット。「来日以来、高くそびえる壁をよじ登るような試練の連続でした。言い換えれば、それはたくさんの新しい挑戦をし、さまざまな経験を積むことができたということ」。言葉、生活習慣、さまざまな高い壁の中でも「至るまでの葛藤も苦しかったし、離婚後のダメージも大きく、本当に心が壊れてしまいそうでした」と、離婚は相当精神的に重かったそう。

「私にとって離婚は、一種の『死』のようなもの。誰よりも大切に思っていた人を失うのですから、その悲しみと苦しみはたとえようもありませんでした」

「当時の私はまさに、スティグマを背負った気がしました。みんなから『離婚するなんてシャーロットが悪い』『シャーロットはダメな人間だ』と思われているのでは、という強迫観念に襲われてしまった」

 完全な偏見ですが、アメリカの方々はもっとドライに結婚や離婚を捉えているイメージがあったので、少しビックリ。「離婚」の感覚一つをとっても、もしかしたら彼女は日本とウマが合っていたのかもしれません。

 さて、一方の小池。昨年の大みそかに「RIZIN」(総合格闘技トーナメント)で引退した夫の坂田亘。冒頭でその経緯について、「RIZINを統括なさっている高田延彦さんとお会いした際、『坂田にケジメをつけさせてください』とお願いしました」「リング上で晒されるのは彼が人として試されるということだと思ったし、何かを引きずった状態のまま、中途半端に生きてもらいたくはなかった」「案の定、ボコボコにされ、流血試合に。かわいそうというよりは『一発一発の重みを受け取って』という思いのほうが強かったですね」と、もはや格闘家の妻というよりは極妻。覚悟しぃや……。

 夫に「ケジメ」つけさせたことで夫婦の関係も変わってきたようで、「数年前『婦人公論』に出させていただいたときは、『昭和タイプの男の人なので』とお話しし、どちらかというと私が尽くすほうでしたが、ちょっと逆になりつつあるというか(笑)」。

 ていねい族が片づけ術で「買うって、好きなものを買うということ」と我々を締め上げるように、ふがいない夫に「別れない」という最大で最強の絞め技をカマしている小池。どちらにせよ、「私が絶対」という強い確信、強い自信をもった人間だけが出せる一撃必殺の術です。

(西澤千央)

誰も悪くないのに「ダメ母」の烙印が苦しくなる、「nina’s」のがんばりすぎママ企画

 今号の「nina’s」(祥伝社)、特集を見る前にまずは2人のママタレインタビューから。今年3月に第二子を出産した後藤真希は、「(長女のムラ食いに悩んで)『子ども ご飯 食べない』って検索したり(笑)」と、日々の育児の悩みをサラリと披露。一方、木下優樹菜は1歳になる次女を伴い親子ファッショントークを中心に、姉妹子育ての難しさについて語っています。自然派育児やクリエィティブ育児をうっとりと語るママタレが多い中、この2人の気負ってない感はなかなかのもの。それがまさか今号の清涼剤となろうとは……。

<トピックス>

◎連載nina’s PEOPLE 後藤真希

◎親子コーデ☆グランプリ

◎私たちの子育てドラマ

■「nina’s」は村上春樹作品並みに固有名詞の支配力が強め

 さて、今号の特集は人気企画街角スナップの拡大版「親子コーデ☆グランプリ」です。キャッチに「定番コーデ、コスパ服、おでかけルック、ハンドメイド 全国のオシャレ親子の着こなしテクをキャッチ」とありますように、全国津々浦々のキメキメ親子をこれでもかとばかりに捕獲しています。

 見どころは「おでかけルック」部門と「ハンドメイド」部門。「おでかけルック」では、「そのコーデで行きたいおでかけ先」まで調査する優秀なページ。「お誕生日パーティー」や「アンパンマンミュージアム」あたりはまだしも、「京都の大山崎山荘美術館」「(香川県の古い倉庫を活用した複合商業施設)北浜アリーのカフェ」「鎌倉のカフェめぐり」「東京都庭園美術館」「(長野県松本市にあるレトロなビル)ラボラトリオでお買い物」「代々木公園のフェス」と、オシャレママの自意識が大暴発してます。

 そして親子コーデの真骨頂である「ハンドメイド」部門。リバティプリントで作ったサロペット、台湾で購入したお醤油柄(?)の布で作ったおそろいスカート、はたまた「プティマインのものにフリンジを作り、ヘアゴムのパーツをつけました」というリメイクものまで百花繚乱。「実家の母に習いながら作ってます」「息子のボトムはばあばの手作り。私のバッグも母が作ってくれました。私も作家さんのものの服を着るのが好きで、このワンピースもヒトハリママさんのもの」と、ハンドメイド魂は一子相伝の秘技であることもしっかり伝えています。

 「番外編」として「キッズ」「マタニティ」「三世代」「パパと一緒」コーナーと盛りだくさんすぎて、他人様のお宅でお出かけビデオを延々と見せられているような、軽い胸やけに襲われます。人は「幸せとはなにか」を探し求める生き物ですが、「nina’s」においては「家族の幸せとはオシャレをして『nina’s』に写真を撮られることである」という明確な解を打ち出しており、オシャレ人生に一片の迷いなしと思った次第です。

 本レビューでも繰り返し申し上げていますが、「nina’s」はオシャレという名のもとに生活の辛苦や生臭さをなかったことにする雑誌。今までもセックスレス問題や共働き家事分担問題を取り上げてはきたものの、なんとなく最終的にはマリメッコの生地でふわ~っと包み込み、「お前が我慢しろ、お母さんが笑顔ならみんなハッピー」みたいな着地点に落ち着いてきたわけです。

 そして今号には「私たちの子育てドラマ」というページが。リードには「ニナーズ読者のほとんどが『これで本当にいいのかな』と日々悩み、模索しながら進めているであろう子育て。何が正解なのか、答えがないだけに難しさもひとしお。今回は3足以上のわらじを履くパワフルママや、子だくさんママなど“先輩ママ”にご登場いただき、どんな育児を実践しているのか、また経験してきたのかを伺いました!」とあります。

 モデルでアパレルブランド経営のシングルマザー・仁香、産後セルフケアインストラクター、オリンピック選手の母で幼児教室講師(シングルマザー)、料理研究家のシングルマザー、そして「筆談ホステス」で話題となった東京都北区議会議員の斉藤りえもシングルと、5人中4人が離婚経験者。それぞれが子育てで最も大切にしていること、苦労したこと、うれしかったこと、工夫していることなどをプライベートフォトを交えて紹介しています。

 シングルということは、もちろん仕事をしながら子育てをしなければならないわけで、「まさに分刻みのスケジュールをこなしていました。車を運転しながら、頭の中がグルグル回って、今自分が何をしているのかわからくなるなんてこともありました」「二人を育てるには元ダンナの3倍の収入が欲しかったんです。そのためには人の3倍働かなきゃいけないし、3倍辛いこともあると思いましたが、それでしかるべき」と、みなさん猛烈に多忙な日々を過ごしてきたそう。

 その上で「お仕事はもちろん大切なんですが、子どもの一瞬一瞬も二度と返ってこないので、忙しくても子どもをできるだけ最優先にした仕事をするようにしています」「絶対手作りのものを食べさせたかったので、作り置きをして手作りにこだわりました」「幼い頃から、よいことと悪いことをしっかり教えていました。『ダメなものはダメ』とガマンを教えることをやって育ててきたので、3人ともグズったり、わがままを言うことはありませんでした。今まで、子育てが大変と思ったことはなかった」と、子育てもきっちりとこなす。う~ん、パワフル。

 それなのにひとりのママなんて「こんなTHEダメ母ですが」と言っているんですよ。一緒にご飯が食べられないならせめて手作りのおかずを……とがんばってる母親が「ダメ母」なはずがない。だけど仕事だろうがなんだろうが子どものそばにいられない母は「ダメ母」であると、自分自身を縛り上げている。なんだか暗澹たる気持ちになりました。

 「これでいいのかと日々悩み、模索しているニナーズ読者」に、この5人のパワフルママたちの子育てはどのように映るのでしょうか。どうか「世の中にはこんなにがんばっている人もいるのに、子どもと二人きりの時間が苦しいとか私はなんてダメ母なんだろう」などと考えないで……。「ダメ母」のハードルが上がって幸せになる人は誰もいません。というわけで、「母」という主語のデカさをあらためて痛感したこの企画。人生いろいろ、お母さんいろいろ、です。

(西澤千央)

「Domani」、“手抜きレシピ”企画を制圧! 高島彩の「忙しくてもちゃんと料理」宣言

 「Domani」(小学館)のコンセプトは、「35歳からの働くいい女」。誌面でも「35歳」はさまざまな企画で使われています。着回しページでは、蛯原友里さん演じる女が「総合商社の経営企画部署勤務の35歳」で、「35歳、この春グルーンとイエローで生き生きする」というページもありますよ。

 先月号から始まった連載「美容刑事」に出てくる明日美(どまみ)も35歳。そして、終わってしまった連載「『美療の森』の歩き方」のしらゆきちゃんも35歳。しらゆきちゃんは、ふくらはぎを細くするために20万円使ってボトックスを30本打ったり、背中ニキビを治すために太めの針で穴をあけて圧をかけて中身を出したり、お財布も体も「美」のために体当たりしていたのですが、明日美ときたら……! 先月号は「サラダ」調査、今月号は「爪に優しい系のネイル」調査ですって。お茶を濁しすぎよー!

 そんな明日美、マニキュア、ジェル、リムーバーの恐ろしさを、「アセトンは自動車の塗装を剥がすときにも使うもの」や「マニキュアに“シックハウス症候群”で有名なホルムアルデヒド!?」と、さんざん煽っておきながら、「爪に優しいネイルは(中略)限られたブランドしかないので、自分で探さなければならない」と、読者へ丸投げ。2種の安全性が高いアイテムが紹介されていますが、100%オーガニックマニキュアには、「現在5色しかないこと、乾燥に時間がかかることは承知しておきたい」とのこと。……明日美、いい加減バカ言うのはやめなっ!

<トピックス>
◎働く35歳は「優しい顔」メークしかしてはいけない!
◎平日は“考えない晩ごはん”
◎「共働き夫婦のお金」どうしてる?

■読者の平均年収に誤りあり?
 既婚の「Domani」読者300名に行ったアンケート企画、「『共働き夫婦のお金』どうしてる?」を見てみましょう。「夫婦の収入や支出、貯金額から具体的エピソードまでを幅広く調査した」とだけあり、なかなか詳細な結果が導かれていましたよ~。

なんでも、読者の4分の1の夫婦は家計を完全に別にしていて、使い道や貯金額もそれぞれ把握していないケースが多数。しかし、夫は小遣い制で家計は「妻が管理する世帯」も全体の3割強あるとのことで、「夫婦のあり方の変化と共に、お財布の考え方もまた、過渡期であることがわかった」と締めています。確かに、夫婦のあり方だけじゃなく、シングルの生き方だっていろいろ変化してきてるので、財布事情もさまざまですな。とはいえ、子どもがいる共働き夫婦は「家計を一緒に運営」する意識が強く、お金のルールも各夫婦で定められているそうです。

 と、真面目なところはここまでにして、下世話目線で、顔出し・名前出しで登場している8組の夫婦の金回りを見ていきますよ! まずビックリしたのは年収7,000万円の男性がいたこと。しかも、「夫の支出:180万円」。この金額のほとんどが家賃で、「会社まで徒歩圏内、2LDKの部屋というこだわりを叶えるため」だそう。そういえば、「Domani」には、「VERY」(光文社)のお家拝見連載「日曜日の風景」みたいなライフスタイルページがないですね。こちらのお宅を覗いてみてはどうでしょう!?

 で、肝心の「お財布事情」といえば……ん? 「妻」「母」の年収が低いような……。8人の女性の年収を平均すると、大体400万円弱? たしか2月号の「リアル白書」では「平均年収548万円」でしたよね。この企画の対象外である未婚の「女」が平均値を押しあげているのか、無作為の8組がたまたま低かっただけ? おそらく前者でしょう。ついでに、男性の年収も見ていきましょう! 7,000万円という数字を除くと、ほかの方は、580万円、620万円、680万円、620万円、1,700万円、1,000万円、500万円という感じ。1,000万円オーバーは3名で、残り5名は500~600万円台。まさに、「Domani」女子の年収とぴったり!

 しかし、ここで疑問浮上です。夫婦の年収1,000万円前後で、「Domani」的生活ができるのか……? だって、「アクセ買うなら『チョーカー』と『バングル』」ページの見開きにあるチョーカーなんて、22万5,000円! 「女」の年収548万円には買うことができても、「妻」や「母」の年収400万円には難しくないですかね? 巻頭の「女 妻 母 働くいい女の『木曜13時』」に出てくるような「働くいい女」ばかりじゃないのか、読者は?

 このアンケートで気になった点がもう1つ。年収が高い男性の配偶者は、同じく稼ぎが良いことが多いようです。年収7,000万円の方の配偶者は700万円、1,000万円の配偶者は850万円……! 今回のアンケートの、女性年収1位&2位です。とはいえ、1,700万円の方の配偶者は100万円だったので、比例するとは言い切れないですけどね。ひょっとして、お金も人も、同じようなところに集まるもの? ならば、「Domani」年収の平均値を上げてる「女」たちのために、稼げる男の生息分布図をいっちょお願いしたいところです! 

 相変わらず毒にも薬にもならないことのみを書いている、高島彩さんの隔月連載「しごと日和、こそだて日和」。1ページが素敵なお写真、そして横の1ページがまるまる原稿ですが、中身を要約すると、家族が多忙になる春に、新しい仕事を始めていいのか迷ったけどやることにしました、以上! 合間にちょいちょい、ネットの掲示板に書かれてそうな“子育てあるある”(子どもに声をかけられると仕事を中断されたようでイラっとする)を挟みこみ、「(仕事をやりたい気持ちが)春を待つ虫たちのように蠢きだしていた」とか「全身の毛穴でライブ感とドキドキ感を味わいながら(番組を作りたい)」など、癖のある表現で己を出すのが、高島さんの持ち味ですね。

 高島さんは、「忙しさを理由に料理に手を抜かない」「ご飯はちゃんとつくる」と決めたと宣言していますが、そんな崇高な精神と真逆をいく企画がありましよ。「毎日忙しく仕事するワーキングウーマンたち」に向けた「平日は“考えない晩ごはん”」! モデルからDomaniサポーター、インスタグラマー、Domani編集長など26人が、自身の「手抜きレシピ」を紹介しています。食材1~3品くらいで作れたり、コンビニのおにぎりやサラダチキンを利用したものなど、正直申しますと見た目に華はないですが、実用的で簡単手間いらず。

高島さん的には、これら晩ごはんはきっとNGラインなのでは? 一体、どんな顔してこのページを見ているのか、そもそも「Domani」を読んだことがあるのか、そこから気になります。そうですね、次の連載では高島家の手を抜かない晩ごはんを披露してもらいたいです!
(白熊春)

 

「Domani」、“手抜きレシピ”企画を制圧! 高島彩の「忙しくてもちゃんと料理」宣言

 「Domani」(小学館)のコンセプトは、「35歳からの働くいい女」。誌面でも「35歳」はさまざまな企画で使われています。着回しページでは、蛯原友里さん演じる女が「総合商社の経営企画部署勤務の35歳」で、「35歳、この春グルーンとイエローで生き生きする」というページもありますよ。

 先月号から始まった連載「美容刑事」に出てくる明日美(どまみ)も35歳。そして、終わってしまった連載「『美療の森』の歩き方」のしらゆきちゃんも35歳。しらゆきちゃんは、ふくらはぎを細くするために20万円使ってボトックスを30本打ったり、背中ニキビを治すために太めの針で穴をあけて圧をかけて中身を出したり、お財布も体も「美」のために体当たりしていたのですが、明日美ときたら……! 先月号は「サラダ」調査、今月号は「爪に優しい系のネイル」調査ですって。お茶を濁しすぎよー!

 そんな明日美、マニキュア、ジェル、リムーバーの恐ろしさを、「アセトンは自動車の塗装を剥がすときにも使うもの」や「マニキュアに“シックハウス症候群”で有名なホルムアルデヒド!?」と、さんざん煽っておきながら、「爪に優しいネイルは(中略)限られたブランドしかないので、自分で探さなければならない」と、読者へ丸投げ。2種の安全性が高いアイテムが紹介されていますが、100%オーガニックマニキュアには、「現在5色しかないこと、乾燥に時間がかかることは承知しておきたい」とのこと。……明日美、いい加減バカ言うのはやめなっ!

<トピックス>
◎働く35歳は「優しい顔」メークしかしてはいけない!
◎平日は“考えない晩ごはん”
◎「共働き夫婦のお金」どうしてる?

■読者の平均年収に誤りあり?
 既婚の「Domani」読者300名に行ったアンケート企画、「『共働き夫婦のお金』どうしてる?」を見てみましょう。「夫婦の収入や支出、貯金額から具体的エピソードまでを幅広く調査した」とだけあり、なかなか詳細な結果が導かれていましたよ~。

なんでも、読者の4分の1の夫婦は家計を完全に別にしていて、使い道や貯金額もそれぞれ把握していないケースが多数。しかし、夫は小遣い制で家計は「妻が管理する世帯」も全体の3割強あるとのことで、「夫婦のあり方の変化と共に、お財布の考え方もまた、過渡期であることがわかった」と締めています。確かに、夫婦のあり方だけじゃなく、シングルの生き方だっていろいろ変化してきてるので、財布事情もさまざまですな。とはいえ、子どもがいる共働き夫婦は「家計を一緒に運営」する意識が強く、お金のルールも各夫婦で定められているそうです。

 と、真面目なところはここまでにして、下世話目線で、顔出し・名前出しで登場している8組の夫婦の金回りを見ていきますよ! まずビックリしたのは年収7,000万円の男性がいたこと。しかも、「夫の支出:180万円」。この金額のほとんどが家賃で、「会社まで徒歩圏内、2LDKの部屋というこだわりを叶えるため」だそう。そういえば、「Domani」には、「VERY」(光文社)のお家拝見連載「日曜日の風景」みたいなライフスタイルページがないですね。こちらのお宅を覗いてみてはどうでしょう!?

 で、肝心の「お財布事情」といえば……ん? 「妻」「母」の年収が低いような……。8人の女性の年収を平均すると、大体400万円弱? たしか2月号の「リアル白書」では「平均年収548万円」でしたよね。この企画の対象外である未婚の「女」が平均値を押しあげているのか、無作為の8組がたまたま低かっただけ? おそらく前者でしょう。ついでに、男性の年収も見ていきましょう! 7,000万円という数字を除くと、ほかの方は、580万円、620万円、680万円、620万円、1,700万円、1,000万円、500万円という感じ。1,000万円オーバーは3名で、残り5名は500~600万円台。まさに、「Domani」女子の年収とぴったり!

 しかし、ここで疑問浮上です。夫婦の年収1,000万円前後で、「Domani」的生活ができるのか……? だって、「アクセ買うなら『チョーカー』と『バングル』」ページの見開きにあるチョーカーなんて、22万5,000円! 「女」の年収548万円には買うことができても、「妻」や「母」の年収400万円には難しくないですかね? 巻頭の「女 妻 母 働くいい女の『木曜13時』」に出てくるような「働くいい女」ばかりじゃないのか、読者は?

 このアンケートで気になった点がもう1つ。年収が高い男性の配偶者は、同じく稼ぎが良いことが多いようです。年収7,000万円の方の配偶者は700万円、1,000万円の配偶者は850万円……! 今回のアンケートの、女性年収1位&2位です。とはいえ、1,700万円の方の配偶者は100万円だったので、比例するとは言い切れないですけどね。ひょっとして、お金も人も、同じようなところに集まるもの? ならば、「Domani」年収の平均値を上げてる「女」たちのために、稼げる男の生息分布図をいっちょお願いしたいところです! 

 相変わらず毒にも薬にもならないことのみを書いている、高島彩さんの隔月連載「しごと日和、こそだて日和」。1ページが素敵なお写真、そして横の1ページがまるまる原稿ですが、中身を要約すると、家族が多忙になる春に、新しい仕事を始めていいのか迷ったけどやることにしました、以上! 合間にちょいちょい、ネットの掲示板に書かれてそうな“子育てあるある”(子どもに声をかけられると仕事を中断されたようでイラっとする)を挟みこみ、「(仕事をやりたい気持ちが)春を待つ虫たちのように蠢きだしていた」とか「全身の毛穴でライブ感とドキドキ感を味わいながら(番組を作りたい)」など、癖のある表現で己を出すのが、高島さんの持ち味ですね。

 高島さんは、「忙しさを理由に料理に手を抜かない」「ご飯はちゃんとつくる」と決めたと宣言していますが、そんな崇高な精神と真逆をいく企画がありましよ。「毎日忙しく仕事するワーキングウーマンたち」に向けた「平日は“考えない晩ごはん”」! モデルからDomaniサポーター、インスタグラマー、Domani編集長など26人が、自身の「手抜きレシピ」を紹介しています。食材1~3品くらいで作れたり、コンビニのおにぎりやサラダチキンを利用したものなど、正直申しますと見た目に華はないですが、実用的で簡単手間いらず。

高島さん的には、これら晩ごはんはきっとNGラインなのでは? 一体、どんな顔してこのページを見ているのか、そもそも「Domani」を読んだことがあるのか、そこから気になります。そうですね、次の連載では高島家の手を抜かない晩ごはんを披露してもらいたいです!
(白熊春)

 

「婦人公論」で始まった鈴木保奈美のエッセー、80年代引きずりまくりの文体の時代錯誤感

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)、表紙は木村拓哉です。口の左端を微妙に上げた不敵スマイルで、キムタク健在をアピール。インタビューは主に映画『無限の住人』の宣伝ですが、「昨年の1月は身辺にいろいろあった時期だったので、目の前にこの作品があったことで、個人的にすごく助けられました。(中略)この時期、起きた出来事に対して、自分が口を開くべきなのかどうか、言葉を発したら、気持ちはちゃんと届くのか。いろいろな思いが心の中にありました。そういう抱え込んだものを、撮影を通して放出できたんです」と、誰もが聞きたい解散ネタを作品への意気込みにスルっと変換。まぁ商売上手。

 ひとつ気になったのはインタビュー後半の「映画なら映画、ドラマならドラマ、何かひとつの仕事にフォーカスを合わせ続けられるようになったことは、すごく新鮮ですね。前は、5チャンネルくらいありましたから」。たまたま出てきたのかもしれない5チャンネルの「5」という数字が頭の中をグルグルしてしまうのですよ。

<トピック>

◎木村拓哉 無駄も、試行錯誤も
◎藤原紀香「結婚生活も仕事も、新たな世界を知る喜びに溢れて」
◎新連載 鈴木保奈美「獅子座、A型、丙牛。」

■インタビューの自作自演まで疑わせる女こそ紀香

 今号の特集は「明日が充実する生き方のヒント」。前号が「かっこよく年を重ねたい」でしたから、ここ何号か現実問題や実用性を排除したざっくり漠然特集が続いています。こういった特集は、なかなかキモが掴みにくい一方で、タレントたちがざっくり漠然としたことをうっとり語るインタビューの宝庫でもあります。

 というわけで、本特集の必読は「藤原紀香 結婚生活も仕事も、新たな世界を知る喜びに溢れて」です。キャッチコピーは「片岡愛之助さんとの出会いに感謝を」。紀香のこれでもかという幸せアピールがモノクロページから匂い立っています。

 世間では「梨園の妻アピールがウザイ」「自分ばかり目立ち過ぎ」など悪評も多い紀香ですが、実際はそんなことはないようですよ。「『この世界に身を置かなかったら、私は知っているようで知らないことを、人生で勉強しないままだったのかもしれない』と思うことが日々あるのです」「周りの方もよく言ってくださいますが、彼は人間的に素晴らしい人です。友人の頃から見ていても、スタッフさんや周りの方々の立場に立ってものを考える人で、弱者にとても優しい」。ほら、謙虚! 旦那ファースト!

 「結婚してからというもの、睡眠はなかなか取りにくくなりました。これまでの自分の生活プラス、パートナーである主人のサポートをするようになり、やることが2倍ですから」と、ほぼ寝ずに夫の世話をしていると語る紀香。夫の健康に気を配り「ご飯は釜で炊いて和食を作る」「栄養士の友人や実家の母などから、ヘルシー料理を教えてもらったり」、また「私がいると冷蔵庫すら開けません」という夫のために「彼の座るテーブルのすぐ見えるところに常温のお水をいつも置いています」「手の届く範囲に、必要なものを全部置いてあるのです。必需品用の整理箱をオーダーして作りました」と、なにからなにまでメーターが振り切れる女、紀香。

 しかし面白いのはここからで「え? ずぼら? そうは思いません。だって、楽屋で歌舞伎役者の仕事の内容や、大変さを見ているでしょう。(中略)家でぐらいはのんびりと根を生やしてもらえれば、と」。おそらくインタビュアーは、「ずぼらですね~」とは言ってないと思います。紀香の脳内ストーリーテラーがそう言ってるのでしょう。「私は本来、三枚目な性格で、周りの友人たちは、テレビのイメージとは全然違うよね、といつも笑っていますね」「デビューしてからずっと、そのギャップの中で生きてきた感じがします」と話す紀香ですが、声を大にして言いたい。もう大抵の人はわかってる。たぶんギャップがあると思っているのは……ご本人だけっす。

■声に出して読みたい鈴木保奈美文体

 今号から新しい連載がいくつかスタートしました。女優・鈴木保奈美の「獅子座、A型、丙牛。」、前号で桃井かおりとカッコイイ女対談したキャスティングディレクター・奈良橋陽子の「ビューティフル・ネーム」、そして清水ミチコがゲストを招く鼎談スタイルの「清水ミチコの三人寄れば無礼講」の3本。

 鈴木が今年51歳、清水57歳。本格的にバブル世代が「婦人公論」に食い込んでいるということなのでしょう。トレンディの波にもまれてきた世代が、老後や年金不安、自立しない子どもに頭を悩ませ始めているのか……と感慨深いものがあります。しかしそんな感慨を一気に吹き飛ばしてくれたのが、鈴木の一人語りエッセー。女優のエッセーなんて……と高を括らず、ぜひぜひお読みいただきたい逸品です。

 初回のタイトルは「奇跡のギャップ萌え」。サンローランのタキシードスーツに12センチのヒール、髪をくしゃくしゃにセットし「クールでアンニュイないい女」として、とある映画の舞台挨拶へ臨んだときのこと。休憩中に「3年前の誕生日に娘が買ってくれたピンクのハート柄の水筒」で白湯を飲んでいたら、30歳くらいのイケメン俳優に「ギャップ萌えっす!」と言われたという、他愛もないお話でございます。しかし鈴木の80年代を引きずりまくった文体が、他愛もないお話に最高のスパイスを加えているのです。

「そんなことおくびにも出しませぬ。アンニュイな大人ですからね」

「どうやら彼は私のイデタチから、ワイルドで男前な孤高のアーティスト、みたいな人物像を想像しているのではあるまいか」

「はて、ギャップモエ? モエって?」

「いえね、あたくし普段お仕事用にはシンプルなシルバーのボトルを携帯しているのですよ」

「若者よ、君のひと言でお姉さんのホルモン値は確実に刺激されたよ」

 この不必要なまでのカタカナ表記、誰に語りかけているのかよくわからない口語体、これぞ80年代カルチャー、いや“軽チャー”。まさか鈴木のコラムから、あの時代の無責任感を追体験する日がくるとは。清水の鼎談の初回ゲストとして登場するYOUの「ぶっちゃけた私」なんて、鈴木のトレンディ力に比べたら風前の灯ですわ。

 長く続く雑誌は、上手に世代交代ができているもの。老後や終活話はまだまだ現実味がない世代を少しずつこちらの世界に引き込む、謎のカタカナが散りばめられた鈴木保奈美の連載がバブル世代の撒き餌のように思えてくるのです。

(西澤千央)

「CLASSY.」の「パリっぽい」特集第二弾、前回に増して雰囲気とアイテムだけのスカスカな中身に

 今月号の「CLASSY.」(光文社)、特集は「この春も気分は『パリっぽい』!」です。リードによりますと「大好評だった昨年12月号の特集『「パリっぽい」が今っぽい!』から引き続いての第二弾です」。マジですか。てっきり“グッバイこなれ”したものの、これといった次の一手が思い浮かばないゆえに、「とりあえずパリ出しとけ」なんだと思ってました。

 12月号では「パリっぽい」「今っぽい」の「ぽい」が、なんとも「CLASSY.」という雑誌を体現していると実感していましたが、第二弾もやっぱり「ぽい」推し。しかも12月号ではまだうっすらとあったパリ的な“思想”は皆無、「かごバッグひとつで簡単パリジェンヌ!」「骨格別・あなたに似合うパリっぽい服」というページが並ぶように、「アイテムと雰囲気だけでパリっぽさをガンガン出していこうぜ」という「CLASSY.」らしい心意気が光る特集となっています。

<トピックス>

◎特集 この春も気分は「パリっぽい」!
◎誰からも好かれるのは「機嫌がよさそうな顔」
◎「幸せそう」はふんわりヘアから生まれる!

■世界観を疑わない方が幸せなのかも……

 この特集の“ぽさ”を最も体現しているのが、「休日はぺたんこ靴をはいておいしいパン屋さんへ」。リードには「カジュアルなのに女らしいパリジェンヌは、リラックスしたい週末服のいいお手本。そして力の抜けたオシャレを楽しみながら、お散歩がてら美味しいパンを買いに行けたらもっと幸せ」とあります……。パリジェンヌ→バレエシューズ→ブーランジェリー。このベタすぎる思考の連鎖を、平成も30年近く経過した世の中でやる。真正面からやる。それが「CLASSY.」なのです。

 パリジェンヌ風コーデを着こなしたモデルが、実際に話題の美味しいパン屋さんへ。もはや「CLASSY.」というより「OZ magazine」(スターツ出版)の世界です。でも一方で、ためらいもなくバレエシューズにボーダーにハンチングを被って、ブーランジェリーのテラス席に座って、カフェオレとクロワッサンを満喫できる――そういう人こそ真の勝ち組なのではないかと思うのもまた事実。

 疑わず、その世界にどっぷり浸かる。その精神がないと読み進められないのが、「CLASSY.」の着回し企画です。今回もぶっ飛んでます。「『もしもパリジェンヌが東京を旅したら…』4月の着回しDiary」は「パリジェンヌ」と言い張る完全な日本人モデルが、パリで撮影してくれた男性カメラマンを忘れられずに東京にやってくる……というストーリー。

 最初に申し上げてしまいますと、最終日にカメラマンと出会います。ちょっとパリジェンヌ、東京の人口をご存じですか。1,360万人ですよ! 無計画にもほどがあるぞ! しかも「今どき東京な写真を撮って帰ろうと足を延ばしたスクランブル交差点。あそこで私を見ているのは…」と、まさかの渋谷のスクランブル交差点で奇跡の再会を果たすのです。ドラマ『世界で一番君が好き!』(フジテレビ系)か!! 浅野温子と三上博史がスクランブル交差点でキスするあれか!!

 パリは女を狂わせると言いますが、「パリという名のもとであれば女性誌はどんな暴挙も可能にする」という真理に気づかされただけで、毎度のことながら着回しコーデは一切頭に入ってきませんでした。

 続いてはビューティーページ「誰からも好かれるのは『機嫌がよさそうな顔』」です。「CLASSY.」名物の“タイトルだけで嫌な予感”企画。「男性にとって女心は分からないもの。心が読めないうえに不機嫌そうだったりすると、面倒な人に見えてしまうかも」とリード。さらにまたまた「CLASSY.」名物“謎の専門家”が登場。今回は「スマイルマスター」たる女性が、「そのメーク『なんだか機嫌が悪そう…』と思われているかも?」という、バッドケース2例を解説。

 ケース1は会社でのメイク。「ボサボサ眉に血色感ゼロの顔は『忙しくて不機嫌な人』!」「仕事のとき不平や不満を常に抱えているように見えたり、お手入れしてない感じがあると『なんだか怖い人』と思われてしまうかも」だそうです。やかましいわ。

 ケース2は、(おそらく結婚式の)二次会。「濃すぎるアイメーク&赤リップは『プライド高そう…』!」「華やかにしたつもりでも、強すぎるメークだとマイナスの印象に。自己主張の強い人と思われて、出会いを逃す可能性大」。さすがスマイルマスター、赤リップに対して小鹿のようにブルブル震える男性諸氏の心情を見事にキャッチアップしていますね。

 それに対し「機嫌がよく見えるメーク」とは、「綺麗に整えられた優しげな太眉」「キツすぎない目元」「血色感のある頬」「プルプルで血色がいい唇」。パーツをパッキリさせず、全体的にぽわ~んとさせるのが正解の様子。「ar」(主婦と生活社)の「おフェロ顔」と対して変わらない気もしますがね。

 しかし言いたいのはそこではありません。このページ、キャッチフレーズには「いくら美人でも怖そうだったら魅力半減」とあります。美しい人と書いて美人、最高じゃないですか。しかしここで述べられているのは“美人だからってお高く留まってんじゃねぇぞ。機嫌良さそうにしないと認めてやらないからな”という強い圧力。美人でコレなのですから、女に向けられる「ニコニコ笑え」という社会からの脅迫の凄まじさたるや……。そしてこれも「パリ」じゃなくて「パリっぽい」と同じ、「機嫌がいい」ではなく「機嫌がよさそうに見える」というのがポイントです。

 軽い絶望感を覚えながら次のページをめくると今度は「『幸せそう』はふんわりヘアから生まれる!」。またガワか! ガワさえよければ中身はいいのか! と無駄に叫んでしまいましたが、よくよく考えてみたらこれ、女性ファッション誌=実際幸せであることよりも、幸せそうに見えることの方が重要な世界、なのでした。ちなみに「CLASSY.」の「幸せそう」ヘアページ、実際は単なる薄毛対策企画なので、興味ある方はぜひ。

(西澤千央)

「LARME」は「世界観から情報量」重視へ? 普通のファッション誌に見え始めた理由

 「LARME」(徳間書店)に男性編集長が就任してから、早3号目になります。新体制後すぐの号では男ウケを意識した際どいランジェリー姿をバンバン載せたかと思いきや、次号では驚くべきほどの貞操っぷりを見せるなど、イマイチ方向性が定まり切っていない感じのある最近の「LARME」。また前号では、誌面アンケートの結果を重視し、ティーンズ向けのトレンド服やコスメを多く取り上げるなど、大衆読者に迎合し始めたと推測できるような内容が見られたのも印象的でした。さてさて今号は一体どうなっているのでしょうか!? さっそくチェックしていきたいと思います!

<トピック>
◎One‐piece meets girl
◎Girly Spring Book
◎かわいい女の子でいるための美バイブル

■形骸的でちぐはぐさを感じる「新・ガーリー」

 一言でいうと、情報量がかなり多く、充実の内容でした。春らしいワンピースの特集や、「ピンク&オレンジ」メイクのハウツー、美顔器やボディケアなどの美容記事などが並びます。筆者も思わず、「ふむふむ!」と読みふけってしまいました。ただし、どれも「甘くて、かわいい(はぁと) 女の子のファッション絵本。」を謳ってきた「LARME」のイデオロギーのようなものがまったく感じられないのが残念です。それゆえツッコミどころも少なく、あまり面白味がありません。

 筆者が気になったのは、とにかく「ハート」が頻出すること。ワンピース特集中盤の、ある見開きページを例に挙げます。

<合わせる小物によってガールにもレディにも変身できるよ(ハート)>
<今季はフレッシュでジューシーなカラーが目白押し(ハート)>
<甘さと色っぽさを兼ね備えたザ・レディフォルム(ハート)>
<個性派さんは柄と異素材で人と差を出して(ハート)>
<華奢でセクシーなラメワンピにキュン(ハート)>
<Tシャツワンピで甘カジュアルに(ハート)>
<おすすめは淡いサックスブルー(ハート)>
……

 2ページから一部抜粋しただけでもコレだけ「ハート」を乱用しており、読んでいくうちに少し腹が立ってきて、暇なときに全部数えてやりたいと思ったほど。編集部には、「ガーリーなんだから、ハートつけとけばいいだろ」的な甘えがあるに違いないのでは……。こんな具合で、新体制「LARME」からは、どこか形骸的でちぐはぐなガーリーを感じてしまうのです。

 読者に共感されるかどうかは別にして、従来の「LARME」には独特のガーリーな世界観があり、それがビジュアルやコピー、モデルたちの表情などの節々ににじみ出るような雑誌だったように思います。新しい「LARME」は、世界観よりも情報を重視するという意味において、「ファッション絵本」というよりはただの「ファッション誌」になりつつあるのかもしれません。これも時代の流れでしょうか。

■キャンメイク&セザンヌ、ガーリーワールドより脱落か

 また紹介されている服やコスメなどを見ると、ターゲットの年齢層は、前号よりは上がった気がします。特にコスメは、前号で頻出したキャンメイクやセザンヌなどのプチプラコスメは面白いくらいに登場してこず、RMKやラデュレなどのデパコスが目立ちます。前号のアンケートで、プチプラコスメは不評だったのでしょうか?

 紹介しているコーディネートも、前号のような「量産型」感がうすれ、少しばかり以前の「LARME」っぽいガーリーさに近づいたかもしれません。また奇抜な下着姿のモデルを砂浜で撮影するという、服飾専門学校の卒業制作にありそうな前衛的な企画も掲載されていました。

 真っ白なへそ出しビスチェに、真っ白なハイウエストのパンツとハイソックスを合わせ、シースルーのガウンをワンピースのように羽織って砂浜で戯れる、スパイラルパーマのモデルの姿を見たときの衝撃たるや……。しかも、モデルの顔は写り込んだ日光で隠れており、誰だか判別できません。

 これまでの「LARME」では、多少奇抜なコーデや企画はあっても、どこかガーリーの要素を残していたものでした。だからこそ今回のように、“ガーリーとは別のなにか”をなりふり構わず追い求めているように見える企画は、とても新鮮に映ります。前号で守りに入ってしまったことへの反動のように思え、雑誌の軸がブレていることを際立たせてしまった印象です。

■見ているとひやひやするモデル対談

 「LARME」の一大人気モデルである菅野結以さんの露出ががくんと減ってきたことは、前号のレビューでも触れました。その代わり編集部からのプッシュを感じるモデルの1人は、黒瀧まりあさんだと筆者は考えます。お人形のような顔立ちの黒瀧さんは、前編集長のお気に入りで、前号でもソロ表紙に抜擢されているほか、今号でも、人気モデルの吉木千沙都さん(ちぃぽぽ)と組んで特集されており、結構な活躍を見せています。

 ただし黒瀧さんは、これまでの「LARME」のインタビューで何度も主張してきたように、小さなことにすぐ落ち込んでしまったり、人に「ノー」を言えなかったりと、あまり自分に自信が持てないことに悩んでいるそう。それゆえでしょうか、ほかのモデルと良い関係を築けていないように思えます。

 モデル・西もなかの連載「もなかの人間関係」での対談では、西さんが謎めいた黒瀧さんにガンガン切り込む様子がうかがえます。「近づきにくいオーラがあって……」「長い付き合いなのにどういう人かわからなくて(笑)」「まりあちゃんは誘いづらい空気がただよってる!」とズバズバ。最後は、「まりあちゃんの謎めいた部分を全然聞き出せず、不完全燃焼感があって悔しい(笑)」と締めていました。

 キラキラオーラを身に纏い、全身から自信があふれている(ように見える)モデルが多い世の中で、めちゃくちゃ可愛いのに、「自信のなさ」を前面に押し出している黒瀧さんはレアな存在だと感じます。だからこそ、本人が望むのであれば「LARME」でもっと活躍してほしいですし、方向性を見失っているように見える「LARME」の新基軸になるのでは? 編集部も「北国でほっこり育った甘えん坊(はぁと)」などとの深読みすると辛らつなキャッチコピーをつけず、もう少し優しく接してほしい……と、勝手に親心のようなものを抱く筆者なのでありました。次号以降も、彼女のことを見守っていこうと思います。
(小麦こねる)