老後問題とセックスが絶妙に絡み合う「婦人公論」は中高年の“パンドラの箱”

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)は、「老後の安心を手に入れる」です。リードには「『人生100年』などと言われるようになり、不安がふくらんでしまう現代。年金や介護など本当に必要なものを知れば、心細さは薄れていくはずです。女性たちの体験談や新情報にふれて、未来の自分をイメージしはじめてみませんか」とあります。読者の声として紹介されていた「私の将来、ココが不安です」には「生活費」「認知症」「定年夫」「親の介護」など「婦人公論」定番ネタがズラリ。でもちょっと待って……。これらのトピックスに関して「婦人公論」が読者の不安解消に作用したことあったかな……どちらかといえば不安倍増の方向に盛り上がる気がするんですが。

<トピックス>
◎特集 老後の安心を手に入れる
◎人生に必要な性と愛
◎「被害者らしく」していては何も変わらないと思ったから

■知性もカネも図々しさもある女たち

 とはいえ、「老後不安」は、「婦人公論」では何度もこすられてきた特集です。「あなたの年金生活をシミュレーション」「認知症やがんを予防して『健康で長生き』を目指すには」のような実生活向け企画もあれば、北斗晶×佐々木健介の“夫婦仲良ければだいたい大丈夫”的対談があったり、「最期まで自分の意志で。『尊厳死』という選択」のような真面目なルポも。その中で今回拝見しますのは「親ですもの、子どもに迷惑かけたっていいじゃない?」。こちら、エッセイストの桐島洋子と社会学者・上野千鶴子の対談ですが、名前だけで圧がすごい。

 以前から、ちょいちょい「婦人公論」で「私は子どもに面倒みてもらいます」宣言をしていた桐島。「なるべく子どもの世話にはなりたくない」という高齢者が増える中、この桐島の発言はショッキングに取り上げられていました。対談は、この桐島の老後論をフェミニズムの親玉である上野がアカデミズムに補完するというスタイルで進んでいきます。

 桐島のこの持論を、上野は「私はとても腑に落ちて、納得したんです。子どもを産み育てるために、女性はものすごいエネルギーと時間を投資しているわけでしょう。老後にちょっとくらいお世話になってもいいじゃないか、と」と賛同。

桐島「他人様に迷惑をかけたり、お国の世話になったりするよりは、身内とりわけ子どもがまず責任を受容してほしいですね」
上野「ところが最近の高齢者は、『子どもの世話にはなりたくない』『迷惑をかけたくない』とおっしゃる」
桐島「どんな親であり子であったにしろ、親子の縁をいやおうなしに結んでしまったのだから。老後、子どもにほどほどの迷惑をかけてもいいと思います」

 と、まぁおっしゃることはわかりますけど、そうやって女性が子育て・家事・介護の役割に追い詰められていくのに対するアンチテーゼが「フェミニズム」ではなかったのか……。しかしよくよく読むと上野先生、介護の核心部分では、自分の意見は述べずに華麗にインタビュアーに擬態するんですよね。その辺りの巧さはさすがといえます。

 今の「婦人公論」読者層は、「子どもは年老いた親の面倒をみるのは当たり前」という前世代と「親の介護で人生狂わされるなんてまっぴら」という後世代のちょうど谷間にいて、多くの人が「自分は親の介護をするけど自分が子どもに要求できない」というジレンマの中で生きているのではないでしょうか。「子どもに迷惑かけたっていいじゃない」は、そんな悶々とした中高年たちの“開き直りの呪文”なのかもしれません。

 さて、老後の安心に続きましては、これも高齢化社会の1つのテーマではないでしょうか。巻末特集「人生に必要な性と愛」。お久しぶりのセックスネタです。「誰かに寄せる想い、肌を交えることでしか得られぬ温もり、そして快感。そんなものとはしばらくご無沙汰……という女性も多いものですが、生きることと直結するあの感覚、思い出してみませんか」とはリードの弁。はて、生きることと直結するあの感覚とは……。

 画家で女優の蜷川由紀が、恋人である作家の猪瀬直樹についてアツく語る「猪瀬直樹さんは、私を導いてくれるウェルギリウス」、みんな大好き読者体験手記「あの“快感”が私を変えた」、「アブノーマルな世界にはまる妻たち」ルポも読み応えあります。夫との性交は3回のみ、悩んだ末にネットの世界に性愛を求めた真面目な主婦、絶倫夫との義務としてのセックスに疲れ、指圧師のテクに溺れた女性、「ゼンタイ(全身タイツ)」で、セックスとはまったく違う快感をおぼえる妻、クンニのプロから開発されたり、禁断のNTR(寝取られ)プレイにハマったり……。

 一通り読みますと、いかに「夫婦」という形式が、「人生に必要な性と愛」と相性が悪いのかを思い知らされます。だいたいが夫婦での淡泊なセックス、もしくはセックスレスから始まってるんですもん。「性愛」の対象を法的に1人と定めた結果のしわ寄せがこの特集には溢れているといいましょうか。こちら、読者体験手記から抜粋すると、

「そうだ、私の身体はおかしくなっていたのではない。倦怠期だからではない。何かを見失い、忘れていたのだ」
「彼の手が肌に触れると私の全身はシャンパンの泡のように弾けていく。感じるたびに、私は岩のような塊ではなく、花も実もつける豊饒な大地になれるのだと信じることができた」

など、夫以外とのセックスは「傍目には幸福な母親」を性の表現者に変えるよう……。泡になったり大地になったりの大騒ぎです。これがいいことなのか悪いことなのかはわからない、そもそも「婦人公論」はそういうジャッジはしない媒体ですからね。

 そんなことを考えながら、特集最後のページ、高齢者の坂爪真吾による性についてのエッセー「『死ぬまでセックス』の呪縛にどう向き合うか」を読んでいたらこんな一文が。「認知症を発症する前は、敬虔なクリスチャンであり、夫は公的機関で重職を担っていました。長女も福祉施設の施設長であり、次女と孫は学校の教師をしている」という87歳の女性が、「認知症になってからは人前で『おっぱい!』『まんこ!』といった性的な言葉を連発するようになった」「笑いながら人前で『おっぱい!』と叫んで胸を露出する」とのこと……。抑圧されていた何かが、認知症をきっかけに、それこそシャンパンの泡のように弾けてしまったのか。性の帳尻合わせの恐ろしさにちょっぴりゾッとした次第です。

 「老後の面倒をみてと子どもには言えない」も「女が性的な発言をすべきでない」も、根っこは同じなのかもしれません。本音よりも、社会における自分の見え方を優先した生き方。ジェンダーという檻の中である意味安全な生活を送るのか、本音というパンドラの箱を開けてしまうのか。中高年女性は選択を迫られているのではないでしょうか。
(西澤千央)

老後問題とセックスが絶妙に絡み合う「婦人公論」は中高年の“パンドラの箱”

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)は、「老後の安心を手に入れる」です。リードには「『人生100年』などと言われるようになり、不安がふくらんでしまう現代。年金や介護など本当に必要なものを知れば、心細さは薄れていくはずです。女性たちの体験談や新情報にふれて、未来の自分をイメージしはじめてみませんか」とあります。読者の声として紹介されていた「私の将来、ココが不安です」には「生活費」「認知症」「定年夫」「親の介護」など「婦人公論」定番ネタがズラリ。でもちょっと待って……。これらのトピックスに関して「婦人公論」が読者の不安解消に作用したことあったかな……どちらかといえば不安倍増の方向に盛り上がる気がするんですが。

<トピックス>
◎特集 老後の安心を手に入れる
◎人生に必要な性と愛
◎「被害者らしく」していては何も変わらないと思ったから

■知性もカネも図々しさもある女たち

 とはいえ、「老後不安」は、「婦人公論」では何度もこすられてきた特集です。「あなたの年金生活をシミュレーション」「認知症やがんを予防して『健康で長生き』を目指すには」のような実生活向け企画もあれば、北斗晶×佐々木健介の“夫婦仲良ければだいたい大丈夫”的対談があったり、「最期まで自分の意志で。『尊厳死』という選択」のような真面目なルポも。その中で今回拝見しますのは「親ですもの、子どもに迷惑かけたっていいじゃない?」。こちら、エッセイストの桐島洋子と社会学者・上野千鶴子の対談ですが、名前だけで圧がすごい。

 以前から、ちょいちょい「婦人公論」で「私は子どもに面倒みてもらいます」宣言をしていた桐島。「なるべく子どもの世話にはなりたくない」という高齢者が増える中、この桐島の発言はショッキングに取り上げられていました。対談は、この桐島の老後論をフェミニズムの親玉である上野がアカデミズムに補完するというスタイルで進んでいきます。

 桐島のこの持論を、上野は「私はとても腑に落ちて、納得したんです。子どもを産み育てるために、女性はものすごいエネルギーと時間を投資しているわけでしょう。老後にちょっとくらいお世話になってもいいじゃないか、と」と賛同。

桐島「他人様に迷惑をかけたり、お国の世話になったりするよりは、身内とりわけ子どもがまず責任を受容してほしいですね」
上野「ところが最近の高齢者は、『子どもの世話にはなりたくない』『迷惑をかけたくない』とおっしゃる」
桐島「どんな親であり子であったにしろ、親子の縁をいやおうなしに結んでしまったのだから。老後、子どもにほどほどの迷惑をかけてもいいと思います」

 と、まぁおっしゃることはわかりますけど、そうやって女性が子育て・家事・介護の役割に追い詰められていくのに対するアンチテーゼが「フェミニズム」ではなかったのか……。しかしよくよく読むと上野先生、介護の核心部分では、自分の意見は述べずに華麗にインタビュアーに擬態するんですよね。その辺りの巧さはさすがといえます。

 今の「婦人公論」読者層は、「子どもは年老いた親の面倒をみるのは当たり前」という前世代と「親の介護で人生狂わされるなんてまっぴら」という後世代のちょうど谷間にいて、多くの人が「自分は親の介護をするけど自分が子どもに要求できない」というジレンマの中で生きているのではないでしょうか。「子どもに迷惑かけたっていいじゃない」は、そんな悶々とした中高年たちの“開き直りの呪文”なのかもしれません。

 さて、老後の安心に続きましては、これも高齢化社会の1つのテーマではないでしょうか。巻末特集「人生に必要な性と愛」。お久しぶりのセックスネタです。「誰かに寄せる想い、肌を交えることでしか得られぬ温もり、そして快感。そんなものとはしばらくご無沙汰……という女性も多いものですが、生きることと直結するあの感覚、思い出してみませんか」とはリードの弁。はて、生きることと直結するあの感覚とは……。

 画家で女優の蜷川由紀が、恋人である作家の猪瀬直樹についてアツく語る「猪瀬直樹さんは、私を導いてくれるウェルギリウス」、みんな大好き読者体験手記「あの“快感”が私を変えた」、「アブノーマルな世界にはまる妻たち」ルポも読み応えあります。夫との性交は3回のみ、悩んだ末にネットの世界に性愛を求めた真面目な主婦、絶倫夫との義務としてのセックスに疲れ、指圧師のテクに溺れた女性、「ゼンタイ(全身タイツ)」で、セックスとはまったく違う快感をおぼえる妻、クンニのプロから開発されたり、禁断のNTR(寝取られ)プレイにハマったり……。

 一通り読みますと、いかに「夫婦」という形式が、「人生に必要な性と愛」と相性が悪いのかを思い知らされます。だいたいが夫婦での淡泊なセックス、もしくはセックスレスから始まってるんですもん。「性愛」の対象を法的に1人と定めた結果のしわ寄せがこの特集には溢れているといいましょうか。こちら、読者体験手記から抜粋すると、

「そうだ、私の身体はおかしくなっていたのではない。倦怠期だからではない。何かを見失い、忘れていたのだ」
「彼の手が肌に触れると私の全身はシャンパンの泡のように弾けていく。感じるたびに、私は岩のような塊ではなく、花も実もつける豊饒な大地になれるのだと信じることができた」

など、夫以外とのセックスは「傍目には幸福な母親」を性の表現者に変えるよう……。泡になったり大地になったりの大騒ぎです。これがいいことなのか悪いことなのかはわからない、そもそも「婦人公論」はそういうジャッジはしない媒体ですからね。

 そんなことを考えながら、特集最後のページ、高齢者の坂爪真吾による性についてのエッセー「『死ぬまでセックス』の呪縛にどう向き合うか」を読んでいたらこんな一文が。「認知症を発症する前は、敬虔なクリスチャンであり、夫は公的機関で重職を担っていました。長女も福祉施設の施設長であり、次女と孫は学校の教師をしている」という87歳の女性が、「認知症になってからは人前で『おっぱい!』『まんこ!』といった性的な言葉を連発するようになった」「笑いながら人前で『おっぱい!』と叫んで胸を露出する」とのこと……。抑圧されていた何かが、認知症をきっかけに、それこそシャンパンの泡のように弾けてしまったのか。性の帳尻合わせの恐ろしさにちょっぴりゾッとした次第です。

 「老後の面倒をみてと子どもには言えない」も「女が性的な発言をすべきでない」も、根っこは同じなのかもしれません。本音よりも、社会における自分の見え方を優先した生き方。ジェンダーという檻の中である意味安全な生活を送るのか、本音というパンドラの箱を開けてしまうのか。中高年女性は選択を迫られているのではないでしょうか。
(西澤千央)

結婚&男へのファンタジーを失った「Domani」、“ごほうび買い”という名の金の亡者に

domani-17-07

 前号の巻末、編集長が「Domani読者の皆さんへ」コーナーで、「たまに『掲載商品が高すぎる』と苦情を言われる(すみません)こともあるドマーニ編集部、次号は本気で『安さと大人のおしゃれ』に取り組みます!安けりゃいいってもんでもない。でも安くていいものはたくさんある。機能性を確認するため、洗えるとうたっている服を実際に洗ってみる、という『暮しの手○』的なことにもトライします」と宣言していたので、攻めた記事が読めるのだろうと楽しみにしていた今号。

 が、ふたを開けてみると、プリプラは、おなじみのUNIQLOや無印良品やPLSTなどなど。知ってるからそれ! 期待の「『安くていい服』が見つかる発掘ブランド、発表!」では、「パンツ¥8,900」や「カラースカート¥9,900」など、“Domani財布”的には安い服が。でもそれ、安いって言わないから!! 読者アンケートに太文字で「掲載商品が高すぎる」と書いて投函しようかしら……いい加減、目を覚まして!

 「“洗える服”を洗ってみました!」を見ると、洗ってみたのは1回限りでブランドプレスからの“売り込み”コメント付き。「暮しの手○」的にやるのなら、メーカー協力なんて言語道断、500回くらい洗濯してほしいものです! 1回だけの洗濯だって、「花王」家事研究スペシャリストがきちんと指南していて、そこまで洗濯を気にかけて、1回でヨレヨレになったら、そのブランド炎上しますから~。手洗い表示でも「時短」のために洗濯機洗いしてみた結果、どうだった? ってところが知りたいんですよ~。

<トピックス>
◎大人の夏は「安くていいもの」しか欲しくない!
◎“洗える服”を洗ってみました!
◎「ごほうび買い」オールスターズ★

■買い物は、確実に自分を幸せにするしね!
 「夏ボーナスで手に入れたい!」と息巻く「『ごほうび買い』オールスターズ★」に加え、今月号は、「シミ、シワ、たるみ…35歳からの『肌落ち』にこれ一本!」という、大金ちらつかせ企画がお目見え。「Domani」、日本の経済を回すために今日も必死です。

 「『ごほうび買い』オールスターズ★」は予算は30万円コースからスタートです。トップを飾るのは、セリーヌのバッグ「トリフォルド」35万5,000円也。商品紹介を読むと、「手にするだけで自信が湧いて、おしゃれも仕事も楽しくなる、働く女性のインフルエンサーバッグ」とのことで、「手にするだけで自信が湧いて」くるとは、まるで宗教のお誘い文句! 「お題目を唱えるだけで幸せになれる」的なこと? インフルエンサーバッグの意味は不明ながら、自信が勝手に湧きあがるうえ仕事が楽しくなるというのなら、35万円、買いなのか!?

 しかし、ちょっと待って。「2017年夏Domani読者のボーナス最新事情」によると、ボーナスの使い道は1位旅行、2位貯金・投資、3位洋服、4位スキルアップ、5位バック・靴とあるのに、バックに靴、アクセサリーをこれでもかと推してくるとは。確かに、暑い時にストーブを売ってこそ、できる営業マンの証拠。だけど、読者に今これを買わせる必要ってあるのか!? 

 「先輩おしゃれプロに聞く!ごほうびに“何買う?”“いつ買う?”を徹底トーク!」でも、30代になると“ボーナス買い”意識は薄くなる、なんて書かれてますし。ますます「ごほうび買い」企画の立つ瀬なし。先にあった、「読者のボーナス最新事情」の2位貯金・投資を意識してか、「時計・ダイヤ・パールは今すぐ買っておくべき」という先輩の意見にも、若干こじつけを感じます。この3つは、「今から未来に向かって、価格が上がっていく場合が多い。今がいちばん安いってことだから、投資するなら早いほうがいいですよ」とのことで、強引にアクセと投資をつなげてきましたよ!

 昨年の7月号では「年下彼氏ファンタジーを盛り上げて… 男子目線をくらませる デートの日だって『やせ見え』コーデ術」なんていう、夢とピチピチ男子にあふれた企画があったのに、今月号は、「安くていいもの」に始まり「ごほうび買い」まで、金と買い物の話ばかり。どうした、ファンタジーは! 夢見る心は金に負けてしまったのか!? 

■婚活、もうやめたの?
 この年になると確かに気になります。「35歳からの『パーティー服』、新ルール」。でも、よく考えるとパーティーなんて行ったこともなけりゃ、行く予定もない……「結婚式の二次会」でもいいのかしら!? いやいや、近頃、婚活指南に目覚めた「Domani」なら、パーティーといえば「婚活パーティー」か?

 と思ったら、「結婚式の二次会」と「ビジネスレセプション」という2シーンをパーティに設定していました。ワンピースとセットアップの2コーディネート別で、とても普通にオシャレにまとまっていました。なんだ……てっきり、婚活パーティーで出会っちゃって、友達の結婚パーティーに彼と出席して、「次は、わたしたちの結婚パーティー」な~んてストーリーが展開されるのかと思ってましたが、ファンタジー皆無! せいぜい、「余裕のある女らしさを狙って!」というキャッチを「いい男を狙って!」と脳内で読み替える程度です。

 そうです。きっと婚活パーティーでパートナーは見つけないんです。「Domani」なキラキラ女は。先月号みたく、「親友から男友達を紹介される」なんていう“頑張りすぎない”出会いがきっと待っているんですよね。うん、君たちかっこつけすぎでしょう!

 最後は、巻末にある編集長の言葉で締めましょう。「突然ですが、おしゃれな男の人が苦手です。正確にいうと『おしゃれすぎる男性』『自分がおしゃれだという自覚がある男性』といるとどうも落ち着かない」です。おっと、これって自分たちのことよね? 「自分がおしゃれしてると自覚している」からこそ、「頑張りすぎない」コーディネートをして隠しているのよね、「自覚」を。でも、かっこつけてるのバレてますよ!
(白熊春)

 

非日常感を味わえる? 「CLASSY.」が30代女性にススメる“叱られ”の意味

 7月号の「CLASSY.」(光文社)は、「この夏、デニムを買えるといいことが起きる!」です。「CLASSY.」では定番のデニム特集、リードでも「まさかとは思いますが、『お気に入りの一本をもう3年はいてる』『最後にデニムを買ったのは、いつだったか思い出せない…』なんて人はいないですよね? もしいるなら、今すぐ買い替えに走って!」と煽ります。「デートが楽しくなる!」「キレイめがこなれる!」「トレンド上手になる!」などの「いいことポイント」の中でひときわめを引くのが「“いいね!”が増える!」。いわゆる「インスタ映えする」というやつです。「CLASSY.」にもやって来ているのか、“モテ”より“映え”の時代が……。

<トピックス>
◎特集 この夏、デニムを買えるといいことが起きる!
◎30代女子はもっと叱られたい!
◎結婚前提に元カレと復縁ってアリですか?

■愛おしそうな表情の田口に注目

 というわけで、心配しながら今月号を読み進めましたが、こんな企画を見つけたので、それはまったくの杞憂だったようです。「デニムでデート 妄想劇場」。こちらキャッチには「大ヒット作品の名場面を完全再現」とあります。「デニムを嫌いな男はいません!」「デニムのヘルシーな雰囲気が好き」などとのたまう「CLASSY.」名物、そこそこ稼いでそうな男性陣たちによるアンケート。そこから「『こんなデニム女子とデートしたい!』モテ確実の3大人気コーデ」を抽出し、究極のデニムモテコーデで、「大ヒット作品の名場面を完全再現」したデートを展開するという、なかなかに奇怪な……いや手の込んだ企画です。しかもデート相手は元KAT‐TUNの田口淳之介ですよ。キャスティング意図からして、ますます迷宮に入り込みそう。

 「揺れるスカートに適度な肌見せがいい女っぽい!」デニムスカートコーデ、「パッと見ですぐわかるトレンド感がおしゃれっぽい!」ワイドボトムにGジャンコーデ、「ベーシック×清潔感のあるカラーがさわやか」というブルー×ブルーコーデ、と男子に人気の3大コーデが男子のおすすめポイントとともに紹介されていますが、正直次ページから展開される謎の茶番劇の前では、まったくの無意味、無意味なのです。

 シチュエーションその1「さわやか!コーデで“逃げ恥”ピクニックコーデ」。「大好きな彼を思い切ってデートに誘ってみたけど…」と、デート序盤は2人の距離がちょっと微妙。しかし……「お弁当作ってきたの」「ちょっとー手加減してよ(※2人でフリスビーしながら)」「こんなにはしゃいだの久しぶりかも」「……(※愛おしそうな表情の田口)」「……(※突然手をつなぐ田口)」「僕とお付き合いしてください」。なんと見開き2ページで通常の着回し企画30日分を再現してしまいました。恐ろしいなこの手法。人気ドラマや映画にあやかれば、2ページで「付き合ってください」にたどり着けるわけですからね。まさにローコスト、ハイリターン。ただ1つ、男性に人気のデニムモテコーデは一切頭に残りません。なんとも毒饅頭感漂う企画でした。

 続きまして、今号の問題企画「30代女子はもっと叱られたい!」を拝見いたします。キャッチには「たまにビシッと言われるといろんなことがうまくいく」とあります。

 「あなたは、上司・先輩に叱られることがありますか?」という統計によりますと、2012年の調査より15年の方が「叱られたことがある」ポイントは減少しており、「企業でも“叱らない文化”は確実に広まっています」とのこと。「私たちはこんな時に叱られたいんです!」では「褒められるだけじゃ仕事のやる気が出ないタイプなんです」「理想の男性像を求めてイライラしたり失望したりを繰り返す毎日」「女子力が足りないと自覚しているもののついラクさを選んでしまう」など、30代女性たちが「叱られたい」現実を語っています。

 またしてもこの手の啓蒙企画のお約束・謎の専門家(今回はコミュニケーション研究家なる人物)が登場し、「叱られることのメリット」を語っています。「人間は自分のことを認識する際、他者からの評価が大きな要素となるため、無意識のうちに自身に対する遠慮のない意見も欲しています。例えば何か悪いことをしても、それは修正できるものだという意識が潜在的にあるので、叱られることで自分が成長できると前向きに受け止められる人も多いんです」。叱られることへのメリットとは「自己実現へのきっかけになる」「癒し効果がある」「非日常感を味わえる」の3つにあるそうです。

 なんでしょう。ここまで読んでいて、非常にイライラするような、この気持ちは。『東京タラレバ娘』(講談社)を「刺さるわ~~」と共感しながら読んでいる人は納得するのでしょうか。大人になっても叱られたいなんて、だって叱られたくないから早く大人になりたいんじゃなかったの……。一歩間違えればパワハラ地獄にも陥りかねない「叱られる」こと。それを専門家という卑怯な手を使って肯定しようとするとか、ちょっと危なくないですかね。

 そんな気持ちをよそに、この企画では「ダイエットアプリ」「寺カフェ」「おっさんレンタル」「辛口占い」「ゲイバー」などで「“叱られたい症候群”の30代読者があらゆる方法で叱られてみました」と、わざわざ叱られるに行くのです。「なかなかときめく男性に出会えないんです」「多分めっちゃ選んでるのよ、あなたの分際で」「キャー(笑)」……etc。あぁあほらし。イライラしてたのあほらし。結局は叱られることもエンターテインメントなのでした。ドキドキ感を味わうためにジェットコースターに乗るのと同じ。しっかりベルトを締めているという安心感があるから、ぶんぶん振り回されても大丈夫。機械も住職も占い師もゲイバー店主も、自分の欲望を満たす、刺激するための道具にすぎない、そういう安心感の上に成り立つエンターテインメントなのでした。

 でも、叱られるというエンターテインメントの枠を超えたときに、本当の恐怖がやって来るのもまた事実。口のうまい既婚男、依存してくるDV男、マルチに宗教……「キャー叱られちゃった(笑)」では済まされない状況が。やっぱなるべくなら「叱られない」人生を送りたいものですね……。
(西澤千央)

「GINGER」にとって男は“いいね!”要員? 「あこがれられたい」という燃え盛る欲望

 元来「超現実主義」で「その他大勢とはちょっとだけ違う私」を追求してきた女性誌だったにもかかわらず、モテ路線への切り替えに失敗した挙げ句、前号では無難な「ZARA」ファッションを推しまくる……という闇深い思考停止に陥った「GINGER」(幻冬舎)。

 迷走続きに不安を感じていましたが、今月号の表紙は憑き物が落ちたかのようにスッキリとした印象です。モノトーンの色合いに、イエローカラーのキャッチコピーがアクセントになっているのも、さりげないオシャレ感を醸し出しています。カバーガールが2号連続長谷川潤なのは、ハワイからの帰国時にまとめて撮影したせいでしょうか。効率的というか現金というか……。それに「お金が貯まる新テクニック」「夏の快適機能服リスト」と実用的な見出しも目につきます。原点回帰したかのように見える「GINGER」、早速、中身をチェックしていきましょう~。

<トピックス>
◎「白Tシャツ」でどこまでおしゃれはできるのか?
◎夏のシーン別着こなし見本帳
◎私たちも、こんな夫婦になりたーーーい!

■シンプルな「白T」を着ても浄化できないプライド

 まずは、今月のメインファッション企画「夏のおしゃれはTシャツ1枚あればいい! 『白Tシャツ』でどこまでおしゃれはできるのか?」を見ていきましょう。前号では、“他人よりもちょっとだけおしゃれ”という「GINGER」唯一のプライドをかなぐり捨て、定番中の定番ブランド「ZARA」に依存する勢いでしたが、今月は「どこまでおしゃれはできるのか?」という命題を立てられるまでに、アイデンティティーを回復したようです。

 今回フューチャーされているのは「白Tシャツ」。「シンプルかつ定番であるがゆえに、着回し力において無限の可能性を持つアイテム」ということですが、迷走の末たどり着いたのが、「シンプル イズ ザ ベスト」っていうこと? 

 しかし、一口に「白T」と言ってもブランド、デザイン、素材……などさまざまあるようで、コーディネートよりも「白T」の分析ページの方が多くなっています。見開きでジャンル別に「白T」がひたすら並べられているだけのページ(平均5着/ページ)が6ページも続くので、「白T」のゲシュタルト崩壊が起こりましたよ……。

 正直、筆者には全部同じに見える「白T」ですが、「絶妙な透け感ととろみ」「胸元の小さなロゴ、よく見ると実は刺しゅう」「ほどよく厚手のジャージー素材」「開きすぎていないVネック」「ジェーンバーキン風」など、1枚1枚に工夫が施されたアイテムとのこと。まさに、「GINGER」女子のプライドをくすぐる“他人とちょっとだけ差のつく”おしゃれポイントが満載なんです。さらに「白T」は、「洗えて、乾燥機にかけられる」「アンダー¥3,000」という実用的なアイテムもあることから、現実主義な「GINGER」女子のための最強アイテムとして祭り上げられているようでした。

 さらに気になったのは、「白T」の「夏のシーン別着こなし見本帳」です。さながらSNSの投稿のように、シーン別の「白T」コーディネートが全部で50個並べられているのですが……「@大学サークルOG会」「@人数合わせの合コン参加」「@地元のお祭りで夏気分」「@友人とフリマ開催」「@親戚一同の食事会」「@会社仲間とBBQ」「@親友と一泊温泉旅行」「@ホムパにお呼ばれ」「@青山のライヴハウスへ」「@週末はクラブで夜遊び」「@テラスカフェで女子会」「@友人の引越し祝いに」「@ママとホテルランチ」「@レセプションパーティー」「@野外フェスで熱狂」「@湘南ビーチパーティー」「@後輩とビアガーデン」「@朝までカラオケ女子会」って、「GINGER」女子、忙しすぎでは!? 服は「白T」1枚でよくても、これでは体がいくつあっても足りません。

 それに気になるのが、こうした夏のイベントごとに、男の影があまり見えないこと。「朝活」に参加したり、「英会話スクール」に通ったり、「社外セミナー」を受けたり、ご褒美に「エステ」や「ヘッドスパ」に行ったりと、自分磨きのイベントごとには事欠かないのに、男との予定は、「@遠出ドライブデート」「@GINZA SIXデート」「@のんびり公園デート」「@久々の遊園地デート」と、わずか4パターンのみ。「GINGER」女子の関心事は、男より自分磨きにあるようです。

 もともと「GINGER」は、恋愛に重きを置いていない女性誌ですし、男より自分磨きを重視するのは決して悪いことではありません。ただ、この夏の予定一覧を見ていると、なんとなく「GINGER」女子の“他人からあこがれられたい”という強烈な欲望を感じてしまうのです。彼女たちにとっての“恋愛”は、ほかのキラキラしたイベントと同じように、SNSに投稿して他人から“いいね”をもらいたい要素の1つに過ぎないのかも……と思ってしまいました。

■「GINGER」女子の結婚観

 そんな「GINGER」の恋愛観を垣間見たところで、今月号の巻末には“結婚”特集がありましたが、そもそも結婚願望があったことに驚きです。「結婚に対して冷静なアラサーも多い」と聞くけれど、「こんな夫婦になれるのなら結婚してみたい」という趣旨の企画だそうで、題して「私たちも、こんな夫婦になりたーーーい!」。さすが「GINGER」女子。結婚に対しても“他人にあこがれられたい”というモチベーションが見え隠れしています。

 年代別の「憧れてやまない素敵な夫婦」4組へのインタビューを見ていきましょう。初めに登場する小暮夫妻は、人気写真家とイラストレーターの60代ご夫婦。相模湾が見渡せるサンルームが自慢のご自宅は、巷で話題の“丁寧な暮らし”そのものです。アラサーである「GINGER」女子の“ちょっと上世代”として紹介されるのは、スタイリストの工藤満美さん、ヘアメイクアップアーティストの千吉良恵子さんのご夫婦。生活感のないおしゃれな自宅で撮られたツーショット写真は、確かに絵になっています。そして極めつけは、bonpon511夫妻。2人は一般のご夫婦なのですが、夫婦コーディネートを投稿したインスタが話題沸騰中で、なんとフォロワー数は45万人を超えているとのこと。

 どのご夫婦も仲が良さそうで、おしゃれで、思わず“いいね”を押しそうになりますし、「GINGER」女子たちが「こんな夫婦になりたーーーい!」とあこがれる気持ちもわからなくはありません。しかし当たり前のことですが、誌面に載っているのは、夫婦の“表向きの部分”だけ。それに、こうした夫婦には、一朝一夕でなれるものではないでしょう。「GINGER」は、「SNSで“いいね!”をもらいたい」のと同じ感覚で、結婚を捉えているように見受けられるのです。

 「GINGER」の読者層は、都会で働き、経済的に自立しているアラサー女子ですが、なぜか恋愛や結婚などの私生活についての具体的なビジョンに欠けているのではと、以前から指摘してきました。彼女たちの行動基準が“他人よりちょっと抜きん出たい”“他人に羨ましいって思われたい”というプライドに起因しているのならば、自分自身を生きづらくさせているような気がしてしまうのですが……。
(橘まり子)

おフェロ顔の次は「うさぎFACE」!? 自己陶酔ポエムが垂れ流される「ar」メイク術

 ビューティ&ファッション誌「ar」(主婦と生活社)6月号は、夏前恒例のボディ特集です。表紙のキャッチフレーズは「Happy BodyでSexy Summer! 美味ボディはつくれる!」。このキャッチ、素晴らしいです。ありがちな「“Sexy” Bodyで“Happy” Summer!」ではないところがキモです。「セクシーだから幸せになれるのではなくて、ハッピーだからセクシーになれるんだよ!」という、同誌らしい夢見がちでキラキラとしたメッセージが表現されています。あっぱれ! この「ハッピーであればセクシー!」という多少無理矢理な思考は、誌面でも発揮されているのでしょうか。早速、見ていきましょう。

<トピックス>
◎おナチュなお色気 岸本セシル ONLYセシル
◎考えるのはこのことだけ! スタイルUP虎の巻
◎うさぎFACEになりたくて

■カバーガールが言い訳「撮影前に風邪」
 巻頭のメイン企画に登場したのは、今月号のカバーガールも務めているモデル・岸本セシル。合計8ページの特集には、「お生BODYのレシピはコレッ(ハート)」「ハダと髪とセシル」「CECIL BODY SECRET」「BODY BODY BODY」「セシルのフレッシュフェロモンBODY!」と見出しが並び、よくこれだけ似通った見出しを考え付いたものだなぁと感心してしまいます。それぞれのページでは、彼女のお気に入りボディケアアイテム、体形をきれいに見せるおすすめファッションアイテムなど、セシルに近付くための“アイテム”が多数紹介されています。食事、運動法といった実践的アプローチではなく“アイテム”というのがポイントです。努力ではなく、このアイテムさえ買えば、もしかして……、と読者に夢を与えます。

 注目したのはインタビューでの彼女の発言。ボディラインを出す撮影があるときには「3か月くらい前から腹筋でくびれをつくって、ラスト1週間はお昼の炭水化物も減らしつつ、筋トレも強化するのが私流のメソッド」と、実践的アプローチをやっと語っておきながら、「だけど今回は撮影前にひどい風邪をひいてしまって運動も食事制限も思うようにできなくて」と“言い訳”めいた告白をしています。編集部からは「なんと撮影1週間前にインフルエンザで寝込んでしまったそう。病み上がりとは思えぬオーラ&輝く美肌で、スタッフ一同さらにメロメロ」とフォローまで。こういった裏側の事情を、あえて明かす必要はあったのでしょうか。記事の中でも「ヘルシーさ」や「健康的な魅力」を押し出しているセシルの、インフルでダウン情報……。万全な状態ではないのにハッピーボディのセシルを見せつけられた読者は、ただ別世界の人間にウットリとするしかありません。“ウットリ→ハッピー→私もセクシー!”と考えられたら良いのかもしれませんが、かなりの思考の飛躍が必要です。

 続いての「考えるのはこのことだけ! スタイルUP虎の巻」も、ボディ特集の一環。スタイルアップして見えるファッションを紹介するページです。「ボンキュッボン」「美脚」「美小尻」「美胸」などのキーワードに合わせて服が紹介されているのですが……。例えば「美胸」のコーナー。掲載されている6着全て、胸元がガッツリ開いたノースリーブです。「着るだけで美胸を叶える神TOPS」と謳われていますが、これらを貧乳女子が着たら、かがんだ時に全てが丸見えの大惨事となることが目に見えています。「美脚」コーナーでも、大胆なスリット入りスカート、レース越しに脚が透けるスカートなど、露出の多いアイテムが紹介されています。この特集、「コレを着たら美胸・美脚に見える」というアイテム紹介に見せかけていますが、実のところは「美胸のあなたはコレを着ろ」という、逆説的なもののようです。

 セクシーでなければ、ハッピーに着こなせないアイテムの羅列によって、表紙で示されていた「セクシーだからハッピーになれるのではなくて、ハッピーだからセクシーになれるんだよ!」という教えが、崩れ去っていきました。

■裏設定に萌えるメイク
 先月号でも紹介されていた「うさぎ女子」。うさぎ女子とは「『こっちは計算してるわけじゃないのに、なんだか惑わしちゃう……』的な、ナチュラルボーン・モテ子」であると先月号では紹介されていましたが、今月号では「うさぎ女子」の「うさぎFACE」を作るメイク方法の詳細が明かされています。

 モデルを務めるのは、欅坂46の今泉佑唯と上村莉菜。よく似ていて見分けがつきませんが、今泉が「おてんばうさぎFACE」、上村が「甘えんぼうさぎFACE」を披露しています。うさぎには2種類いるのだということも、初めて知りました。

 「おてんばうさぎFACE」は、「好奇心旺盛でひとつの場所に留まることを知らないから、ちゃんとつかまえないと、遠くに行っちゃっても知らないんだからねっ(ハート)」というキャラ設定。メイクのポイントは「元気系キャロットオレンジとまぁるい瞳」だそうです。もう一方の「甘えんぼううさぎFACE」は、「基本かまってほしいけど、たま~に放っておいてほしい時もある、普段はふわふわしてるのに、ちょっとツンデレ系なわがままもご愛嬌な甘えぼう」という設定で、メイクは「ドキドキさせるつもりはないの。でもじんわり血色感が止まらない!」を表現するため、赤みを目元、頬、そして鼻先にまで乗せたもの。「あ…、今ギューッてしたいって思ったでしょ!?」と、自分に酔ったかのようなリードまで付けられています。

 ぱっと見、流行した「おフェロメイク」との差がわからないのが正直なところですが、こうしたメイクの裏設定(=物語)に気分が上がるのが、「ar」の良い読者となる「ハッピーだからセクシー!」女子なのかもしれません。「うさぎ女子」もブームとなるのか、注目していきたいところです。
(島本有紀子)

「婦人公論」の「体の不調」特集で暴れる、冨士眞奈美・吉行和子・仲代達矢ら“あっけらかん”としたアラ80

fujinkouoron170613

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は「不調のサインを見逃さない」。キャッチフレーズには「40代から70代の『体の節目』」とあります。「40代に入ると徹夜はできないし、深酒できないし、どんなに疲れていても熟睡できない……」と、この手の話題なら3時間はぶっ通しで話せるようになる、それが中高年たるものの矜持。冒頭のアンケート「私の体の“曲がり角”は?」にも、「私の不調」が生き生きとページに踊っています。そんな中、最も心を掴まれたのが「不調のどん底で考えていたこと」にあった、「年齢的なものだから仕方ない。それに、あんなにキレイな歌手だって尿もれパッドとかきっと使っているはず。そう思えば明るい気持ちになれる」(53歳主婦)という一文。どん底の人間を救う尿もれパッド……これはサラサーティのCMを務めたRIKACOの偉業を讃えるべきでは……。

<トピックス>

◎特集 不調のサインを見逃さない

◎冨士眞奈美×吉行和子 人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね

◎仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために

■「和子っぺ」という愛称のほのぼの昭和感

 こちらの特集、40代以降の女性の体の変化と病気の関係を医学的見地から語るものや、がんと宣告された人のルポ、脳梗塞から生還した磯野貴理子のインタビューなど、ほとんどが「病気」や「体調」を真正面から捉えたものですが、座談会「人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね」だけ毛色が違います。女優の冨士眞奈美、吉行和子、エッセイストの関容子による「仲よし3人、気ままにおしゃべり」と銘打たれておりますが、これを「気まま」という言葉で片づけていいのか……。

 冨士と吉行といえば、芸能界でも有名な仲よしコンビ。関とも40年来の付き合いなのだそう。一応「元気に過ごすために、日々心がけていることは?」というテーマはあるものの、話が進むにつれて完全に脱線。台本の台詞を覚えるのが大変という話で、てっきり「こういう努力をしている」といった女優魂エピソードが出てくるのかと思いきや、「私なんか、受験生向けの記憶促進器具というのがある、と聞いて、慌てて買いに行ったの」(吉行)、「えーっ。そんなのあるの?」(冨士)、「そしたら、結局ウォークマンみたいなものなのよ。自分でしゃべったのを耳から聴いて覚えなさい、ってなわけなの」(吉行)、「なぁーんだ。つまんないの」(冨士)。

 料理をまったくしないことでおなじみの吉行を、「この人、キッチンを何百万もかけて改装して、汚すのがいやだから使わないの」と冨士がイジれば、吉行が「何百万じゃないわよ、何十万よ。面白く言わないでよ」と軽くキレる。その後も冨士の盛りグセはとどまるところを知らず、

「和子っぺが私の家に一度だけ来たことあるのね、そのときにこめかみから血を流してるから、私びっくりして、『どうしたの?』って聞いたら、鍼を200本くらい打ったらしいの」(冨士)

「それは、嘘だと思うけどね」(吉行)

「本当よ。頭のてっぺんとか、瞼の上とか、こめかみとか、もう鍼だらけになって(中略)両側のこめかみから血をタラーっとたらして、家に来たの」(冨士)

「その話は私、信じないな」(吉行)

 この鍼で流血の話は水掛け論が続き、最終的には「今日子ちゃん(故岸田今日子)が、もういないけど、いたら覚えてるわよ、その話。おかげで元気なの、この人」(冨士)と死者まで引っ張り出してくる始末。このやりとりで意外だったのは「和子っぺが私の家に一度だけ来た」というところ。40年来の付き合いで何でも話す仲なのに、その距離感はお互い守り合っているんだなぁと。これこそが長く友情関係を続ける秘訣なのかも。そしてこういう会話ができる相手がいるからこそ「元気で長く生きよう」と思えるのでしょうね。

 “アラ80女”のかしましい座談会のあとは、これまた80代俳優のインタビュー。「仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために」のインタビュアーは、奇しくも先ほどのページに登場していたエッセイストの関容子です。

 6月3日に封切りとなる映画『海辺のリア』の宣伝を兼ねていますが、仲代の生い立ちや無名塾立ち上げエピソードなどかなり盛りだくさん。幼少期に戦争を体験し「爆弾が毎日東京に落ちて、逃げ回っていた。戦争に対する反感の思いは強烈にあります。『鬼畜米英』なんて言っていたのが、8月15日を境に、大人たちが一挙に親米派になったもんですから。その頃から、私にはニヒリズムが備わったわけです」と本人が語るように、仲代の視点はどこか社会に対してケンカ腰。「40歳を過ぎたころ、新しい役者を育てたいと思って、『無名塾』を始めました。妻で女優の宮崎恭子が演出して、私が主演して、教え子たちが周りを固める。そうしたら新聞記者から『ファミリー劇場だ』と言われて、『それがなんでいけないんだ』と喧嘩しました。すると、しばらく批評を書いてくれなくなったりした」。

 こんな調子で熱く、力強く舞台の話をしていたと思えば、役者に必要なものは「運」と「血」であるというくだりで「私の父親が不倫の子という話もあります。祖母が若妻だった時分、『旅回りの團十郎』と言われたいい男の役者と逃げて、生まれたのが私の父だとか。確証はないんですけどね。(中略)また、母方の祖父がスパイで、中国人に扮していた、というのは確かなんです」と、夏休みに祖母宅に泊まりに行くと布団の中で「お前もねぇ、時代が時代だったらお姫様だったかもしれないんだよ~うちは藤原の家系だからね~」と繰り返し話すウチのばあちゃん並みのファンタジー。「旅回りの團十郎」「祖父がスパイ」も、布団の中で聞かされた匂いがプンプンします!

「これからやりたい芝居が、まだ30本ほど、とても全部は実現できないけれど、あれこれ考えるのが楽しくて。気力だけはあります。85歳で引退すると言っていましたが、84になった今も演じ足りない。だって、自分はまだ下手なんですよ」

 80代になっても「鍼打ってこめかみから血ぃ流しながらうちまで来た」「オマエはすぐ話を盛る」と言い争う友達関係、80代になってもまだまだ自分は下手、もっと演じたいという仕事への渇望……まったく趣向の異なる座談会/インタビューながら、長く元気に生きる人間に共通する、一周まわった“あっけらかん”を見せつけられた思いです。そしてその“あっけらかん”は、選ばれた人間にのみ与えられた妙技なのだということも。(西澤千央)

「婦人公論」の「体の不調」特集で暴れる、冨士眞奈美・吉行和子・仲代達矢ら“あっけらかん”としたアラ80

fujinkouoron170613

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は「不調のサインを見逃さない」。キャッチフレーズには「40代から70代の『体の節目』」とあります。「40代に入ると徹夜はできないし、深酒できないし、どんなに疲れていても熟睡できない……」と、この手の話題なら3時間はぶっ通しで話せるようになる、それが中高年たるものの矜持。冒頭のアンケート「私の体の“曲がり角”は?」にも、「私の不調」が生き生きとページに踊っています。そんな中、最も心を掴まれたのが「不調のどん底で考えていたこと」にあった、「年齢的なものだから仕方ない。それに、あんなにキレイな歌手だって尿もれパッドとかきっと使っているはず。そう思えば明るい気持ちになれる」(53歳主婦)という一文。どん底の人間を救う尿もれパッド……これはサラサーティのCMを務めたRIKACOの偉業を讃えるべきでは……。

<トピックス>

◎特集 不調のサインを見逃さない

◎冨士眞奈美×吉行和子 人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね

◎仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために

■「和子っぺ」という愛称のほのぼの昭和感

 こちらの特集、40代以降の女性の体の変化と病気の関係を医学的見地から語るものや、がんと宣告された人のルポ、脳梗塞から生還した磯野貴理子のインタビューなど、ほとんどが「病気」や「体調」を真正面から捉えたものですが、座談会「人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね」だけ毛色が違います。女優の冨士眞奈美、吉行和子、エッセイストの関容子による「仲よし3人、気ままにおしゃべり」と銘打たれておりますが、これを「気まま」という言葉で片づけていいのか……。

 冨士と吉行といえば、芸能界でも有名な仲よしコンビ。関とも40年来の付き合いなのだそう。一応「元気に過ごすために、日々心がけていることは?」というテーマはあるものの、話が進むにつれて完全に脱線。台本の台詞を覚えるのが大変という話で、てっきり「こういう努力をしている」といった女優魂エピソードが出てくるのかと思いきや、「私なんか、受験生向けの記憶促進器具というのがある、と聞いて、慌てて買いに行ったの」(吉行)、「えーっ。そんなのあるの?」(冨士)、「そしたら、結局ウォークマンみたいなものなのよ。自分でしゃべったのを耳から聴いて覚えなさい、ってなわけなの」(吉行)、「なぁーんだ。つまんないの」(冨士)。

 料理をまったくしないことでおなじみの吉行を、「この人、キッチンを何百万もかけて改装して、汚すのがいやだから使わないの」と冨士がイジれば、吉行が「何百万じゃないわよ、何十万よ。面白く言わないでよ」と軽くキレる。その後も冨士の盛りグセはとどまるところを知らず、

「和子っぺが私の家に一度だけ来たことあるのね、そのときにこめかみから血を流してるから、私びっくりして、『どうしたの?』って聞いたら、鍼を200本くらい打ったらしいの」(冨士)

「それは、嘘だと思うけどね」(吉行)

「本当よ。頭のてっぺんとか、瞼の上とか、こめかみとか、もう鍼だらけになって(中略)両側のこめかみから血をタラーっとたらして、家に来たの」(冨士)

「その話は私、信じないな」(吉行)

 この鍼で流血の話は水掛け論が続き、最終的には「今日子ちゃん(故岸田今日子)が、もういないけど、いたら覚えてるわよ、その話。おかげで元気なの、この人」(冨士)と死者まで引っ張り出してくる始末。このやりとりで意外だったのは「和子っぺが私の家に一度だけ来た」というところ。40年来の付き合いで何でも話す仲なのに、その距離感はお互い守り合っているんだなぁと。これこそが長く友情関係を続ける秘訣なのかも。そしてこういう会話ができる相手がいるからこそ「元気で長く生きよう」と思えるのでしょうね。

 “アラ80女”のかしましい座談会のあとは、これまた80代俳優のインタビュー。「仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために」のインタビュアーは、奇しくも先ほどのページに登場していたエッセイストの関容子です。

 6月3日に封切りとなる映画『海辺のリア』の宣伝を兼ねていますが、仲代の生い立ちや無名塾立ち上げエピソードなどかなり盛りだくさん。幼少期に戦争を体験し「爆弾が毎日東京に落ちて、逃げ回っていた。戦争に対する反感の思いは強烈にあります。『鬼畜米英』なんて言っていたのが、8月15日を境に、大人たちが一挙に親米派になったもんですから。その頃から、私にはニヒリズムが備わったわけです」と本人が語るように、仲代の視点はどこか社会に対してケンカ腰。「40歳を過ぎたころ、新しい役者を育てたいと思って、『無名塾』を始めました。妻で女優の宮崎恭子が演出して、私が主演して、教え子たちが周りを固める。そうしたら新聞記者から『ファミリー劇場だ』と言われて、『それがなんでいけないんだ』と喧嘩しました。すると、しばらく批評を書いてくれなくなったりした」。

 こんな調子で熱く、力強く舞台の話をしていたと思えば、役者に必要なものは「運」と「血」であるというくだりで「私の父親が不倫の子という話もあります。祖母が若妻だった時分、『旅回りの團十郎』と言われたいい男の役者と逃げて、生まれたのが私の父だとか。確証はないんですけどね。(中略)また、母方の祖父がスパイで、中国人に扮していた、というのは確かなんです」と、夏休みに祖母宅に泊まりに行くと布団の中で「お前もねぇ、時代が時代だったらお姫様だったかもしれないんだよ~うちは藤原の家系だからね~」と繰り返し話すウチのばあちゃん並みのファンタジー。「旅回りの團十郎」「祖父がスパイ」も、布団の中で聞かされた匂いがプンプンします!

「これからやりたい芝居が、まだ30本ほど、とても全部は実現できないけれど、あれこれ考えるのが楽しくて。気力だけはあります。85歳で引退すると言っていましたが、84になった今も演じ足りない。だって、自分はまだ下手なんですよ」

 80代になっても「鍼打ってこめかみから血ぃ流しながらうちまで来た」「オマエはすぐ話を盛る」と言い争う友達関係、80代になってもまだまだ自分は下手、もっと演じたいという仕事への渇望……まったく趣向の異なる座談会/インタビューながら、長く元気に生きる人間に共通する、一周まわった“あっけらかん”を見せつけられた思いです。そしてその“あっけらかん”は、選ばれた人間にのみ与えられた妙技なのだということも。(西澤千央)

「Domani」35歳の婚活はデニムでOK!? 1シーズンで出会いから結婚のトンデモ企画

 「Domani」(小学館)6月号、待ちに待った2017年のDomani専属読者モデル「Domaniメイツ2017」が発表されました! 「今年は約300名の応募から激戦を勝ち抜いた6名が合格。仕事やライフスタイルなどに幅広い魅力を感じる面子に編集部は注目しています」とのこと。選ばれし顔ぶれチェックすると、30歳と31歳が各2名、33歳は1名、読者ターゲットである35歳はたった1人。しかも35歳の人には「しっかり者のお姉さん的存在」とか言っちゃって、姉御キャラを設定するという……。これまであんなに「35歳」を企画の中心にしてきた「Domani」なのに、急にお局扱いか! ひどい~!

 こうした読者モデルとはまた別に、“読者代表”というポジションも「Domani」にはあります。読モになれなかった人たち……とも言えるかと思いますが。そうした方々が登場した企画「体型お悩み別に読者代表の皆さんにはき比べてもらいました」では、4名が登場しています。読者の皆さんは、32~37歳の方々で「Domaniメイツ」の垢抜けたキラッキラぶりを見た後だと、“同僚”感を覚える佇まい。「最近お腹回りのお肉がヤバい…!?」「お尻が重力に負けてきた気がする…」「太ももがゆるんでむっちりしてきたかも…」「背が低くてデニムがかっこよくはけない…」、そんなお悩み別に体張ってモデル業を務めてますよ。でも、現実はというと、その悩み、コンボだから!! 

<トピックス>
◎35歳こそ「婚活デニム」のススメ
◎きれいな人ほど「やめている」27のこと
◎「おしゃれな人の暮らす部屋」に共通するもの

■35歳の婚活はデニムでOK
 どうやら、「婚活」指導が重要なミッションだと思い始めたかのような「Domani」。今月号は、「35歳こそ『婚活デニム』のススメ」。「頑張りすぎてない感じ、さりげない親近感。気負わずナチュラルな女らしさを演出するなら、大人の女性こそ、デニムでデートするべし!出会いからステディまでのストーリーでお届け」ですって~。「出会って、つきあい始めて、結婚間近に…という婚活シーンでは、ついつい服装にも気合いが入りすぎてしまう傾向がありますが、実はキメすぎないデニムがちょうどいいんです」。って、おい、「Domani」調べをマジで信じていいのかい?

 「『なつきに紹介したい!』と親友からの強い推し(笑)。どんな人かな?少し緊張~」という、うれし恥ずかし親友からの紹介による出会いからスタート。服装は、「シャツは肩やデコルテがちらりとのぞく背抜きタイプ、デニムは緩やかなテーパードシルエット。さりげなく利かせたデザイン性の高さでベーシックでありつつも無難すぎない印象を狙って」とのことですが、こだわりというか、プライドの高さというか35歳の面倒臭さがさりげなくあふれ出ちゃっていますヨ。

 しかし、そんなこだわり演出が功をなしたのか、次ページでは「つきあって2週間。初めて一日中一緒に過ごす休日だから楽しみ!」と、ステディに昇格。次ページも順調にお家デートを楽しみ、「結婚したら、きっとこういう感じなの?と、ふと想像するこのごろ」、とライトブルーのデニムを穿いた2人は床やソファでいちゃこき、次ページで「急な呼び出しだな~と思いつつ、彼の友達に紹介されるのって実はうれしい(笑)!」と、「彼とその友達が飲んでいるバー」へ繰り出しています。ちなみに、ここで着用するデニムは、「ステディの余裕を漂わせたい」がために、“張り切りすぎないライトグレーのデニム”ですからね! ブルーデニムはダメみたいですよ!

 で、最後のページは、「共通の友人が開催しているホムパへ向かう」2人。「みんなにも結婚の報告をしようと言う彼。照れるけど、最高の気分!」ですって!! ちょちょちょ! 確かに「大人の婚活」は、付き合い始めたらゴールが早いっていうけど、あっという間すぎますよ! 春にスタート、春にクロージング……季節は巡らず。どんなサクセスストーリーですか! それとも、授かったの? どうせストーリー仕立てにするのであれば、苦難あり、悩みあり失敗ありとリアルなものにしてほしかったところですね。35歳の婚活が、こんな1シーズンで片がつくわけないって「Domani」だって十分知ってるだろうに! で、もう1回聞きますけど、「デニムで婚活」ってホントにあり!? いつも口を出してくる“婚活アドバイザー”の類いの先生方の姿が皆無だったのよね……。

■賃貸の読者はどうしたら?
 突然きました待望の住まい特集、「『おしゃれな人の暮らす部屋』に共通するもの」。「Domani」によりますと、リノベーション物件、黒のインテリア、余分な椅子の3点が、おしゃれ部屋の共通事項なんだとか。紹介されてる5軒中4軒がリノベーション住宅(つまり持ち家)という点が、はなっから読者を置いてきぼりにしてる感がありつつ、兎にも角にも、お住いの方々のコメントが天上人のように素敵で、なにも耳に入ってこないんですよ。「休日は海岸まで散歩」や「好きなものに囲まれた家はいちばん休まる場所」など、「素敵な人は素敵な暮らしをしている」という空気が誌面にむせかえっています。

 ここ最近、「Domani」では、「毎日忙しく仕事するワーキングウーマンたち」のために、「時短の女王ファンデーションはこれだ!(4月号)」「平日は“考えない晩ごはん”(5月号)」など、毎号毎号「時短」についてのアドバイス企画がありますが、「おしゃれな人の暮らす部屋」には、平日でさえ、穏やかな時間が流れていそうです。「キッチンに立つと、テラス越しに逗子海岸や山が見え、台所仕事も心地よくこなせるそう」とか、「お風呂好きで朝晩入浴する滝沢さん」って書いてあるし! 晩ですら時間がなくて入らない読者にケンカ売ってるのかって話ですよ!

 なんだか「Domani」のいう「素敵な部屋」って、住んでいる人はもちろん確かにいるのだけれども、なんだか遠いトコロの誰かのお話のようです。それよりも、新「Domaniメイツ」の部屋の方がよほどグッとくると思うんですよ。素敵になりたいとあがいてる読者のためを思うのであれば、こんな突拍子もなく素敵レベルの高い人を出すのはいただけないです。

 巻末にある「Domani読者の皆さんへ」の編集長からのメッセージにも、「たまに『掲載商品が高すぎる』と苦情を言われる(すいません)」なーんて書いてあったけど、きっとこういう少しズレたところがダメなのかもしれませんね。読者の生活の「先」にあるものじゃなくて、先に“ないもの”を見せようとしてくるのはなぜ!? 「読者モニター会」で、この意見もぶつけてみてほしいものです!
(白熊春)

 

ZARAに心も体も売った!? “その他大勢とは違う私”というプライドを捨てた「GINGER」

 前号では突然モテ路線に変更するも、“モテ”の定義が曖昧で迷走気味だった「GINGER」(幻冬舎)。今月号の表紙は一転、黒とグレーに濃い目ピンクを効かせたクールな印象。何かを悟ったような長谷川潤の表情からは生気が感じられません。以前の、夢見がち要素ゼロの超現実主義へ揺り戻し……? 早速中身をチェックしていきましょう~。

<トピックス>
◎いつだって大人のおしゃれの救世主 私たちにはZARAがある!
◎ネイチャーエレメンツが導き出す 開運ROOMへ改造計画
◎女子に効く、フレーズの裏側

■頼りになるのは男よりも「ZARA」という現実

 これまで数号にわたってチェックしてきた表紙モデルへの巻頭インタビュー「COVER WOMAN」ですが、今回は掲載なし。「GINGER」では、“お疲れ女子代表(3月号参照)”的扱いをされていた長谷川が何を語るのか楽しみにしていただけに残念です。迷走気味の「GINGER」ですから、ロールモデルとなる女性芸能人もネタ切れだったのかもしれません。

 さて、気を取り直してメインファッション企画「いつだって大人のおしゃれの救世主 私たちにはZARAがある!」を見ていきましょう。「とりあえずザラに駆け込めば解決する」「(オフィスも、週末旅行も、キャンプ&BBQも、パーティーも)どんなシーンもザラさえあれば!」など、今さらあの世界的なブランドをごり押しです!!  筆者は、「GINGER」とは、“TPOを意識しつつ他人よりも、ちょっとだけセンスのあるオシャレ”という絶妙に面倒くさいプライドを頑なに守り、適度に流行を取り入れつつも、その他大勢とは被りにくいブランドアイテムを推してきた雑誌と認識していたのですが、ここに来てZARA? その他女性誌たちと横並びのオシャレでよかったの!?

 ページをめくると、まさにZARAに魂売ってしまったのかごとく、「毎日のおしゃれを全方位で支えてくれる、頼もしい存在」「私たちは、ザラをこんなにも愛してたんだってことに気づいてしまったのです!」と鼻息荒いキャッチが飛び込んできます。計44ページの総力特集……どうやら心だけではなく、体(ページ)も売ってしまったようです。

 ところで、よくよく本文を読んでみると、前号でそこかしこに散りばめられた“モテ”というワードは皆無。「職場で女を捨てるな!」と紋切り型のコメントを押し付けてきた男の影も一切見当たりません。やはり定義も曖昧で揺らぎがちな“モテ”という概念にすがるより、コスパ最高でどんな場面でも役に立つZARAの方が、よっぽど頼りになりますもんね! どうやらモテ路線への転向は失敗したようですが、一号で早々に見切りをつけるあたりは潔い。もしかして「GINGER」は自分たちを縛る面倒くさいプライドよりも、実をとった、ということ? むしろ、プライドを捨てたら、残ったものが実だった、というところでしょうか。

 以前から筆者は、「GINGER」は現実主義な雑誌だと言ってきました。それは恋愛企画が皆無で、ファッションについては、個性的だったりハイブランドだったりするわけではなく、実現可能なオシャレを提唱していたからです。しかもそのコーディネートには計算し尽くされた細かいルールが無数に存在しており、読んでいてもまったく気分が上がらない。それは「愛されたいから」「オシャレが好きだから」といった素直な気持ちではなく、「他人に舐められない」ためにするオシャレだから……と感じていました。

 「GINGER」の読者層は都会で働く自立したアラサー女性で、おそらく学生時代には平均以上に勉強ができたでしょうし、仕事も平均以上にできるのでしょう。だからオシャレも、まるで教科書のように文字情報の多い「GINGER」片手に、平均点以上の点数を取るため頑張ってしまう。「GINGER」に“一人旅”や“スピリチュアル”企画がたびたび投入されているのは、そんな真面目で努力家な彼女たちの多くが疲弊しているからと受け取れますし、先月号で唐突に“モテ”や“男”が登場したのも、彼女たちに新たな価値観を与えようとしたからなのではと感じられるのです。しかし、どれもいまいちヒットせず、特に“モテ”特集は、彼女たちを救うどころか、さらに苦しめる結果に終わったように思えます。

 だから、今月号は思い切って、その真面目で努力家が故の面倒くさいプライドを捨ててみた=「誰もが知っているZARAをごり押し」したではないでしょうか。「そんなに頑張らなくていいよ」と、どんな場面でも手を差し伸べてくれるZARAは、まさに「GINGER」女子の救世主だったのかもしれません。

 しかし一方で、何も考えずにZARAを着ていればOKと決めてしまうのは、思考停止状態とも言えます。例えば、「旅行に行くのが趣味だからお金を貯めたい→服の優先順位は自分にとって低いからZARAでOK」といった考え方ならば納得できるものの、そういった“ZARAを着る意味”が誌面から見えて来ないのが気になるのです。「GINGER」の誌面から浮かび上がる女性像は、ある程度のキャリアを持っているものの、自分の言動の根拠に乏しいという一面も垣間見え、それは、将来に対する具体的なイメージがぼんやりしていることにも通じます。「GINGER」を愛読している女子は、バリキャリを目指しているわけでもなさそうだし、かといって恋愛や結婚を志向しているわけでもなく、趣味人というわけでもなさそう。「他人よりも少しばかり抜きん出たい」という唯一のプライドを捨ててしまった今、「GINGER」女子たちは一体何を目指すのか……その自意識の行方が気になるところです。

 今号では、前号では消えていたスピリチュアル企画も復活。「ネイチャーエレメンツが導き出す 開運ROOMへ改造計画」を見ていきましょう。ネイチャーフォーチュンとは、中国の算命学をもとに、ネイチャー(自然)界にあるエレメンツ(要素)で、その人の気質を解いたものだそうで、その人のネイチャーエレメンツに合ったお部屋に大改造しちゃいましょう! そしたら幸せになれるよ! という企画です。まあ、詳しいことはよくわからないけど風水的なものですかね。

 読者や編集部員の実際の部屋の写真を見ながら、人気フォーチュンアドバイザー・イヴルルド遙華先生がアドバイスしてくれるのですが、「外光がたくさん入る窓は運気を高めてくれます」「金運アップは水回りをキレイに」「パソコン、筆記用具など仕事と関係あるもの、よく使うものはキレイに扱って」って、いや、そんなん言われなくても筆者にだってわかるよ。しまいには、ピンクやフリルが盛りだくさんの部屋に住んでいる読者に対して、「甘えん坊の男性に尽くしがち」って、それアドバイスでも何でもないし、イメージで適当に言ってますよね……? 最終的には、自分の居心地がよければ「ごちゃごちゃしていてもいい」、癒やされるために「自分の好きなものを思い出して」と占い要素ゼロの結論に。このアドバイス自体は、お疲れな「GINGER」女子に響くと思いますが、あまりにも雑なまとめです。

 ところで、実は今月の「GINGER」には、ZARAも含めて、ブランドのタイアップ記事が全部で13個もありました。女性誌ですから、タイアップ記事自体は珍しくもなんともないのですが、前号までと比べると、ちょっと多いなという印象。タイトルには、全て露骨にブランド名が入っており、ZARA特集のページ以外は、ただひらすらに単純な商品紹介に徹していました。クリエイティブもへったくれもありません。制作の裏側にどんなエピソードがあったのかは想像の域を脱しませんが、もしかすると編集部も疲弊しきっているのでは……と余計な心配をしてしまいました。
(橘まり子)