「GINGER」が自己啓発雑誌に!? 全編“愛”というテーマのインタビューで読者を説教!!

 今月の「GINGER」(幻冬舎)の表紙は……AAA!? 大人の事情や政治的な何かが発動していたのかもしれませんが、意表を突かれすぎて言葉が出てきません。確かにAAAのメンバーたちはアラサーど真ん中で、「GINGER」世代ではあるのですが、ファン層と読者層が被っているとはどうしても考えられないです。っていうか、そもそもAAAのファン層ってどこ? さらに今月の表紙には「星野源」「平愛梨」「石田ゆり子」「滝川クリステル」「ぺこ&りゅうちぇる」と芸能人の名前がギッシリ。これまで誌面のほとんどをファッションページが占めていた「GINGER」に一体何があったのか……早速中身をチェックしていきましょう!

<トピックス>
◎自分スタイルで生きる注目の101人発「愛してる」を叫ぼう
◎AAA「愛ってなんだ?」
◎GINGER読者サポーター8700人のセキララVOICE 今月のテーマ「結婚相手に求める条件とは?」

■真面目で努力家な「GINGER」女子に響くAAAの仕事観

 「GINGER」といえば、服の着こなしに関する細かいルールがぎっしり詰め込まれた、まるでオシャレの教科書のような誌面が特徴です。その圧迫感のある誌面からは、オシャレを楽しんだり、あこがれたりするようなキラキラした気持ちは生まれず、「GINGER」女子たちのオシャレに対する畏れ……つまり自分自身のセンスに自信を持てず、迷走している姿が見て取れました。そんな彼女たちに、今月の「GINGER」は「愛」というテーマを提示します。これまた、夏の終わりの某チャリティ番組並みに大きく出ましたね。

 「自分スタイルで生きる注目の101人発『愛してる』を叫ぼう」と題し、AAAをはじめ、芸能人、ファッションデザイナー、スタイリスト、読者モデルまで合計101名に「あなたにとって『愛』とは?」という問いを投げかけています。「スタイリストたちのファッション愛」という私服コーディネートのページなど、ファッションページもあるにはあったのですが、ほとんどがインタビューページという、ファッション雑誌の根底を覆す攻めた構成です。そこまでして「GINGER」が読者たちに伝えたかった「愛」とは一体……。

 早速ページをめくると1ページ目から「あふれ出る輝きを放つ人たちは、みんな大切な“何か”を抱きしめながら生きている。(中略)もっと熱く、堂々と、愛するものについて語ろう。その強い愛はきっと、あなたを美しく、唯一無二の存在へと変えていくのだから!」と自己啓発チックなコピーが飛び込んできます。まあ確かに、自分の「好き」に自信がないせいか、「他人にあこがれられたい」「オシャレって思われたい」という他者の評価軸を基準に生きている「GINGER」女子たちには必要な視点なのかもしれません。企画の内容を大まかに分けると、“仕事への愛”“パートナーへの愛”“趣味への愛”の3つです。

 まずは冒頭、AAAが自身のキャリアについて語っている「AAA『愛ってなんだ?』」を見ていきましょう。これまで誌面に登場した読者の職業や職種の傾向から察するに、「GINGER」女子は、一般職OLではなく、バリキャリ志向ではないものの、それなりに責任のある仕事を任されている様子がうかがえます。そんな彼女たちには、「ステージに投げてくださる反応を受け取り、また返すという幸せなキャッチボールをずっと続けている感じ」(AAA・末吉)、「時間をかけて積み重ねた(メンバーへの)愛情があるからこそ、できること」(同・宇野)という同世代の実感がこもった仕事観は、共感を得られそうです。正直AAAについては、男女混合仲良しダンスグループが文化祭でパフォーマンスしているようなデビュー当時のイメージで止まっていましたが、キャリア12年目に突入した彼らが淡々と仕事を語る姿は、中高生よりも実はアラサーに刺さるのかもしれません。

 そんなわけで、仕事については地道に取り組んでいるように思われる「GINGER」女子は、こと恋愛・結婚に関しての具体的なビジョンが欠けている印象。それは恋愛特集がほとんど組まれないことからも明らかなのですが、なんと今回は、新婚ホヤホヤの平愛梨とぺこ&りゅうちぇるが“パートナーへの愛”についてたっぷり語ってくれています。いや、さすがに、その人選は極端なのでは……と、内容を読む前にツッコンでしまいましたよ。「平愛梨 Amore(ハート)~愛する人~」「ぺこ&りゅうちぇる絶対的な愛のカタチ」という見出しだけでもうおなかいっぱいです。

 頑張って中身も読んでみましたが、平へのインタビューは挙式・披露宴の2日前に行われたそうで、まさに幸せいっぱい。「彼に出会い、『ありがとう』という言葉が増えていました」「彼のためにすることで大変だと思ったことは一度もない」「自分でも不思議だけど、欲しいものがなくなりました。彼さえいてくれたらほかは何もいらない……かも」と眩しすぎてツッコミの余地がありません。一方、ぺこ&りゅうちぇるも「結婚して大変だなと思うことは?」という編集部からの質問に「ない!!楽しいこと、幸せなことの方が断然多いです♪」、「実は相手に秘密にしていることは?」という質問には「ない!!お互い思ったことはすべて話すようにしています」との回答。「生まれ変わってもお互いと結婚したい」と言い切れる2人の関係は、理想的な結婚ではありますが、勉強熱心な「GINGER」女子たちが、これだけを結婚の“正解”と思わないでいてくれることを祈ります。

 そんな中、巻末連載「GINGER読者サポーター8700人のセキララVOICE」の今月のアンケートテーマは「結婚相手に求める条件とは?」でした。未婚読者の回答は、「性格の良さ」42%、「ルックス」まさかの0%という結果(一応、補足すると、未婚読者が半分の4500人とした時、45人未満の場合は切り捨てで0%と計算されます)。しかしながら、既婚者座談会には「私は常々、夫がこの人で良かったと思っているんだ。顔で選んだからかな。好きな顔だと、不満があってもつい許しちゃったりするから、大事なポイントだと思うよ(笑)」とかます読者が登場するなど、「GINGER」女子の価値観を揺らしてきます。しかし、それでいいのかもしれません。「性格」なんて時と場合によって揺らぐ曖昧なものよりも「顔」という条件は大変に具体的です。

 この結婚特集の結論は「自分はどういう人間で、どんな結婚生活を送りたいかをまず思い描くこと。そうすれば自ずと、どんな相手を選ぶべきかが見えてくるはず!」といったこれまでにないほど至極まっとうな意見に落ち着きます。これは前述の「愛」特集において「アラサー女性が今もっとも憧れる理想の女性」として登場していた石田ゆり子先生のお言葉「自分にとってどんな状況が自分らしくいられるかを探って、自分が一番心地いいと感じる瞬間を知っておくこと」「それは、人から『よい』と言われるからよいのではなく、自分は一体何が好きか、他人の評価は関係なく、何をしている時の自分が一番気分がいいか、ということ」ともつながるでしょう。さらに「GINGER」女子たちより、10歳も年下のりゅうちぇるなんて達観したもので「周りの大人はみんな『結婚するにはまだ若すぎるよ。もっと先にしたほうがいい』といったけれど、それはその人の物差しや経験上の話。僕は過去の自分と比べて、確実に成長した自負があったから、『今の自分なら大丈夫!』と思って、プロポーズすることにしたの」と語っていました。

 「愛」という概念を通して、読者に「自分の軸を持て」という説教メッセージを語り続けた今月の「GINGER」。とはいえ、いきなりそう言われても難しいので、そのヒントを今月号の中から探したものの、「アラサー女子のカルチャー愛」くらいしか見当たりませんでした。タレント陣が、「漫画(by桐谷美玲)」「宝塚(by高橋愛)」「競馬(by安田美紗子)」「写真(by舞川あいく)」「コスメ(by田中みな実)」など、自身の趣味を語っており、確かに自分を知る第一歩にはなりそう。ただ、丸々1冊かけて読者を説教した割には、「趣味にハマってみる」以外のアドバイスがないなんて、「GINGER」もなかなか手厳しい雑誌なのではないでしょうか。
(橘まり子)

「non・no」モデルの私服に見る、新しい“量産型女子大生”と葛藤

 創刊45年を超える老舗女性ファッション誌「non・no」(集英社)。かつては「an・an」(マガジンハウス)のライバル誌という位置付けで、「アンノン族」という言葉まで生まれましたが、現在は“保守的な女子大生雑誌”というイメージ。「1女」「2女」「ハタチ」「ゼミ」「夏合宿」など、“大学生ワード”が散りばめられた表紙から、早くも拒絶されている感を否めない三十路の筆者ですが、意を決して「non・no」ワールドを潜入調査していきます!

<トピックス>
◎ノンノモデルの最強(ハート)夏私服50連発!
◎新木優子&西野七瀬の夏イベ楽しすぎ着回し14days
◎ハタチの恋のリアル

■真夏に「ドクターマーチン」って!?

 まずは巻頭特集「ノンノモデルの最強(ハート)夏私服50連発!」を見ていきましょう。ノンノモデルといえば、女優やタレントへの登竜門。かつては、りょうや松雪泰子、近年では菜々緒や佐々木希を輩出しました。また日本テレビアナウンサーの岩本乃蒼も、実は元ノンノモデルで、2010年のオーディションでグランプリを受賞しています。現在は約20名の専属モデルが活動しており、主に表紙を飾るのは本田翼、新川優愛、新木優子、鈴木友菜、西野七瀬(乃木坂46)の5名です。それぞれにドラマや映画、バラエティ番組のMCにアイドル活動など多方面で活躍中の彼女たちは、17年現在の女子大生たちが「マネしたくなる」ファッションアイコンなのでしょう。

 さっそく私服コーデをチェックしていくと、流行とはいえ、ワイドパンツ率100パーセント! 合わせるトップスも、オフショルダーかふんわり袖のカットソーか白Tシャツで、もちろんパンツにイン! バッグはミニショルダー、小物は大きめのアクセサリーやベースボールキャップ、そしてビビッドカラーを差し色として取り入れるところまで同じです。さらに、このクソ暑い中、なぜかドクターマーチンやエンジニアブーツを履いている人が続出しています。

 3~4年ほど前、「量産型女子大生」という言葉が、流行の女子大生ファッションを揶揄する言葉として使われました。パステルカラーに、リボンやフリル使いなど、甘くて可愛い(ちょっと野暮ったいコンサバファッションとも言う)雰囲気だった、当時流行の女子大生ファッションは、集団になった時のインパクトが大きく、皆が同じ格好をしているように見えました。しかし現在の女子大生は、皆が同じ格好をしていても、パッと見では、そのように見えません。というのも、今回の私服コーデにおいても、実は「古着」を活用している子が多く、Tシャツの柄や裾のデザインなど「レトロな雰囲気」のアイテムと流行アイテムをミックスさせているんです。またミニショルダーも「他の人とカブらないデザインが魅力」と丸型を選んだり、人気のドクターマーチンに至っては「シューレースがない10ホールブーツ」「ネイビー」「パテント素材」とそれぞれ個性をアピールしていました。

 もしかすると、女子大生たちの“周りから浮きたくない”という学校生活を送る上での保守的な気持ちと、“だけど「量産型女子大生=ダサい」とは言わせない!”という気持ちが結集し、ここ数年で女子大生のオシャレレベルがグッとアップしたのかもしれません。

 続いて、ストーリー仕立ての着回し企画「新木優子&西野七瀬の夏イベ楽しすぎ着回し14days」を見ていきましょう。「大人見えカジュアル優子」は、「沖縄の友人宅(庭付き)」で夏休みを過ごします。ざっとストーリーを追ってみましょう。

 「おしゃれなカフェで見かけた窓際の男の子(本を読むメガネ男子)からなんだか目が離せなくて」「頭の中は彼のことばかり」になってしまう優子。そんなある日、彼が「うちの畑で採れたゴーヤを持ってきました」と友人宅にやって来ます。「なんと友達の幼なじみ」だったみたい! 「メガネ男子」と「ゴーヤ」がうまくつながりませんが、「とんとん拍子で話が進んで」、「ドライブ」「浜辺を散歩」「キャンプ」を「みんなで」楽しみます。途中、2人きりで「なんだかいい感じ」になったりしつつ、最終日。「連絡先さえ聞け」なかったことを後悔していたら、「彼からまさかの電話!」。彼が東京に観光に遊び来ることになり「また会える(ハート)」と、優子はときめく――(完)。もしこれが友人からの“一夏の恋”の報告だったら、「で?」としか感想が出てきません。今どき小学生でも、もっと積極的にアピールするのでは? と思うほど主人公は受け身です。

 一方「華やかフェミニン七瀬」のストーリーを見てみましょう。「友達と水遊び」「友達とサイクリング」「ママと買い物」「地元仲間とBBQ」と、どうやら彼氏はいない様子。そんなある日「地元(大阪)でのロックフェス」に参戦したところ、「大好きなロックバンドのボーカルの彼と目が合った気がするー!」とのこと。そこから七瀬の「報われるはずのない恋」が始まります。「ファンレターを書こうかな」と悩んだせいで寝不足。なぜか「お菓子作りでストレス発散」。ところが事態は急展開! 旅行で東京に遊びに行くと「風に飛ばされた帽子を拾ってくれたのは、あのロックバンドのボーカル!? 夢みたい!」と浮かれるものの、ありがちなシンデレラストーリーが始まるわけではなく、「あの彼の結婚記者会見」で幕を閉じます。またしても「で?」な展開です。

 もしかすると乃木坂46の西野は恋愛禁止のため、リアルな恋愛ストーリーはNGだったのかなとも邪推したのですが、その後にある企画「優華が着回すプチプラ20days」においても同様で、恋に恋する片想いストーリーが展開されていました。いくら「non・no」が保守的な女子大生をターゲットにしているからといって、夢見がちどころか恋愛の入口にも立っていないなんてことがありえるのでしょうか……?

 そんな疑問を解決するためにピッタリの企画がありました! 7,610人の読者にアンケートを取った「ハタチの恋のリアルまとめ」です。アンケートによると、「ノンノ読者の彼アリ率は約4割」。なーんだ、リアルに彼氏いるんじゃーん! と安心しましたが、「交際経験ナシ」という回答も全体の4分の1ということで、やっぱりノンノ女子は奥手なのかも? そして交際中カップルの半数以上が、クラスメイトやサークル内での“同い年カップル”だそうで、身近なところで相手を見つけているのも受け身体質ゆえでしょう。そして、なんと8割以上が「彼からの告白」で付き合い始めたといい、どうやら「non・no」読者の生きる世界には「草食男子」という言葉は存在しないようです。

 また9割以上の読者に結婚願望があり、理想の年齢は「26.1歳」。現在の女性の初婚年齢が「29歳」という事実に鑑みると、“婚活に悩むアラサー女子”たちにケンカを売っている気もします。「今の彼と結婚したい」と考えている読者が6割以上いるようですが、「絶対にその彼氏逃がすなよ!」と老婆心ながら思ってしまいます。

 さらにアンケートでは「結婚後の理想の働き方」についても聞いており、不景気ゆえか専業主婦志向は少ないものの、半数以上が「家庭を優先しながら働きたい」と答えています。もちろんこれらは現段階での希望であって、社会に出ていない女子大生の理想。しかし告白はもちろん、デート代についても「彼が多めに支払う」カップルが半数を超えており、オシャレのレベルはアップしても、恋愛や結婚観については受け身な旧世代の価値観のままアップデートされていないノンノ女子像が浮かび上がりました。
(橘まり子)

「Domani」、香水カウンセリングの「なりたい自分に合う香り」が“占い”と重なるワケ

 Domani(小学館)8月号、現実世界7月。1か月のずれはありますが、どちらも暑いことには変わりなし! もちろん誌面も、ファッション面では「セール術」に始まり、「夏色通勤スタイル」、ビューティー面では「匂いや汗」に言及したり、ライフスタイル面では「島旅」などなど、この季節、この時期特有のものばかり。

 が! ここで、「今日本でいちばんスーツが似合う男『Suit Men of the Domani 2017」」という、なんだか暑苦しい企画発見。世の中、クールビズじゃないのか? おいおい、スリーピース着ちゃってる人もいるよ……。全員ジャケット着用だし。見ているこちらも息切れするくらい、スーツ、スーツ、スーツの男祭り! いきなりなんでスーツ特集なの? 秋口まで待てない? とりあえず暑いっす。ただ、一点だけうれしいことに、「オフィスで働くスーツメンSNAP」企画は、「独身・既婚」の記載付き。だけど、これ見てどうしろっていうんだ! 「独身」の人の、連絡先や行きつけのご飯屋さんも書いておいてくれないと、どうにもならんだろ!

<トピックス>
◎蛯原友里、女・妻・母なリアルライフ
◎「Suits Men of the ★Domani 2017」
黒柳徹子~比べない生き方~

■インスタグラマーとしての徹子
 突然きました。「テレビや舞台などで60年以上活躍し続け、800万部という超ミリオンセラーの作者。そして今ではインスタグラムの女王でもある“トットちゃん”」のインタビュー! 80を過ぎた今でも現役で働き続け、そしてWikipediaによれば、ドマーニ世代の38歳で休業をし、NYに1年住んでいたという黒柳徹子さん。確かに「Domani」が目指す女性像のような気もしますね。女が働き続けるための心構え、キャリアを築く中での困難の乗り越え方、そのあたりのお話を中心に聞くのかしら? と思っていたら、「おしゃれのことからお聞きします」「毎日元気でいられるコツ」、最後に「ハッピーでいられるコツ」の3部構成! 仕事の話、さっぱり。そこについては、「念願のNY生活を5月から始めました…!」と浮かれている、「小泉里子 35歳のポートレート」を読めってこと!?

 気を取り直して、徹子さんの「元気のコツ」ですが、夜間(午後10時~深夜2時)に出る成長ホルモンを意識した生活をしているそうですよ。大体、午後11時に帰宅したら、服だけ脱いで、顔も洗わずに、とりあえず就寝。で、3時間後、深夜に目覚めてからメークを落とし、風呂に入って、それからまた寝る……「2回に分けて合計7、8時間寝るというふうにしたら体も気分もね、すごくいい」って、難易度高くて、真似する気になりませんけど……。っていうか、あの厚化粧を落とさず寝てるって肌は? 問題ないの?

 『徹子の部屋』(テレビ朝日系)の弾丸トークさながら、余談、余談、余談で話がどんどん進みます。ポイントだけさらうと、「ハッピーでいられるコツ」は、「『今』に一生懸命になること」「仕事も人生も人と自分を比べないこと」「どうでもいいことは聞き流す」「いちいち物事を深く考えすぎないこと」「自分が選んだことなんだって自覚すること」ですってよ。

 インタビュアーに質問されたんですかね、一応、話の途中で、仕事をしている「Domani」読者に向かって、思い出したかのように語りかけるんですが、「部下もいたり、上司ともうまくやらなきゃいけないし、悩める世代よね。だけど、どんな人にも誠意を尽くして接していたら、うまくいくんじゃないかしら」、以上。とにかく自分のことばかりしゃべりまくり、「どうでもいいことは聞き流す」というのは、まさにその通りのようです。
 読者のどれほどの人が、徹子のライフスタイルやアドバイスを参考にするかといえば、まあ限りなくゼロでしょう! 徹子のファションセンスも人付き合い方法も、「Domani」読者のセンスとハマる要素が見当たらないですもん。でも唯一の接点、インスタグラムなら両者をつなぐ架け橋になり得たのに、インタビューではノータッチ! なら、冒頭で「インスタの女王」と花を持たせないで~。

■匂いの前に臭いでしょうが!
 美容連載「キレイの事件は現場で起きている!」。先月号の連載では、GINZA SIXにあるカフェの高額さに金を出すのを渋ったのに、今月号では「17,500円」「38,000円」「10,500円」と万単位のプライスが誌面を支配。一体、なにが財布の紐を緩めたの?

 連載キャラの明日美、「大人たるもの『これぞ自分を表現する香り!』といえるフレグランスを1本はもっていたい」と思い立ち、「パーソナルフレグランス診断」を行脚することに。それにより、「好きな香り」「なりたい自分に合う香り」「今の自分に合う香り」と、3つの香水が決まっていきましたけど、なんだかこれって、占いみたいだな~と心がざわつきます。だって、「コレをつけると恋愛や婚活がうまくいくよ!」という香水をパーソナルカウンセリングでおすすめしてくれるうえに、カウンセリング料も、120分1万800円や30分1万円と、名うての占い師並! 「腕のにおいをクンクンする」ことで合う香りを診断するという、レベル高めのカウンセリングに至っては、なにを言われても信じるしかないですもんね。結果、わかったことは、女の財布は、占い・鑑定・カウンセリングが絡むと開きがち、ってことですね!

 ただ、 今月号では「香水」とは別に、「困る!真夏のビミョーな美容問題」と題しまして、「飲み会の食べすぎ」に始まり、「ワキ汗」や「足のニオイ」「頭皮のニオイ」「おならが臭い」「口臭」などの「ニオイ」問題にも言及しています。「こ、これは…脱いだら暴動が起きるレベル…」と、お座敷前でしゃがみこんでいる絵も描かれており、危険度マックスな感じ。

 次回あたりに「スメハラ」特集をやりそうなムードがありますね。そしてそして、「頭皮のニオイ」では、「最近は、湯シャンなどもありますが、頭皮のニオイや髪のベタつきが気になる人は、泡でしっかりシャンプーするのがおすすめ。フライパンの油汚れが洗剤なしには落とせないように(以下略)」って、たとえがヒドすぎですよ!

「CLASSY.」がオススメする“40歳婚”、その身も蓋もない“幸せ”の正体

 今号の「CLASSY.」(光文社)、特集は「骨格診断で夏のオシャレが劇的に変わる!」です。骨格診断とは「CLASSY.」が長く唱えている、生まれ持った骨の大きさや筋肉や脂肪の付き方で体形を判断するもの。「雑誌やネットにあふれるスタイルアップテクニック、自分にはどうもしっくりこないなと思ったことはありませんか? たぶんそれは骨格タイプが合っていなかったから」とはリードの弁。ファッション的に狭間の季節ならではの、ひねり企画です。ただ毎回思うのは、それぞれのタイプの特徴を読んでも、どれが自分に当てはまるのかわからない……。ただの肉付きがいいタイプがない……。

<トピックス>
◎特集 骨格診断で夏のオシャレが劇的に変わる!
◎Sサイズ名品で7月の着回しDiary
◎本当の幸せは40歳婚にある!?

■高いところにある資料は脚立で取れ

 スタイルアップ特集の宿命ですが、元々スタイルがいいモデルさんが何を着ても「はぁぁ似合いますな」としかならず、かといって読者が出てくると急に現実に引き戻されてしまいます。ですので、この特集の正しい楽しみ方は、無理やりでも自分の骨格タイプを確定し、「あぁ私が何着ても似合わなかったのは、骨格タイプに合ってないものを着ていたからなのね……」とひとり自分を慰め、まだ見ぬ未来に希望を確保しておく……これではないでしょうか。

 さて、今回拝見したいのは、久しぶりの着回し企画「Sサイズ名品で7月の着回しDiary」です。出た。出ました。「CLASSY.」のSサイズもてあそび企画。今月の主人公は「編集者に憧れて出版社に就職。この6月にファッション誌からスポーツ誌へ移動になり、プロバスケットボールのBリーグ担当に。ミーハーな性格で、話題のスポットやオシャレなものに目がない」29歳女性。Bリーグ注目選手の取材に出かけたら、そこにいたのは大学時代の同期SHOTA選手だった……と、もうここまで読んだだけで結末が見えてしまう。Sサイズ女子とバスケ選手のラブストーリーとは、「CLASSY.」名物“ベタの上塗り”ですね。

 このタイプは、おそらくねぇ、「SHOTA選手の取材をしてから、合コンに行ってもなんか気乗りしなくてぇ……」とか言い出すんですよ。そしたらやっぱり、「定時で打刻して合コンへ。それなりにイケメン揃いなのに何だかテンションが上がらない……」と7日目にして言っていました。ほかにも、「おおよそ取材でもないのにスポーツドリンクの差し入れをする」とか、「遅くまで体育館の灯りがついてるから行ってみたらまだ練習していた」とか、「高い場所にある資料を取ろうと思ってもSサイズだから届かない」といった展開なんでしょ? と思ったら、もちろんそれら全部やってましたよ!

 その後も、着回し企画定番の流れは続きます。“キレイな女の人と歩いているのを目撃”→“モヤモヤして仕事にも身が入らない”→“買い物で(orカラオケで)ストレス発散”→“もうあきらめよう”→“でもやっぱり……”という展開でだいたい5日分くらいを費やして、最終日に向こうから「付き合ってください」のオチ。主人公の「あの女性はショータのお姉さんだったことが判明。1人でやきもきしちゃって馬鹿みたいだったけど、嬉しいからもうなんでもいい!」という独白とともに、アイテム紹介でバーーーーーっと怒涛の帳尻合わせをしています。結局なんでもいいんかい!

 着回し企画につっこむほど野暮なことはないと、このレビューでも散々申し上げておりますが、そろそろもっとこう、予測不能な一発がほしいなというのも正直なところです。アイテムが一切頭に入らない、キョーレツなやつこそ「CLASSY.」の着回し企画の神髄だと思っているのですが……。

 続きましてご紹介するのは、巻末の読み物ページ「本当の幸せは40歳婚にある!?」です。なかなか衝撃的なタイトル。リードには「『婚活』という言葉に追い立てられ、早く結婚して35歳までに1人は子供を産みたいと焦る毎日…。何故そんなに35歳のリミットに追い詰められるのか。アラサー女性に立ちはだかる35歳の壁と、気持ちにゆとりが持てる幸せな『40歳婚』について考えてみました」とあります。

 まず「35歳の壁」に悩む女性たちの心の叫びから。「『なんで結婚しないの?』友達の無邪気な質問が辛い(34歳・商社勤務)」「幸せに歳を重ねられない自分。SNSが苦痛になりました(35歳・メーカー勤務)」「『35歳までに子供を』という圧力に焦りまくりです!(33歳・秘書)」「自分らしくと始めた習い事。でもそれって本当にしたいこと?(34歳・金融関係勤務)」……etc。それぞれが異なる人生を歩み始める30代。“誰かができていて自分ができていないこと”が可視化されてしまい、それが35歳近辺の女性たちを悩ませているようです。もちろん“自分ができていて誰かができていないこと”もたくさんあるわけですが、そこには目が行きにくいというのもまた事実です。

 それに対し、「35歳は18歳くらいの理想がストップ高を起こしている年齢。スペックじゃんけんで最強の人と結婚しても幸せにはなれません」「『型にはめていけば幸せになれる』という発想は女性ならではの思い込み。まずは落ち着いてください」「今のアラサー世代はなんでも計画的に進めたいという傾向が。『妊活』という言葉もしんどい理由です」など「35歳の壁」がしんどい理由を識者たちが解説していますが、う~ん。一般的に女性の妊娠期間には限度があると言われ、日々その“デッドライン”に近づいている実感はいかんともしがたいわけで、「焦るな」とか「落ち着け」とか言われても難しいものなのではないでしょうか。

 ということで、それらの焦りやイライラを経て幸せをつかんだ「40歳婚をした人生の先輩たちに聞く『本当の幸せは40歳婚にある!』座談会」が次ページに続きます。「自立していて大人だからお互いの考えを尊重し合える」「経済力だけでなくどちらにも『生活力』があるのもポイント」「若い時だと今の主人の魅力には気づけなかったかも(笑)」など、40歳婚のメリットが語られております。偶然なのか必然なのか、座談会参加者(男性1人、女性2人)の、2人が会社経営、1人がMBA取得を目指す大学院生。なんというか、ご本人たち自身にも、そこはかとない余裕がおありになるんですよ。

 人は40歳になって突然「人間的にも落ち着いて精神的にも経済的にも自立した」大人になるわけではない。ダメな35歳は、おそらくダメな40歳になる可能性が高いわけで、40歳婚が幸せなわけではなく「自分が40歳という年齢の分別がある人間になり、またそういう人と出会える」ことが幸せなのでしょう。あぁほんと、身も蓋もない話ですが。
(西澤千央)

「裸になれる女」特集に見る「GINGER」女子の欲望の裏――「ありのまま」「自然体」への畏怖

 記念すべき創刊100号を迎えた今月の「GINGER」(幻冬舎)。表紙は、今や国民的女優として愛されている、ガッキーこと新垣結衣です。月9ドラマ『コード・ブルー‐ドクターヘリ緊急救命‐THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)の番宣でしょうが、考えてみればガッキーももう29歳。「GINGER」の読者たちと同じ、れっきとしたアラサーなんですね。モテ路線に乗っかることもできず、ささやかなようで欲深いプライドに振り回され続けているように見える「GINEGR」女子たちは、ピュアで清楚、かつナチュラルなイメージのガッキーに、共感する部分はあるのでしょうか。早速、中身をチェックしていきましょ~。

<トピックス>
◎COVER WOMAN 新垣結衣 Just the way I am ありのままの自分で生きる
◎おしゃれ人の肌見せ論
◎辛口派が着たくなる夏の肌見せ服

■「ありのまま」「自然体」「センス」という大問題

 突然の「モテ」特集が不発に終わって以降、「ZARA」→「白Tシャツ」と、まるで禊のようにファッションのシンプル化を推し進めてきた「GINGER」。ついに今月は、全てを脱ぎ捨てた結果、まさかの「裸」推し。「余計なものは脱ぎ捨てて おしゃれも、生き方も、自分らしく!」というコピー通り、ファッションページも読み物ページも、1冊を通して「裸になれる女」がテーマの企画が並びます。いやいや、売れないグラビアアイドルじゃないんだから、そんなに簡単に脱いじゃっていいわけ!? と衝撃を受けましたが、どうやら「ありのまま」「自然体」といった意味で「裸」を使っているようでした。

 まずは表紙モデルへのインタビュー企画「COVER WOMAN」を見ていきましょう。「ありのまま」「自然体」で生きているように見えるガッキーも、「すごく若いころは、皆さんが抱く<ガッキーのイメージ>と、いわゆる<素の私>との距離感に悩んだ時期もある」そうで、しかし今では、「私自身は“こう見てほしい”とか、“こう見られたい”という気持ちが、いつの間にかなくなってしまったんです。だから今は、私のことをどう思ってくれても構わない。ただ、私を見た人が少しでも気持ちよく思ってくれたらうれしい」という境地に至ったとか。

 以前から女性誌レビューで指摘しているように、「GINGER」女子たちは「他人よりちょっと抜きん出たい」「あこがれられたい」という欲望が行動基準となっているように見えます。それだけに、おしゃれもプライベートも、自分の好きなものや心地よいものがわからないまま、迷走を続けている印象も。そんな彼女たちにとっては、「自然体」という境地に至るまでの「いつの間にか」の部分をもっと詳しく聞きたかったんじゃないですかね。だって、「余計なものは脱ぎ捨てて裸になれ」と言われても、それを感覚的に理解できないから、迷走しているのであって……。現に「GINGER」の誌面を見ても、「モテ」という正解のないテーマを取り上げるより、「ZARA」「白Tシャツ」を着るなどといった具体的な提案をする方が、ノッていたような気がします。そう、「GINGER」は、どこまでいっても現実主義の雑誌なんです。

 続くファッションページからも、それがうかがえます。今月は「裸」というテーマに合わせて「肌見せ」「露出」ファッションが特集されています。そこでは、まずコーディネート紹介の前に、「おしゃれ人の肌見せ論」と題して、デザイナーに「肌見せ服の神髄」とやらを聞いているのですが、これまた「GINGER」女子を悩ませそうな言葉のオンパレード。「その服を纏って動いた時、いかに美しい“残像”を描けるか」といった一文もさることながら、「スタイリッシュ」「リッチ」「シャープ」などのワードからも、要するに露出にもセンスが必要だと痛感させられます。読めば読むほど「おしゃれ」ってこんなに難しいものだったのか……と、暗たんたる気持ちが募るばかり。そもそも女性誌のファッションページって、「可愛い!」「真似したい!」と思ったり、素敵な洋服にうっとりしながら読めれば、それでいいんじゃないかしら……と感じてしまうのは筆者だけでしょうか。

 そして、その後の「辛口派が着たくなる夏の肌見せ服」という企画では、「背中開き」「背中深V」「背面Uネック」、「袖スリット」「深めスリット」「サイドスリット」「前スリット」、「ハリ感素材」「カジュアル素材」「ドライな質感」などなど、細かな違いを丁寧に説明してくれる流れになっています。毎度のことながら文字情報が多く、細かいルールがぎっしりの誌面からは、「センス」に自信がないから、それが問われる「おしゃれ」という分野に対して、畏怖とあこがれを抱く「GINGER」女子の一面が浮き彫りになってきます。

 「自然体」で「ありのまま」の全てを脱ぎ捨てた「裸」の私になるためにも、まさにその「センス」が必要なのかも。勉強家なのはいいことですが、「GINGER」女子たちが自身の「裸」に自信を持つために必要なのは、参考書のようなルールではなく、もっと別のものだと思いました。

■筋トレが「裸」に自信をつけてくれる?

 続いて「女が惚れる女のカラダ、その舞台裏」を見ていきましょう。泉里香、橋本マナミ、佐野ひなこなど、男性はもちろん、女性も認める“健康的で色気のある体つき”の女性芸能人たちに、体形維持についてのインタビューをしています。大体、芸能人への美容に関するインタビューでは「何もしていませ~ん」という答えが一般的ですが、今回は一味違います。「週に2回のジム通い」「パーソナルトレーナー」「ボクササイズ」「寝る前にプロテイン」「夜ご飯は18時半までに(外食でも21時までに)」「ホットヨガ」「リンパマッサージ」「炭水化物の代わりにブロッコリー」「医師の元で食事制限」「シックスパッド」……と、ストイックな単語が並びます。そして皆一様に「理想」を掲げて日々の「努力」を怠らず、「今では自分のカラダが大好き」と語っているんです。

 これ、お勉強や努力が大好きな「GINGER」女子たちと相性バッチリな気がします。筋トレは目に見える結果が出ますし、感覚的に理解しにくい「センス」を追い求めるより、よっぽど本来の意味での「裸」に自信が持てそうです。それにトレーニングに集中することで「他人よりちょっと抜きん出たい」「あこがれられたい」という邪念も振り払えそう。「GINGER」女子と「筋トレ」……せっかくなので連載企画にしてしまえばいいのにと思う筆者でした。
(橘まり子)

「裸になれる女」特集に見る「GINGER」女子の欲望の裏――「ありのまま」「自然体」への畏怖

 記念すべき創刊100号を迎えた今月の「GINGER」(幻冬舎)。表紙は、今や国民的女優として愛されている、ガッキーこと新垣結衣です。月9ドラマ『コード・ブルー‐ドクターヘリ緊急救命‐THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)の番宣でしょうが、考えてみればガッキーももう29歳。「GINGER」の読者たちと同じ、れっきとしたアラサーなんですね。モテ路線に乗っかることもできず、ささやかなようで欲深いプライドに振り回され続けているように見える「GINEGR」女子たちは、ピュアで清楚、かつナチュラルなイメージのガッキーに、共感する部分はあるのでしょうか。早速、中身をチェックしていきましょ~。

<トピックス>
◎COVER WOMAN 新垣結衣 Just the way I am ありのままの自分で生きる
◎おしゃれ人の肌見せ論
◎辛口派が着たくなる夏の肌見せ服

■「ありのまま」「自然体」「センス」という大問題

 突然の「モテ」特集が不発に終わって以降、「ZARA」→「白Tシャツ」と、まるで禊のようにファッションのシンプル化を推し進めてきた「GINGER」。ついに今月は、全てを脱ぎ捨てた結果、まさかの「裸」推し。「余計なものは脱ぎ捨てて おしゃれも、生き方も、自分らしく!」というコピー通り、ファッションページも読み物ページも、1冊を通して「裸になれる女」がテーマの企画が並びます。いやいや、売れないグラビアアイドルじゃないんだから、そんなに簡単に脱いじゃっていいわけ!? と衝撃を受けましたが、どうやら「ありのまま」「自然体」といった意味で「裸」を使っているようでした。

 まずは表紙モデルへのインタビュー企画「COVER WOMAN」を見ていきましょう。「ありのまま」「自然体」で生きているように見えるガッキーも、「すごく若いころは、皆さんが抱く<ガッキーのイメージ>と、いわゆる<素の私>との距離感に悩んだ時期もある」そうで、しかし今では、「私自身は“こう見てほしい”とか、“こう見られたい”という気持ちが、いつの間にかなくなってしまったんです。だから今は、私のことをどう思ってくれても構わない。ただ、私を見た人が少しでも気持ちよく思ってくれたらうれしい」という境地に至ったとか。

 以前から女性誌レビューで指摘しているように、「GINGER」女子たちは「他人よりちょっと抜きん出たい」「あこがれられたい」という欲望が行動基準となっているように見えます。それだけに、おしゃれもプライベートも、自分の好きなものや心地よいものがわからないまま、迷走を続けている印象も。そんな彼女たちにとっては、「自然体」という境地に至るまでの「いつの間にか」の部分をもっと詳しく聞きたかったんじゃないですかね。だって、「余計なものは脱ぎ捨てて裸になれ」と言われても、それを感覚的に理解できないから、迷走しているのであって……。現に「GINGER」の誌面を見ても、「モテ」という正解のないテーマを取り上げるより、「ZARA」「白Tシャツ」を着るなどといった具体的な提案をする方が、ノッていたような気がします。そう、「GINGER」は、どこまでいっても現実主義の雑誌なんです。

 続くファッションページからも、それがうかがえます。今月は「裸」というテーマに合わせて「肌見せ」「露出」ファッションが特集されています。そこでは、まずコーディネート紹介の前に、「おしゃれ人の肌見せ論」と題して、デザイナーに「肌見せ服の神髄」とやらを聞いているのですが、これまた「GINGER」女子を悩ませそうな言葉のオンパレード。「その服を纏って動いた時、いかに美しい“残像”を描けるか」といった一文もさることながら、「スタイリッシュ」「リッチ」「シャープ」などのワードからも、要するに露出にもセンスが必要だと痛感させられます。読めば読むほど「おしゃれ」ってこんなに難しいものだったのか……と、暗たんたる気持ちが募るばかり。そもそも女性誌のファッションページって、「可愛い!」「真似したい!」と思ったり、素敵な洋服にうっとりしながら読めれば、それでいいんじゃないかしら……と感じてしまうのは筆者だけでしょうか。

 そして、その後の「辛口派が着たくなる夏の肌見せ服」という企画では、「背中開き」「背中深V」「背面Uネック」、「袖スリット」「深めスリット」「サイドスリット」「前スリット」、「ハリ感素材」「カジュアル素材」「ドライな質感」などなど、細かな違いを丁寧に説明してくれる流れになっています。毎度のことながら文字情報が多く、細かいルールがぎっしりの誌面からは、「センス」に自信がないから、それが問われる「おしゃれ」という分野に対して、畏怖とあこがれを抱く「GINGER」女子の一面が浮き彫りになってきます。

 「自然体」で「ありのまま」の全てを脱ぎ捨てた「裸」の私になるためにも、まさにその「センス」が必要なのかも。勉強家なのはいいことですが、「GINGER」女子たちが自身の「裸」に自信を持つために必要なのは、参考書のようなルールではなく、もっと別のものだと思いました。

■筋トレが「裸」に自信をつけてくれる?

 続いて「女が惚れる女のカラダ、その舞台裏」を見ていきましょう。泉里香、橋本マナミ、佐野ひなこなど、男性はもちろん、女性も認める“健康的で色気のある体つき”の女性芸能人たちに、体形維持についてのインタビューをしています。大体、芸能人への美容に関するインタビューでは「何もしていませ~ん」という答えが一般的ですが、今回は一味違います。「週に2回のジム通い」「パーソナルトレーナー」「ボクササイズ」「寝る前にプロテイン」「夜ご飯は18時半までに(外食でも21時までに)」「ホットヨガ」「リンパマッサージ」「炭水化物の代わりにブロッコリー」「医師の元で食事制限」「シックスパッド」……と、ストイックな単語が並びます。そして皆一様に「理想」を掲げて日々の「努力」を怠らず、「今では自分のカラダが大好き」と語っているんです。

 これ、お勉強や努力が大好きな「GINGER」女子たちと相性バッチリな気がします。筋トレは目に見える結果が出ますし、感覚的に理解しにくい「センス」を追い求めるより、よっぽど本来の意味での「裸」に自信が持てそうです。それにトレーニングに集中することで「他人よりちょっと抜きん出たい」「あこがれられたい」という邪念も振り払えそう。「GINGER」女子と「筋トレ」……せっかくなので連載企画にしてしまえばいいのにと思う筆者でした。
(橘まり子)

「ar」夏のSEXY特集が、「中身のない自己啓発書」にしか見えないワケ

 20代向けビューティ&ファッション誌「ar」(主婦と生活社)の7月号は、SEXY特集号ということで、表紙には「あるのなら醸して活かそう女の色気 HOT! HOT! SUMMER!!」と銘打たれています。五・八・七調という微妙な字余り感の標語(?)、「あるのなら 醸して活かそう 女の色気」が気になります。「色気? まぁ、あるかな~。ちょっと醸しとく? 活かしとく?」的な、色気がある前提という余裕が感じられます。どうせならそこは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」(豊臣秀吉)に倣うくらいの気持ちで、「ないのなら 出させてみせよう 女の色気」くらい強気にいってくれたら、手に取る層も広がるのではないでしょうか……と提案したくなりました。

<トピックス>
◎空前絶後の!!セクシーーーーー服
◎お誘い(ハート)ランジェリー
◎篠崎愛のむぎゅっと抱きしめうさぎBODY

■セクシー服はサンシャイン池崎が手本なのか

 SEXY特集ということですが、昨年の同特集の見出し「夏のエロ髪は質感勝負」「うちで一番エロいの、コレです」「色気を醸す声と話術」などと比べたら、今年はなぜか、おとなしめ。メインである「オンナは赤でオトす」と題した、赤をメインに持ってくるファッション&メイクのページに、赤い下着が6セット掲載されていることを除けば、通常営業の「ar」に見えます。

 続いてのファッションページは、見出しが、「空前絶後の!!セクシーーーーー服」。サンシャイン池崎のギャグに手を出しています。実は目次のページで、この見出しのすぐ隣に、両脇を全開にする池崎の「イェーーーーイ!」ポーズをとる人気モデル・森絵梨佳の写真が掲載されていたため、「まさかこの特集では、オシャレポーズしかとらないarモデルたちが、池崎ポーズを……!?」と期待してページをめくりました。しかし、池崎ポーズはどこにもありません。目次ページの森のポーズは、メイン特集「オンナは赤でオトす」の中の、赤リップを紹介するページにありました。どうも偶然の産物だったようです。

 気を取り直して、“セクシーーーーー服”。背中見せ、肩見せ、透け、セクシーシルエットなどが紹介されています。この露出度の高さ、いつでもタンクトップ&短パンの池崎感があるかもしれません。キャプションも「透ければ透けるほど、気になる存在(ハート)」「あの手この手でセクシーを獲得」など、夏の暑さでいっちゃったようなハイテンションが続き……。大げさな言葉と勢いで引っ張る池崎と同誌の芸風は、確かに似ていますね。

 ほかに“SEXY特集らしいページ”と感じたのが、下着紹介企画の「お誘い(ハート)ランジェリー」と、性のお悩みQ&Aページ「誰にも言えない悩みはここで aR18」。

 「お誘いランジェリー」では、「彼とのおアツい夜の演出に」と、これでもかといわんばかりの64セットの下着が掲載され、見ごたえはたっぷり。しかし、下着はなぜか「ポチャ子」向けと「ヤセ子」向けで分類して紹介されています。例えばポチャ子向けには、「気になるパーツ いっそぜ~んぶ隠しちゃえ!」とのキャプション付きで、露出控えめのブラ&パンティーや、「サイドのスリット効果で太ももほっそり」効果が期待できるというショーツが。色気がある女子というのは、“脱ぐ”ためにお誘いランジェリーを身に着けるのだとしても、脱ぎ去る前の一瞬にまで気を配るのかと感心しました。

 性のお悩み相談企画「aR18」で回答者を務めるのは、定番の女性の婦人科専門医とセックスカウンセラー。質問内容も、ほかの女性誌で読んだことがあるオーソドックスなものばかりで、特に「ar」独自路線は見られなかったのは残念ですが、色気を追い求める「ar」読者も、性の悩みは普通の女子と変わらないのかという、安心感だけは収穫でした。

■また出た「うさぎ」推し

 5月号で「うさぎ女子」、6月号で「うさぎFACE」を紹介していた「ar」。今月号では「うさぎBODY」を打ち出し始めました。うさぎBODYの持ち主として誌面に登場しているのは篠崎愛。巨乳が売りのグラビアアイドルで、最初のページではがっつりと胸の谷間も披露しています。

 うさぎBODYの定義は、「抱き心地」「柔らかな丸み」「可愛いエロさ」「透明感」「湿度のある白肌」とかなり欲張りで、かつ男性目線のもののよう。「柔らかな丸み」に関しては、「バストやヒップはもちろんだけど、うさぎボディを狙うなら、肩や二の腕などすべてのラインがまあるくなめらかであることが必須条件」とし、想像しにくい“全てが丸い女子”を推奨。さらに「可愛いエロさ」では、「無理にセクシーさを演出するんじゃなくて、自分らしい女の子パーツを素直に生かして」と呼びかけ、「無邪気さからにじむ伸びやかなエロスが“近付きたい”“触れてみたい”って周りをキュンキュンさせる無敵の吸引力につながるというワケ」と説明しています。一つひとつの言葉の響きは、ステキでキュンキュンするのですが、具体的にどうすれば「無邪気さから伸びやかなエロス」や「無敵の吸引力」が生まれるのかは触れられず、中身のない自己啓発書でヤル気だけ無理に起こされているときと似た気分になってきます。

 そして、篠崎が紹介しているビューティーアイテムも、「ヴァセリン」「牛乳石鹸」「MTG リファカラット」という、誰でも知っているであろう3点。うさぎBODYの奥が深いのか、浅いのか、もはやよくわからなくなってきています。

 次号からのうさぎ展開にも期待大です。
(島本有紀子)

「ar」夏のSEXY特集が、「中身のない自己啓発書」にしか見えないワケ

 20代向けビューティ&ファッション誌「ar」(主婦と生活社)の7月号は、SEXY特集号ということで、表紙には「あるのなら醸して活かそう女の色気 HOT! HOT! SUMMER!!」と銘打たれています。五・八・七調という微妙な字余り感の標語(?)、「あるのなら 醸して活かそう 女の色気」が気になります。「色気? まぁ、あるかな~。ちょっと醸しとく? 活かしとく?」的な、色気がある前提という余裕が感じられます。どうせならそこは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」(豊臣秀吉)に倣うくらいの気持ちで、「ないのなら 出させてみせよう 女の色気」くらい強気にいってくれたら、手に取る層も広がるのではないでしょうか……と提案したくなりました。

<トピックス>
◎空前絶後の!!セクシーーーーー服
◎お誘い(ハート)ランジェリー
◎篠崎愛のむぎゅっと抱きしめうさぎBODY

■セクシー服はサンシャイン池崎が手本なのか

 SEXY特集ということですが、昨年の同特集の見出し「夏のエロ髪は質感勝負」「うちで一番エロいの、コレです」「色気を醸す声と話術」などと比べたら、今年はなぜか、おとなしめ。メインである「オンナは赤でオトす」と題した、赤をメインに持ってくるファッション&メイクのページに、赤い下着が6セット掲載されていることを除けば、通常営業の「ar」に見えます。

 続いてのファッションページは、見出しが、「空前絶後の!!セクシーーーーー服」。サンシャイン池崎のギャグに手を出しています。実は目次のページで、この見出しのすぐ隣に、両脇を全開にする池崎の「イェーーーーイ!」ポーズをとる人気モデル・森絵梨佳の写真が掲載されていたため、「まさかこの特集では、オシャレポーズしかとらないarモデルたちが、池崎ポーズを……!?」と期待してページをめくりました。しかし、池崎ポーズはどこにもありません。目次ページの森のポーズは、メイン特集「オンナは赤でオトす」の中の、赤リップを紹介するページにありました。どうも偶然の産物だったようです。

 気を取り直して、“セクシーーーーー服”。背中見せ、肩見せ、透け、セクシーシルエットなどが紹介されています。この露出度の高さ、いつでもタンクトップ&短パンの池崎感があるかもしれません。キャプションも「透ければ透けるほど、気になる存在(ハート)」「あの手この手でセクシーを獲得」など、夏の暑さでいっちゃったようなハイテンションが続き……。大げさな言葉と勢いで引っ張る池崎と同誌の芸風は、確かに似ていますね。

 ほかに“SEXY特集らしいページ”と感じたのが、下着紹介企画の「お誘い(ハート)ランジェリー」と、性のお悩みQ&Aページ「誰にも言えない悩みはここで aR18」。

 「お誘いランジェリー」では、「彼とのおアツい夜の演出に」と、これでもかといわんばかりの64セットの下着が掲載され、見ごたえはたっぷり。しかし、下着はなぜか「ポチャ子」向けと「ヤセ子」向けで分類して紹介されています。例えばポチャ子向けには、「気になるパーツ いっそぜ~んぶ隠しちゃえ!」とのキャプション付きで、露出控えめのブラ&パンティーや、「サイドのスリット効果で太ももほっそり」効果が期待できるというショーツが。色気がある女子というのは、“脱ぐ”ためにお誘いランジェリーを身に着けるのだとしても、脱ぎ去る前の一瞬にまで気を配るのかと感心しました。

 性のお悩み相談企画「aR18」で回答者を務めるのは、定番の女性の婦人科専門医とセックスカウンセラー。質問内容も、ほかの女性誌で読んだことがあるオーソドックスなものばかりで、特に「ar」独自路線は見られなかったのは残念ですが、色気を追い求める「ar」読者も、性の悩みは普通の女子と変わらないのかという、安心感だけは収穫でした。

■また出た「うさぎ」推し

 5月号で「うさぎ女子」、6月号で「うさぎFACE」を紹介していた「ar」。今月号では「うさぎBODY」を打ち出し始めました。うさぎBODYの持ち主として誌面に登場しているのは篠崎愛。巨乳が売りのグラビアアイドルで、最初のページではがっつりと胸の谷間も披露しています。

 うさぎBODYの定義は、「抱き心地」「柔らかな丸み」「可愛いエロさ」「透明感」「湿度のある白肌」とかなり欲張りで、かつ男性目線のもののよう。「柔らかな丸み」に関しては、「バストやヒップはもちろんだけど、うさぎボディを狙うなら、肩や二の腕などすべてのラインがまあるくなめらかであることが必須条件」とし、想像しにくい“全てが丸い女子”を推奨。さらに「可愛いエロさ」では、「無理にセクシーさを演出するんじゃなくて、自分らしい女の子パーツを素直に生かして」と呼びかけ、「無邪気さからにじむ伸びやかなエロスが“近付きたい”“触れてみたい”って周りをキュンキュンさせる無敵の吸引力につながるというワケ」と説明しています。一つひとつの言葉の響きは、ステキでキュンキュンするのですが、具体的にどうすれば「無邪気さから伸びやかなエロス」や「無敵の吸引力」が生まれるのかは触れられず、中身のない自己啓発書でヤル気だけ無理に起こされているときと似た気分になってきます。

 そして、篠崎が紹介しているビューティーアイテムも、「ヴァセリン」「牛乳石鹸」「MTG リファカラット」という、誰でも知っているであろう3点。うさぎBODYの奥が深いのか、浅いのか、もはやよくわからなくなってきています。

 次号からのうさぎ展開にも期待大です。
(島本有紀子)

「LARME」元編集長が「bis」復刊! キラキラ女子雑誌が「性と死」の匂いがするバイブルに大転換

 衝撃のニュースが入ってきました。男ウケを度外視したガーリーな世界観を表現し、発行部数20万部を超える人気を博していた異例のファッション誌「LARME」(徳間書店)。そのカリスマ編集長を突如辞任し、半年以上沈黙を続けていた中郡陽菜氏が、2006年から休刊していた「JJ」(光文社)の妹誌「bis」を編集長として復刊させたというではありませんか。

 従来の「bis」はお嬢様女子大生の読者モデルが多く活躍し、男ウケを目指すキラキラ系女子向けのファッション誌でした。一方で新生「bis」は、「おしゃれ好きな20~25歳の女性」がターゲットで世代に変化はないものの、志田未来、橋本愛、田中真琴ら有名タレントが誌面を飾り、「少女の心を持ちながら、大人の女性になるためのファッションバイブル(Lady with the girl’s heart.)」というコンセプトの雑誌とのことです。大きく方向転換していそうですね。

 志田未来がカバーを飾る今回の号は、9月に隔月刊となる前段階の「プレ創刊号」。さて、一体どんな内容になっているのでしょうか? 早速チェックしていきましょう。

<トピックス>
◎Never mind 何でも無い
◎汚れきった天国
◎ヘルシーサマーなスイッチ着回し対決

■よくわからないが、すごい世界観

 目次を眺めていて真っ先に気になったのが、若手アーティスト・UMMMI氏が書いた「汚れきった天国」というタイトルの小説です。読んでみると、「例えば生牡蠣が食べられるあの居酒屋の裏で長いほうのキスをしたことや、酔っぱらった勢いでセックスをした普段だったら入らないようなちょっと高級なホテル(略)」「アタシはきっとこの街でも、キスをするしセックスをするし、おそらく交差点に飛び込む(略)」などのフレーズが1ページ目から目に入り、度肝を抜かれました。「LARME」ではセックスの「セ」の字も出てこなかったのに、「bis」ではいい意味で振り切れていますね。

 ほかのファッションページでも、夢野久作や小林エリカ、佐々木新らの小説やショートストーリーが題材になっており、なんとなくカルチャー色が強い、独特の世界観を醸し出しています。本文より一部を抜き出すと、「彼女を殺したのも空想です」「そうして先に死んだのは彼女の方だった」「周囲の人や動物がなぜか壮絶な死をとげてしまうの」などとあります。なんだかわからないけど、すごいです。ほとんどのファッション誌では仕事や恋愛などの日常生活がポジティブなタッチで表現されるなか、「死」という不穏なワードが連発されるこの雑誌は非常に特殊なのではないでしょうか。

■ただのガーリーではなく、「退廃的ガーリー」へ?

 ただし、そこに登場してくるファッションはあくまでガーリー。表紙を含め雑誌全体は黒・白・ピンクがメインカラーですし、コーディネートもスカートが多めで、花柄やギンガムチェックなど、ガーリーな柄が目立ちます。ただ、甘かわな「LARME」と比べると、少し落ち着いた色合いになっています。例えば同じピンクでも、「bis」ではくすんだピンクやごく薄いピンクベージュなどが多い印象です。

 中郡氏は、ウェブサイト「WWD JAPAN」のインタビューで、この雑誌全体のテーマは「退廃」、つまり「新しいものばかりが良いものじゃないということ」と語っています。退廃とは本来、「道徳や健全な気風が崩れること。その結果の病的な気風」という意味なので、これは結構思い切った解釈なのでは。「LARME」時代から、古典作品を独自の解釈でガーリーに表現してきた中郡氏らしいといえるでしょう。ただし、どちらも「ネガティブ」や「非・メジャー」などという意味では一致しており、誌面にくすんだ色やダークトーンが多く登場し少し陰鬱な雰囲気が漂うのも、「死」というワードが連発されるのも、なんとなくは納得できます。

 またそのテーマに合わせてか、誌面にはビンテージもののアイテムも多数登場。20~25歳の女性向けの雑誌なのに、10~40万円くらいのワンピースが平気で何度も出てくるのです。これ、ターゲットの9割はなかなか手が届かない価格でしょう。

 さらにはトレンドのコーディネートやアイテムを紹介するページで、「すべてスタイリスト私物」という箇所も。まるで「センスのないやつには読んでもらわなくて結構!」とでも言わんばかり。雑誌のターゲットが「おしゃれ好きな女性」ということもあり、こういったページでは、登場アイテムと同じものしか買えないような、“おしゃれじゃない”女性は完全に切り捨てられています。

 ただこの雑誌の面白いのは、トレンドや実用性をがっつり重視したページもあるところ。「ヘルシーサマーなスイッチ着回し対決」では、ユニクロ、ザラ、FOREVER21、WEGOなど、人気プチプラブランドの奇抜でないトレンドアイテムが並びます。5~8月までの着回しが載っていることもあり、9月の創刊号発売までずっと参考にできそうですね。

 またコスメ特集も、プチプラコスメからデパコスまでまんべんなく登場しますが、どれもターゲット読者が届きそうな価格帯のアイテムになっています。塗り方なども詳しく解説されているため、非常に使えそうなページ。しかも、写真や情報が整然と並び、とても読みやすい誌面になっています。

 つまり、志田未来などの有名タレントが登場し、小説やショートストーリー、バカ高い服などが掲載され、好きな世界をのびのびと表現している「世界観重視」のページと、一般的なモデルが登場するプチプラアイテムの着回し特集やコスメ・ヘアメイク特集の「実用性重視」のページが、半々くらいで共存しているのが、この雑誌のようです。

 こうすることで、雑誌を写真集や小説感覚で読む――つまり、実用性を求めず、自分が「かわいい、美しい」「なにか気になる」と思うものにとにかく触れたいという読者の気持ちと、カタログやハウツー本感覚で読む――掲載されているアイテムやハウツーを真似したい、とことん参考にしたいと思う読者の気持ちの両方向にアプローチしているように思います。

 かつて「美しい誌面であれば、文字は読めなくてもいい」「着回しはやらない」などと編集長が主張していた「LARME」は、どちらかというと世界観重視に傾いたので、大きな変化なのではないでしょうか。これは、「雑誌として生き残るために実用性も重視した」というある種の編集側の妥協(もしくは戦略)のようにも、年齢的に「現実が見えてきた」けれど、「こうありたい自分」を捨てきれない20代前半の女性の葛藤に寄り添う姿勢にも思えます。

 ちなみにプレ創刊号の発売日には「bis」の公式webサイトもオープンし、毎日のようにコスメのリリース情報やトレンドニュースを配信しています。新鮮さが重要視される情報はあえて雑誌には載せず、ウェブに集約させるようですね。こういったウェブでの試みの反響を含め、9月の創刊号はどういったものになるのか。楽しみでしょうがないです。
(小麦こねる)

「LARME」元編集長が「bis」復刊! キラキラ女子雑誌が「性と死」の匂いがするバイブルに大転換

 衝撃のニュースが入ってきました。男ウケを度外視したガーリーな世界観を表現し、発行部数20万部を超える人気を博していた異例のファッション誌「LARME」(徳間書店)。そのカリスマ編集長を突如辞任し、半年以上沈黙を続けていた中郡陽菜氏が、2006年から休刊していた「JJ」(光文社)の妹誌「bis」を編集長として復刊させたというではありませんか。

 従来の「bis」はお嬢様女子大生の読者モデルが多く活躍し、男ウケを目指すキラキラ系女子向けのファッション誌でした。一方で新生「bis」は、「おしゃれ好きな20~25歳の女性」がターゲットで世代に変化はないものの、志田未来、橋本愛、田中真琴ら有名タレントが誌面を飾り、「少女の心を持ちながら、大人の女性になるためのファッションバイブル(Lady with the girl’s heart.)」というコンセプトの雑誌とのことです。大きく方向転換していそうですね。

 志田未来がカバーを飾る今回の号は、9月に隔月刊となる前段階の「プレ創刊号」。さて、一体どんな内容になっているのでしょうか? 早速チェックしていきましょう。

<トピックス>
◎Never mind 何でも無い
◎汚れきった天国
◎ヘルシーサマーなスイッチ着回し対決

■よくわからないが、すごい世界観

 目次を眺めていて真っ先に気になったのが、若手アーティスト・UMMMI氏が書いた「汚れきった天国」というタイトルの小説です。読んでみると、「例えば生牡蠣が食べられるあの居酒屋の裏で長いほうのキスをしたことや、酔っぱらった勢いでセックスをした普段だったら入らないようなちょっと高級なホテル(略)」「アタシはきっとこの街でも、キスをするしセックスをするし、おそらく交差点に飛び込む(略)」などのフレーズが1ページ目から目に入り、度肝を抜かれました。「LARME」ではセックスの「セ」の字も出てこなかったのに、「bis」ではいい意味で振り切れていますね。

 ほかのファッションページでも、夢野久作や小林エリカ、佐々木新らの小説やショートストーリーが題材になっており、なんとなくカルチャー色が強い、独特の世界観を醸し出しています。本文より一部を抜き出すと、「彼女を殺したのも空想です」「そうして先に死んだのは彼女の方だった」「周囲の人や動物がなぜか壮絶な死をとげてしまうの」などとあります。なんだかわからないけど、すごいです。ほとんどのファッション誌では仕事や恋愛などの日常生活がポジティブなタッチで表現されるなか、「死」という不穏なワードが連発されるこの雑誌は非常に特殊なのではないでしょうか。

■ただのガーリーではなく、「退廃的ガーリー」へ?

 ただし、そこに登場してくるファッションはあくまでガーリー。表紙を含め雑誌全体は黒・白・ピンクがメインカラーですし、コーディネートもスカートが多めで、花柄やギンガムチェックなど、ガーリーな柄が目立ちます。ただ、甘かわな「LARME」と比べると、少し落ち着いた色合いになっています。例えば同じピンクでも、「bis」ではくすんだピンクやごく薄いピンクベージュなどが多い印象です。

 中郡氏は、ウェブサイト「WWD JAPAN」のインタビューで、この雑誌全体のテーマは「退廃」、つまり「新しいものばかりが良いものじゃないということ」と語っています。退廃とは本来、「道徳や健全な気風が崩れること。その結果の病的な気風」という意味なので、これは結構思い切った解釈なのでは。「LARME」時代から、古典作品を独自の解釈でガーリーに表現してきた中郡氏らしいといえるでしょう。ただし、どちらも「ネガティブ」や「非・メジャー」などという意味では一致しており、誌面にくすんだ色やダークトーンが多く登場し少し陰鬱な雰囲気が漂うのも、「死」というワードが連発されるのも、なんとなくは納得できます。

 またそのテーマに合わせてか、誌面にはビンテージもののアイテムも多数登場。20~25歳の女性向けの雑誌なのに、10~40万円くらいのワンピースが平気で何度も出てくるのです。これ、ターゲットの9割はなかなか手が届かない価格でしょう。

 さらにはトレンドのコーディネートやアイテムを紹介するページで、「すべてスタイリスト私物」という箇所も。まるで「センスのないやつには読んでもらわなくて結構!」とでも言わんばかり。雑誌のターゲットが「おしゃれ好きな女性」ということもあり、こういったページでは、登場アイテムと同じものしか買えないような、“おしゃれじゃない”女性は完全に切り捨てられています。

 ただこの雑誌の面白いのは、トレンドや実用性をがっつり重視したページもあるところ。「ヘルシーサマーなスイッチ着回し対決」では、ユニクロ、ザラ、FOREVER21、WEGOなど、人気プチプラブランドの奇抜でないトレンドアイテムが並びます。5~8月までの着回しが載っていることもあり、9月の創刊号発売までずっと参考にできそうですね。

 またコスメ特集も、プチプラコスメからデパコスまでまんべんなく登場しますが、どれもターゲット読者が届きそうな価格帯のアイテムになっています。塗り方なども詳しく解説されているため、非常に使えそうなページ。しかも、写真や情報が整然と並び、とても読みやすい誌面になっています。

 つまり、志田未来などの有名タレントが登場し、小説やショートストーリー、バカ高い服などが掲載され、好きな世界をのびのびと表現している「世界観重視」のページと、一般的なモデルが登場するプチプラアイテムの着回し特集やコスメ・ヘアメイク特集の「実用性重視」のページが、半々くらいで共存しているのが、この雑誌のようです。

 こうすることで、雑誌を写真集や小説感覚で読む――つまり、実用性を求めず、自分が「かわいい、美しい」「なにか気になる」と思うものにとにかく触れたいという読者の気持ちと、カタログやハウツー本感覚で読む――掲載されているアイテムやハウツーを真似したい、とことん参考にしたいと思う読者の気持ちの両方向にアプローチしているように思います。

 かつて「美しい誌面であれば、文字は読めなくてもいい」「着回しはやらない」などと編集長が主張していた「LARME」は、どちらかというと世界観重視に傾いたので、大きな変化なのではないでしょうか。これは、「雑誌として生き残るために実用性も重視した」というある種の編集側の妥協(もしくは戦略)のようにも、年齢的に「現実が見えてきた」けれど、「こうありたい自分」を捨てきれない20代前半の女性の葛藤に寄り添う姿勢にも思えます。

 ちなみにプレ創刊号の発売日には「bis」の公式webサイトもオープンし、毎日のようにコスメのリリース情報やトレンドニュースを配信しています。新鮮さが重要視される情報はあえて雑誌には載せず、ウェブに集約させるようですね。こういったウェブでの試みの反響を含め、9月の創刊号はどういったものになるのか。楽しみでしょうがないです。
(小麦こねる)