「Seventeen」(集英社、以下ST)9月号は、「夏休みは毎日が勝負服 JKの夏! 無敵の着回し大作戦」ということで、私服の着回し企画が目白押し。それもそのはず、日々の大半を制服で過ごすST読者にとって、夏休みは私服のおしゃれを楽しむ絶好のチャンスなのです! しかし、毎日のコーディネートに頭を抱えていたとしても、さすがに着回し企画だけで「5本」もあるのは、なんだか多いような気がしてしまいます……。また今号では、東京大学入学式で述べた祝辞が話題になった、社会学者・上野千鶴子氏によるお悩み相談という硬派な企画がネットで話題になっていましたが、早速中身を見ていきましょう~!
<トピックス>
◎今田美桜×横田真悠オトナなシミラールック。
◎JKなんでもスコアブック
◎上野千鶴子先生×花恋×ST読お悩み相談室
「日本一おしゃれな2人組」の“普通すぎる”ファッション感
初めにチェックするのは「ニホンイチおしゃれな2人組Notコドモななかよしコーデで夏イベ映えしよっ! 今田美桜×横田真悠オトナシミラールック。」。ドラマ『花のち晴れ』(TBS系)で大ブレークした今田と、STの看板モデル・横田が、服や小物の雰囲気と色を統一したコーディネート「シミラールック」を披露した企画です。“ニホンイチ”おしゃれな2人組ということなので、ハイセンスなコーディネートを見せてくれるのかと思いきや、スタイリストが用意した服を着ている“だけ”の普通すぎる内容でした。
例えば「1枚でキマる花柄ワンピース」を着用した2人は、「黒だとクールに見えるもんだね」「オトナっぽいデザインだったのも、ステキでしたよね」と、さほどファッションに興味がない人でも抱く感想をコメントしています。また、バンダナ&メガネといった小物で「おしゃレトロ」スタイルにチャレンジしているのですが、「この巻き方、かなり上級者っぽくない?」「(バンダナの)結び目を下めにするのがオトナに見せるコツなのかも?」と“初心者”のような発言をしているのです。
ファッションにあまり興味がなかったり、おしゃれに目覚めたばかりの読者にとっては、わかりやすい内容はあるものの、2人から「ニホンイチおしゃれ」な感じはまったく伝わってこず、タイトル負けの企画でした。
中身がない……1万人の女子高生のデータ!
次に見ていく「女子高生のありとあらゆるDATAが明らかに! JKなんでもスコアブック」では、読者1万人の平均身長、平均体重、スリーサイズ、ブラのサイズ、足のサイズ、親の呼び方、共学or女子校、好きな言葉などさまざまなデータが掲載されています。
ティーン誌で“やりつくされた感”満載のアンケート企画ですが、「多様性」が叫ばれる昨今、体にまつわる平均値を計算する必要はあるのでしょうか? 小柄な人や大柄な人など、“それぞれ”の特徴に生かすファッションやヘアスタイルを提案する企画を見たいものです。
ちなみにST読者の好きな言葉は「ありがとう」、尊敬している人は「母親」、飼っているペットは「犬」が1位とのこと。想像通りのひねりがない質問と回答の数々に、「つまらない」を超えて「無」の感情が湧いてくるほどでした。 最後に見ていくのは「女性学のレジェンドがST参上!! 上野千鶴子先生×花恋×ST読お悩み相談室」。東京大学名誉教授で、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワークの理事長を務める上野千鶴子氏と、STモデル・大友花恋と3名の読者モデルが、あらかじめ寄せられたST読者からの悩みに答える企画です。
上野氏は同大学の平成31年度学部入学式の祝辞で、東京医科大不正入試の件に触れた上で、東大における女子入学者の比率が、長期に渡り「2割の壁」を超えていないことに言及。また、“東大ブランド”は男子学生には「自慢」になるものの、女子学生にとっては“そうではない”と語り、祝辞の内容に共感、感動する人が多くいる一方で、「祝辞にふさわしくない」といた意見も散見され物議を醸し、大きな話題になりました。そんな上野氏は、読者から寄せられた、「友達関係」「女性の学歴について」「学校生活」「家族との関係」といった相談内容に対して、「読者のかたから集まった相談内容を読んで、あぜんとした。だって私たちが悩んでいたことと、ほとんど変わらないだよ? まだこんな状況なのかって、がっくしきちゃったよね」と語っています。
まず、友達関係について「女子はグループに属していないと、学校に居場所がない。ひとりでいると『変わってる』とかヤバイ人扱いされます」と悩む読者に、上野氏は「蛙の面に小便パフォーマンスで撃退して!」と、何をされてもしれっとした態度をとるようにアドバイスを送ります。そして、「友達なんていつでも捨てられるし、必要ならまたつくれるもの。いなくなっても悲しくない友達は、友達とは呼ばない!」と、ハッとさせられる強い言葉を投げかけていました。
また、「料理や手芸が好きです。そのことで、友達から、『女子力高いね!』とか『家庭的アピールしてんの?』と言われることにモヤモヤします」という悩みに対して、「そもそも料理や手芸=女子力っていう公式がおかしいよね。男子でもできることなのに」と上野氏。さらに、「相手は、皮肉として言ってることだよね」「内心はどうであれ、にっこり笑って『じゃあ〇〇ちゃんもやったら?』って言い返すのが一番」と回答します。ST読者に限らず、“家事・育児は女の仕事”といったステレオタイプに苦しんでいる女性に向けても、「言い返す」というアドバイスは突き刺さるかもしれません。
最後に「イヤなことをイヤ、好きなことを好きって、言っていいんじゃない?」「私はこれからの日本を支えるのは、『我慢をしない娘たち』だと信じてる。だからみんな、よろしく頼むよ!」と締めくくった上野氏。「ST」では頻繁に、友達からは嫌われないように、「日常生活やSNSの投稿内容にも気を使いましょう!」といった特集が組まれており、男性目線を意識した、「モテる、守りたくなる」といったファッションやメイクを紹介することもしばしば。もし、“無個性JK”のST読者が「窮屈な思いをして当たり前……」という価値観の中で生きているとしたら、「脱却する方法は、いくらでもある!」と語る上野氏の考え方を知ることは、生きやすくなるための大きな一歩なのではないでしょうか。
今月号は一味違った「ST」。ST読者は男尊女卑を実感する機会が少ない、または気付いていないかもしれませんが、上野氏の考え方やアドバイスを心に留めておくことで、夏休み明けの学校生活に良い変化があることを願うばかりです。
(藤本なつき)