「笑い声にイライラして殺意!」これってPMS!? 38歳、「ヒステリックに怒鳴って泣いてしまう」自分をやめたい

 「生理前にいつもイライラしてしまう」「自分でコントロールできないくらい、生理前は感情の起伏が激しい」

 こんな悩みを持っていませんか?

 生理前のイライラや感情の起伏の激しさは、PMS(月経前症候群)の症状の一つ。PMSの症状は、女性の半数以上の人に見られる症状ですが、多忙な生活やストレスで悪化するといわれています。

 そこで今回は、あんしん漢方(オンラインAI漢方)医師の木村好珠先生に、「PMSの不調によるイライラの改善方法」について教えてもらいました。

1.これってPMSのせい? 同棲中の彼氏にイライラが止まらない

 これからご紹介するのは、PMS(月経前症候群)のイライラに悩む、真美さん(仮名)38歳のエピソードです。

 真美さんは、もともとイラッとすることがあっても表には出さない性格なのですが、生理前だけは自分でもどうにもならないほどのイライラに支配されてしまい、常にイライラが続く状態でした。真美さんはとても優しい彼氏と同棲しているのですが、生理前になると自分の気持ちを自分でコントロールできず、生理前はいつも彼氏に八つ当たりしてしまうことに悩んでいました。

 普段は真美さんが家事をしているのですが、生理前だけは自分だけが家事をすることに腹が立ってしまい「どうしてテレビばかり見ていて手伝ってくれないの! 邪魔だから出てってよ! いつも私ばかりに家事を押しつけて!」と大声で怒鳴り散らしてしまうこともしばしば……。

 そんな時、ため息とともに家事を手伝ってくれる彼氏に対しても、仕方なく手伝う態度に、さらに腹が立ってしまいます。

「彼が別の部屋でWEB会議をしている時の笑い声が少し聞こえただけでもイライラして、殺意を感じてしまいます。また、普段はそこまで気にならない彼のいびきに対しても、ヒステリックに怒鳴り散らして最終的には泣いてしまうなど、生理前はイライラと情緒不安定さが入り混じっている感じになります。

 このまま八つ当たりが続くと、彼氏にも幻滅されそう。だから、なんとかイライラを抑えたいのですが……。でも、イライラを抑えようとすると余計にイライラしてしまい、もう自分でもどうしようもならなくて……。毎回生理が来たら、だんだん気持ちは落ち着いていくのですが、毎月イライラする期間があるのは正直キツイです。このイライラ、治す方法ってあるのでしょうか?」

 真美さんのような生理前のイライラは、PMSの代表的な症状です。PMSでイライラしてパートナーとの喧嘩が増える人は非常に多いです。しかし、一時的なイライラで大切な人を傷つけたくないですよね。

 真美さんは、生理前のイライラをなんとかしたくて携帯アプリで医師に相談してみたところ、婦人科の診療を勧められ受診しました。婦人科で処方されたのは漢方薬。最初は「漢方薬って、普通の薬とどう違うの? 効果はあるの?」と半信半疑だったのですが、飲み続けているとだんだんイライラが治っていくのを感じるようになりました。

 しばらくたつと、生理前でも彼氏に対してイライラすることがなくなっていることに気づいた真美さん。

 真美さんは「イライラするけれども、たかがPMSと思ってしまって、病院に行くことは思いつきませんでした。もっと早く漢方薬を処方してもらっておけば、彼氏にヒドいことを言わなくて済んだかも」とおっしゃっていました。

 生理前にイライラしてしまうことや、ココロとカラダに不調を感じてしまうのは、ホルモンバランスの乱れが関係しているといわれています。

 女性のカラダは、排卵日(生理の約14日前)を過ぎた頃から女性ホルモンのプロゲステロンの分泌が多くなり、エストロゲンの分泌量が減ってくるため、ホルモンバランスに乱れが出てきます。

 すると、脳内の神経伝達物質の働きが弱くなってしまい、場合によってはイライラすることが多くなる、怒りっぽくなる、気持ちがパニックになる、涙もろくなるなどの精神的不調に。これが、PMSの症状として出てきます。

 また、PMSの症状は胸の痛み、頭痛、肌荒れ、体の冷えやむくみ、下腹部痛、腰痛、眠気、だるさなど、体の不調にも現れます。体の症状が引き金となり、さらにイライラが増すこともあるため、多くの女性が「生理前にイライラする」という症状を訴えるのです。

3.PMSが原因のイライラには漢方薬がおすすめ!

 今回ご紹介した体験談の女性(真美さん)は、イライラがあまりにも続くため、スマホのアプリを使って医師に相談してみたところ、婦人科へ行くことを勧められ受診することに。

 その際、加味逍遙散(かみしょうようさん)と抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)という漢方薬を処方してもらいました。その結果、医師から処方された漢方薬を飲み始めて次の生理周期にはイライラが治まってきたそうです。その後は心が安定する時間が増え、優しい彼のことを受け止めることができるようになったとのこと。

 生理前はいつもイライラして、体調も不安定。PMSって治せるのかな……そんなふうに思っている方には漢方薬がおすすめです。

 漢方医学は、体のバランスを整えて自然治癒力を高めることで、全身の健康を回復に向かわせる学問です。漢方薬は医薬品として効果と安全性が認められています。女性ホルモンが原因の不調には漢方は効果を発揮します!

 特に、今起こっている不調を抑えるだけでなく、根本的な体質の改善を目指すものですので、イライラする気持ちを落ち着けたい人や、症状に悩む方に最適です。バランスの良い食事や適度な運動を毎日続けるのは難しい……という場合も、漢方薬なら毎日飲むだけなので、無理せず続けられます。医薬品を日常に取り入れ、健康な毎日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

・イライラが続き情緒不安定になりがちな方:加味逍遙散(かみしょうようさん)
排卵日以降の女性ホルモンの分泌量の変化とともに出てくるイライラや、精神的な不安を緩和する作用があります。

・神経が高ぶりイライラしがちな方:抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
PMSによるイライラや八つ当たりなど、ココロの症状で悩む人や、不眠症におすすめの漢方薬です。

 漢方薬は、ご自分の状態や体質にうまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。たくさんの漢方薬から、ご自分にあった漢方薬を見つけるのは大変ですよね。

 そんな時は、「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。漢方に精通した薬剤師とAI(人工知能)が、あなたに効く漢方薬を見極めて自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が便利です。

あんしん漢方

4.PMSが引き起こすイライラにサヨナラ!

 PMSの中でもイライラしてしまうことや情緒不安定になってしまうことは、多くの女性が体験している症状です。でも、イライラしているからといって、大切な人に八つ当たりをしたり罵ったりしてしまうと、取り返しのつかないことになってしまう場合もあります。

 生理前のイライラを「ただのPMSだから」とそのまま我慢するのではなく、真美さんのように漢方薬を取り入れながら、自分のココロとカラダとうまく付き合っていきましょう。

■記事内に登場した「あんしん漢方」とは?
「お手頃価格で不調を改善したい」「副作用が心配」というお悩みをお持ちの方のために、医薬品の漢方を、スマホひとつでご自宅にお届けするサービスです。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが最適な漢方を選別。オンラインでいつでも「個別相談」可能。しかも「お手頃価格で」ご提供。相談は無料。

あんしん漢方(オンラインAI漢方)

「緊急避妊薬の薬局販売」“否定派”の背景にあるもの―― 産婦人科医師の間でも意見が分かれる理由とは?

 10月8日、内閣府による会合で、緊急避妊薬を医師の処方箋なしで、薬局で販売可能とするよう検討されることが報じられた。それに対して、日本産婦人科医会の木下勝之会長は、性教育が不十分であることや女性の知識不足を指摘し、避妊に必要なのは本来1錠だが何錠も買う可能性があり得るとして、反対意見を表明。また、この問題をめぐっては、今年7月、同医会の前田津紀夫副会長が「安易な使用を心配」と発言し、物議を醸していた。

 こうした否定的な考え方は産婦人科医の間で広く共有されているのだろうか? 緊急避妊薬が薬局で購入可能となることを目指す「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト(緊急避妊薬を薬局でプロジェクト)」共同代表で産婦人科専門医の遠見才希子(えんみ・さきこ)さんに話を聞いた。

性の知識不足は女性だけの問題ではない

 まず、遠見さんは「女性の知識不足」を理由にすることについて疑問を呈する。

「性教育が十分に行われず、知識が不足してしまうのは、若い世代の責任ではなく大人世代の責任です。日本社会が長年、性のことをタブー視してきて、学校教育の中でも十分教えられる機会が担保されていない状況があるので、性の知識不足は年齢性別問わず言えるかもしれないことなんです」

 遠見さんは、医学生の頃から全国の中学・高校で講演を行うなど、性教育に取り組んできた。だからこそ、性教育だけを頼りに、望まない妊娠を防ごうとすることには矛盾が生じると指摘する。

「知識があっても受け皿が整っていないという事態も起こっています。私が性教育を行う中で出会った若い女性が、緊急避妊薬について知っていたけれど、価格が高く(約6,000円〜2万円程度)、産婦人科への受診のハードルが高かったため、手に入れられずに中絶することになったケースもあります。知識があっても、利用可能な制度がなければ、どうにもなりません。性教育と緊急避妊薬を確実に手に入れられる制度は、女性の体を守るための両輪なのです」

緊急避妊薬の繰り返し使用の背景にある問題

 また、緊急避妊薬が「安易」に使用されるという懸念についても異議を唱える。

「医療従事者は、目の前にいる人の、ほんの一部しか見られません。受診時の患者の態度から『安易に使用している』『知識がない』などのジャッジメントはできないはずです」

 地方の総合病院で働いていた時代に、緊急避妊薬を処方したこともあったが、「安易」とはかけ離れた状況だったそうだ。

「『よくぞたどり着いてくれました、手に入れにくいシステムでごめんなさい』という気持ちになりました。その患者さんは、3時間かけて病院まで来て、また3時間待って、ごく簡単な問診を受けて薬を受け取れることがわかった瞬間、安堵の表情になりました。情報の少ない中、必死に検索してたどり着いてくれたのだと思います」

 遠見さんは、緊急避妊薬を何度も使用するようなケースについては、安全性を強調したうえで、その背後にある問題や社会システムについて考えるべきだという。

「緊急避妊薬は、万が一のときに1回飲む薬ですが、繰り返し使用しても健康被害が出ないというエビデンスのある安全性の高い薬です。もし、女性が緊急避妊薬を繰り返し使うことになったとすれば、その背景にはいろんな状況が考えられますよね。性暴力の被害に繰り返し遭ったという人もいるかもしれないし、ほかの避妊方法にアクセスできなかったという理由も考えられます。低用量ピルなどほかの避妊方法を試したくても、日本の場合、高額で手に入りづらく、海外では利用可能な避妊注射や避妊インプラント、避妊パッチといった選択肢がありません」

 つまり、緊急避妊薬の繰り返し使用を女性の自己責任とせず、さまざまな避妊方法を安価に利用できるよう社会システムを変えたり、背景にある女性の貧困や虐待の問題を捉えて解決していく必要があるという。

 さらに、本来必要な量以上に買うのではないかという声に対しては、世界との意識のずれを指摘する。

「WHO(世界保健機関)は1回分だけでなく、事前に多めに受け取って、手元に持っておくことを推奨しています。なぜなら、性行為後、少しでも早く服用したほうが効果は高いからです」

 10月26日、遠見さんは木下会長と会談。受診という選択肢があっても、特に地方では、病院が遠いなどの理由から、すぐにたどり着けない女性もいることを伝えたという。

「緊急避妊薬の薬局販売と同時に、病院での診療体制の強化も要望しているのですが、長時間待たされた、内診をされたなど、受診時の対応で困ったことがあるという当事者の声をお伝えしたところ、『“処方にあたって内診は不要”“早く飲むことが効果的”など緊急避妊薬の適切な取り扱いについての周知を、今後、一緒に考えていきましょう』といった前向きな話もできました」

 では、どうして日本産婦人科医会の会長や副会長は「処方箋なしの緊急避妊薬の薬局販売」に否定的なのだろうか? 同医会は、産婦人科医療の推進や母子の生命健康の保護、女性の健康の保持・増進に取り組む団体。各都道府県の産婦人科医会を束ねる全国的な組織で、遠見さんも加入している。

 遠見さんは緊急避妊薬の薬局販売に否定的な意見について、単に個々人の意見の相違によるものなのではなく、医療従事者にとどまらない、社会全体のSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ、性と生殖に関する健康と権利)への認識の乏しさが根底にあるという。

 SRHRは1994年に開催された国際人口開発会議(ICPD/カイロ会議)から広く使われるようになった概念で、「子どもを産むか産まないか、産むならいつ産むか、何人産むかを自分自身で決められること」を含む。

 医学部で学ぶ中で「SRHRを尊重すべき」といった趣旨の講義はほぼなかったという遠見さんは、「病院での研修中や実際に医師として働いている時に『SRHRが中心に置かれているわけではない』と感じました」と語る。

「医療従事者、そして一般の人もSRHRが人権であり、緊急避妊薬を手に入れられることは正当な権利であると学ぶ機会がない。私は医学生の頃から主に中高生を対象に性教育を行っていましたが、自分で関心を持たなければ、十分に学ぶことができない。たとえば性教育を行う人も、SRHRの視点がなければ『上から目線の押し付け』になってしまいます。また医療従事者は『女性を管理下に置いて指導』してしまうかもしれません。説教や指導ではなく、必要なのは同じ目線に立った情報提供です」

 遠見さんは緊急避妊薬の薬局販売に否定的な意見をただ批判するのではなく、社会全体のSRHRへの理解を深めるための前向きな機会としたいと考えている。

 政府が検討を始めるという緊急避妊薬の薬局販売は、「薬剤師が十分な説明の上で、対面で服用させること」が条件となっている。現行の産婦人科医による診察(オンラインも含め)に比べると土日も対応可能で診察料もかからず、手に入れやすいように思える。しかし、遠見さんはそれで十分だとは考えていない。

「対面で服用させる理由が、『早く飲んだほうが効果が高いので、それをサポートするため』というのであれば理解できます。しかし、今、面前内服が求められている理由は『転売等により組織的な犯罪に使用されるのではないか』という、女性を信用しない考えに基づくものなのです」

 転売や悪用してはならないのは緊急避妊薬以外の薬も同様であり、緊急避妊薬の場合だけ面前での服用を求めるのは筋が通らない。また、女性を信じない姿勢も、世界の潮流に反している。

 緊急避妊薬の市販化が2017年の厚生労働省での検討会で否決されたのを受けて、「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」のメンバーは、18年からオンラインでの署名集めを開始した。

「今年の7月22日に6万7,000筆の、そして新政権が発足後の10月27日には10万7,000筆の署名を厚労省に提出しています。7月の面談では性教育や薬剤師の研修などの土台が前提だと言われました。しかし、10月にはWHOの勧告についても触れられ『(女性の)当事者の心境や背景に配慮した議論を進めていきたい』という発言を聞くことができました」

 さらに、活動を続ける中では、SRHRへの性別・年齢問わない関心の高まりを感じているともいう。

「多くの人が声を上げ、メディアでも取り上げられるようになりました。SNSで当事者が発信できる時代になった。みなさんと一緒に変えていけたら」

 最後に、緊急避妊薬の薬局販売が実現した後は、どのような課題に取り組んでいきたいかを聞いた。

「長年、女性の健康や権利が、ないがしろにされてきたと考えざるを得ない状況だと思っています。自分の体について自分で決められる権利、特に、産まない権利や避妊の選択肢についての情報はとても少なく、隠されてきたとも感じています。緊急避妊薬の薬局販売の実現をSRHRの問題を解決するひとつの突破口にして、日本でまだ認可されていない避妊の選択肢の充実や、薬剤での安全な中絶などの議論を進めていきたいと思います」

 緊急避妊薬の薬局販売は、あくまでスタート。性と生殖に関する健康と権利の保障の実現を目指す取り組みは、まだまだ続く。

緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト

(谷町邦子)

遠見才希子(えんみ・さきこ)
産婦人科専門医。聖マリアンナ医科大学医学部医学科在学中から、全国700校以上の中学・高校で、性教育の講演を行う。大学卒業後は亀田総合病院、湘南藤沢徳洲会病院などに勤務。現在は筑波大学大学院ヒューマン・ケア科学専攻社会精神保健学分野博士課程で、性暴力や人工妊娠中絶について研究している。

冬の乾燥、アルコール消毒から“手”を守りたい! 皮膚科医が教える「ひどい手荒れ」「ひび割れ」ケアの豆知識

 乾燥によって、“手荒れ”を起こしやすいこの季節。今年はさらにコロナ禍で、アルコール消毒を行う機会が増えているが、手が荒れているからといって消毒をしないわけにはいかず、しかし、荒れた手にアルコールがしみる……といった、負の連鎖に陥っている人も少なくないのでは。手荒れをしやすい人にとっては、例年以上に“地獄”ともいえる今、手を守るためには、一体どうしたらいいのだろうか? 「皮フ科かわさきかおりクリニック」の川崎加織院長に話を聞いた

――そもそも、なぜ手は荒れやすいのですか?

川崎加織院長(以下、川崎) 手は顔にあるような「脂線」という、脂を出す線がありません。足の裏も脂線は存在しませんが、手は乾いた空気に触れることが多く、水分が蒸発しやすいため、特に乾燥してしまうんです。

 また、今年は「アルコール消毒で手が荒れやすくなった」と感じる人が多いと思います。その理由は、皮膚の表面の「角質層」に「角質細胞間脂質」という、肌内部の水分が蒸発するのを防ぐ成分があるのですが、アルコールはこれを溶かしてしまうんです。そのため、肌を防御するバリア機能も落ちてしまって皮膚の表面がスカスカになり、手が乾燥してしまいます。その結果、手に炎症を起こし、かゆみが出たり、赤くなったりと、“手荒れ”の状態になるんです。すでに手湿疹になっている状態でアルコール消毒をすると、刺激にもなり、悪化の原因にもなりますね。

――手が荒れている場合は、アルコール消毒をしないほうがいいのでしょうか?

川崎 新型コロナウイルス感染予防を含め、アルコール消毒には意味がありますから、手が荒れるからといて、避けるのはよくないですね。しっかりと手洗いできればいいのですが、無菌状態にすることは、普通の方法では難しいと思われます。

――では、アルコール消毒をしつつ、手荒れを防ぐ方法はありますか?

川崎 一番有効なのは“保湿”ですね。保湿のために、ハンドクリームやワセリンなどが市販されていますが、「何を塗るか」は手荒れの状態によります。手荒れしやすい方の場合は、香りの強いハンドクリームなどは避け、シンプルで刺激の少ないものを選びましょう。また、クリームやローションタイプの保湿剤は、傷口にしみてしまうことがあるので、手荒れがひどい場合は軟膏タイプのものをおすすめします。べたつき感はありますが、刺激が少なくしみにくいです。

 一方で、どんな症状であっても、重要なのは「塗る回数」。保湿力の高いものを、小まめに塗ることが大切です。

――その他、この時期に注意するべき手荒れの原因、対策や予防法があれば教えてください。

川崎 アルコール消毒だけでなく、手を洗う頻度も高くなっていると思いますが、その場合も保湿が大切。手を洗ったあとは濡れたままにせず、しっかりと拭いてから保湿剤を塗りましょう。また、手が完全にひび割れている場合は、市販のハンドクリームではなかなか治せないので、皮膚科に行ってほしいですね。

 ちなみに豆知識ですが、ひび割れた時には、ばんそうこうを張るよりも、医療用の紙テープでケアしたほうがいいです。ばんそうこうは水に濡れるとビショビショになり、菌が繁殖しやすい状態を作ってしまいますが、紙テープだと水分をしっかり拭き取れるので、傷口を清潔に保ちやすいですよ。

■川崎加織(かわさき・かおり)
皮フ科かわさきかおりクリニック院長。医学博士、 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本抗加齢医学会専門医。兵庫医科大学病院初期研修医、 皮膚科入局からキャリアをスタートし、明和病院、 西宮わたなべ前浜クリニック院長などを経て、 現クリニックを開院。皮膚科専門医として、女性医師として、母として、 患者さんの心と身体に寄り添うことを信条としている。

無印良品、ニトリ、ユニクロ「快眠グッズ」をプロがジャッジ! 本当に必要な“眠りのスイッチ”を伝授

 近ごろ、「快眠できない人」が増えているという。ライオン株式会社は今年6月、20〜69歳の男女就業者2,671人を対象に、睡眠に関する調査を実施。新型コロナウイルスの流行前後を比べ、「眠りの深さ」が「深くなった」人は7.1%、「寝起きの熟眠感」が「良くなった」人は7.9%だったのに対し、「浅くなった」が16.0%、「悪くなった」が14.1%だったと発表。また、リモートワークを実施している人だけ見ると、「眠りの深さ」が「浅くなった」は20.6%、「寝起きの熟眠感」が「悪くなった」は17.0%となり、平均よりも多いことがわかった。

 ストレスや不安、リモートワークによる環境の変化が睡眠に影響すると指摘される中、眠りの質を上げる“快眠グッズ”がSNS上で話題になることも多い。そこで今回は、「睡眠改善インストラクター」の資格を持つ、ライフスタイルプロデューサーの神原サリー氏が、ネットで話題の商品をジャッジ。さらに、快眠に必要な条件について教えてもらった。

無印良品「エッセンシャルオイル・おやすみブレンド」は“魔法の香り”ではない!?

――無印良品「エッセンシャルオイル・おやすみブレンド」は、「枕元に置くとよく眠れる」などとSNSで話題になっていましたが、プロの目から見ていかがですか?

神原サリー氏(以下、神原) 私自身が使って「こうでした」という話ではなく、あくまでも成分を見た感想を伝えますね。そもそも、“香り”というのは快眠において重要なポイントで、すごく体に影響します。なので、香りに注目するのは間違っていないです。

 この商品で面白いと思ったのは、“誰でも心地よいと思う香り”を使っていること。一般的に、ラベンダーの香りは「リラックス効果がある」といわれていますけど、実は私自身、ラベンダーの香りを嗅ぐと眠れません(笑)。ラベンダー自体には眠りに導くようなリラックス作用があるのですが、ブレンドされていないラベンダー“だけ”の香りだとキツいというか、合わない人が結構いるみたいで。要は、「自分にとって心地よい香りかどうか」が大事なんですが、柑橘系やシトラス系のブレンドは、比較的、誰でも心地よいと感じる香りだといわれているんです。

 しかし、柑橘系の香りが苦手な人にとっては、無印の「エッセンシャルオイル・おやすみブレンド」も、“眠れる魔法の香り”ではないということ。「これを使えば絶対眠れる」というわけではないので、自分に合った香りを選んでほしいです。ただし、ミントなど刺激が強く、爽快感のある香りが好きでも、寝る前に嗅ぐのはNG。ぐっすり眠るためにはリラックスすることが大切ですから、その効果を働かせる香りを選びましょう。

――香りが気に入ったら、普段使いしてもいいのでしょうか?

神原 快眠のために一番大事なのは、「眠りのスイッチを入れること」です。「そろそろ眠るんだ」ということを、自分の頭と体に意識させるというイメージですね。なので、日中も同じ香りを嗅ぎ続けていると、眠りのスイッチが入らなくなってしまいます。気に入った香りをいつでも使いたい気持ちはわかりますが、寝る前に嗅ぐからこそ効果があるので、快眠を求めるなら、普段使いはやめたほうがいいでしょう。

――この時期になると、毎年のように「靴下をはくかはかないか問題」が勃発します。寝る時に靴下をはくのは、アリですか、ナシですか?

神原 これについては、「足を締めつけるような靴下はNG、ゆるい靴下なら条件つきでOK」という感じです。まず、靴下をはいて寝る人は「足が冷えて眠れない」という理由がほとんどだと思います。しかし、足は寝ている間に絶対汗をかき、その汗で結果的に足が冷えますから、靴下をはいてもあまりいいことがないんです。ましてや、締めつけるとリラックス感を損なうので、深い眠りに落ちにくくなります。

 一方で、どうしても足元が冷えて寝つきが悪いということであれば、5本指や綿100%で通気性に優れていたり、締めつけ感がなくゆるい靴下であれば、私的にはアリだと思います。決してはいたほうがいいわけではありませんが、「はいたほうが眠れる」という人もいるので、「条件つきでOK」としました。

――そもそも、足元が冷えていると、快眠は難しいのでしょうか?

神原 「頭寒足熱」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは「頭のほうを冷やして、足元を温めるとよく眠れる」ということ。深い眠りに入るためには、体温をいったん下げることがすごく大事なので、最初から足元が冷えていたら、なかなか眠れません。なので、靴下をはいたり、布団乾燥機を使って足元を温めるといいと思います。

――布団乾燥機は、どのように使うと効果的なのか教えてください。

神原 布団乾燥機を足元に差し込んで、寝る前に15分ほど温めておくんです。そうすると、布団もふかふかになるし、足先だけが温まって「頭寒足熱」の状態を作りやすくなります。反対に、電気毛布のような「一晩中温かい」ものは最悪。寝ている間に汗をかきすぎて脱水症状を起こしかねないし、体温も下がらないままになってしまうので、どんなに寒くてもおすすめできないですね。

 あとは、湯たんぽはだんだんと温度が下がっていくので、直接足にくっつけなければ、悪くないアイテム。これと同じような商品でも、電気あんかは一晩中温度が下がらないのでよくないです。低温やけどの原因にもなるので、使用は避けたほうがいいでしょう。

 ちなみに、何も使わず、今夜からすぐできる方法は、寝る1時間前にお風呂に入ること。温まった体にこもった熱がちょうどよく放出されるので、ベッドに入る頃には体温が下がって、ぐっすり眠れると思いますよ。

――「眠りのスイッチを入れるのが大事」とのことでしたが、香りや体温以外にも、スイッチになり得る要素はありますか?

神原 最近は新型コロナウイルスの影響もあって、家に帰ったら着ていた洋服をすぐに脱いで、部屋着に着替える人が多いのではないでしょうか。で、そのまま寝てしまう場合もあると思うんですが、眠りのスイッチを入れるためには、“パジャマ”に着替えたほうがいいです。

 以前、ワコールやグンゼなど、パジャマを作っているメーカーさんを取材したとき、その機能性について知りました。肌触りはもちろんのこと、パンツ部分のゴムが、普通のものより10%ほどゆるく作られているそうなんです。締めつけないだけでなく、寝返りがしやすいゆとりを持たせる意味もあるそうで、パジャマって“寝ることに特化した服”なんだな、と。寝る時に着るものを見直すのも、快眠のためにはいいことだと思います。

――考えてみると、パジャマって大体同じ形をしているような……実はあれが“快眠デザイン”だったんですね。

神原 そういうことです。冬だったら、“ネル”という素材を使ったパジャマがおすすめ。起毛した木綿のことなんですけど、すごく肌触りのいいものが多く、吸湿性も高い。冬でも気がつかない間に、コップ1杯分の寝汗をかくといわれているので、吸湿性は1年中大事です。反対に、ナイロンや化繊の生地は汗を吸い取りにくく、冷えにつながってしまいます。ゆとりのあるデザイン、吸湿性・肌触りのいい素材ということが、パジャマを選ぶときにはすごく大事なんですよね。

 そういえば、この前ひさしぶりにユニクロへ行ったら、パジャマのコーナーが充実していて、「あ、ちゃんと気づいているな」と思いました。「部屋着からパジャマに着替えろよ!」って、ユニクロがちゃんと言ってるわ~という(笑)。もしかしたら、今は在宅勤務されている方が多いから、1日中部屋着で過ごして、でもそのまま寝るわけにはいかないという理由で、パジャマの需要が高まっているのかもしれませんね。

――コロナ禍で起こった“いい変化”といえそうです。

神原 はい、すごくいいことだと思います。今までだったら、仕事から家に帰って、部屋着に着替えて、ご飯を食べて、お風呂に入って……といった感じで、だんだんとリラックスしていくと思うのですが、在宅勤務が続くと、なんとなくオンオフが切り替えにくい状態で、眠りにくい人が増えています。そういう環境だからこそ、パジャマに着替えるなどして、眠りのスイッチを意識してほしいですね。

――ほかに、快眠のために必要なことはありますか?

神原 昨年あたりから見かけるようになり、ニトリでも販売されている「重い毛布」を掛けないことですね。先ほど寝返りの話をしましたが、普通に眠っていても、人間は何回か寝返りをするのが自然。これがスムーズにできるかどうかで、快眠できるかどうかが変わってきます。重い毛布を掛けると、当然、寝返りがしづらくなってしまうので、よくないです。それと、柔らかすぎて体が沈んでしまう敷き布団やマットレスもダメ。寝返りしやすいパジャマを着ていても、こうした寝具を使っていると、せっかくの機能性をムダにしてしまいます。

 あとは、部屋の湿度も重要な要素。湿度が40%より下がるようだったら、加湿器を使ってほしいです。部屋全体を加湿しなくても、枕元にコンパクトな加湿器を置くとか、清潔なタオルを1枚濡らして吊るしておくだけでもOK。空気が乾きすぎると、夜中にせき込んで眠れないこともありますし、コロナ禍の今であれば、ウイルス対策にもなりますよ。

――あと気になるのは、部屋の明かりです。「真っ暗だと眠れない」という人もいますが……。

神原 少し明かりがついてないと眠れない人、いますよね。そういう場合は、間接照明を試してみてほしいです。メインの電気を消して、自分の周りだけをぼんやりとともしておくようなものがいいのですが、例えばBALMUDA(バルミューダ)が出している「BALMUDA The Lantern」は、デザインもおしゃれでおすすめ。本を読むには暗いかもしれないけど、音楽を聞いたり、ちょっとしたリラックスタイムにも使えていいんじゃないかなと思います。

――思いのほか、「快眠のためにできること」は種類が多いですね。

神原 快眠に導く方法はいろいろあるのですが、誰かが「これいいよ!」と勧めたからといって、それが全員に当てはまるわけではありません。なので、これらの提案の中から、自分にとっての「眠りのスイッチ」を探したり、心地よい空間作りをすることが大事。自分に合った方法で、快眠を目指していきましょう。

■神原サリー(かみはら・さりー)
家電+ライフスタイルプロデューサー。睡眠改善インストラクター。家電を「感動ベース」で語れる担い手として、その独自の視点が評判。新聞・雑誌、業界誌をはじめ、多数の連載記事のほか、識者としての監修記事も多数手掛ける。子育て経験なども含め生活者視点で家電をとらえ、スペックなどの数字や難しい言葉を使わずに、暮らしの中でどのように役立つかなど、ライフスタイルをトータルで提案することを心がけている。五感に響き、使っている時もそうでない時にも心躍るデザイン性にも優れた家電を「うふふ家電」と命名、提唱している。

マスクによる肌荒れ、「○○しない」裏ワザで防げる!? 皮膚科医・上原恵理医師が“超簡単”な方法を伝授

 コロナ禍のため、外に出る際は“マスク必須”な毎日。しかし、本格的な夏の到来を前に、「マスクによる熱中症」について政府から注意喚起がされるなど、今まで私たちが経験したことのない事態も起こっている。さらに、ネット上ではマスクによる“肌荒れ”に悩む女性も多く見受けられ、「なかなか治らない」「なんとかしたいけど、方法がわからない」といった声も。

 そこで、「あせも」の原因や対策について解説いただいた美容皮膚科医・上原恵理先生に、マスクの肌荒れについてもお聞きした。

――マスクでの肌荒れが気になるところですが、前回のお話を踏まえると、これも「接触性皮膚炎」の一つなのでしょうか?

上原恵理先生(以下、上原) そうですね。しゃべったりすることによって、マスクと肌がこすれてしまいますから、接触によって炎症が起こることもあります。また、マスクに肌の水分や皮脂を奪われてしまうことも、肌荒れの原因の一つでしょう。マスクの中の皮膚というのは、普段の環境より常に悪い状況に置かれていると言えます。

――「マスクを取ることが肌荒れ予防」という話になるのかもしれませんが、今はなかなかそうもいきません。せめて悪化しないためには、何をしたらよいのでしょうか?

上原 やっぱり、肌を保湿して保護してあげることですね。それと、私はマスクをしている時、基本的にベースメイクをしません。最近よく見かける、トーンアップの日焼け止めなどで肌を整えるぐらいですね。ファンデーションなどのベースメイクは、「どうせマスクしているし、しなくていいんじゃない?」って、私は思ってます(笑)。ファンデーションをしないと肌がくすんで気になるという方は、ティントリップを塗っておくと、顔色が明るく見えておすすめですよ。

――ベースメイクをしていないと、冷房で乾燥が気になったときなどに、保湿するのも簡単でいいですね。

上原 そうそう、そうなんです! ベースメイクをしないのは、そういった面でもいいんですよ。私は乾燥が気になったら、顔にセラミドを塗りまくっています。最近、ペプチドもはやっていますけど、こっちはちょっと粘っこいんですよね。なので私は、セラミドのクリームを1日中持ち歩いて、「乾いたな」と思ったらこまめに塗るようにしています。

――マスクをしていると、ニキビの治りが遅くなることも気になります。何か対処法はありますか?

上原 やっぱり、皮膚科に行っていただきたいですね。保険でできる範囲は、皮膚科で治療してもらうのが一番です。保険適応になっていないけど、海外で効果が認められているニキビ治療に関しては、美容クリニックのテリトリーになってきます。なので患者さんには、まず皮膚科に行ってお薬をきちんと使っていただき、それでも良くならないというのであれば、保険適応外の、でも効果があることをやっている美容クリニックに足を運んでみてほしいです。

 ニキビ予防や対策商品って、ドラッグストアにたくさん売ってますよね。だから、「自分で簡単に治せるもの」と思われがちですが、そうではありません。特に今の時期は、マスクが刺激になって、普段よりニキビができやすかったり、治りにくい人も多いと思うので、自分で無理に対処せず、プロの力を頼りましょう。

――ちなみに、「不織布のマスクよりガーゼのマスクのほうが肌が荒れにくい」という情報を見たのですが、これは本当ですか?

上原 うーん……根拠はなんでしょうね(笑)? そもそも、医師の観点からガーゼや布のマスクに対して、「ちゃんと役割を果たしているか?」って疑問を持ってます。本来マスクって、いろいろな検査を受けて、「この大きさの細菌は通さない」とか、そういう判断のもと売られていますよね。でも今は、企業だけでなく個人でも“布マスク”を作って販売しているじゃないですか。ああいうのって、果たしてしっかり検査されていて、マスク本来の性質があるのかという点を、私は医者として疑っているんですよね。なので、そういった意味でもガーゼや布マスクはおすすめしにくいです。

――ガーゼや布マスクは、「洗って何度も使える」のが利点でもありますが……。

上原 数カ月前のように、品切れでマスクがなかなか手に入らず、何日も使い回さないといけないときには、丈夫なガーゼや布マスクが重宝していたと思います。ですが、今は使い捨ての不織布マスクも手に入るようになりましたし、なるべく毎日マスクを取り換えて、清潔なものを使ったほうが、肌のためにもいいでしょう。

 ガーゼや布マスクを洗濯すると、目に見える汚れは取れるかもしれませんが、バイ菌は簡単に落ちるわけではありません。菌やウイルスが死ぬ温度まで加熱して、“滅菌”する作業が必要ですが、家庭でやるにはなかなか難しいでしょう。バイ菌が残っていれば肌荒れの原因にもなりますし、本来のマスクの使い方として、「使い終わったら捨てて、次は新しいものを使う」ことを基本にしてほしいです。

大人のあせも対策、皮膚科医が「おすすめできない」2アイテム! 実は「肌によくない」定番商品とは?

 いよいよ本格的な暑さが到来するこの時期、“夏ならでは”の肌トラブルに悩まされている人も多いはず。特に、汗をかくことによってできる「あせも」は予防が難しく、また、悪化もしやすい。赤ちゃんや子どもに見られる肌トラブルと思われがちだが、ロート製薬株式会社が行った調査によると、「2人に1人」は大人になってからもあせもの症状が出ているという。

 そこで今回は、美容皮膚科医・上原恵理先生に、あせもの原因を解説いただくとともに、ネット上で“あせも対策グッズ”と言われている「ベビーパウダー」「ワセリン」「汗拭きシート」についても評価を聞いた。

汗による肌荒れは「あせも」だけじゃない!?

――そもそも、「あせも」はなぜできるのでしょうか?

上原恵理医師(以下、上原) 汗は「汗腺(かんせん)」を通って外に出るんですが、これには2種類あります。1つが「エクリン汗腺」で、2つ目が「アポクリン汗腺」というものです。エクリン汗腺というのが、私たちのイメージする「暑い時に出てくる汗」を出す線で、アポクリン汗腺は、いわゆるワキガの原因になる線。あせもに関係するのは、前者のエクリン汗腺になります。このエクリン汗腺を伝って、汗が皮膚の表面に出てくればいいんですけど、途中で詰まってしまうことがあります。汗腺の中に汗がとどまった状態になると、肌が炎症を起こしてしまい、これがあせもになるんです。

――体から出てきた汗の成分などが刺激になって、肌がかぶれているのかと思っていました。

上原 正確には違うんですよ。なので、あせもって“どこで汗が詰まるか”によって、症状などが違ってくるんです。赤ちゃんの場合は、比較的、皮膚に近いところで汗が詰まるので、ポツポツとしたあせもができやすい。一方で、大人のあせもは皮膚から遠いところで汗が溜まりやすいので、ポツポツするというよりは、ちょっとボヤ~と皮膚が赤くなる症状だったりするかなと。それともう一つ、汗によって「接触性皮膚炎」を起こす場合もあります。

――「接触性皮膚炎」とはなんでしょうか?

上原 接触性皮膚炎というのは、名前の通り「接触」によって起こる肌荒れで、なんであっても肌に合わないものに触れると起こりえます。化粧品が合わなくて肌が荒れたり、金属によるアレルギーも接触性皮膚炎のひとつ。汗をかいて肌にベタッとついた状態で放置すると、汗に含まれる塩分やアンモニアなどが肌に影響を与えるんです。汗が肌についている時間が長くなれば、バイ菌も繁殖してしまい、肌が敏感な人はこれで炎症を起こします。体の中の汗が詰まって炎症を起こすのが「あせも」、体の外に出た汗が肌を刺激して炎症を起こすのが「接触性皮膚炎」ということです。

 見た目や症状からどちらなのか判断するのは、一般の人には難しいですが、汗が原因なのは同じなので、なるべく肌を清潔に保つことが大事。汗をかいたらきちんと拭くとか、炎症を抑える薬を塗るとか、治療法もそこまで変わらないと思います。

――あせも対策グッズというと、汗を抑えて肌をサラッとした状態に保てるとの理由から、「ベビーパウダー」がよく出てきます。

上原 ベビーパウダーって、最近は「成分があまり肌によくないんじゃないか?」って言われていて……。それに、汗の出口を塞ぐことにもなりかねないので、あまりおすすめはできないですね。一番いいのは、汗をかいたらこまめに拭いて、汗による刺激を皮膚に与えないことだと思います。

――汗を拭く時は、乾いたタオルでいいのでしょうか?

上原 少し湿らせた状態だとなおいいですが、乾いたタオルでも大丈夫です。とにかくまずは、「汗をとってあげること」が大切です。

――汗でベタベタしたときに活躍する「汗拭きシート」を使用するのは問題ないでしょうか?

上原 健康な肌なら、使ってもいいと思いますね。ただ、状態によってはしみたりとか、アレルギーのある人が使うと悪化するかもしれないので、注意が必要です。

――最後に、「ワセリン」で肌を保湿するとあせもに効果がある、との情報もありました。

上原 いやぁ〜……ワセリンは汗が出るところを油でふさぐことになるので、ちょっとどうかなと思うんですけども……。皮膚科では、ステロイドや非ステロイド、軟膏を出すこともありますでしょうし、保湿にはワセリンがいいとは思いますが、これは全部“塗るタイミング”が大切ですね。一番いいのは、汗をかいたらシャワーやお風呂でキレイに流して、きちんとタオルで拭いて、肌を清潔にしてから保湿すること。

 とはいえ、ワセリンや保湿剤で一般の方が肌をコントロールしようとすると、対処が遅れて悪化する場合もあります。なので、ひどい場合はきちんと皮膚科に行っていただいて、必要な治療を教えてもらうのがベスト。先ほど言ったように、あせもと思われる症状にもタイプがいろいろありますから、お医者さんに見極めてもらって、治していくのがいいと思います。

ニキビで悩む人がやりがちな「3大NG洗顔方法」! 「たっぷり泡」が肌の負担に!?

 日本では、90%以上の人が一度は経験すると言われている「ニキビ」。常日頃ニキビに悩まされている人の中には、「洗顔に気を使っている」という人も少なくないだろうが、ニキビ経験者の洗顔方法には、未経験者との違いがみられ、逆にニキビを悪化させてしまうケースもみられるという。皮膚科医の高山かおる先生が、薬用ニキビスキンケア用品「プロアクティブ」のメディアセミナーにて、その詳細を語った。

スマホとSNSが、ニキビの悩みを重くさせた?

 ニキビの正式名称は「尋常性ざ瘡」といい、尋常性は「よく見られる」「一般的な」、ざ瘡は「毛根を包んでいる毛嚢に生じた紅色の丘疹で、膿疱を形成したもの」を意味し、「簡単に言うと、毛穴が膨らみ、その部分が膿んでいる状態」だという。

 なお、日本皮膚科学会のガイドラインでは、思春期以降に生じるとされ、その重症度は、片側に炎症性皮疹(炎症の生じている発疹)が「5個以下=軽症」「6個以上20個以下=中等症」「21個以上50個以下=重症」「51個以上=最重症」と4段階に分けられているそうだ。

「ニキビになったことがない人からすると、『たかがニキビ』と片付けられがちですが、ニキビはQOL低下に大きな影響を及ぼす病気。現代では、それがさらに顕著になってきたように思いますね。というのも、スマホが普及し、インスタグラムなどの写真メインのSNSが増えたことによって、インカメラを鏡がわりにしたり、顔加工のアプリで肌を修整するなど、以前よりも自分の顔をチェックする機会が増加しているのです」

 顔をチェックすることで、ニキビの存在をより実感し、思い悩んでしまうことは想像に難くない。高山先生いわく、こうした傾向を持つ人たちは、「洗顔で洗いがち」「スマホで毛穴を見がち」「指先でニキビのぶつぶつや皮脂を触りがち」の3大NG行動に走ってしまうケースがよくみられるとのこと。これらは、皮膚科医が指導しても「なかなか治らない」と述べた。

 この3大NG行動の中で、正解とされる行いが最もわかりにくいのは、「洗顔」についてだろう。高山先生は今回、ニキビケアブランドのプロアクティブと共同で「ニキビ経験者の30代女性/ニキビ未経験者の30代女性」を対象に、それぞれの朝の洗顔方法を動画で撮影し、どんな違いがあるのかを分析。「ニキビ経験者の洗顔習慣」にはいくつかの特徴があることがわかったそうだ。

1. 洗顔時間+すすぎの時間が長い

「ニキビ経験者は平均68秒、未経験者は平均46秒でした。洗顔料や水分に触れている時間が長いと、肌の負担につながっている可能性があります」

2. ニキビ経験者は特定の部位をゴシゴシ洗いすぎ

「小鼻の横や、アゴ、おでこなど、ニキビのあった場所や、皮脂が気になるTゾーンをゴシゴシ洗っており、これだと必要な皮脂まで洗い落としてしまうことになります」

3. 洗顔料が多すぎ

「あまりに洗顔料が多すぎるため、泡立ちも大きくなり、洗い残しがあったり、すすぎに時間がかかり、それが『1』の『洗顔時間+すすぎの時間が長い』につながってしまいます」

「ほかにもニキビ経験者には、指先を使って力を入れ、皮脂をかき出すように洗ったり、水圧の強いシャワーを当てるなどの特徴もみられました。つまり、無意識のうちに洗いすぎているんですね。こうしたNG洗顔は、『ニキビの原因である皮脂は全て洗い流すべき』『たっぷりの泡で洗うとよい』『時間をかけることが丁寧な洗顔』という“思い込み”からくるのでしょう」

 では、ニキビを予防するために、気をつけるべき洗顔のポイントはなんなのだろう。

「まず洗顔料の選び方ですが、『皮膚の炎症を抑える成分』が入ったニキビケア用のものを選ぶとよいでしょう。また洗顔方法については、適量の洗顔料を泡立てたら顔全体になじませ、指先で各部位2~3回、円を描くように力を入れすぎないように洗う。自分の肌を『豆腐』に見立てて力を調節してみてください。そして洗顔後は、清潔なタオルで水を拭き取り、すぐに保湿することが重要。乾燥で肌の水分が不足すると、毛穴の出口の角質が厚くなって、毛穴が詰まりやすくなり、ニキビの原因になるからです」

 なお、顔にできるニキビだけでなく、背中にできるニキビに悩んでいる人も多いのではないだろうか。顔とは違い、自分ではなかなか見えづらい部位だけに、顔以上にゴシゴシ擦ってしまい、「毛穴が傷ついて硬くなってしまうケースが多いのではないか」と高山先生は言う。

「背中のニキビも、顔と同じ。ブラシなどで、『あまり刺激を与えず、泡で角質を溶かしだす』といったイメージで洗うといいのではないでしょうか。また保湿も大事です。背中だと、衣服に触れる部位なので、綿やシルクなど、皮膚の代謝を邪魔しない肌に優しい素材のものを選ぶのも、ニキビ対策になると思います」

 ニキビをつくりたくない、悪化させたくないという強い気持ちが、NG洗顔につながってしまっては悲しい限り。正しい洗顔方法を身につけ、ニキビに悩まされない生活を送りたいものだ。
(解説 皮膚科医・高山かおる先生/取材・文 サイゾーウーマン編集部)

睡眠・快眠サプリ「ドリエル」「グリナ」「ナイトサプリ」ほか……薬剤師が「飲んでも意味がない」判定

 処方薬として30年近く発売されている睡眠導入剤の「デパス」。深刻な副作用や依存症の実態が、昨今明らかになったことで注目を集めているが、一方で、近年はコンビニでも安眠を謳うサプリが販売されるほど、「眠り」の需要は伸びているようだ。

 では、あまたある「睡眠・快眠サプリ」の中で、選ぶならどれで、選ぶべきではないのはどれか? 今回、ドラッグストアやネットで購入できる売れ筋の「睡眠・快眠サプリ」を10点抽出し、第二類医薬品、機能性表示食品、そのほかの3部門で分類。それらを『睡眠薬 その一錠が病気をつくる』(河出書房新社)などの著書を持つ薬剤師・宇多川久美子氏にチェックしてもらった。

医薬品は特色ナシ:「ドリエル」「ネオデイ」「リポスミン」

 これらはいずれも抗ヒスタミン薬。くしゃみ、鼻水、花粉症といったアレルギー反応を抑える薬なんです。花粉症の薬などは「飲むと眠くなるので気を付けてください」と言われますよね。その眠気を利用したものです。だから、抗ヒスタミン薬を飲んでも眠くならない人は、これらを飲んでも眠れません。

 ちなみに、抗アレルギー剤の第2世代は眠気が出にくいので、このタイプは“古い”タイプ。それがなぜお薬として売られているかというと、成分のジフェンヒドラミンは原価が安いから。抗ヒスタミン薬「レスタミンコーワ」は、じんましんや湿疹の治療薬として、アマゾンで120錠809円で売られています(2月17日19時現在)。1粒にジフェンヒドラミン10mg配合なので、5粒飲めばドリエルと同等。5粒×24回分を809円で買えるんです。でも「ドリエル」は3回分で約1,000円。同じ薬なのに、パッケージに寝床につくネコのイラストや眠りに関するコピーを書いただけで、こんなに高く売れるんですよ。

 「ドリエル」「リポスミン」「ネオデイ」の添加物を見ても、それぞれ特色は見られません。違いがあるなら、錠剤の大きさや溶け方くらいですね。ただ、人によって「リポスミンは全然効かない。やっぱりドリエルだよね」という人もいるでしょう。それは気持ちの問題。プラセボ効果です。ちなみに、これらは「睡眠改善薬」であり、処方される睡眠薬や睡眠導入薬とはまったく違います。

機能性表示食品は寝れたらラッキー:「グリナ」「ネルノダ」ほか

 これらに配合されているGABA、グリシン、テアニンは体に必要なアミノ酸なので、安心ですね。いずれのアミノ酸も「心を穏やかにする」「落ち着ける」ようなものです。しかし実際、これら3つが安眠にどう働くのかは疑問符がつきます。

 いずれのアミノ酸も、盲検の結果「すっきり寝れた」「安眠がもたらされた」とのデータがあるものだとは思うのですが……。個人的には、コレで眠れるなら「ラッキーだよな」と。ネットにある購入者の声や口コミによるプラセボ効果が多大に影響していると思います。

 そもそもアミノ酸は食べ物で摂取できるので、食事で食べたほうがいい。ちなみに機能性表示食品は、「消費者庁に届け出たもの」であり、疾病の治療、予防を目的としたものではありません。健康機能があるトクホとは異なります。これら製品サイトにも書かれていますけど、“飲めば解決”ではなく食生活の改善も必要ですよ。

 「ナイトプラス」に入っているラフマですが、これはハーブみたいなもので心を落ち着かせるとされています。そこにGABA、テアニンも入れて、グリシンも入れてますね。個人的に、安眠で一番大事だと思っているアミノ酸はトリプトファンなのですが、それも入ってる。何mg配合なのか、HPを見ても容量はわかりませんが、安眠に関わるとされる成分が全部入ってる。すごいですね。

 「グッスリラ」も、1日あたりの配合量がグリシン480㎎、テアニン100㎎ですか。機能性食品の「グリナ」はグリシン3000mgだったので、そこまでの量ではないものの、テアニンの力も借りればすごいんじゃないですか? なかなかです。「休息siNight」も、グリシン、GABA、トリプトファン、テアニンと安眠に良いとされるアミノ酸がいろいろ入っていますね。ただ、1粒あたりの含有量がわからないのはネック。機能性食品と同じく、どれもアミノ酸なので食事で摂取すればいい気がしますね。

薬のほとんど、実はプラセボ効果

 これらは不眠症を改善するのではなく、ちょっと乱れてしまった睡眠を改善するものなので、飲み続けるものではありません。自身で生活習慣を見直したり、バランスの良い食事を考えていくことが最も大切。個人的にはどれも手を出しませんが、買うなら「レスタミンコーワ」ですね。
今回、プラセボ効果のように思えるものも多かったのですが、実は流通している医薬品の50%は「プラセボ効果」。「すごくよく効くんだよ」と出された薬の効果は絶大なんです。お隣さんや口コミ、ネットの声は、人にとって一番大きな効果になるんです。

 最後に、症状のウラには重大な疾病が潜むこともあります。薬局の薬剤師に話をしても、あくまでも問診上のことで、対処療法としての薬しか出せません。体の中を見れるのは、医師だけです。しっかりと医療機関にかかりましょう。

(解説:宇多川久美子、取材・文:サイゾーウーマン編集部)

「低気圧頭痛の対策に着圧ソックス」は意味ナシ! 医師が片頭痛の原因と予防の“正解”を解説

 昨年末より、ネット上で話題の“頭痛対策法”がある。とあるTwitterアカウントが投稿した内容で、要約すると、「低気圧頭痛のときは着圧ソックスを穿くと頭痛が和らぐ」というものだ。この投稿は低気圧頭痛に悩む人々の間で瞬く間に拡散され、半ば事実として受け止められている様子。しかし実際、着圧ソックスを穿くだけで、頭痛が収まるのか? うわさの真偽を、『頭痛は消える。』(ダイヤモンド社)『頭痛女子のトリセツ』(マガジンハウス)など頭痛に関する著書を多数持つ、東京女子医科大学の頭痛外来・清水俊彦医師に見解を聞いた。

医学的に考えて着圧ソックスは意味がない

――気圧が下がると頭が痛くなる、いわゆる“低気圧頭痛”に悩む人の間で、着圧ソックスを穿くと効果的だといわれています。

清水俊彦医師 まずは頭痛が起こる仕組みから話しますね。頭痛は、脳の血管が縮んだあと、膨らむときに発生します。膨らんだ際に三叉神経が圧迫され、頭痛が発生するんです。気圧が低いときは、体全体にかかる圧が弱く、“抑え”が利かない状態なので、脳をはじめ体中の血管が膨らむ。そして膨らんだ血管の隙間からは体液が漏れていき、それがむくみにつながる。つまり、頭痛は脳がむくんでいる状態ともいえます。

 そんな状態の中、着圧ソックスを穿いて足のむくみを取ったところで、脳のむくみはとれるのか……。眉唾ですよね。ソックスを穿いたことで足に溜まっていた体液は解消されますが、それはどこへいくのか? 体液は消えませんから、足以外の部位がよりむくむと考えられます。

――足のむくみを取っても、体液の総量に変化がないので意味はないのですね。しかし、この方法が実際に効いたという人もいるのですが……。

清水 ごくごく医学的に考えて、着圧ソックスは意味がないと思います。効いたとすれば、プラセボ効果。インターネット上はまことしやかなデマも多いですね。脳の血管のむくみを取るには、着圧ソックスではなくトリプタン製剤です。これは片頭痛の薬で、血管のむくみを取ります。脳の血管が縮むとともに、漏れていた水分が血管に戻ってくるんです。それが、おしっこになって出てきます。びっくりするくらい尿量が増える人もいますよ。

 市販の頭痛薬はいろいろありますが、おすすめするならバファリン。バファリンに含まれる成分・アセチルサリチル酸は、血小板に作用して血管の伸び縮みに関係するセロトニンの異常な放出を防ぐ効果が認められているので、ほかの鎮痛薬よりはマシだと思います。そして、複合成分が多いものほど、薬物乱用になりやすいといわれていますから、単一成分のものがいいです。

 日常的には、カフェインやテオフィリン(カフェインの類似物質)を摂取してほしいですね。コーヒーや緑茶で補えます。片頭痛の人は、頭痛発作前、体に体液を溜め込んでいる状態なのでトイレが遠くなるんですが、これらは利尿作用がある。だから片頭痛の起こりそうなときにコーヒーを飲む。1日2~3杯で十分。カフェインにも依存性があるので、飲みすぎないこと。

――飲み物以外に頭痛の対策法はありますか?

清水 糖分は大事です。仕事が長時間になると頭痛になる人がいますよね。デスクワークは脳をとても使うので血糖値が下がり、脳血管が緩みがちになり頭痛になる。だから、仕事中は飴玉をなめてください。チョコレートは血管を拡張させる物質が入ってるからダメですよ。

 一番良いのは、コーヒーに砂糖を少し加えた微糖コーヒー。アメリカでは片頭痛の人は一日6食にして血糖値をキープするよう推奨されています。それほど、血糖値は片頭痛の人にとって重要なものなんです。ちなみに、糖質ダイエットは片頭痛の人は絶対にダメ。頭痛が一気に悪化します。

 また、ポニーテールや三つ編み、夜会巻きといった髪形は、頭皮を支配する三叉神経が刺激されるため、片頭痛の人には頭痛が起こりかねません。頭皮を過剰に引っ張り続ける髪形は避けましょう。

――片頭痛持ちは女性に目立つような気がするのですが。

清水 女性ホルモンと非常深い関係がありますからね。頭痛のときは、まず脳の血管が縮んで、その後に膨らんでくる。その伸び縮みに関係するのが、脳内物質のセロトニンです。セロトニンが減少すると血管は膨らむのですが、その増減は、女性ホルモン(エストロジェン)と連動する傾向にあります。そのため、月経の前後などに女性ホルモンが激減すると、セロトニンも激減し、血管が拡張します。だからPMSや排卵日に連動して頭痛が起こるといわれているんですね。

 そもそも、片頭痛になる人/ならない人は遺伝であり、大体が母親から受け継がれることがわかっています。そして女性の片頭痛の特徴は、“敏感性”なんです。温度差、気圧差、女性ホルモンの増減などを敏感に読み取って頭痛を起こす。

 一方、男性の片頭痛に影響するのは気圧と休日。「明日は休みだ」と思ってホッとして寝る。すると、リラックスして副交換神経が優位になり、血管が膨らむ。そして頭痛になります。また、休日は平日より食事の時間が遅くなることで血糖値が下がる。だから、休日でもちゃんと早起きして、食べることが大切です。寝すぎで頭が痛くなるのも、副交換神経が優位になって緩むのと、血糖値が下がっているからです。

――片頭痛と長年付き合うことで、なにか大きな病気になることはありますか?

清水 頭痛の際には、脳が異常な興奮状態に陥っていることが多く、そのような状態を長年、何度も繰り返すことで、脳に興奮がこびりついてしまうんですね。それで、ちょっとした音や視覚的な刺激でも苦痛になったり、寝付きが悪くなったり、感情的になったり、耳鳴りやめまいに悩むこともあります。目つき、顔つきまでも変わってきます。頭痛が引き起こす、そうした悪影響を「脳過敏症候群」と名付けました。だから、片頭痛は痛みがつらいのも事実ですが、それよりもこうした興奮状態が続くことのほうが怖い。表面の痛みだけを取り除いても、あとからツケが回ってくる。

 まずはそうならないためにも、飴をなめて、微糖コーヒーを飲んで、市販の頭痛薬をうまく活用して、日常生活から予防をしっかり心がけてください。間違っても、着圧ソックスではありませんよ。

(解説:清水俊彦 取材/文:サイゾーウーマン編集部)

「低気圧頭痛の対策に着圧ソックス」は意味ナシ! 医師が片頭痛の原因と予防の“正解”を解説

 昨年末より、ネット上で話題の“頭痛対策法”がある。とあるTwitterアカウントが投稿した内容で、要約すると、「低気圧頭痛のときは着圧ソックスを穿くと頭痛が和らぐ」というものだ。この投稿は低気圧頭痛に悩む人々の間で瞬く間に拡散され、半ば事実として受け止められている様子。しかし実際、着圧ソックスを穿くだけで、頭痛が収まるのか? うわさの真偽を、『頭痛は消える。』(ダイヤモンド社)『頭痛女子のトリセツ』(マガジンハウス)など頭痛に関する著書を多数持つ、東京女子医科大学の頭痛外来・清水俊彦医師に見解を聞いた。

医学的に考えて着圧ソックスは意味がない

――気圧が下がると頭が痛くなる、いわゆる“低気圧頭痛”に悩む人の間で、着圧ソックスを穿くと効果的だといわれています。

清水俊彦医師 まずは頭痛が起こる仕組みから話しますね。頭痛は、脳の血管が縮んだあと、膨らむときに発生します。膨らんだ際に三叉神経が圧迫され、頭痛が発生するんです。気圧が低いときは、体全体にかかる圧が弱く、“抑え”が利かない状態なので、脳をはじめ体中の血管が膨らむ。そして膨らんだ血管の隙間からは体液が漏れていき、それがむくみにつながる。つまり、頭痛は脳がむくんでいる状態ともいえます。

 そんな状態の中、着圧ソックスを穿いて足のむくみを取ったところで、脳のむくみはとれるのか……。眉唾ですよね。ソックスを穿いたことで足に溜まっていた体液は解消されますが、それはどこへいくのか? 体液は消えませんから、足以外の部位がよりむくむと考えられます。

――足のむくみを取っても、体液の総量に変化がないので意味はないのですね。しかし、この方法が実際に効いたという人もいるのですが……。

清水 ごくごく医学的に考えて、着圧ソックスは意味がないと思います。効いたとすれば、プラセボ効果。インターネット上はまことしやかなデマも多いですね。脳の血管のむくみを取るには、着圧ソックスではなくトリプタン製剤です。これは片頭痛の薬で、血管のむくみを取ります。脳の血管が縮むとともに、漏れていた水分が血管に戻ってくるんです。それが、おしっこになって出てきます。びっくりするくらい尿量が増える人もいますよ。

 市販の頭痛薬はいろいろありますが、おすすめするならバファリン。バファリンに含まれる成分・アセチルサリチル酸は、血小板に作用して血管の伸び縮みに関係するセロトニンの異常な放出を防ぐ効果が認められているので、ほかの鎮痛薬よりはマシだと思います。そして、複合成分が多いものほど、薬物乱用になりやすいといわれていますから、単一成分のものがいいです。

 日常的には、カフェインやテオフィリン(カフェインの類似物質)を摂取してほしいですね。コーヒーや緑茶で補えます。片頭痛の人は、頭痛発作前、体に体液を溜め込んでいる状態なのでトイレが遠くなるんですが、これらは利尿作用がある。だから片頭痛の起こりそうなときにコーヒーを飲む。1日2~3杯で十分。カフェインにも依存性があるので、飲みすぎないこと。

――飲み物以外に頭痛の対策法はありますか?

清水 糖分は大事です。仕事が長時間になると頭痛になる人がいますよね。デスクワークは脳をとても使うので血糖値が下がり、脳血管が緩みがちになり頭痛になる。だから、仕事中は飴玉をなめてください。チョコレートは血管を拡張させる物質が入ってるからダメですよ。

 一番良いのは、コーヒーに砂糖を少し加えた微糖コーヒー。アメリカでは片頭痛の人は一日6食にして血糖値をキープするよう推奨されています。それほど、血糖値は片頭痛の人にとって重要なものなんです。ちなみに、糖質ダイエットは片頭痛の人は絶対にダメ。頭痛が一気に悪化します。

 また、ポニーテールや三つ編み、夜会巻きといった髪形は、頭皮を支配する三叉神経が刺激されるため、片頭痛の人には頭痛が起こりかねません。頭皮を過剰に引っ張り続ける髪形は避けましょう。

――片頭痛持ちは女性に目立つような気がするのですが。

清水 女性ホルモンと非常深い関係がありますからね。頭痛のときは、まず脳の血管が縮んで、その後に膨らんでくる。その伸び縮みに関係するのが、脳内物質のセロトニンです。セロトニンが減少すると血管は膨らむのですが、その増減は、女性ホルモン(エストロジェン)と連動する傾向にあります。そのため、月経の前後などに女性ホルモンが激減すると、セロトニンも激減し、血管が拡張します。だからPMSや排卵日に連動して頭痛が起こるといわれているんですね。

 そもそも、片頭痛になる人/ならない人は遺伝であり、大体が母親から受け継がれることがわかっています。そして女性の片頭痛の特徴は、“敏感性”なんです。温度差、気圧差、女性ホルモンの増減などを敏感に読み取って頭痛を起こす。

 一方、男性の片頭痛に影響するのは気圧と休日。「明日は休みだ」と思ってホッとして寝る。すると、リラックスして副交換神経が優位になり、血管が膨らむ。そして頭痛になります。また、休日は平日より食事の時間が遅くなることで血糖値が下がる。だから、休日でもちゃんと早起きして、食べることが大切です。寝すぎで頭が痛くなるのも、副交換神経が優位になって緩むのと、血糖値が下がっているからです。

――片頭痛と長年付き合うことで、なにか大きな病気になることはありますか?

清水 頭痛の際には、脳が異常な興奮状態に陥っていることが多く、そのような状態を長年、何度も繰り返すことで、脳に興奮がこびりついてしまうんですね。それで、ちょっとした音や視覚的な刺激でも苦痛になったり、寝付きが悪くなったり、感情的になったり、耳鳴りやめまいに悩むこともあります。目つき、顔つきまでも変わってきます。頭痛が引き起こす、そうした悪影響を「脳過敏症候群」と名付けました。だから、片頭痛は痛みがつらいのも事実ですが、それよりもこうした興奮状態が続くことのほうが怖い。表面の痛みだけを取り除いても、あとからツケが回ってくる。

 まずはそうならないためにも、飴をなめて、微糖コーヒーを飲んで、市販の頭痛薬をうまく活用して、日常生活から予防をしっかり心がけてください。間違っても、着圧ソックスではありませんよ。

(解説:清水俊彦 取材/文:サイゾーウーマン編集部)