アンダーヘアは、なぜコンプレックスになりやすい? カツラ開発者が語る“女のアソコ”の価値観

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 永久脱毛が身近になり、アンダーヘアのケアを意識する女性が増えている。しかし、「どれだけ仲の良い友達でも、開けっぴろげにアンダーヘアの悩みは話せない……」という女性は少なくなく、話題に出すことも“タブー視”される風潮は今も変わっていない。なぜ、アンダーヘアは気軽に語ることが憚られるのか? アンダーヘア専用ヘアコンタクト「Venus Veil(ヴィーナスベール)」を販売する株式会社「クレイジーバンプ」の加藤さんに、女性のアンダーヘア意識について伺った。

■“アンダーヘアはあって当たり前”の価値観

 若い世代を中心に、ケアすることが一般的となりつつあるアンダーヘア。広告などで「Vゾーン」「VIO脱毛」といった文字を見かけることも増えたとはいえ、いまだ人前でフランクに語れるほどには至っていない。

 加藤さんも、これまで友人とアンダーヘアについて話した経験はなく、開発時のリサーチでは、「『こんな商品を開発するから聞かせてほしい』という前提があって初めて、話題にすることができました」という。それでも、何にどう悩んでいるのかという込み入った話までは聞き出せなかったそうだ。

 アンダーヘアの話題がタブー視される背景として、加藤さんは、「日本人ならではの奥ゆかしさなのかもしれない」と分析する。全処理やケアすることが一般的な外国人と違って、日本人はアンダーヘアをそのままにしておくことが“普通”とされてきた。そのため、手を加えると「遊んでいる」などの印象を持たれやすく、おのずとアンダーヘアの話題は口にしづらいムードに。

「アンダーヘアを永久脱毛した人の中にも、『アルはずのものがナイ』ことに恥ずかしさを覚えるようになってしまう方もいます。特に『アンダーヘアはあって当たり前』という意識の強い年配者の目に触れる温泉などでは、全処理のまま入浴することに抵抗を感じる人が少なくないといいます。また『パートナーに見せる際、アンダーヘアがないと恥ずかしい』といった方もいるようですね」

■「普通のアンダーヘア」がわからない

 そんな女性たちの悩みを解消すべく、アンダーヘア専用のカツラとなる「ヴィーナスベール」を開発した加藤さんだが、途中、アンダーヘアトークのタブー視による弊害を感じる場面もあったという。

「もともとアンダーヘア専用のカツラはありましたが、毛量が多く、毛も真っ黒で不自然なものでした。そこで、違和感のないものを作りたいと思ったのですが、まず“普通のアンダーヘア”がどんな感じかわからないんですよ」

 知人などへのヒアリングでは十分に聞き出すことができない。他人のアンダーヘアを見る機会もほとんどない。そこで、男性向けの雑誌を見たり、社員が実際にサンプルを試したりしながら意見を出し合い、改良していったそうだ。

 しかし、いざ完成すると、「本当に需要があるのか?」という不安が襲ったという。

「人と同じか違うかで悩む方もいる一方で、まったく気にしない方もいます。アンダーヘアの話題がタブーとされていることで、カツラが必要とされているかの把握さえ難しかったんです」

 ところが、いざ販売を始めると、「温泉で人目につくのが恥ずかしい」「パートナーが変わり、いきなり“ナイ”のを見せるのが忍びない」などの理由で、10代後半~70代まで、幅広い年代で需要があったという。

 「全処理をした若い女性だけでなく、年齢とともに薄くなってしまった高齢の方も必要としていることがわかり、あらためて『アンダーヘアはあって当たり前』という感覚の根深さを感じました」と、加藤さん。普段は他者の目に触れる場では引け目に感じてしまうほど、女性にとってアンダーヘアはパーソナルな問題だということが浮き彫りとなったのだ。

 ただ、一番驚いたのは、男性からの問い合わせがあったことだという。

「ヴィーナスベールは、その名の通り、完全に女性向けを想定して開発しました。ところが、男性からも注文があったので、ビックリしましたね。男性は女性以上に“あって当たり前”感が強いうえ、風呂場で隠したりもできませんよね。アンダーヘアがないと、からかわれる傾向もあり、女性より深刻な悩みであることが窺えました」

■タブー視が生んだアンダーヘアコンプレックス

 開発を通して、加藤さんは「アンダーヘアは個人差が大きいものと感じた」と語る。にもかかわらず、幅広い世代で秘かな悩みの種となっているのは、話しづらいことで個人差に気づけず、「薄めで毛が細く、真っ黒ではないアンダーヘアが美しい」というイメージだけが浸透しているからにほかならない。

 それゆえ、普段は人目につかず、実際は公共の場でもそれほど見られていなくても、「濃いのではないか」「ほかの人と違うかもしれない」と悩んだり、全処理したものの他人からどう見られるか不安に感じるなど、「アンダーヘアは、コンプレックスになりやすいのではないか」と、加藤さんは推測する。

「コンプレックスって、当人には大きな問題なので、それによって生じる悩みを解消できるアイテムがあれば、生きやすくなると思うんです。そういった点で、アンダーヘアのカツラをつけることは、“プチ整形”の感覚に似ているかもしれません。例えば、自分の顔にコンプレックスがあって整形に踏み切る人がいますが、他人から見ると『別に気にしなくてもいいのに』と思うことはよくありますよね。アンダーヘアも『人それぞれなんだ』『私は変じゃない』ということがわかれば、悩まずに済むのではないかと思いますが、コンプレックスを持っている人にとって、それはなかなか難しい問題なのではないでしょうか」

 海外では、アンダーヘアの脱色やデザインカットも話題になるほどケアが一般化している。しかし日本は、ケアを意識する人としない人という両極端な状態で、「今後もその距離が近づく可能性は低いのではないか」と加藤さんは語る。そういった状況を知っているだけでも、女性たちのアンダーヘアに関するタブー意識は薄らいでいくのかもしれない。
(取材・文/千葉こころ)

Venus Veil(ヴィーナスベール)公式サイト

 

Iラインは「膣の入り口が隠れる長さに」! 女のアンダーヘア処理を婦人科医が詳しく解説

どんなに気心の知れた友人でも、アンダーヘアの悩みについてはなかなか話しづらいもの。処理やケアの方法に関する詳細なガイドラインなどもなかなか見つけられないため、サロンやセルフで処理している女性の中には、「この処理法って正しいの?」「どうするのが一番いいんだろう」と気になっている人も多いようだ。そこで今回は、成城松村クリニックの医院長で婦人科医の松村圭子先生に、アンダーヘアの正しい処理法についてお聞きした。

■アンダーヘアの有無と性感染症の関係は?

――そもそもアンダーヘアは、どのような役割があるのでしょうか?

松村圭子医師(以下、松村) 頭など、人間の体の中で特に大事な部分は、毛で守られています。アンダーヘアも役割としては同じですね。雑菌などが入っていかないようブロックする働きもあります。

――性感染症も、アンダーヘアの有無で感染率が違ったりするのでしょうか?

松村 性感染症は、主に皮膚や体液の接触で感染するので、アンダーヘアの有無は関係ありません。うつるときは、うつります。

――最近はアンダーヘアを全て脱毛する女性も増えているようですが、実際、あるのとないのとでは、どちらが望ましいのでしょうか?

松村 衝撃や雑菌から守るという役割があるので、やはりある方が望ましいです。ただ、ムダに多いと、生理中などは湿度がジャングル並みに高くなってしまうので、“適度にある”くらいが理想的ですね。

――VIOそれぞれに「何センチくらいがいい」など、具体的にベストな長さなどはありますか?

松村 毛量や長さ、生え方など個人差が大きいので、一概には言えませんが、とりあえず、どのラインであっても、“ショーツからはみ出ない程度”で、不快感を覚えないようであれば大丈夫と思ってください。

 ただ、IとOは、粘膜に近い部分なので、本当はいじらない方がいいんですけどね……。Iラインは膣の入り口が隠れるくらいの長さに揃える程度で十分という意識を。Oに関しては、ショーツからはみ出たり、日常生活に支障をきたしたりすることもないと思うので、正直言って、処理する必要性自体あまり感じません(笑)。

――アンダーヘアを処理する際、どのような方法がおすすめですか?

松村 デリケートな部位なので、やはり安全性の高い医療機関での脱毛が安心かと思います。永久脱毛効果のあるレーザーで、ドクターが肌の状態を見ながら出力を調整するため、肌への負担や効果を考えても効率的ですよ。

――時間的や経済的な理由から、セルフで処理せざるを得ない方もいると思うのですが、自己処理ではどんなことに気をつけたらいいですか?

松村 自己処理の場合は、抜くより剃る方が毛穴のダメージが少なくて済みます。剃るときは、清潔な状態で、クリームを塗ってから毛の流れに沿ってカミソリをあててください。肌を傷つけないように気をつけ、処理後は保湿剤でしっかりアフターケアをしてくださいね。ただ、肌や毛穴が炎症を起こしたり埋没毛になったりしたときは、自己処理を中止して、すぐに医療機関を受診しましょう。

――最近は、ブラジリアンワックスでの処理も主流になってきているようですが、どんなメリットとデメリットが考えられますか?

松村 メリットとしては、永久脱毛ではないので、将来「やるんじゃなかった」と後悔する心配がないということ。でも逆に、定期的に処理するという手間がデメリットともいえます。また、余計な角質が取れて肌がきれいになるというメリットもありますが、肌質によってはかぶれを起こすなど、肌トラブルを招くことも考えられます。多かれ少なかれ、肌へのダメージはありますから。でもなにより、パーツがパーツなだけにかなり痛そうというのが、一番のデメリットかもしれません。

■男性の受け止め方はそれぞれ。気にしすぎないのが一番

――アンダーヘアはほどよくある方がいいとのお話でしたが、男性目線を気にして処理する女性も少なくないようです。先生的にはどう思われますか?

松村 日本では欧米ほどアンダーヘアの処理がポピュラーになっていないので、男性も、ナチュラル派と処理派で半々のようです。手入れされている方が女性らしいという男性もいる一方で、ツルツルで引いたとか、整っていると遊んでいるように感じるという声も聞きます。さすがにショーツからはみ出ているとだらしない印象を与えてしまうので、ある程度は整えた方がいいと思いますが、男性全員が同じ意見ではないので、気にしすぎる必要はないと思いますよ。
(取材・文/千葉こころ)

睡眠時間より長くスマホを見てる……現代人の「とにかく疲れてダルい」を解消する方法は?

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 よく寝たはずなのに疲れが取れない、やる気が出ないなど、身体的にも精神的にも慢性的な疲れを感じている人は少なくない。それには、スマートフォンなどの“デジタル機器”が関係している可能性があるという。生活を豊かにするはずのデジタル機器が、体も心も疲労させる「デジタルライフ疲労」につながっているというが、その実態を知るべく、アスタリール株式会社が主催した、杏林大学名誉教授で精神科医の古賀良彦先生による「デジタルライフ疲労の特徴と対策」の講演に足を運んだ。

■睡眠時間よりデジタル機器に触れている時間が長い現代人

 古賀先生がアスタリール株式会社と共同で、全国の20~50代の男女2万人を対象に行った調査によると、半数近くが1日のうち4時間以上パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器を使用しており、なんと10人に1人は8時間以上の長時間使用であることがわかった。この数字は、「睡眠よりも長い時間、デジタル機器に触れていることになります」と、古賀先生は指摘する。

 併せて、週明けの月曜と火曜の疲労感も調査したところ、「疲労を感じている」と回答した人は87.7%にも上ったとのこと。古賀先生は、「スマホなどデジタル機器の普及によって、疲労を感じている人が増えている」と述べていた。

 しかし、一口に疲労と言っても、さまざまな種類があるだろう。具体的にどんな疲労を感じるのか、先述の調査と同条件の930人に聞いたところ、「疲れが取れない」といった身体的疲労、「気分が落ち込みやすい」といった精神的疲労、さらには「人と話すことが面倒」「なんとなく生きている感じがする」など、“社会性にまつわる問題”を抱えている人も40%以上との結果になった。

 この社会性にまつわる問題においては、SNSなどを通じて、他者のライフスタイルが目に留まることで、自身の生活の充足度に不満が生じるといった側面もあるとのこと。「SNSは文字だけがひとり歩きする可能性が高く、受け手の解釈によって現実とズレが生じたり、自身と比較したりすることで、社会性の欠落を助長する恐れもある」(古賀先生)そうだ。

 これらのことから、古賀先生は「デジタル機器を日常的に使用する生活は、身体的疲労と精神的疲労を同時に自覚するとともに、コミュニケーションや生活の充足度といった社会性にも大きく影響を及ぼしている」として、デジタル機器の使用に起因する複合的な疲労を「デジタルライフ疲労」と位置付けているという。

 デジタル機器の使用によってもたらされる「デジタルライフ疲労」だが、今のご時世、デジタル機器を一切使用しないで生活するのは難しいのが現実。その際、「疲労を溜めにくくするには、Rest(休養)、Relaxation(寛ぎ)、Recreation(楽しみ)といった、3つの“R”を意識することが大切です」と、古賀先生は語る。

 デジタル機器から離れた十分な休息時間を持ち、ストレッチやマッサージ、入浴などで寛いだ時間を過ごすこと、そして、趣味や食事などで「楽しい」と実感することが、疲労の蓄積を防いで活力を生み出すそうです。

 ただ、古賀先生いわく、「調査の結果、『Recreation(楽しみ)』を十分に摂れている人は少ないようです。デジタルライフ疲労の回復には休息だけでは不十分。『Re(再度)』『creation(創る)』とも書くように、積極的に自身を再生する活動をすることで、歪んでしまった心と体の働き、そして、コミュニケーション能力を取り戻すことができるのです」。

 とはいえ、忙しい現代人は趣味などにかける時間がなかなか取りにくい。そんな時、着目したいのが、「食べることを楽しみにする」という選択肢だという。

「どんなに忙しい人でも、食事は毎日のこと。ただ“暴飲暴食でストレス発散”というのは、その瞬間こそ楽しめても体によくありませんので、工夫が必要。疲労に効果的な食事をすることにより、“疲労回復”と“味わう楽しさ”の両方を満たすことを心がけるのが大切です。ただ、逆に“疲労に効果的な食事”は何かと悩んでしまう場合、例えば好きな食べ物を、分量を決めて味わって食べ、あとはサプリメントで補ってみては。アスタキサンチンのような複合的疲労に効果が証明されているサプリメントなどもいいのではないでしょうか」(古賀先生)

 「どれだけ寝ても疲れが取れない」という人は、「疲れたときこそ、能動的に楽しむべし」と意識を変えるべきなのかもしれない。

「患部から黄色い汁が出る」など重症化も……指先が荒れる“現代版手荒れ”の予防法とは?

 乾燥しがちな冬に多いイメージの“手荒れ”。ところが現代では、日常的なパソコンやスマートフォンの使用、手洗いの励行、手指消毒の習慣化などが原因で、夏場でも手荒れを起こしている人が少なくないそうです。しかも、そんな“現代版手荒れ”に気づいていない人が多く、知らないうちに重症化してしまうことも。そこで、ユースキン製薬記者勉強会の中で、野村皮膚科医院・院長の野村有子先生が行った講演「現代版手荒れと、その予防と対策」をレポートします。

■気づかぬうちに重症化しやすい「現代版手荒れ」とは?

 顔、首、手先は、1年を通して外気に晒されている部分。中でも手先は、最も酷使しているものの、「日常的なケアは顔周辺ばかりで、手は何もしていない」という人が多いかもしれません。また、ハンドクリームなどで念入りにケアしている人でも、“指先”はおろそかになり、指先に荒れが生じている人も多いそう。野村先生は、「指先から始まる現代版手荒れは、放置すると重症化する可能性がある」と言います。

 皮膚が乾燥すると肌の水分量が低下し、肌表面の角質が浮いて、“カサつき”や“ささくれ”を起こします。そこで適切なケアを行わず放置していると、皮膚の柔軟性が失われて硬くなったり、関節を曲げるなどの力が加わったときに亀裂が入って“あかぎれ”になったりと、重症化。「亀裂が表皮の下にある血管まで広がって、出血することもある」(野村先生)そうです。

「重症化すると痛みやかゆみも伴うため、そこでようやく皮膚科を受診する人が多いのですが、こうなる前にケアをしないと、完治するまで非常に時間がかかってしまいます。そのため、日ごろの予防と早い段階でのケアが、最も重要になります」と、野村先生。先生の元を訪れる患者さんの中には、患部が赤く腫れてジクジクしていたり、水膨れができたり、黄色い汁が出たりするまで重症化している人もいるそうです。

 現代版手荒れを起こさない、また、悪化させないためには、日常の手洗いで次の3つに気をつけることが大事だそうです。

1.ぬるめのお湯で洗う
「冷たすぎても熱すぎても、肌へ負担がかかってしまいます。特にお湯は肌の油分も奪ってしまうので、温度には気をつけましょう。ちなみに42度は、人の“かゆみセンサー”のスイッチがオンされる温度なので、シャワーなどでもかゆみを感じたときは、温度を下げた方がいいです。手洗いの際は、人肌に近い33~35度くらいが適温と考えてください」

2.洗浄剤は低刺激なものを使う
「肌の弱い人やすでに手荒れ起こしている人は、手洗いの洗浄剤は低刺激のものを使ってください。なお、ノロやインフルエンザなどがはやっているときは殺菌作用の強い洗浄剤で洗い、普段は低刺激の固形せっけんを使うなど、使い分けるのがおすすめです」

3.手洗い後は水分をよく拭きとる
「手洗い後に水分が残っていると、蒸発する水分と一緒に肌の水分も失われてしまいます。そのため、手洗い後はハンカチでしっかりと手を拭くことが大事です。また、ハンカチは毎日取り換えて清潔に保ち、ビショビショの汚いハンカチを使わないようにしてください。ハンドタオルは水分をよく吸収してくれるので、ハンドタオルとハンカチの2枚を持ち歩くといいですよ」

 さらに手洗いのあとは、ハンドクリームを正しく塗って指先を保護することも大切だそうです。

 仕事や日常生活に支障をきたすこともある“現代版手荒れ”。ただ、重症期になるまで気づいていない患者さんが非常に多いだけに、野村先生は、ユースキン製薬が提唱する“ハンドセルフィー”によるセルフチェックも有効だと語ります。

 “ハンドセルフィー”とは、利き手の指先が見えるように軽く手を握り、スマートフォンなどのカメラで撮影。撮れた写真を拡大して指先を見ると、自分では気づいていなかった指先の荒れがわかる方法です。チェックをしたら、正しいハンドケアを行い、もう一度チェックするところまでが1セットだそうです。

 「皮膚がめくれていたり、白っぽくカサカサになっていたりしたら、現代版手荒れを起こしています。また、爪に縦や横の筋が入っている場合も、爪が傷んできている証拠」(野村先生)。現代版手荒れは、早めにケアをして重症化を予防することが大切なので、定期的にハンドセルフィーを行い、指先の手荒れが起きていないか確認するのが望ましいとのことでした。

 「地面が乾くと地割れを起こしますよね。荒れている肌はそれと同じ状態なんです。地面が雨で潤されるように、人の肌もハンドケアで潤いを与えてあげることが大切です。手洗いの意識とハンドクリームによる保護で、キレイな手を保ちましょう。“手荒れという事件は指先から始まる!”と思ってくださいね」という野村先生の言葉で、講演は終了しました。
(取材・文/千葉こころ)

野村有子(のむら・ゆうこ)
野村皮膚科医院 院長。慶應大学卒業後、同大学医学部皮膚科教室に入局。神奈県警友会けいゆう病院皮膚科を経て、1998年、横浜市に野村皮膚科医院を開業。さまざまな皮膚疾患の治療、スキンケアに関する指導も行っている。
公式サイト

「顔にできたデカいシミ」の原因は、血管の衰え!? 若見えに効果的な「大豆食品」の摂り方

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 「ピンピンコロリ」を願っても、なかなかうまくいかないのが人の常。厚生労働省が発表した死因別死亡数でトップ3を占めるのは、悪性新物質(がん)、心疾患、脳血管疾患で、年間10万人もの人が亡くなる突然死も含まれ、これらは全て「血管障害」によって引き起こされるそう。このような症状で寿命を縮めないためには、血液を正常に循環する血管の機能である“血管力”を高めることが大事だといいます。

 ただ、正直「血管の衰えに悩むのは、50~60代からでしょ?」「私には、まだまだ早い話」と思っている人も少なくないのではないでしょうか。しかしこの血管力、実は健康面だけでなく、「女性の“見た目”の老化スピードにも、大きく関わっています」と、池谷医院の医院長・池谷敏郎先生は言うのだから、聞き捨てなりません。今回は、池谷先生が登壇した「女性の老化速度は血管力の差」の講義をレポートします。

■若見えのポイントは毛細血管にアリ

 全身に血液を運ぶ血管は、大動脈から枝分かれしてどんどん細くなり、最終的に毛細血管へつながっているのは、誰もが知る話ですが、毛細血管自体は収縮や拡張をせず、毛細血管につながる“細小動脈”の収縮・拡張によって血流や血圧が調節されているとのこと。そのため、毛細血管へより多くの血液を送り込むには、血管がしなやかで、内壁は滑らかな“血管力の高い動脈”であることが重要になります。

 「血管力が高いか低いかで毛細血管へ送られる血液量が変わるので、細胞に届く栄養量も変わってきます。なので、血管力は生死に関わる病気だけでなく、肌質や見た目にも影響してくるんですよ。どんなに美容にいいものを食べても、肌の細胞まで届かなければ効果は得られませんからね」と、池谷先生。

 実際に24~59歳までの20名の女性を対象に“見た目年齢”を評価したところ、血管力が低下して動脈硬化を起こしている女性ほど、実年齢以上に歳を取って見えたとのこと。また、動脈硬化の度合いが強い人ほど、顔にできたシミの面積が広いという結果もあるそうです(※愛媛大学抗加齢・予防医療センターデータ)。

「血管力が高い人ほど肌細胞へ十分な栄養が届くので、見た目は若く、シミも少なくなるということです。検証はしていませんが、恐らくしわやたるみにも関係していると思います」(池谷先生)

 なお、自身の血管力を知るには、病院で“血管年齢”や“頸動脈エコー法”などの検査を受けて測定することもできますが、生活習慣からある程度の血管力をチェックすることもできるそう。次の表で、リスク度の合計が0~2であれば正常な血管力、3~5なら血管力低下の恐れ、6以上だと血管力が低下している可能性が高いとのことです。

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 では、見た目年齢を老けさせてしまう動脈硬化は、どのように起こるのでしょうか?

 血管は“内膜”“中膜”“外膜”の3層でなっており、血液の流れる“血管内腔”と内膜の境目には“血管内皮細胞”があり、この血管内皮細胞は、血管のコンディションを整備するバリアやフィルターのような働きをしています。ところが、血液中の善玉コレステロールと悪玉コレステロールの比率が悪いと、マクロファージ(酸化されて異物化した悪玉コレステロールを取り込んで処理する白血球の1つ)が、コレステロールを大量に取り込んで脂ぎった“泡沫細胞”へと姿を変え、内膜内に蓄積。さらに中膜からは“平滑筋細胞”が増殖し、血管内壁はコブ状に内腔に向かって飛び出し、“プラーク”を作ります。

 プラークに傷がついて血栓ができたりすると、血管の一部がはがれてその先の細い血管に詰まるなどして、血流が滞り、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こすことも。そのため、池谷先生は「プラークを作らないためにも、酸化ストレスや悪玉コレステロールを増やさないようにしなければなりません。すでにプラークができている場合は、今以上大きくせず、傷つかないようにすることも大切。そのためには、脂質異常やストレス、喫煙など、悪しき生活習慣を改善することです」と警鐘を鳴らします。

■動脈硬化を抑える働きを持つ女性ホルモン

 血管力の低下に伴う動脈硬化。女性の場合、閉経を迎えたあたりから一気に進行する傾向が見られるとのこと。その理由を、池谷先生は次のように語ります。

「女性ホルモンの1つであるエストロゲンには、血管を掃除してくれる血管内皮の一酸化窒素を増やす働きや、平滑筋細胞の増殖を抑える作用などがあります。ほかにも、内臓肥満を抑えたり、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やしたりする作用もあるため、エストロゲンが一気に減少する閉経後に、動脈硬化を起こす人が増えるのです」

 なお、エストロゲンは30代頃から徐々に減り始めるので、閉経を迎える前でも、エストロゲンを補う要素を積極的に取り入れることが、血管力を高めて動脈硬化の進行を抑えるとともに、見た目の若さを保つ秘訣なのだそうです。

 エストロゲンに似た作用を持つとして有名なのは、大豆に含まれる「イソフラボン」。しかしただ無作為に大豆食品を食べればいいかというと話は別。なんでも大豆食品は、糖がくっついている“配糖体”という構造をしているのですが、糖の外れた「アグリコン」に変わらなければ、エストロゲン作用を発揮することができないといいます。

「私たちの体内では、腸内細菌の“発酵”によってイソフラボンがアグリコンへと変えられます。そこで、すでに発酵された状態のイソフラボンを摂取することにより、効率良くアグリコンを取り込むことが期待できるわけです。そのため、みそや納豆、乳酸発酵豆乳などの“発酵された大豆食品”がおすすめです」(池谷先生)

 なお、大豆に含まれるたんぱく質には、脂質の吸収に関わる胆汁酸を排泄してコレステロールの吸収を抑える作用もあるため、エストロゲンが多く分泌されている20代でも、発酵大豆食品を摂取することにはメリットがあるとのことでした。

 「血管力を維持することは、健康を増進して健康寿命を延ばせるだけでなく、美肌や見た目の若さにもつながります。ライフスタイルを見直すとともに、発酵された大豆食品を積極的に摂取して、血管年齢を若返らせましょう」との池谷先生の言葉で、講義は終了しました。
(取材・文/千葉こころ)

「顔にできたデカいシミ」の原因は、血管の衰え!? 若見えに効果的な「大豆食品」の摂り方

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 「ピンピンコロリ」を願っても、なかなかうまくいかないのが人の常。厚生労働省が発表した死因別死亡数でトップ3を占めるのは、悪性新物質(がん)、心疾患、脳血管疾患で、年間10万人もの人が亡くなる突然死も含まれ、これらは全て「血管障害」によって引き起こされるそう。このような症状で寿命を縮めないためには、血液を正常に循環する血管の機能である“血管力”を高めることが大事だといいます。

 ただ、正直「血管の衰えに悩むのは、50~60代からでしょ?」「私には、まだまだ早い話」と思っている人も少なくないのではないでしょうか。しかしこの血管力、実は健康面だけでなく、「女性の“見た目”の老化スピードにも、大きく関わっています」と、池谷医院の医院長・池谷敏郎先生は言うのだから、聞き捨てなりません。今回は、池谷先生が登壇した「女性の老化速度は血管力の差」の講義をレポートします。

■若見えのポイントは毛細血管にアリ

 全身に血液を運ぶ血管は、大動脈から枝分かれしてどんどん細くなり、最終的に毛細血管へつながっているのは、誰もが知る話ですが、毛細血管自体は収縮や拡張をせず、毛細血管につながる“細小動脈”の収縮・拡張によって血流や血圧が調節されているとのこと。そのため、毛細血管へより多くの血液を送り込むには、血管がしなやかで、内壁は滑らかな“血管力の高い動脈”であることが重要になります。

 「血管力が高いか低いかで毛細血管へ送られる血液量が変わるので、細胞に届く栄養量も変わってきます。なので、血管力は生死に関わる病気だけでなく、肌質や見た目にも影響してくるんですよ。どんなに美容にいいものを食べても、肌の細胞まで届かなければ効果は得られませんからね」と、池谷先生。

 実際に24~59歳までの20名の女性を対象に“見た目年齢”を評価したところ、血管力が低下して動脈硬化を起こしている女性ほど、実年齢以上に歳を取って見えたとのこと。また、動脈硬化の度合いが強い人ほど、顔にできたシミの面積が広いという結果もあるそうです(※愛媛大学抗加齢・予防医療センターデータ)。

「血管力が高い人ほど肌細胞へ十分な栄養が届くので、見た目は若く、シミも少なくなるということです。検証はしていませんが、恐らくしわやたるみにも関係していると思います」(池谷先生)

 なお、自身の血管力を知るには、病院で“血管年齢”や“頸動脈エコー法”などの検査を受けて測定することもできますが、生活習慣からある程度の血管力をチェックすることもできるそう。次の表で、リスク度の合計が0~2であれば正常な血管力、3~5なら血管力低下の恐れ、6以上だと血管力が低下している可能性が高いとのことです。

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 では、見た目年齢を老けさせてしまう動脈硬化は、どのように起こるのでしょうか?

 血管は“内膜”“中膜”“外膜”の3層でなっており、血液の流れる“血管内腔”と内膜の境目には“血管内皮細胞”があり、この血管内皮細胞は、血管のコンディションを整備するバリアやフィルターのような働きをしています。ところが、血液中の善玉コレステロールと悪玉コレステロールの比率が悪いと、マクロファージ(酸化されて異物化した悪玉コレステロールを取り込んで処理する白血球の1つ)が、コレステロールを大量に取り込んで脂ぎった“泡沫細胞”へと姿を変え、内膜内に蓄積。さらに中膜からは“平滑筋細胞”が増殖し、血管内壁はコブ状に内腔に向かって飛び出し、“プラーク”を作ります。

 プラークに傷がついて血栓ができたりすると、血管の一部がはがれてその先の細い血管に詰まるなどして、血流が滞り、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こすことも。そのため、池谷先生は「プラークを作らないためにも、酸化ストレスや悪玉コレステロールを増やさないようにしなければなりません。すでにプラークができている場合は、今以上大きくせず、傷つかないようにすることも大切。そのためには、脂質異常やストレス、喫煙など、悪しき生活習慣を改善することです」と警鐘を鳴らします。

■動脈硬化を抑える働きを持つ女性ホルモン

 血管力の低下に伴う動脈硬化。女性の場合、閉経を迎えたあたりから一気に進行する傾向が見られるとのこと。その理由を、池谷先生は次のように語ります。

「女性ホルモンの1つであるエストロゲンには、血管を掃除してくれる血管内皮の一酸化窒素を増やす働きや、平滑筋細胞の増殖を抑える作用などがあります。ほかにも、内臓肥満を抑えたり、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やしたりする作用もあるため、エストロゲンが一気に減少する閉経後に、動脈硬化を起こす人が増えるのです」

 なお、エストロゲンは30代頃から徐々に減り始めるので、閉経を迎える前でも、エストロゲンを補う要素を積極的に取り入れることが、血管力を高めて動脈硬化の進行を抑えるとともに、見た目の若さを保つ秘訣なのだそうです。

 エストロゲンに似た作用を持つとして有名なのは、大豆に含まれる「イソフラボン」。しかしただ無作為に大豆食品を食べればいいかというと話は別。なんでも大豆食品は、糖がくっついている“配糖体”という構造をしているのですが、糖の外れた「アグリコン」に変わらなければ、エストロゲン作用を発揮することができないといいます。

「私たちの体内では、腸内細菌の“発酵”によってイソフラボンがアグリコンへと変えられます。そこで、すでに発酵された状態のイソフラボンを摂取することにより、効率良くアグリコンを取り込むことが期待できるわけです。そのため、みそや納豆、乳酸発酵豆乳などの“発酵された大豆食品”がおすすめです」(池谷先生)

 なお、大豆に含まれるたんぱく質には、脂質の吸収に関わる胆汁酸を排泄してコレステロールの吸収を抑える作用もあるため、エストロゲンが多く分泌されている20代でも、発酵大豆食品を摂取することにはメリットがあるとのことでした。

 「血管力を維持することは、健康を増進して健康寿命を延ばせるだけでなく、美肌や見た目の若さにもつながります。ライフスタイルを見直すとともに、発酵された大豆食品を積極的に摂取して、血管年齢を若返らせましょう」との池谷先生の言葉で、講義は終了しました。
(取材・文/千葉こころ)

「鶏ささみ」「蕎麦」では痩せない!? 管理栄養士が“間違いだらけダイエット常識”を斬る!

 soba0530 薄着とともに露わとなった余分な脂肪に、焦りを感じるこの季節。巷にあふれるダイエット法を参考にして、太らないとされる食材を意識的に摂ったり、食べる順番に気をつかったりする人が増える一方で、曖昧な知識から、実は効果のないダイエットを続けてしまっている人も少なくない様子。そこで、一般社団法人臨床栄養実践協会の理事長で管理栄養士の足立香代子先生に、「ダイエットの正しい食材と摂取方法」について伺った。

■レタスには食物繊維がほとんどない

――ダイエットに適していると話題になった食材で、実は効果がないものってありますか?

足立香代子先生(以下、足立) 低カロリー高たんぱくでダイエットに向いているといわれる「鶏のささみ」です。余分な脂肪を落とすには、筋肉量をアップして代謝をよくする必要があるのですが、ささみは代謝を促すビタミンB1、B2が肉類の中で最も少なく、高たんぱくでもアミノ酸合成に必要な亜鉛が少ないため、ささみだけで筋肉量を増やすことはできません。同じ低カロリー高たんぱくの肉類を摂るなら、豚モモ肉の方がビタミンも亜鉛も豊富に含まれていてダイエット向きなんですよ。

 また、「蕎麦」も太らないイメージが強いようですが、それも間違い。蕎麦粉100%であれば、食物繊維などダイエットにうれしい成分がそこそこ摂れますが、ほとんどの蕎麦には、つなぎとして小麦粉が入っています。さらに、焼きそばなどのように、ほかの食材と合わせるのではなく、蕎麦単体で摂取することが多いため、炭水化物が血糖値を急激に上昇させ、インスリンが一気に出て、エネルギーを脂肪として蓄えようとする働きをしてしまうんです。消化が早いので、すぐにおなかが空いてしまうという欠点もありますね。

――では、野菜などを一緒に摂ればいいのでしょうか。

足立 あまり総カロリーを上げずに不足する栄養分を補えるという点で、野菜を合わせるのはいいと思います。ただ、ささみや蕎麦に限らず、ダイエットに用いる野菜は質にこだわらなければ意味がありません。レタスやキャベツ、キュウリなどを、食事のたびに大量摂取する人や、「単食ダイエット」として取り入れている人もよく見かけますが、それらは単体だと食物繊維が非常に少ないので、腸内環境を整えたり、内臓脂肪を溜めにくくしたりする効果がほとんど得られないんです。ダイエットとして野菜を摂るなら、食物繊維の豊富な緑黄色野菜を選びましょう。

――逆に、ダイエットに不向きとされているけれど、実は効果的な食材はありますか?

足立 「油」ですね。油はダイエットで敵対視されがちですが、実際は消化吸収に時間がかかるため、満腹感を得やすくなって自然と食事量が減り、ダイエットにつながるんです。ただし、オリーブ油や魚の油、リノール酸など、内臓脂肪を溜めないタイプの油を選んでください。なかでも、オリーブ油は血糖値にもいい影響を与えるのでおすすめです。

 あと、「果糖がダイエットに逆効果」といわれている「果物」も血糖値が上がりにくく下がりにくく、ダイエットに適しています。空腹状態が続くと、血糖値の低下を防ぐために、肝臓が蓄えているインスリンを分泌する“糖新生”が起こります。仕事などの都合で昼食から夕食までの間隔が長い人は、その間に糖新生が起こり、さらに夕食でインスリンが過剰に分泌されることで、痩せにくくなるんです。そのため、昼食と夕食の間に果物を摂れば、糖新生を抑えてインスリンの過剰分泌を防げます。

――果糖は脂肪に変わらないんでしょうか。

足立 果糖はインスリンを使わずに取り込まれる糖なので、脂肪に変わることはありません。以前は中性脂肪を上げるともいわれていましたが、かなり大量に摂取しない限りは影響しないこともわかっています。逆に、果物は食物繊維が豊富で腹持ちがよく、摂るほどに血糖値も上がりにくくなるため、間食に適した食材なんですよ。

――では、注目されていないけれど、実はダイエットに適している意外な食材はありますか。

足立 肉や魚の付け合わせとして、「マイタケ」は低カロリーな上、食物繊維や栄養素が豊富で、ダイエットに適した食材です。ビタミンB群はささみの約2倍。しかも、少しの加熱で食べられるので、ビタミンが壊れにくいというメリットもあります。筋肉を造るときに必要な亜鉛も、100グラムで1日に必要な摂取量の約10分の1がまかなえるほど多く含まれているんですよ。ほかにも、エネルギーの代謝に必要なリンや、女性に不足しがちな鉄もあるので、ダイエットに必要な栄養素を摂れるだけでなく、ダイエット中に欠けやすい栄養素も補えます。よくかまないと食べられないので、満腹感を得やすい面もダイエットに向いていると思いますよ。

 

――「野菜を先に食べる」「午後○時以降は食べない」など、ダイエットに効果的という食べ方のルールもありますが、これらは正しいのでしょうか?

足立 野菜を先に食べて血糖値の上昇を抑える「食べ順ダイエット」は、確かにはやっていますが、前述の通り、緑黄色野菜など食物繊維を多く含む野菜でなければ効果はありません。キャベツやレタスでは、血糖値の上がり具合は変わらないのです。また、時間に関係なく、“寝る直前に食べる”というのは、あまりおすすめできませんね。

――では、ダイエットの正しい食べ方はありますか。

足立 ダイエットに効果的な食べ方は、「足し算」と「あと食べ」です。ダイエット中はさまざまな食材を制限しがちですが、それでは必要な栄養素が不足して、効果が得られなかったり、体調を崩したりしてしまいます。なので、メインディッシュに不足している栄養素を副菜で補うなど、足し算でダイエットに必要な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。最も効果的なのは、消化吸収に時間がかかる油で調理した緑黄色野菜を一番に食べ、炭水化物は最後に摂取する方法。血糖値の上昇を緩やかにするだけでなく、先に油を摂ることで満腹感も得やすくなり、我慢しなくても必然的に炭水化物の摂取量を減らせて、総カロリー減でのダイエット効果も期待できますよ。

婦人科医に聞く、タンポン向き、ナプキン向きなのはどんな人? 布ナプキンは生理痛に効く?

 先日、ユニ・チャームと女性向け動画サイトC CHANNELが共同で制作したタンポンの動画広告が炎上。「生理中の女性とのデートは、トイレに頻繁に行かれて寂しい」といった男性の意見を紹介し、タンポンの購入を促す内容であったため、「なぜ生理用品を男性の都合で選ばないといけないのか」と批判のコメントがネット上で飛び交った。

 そもそも、なぜタンポンを使う女性は少ないのか? という点に今回は着目し、成城松村クリニックの院長、松村圭子先生にタンポンの使い方について伺った。

■思春期の女子には「タンポン」という選択肢がない

――私自身、初めてきちんとタンポンを使ってみたのがつい最近です。なぜ、多くの女性はタンポンを使うことに抵抗があるのでしょうか?

松村圭子先生(以下、松村) 膣に異物を挿入するわけですから、やはり「怖い」という思いがあるのだと思います。一方、ナプキンは膣の外で経血を吸収するので、お手軽感があります。わざわざ、怖いと思うものを使わないですよね。

――中学生の頃、友人にタンポンの使用について相談したことがあったのですが、彼女から「タンポンは子どもを産んだ後じゃないと使えないって、お母さんが言っていたよ」と返されました。娘にタンポンを使わせたくない母親は多いのでしょうか?

松村 それはあるのではないでしょうか。私の家庭もそんな感じでしたし、まず、子どもだとタンポンという選択肢がないですよね。それに、日本は欧米と比べると「遅れている」という言い方はよくないですが、性に関することに消極的ですよね。

――親が思春期の娘にタンポンを使わせたがらないのは、やはりセックス経験前ということも関係していますか?

松村 関係していると思います。膣に何かを挿入したことがないので。

――タンポンを膣に入れたときに違和感を覚えることがあるのはなぜでしょうか?

松村 タンポンは直径1cmほどです。個人差があるので一概には言えませんが、中高生でまだセックスの経験がないと、膣が狭かったり硬かったりして、タンポンを挿入する際に痛みを伴うことはあるかもしれません。

 また、「慣れ」も大きいです。女性器の構造を理解していないと正しい位置に挿入できないので、あちこちにタンポンが当たって刺激で痛むことがあります。膣の奥に神経はないので、正しい位置に入っていれば、痛みや違和感はありません。

――正しい位置がわからない方もいると思うのですが、手鏡などで確認して入れるべきですか?

松村 お風呂で手鏡に写して見てみると、よいと思います。イメージとしては、(上向きではなく)少し後ろ側に入れる感じです。

――先生自身は、タンポンは何歳くらいから使ってもいいと考えていますか?

松村 タンポンのサイズもバリエーションがあって、「初めてでも簡単」などと表記されているものもあります。だから、初潮を迎えたら使っていいと思います。

――タンポンのメリットとは何でしょう?

松村 長時間換えなくて済むところです。タンポンのサイズや経血の量にもよりますが、だいたい4~8時間は取り換えなくても大丈夫なので、長時間の会議や授業でも心配いりません。膣の中で経血を吸収してくれて空気に触れにくいため、ニオイも起こりづらいです。

 そして、ナプキンのように漏れやズレを気にしなくていいので、スポーツやレジャーの際も便利ですし、温泉やプールにも入れます。旅行の際もかさばらなくていい。メリットはたくさんあります。

――タンポン使用時、トイレの際に尿でヒモが濡れるのですが、どうすればいいですか?

松村 通常、尿は無菌ですが、やはりニオイが気になるので、トイレのたびに交換した方がよいとは思います。

――良い点ばかりのタンポンですが、使用の際に注意することはありますか?

松村 アプリケーターがついているので直接膣に触れるわけではありませんが、清潔な手で扱うことは大事ですね。そして、たまにタンポンを抜き忘れて「なぜかオリモノが臭う」と言って来院される方もいます。タンポンを抜き忘れたときのニオイは強烈で、診察室で抜いたときに部屋中に充満するほどです。

――「抜き忘れ」というと、紐がちぎれてしまっている状態でしょうか?

松村 いえ。きちんと紐は露出しているのですが、抜いたつもりで忘れているようです。紐がちぎれることはめったにありませんし、万が一ちぎれてしまっても、婦人科に来ればすぐに取れます。

――ナプキンは薄いものや吸収してすぐ表面がサラサラになるものなど、日々進化しています。タンポンは進化しているのでしょうか?

松村 アプリケーターがついて挿入しやすくなったというだけで、ほとんど進化はないと思います。というより、昔の人は脱脂綿を膣に詰めて処置していたので、それが吸収体に進化して紐がついただけのものです。タンポンなんて経血を吸収してくれればいいわけですから、進化の必要性がないんです。

――タンポン向き、ナプキン向きなのは、それぞれどういう人でしょうか?

松村 それは、好みとライフスタイルによって違うと思います。ハードな運動をする人や長時間トイレに行けないような仕事、経血量が多い人はタンポン向きです。逆に出血が少ないと、挿入の際に滑りが悪くなって、膣を傷つけてしまう恐れがあります。

 でも、タンポンのような異物を入れるのは嫌だなと思う方はナプキンでもよいですし、これは価値観の問題です。私自身は、タンポンを使う必要性を感じませんでした。思春期の頃に興味があって試したこともありましたが、量が多い方でもないし、面倒くささの方が勝ってしまったので。経血の量も個人差があり、だいたい一度の生理で20〜140mlの経血が排出されるといわれています。

――最近はオーガニック志向の人を中心に、布ナプキンも流行していますよね。

松村 ナプキンにかぶれやすい人は試してみてもいいと思いますが、やはりあれも面倒くさい。洗ったり、使用済みの布ナプキンを持ち歩いたりしないといけないし。それ以上のメリットがあると感じるなら、使ってもいいと思います。

――生理痛緩和に効果があるという話もありますが。

松村 それはエビデンスが出ていないので、本当にそうかはわかりません。実際良くなったという声もありますが、科学的根拠があるわけではありません。
(姫野ケイ)

松村圭子(まつむら・けいこ)
成城松村クリニック院長。広島大学医学部卒業。広島大学附属病院などの勤務を経て現職。若年層の月経トラブルから更年期障害まで、女性の一生をサポートする診療を心がけている。著書に『やせてきれいになり性格までも美人になる 小麦オフな食べ方』(マイナビ)、『10年後もきれいでいるための 美人ホルモン講座』(永岡書店)など。

「コンビニサラダ」「粉末の青汁」で、野菜の栄養素は本当に摂れるのか? 管理栄養士が解説

 「健康のために、たくさんの種類の野菜を多く摂るようにしよう」とは思えど、なかなか実行できないのが人の常。保存の手間がかかる、しかもお値段もそれなり……という野菜をたくさん買い込むより、“野菜の栄養素を手軽に摂れる”と謳う商品に手を伸ばす人も少なくない。しかしそういった商品は、野菜不足の罪悪感を紛らわせてはくれるものの、本当に“野菜の栄養素”を摂れているのだろうか。管理栄養士の平野美由紀氏にお話をうかがった。

――最初に、成人が 1 日に摂取すべき野菜の種類や量はどれくらいに設定されているので しょうか。

平野美由紀氏(以下、平野) 厚生労働省が推奨する1日の野菜の摂取量は350gで、具体的な野菜の種類や量の設定はありません。女子栄養大学の四群点数法(※)や糖尿病の食事療法を参考にお伝えすると、野菜にはさまざまな栄養成分が含まれますが、色の濃淡で区分すると抗酸化作用があるカロテンやビタミンAやEが豊富な緑黄色野菜を150gと淡色野菜を200gで350gになります。また、「陰陽」の考え方から、野菜を“根のもの”と“葉のもの”で分け、さまざまな野菜を摂ることが勧められます。

※四群点数法=食品を栄養的な特徴によって、「第1群:乳、乳製品、卵」「第2群:魚介、肉、豆・豆製品」「第3群:野菜、芋、果物」「第4群:穀類、油脂、砂糖、その他」という4つのグループに分け、バランスのよい食事が取れることを目的にした食事法

――350gというと、少なくない量のように感じます。最近コンビニでは、「1 日に必要な野菜 2分の1が摂れる」などとパッケージされたサラダが多数売られており、忙しい人には人気のようですが、野菜の摂り方としては正しいのでしょうか。

平野 水溶性ビタミンや抗酸化作用といった野菜に含まれる栄養成分の特性から言えば、数時間で体内から排泄されるため、こういったサラダで一気に野菜を摂るより、3食に分けて食べた方がいいですし、疲れが溜まったり、抵抗力が落ちたり、疲れ目、肌のくすみや老化、吹き出物などが気になる方は、さらに意識して野菜を摂ることをおすすめします。

 ただ1日350gという量を摂れたか、食べ方が正しいか・正しくないかを考えるより、食べる人が栄養について知り、自分で“どうやって野菜を摂るか”決められるようになればいいと思います。

――野菜を摂る方法として、“野菜ジュース”を選択する人も多いようです。

平野 市販の野菜ジュースは、食物繊維が濾されて取り除かれて、ほとんど含まれなかったり、ビタミンCなども加熱処理により破壊されているため、“野菜の栄養を摂りたい”という期待は裏切られる結果となります。ジュースバーで買うことのできるフレッシュジュースでさえも、時間がたち抗酸化力が期待できないものをボトルに入れている場合がありますからね。

 ただ、市販の野菜ジュースでも、自己満足を得られる点には意味があると思います。「野菜ジュースを飲むことで、カラダにいいことをしている」「ジュースバーを選ぶ私は賢い」など、いわゆる“脳へのすりこみ効果”によってストレスが軽減するのは、野菜を摂ることで抗酸化成分を期待する以上に、体には有効なのかもしれません。“脳が安心すること”を必要としている方も多いんですよ。

――自宅のミキサーで作った野菜ジュースではどうでしょうか。

平野 ミキサーを使用した自家製野菜ジュースは、細胞を細かく破壊することで、野菜の成分が出るので、消化吸収率が高まります。栄養成分の補給には有効ですし、また、簡単に量も取れるのでおすすめです。一方、圧搾するジューサーの場合、ビタミンの破壊は少ないのですが、食物繊維が摂れないなど、それぞれの機種による特徴があります。

 難しく考えすぎず、おいしい野菜ジュースを飲もうという意識でよいと思いますが、自家製野菜ジュースは、できるだけ新鮮な野菜を使うべき。野菜や果物は、日がたつにつれ、栄養成分も“野菜が生きるため”に使われるようになるので、買い貯めしていたものをジュースに……というのは、避けた方がいいかもしれません。

――なかなか自家製ジュースもハードルが高いですね(笑)。粉末状の青汁などもよく売られていますが、野菜の栄養素を摂ることは可能でしょうか。

平野 意外に思われるかもしれませんが、今の粉末青汁などの加工技術は進化し、私たちの食生活をより簡便に、そして合理的にしていると思います。フリーズドライ、スプレードライ、低温乾燥などの製品は、熱による栄養成分の減少が少なく、良い食材が摂りたい時にいつでも手軽に摂れるのです。例えば、東京の島々や鹿児島などが産地の明日葉という野菜。食物繊維やビタミン、ミネラルなど現代人に欠かせない栄養素を豊富に含む優秀な野菜なんですが、産地や流通の都合により、一年中出回るものではなく、生の状態で手に入れることも難しいんです。手に入れたとしても、値段が高かったり、また生の状態で置いておくと老化するため、有用な成分が少なくなります。そんなときに、粉末状の製品は便利ですよね。

 食事で摂る場合も粉末状のものは使い勝手がいい。どの食材でも、“細かく刻んで調理しないと成分が体内で吸収されにくい”という面があるのですが、まるごとの素材が粉末状になっているというのは、つまり“面倒な切る手間が不要”なんです。

――野菜を粉末状にした製品は、見た目の印象からか、栄養素が破壊されているように思っていたので驚きました。

平野 例えば、明日葉にはカルコンというポリフェノールが含まれ、内臓脂肪を減少させる働きがあるといわれており、大豆と合わせて食べるとより有効なのですが、粉末状だと豆乳に溶かしてドリンクにしたり、豆腐と混ぜて野菜バーグにするなど、アレンジもしやすい。野菜を摂ることに面倒くささを感じる人にはおすすめかもしれません。

――粉末状といえば、野菜ふりかけのような製品もありますが……。

平野 市販の乾燥した野菜ふりかけで、野菜の栄養素を摂ろうと期待するのは、かなり無理がありますね。野菜嫌いな子どもが、野菜を食べられる自信を持つきっかけになれば……という程度のもの。蕪や大根葉をごま油などで炒め煮にしたものをふりかけとして使う場合は、βカロテン、ビタミンE、食物繊維の素晴らしい供給源となりますよ。

――野菜を摂るのが億劫という人にとっては、スーパーでの野菜選びも悩みどころの1つです。効率よく栄養成分を摂取できる野菜を教えてください。

平野 「ブロッコリー(ビタミン、ミネラル、食物繊維)」「パプリカピーマン(βカロテン、ビタミンC)」「トマト(抗酸化成分・リコピン)」などでしょうか。ちなみにトマトは、トマト缶やトマトソース缶、ケチャップでも代用可能ですよ。

 また、野菜を選ぶ際には、「新鮮なものを選ぶ、買ったらできれば2~3日で使い切る」「食べたことがないもの、使ったことがないものは、時間があるときに選ぶ」「量は少ないもの」の3点を意識してもらえればと思います。はりきってたくさんの種類の野菜を買ったものの、使い切れずに処分することになると、罪悪感が残り、料理から遠のくきっかけになりがち。なので、“不要なものまで買わないこと”が大切なんです。もし、どうしてもたくさんの種類を買いたい場合は、少ない量の小分けタイプを選んだり、作りたい料理の材料とその分量をリストアップして、必要な量だけ買うといいでしょう。野菜は人と同様に生きているので、日がたてば栄養価は下がります。だから鮮度を一番に考え、買いすぎず、2~3日、長くても1週間で使い切ってほしいですね。

「コンビニサラダ」「粉末の青汁」で、野菜の栄養素は本当に摂れるのか? 管理栄養士が解説

 「健康のために、たくさんの種類の野菜を多く摂るようにしよう」とは思えど、なかなか実行できないのが人の常。保存の手間がかかる、しかもお値段もそれなり……という野菜をたくさん買い込むより、“野菜の栄養素を手軽に摂れる”と謳う商品に手を伸ばす人も少なくない。しかしそういった商品は、野菜不足の罪悪感を紛らわせてはくれるものの、本当に“野菜の栄養素”を摂れているのだろうか。管理栄養士の平野美由紀氏にお話をうかがった。

――最初に、成人が 1 日に摂取すべき野菜の種類や量はどれくらいに設定されているので しょうか。

平野美由紀氏(以下、平野) 厚生労働省が推奨する1日の野菜の摂取量は350gで、具体的な野菜の種類や量の設定はありません。女子栄養大学の四群点数法(※)や糖尿病の食事療法を参考にお伝えすると、野菜にはさまざまな栄養成分が含まれますが、色の濃淡で区分すると抗酸化作用があるカロテンやビタミンAやEが豊富な緑黄色野菜を150gと淡色野菜を200gで350gになります。また、「陰陽」の考え方から、野菜を“根のもの”と“葉のもの”で分け、さまざまな野菜を摂ることが勧められます。

※四群点数法=食品を栄養的な特徴によって、「第1群:乳、乳製品、卵」「第2群:魚介、肉、豆・豆製品」「第3群:野菜、芋、果物」「第4群:穀類、油脂、砂糖、その他」という4つのグループに分け、バランスのよい食事が取れることを目的にした食事法

――350gというと、少なくない量のように感じます。最近コンビニでは、「1 日に必要な野菜 2分の1が摂れる」などとパッケージされたサラダが多数売られており、忙しい人には人気のようですが、野菜の摂り方としては正しいのでしょうか。

平野 水溶性ビタミンや抗酸化作用といった野菜に含まれる栄養成分の特性から言えば、数時間で体内から排泄されるため、こういったサラダで一気に野菜を摂るより、3食に分けて食べた方がいいですし、疲れが溜まったり、抵抗力が落ちたり、疲れ目、肌のくすみや老化、吹き出物などが気になる方は、さらに意識して野菜を摂ることをおすすめします。

 ただ1日350gという量を摂れたか、食べ方が正しいか・正しくないかを考えるより、食べる人が栄養について知り、自分で“どうやって野菜を摂るか”決められるようになればいいと思います。

――野菜を摂る方法として、“野菜ジュース”を選択する人も多いようです。

平野 市販の野菜ジュースは、食物繊維が濾されて取り除かれて、ほとんど含まれなかったり、ビタミンCなども加熱処理により破壊されているため、“野菜の栄養を摂りたい”という期待は裏切られる結果となります。ジュースバーで買うことのできるフレッシュジュースでさえも、時間がたち抗酸化力が期待できないものをボトルに入れている場合がありますからね。

 ただ、市販の野菜ジュースでも、自己満足を得られる点には意味があると思います。「野菜ジュースを飲むことで、カラダにいいことをしている」「ジュースバーを選ぶ私は賢い」など、いわゆる“脳へのすりこみ効果”によってストレスが軽減するのは、野菜を摂ることで抗酸化成分を期待する以上に、体には有効なのかもしれません。“脳が安心すること”を必要としている方も多いんですよ。

――自宅のミキサーで作った野菜ジュースではどうでしょうか。

平野 ミキサーを使用した自家製野菜ジュースは、細胞を細かく破壊することで、野菜の成分が出るので、消化吸収率が高まります。栄養成分の補給には有効ですし、また、簡単に量も取れるのでおすすめです。一方、圧搾するジューサーの場合、ビタミンの破壊は少ないのですが、食物繊維が摂れないなど、それぞれの機種による特徴があります。

 難しく考えすぎず、おいしい野菜ジュースを飲もうという意識でよいと思いますが、自家製野菜ジュースは、できるだけ新鮮な野菜を使うべき。野菜や果物は、日がたつにつれ、栄養成分も“野菜が生きるため”に使われるようになるので、買い貯めしていたものをジュースに……というのは、避けた方がいいかもしれません。

――なかなか自家製ジュースもハードルが高いですね(笑)。粉末状の青汁などもよく売られていますが、野菜の栄養素を摂ることは可能でしょうか。

平野 意外に思われるかもしれませんが、今の粉末青汁などの加工技術は進化し、私たちの食生活をより簡便に、そして合理的にしていると思います。フリーズドライ、スプレードライ、低温乾燥などの製品は、熱による栄養成分の減少が少なく、良い食材が摂りたい時にいつでも手軽に摂れるのです。例えば、東京の島々や鹿児島などが産地の明日葉という野菜。食物繊維やビタミン、ミネラルなど現代人に欠かせない栄養素を豊富に含む優秀な野菜なんですが、産地や流通の都合により、一年中出回るものではなく、生の状態で手に入れることも難しいんです。手に入れたとしても、値段が高かったり、また生の状態で置いておくと老化するため、有用な成分が少なくなります。そんなときに、粉末状の製品は便利ですよね。

 食事で摂る場合も粉末状のものは使い勝手がいい。どの食材でも、“細かく刻んで調理しないと成分が体内で吸収されにくい”という面があるのですが、まるごとの素材が粉末状になっているというのは、つまり“面倒な切る手間が不要”なんです。

――野菜を粉末状にした製品は、見た目の印象からか、栄養素が破壊されているように思っていたので驚きました。

平野 例えば、明日葉にはカルコンというポリフェノールが含まれ、内臓脂肪を減少させる働きがあるといわれており、大豆と合わせて食べるとより有効なのですが、粉末状だと豆乳に溶かしてドリンクにしたり、豆腐と混ぜて野菜バーグにするなど、アレンジもしやすい。野菜を摂ることに面倒くささを感じる人にはおすすめかもしれません。

――粉末状といえば、野菜ふりかけのような製品もありますが……。

平野 市販の乾燥した野菜ふりかけで、野菜の栄養素を摂ろうと期待するのは、かなり無理がありますね。野菜嫌いな子どもが、野菜を食べられる自信を持つきっかけになれば……という程度のもの。蕪や大根葉をごま油などで炒め煮にしたものをふりかけとして使う場合は、βカロテン、ビタミンE、食物繊維の素晴らしい供給源となりますよ。

――野菜を摂るのが億劫という人にとっては、スーパーでの野菜選びも悩みどころの1つです。効率よく栄養成分を摂取できる野菜を教えてください。

平野 「ブロッコリー(ビタミン、ミネラル、食物繊維)」「パプリカピーマン(βカロテン、ビタミンC)」「トマト(抗酸化成分・リコピン)」などでしょうか。ちなみにトマトは、トマト缶やトマトソース缶、ケチャップでも代用可能ですよ。

 また、野菜を選ぶ際には、「新鮮なものを選ぶ、買ったらできれば2~3日で使い切る」「食べたことがないもの、使ったことがないものは、時間があるときに選ぶ」「量は少ないもの」の3点を意識してもらえればと思います。はりきってたくさんの種類の野菜を買ったものの、使い切れずに処分することになると、罪悪感が残り、料理から遠のくきっかけになりがち。なので、“不要なものまで買わないこと”が大切なんです。もし、どうしてもたくさんの種類を買いたい場合は、少ない量の小分けタイプを選んだり、作りたい料理の材料とその分量をリストアップして、必要な量だけ買うといいでしょう。野菜は人と同様に生きているので、日がたてば栄養価は下がります。だから鮮度を一番に考え、買いすぎず、2~3日、長くても1週間で使い切ってほしいですね。