4人に1人は持つ「子宮筋腫」と「ピル」の関係は? 眉唾情報の真偽を産婦人科医に聞く!

 40代女性の4人に1人は持つ「子宮筋腫」。子宮にできる「こぶ」であり、10センチ以上(赤ちゃんの頭程度)になる人も少なくない。不妊要因になったり貧血や重い生理痛を引き起こすこともあるが、「下腹が出ている以外問題なし」というケースも多く、手術するほどでは、とためらってしまう人も多いのがこの病気の難しいところだ。

 子宮筋腫は女性ホルモン「エストロゲン」で大きくなるとされる。日本産科婦人科学会ホームページでは「(執筆注:自然に体内から分泌されるよりは)女性ホルモン量の少ないピルを使うことで、筋腫が大きくならず、(執筆注:子宮筋腫の)症状も楽になることがあります」との記載もある。果たしてピルと子宮筋腫の関係とは? 子宮筋腫の手術で知られる四谷メディカルキューブ・子安保喜医師と、調布keijinkaiクリニック・瀧康紀医師に話を伺った。

低用量ピルなら、もともと体が出す女性ホルモンより量は減るが……

【四谷メディカルキューブ 子安保喜医師】

――ピルと子宮筋腫の関係について教えてください。

子安保喜医師(以下、子安) 子宮筋腫は女性ホルモン、エストロゲンで大きくなります。ピルにもエストロゲンが入っていますが、いわゆる「低用量ピル」は、自分の卵巣から出てくるエストロゲンに比べてみれば非常に量は少なくなります。そのため、ピルを服用すれば筋腫の大きくなるスピードを少し制限できる「かもしれない」という点はありますね。

――それでは、子宮筋腫のある人が、子宮筋腫の成長を抑えるためにピルを飲む、という方法についてはどうでしょうか。

子安 予防はできるかもしれませんが、当院ではそこまではしていません。理由は2つあり、まだ子宮筋腫の抑制をピルで抑えられると言えるほどの十分なエビデンス(証拠)がないというのが1点です。

 そして2点目は、ピルにも副作用があるという点です。特に血管をふさぐことのある「血栓」は致命的な影響を及ぼすこともあります。また、35歳以上の女性で喫煙している方は、血栓リスクが高まるのでピルを処方することができません。

 なお、子宮筋腫でなく、子宮内膜症(子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が、卵巣など子宮以外の場所で増殖する病気)の場合、ピルは保険適用になっていますね。ピルは排卵を抑えますので、子宮内膜の増殖を防ぐからです。

【調布keijinkaiクリニック 瀧康紀医師】

――ピルと子宮筋腫の関係について教えてください。

瀧康紀医師 ピルを飲むことで女性の体は妊娠中と同じ状態になります。月経が停止されますから、月経痛が重い、月経時の出血が多い、という人にはピルはいいのではないでしょうか。

 ただ「子宮筋腫の対処としてのピル」には欠点があります。まず低用量ピルの中にもエストロゲンが含まれていますから、このエストロゲンが子宮筋腫を大きくする可能性があるわけです。これがまず1つ目の欠点です。もう一つは低用量ピルにも副作用のリスクがあり、まず血栓のリスクがあります。また、ピルを服用すればタバコは吸えなくなります。

 ただ、ピルのいいところはやめれば元の体に戻るところです。 過多月経に関してはピルはいいと思いますが、大きな筋腫を小さくするためにピルを使うというのはありえないですね。そもそも、ピルにもエストロゲンが入っているのですから。

 子宮筋腫を小さくしたいのならば、ピルではなく、子宮筋腫の薬物療法で治療するリュープリンを利用します。リュープリンは「女性の体を疑似的に閉経後の状態にする」というもので、「女性の体を疑似的に妊娠の状態にする」低用量ピルとは異なります。

 閉経後はエストロゲンの分泌が大幅に抑えられますから筋腫は小さくなります。ただ、閉経状態になるので更年期障害の症状ともいえるホットフラッシュやイライラが出る人もいますし、人によってはうつ状態になる人もいます。動脈硬化も進み、骨のカルシウムも失われます。ですので、リュープリン治療は長期間できません。だいたい半年ですね。なお、子宮筋腫において、粘膜下筋腫の方の場合10~17%ぐらいはリュープリン治療を行うことで大量出血を起こす伴うケースもあるので、注意が必要です。

 ただリュープリンもピル同様にやめれば体は元に戻るのと、誰がやっても、どこでやっても同じ効果が出るというのは手術とは違ったメリットとも言えますね。

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 子安医師、瀧医師ともに、「現状では(子宮筋腫の治療において)ピルは勧めるほどのものではない」という意見となっており、また、両医師ともにピルによる血栓のリスクを指摘されている。

 「子宮筋腫」は40代女性の3~4人に1人はなる非常にポピュラーな病気でありながら、まだ謎多き病気ともいえるのだ。サイゾーウーマンでは子宮筋腫特集として、子安医師、瀧医師に引き続き話を伺っていく。
(石徹白未亜)

寝る時にベストなのはノーブラ・ノーパン? 「睡眠の迷信」の真相をプロが一刀両断!

 肌寒くなってくると、なかなか寝付けない夜を送っているという女性も少なくないのでは? 世の中にはさまざまな快眠法が伝わってるけど、何が正しいのかわからない…そんな悩める女性のために、数少ない「日本睡眠改善協議会認定・上級睡眠改善インストラクター」の資格を持つ安達直美さんに、「睡眠の迷信」の真相についてうかがいました。

■寝る時に最適な服装は?

 「快眠」と切っても切り離せないのが、睡眠時の服装、いわゆる「パジャマ」の問題。女子力高めのサテン地のパジャマを購入したものの、ラクさに負けて結局スウェットで寝ている女子も多いと思いますが、快眠にはスウェットが一番ですよね? 

「スウェットやジャージはラクで寝やすいと思われがちですが、意外とウエストゴムの締め付けが大きいんです。眠っている間、人間の体はいわば『エコモード』になっていて、内臓の代謝が落ちています。そこにゴムの締め付けによる臓器への圧迫があると、より活動が低下してしまうんです。夜間は体内で排便のための準備をする時間なので、締め付けがキツいと便秘の原因にもつながります」(安達さん、以下同)

 安達さんによると、パジャマ選びはとにかく「ユルさ」がポイント。締め付けが快眠を妨げるので、当然、ブラジャーやパンツにも注意が必要だそう。

「先ほどの締め付けによる理由と同様で、ブラもパンツもないほうが、体に負担はありません。着用する場合は、ナイトブラなどのできるだけ締め付けの少なそうなものを選びましょう」

 ではユルめに着れば、パジャマの素材はサテンでもベロアでもモコモコ系でもいいんでしょうか?

「一般的な評価ですが、天然素材で静電気が起きにくく、なによりも吸湿性の良さが抜群な綿100%のパジャマがオススメです。同じ綿100%でも、糸の形状や織りによってさまざまな生地がのものがあるので、季節によって選ぶと、なおいいですね。夏は強撚糸(薄手の生地を作るときに向いている滑らかな糸)を使ったものだと汗をかいても肌にくっつきにくいですし、冬場はワッフルのように立体的な織りの生地なら空気層がしっかりできて保温性も上がり、快適な睡眠を実現できます」

 見た目はさておき、ノーブラ・ノーパンで綿100%のユルめパジャマを着ることが、快眠のためには正解のようです。

 パジャマの正解が出たので、次は布団や枕などの寝具について。ベッド周りのアイテムは一度購入するとずっと使い続けてしまい、替え時を見失いがち。寝具によって睡眠の質が改善されることはわかっているけど、ついつい同じモノを使い続けてしまうのは、快眠的にも衛生的にもNGですよね?

「寝具の耐久年数は素材によって変わりますので一概には言えませんが、敷き布団やマットレスであれば、腰部にへたりがなく、弾力性が維持できていて、清潔に保てているなら問題なし。ただし、当然ながら人間は年齢とともに体つきが変わっていくものなので、起床時に体のどこかに違和感があれば替え時のサインです」

 なにより睡眠の質を左右するとよく言われる枕に関しては、何年も使い続けるなんてもってのほか!

「枕はどうしても経年劣化してしまうので、快適な高さや素材感を維持できるのは2〜5年程度。目が覚めたときに枕を使っていなかったり、手を枕の上に添えていたりするようなら、合わなくなってきた証拠です」

 さらに長年の使用による汚れやホコリ、ダニの発生がアレルギー性鼻炎や気管支炎、アレルギー性結膜炎などを引き起こす可能性もあるので、寝具はサイズ感や寝心地をチェックするだけでなく、定期的に買い替えを検討したほうがいいとのこと。

■掛け布団、靴下の重ねすぎはNG! 

 さらに「布団の重ねすぎも快眠にはNG!」だと安達さんは言います。

「布団の重ね掛けで重くなり、寝返りを妨げてしまうと、良い睡眠は得られません。スムーズに寝返りが打てないと、熱放散がうまくできず、寝汗をかくなど、睡眠環境が悪化してしまうのです」

 アチコチに寝返りを打ってしまうと「寝相が悪い」といわれ、一般的にはあまりポジティブに捉えられていません。しかし、寝返りは快眠のために重要な行為なのだそうです。

「寝返りには、睡眠に重要な3つの機能が備わっています。1つ目は、寝床内の温湿度調整。2つ目は体位を変えることで、局部的にかかる圧を解放する役割。そして3つ目は、レム睡眠とノンレム睡眠のスムーズな切り替えを行う役割です」

 重ねすぎNGなのは、掛けふとんだけではありません。

「就寝時に靴下の重ねばきをすることは、絶対にNGです」

 寒さが加速するこの時期、特に女性は足先の冷えに悩み、靴下を何枚も重ねばきしないと眠れないという方も多いはず。しかし、その重ねばきが快眠を妨げている可能性があるのだとか。

「ゆるくて無意識に脱げる靴下や、足先に穴が開いていて熱放散ができる靴下であればはいて寝てもOKですが、それ以外は基本的にNGです。深い眠りに入るためには手足から熱放散させて、体の深部の熱を下げることが大事なんです」

 この「体の深部の熱を下げる」というのが重要ポイント。なので、寝る直前の運動や、お風呂に入って体を温める行動も、場合によっては快眠を妨げる要素になってしまいます。

「就寝前なら、38〜39度程度の、ぬるめのお湯がおすすめですね。眠る30分くらい前までに体温を0.5度程度上げて、その後の放熱によって体温が低下することで、眠りの質が上がります。熱いお湯で体温を上げすぎると、体温がなかなか下がらず、かえって寝付きを悪くしてしまうんです」

 さらに寝る前の激しい運動は交感神経を刺激して、体と脳を活動方向に誘導するためNG! リラックスしながら、緊張をほぐす程度のヨガやストレッチにとどめるのがベストだそう。

 体温を上げすぎないのが安眠に良いことがわかったけど、どうしても体の末端が冷えて寝付けない……。そこで、布団に入ってから体が温まるまで、使い捨てカイロや湯たんぽを使うのはどうなんでしょう?

「湯たんぽは時間と共に少しずつ温度が下がっていくので睡眠を妨げず、快眠に導く良アイテム。適度な温度で、熱すぎない位置にセットすればOKです。電気毛布や使い捨てカイロは使い方に注意が必要です。一晩中ポカポカ状態が続くと、体温が下がらず、深く眠ることができません。また、低温やけどにも注意が必要ですね」

 パジャマに寝具に体温管理……いろいろ教えていただきましたが、それだけ快眠のために工夫する余地があるということ。まずはできることから始めてみて、寒い季節でもスッキリとした眠りを手に入れたいですね。
(藤野ゆり/清談社)

20代にも増加! 「プレ更年期」だと思ったら、どうすべき? 婦人科医に聞いた

 更年期と聞くと、40代、50代の女性に訪れる体のほてりやイライラなどの“不調”をイメージする人が多いはず。しかし近年、20〜30代の女性の身にも更年期に似た症状が起きる「プレ更年期」が増加しているという。「プレ更年期」とはいったい、どのような症状なのか、その原因についておおいウィメンズクリニックの大井隆照院長に聞いた。

■閉経はまだ先のはずなのに……更年期症状に悩まされる20代、30代女性たち

 まずは、一般的な更年期症状の特徴について知る必要があるだろう。本来の更年期症状は生理がなくなる、いわゆる“閉経”と深い関わりがあるというが……。

「更年期の期間は、閉経前後の5〜10年間、年齢にしておよそ45〜55歳を指します。そして、その年代の女性にみられる体の不調(不定愁訴)を更年期症状といいます。原因不明ののぼせや急な発汗、イライラなどが代表的な症状です」

 更年期症状のおもな原因は、卵巣機能の低下による女性ホルモンの急激な減少。それに加えて加齢に伴う身体的変化や、精神・心理的な要因など、さまざまな要素が複合的に影響するのが、更年期症状の特徴だとか。

「“プレ更年期”というものは医学用語ではないため、その定義は曖昧です。一般に、更年期よりも若い年齢で起きるのぼせやイライラなど、更年期症状に似たさまざまな不調を指しています。本来の更年期症状との違いは発症する年齢がひとつの基準にはなります。ただ、プレ更年期自体が医学的な定義があるものではないので、診断が出るわけではありません」

 更年期症状とプレ更年期の症状が類似している理由は「どちらもホルモンの変動や自律神経の乱れ、心や体へのストレスが原因になっているため」と、大井医師。

「とくにプレ更年期の場合、生理の周期に伴った女性ホルモンなどの生体内物質の変動や、その増減が関係していると考えられています。20代〜30代の女性は、卵巣機能そのものは健康だとしても、過激なダイエットをはじめ喫煙などの要因が、生理周期に伴った女性ホルモンの変動に悪影響を及ぼしていることもあります」

 そしてなにより、ハードワークや家庭と仕事の両立など、現代の「超ストレス社会」での生活も、プレ更年期に深く関わっているそう。

「精神的、身体的なストレスや食生活の乱れ、生活スタイルの乱れは自律神経のバランス、ひいては女性ホルモンのバランスを悪くします。自律神経には、体の各器官に働きかけて体調を最適な状態に保つ役割があるのですが、この自律神経の乱れがプレ更年期の原因になることもありますね」

 ホルモンの変動やストレス、自律神経の乱れなど、さまざまな要素が絡み合い発症するプレ更年期。誰しも発症する可能性があるものの、なかには「治療が必要な病気」が隠れているケースもあるという。

「プレ更年期の症状は、うつ病や不安障害などの精神疾患、甲状腺機能の異常や貧血などで、ほかの疾病にも似た症状が表れるため、油断は禁物です。人それぞれにプレ更年期の症状が異なるので、明確な診断を出すのが難しいのが実情です。しかし、医療機関に行き、治療が必要な病気が隠れていないかを確認するのはとても大切。それぞれの症状に応じた診療科を受診するか、婦人科や女性外来を受診すると間違いないかと思います」

 原因不明の体調不良や強い不安を感じているときには、その症状を医師に伝え、総合的に身体評価をしてもらい、適切なアドバイスを受けることは治療の第一歩となるそう。

「プレ更年期が疑われる場合の治療では、漢方薬の服用のほか、ホルモンバランスの変動が影響していれば、低用量ピルの服用が効果を表すこともあります。また、症状や不安を医師に傾聴してもらいアドバイスを受けるだけでも、精神的に安定して症状がやわらぐことがありますね」

 そして、プレ更年期の改善や予防には生活習慣の見直しがポイントだという。

「何より食事や睡眠をしっかり取り、適度な運動をして規則正しい生活を送るのが理想です。1日のうちでリラックスできる時間をつくり、ストレスの緩和を心がけましょう。また、信頼できる医師の診察を定期的に受けることもプレ更年期の予防につながります」

 体の不調はもちろん、精神的にも追い詰められるプレ更年期。ひとりで悩まず、少しでも不安を感じたときは医師に相談するのが得策のようだ。
(真島加代/清談社)

大井隆照(おおい・たかてる)
昭和大学医学部を卒業後、静岡済生会総合病院、国立がん研究センター中央病院を勤務後、平成28年、横浜市におおいウィメンズクリニックを開院。「地域に密着した医療」「トータルな診療」を心がける。
おおいウィメンズクリニック

20代にも増加! 「プレ更年期」だと思ったら、どうすべき? 婦人科医に聞いた

 更年期と聞くと、40代、50代の女性に訪れる体のほてりやイライラなどの“不調”をイメージする人が多いはず。しかし近年、20〜30代の女性の身にも更年期に似た症状が起きる「プレ更年期」が増加しているという。「プレ更年期」とはいったい、どのような症状なのか、その原因についておおいウィメンズクリニックの大井隆照院長に聞いた。

■閉経はまだ先のはずなのに……更年期症状に悩まされる20代、30代女性たち

 まずは、一般的な更年期症状の特徴について知る必要があるだろう。本来の更年期症状は生理がなくなる、いわゆる“閉経”と深い関わりがあるというが……。

「更年期の期間は、閉経前後の5〜10年間、年齢にしておよそ45〜55歳を指します。そして、その年代の女性にみられる体の不調(不定愁訴)を更年期症状といいます。原因不明ののぼせや急な発汗、イライラなどが代表的な症状です」

 更年期症状のおもな原因は、卵巣機能の低下による女性ホルモンの急激な減少。それに加えて加齢に伴う身体的変化や、精神・心理的な要因など、さまざまな要素が複合的に影響するのが、更年期症状の特徴だとか。

「“プレ更年期”というものは医学用語ではないため、その定義は曖昧です。一般に、更年期よりも若い年齢で起きるのぼせやイライラなど、更年期症状に似たさまざまな不調を指しています。本来の更年期症状との違いは発症する年齢がひとつの基準にはなります。ただ、プレ更年期自体が医学的な定義があるものではないので、診断が出るわけではありません」

 更年期症状とプレ更年期の症状が類似している理由は「どちらもホルモンの変動や自律神経の乱れ、心や体へのストレスが原因になっているため」と、大井医師。

「とくにプレ更年期の場合、生理の周期に伴った女性ホルモンなどの生体内物質の変動や、その増減が関係していると考えられています。20代〜30代の女性は、卵巣機能そのものは健康だとしても、過激なダイエットをはじめ喫煙などの要因が、生理周期に伴った女性ホルモンの変動に悪影響を及ぼしていることもあります」

 そしてなにより、ハードワークや家庭と仕事の両立など、現代の「超ストレス社会」での生活も、プレ更年期に深く関わっているそう。

「精神的、身体的なストレスや食生活の乱れ、生活スタイルの乱れは自律神経のバランス、ひいては女性ホルモンのバランスを悪くします。自律神経には、体の各器官に働きかけて体調を最適な状態に保つ役割があるのですが、この自律神経の乱れがプレ更年期の原因になることもありますね」

 ホルモンの変動やストレス、自律神経の乱れなど、さまざまな要素が絡み合い発症するプレ更年期。誰しも発症する可能性があるものの、なかには「治療が必要な病気」が隠れているケースもあるという。

「プレ更年期の症状は、うつ病や不安障害などの精神疾患、甲状腺機能の異常や貧血などで、ほかの疾病にも似た症状が表れるため、油断は禁物です。人それぞれにプレ更年期の症状が異なるので、明確な診断を出すのが難しいのが実情です。しかし、医療機関に行き、治療が必要な病気が隠れていないかを確認するのはとても大切。それぞれの症状に応じた診療科を受診するか、婦人科や女性外来を受診すると間違いないかと思います」

 原因不明の体調不良や強い不安を感じているときには、その症状を医師に伝え、総合的に身体評価をしてもらい、適切なアドバイスを受けることは治療の第一歩となるそう。

「プレ更年期が疑われる場合の治療では、漢方薬の服用のほか、ホルモンバランスの変動が影響していれば、低用量ピルの服用が効果を表すこともあります。また、症状や不安を医師に傾聴してもらいアドバイスを受けるだけでも、精神的に安定して症状がやわらぐことがありますね」

 そして、プレ更年期の改善や予防には生活習慣の見直しがポイントだという。

「何より食事や睡眠をしっかり取り、適度な運動をして規則正しい生活を送るのが理想です。1日のうちでリラックスできる時間をつくり、ストレスの緩和を心がけましょう。また、信頼できる医師の診察を定期的に受けることもプレ更年期の予防につながります」

 体の不調はもちろん、精神的にも追い詰められるプレ更年期。ひとりで悩まず、少しでも不安を感じたときは医師に相談するのが得策のようだ。
(真島加代/清談社)

大井隆照(おおい・たかてる)
昭和大学医学部を卒業後、静岡済生会総合病院、国立がん研究センター中央病院を勤務後、平成28年、横浜市におおいウィメンズクリニックを開院。「地域に密着した医療」「トータルな診療」を心がける。
おおいウィメンズクリニック

肥満対策に必要な「適度な運動」ってどれくらい? 女性トレーナーがズバリ断言します!

 雑誌やテレビのダイエット特集でよく見かける「適度な運動を心がけましょう」というメッセージ。「運動」を伴わないとやせないのはわかるけど、そもそも「適度」ってどのくらい動けばいいの? という疑問を抱いたことのある人も多いのでは。そこで、肥満対策という観点から「適度な運動」をするメリットと、その度合いについて、トレーニングの専門家にお話を伺いました。

■ジムに通う必要なし!

「『適度な運動』を習慣化することで、さまざまなメリットが得られます。そのひとつが筋力アップです。例えば、運動を始める前までは階段を上るだけでも息が上がっていた人でも、筋肉がつくことで疲れにくくなり、睡眠の質も向上します。もちろん、肥満対策にも有効。当然だろうと思うかもしれませんが、実際にできている人はあまりいないですね」

 そう話すのは、女性専用パーソナルトレーニングジム・NAVIS代表の津村知江さん。それでは「適度な運動」とは、どのくらい動けばいいのでしょうか?

「大前提として『適度な運動量』は個人によって異なります。実際に体づくりをするときには、体脂肪率18〜22%が維持できるくらいの運動量を目安にすると、調整がしやすくなると思います」

 女性の適正体脂肪率は18〜22%とされており、この体脂肪率よりも高ければ肥満となり、逆に低すぎても女性ホルモンのバランスが乱れて婦人科系のトラブルにつながるといわれています。

「また、運動というと、ジムに行ったり、毎日走ったりなどキツいものを想像しがちですが、特別なことをする必要はありません。週2回、30分間のウォーキングを生活に取り入れるだけでも『適度な運動』といえます」

 それでも、ただ歩くだけではダメで、しっかりとフォームを意識したウォーキングを心掛けないといけないそう。

「ウォーキングをする際は、かかとから踏み込むのが基本で、そのときにお尻に力が入るように意識して大股で早歩きをするのがコツ。少し息が上がる程度の速度が望ましいですね。勘違いしがちなのは、ウォーキングにかける時間です。続けて30分間以上歩かないと、代謝を上げて脂肪を分解することはできません。例えば、駅から自宅まで15分かかる人の場合15分×2=トータルで30分歩いたとしても、脂肪は分解されないので、注意してください」

 また、家の中で行う「スクワット」が適度な運動としておすすめ、と津村さん。

「スクワットによって鍛えられるのは、お尻から太もも裏にあるハムストリングスという筋肉。ハムストリングスは、下半身の強化につながる大きな筋肉のため、重点的に鍛えれば筋肉量が増えるので、太りにくい体になります。テレビを見ながらでもできるので、隙間時間を利用すると、より継続しやすいかと思います。スクワットは5回×3セットを週に2〜3回ほど行うとよいですよ」

 自宅や近所でこのような「適度な運動」を行えば、必ずしもジムに通う必要はないそうです。さらに津村さんは、肥満予防には「食生活」にも注意する必要があると述べています。

「適度な運動をしても、食事をしっかり摂らなければ筋肉は作られません。特に女性に多いのが、痩せたいあまり食事で糖質を制限してしまうこと。糖質は体を動かすためのエネルギーになります。しかし、糖質の摂取量が少ない人が運動をすると、筋肉を分解してエネルギーに替えてしまうため、むしろ筋肉が減ってしまい、太りやすい体になってしまう可能性があるのです」

 また、過剰な糖質制限や塩分制限は貧血につながるリスクもあるそう。津村さんは「健康的な引き締まった体を得るためにも、バランスのとれた食事と休息をとることは大事なので睡眠を意識してほしい」と言います。そして、「適度」でも、それがしっかりとした「運動」であれば、美しい体形づくりも期待できるそう。

「食事制限でムリに痩せた人の体形と、運動で作られた筋肉によって引き締まった体形とでは『体のラインの美しさ』がまったく違います。肥満対策だけでなく美容の観点からも、適度な運動を習慣化して筋肉を作るメリットは大きいですね」

 言葉以上に奥が深い「適度な運動」。楽しく工夫してムリのない範囲で続けていきましょう。
(真島加代/清談社)

津村知江(つむら・のりえ)
女性専用パーソナルトレーニングジム・NAVIS代表。2017年ミスワールドジャパンファイナリストに選ばれるなど、モデルとしても活躍中。トレーニングが苦手だった自身の過去を生かし、お客様に寄りそった指導を心掛ける。
NAVIS公式サイト

「性に関して、自分だけは幸せになりなさい」婦人科医が語る、女性の権利を奪われない生き方

 前回、婦人科医の早乙女智子先生に「セクシュアル・ライツ(性の権利宣言)」に触れながら、女性の人権がないがしろにされている現状を伺った。今回は、女性がもっと生きやすくなる方法について探る。

前編はこちら:「男も世間も、女にラクをさせたくない」性の現場から語る、女性権利“不在”の日本の現状

■嫌なセックスをしないことで、身体権が守れる

――女性は、自分を守るためにどうしたらいいのでしょうか?

早乙女智子先生(以下、早乙女) 嫌なセックスをしないことです。「お茶飲まない?」と聞かれたら、「飲まない」とか「いりません」と答えられるでしょう。それと同じです。セックスするかしないかをはっきりさせる。いるかいらないかをはっきりするだけです。「今はいいわ」「あなたとは飲みたくない」「砂糖はやめて」それだけのこと。相手のために我慢してセックスしたら、その我慢は性搾取でしかない。男性は絶対に自分が痛いセックスはしないでしょう。それなのに、女性には痛いセックスを最初から強要している。挿入は、女性にとっては後戯でしかありません。前戯が女性にとってのセックスです。つまり、前戯をしない挿入だけのセックスは暴力。女性の身体権が奪われています。それを愛とかいう男がいたら、「馬鹿野郎!」って叫んでやればいい。

――日本でセックス嫌いの女性がいるのは当然の状況のように思えます。暴力をなくすには、どうしたらいいでしょうか?

早乙女 まず、暴力とは何かを知ることですね。暴力に当たるものは非常に範囲が広いんです。精神的、身体的、性的、経済的、社会的……言葉の暴力もそうです。落ち度もないのに、故意になじることも暴力。一度振るった暴力を、再び振るうそぶりを見せることも、暴力に当たります。夫婦間でも、合意がない場合のセックスは暴力。デートDVも、もちろん暴力です。社会的暴力とは、社会から隔絶させることです。例えば、男の名前をスマホから消させるとか、外出を禁止するとか、外出先から必ず電話を入れさせるのも暴力です。男性は、いつでも遅くなったり飲み歩いたりしているのに。日本の女性はすさまじく地位が低く扱われています。その上、日本にはまだ、中絶する女性を下に見る風潮が残っているのです。

――シングルマザーで、苦しい生活を余儀なくされている女性も少なくないですね。

早乙女 妊娠も出産もセックスも、みんなお金の問題なんです。男性と女性で入れ替えてみれば、おかしい仕組みがすぐにわかります。嫌な言い方かもしれないけれど、日本では愛だけでは生きていけないし、子どもも育てられない。フランスやオランダのように生活保障がちゃんとしていれば、シングルマザーでもちゃんと育てられるけれど、そうではないのです。お金がなくて、頼れる人もいない足場の危ないところで子どもを産んでも、いい人生ではなくなってしまいます。だから、妊娠して出産を控えた女性に必ず言うことがあります。「たとえ小さなお財布でも、絶対に手放しちゃいけない」ということです。妊娠中の離婚もよくあるので、とにかく妊婦さんは小さな預金でも取り崩さずに隠して取っておくように。妊娠出産しても、女性は絶対にお金を生む手段を手放してはいけないんです。

――妊娠出産は女性だけの問題ではないはずなのに、すべてを女性が背負っているケースも多いように思います。

早乙女 女性は、自分の体のことを自分で決めていいんです。月経をずらすのも自由。ピルを飲んで何十人と経験するのも自由。ただ、それにはリスクがあって、感染症や望まない妊娠の危険性があります。だからパートナーはたくさんいていいけれども、最低限コンドームは使ってほしいですね。自分の性生活について、いちいち他人にとやかく言われる筋合いはありません。もし言われても「関係ない」と耳をふさいで無視するくらいでいいんです。日本社会では、そうでもしないと権利が守られないと思います。

■自分が幸せになろうとみんなが思えば、社会はもっと良くなる

――日本の女性は、科学の恩恵を受けられず、情報も必要な人に届いてない。そんな状況の中で、どのように考えたら楽になるでしょうか?

早乙女 性に関して、自分だけは幸せになろうとすることです。もちろん他人に迷惑をかけずにですけどね。一番は、自分が周りの人に対して、小さな自己主張をしていくこと。同調圧力に弱い人は、まずは小さなことから始めないとだめ。自分の好きなものを選ぶようにしましょう。日本人の良さとして、ある程度の同調はいいと思いますし、混乱するのを避けるのは悪いことではないけれど、それが自分たちを苦しめてしまっている。

――苦しんでいる人がたくさんいるのに、どうしてこれだけ窮屈な社会ができてしまうのでしょうか?

早乙女 お母さんという立場の人が「自分さえ我慢していれば」と思ってやり過ごしている。でも、お父さんも「俺だって会社で我慢している」と思っている。こっちもつらいけど、そっちもつらい。いま日本は、非生産的な人生観になっています。同調圧力が強くなっていて、みんなが苦しいから、みんなが苦しいことを確認して満足しているのが現状です。でも、同調しているだけで、それが正しいとは限りません。そんな状態から次の世代は生まれにくいでしょう。「子どもを産め」と言うならば、「まず私たち女性を伸び伸び生きさせてください」と言いたいですね。まずは、子どものことより自分たちからですよ。

―――具体的には、どうしたらいいかを教えてください。

早乙女 自分の中のもう1人の自分を想定し、常に気持ちを確認してみる。そこでもし「嫌だ」と言ってきたら、「本当はどうしたいの?」と聞いてみる。日本社会は少しずつ変わってきたような気もするけれど、根本的な女性問題は、まだなくなっていません。だから「自分だけは幸せになりなさい」と患者さんに言っています。他人はどうでもいいんです。「子どもが幸せでいてくれれば私はいい」というなら、それでもいいですが、子どもから見たら、「かあちゃんは、なんだかわからないけど楽しそうだよね」というほうが絶対にいいと思います。「あなたのためにこんなに我慢している」は、不幸の連鎖にしかなりません。エゴに見えるけど、自分だけは幸せになりなさい。みんながそう思っていたら、みんなが幸せになる。余っていれば、周りの人にも分けてやりなさい。それでいいと思います。それが案外難しいけれど、やったらできますよ。みんなが幸せな社会、それが一番です。
(弥栄 遖子)

早乙女智子(さおとめ・ともこ)
日本産婦人科学会認定 産婦人科専門医。1986年筑波大学医学専門学群卒業。国立国際医療センター、東京都職員共済組合青山病院、ふれあい横浜ホスピタル勤務などを経て、現在は主婦会館クリニック勤務。「性と健康を考える女性専門家の会」副会長、日本性科学会認定セックスセラピスト。著書は、『LOVE・ラブ・えっち』(保健同人社)、『13歳からの「恋とからだ」ノート』(新講社)など多数。

「男も世間も、女にラクをさせたくない」性の現場から語る、女性権利“不在”の日本の現状

 今年5月に発売された「日本性科学会」編集による『セックス・セラピー入門 性機能不全のカウンセリングから治療まで』(金原出版)は、性の喜びを得られない人をサポートするための医療従事者向けテキスト。前回、日本性科学会理事長の大川玲子医師に、セックス・セラピーの必要性について伺ったが、性は、健康だけでなく、人権の問題とも大きく関わってくる。今回は、女性の性と権利に詳しい婦人科医の早乙女智子先生に、女性の人権の現状についてお話を伺った。

■出産が楽しくないのは、女性の人権がないがしろにされているから

――早乙女先生は、『セックス・セラピー入門』で女性の性と人権についての章を担当されていますが、人権とは具体的には、どのようなことを指すのでしょうか?

早乙女智子先生(以下、早乙女) 女性が思うように生きられること、つまり女性が思ったことを口にしたり、行動したりできることが人権です。男性も女性もすべての人間が、自由・尊厳・平等に基づき、危害から保護されるのが当然です。世界性の健康学会(WAS)が発表した「セクシュアル・ライツ」という性の権利宣言があるのですが、改めてその中身を振り返る必要性がいま出てきています。女性差別に関しては、男女を入れ替えて考えると、どれもおかしいと気づくことが多い。

――先生から見て、女性の人権がないがしろにされていると感じるのは、特にどのような部分ですか?

早乙女 例えば「出産は楽しいですか?」と聞かれて、「楽しい」と答える女性は10%程度しかいません。一方で、「セックスは楽しいですか?」と聞けば、大半の人が「楽しい」と答えます。セックスは楽しいといえるのに、出産は楽しいといえない。女性の最大のライフイベントなのに、それが楽しくなくて、女性の人生が楽しいわけがありません。産婦人科の世界を見ても、内診の上半身と下半身を分けるカーテンを使っているのは日本だけです。日本では、ただ時間と効率だけを考えて分娩台を使うことが多いですが、それは出産を管理しやすいからです。

――世界では無痛分娩が普通なのに、日本では「無痛分娩だと愛がない」などと言われたりもします。

早乙女 それは日本特有の「女はラクをしてはいけない」という刷り込みです。とにかく男も世間も、女にラクをさせたくない。ラクをさせないっていうのは、人権をないがしろにしているということです。女は出産も育児もして、働いて介護もしろっていうのは、人として扱わなくていいと言っているのと同じことです。

――まさに“産む機械”にされているわけですね……。ただ、女性の中にも、不利な立場に置かれていることに気づかない人がいるように思います。

早乙女 例えば日本では、薬局でピルを手軽に購入可能にする認可がなかなか下りない現状がありますが、これも女性の人権をおろそかにしています。なぜなら、ピルは女性の体を守るためのものだからです。日本は先進国だといっても、ピルに代表される「科学の恩恵を受ける権利」がまるでない。海外では「#MeToo運動」が盛り上がって、女性の権利向上の動きが見られますが、日本ではそれほど大きな動きがありません。日本は本当に厳しい状況です。

――ピルの認可や社会での扱いについては、よく海外と比較されますね。

早乙女 海外で緊急避妊ピルといえば、大学内の自販機で手に入るようなものです。学生には普通のピルも無料で配られる国もあります。女性の体を守るための薬なのに、日本では何十年たっても変わらない。「ピルを飲んでまでセックスがしたいのか」という批判がありますが、自由にしていいものを、なぜしてはいけないのでしょうか。緊急避妊ピルなんて1〜2万円、人工妊娠中絶も10万円以上かかってしまうなど、世界から後れを取っていて、まったくお話にもなりません。

――性教育にも反対派が大勢いたり、「高校生が婦人科に行くなんてふしだら」といった意見がネットでは飛び交ってますが……。

早乙女 性教育をちゃんと受けた真面目な高校生カップルが、受験もあるし、「妊娠したら困るよね」と婦人科に相談に行ったら、「高校生にはピルは出さない」と断られたそうです。高校生のセックスなんて普通のことなのに、大人は見たくないから目をそむけているんです。「性教育を受けて真面目に自分たちで考えて素晴らしい!」という話なのに、医師も世間も遅れすぎています。日本では、妊娠したら女性だけが高校中退させられ、大学にもまともに通えないケースが少なくありません。それなのに妊娠させた男はその後、普通に暮らしていくんです。最近はそうした女子高校生を支援する機運が高まりつつあるものの、あらゆる意味で、社会が女性を貧困に追い込む形になっている。オランダなら、高校生が妊娠しても養子のシステムを提案してくれたりします。結果的に、痛い思いもつらい思いも、女性だけにかぶせようとしているように思います。

――政治家も「産め産め」と騒いで、プライバシーの侵害を頻繁に行っていますが、その現状についてはどう思われますか?

早乙女 そもそも女性も男性も、体のどこにも機能的に問題がなく健康でも、10人に1人は子どもができないということを知らないで政治家は言っている。誰でも子どもができるわけではないことを、国民全体に知らせるべきです。中高生の段階で教えておかないと、いざ子どもを作ろうとしたときに、なぜできないのかと悩んでしまう。10%といえば、結構な確率です。

――政府は、女性が早く子どもを産むように働きかけたりしていますが……。

早乙女 以前、文部科学省が高校生向け保健体育の副教材で発表した「22歳が妊娠しやすいピーク」という数字も、データが改竄されていました。妊娠のしやすさは、33歳くらいまでは年齢に関係なく変わりません。20 代から妊娠を考えても、10 %程度は妊娠しないカップルがいるのが現実。性教育もそうですが、正しい知識がまったく教えられていないのが大きな問題なんです。

――こうした女性をめぐる問題が解消されるどころか、強まっていくのはなぜでしょうか?

早乙女 想像力の欠如です。男女を入れ替えても大丈夫か、という立場で問題を考えないからですね。入れ替えてみて自分が嫌だと感じることを、男女ともに相手にしないことが大事だと思います。相席居酒屋なども、明らかな性差別です。「男性の欲求を満たすため」という目的があるから、女性が無料になっている。女性が男性と同等の賃金をもらっていたら「自分で払います」と断れるのに、中には払えない子もいる。女性は低賃金で貧困層が量産されているから、そういった日常に潜んでいる差別に気づかない。本当に構造的な問題ですね。
(弥栄 遖子)

(後編につづく)

早乙女智子(さおとめ・ともこ)
日本産婦人科学会認定 産婦人科専門医。1986年筑波大学医学専門学群卒業。国立国際医療センター、東京都職員共済組合青山病院、ふれあい横浜ホスピタル勤務などを経て、現在は主婦会館クリニック勤務。「性と健康を考える女性専門家の会」副会長、日本性科学会認定セックスセラピスト。著書は、『LOVE・ラブ・えっち』(保健同人社)、『13歳からの「恋とからだ」ノート』(新講社)など多数。

「自責の念をなくす」「主人とは話さない」生理前の「PMS」をどう乗り切るか、女性100人に調査!

 生理が近づくと、「全身がだるい」「肌トラブルが起こる」「とにかくイライラしてしょうがない」など、「PMS(月経前症候群)」に悩まされる女性は少なくないだろう。毎月のことだけに、少しでも症状を和らげようと、みんな独自の解消策を講じている様子。そこで今回100人の女性に、「PMSをどうやって解消していますか?」とのアンケートを行ってみました。

とにかく寝る

 生理前は、どんなに寝ても眠気が取れないという女性も多い。寝ている間はだるさからも解放されるので、とにかく寝るのが一番の解消法とのこと。

・「眠くなるので、たっぷり寝る。休暇などを取り、何もしない時間をつくる」(30代/女性/正社員)
・「なるべくいつもよりやることを減らし、コーヒーの摂取量も減らし、時間さえあれば睡眠を取るようにしています」(30代/女性/個人事業主)
・「とにかく眠れる時は寝ています。家事もその期間はいつも以上に手を抜いています」(30代/女性/パート・アルバイト)
・「とにかく寝ることが一番。起きているとイライラしてしまうので、なるべく1人でベッドに横になる」(20代/女性/正社員)

PMSを自覚する

「イライラしてしまうのはPMSのせい」と自覚することで、気持ち的にラクになれる様子。

・「特に解消法はありません。イライラしたら『生理前だから仕方ないなー』と思って受け入れることで乗り切っています」(30代/女性/パート・アルバイト)
・「イライラしたら、生理前だからだと諦める。自責の念がなくなるので、少し気持ちが楽になる」(30代/女性/パート・アルバイト)
・「あまり解消しきれていないが、なるべく生理の時期を把握し、PMSであることを認識するようにしている」(20代/女性/個人事業主)
・「なるべくストレスになるようなことをやらない、考えないようにしています。また、イライラするのは気の持ちようなどではなく、時期的なものだからしょうがないと自分に言い聞かせています」(30代/女性/正社員)
・「まずは自分がイライラしていることを認知します。今はイライラしているなと感じたら、できるだけイライラする作業から離れてノンビリするように心がけています。家事などで離れられないときは、ゆっくり作業するようにしています」(40代/女性/無職)

 何かに没頭することによって、PMSを意識しないようにするという声も。

・「ひたすらテレビやインターネットを見て考えないようにする。好きなスイーツを買ったりコーヒーを飲んだり」(30代/女性/専業主婦)
・「趣味に没頭するようにしています。適度に体を動かすし、その間はPMSを忘れていられるので、乗りきれます」(40代/女性/専業主婦)
・「なるべく意識しないようにしています。また、無理をせず、趣味に没頭するなどしています」(40代/女性/個人事業主)
・「癒やされる音楽を聞いたり、本を読んだりして、心を穏やかにするようにしています」(20代/女性/専業主婦)

ストレスをためない

 それぞれのストレス発散法を見つけておくことが大事!?

・「大好きなカラオケでストレスを発散して、あとはひたすら家でダラダラする」(30代/女性/専業主婦)
・「軽い運動をしたりお風呂にゆっくり入ったりして、ストレスをためないようにしている」(40代/女性/パート・アルバイト)
・「イライラしたことを紙に書き出して、ストレスをなるべく解消するようにしている」(30代/女性/正社員)
・「とにかく何もかも我慢することをやめ、寝たい時に寝る、食べたい時に好きなものを食べる。好きなことをしてストレス解消します!」(10代/女性/学生)

周囲に理解や協力を求める

 八つ当たりしたり、迷惑をかけたりしかねない周囲へ、事前に理解を求めておくと安心。

・「特に仕事中は気を使うので、あらかじめ同僚には、普段から軽くでも話しておき、調子が悪い時は早めに伝えます。そのことが自身にも安心感を生み、相手にも理解を得られるのかスムーズに過ごせています。恥ずかしがらず家族や同僚には伝え、つらい時はつらいと伝えることが、わずかでも心身のダメージからの解消への近道に感じるこの頃です」(40代/女性/派遣社員)
・「いつものことなので、家族が理解をしてくれ、料理など家事は家族が手伝ってくれている」(50代/女性/個人事業主)

 イライラ感を募らせないよう、人と距離を置いて過ごすことも1つの方法だ。

・「毎回悪いと思いながらも主人に八つ当たりしてしまいます。なので、生理前はあまり主人とは話さないようにしています」(20代/女性/専業主婦)
・「イライラする時はあまり人に会わずに、1人で映画を見たりマッサージに行ったりして、リラックスして過ごすことが多いです」(40代/女性/個人事業主)
・「本を読んで過ごすなど、なるべく人と関わらないようにして、人に八つ当たりをする機会を避けます」(40代/女性/正社員)
・「自分1人の時間をゆっくり・しっかりと取ること。人に気を使ったり、あわせたりすることでより悪化してしまうので」(30代/女性/正社員)

とにかく自分を甘やかす

 月に1度くらい、欲求に素直に過ごす日があってもいいかもしれない。

・「病気かと思うほど異常に食欲が高まるので、欲求に逆らわず食べています」(40代/女性/無職)
・「ひたすら、食べます。ジャンクフードや甘いものを食べて自分を甘やかしています」(30代/女性/正社員)
・「この時期は辛いものが無性に食べたくなります。1カ月のうちの1~2日のことなので、我慢せず好きなように食べています」(30代/女性/正社員)
・「とにかく自分を甘やかす。好きなものを食べて飲んで、好きなことをして解消をする」(20代/女性/正社員)

規則正しく生活する

 生活スタイルや食生活を見直し、体の内側からコンディションを整えることで、症状を和らげている人も多い。

・「規則正しい生活をすることで、完全に解消されるわけではありませんが、かなり改善されると思います」(10代/女性/パート・アルバイト)
・「食生活、適度な睡眠、下半身を冷やさないなど、体調管理に気をつけている」(30代/女性/パート・アルバイト)
・「野菜などを多く取るようにして食生活を整える。冷たいものは控えめにして、体を温めるようにする」(40代/女性/個人事業主)
・「たんぱく質の摂取や、セロトニンを増やす食品(大豆製品やバナナ、唐辛子を少し加えたり)を意識した食事を取り入れる」(20代/女性/無職)
・「バランスの良い食生活を心がけ、無理せず生活ができるようにしています」(20代/女性/正社員)

 アレコレごまかすより、薬や漢方などの力に頼るのが一番効果的なのかも。

・「加味逍遙散という漢方薬を飲んでいます。自律神経を整え血行を促進するため、PMSを抑えることができるそうです。とても苦いですが目に見えて効果があるため、毎日欠かさず飲んでいます」(10代/女性/学生)
・「エクエルという大豆由来のサプリメントを飲むことで、少し楽に過ごせるようになりました」(40代/女性/専業主婦)
・「イライラを抑える薬を飲んでいる。それが一番効く気がする」(30代/女性/正社員)
・「友人がブレンドしてくれている、女性ホルモンに効果のあるハーブティをホットで飲んでいます。気持ちが落ち着くので手放せません」(40代/女性/専業主婦)
・「低用量ピルを飲む。PMSを感じないし、生理痛もありませんでした。あとはバナナを食べる。どこかでバナナはPMSを緩和すると聞いたので、朝、ヨーグルトに入れて食べることが多いです。そのためか、あまりイライラしたことがありません」(30代/女性/派遣社員)

ただひたすら耐えるのみ

 シンプルに、ただひたすら耐えてPMSを乗り越えるという女性もチラホラ。

・「今までに何種類か薬は飲みましたが、まったく効果がないので、毎回いつも耐えるのみです」(30代/女性/無職)
・「もうすぐ生理が始まるんだということを自分に言い聞かせて、我慢しています」(30代/女性/正社員)

その他

 マインドコントロールやピンポイントの対処法検索など、独自の解消法が。

・「オーガニックや国産品などの肌や体に良いとされているものを身に付ける、または摂取し、これで症状が軽くなると自分に暗示をかけます」(20代/女性/正社員)
・「お風呂の時間を長めにして体を温めるように意識しています」(20代/女性/学生)
・「カレンダーにいつからイライラするかを書いておく」(20代/女性/パート・アルバイト)
・「インターネットで症状に合わせた対策法を調べて、それに見合った解消法を取っている」(20代/女性/派遣社員)

「自責の念をなくす」「主人とは話さない」生理前の「PMS」をどう乗り切るか、女性100人に調査!

 生理が近づくと、「全身がだるい」「肌トラブルが起こる」「とにかくイライラしてしょうがない」など、「PMS(月経前症候群)」に悩まされる女性は少なくないだろう。毎月のことだけに、少しでも症状を和らげようと、みんな独自の解消策を講じている様子。そこで今回100人の女性に、「PMSをどうやって解消していますか?」とのアンケートを行ってみました。

とにかく寝る

 生理前は、どんなに寝ても眠気が取れないという女性も多い。寝ている間はだるさからも解放されるので、とにかく寝るのが一番の解消法とのこと。

・「眠くなるので、たっぷり寝る。休暇などを取り、何もしない時間をつくる」(30代/女性/正社員)
・「なるべくいつもよりやることを減らし、コーヒーの摂取量も減らし、時間さえあれば睡眠を取るようにしています」(30代/女性/個人事業主)
・「とにかく眠れる時は寝ています。家事もその期間はいつも以上に手を抜いています」(30代/女性/パート・アルバイト)
・「とにかく寝ることが一番。起きているとイライラしてしまうので、なるべく1人でベッドに横になる」(20代/女性/正社員)

PMSを自覚する

「イライラしてしまうのはPMSのせい」と自覚することで、気持ち的にラクになれる様子。

・「特に解消法はありません。イライラしたら『生理前だから仕方ないなー』と思って受け入れることで乗り切っています」(30代/女性/パート・アルバイト)
・「イライラしたら、生理前だからだと諦める。自責の念がなくなるので、少し気持ちが楽になる」(30代/女性/パート・アルバイト)
・「あまり解消しきれていないが、なるべく生理の時期を把握し、PMSであることを認識するようにしている」(20代/女性/個人事業主)
・「なるべくストレスになるようなことをやらない、考えないようにしています。また、イライラするのは気の持ちようなどではなく、時期的なものだからしょうがないと自分に言い聞かせています」(30代/女性/正社員)
・「まずは自分がイライラしていることを認知します。今はイライラしているなと感じたら、できるだけイライラする作業から離れてノンビリするように心がけています。家事などで離れられないときは、ゆっくり作業するようにしています」(40代/女性/無職)

 何かに没頭することによって、PMSを意識しないようにするという声も。

・「ひたすらテレビやインターネットを見て考えないようにする。好きなスイーツを買ったりコーヒーを飲んだり」(30代/女性/専業主婦)
・「趣味に没頭するようにしています。適度に体を動かすし、その間はPMSを忘れていられるので、乗りきれます」(40代/女性/専業主婦)
・「なるべく意識しないようにしています。また、無理をせず、趣味に没頭するなどしています」(40代/女性/個人事業主)
・「癒やされる音楽を聞いたり、本を読んだりして、心を穏やかにするようにしています」(20代/女性/専業主婦)

ストレスをためない

 それぞれのストレス発散法を見つけておくことが大事!?

・「大好きなカラオケでストレスを発散して、あとはひたすら家でダラダラする」(30代/女性/専業主婦)
・「軽い運動をしたりお風呂にゆっくり入ったりして、ストレスをためないようにしている」(40代/女性/パート・アルバイト)
・「イライラしたことを紙に書き出して、ストレスをなるべく解消するようにしている」(30代/女性/正社員)
・「とにかく何もかも我慢することをやめ、寝たい時に寝る、食べたい時に好きなものを食べる。好きなことをしてストレス解消します!」(10代/女性/学生)

周囲に理解や協力を求める

 八つ当たりしたり、迷惑をかけたりしかねない周囲へ、事前に理解を求めておくと安心。

・「特に仕事中は気を使うので、あらかじめ同僚には、普段から軽くでも話しておき、調子が悪い時は早めに伝えます。そのことが自身にも安心感を生み、相手にも理解を得られるのかスムーズに過ごせています。恥ずかしがらず家族や同僚には伝え、つらい時はつらいと伝えることが、わずかでも心身のダメージからの解消への近道に感じるこの頃です」(40代/女性/派遣社員)
・「いつものことなので、家族が理解をしてくれ、料理など家事は家族が手伝ってくれている」(50代/女性/個人事業主)

 イライラ感を募らせないよう、人と距離を置いて過ごすことも1つの方法だ。

・「毎回悪いと思いながらも主人に八つ当たりしてしまいます。なので、生理前はあまり主人とは話さないようにしています」(20代/女性/専業主婦)
・「イライラする時はあまり人に会わずに、1人で映画を見たりマッサージに行ったりして、リラックスして過ごすことが多いです」(40代/女性/個人事業主)
・「本を読んで過ごすなど、なるべく人と関わらないようにして、人に八つ当たりをする機会を避けます」(40代/女性/正社員)
・「自分1人の時間をゆっくり・しっかりと取ること。人に気を使ったり、あわせたりすることでより悪化してしまうので」(30代/女性/正社員)

とにかく自分を甘やかす

 月に1度くらい、欲求に素直に過ごす日があってもいいかもしれない。

・「病気かと思うほど異常に食欲が高まるので、欲求に逆らわず食べています」(40代/女性/無職)
・「ひたすら、食べます。ジャンクフードや甘いものを食べて自分を甘やかしています」(30代/女性/正社員)
・「この時期は辛いものが無性に食べたくなります。1カ月のうちの1~2日のことなので、我慢せず好きなように食べています」(30代/女性/正社員)
・「とにかく自分を甘やかす。好きなものを食べて飲んで、好きなことをして解消をする」(20代/女性/正社員)

規則正しく生活する

 生活スタイルや食生活を見直し、体の内側からコンディションを整えることで、症状を和らげている人も多い。

・「規則正しい生活をすることで、完全に解消されるわけではありませんが、かなり改善されると思います」(10代/女性/パート・アルバイト)
・「食生活、適度な睡眠、下半身を冷やさないなど、体調管理に気をつけている」(30代/女性/パート・アルバイト)
・「野菜などを多く取るようにして食生活を整える。冷たいものは控えめにして、体を温めるようにする」(40代/女性/個人事業主)
・「たんぱく質の摂取や、セロトニンを増やす食品(大豆製品やバナナ、唐辛子を少し加えたり)を意識した食事を取り入れる」(20代/女性/無職)
・「バランスの良い食生活を心がけ、無理せず生活ができるようにしています」(20代/女性/正社員)

 アレコレごまかすより、薬や漢方などの力に頼るのが一番効果的なのかも。

・「加味逍遙散という漢方薬を飲んでいます。自律神経を整え血行を促進するため、PMSを抑えることができるそうです。とても苦いですが目に見えて効果があるため、毎日欠かさず飲んでいます」(10代/女性/学生)
・「エクエルという大豆由来のサプリメントを飲むことで、少し楽に過ごせるようになりました」(40代/女性/専業主婦)
・「イライラを抑える薬を飲んでいる。それが一番効く気がする」(30代/女性/正社員)
・「友人がブレンドしてくれている、女性ホルモンに効果のあるハーブティをホットで飲んでいます。気持ちが落ち着くので手放せません」(40代/女性/専業主婦)
・「低用量ピルを飲む。PMSを感じないし、生理痛もありませんでした。あとはバナナを食べる。どこかでバナナはPMSを緩和すると聞いたので、朝、ヨーグルトに入れて食べることが多いです。そのためか、あまりイライラしたことがありません」(30代/女性/派遣社員)

ただひたすら耐えるのみ

 シンプルに、ただひたすら耐えてPMSを乗り越えるという女性もチラホラ。

・「今までに何種類か薬は飲みましたが、まったく効果がないので、毎回いつも耐えるのみです」(30代/女性/無職)
・「もうすぐ生理が始まるんだということを自分に言い聞かせて、我慢しています」(30代/女性/正社員)

その他

 マインドコントロールやピンポイントの対処法検索など、独自の解消法が。

・「オーガニックや国産品などの肌や体に良いとされているものを身に付ける、または摂取し、これで症状が軽くなると自分に暗示をかけます」(20代/女性/正社員)
・「お風呂の時間を長めにして体を温めるように意識しています」(20代/女性/学生)
・「カレンダーにいつからイライラするかを書いておく」(20代/女性/パート・アルバイト)
・「インターネットで症状に合わせた対策法を調べて、それに見合った解消法を取っている」(20代/女性/派遣社員)

インフルエンザは「体力があれば軽症」って本当? 「ワクチン」「迅速検査」のウワサを医師に聞く

 本格的な冬の到来を前に、インフルエンザの予防接種を受ける人が増えている今日この頃。国立感染症研究所の公式サイトによると、典型的なインフルエンザの症状は「発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現われ、咳、鼻汁などの上気道炎症状がこれに続き、約1週間の経過で軽快する」と説明されており、「いわゆる『かぜ』に比べて全身症状が強い」という。

 そのつらさを知っている人は「二度と罹りたくない」と、予防に力を入れているだろうが、インフルエンザに罹った人の中には「微熱で済んだ」「すぐに熱も引いた」など、症状が軽かったと語る人も少なくない。事実、そのような報告はネット上で多数見受けられ、その理由については「体力・免疫力が高いから」などとウワサされているようだ。もしこれが本当であれば、体力・免疫力を上げて、インフルエンザシーズンに備えたくなるものだが、果たして医師の見解は? 日本医師会認定産業医/内科医・星野優先生に話を聞いた。

 まず星野先生は大前提として、インフルエンザの流行時期、周囲に多くのインフルエンザ患者がいて、インフルエンザウイルスが口や気道内に侵入してしまう状態にあったとしても、「全員がインフルエンザを発症するわけではありません」と述べる。

 そんな中、インフルエンザを発症し、重篤化する人については「小児や高齢者、気管喘息などの持病がある方が挙げられます」というが、ウイルスの種類によって症状に違いが出るということもあるそうだ。

「季節性インフルエンザのウイルスには、A(H1N1)亜型(平成21年に流行した新型インフルエンザと同じ亜型)、A(H3N2)亜型(いわゆる香港型と同じ亜型)、そしてB型の2種(山形系統とビクトリア系統)と、4つの種類があり、それらの種類によって、発熱の程度や咳などの上気道症状に違いがあるとも言われています」

 どのウイルスに罹るかはその時次第だろうが、個人の体力や免疫力の差によって、症状が出やすい/出にくいという傾向は見られるのだろうか。

「確かにインフルエンザに限らず、ウイルス感染に伴う発熱の程度には個人差もありますが、スポーツ選手が罹患してしまうことからも、一般的に言われている『体力の差』は、医学的には特に関係性はないと考えられます。また、『免疫力の差』と言われるものも、特殊な免疫抑制状態にある方々などを除けば、気力や疲労の状態などで一概に差があるとは言えないと考えられます」

 インフルエンザも、「いわゆる『風邪』症状を引き起こすウイルス感染の一種」だけに、「発症を最小限に抑える最も有効な手段は『手洗い』と『うがい』と言われている」と星野先生。

「また、インフルエンザワクチンの予防接種は、インフルエンザウイルスが体内に入ったとしても、発症の可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有用という報告がなされています。つまり100%予防できるわけではありませんが、相対的に60~70%程度発症を抑えられる可能性があるとされており、厚労省からも接種が推奨されているのです」

 毎年、多くの人が罹るインフルエンザをめぐっては、間違った情報があたかも真実のように語られるケースも散見されるようだ。星野先生は、インフルエンザワクチンに関するウワサの真偽を次のように解説する。

「現在、国内で広く用いられているインフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスA型株(H1N1株とH3N2株の2種類)及びB型株(山形系統株とビクトリア系統株の2種類)のそれぞれを培養して製造されています。ちまたではよく、『A型/B型どちらかのみを予測してワクチンを作っている』と言われていますが、その話は間違っています。また、『新型インフルエンザ』はH1N1株であり、現在はワクチンの対象となっております」

 また、インフルエンザワクチンを接種したからインフルエンザに罹ったと信じる人も「よくおられます」と、星野先生は指摘する。

「インフルエンザワクチンは『不活化ワクチン』(細菌やウイルスの毒性をなくし、免疫をつけるのに必要な成分を取り出してワクチン化したもの)であり、インフルエンザウイルスをそのまま注射しているわけではありません。ワクチン接種の副作用に、発熱などの『感冒症状』があるので勘違いされた。また接種後に抗体が定着するまでにタイムラグがあること、完全に予防しきれるわけではないことから、たまたまインフルエンザに罹ってしまっただけであると考えられます」

 さらに、インフルエンザに罹ったかもしれないというタイミングで実施する検査に関しても、勘違いをしている人が少なくないようだ。

「インフルエンザの迅速検査について、以前は『発熱から12時間たたないときちんとした検査にならない』と言われていました。これは迅速キットの感度とウイルス量の簡易によるものでしたが、現在は微量のウイルス量でもきちんと検査が行えるキットも普及してきており、医療機関にご相談していただくとよいと考えます」

 最後に、インフルエンザシーズンを迎えるにあたって、星野先生からアドバイスをいただいた。

「インフルエンザは感染力も強く、小児や高齢者、基礎疾患がある方などは重篤化しやすい病気であると言えます。基本的なことですが、日頃から手洗い・うがいはしっかり行うようにしましょう。また、可能であればワクチンのタイムラグも考慮し、最流行期になる前、12月中旬頃までには接種していただくことが望ましいでしょう。インフルエンザに罹ってしまった可能性のある方は、無理に会社や学校へ行かず、医療機関の受診をおすすめします」