避妊や月経痛の緩和、月経リズムを整える目的で服用される低用量経口避妊薬「ピル」。しかし、飲み忘れや副作用の心配がつきもので、また常用喫煙者や40歳以上は服用を制限されることもあります。そんな中、女性を中心に注目を集めているのが、子宮内黄体ホルモン放出システム「ミレーナ」です。飲み忘れがなく血栓症などの副作用が少ない上に、喫煙歴関係なく、年齢制限もないというメリットが多くあり、加えて2014年からは医師の診断によって健康保険の適用も受けられるようになりました。新たなる生理トラブルの治療と避妊方法として話題となり、すでに世界100カ国以上で延べ1千万人を超える女性が使用しているそうです。しかし、安全面やメリットばかりが取り上げられていますが、デメリットはないのでしょうか? そこで、成城松村クリニック院長の松村圭子先生に、ミレーナについてお話を伺いました。
“女性主体”の避妊ができる
――「ミレーナ」とは、どのようなものですか?
松村圭子先生(以下、松村) 子宮内に装着する「子宮内避妊システム」です。本体に付加された黄体ホルモンが少しずつ放出されて、子宮内膜の増殖を抑えて受精卵を着床しにくくします。さらに子宮の入口の粘液を変化させ、精子の進入を妨げることで妊娠を阻害します。子宮内膜が厚くならないので、月経血量が減り、過多月経や月経困難症などの生理トラブルも緩和されるんですよ。
――低用量経口避妊薬「ピル」との大きな違いは?
松村 ピルはエストロゲンとプロゲステロンの配合剤で、経口薬なので全身に作用しますが、ミレーナは黄体ホルモンが“局所的”に作用します。さらにエストロゲンが含まれていないので、血栓症などの副作用の心配もありません。そのため、高血圧の人や喫煙者、40歳以降の女性など、ピルの服用が難しい人にも適しています。また、一度装着すると5年間は入れっぱなしでいいので、ピルのように毎日飲む手間や飲み忘れの心配がなくなります。費用に関しても、過多月経や月経困難症などの場合は保険適用となり、1万円程度なので割安です。避妊目的の場合は自費になりますが、それでも5年間ピルを飲み続けることや、コンドームの費用を思えば、トータルコストは抑えられるでしょう。
――世界100か国以上で延べ1千万人が使用しているとのことですが、日本での普及率はどの程度でしょうか?
松村 他国ではピルやミレーナを使い避妊する女性が多いですが、日本では、やはりコンドームが普及しているので、まだこれからといったところでしょうか。そもそもコンドームがこんなに使われているのは日本くらいです。コンドームは正しく使用していても、避妊効果はピルやミレーナほど高くありません。長期的に見れば、ミレーナの方がコンドームを使い続けるより費用も安いと思いますし、避妊効果も高く、なにより男性任せではない“女性主体”の避妊ができるんですけどね。
――どうして日本はコンドーム使用者が多いのでしょうか?
松村 やはり手軽だからではないでしょうか。子宮の中に異物を入れるということに抵抗がある人も多く、使用するには勇気がいると思います。「どこでも手に入る、手軽なコンドームがあるのだから、わざわざ病院で装着しなくても……」という思いがあるのかもしれませんね。
――インターネットなどで調べていると、メリットばかりが謳われています。実際のところ、デメリットはないのでしょうか?
松村 挿入時に、人によっては痛みを伴うことがあります。あと、装着当初は一時的に生理痛がひどくなったり、不正出血が続いたり、月経血量が増えることもあります。これらの症状は次第に落ち着きますが、事前に説明していても、不安を感じる人はいますね。稀にですが、ミレーナが子宮から脱出してしまうこともあるようです。
――そのようなデメリットは誰にでも起こり得るのでしょうか?
松村 子宮の向きや大きさなど個人差によります。すごく痛い人もいれば、違和感があるくらいの人もいるなど、本当にそれぞれです。例えば、子宮筋腫などがあって、内腔が変形していると、脱出しやすいといった可能性もあるでしょうね。
――ミレーナが合う人、合わない人はいますか?
松村 子宮の個体差によるので一概には言えませんが、事前にエコーで検査するなど診察はきちんと行うので、装着が向かない人にはその段階で説明しています。ただ、出産を経験されている女性の方が、一度子宮口が開いている分、入りやすく痛みを伴いにくいといったことは言えますね。血栓症のリスクから考えても、年齢的にピルの服用が制限される40代の女性には、向いている避妊法ではないでしょうか。実際当院の患者さんでも、40歳前後の方が多いですよ。
――先生のところへ来られるミレーナの利用者は、どのような使用目的の方が多いですか?
松村 避妊目的よりも、生理痛の緩和や経血量が多い過多月経など、生理のトラブルで相談に来られる方が多いです。
――そもそも、過多月経とはどれぐらいの経血量が当てはまるのでしょうか?
松村 医学的に説明すると、通常の1回の生理の総量が20~140mlとされているので、それ以上になると過多月経の疑いがあります。目安としては、出血量の多い日に昼用ナプキンが1時間持たないとか、1回の生理期間で使用するナプキンが1パック(約30個入り)だと足りないといった場合です。貧血を起こすくらいだと、多いといえますね。
――生理痛はどの程度ですか?
松村 痛みで動けなかったり、会社や学校を休むほど痛む、痛み止めが効かないといった、日常生活に支障をきたす程度です。仕事や勉強に支障があるほどだと、月経困難症に該当するので、一度病院で診てもらうといいかもしれません。
――ミレーナの使用期限は5年とのことですが、期限が来たらどうするのですか?
松村 ミレーナには取り出す時のための紐がついていて、装着時に子宮の入り口からほんの少し覗かせておきます。期限が来たり、使用途中で外す時は、医療機関でその紐を引いて本体を抜き出します。痛みもなく、すぐ抜けるので体に負担はありません。継続して使用する場合は、抜いた後で新しいミレーナを装着します。
――セックス時、紐が引っ張られて、ミレーナが脱出するなど、支障はないのでしょうか?
松村 ミレーナの紐は、医師が抜き出しやすい程度の長さに切っているので、セックス中に引っかかる心配はありませんよ。とはいえ、子宮の入り口から少しだけ出ているので、違和感を覚える男性はいるかもしれません。
――インターネットで臭いがすると目にしたのですが、異臭はあるのでしょうか?
松村 臭いの心配はありません。紐が出ているので、紐に雑菌が繁殖するといったようなことがあれば臭うことはあるかもしれませんが、そのような話は今のところ聞いたことがないし、実際にあったとしても、滅多に問題にならない程度でしょう。
――使用中に気を付けることはありますか?
松村 避妊の効果は高いですが、ピルと同じで性感染症は防げません。コンドームとの併用は必要です。
――コストや安全性、副作用などあらゆる面から見て、ミレーナは一般女性のライフスタイルにふさわしいと思いますか?
松村 個人差があるのでなんともいえません。しかし、避妊の効果はコンドームと比べても、とても高いですし、過多月経や月経困難症で使った場合も、装着直後にイレギュラーなことはあるかもしれませんが、時間とともに楽になっていきます。コスト的にも、コンドームやピルよりも安く、対象の保険適用の場合はさらに安くなりますしね。総合的に考えても新しい選択肢の一つになると思います。
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