雑誌やテレビ番組、インターネットで数多く紹介される“美容法”。その中には、医学的な根拠が証明されていないものや、「むしろ逆効果」というものまで存在しているようだ。
自身のSNSで、ちまたに広がる真偽不明の美容法に“鋭く”切り込み話題になっている、「表参道スキンクリニック」表参道院の医師・上原恵理先生に、5回に分けて“美容法のウワサ”を斬っていただく当連載。第1回目は「育乳」、第2回目は「鼻が高くなる方法」と「小顔マッサージ」、第3回目は「拭き取りメイク落とし」、第4回目は「ヒアルロン酸やコラーゲン、プラセンタなど保湿成分を配合したスキンケアコスメ」についてうかがった。最終回となる今回は、「ニキビ」に関する正しい知識についてお聞きする。
ニキビは病気でありケガ! 正しい治療法とは
――年齢が上がるにつれ、ニキビの発症する場所が変わってきた気がします。また、「10代は“ニキビ”、それ以降は“吹き出物”」と呼び名が違いますが、ニキビと吹き出物は別物なんですか?
上原恵理先生(以下、上原) 慣用句的に言っているだけで、何も違わない。そもそも、ニキビとは、おでこや鼻にかけてのTゾーン、口元や顎、フェイスラインのUゾーンにできる発疹のこと。思春期はTゾーン、大人になるとUゾーンを中心に発症することが多いので、発症部分は異なります。
ニキビの直接的な原因は、皮脂の過剰分泌によって引き起こされる毛穴の詰まりです。Tゾーンは成長期のため皮脂が過剰分泌し、Uゾーンは男性ホルモンが優位な状態になり、皮脂が過剰分泌され、それぞれニキビの原因につながります。女性でもストレスや睡眠不足、不規則な生活などによって、ホルモンバランスが崩れると、男性ホルモンが普段より多く分泌されてしまいます。社会人として働く中で、いろいろな負担が肌に影響しているのかもしれません。
――ニキビ用のスキンケアコスメは、デパートやドラッグストアで販売されています。ニキビが発症すると、まずこのような商品を手に取る人が多いと思うのでが、いかがでしょうか。
上原 ニキビは病気! 医薬品でもない、市販のニキビ用スキンケアコスメは意味がありません。きちんと治したいなら、あれこれ市販の商品にお金を使う前に、保険診療が受けられる皮膚科医に行くことをオススメします。皮膚科では、ニキビ治療のガイドラインが決まっていて、さまざまな薬をニキビの状態から処方してくれます。過去のビッグデータをもとに、安全かつ早く治る方法を集めて作られたガイドラインに沿って「この薬がダメならこの薬」というように経過を見ながら、適切な治療を進めていくわけです。なので、ドラッグストアでひとりアレコレ悩むくらいなら、皮膚科に行った方が確実かつ安価に治療できる。日本人はニキビを“青春のシンボル”として捉えがちですが、“病気”であり“ケガ”であるということを認識してほしいですね。
――保険診療の皮膚科にニキビでかかると、「あまり話を聞いてくれない」「ちゃんと患部を診てくれない」という声も多いです。
上原 医者はプロなので、パッと見た瞬間に、ニキビの状態から最適な薬まで、すぐにきちんとした診断ができるんです。患者さんとしては、いろいろと患部の状態を説明したいのかもしれませんが、先生がぶっきらぼうでも、ちゃんとわかっていますから安心してください。
――某ニキビケアブランドでは、購入すると“洗顔ブラシ”がセットだったりします。このようなアイテムを使った方が早く治るんですか?
上原 ニキビ肌は非常に敏感なので、ブラシでの洗浄は絶対ダメ! 治るというより、傷口にさらなるダメージを加えているだけ。また、ニキビを潰すことも絶対にやめてください。そこから雑菌が入り、周囲の皮膚組織にまでダメージを与えたり、痕が残ったり、トラブルを大きくする可能性があります。
――ニキビ痕が残ってしまった場合、治すことはできないのでしょうか?
上原 ニキビ痕になってしまったら、美容皮膚科などの治療に頼るしかないです。内服薬やピーリングは効かないので、レーザー治療が必要になります。私も今、フラクショナルレーザーというニキビ痕の治療を繰り返し行っていますが、ダウンタイムを必要としますし、正直心が折れそうになります。ニキビ痕の治療はそれぐらい大変な上に保険適用外なので費用もかさむんです。早い段階で正しい治療を受けておかないと後悔しますよ!
マスクは雑巾と同じぐらい雑菌まみれ
――ニキビを悪化させないために、気を付けた方がいいことを教えてください。
上原 まずは食生活。脂っぽいものや、炭水化物など糖分が多いものは控えた方がいいです。あと、最近はほどよく皮脂を溶かす“ぬるま湯洗顔”も推奨されています。お湯が熱すぎると皮脂を取りすぎてしまい、かえって分泌量が増えてニキビの原因になるんです。また、「洗顔しすぎ、保湿しなすぎ」の人が多いので、ニキビが生じにくい製品である“ノンコメドジェニック製品”で保湿を適切に行いましょう。それから、ニキビがある時は、化粧をしないのがベスト。もし化粧するのであれば“ノンコメドジェニック製品” を薄く塗るぐらいに留めてほしいですね。また、患部にコンシーラーを塗ったり、韓国などではやっているニキビパッチを貼るというのは、毛穴をふさぐ原因になり、悪化させることもあるので控えてください。
――冬は風邪や乾燥対策のためにマスクをする機会が多くなります。マスクが原因でニキビが増えるってことはあるんですか?
上原 マスクが原因でニキビができやすくなるのは本当。マスクが擦れることによって肌に負担がかかりますし、ニキビ以外に肝斑の原因にも。また、マスクは時間がたつと、汚れた雑巾と同じぐらい雑菌まみれになるので、それがニキビの傷口に入り込むという危険性があります。マスクを着用するなら、こまめに取り換えることを心掛けてほしいですし、1度使った物を使い回すなんてもってのほかです! 職業柄、マスクを使用していますが、1日に5枚以上取り換えていますよ。
――ポリウレタン製のカラフルなマスクが流行していますが、こちらは繰り返し洗濯して使用できるようです。それでも不衛生なのでしょうか。
上原 我々が手術で使用する衣服や器具は、200度くらいで加熱し、特殊な機械を用いて殺菌、滅菌処理をします。そこまでやらないと殺菌できないので、洗濯したぐらいでは繊維の奥の菌は死にません。また石鹸カスもニキビの原因につながることがあるので、洗濯して再利用するのはやめた方がいいです。使い捨てマスクより高額だからもったいないと思う人もいるのかもしれませんが、肌のことを考えたらオススメできない商品。極論、パンツを顔に乗せるとしたら、新品と使い古しどっちがマシですか? と考えるといいかもしれませんね。
上原恵理(うえはら・えり)
2006年群馬大学医学部医学科卒業後、同年東京大学医学部附属病院研修医として勤務。08年に東京大学形成外科医局、10年帝京大学医学部附属病院を経て、18年より表参道スキンクリニック勤務。豊胸や乳房再建の最先端術式を数多く手掛けており、美容外科医の目線から、症例や美容法に切り込んだSNSが話題に。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)や多数メディアに出演するなど、活動の場を広げている。
表参道スキンクリニック表参道院
Twitter:@dr_uehara
Instagram:スキンケア・痩身専門 @eri.uehara
Instagram:外科専門 @aesthetic_surgeon_dr.uehara
寒い季節になると、毎年のように「温活」「冷え取り」が注目される。「冷えは万病のもと」と言われるだけに、靴下を重ね履きしたり、腹巻を着用するほか、体が温まるとされる食べ物や飲み物を積極的に摂るように心がけているという人も少なくないのではないだろうか。しかし、こうした「温活」「冷え取り」には懐疑的な声が聞かれることもある。
――基礎化粧品の使用方法で、肌は良くも悪くもなるんですね。ドラッグストアやデパート、皮膚科などさまざまな場所で、数多くの基礎化粧品が販売されていますが、違いがわかりません。
――では「小顔」はどうなんでしょうか。「頭蓋骨の歪みを整えて小顔にする」と謳った美容サロンなどが、ちまたに溢れています。
生理前に、心身の不調に悩む女性は少なくない。胸が張る、過度の眠気、肌荒れ、食欲が増す、便秘、集中力低下、イライラする、無気力感といった症状をもたらす「PMS(月経前症候群)」はよく知られているが、PMSより精神的症状の深刻度合いが大きいとされる「PMDD(月経前不快気分障害)」という疾患をご存じだろうか。 PMSと比較して認知度が低く、またPMSと勘違いされることもよくあるというPMDD。そこで今回、その実態を探るべく『月経の前だけうつ病になってしまう女性たち―PMDD(月経前不快気分障害)を治す』(講談社)『月経前不快気分障害(PMDD)』(星和書店)などの著者である東北医科薬科大学・山田和男病院教授に、PMDDの症状や治療法についてうかがった。
――「合掌のように、手のひらを合わせて力を入れる」と大胸筋が鍛えられてバストアップにつながると雑誌に書いてあったのですが、こちらはどうでしょう?