『きのう何食べた?』第4話が描いたシロさんとケンジの馴れ初めが至高の域! 梶芽衣子も名演

 4月26日深夜に放送された『きのう何食べた?』(テレビ東京系)第4話は、父・悟朗(志賀廣太郎)の食道がん手術を控えた筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)にフォーカスした。

 母・久栄(梶芽衣子)は夫が心配で落ち着かず、絵に描いたように取り乱している。そんな姿が、シロさんは意外だったようだ。

シロさん「お母さんってさあ、結構、お父さんのこと好きだったんだね」

久栄「当たり前でしょ……。大好きよ」

 帰宅した久栄は、悟朗がいつも座っている椅子を見ながらしみじみつぶやいた。

「毎日一緒に暮らしてる人って、特別なのねえ」

 今回はこの言葉に尽きる。

天ぷらを揚げるコツ「思い切り」で人生が好転したシロさん

 第4話は3年前にまでさかのぼり、シロさんと矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)の馴れ初めを描いた。当時の彼氏に連れられ、初めて2丁目を訪れたシロさん。端正なルックスから一般社会では女性ウケがいいシロさんも、この界隈だとモテるタイプではない。彼はこのとき、その事実を初めて思い知った。「帰りたい……」と心が折れそうになった瞬間、出会ったのがケンジである。内野聖陽はすごい。目の色だけで、ケンジがシロさんに一目惚れしているのが伝わってくるのだ。でも、2人はそのまま別れた。

 再会したのは、シロさんが髪を切りに美容室へ行ったとき。たまたまシロさんを担当したのがケンジだったのだ。そこで、ケンジはシロさんがパートナーと別れたことを知る。「あっ、そうだったんだ……」と返すケンジから、隠しきれない喜びとチャンスに懸ける意気込みがにじみ出ている。

 このドラマはすごい。原作が描いていないオリジナルシーンの制作に挑み、それが至高の域に達するのだ。友達以上恋人未満の関係性の頃、2人はデートを重ねていた。この時期について、原作は数行の説明だけで済ませている。ドラマ版はここを映像化し、きっちり再現した。カフェで待ち合わせする2人。すでに到着したシロさんに、息を切らせてやって来たケンジがガラス越しに「ゴメーン!」と手を合わせる。当時の様子から、ケンジだけでなくシロさんもちゃんと相手にデレているのがわかる。

 なんといっても、美容室でシロさんがケンジに同居を申し出たくだりである。上階からの水漏れで家が大変な状況にあると沈むケンジ。この時点で、シロさんはもう挙動不審だ。何度も上を見上げ、体は硬直気味。顔にガーゼが被さると、今度は胸板が大きく上下した。原作を知る者なら「あのシーンがついに訪れる」と上気してしまう。そして、シロさんは思い切った。

シロさん「ウチ……、来る?」

 予期せぬ言葉に動揺するケンジは後ずさりし、壁に手をやってモジモジ。ガーゼのせいで状況を把握できないシロさんは「どうした? え? 聞いてる?」。ケンジは「……いいの?」と返答し、2人の同棲生活は始まった。

 この場面で、シロさんの顔にガーゼがかかっているのが憎い。原作ではシロさんの顔にガーゼはかかっていない。でも、ガーゼがかかっているほうが確かにシロさんっぽいのだ。思い切れない性格のシロさんは、顔を見られない状況に助けられた。顔が見えないシチュエーションでアプローチするのも、ツンデレの“ツン”成分過多の彼らしさ十分である。

 久栄に天ぷらをうまく揚げるコツを聞き「思い切りよ。史朗さんに思い切りを求めても無理でしょうけど」と言われたシロさん。天ぷらをおいしく揚げるコツは、人生を好転させる秘訣でもあった。あのとき、シロさんは確かに思い切った。

 この頃から月日は流れ、シロさんとケンジの距離は縮まった。3年前のクリスマスはぎこちなく、2人は姿勢がカチコチだった。くだけた姿勢をとる今年のクリスマスとは大違いである。3年もたてば、家の様子も変化する。テーブルは1人用から2人仕様の大きなサイズとなり、飾ってある絵画は数点追加された。家電の数も明らかに増えている。

 夫を想う久栄が口にした「毎日一緒に暮らす人は特別」という言葉。シロさんはそれを自らとケンジの関係に照らし合わせた。どんなカップルも時がたてば特別な出来事は減る。日常の繰り返しの中で幸せを見つけるようになる。

 悟朗を支える久栄のために、シロさんを通じてケンジはハンドタオルをプレゼントしていた。渡すときにケンジからの物と伝えられなかったシロさんは、電話でその事実を初めて母に告げた。

シロさん「ハンドタオルをくれた人さ……あの……ケンジっていうんだ。俺の……」

久栄「一緒に住んでる彼氏さん?」

シロさん「……うん」

久栄「そう」

シロさん「名前、矢吹賢二って言って」

久栄「……よく気がつく方なのねえ。柄も好みだったわ。ありがとうってお伝えしてね」

 息子の交際相手からのプレゼントと知った瞬間、複雑な感情からわずかな間ができた久栄。でも、すぐに思い直した。息子の心へ寄り添おうと努力する母。複雑さを受け止め、前へ進む親子の一瞬を切り取っている。

 予告を見ると、次回の第5話はかなり楽しみな回だ。ケンジの魅力がかなり放出されるはず。加えて、料理にも注目してほしい。放送終了後、もしかしたら近所のスーパーでサッポロ一番がバカ売れするかもしれない。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』第3話は史上最高の改変! 山本耕史版小日向が色っぽすぎる!!

 4月20日に放送された『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の第3話。

 今回うなったのは構成の妙だ。「シロさんを理解しようとするもどこかズレた両親」「佳代子さん宅で小日向さんを紹介されるシロさん」「元夫と遊ぶ息子を遠くから見守る今田さんに付き添うシロさん」「シロさんのお父さんに病気が見つかる」という4つのエピソードが見事無理なくつながっていた。こんなに素晴らしい改変は初めて見た気がする。

期待を寄せていた息子を犯罪者と同列にする母親

 筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)が実家に帰る話は、原作でもかなり印象的なエピソードだ。まず、シロさんの「ただいま」に「いらっしゃい」と返す母・久栄(梶芽衣子)の言葉選びが気になる。自宅で待つ矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)ならば、無論、シロさんに「お帰り」と返すのだが。これだけでゲイと距離がある親世代と、シロさんと共に歩くケンジの違いが見て取れる。

 両親も頑張っているが、ところどころで根の深さがこぼれ落ちる。シロさんがエクレアを手土産に持っていくと「こういうことに気が利きすぎるのも女の子みたいねえ」と母は一言。食事していると、唐突に「ゲイでも犯罪者でも、シロさんを受け入れる覚悟はできてる」と、犯罪者とゲイを同列にする認識を露呈。父・悟朗(志賀廣太郎)と2人きりになればひと息つけると思いきや、いきなり「どんな女だったら大丈夫なんだ?」とぶっ込んできたのは衝撃だった。まさか過ぎる角度からの問いかけ。この手の無理解と直面すると、シロさんは目が笑ってない笑顔でいつもやり過ごす。

 この家は、きっとちゃんとしている。エクレアを手づかみではなく、皿に乗せてフォークで食べる品の良さ。シロさんが大事に育てられ、一人っ子として期待を一身に背負っていたことがわかる。しかし、この自慢の息子が孫を連れてくることはない。だから、シロさんも笑顔でやり過ごすことしかできなかった。

 自宅で帰りを待つケンジは、すぐにシロさんの異変に気づいた。というか、帰宅前から心配していた。

ケンジ「何かあった?」

シロさん「それがさ……、いや、普通だったよ」

 受け止める気まんまんのケンジ。愛にあふれている。そんなパートナーへ愚痴ることを思いとどまったシロさん。わかりにくいけど、これも彼なりの愛だ。しかし、ケンジの顔に浮かぶ寂しげな表情が重い。

 ガラッと変わって、シロさんがスーパーでの激安食材シェア仲間の主婦・佳代子さん(田中美佐子)の家にお邪魔した場面。このとき、佳代子の夫・富永さん(矢柴俊博)がシロさんのために連れてきた小日向大策(山本耕史)の登場は第3話で最大のインパクトだった。

 原作の小日向さんはガチムチ系で、山本耕史とはイメージが若干異なる。むしろ、それが良かった。山本版小日向は、原作の10倍くらい色っぽい。表情を動かさず、まばたきしない異常な眼力。端的に圧がすごいのだ。「どうも、小日向大策と申します」と自己紹介されるだけで動揺するシロさん。小日向さんはわざわざシロさんの隣に座り、話し始めた。「もしかして、口説かれる……?」とばかりに顔がこわばるシロさん。しかし、小日向さんは彼氏とのエピソードを口にする。

シロさん「あっ、彼氏いるんですね……」

 何をガッカリしているのかという。

小日向さん「そうだ、筧さん。せっかくですから、今度食事でもどうですか? 連絡先交換しましょう」

 まさかの「ふるふる」で連絡先を交換するシロさんと小日向さん。見つめ合った2人がスマホを揺らす光景は、卑猥な何かを意識してのツーショットのはずだ、きっと。

すれ違いの愛情に寂しげな表情を見せる内野聖陽

 シロさんの実家から連絡が入った。父・悟朗に食道がんが見つかったのだ。その様子を見て心配するケンジ。

ケンジ「俺……何かできること、あるかな?」

シロさん「……いや、別に。今のところないよ(笑)」

 切ない。こういうときこそシロさんの力になりたいケンジ。余計な心配を掛けたくないシロさん。お互いがお互いに愛情があるのに、すれ違って残念な形になってしまっている。

 翌日、シロさんは離婚した元夫に息子の親権を取られた依頼人・今田聖子(佐藤仁美)に連れ添って遊園地へ出掛けた(シロさんの職業は弁護士)。遠くから息子を見守るだけで我を忘れる今田さんを、シロさんは懸命にフォローする。そしてこの日の帰り際、今田さんはシロさんに感謝した。このとき、彼女が口にしたお礼の言葉はシロさんに響いた。

「私って、すごく変じゃないですか。だから、家族ですらまともに接してくれなくて。でも、先生はちゃんと話聞いてくれました。気持ちがしんどいときって、誰か1人でも親身になって話を聞いてくれる人がいると安心するんですね」

 このとき、シロさんの頭に思い浮かんだのはケンジの顔だ。ケンジはシロさんを思い続けているが、シロさんもケンジを思い続けている。帰宅後、シロさんはケンジに言った。

シロさん「親父のことで、もしこの先何かあったときさ、話聞いてもらってもいいかな? 話聞いてくれるだけでいいんだ」

ケンジ「……うん。……聞くよぉ~! もちろんだよ、シロさん」

 感極まり、返答するケンジの声が裏返っているのがいい。

 ドラマではW主演になっているが、原作で主人公的な立ち位置にいるのはシロさんのほうだ。ケンジは、どちらかと言うと“その恋人”という存在。しかし、内野聖陽が演じることで、より感情移入できる愛すべき人に昇華した。それが回り回って、シロさんが感じる幸せとなって着地する。どんなにつらいことがあっても、食事をしながら話を聞いてくれる存在がいるということは、なんて幸せなんだろう。

 そして、やはり構成がいい。今田さんに付き添うエピソードから、シロさんの「話聞いてくれるだけでいいんだ」へつながっていく流れ。なんと自然な改変なのだろうか。

 まだツンケンしていた初回と比べ、第3話では笑顔を見せることも多くなったシロさん。ケンジ→シロさんの愛と、シロさん→ケンジの愛が共鳴した結果だ。感動的な回だったと思う。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』原作超えシーン連発……シロさんの過去を暗喩した”いちごジャム作り”にニヤリ

 

 4月12日放送『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の第2話。

 このドラマは、原作に忠実な脚本になっている。マンガのセリフを、かなりそのまま再現している。なのに、生身の人間が演じることで、ドラマでしか成し得ない境地に達する瞬間があるのだ。

ドラマ版が原作を超える瞬間がある

 なんといっても、筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)が富永佳代子(田中美佐子)の家に上がり、スイカを食べた場面を取り上げたい。

 本当は逐一種を取り、それをカットして食べたいシロさん。でも、「丁寧な食べ方をしたらゲイだとばれる」と彼は心配した。だから、男らしさを見せるべく、ワイルドにスイカにかぶりつく。

 ここ、ぶっちゃけ、マンガより色気が出ているのだ。原作のシロさんよりもイケメン。異常に険しい顔つきで、口から垂れるスイカの汁を拭う姿。危険な雰囲気である。各ドラマでやたらと公安の任務を背負う西島とマッチし、マジックが起きてしまっている。

「縦から見ても横から見てもカタギじゃないじゃない!」

 そりゃ、佳代子さんもうろたえるというもの。思わず、この場面で筆者は声を出して笑ってしまった。

 まだある。シロさんの元カノ・仁美(大島葉子)が店主を務めるパン屋に、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)が偵察に行ったくだりだ。原作を読んだ際は、「夫の愛人がやってる小料理屋に偵察に行った正妻みたいな気持ちに勝手になられても……」というシロさに共感していた。でも、ドラマになると、不思議とケンジに入れ込んでしまうのだ。「もうちょっとケンジのことを考えてあげてよ!」と応援していた。役者・内野聖陽の力量によるものだと思う。表情や仕草が、あまりにいじらしすぎるからだろうか。

 ケンジの嫉妬に、シロさんは誠実に対応する。仁美と付き合ったのは、女っ気の薄い子だったから。でも、付き合ってみると、やっぱり女の子は女の子だった。このままノンケの仮面をかぶっていくのはキツい。仁美と適当に付き合っていた自分。すると、すぐに仁美のほうから別れを切り出してきた。そのときは正直、ホッとした。

「もしあのまま仁美と付き合い続けていたら、俺、結婚とかしてたかもしれない。子どもだってできてたかもしれない。でも、ゲイであることはやめられないから、奥さんと子どもを裏切って彼氏作って。それでも家族を捨てられないから、結局、彼氏のことも傷つける。そういうの、続けてたと思う……。ゾッとするよ。仁美には悪いことしたって反省してる。だからもう俺は女性とのどうこうっていう、そういうのはないんだ」

 今回のエピソードに、いちごジャム作りを持ってきたところが本当に素晴らしい。煮たいちごから出るアクをすくう工程は、ノンケを装い女性と交際するも「自分には無理」と再認識したシロさんの過去そのままだ。果物から色が抜け白っぽくなる変化は、「もう女性とは付き合わない」と心に決めるに至ったシロさんの変化を暗喩している。

 原作のほうのシロさんは今ではすっかり悟りが入り、迷いもかなり抜けた。長い年月を経たカップルに、波風らしい波風が立つことはもうほとんどない。2人の間の感情の揺れ動きを描くドラマを見ていると懐かしさが湧き上がり、なんとも言えない気持ちになってしまった。

扱っているテーマが毎回、実は重い

 前回のレビューでも書いたが、やはりこの作品は「グルメ」「同性愛」の要素を前面に押し出した人間ドラマである。

 もし、シロさんとケンジが一生添い遂げたとしても、2人は子どもを授かることができない。だから、シロさんは老後のために貯蓄している。ケンジは姉妹の多い家庭に育ったが、シロさんは1人っ子だ。それを考えると、女性との交際歴を持つシロさんをケンジは意固地に責められない。だから、ケンジはシロさんの告白を正面から受け止めた。いちごジャムのトーストを手にわかり合った朝食のシーンは、第2話のハイライトだった。

 サラッと描いているが、『きのう何食べた?』の扱うテーマは毎回重い。そこをチャーミングな作風が救っている。見た後、温かな気持ちになる。原作はもちろん、ドラマ版の今作も、結構奇跡的な出来栄えだと思う。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』原作超えシーン連発……シロさんの過去を暗喩した”いちごジャム作り”にニヤリ

 

 4月12日放送『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の第2話。

 このドラマは、原作に忠実な脚本になっている。マンガのセリフを、かなりそのまま再現している。なのに、生身の人間が演じることで、ドラマでしか成し得ない境地に達する瞬間があるのだ。

ドラマ版が原作を超える瞬間がある

 なんといっても、筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)が富永佳代子(田中美佐子)の家に上がり、スイカを食べた場面を取り上げたい。

 本当は逐一種を取り、それをカットして食べたいシロさん。でも、「丁寧な食べ方をしたらゲイだとばれる」と彼は心配した。だから、男らしさを見せるべく、ワイルドにスイカにかぶりつく。

 ここ、ぶっちゃけ、マンガより色気が出ているのだ。原作のシロさんよりもイケメン。異常に険しい顔つきで、口から垂れるスイカの汁を拭う姿。危険な雰囲気である。各ドラマでやたらと公安の任務を背負う西島とマッチし、マジックが起きてしまっている。

「縦から見ても横から見てもカタギじゃないじゃない!」

 そりゃ、佳代子さんもうろたえるというもの。思わず、この場面で筆者は声を出して笑ってしまった。

 まだある。シロさんの元カノ・仁美(大島葉子)が店主を務めるパン屋に、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)が偵察に行ったくだりだ。原作を読んだ際は、「夫の愛人がやってる小料理屋に偵察に行った正妻みたいな気持ちに勝手になられても……」というシロさに共感していた。でも、ドラマになると、不思議とケンジに入れ込んでしまうのだ。「もうちょっとケンジのことを考えてあげてよ!」と応援していた。役者・内野聖陽の力量によるものだと思う。表情や仕草が、あまりにいじらしすぎるからだろうか。

 ケンジの嫉妬に、シロさんは誠実に対応する。仁美と付き合ったのは、女っ気の薄い子だったから。でも、付き合ってみると、やっぱり女の子は女の子だった。このままノンケの仮面をかぶっていくのはキツい。仁美と適当に付き合っていた自分。すると、すぐに仁美のほうから別れを切り出してきた。そのときは正直、ホッとした。

「もしあのまま仁美と付き合い続けていたら、俺、結婚とかしてたかもしれない。子どもだってできてたかもしれない。でも、ゲイであることはやめられないから、奥さんと子どもを裏切って彼氏作って。それでも家族を捨てられないから、結局、彼氏のことも傷つける。そういうの、続けてたと思う……。ゾッとするよ。仁美には悪いことしたって反省してる。だからもう俺は女性とのどうこうっていう、そういうのはないんだ」

 今回のエピソードに、いちごジャム作りを持ってきたところが本当に素晴らしい。煮たいちごから出るアクをすくう工程は、ノンケを装い女性と交際するも「自分には無理」と再認識したシロさんの過去そのままだ。果物から色が抜け白っぽくなる変化は、「もう女性とは付き合わない」と心に決めるに至ったシロさんの変化を暗喩している。

 原作のほうのシロさんは今ではすっかり悟りが入り、迷いもかなり抜けた。長い年月を経たカップルに、波風らしい波風が立つことはもうほとんどない。2人の間の感情の揺れ動きを描くドラマを見ていると懐かしさが湧き上がり、なんとも言えない気持ちになってしまった。

扱っているテーマが毎回、実は重い

 前回のレビューでも書いたが、やはりこの作品は「グルメ」「同性愛」の要素を前面に押し出した人間ドラマである。

 もし、シロさんとケンジが一生添い遂げたとしても、2人は子どもを授かることができない。だから、シロさんは老後のために貯蓄している。ケンジは姉妹の多い家庭に育ったが、シロさんは1人っ子だ。それを考えると、女性との交際歴を持つシロさんをケンジは意固地に責められない。だから、ケンジはシロさんの告白を正面から受け止めた。いちごジャムのトーストを手にわかり合った朝食のシーンは、第2話のハイライトだった。

 サラッと描いているが、『きのう何食べた?』の扱うテーマは毎回重い。そこをチャーミングな作風が救っている。見た後、温かな気持ちになる。原作はもちろん、ドラマ版の今作も、結構奇跡的な出来栄えだと思う。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』内野聖陽の再現度に脱帽! 前評判覆し、感動レベルに

 4月5日より、『きのう何食べた?』(テレビ東京系)がスタートした。2007年より「モーニング」(講談社)で連載している人気漫画のドラマ化である。

 街の小さな法律事務所で働く弁護士・筧史朗(以下「シロさん」)と美容師の矢吹賢二(以下「ケンジ」)は同棲中の同性カップルで、シロさんの日課は事務所を定時に出た後、近所の安売りスーパーへ向かうこと。頭の中で瞬時に夕食の献立を組み立てる彼にとって、月の食費を2万5,000円以内に抑えることは重要課題だ。

内野聖陽が想像以上にケンジそのもの

 漫画の実写化となると、成功の鍵の8割はキャスティングにかかっている。正直、心配していたのはケンジに関してだった。内野聖陽が演じると知ったとき、ちょっと違う気がしたのだ。何しろ、『JIN-仁-』(TBS系)で坂本龍馬を演じたあの人である。男臭いイメージが強すぎる。

 いやいやいや! 漫画を読み、頭の中で想像していたケンジがそこにはいた。まさに、ケンジ。そのまんま、ケンジ。ふとした所作や表情が“動くケンジ”だった。内野の中にケンジがいた。この配役って、ひとつの正解じゃないだろうか? 原作ファンからすると感動のレベルだったと思う。気が早いが、ドラマが最終話を迎える頃には、内野のファンはすごく増えている気がする。

 初回で最も印象的なのはオープニングだった。ケンジが料理中のシロさんをスマホで撮影しているというテイの映像。料理を作るイケメン彼氏を愛おしく思うケンジ。いかにもケンジがやりそうなことだし、撮りそうな動画だった。『きのう何食べた?』には、ストレートな性描写は出てこない。でも、だからこそ、逆にエロい。ケンジのスマホ撮影で始まるオープニングは、絶妙な演出だったと思う。

 一方、シロさんを演じるのは西島秀俊だ。ネット上ではさまざまな意見(賛否どちらもあり)が飛び交っているようだが、なんだかんだ、ビジュアル的にこの人は適任だと思う。基本、テンションが低いシロさんだけに(特に初期のシロさんは、かなり性格がキツい)、抑揚のない西島のセリフ回しはマッチしている。何より、以前から西島は『きのう何食べた?』の読者だったそうだ。

 原作ファンならご存じだと思うが、シロさんは次第に優しくなっていく。話が進むにつれ、彼の良さはドンドン出てくる。不器用なシロさんが見せるケンジへの愛情表現は、見どころのひとつである。

 いや、すでに初回で、シロさんの隠れた優しさは垣間見られた。ケンジがコンビニでハーゲンダッツを通常価格で購入し、無駄遣いを嫌うシロさんが叱ったくだりである。スーパーならハーゲンダッツが2割引で買えることを知るシロさんは、ケンジを叱った。

シロさん「朝と晩の食費を月2万5,000円に抑えるのが俺の最重要課題なんだぞ。……(レシートを見て)高っ!」

ケンジ「(レシートを奪って)いいよ、自分で払うから」

シロさん「(レシートを奪い返し)いいよ、貸せ! お前は貯金しろ!」

 シロさんはケンジからレシートをぶん取り、それを引き出しにしまった。引き出しには「賢二立て替え分」なるラベルが貼ってある。なんだかんだ、シロさんから愛情が窺えるのだ。

 これは、原作にはなかったくだりである。オリジナルの秀逸な描写を生み出したドラマスタッフを評価したい。今回の実写化はうまくいきそうだ。

『きのう何食べた?』は人間ドラマである。シロさんとケンジを描く上で大きな柱になっているのは「年月」だ。

 この作品がスタートしたのは07年。連載が始まってからすでに10年以上の月日がたった。あの頃と比べ、同性愛に対する社会の理解度は明らかに深まっている。加えて、“加齢”というテーマも外せない。連載中にシロさんの両親は大病を経験したし、ケンジの父親は他界した。シロさんもケンジも、若い頃ほど食べられなくなった。原作は、年月とリアルに並走している。

 果たして、この「年月」をワンクールのドラマで描くことができるのか? そこに関しても注目していきたい。『きのう何食べた?』は「グルメ」「同性愛」の要素を前面に押し出した、人間ドラマである。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』内野聖陽の再現度に脱帽! 前評判覆し、感動レベルに

 4月5日より、『きのう何食べた?』(テレビ東京系)がスタートした。2007年より「モーニング」(講談社)で連載している人気漫画のドラマ化である。

 街の小さな法律事務所で働く弁護士・筧史朗(以下「シロさん」)と美容師の矢吹賢二(以下「ケンジ」)は同棲中の同性カップルで、シロさんの日課は事務所を定時に出た後、近所の安売りスーパーへ向かうこと。頭の中で瞬時に夕食の献立を組み立てる彼にとって、月の食費を2万5,000円以内に抑えることは重要課題だ。

内野聖陽が想像以上にケンジそのもの

 漫画の実写化となると、成功の鍵の8割はキャスティングにかかっている。正直、心配していたのはケンジに関してだった。内野聖陽が演じると知ったとき、ちょっと違う気がしたのだ。何しろ、『JIN-仁-』(TBS系)で坂本龍馬を演じたあの人である。男臭いイメージが強すぎる。

 いやいやいや! 漫画を読み、頭の中で想像していたケンジがそこにはいた。まさに、ケンジ。そのまんま、ケンジ。ふとした所作や表情が“動くケンジ”だった。内野の中にケンジがいた。この配役って、ひとつの正解じゃないだろうか? 原作ファンからすると感動のレベルだったと思う。気が早いが、ドラマが最終話を迎える頃には、内野のファンはすごく増えている気がする。

 初回で最も印象的なのはオープニングだった。ケンジが料理中のシロさんをスマホで撮影しているというテイの映像。料理を作るイケメン彼氏を愛おしく思うケンジ。いかにもケンジがやりそうなことだし、撮りそうな動画だった。『きのう何食べた?』には、ストレートな性描写は出てこない。でも、だからこそ、逆にエロい。ケンジのスマホ撮影で始まるオープニングは、絶妙な演出だったと思う。

 一方、シロさんを演じるのは西島秀俊だ。ネット上ではさまざまな意見(賛否どちらもあり)が飛び交っているようだが、なんだかんだ、ビジュアル的にこの人は適任だと思う。基本、テンションが低いシロさんだけに(特に初期のシロさんは、かなり性格がキツい)、抑揚のない西島のセリフ回しはマッチしている。何より、以前から西島は『きのう何食べた?』の読者だったそうだ。

 原作ファンならご存じだと思うが、シロさんは次第に優しくなっていく。話が進むにつれ、彼の良さはドンドン出てくる。不器用なシロさんが見せるケンジへの愛情表現は、見どころのひとつである。

 いや、すでに初回で、シロさんの隠れた優しさは垣間見られた。ケンジがコンビニでハーゲンダッツを通常価格で購入し、無駄遣いを嫌うシロさんが叱ったくだりである。スーパーならハーゲンダッツが2割引で買えることを知るシロさんは、ケンジを叱った。

シロさん「朝と晩の食費を月2万5,000円に抑えるのが俺の最重要課題なんだぞ。……(レシートを見て)高っ!」

ケンジ「(レシートを奪って)いいよ、自分で払うから」

シロさん「(レシートを奪い返し)いいよ、貸せ! お前は貯金しろ!」

 シロさんはケンジからレシートをぶん取り、それを引き出しにしまった。引き出しには「賢二立て替え分」なるラベルが貼ってある。なんだかんだ、シロさんから愛情が窺えるのだ。

 これは、原作にはなかったくだりである。オリジナルの秀逸な描写を生み出したドラマスタッフを評価したい。今回の実写化はうまくいきそうだ。

『きのう何食べた?』は人間ドラマである。シロさんとケンジを描く上で大きな柱になっているのは「年月」だ。

 この作品がスタートしたのは07年。連載が始まってからすでに10年以上の月日がたった。あの頃と比べ、同性愛に対する社会の理解度は明らかに深まっている。加えて、“加齢”というテーマも外せない。連載中にシロさんの両親は大病を経験したし、ケンジの父親は他界した。シロさんもケンジも、若い頃ほど食べられなくなった。原作は、年月とリアルに並走している。

 果たして、この「年月」をワンクールのドラマで描くことができるのか? そこに関しても注目していきたい。『きのう何食べた?』は「グルメ」「同性愛」の要素を前面に押し出した、人間ドラマである。

(文=寺西ジャジューカ)

一体どこに行きたい? 小説家デビューした押切もえの「結局のところ」

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自分磨きの末、残ったものって何なのかしら?

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎手作り弁当に見えた深層心理
 ゲストの女性タレントたちが、手作り弁当を披露していた『キャサリン三世』(フジテレビ系)にて、ものすごいハイレベルの弁当を持って来た押切もえ。小説も書いちゃったりしてねぇ。この人は一体何やりたいんだろう、どこ行きたいんだろう。って考えてみたけど、結局のところ「ステキなお嫁さん」なんじゃあないだろうかって気がした。一周回って。

 それはいいのだが、この弁当を食べるゲスト男性陣の1人に坂上忍がいたのである。ええー。ラップで包まれたおにぎり食べてた。ええー。「他人(プロは除く)の作った弁当が食べられるかどうか」って、潔癖症のイロハのイみたいなもんで、これができるならそこまで潔癖症じゃないと思うのだが。ちなみに、私は潔癖症じゃないけど、人の握ったおにぎりは食べられないぞ。ラップに包まれたおにぎりに嬉々としてかぶりつく坂上忍。なんだ、ビジネス潔癖症か。東MAXの方がリアルに深刻そうな。

香川照之一族の恐怖物語が再び! 父・猿翁を追い詰める復讐の看病

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「女性セブン」3月14日号(小学館)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

第166回(3/1~5発売号より)

 野田聖子衆議院議員の「中絶禁止」発言が波紋を呼んでいる。なんでも「少子化対策のため」中絶を禁止し、養子縁組法案を作りたいのだとか。なんだか短絡的というか、考えなしというか。体罰問題の谷亮子参議院議員といい、女性に対する想像力が決定的に欠けているのが“女性”政治家なのかも。

1位「香川照之 父・猿翁『肺炎極秘入院』で孤立無援ピンチ」(「女性セブン」3月14日号)
同1位「香川照之 『舞台が怖い…』父猿翁を追い詰めた“屈折”親子愛」(「週刊女性」3月19日号)
ランク外「香川照之 相克の父病床で訴えた“悲壮の覚悟”――『もう一度、家族で舞台に!』」(「女性自身」3月19日号)
2位「西山茉希 ああ、またも!“DV恋人”早乙女太一と連日デートで笑顔復活♪」(「女性自身」3月19日号)
3位「内野聖陽 『とんびらしくねぇ』打ち上げ独占撮!」(「週刊女性」3月19日号)

 久々に“香川照之一族”恐怖物語が復活! 女性週刊誌3誌とも、香川ネタを掲載した。揃い踏みである。全誌とも香川の父である市川猿翁の入院についての記事だが、しかしそれぞれに温度差があるので比較分析してみたい。

ベスト17.0%、ワースト8.8%、今期ドラマ初回の命運を分けた日曜午後9時

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『とんび』(TBS系)公式サイトより

 今年1~3月期のドラマが、それぞれ初回放送を迎えた。前クールは米倉涼子主演の『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)、SMAP・木村拓哉主演の月9ドラマ『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』(フジテレビ系)など注目作が目白押しだったが、今クールは突出した作品がないのが特徴の1つだ。

 そこで今回は、民放ドラマ(午後8~10時台)の初回視聴率を元に、ベスト3位&ワースト3位をご紹介する。なお、昨秋から2クール連続で放送中の『相棒』(テレビ朝日系)は対象外とする。

新婚・田中圭がさくらとの夫婦事情について、あの内野聖陽に相談していた!?

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田中圭ファースト作品集『花の周
りを飛ぶ虫はいつも』/ワニブックス

 昨年11月に女優・さくらと結婚し、今年2月には待望の長女が出まれ、一児のパパとなった俳優・田中圭。プライベートだけでなく、映画『サンゴレンジャー』や『相棒』のスピンオフ映画に主演するなど、俳優としても上り調子。3月には、内野聖陽とW主演で舞台『幻蝶』に出演し、その演技力で観客を魅了していた。

 そんな、公私ともに順風満帆のように見える田中だが、実は最近、ある大きな“悩み”を抱えているのだという。

「どうやら、“セックスレス”らしいんです。彼もまだ27歳と若いですから、まだまだそういう盛りなんでしょうね」(芸能事務所関係者)