『きのう何食べた?』最終話 “あすなろ抱き”される西島秀俊に見た、ドラマ版ならではの肉付け

 6月28日に放送された『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の最終話。

“罵声を浴びせられるケンジ”の描写はなくてよかったのか?

 お正月、筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)の両親に会うため、身支度をする矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)。普段はラフな服装の彼が選んだのはトレンチコートだった。彼氏の親と会うとき、ウケの良さそうなワンピースを選ぶ乙女の心境か? しかし、いかんせん似合わない。着慣れてないからか、コートに着られてしまっている(内野聖陽は絶対、似合う人のはずなのに……)。

 シロさんの実家に到着すると、ケンジの姿を見てシロさんの両親はフリーズした。緊張のあまり、お土産を紙袋のまま渡すケンジ。父・悟朗(田山涼成)はスリッパ立てごとケンジに手渡している。全員がギクシャクだ。居間へ行き、おせち料理を出されると、ケンジが最初に口にしたのは数の子だった。“コリコリ”と響き渡る咀嚼音の気まずさと言ったら……。

 空気に耐え切れない母・久栄(梶芽衣子)はシロさんを連れて場を外した。自ずとケンジは悟朗と2人きりに。シロさんと久栄は料理を一緒に作ることで正気を取り戻していく。もう、普段の2人だ。では、ケンジと悟朗はどうか? シロさんの卒業アルバムを見ながら悟朗は息子の若き日を振り返った。

「とにかく、よく勉強する子だった。久栄は喜んでたけど、私は内心あきれてたな。高校生だぞ? ほかにやりたいこともあるだろうに、よくもまあそんなに勉強ばっかりするもんだって」

 父があきれるほど勉強して、弁護士になったシロさん。その理由を、悟朗が送ってきたサラリーマン生活を思い起こさせながらケンジは説明した。

「10代の後半なら史朗さん、もう自分が同性愛者だとわかってたと思うんです。俺もわかってましたから。それで俺は、自分の腕一本でやっていける美容師になりたいって思ってました。昔はサラリーマンになると、上司に結婚を勧められたりするって聞いてたし。弁護士は実力さえあれば一匹狼でやっていける。だから史朗さん、弁護士になるって心に決めて勉強してたんじゃないでしょうか?」

 ケンジの言葉を聞きながら、悟朗の顔つきが晴れやかなものになっていった。この人は自分より息子を理解してくれている。「男同士で付き合っている」という視点から「良き理解者が息子と付き合っている」に転換された瞬間だ。いつしか2人は、ちょこんと横並びで座っていた。父はケンジに安堵したのではないか。

 再び食卓に戻った4人。緊張しているはずのケンジも好物の唐揚げを食べ、思わず素が出た。

「う~ん! 外サクサクで、中やわらかぁ~い!」

 ケンジのリアクションを見た久栄が固まっている。

 同性愛を理解しようとするシロさんの両親。でも、どうしても超えられない壁がある。

「君がそういうスーツを着ているということは、家の中で女の格好をしているのは……史朗のほうかね?」(悟朗)

 どちらかが女の格好をするもの、そんな誤解が両親にはあった。トレンチコートを羽織るケンジを見て「うちの子が女装している」と、一度は受け入れた久栄と悟朗。そのショックが玄関での微妙な空気になった。なのに、いきなりケンジからこぼれ落ちたオネエっぽさ。「え、どういうこと!?」と久栄は混乱する。しかし、「家で女装しているのはケンジ」という誤解をケンジが受け入れることで、両親は安心した。ゲイのことをどうしても理解しきれない2人。だけど、息子を愛している。滑稽さと切なさを同時に描いたくだりである。このドラマはシロさん&ケンジというカップルを描くと共に、さまざまな人たちの物語でもあるのだ。

シロさん「本当にスマン! 頭の固い親たちで……」

ケンジ「いいよ、いいよ。それでご両親がちょっとでも安心できるならいいじゃない。そんなことより俺、夢みたい。恋人の実家に遊びに行って、親御さんとごはん食べる日が来るなんて……。だって、俺には、そんな日が来るなんて、永久にないと思ってたもん。もう、俺ここで死んでもいい(泣)」

シロさん「何言ってんだ。死ぬなんて、そんなこと言うもんじゃない。食い物、油と糖分控えてさ、薄味にして、腹八分目で、長生きしような俺たち」

 シロさんの言葉がプロポーズみたいだ。しかも、ちゃんと食に結び付けた形で幸せを誓っている。

 実は、原作では涙するケンジを抱きしめるシロさんを通りすがりの人が発見し、「キモい」「死ね」と罵声を浴びせ掛けている。ゲイへの偏見を表した、かなり重要な描写だ。ドラマでもこれを入れたほうがよかったか、放送後、ファンの間で意見は分かれた。筆者は入れなくてよかったと思っている。このエピソードが原作で描かれた時期と比べ、時代は動いた。もう、この場面がしっくり来ない社会になった。結婚して子どもを産んで孫を授かって……という2人じゃなくても、慎ましい幸せをかみ締めながら生きていける。そんな前向きさを描くだけで、もう十分だと思うのだ。

 中村屋で買い物をしているシロさんとケンジ。ごんべんのつゆと低脂肪牛乳が激安になっていることに、シロさんは感激した。

「ありがとう、中村屋。最高です! 今年も通わせてもらいます」(シロさん) 

 きっと今までなら心の声としてナレーション処理していたはずなのに、声に出してお礼を言うシロさん。明らかに変わってきている。

 ケンジの誘いで、駅の近くのカフェへ行った2人。店内は女性客ばかりだ。男2人客のシロさんとケンジは、周囲から注目を浴びてしまった。シロさんが居心地悪くしていないか気にするケンジ。一方のシロさんは平然としている。

「いいかげん、もういいかなあと思って(笑)」(シロさん)

 かつては2人で商店街を歩くのも嫌がっていたはずなのに、回を追うごとシロさんを覆う壁が1枚ずつ剥がされていった。「大きいほう食えよ」と、ケンジに大きいスコーンを渡すシロさん。ただ、長生きするためにスコーンにクリームを付けないのが2人流だ。

 自宅に戻ったシロさんはケンジに髪をカットしてもらう。これは漫画の第1話に描かれたエピソードである。1話から12話にかけ次第に変わっていたシロさんが、原作1話につながっていくという構成がニクい。

「俺も相方としては、なるべくお前にはハッピーでいてほしいと思ってんだよ。だから、お前が幸せ感じるなら、これからはカフェぐらい何度でも付き合うよ」(シロさん)

 ケンジがハッピーでいることを望むシロさん。激安商品に感激するシロさんを見るケンジも幸せそうだった。結局、2人はパートナーの幸せを自分の幸せとイコールにしている。愛しさが爆発し、ケンジは後ろからシロさんをハグした。“あすなろ抱き”される西島秀俊。この演出もニクい。そのまま、2人は沈黙する。BGMはあえてなし。まるで、無音の部屋が2人を包み込んでいるようだ。

 最後は2人の料理シーン。海老の処理をしていたケンジは手をケガし、それをシロさんは気遣った。

ケンジ「やだ、シロさん優しい……。惚れ直す!」

シロさん「チャッチャとやれ。海老の鮮度が落ちる」

ケンジ「恋の鮮度は落ちてない、俺たちの?」

シロさん「保ってんじゃないか(笑)?」

ケンジ「良かったぁ~! エービーシーディーイーエフジー、エッチエッチエッチエッチエッチッチィ~」

シロさん「最低だな(笑)」

ケンジ「海老ってなんかエッチじゃん。お尻から動いちゃったりしてさ」

 2人の直接的なスキンシップを極力排除してきた『きのう何食べた?』。でも、ドラマ版は2人のカップルとしての側面もキチンと表現した。

 料理を協力し合ったシロさんとケンジは食卓に座り、最後は「いただきま~す」。同性愛のカップルを描くドラマであり、もっと大きな意味での愛を描くドラマでもあるということ。

 原作だとサラッと描く場面も、あえて感情的に仕上げることが多かったこのドラマ。「現実の世界ならこうなる」と誠実に肉付けした結果だと思う。原作をリスペクトしながら、決して原作のトレースに留まらなかった。すでに十二分の格と人気と知名度を獲得しているのに、あえて新境地に挑戦してくれた西島秀俊と内野聖陽の2人にも拍手を送りたい。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』最終話 “あすなろ抱き”される西島秀俊に見た、ドラマ版ならではの肉付け

 6月28日に放送された『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の最終話。

“罵声を浴びせられるケンジ”の描写はなくてよかったのか?

 お正月、筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)の両親に会うため、身支度をする矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)。普段はラフな服装の彼が選んだのはトレンチコートだった。彼氏の親と会うとき、ウケの良さそうなワンピースを選ぶ乙女の心境か? しかし、いかんせん似合わない。着慣れてないからか、コートに着られてしまっている(内野聖陽は絶対、似合う人のはずなのに……)。

 シロさんの実家に到着すると、ケンジの姿を見てシロさんの両親はフリーズした。緊張のあまり、お土産を紙袋のまま渡すケンジ。父・悟朗(田山涼成)はスリッパ立てごとケンジに手渡している。全員がギクシャクだ。居間へ行き、おせち料理を出されると、ケンジが最初に口にしたのは数の子だった。“コリコリ”と響き渡る咀嚼音の気まずさと言ったら……。

 空気に耐え切れない母・久栄(梶芽衣子)はシロさんを連れて場を外した。自ずとケンジは悟朗と2人きりに。シロさんと久栄は料理を一緒に作ることで正気を取り戻していく。もう、普段の2人だ。では、ケンジと悟朗はどうか? シロさんの卒業アルバムを見ながら悟朗は息子の若き日を振り返った。

「とにかく、よく勉強する子だった。久栄は喜んでたけど、私は内心あきれてたな。高校生だぞ? ほかにやりたいこともあるだろうに、よくもまあそんなに勉強ばっかりするもんだって」

 父があきれるほど勉強して、弁護士になったシロさん。その理由を、悟朗が送ってきたサラリーマン生活を思い起こさせながらケンジは説明した。

「10代の後半なら史朗さん、もう自分が同性愛者だとわかってたと思うんです。俺もわかってましたから。それで俺は、自分の腕一本でやっていける美容師になりたいって思ってました。昔はサラリーマンになると、上司に結婚を勧められたりするって聞いてたし。弁護士は実力さえあれば一匹狼でやっていける。だから史朗さん、弁護士になるって心に決めて勉強してたんじゃないでしょうか?」

 ケンジの言葉を聞きながら、悟朗の顔つきが晴れやかなものになっていった。この人は自分より息子を理解してくれている。「男同士で付き合っている」という視点から「良き理解者が息子と付き合っている」に転換された瞬間だ。いつしか2人は、ちょこんと横並びで座っていた。父はケンジに安堵したのではないか。

 再び食卓に戻った4人。緊張しているはずのケンジも好物の唐揚げを食べ、思わず素が出た。

「う~ん! 外サクサクで、中やわらかぁ~い!」

 ケンジのリアクションを見た久栄が固まっている。

 同性愛を理解しようとするシロさんの両親。でも、どうしても超えられない壁がある。

「君がそういうスーツを着ているということは、家の中で女の格好をしているのは……史朗のほうかね?」(悟朗)

 どちらかが女の格好をするもの、そんな誤解が両親にはあった。トレンチコートを羽織るケンジを見て「うちの子が女装している」と、一度は受け入れた久栄と悟朗。そのショックが玄関での微妙な空気になった。なのに、いきなりケンジからこぼれ落ちたオネエっぽさ。「え、どういうこと!?」と久栄は混乱する。しかし、「家で女装しているのはケンジ」という誤解をケンジが受け入れることで、両親は安心した。ゲイのことをどうしても理解しきれない2人。だけど、息子を愛している。滑稽さと切なさを同時に描いたくだりである。このドラマはシロさん&ケンジというカップルを描くと共に、さまざまな人たちの物語でもあるのだ。

シロさん「本当にスマン! 頭の固い親たちで……」

ケンジ「いいよ、いいよ。それでご両親がちょっとでも安心できるならいいじゃない。そんなことより俺、夢みたい。恋人の実家に遊びに行って、親御さんとごはん食べる日が来るなんて……。だって、俺には、そんな日が来るなんて、永久にないと思ってたもん。もう、俺ここで死んでもいい(泣)」

シロさん「何言ってんだ。死ぬなんて、そんなこと言うもんじゃない。食い物、油と糖分控えてさ、薄味にして、腹八分目で、長生きしような俺たち」

 シロさんの言葉がプロポーズみたいだ。しかも、ちゃんと食に結び付けた形で幸せを誓っている。

 実は、原作では涙するケンジを抱きしめるシロさんを通りすがりの人が発見し、「キモい」「死ね」と罵声を浴びせ掛けている。ゲイへの偏見を表した、かなり重要な描写だ。ドラマでもこれを入れたほうがよかったか、放送後、ファンの間で意見は分かれた。筆者は入れなくてよかったと思っている。このエピソードが原作で描かれた時期と比べ、時代は動いた。もう、この場面がしっくり来ない社会になった。結婚して子どもを産んで孫を授かって……という2人じゃなくても、慎ましい幸せをかみ締めながら生きていける。そんな前向きさを描くだけで、もう十分だと思うのだ。

 中村屋で買い物をしているシロさんとケンジ。ごんべんのつゆと低脂肪牛乳が激安になっていることに、シロさんは感激した。

「ありがとう、中村屋。最高です! 今年も通わせてもらいます」(シロさん) 

 きっと今までなら心の声としてナレーション処理していたはずなのに、声に出してお礼を言うシロさん。明らかに変わってきている。

 ケンジの誘いで、駅の近くのカフェへ行った2人。店内は女性客ばかりだ。男2人客のシロさんとケンジは、周囲から注目を浴びてしまった。シロさんが居心地悪くしていないか気にするケンジ。一方のシロさんは平然としている。

「いいかげん、もういいかなあと思って(笑)」(シロさん)

 かつては2人で商店街を歩くのも嫌がっていたはずなのに、回を追うごとシロさんを覆う壁が1枚ずつ剥がされていった。「大きいほう食えよ」と、ケンジに大きいスコーンを渡すシロさん。ただ、長生きするためにスコーンにクリームを付けないのが2人流だ。

 自宅に戻ったシロさんはケンジに髪をカットしてもらう。これは漫画の第1話に描かれたエピソードである。1話から12話にかけ次第に変わっていたシロさんが、原作1話につながっていくという構成がニクい。

「俺も相方としては、なるべくお前にはハッピーでいてほしいと思ってんだよ。だから、お前が幸せ感じるなら、これからはカフェぐらい何度でも付き合うよ」(シロさん)

 ケンジがハッピーでいることを望むシロさん。激安商品に感激するシロさんを見るケンジも幸せそうだった。結局、2人はパートナーの幸せを自分の幸せとイコールにしている。愛しさが爆発し、ケンジは後ろからシロさんをハグした。“あすなろ抱き”される西島秀俊。この演出もニクい。そのまま、2人は沈黙する。BGMはあえてなし。まるで、無音の部屋が2人を包み込んでいるようだ。

 最後は2人の料理シーン。海老の処理をしていたケンジは手をケガし、それをシロさんは気遣った。

ケンジ「やだ、シロさん優しい……。惚れ直す!」

シロさん「チャッチャとやれ。海老の鮮度が落ちる」

ケンジ「恋の鮮度は落ちてない、俺たちの?」

シロさん「保ってんじゃないか(笑)?」

ケンジ「良かったぁ~! エービーシーディーイーエフジー、エッチエッチエッチエッチエッチッチィ~」

シロさん「最低だな(笑)」

ケンジ「海老ってなんかエッチじゃん。お尻から動いちゃったりしてさ」

 2人の直接的なスキンシップを極力排除してきた『きのう何食べた?』。でも、ドラマ版は2人のカップルとしての側面もキチンと表現した。

 料理を協力し合ったシロさんとケンジは食卓に座り、最後は「いただきま~す」。同性愛のカップルを描くドラマであり、もっと大きな意味での愛を描くドラマでもあるということ。

 原作だとサラッと描く場面も、あえて感情的に仕上げることが多かったこのドラマ。「現実の世界ならこうなる」と誠実に肉付けした結果だと思う。原作をリスペクトしながら、決して原作のトレースに留まらなかった。すでに十二分の格と人気と知名度を獲得しているのに、あえて新境地に挑戦してくれた西島秀俊と内野聖陽の2人にも拍手を送りたい。

(文=寺西ジャジューカ)

今夜最終回! 『きのう何食べた?』原作とは別人に……西島シロさんと内野ケンジが愛おしすぎる!

 今夜いよいよ最終回を迎える『きのう何食べた?』(テレビ朝日系)。先週、6月21日放送の第11話の内容をおさらい!

「俺は不幸じゃないことを両親にわかってほしい」

 師走のある土曜日。実家に帰った筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)は、母の久栄(梶芽衣子)がやけに穏やかなのが気になる。夕食後、久栄は意を決して切り出してきた。

「今度の正月、一緒に暮らしている彼氏さん……いえ、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)さんを家に連れてらっしゃい!」

 しかし、シロさんにはまだ迷いがある。久栄の言葉に、シロさんは即答できなかった。

 数日後、シロさんが富永佳代子(田中美佐子、以下「佳代子さん」)の自宅を訪ねると、佳代子さんの夫(矢柴俊博)がため息をついていた。彼氏と8年同棲中の一人娘・ミチル(真凛)に「そろそろ結婚して孫の顔を見せてくれ」と言ったら「結婚する気もないし子どもも欲しくない」と返答され、落ち込んでいるというのだ。それを見て「親の悩みはゲイもノンケも変わらないじゃないか」とシロさんは実感。佳代子さんは「親って変な生き物でしょ?」と笑った。

 クリスマスイブ、シロさんとケンジは小日向大策(山本耕史、以下「小日向さん」)、井上航(磯村勇斗、以下「ジルベール」)を自宅に招き、ディナーをとることにした。ケンジは以前シロさんにもらった指輪をつけ、2人を出迎えた。シロさんとの愛をアピールしてくるケンジを見て、ジルベールはあからさまにムッとする。

 シロさんがふるまった料理を、ジルベールは完食。そして「大みそかはここで年越しパーティをする?」と提案した。しかし、シロさんは「正月はケンジを連れて俺の実家に帰ろうと思ってる」と返答。それを初めて聞いたケンジは戸惑い、ほかの2人も驚きを隠せない様子だ。ジルベールは「親に恋人まで紹介するのはどうかと思う。だって、ただでさえ息子がゲイというだけでショックなのに、その上、ヒゲの生えた恋人まで見せられたら親にとってはダブルショックだ」とシロさんを諌めた。シロさんは「その通りだよ」と受け止めつつ、胸の内を明かす。

「両親は俺がゲイだとわかったとき、俺のことをかわいそうに思っただろう。育て方が悪かったと自分を責めたかもしれない。俺は不幸じゃないことをわかってほしくて、ケンジを連れて帰ろうと思ったんだ」

 ケンジは泣きながら「俺、行くから。絶対、行く」と答えた。

「ケンジを家に連れてこい」と言われたシロさん。迷いのある彼に気づきを与えたのは、佳代子さんの言葉である。

「親って変な生き物でしょ?」

 いつまでたっても、親は子に「こうあってほしい」という思いを抱き続ける。心配のあまり余計なことを口にし、そして“変な生き物”になってしまうのだ。「彼氏を連れてこい」と言い出したり「孫の顔を見せろ」と要求したり……。

「なんだ、親の悩みはゲイもノンケも変わらないじゃないか」(シロさん)

クリスマスディナーの席で、シロさんは「ケンジを連れて実家に帰る」と言った。

「親にゲイの恋人を見せるなんて」(ジルベール)

 この時点で、シロさんの考えに賛成する者はいない。彼らには、ゲイとして生きる苦しみが骨身に沁みている。だから、微妙な反応になってしまった。

「両親は俺がゲイだとわかったとき、最初にどう思ったんだろう。きっと両親は俺がゲイだってわかったとき、俺のことをかわいそうな子だと思っただろう。俺がこんな風になってしまったのは私たちの育て方が悪かったんじゃないかって自分を責めたかもしれない。だから、ゲイのなんたるかを知ってほしいってことじゃなくて、少なくともいま俺が両親が思ってるよりも不幸じゃないんだってことをわかってほしくて……ケンジをうちに連れて帰ろうって思ったんだ」(シロさん)

 あまり感情を見せないシロさんが声を詰まらせ、泣きながら決意を口にしている。「幸せなんだ」ではなく「不幸じゃないんだ」と教えてあげたい。子は親の期待を背負って育つが、多くの子どもは親の期待通りには育たない。なのに「ノーマルじゃない」と自覚しているシロさんは、今の自分にナーバスになってしまう。だから、「自分は不幸じゃない」と親に教えてあげたい。最高の親孝行だ。

 この日、ケンジは指輪をつけた。ジルベールに見せびらかすためだ。まさに、指輪マウント! でも、シロさんに「つけてほしい」とは言わなかった。シロさんの性格を知っているからだ。なのに、シロさんから「実家へ連れて行く」と言われた。シロさんが不幸じゃない理由は、ケンジと一緒にいるからである。普段、ケンジに愛を伝えないシロさんが、小日向さんとジルベールの前でそれを口にした。どんなにうれしかっただろうか。

 泣きながら決意を口にしたシロさん。マンガ版のシロさんはこのセリフを淡々と話していた。一方、ドラマ版はかなり感情的に仕上げてきた。この11話で、西島シロさんと内野ケンジは原作版と完全に違う人になった。

 西島の声でナレーション処理されているシロさんの心の声。そのナレーションが、どんどん少なくなってきている。思うことを口に出し、伝える人に変わってきたからだ。ここにも原作との乖離がある。いい意味で別物だ。

『きのう何食べた?』は、今日放送の12話が最後。11話エンディングで流れた「最終回予告」の5文字が悲し過ぎた。7月からは見れないと思うと寂しくなってしまう。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』内野聖陽がケンジで、西島秀俊がシロさんで良かったと痛感した第10話

 

 6月14日放送の『きのう何食べた?』(テレビ東京系)第10話。

 ある日、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)宛てに、生活保護を受けている父・賢一(内田文吾)の扶養照会の書類が届いた。ケンジが物心つく頃はほかに女をつくって出ていき、たまに金をせびりに顔を見せていた父。ケンジが中3になってからは、なぜかそれもなくなった。

 ケンジが勤める美容院で、店長の三宅祐(マキタスポーツ)の妻・玲子(奥貫薫)がエステルームを始めることになった。ある日、祐の浮気相手の妹島(延増静美)が来店。玲子は妹島と笑顔で会話している。

 帰宅したケンジに、筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)が小日向大策(山本耕史)との飲み会を持ちかけてきた。翌日、美容院でケンジは玲子から「大事な人に絶対に浮気なんかされちゃダメよ。許すなんてそう簡単にできることじゃないんだから」と助言された。

 その日、ケンジはシロさんに「用事ができたから小日向(山本耕史)との食事会に行けなくなった」と伝える。「じゃあ、俺と小日向さんで飲むよ」と返答するシロさんに、ケンジは「シロさんも行くのやめて。2人っきりになっちゃうからダメ」と主張。「2人きりになったところで何も起こらない」と言うシロさんに、ケンジは「恋はたいてい“まさか”から始まる」と不安を爆発させた。「嫌いになったでしょ、俺のこと!? 心が狭いってわかってる。嫉妬深いって最低だもんね!?」と泣くケンジに、シロさんは「嫌ったりしないよ!」と言葉をかけた。そして、飲み会には行けなくなったと小日向に連絡をした。

 週末、店が改装工事のケンジは珍しく休みだ。休日が重なったことにテンションが上がるシロさんは、張り切ってクレープを作り始めた。思わぬ最高の休日に「ありがとね」と言うケンジに、シロさんは「『ごめん』って謝り倒されるより『ありがとう』って言ってもらえたほうがずっとうれしい。だから、もう謝んなくていい」と言葉を掛けた。改めて、ケンジはシロさんに「ありがとう」とお礼を言った。

 シロさんに不安を爆発させたケンジ。それは、ケンジの過去とトラウマが影響している。自分たちを裏切って家を出ていった父親。どんなに深い仲でも、関係が終わることはある。そんな記憶が蘇ったところで、さらに玲子から「浮気されたらダメ」と忠告された。ケンジのトラウマが不安に変化し、浮気経験のある自身の過去も追い打ちをかけた。

「絶対、2人っきりで会わないで……!」(ケンジ)

 原作ではサラッとコメディ調に描かれた場面だ。でも、内野はあえて激しく演じた。違和感はない。血が通ったし、シロさんへの思いが強く伝わってきた。まばたきなし、カメラ回しっぱなし。唇を震わせ、内にあるものを全開にしたケンジ。ケンジ役が内野で良かったと、今回改めて思った。

 対するシロさん。始めは笑顔であきれ気味だった。でも、ケンジの本気を察し、笑顔を引っ込めた。様子の違うケンジに掛けた「なあ……どうした?」の言い方がすごく良い。パートナーの変化に気付いた彼が発した声のトーンは温かい。続く「嫌ったりしないよ!」の声は、まるで本気である。

 シロさんもケンジも、一緒にいることを当たり前と思っていないのだ。法に守られていないからこそ、別れないための努力がゲイカップルは必要と訴えた8話。2人が絆を再確認した9話。そして、今回の10話。見事につながっている。

「どんなに関係の深い人でも、許せない人と続けていくのはしんどいよ……」(ケンジ)

 ケンジの気持ちを尊重し、シロさんはその場で小日向に断りの電話を入れた。直後の「これでいいか?」の言い方も良かった。怒っているのではなく、声のトーンで安心させようとしている。

「もう、いいから。餃子作るぞ? 手洗ってこい」(シロさん)

「嫌われるかも……」と不安に苛まれていたケンジを日常に戻そうとするシロさんの言葉。食事は2人にとって何よりも大切な時間だ。

クレープで思いを伝えたシロさん

 週末。嫉妬が爆発したケンジに、シロさんはクレープをふるまった。体重管理には厳しい彼なのに、明らかに太りそうなブランチである。ケンジは態度で、シロさんは料理で、相手に思いを伝えているということ。

 三谷まみのポスターを発見したケンジ。詰め寄られたシロさんはバレバレの言い訳をしている。2人のこのやり取りは、もはやプレイだろう。ケンジの涙で沸点に達し、シロさんとケンジのイチャチャに着地した10話だった。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』内野聖陽がケンジで、西島秀俊がシロさんで良かったと痛感した第10話

 

 6月14日放送の『きのう何食べた?』(テレビ東京系)第10話。

 ある日、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)宛てに、生活保護を受けている父・賢一(内田文吾)の扶養照会の書類が届いた。ケンジが物心つく頃はほかに女をつくって出ていき、たまに金をせびりに顔を見せていた父。ケンジが中3になってからは、なぜかそれもなくなった。

 ケンジが勤める美容院で、店長の三宅祐(マキタスポーツ)の妻・玲子(奥貫薫)がエステルームを始めることになった。ある日、祐の浮気相手の妹島(延増静美)が来店。玲子は妹島と笑顔で会話している。

 帰宅したケンジに、筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)が小日向大策(山本耕史)との飲み会を持ちかけてきた。翌日、美容院でケンジは玲子から「大事な人に絶対に浮気なんかされちゃダメよ。許すなんてそう簡単にできることじゃないんだから」と助言された。

 その日、ケンジはシロさんに「用事ができたから小日向(山本耕史)との食事会に行けなくなった」と伝える。「じゃあ、俺と小日向さんで飲むよ」と返答するシロさんに、ケンジは「シロさんも行くのやめて。2人っきりになっちゃうからダメ」と主張。「2人きりになったところで何も起こらない」と言うシロさんに、ケンジは「恋はたいてい“まさか”から始まる」と不安を爆発させた。「嫌いになったでしょ、俺のこと!? 心が狭いってわかってる。嫉妬深いって最低だもんね!?」と泣くケンジに、シロさんは「嫌ったりしないよ!」と言葉をかけた。そして、飲み会には行けなくなったと小日向に連絡をした。

 週末、店が改装工事のケンジは珍しく休みだ。休日が重なったことにテンションが上がるシロさんは、張り切ってクレープを作り始めた。思わぬ最高の休日に「ありがとね」と言うケンジに、シロさんは「『ごめん』って謝り倒されるより『ありがとう』って言ってもらえたほうがずっとうれしい。だから、もう謝んなくていい」と言葉を掛けた。改めて、ケンジはシロさんに「ありがとう」とお礼を言った。

 シロさんに不安を爆発させたケンジ。それは、ケンジの過去とトラウマが影響している。自分たちを裏切って家を出ていった父親。どんなに深い仲でも、関係が終わることはある。そんな記憶が蘇ったところで、さらに玲子から「浮気されたらダメ」と忠告された。ケンジのトラウマが不安に変化し、浮気経験のある自身の過去も追い打ちをかけた。

「絶対、2人っきりで会わないで……!」(ケンジ)

 原作ではサラッとコメディ調に描かれた場面だ。でも、内野はあえて激しく演じた。違和感はない。血が通ったし、シロさんへの思いが強く伝わってきた。まばたきなし、カメラ回しっぱなし。唇を震わせ、内にあるものを全開にしたケンジ。ケンジ役が内野で良かったと、今回改めて思った。

 対するシロさん。始めは笑顔であきれ気味だった。でも、ケンジの本気を察し、笑顔を引っ込めた。様子の違うケンジに掛けた「なあ……どうした?」の言い方がすごく良い。パートナーの変化に気付いた彼が発した声のトーンは温かい。続く「嫌ったりしないよ!」の声は、まるで本気である。

 シロさんもケンジも、一緒にいることを当たり前と思っていないのだ。法に守られていないからこそ、別れないための努力がゲイカップルは必要と訴えた8話。2人が絆を再確認した9話。そして、今回の10話。見事につながっている。

「どんなに関係の深い人でも、許せない人と続けていくのはしんどいよ……」(ケンジ)

 ケンジの気持ちを尊重し、シロさんはその場で小日向に断りの電話を入れた。直後の「これでいいか?」の言い方も良かった。怒っているのではなく、声のトーンで安心させようとしている。

「もう、いいから。餃子作るぞ? 手洗ってこい」(シロさん)

「嫌われるかも……」と不安に苛まれていたケンジを日常に戻そうとするシロさんの言葉。食事は2人にとって何よりも大切な時間だ。

クレープで思いを伝えたシロさん

 週末。嫉妬が爆発したケンジに、シロさんはクレープをふるまった。体重管理には厳しい彼なのに、明らかに太りそうなブランチである。ケンジは態度で、シロさんは料理で、相手に思いを伝えているということ。

 三谷まみのポスターを発見したケンジ。詰め寄られたシロさんはバレバレの言い訳をしている。2人のこのやり取りは、もはやプレイだろう。ケンジの涙で沸点に達し、シロさんとケンジのイチャチャに着地した10話だった。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』年上のカップルが伝える、ゲイとして生きる苦しみ

 5月24日深夜に『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の第8話が放送された。

 矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)に誘われ、筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)はレストランに来ていた。そこでケンジの友だちと会う約束になっており、現れたのは、長島義之(正名僕蔵、以下「ヨシくん」)と本田鉄郎(菅原大吉、以下「テツさん」)の同性カップルだった。男女カップルばかりの周囲の目を気にするシロさんは、2人に愛想のない態度を取ってしまう。シロさんのいら立ちを察したケンジは、帰り道で謝罪。シロさんはケンジに「なんで謝るんだよ、お前は!」と怒鳴ってしまう。

 後日、料理仲間・富永佳代子(田中美佐子)の家でケンジの大好物である桃を分け合ったシロさん。「ケンジのこと大事にしてるのね」と佳代子さんに言われたシロさんは「俺はあいつとは絶対に別れたくないんです!」と返答した。

 その日の夜、ヨシくんとテツさんが突然家へ来ることになった。いつもの料理でもてなしたシロさんに、「相談がある」とテツさんが切り出す。

「自分の財産はすべてヨシくんに渡したいと思ってる。でも、遺言書を書いても、3分の1は両親に渡ってしまう。僕が歯を食いしばって稼いだ金を、田舎の両親にビタ一文渡したくはないんです。ヨシくんと養子縁組をしようと思ってます」

 そこでシロさんの力を借りるべく、ヨシくん&テツさんは「事務所に伺ってもよろしいですか」と頭を下げ、シロさんは依頼を快諾した。

 2人が帰宅した後、シロさんが「そういう目的だったって最初から言えよ」と言うと、ケンジは「いつも言われてるのに学習しないとダメだよね」と肩を落とした。シロさんは「俺がいら立っているのはケンジのせいじゃない。器の小さい俺自身に腹を立ててるんだよ」と心の中で叫んだが、それすら正直に口に出せないでいた。

 翌朝、出勤するシロさんに寝起きのケンジが「今日の夕飯は、シロさんのハンバーグが食べたいなあ。あれ、おいしいんだよねえ」と話しかけた。「わかったよ」と笑顔で返答したシロさんは「ああいう何気ない仲直りの仕方、俺に教えてくれたのはあいつなんだよ」と感謝する。一方、ケンジは冷蔵庫の中に大好物の桃があるのを発見。シロさんの愛情をかみ締めた。

 今回の内容は、原作でも人気の高いエピソードだ。シロさんがもてなした自宅での食事会で、テツさんはシロさんに相談した。

「僕が……歯を食いしばって貯めた金を、田舎の両親に……ビタ一文渡したくないんです」

 原作で、テツさんはこの言葉をサラッと口にしていた。漫画版テツさんから感じたのは静かな怒りだったが、ドラマでのあのシーンからは苦しみがうかがえた。何があったか、詳細は語られない。しかし、両親からセクシャリティを理解されていないこと、つらい思いをしてきたこと、親と深い確執があることを伝えるには十分だった。短い言葉の中から背景を察することができた。テツさんが葛藤しながら言葉を発する間、ヨシくんはずっとテツさんの手を握っている。テツさんは居場所を見つけることができたのだと、2人を見て救われた気持ちになる。

 彼らはシロさん&ケンジよりも年上のゲイカップルだ。この年齢差は大きい。親の意識がまるで違うはずである。かつて、ケンジは「シロさんは贅沢だよね。理解しようとしてくれる親に感謝してもいいんじゃない」と言っていた。ゲイの世界にはテツさんのような思いをした人がたくさんいるのだろう。同性愛への理解がほとんどなかった時代から生きるテツさんの苦しみが、「ビタ一文」という言葉に込められていた。

 そんな2人から依頼を受けて、「事務所にいらしてください」と返答したシロさん。ゲイ同士、多くを語らずともわかり合える部分があったのだと思う。

シロさん→ケンジへの愛が伝わる第8話

 養子縁組を結ぼうとしているヨシくん&テツさん。では、シロさん&ケンジの2人はどうか? 彼らは、法で守られる安定の立場にはいない。だからこそ、別れないために努力を惜しまないことが重要なのだ。

 ケンジと仲直りしたくても、思いを伝えられなかったシロさん。ゴミを捨てに行くケンジを見て「このまま帰ってこないってことも、なくはないんだよな……」と立ち尽くすばかりだった。

 一方、翌朝のケンジはシロさんに「ハンバーグが食べたい」と甘えた。リクエストに笑顔で応えたシロさんは「俺もいつか、あいつみたいになれる日が来るんだろうか」と自問する。冷たいイメージのあるシロさんだが、愛情表現が下手なだけなのだ。ケンジからすれば、「お前みたいになりたい」なんて、最高にうれしい言葉だ。

 8話はシロさんからケンジへの愛が伝わる回だった。このカップルは、精神的に大人なケンジがシロさんのことを包んでいる。一瞬で崩れてもおかしくない関係性だからこそ、一瞬を大切に生きていく。「たまにはうまいの食わせてやりたい」とシロさんが冷蔵庫に入れておいた桃は、その表れではないか?

「あんまぁ~い! はぁ~。俺、すっごく愛されてる」

 桃はケンジの大好物だ。

(文=寺西ジャジューカ)

 

 

 

内野聖陽新恋人発覚! 人気でも「内野はやめたほうがいい」と言われるワケ

 現在放送中のドラマ『きのう何食べた?』(テレビ東京系)でのゲイの美容師・ ケンジこと矢吹賢二役がハマッていると評判の俳優・内野聖陽(50)に、17歳年下の恋人がいるということが分かり、話題となっ ている。5月21日付けの一部スポーツ紙によると、お相手は内野の元付き人だった女優の小山あずさ(33)で、数年前から交際しているという。
 このニュースを受け、ネットでは「モテるよね〜」「本気でショッ ク受けてる……胸が苦しい(笑)」「うらやまけしからん!」と小山をうらやむ 声や、小山の顔立ちについて「宝塚顔だね〜、彼女さん」「 元嫁に似てる! こういう冷たい感じの顔が好きなんだね」と、2011年に内野と離婚した元妻である宝塚歌劇団出身の女優・一路真 輝と比べたりする声が上がっていた。

 芸能界では若手女優が自分よりだいぶ年上の男性と交際するのはよ くあることで、例をあげると05年に結婚した演出家の野田秀樹と女優の藤田陽子さん25歳差、12年に結婚した俳優の大 森南朋と女優の小野ゆり子は18歳差、09年に結婚した俳優 の上川隆也と元舞台女優の小垣外翔は19歳差だったりする。

「まだ駆け出しの女優というのは上昇志向が強い部分があるので、 ベテランで仕事が尊敬できる業界の男性にコロッといってしまいが ち。小山さんも内野さんのそばで仕事ぶりをみているうちにゾッコ ンになってしまったのでは」(テレビ局勤務)

 とはいいつつ、関係者からは内野の性格や女性遍歴を鑑み、この交 際を不安視する声が上がっているという。

 内野といえば10年9月に、車中で既婚の一般女性熱いキスな どの抱擁を交わしている姿を「FRIDAY」(講談社) にスクープされた過去が。当時は「ダブル車中不倫」 として大々的に報道され、11年8月に離婚。 その後は独身生活を送っているが……。

「離婚の際は、4歳になる娘さんへの養育費を成人まで払うことで 決着がつき、慰謝料が無かったことが話題になりました。明らかに 自分の過失での離婚なのに慰謝料を払わない姿勢を見せた内野の態 度に、世間からは『ケチ』『がっかり』という声がたくさん出てい たことを思い出します。元妻に見せた薄情な態度に驚く関係者は多 かったので、小山さんも同じようにひどい捨て方をされなかったら いいが、と心配する声は多い」(芸能事務所勤務)

 元付き人なら内野の人柄をよく分かっているような気もするが……。 今後の展開に要注目だ。

『きのう何食べた?』役者バカによる演技合戦が勃発! ベテラン3人に肩を並べる磯村勇斗恐るべし

 5月17日深夜に放送された『きのう何食べた?』(テレビ東京系)。前回のレビューを書いた時点で、今回の第7話の展開にはすでに期待を寄せていた。筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)、小日向大策(山本耕史、以下「小日向さん」)、井上航(磯村勇斗、以下「ジルベール」)が顔をそろえる会食についてである。すなわち、西島、内野、山本、磯村という4人の役者バカが繰り広げる演技合戦を楽しみにしていたのだ。

 中でも、第6話で初登場したばかりのジルベールには注目していた。ケンジから2種の入浴剤をプレゼントされると「えーっ、どうしよう!」と迷い、小日向さんに「ワタル君はベリー系だよね」と促されるや、「なんで大ちゃんが決めるの?」とご機嫌斜めに。シロさんに対しては「自分がゲイってこと以外、ほとんどウソついたことないでしょ?」と、ゲイのヒエラルキーの文脈に沿ってマウンティングを仕掛けにいく。シロさんが往年のアイドル「三谷まみ」のファンと明らかになった瞬間は意味深にケンジへ視線を送るなど、細かい所作で彼は小悪魔っぷりをにじませたのだ。奔放な発言で地雷を踏むかと思いきや、テーブルの下ではサンダル半脱ぎ状態で内股の姿勢をキープするかわいらしさ。一筋縄ではいかないキャラクターを見事に表現していた。芸達者な3人のベテラン俳優としっかり肩を並べていた磯村、恐るべし。

 ケンジはケンジでジルベールと心で会話をし、表情だけでモノローグのキャッチボールをリードした。相変わらず内野は抜群だ。ジルベールにはメロメロの小日向さんも、シロさん&ケンジに対しては「キリッ!」と音が聴こえてきそうなくらいダンディのモードへスイッチを切り替えてみせる。あのメリハリっぷりには笑った。

 そして、三谷まみについて熱弁するシロさん。いつになくはしゃいでいる。いつもは敬語なのに、「マジで!?」と素っ頓狂な声を上げたときの彼の表情は貴重だった。「こないだの大河ドラマも良かったなぁ~」とかみ締めてるけども、このテーブルを囲むのは大河に出た俳優ばかりという事実。こんな細かなフックも秀逸である。

 4人による悲喜こもごもの心理戦を終え、帰路に就いたシロさん&ケンジ。このとき、歩く2人の距離がものすごく近い。場所の違い(恐らく新宿2丁目を歩いている)もあるだろうが、2人して商店街を歩いた初回の空気感とはまるで別物だ。明らかに、シロさんの内で変化が起こっている。ケンジが言う通り、ちょっとだけ“こっち側”に来ているシロさんが見て取れた。

 帰り道の雨に当てられ、シロさんは寝込んでしまった。そんなパートナーを献身的に看護するケンジ。今回は第5話に続いての“ケンジ回”だ。姉たちにかわいがられて育った末っ子だからこそ、大切な人を看病したい欲は異常に高い。

 まずは、だし巻き卵作りにチャレンジするケンジ。サッポロ一番を作る際はエプロンを着けていなかったのに、シロさんのために料理する今回はしっかり着用している。寝室にいるシロさんは心配でうかうか寝ていられない。彼は彼で歴代彼氏の冷たさに振り回されてきた過去があるので、尽くされることに慣れていないのだ。

 シロさんのためにケンジが用意した料理は、確かにどれも見てくれは良くなかった。例えば、うまく焼けずに涙ぐんだだし巻き卵は焦げ付いてしまっているし。

 原作版と違い、西島が演じるドラマ版のシロさんはだいぶ優しい。マンガでは「うまいよ」の一言だけだったのに、ドラマではすべての料理にコメントを出してあげていた。だし巻き卵には「食感ふわふわで味もいい」、雑炊には「鶏肉でタンパク質が摂れる」、白和えには「水っぽくない」と、それぞれへの褒めコメントは実に丁寧だ。風邪気味で味がよくわからないシロさん、実はこのとき、味についてはほとんど言及していなかったりする。でも、いい。いつも自分の料理を褒めてくれるケンジが相手だからこそ、全力で愛を受け止めようとしていた。愛情表現がストレートなケンジとツンデレなシロさん、2人の個性は正反対だ。でも、そんなところに相性の良さを感じてしまう。

 後日、またしても食事を共にしたシロさん&ケンジと小日向さん&ジルベール。この席でのハイライトは、ケンジがシロさんを好きになった理由を明かす場面だろう。

ジルベール「ケンちゃんはどういうタイプが好きなの?」

ケンジ「俺はね、『シティーハンター』の冴羽獠!」

ジルベール「それ、この世にはいないよ。異次元の人だもん(笑)」

ケンジ「い~た~のっ、ここに三次元の冴羽獠が! シロさんに初めて会ったとき、俺、わかったの。“あ~、ここに俺の獠ちゃんがいたーっ!”って。ウフフフフ」

 シロさんは冴羽獠には似ていないと思う。後ろめたさから、目がまったく笑っていないシロさん。そんな彼を、死んだ目の小日向さんと小馬鹿にしたような生温かい笑顔のジルベールが見つめている。あの名場面を実写化すると、こんなに面白くなるのか。やはり、演技派をそろえているドラマはいい。

 この日、シロさんは自宅でバナナケーキを焼いた。

「なんてことはない。俺に一目惚れだったってわけだ(笑)」(シロさん)

 いつもだったら夜遅くのケーキなんてもってのほか。なのに、もう一切れ追加してケンジに盛ってあげたシロさん。ゲイにはモテないタイプだけに「一目惚れされた」という事実が彼を上機嫌にさせた。そして、なぜケンジがあんなにも自分を看病したがったのか理由もわかった。

 実は、“シロさん受難回”でもあった第7話。ひそかに傷つけられていた彼の自意識は「一目惚れされていた」という事実で回復したわけだ。というか、今回は2組のカップルのノロケを視聴者が延々見せられ続けた感がある。7話を総括すると、そういうことになるだろう。

 そして、今夜放送の第8話。予告によると、原作でもとりわけ人気の高いエピソードが放送されるようだ。これをきちんと選んだドラマ制作陣を筆者はリスペクトする。この作品には、日常のいいこともつらいことも美化せず描く良さがある。そんな魅力を如実に表す、筆者の大好きな回だ。楽しみにしている。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』役者バカによる演技合戦が勃発! ベテラン3人に肩を並べる磯村勇斗恐るべし

 5月17日深夜に放送された『きのう何食べた?』(テレビ東京系)。前回のレビューを書いた時点で、今回の第7話の展開にはすでに期待を寄せていた。筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)、小日向大策(山本耕史、以下「小日向さん」)、井上航(磯村勇斗、以下「ジルベール」)が顔をそろえる会食についてである。すなわち、西島、内野、山本、磯村という4人の役者バカが繰り広げる演技合戦を楽しみにしていたのだ。

 中でも、第6話で初登場したばかりのジルベールには注目していた。ケンジから2種の入浴剤をプレゼントされると「えーっ、どうしよう!」と迷い、小日向さんに「ワタル君はベリー系だよね」と促されるや、「なんで大ちゃんが決めるの?」とご機嫌斜めに。シロさんに対しては「自分がゲイってこと以外、ほとんどウソついたことないでしょ?」と、ゲイのヒエラルキーの文脈に沿ってマウンティングを仕掛けにいく。シロさんが往年のアイドル「三谷まみ」のファンと明らかになった瞬間は意味深にケンジへ視線を送るなど、細かい所作で彼は小悪魔っぷりをにじませたのだ。奔放な発言で地雷を踏むかと思いきや、テーブルの下ではサンダル半脱ぎ状態で内股の姿勢をキープするかわいらしさ。一筋縄ではいかないキャラクターを見事に表現していた。芸達者な3人のベテラン俳優としっかり肩を並べていた磯村、恐るべし。

 ケンジはケンジでジルベールと心で会話をし、表情だけでモノローグのキャッチボールをリードした。相変わらず内野は抜群だ。ジルベールにはメロメロの小日向さんも、シロさん&ケンジに対しては「キリッ!」と音が聴こえてきそうなくらいダンディのモードへスイッチを切り替えてみせる。あのメリハリっぷりには笑った。

 そして、三谷まみについて熱弁するシロさん。いつになくはしゃいでいる。いつもは敬語なのに、「マジで!?」と素っ頓狂な声を上げたときの彼の表情は貴重だった。「こないだの大河ドラマも良かったなぁ~」とかみ締めてるけども、このテーブルを囲むのは大河に出た俳優ばかりという事実。こんな細かなフックも秀逸である。

 4人による悲喜こもごもの心理戦を終え、帰路に就いたシロさん&ケンジ。このとき、歩く2人の距離がものすごく近い。場所の違い(恐らく新宿2丁目を歩いている)もあるだろうが、2人して商店街を歩いた初回の空気感とはまるで別物だ。明らかに、シロさんの内で変化が起こっている。ケンジが言う通り、ちょっとだけ“こっち側”に来ているシロさんが見て取れた。

 帰り道の雨に当てられ、シロさんは寝込んでしまった。そんなパートナーを献身的に看護するケンジ。今回は第5話に続いての“ケンジ回”だ。姉たちにかわいがられて育った末っ子だからこそ、大切な人を看病したい欲は異常に高い。

 まずは、だし巻き卵作りにチャレンジするケンジ。サッポロ一番を作る際はエプロンを着けていなかったのに、シロさんのために料理する今回はしっかり着用している。寝室にいるシロさんは心配でうかうか寝ていられない。彼は彼で歴代彼氏の冷たさに振り回されてきた過去があるので、尽くされることに慣れていないのだ。

 シロさんのためにケンジが用意した料理は、確かにどれも見てくれは良くなかった。例えば、うまく焼けずに涙ぐんだだし巻き卵は焦げ付いてしまっているし。

 原作版と違い、西島が演じるドラマ版のシロさんはだいぶ優しい。マンガでは「うまいよ」の一言だけだったのに、ドラマではすべての料理にコメントを出してあげていた。だし巻き卵には「食感ふわふわで味もいい」、雑炊には「鶏肉でタンパク質が摂れる」、白和えには「水っぽくない」と、それぞれへの褒めコメントは実に丁寧だ。風邪気味で味がよくわからないシロさん、実はこのとき、味についてはほとんど言及していなかったりする。でも、いい。いつも自分の料理を褒めてくれるケンジが相手だからこそ、全力で愛を受け止めようとしていた。愛情表現がストレートなケンジとツンデレなシロさん、2人の個性は正反対だ。でも、そんなところに相性の良さを感じてしまう。

 後日、またしても食事を共にしたシロさん&ケンジと小日向さん&ジルベール。この席でのハイライトは、ケンジがシロさんを好きになった理由を明かす場面だろう。

ジルベール「ケンちゃんはどういうタイプが好きなの?」

ケンジ「俺はね、『シティーハンター』の冴羽獠!」

ジルベール「それ、この世にはいないよ。異次元の人だもん(笑)」

ケンジ「い~た~のっ、ここに三次元の冴羽獠が! シロさんに初めて会ったとき、俺、わかったの。“あ~、ここに俺の獠ちゃんがいたーっ!”って。ウフフフフ」

 シロさんは冴羽獠には似ていないと思う。後ろめたさから、目がまったく笑っていないシロさん。そんな彼を、死んだ目の小日向さんと小馬鹿にしたような生温かい笑顔のジルベールが見つめている。あの名場面を実写化すると、こんなに面白くなるのか。やはり、演技派をそろえているドラマはいい。

 この日、シロさんは自宅でバナナケーキを焼いた。

「なんてことはない。俺に一目惚れだったってわけだ(笑)」(シロさん)

 いつもだったら夜遅くのケーキなんてもってのほか。なのに、もう一切れ追加してケンジに盛ってあげたシロさん。ゲイにはモテないタイプだけに「一目惚れされた」という事実が彼を上機嫌にさせた。そして、なぜケンジがあんなにも自分を看病したがったのか理由もわかった。

 実は、“シロさん受難回”でもあった第7話。ひそかに傷つけられていた彼の自意識は「一目惚れされていた」という事実で回復したわけだ。というか、今回は2組のカップルのノロケを視聴者が延々見せられ続けた感がある。7話を総括すると、そういうことになるだろう。

 そして、今夜放送の第8話。予告によると、原作でもとりわけ人気の高いエピソードが放送されるようだ。これをきちんと選んだドラマ制作陣を筆者はリスペクトする。この作品には、日常のいいこともつらいことも美化せず描く良さがある。そんな魅力を如実に表す、筆者の大好きな回だ。楽しみにしている。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』待望のサッポロ一番登場! 過去最大の飯テロと、そこから見える2人の関係性

 5月3日深夜に放送された『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の第5話は、矢吹賢二(内野聖陽)が主役の“ケンジ回”だった。

 母・久栄(梶芽衣子)から「年末年始は帰ってこい」と言われた筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)は、ブーブーと子どものように文句を言っている。

「シロさん、前からお母さんのことにケチつけてるけど、『ゲイは恥ずかしいことじゃない。息子がどんなでも受け入れる』って言ってくれるお母さん、俺、すごいと思うよ。たとえ、うわべだけでも理解のある言い方してくれる親に、ちょっとは感謝してもいいんじゃない? ともかく、四の五の言わずにお正月くらい実家に帰って少しは親孝行してらっしゃいな」(ケンジ)

 大人になってから自分のことを怒ってくれる存在は貴重だ。いつもメソメソして子どもっぽく思えるケンジだが、人に対して感謝の言葉を忘れず、いざとなったらシロさんを諭すこともある。実はこのカップル、ケンジのほうが大人な気がする。

 ケンジは強く言いすぎたことを気にしていたが、帰宅すると食卓に用意されていたのは、ガッツリ系のあんかけチャーハンとこってりオイスターソース炒め。シロさんが作ったのはケンジが好きなメニューで、怒ってくれたことへの感謝を料理で示している。普段はおおらかなパートナーからの言葉が響き、シロさんは実家へ帰省することにした。第5話は、このドラマが初めて“食”を中心に据えた回だ。

サッポロ一番の“即食べ”を理解し合って感じるつながり

 シロさんが帰省したことで、ケンジは年越しを1人で過ごすことに。

 ケンジが作るサッポロ一番みそラーメンは、原作を読んだ視聴者にとってずっと待望だった。とにかく、彼が作るラーメンはこってりしている。基本、ケンジはそういうのが好きなのだ(原作では惣菜のとんかつを使い、カツ丼も作っていた)。

 バター投入、味噌投入。これでもう味はしっかりしているのに、さらに粉末スープも投入。シロさんがいたら絶対に許されない料理。背徳感がすごい。しかも、汁まで全部飲んでしまうケンジ。この人、味覚は男なのだ。

「シロさんの料理は大好きだけど、やっぱ袋ラーメンだけは自分流に作って食べたいんだよね~」(ケンジ)

 おいしそうだから困る。匂いまで伝わってきそうだ。このラーメンは深夜にはヤバい。シロさんには悪いが、間違いなく今までで一番の飯テロだった。また、演じる内野がキャラに合わせ、ちゃんとぎこちなく作っているのもすごい。包丁さばきは危なっかしく、卵の殻を割ったり捨てたりしている手さばきは雑。だからこそのシンパシーで、余計に作りたくなる。今年の年越しは、サッポロ一番みそラーメンにしよう。

 ラーメンを作っているとき、ケンジはシロさんからの電話に出なかった。

「なんで電話に出ないんだよ、さっきから何度もかけてるのに! 1人で年越しするのはさぞ寂しかろうと思ってかけてんのに、お前は……」(シロさん)

 ウソだ。本当に寂しいのは自分。一方、普段はシロさん愛がすごいけど、このときばかりはサッポロ一番が最優先だったケンジ。一瞬の逆転がほほえましい。ケンジは隠さず、理由を打ち明けた。

「サッポロ一番食べてた」(ケンジ)

 この言葉を受けて生まれた少しの沈黙にヒヤリとする。

「……サッポロ一番じゃ仕方ねえな。作ったら即食べだよな、あれは(笑)」(シロさん)

 こういうのをわかってくれるパートナーなのだ。このくだりで幸せを感じさせるのがすごい。電話を切った後、ケンジはしみじみした。

「こうして1人の年越しが寂しくないのは、シロさんがちゃんと帰ってきてくれるってわかってるからなんだよねえ」(ケンジ)

 サッポロ一番の即食べを理解するシロさんとのやりとりが、大いなる前提として効いていた。何気なさに重い意味を含ませる構成は見事だ。

 年が明け、シロさんの実家に近所の子どもたちがやって来た。

「うちの親たちは、もう、孫の代わりにお隣の子どもたちをかわいがることに決めたんだ」(シロさん)

 子どもたちは家のトイレの場所を知っているし、久栄は子どもたちがハムを好きだと知っている。両親を見るシロさんの視線が、いろいろなことを考えさせる。孫を連れてこない子と両親の関係は、ゲイに限った話ではない。多くの視聴者に響いたのではないか。

 今回のシロさんの帰省には、理由があったはずだ。でも、それを果たせていない。

シロさん「あのさあ、結局、老い支度の話してないけど、いいの?」

久栄「あぁ~。……もう、わかったでしょ?」

 孫の顔を見られない両親。それを後ろめたく思う息子。これだけで、先を意識する状況は出来上がってしまっていた。すべてを踏まえての「もう、わかったでしょ」だとしたら、泣ける。

おいしさを共有すると絆が深まる

 実家から大量のお餅を持ち帰ったシロさん。これを食べ切るのがシロさんとケンジのミッションだ。早速、2人はレンジで焼いた。

ケンジ「わわわわわわっ! シロさん、膨らんできたよ? ね、シロさんもう出していい? もう、出していいの!?」

シロさん「うん、出していいよぉ」

 どう考えても、何かを暗喩したやりとりじゃないか。気の抜けない脚本である。

 ここから連日、食卓にはお餅料理が登場し続けた。初めはおいしくても、どうしたってじきに飽きる。でも、ケンジは律義に「おいしい」と感謝した。3日目の朝なんて明らかにうんざりしているのに、けなげにも引きつった笑顔をキープ。一方、それに気づかないシロさん。この人は餅をどう消費するかで楽しくなってしまっているのだ。しかし、「餅以外の炭水化物が食べたい~!」と、さすがのケンジもギブアップ。その後に出てきたのは、栗きんとんをのせたトーストだった。こんなの、うまいに決まってる。いつか、これもやってみたい。もちろん、ケンジもこのトーストには満足したようだ。

「おいしいよ。……また来年も食べたいなあ」(ケンジ)

「来年も、お正月は両親と過ごしなさいよ」という意味だろうか。おいしさを共有したら、2人の絆が自然と深まる描写が素敵である。

 このドラマ、週ごとに怒涛の勢いで季節が移ろう。そして、それに呼応したかのように、週ごとに2人のつながりが深まっていくのも感じられるのだ。

(文=寺西ジャジューカ)