子宮がん検診で“しこり”12センチ発覚! 38歳で「子宮筋腫」手術を決意したワケ

 40代女性の3~4人に1人は抱えている子宮筋腫。下腹が出たり、頻尿や貧血になったりと、生活の質は下がるが、命には別状はないため、手術まで踏み切りづらいのが、子宮筋腫の悩ましさだ。サイゾーウーマンでは子宮筋腫の手術について、四谷メディカルキューブ、調布keijinkaiクリニックに、それぞれ腹腔鏡下手術とUAEについて話を聞いてきた。今回は番外編として、筆者の手術体験記と術後の実感をつづる。(なお、子宮筋腫の症状、術後の経過には個人差があります。ご自身のケースと異なる場合、主治医の指示に従ってください)

発症:子宮がん検診で発覚~2年放置

 子宮筋腫が発覚したのは、手術の2年前、2016年の自治体による子宮がん検診だった。その時点で子宮筋腫はすでに7センチほどあり、医師からは「この大きさで気が付かなかったの?」と驚かれたが自覚症状はまったくなく、この時点では下腹も出ていなかった。

 医師からは選択肢として1)薬物療法 2)手術 3)経過観察があると説明されたが、自覚症状や不具合がないのにお金を出してまで対応をする気にもなれず、経過観察の名のもと何もせずに2年が過ぎた。

 18年の2月、何気なくおなかをマッサージをしていたところ、恥骨の上に明らかにゴリッとした塊があり、血の気が引いた。「しこり」は、がん発覚のエピソードとしてよく見聞きする。総合病院に行き超音波診断を受け、そこでようやく子宮筋腫が成長していたことに気が付いた。翌月の3月に再び自治体の子宮がん検診があり、子宮筋腫は2年で7センチから12センチまで大きくなっていた。

症状:終電に乗れないほどの頻尿、膨らみ続ける下腹

 自分の子宮筋腫に外から触れるようになった頃から、下腹は明らかに膨らんできた。ファスナーを上げきれず穿けなくなったスカートが増え、着れたとしても膨らんだおなかがみっともなく、ウエストがゴム仕様の、ゆるっとした形のボトムばかりを着るようになった。

 ほかにも悩ましかったのが「頻尿」だ。大きくなった子宮筋腫が隣の膀胱を圧迫、刺激するため、ちょっとの尿でも尿意をものすごく感じるのだ。

 ほぼ毎晩、トイレに行きたくてたまらず目が覚めるのに、実際はごくわずかな尿しか出ず、ウンザリする夜が続いた。さらに、外で飲んだ際は終電に乗れなくなった。乗り換え駅から自宅の最寄り駅までは20分ほどだが、一度トイレに行きたいと思ったら最後、それすら耐えられないほど強い尿意なのだ。

 しかし「下腹の出っ張りと頻尿」だけでは、入院してまでの手術にはなかなか踏み切れない。だが18年の秋頃から、生理前に下腹がしくしく、じんわりと2日ほど痛むようになった。さらに、子宮筋腫の手術を行う病院に取材したのが決め手となり決意した。

 取材では、腹腔鏡手術の四谷メディカルキューブさん、UAEの調布keijinkaiクリニックさんにお話しを伺ったが、私の子宮筋腫のサイズはUAEの適用外にあたるため、腹腔鏡手術を選択した。腹腔鏡は、「筋腫だけ取る核出手術」と「子宮ごと取る摘出手術」がある。子どもを生む予定はないものの、摘出には抵抗があるため核出手術とした。

 なお、手術でなく「薬物療法で様子を見る」選択肢もあったと思う。ただ、私は性格がせっかちで長期戦が苦手だ。そもそも、薬物療法は中止すればまた子宮筋腫は大きくなってしまうので手術を選んだが、私が38歳ではなく48歳だったら、閉経も近いからと薬物療法を選択していたかもしれない。

手術当日:背中から麻酔を入れる恐怖

 12月に手術を受けるまでに、4回来院した。

1回目)初診(内診)
2回目)MRI
3回目)手術日決定
4回目)事前の麻酔の説明や検査など(※今後出産をする場合は帝王切開になるとの説明)
当日)手術

 画像1が、MRIの画像になる。腹の中央に居座る黒々とした球体が子宮筋腫で、その下、恥骨あたりにつぶれた人魂みたいな形状のものが「膀胱」だ。

 手術当日。午前9時から手術のため、午前8時15分に来院する。採血し手術着を着たらもう手術室だ。事前に麻酔を背中から打つなどの説明はあったものの、それでもいざ手術台を見ると緊張する。子宮筋腫の手術を受けた人のブログを事前に山ほど読んだが、手術台で怖くて泣いてしまったという人もいた。泣くほどじゃないとは思うが、麻酔を背中に打たれるのは怖い。ドラマで見るような緑の手術着を着て、頭には患者がつけている「髪の毛が落ちないカバー」を装着しているコスプレ感(プレイでなく、事実なのだが)がまたドキドキを誘うのだ。

 腕に点滴が打たれ、背中に麻酔の管も通された。背中は違和感がある程度でまったく痛くはない。「眠くなるお薬入れますね」と声が聞こえた後、この瞬間に意識を失ったという感覚がないまま、次に気がついたのは「終わりましたよ」と声を掛けられたときだった。

 時計は12時前になっていた。

※後編は3月23日に掲載

石徹白 未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂 

自分の髪を抜く抜毛症は「こっちを向いて」のサイン! 医師に聞いた実態と治療法

 無意識のうちに髪の毛やまつ毛を抜いてしまう……。この行動は、抜毛症(トリコチロマニア)と呼ばれる病気の症状かもしれません。ヴィクシーモデルのサラ・サンパイオなど、有名人も続々とカミングアウトしているという「抜毛症」の実態と治療法について、横浜労災病院の皮膚科医師・齊藤典充先生にお聞きしました。

■抜毛症=精神の病とは言い切れない?

 抜毛症とは、正常な毛(髪の毛、眉毛、まつ毛など)を抜いてしまう精神障害だといわれています。しかし、「抜毛症を“精神の病気”と一言でくくるのは難しい」と齊藤先生は指摘します。

「学術書では『ストレスのはけ口としての自傷行為』といわれることもありますが、リラックスしていて、ストレスを感じていないときに抜いてしまう人もいます。病気と単なるクセはストレスの有無によって厳密には区別できません。『自分で正常な毛を抜く』という行為自体が抜毛症の定義となるのです。もともと『髪を触っていると落ち着く』という人が、その延長で抜き始める場合もあります」

 髪を抜く痛みはそんなに強くないために、快感になって抜いてしまいやすいそうです。では、抜毛症に、ほかの身体的疾患との関連性はあるのでしょうか?

「頭皮に湿疹があり、かくついでに毛を抜いてしまう、という人もいました。その場合は皮膚病を治してあげれば解決すると思います。また、抜毛していることを周りの人に知られたくないがために抜いた毛を食べてしまい、毛が消化されないで胃の中で固まって食欲減退を引き起こしていたケースもありました」

 齊藤先生によれば、「抜毛症は本人が自覚している場合がほとんど」とのこと。髪が不規則な抜け方をしていたり、抜くのに失敗した切れ毛・ちぢれ毛が目立つので、外見的にも判別できるケースが多いようです。

「大人は『自分で抜いてしまうんです』と言って受診することが多いのですが、親に連れられてきたお子さんの場合、すぐに『ハイ、抜いてます』とは認めないことが多いです。親に怒られるかもしれないという心理もありますが、ストレス起因の抜毛症の場合、そのストレスの原因の半分は学校や職場といった外の環境で、もう半分は家庭内にあるんです」

 子どもの場合、親の期待がプレッシャーとなって勉強中に毛を抜いてしまったり、両親が共働きでひとりぼっちの時間が多く、寂しさを紛らわすために抜いてしまうケースがあるそうです。本人の精神状態よりも、周囲の人の態度を変える必要がある場合も。

「素直でいい子がなりやすく、周りの人や物に当たれず、不満をひとりで抱え込んでしまいがちです。親に心配をかけたくないという気遣いから、誰にも見られない場所で抜きます。こういう子の場合、抜毛行為を『ダメ!』と否定してしまうと、隠れて余計に抜いてしまいます。大人の場合も、人に愚痴を言えなくて悩みを抱え込むタイプの人が多いですね」

 それでは、自分や身の周りの人が抜毛症かもしれないと気づいたとき、具体的にどのように対処すればよいのでしょうか?

「抜毛症は、手が毛を抜くことを覚えてしまっているので、とにかく頭を触らせないことです。頭にバンダナやタオルを巻いたり、帽子をかぶったりして髪の毛を隠すことで、抜く前に気づくことができます。触り心地の良いぬいぐるみを握るなど、別の手癖をつけるのもひとつの手です」

 また、抜く行為を防ぐのも重要ですが、「抜かない環境づくりも重要」と齊藤先生は言います。

「どのタイミング・場所で抜いているのか把握するために、どこに毛がたくさん落ちているのか観察してみるといいです。お子さんの場合、勉強机の周りにたくさん落ちているのであれば、勉強をする場所を変えてみたり、リラックスする時間を作ってみてはいかがでしょう。そもそも、『勉強がストレスになっているかもしれない』というヒントの表れなので、過度に期待をかけるような発言は控えましょう」

 抜毛症で医療機関を受診する場合は、基本的には皮膚科を受診し、必要に応じて精神科を受診する流れになるそうです。

「皮膚科では、皮膚病の場合を除き、初期の治療では主にカウンセリングを行います。そこでは抜かないためのアドバイスとともに、ストレスの原因がどこにあるのか、それを解消するにはどうしたらよいのかを患者さんと一緒に考えます」

 たとえば大人で、職場にストレスの原因がある場合は、「誰か相談できる人はいないか」「気分転換できる方法はないか」「どうしてもつらかったら、職場をお休みすることも検討してみては」といった提案をする場合もあるのだとか。

「抜毛症は『こっちを見て』という周りの人へのアピールのこともあるので、その場合は本人のケアだけでなく、周囲が寄り添って話を聞いてあげることや本人を許容して認めてあげることが重要です。身近に話せる人がいない場合は、遠くにいる家族やネットの友だちでもいいし、それこそ医療機関を頼ってくれてもいい。8割はそういった話し合いを続けると症状が改善します。一定期間治療をして、どうしても不安が募って抜毛もやめられないという場合は、精神科で心が楽になるお薬を処方してもらうことも選択肢のひとつです。段階を踏んで、一歩一歩治していきましょう」

 意外にも、薬なしで治る場合が多いという抜毛症。もしかして? と悩んでいる人は、まずは周りの人に相談し、皮膚科の受診を検討してみてはいかがでしょうか。
(松嶋千春/清談社)

齊藤典充(さいとう・のりみつ)
カリフォルニア大学サンディエゴ校留学・国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長を経て、横浜労災病院皮膚科部長。なかでも脱毛症を専門とし、円形脱毛症や男性型脱毛症(AGA)など、デリケートな問題に悩む患者を救うべく診療を実施している。毛髪科学研究会世話人、日本臨床毛髪学会評議員。

横浜労災病院皮膚科

バファリン、イブ、ロキソニン……市販の解熱鎮痛剤、間違った「自己流の服用法」を医師が斬る!

 バファリン、イブ、ロキソニンなど、ドラッグストアで簡単に購入できる、市販の解熱鎮痛剤。一般的に馴染み深い薬のため、中には説明書を読まず、自己流の服用法をしている人も少なくないのではないだろうか。そこで今回、日本医師会認定産業医/内科医の星野優先生に、さまざまな“自己流の服用法”が正しいか間違っているか、ジャッジしてもらった。

 そもそも市販の解熱鎮痛剤には、どういった成分が配合されているのだろうか。星野先生いわく「市販薬とはいえ、『バファリンA』や『ロキソニンS』といった、いわゆる解熱鎮痛剤は、『総合感冒薬』とは異なり、アセチルサリチル酸(アスピリン)やロキソプロフェンといった、昔から病院でも使われている解熱鎮痛成分が主体となっています。ただし、その他の成分を含んだ風邪薬のような商品もあるため服用には注意が必要です」と述べる。

 また、一口に市販の解熱鎮痛剤といっても、「第一類」「第二類」といった区分けがされており、「一般用医薬品の中で最も副作用が生じる恐れが高い医薬品」という「第一類」は、ドラッグストアでも薬剤師が不在だと購入できない薬品もある。

 体にどのように働くかについては、「例えば、有名なロキソニンの作用機序としては、一般的に、『痛み』や『発熱』を誘発するプロスタグランジンの生成にかかわるシクロオキシナーゼ(COX)を阻害することで『解熱・鎮痛作用』が生じます」という。

 市販の解熱鎮痛剤に記載されている具体的な「効果/効能」は、「頭痛・月経痛(生理痛)・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・咽喉痛・歯痛・抜歯後の疼痛・打撲痛・ねんざ痛・骨折痛・外傷痛・耳痛の鎮痛/悪寒・発熱時の解熱」とあるケースが多い。幅広い効果/効能があるだけに、痛みや熱があれば、そもそもの原因について深く考えず、とりあえず飲むという人もいるかもしれないが、果たして正しい服用法なのか、疑わしいものもある。

 例えば、“二日酔い”による頭痛。深酒をした晩の翌朝、ひどい頭痛で目が覚めた際、解熱鎮痛剤を飲むという人もいるが、正しい服用法だろうか。

「いわゆる『頭痛』ですので、『片頭痛』と同様に人によっては解熱鎮痛剤が効果を有することもあります。ただし、アルコールも解熱鎮痛剤も、肝臓へ非常に負担をかけているため、常用した場合、肝障害が増悪することが懸念されます。また、腎障害や胃潰瘍などの副作用も非常に多く報告があるため、個人の判断で常用することは危険です。医師の診察・処方による適切な管理の下、服用するようにしていただくようお勧めします」

 そもそも二日酔いによる頭痛の原因は、「実はいまだはっきりとしていない」とする星野先生。「アルコール摂取に伴う過剰なアセトアルデヒドによって血管拡張が引き起こされて頭痛が生じるという仮説が有名」で、また近年では、「ヒスタミン、セロトニンといった神経伝達物質が頭痛を誘発している可能性についての報告もなされている」そうだ。

 また、ちょうど現在流行しているインフルエンザ。発熱やのどの痛み、関節痛など、解熱鎮痛剤で抑えられそうな症状がいくつかあるが、実は、服用には注意が必要だと言う。

「大人の場合は、医療機関でもカロナールなどの解熱鎮痛剤が処方されるため、使用しても問題ないと考えます。ただし、特に小児に多いのですが、インフルエンザの重篤な合併症として『インフルエンザ脳症』という疾患があります。意識障害などを引き起こし、致死率も約30%と言われる非常に怖い合併症なのですが、ロキソニンに代表される『NSAIDs(非ステロイド系解熱鎮痛剤)』によって、インフルエンザ脳症の発生が誘発される可能性が、さまざまな報告より示唆されています。小児のインフルエンザで解熱鎮痛剤を服用するは禁忌となっているのです」

 なお、ノロウイルスなど、ウイルス性胃腸炎による発熱・腹痛時に解熱鎮痛剤を使用することは「大きな問題はないと考えられます」という星野先生。しかし、「解熱鎮痛剤自体に『胃腸症状(胃痛や下痢など)』の副作用もあるため、場合によっては消化器症状が増悪する懸念があります」という。

 いずれにせよ、インフルエンザやウイルス性胃腸炎が疑われる際は、「個人的な判断で市販薬を調整するよりも、迅速に医療機関を受診するようお勧めします」。

 一方で、市販の解熱鎮痛剤を飲む頻度について、悩みを抱えてる人もいるだろう。例えばよく見聞きするのが、「常用すると効かなくなる」というウワサから、「本当につらいときだけ服用する」というケースだ。

「市販薬であれ、処方薬であれ、いわゆる解熱鎮痛剤、NSAIDsには徐々に効きづらくなるといわれている『耐性』は、“ない”と言われております。ですので、解熱鎮痛剤を常用したから効きづらくなるということは、ないと考えられます。腰痛などで常用した場合に『効かなくなった』とおっしゃる方もいますが、その場合は腰痛がさらに増悪したか、心理的に『効かない』と感じるかなど、その他の原因があるのではないでしょうか」

 ということは、つらくなるまで我慢せずに服用した方がいいということだが、解熱鎮痛剤の常用には、副作用の危険もあるようだ。

「特に高齢者の方や、持病がある方に多いのですが、複数の医療機関で名前の異なる解熱鎮痛剤を併用してしまっている場合があります。また、普段処方を受けている薬にプラスして、個人的判断で市販薬を勝手に飲んでしまっている場合もあります。解熱鎮痛剤を複数内服したり、あまり長期に常用することは、副作用の点で非常に危険です。腰痛や歯痛で痛み止めをたくさん飲んだことにより、『出血性胃潰瘍』となって、救急搬送や命の危険にさらされたり、肝不全、腎不全など生じてしまうこともあります」

 ちなみに、市販の解熱鎮痛剤のパッケージを見ると、「『頭痛用』『熱冷まし用』など、効能を分けて記載されていることがありますが、ほとんどの場合、根本的にな成分は同様の物質のことが多い」というだけに、別の薬を飲んでいるつもりでも、結果的に、同様の成分のものを複数服用していることになるので、注意が必要だろう。

「また、もともとほかの疾患で、さまざまな薬剤を内服している場合、『薬物相互作用』といって、いわゆる飲み合わせの問題も生じてきます。思わぬ副作用などが生じたり、ほかの薬剤の効果が減弱・増強してしまう危険もあります。皆さんお忙しく、体調不良でも医療機関を受診できない場合、市販薬はとても便利だとは思いますが、薬は非常に危険な一面もありますので、十分注意する必要があると考えられます」

 市販の解熱鎮痛剤が便利なのは事実だが、その便利さに頼りすぎることなく、服用したいものだ。

寝る時にベストなのはノーブラ・ノーパン? 「睡眠の迷信」の真相をプロが一刀両断!

 肌寒くなってくると、なかなか寝付けない夜を送っているという女性も少なくないのでは? 世の中にはさまざまな快眠法が伝わってるけど、何が正しいのかわからない…そんな悩める女性のために、数少ない「日本睡眠改善協議会認定・上級睡眠改善インストラクター」の資格を持つ安達直美さんに、「睡眠の迷信」の真相についてうかがいました。

■寝る時に最適な服装は?

 「快眠」と切っても切り離せないのが、睡眠時の服装、いわゆる「パジャマ」の問題。女子力高めのサテン地のパジャマを購入したものの、ラクさに負けて結局スウェットで寝ている女子も多いと思いますが、快眠にはスウェットが一番ですよね? 

「スウェットやジャージはラクで寝やすいと思われがちですが、意外とウエストゴムの締め付けが大きいんです。眠っている間、人間の体はいわば『エコモード』になっていて、内臓の代謝が落ちています。そこにゴムの締め付けによる臓器への圧迫があると、より活動が低下してしまうんです。夜間は体内で排便のための準備をする時間なので、締め付けがキツいと便秘の原因にもつながります」(安達さん、以下同)

 安達さんによると、パジャマ選びはとにかく「ユルさ」がポイント。締め付けが快眠を妨げるので、当然、ブラジャーやパンツにも注意が必要だそう。

「先ほどの締め付けによる理由と同様で、ブラもパンツもないほうが、体に負担はありません。着用する場合は、ナイトブラなどのできるだけ締め付けの少なそうなものを選びましょう」

 ではユルめに着れば、パジャマの素材はサテンでもベロアでもモコモコ系でもいいんでしょうか?

「一般的な評価ですが、天然素材で静電気が起きにくく、なによりも吸湿性の良さが抜群な綿100%のパジャマがオススメです。同じ綿100%でも、糸の形状や織りによってさまざまな生地がのものがあるので、季節によって選ぶと、なおいいですね。夏は強撚糸(薄手の生地を作るときに向いている滑らかな糸)を使ったものだと汗をかいても肌にくっつきにくいですし、冬場はワッフルのように立体的な織りの生地なら空気層がしっかりできて保温性も上がり、快適な睡眠を実現できます」

 見た目はさておき、ノーブラ・ノーパンで綿100%のユルめパジャマを着ることが、快眠のためには正解のようです。

 パジャマの正解が出たので、次は布団や枕などの寝具について。ベッド周りのアイテムは一度購入するとずっと使い続けてしまい、替え時を見失いがち。寝具によって睡眠の質が改善されることはわかっているけど、ついつい同じモノを使い続けてしまうのは、快眠的にも衛生的にもNGですよね?

「寝具の耐久年数は素材によって変わりますので一概には言えませんが、敷き布団やマットレスであれば、腰部にへたりがなく、弾力性が維持できていて、清潔に保てているなら問題なし。ただし、当然ながら人間は年齢とともに体つきが変わっていくものなので、起床時に体のどこかに違和感があれば替え時のサインです」

 なにより睡眠の質を左右するとよく言われる枕に関しては、何年も使い続けるなんてもってのほか!

「枕はどうしても経年劣化してしまうので、快適な高さや素材感を維持できるのは2〜5年程度。目が覚めたときに枕を使っていなかったり、手を枕の上に添えていたりするようなら、合わなくなってきた証拠です」

 さらに長年の使用による汚れやホコリ、ダニの発生がアレルギー性鼻炎や気管支炎、アレルギー性結膜炎などを引き起こす可能性もあるので、寝具はサイズ感や寝心地をチェックするだけでなく、定期的に買い替えを検討したほうがいいとのこと。

■掛け布団、靴下の重ねすぎはNG! 

 さらに「布団の重ねすぎも快眠にはNG!」だと安達さんは言います。

「布団の重ね掛けで重くなり、寝返りを妨げてしまうと、良い睡眠は得られません。スムーズに寝返りが打てないと、熱放散がうまくできず、寝汗をかくなど、睡眠環境が悪化してしまうのです」

 アチコチに寝返りを打ってしまうと「寝相が悪い」といわれ、一般的にはあまりポジティブに捉えられていません。しかし、寝返りは快眠のために重要な行為なのだそうです。

「寝返りには、睡眠に重要な3つの機能が備わっています。1つ目は、寝床内の温湿度調整。2つ目は体位を変えることで、局部的にかかる圧を解放する役割。そして3つ目は、レム睡眠とノンレム睡眠のスムーズな切り替えを行う役割です」

 重ねすぎNGなのは、掛けふとんだけではありません。

「就寝時に靴下の重ねばきをすることは、絶対にNGです」

 寒さが加速するこの時期、特に女性は足先の冷えに悩み、靴下を何枚も重ねばきしないと眠れないという方も多いはず。しかし、その重ねばきが快眠を妨げている可能性があるのだとか。

「ゆるくて無意識に脱げる靴下や、足先に穴が開いていて熱放散ができる靴下であればはいて寝てもOKですが、それ以外は基本的にNGです。深い眠りに入るためには手足から熱放散させて、体の深部の熱を下げることが大事なんです」

 この「体の深部の熱を下げる」というのが重要ポイント。なので、寝る直前の運動や、お風呂に入って体を温める行動も、場合によっては快眠を妨げる要素になってしまいます。

「就寝前なら、38〜39度程度の、ぬるめのお湯がおすすめですね。眠る30分くらい前までに体温を0.5度程度上げて、その後の放熱によって体温が低下することで、眠りの質が上がります。熱いお湯で体温を上げすぎると、体温がなかなか下がらず、かえって寝付きを悪くしてしまうんです」

 さらに寝る前の激しい運動は交感神経を刺激して、体と脳を活動方向に誘導するためNG! リラックスしながら、緊張をほぐす程度のヨガやストレッチにとどめるのがベストだそう。

 体温を上げすぎないのが安眠に良いことがわかったけど、どうしても体の末端が冷えて寝付けない……。そこで、布団に入ってから体が温まるまで、使い捨てカイロや湯たんぽを使うのはどうなんでしょう?

「湯たんぽは時間と共に少しずつ温度が下がっていくので睡眠を妨げず、快眠に導く良アイテム。適度な温度で、熱すぎない位置にセットすればOKです。電気毛布や使い捨てカイロは使い方に注意が必要です。一晩中ポカポカ状態が続くと、体温が下がらず、深く眠ることができません。また、低温やけどにも注意が必要ですね」

 パジャマに寝具に体温管理……いろいろ教えていただきましたが、それだけ快眠のために工夫する余地があるということ。まずはできることから始めてみて、寒い季節でもスッキリとした眠りを手に入れたいですね。
(藤野ゆり/清談社)

魅惑の「二日酔い回復点滴」、その効果は? ドクターが教える「医師界の悪酔い対策」

 「貼るだけで二日酔いが防げる」という「二日酔い予防パッチ」なる夢のような製品が一部の酒好きの間で話題になっており、その効能について前編でシロノクリニック銀座院副院長笠井美貴子医師に伺ってきた。後編では、人気の美容点滴と笠井医師ご自身の二日酔い対策についてもお聞きした。

■魅惑の「二日酔い回復点滴」、その効果
――シロノクリニックでの二日酔い回復点滴は、打った瞬間から効き目が表れるのでしょうか。

笠井美貴子医師(以下、笠井) 打った途端に楽になるというより、点滴を打ち終わって楽になるという感じですね。何より、二日酔いの方ですと脱水の状態で、お水を取らないといけないのに、気持ち悪くてお水を飲むことができないことが多いですよね。なので、点滴で100~200mlの水が体に戻ることで、まず楽になるんです。点滴時間は大体30分くらいです。

――こういった点滴はどういった方が受けられますか?

笠井 サラリーマンの方も多いですが、夜のお仕事の方が出勤前に受けられることも多いですね。

――二日酔い対策以外に、美容系の点滴メニューを提供されていますが、どういったメニューが人気なのでしょうか。

笠井 人の胎盤から抽出したプラセンタは、そういった成分に抵抗のない方からは人気ですね。プラセンタは栄養素が豊富に含まれており、さらに抗酸化作用があるので、肌に直接打つ方もいますよ。美白作用だったり、ニキビの炎症を抑えたりする働きがあります。夜よく眠れるようになったという話も患者さんから伺います。免疫力が高まるので、風邪も引きにくくなります。

 また、高濃度ビタミンC点滴も人気です。経口では取れないくらいの高濃度を一度に体内に入れることで、美白やアンチエイジングのほか、抗酸化作用もあります。

――ビタミンCは、取りすぎると体外に出ていってしまうのでは?

笠井 確かに、ビタミンCは汗や尿で出ていってしまうので、普段取るのであれば朝、昼、晩でちょこちょこ取った方がいいですね。ですが、ピンポイントでかなりの量を入れるとそれとはまったく別の効果が出るんです。日焼けする前にビタミンC点滴をしておくと日焼けしにくくなりますし、日焼けして赤くなった肌も引きやすいなどの効果が見られます。こうした美容点滴の際は、その方固有のお悩み、たとえば「シミを薄くしたい」などでしたら通常の点滴料金にプラス1,000円程度からで他成分の追加を対応しています。固有のご要望にあわせて用意しますので、ご相談ください。

――点滴や注射医療でよく見かける「ニンニク注射」は、効果があるなどとよく聞きますが、なにが効いているんでしょうか?

笠井 ビタミンB1が主な成分です。なぜニンニク注射というかというと、ビタミンB1はとても臭いんです。ニンニクの匂いそのものというわけではないんですが、それに近いのでニンニク注射と呼ばれているんです。ニンニクにもビタミンBは含まれているので、まったく関係なくはないのですが、ニンニクから取ってきた成分をどうかして……とか、そういうのではないですね。

――ニンニクは関係ないんですか!

笠井 はい。ニンニク注射はお薬自体も臭いのですが、打った瞬間、すぐ自分の鼻にも匂ってくる感じなんです。耳鼻科の嗅覚テストにも使われるくらい強い匂いなんですよ。ただ、自分では匂いますが、周囲の人に匂うわけではないので、そこは安心してください。ニンニク注射は匂いが苦手という方もいらっしゃいますが、打った瞬間鼻に匂いがくるので「来た! という感じがしていい」という方もいらっしゃいますね。スポーツ選手の方が試合前にされるケースもあります。それですごくパワーが出るというわけではないですが、疲労はしにくくなり、回復も早くなりますね。

――先生ご自身は点滴や注射を打たれたりしますか?

笠井 風邪気味なときはしますね。ビタミン、ニンニク注射の成分を入れたり、プラセンタも入れたりします。

――先生はお酒を飲まれますか? 飲まれるならどのような対策をされているでしょうか?

笠井 飲みますね(笑)。ビタミンBとCは飲む前と飲んだ後にたくさん飲むようにしています。あとは胃薬ですね。PPI(プロトンポンプ阻害薬)、という胃潰瘍などで処方される胃薬が酔いにくいというのは研究としても出ているので、適応外の使い方ではありますがドクターの中では先にPPIを飲んでいるという方もいます。二日酔い点滴は飲む前も飲んだ後でも受けられますので、お酒が好きな方やどうしても飲まないといけない予定がある方などは、対策方法として活用してみるのもよいかもしれませんね。

(石徹白未亜)

栄養ドリンクに「疲労を取る成分は一切入っていない」! 疲労医学の権威がぶった斬り

 疲労回復効果を求めて、疲れや眠気を感じたときに思わず手にする栄養ドリンクやエナジードリンク。しかし、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座の特任教授で「東京疲労・睡眠クリニック」院長の梶本修身先生は、ビタミンB1やタウリンを主成分とする一般的な栄養ドリンクには「疲労を取る成分は一切入っていない」と断言する。前編では疲労と栄養ドリンク、エナジードリンクにまつわる真相をお話いただいたが、後編では、栄養ドリンクに多量に含まれるカフェインや、疲労に本当に効果的な成分についてお聞きした。

◆死を招くカフェイン中毒とは?

――栄養ドリンクは疲労回復に効果がないとのことですが、それにもかかわらず1日の摂取量が決められているのはなぜですか?

梶本修身先生(以下、梶本) 栄養ドリンクの大半にはコーヒー2杯分以上のカフェインが含まれているので、過剰摂取による中毒化や死亡事故を防ぐ意味合いが大きいでしょう。栄養ドリンクやエナジードリンクの過剰摂取による死亡事故は最近でも起きていて、アメリカでは13件の死亡事故が報告されています。そのためFDA(アメリカ食品医薬品局)や小児学会は注意喚起もしています。でも、日本では、今のところ「自主規制」という形で各社の自主判断で上限摂取量を決めさせているのが実情です。

――カフェインは摂り過ぎると危険なんですね。

梶本 カフェインは眠気を覚ますので、一時的に疲労感を麻痺させるには効果的です。しかし、実際には自律神経の興奮を高めることでさらに疲労を悪化させるため、必ず“ぶり返し”が起こります。そのぶり返しを消すためにカフェインがほしくなり、効果が切れるとより強いぶり返しに襲われるのでまた摂取する……と繰り返していくうちに、依存的になり、カフェイン中毒を引き起こします。日本疲労学会も「カフェインは抗疲労物質ではない」と明確に抗疲労効果を否定しています。

 また、カフェインを摂取すると、交感神経優位となって心臓の脈拍が速くなります。ですから、過剰摂取はもちろん、疲労がたまっているときや運動中、飲酒時など脈拍が速まっている状態で摂ると、死に至るリスクもあります。

――カフェインが強いコーヒーは、栄養ドリンクやエナジードリンクと効果は同じですか?

梶本 コーヒーにもカフェインが含まれているので、飲みすぎには注意が必要です。ただ、クロロゲン酸という非常に優れた抗酸化物質も含まれているので、自律神経の細胞に発生する活性酸素の蓄積を防いでくれる作用があります。そのため、コーヒーは、疲れを軽減させる効果が期待できます。クロロゲン酸はノンカフェインのコーヒーにも含まれています。同じカフェインを摂取するなら、栄養ドリンクよりコーヒーを飲んだ方が絶対にいいですよ。

◆疲れにくい体が手に入る成分「イミダペプチド」

――栄養ドリンクに頼れないとなると、何に頼ればいいのでしょうか?

梶本 疲労を起こしにくくするという点では、2つのアミノ酸が結合したたんぱく質の一種で、抗酸化作用のある「イミダペプチド」がベストだと思いますよ。先に話したように、疲労は活性酸素により自律神経中枢の神経細胞にサビがついた状態ですから、抗酸化物質でサビ付きを防げばいいのです。イミダペプチドは消化管ですぐにアミノ酸に分解されるので、血管から脳血管関門(脳を守るフィルターのようなもの)を通過して、自律神経の活性酸素の発生場所まで到達できます。自律神経中枢に到達したアミノ酸は、細胞内のイミダペプチド合成酵素により再結合されてイミダペプチドになるので、活性酸素による細胞のサビ付きを防いでくれるんです。

――抗酸化作用といえば、ポリフェノールの名前もよく挙がりますよね。

梶本 例えば8時間集中して作業したとすると、活性酸素は8時間ずっと発生し続けることになります。ほとんどのポリフェノールは代謝されやすく、抗酸化作用はせいぜい2時間以内ですから、残りの6時間は活性酸素にさらされてしまうんですね。だから、ポリフェノールで抗疲労効果を得るには、こまめな摂取が必要になります。その点、イミダペプチドは、アミノ酸がある間は常に合成され続けるので、持続的に抗酸化作用を発揮することができるんです。

――イミダペプチドはどうすれば摂取できますか?

梶本 イミダペプチドは、鳥であれば羽の付け根、回遊魚であれば尾の筋肉など、消耗の激しい部位に多く含まれています。そのため、鶏の胸肉や、マグロ、カツオを食べるのがおすすめです。ただ、即効性は乏しいので毎日摂取することが肝要です。毎日食べるのが面倒な方は、合間にサプリメントを利用するのもよいでしょう。効果が臨床試験で実証されているイミダペプチド量は、1日200ミリグラム。鶏の胸肉なら70~100グラムくらいに含まれる量です。ローソンの「からあげクン」なら2パックくらいですかね。ただし、揚げ物なので食べすぎたら太りますけど(笑)。ちなみに、セブンイレブンの唐揚げにはモモ肉も入っているので、胸肉のみを使用したローソンの方がイミダペプチドを多く摂取できますよ。

◆健康のための運動が自殺行為になることも

――すでにたまっている疲労には何が有効ですか?

梶本 やはり睡眠が一番です。睡眠は疲れを取るための手段であり、眠気は体からの警告なんです。だから無視してはいけません。眠たいときは、栄養ドリンクなどでごまかさずに寝るべきです。ただ、寝ても疲れが抜けない場合は、前日の疲労が睡眠で回復できるキャパシティをオーバーしているか、睡眠中も寝汗やいびき・無呼吸で交感神経が働き続けて眠りの質が悪くなっているかのどちらか。疲労が回復せずに蓄積すると、老化が進行して寿命を縮めることになるので、まずは睡眠環境を整え、毎朝寝起きの疲れ具合をチェックして、行動量を調整することが望ましいです。

――健康維持の運動も、翌朝疲れが残るようなら、かえって寿命を縮めているということですか?

梶本 その通り。運動が推奨されるのは、肥満による生活習慣病などのリスクを減らすためです。日常生活で体重と筋肉を維持できるのであれば、歩く以上の運動をあえてする必要はありません。健康のためにと、運動やトレーニングを取り入れている人は多いですが、疲労が蓄積するようなやり方は逆効果。動物を使った実験でも、幼児期にたらふく食べさせて運動させた個体ほど早死にするとの結果が出ていますし、実際、健康のためにと始めたランニングやゴルフの最中に命を落とす人もたくさんいるのも事実です。

――疲労をため込まないことが大事なんですね。

梶本 ライオンを見てください。獲物を狩るとき以外はほとんど動かない。そもそも体力づくりに自主トレしている動物なんて見たことないでしょ? 狩りの途中でさえ、疲れたら諦めるんですから。動物は疲労感に忠実なんです。だから「ライオンが過労死した!」なんてことは絶対にありません。疲労感を意欲や達成感で消し去れるのは「欲」の中枢である前頭葉が発達した人間だけです。人間は貪欲ゆえに進歩しましたが、その代償として疲労蓄積による過労死を招いてしまっているんですね。

梶本修身(かじもと・おさみ)
1962年生まれ。大阪大学大学院医学研究科修了。医師・医学博士。現在、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座の特任教授で「東京疲労・睡眠クリニック」の院長を兼任。著書『すべての疲労は脳が原因I』『同II』(集英社)は15万部を突破するベストセラー。『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』(テレビ朝日系)、『ためしてガッテン』(NHK)、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)など出演多数。

栄養ドリンクに「疲労を取る成分は一切入っていない」! 疲労医学の権威がぶった斬り

 疲労回復効果を求めて、疲れや眠気を感じたときに思わず手にする栄養ドリンクやエナジードリンク。しかし、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座の特任教授で「東京疲労・睡眠クリニック」院長の梶本修身先生は、ビタミンB1やタウリンを主成分とする一般的な栄養ドリンクには「疲労を取る成分は一切入っていない」と断言する。前編では疲労と栄養ドリンク、エナジードリンクにまつわる真相をお話いただいたが、後編では、栄養ドリンクに多量に含まれるカフェインや、疲労に本当に効果的な成分についてお聞きした。

◆死を招くカフェイン中毒とは?

――栄養ドリンクは疲労回復に効果がないとのことですが、それにもかかわらず1日の摂取量が決められているのはなぜですか?

梶本修身先生(以下、梶本) 栄養ドリンクの大半にはコーヒー2杯分以上のカフェインが含まれているので、過剰摂取による中毒化や死亡事故を防ぐ意味合いが大きいでしょう。栄養ドリンクやエナジードリンクの過剰摂取による死亡事故は最近でも起きていて、アメリカでは13件の死亡事故が報告されています。そのためFDA(アメリカ食品医薬品局)や小児学会は注意喚起もしています。でも、日本では、今のところ「自主規制」という形で各社の自主判断で上限摂取量を決めさせているのが実情です。

――カフェインは摂り過ぎると危険なんですね。

梶本 カフェインは眠気を覚ますので、一時的に疲労感を麻痺させるには効果的です。しかし、実際には自律神経の興奮を高めることでさらに疲労を悪化させるため、必ず“ぶり返し”が起こります。そのぶり返しを消すためにカフェインがほしくなり、効果が切れるとより強いぶり返しに襲われるのでまた摂取する……と繰り返していくうちに、依存的になり、カフェイン中毒を引き起こします。日本疲労学会も「カフェインは抗疲労物質ではない」と明確に抗疲労効果を否定しています。

 また、カフェインを摂取すると、交感神経優位となって心臓の脈拍が速くなります。ですから、過剰摂取はもちろん、疲労がたまっているときや運動中、飲酒時など脈拍が速まっている状態で摂ると、死に至るリスクもあります。

――カフェインが強いコーヒーは、栄養ドリンクやエナジードリンクと効果は同じですか?

梶本 コーヒーにもカフェインが含まれているので、飲みすぎには注意が必要です。ただ、クロロゲン酸という非常に優れた抗酸化物質も含まれているので、自律神経の細胞に発生する活性酸素の蓄積を防いでくれる作用があります。そのため、コーヒーは、疲れを軽減させる効果が期待できます。クロロゲン酸はノンカフェインのコーヒーにも含まれています。同じカフェインを摂取するなら、栄養ドリンクよりコーヒーを飲んだ方が絶対にいいですよ。

◆疲れにくい体が手に入る成分「イミダペプチド」

――栄養ドリンクに頼れないとなると、何に頼ればいいのでしょうか?

梶本 疲労を起こしにくくするという点では、2つのアミノ酸が結合したたんぱく質の一種で、抗酸化作用のある「イミダペプチド」がベストだと思いますよ。先に話したように、疲労は活性酸素により自律神経中枢の神経細胞にサビがついた状態ですから、抗酸化物質でサビ付きを防げばいいのです。イミダペプチドは消化管ですぐにアミノ酸に分解されるので、血管から脳血管関門(脳を守るフィルターのようなもの)を通過して、自律神経の活性酸素の発生場所まで到達できます。自律神経中枢に到達したアミノ酸は、細胞内のイミダペプチド合成酵素により再結合されてイミダペプチドになるので、活性酸素による細胞のサビ付きを防いでくれるんです。

――抗酸化作用といえば、ポリフェノールの名前もよく挙がりますよね。

梶本 例えば8時間集中して作業したとすると、活性酸素は8時間ずっと発生し続けることになります。ほとんどのポリフェノールは代謝されやすく、抗酸化作用はせいぜい2時間以内ですから、残りの6時間は活性酸素にさらされてしまうんですね。だから、ポリフェノールで抗疲労効果を得るには、こまめな摂取が必要になります。その点、イミダペプチドは、アミノ酸がある間は常に合成され続けるので、持続的に抗酸化作用を発揮することができるんです。

――イミダペプチドはどうすれば摂取できますか?

梶本 イミダペプチドは、鳥であれば羽の付け根、回遊魚であれば尾の筋肉など、消耗の激しい部位に多く含まれています。そのため、鶏の胸肉や、マグロ、カツオを食べるのがおすすめです。ただ、即効性は乏しいので毎日摂取することが肝要です。毎日食べるのが面倒な方は、合間にサプリメントを利用するのもよいでしょう。効果が臨床試験で実証されているイミダペプチド量は、1日200ミリグラム。鶏の胸肉なら70~100グラムくらいに含まれる量です。ローソンの「からあげクン」なら2パックくらいですかね。ただし、揚げ物なので食べすぎたら太りますけど(笑)。ちなみに、セブンイレブンの唐揚げにはモモ肉も入っているので、胸肉のみを使用したローソンの方がイミダペプチドを多く摂取できますよ。

◆健康のための運動が自殺行為になることも

――すでにたまっている疲労には何が有効ですか?

梶本 やはり睡眠が一番です。睡眠は疲れを取るための手段であり、眠気は体からの警告なんです。だから無視してはいけません。眠たいときは、栄養ドリンクなどでごまかさずに寝るべきです。ただ、寝ても疲れが抜けない場合は、前日の疲労が睡眠で回復できるキャパシティをオーバーしているか、睡眠中も寝汗やいびき・無呼吸で交感神経が働き続けて眠りの質が悪くなっているかのどちらか。疲労が回復せずに蓄積すると、老化が進行して寿命を縮めることになるので、まずは睡眠環境を整え、毎朝寝起きの疲れ具合をチェックして、行動量を調整することが望ましいです。

――健康維持の運動も、翌朝疲れが残るようなら、かえって寿命を縮めているということですか?

梶本 その通り。運動が推奨されるのは、肥満による生活習慣病などのリスクを減らすためです。日常生活で体重と筋肉を維持できるのであれば、歩く以上の運動をあえてする必要はありません。健康のためにと、運動やトレーニングを取り入れている人は多いですが、疲労が蓄積するようなやり方は逆効果。動物を使った実験でも、幼児期にたらふく食べさせて運動させた個体ほど早死にするとの結果が出ていますし、実際、健康のためにと始めたランニングやゴルフの最中に命を落とす人もたくさんいるのも事実です。

――疲労をため込まないことが大事なんですね。

梶本 ライオンを見てください。獲物を狩るとき以外はほとんど動かない。そもそも体力づくりに自主トレしている動物なんて見たことないでしょ? 狩りの途中でさえ、疲れたら諦めるんですから。動物は疲労感に忠実なんです。だから「ライオンが過労死した!」なんてことは絶対にありません。疲労感を意欲や達成感で消し去れるのは「欲」の中枢である前頭葉が発達した人間だけです。人間は貪欲ゆえに進歩しましたが、その代償として疲労蓄積による過労死を招いてしまっているんですね。

梶本修身(かじもと・おさみ)
1962年生まれ。大阪大学大学院医学研究科修了。医師・医学博士。現在、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座の特任教授で「東京疲労・睡眠クリニック」の院長を兼任。著書『すべての疲労は脳が原因I』『同II』(集英社)は15万部を突破するベストセラー。『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』(テレビ朝日系)、『ためしてガッテン』(NHK)、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)など出演多数。

「タウリン配合」はまったく意味ナシ!? 栄養ドリンクはホントに効くのか医師に直撃

 疲労や睡魔がピークに達しても休めないとき、最強の助っ人のように感じる「栄養ドリンク」。最近は「エナジードリンク」なるものも一般的になり、毎日のようにお世話になっている女性も少なくないだろう。でも、毎日飲み続けて平気なのか、本当に効果があるのかなど、気になる点もなくはない。そこで、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座の特任教授で、「東京疲労・睡眠クリニック」院長の梶本修身先生に、栄養ドリンク、エナジードリンクの本当のトコロを伺った。

◆栄養ドリンクで得られる「疲労回復」は、全てまやかし

――栄養ドリンクは疲労回復に効果的だと思うのですが、どんな成分が入っているのでしょうか?

梶本修身先生(以下、梶本) 一般の栄養ドリンクに含まれる成分は、カフェイン、タウリン、ビタミンB1がメインで、アルコールも微量に含まれていることが多いです。カフェインが眠気を覚まし、アルコールが気分を高揚させることで疲労感は消しますが、どちらも疲労そのものを取ってくれるわけではありません。ビタミンB1に関しても、日本人では一般的な食生活で所要量の116%以上を摂取していますから、食事だけで十分足りているんですよ。そこへ栄養ドリンクで補給しても、余剰物質として尿中に排出されるだけ。その際、尿のビタミン濃度が高くなることで色が濃くなったり匂いがしたりするため、“効いている”ように感じてしまうのですが、もし必要な物質として体内に吸収されていれば、尿で出てこないはずですよね(笑)。

 タウリンに至っては、効果どころか、逆に、摂取すればするほど自発的な行動量が落ちていくことがラットで示されています。つまり、ビタミンB1やタウリンを主成分とする栄養ドリンクは実はカフェインで疲労感を消すだけで、疲労自体を取る成分は一切入っていないんです。

――「疲労」と「疲労感」は違うんですか?

梶本 「疲労」は、登山やボクシングなど筋肉を特別に痛めつけない限り、「自律神経中枢の疲れ」といえます。例えば、3キロを走る場合でも、猛暑の8月と涼しい4月なら運動量は同じなのに疲労度がまったく違うでしょ。その差は、発汗など体温調整を司る自律神経中枢にかかる負担の差。つまり、運動時には、自律神経が呼吸、心拍や体温を秒単位で調節し、身体全体をコントロールしているんです。また、デスクワークなどによる緊張や集中の持続も自律神経の働きです。ただ、自律神経中枢の細胞は、働くときに酸素の消費とともに「活性酸素」を発生させるので、使いすぎると細胞にサビが生じて、本来の働きができなくなっていってしまうんです。それが「疲労」の正体。

 それに対し「疲労感」というのは、“疲れた”と感じる感覚的で曖昧なもの。激しい運動でも、楽しければ疲れは感じにくいでしょ。逆に、会議などつまらないことをしていると座っているだけですぐに疲れた気がしますよね。つまり、実際の疲労度合いと疲労感は大きく異なります。そのため「疲労感」だけ取ってしまえば、「疲れが取れた」と錯覚させることができてしまうんです。

――タウリンに疲労回復の効果はまったくないんですか?

梶本 タウリンは肝機能を改善する効果は報告されていますが、元来は神経を鎮める作用がある抑制物質ですから、そもそも元気になるはずがないんです。実際、CMでも「タウリン○ミリグラム配合」と謳っているだけで、「タウリンが疲労に効く」とは一言も言ってません。もし、製薬会社が「タウリンが疲労に効果がある」と宣伝すると薬機法違反です。もし「タウリンが疲労に効く」という印象を持たせているなら、巧妙なイメージ操作です。

――風邪薬と栄養ドリンクを一緒に飲むと回復が早いといわれていますが、併用で効果的になるということはないんですか?

梶本 風邪薬には抗ヒスタミン剤が入っているので、眠気を誘います。カフェインを同時に摂取すると一時的にその眠気を覚ましてくれるので、感覚としてなんとなく元気になった気がするだけのこと。風邪薬の効果が増すわけではありません。

◆栄養ドリンクをめぐる大人の事情

――では、なぜ効果のない栄養ドリンクが、長年、疲労回復薬のように扱われているのでしょうか?

梶本 リポビタンDなどが発売された1962年頃は、脚気という疾患が問題となるほどビタミンB1が不足した時代です。だから、当時はビタミンB1を補給することに意味があったと思います。しかし、栄養ドリンクはこれまで一度たりとも偽薬を対照としたヒト臨床試験で抗疲労効果が実証されたことはなく、人に対して抗疲労効果が実証された医学論文もありません。ビタミンが不足してるから「補給したら効くであろう」という発想だけで承認された、55年前の既得権益であり、飽食時代の今となっては時代錯誤ともいえます。

 日本には、残念ながらそのような既得権だけで発売されているものの、実際には効果が疑わしい医薬品がたくさんあります。ただ、日本の製薬会社が出している栄養ドリンクを例に挙げると、年間2,500億円といわれる売上高のかなりの部分が広告料として使われています。だから恩恵を受けているマスコミは、事実を書くことができないんでしょうね。今までその科学的事実を放送してくれたのはNHKだけ。事実、民放局や雑誌で私がそのことを語っても、全てカットされてしまいます(笑)。

――最近、いくつもの種類が出回っているエナジードリンクはどうなのでしょうか?

梶本 栄養ドリンクは医薬部外品なのですが、エナジードリンクは清涼飲料水の扱いです。そのため、成分内容量の表示が義務づけられておらず、公表されていないんです。おそらくカフェインが大半だとは思いますが、公表されていない以上、検証もできないのでなんとも言えません。ただ、アメリカの小児学会で最も権威ある雑誌では「有用性がないだけでなく子どもに飲ませるのは危険」と注意喚起されていて、米国医師会も「エナジードリンクは子どもに与えるべきではない」とはっきり書いています。しかし、それも日本の大手マスコミでは報道されていません。

(後編につづく)

梶本修身(かじもと・おさみ)
1962年生まれ。大阪大学大学院医学研究科修了。医師・医学博士。現在、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座の特任教授で「東京疲労・睡眠クリニック」の院長を兼任。著書『すべての疲労は脳が原因I』『同II』(集英社)は15万部を突破するベストセラー。『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』(テレビ朝日系)、『ためしてガッテン』(NHK)、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)など出演多数。

「タウリン配合」はまったく意味ナシ!? 栄養ドリンクはホントに効くのか医師に直撃

 疲労や睡魔がピークに達しても休めないとき、最強の助っ人のように感じる「栄養ドリンク」。最近は「エナジードリンク」なるものも一般的になり、毎日のようにお世話になっている女性も少なくないだろう。でも、毎日飲み続けて平気なのか、本当に効果があるのかなど、気になる点もなくはない。そこで、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座の特任教授で、「東京疲労・睡眠クリニック」院長の梶本修身先生に、栄養ドリンク、エナジードリンクの本当のトコロを伺った。

◆栄養ドリンクで得られる「疲労回復」は、全てまやかし

――栄養ドリンクは疲労回復に効果的だと思うのですが、どんな成分が入っているのでしょうか?

梶本修身先生(以下、梶本) 一般の栄養ドリンクに含まれる成分は、カフェイン、タウリン、ビタミンB1がメインで、アルコールも微量に含まれていることが多いです。カフェインが眠気を覚まし、アルコールが気分を高揚させることで疲労感は消しますが、どちらも疲労そのものを取ってくれるわけではありません。ビタミンB1に関しても、日本人では一般的な食生活で所要量の116%以上を摂取していますから、食事だけで十分足りているんですよ。そこへ栄養ドリンクで補給しても、余剰物質として尿中に排出されるだけ。その際、尿のビタミン濃度が高くなることで色が濃くなったり匂いがしたりするため、“効いている”ように感じてしまうのですが、もし必要な物質として体内に吸収されていれば、尿で出てこないはずですよね(笑)。

 タウリンに至っては、効果どころか、逆に、摂取すればするほど自発的な行動量が落ちていくことがラットで示されています。つまり、ビタミンB1やタウリンを主成分とする栄養ドリンクは実はカフェインで疲労感を消すだけで、疲労自体を取る成分は一切入っていないんです。

――「疲労」と「疲労感」は違うんですか?

梶本 「疲労」は、登山やボクシングなど筋肉を特別に痛めつけない限り、「自律神経中枢の疲れ」といえます。例えば、3キロを走る場合でも、猛暑の8月と涼しい4月なら運動量は同じなのに疲労度がまったく違うでしょ。その差は、発汗など体温調整を司る自律神経中枢にかかる負担の差。つまり、運動時には、自律神経が呼吸、心拍や体温を秒単位で調節し、身体全体をコントロールしているんです。また、デスクワークなどによる緊張や集中の持続も自律神経の働きです。ただ、自律神経中枢の細胞は、働くときに酸素の消費とともに「活性酸素」を発生させるので、使いすぎると細胞にサビが生じて、本来の働きができなくなっていってしまうんです。それが「疲労」の正体。

 それに対し「疲労感」というのは、“疲れた”と感じる感覚的で曖昧なもの。激しい運動でも、楽しければ疲れは感じにくいでしょ。逆に、会議などつまらないことをしていると座っているだけですぐに疲れた気がしますよね。つまり、実際の疲労度合いと疲労感は大きく異なります。そのため「疲労感」だけ取ってしまえば、「疲れが取れた」と錯覚させることができてしまうんです。

――タウリンに疲労回復の効果はまったくないんですか?

梶本 タウリンは肝機能を改善する効果は報告されていますが、元来は神経を鎮める作用がある抑制物質ですから、そもそも元気になるはずがないんです。実際、CMでも「タウリン○ミリグラム配合」と謳っているだけで、「タウリンが疲労に効く」とは一言も言ってません。もし、製薬会社が「タウリンが疲労に効果がある」と宣伝すると薬機法違反です。もし「タウリンが疲労に効く」という印象を持たせているなら、巧妙なイメージ操作です。

――風邪薬と栄養ドリンクを一緒に飲むと回復が早いといわれていますが、併用で効果的になるということはないんですか?

梶本 風邪薬には抗ヒスタミン剤が入っているので、眠気を誘います。カフェインを同時に摂取すると一時的にその眠気を覚ましてくれるので、感覚としてなんとなく元気になった気がするだけのこと。風邪薬の効果が増すわけではありません。

◆栄養ドリンクをめぐる大人の事情

――では、なぜ効果のない栄養ドリンクが、長年、疲労回復薬のように扱われているのでしょうか?

梶本 リポビタンDなどが発売された1962年頃は、脚気という疾患が問題となるほどビタミンB1が不足した時代です。だから、当時はビタミンB1を補給することに意味があったと思います。しかし、栄養ドリンクはこれまで一度たりとも偽薬を対照としたヒト臨床試験で抗疲労効果が実証されたことはなく、人に対して抗疲労効果が実証された医学論文もありません。ビタミンが不足してるから「補給したら効くであろう」という発想だけで承認された、55年前の既得権益であり、飽食時代の今となっては時代錯誤ともいえます。

 日本には、残念ながらそのような既得権だけで発売されているものの、実際には効果が疑わしい医薬品がたくさんあります。ただ、日本の製薬会社が出している栄養ドリンクを例に挙げると、年間2,500億円といわれる売上高のかなりの部分が広告料として使われています。だから恩恵を受けているマスコミは、事実を書くことができないんでしょうね。今までその科学的事実を放送してくれたのはNHKだけ。事実、民放局や雑誌で私がそのことを語っても、全てカットされてしまいます(笑)。

――最近、いくつもの種類が出回っているエナジードリンクはどうなのでしょうか?

梶本 栄養ドリンクは医薬部外品なのですが、エナジードリンクは清涼飲料水の扱いです。そのため、成分内容量の表示が義務づけられておらず、公表されていないんです。おそらくカフェインが大半だとは思いますが、公表されていない以上、検証もできないのでなんとも言えません。ただ、アメリカの小児学会で最も権威ある雑誌では「有用性がないだけでなく子どもに飲ませるのは危険」と注意喚起されていて、米国医師会も「エナジードリンクは子どもに与えるべきではない」とはっきり書いています。しかし、それも日本の大手マスコミでは報道されていません。

(後編につづく)

梶本修身(かじもと・おさみ)
1962年生まれ。大阪大学大学院医学研究科修了。医師・医学博士。現在、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座の特任教授で「東京疲労・睡眠クリニック」の院長を兼任。著書『すべての疲労は脳が原因I』『同II』(集英社)は15万部を突破するベストセラー。『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』(テレビ朝日系)、『ためしてガッテン』(NHK)、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)など出演多数。

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