花粉症の室内対策を専門家が解説! 「空気清浄機は“入り口”に置け!」有効な3つのポイント

 現在、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス肺炎。日本でも感染者の数は日を追うごとに増しており、テレビのニュースは、連日コロナ関連の話題で持ちきりだ。さらに、毎年冬に流行するインフルエンザウイルス感染症に加え、早くも国内では花粉シーズンが到来。東京都の発表によると、青梅市と八王子市で2月3日よりスギ花粉の飛散開始を確認。過去10年の平均より14日早く、昨年よりも8日早いという。

 免疫アレルギー性疾患のエキスパートであり、花粉症治療の第一人者である日本医科大学の大久保公裕教授は、「北海道と東北の北日本では昨夏、平年より晴れの日が続き気温も高く、花粉を生産する雄花の生育がよかったため、今年は花粉の飛散量が多い」と語る。一方で、東日本や西日本では天候不順が続いたために飛散量は少なく、関東では過去10年の5割ほどだとか。

 とはいえ花粉症患者にとっては、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、のどの違和感といった症状に悩まされるつらい時期。マスクや防護眼鏡の着用は最も手軽で有効的な花粉対策ともされているが、コロナウイルスの影響もあり、マスクは日本各地で品薄状態に。ネット上では「コロナも怖いけど、花粉症だからマスクがないと困る」「マスクがないから外に出たらくしゃみ鼻水が止まらない」という悲鳴も上がっている。

 ならば、室内での花粉対策だけでも万全にしたいところ。花粉除去に有効な対策法について、大久保教授に解説いただいた。

花粉の侵入を防ぐ、3つの室内対策

 「花粉をはじめ、コロナやインフルエンザなどのウイルス、黄砂やPM2.5といった大気汚染物質は、基本的には鼻の粘膜から人体に侵入してくる」という。続けて大久保教授は、一般家庭でできる花粉対策を3つ挙げてくれた。

(1)花粉を持ち込まない……室内に入る前に花粉を落とす
(2)排除する……空気清浄機は、玄関・部屋の入り口に置く
(3)まき散らさない……部屋の空気をしっかりと循環させる。加湿器も効果的。床に落ちた花粉は、掃除機で吸い取る

 室内に入る際には、外でコートを脱ぎ、花粉を払い落とすことは必須。また、髪や顔にも花粉が付着しているため、帰宅後はなるべくすぐにお風呂に入り、まずは全身を洗い流してから頭や顔の汚れを落とすことが重要だそう。目の中の汚れを落とすために洗眼液を使用する人もいるだろうが、どうしても目の周りに花粉が残ってしまうため、大久保教授はシャワーを浴びて一気に汚れを洗い落とすことを薦めている。また、女性には、「外に出ると化粧の上に花粉が乗った状態になります。ですから、化粧直しを途中でするのなら、一度、化粧を落としてしまうくらいがいいと思います」とアドバイスをしてくれた。

花粉症対策で空気清浄機を使うなら「入り口」に

 室内での花粉対策として、空気中に浮遊するウイルスや有害物質、ハウスダストなどの汚れを除去してくれる「空気清浄機」の使用は一般的だが、大久保教授は「空気の循環を意識して置く場所を決めることが重要」だと語る。

 空気清浄機の性能を最大限に発揮させたければ、部屋の隅に設置するのはNG。「出入りの多い玄関や、人が集まるリビングであれば、なるべく入り口のほうに置く」ことがベストだそうだ。

「寒い季節なので鍋をする機会も多いと思いますが、そんな時、みなさん換気扇をつけますよね。換気扇をつけるということは、室内の空気を外に出すために、空気を引っ張る状態になります。また、窓を開けると今度は外気が入ってくる。このように、家の中の空気の流れがどうなっているかを考えながら、効率よく空気清浄機を使用することがおすすめです」

花粉症の症状緩和には就寝時の「加湿」がマスト

 花粉症を防ぐためには、花粉が粘膜から体内に侵入してくるのをシャットアウトすることが先決。花粉から粘膜を守る上で大切なことは、「粘膜を乾燥させないこと」。花粉は軽いためよく飛ぶが、加湿をすることで空気中に浮遊していた花粉は下に落ち、二度と空中を舞うことはないという。

「なぜ冬の時期にウイルスが流行するかというと、空気が乾燥しているため、空気中に浮遊したウイルスがたくさん飛散するからなんです。反対に、ジメジメとした夏はあまりウイルスがはやりませんよね」と大久保教授は解説する。

 特に重要なのが、就寝時の加湿だ。一日の中で同じ部屋にとどまっている時間が一番長いのは、ほとんどの人が職場と寝室や寝床だろう。「空気がほとんど動かない寝室には加湿器を、ほかの部屋では空気の流れをみながら空気清浄機を使うと考えていただければいいと思います」と、部屋ごとに使い分けることがポイントだ。もちろん、床に落ちた花粉の掃除も忘れてはいけない。

 なお、大久保教授は「花粉は目に見えませんので、イメージをすることが大事」とも語る。

「これからの時期、暖かくなったからといってランチを屋外で食べるとすると、食事には花粉が入ってしまいますし、髪にも花粉が付着してしまいます。花粉の飛散がピークとなる2~3月は、ちょっと天気が良くても、一番花粉が多く飛ぶ昼時はなるべく室内で食事をとってください」

 今までは無縁だったのに、急に花粉症の症状を発症したという人は決して珍しくないという。「私は大丈夫」と思わず、早めの対策を心がけ、花粉症予防に努めてみてはいかがだろう。
(解説・大久保公裕 取材/文・サイゾーウーマン編集部)

チョコレートは「ダイエットに最適」説を管理栄養士に聞く! 「太りやすい/太りにくい食べ方」も

 今年も間もなくやって来るバレンタインデー。街を歩けば、さまざまな新作チョコレートの広告が目に入り、甘いもの好きには心躍る時期だろうが、一方で「チョコ=太る」というイメージも強いだけに、ダイエット中という人には「目の毒」と言えるかもしれない。

 しかし最近、チョコを「ダイエット中のおやつに最適」とする説を目にする機会はないだろうか。チョコに含まれる栄養素が体にいいとも言われ、チョコ党の人には喜ばしい情報だが、果たしてその実際はいかに? 今回、管理栄養士の岡田明子さんに話をお聞きした。

「チョコはダイエットにいい」は「積極的に食べよう」ではない!?

 そもそも、なぜチョコが「太る」と言われているのかといえば、栄養素に「脂質」と「糖質」が含まれているからだろう。しかしそのほかにも「体にいい」とされる特徴的な栄養素があるという。

「まず代表的なのがポリフェノール。これは活性酸素を減らす抗酸化物質で、体が錆びるのを抑える効果が“ある”……とまでは断言できないものの、“期待はできる”ものです。また、テオブロミン。これは気持ちを落ち着かせたり、集中力を高める効果があると言われるもの。あとは、リグニン。食物繊維の一種なので、腸内環境を整えてくれ、便秘改善等に役立つと言えるでしょう」

 チョコと一口に言っても、脂質と糖質だけではないということがわかるが、「ダイエット中のおやつに最適」という説を、岡田氏はどのように捉えているだろう。

「『ダイエット中のおやつに~』と言われているのは、全てのチョコではなく、カカオ含有量が80%以上などのカカオ量の多い苦いチョコを対象としている場合でしょう。あくまで、『ダイエット中でもチョコがどうしてもやめられない人は、カカオ量の多いチョコを食べるといい』という話で、『ダイエットにいいらしいから、いっぱい食べていい/食べた方がいい』ものではありません。何にせよ、食べすぎるというのはよくありません」

 よく「ナッツ類は美容・健康にいい」と言われるが、「これも同様で、食べすぎてカロリーオーバーになり、太ってしまったという人が結構います。『食べすぎないこと』が大事なんです」という。

 では、チョコの「太りやすい食べ方/太りにくい食べ方」というのは存在するのだろうか。まず選ぶ種類について、「先ほども少し触れましたが、カカオ量が多いものは、一般的なチョコに比べ、太りにくい」と岡田氏。

「なので、一般的なチョコの方が太りやすいと言えますが、中でも、例えばアーモンドが入っているものは脂質が、ウエハースやクッキーと一緒になっているものは、糖質が増えるので、さらに太りやすくなってしまいます」

 最近では、チョコの中にコーンフレークやフルーツなどを練り込み、「ビタミン」や「食物繊維」などが豊富に配合されているとアピールするチョコも多く、あえてそういったものを選ぶ人も少なくないが……。

「ビタミンや食物繊維が増えた分、脂質や糖質も増えていることも考えられます。管理栄養士の視点からすると、ビタミンや食物繊維を摂りたいなら、『野菜を食べた方がいいのに』と感じますね。以前、『寝る前に少量食べると、寝つきが良くなる』と謳うギャバ配合のチョコの話を耳にしたんですが、それも『ギャバのサプリを飲めばいいのに』と、管理栄養士の間で話題になったんです。太りにくいチョコを選びたいのであれば、ほかに何も入っていないシンプルな高カカオチョコがいいと思いますよ」

 また、甘いものを食べると多幸感を得られることから、チョコには「エンドレスで食べてしまう」という特徴も。そのため、「小袋にしてある、また板チョコなどを選ぶのは、食べる量が決めやすく、『エンドレスに食べてしまう』ことの防止にもなるので、太りにくい食べ方と言えるのではないでしょうか。逆に食べる量を決めにくいものを選ぶのは、太りやすい食べ方につながると言えるかもしれませんね」とのこと。

 さらに、食べる時間帯や食べ合わせにも、「太りやすい/太りにくい」があるという。

「よく言われることですが、夜寝る前は太りやすいです。日中の時間帯……例えば、午後3時の“おやつの時間”に食べる方が、寝る前に比べれば太りにくくはあります。なぜかと言うと、日中は活動している時間帯だけに、摂ったカロリーを消費しやすいから。寝る前だと、カロリーが消費されず、吸収されてしまうんです。また温かい飲み物を飲むと胃が落ち着くので、日中にチョコを食べるにしても、一緒にホットのブラックコーヒーやお茶などを飲むと、食べすぎ防止につながり、太りにくい食べ方になります。なので、逆に言うと、チョコだけを食べるというのは、食べすぎにつながり、太りやすい食べ方と言えるのではないでしょうか」

 たとえ高カカオのものでも、チョコは決して痩せやすくなるための食べ物ではないことがわかったが、「そもそもお菓子というのは太るもの」とズバリ指摘する岡田氏。

「チョコは、栄養素を見てみると、やはり『脂質と糖質のかたまり』であることは確かなんです。同じく、『脂質と糖質のかたまり』であるクッキーと比べると、ダイエット中に同じ量食べるなら、『高カカオのものに限り、まだチョコを食べておいた方がいい』のかもしれません。ただ、『ダイエット中のおやつに最適』と言われている、ドライフルーツや干し芋、ナッツと比べると、これらは『食物繊維が豊富』なだけに、同じ分量を食べるのであれば、チョコよりもダイエットに適していると思いますね」

 「何にせよ食べすぎたらダメですよ」と念を押す岡田氏。「チョコはダイエットにいいらしい」を妄信しすぎないように気を引き締めたいところだ。

岡田明子(おかだ・あきこ)
管理栄養士。一般社団法人「NS Labo(栄養サポート研究所)」代表理事。同志社女子大学 管理栄養士専攻卒業後、特別養護老人ホーム、ダイエットサプリメント会社の勤務を経て独立。自身の13キロダイエットの経験を生かし、さまざまなレシピ・商品開発を行う。著書に『美腸ダイエットジュース‐腸がきれいになると、やせる! 元気になる!』(池田書店)『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(KADOKAWA)などがある。

チョコレートは「ダイエットに最適」説を管理栄養士に聞く! 「太りやすい/太りにくい食べ方」も

 今年も間もなくやって来るバレンタインデー。街を歩けば、さまざまな新作チョコレートの広告が目に入り、甘いもの好きには心躍る時期だろうが、一方で「チョコ=太る」というイメージも強いだけに、ダイエット中という人には「目の毒」と言えるかもしれない。

 しかし最近、チョコを「ダイエット中のおやつに最適」とする説を目にする機会はないだろうか。チョコに含まれる栄養素が体にいいとも言われ、チョコ党の人には喜ばしい情報だが、果たしてその実際はいかに? 今回、管理栄養士の岡田明子さんに話をお聞きした。

「チョコはダイエットにいい」は「積極的に食べよう」ではない!?

 そもそも、なぜチョコが「太る」と言われているのかといえば、栄養素に「脂質」と「糖質」が含まれているからだろう。しかしそのほかにも「体にいい」とされる特徴的な栄養素があるという。

「まず代表的なのがポリフェノール。これは活性酸素を減らす抗酸化物質で、体が錆びるのを抑える効果が“ある”……とまでは断言できないものの、“期待はできる”ものです。また、テオブロミン。これは気持ちを落ち着かせたり、集中力を高める効果があると言われるもの。あとは、リグニン。食物繊維の一種なので、腸内環境を整えてくれ、便秘改善等に役立つと言えるでしょう」

 チョコと一口に言っても、脂質と糖質だけではないということがわかるが、「ダイエット中のおやつに最適」という説を、岡田氏はどのように捉えているだろう。

「『ダイエット中のおやつに~』と言われているのは、全てのチョコではなく、カカオ含有量が80%以上などのカカオ量の多い苦いチョコを対象としている場合でしょう。あくまで、『ダイエット中でもチョコがどうしてもやめられない人は、カカオ量の多いチョコを食べるといい』という話で、『ダイエットにいいらしいから、いっぱい食べていい/食べた方がいい』ものではありません。何にせよ、食べすぎるというのはよくありません」

 よく「ナッツ類は美容・健康にいい」と言われるが、「これも同様で、食べすぎてカロリーオーバーになり、太ってしまったという人が結構います。『食べすぎないこと』が大事なんです」という。

 では、チョコの「太りやすい食べ方/太りにくい食べ方」というのは存在するのだろうか。まず選ぶ種類について、「先ほども少し触れましたが、カカオ量が多いものは、一般的なチョコに比べ、太りにくい」と岡田氏。

「なので、一般的なチョコの方が太りやすいと言えますが、中でも、例えばアーモンドが入っているものは脂質が、ウエハースやクッキーと一緒になっているものは、糖質が増えるので、さらに太りやすくなってしまいます」

 最近では、チョコの中にコーンフレークやフルーツなどを練り込み、「ビタミン」や「食物繊維」などが豊富に配合されているとアピールするチョコも多く、あえてそういったものを選ぶ人も少なくないが……。

「ビタミンや食物繊維が増えた分、脂質や糖質も増えていることも考えられます。管理栄養士の視点からすると、ビタミンや食物繊維を摂りたいなら、『野菜を食べた方がいいのに』と感じますね。以前、『寝る前に少量食べると、寝つきが良くなる』と謳うギャバ配合のチョコの話を耳にしたんですが、それも『ギャバのサプリを飲めばいいのに』と、管理栄養士の間で話題になったんです。太りにくいチョコを選びたいのであれば、ほかに何も入っていないシンプルな高カカオチョコがいいと思いますよ」

 また、甘いものを食べると多幸感を得られることから、チョコには「エンドレスで食べてしまう」という特徴も。そのため、「小袋にしてある、また板チョコなどを選ぶのは、食べる量が決めやすく、『エンドレスに食べてしまう』ことの防止にもなるので、太りにくい食べ方と言えるのではないでしょうか。逆に食べる量を決めにくいものを選ぶのは、太りやすい食べ方につながると言えるかもしれませんね」とのこと。

 さらに、食べる時間帯や食べ合わせにも、「太りやすい/太りにくい」があるという。

「よく言われることですが、夜寝る前は太りやすいです。日中の時間帯……例えば、午後3時の“おやつの時間”に食べる方が、寝る前に比べれば太りにくくはあります。なぜかと言うと、日中は活動している時間帯だけに、摂ったカロリーを消費しやすいから。寝る前だと、カロリーが消費されず、吸収されてしまうんです。また温かい飲み物を飲むと胃が落ち着くので、日中にチョコを食べるにしても、一緒にホットのブラックコーヒーやお茶などを飲むと、食べすぎ防止につながり、太りにくい食べ方になります。なので、逆に言うと、チョコだけを食べるというのは、食べすぎにつながり、太りやすい食べ方と言えるのではないでしょうか」

 たとえ高カカオのものでも、チョコは決して痩せやすくなるための食べ物ではないことがわかったが、「そもそもお菓子というのは太るもの」とズバリ指摘する岡田氏。

「チョコは、栄養素を見てみると、やはり『脂質と糖質のかたまり』であることは確かなんです。同じく、『脂質と糖質のかたまり』であるクッキーと比べると、ダイエット中に同じ量食べるなら、『高カカオのものに限り、まだチョコを食べておいた方がいい』のかもしれません。ただ、『ダイエット中のおやつに最適』と言われている、ドライフルーツや干し芋、ナッツと比べると、これらは『食物繊維が豊富』なだけに、同じ分量を食べるのであれば、チョコよりもダイエットに適していると思いますね」

 「何にせよ食べすぎたらダメですよ」と念を押す岡田氏。「チョコはダイエットにいいらしい」を妄信しすぎないように気を引き締めたいところだ。

岡田明子(おかだ・あきこ)
管理栄養士。一般社団法人「NS Labo(栄養サポート研究所)」代表理事。同志社女子大学 管理栄養士専攻卒業後、特別養護老人ホーム、ダイエットサプリメント会社の勤務を経て独立。自身の13キロダイエットの経験を生かし、さまざまなレシピ・商品開発を行う。著書に『美腸ダイエットジュース‐腸がきれいになると、やせる! 元気になる!』(池田書店)『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(KADOKAWA)などがある。

新型コロナウイルス、症状や予防法を医師が解説! もっと「リアルな問題」も浮き彫りに?

 2019年12月ごろから、中国・武漢市で「新型コロナウイルス」による肺炎患者が続出している。中国国内だけでなく、タイや韓国でも感染者が見つかる中、今年1月16日には、日本で初めて新型コロナウイルスの感染患者が報告された。厚生労働省の発表によると、患者は神奈川県に住む30代男性で、1月6日に中国・武漢市から帰国。同日に医療機関を受診したところ、新型コロナウイルスの感染が発覚したようだ。10日に入院し、15日には症状が軽快し、退院したとも報告されている。

 複数の報道によると、1月23日現在、中国で新型コロナウイルスに感染した571名のうち、17名が死亡。日ごとに感染・死亡者数が増えている状態だ。厚労省は公式サイトにて、「家族間などの限定的なヒトからヒトへの感染の可能性が否定できない」と説明しつつ、感染拡大の可能性については明言していない。「咳エチケットや手洗い等、通常の感染対策を行うことが重要」と呼びかけるにとどまっているが、中国では1月下旬から旧正月(春節)が始まるとあって、ネット上では「かなりの観光客が日本に来るだろうし、感染しそうで心配」「春節で一気にウイルスが広まるのでは?」「本当に手洗いだけで予防できるのか疑問」など、不安の声が続出している。

 ネット上で不安視される「感染拡大」は、現実のものとなってしまうのだろうか? 沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科副部長の高山義浩氏に解説いただいた。

「新型コロナウイルス」症状や予防法は?

――「新型コロナウイルス」に感染すると、どのような症状が出るのでしょうか?

高山義浩氏(以下、高山) 詳細はまだ伝わってきていません。主たる症状は発熱であり、呼吸困難を訴える患者もいるようです。胸部レントゲンでは肺炎所見があるようですが、そもそも軽症の人は受診していないでしょうから、どれくらいの人が肺炎になって重症化しているのか、まだ明らかではありません。

――「ヒトからヒトに感染する」といった報道もありますが、それは本当でしょうか?

高山 ヒトからヒトへの感染が起きていることは、間違いありません。ただし、現時点の情報では、それが家庭内など濃厚接触に限定されるのか、あるいはレストランや電車などで一時的に空間を共有した程度でも感染しうるのか、まだ明らかではありません。また今後、ウイルスが変異して感染力を増す可能性もあるので、注意が必要です。

――「新型コロナウイルス」の感染を防ぐために、私たちが今できることはなんですか?

高山 患者を診療する可能性のある医療従事者でない限り、現時点で特別な対策を取る必要はありません。あえて挙げるとすれば、咳エチケットや手洗いなど、日頃の感染対策をしっかりすることでしょう。実のところ、今回の新型コロナウイルスよりも、一般の人たちにとっては、インフルエンザのほうがリアルな問題です。発熱や咳などの症状がある人は、仕事を休み、周囲にうつさないように注意してください。こうした心がけが、ひいては新しい感染症に対する防御を高めていくものなのです。

嵐・北京公演は「後悔しない選択を」

 エンターテインメントの分野でも「新型コロナウイルス」の影響が懸念されている。今春、嵐が北京でのコンサートを予定しているものの、北京市では5名の新型コロナウイルス感染者が報告されている(1月22日現在)。これを受け、ファンの間では「北京公演は中止、もしくは延期にしたほうがいい」「コンサートのために大勢のファンが中国に行って、そのまま日本に帰ってくると思うとゾッとする」といった意見が飛び交っているほか、「もし嵐のメンバーやファンが新型コロナウイルスに感染した場合、ジャニーズ事務所は責任取れるの?」とも指摘されている。

 ジャニーズ事務所やファンは、現時点でなんらかの対策を取るべきなのだろうか? 日本医師会認定産業医/内科医・星野優氏にお話を聞いた。

――嵐の北京コンサートは、開催時期の延期や公演の中止等、対応が必要だと思われますか?

星野優氏(以下、星野) 感染が非常に拡大した場合は、そういった対応になる可能性もあると思います。そもそも、感染が拡大した際は、日本国内でも「新型コロナウイルス」がすでに伝播している可能性も考えられます。ただし、現在のところ、ウイルスの詳細も不明瞭であり、むやみやたらに恐怖やパニックに陥ることは避けるべきです。詳しい情報が届くまでは、冷静に対処することが大切だと思います。

――このままコンサートが予定通りに開催された場合、現地へ行く人は「新型コロナウイルス」に対してどのような対策を取るべきでしょうか?

星野 国立感染症研究所は、感染が疑われた場合の対応として、「医療用マスクの着用」「綿密な手洗い、うがいなどの感染症に対する標準予防策の実施」「接触、飛沫予防策を行う」などの対応を勧めています。しかし、繰り返しになりますが、現状はいわゆる「新型コロナウイルス」に対しての情報が乏しく、正確な対応は困難です。

 感染を特に心配される方は、コンサートが開催されたとしても、参加を見送ったほうがいいかもしれません。結果として大きな問題にならないかもしれませんが、逆に被害が出る可能性も考えられます。感染状況が今後どうなるかは正直わかりませんが、「自分の身は自分で守る」しかないため、後悔しない選択をおすすめします。

新型コロナウイルス、症状や予防法を医師が解説! もっと「リアルな問題」も浮き彫りに?

 2019年12月ごろから、中国・武漢市で「新型コロナウイルス」による肺炎患者が続出している。中国国内だけでなく、タイや韓国でも感染者が見つかる中、今年1月16日には、日本で初めて新型コロナウイルスの感染患者が報告された。厚生労働省の発表によると、患者は神奈川県に住む30代男性で、1月6日に中国・武漢市から帰国。同日に医療機関を受診したところ、新型コロナウイルスの感染が発覚したようだ。10日に入院し、15日には症状が軽快し、退院したとも報告されている。

 複数の報道によると、1月23日現在、中国で新型コロナウイルスに感染した571名のうち、17名が死亡。日ごとに感染・死亡者数が増えている状態だ。厚労省は公式サイトにて、「家族間などの限定的なヒトからヒトへの感染の可能性が否定できない」と説明しつつ、感染拡大の可能性については明言していない。「咳エチケットや手洗い等、通常の感染対策を行うことが重要」と呼びかけるにとどまっているが、中国では1月下旬から旧正月(春節)が始まるとあって、ネット上では「かなりの観光客が日本に来るだろうし、感染しそうで心配」「春節で一気にウイルスが広まるのでは?」「本当に手洗いだけで予防できるのか疑問」など、不安の声が続出している。

 ネット上で不安視される「感染拡大」は、現実のものとなってしまうのだろうか? 沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科副部長の高山義浩氏に解説いただいた。

「新型コロナウイルス」症状や予防法は?

――「新型コロナウイルス」に感染すると、どのような症状が出るのでしょうか?

高山義浩氏(以下、高山) 詳細はまだ伝わってきていません。主たる症状は発熱であり、呼吸困難を訴える患者もいるようです。胸部レントゲンでは肺炎所見があるようですが、そもそも軽症の人は受診していないでしょうから、どれくらいの人が肺炎になって重症化しているのか、まだ明らかではありません。

――「ヒトからヒトに感染する」といった報道もありますが、それは本当でしょうか?

高山 ヒトからヒトへの感染が起きていることは、間違いありません。ただし、現時点の情報では、それが家庭内など濃厚接触に限定されるのか、あるいはレストランや電車などで一時的に空間を共有した程度でも感染しうるのか、まだ明らかではありません。また今後、ウイルスが変異して感染力を増す可能性もあるので、注意が必要です。

――「新型コロナウイルス」の感染を防ぐために、私たちが今できることはなんですか?

高山 患者を診療する可能性のある医療従事者でない限り、現時点で特別な対策を取る必要はありません。あえて挙げるとすれば、咳エチケットや手洗いなど、日頃の感染対策をしっかりすることでしょう。実のところ、今回の新型コロナウイルスよりも、一般の人たちにとっては、インフルエンザのほうがリアルな問題です。発熱や咳などの症状がある人は、仕事を休み、周囲にうつさないように注意してください。こうした心がけが、ひいては新しい感染症に対する防御を高めていくものなのです。

嵐・北京公演は「後悔しない選択を」

 エンターテインメントの分野でも「新型コロナウイルス」の影響が懸念されている。今春、嵐が北京でのコンサートを予定しているものの、北京市では5名の新型コロナウイルス感染者が報告されている(1月22日現在)。これを受け、ファンの間では「北京公演は中止、もしくは延期にしたほうがいい」「コンサートのために大勢のファンが中国に行って、そのまま日本に帰ってくると思うとゾッとする」といった意見が飛び交っているほか、「もし嵐のメンバーやファンが新型コロナウイルスに感染した場合、ジャニーズ事務所は責任取れるの?」とも指摘されている。

 ジャニーズ事務所やファンは、現時点でなんらかの対策を取るべきなのだろうか? 日本医師会認定産業医/内科医・星野優氏にお話を聞いた。

――嵐の北京コンサートは、開催時期の延期や公演の中止等、対応が必要だと思われますか?

星野優氏(以下、星野) 感染が非常に拡大した場合は、そういった対応になる可能性もあると思います。そもそも、感染が拡大した際は、日本国内でも「新型コロナウイルス」がすでに伝播している可能性も考えられます。ただし、現在のところ、ウイルスの詳細も不明瞭であり、むやみやたらに恐怖やパニックに陥ることは避けるべきです。詳しい情報が届くまでは、冷静に対処することが大切だと思います。

――このままコンサートが予定通りに開催された場合、現地へ行く人は「新型コロナウイルス」に対してどのような対策を取るべきでしょうか?

星野 国立感染症研究所は、感染が疑われた場合の対応として、「医療用マスクの着用」「綿密な手洗い、うがいなどの感染症に対する標準予防策の実施」「接触、飛沫予防策を行う」などの対応を勧めています。しかし、繰り返しになりますが、現状はいわゆる「新型コロナウイルス」に対しての情報が乏しく、正確な対応は困難です。

 感染を特に心配される方は、コンサートが開催されたとしても、参加を見送ったほうがいいかもしれません。結果として大きな問題にならないかもしれませんが、逆に被害が出る可能性も考えられます。感染状況が今後どうなるかは正直わかりませんが、「自分の身は自分で守る」しかないため、後悔しない選択をおすすめします。

“ジャニオタ三種の神器”、本当に効果あるの? ウワサのサプリ・ケア用品を医師・専門家が検証

 「飲んだら速攻で視界がクリアに」「貼るだけでむくみ解消」――そんな口コミから火がつき、ジャニーズファンに大人気となったサプリメントやケア商品がある。「コンサートや舞台観劇の際に効果を発揮する」と評判の商品は、ファンの間で“ジャニオタ三種の神器”と呼ばれ、わざわざ遠征先に持ち込む人がいるほど。しかし、本当に「飲むだけ」「貼るだけ」で、ウワサ通りの効果が期待できるのだろうか? 医師・専門家が“三種の神器”を徹底分析する。

<その1>足すっきりシート 休足時間

 立ちっぱなしのコンサートを終え、むくんだ足に貼ってから寝ると、翌朝「超スッキリする!」と評判の一品。公式ホームページには、「お風呂上がりや寝る前などに貼るだけで、足すっきりさわやか」と書かれているが、本当に“貼るだけ”でコンサート後の疲れは取れるのだろうか? 「女医によるファミリークリニック」院長の竹中美恵子先生が解説する。

医師が解説:「筋肉の疲れからくるむくみ」には効果があるけど……

 筋肉量の不足、腎臓や心臓の問題、塩辛いものが好きなど、むくみにはいろいろな原因があり、それぞれ対処法が違います。「休足時間」は“筋肉の疲れ”からくるむくみには効果が期待できそうなので、立ちっぱなしが原因でむくんだ足には効くでしょう。ただし、この商品には“利尿作用”がないので、水分・塩分の摂りすぎによるむくみには、効果がないかもしれません。コンサート後に打ち上げへ行ったとしても、食べすぎ・飲みすぎには注意しましょう。

 着圧ソックス・ストッキングの着用や、お風呂で温めてから冷やす“温冷刺激”も、むくみ解消に効果があります。しかし、これはあくまでも補佐的なこと。心臓と足の位置を同じ高さにして寝ると、むくみの原因がなんであれ、筋肉が心臓に向かって血流を戻すポンプ代わりになってくれるため、ある程度は解消できます。長時間立ちっぱなしだったあとは、しっかりと横になって休むことが、一番のむくみ取りになるのです。また、足裏や膝裏にはたくさんのリンパ節が存在するため、ゴルフボールで足裏を刺激したり、膝裏を指で押さえて刺激するだけでも、むくみには効果的。 寝る前に“痛気持ちいい”ツボマッサージをしてから、心臓と足を同じ高さにして寝ることがとても重要です。

■竹中美恵子(たけなか・みえこ)
女医によるファミリークリニック院長。小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。2009年金沢医科大学医学部医学科卒業。以後広島市立広島市民病院小児科などで勤務。2016年12月女医によるファミリークリニックを開業。日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得、メディア出演多数。

<その2>DHC 速攻ブルーベリー

 コンサートや舞台が始まる30分ほど前に飲むと、「視界がクリアになる」とウワサのサプリメント。パッケージにも書かれている「溶出スピード約3倍」というのが、素早く効果を感じる理由のひとつのようだが、そもそもサプリメントに“速効性”はあるのだろうか? また、「ブルーベリーは目にいい」ということ自体、本当なのだろうか? 『そのサプリ、危険です!』(経済界)の著者である、予防医療サプリメントアドバイザー・柴田丞氏が解説する。

専門家が解説:ブルーベリーが「目にいい」根拠はない!

 まず、「溶出スピード約3倍」というキャッチフレーズが気になります。DHCの公式サイトを見ると、「アントシアニン溶出率の比較」というグラフがあり、60分で約6%しか溶出していない従来品の「ブルーベリーエキス」と比較されています。「速攻ブルーベリー」が60分で約21%溶出されているので、確かに「溶出スピード約3倍」は間違ってないです。しかし、一般的な錠剤の飲み薬は“15分で約80%”溶出する製品が多く存在しているので、60分で約20%の溶出は、かなり遅い。これで「速攻」を冠するのは、勇気があると思いますね。

 また、ブルーベリーは“目にいい”というイメージがあると思いますが、「飲む前と飲んだ後で視力がこれだけ良くなった」というような、明確なデータはありません。ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、網膜にある物質の再合成を助ける働きがあるものの、それが「どう目にいいのか」はわかっていないのです。ただ、この商品には「ビタミンB1・B2・B6・B12」が含まれており、これは眼精疲労に有効な成分として、“医薬品”の形でも市販されています。

 コンビニでも売られている「アリナミンV」は、ビタミンB1・B2・B6を配合している上に“指定医薬部外品”なので、健康補助食品であるサプリメントとは違い、効果・効能が認められた商品です。目の疲れを改善する効果もあるようなので、個人的には「速攻ブルーベリー」よりも、こちらをオススメします。また、目に直接的な効果を求めるのであれば、眼精疲労を改善する目薬をさすのが、最も有効なのではないでしょうか。

■柴田丞(しばた・たすく)
1980年、東京都生まれ。2007年、東京農工大学大学院応用生命化学専攻修了。大手外資系製薬会社アストラゼネカなどを経て、株式会社柴田丞メディカル総合研究所を設立、代表取締役に就任。予防医療サプリメントアドバイザーとして活躍中。著書に『そのサプリ、危険です!』(経済界)がある。

<その3>キレートレモン

 クエン酸の効果により、「飲むだけで疲れが取れる」と評判の商品。実際、クエン酸を含むドリンクやタブレットは、スポーツをする人を対象に多数販売されているので、“疲労回復”の効果はありそう。果たして、2時間を超えるコンサートや、長時間の移動を伴う遠征で疲れた体にも効果があるのだろうか? 女性専門の疲労外来ドクターである、「工藤内科」の工藤孝文先生が解説する。

医師が解説:クエン酸は疲労回復に効果あり! しかし“条件”もあり!?

 クエン酸が疲労回復に効果を発揮することは、さまざまな実験で、すでに解明されています。「キレートレモン」にはビタミンCだけでなく、クエン酸も含まれていますから、飲むと疲労回復を期待できるのではないでしょうか。ただし、1本・155mlのうち、ビタミンC・クエン酸ともに“1350mg”しか含まれていないという点は、注意しなければなりません。

 というのも、クエン酸の疲労回復効果を確かめる実験で、被験者は“2700mg”のクエン酸を摂取し、疲労感の軽減を実感しています。よって、「キレートレモン」は最低でも2本飲まないと、ウワサ通りの効果を実感できないかもしれません。

■工藤孝文(くどう・たかふみ)
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。ダイエット外来・糖尿病内科・漢方治療を専門とし、NHK『ガッテン!』『あさイチ』、日本テレビ『世界一受けたい授業』、フジテレビ『ホンマでっか!? TV』等、漢方治療評論家・肥満治療評論家として、メディア出演多数。日本内科学会、日本東洋医学会、日本女性医学学会、日本抗加齢医学学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、小児慢性疾病指定医。近著に『疲れない大百科 女性専門の疲労外来ドクターが教える』(ワニブックス)がある。

“ジャニオタ三種の神器”、本当に効果あるの? ウワサのサプリ・ケア用品を医師・専門家が検証

 「飲んだら速攻で視界がクリアに」「貼るだけでむくみ解消」――そんな口コミから火がつき、ジャニーズファンに大人気となったサプリメントやケア商品がある。「コンサートや舞台観劇の際に効果を発揮する」と評判の商品は、ファンの間で“ジャニオタ三種の神器”と呼ばれ、わざわざ遠征先に持ち込む人がいるほど。しかし、本当に「飲むだけ」「貼るだけ」で、ウワサ通りの効果が期待できるのだろうか? 医師・専門家が“三種の神器”を徹底分析する。

<その1>足すっきりシート 休足時間

 立ちっぱなしのコンサートを終え、むくんだ足に貼ってから寝ると、翌朝「超スッキリする!」と評判の一品。公式ホームページには、「お風呂上がりや寝る前などに貼るだけで、足すっきりさわやか」と書かれているが、本当に“貼るだけ”でコンサート後の疲れは取れるのだろうか? 「女医によるファミリークリニック」院長の竹中美恵子先生が解説する。

医師が解説:「筋肉の疲れからくるむくみ」には効果があるけど……

 筋肉量の不足、腎臓や心臓の問題、塩辛いものが好きなど、むくみにはいろいろな原因があり、それぞれ対処法が違います。「休足時間」は“筋肉の疲れ”からくるむくみには効果が期待できそうなので、立ちっぱなしが原因でむくんだ足には効くでしょう。ただし、この商品には“利尿作用”がないので、水分・塩分の摂りすぎによるむくみには、効果がないかもしれません。コンサート後に打ち上げへ行ったとしても、食べすぎ・飲みすぎには注意しましょう。

 着圧ソックス・ストッキングの着用や、お風呂で温めてから冷やす“温冷刺激”も、むくみ解消に効果があります。しかし、これはあくまでも補佐的なこと。心臓と足の位置を同じ高さにして寝ると、むくみの原因がなんであれ、筋肉が心臓に向かって血流を戻すポンプ代わりになってくれるため、ある程度は解消できます。長時間立ちっぱなしだったあとは、しっかりと横になって休むことが、一番のむくみ取りになるのです。また、足裏や膝裏にはたくさんのリンパ節が存在するため、ゴルフボールで足裏を刺激したり、膝裏を指で押さえて刺激するだけでも、むくみには効果的。 寝る前に“痛気持ちいい”ツボマッサージをしてから、心臓と足を同じ高さにして寝ることがとても重要です。

■竹中美恵子(たけなか・みえこ)
女医によるファミリークリニック院長。小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。2009年金沢医科大学医学部医学科卒業。以後広島市立広島市民病院小児科などで勤務。2016年12月女医によるファミリークリニックを開業。日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得、メディア出演多数。

<その2>DHC 速攻ブルーベリー

 コンサートや舞台が始まる30分ほど前に飲むと、「視界がクリアになる」とウワサのサプリメント。パッケージにも書かれている「溶出スピード約3倍」というのが、素早く効果を感じる理由のひとつのようだが、そもそもサプリメントに“速効性”はあるのだろうか? また、「ブルーベリーは目にいい」ということ自体、本当なのだろうか? 『そのサプリ、危険です!』(経済界)の著者である、予防医療サプリメントアドバイザー・柴田丞氏が解説する。

専門家が解説:ブルーベリーが「目にいい」根拠はない!

 まず、「溶出スピード約3倍」というキャッチフレーズが気になります。DHCの公式サイトを見ると、「アントシアニン溶出率の比較」というグラフがあり、60分で約6%しか溶出していない従来品の「ブルーベリーエキス」と比較されています。「速攻ブルーベリー」が60分で約21%溶出されているので、確かに「溶出スピード約3倍」は間違ってないです。しかし、一般的な錠剤の飲み薬は“15分で約80%”溶出する製品が多く存在しているので、60分で約20%の溶出は、かなり遅い。これで「速攻」を冠するのは、勇気があると思いますね。

 また、ブルーベリーは“目にいい”というイメージがあると思いますが、「飲む前と飲んだ後で視力がこれだけ良くなった」というような、明確なデータはありません。ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、網膜にある物質の再合成を助ける働きがあるものの、それが「どう目にいいのか」はわかっていないのです。ただ、この商品には「ビタミンB1・B2・B6・B12」が含まれており、これは眼精疲労に有効な成分として、“医薬品”の形でも市販されています。

 コンビニでも売られている「アリナミンV」は、ビタミンB1・B2・B6を配合している上に“指定医薬部外品”なので、健康補助食品であるサプリメントとは違い、効果・効能が認められた商品です。目の疲れを改善する効果もあるようなので、個人的には「速攻ブルーベリー」よりも、こちらをオススメします。また、目に直接的な効果を求めるのであれば、眼精疲労を改善する目薬をさすのが、最も有効なのではないでしょうか。

■柴田丞(しばた・たすく)
1980年、東京都生まれ。2007年、東京農工大学大学院応用生命化学専攻修了。大手外資系製薬会社アストラゼネカなどを経て、株式会社柴田丞メディカル総合研究所を設立、代表取締役に就任。予防医療サプリメントアドバイザーとして活躍中。著書に『そのサプリ、危険です!』(経済界)がある。

<その3>キレートレモン

 クエン酸の効果により、「飲むだけで疲れが取れる」と評判の商品。実際、クエン酸を含むドリンクやタブレットは、スポーツをする人を対象に多数販売されているので、“疲労回復”の効果はありそう。果たして、2時間を超えるコンサートや、長時間の移動を伴う遠征で疲れた体にも効果があるのだろうか? 女性専門の疲労外来ドクターである、「工藤内科」の工藤孝文先生が解説する。

医師が解説:クエン酸は疲労回復に効果あり! しかし“条件”もあり!?

 クエン酸が疲労回復に効果を発揮することは、さまざまな実験で、すでに解明されています。「キレートレモン」にはビタミンCだけでなく、クエン酸も含まれていますから、飲むと疲労回復を期待できるのではないでしょうか。ただし、1本・155mlのうち、ビタミンC・クエン酸ともに“1350mg”しか含まれていないという点は、注意しなければなりません。

 というのも、クエン酸の疲労回復効果を確かめる実験で、被験者は“2700mg”のクエン酸を摂取し、疲労感の軽減を実感しています。よって、「キレートレモン」は最低でも2本飲まないと、ウワサ通りの効果を実感できないかもしれません。

■工藤孝文(くどう・たかふみ)
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。ダイエット外来・糖尿病内科・漢方治療を専門とし、NHK『ガッテン!』『あさイチ』、日本テレビ『世界一受けたい授業』、フジテレビ『ホンマでっか!? TV』等、漢方治療評論家・肥満治療評論家として、メディア出演多数。日本内科学会、日本東洋医学会、日本女性医学学会、日本抗加齢医学学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、小児慢性疾病指定医。近著に『疲れない大百科 女性専門の疲労外来ドクターが教える』(ワニブックス)がある。

インフルエンザ予防に「紅茶」は真っ赤なウソ!? 「予防接種が一番」と感染症の医師語る

 11月15日、国立感染症研究所が、「インフルエンザが全国的な流行期に入った」と発表。例年より数週間から1カ月ほど早く流行期が訪れたといい、早めのインフルエンザ対策が呼びかけられている。

 インフルエンザ対策として、最も一般的なのは「予防接種」だろうが、一方で、毎年この時期になると、テレビや雑誌などでは食べ物や飲み物によって「インフルエンザを撃破しよう」といった情報が飛び交うことも。最近では、紅茶や緑茶、ヨーグルト、はちみつなどが、インフルエンザ予防に効果的とされ、世間でちょっとしたブームになっているといった話も耳にする。

 しかし、ネット上では、こうしたメディアの情報は「ニセ医学」だと、医師から注意喚起されることが珍しくない。そこで今回、ちまたでうわさされるインフルエンザ予防に効果的な食品や飲み物に関して、“感染症のプロ”である、神戸大学病院感染症内科教授・岩田健太郎氏に話をうかがった。

「紅茶」「緑茶」はインフルエンザを予防しない!?

――ここ数年、紅茶がインフルエンザウイルスを“無効化”する説が話題になっています。なんでも、紅茶ポリフェノール「テアフラビン」にそのような効果があるそうで、10月27日付の「食品産業新聞社ニュースWEB」で「紅茶市場が復調 “抗インフルエンザ活性”報道で特需、“タピオカミルクティー”も追い風に」といった記事が掲載されたほどです。

岩田健太郎氏(以下、岩田) 実際に「予防のために紅茶を飲んでいる」という患者さんはいらっしゃいますが、紅茶に関しては「説」以上でも以下でもないといったところですね。本当にインフルエンザウイルスが無効化されるか、立証はされていないので、「そういった意見もある」程度の話と言えるでしょう。

――緑茶はかなり昔から、緑茶のポリフェノール成分の一種「カテキン」に、抗ウイルス作用があると言われていますが、こちらも怪しいのでしょうか。

岩田 緑茶に関しては、飲むというより「うがいをする」と、インフルエンザ予防に役立つのではないかという研究は確かにされています。しかし、それほど質の高い研究ではなく、現状、「緑茶は紅茶に比べて、ちょっとマシな研究データはあるものの、たいしたデータはない」「どれほど予防できるかはさっぱりわからない」というのが実際のところでしょう。少なくとも私は、自分の患者さんに、紅茶や緑茶でインフルエンザを予防しようとは言わないですね。

――実験データを用いながら「紅茶や緑茶が効果的」と説明する番組や雑誌なども数多く見かけますが……。

岩田 それは、実験室内で得られた「インフルエンザウイルスを抑制する」というデータを、あたかも「人間のインフルエンザという病気を予防する」と錯覚させるように伝えているということでは。詳しく説明すると、インフルエンザウイルスは「モノ」であり、インフルエンザは「病気」であって、ウイルスは病気の原因ではあるけれど、病気そのものではありません。また、「実験室内」と「人間の体」というのも、また別物なのです。多くの方がその2つを勘違いしているのではないでしょうか。

 紅茶や緑茶に、「人間のインフルエンザという病気を予防する」というデータは、全然ないかほとんどない。したがって、プロの医者であれば、そんなものは勧めないのです。実験室内でのウイルス抑制に関するデータを針小棒大に語る研究者もよくないし、それを「インフルエンザ対策にもってこい」などとテロップで流すメディアもよくありませんね。ちなみにインフルエンザ治療に関しても、「インフルエンザウイルスを抑える薬がある」のと、「それを飲むとインフルエンザが治る」というのは、全然意味が違います。

――ハチミツも「インフルエンザウイルスの増殖を抑制する働きがある」などと言われているのですが、これも同様に、インフルエンザという「病気」に利益があるかどうかはわからないですね。

岩田 そうですね。ただハチミツは、咳が出る際、咳を抑える効果があるというのは立証されています。理由はよくわかっていないのですが。

――ほかにも、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌を摂取すると、免疫力がアップし、インフルエンザ予防に役立つと言われています。

岩田 まず「免疫力が高まる」というキーワードを使っている人がいたら、ほぼ「インチキ」と思ってもらって構いません。というのも、免疫力はいわば「調整機能」なので、そもそも「高まる」ことはあまりなく、高まりすぎると、自分の体を攻撃し始め、リウマチなどの自己免疫疾患の原因にもなります。一方、免疫力が低くなることはあり、典型的な例で言うと、エイズは免疫力が低すぎる状態になる病気です。つまり免疫力は高すぎても低すぎてもよくないもので、「免疫力が高まる」ことを「よいこと」という前提で話している時点で、それはほぼインチキと言えるでしょう。「免疫力を上げよう」という書籍や雑誌、また自費診療のクリニックもありますが、これらはほぼインチキでぼったくり。しかしそんな中、唯一わかっている免疫力を上げるものが、ワクチン。これは、「ある病原体」に対する免疫力を上げることによって、その病気にかからなくすることが立証されているのです。

――ということは、乳酸菌は「免疫力を整える」効果はあるのでしょうか。

岩田 多少はあります。しかし、そもそも乳酸菌という名前の単一の菌は存在しません。乳酸をつくる菌の総称を「乳酸菌」と呼んでいるに過ぎず、どの乳酸菌なのかによって、それぞれ作用が違うものなのです。乳酸菌の一つである菌が、確かに健康に利益をもたらすという研究はあるのですが、一方で利益はないとの研究もある。どの菌がどの病気のどういうことに利益があったり不利益があるかは、一つひとつの論文を検証しなければならず、ざっくり「乳酸菌がインフルエンザ予防にいい」と言われても、いいか悪いかは判断できません。

――ちなみに、食品以外にも、インフルエンザ予防として推奨されているさまざまなものがあります。例えば、体を温かくすること。ただ、これも結局、「それによって免疫力が上がる」と言われているのですが……。

岩田 人間の体温は一定の範囲に調整されていて、極端に体温が上がったり下がったりしないようになっています。しかし、例えば冬の海に長時間浸かっていたりした場合、極端に体温が下がり、免疫力も下がって、病気にかかりやすい状態になることはわかっています。ただそういう方は、救急車で運ばれてくるような状況の人であり、日常生活を送っている人が、一定の範囲内で、体温を少し上げたところで、何かあるのか……というのは、その人の基礎体温にもよりますし、一概には言えないこと。「体を温めれば、インフルエンザを予防できる」というのは、真っ赤なウソと言えます。

――そのほかに、先生がよく見聞きする「インフルエンザ予防」で、「効果があまり望めない」と感じるものはありますか。

岩田 「手洗い」「うがい」「マスク」は、インフルエンザ予防にほとんど役に立たないでしょうね。感染症の予防で一番大事なのは、感染経路を遮断すること。病原体がやって来る場所をブロックするのです。例えば、性感染症は、感染経路がセックスなので、コンドームで予防しますよね。とてもシンプルな話なのです。

 インフルエンザは、持つ人の咳やくしゃみなどによって、ウイルスが口や鼻に入ってきて、感染する。手から感染することもありますが、めったにないので、手洗いは予防としてあまり意味がない。また、ウイルスは鼻の奥に定着し、のどだけにウイルスがいることはないので、うがいも有効とは言えません。それに、一度体内に入ってしまったら、すぐにのどの奥に進んでいくので、うがいをしたところで、焼け石に水なのです。

 そして、マスクについても、鼻の横やあごの下にすき間がたくさんあるので、ウイルスをブロックできていません。よく花粉やウイルスなどを99.9%ブロックする、などと喧伝するマスクが売られていますが、あれも全然ブロックしていない。実験室において、使用されている布そのものは99.9%花粉やウイルスを遮断したかもしれませんが、実際には、すき間から入ってきてしまいます。じゃあ、すき間を全て塞ごうとすると、今度は息ができなくなります。なので、基本的に、予防のためにマスクをすることには、何の意味もないのです。むしろマスクは、病気になった人が、自分の咳やくしゃみを広げないためにするためのものと言えるでしょう。

――やはり、インフルエンザ対策には、予防接種を打つというのが一番なのでしょうか。

岩田 そういうことです。インフルエンザ予防には、ワクチンが最も効果的だとわかっています。私には小学生の娘がいるのですが、学校から「手洗い、うがい、マスクでインフルエンザを予防しましょう」との呼びかけがあり、「なぜ、『インフルエンザワクチンを打ちましょう』と言わないのか?」と、疑問を抱いてしまいます。経済的にワクチンを打つことができないご家庭に配慮しているようなのですが、私は、助かる人がいるのであれば、助かるように推奨すべきだと考えます。全員横並びで助からない、という変な平等思考は間違っています。

――なぜ、食品や生活習慣からインフルエンザを予防しようという動きがなくならないのでしょうか。

岩田 そうしたネタは、“セクシー”だからです。アメリカでもそのような言い方がされています。「病院で予防接種を打つ」より「自然食品で病気の予防をする」方が、何だかファッショナブルでカッコいいし、もっと言うと、人に「意識が高い裕福な人が実践しているようなイメージ」を抱かせるのです。この世には、有名人しか知らない特殊な健康法があるなどと言われますが、そんなことはあり得ませんし、有名人発信の健康法がデマであることもよくあります。健康に効くことは全部公開されており、「みんなが知っていること」の方が、確実なのです。現実世界は、そんなセクシーにできていないということを、心に留めておいてほしいと思います。

岩田健太郎(いわた・けんたろう)
神戸大学医学部感染症内科教授。1997年島根医科大学(現・島根大学)卒業。沖縄県立中部病院研修医、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院内科研修医を経て、アルバートアインシュタイン大学ベス・イスラエル・メディカルセンター感染症フェローとなる。2003年に中国へ渡り北京インターナショナルSOSクリニックで勤務。04年に帰国、亀田総合病院(千葉県)で感染内科部長、同総合診療・感染症科部長歴任。08年より現職。

インフルエンザ予防に「紅茶」は真っ赤なウソ!? 「予防接種が一番」と感染症の医師語る

 11月15日、国立感染症研究所が、「インフルエンザが全国的な流行期に入った」と発表。例年より数週間から1カ月ほど早く流行期が訪れたといい、早めのインフルエンザ対策が呼びかけられている。

 インフルエンザ対策として、最も一般的なのは「予防接種」だろうが、一方で、毎年この時期になると、テレビや雑誌などでは食べ物や飲み物によって「インフルエンザを撃破しよう」といった情報が飛び交うことも。最近では、紅茶や緑茶、ヨーグルト、はちみつなどが、インフルエンザ予防に効果的とされ、世間でちょっとしたブームになっているといった話も耳にする。

 しかし、ネット上では、こうしたメディアの情報は「ニセ医学」だと、医師から注意喚起されることが珍しくない。そこで今回、ちまたでうわさされるインフルエンザ予防に効果的な食品や飲み物に関して、“感染症のプロ”である、神戸大学病院感染症内科教授・岩田健太郎氏に話をうかがった。

「紅茶」「緑茶」はインフルエンザを予防しない!?

――ここ数年、紅茶がインフルエンザウイルスを“無効化”する説が話題になっています。なんでも、紅茶ポリフェノール「テアフラビン」にそのような効果があるそうで、10月27日付の「食品産業新聞社ニュースWEB」で「紅茶市場が復調 “抗インフルエンザ活性”報道で特需、“タピオカミルクティー”も追い風に」といった記事が掲載されたほどです。

岩田健太郎氏(以下、岩田) 実際に「予防のために紅茶を飲んでいる」という患者さんはいらっしゃいますが、紅茶に関しては「説」以上でも以下でもないといったところですね。本当にインフルエンザウイルスが無効化されるか、立証はされていないので、「そういった意見もある」程度の話と言えるでしょう。

――緑茶はかなり昔から、緑茶のポリフェノール成分の一種「カテキン」に、抗ウイルス作用があると言われていますが、こちらも怪しいのでしょうか。

岩田 緑茶に関しては、飲むというより「うがいをする」と、インフルエンザ予防に役立つのではないかという研究は確かにされています。しかし、それほど質の高い研究ではなく、現状、「緑茶は紅茶に比べて、ちょっとマシな研究データはあるものの、たいしたデータはない」「どれほど予防できるかはさっぱりわからない」というのが実際のところでしょう。少なくとも私は、自分の患者さんに、紅茶や緑茶でインフルエンザを予防しようとは言わないですね。

――実験データを用いながら「紅茶や緑茶が効果的」と説明する番組や雑誌なども数多く見かけますが……。

岩田 それは、実験室内で得られた「インフルエンザウイルスを抑制する」というデータを、あたかも「人間のインフルエンザという病気を予防する」と錯覚させるように伝えているということでは。詳しく説明すると、インフルエンザウイルスは「モノ」であり、インフルエンザは「病気」であって、ウイルスは病気の原因ではあるけれど、病気そのものではありません。また、「実験室内」と「人間の体」というのも、また別物なのです。多くの方がその2つを勘違いしているのではないでしょうか。

 紅茶や緑茶に、「人間のインフルエンザという病気を予防する」というデータは、全然ないかほとんどない。したがって、プロの医者であれば、そんなものは勧めないのです。実験室内でのウイルス抑制に関するデータを針小棒大に語る研究者もよくないし、それを「インフルエンザ対策にもってこい」などとテロップで流すメディアもよくありませんね。ちなみにインフルエンザ治療に関しても、「インフルエンザウイルスを抑える薬がある」のと、「それを飲むとインフルエンザが治る」というのは、全然意味が違います。

――ハチミツも「インフルエンザウイルスの増殖を抑制する働きがある」などと言われているのですが、これも同様に、インフルエンザという「病気」に利益があるかどうかはわからないですね。

岩田 そうですね。ただハチミツは、咳が出る際、咳を抑える効果があるというのは立証されています。理由はよくわかっていないのですが。

――ほかにも、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌を摂取すると、免疫力がアップし、インフルエンザ予防に役立つと言われています。

岩田 まず「免疫力が高まる」というキーワードを使っている人がいたら、ほぼ「インチキ」と思ってもらって構いません。というのも、免疫力はいわば「調整機能」なので、そもそも「高まる」ことはあまりなく、高まりすぎると、自分の体を攻撃し始め、リウマチなどの自己免疫疾患の原因にもなります。一方、免疫力が低くなることはあり、典型的な例で言うと、エイズは免疫力が低すぎる状態になる病気です。つまり免疫力は高すぎても低すぎてもよくないもので、「免疫力が高まる」ことを「よいこと」という前提で話している時点で、それはほぼインチキと言えるでしょう。「免疫力を上げよう」という書籍や雑誌、また自費診療のクリニックもありますが、これらはほぼインチキでぼったくり。しかしそんな中、唯一わかっている免疫力を上げるものが、ワクチン。これは、「ある病原体」に対する免疫力を上げることによって、その病気にかからなくすることが立証されているのです。

――ということは、乳酸菌は「免疫力を整える」効果はあるのでしょうか。

岩田 多少はあります。しかし、そもそも乳酸菌という名前の単一の菌は存在しません。乳酸をつくる菌の総称を「乳酸菌」と呼んでいるに過ぎず、どの乳酸菌なのかによって、それぞれ作用が違うものなのです。乳酸菌の一つである菌が、確かに健康に利益をもたらすという研究はあるのですが、一方で利益はないとの研究もある。どの菌がどの病気のどういうことに利益があったり不利益があるかは、一つひとつの論文を検証しなければならず、ざっくり「乳酸菌がインフルエンザ予防にいい」と言われても、いいか悪いかは判断できません。

――ちなみに、食品以外にも、インフルエンザ予防として推奨されているさまざまなものがあります。例えば、体を温かくすること。ただ、これも結局、「それによって免疫力が上がる」と言われているのですが……。

岩田 人間の体温は一定の範囲に調整されていて、極端に体温が上がったり下がったりしないようになっています。しかし、例えば冬の海に長時間浸かっていたりした場合、極端に体温が下がり、免疫力も下がって、病気にかかりやすい状態になることはわかっています。ただそういう方は、救急車で運ばれてくるような状況の人であり、日常生活を送っている人が、一定の範囲内で、体温を少し上げたところで、何かあるのか……というのは、その人の基礎体温にもよりますし、一概には言えないこと。「体を温めれば、インフルエンザを予防できる」というのは、真っ赤なウソと言えます。

――そのほかに、先生がよく見聞きする「インフルエンザ予防」で、「効果があまり望めない」と感じるものはありますか。

岩田 「手洗い」「うがい」「マスク」は、インフルエンザ予防にほとんど役に立たないでしょうね。感染症の予防で一番大事なのは、感染経路を遮断すること。病原体がやって来る場所をブロックするのです。例えば、性感染症は、感染経路がセックスなので、コンドームで予防しますよね。とてもシンプルな話なのです。

 インフルエンザは、持つ人の咳やくしゃみなどによって、ウイルスが口や鼻に入ってきて、感染する。手から感染することもありますが、めったにないので、手洗いは予防としてあまり意味がない。また、ウイルスは鼻の奥に定着し、のどだけにウイルスがいることはないので、うがいも有効とは言えません。それに、一度体内に入ってしまったら、すぐにのどの奥に進んでいくので、うがいをしたところで、焼け石に水なのです。

 そして、マスクについても、鼻の横やあごの下にすき間がたくさんあるので、ウイルスをブロックできていません。よく花粉やウイルスなどを99.9%ブロックする、などと喧伝するマスクが売られていますが、あれも全然ブロックしていない。実験室において、使用されている布そのものは99.9%花粉やウイルスを遮断したかもしれませんが、実際には、すき間から入ってきてしまいます。じゃあ、すき間を全て塞ごうとすると、今度は息ができなくなります。なので、基本的に、予防のためにマスクをすることには、何の意味もないのです。むしろマスクは、病気になった人が、自分の咳やくしゃみを広げないためにするためのものと言えるでしょう。

――やはり、インフルエンザ対策には、予防接種を打つというのが一番なのでしょうか。

岩田 そういうことです。インフルエンザ予防には、ワクチンが最も効果的だとわかっています。私には小学生の娘がいるのですが、学校から「手洗い、うがい、マスクでインフルエンザを予防しましょう」との呼びかけがあり、「なぜ、『インフルエンザワクチンを打ちましょう』と言わないのか?」と、疑問を抱いてしまいます。経済的にワクチンを打つことができないご家庭に配慮しているようなのですが、私は、助かる人がいるのであれば、助かるように推奨すべきだと考えます。全員横並びで助からない、という変な平等思考は間違っています。

――なぜ、食品や生活習慣からインフルエンザを予防しようという動きがなくならないのでしょうか。

岩田 そうしたネタは、“セクシー”だからです。アメリカでもそのような言い方がされています。「病院で予防接種を打つ」より「自然食品で病気の予防をする」方が、何だかファッショナブルでカッコいいし、もっと言うと、人に「意識が高い裕福な人が実践しているようなイメージ」を抱かせるのです。この世には、有名人しか知らない特殊な健康法があるなどと言われますが、そんなことはあり得ませんし、有名人発信の健康法がデマであることもよくあります。健康に効くことは全部公開されており、「みんなが知っていること」の方が、確実なのです。現実世界は、そんなセクシーにできていないということを、心に留めておいてほしいと思います。

岩田健太郎(いわた・けんたろう)
神戸大学医学部感染症内科教授。1997年島根医科大学(現・島根大学)卒業。沖縄県立中部病院研修医、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院内科研修医を経て、アルバートアインシュタイン大学ベス・イスラエル・メディカルセンター感染症フェローとなる。2003年に中国へ渡り北京インターナショナルSOSクリニックで勤務。04年に帰国、亀田総合病院(千葉県)で感染内科部長、同総合診療・感染症科部長歴任。08年より現職。

サウナブームに専門医が警鐘! 「整う」より正しい入浴法の基礎とは!?  

 リラックス効果やデトックス効果が期待できるといわれるサウナ。昨今、そんなサウナを舞台にした漫画やテレビドラマが登場し、情報番組などでも特集を組まれるなど、空前の“サウナブーム”になっている。サウナ愛好者を「サウナー」と呼び、そうしたサウナ―が使う「整う」といった言葉がネット上で散見されることも。しかし一方で、サウナの利用が原因となった死亡事故なども報告されており、その危険性も見逃せない。そこで今回、『最高の入浴法~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)など、お風呂・温泉と健康にまつわる著書を執筆している温泉療法専門医・早坂信哉氏に、サウナによる健康効果と危険性についてうかがった。

サウナには「デトックス効果」も「ダイエット効果」もない

――サウナに入浴することによって、大量の汗が流れ出ます。それが「デトックス効果」につながるといわれていますが、それは本当なのでしょうか。

早坂信哉氏(以下、早坂) 体の中に溜まった「悪いもの」、つまり老廃物や有害物質を排出するという意味での「デトックス効果」は期待できません。研究でも報告されていますが、サウナ入浴で出た汗には、ほとんど老廃物や有害物質は含まれておらず、これらのほとんどが、糞便や尿によって排泄されることが明らかになっています。ただ、温熱効果で血流の巡りは確かに良くなるので、肝臓や腎臓に血液が送られることにより、排せつ器官の運動が活発になり、老廃物などが体の外に出やすくなるということはあります。血流の改善が本来のサウナのデトックス作用と言えるので、発汗は排せつではなく、体温が十分に上がったというサインとお考えください。

――サウナ入浴後、体重が減っていることがありますが、ダイエット効果があると期待していいのでしょうか。

早坂 サウナによって出た大量の汗は、上がった分の体温を下げる“体温調節”のための汗です。体重が減っているのは、体内の水分が出ているだけなので、ダイエット効果は期待できません。だいたい、80度ぐらいのサウナに10分ほど入浴すると、500ミリリットルぐらいの汗をかくと言われているので、それぐらい体重が減ることもありますが、ただの脱水。なので、水分補給をすれば、すぐに戻ってしまいます。熱を与えられることによって、多少なりとも代謝は上がるものの、運動のように脂肪燃焼をしているわけではないのです。また、500ミリリットルほど体内の水分が出てしまうと言いましたが、それにより熱中症にかかってしまう可能性もあるので、水分補給をしてほしいですね。

――どれぐらいの水分補給が必要なのか、目安を教えてください。

早坂 入浴前にコップ1~2杯を飲んでください。また、500ミリリットルぐらい汗をかくので、入浴後にも1~2杯の水分を摂ってほしいですね。水でも十分ですが、ミネラルが入ったむぎ茶、スポーツ飲料やイオン飲料の方が吸収もいいですし、より適しているかもしれません。入浴後に水分補給を怠ると、血液の流れが悪くなり熱中症になる可能性もありますし、血液の粘り気が出て血の塊(血栓)ができやすくなります。血管が詰まると、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしかねません。

――また、飲酒後にサウナで大量に汗をかくことで、アルコールが早く抜けるといったことを聞いたことがあるのですが。

早坂 アルコールが抜けるといった効果もありませんね。飲酒をすると血圧が下がったり、眠くなりますが、そのような体調でサウナに入浴すると、気を失ってしまう場合や寝てしまうケースがあり、熱中症になることもあります。飲酒後のサウナ入浴は危険なのでやめましょう。また、アルコールを代謝するためには、たくさんの水分を必要としますが、サウナに入浴することで、その分の水分まで失われてしまい、結果的にアルコールの代謝が逆に遅れてしまう可能性が高くなります。二日酔いの時にサウナでスッキリしたいという方もいるようですが、同様の理由からオススメできません。
――そのほかに、危険な入浴方法などはあるのでしょうか。

早坂 水風呂の入り方には注意してほしいです。熱いサウナから10度前後の冷水にいきなり浸かると、急激な温度差によって体調不良を起こす「ヒートショック」を自ら発生させるような状況になります。血圧が大きく変動することで、脳卒中や不整脈、狭心症を発症し、最悪の場合死亡することも。意識を失い、水風呂の中で溺死するといった事故もあるので、十分注意してください。

――サウナの醍醐味は「水風呂」というような声もあるのですが、どうしても水風呂に入浴したい場合、注意すべきポイントなどがあったら教えてください。

早坂 冷たすぎる水風呂は避け、“25~30度”ぐらいの「ちょっと冷たいな」と思うぐらいのぬるま湯の風呂に、“ドボン”と浸かるのではなく、手足に少しずつ水をかけ、静かに少しずつ体を慣れさせながら入浴してほしいです。水風呂より刺激が少なく安全なシャワーや外気浴などの方が、体のことを考えるとオススメですね。

――最近はスーパー銭湯など、食事もできる複合型温泉施設などもあります。食事の前後にサウナに入浴するのはどうなんですか。

早坂 できれば食事の前後30分~1時間程度は避けた方がいいです。というのも、皮膚の表面が温められると、全身の血液が皮膚の近くに集まり、消化器官の血液が少なくなります。その結果、消化不良を招く可能性も。また、熱や急な体の痛みが出始めている時、腰痛など慢性的な痛みがひどくなり始めている時なんかもやめた方がいいです。サウナは刺激が強いですし、疲れすぎている時に入浴することによって、逆に体調を崩すことも考えられます。

――サウナに入浴する際、女性が特に注意するべきポイントなどお聞かせください。

早坂 体調については男女ともに、熱中症やヒートショックなどのリスクに差はありません。ただ、美容という点では、注意が必要でしょう。ドライサウナや遠赤外線サウナなどは、湿度が低くとても乾燥しているので、毛髪の乾燥を防ぐために濡れタオルやサウナハットを着用した方がいいかもしれません。霧状のミストが出るミストサウナは乾燥を防げますし、通常のサウナよりも体への負担も少ないので、乾燥が気になる方はこちらの方がいいのではないでしょうか。

サウナで「整う」よりも無理をしない

――“サウナー”と呼ばれるサウナ愛好家の方たちは、サウナと水風呂の入浴を1セットとして、何セットも繰り返すことによって「整う」といった感覚を楽しんでいますよね。

早坂 「あと〇分……」などの我慢大会のような入浴方法は危険ですし、やめてほしいです。汗が流れ出たということは、体温が1.5度ぐらい上昇し、血流が良くなってきた証拠なので、自分にノルマを課していたとしても、ひとまず出るようにしましょう。あくまでも目安ですが、80度のサウナであればどんなに長くても10分まで、100度なら5~6分まで、初心者の方は60度ぐらいの低温のサウナにせいぜい15分ぐらいまでに抑え、自分の体調と相談し、とにかく無理をしないでください。汗をかけばかくほど毒素が出るというわけではないですし、正しい入浴方法で血行促進やリフレッシュに役立ててほしいです。

早坂信哉(はやさか・しんや)
東京都市大学人間科学部教授、一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長、温泉療法専門医、博士(医学)。著書に『最高の入浴法~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)、『入浴検定公式テキスト』(日本入浴協会)がある。