ジブリが映画化しなければ、静かに役目を終えていた『コクリコ坂から』

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『コクリコ坂から』(佐山哲郎・原作、
高橋千鶴・著、角川書店)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてけぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史にさんぜんと輝く「迷」作を、ひもといていきます。

 自分が何か失敗をしたときとか、「あ、今大事なこと言ってるのに噛んじゃった」というときに、「今、噛んだでしょ?」とか突っ込んでくれる人がいると助かる場合がある。「場が和んだよ、笑ってくれてよかったな」みたいな。逆に、失敗についてわざわざ話を戻したりして突っ込んできて、「放っておいてくれたらよかったのに」という場合もある。「過ぎたことにしてくれれば、あらためて恥をかかずに済んだのに」である。

 マンガ『コクリコ坂から』(角川書店)は後者の代表例だ。なぜ、この作品が特別に、あの、世界のジブリで映画化されてしまったのか。放っておいてくれたなら、今さら話題を集めて、「これが原作?」みたいなおかしな注目を集めずに済んだのに。

 まあひと言で言えば、『コクリコ坂から』は、70年代に量産されたような、どこにでも掃いて捨てるほどあるような、そんな少女マンガのうちのひとつなのだ。少女マンガの主人公って、花背負って無意味に乙女なポーズとってアップになったりするんだね、というのを久しぶりに思い出させてもらった貴重な作品である。

56巻でも未完! 『王家の紋章』の乙女ゲー的世界はいつまで続くのか?

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『王家の紋章』56巻(細川智栄子あ
んど芙~みん、秋田書店)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてけきぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史にさんぜんと輝く「迷」作を、ひもといていきます。

身勝手な親が子を不幸にする――30年も前から予言していた『スポットライト』

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『スポットライト』(里中満智子、
講談社)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いけきぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史にさんぜんと輝く「迷」作を、ひもといていきます。

 少女マンガの中には、時代を何年も先取りした作品がある。女の社会進出がままならなかったころに息子ほど年の違う若者との恋愛を描いた『砂の城』(一条ゆかり、集英社)や、現在の原発事故を予見するかのような『パエトーン』(山岸凉子、角川書店)、ネット時代を先読みした『ワン・ゼロ』(佐藤史生、小学館)などだ。

輪廻転生という萌え要素を回収できなかった、メイ作『天よりも星よりも』

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『天よりも星よりも』1巻(赤石
路代、小学館)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてきぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史に燦然と輝く「迷」作を、紐解いていきます。

 たぶん現実では叶えられないけど、実現したらいいなという夢ってなんだろう。それは「超能力者になる」じゃないだろうか。恐らく誰でも1度は、「なれたらいいな」と考えたことがあるはずだ。しかしどんなに金を積んでも叶えられないのがこの願い。バブル期、金さえ出せばたいていのものは手に入ると思われていたこの時代に、少女マンガでめっぽう多かったのが超能力者の話だ。

『ときめきミッドナイト』から考える、ヒット作続編商法という難しさ

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『ときめきミッドナイト 1』(池野
恋、集英社)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてきぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史に燦然と輝く「迷」作を、紐解いていきます。

 歌手・狩人は、テレビに出る度に「あずさ2号」を歌う。彼らは思うだろうか、「たまには違う歌が歌いたいよ」と。クリスタルキングもそうだ。「大都会」の他には「愛をとりもどせ!!」くらいかしら、今でも有名なのって。その他、TOM★CATとかアラジンとか、音楽界には「一発屋」がちらほら。

萌え要素はそろっていても、使い方を間違えたメイ作『パロスの剣』

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『パロスの剣』(中公文庫)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてきぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史に燦然と輝く「迷」作を、紐解いていきます。

 世の中には、「惜しい!」ということが結構ある。素材はいいのにどうにも太りすぎとか、高学歴高収入なのに気が利かなくて結婚相手としてはダメだとか。あ、全部外見の話になっちゃいましたが。要は「いいもの持ってるのに、活かしきれてない」のである。

 今回ご紹介する『パロスの剣』は、まさにものすごくいい素材をいっぱい持ってるのに、なんだかおかしな方向に突き進んじゃって、「メイ作」の称号を受けることになったメイ誉ある作品である。

登場人物と設定のどこにも共感ポイントがない、奇跡の『禁断』シリーズ

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『禁断―秘密の花園 完全版』(小
学館)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてきぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史に燦然と輝く「迷」作を、紐解いていきます。

『Theチェリー・プロジェクト』に見る、スポ根マンガ+恋愛の限界

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『Theチェリー・プロジェクト』(武
内直子、講談社)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてきぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史に燦然と輝く「迷」作を、紐解いていきます。

"少女"マンガのおける恋愛描写の見本は『好きしか知らない』に限る!

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『好きしか知らない』(集英社)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてきぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史に燦然と輝く「迷」作を、紐解いていきます。

 少女マンガの基本は「恋愛」だ。女と女の恋愛は最近こそ光が当たり始めたものの、基本的には男女や男男モノの恋愛模様を描いて、少女マンガは成り立っている。そこで行われる、いいことやちょっぴり悪いこと(少女マンガにはすごく悪いことは描かれない)を疑似体験して、大人になっていくのだ。

少女マンガにおける、「女の性の解放」と「男の処女性信奉」の落としどころ

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『甘濡れ・Eve』(佐々木 柚奈、小
学館)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてきぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史に燦然と輝く「迷」作を、紐解いていきます。

 女性の社会進出が進み、女もいろんなものが手に入るようになってきた。仕事、非婚の選択、年下男......。女の出世はまだまだ障害が多いものの(つい最近もアメリカで訴訟問題になっちゃったし)、女の性に対する大らかさの発展には目を見張るものがある。