テレ朝『Mステ』と『マツコ&有吉』が大移動 金曜夜の大改革に勝算は?

 テレビ朝日が改編期の10月に、金曜ゴールデン帯を大改革することになった。 

 現状、午後7時台にアニメ『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』を、同8時台に『ミュージックステーション』(以下、『Mステ』)、同9時台に『ザワつく!金曜日』をオンエアしているが、そのすべての番組が枠移動するという。

 まず、同7時台には『ザワつく!』が移り、『ドラえもん』と『しんちゃん』は土曜日に移動する予定。『ザワつく!』は長嶋一茂、石原良純、高嶋ちさ子の3人による毒舌トーク番組で、木曜深夜に放送されていたが、4月からゴールデン帯に昇格したばかり。視聴率はまずまずで、10月からは午後7時台で勝負することになる。

 午後8時台には、水曜深夜にオンエアされているトークバラエティ番組『マツコ&有吉 かりそめ天国』が昇格する。同番組は、前身の『マツコ&有吉の怒り新党』時代を含めると、9年目を迎えており、固定ファンも多いだけに、ゴールデン帯でも、そこそこ健闘するとみられている。

 有吉弘行は現在「金8」で、『超問クイズ!真実か?ウソか?』(日本テレビ系)の司会を務めているが、同番組は9月で終了し、“裏かぶり”することがなくなったため、テレ朝は『かりそめ天国』を同時間帯へ移す決断に至ったようだ。

 そして、まさかの移動となるのが『Mステ』で、同9時台に移る。同番組は、1986年10月にスタートした超長寿番組で、「金8」が視聴者に深く浸透しているだけに、枠を移すのはかなりの冒険となりそうだ。

 それでは、このテレ朝の大改革には、どんな狙いがあるのだろうか?

「金曜ゴールデン帯は、TBSのひとり勝ち状態です。特に『爆報! THE フライデー』『ぴったんこカン・カン』が好調で、コンスタントに12~13%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)程度を獲っています。『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』も、おおむね2ケタを維持しています。これに対抗するには、改革するしかないとの判断でしょう。『ドラえもん』『しんちゃん』の視聴者は子どもで、6%ほど。これでは、TBSに歯が立ちません。ここに『ザワつく!』をもってくることで、なんとか一矢報いたいところ。『ぴったんこ』は安住紳一郎アナの人気もあって、強いのですが、『かりそめ天国』で対抗したい。『Mステ』はおおむね8~9%程度ですが、裏が今より弱くなれば、2ケタも狙えると見込んでいるようです。音楽番組ですから、主たる視聴者は若年層であるため、8時台より9時台の方が、数字が獲れるとの算段なのでしょう」(テレビ制作関係者)

 各番組の放送時間は視聴者に浸透している。それを、これだけシャッフルするからには、混乱を招き、かえって視聴率を落とす懸念もある。果たして、テレ朝の大改革は実を結ぶのだろうか?

芸能人の肖像権侵害に薬機法違反 マツコや欅坂46も無断で登場「あなたにおすすめ」広告の闇

 NHK『クローズアップ現代+』で放送された『追跡!“フェイク”ネット広告の闇』。芸能人の写真を無断使用した広告が新聞社のニュースサイト等に掲載されていたことが報じられ、話題となった。また「あなたへのおすすめ」という形でメディアに掲載される広告には、薬機法に抵触するものも散見。放置されているのはなぜなのか?

 ニュースサイトで記事を読み終えたときに、関連記事に混じって「あなたにおすすめ」と表示される広告。読み終えた記事とは無関係な健康食品等を扱ったものも多く、「PR」という文字も小さくではあるが表示されているため、その存在を認識している人は多いだろう。

 これは「レコメンド・ウィジェット」と呼ばれる広告配信システムで表示されるもの。朝日新聞などの新聞社のニュースサイトから、サイゾーの運営する「日刊サイゾー」のようなサイトまで、多くのウェブメディアに導入されている。コンプレックスの改善を促すような文言に釣られ、自身を“情弱”と認めながらもついクリックしてしまう人もいるはずだ。だが、そのシステムで配信される広告が物議を醸している。

 きっかけになったのは、1月22日放送のNHK『クローズアップ現代+』の特集『追跡!“フェイク”ネット広告の闇』。特に注目されたのが、芸能人の写真を無断で使用・加工したり、体験談を捏造した健康食品やサプリの広告だ。番組ではマツコ・デラックスの画像や名前を無断使用した広告を取り上げ、新聞社のウェブサイトにもその手の広告が掲載されていたことが反響を呼んだ。

 なお、現在も無断使用とおぼしき広告が掲載されたままのサイトは多く残っているが、サイトの作りが明らかに荒いものが多く、画像の出典も不明なものが大半。メディアに掲載されている広告の文言では、芸能人の名前が使われているものの、リンク先に飛ぶと名前も画像も出てこない……というものもあった。

 なぜ、このようなタチの悪い詐欺まがいの広告が制作され、大手メディアに配信されてしまっているのか?

 まず取材に応えてくれたのは、レコメンド・ウィジェット広告事業を展開する、ネット広告配信会社の社員。芸能人の写真を無断使用する広告については、「以前から弊社で扱う広告の中にも疑わしいものがあり、対策を講じようとしていた」とのこと

「そんな時期に放送されたのが『クローズアップ現代+』の特集でした。レコメンド・ウィジェット広告では、広告配信を行う会社名が表示されていますし、大きな会社は我々を含めて9社ほどしかない。『クローズアップ現代+』で実名で報じられたのは1社のみですが、芸能人の肖像権侵害と思われる広告は、どの会社にも少なからずある。配信先のメディアでは地方新聞が名指しされていましたが、それ以外のニュースサイトでも配信されていました」(同)

 日本でレコメンド・ウィジェット広告を手がける代表的な企業は、LOGLY、Outbrain、popIn、Speeeや、この分野の世界的企業で、日本ではヤフーとビジネスを行っているTaboolaなど。サイバーエージェントやGMOインターネットもこの広告配信事業を手がけている。

 ネット広告配信会社の社員によると、現在はその多くの会社がチェック体制を厳格化し、肖像権侵害と思われる広告は減少しつつあるそうだ。ではなぜ、そうした広告が以前は放置されていたのか?

「レコメンド・ウィジェット広告は、記事を読み終えた人が自然にクリックしやすく、広告効果が非常に高い。業界も急成長中で、扱う広告の数も増え続けているため、単純にチェックが追いついていないのが原因のひとつでした」(同)

 なお芸能人の名前や写真が無断使用されていたのは、健康食品やサプリメントの広告。その手の広告では「芸能人の名前を使うだけでCTR(クリック率)が大きく上がる」(同)ということも、放置される原因となっていた。

「我々も大きな利益を上げられたため、厳しい取り締まりを迅速に行えなかった部分はありました。『クローズアップ現代+』の報道後は、芸能人との契約があるか否か、画像を使っている場合は出典がどこかを確認するようになりましたが、そこまで厳密なチェックを行わない会社は今もあると思います」(同)

 一方で、肖像権侵害の疑いがあるサイトは、「我々が配信をとりやめても、ランディングページは今も残っているところが多い」(同)とのこと。悪質な業者は、今も違う場所で集客を行っているわけだ。

「広告配信の審査を通すときだけ穏当なページを作り、いざ配信が始まったらランディングページを変えてしまう悪徳業者もいました。問い合わせ先の電話番号に連絡したら、ファミリーマートの店舗につながったこともありましたね(笑)。会社を売り逃げして、また別の会社を立ち上げて同じビジネスをしている人もいるでしょうし、イタチごっこのような状態が続いています」(同)

■薬機法の違反率は約7割という調査も

 レコメンド・ウィジェット広告の業界には、また別の問題も残っている。インターネット広告業界の不正対策事業に取り組んでおり、『クローズアップ現代+』の特集にも情報提供で協力した土橋一夫氏は次のように話す。

「特に問題なのは、薬機法違反と思われる広告が非常に多いことです。『クローズアップ現代+』の報道後は、芸能人の名前や写真を使った広告が減った代わりに、薬機法違反の広告はむしろ増えた印象があります」(土橋氏)

 薬機法違反の広告は、業界で以前から問題視されていたという。

「2017年12月にアフィリエイト業界の会合でJARO(日本広告審査機構)の方とお話したとき、『WELQ問題以降、ネット上では医学的に誤った情報を掲載するサイトは減少したが、薬機法に違反した商材を扱うサイトは減っておらず、広告枠を通じて集客を行うようになった』という話を聞きました」(同)

 WELQ問題とは、DeNAの医療系キュレーションメディア『WELQ』において、不正確な医療情報記事が大量公開されていた問題のこと。報道の加熱後は同サイトが閉鎖に追い込まれ、グーグルの検索結果の上位にも類似サイトの記事は表示されにくくなった。

「なお薬機法を無視した表現で集客を行うサイトは、そのサイト自体が検索上位に表示されてしまうと、不正の証拠が残りやすい。そのためウェブメディアの広告枠を利用することが多く、現在はレコメンド・ウィジェット広告の中に多く紛れ込んでいる状況なんです」(同)

 なお土橋氏は、著名人肖像権侵害サイト・薬機法違反サイト検知システム「ヤクパト」を運営。広告サイトを自動で収集し、その内容をチェックしている。

「将来的には違反の判定も自動化する予定ですが、現在は薬機法の知識を持った人を雇い、判定を行っています。現状では4441件の広告枠の調査を終えており、薬機法違反と判定した広告は509件。違反率は全体の11・5%になりました。なお薬機法の対象となる商品を扱った広告は747件。その商品のみに限ると、違反率は68・1%と、7割近い広告が違反となります」(同)

 なお、この数字にはNHKが報じた芸能人の肖像権侵害の広告などは含まれていない。「その手の広告や、詐欺まがいの情報商材の広告も含めれば、違法な広告の割合はさらに上がるでしょう」と土橋氏は話す。

「レコメンド・ウィジェット広告を手がける企業の中には、株式上場している企業もある。そのような企業が、1割を超えるようなボリュームで違法広告を扱っている状況は異常です。また、『クローズアップ現代+』の報道では、違法な広告サイトの制作・運営者としてアフィリエイターの存在がクローズアップされましたが、我々が薬機法違反と判定した広告のうち、アフィリエイターが関わっていることが確認できたのは3分の1程度。残りの3分の2は広告代理店が制作・運営をしているものと思われます。悪質なアフィリエイターも一部ではいますが、大部分は“企業犯罪”の話なんです」(同)

 では、具体的にはどのような表現が薬機法違反となるのか。

「わかりやすいものだとビフォー・アフターと言われる『使用前後表示』。ダイエット前後の変化の写真を掲載しているサイトは、薬機法違反になります。『○キロ痩せました』と書く『臨床結果言及』も違反で、医師推薦の表記も違反です。『最高』などの文言を使う『最高表示』も違反の一種で、『アミノ酸は脂肪を燃焼します。そのアミノ酸がこのサプリメントにはたくさん入っています』と、原料の効能に言及するのも違反です」(同)

 このような違反の基準を聞くと「それだと大半の広告が違反にならないか?」「そういった言葉や写真を使えなかったら、当たり障りのない広告しか作れないでしょ」と感じる人が多いだろう。

「おっしゃる通りですね。実際に大手の健康食品会社や、真面目に事業に取り組んでいる企業は、そうやって穏当な表現のみを使って広告を作っています。ただ、そのような広告はインパクトが弱いので、CTRは下がる。一方で、薬機法違反の表現を使えば、クリック率も購入率も上がり、高い収益を上げられます。そのため高額な広告費を支払えるので、広告枠のオークションでも、意図的に違反をした業者が勝ってしまうんです」(同)

 そのような流れで、レコメンド・ウィジェット広告の中には、薬機法違反の疑いが高い広告が蔓延しているわけだ。なお、広告配信会社が厳しくチェックを行い、「薬機法違反の疑いがあるものは掲載しない」という姿勢を明確にすれば、その手の広告は消えるはずなのだが……。

「適法性の確認には専門的な知識と時間が必要で、その作業を専門業者に依頼すると、ひとつのウェブページあたり5万円程度の費用が必要です。その点で、『薬機法に関わる広告は、すべて専門家にチェックしてもらう』というのは、採算面を考えると難しいでしょう。だからといって、『違法な広告が配信されるのは仕方ない』という態度は許されないと思います」(同)

 前出の広告配信会社の社員は、「薬機法に抵触する可能性のある表現が見られた場合は、修正をお願いしている」と話すが、配信している広告の数は膨大。チェックの時間を増やしても、対応が追いつかない部分があるという。

「薬機法違反かどうかの判断は非常に難しいですし、専門知識を持った人間が確認を行っている会社は少ないはずです。なお、我々が扱う広告の6割ほどは、ダイエットやシミ、シワ、バストアップ、ハゲ、口臭などに関わるコンプレックス商材。今は薬機法に関わるサプリメントや健康食品の広告には頼らざるを得ず、それに代わるジャンルは常に模索している状況です」(広告配信会社社員)

 そのため、薬機法の部分でグレーに見える広告も配信しているわけだ。

「『薬機法違反の疑いのある広告は掲載しません』という態度が正しいことはわかっていますが、正しいことをすると売り上げは減る。ウチの場合は利益を削る覚悟で基準を厳しくしていますが、『業界で基準を設けよう』という話が出ても、なかなか足並みは揃いません。そういった広告を必要悪として受け入れながら、『ウチの会社はどこまで踏み込んだことをやれるのか』というチキンレースを続けているのが、今のこの業界の現状なんです」(同)

 そんな業界の中には、感覚が麻痺しつつある人間もいるそうだ。

「ウェブ広告業界で影響力が強い方が、『ゴミ広告ばかりが配信されている状態=広告配信会社の業績がいい状態……となっている今、業界はどこへ向かうべきなのか』という趣旨のことをフェイスブックで書いたところ、あるレコメンド・ウィジェット広告配信会社の社員が反応。『「ゴミ広告」に助けられている人が少なからずいると思うのです』『美容健食コスメサプリなどの広告への業界関係者の厳しいヘイトについて疑問視しております』といった反論を述べてきたことがありました。“ヘイト”という言葉を使う感覚が異常だと思いますし、『その広告を配信している会社がそれを言うか?』と唖然としてしまいました」(土橋氏)

 悪質な広告の被害では、騙した側の広告主が非難され、騙された側の消費者が“情弱”とバカにされがちだが、広告を配信する側の人間も、その弱者を食い物にするビジネスに加担しているわけだ。

■違法広告を掲載するメディアにも責任が

 ここまでは違法広告が蔓延する現状について、主に広告配信会社の立場から考察を行ってきたが、この現状の責任は彼らだけにあるわけではない。

「広告を掲載するメディア側は、『広告配信会社がチェックしてくれているはずだ』と考えて、誰もチェックを行っていないのが現状でしょう。一方で広告配信会社は、広告主との契約時に『違法性のある表現は使用しないこと』と取り決めを行っているでしょうから、一義的な責任は広告主の側にあると考えているはずです」(土橋氏)

 そうやって責任の所在を不明にした状態で、今のネット広告の市場や、その収益に頼るウェブメディアは成り立っているのだ。

「朝日新聞のサイトにも、薬機法違反の疑いのある広告が混じっていますからね。そのためウェブメディアがこの問題を報じると、『じゃあお前のサイトに出てくる広告は大丈夫なのか?』という話になってしまう。それで事態の改善が進まない部分はあるでしょう」(同)

 皮肉なことに、この問題を報じたウェブメディアの記事でも、読み終えると「あなたにおすすめ」と薬機法違反の広告が表示されることが多かった。小社サイゾーの運営するサイトの収益や、筆者のような書き手の原稿料も、その一部は違法性の判断が難しい広告サイトから生まれていることも否定できない。責任を背負う覚悟と、身を切る覚悟は、広告に関わる全員に求められるのだ。

「その点で、私はウェブメディアの『ねとらぼ』に期待しています。『ねとらぼ』を運営するアイティメディア株式会社は、レコメンド・ウィジェット広告を手がけるログリー株式会社の株主でもある。『ねとらぼ』はネット上の問題を誠実に報じるサイトだと思いますし、株主の側から問題提起する報道が始まれば、業界は変わると思います」(土橋氏)

 そして土橋氏は「レコメンド・ウィジェット広告としては、健康食品・美容の広告を一律で配信停止にするのが現状で取りうる最善の対策ではないか」と語る。

「大量の広告が消え、利益は大きく下がるでしょうが、その代わりに単価は安くても別の広告が入るはずです。また、レコメンド・ウィジェット広告とは分野が違いますが、ヤフーやグーグルのサイトでは、違法性のある広告の比率が明らかに低い。それは広告と法律に対する会社の姿勢が明確だからだと思いますし、レコメンド・ウィジェット広告の分野でも、違法性のある広告は努力で減らせるはず」(土橋氏)

 先述の広告配信会社の社員も次なる一手を模索しているという。

「現在のウェブ広告の業界は、単価が高い少数の広告を厳密にチェックして配信する方法から、薄利多売の方向に移行する過度期にある。だからこそ多くの問題が起こっています。違法性のある広告の判定については、この先数年のあいだにAIがかなりの正確さで行えるようになるでしょう」(広告配信会社社員)

 さりとて、悪徳業者をレコメンド・ウィジェット広告の配信から排除しても、彼らはまた別の場所でビジネスを始めるだろう。

「『犯罪者が犯罪をする場所を変えているだけ』と言われたらそうかもしれませんし、その点には私もむなしさを感じています。ただ、だからといってレコメンド・ウィジェット広告が巨大な犯罪市場となっている現状は放置できない。この場所をきれいな状態にすることにも、犯罪者が一時的にでもビジネスをできない状態を作ることにも、私は価値があると思います」(土橋氏)

 ネットに限らず、雑誌の広告にも怪しげなコンプレックス商材は今も昔も多い。その広告費にビジネスが支えられてきたのは紛れもない事実だ。人間の抱えるコンプレックスも、「長生きしたい」「痩せたい」「きれいになりたい」といった欲望も、この先消えることはないだろう。肖像権侵害や薬機法違反の表現で、消費者を食い物にする広告を「情弱ビジネス」と片付けるのはたやすいが、この問題は企業もユーザーも向き合い続けていくべきものなのだ。(月刊サイゾー5月号『情弱ビジネスのカラクリ』より)

芸能人の肖像権侵害に薬機法違反 マツコや欅坂46も無断で登場「あなたにおすすめ」広告の闇

 NHK『クローズアップ現代+』で放送された『追跡!“フェイク”ネット広告の闇』。芸能人の写真を無断使用した広告が新聞社のニュースサイト等に掲載されていたことが報じられ、話題となった。また「あなたへのおすすめ」という形でメディアに掲載される広告には、薬機法に抵触するものも散見。放置されているのはなぜなのか?

 ニュースサイトで記事を読み終えたときに、関連記事に混じって「あなたにおすすめ」と表示される広告。読み終えた記事とは無関係な健康食品等を扱ったものも多く、「PR」という文字も小さくではあるが表示されているため、その存在を認識している人は多いだろう。

 これは「レコメンド・ウィジェット」と呼ばれる広告配信システムで表示されるもの。朝日新聞などの新聞社のニュースサイトから、サイゾーの運営する「日刊サイゾー」のようなサイトまで、多くのウェブメディアに導入されている。コンプレックスの改善を促すような文言に釣られ、自身を“情弱”と認めながらもついクリックしてしまう人もいるはずだ。だが、そのシステムで配信される広告が物議を醸している。

 きっかけになったのは、1月22日放送のNHK『クローズアップ現代+』の特集『追跡!“フェイク”ネット広告の闇』。特に注目されたのが、芸能人の写真を無断で使用・加工したり、体験談を捏造した健康食品やサプリの広告だ。番組ではマツコ・デラックスの画像や名前を無断使用した広告を取り上げ、新聞社のウェブサイトにもその手の広告が掲載されていたことが反響を呼んだ。

 なお、現在も無断使用とおぼしき広告が掲載されたままのサイトは多く残っているが、サイトの作りが明らかに荒いものが多く、画像の出典も不明なものが大半。メディアに掲載されている広告の文言では、芸能人の名前が使われているものの、リンク先に飛ぶと名前も画像も出てこない……というものもあった。

 なぜ、このようなタチの悪い詐欺まがいの広告が制作され、大手メディアに配信されてしまっているのか?

 まず取材に応えてくれたのは、レコメンド・ウィジェット広告事業を展開する、ネット広告配信会社の社員。芸能人の写真を無断使用する広告については、「以前から弊社で扱う広告の中にも疑わしいものがあり、対策を講じようとしていた」とのこと

「そんな時期に放送されたのが『クローズアップ現代+』の特集でした。レコメンド・ウィジェット広告では、広告配信を行う会社名が表示されていますし、大きな会社は我々を含めて9社ほどしかない。『クローズアップ現代+』で実名で報じられたのは1社のみですが、芸能人の肖像権侵害と思われる広告は、どの会社にも少なからずある。配信先のメディアでは地方新聞が名指しされていましたが、それ以外のニュースサイトでも配信されていました」(同)

 日本でレコメンド・ウィジェット広告を手がける代表的な企業は、LOGLY、Outbrain、popIn、Speeeや、この分野の世界的企業で、日本ではヤフーとビジネスを行っているTaboolaなど。サイバーエージェントやGMOインターネットもこの広告配信事業を手がけている。

 ネット広告配信会社の社員によると、現在はその多くの会社がチェック体制を厳格化し、肖像権侵害と思われる広告は減少しつつあるそうだ。ではなぜ、そうした広告が以前は放置されていたのか?

「レコメンド・ウィジェット広告は、記事を読み終えた人が自然にクリックしやすく、広告効果が非常に高い。業界も急成長中で、扱う広告の数も増え続けているため、単純にチェックが追いついていないのが原因のひとつでした」(同)

 なお芸能人の名前や写真が無断使用されていたのは、健康食品やサプリメントの広告。その手の広告では「芸能人の名前を使うだけでCTR(クリック率)が大きく上がる」(同)ということも、放置される原因となっていた。

「我々も大きな利益を上げられたため、厳しい取り締まりを迅速に行えなかった部分はありました。『クローズアップ現代+』の報道後は、芸能人との契約があるか否か、画像を使っている場合は出典がどこかを確認するようになりましたが、そこまで厳密なチェックを行わない会社は今もあると思います」(同)

 一方で、肖像権侵害の疑いがあるサイトは、「我々が配信をとりやめても、ランディングページは今も残っているところが多い」(同)とのこと。悪質な業者は、今も違う場所で集客を行っているわけだ。

「広告配信の審査を通すときだけ穏当なページを作り、いざ配信が始まったらランディングページを変えてしまう悪徳業者もいました。問い合わせ先の電話番号に連絡したら、ファミリーマートの店舗につながったこともありましたね(笑)。会社を売り逃げして、また別の会社を立ち上げて同じビジネスをしている人もいるでしょうし、イタチごっこのような状態が続いています」(同)

■薬機法の違反率は約7割という調査も

 レコメンド・ウィジェット広告の業界には、また別の問題も残っている。インターネット広告業界の不正対策事業に取り組んでおり、『クローズアップ現代+』の特集にも情報提供で協力した土橋一夫氏は次のように話す。

「特に問題なのは、薬機法違反と思われる広告が非常に多いことです。『クローズアップ現代+』の報道後は、芸能人の名前や写真を使った広告が減った代わりに、薬機法違反の広告はむしろ増えた印象があります」(土橋氏)

 薬機法違反の広告は、業界で以前から問題視されていたという。

「2017年12月にアフィリエイト業界の会合でJARO(日本広告審査機構)の方とお話したとき、『WELQ問題以降、ネット上では医学的に誤った情報を掲載するサイトは減少したが、薬機法に違反した商材を扱うサイトは減っておらず、広告枠を通じて集客を行うようになった』という話を聞きました」(同)

 WELQ問題とは、DeNAの医療系キュレーションメディア『WELQ』において、不正確な医療情報記事が大量公開されていた問題のこと。報道の加熱後は同サイトが閉鎖に追い込まれ、グーグルの検索結果の上位にも類似サイトの記事は表示されにくくなった。

「なお薬機法を無視した表現で集客を行うサイトは、そのサイト自体が検索上位に表示されてしまうと、不正の証拠が残りやすい。そのためウェブメディアの広告枠を利用することが多く、現在はレコメンド・ウィジェット広告の中に多く紛れ込んでいる状況なんです」(同)

 なお土橋氏は、著名人肖像権侵害サイト・薬機法違反サイト検知システム「ヤクパト」を運営。広告サイトを自動で収集し、その内容をチェックしている。

「将来的には違反の判定も自動化する予定ですが、現在は薬機法の知識を持った人を雇い、判定を行っています。現状では4441件の広告枠の調査を終えており、薬機法違反と判定した広告は509件。違反率は全体の11・5%になりました。なお薬機法の対象となる商品を扱った広告は747件。その商品のみに限ると、違反率は68・1%と、7割近い広告が違反となります」(同)

 なお、この数字にはNHKが報じた芸能人の肖像権侵害の広告などは含まれていない。「その手の広告や、詐欺まがいの情報商材の広告も含めれば、違法な広告の割合はさらに上がるでしょう」と土橋氏は話す。

「レコメンド・ウィジェット広告を手がける企業の中には、株式上場している企業もある。そのような企業が、1割を超えるようなボリュームで違法広告を扱っている状況は異常です。また、『クローズアップ現代+』の報道では、違法な広告サイトの制作・運営者としてアフィリエイターの存在がクローズアップされましたが、我々が薬機法違反と判定した広告のうち、アフィリエイターが関わっていることが確認できたのは3分の1程度。残りの3分の2は広告代理店が制作・運営をしているものと思われます。悪質なアフィリエイターも一部ではいますが、大部分は“企業犯罪”の話なんです」(同)

 では、具体的にはどのような表現が薬機法違反となるのか。

「わかりやすいものだとビフォー・アフターと言われる『使用前後表示』。ダイエット前後の変化の写真を掲載しているサイトは、薬機法違反になります。『○キロ痩せました』と書く『臨床結果言及』も違反で、医師推薦の表記も違反です。『最高』などの文言を使う『最高表示』も違反の一種で、『アミノ酸は脂肪を燃焼します。そのアミノ酸がこのサプリメントにはたくさん入っています』と、原料の効能に言及するのも違反です」(同)

 このような違反の基準を聞くと「それだと大半の広告が違反にならないか?」「そういった言葉や写真を使えなかったら、当たり障りのない広告しか作れないでしょ」と感じる人が多いだろう。

「おっしゃる通りですね。実際に大手の健康食品会社や、真面目に事業に取り組んでいる企業は、そうやって穏当な表現のみを使って広告を作っています。ただ、そのような広告はインパクトが弱いので、CTRは下がる。一方で、薬機法違反の表現を使えば、クリック率も購入率も上がり、高い収益を上げられます。そのため高額な広告費を支払えるので、広告枠のオークションでも、意図的に違反をした業者が勝ってしまうんです」(同)

 そのような流れで、レコメンド・ウィジェット広告の中には、薬機法違反の疑いが高い広告が蔓延しているわけだ。なお、広告配信会社が厳しくチェックを行い、「薬機法違反の疑いがあるものは掲載しない」という姿勢を明確にすれば、その手の広告は消えるはずなのだが……。

「適法性の確認には専門的な知識と時間が必要で、その作業を専門業者に依頼すると、ひとつのウェブページあたり5万円程度の費用が必要です。その点で、『薬機法に関わる広告は、すべて専門家にチェックしてもらう』というのは、採算面を考えると難しいでしょう。だからといって、『違法な広告が配信されるのは仕方ない』という態度は許されないと思います」(同)

 前出の広告配信会社の社員は、「薬機法に抵触する可能性のある表現が見られた場合は、修正をお願いしている」と話すが、配信している広告の数は膨大。チェックの時間を増やしても、対応が追いつかない部分があるという。

「薬機法違反かどうかの判断は非常に難しいですし、専門知識を持った人間が確認を行っている会社は少ないはずです。なお、我々が扱う広告の6割ほどは、ダイエットやシミ、シワ、バストアップ、ハゲ、口臭などに関わるコンプレックス商材。今は薬機法に関わるサプリメントや健康食品の広告には頼らざるを得ず、それに代わるジャンルは常に模索している状況です」(広告配信会社社員)

 そのため、薬機法の部分でグレーに見える広告も配信しているわけだ。

「『薬機法違反の疑いのある広告は掲載しません』という態度が正しいことはわかっていますが、正しいことをすると売り上げは減る。ウチの場合は利益を削る覚悟で基準を厳しくしていますが、『業界で基準を設けよう』という話が出ても、なかなか足並みは揃いません。そういった広告を必要悪として受け入れながら、『ウチの会社はどこまで踏み込んだことをやれるのか』というチキンレースを続けているのが、今のこの業界の現状なんです」(同)

 そんな業界の中には、感覚が麻痺しつつある人間もいるそうだ。

「ウェブ広告業界で影響力が強い方が、『ゴミ広告ばかりが配信されている状態=広告配信会社の業績がいい状態……となっている今、業界はどこへ向かうべきなのか』という趣旨のことをフェイスブックで書いたところ、あるレコメンド・ウィジェット広告配信会社の社員が反応。『「ゴミ広告」に助けられている人が少なからずいると思うのです』『美容健食コスメサプリなどの広告への業界関係者の厳しいヘイトについて疑問視しております』といった反論を述べてきたことがありました。“ヘイト”という言葉を使う感覚が異常だと思いますし、『その広告を配信している会社がそれを言うか?』と唖然としてしまいました」(土橋氏)

 悪質な広告の被害では、騙した側の広告主が非難され、騙された側の消費者が“情弱”とバカにされがちだが、広告を配信する側の人間も、その弱者を食い物にするビジネスに加担しているわけだ。

■違法広告を掲載するメディアにも責任が

 ここまでは違法広告が蔓延する現状について、主に広告配信会社の立場から考察を行ってきたが、この現状の責任は彼らだけにあるわけではない。

「広告を掲載するメディア側は、『広告配信会社がチェックしてくれているはずだ』と考えて、誰もチェックを行っていないのが現状でしょう。一方で広告配信会社は、広告主との契約時に『違法性のある表現は使用しないこと』と取り決めを行っているでしょうから、一義的な責任は広告主の側にあると考えているはずです」(土橋氏)

 そうやって責任の所在を不明にした状態で、今のネット広告の市場や、その収益に頼るウェブメディアは成り立っているのだ。

「朝日新聞のサイトにも、薬機法違反の疑いのある広告が混じっていますからね。そのためウェブメディアがこの問題を報じると、『じゃあお前のサイトに出てくる広告は大丈夫なのか?』という話になってしまう。それで事態の改善が進まない部分はあるでしょう」(同)

 皮肉なことに、この問題を報じたウェブメディアの記事でも、読み終えると「あなたにおすすめ」と薬機法違反の広告が表示されることが多かった。小社サイゾーの運営するサイトの収益や、筆者のような書き手の原稿料も、その一部は違法性の判断が難しい広告サイトから生まれていることも否定できない。責任を背負う覚悟と、身を切る覚悟は、広告に関わる全員に求められるのだ。

「その点で、私はウェブメディアの『ねとらぼ』に期待しています。『ねとらぼ』を運営するアイティメディア株式会社は、レコメンド・ウィジェット広告を手がけるログリー株式会社の株主でもある。『ねとらぼ』はネット上の問題を誠実に報じるサイトだと思いますし、株主の側から問題提起する報道が始まれば、業界は変わると思います」(土橋氏)

 そして土橋氏は「レコメンド・ウィジェット広告としては、健康食品・美容の広告を一律で配信停止にするのが現状で取りうる最善の対策ではないか」と語る。

「大量の広告が消え、利益は大きく下がるでしょうが、その代わりに単価は安くても別の広告が入るはずです。また、レコメンド・ウィジェット広告とは分野が違いますが、ヤフーやグーグルのサイトでは、違法性のある広告の比率が明らかに低い。それは広告と法律に対する会社の姿勢が明確だからだと思いますし、レコメンド・ウィジェット広告の分野でも、違法性のある広告は努力で減らせるはず」(土橋氏)

 先述の広告配信会社の社員も次なる一手を模索しているという。

「現在のウェブ広告の業界は、単価が高い少数の広告を厳密にチェックして配信する方法から、薄利多売の方向に移行する過度期にある。だからこそ多くの問題が起こっています。違法性のある広告の判定については、この先数年のあいだにAIがかなりの正確さで行えるようになるでしょう」(広告配信会社社員)

 さりとて、悪徳業者をレコメンド・ウィジェット広告の配信から排除しても、彼らはまた別の場所でビジネスを始めるだろう。

「『犯罪者が犯罪をする場所を変えているだけ』と言われたらそうかもしれませんし、その点には私もむなしさを感じています。ただ、だからといってレコメンド・ウィジェット広告が巨大な犯罪市場となっている現状は放置できない。この場所をきれいな状態にすることにも、犯罪者が一時的にでもビジネスをできない状態を作ることにも、私は価値があると思います」(土橋氏)

 ネットに限らず、雑誌の広告にも怪しげなコンプレックス商材は今も昔も多い。その広告費にビジネスが支えられてきたのは紛れもない事実だ。人間の抱えるコンプレックスも、「長生きしたい」「痩せたい」「きれいになりたい」といった欲望も、この先消えることはないだろう。肖像権侵害や薬機法違反の表現で、消費者を食い物にする広告を「情弱ビジネス」と片付けるのはたやすいが、この問題は企業もユーザーも向き合い続けていくべきものなのだ。(月刊サイゾー5月号『情弱ビジネスのカラクリ』より)

芸能界を生き延びる、ヒロミの処世術

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(6月9~15日))に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

マツコ・デラックス「闇が深いもん。だから大丈夫です」

「私、マジメに山里さんロスで」

 株式トレーダーの若林史江はそう語る。10日の『5時に夢中!』(TOKYO MX)で、蒼井優と結婚した山里亮太が株を上げているという記事が取り上げられたときのことだ。

「今まで芸能人にそういう思いって抱いたことがないんですけど、ネットの記事が見られないぐらい。一時期、あの2人の記事ばっかだったじゃないですか。それがツラくて見られないぐらい、山里さんロスなの」

 若林いわく、芸能人を本気で好きになることが自分は今までなかった。そんな自分にとって、山里は初めて本気になったテレビの中の人だ。前からさわやかでカッコいいと思っていたが、先日初めて山里に会い、その印象が正しいことを再認識した。もしも時間が巻き戻せて自分が未婚のときに出会っていたら、山里に積極的にアプローチしたかもしれない。そのぐらい、どストライクだ――。若林はそう熱く語る。

 結婚会見後、山里はさまざまに再評価された。「前から頭がいいと思っていた」「カッコいいと思っていた」「誠実だと思っていた」。そういったコメントであふれ、先週もまだその余波が残っていた。しかし、そんな手のひら返しとは一線を画す、若林の本気度。横に座るマツコ・デラックスも、「ホントなんです」とお墨付きを与える。さすが、同じ手のひら返しでも勢いが違う。

 また、マツコは言う。しばらく前から、山里は幸せそうな顔をしていた。だから、「手に入れてしまった人間は、面白くないわね」というようなイジりを、結婚発表前から山里にしてしまっていた。こんなことになるとは思わなかったので、先日メールで山里に謝罪した。

 そして、MCのふかわりょうに「山里さん、今後の身の振り方は……」と尋ねられると、マツコはこう答えた。

「あの人はね、根深いからね。幸せになったぐらいじゃ変わらないと思う。闇が深いもん。だから大丈夫です」

 ラジオでも、伊集院光が同じような話をしていた(『伊集院光の深夜の馬鹿力』TBSラジオ) 。コンプレックスキャラの自分が幸せになると、面白くなくなるのではないか。そんな悩みを山里は抱いているようだが、大丈夫だ。自分と山里が同じような「心底ねじくれ曲がった心」の持ち主と仮定するならば、いくら周囲の環境が良くなっても、己の内側からどんどん黒いもの、いがらっぽいものは湧き出てくる。元アイドルと結婚した自分が、それを保証する。

「だから山里くん、なんの問題もない。どんなに一瞬幸せみたいなものをつかもうがね、僕と山里くんが同じだとするならばですけれども、一切それはなくなりませんから。これを祝福の言葉と代えさせていただきます」

 自分の底にあるものは簡単には変わらない。でも、大丈夫だ。だからこそ、大丈夫だ。おめでとう。おそらく、それぞれが山里と同じ根を持っていると感じているのだろう2人の祝辞は、示し合わせることなく似通っていた。

 環境が変わっても、年齢を重ねても、人間の根はあまり変わらない。11日放送の『火曜サプライズ』(日本テレビ系)を見て、あらためてそんなことを考えた。この日のゲストは新作映画の公開を控えた岡田准一と木村文乃。ヒロミと一緒に、東京の下町・亀戸を巡るロケをしていた。

「こんにちは、山瀬まみです」

 そう言って登場したヒロミは、ゲストの2人を招く前に、こんなことを語った。

「今回のゲストが、あまりロケバラエティでロケに出るっていうのがないっていうね、なかなかの俳優さんと女優さんなんですが。ちょっと大物感が漂っててですね、僕あんまりそういうのダメなんですよ。やっぱりISSAあたりが一番雑に扱えるので。ゲストさんが大物だと、ちょっと僕あんまり味出せないんですけども」

 この導入、俳優がバラエティ番組で立ち回りやすいような配慮、状況設定でもあるだろう。岡田については『学校へ行こう!』(TBS系)などでロケの経験を積んでいると思うが、それはひとまず置いておく。

 だが、その上で、やはり引っかかる。若手ながら「大物」の俳優や歌手に物怖じせずツッコんだり、「タメ口」をきいたりする。それが、ヒロミのテレビタレントとしてのスタートだったはずだ。しかし、そんなヒロミが、「大物」と一緒のロケでは自分の持ち味が出せないという。自身のこれまでの経歴を改変しているようにも聞こえる。

 しかし、これは改変というより、ヒロミのポジションの変化を表す言葉なのだろう。いまやヒロミも54歳。芸能界の中でも、「大物」と呼ばれる立場に足を踏み入れようかという年齢である。そんな彼が年下の俳優を相手に高圧的な態度に出た場合、少し間違えれば視聴者からバッシングを浴びてしまう。

 だから、少し自虐を交えつつ、先回りして相手を「大物」と持ち上げ、自分を「小物」に位置付ける。そんな相関図を描くのは、かつてのように「小物」から「大物」に果敢にツッコミを入れていく姿を演出するためではもちろんなく、自身の言動が権力関係を背景とした威圧的なもの、すなわちパワハラに映るのをできる限り避けるためだろう。改変されているのはヒロミの経歴というより、ヒロミをめぐる権力関係である。

 他方でヒロミは、「ISSAあたりが一番雑に扱えるので」と一言添えることを忘れない。林家こぶ平(現・正蔵)に対するかつてのヒロミの振る舞いは、今で言えばハラスメントを想起させやすいものだった。自分より「弱い」相手に対しては、明確にマウントを取っていく。そんな昔から変わらないヒロミ、時代の変化に抵抗する「ヤンチャ」なヒロミの位置取りが、ここではあえて誇示されている。

 この二面性は、何を意味しているのか?

「『火曜サプライズ』 のロケは初めてですか?」

 岡田と木村にそう尋ねたヒロミは、「大人」としてロケをうまく回すことを約束する。

「大丈夫です。僕ですから、一緒にやるのが。すっげーちゃんと短めにやりますから。任せてください。これが若手だとね、結構チンタラやるんですよ。ここはもう大人ですから。スタッフにガッといっちゃいますから。殺しちゃいますから」

 ヒロミは、ある世代の屈折を体現しているように見える。今ならハラスメントになる言動があまり問題にされず飛び交っていた時代を、若手として生きてきた。しかし、自身が年長者になると、時代はハラスメントに敏感なものに移り変わっていた。そんな世代の、特に男性の屈折を、である。

 一方に、ハラスメントの加害者と指弾されないための身の処し方を心得て、実践するヒロミがいる。他方に、それはあくまでも「身の処し方」であること、時代の変化に完全に染まらずに逸脱する俺が思わず出ちゃうことを随所でアピールするヒロミがいる。同じ屈折を抱える者たちに、「やりにくい時代っすね」とでもいうようなメッセージを目配せで送る。そういう二面性の出し入れで生き残る。ヒロミ流、ハラスメント告発社会の泳ぎ方というか。いや、それは別にヒロミの専売特許ではなく、同様の泳法を身につけた小さなヒロミは、そこらへんにいくらでもいるのかもしれない。

 今の自分は「いい人キャンペーン」をやっている。テレビから一度姿を消し、その後、あらめて露出を増やし始めたころのヒロミは、しきりにそう言っていた。そんなヒロミに、山里がこうツッコんだことがある(『ナカイの窓』日本テレビ系、2014年10月8日)。

「絶対にいい人は、それを言わないんですけどね」

 なるほど、人の根は深い。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

芸能界を生き延びる、ヒロミの処世術

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(6月9~15日))に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

マツコ・デラックス「闇が深いもん。だから大丈夫です」

「私、マジメに山里さんロスで」

 株式トレーダーの若林史江はそう語る。10日の『5時に夢中!』(TOKYO MX)で、蒼井優と結婚した山里亮太が株を上げているという記事が取り上げられたときのことだ。

「今まで芸能人にそういう思いって抱いたことがないんですけど、ネットの記事が見られないぐらい。一時期、あの2人の記事ばっかだったじゃないですか。それがツラくて見られないぐらい、山里さんロスなの」

 若林いわく、芸能人を本気で好きになることが自分は今までなかった。そんな自分にとって、山里は初めて本気になったテレビの中の人だ。前からさわやかでカッコいいと思っていたが、先日初めて山里に会い、その印象が正しいことを再認識した。もしも時間が巻き戻せて自分が未婚のときに出会っていたら、山里に積極的にアプローチしたかもしれない。そのぐらい、どストライクだ――。若林はそう熱く語る。

 結婚会見後、山里はさまざまに再評価された。「前から頭がいいと思っていた」「カッコいいと思っていた」「誠実だと思っていた」。そういったコメントであふれ、先週もまだその余波が残っていた。しかし、そんな手のひら返しとは一線を画す、若林の本気度。横に座るマツコ・デラックスも、「ホントなんです」とお墨付きを与える。さすが、同じ手のひら返しでも勢いが違う。

 また、マツコは言う。しばらく前から、山里は幸せそうな顔をしていた。だから、「手に入れてしまった人間は、面白くないわね」というようなイジりを、結婚発表前から山里にしてしまっていた。こんなことになるとは思わなかったので、先日メールで山里に謝罪した。

 そして、MCのふかわりょうに「山里さん、今後の身の振り方は……」と尋ねられると、マツコはこう答えた。

「あの人はね、根深いからね。幸せになったぐらいじゃ変わらないと思う。闇が深いもん。だから大丈夫です」

 ラジオでも、伊集院光が同じような話をしていた(『伊集院光の深夜の馬鹿力』TBSラジオ) 。コンプレックスキャラの自分が幸せになると、面白くなくなるのではないか。そんな悩みを山里は抱いているようだが、大丈夫だ。自分と山里が同じような「心底ねじくれ曲がった心」の持ち主と仮定するならば、いくら周囲の環境が良くなっても、己の内側からどんどん黒いもの、いがらっぽいものは湧き出てくる。元アイドルと結婚した自分が、それを保証する。

「だから山里くん、なんの問題もない。どんなに一瞬幸せみたいなものをつかもうがね、僕と山里くんが同じだとするならばですけれども、一切それはなくなりませんから。これを祝福の言葉と代えさせていただきます」

 自分の底にあるものは簡単には変わらない。でも、大丈夫だ。だからこそ、大丈夫だ。おめでとう。おそらく、それぞれが山里と同じ根を持っていると感じているのだろう2人の祝辞は、示し合わせることなく似通っていた。

 環境が変わっても、年齢を重ねても、人間の根はあまり変わらない。11日放送の『火曜サプライズ』(日本テレビ系)を見て、あらためてそんなことを考えた。この日のゲストは新作映画の公開を控えた岡田准一と木村文乃。ヒロミと一緒に、東京の下町・亀戸を巡るロケをしていた。

「こんにちは、山瀬まみです」

 そう言って登場したヒロミは、ゲストの2人を招く前に、こんなことを語った。

「今回のゲストが、あまりロケバラエティでロケに出るっていうのがないっていうね、なかなかの俳優さんと女優さんなんですが。ちょっと大物感が漂っててですね、僕あんまりそういうのダメなんですよ。やっぱりISSAあたりが一番雑に扱えるので。ゲストさんが大物だと、ちょっと僕あんまり味出せないんですけども」

 この導入、俳優がバラエティ番組で立ち回りやすいような配慮、状況設定でもあるだろう。岡田については『学校へ行こう!』(TBS系)などでロケの経験を積んでいると思うが、それはひとまず置いておく。

 だが、その上で、やはり引っかかる。若手ながら「大物」の俳優や歌手に物怖じせずツッコんだり、「タメ口」をきいたりする。それが、ヒロミのテレビタレントとしてのスタートだったはずだ。しかし、そんなヒロミが、「大物」と一緒のロケでは自分の持ち味が出せないという。自身のこれまでの経歴を改変しているようにも聞こえる。

 しかし、これは改変というより、ヒロミのポジションの変化を表す言葉なのだろう。いまやヒロミも54歳。芸能界の中でも、「大物」と呼ばれる立場に足を踏み入れようかという年齢である。そんな彼が年下の俳優を相手に高圧的な態度に出た場合、少し間違えれば視聴者からバッシングを浴びてしまう。

 だから、少し自虐を交えつつ、先回りして相手を「大物」と持ち上げ、自分を「小物」に位置付ける。そんな相関図を描くのは、かつてのように「小物」から「大物」に果敢にツッコミを入れていく姿を演出するためではもちろんなく、自身の言動が権力関係を背景とした威圧的なもの、すなわちパワハラに映るのをできる限り避けるためだろう。改変されているのはヒロミの経歴というより、ヒロミをめぐる権力関係である。

 他方でヒロミは、「ISSAあたりが一番雑に扱えるので」と一言添えることを忘れない。林家こぶ平(現・正蔵)に対するかつてのヒロミの振る舞いは、今で言えばハラスメントを想起させやすいものだった。自分より「弱い」相手に対しては、明確にマウントを取っていく。そんな昔から変わらないヒロミ、時代の変化に抵抗する「ヤンチャ」なヒロミの位置取りが、ここではあえて誇示されている。

 この二面性は、何を意味しているのか?

「『火曜サプライズ』 のロケは初めてですか?」

 岡田と木村にそう尋ねたヒロミは、「大人」としてロケをうまく回すことを約束する。

「大丈夫です。僕ですから、一緒にやるのが。すっげーちゃんと短めにやりますから。任せてください。これが若手だとね、結構チンタラやるんですよ。ここはもう大人ですから。スタッフにガッといっちゃいますから。殺しちゃいますから」

 ヒロミは、ある世代の屈折を体現しているように見える。今ならハラスメントになる言動があまり問題にされず飛び交っていた時代を、若手として生きてきた。しかし、自身が年長者になると、時代はハラスメントに敏感なものに移り変わっていた。そんな世代の、特に男性の屈折を、である。

 一方に、ハラスメントの加害者と指弾されないための身の処し方を心得て、実践するヒロミがいる。他方に、それはあくまでも「身の処し方」であること、時代の変化に完全に染まらずに逸脱する俺が思わず出ちゃうことを随所でアピールするヒロミがいる。同じ屈折を抱える者たちに、「やりにくい時代っすね」とでもいうようなメッセージを目配せで送る。そういう二面性の出し入れで生き残る。ヒロミ流、ハラスメント告発社会の泳ぎ方というか。いや、それは別にヒロミの専売特許ではなく、同様の泳法を身につけた小さなヒロミは、そこらへんにいくらでもいるのかもしれない。

 今の自分は「いい人キャンペーン」をやっている。テレビから一度姿を消し、その後、あらめて露出を増やし始めたころのヒロミは、しきりにそう言っていた。そんなヒロミに、山里がこうツッコんだことがある(『ナカイの窓』日本テレビ系、2014年10月8日)。

「絶対にいい人は、それを言わないんですけどね」

 なるほど、人の根は深い。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

「人気者なのに孤独……」マツコ・デラックスは東京の縮図?

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(5月26~6月1日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

野村克也「みなさん、奥さんいらっしゃるでしょ?」

 26日の大相撲夏場所、千秋楽。NHKの中継にチャンネルを合わせると、安倍首相と観戦に来ていたトランプ大統領が、升席の櫻井よしこらと握手をする姿が映し出されていた。当事者の間でどういう段取りがあったのかはわからないけれど、交わりそうなものが交わったこういう瞬間をテレビで目にすると、そのあまりの当てはまりの良さに「お!」と思ったりもする。でも、テレビを見ていてより興奮するのは、本来交わるはずのないものが交わるときだったりする。

 たとえば、28日放送の『ごごナマ』(NHK総合)のひとコマ。元プロ野球選手・監督の野村克也氏が、一昨年に亡くなった、サッチーこと沙知代夫人との思い出についてトークをしていた。そして、最愛の妻が不在となり「男の弱さ」を感じる日々だとボヤく中で、野村はその場の男性たちにこう問いかけるのだった。

「みなさん、奥さんいらっしゃるでしょ?」

 困ったのは、番組ホストの船越英一郎である。野村から唐突に話を振られ、「えーと、ハイ……あ、ハイじゃない」と、うろたえながら答えるのだった。

 芸能人のゴシップなど知らないのだろう野村と、いろいろあって同じく一昨年に調停離婚が成立した船越の、衝突事故のような交わり。ただ、この船越のうろたえに、予定調和的なものを感じなくもない。一連の離婚騒動の受け流し方もすでに心得ているであろう船越は、女性から電話がかかってくるとサッチーによく携帯を折られたという野村のエピソードに、「どうして女の方は、そう携帯電話を折るんでしょうね?」と、積極的に自虐で応じるのだから。

 もっと素朴な偶然の出会いは、街の中にある。27日放送の『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)。地方から上京してきた新入生や新社会人への街頭インタビューの企画で、青森出身の女子大学生2人組がマイクを向けられていた。どんな大学生活を送りたいか聞かれた2人は、「チャランポランな大人になりたくない」と返答。そこに割って入ったのが、通りすがりの高齢女性だ。自分も青森出身だと話す彼女は、「結構私、有名でさ」と自己紹介を始めた。

「テキーラババアで有名。テキーラをガバガバ飲むの。今日も5時まで飲んでた」

 そんな“テキーラババア”は、自炊に悩んでいるという2人に、こう助言するのだった。

「吉野家があるから。300円の定期買えば80円引き」

 チャランポランな大人になりたくない。そんな思いを抱いて地方から東京にやってきて、人生をここから始めようとする若者が、チャランポランの見本のような人に出会ってしまう。そして、自分がなりたくない大人、しかも自分と同じ青森から数十年前に上京してきたのであろう高齢女性から、都市生活者のライフハックを教わる。

 街では、本来交わるはずのなかったものが交わる。日本で最も大きな街、東京で起きた小さな偶然の交わりに、人生の哀愁を感じつつ、笑ってしまった。

 街は偶然の出会いを演出する。そんな街は、人から名前を奪う場所でもある。今からコンビニに買い物に行くとして、路上ですれ違った人たちや、店内で出会った客の名前を、僕はひとりも知らないだろう。見えているのに、わからない。ある程度の大きさの街であれば、人はみなそこで匿名になる。

 そんなどこかで聞いた話を、27日放送の『5時に夢中!』(TOKYO MX)を見ていて思い出した。マツコ・デラックスが、自分の名前についてこんなことを話していたからだ。

「アタシはもうほとんど……そうね、99.9%、『マツコ』か『マツコさん』かで呼ばれるじゃん。なんかね……なんていうんだろう、これが本名みたいな感覚なんだよね、もう今。たまに公的な場所とか行くとさ、本名で呼ばれるじゃない。『バカじゃない?』って思うの。自分で自分のことをね」

 マツコがテレビで活躍し始めたのは2000年代の後半から。10年ほどで、その名前は全国津々浦々、老若男女に知れ渡った。かつて『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で日本の著名人の知名度ランキングが作られた際、マツコは7位、知名度は93.9%。これは、笑福亭鶴瓶(知名度93.0%)の上、黒柳徹子(同94.1%)の下である。

 そんなマツコは言うのだ。「マツコ」という芸名は、すでに自分の感覚では本名のようになっている。本名を公的な場所で呼ばれると、自分で自分のことを「バカじゃない?」と思ってしまう、と。

 つまり、マツコは本名でいるときのほうが、匿名になっている。この逆説。東京で生きるマツコには、誰もが本名を持ちながらも匿名になってしまう都市の本質が、濃縮されているかのようだ。さまざまな知識(情報)や食べ物(欲望)を内に抱えた大きな体が、東京の縮図としての印象をさらに強くする。名前も知らない青森出身の女子大学生と“テキーラババア”の出会いもまた、そんなマツコの番組内で起きた。

 マツコには、ほかの著名人とは大きく違う点がある。プライベートの姿をほとんどの人が知らないし、想像も難しいことだ。ゴシップ写真などで「素顔」を目にする機会はあるかもしれない。けれど、プライベートを過ごす実物を街で見かけて「マツコだ!」とすぐに気づくかというと、難しいところだろう。これが鶴瓶や徹子なら、多くの人が気づく。

 ほとんど誰からも芸名を知られたその人は、ほとんど誰からも本名を呼ばれることがない。姿を認知されることもない。そして数少ない本名で呼ばれる機会も、本人からして違和感を覚えてしまっている。体から本名が、剥離してゆく。

 マツコはよく、こんなことを口にする。

「いま仕事しか生きがいないから。だからたぶん、いま神輿に担がれてる状態が終わって、パーンって突き飛ばされて、地べたに転がったら、みんなからボコボコに蹴られて、そのときに初めて『あぁ私は孤独なんだ』って、やっとホントに認識できるんだと思うのよ」(『行列のできる法律相談所』日本テレビ系、2015年4月12日)

 テレビの外に、マツコはいない。テレビの外にいるのは、名もなき大きな人だ。マツコがテレビで幾度も口にする自身の孤独。僕などがその孤独を理解できるわけではないけれど、巨大な街のどこかにいるその人の深い孤独のほんの一端を、ひとりの都市生活者として垣間見た気がした。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

マツコ・デラックスの“朝の占い不要論”にテレビ関係者が反論「あれはタイマー」

 タレントのマツコ・デラックスが、朝のワイドショーで放送される占いコーナーについて「やめよう、あんな子ども騙し」と提言し、ネット上で同調する声が相次いでいる。

 マツコは24日放送の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、「私、朝から占いするのってどうかと思うよ」「変なじゃんけんとかさ。動物が走って、『たぬきが1位になったら、なになに』とかやってるじゃない? やめよう、あんな子ども騙し」とばっさり。有吉弘行も「手相の島田(秀平)が『毎日の占いはインチキだ』って言ってた」と続けた。

 この意見に対し、ネット上では「わかる! あれいらないよ」「朝から『残念』とか『アンラッキー』とか言われると気分悪い」「あの無駄な時間を、報道にあててほしい」「毎日、水卜ちゃんに『ごめんなさい』って謝らせるのやめてほしい」といった声が上がる一方、「中学生の娘は楽しんで見てるよ」「若い子は、結構気にしてると思う」「子どもが楽しんでるんだから、子ども騙しでいいじゃん」といった意見も。

 また、24日放送の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)に出演した女優の岡田奈々は、『めざましテレビ』(フジテレビ系)で5時58分頃に放送されるミニコーナー「めざましジャンケン」を見るために毎日早起きしていると告白。その理由を、独身のため「他にじゃんけんする人がいない」と説明していた。

 なお、『めざましテレビ』では、4時58分頃、5時58分頃、6時58分頃、7時58分頃の計4回にわたって「紙兎ロペまち占い」と「今日の占いCOUNTDOWN」を放送。監修は占い師のムーンプリンセス妃弥子氏で、4月26日の1位はやぎ座、ラッキーアイテムは「ポップコーン」だった。

 一方、日本テレビ『スッキリ』では、天星術の星ひとみ氏監修による「スッキりす誕生月占い」を放送。TBSの『はやドキ!』では、開運研究家の宇月田麻裕氏監修による「ぐでたま占い」。テレビ朝日の『グッド!モーニング』は、“シノワズリ占星術”の神野さち氏による「ゴーゴーほし占い」が放送されている。また、TBSラジオ『生島ヒロシのおはよう一直線』の「今日の運勢」をはじめ、ラジオでも占いコーナーは定着しているようだ。

「放送作家時代に朝の占いコーナーを担当していた脚本家の三谷幸喜が、広辞苑を開いてラッキーアイテムを選んでいたというエピソードが有名ですが、最近はどのワイドショーも名のある占い師に依頼していますよ。また、『めざましテレビ』が1時間ごとに占いを放送していることからもわかるとおり、ワイドショーの占いコーナーは“タイマー代わり”。同じ時間に同じコーナーを放送することで、視聴者の朝の身支度や家を出るタイミングの目安にしてもらっています。そうやって日々の行動とテレビ視聴をリンクさせることで、番組視聴を習慣づけさせる効果があるんです。まあ、内容は占いじゃなくてもいいんですが……」(テレビ関係者)

 賛否両論を巻き起こしているマツコの一声。内容よりも習慣の刷り込みに意味があるようだが、果たして“占い”が最適なのだろうか?

工藤静香の“特製レタスシュウマイ”に、ネットはドン引き! 明石家さんまやマツコ・デラックスにとばっちりが……

 昨年から独創的で斬新な手料理をInstagramにて披露し、毎回ネットで話題になっている工藤静香。そんな彼女のお料理シリーズに、新たなレシピが追加され、ネットをざわつかせている。

 工藤は3月20日、Instagramのストーリー機能へ画像を投稿。画像に映っていたのは、何かをレタスで巻いた物体が蒸し器に並べられているというもので、画像には「買ったシュウマイの皮が行方不明。レタスで巻いてみました」との工藤からのメッセージが綴られていた。

 シュウマイの皮がなくなり、とっさに思いついたのか、またまた斬新なアイディアを披露した工藤。これに対し、ファンからは「すごい!」といった声が上がっていたが、ネットはそのような声は皆無。ネットの掲示板では投稿直後、すぐに話題となったようで、「レタスしなしなでまずそう」「この形はレタスシュウマイじゃないよね?」「シュウマイじゃなく、これじゃロールレタスじゃん!」といった声が殺到し、炎上している。

「今回の投稿は斬新すぎるため、工藤さん本人としては『シュウマイの皮がなくても、何かでアレンジできる私ってすごいでしょ』とのアピールの意図もあったのかもしれませんね。ですが、いかんせん、過去の料理からもわかるように、見た目や盛り付け、さらには食材の組み合わせセンスがない。炎上するのもこれじゃ仕方ないですよね」(料理評論家)

 このような、彼女への批判が多く上がっている一方で、彼女の親しい知人たちにもとばっちりのような声が聞こえているという。

「過去に放送されたテレビ番組で静香さんと親しくしている明石家さんまさんやマツコ・デラックスさんが『彼女の料理はおいしかった!』と絶賛し、フォローしていたことがありました。しかし、この連日のように投稿される汚料理のせいで、ネットでは2人に対し、『本当かよ』『舌音痴だろ』『いいもの食べてないんだろうね~』との声が続々と上がっており、とばっちりを受けている状態。特にマツコさんに関しては、『マツコの知らない世界』(TBS系)でよく食レポしていますが、『静香の料理を褒めるやつだからな。信用ならない!』とまで言われてしまっていますよ(笑)」(芸能ライター)

 自分だけならまだしも、周囲にも被害を与えてしまっている汚料理投稿。いつになったら投稿をやめるのだろうか……。

ケンドーコバヤシは「悔しい」と言った……テレビのコンプライアンスと『マツコ&有吉』

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(1月27~2月2日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

 

■ケンドーコバヤシ「もどかしい、悔しい。感情で言うたらそれやね」

 最近のテレビはコンプライアンスが厳しくなっている、みたいなことを聞くようになって久しい。ただ、そういう話は本来、テレビを作っている人たちの間で話されていればいいことだ。視聴者がそういう情報を事前に提供されてテレビを観ているというのは、よく考えると不思議な話である。

 もしかすると、そのあたりの裏事情を差し引いてテレビをお楽しみくださいということなのだろうか。なんだか、プロ野球を観に行ったら、試合前にアナウンスで「今日はローテーションの谷間です。各自お察しください」と言われているような。いや、そうかもしれないけれど、わざわざそちらから言うことじゃない。

 毎回3人の芸能人・著名人が集まりトークを繰り広げる『ボクらの時代』(フジテレビ系)。3日の放送には、大阪NSCで同期生だった陣内智則、たむらけんじ、ケンドーコバヤシの3人が登場した。

 トークの終盤、話題は3人が感じている現在のテレビの苦境に及ぶ。自分たちが子どものころ観て育ったテレビは、ビートたけしの番組をはじめ、なんでもありだった。ただただ何も考えずに笑えた。そして、同じようなことがしたいと思って自分たちも芸人の世界に入ってきた。

 でも、実際に芸人になり、テレビで活躍できるようになった今、テレビの状況はどうだろう? 食べ物を粗末に扱うのはアウトだし、ちょっとしたツッコミで頭を叩いても視聴者からお叱りが飛んでくる。自分たちが恋い焦がれたテレビの世界が、やりたいことができないところになってきている。そんな現状に対し、ケンコバは自分の思いを次のように吐露する。

「もどかしい、悔しい。感情で言うたらそれやね」

 陣内はネガティブな展望を語る。以前のテレビに戻ることはもうないだろう。これからむしろ、もっと厳しくなるのではないか。

 対して、ケンコバはポジティブに切り返す。俺は昔の状況にテレビは戻ると思う。なぜか。

「みんなちょっと嫌気さしてるやん。テレビ業界の人だけじゃなくて、一般の人もしゃべってみたら、今なんかもう『堅苦しい』『息苦しい』って言うてるけどね」

 これからのテレビのお笑い番組が、もっと表現上の制約を受けることになるのか、それとも昔のような状況に戻ることがあるのか、それはよくわからない。けれど、テレビのバラエティ番組の第一線で活躍している芸人が、「テレビはいま厳しいんです」という話をして、それが娯楽として視聴者に提供されるというのは、いまやお馴染みの光景ではあるけれど、なんだか不思議なことだとあらためて思う。

 もちろん、野球ファンがローテーションの谷間への対処を含めてペナントレースを楽しんでいるように、テレビの裏事情を込みで楽しむというテレビの観方もあるのだろう。個人的にはテレビの裏事情的なことをそこまで考慮したくないのだけれど、テレビに関してこうやって毎週書いている僕自体が、そういう楽しみ方とまったく無縁だとも思えない。

 けれど、出演者のほうからテレビの苦境に関する情報が大いにお届けされ、「最近のテレビはコンプライアンスが厳しい」という情報を込みで楽しむテレビ視聴が進むとすると、それはやっぱり、今回の3人が郷愁を覚えていたような「ただただ何も考えずに笑えた」テレビからは、離れていってしまうようにも思う。「ただただ何も考えずに笑えた」テレビの良し悪しの評価は置いておくとして。

 というか、今のテレビが昔よりつまらなくなっているとは思わないけどな。ケンコバも陣内も面白くて好きな芸人だ。たむけんについては、各自お察しください。

■マツコ・デラックス「今、100人中2人に向けたことをやっている人多いよね」

 コンプライアンスがうんぬんというような状況下のテレビを、この10年くらい席巻しているのがマツコ・デラックスと有吉弘行だ。そんな2人の番組、『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)の6日の放送は、自信家と謙遜家はどちらのほうが信用できるかという問いかけから始まった。

 この問いそれ自体に対する2人の回答は、マツコの次の言葉に尽きる。

「そんなに自信満々で来られても、そんなに謙遜されすぎても、どっちも信用できないわよね。要はバランスじゃない?」

 トークはそこから、最近は謙遜が強い人が多い、という話題に展開する。ネット社会では自信家よりは謙遜家のほうが叩かれる率が低いという理由で、謙遜が強すぎる人がいるのではないか。たとえば有吉いわく、番組収録中にお茶を飲むことひとつとっても、「こんな僕が本番中にすいません、お茶飲むの生意気なんですけど、どうしても喉渇いたんで飲ませてください」と言ってしまうような、過剰にへりくだる人がいる。そんな謙遜家を有吉が一喝する。

「別にここでお茶飲むのいいじゃん。100人いて2人ぐらいがさ、『本番中にお茶飲んでんじゃねぇよ』って言うのを気にして謙遜入っちゃうヤツがいるのよ。98人はなんとも思ってないのに」

 この有吉の意見を受けて、マツコも言う。

「今、100人中2人に向けたことをやっている人多いよね。だから、どんどんどんどんつまらなくなっていっちゃうのよね」

 マツコと有吉いわく、100人中2人の声を必要以上に大きく受け止めて過度に謙遜してしまう人には、残り98人の声があまり入ってこない。98人はなんとも思っていなかったり、逆に応援していたりするかもしれないのに。98人の声なき声よりも2人の大きな声が目立ちやすいネットが、過度な謙遜家を増やしている面もあるのだろう。だから、あまりエゴサーチとかするものじゃない。そんな話で、この話題は終わった。

 で、この98人と2人の比喩で考えてみたいのだけれど、マツコや有吉自身がブレイクあるいは再ブレイクしたのは、100人中2人の代弁者としての側面が大きかったはずだ。有吉は一発屋としてしばらく苦汁をなめた経歴があるという意味で、マツコはゲイの中でもさらに少数派の女装家という意味で、マイノリティ性を強く帯びた存在である。世間の風潮に対して物申すというようなスタンスをとることも多い。両人ともに、一般的には“毒舌”というカテゴリに入れられている。

 つまり、「世間とズレを感じて生きづらい100人中2人に属する私の思いを代弁してくれる」存在として、マツコと有吉は人気になったのではなかったか。もちろん、どちらもそういう期待に安易に乗ることがなく、今では“毒舌”であることを自ら否定することも多いのだけれど、世間の評価としてはいまだ“毒舌”のカテゴリに収まっているはずだ。

 ただ、本当に100人中2人の代弁者であるだけでは、テレビでブレイクするはずもない。大衆を相手にするテレビには、98人の側に立とうとする慣性が働いている。だから実際には、マツコと有吉の言動に「100人中2人に属する私の思いを代弁してくれる」と感じた者が、98人いたということである。希少であることを求める凡庸な欲望が、マツコと有吉を押し上げたというか。

 テレビは最近コンプライアンスが厳しくなっている、みたいなことを聞くようになって久しい。それはつまり、100人中2人の声に反応しなければならない場面が増えてきているともいえる。そんな中にあって、大衆つまり98人の側に傾きがちなテレビには、絶妙なバランスが求められているのだろう。100人中2人でありたい98人の代弁者としてのマツコと有吉は、そんなバランスの均衡点に立っているように思う。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

ケンドーコバヤシは「悔しい」と言った……テレビのコンプライアンスと『マツコ&有吉』

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(1月27~2月2日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

 

■ケンドーコバヤシ「もどかしい、悔しい。感情で言うたらそれやね」

 最近のテレビはコンプライアンスが厳しくなっている、みたいなことを聞くようになって久しい。ただ、そういう話は本来、テレビを作っている人たちの間で話されていればいいことだ。視聴者がそういう情報を事前に提供されてテレビを観ているというのは、よく考えると不思議な話である。

 もしかすると、そのあたりの裏事情を差し引いてテレビをお楽しみくださいということなのだろうか。なんだか、プロ野球を観に行ったら、試合前にアナウンスで「今日はローテーションの谷間です。各自お察しください」と言われているような。いや、そうかもしれないけれど、わざわざそちらから言うことじゃない。

 毎回3人の芸能人・著名人が集まりトークを繰り広げる『ボクらの時代』(フジテレビ系)。3日の放送には、大阪NSCで同期生だった陣内智則、たむらけんじ、ケンドーコバヤシの3人が登場した。

 トークの終盤、話題は3人が感じている現在のテレビの苦境に及ぶ。自分たちが子どものころ観て育ったテレビは、ビートたけしの番組をはじめ、なんでもありだった。ただただ何も考えずに笑えた。そして、同じようなことがしたいと思って自分たちも芸人の世界に入ってきた。

 でも、実際に芸人になり、テレビで活躍できるようになった今、テレビの状況はどうだろう? 食べ物を粗末に扱うのはアウトだし、ちょっとしたツッコミで頭を叩いても視聴者からお叱りが飛んでくる。自分たちが恋い焦がれたテレビの世界が、やりたいことができないところになってきている。そんな現状に対し、ケンコバは自分の思いを次のように吐露する。

「もどかしい、悔しい。感情で言うたらそれやね」

 陣内はネガティブな展望を語る。以前のテレビに戻ることはもうないだろう。これからむしろ、もっと厳しくなるのではないか。

 対して、ケンコバはポジティブに切り返す。俺は昔の状況にテレビは戻ると思う。なぜか。

「みんなちょっと嫌気さしてるやん。テレビ業界の人だけじゃなくて、一般の人もしゃべってみたら、今なんかもう『堅苦しい』『息苦しい』って言うてるけどね」

 これからのテレビのお笑い番組が、もっと表現上の制約を受けることになるのか、それとも昔のような状況に戻ることがあるのか、それはよくわからない。けれど、テレビのバラエティ番組の第一線で活躍している芸人が、「テレビはいま厳しいんです」という話をして、それが娯楽として視聴者に提供されるというのは、いまやお馴染みの光景ではあるけれど、なんだか不思議なことだとあらためて思う。

 もちろん、野球ファンがローテーションの谷間への対処を含めてペナントレースを楽しんでいるように、テレビの裏事情を込みで楽しむというテレビの観方もあるのだろう。個人的にはテレビの裏事情的なことをそこまで考慮したくないのだけれど、テレビに関してこうやって毎週書いている僕自体が、そういう楽しみ方とまったく無縁だとも思えない。

 けれど、出演者のほうからテレビの苦境に関する情報が大いにお届けされ、「最近のテレビはコンプライアンスが厳しい」という情報を込みで楽しむテレビ視聴が進むとすると、それはやっぱり、今回の3人が郷愁を覚えていたような「ただただ何も考えずに笑えた」テレビからは、離れていってしまうようにも思う。「ただただ何も考えずに笑えた」テレビの良し悪しの評価は置いておくとして。

 というか、今のテレビが昔よりつまらなくなっているとは思わないけどな。ケンコバも陣内も面白くて好きな芸人だ。たむけんについては、各自お察しください。

■マツコ・デラックス「今、100人中2人に向けたことをやっている人多いよね」

 コンプライアンスがうんぬんというような状況下のテレビを、この10年くらい席巻しているのがマツコ・デラックスと有吉弘行だ。そんな2人の番組、『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)の6日の放送は、自信家と謙遜家はどちらのほうが信用できるかという問いかけから始まった。

 この問いそれ自体に対する2人の回答は、マツコの次の言葉に尽きる。

「そんなに自信満々で来られても、そんなに謙遜されすぎても、どっちも信用できないわよね。要はバランスじゃない?」

 トークはそこから、最近は謙遜が強い人が多い、という話題に展開する。ネット社会では自信家よりは謙遜家のほうが叩かれる率が低いという理由で、謙遜が強すぎる人がいるのではないか。たとえば有吉いわく、番組収録中にお茶を飲むことひとつとっても、「こんな僕が本番中にすいません、お茶飲むの生意気なんですけど、どうしても喉渇いたんで飲ませてください」と言ってしまうような、過剰にへりくだる人がいる。そんな謙遜家を有吉が一喝する。

「別にここでお茶飲むのいいじゃん。100人いて2人ぐらいがさ、『本番中にお茶飲んでんじゃねぇよ』って言うのを気にして謙遜入っちゃうヤツがいるのよ。98人はなんとも思ってないのに」

 この有吉の意見を受けて、マツコも言う。

「今、100人中2人に向けたことをやっている人多いよね。だから、どんどんどんどんつまらなくなっていっちゃうのよね」

 マツコと有吉いわく、100人中2人の声を必要以上に大きく受け止めて過度に謙遜してしまう人には、残り98人の声があまり入ってこない。98人はなんとも思っていなかったり、逆に応援していたりするかもしれないのに。98人の声なき声よりも2人の大きな声が目立ちやすいネットが、過度な謙遜家を増やしている面もあるのだろう。だから、あまりエゴサーチとかするものじゃない。そんな話で、この話題は終わった。

 で、この98人と2人の比喩で考えてみたいのだけれど、マツコや有吉自身がブレイクあるいは再ブレイクしたのは、100人中2人の代弁者としての側面が大きかったはずだ。有吉は一発屋としてしばらく苦汁をなめた経歴があるという意味で、マツコはゲイの中でもさらに少数派の女装家という意味で、マイノリティ性を強く帯びた存在である。世間の風潮に対して物申すというようなスタンスをとることも多い。両人ともに、一般的には“毒舌”というカテゴリに入れられている。

 つまり、「世間とズレを感じて生きづらい100人中2人に属する私の思いを代弁してくれる」存在として、マツコと有吉は人気になったのではなかったか。もちろん、どちらもそういう期待に安易に乗ることがなく、今では“毒舌”であることを自ら否定することも多いのだけれど、世間の評価としてはいまだ“毒舌”のカテゴリに収まっているはずだ。

 ただ、本当に100人中2人の代弁者であるだけでは、テレビでブレイクするはずもない。大衆を相手にするテレビには、98人の側に立とうとする慣性が働いている。だから実際には、マツコと有吉の言動に「100人中2人に属する私の思いを代弁してくれる」と感じた者が、98人いたということである。希少であることを求める凡庸な欲望が、マツコと有吉を押し上げたというか。

 テレビは最近コンプライアンスが厳しくなっている、みたいなことを聞くようになって久しい。それはつまり、100人中2人の声に反応しなければならない場面が増えてきているともいえる。そんな中にあって、大衆つまり98人の側に傾きがちなテレビには、絶妙なバランスが求められているのだろう。100人中2人でありたい98人の代弁者としてのマツコと有吉は、そんなバランスの均衡点に立っているように思う。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)