「女はイク演技をする」日本男性に衝撃を与えた、1983年「前代未聞の女の性調査」

<p> セックスに対して、人が実際にどのような意識を持っているのか。多くの人々が興味と関心を持つテーマであるものの、その実態を捉えるのは難しい。人は自らの性について、なかなか語りたがらない傾向が強いからだ。まして、女性であればなおさらだろう。</p>

大人になっても続く、「自分の世界」を守るためのスクールカーストという戦い

<p> 中学時代、クラス分けは一大事だった。今振り返れば滑稽だが、狭い世界の“ポジションどり”がその1年の過ごし方に影響すると怯えていた人は少なくないだろう。「まだ子どもだったから」と懐かしく振り返る私たちは、本当に中学生の時よりも大人になっているのだろうか。もし今、同世代を1カ所に集めたら、中学生よろしくグループを作って、知らず知らず会社の役職や派閥、外見や年収、恋人の有無などを入り組ませた目に見えないカーストを成り立たせてしまう気もする。いくつになっても、集団で上下関係のない付き合いをすることは、難しいことなのかもしれない。『王妃の帰還』(柚木麻子、実業之日本社)は、女子中学生たちのクラス内抗争を瑞々しく描きながら、これまでの自分と人との関係を振り返りたくなる小説だ。</p>

『スタッキング可能』で描かれた、自己防衛とディスコミの果ての“武装”

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『スタッキング可能』(松田青子、河
出書房新社)

「なんで私このシュールに巻き込まれてるんだろう。なんで私このシュールの一部なんだろう」

 会社で働く、ということは、年齢も育った環境も価値観も全く違う人々が、同じ場所で目的を共にすること。そもそもシュールな状況だ。どんなに仕事に慣れ、社内でしか通じない暗黙のルールや「オフィスカジュアル」という微妙なドレスコードに馴染んでも、同僚や上司と話が通じない時、ふと自分を俯瞰した時、どうしようもなく感じる「社会人コスプレ」のような違和感。それは、何年たっても、どの会社に入ったとしても逃れられないものかもしれない。

「結婚したい女は“イタい”のか?」を問う、綿矢りさ『しょうがの味は熱い』

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『しょうがの味は熱い』/文藝春秋

 同棲している恋人と、いずれは結婚へ。愛し合っている2人の未来を思い描くことは、そして同じ未来を思い描くことを恋人に求めるのは、おかしなことなのだろうか――?
 
 綿矢りさ『しょうがの味は熱い』(文藝春秋)は、20代の同棲カップルを通して、「結婚」という言葉の重圧や、結婚に至るまでのあらゆる困難を描いた小説です。表題作「しょうがの味は熱い」では、仕事に嫌気を感じながらもサラリーマンを続けている田畑絃と、恋人である絃の家に転がり込んだフリーター・小林奈世のありふれた一夜が、2人の視点で交互に語られます。

 セックスの後に背中を向ける絃に、溜息を漏らす奈世。何を考えているかと問われた奈世は、「結婚」という言葉を口にすることができずに、「私たちこれからどうするの」「私は絃とずっと一緒に生きていきたい」と遠回しに自分の思いを伝えます。

「結婚したい女は“イタい”のか?」を問う、綿矢りさ『しょうがの味は熱い』

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『しょうがの味は熱い』/文藝春秋

 同棲している恋人と、いずれは結婚へ。愛し合っている2人の未来を思い描くことは、そして同じ未来を思い描くことを恋人に求めるのは、おかしなことなのだろうか――?
 
 綿矢りさ『しょうがの味は熱い』(文藝春秋)は、20代の同棲カップルを通して、「結婚」という言葉の重圧や、結婚に至るまでのあらゆる困難を描いた小説です。表題作「しょうがの味は熱い」では、仕事に嫌気を感じながらもサラリーマンを続けている田畑絃と、恋人である絃の家に転がり込んだフリーター・小林奈世のありふれた一夜が、2人の視点で交互に語られます。

 セックスの後に背中を向ける絃に、溜息を漏らす奈世。何を考えているかと問われた奈世は、「結婚」という言葉を口にすることができずに、「私たちこれからどうするの」「私は絃とずっと一緒に生きていきたい」と遠回しに自分の思いを伝えます。

“夫は犬と思えばいい”を支える、男性ご都合主義の狡猾さ

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『夫は犬だと思えばいい。』(高濱正
伸、集英社)

 「病めるときも健やかなるときも、死が2人を分かつまで、愛し慈しみ貞節を守ることを」と誓い合いめでたく“夫婦”となった男女。しかし長年生活を続けていけば、あの日の誓いはどこへやら、会話が無い、セックスもない……。そのすれ違いがさらに顕著になるのは出産後。妻は子どもを媒介としてより強固な“家族”を作ろうとし、夫はその囲い込みから逃れようとする。

 そんな問題を抱える夫婦に相互理解を促したのが、『夫は犬だと思えばいい。』(集英社)。著者である高濱正伸氏は小学校低学年を対象にした「花まる学習会」を設立し、講演会には追っかけママまで出るという、教育界で最も注目されている人物だ。高濱氏の教育理念である「子どもを“ひとりで飯が食える”大人に育てる」ために、親はどう子どもに接するべきか、さらに親自身がどういう心持ちであるべきなのか。多くの親子サンプルに触れてきた経験から、特に母親の心理状況に焦点を当てたのが、この「夫は犬」である。

小さな差異でこそマウントを取りたがる、“下に見たい”欲望の正体

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『下に見る人』(酒井順子、角川書店)

 容姿・年齢・職業・年収・モテ……人に優劣をつける基準は無数に存在する。どんな基準であれ、自分と人を比べて下に見たことが一度もない、と言い切れる人は少ないだろう。ママ友、会社の同期、久しぶりに会う同級生――そんな他人と向かい合う時、「どちらが上で、どちらが下か」という勝ち負け感覚に無頓着ではいられない。あからさまにマウントを取って勝つことで生き抜いている人も、ひそかに負けたことを気に病んでいる人も、そんな不毛な戦いからちょっと離れたい時に読みたい本が『下に見る人』(酒井順子、角川書店)だ。

 『負け犬の遠吠え』(講談社)で知られる著者による本作は、自らの人生のさまざまな局面で、人を下に見た経験、逆に下に見られた経験を振り返りつつ、「下に見る人」の欲望の正体にメスを入れていく。

「彼がシェフで私はグラタン皿」人気恋愛指南本の奇妙なプリンセス像

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『365日夢のように愛されるプリンセ
ス・ルールズ』/学研

 「肉食系」「森ガール」「負け犬」「腐女子」など、近年相次いでメディアに登場した、女子をカテゴライズする名称。最近では、「自らの女性性を謳歌できず、自意識をこじらせて、自虐に走る女の子たち」を指し示す「こじらせ系」が話題を呼びました。

 しかし、そんな「こじらせ」一大ブームに沸く日本で、正反対の価値観を体現する自己啓発本が刊行されました。それが、今回紹介する『365日夢のように愛される(はぁと)プリンセス・ルールズ』(学研)。「ふんわりまろやか」という乙女チックな世界観で、人気エッセイストとなった上原愛加による、「プリンセス・バイブル」シリーズの1冊であり、先ごろシリーズ累計85万部突破したんだとか。レースをかたどったクリーム色の装丁に、「夢のように愛され」たいという願望を真正面から掲げ、まさに「女のコのための恋愛指南本」である本書――自分の中の女を認められない「こじらせ系」の対極をいくような、「プリンセス・バイブル」の教えとは? そして、「ふんわりまろやか」の正体とは?

仕事でも“誰にも嫌われたくない”現代人の救いの書『督促OL 修行日記』

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『督促OL 修行日記』(榎本まみ、
文藝春秋)

 「人を笑顔にする仕事」「お客様からの『ありがとう』という言葉がやり甲斐です」……就職サイトをめぐれば簡単に見つけられる、この種の言葉。でも、働いたことがある人には言うまでもなく、どんな仕事に就いたとしても、常に周りから感謝されるとは限らない。むしろ懸命に仕事をすることで、他人から嫌われることすらある。そんな時、その仕事とどう向き合っていけばいいのか?

 実在のOLが、自分の仕事について綴った『督促OL 修行日記』(榎本まみ、文藝春秋)は、あまり表で語られることのない「仕事で人に嫌われること」に明るく向き合った一冊だ。

友情の頂点と終焉、どちらもが一瞬のきらめきを持つ『奇貨』

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『奇貨』(松浦理英子、新潮社刊)

 『奇貨』(松浦理英子、新潮社刊)は、いい大人になったからこそコントロールするのが難しい、“友情”をめぐる小説だ。

 私小説作家・本田は、普通の男と同じように女が好きだが、性格もセックスも受け身を良しとする性質が災いして、生来まともに恋愛が続かない。それでも、同性といるよりは女性といる方が気楽で、「女同士のように女と友達付き合いをしたい」という傍から理解されにくい願望を持っている45歳。

 そんな本田にとっての数少ない友人の1人が、ルームメイトでもある、10歳年下のレズビアン、七島。鋭い観察眼や正直な物言いのせいか、こちらも長い間、決まった恋人ができないままだ。