『映画系女子がゆく!』が示した、イタさも錯乱も内包する「女」という生き物の面白さ

<p> 「元日本経済新聞記者が人気AV女優だった!」と、週刊誌にスキャンダラスに書き立てられたのは去年のこと。『身体を売ったらサヨウナラ』は、平均以上のお嬢様として育ち、慶應大学、東大大学院、日本経済新聞社へと進みながら、同時進行で女子高生時代にブルセラショップで稼ぎ、銀座のクラブで稼ぎ、AV女優を経た鈴木涼美氏のエッセイ集だ。</p> <p> 冒頭で「シャネルに囲まれて独りぼっちで夜を過ごすのは嫌だし、だけどどんなに働いてもシャネル1つ買えないのはもっと嫌だし、高い服を着たいし高い商品でありたいし、愛してくれないと嫌で、愛してくれるだけじゃ嫌なのだ」と吐く彼女による、『pink』(岡崎京子、マガジンハウス)、『ハッピー・マニア』(安野モモコ、祥伝社)を思わせるような、都会と愛と消費の日々がつづられる。</p>

なぜ渡辺満里奈は「ウットリ」と「ゲンナリ」の狭間に漂うのか……その答えは「育自」にあった!

<p> 会員番号36番。といっても若い人にはピンとこないに違いない。“元おニャン子”という過去から逃げるように、渋谷系カルチャー、ピラティス、台湾など趣味嗜好にタレント生命を預け、特に最近は「ていねいでナチュラルな暮らし」の伝道者として、いつのまにか女性誌界隈の羨望を集めるようになった渡辺満里奈。ママになった今も、辻希美や紗栄子のようにあからさまな反感を買うことはなく、安定したママタレライフを送っている。しかし一方では、その意識の高さゆえに「面倒くさい」と敬遠する人も一定数おり、「あこがれ」と「面倒」の間という非常に不可思議なポジションに立つタレントと言えるかもしれない。</p>

異端児、魔女、韓流ドラマ……「男性優位社会の脅威となる女性」の変遷をたどる

<p> 『女の哲学』は、その生涯が映画化され、日本でも静かなブームを呼んだハンナ・アーレントら、7人の女性哲学者や芸術家の生涯と思想を紹介する一冊だ。最初に彼女らの波瀾万丈な生き方を取り上げることで、「哲学」に敷居の高さを感じる人でも手に取りやすい入門書となっている。</p> <p> サルトルと契約結婚を交わしたシモーヌ・ド・ボーヴォワールや、妹との浮気を知りパートナーとの性的関係を断ったフリーダ・カーロ、結婚と離婚を繰り返すスタール夫人――。時に周囲から理解されず、奔放な変わり者として見られる彼女らの言動は、愚直に自分の生き方を模索した足跡でもある。迷いながらも、当時の常識や世間からはみ出すことを選んだ彼女たちの道筋は、自分の人生を周囲から「変わった人」と言われない枠内に修正しがちな私たちの視界を揺さぶり、開いてくれる。</p>

出産前の息子から「地球を守れ」と指令……山田まりやに宿る自然派志向を超えた“なにか”

<p> 初回から申し訳ないのですが、本書は実は子育て本ではなく、「健やかエンジョイ中庸ライフ」をオススメする本であることをお断りしたい。ただその中核にあるのは、無視することさえできない、山田の独特の子育て観なのだ。この「健やかエンジョイ中庸ライフ」のすごいところは、何度読んでもその定義がいまいちわからないところである。マクロビオティックや、漢方や薬膳のいう「陰陽」といったナチュラルな生活を全体として呼んでいるのだろうが、マクロビや漢方のオシャレなイメージを破壊する「健やかエンジョイ中庸ライフ」と名付けるセンスが、もしかしたらこの本の一番の見どころなのかもしれない。</p> <p> グラビアで一時代を築き、元気なお姉ちゃんキャラで仕事はしてきたけど、気づけば食レポばかりで体調は絶不調、そんな時に出会ったのがこの青汁……ではなく、「健やかエンジョイ中庸ライフ」という魔法の食生活。読者にもこの幸せを伝えたい。そんなピュアな信仰心が随所に垣間見える。「オシャレでナチュラルライフをしてみた~い」と軽い気持ちで読むと、ヨガを習いに行っただけなのにヘッドギアかぶせられたくらいの衝撃を受けること間違いナシ。自然派出産&子育てをアイデンティティにしたい方にしか読みこなせない、人を選ぶ1冊。</p>

「東京/地方」「夢/仕事」は、対立ではなく地続きな問題と教えてくれる4冊

<p> 25歳で突然、治療法が確立していない難病に襲われた女性が、戸惑い苦しみながらもどこか軽妙な筆致で疾患と闘う日々をつづり、ベストセラーとなったエッセイ『困ってるひと』(ポプラ社)。『シャバはつらいよ』は『困ってるひと』のその後、病院を出て一人暮らしを始め、「難病おひとりさま」となった日々を書いた一冊だ。</p> <p> 自宅のドアを開けるにもひと苦労する体で、自炊し、通院し、コンビニに買い物に行く日々。ユーモラスな語り口ではあるが、彼女から見た“シャバ”のシステムは、基本的に「一人で何でもできる健康な大人」が利用する前提で作られていることに気付かされる。それでもパワフルでしたたかな介護業界の人々や、インターネットでつながった人々からの助けを得て生命をつなぐ大野氏。そして東日本大震災を経て、彼女の心境に変化が訪れる――。</p>

友情と恋愛、道徳と背徳、同性愛と異性愛……恋愛に潜む曖昧さを浮き彫りにする5冊

<p> 女子校育ちで、異性との交際経験はゼロ。その代わり、オタク活動と妄想を充実させて漫画家になったカザマ氏が、3次元の相手と恋愛・結婚したいと思い立ち、成人漫画家と出会い結婚するまでを、笑いを交えてつづるコミックエッセイ。</p>

自分だけの幸せを追求し、趣味を武器に“リア充”へ。人生のサバイバル術を教えてくれる本

<p> アラフォーの性欲や本音を笑いにまぶして語ることができる人気女芸人・大久保佳代子(オアシズ)。『美女のたしなみ』は、彼女が「OL兼お笑い芸人」だった時期に、主に書かれたエッセイだ。</p>

「ダメ男」「野獣」といった偏見を外し、フラットに「男」を見つめ直せる4冊

<p> ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は“橋田壽賀子ドラマもまっ青なダメ男見本市”、森鴎外の『舞姫』の主人公は“ガリ勉型世間知レベル0のダメ男”――!? 『まるでダメ男じゃん!』は、「ダメ男小説が大好物」という豊崎氏による、「愛すべきダメ男」のショーケースとしての名作ブックレビュー集。古今東西の小説を徹底的にダメ男鑑賞を主軸にすることで、「気軽に」というには気が引ける名作たちが身近に親しめる作品として見えてくる。</p> <p> 本書で取り上げられる「愛すべきダメ男」たちは、もし実際に目の前にいたら逃げ出したくなるような、困ったちゃんがほとんどだ。けれども、スケールのでかい(時に小さい)ダメっぷりと同時に、彼らのおかしみや切なさが伝わってくるのは、豊崎氏のレビューがそれぞれの作品への深い理解に裏打ちされているからだろう。</p>

80年代、女子プロレス、アイドル、J-POP……熱狂とブーム再生に心を震わす

<p> 『80’Sガールズ大百科』は、『ときめきトゥナイト』(池野恋、集英社)、『銀曜日のおとぎばなし』(萩岩睦美、同)といった人気少女マンガやマンガ誌の付録、「けろけろけろっぴ」に「たあ坊」といったサンリオグッズ、シルバニアファミリー、雑誌「MyBirthday」(実業之日本社)……などなど、80年代に幼女~少女時代を過ごした“元女子”がかつて夢中になったトピックスがひたすら詰め込まれた1冊だ。<br /> </p>

家事に命をかける高学歴アメリカ女性たち、「ハウスワイフ2.0」が孕む危険なリスク

<p> ウィークデーは仕事に勤しみ、ダイアン・フォン・ファステンバーグのドレスとジミー・チュウのピンヒールでニューヨークを闊歩。そして週末はパーティで大騒ぎ──『セックス・アンド・ザ・シティ』で描かれたきらびやかな生活こそ、アメリカの若いキャリアウーマンの夢だと思っている人は多いのではないだろうか。しかし今、彼女たちの間で、これとはまったく真逆のライフスタイルがもてはやされているという。</p>