アパレルの「過剰接客」がなくならないワケ――やたらと声を掛けるのは“時代遅れ”?

 アパレルショップが苦手。ちょっと気になる服を手に取ったが最後、ものすごいスピードで近づいてきた店員さんに「それかわいいですよね~」「私も色違い持っているんですよ~」などと張り付いたような笑顔で話しかけられ、こちらも気を使って、あまり買う気もない洋服を褒めたり、互いの乾いた笑いが続く。あの時間が、ドッと疲れてしまう。

 できれば実物を見て生地やサイズ感をじっくり確かめたいが、店員さんに話しかけられることの煩わしさを考えると、だんだんと足が遠のくようになり、最近は通販で購入することも多くなってしまった。そんな人は少なくないのではないだろうか?

 女優の石田ゆり子もアパレル店員に対し、Instagramで次のように綴っていた。

「あの、わたしいつも思うんですが 用事があるときは呼びますから どうかどうか 放っておいてください…ゆっくり見たいんです 黙って見たいんです 自分と対話しながら見たいんです (中略)でも、手に取るものすべてを、それは~です それ、わたしも持ってます それは素材が~~…と それはやはりちょっと疲れてしまうんですね。つかずはなれず。距離を保つ。察する。というのはやはり必要かと思うのです。ふぅ~」(原文ママ)

 この投稿はネットを中心に炎上し、現在は削除されてしまったが、石田が苦言を呈したように、アパレル業界では「過剰」ともいえる接客術がまん延している。過剰に接客されるほど購入意欲は削がれて、むしろ逆効果なのではと思えるが、この手法が一向になくならないのはなぜなのだろうか?

 その背景には、ファッション業界の“旧態依然”とした販売マニュアルがいまだ継承され続けている現実があるという。

「『お客様にはできるだけ早く声を掛けましょう』と促す販売マニュアルは、百貨店などを中心にいまでも多く存在します。戦後の高度成長期などは、極端に言えば、在庫がそろっていて声を掛けさえすれば売れた時代。その成功体験を引きずって、現在のお客様の買い方の変化に対応しきれていないところが、ファッション業界には見られると思います」

 こう教えてくれたのは「『売れる販売員』と『ダメ販売員』の習慣」(アスカビジネス)など、接客に関する著作を多数持つ、ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)コンサルタントの内藤加奈子さん。内藤さんによると、ファッション業界では、「売るために積極的に声掛けを」という空気感が昔から存在しているのだという。

「ブランドの売り上げが下がると『なぜ売れないのか?』という社内会議が行われ、スタッフの販売力不足が指摘される場面があります。そこで販売マニュアルを見直せばいいのですが、やみくもに『よりお客様に声掛けを』という方針になってしまう。そのような追い詰められた状況でスタッフが話し掛けると、お客様にそのプレッシャーを伝染させるようになって、より嫌悪感を抱かせてしまうという負のスパイラルに陥ることがあります」

 一方で、近年、台頭してきたファストファッションの代表格といえるユニクロやH&Mなどでは、店員から声を掛けるということは基本的にない。ネットでの買い物に慣れてしまうと、放っておいてくれる接客スタイルは非常に心地よいのだが、ブランドによってこのような接客姿勢の違いが見られるのは、なぜなのか?

「ファストファッションは、トレンドのものがメインですので、特に説明がなくてもお客様が欲しければ買う商品です。メディアで目にする機会も多く、お客様自身もすでにその商品の着方をわかっていることが多いので、提案型の接客をする必要がないのです。逆に目新しいものやデザイン性の強い洋服は、販売員が説明することで魅力も増し、売り上げにつながると考えられます」

 確かにユニクロで「この服って、何に合わせればいいんだろう……」などと思い悩んだ記憶は一切ない。逆にいえば、特定のブランドや店舗、そして店員を目当てにやってくる客の中には、当然、話し掛けてほしいと思っている人も少なくないということだ。しかも、販売員が話し掛けないことで「接客態度が悪い!」とクレームを入れてくる客もいるのだというから、客と店員の適切な距離感は測りにくい。

 「話し掛けられたい」客と「話し掛けられたくない」客が混在する中で、販売員はどう対応することが正解なのだろうか?

「いきなり声を掛けず、まずは離れた場所からお客様を観察することが重要です。さまざまなお客様に対応するためには、『何かお困りの時にはすぐに参りますので、ごゆっくりご覧ください』という意味合いのお声掛けをして、必要な時には目が合うようにしておく。そうすると『気がついてくれるお店』としてリピートされる可能性が高くなります」

 まさに接客の基本であり、極意だ。さらにその「声掛け」の内容も重要だという。

「私は『どんな内容でお話し掛けをするか』を重要視しており、その内容としては商品の売り込みではなく『挨拶』や『会話』として成立するものを大切にしています」

 ちなみに、筆者が店員に言われて一番困ってしまうのは、「これ人気ですよ」というセリフ。それだけ売れているのであれば、人とカブる率が高くなるような気がして、購買欲が薄れてしまう。

「その場合、販売員は『これ人気ですよ』ではなく、『これを選ばれるお客様は、おしゃれな方が多いんですよ』などと表現すれば角が立たないと思います」

 接客で重要なのは「人と人」として関われているかどうかであって、とにかく声を掛ければいいというものではない。過剰な接客で満たされるのは、店員の「仕事した感」だけなのではないだろうか。ネット通販に押されて百貨店など実店舗の売り上げが落ちているというが、こうした商売優先で旧態依然とした接客方法が、その原因の1つなのかもしれない。
(ジョージ山田/清談社)

いまバブル文化がウケる理由は? ディスコは「盆踊り」、ペンシルスカートは「ボディコン」

 肩パットバキバキの真っ赤なスーツとソバージュヘアという強烈なビジュアル、そして、バブルをキーワードにしたネタを繰り出す女性ピン芸人の平野ノラが大ブレークしているが、1980年代後半のバブルの頃に一世を風靡したカルチャーが、再び注目を浴びている。

■ディスコ時代は、盆踊り感覚で同じダンスを楽しんだ

 平野がブレイクした理由を「ディスコの人気再燃など、バブル文化復活の兆しが追い風になった」と分析するメディアもある。そうしたリバイバルブームの中でも大きな盛り上がりを見せているのがディスコだ。東京タワーのディスコイベントをはじめとした催しが成功しているが、その中心にいるのは40代以上の大人たち。2月に放送された『マツコ会議』(日本テレビ系)で六本木の伝説のディスコ「マハラジャ」に潜入した際も、懐かしいダンスを楽しんでいたのはアラフォー、アラフィフのバブル謳歌組だった。

 ブームから30年近くたった今、再び彼らがディスコに通う理由を、『ディスコの力』(PHP研究所)の著者で、ディスコブーム再燃の立役者のひとりであるDJ OSSHY氏はこう分析する。

「団体戦を楽しんでいるという感じでしょうか。個人戦よりも“団体金”の喜びの方が大きい、みたいな。抽象的な言い方ですが、あの頃は『ダンスフロアでの一体感に安心感を得ていた時代』であるといえます。それは、踊りであり、手拍子であり、聞きたい曲をリクエストカードに託す思いであったり、みんなで誕生日の人を一緒にお祝いするひと時であったり……。ディスコ時代は、楽曲に“振付”がある曲がたくさんありました。だから盆踊り感覚で、『この曲はこの踊り』『このサビでこの手拍子』のような“お約束”があって、みんなで同じ遊び方をした。それが楽しかったんです」

 90年代以降は個が尊重される時代になり、十人十色、多種多様なニーズに対応する店舗やDJスタイルのクラブに移行していった。OSSHY氏によると、クラブは「俺の選曲を聴け!」的な、上から目線のスタイルが主流だという。

「ディスコは、お客様が踊ってくれてナンボの評価です。だから、DJは『サービス精神』が前提で、お客さんのリクエストに応えていました。カッコ良くてとんがったクラブに行って卑屈に低姿勢で過ごすより、気持ちよくサービスしてくれるディスコの方が、居心地がいいのかもしれませんね」(同)

■若い世代は、バブルを冷静に半笑いで楽しんでいる

 ディスコの復活を歓迎しているのは大人世代だが、それはある意味、懐古ともいえる。また、たとえば最近は、太い眉毛がメイクの主流とはいえ、バブル期のような極太の眉をしている若い女性はいない。ライターでバブル時代研究家のDJGB氏は、若い世代にとってのバブルはコミュニケーションのキーワードなのだと話す。

「現在30歳以下の方々は、生まれて以降『景気がいい時代』がほとんどなかったわけで、バブル時代の現象が新鮮に映るのは当然です。加えて、当時を知る世代には“思い出補正”もあり、語られるのは楽しかったことばかり。若い世代にとっては、『バブルの頃ってホントにこうだったんですか?』という問いが、上の世代とコミュニケーションをとるきっかけとしても、便利なんだと思います」

 また、「こうした回帰ブームは、今回が初めてではない」とDJGB氏は語る。

「まさにバブル絶頂の90年には、その名も『おやじGALS』というグループが『平成スーダラ節』という曲を発売しています。原曲の『スーダラ節』の発売が61年ですから、今回のバブルブームと同じく、約30年周期です。『世代をまたいで話題にできる』のがブームですからね。ただし若い世代は、冷静に、半笑いで楽しんでいるように見えます。バブルファッションが“ウケている”のは事実ですが、決してリバイバルしているわけではないですよね。本気で平野ノラさんの『肩掛けケータイ』『太い眉毛』『肩パット』がおしゃれでカッコイイと思っている人は、まずいないですし(笑)」(DJGB氏)

■父親や母親が着ていた洋服を、娘が着ることも

 ブームは巡る。さまざまな分野で共通して言われている言葉だ。バブル期そのままの文化が復活したわけではないが、ファッション界では当時のブームを受け継いでいるアイテムもあるという。

「最も象徴的なのは、ペンシルスカートだと思います。昔はタイトスカートと言いましたけどね(笑)。ひざ丈のものが主流ですが、体のラインをあらわにするシルエットは、ボディコンの語源であるボディ・コンシャス(体を意識した)のコンセプトに沿ったものです。ボディコンを扱っているブランドもいまだにあって、通販を中心に、意外に売れているようですよ」(ファッションブランド代表)

 そのほかにも86年の映画『トップガン』で流行したフライトジャケットはデザインを今風にして、さらに、バブル絶頂期に注目されたケミカルウォッシュのジーンズも、“ダサかわいい”アイテムとして受け入れられているという。

「バブル期に青春時代を過ごした父親や母親が着ていた洋服を、現代風のコーディネイトにアレンジして、娘が着ることも増えているようです。2015年には、おニャン子クラブが衣装として使い、80~90年代に一世を風靡した、水兵のロゴがトレードマークのブランド『セーラーズ』が復活し、タレントの千秋さんが着たのがきっかけで、順番待ちになるほどの人気です。形を変えながらも、バブル文化は受け継がれているといえると思います」(同)

 バブルを懐かしむ世代と面白がる世代、楽しみ方は年齢によって異なるとはいえ、日本が元気だった時代を象徴する当時の文化、アイテムは、世代を超えて人を惹きつけるパワーを持っているようだ。
(Kazuhiko Inose)

取材協力:
ライター・バブル時代研究家DJGB Twitter Facebook
DJ OSSHY 公式HP

いまバブル文化がウケる理由は? ディスコは「盆踊り」、ペンシルスカートは「ボディコン」

 肩パットバキバキの真っ赤なスーツとソバージュヘアという強烈なビジュアル、そして、バブルをキーワードにしたネタを繰り出す女性ピン芸人の平野ノラが大ブレークしているが、1980年代後半のバブルの頃に一世を風靡したカルチャーが、再び注目を浴びている。

■ディスコ時代は、盆踊り感覚で同じダンスを楽しんだ

 平野がブレイクした理由を「ディスコの人気再燃など、バブル文化復活の兆しが追い風になった」と分析するメディアもある。そうしたリバイバルブームの中でも大きな盛り上がりを見せているのがディスコだ。東京タワーのディスコイベントをはじめとした催しが成功しているが、その中心にいるのは40代以上の大人たち。2月に放送された『マツコ会議』(日本テレビ系)で六本木の伝説のディスコ「マハラジャ」に潜入した際も、懐かしいダンスを楽しんでいたのはアラフォー、アラフィフのバブル謳歌組だった。

 ブームから30年近くたった今、再び彼らがディスコに通う理由を、『ディスコの力』(PHP研究所)の著者で、ディスコブーム再燃の立役者のひとりであるDJ OSSHY氏はこう分析する。

「団体戦を楽しんでいるという感じでしょうか。個人戦よりも“団体金”の喜びの方が大きい、みたいな。抽象的な言い方ですが、あの頃は『ダンスフロアでの一体感に安心感を得ていた時代』であるといえます。それは、踊りであり、手拍子であり、聞きたい曲をリクエストカードに託す思いであったり、みんなで誕生日の人を一緒にお祝いするひと時であったり……。ディスコ時代は、楽曲に“振付”がある曲がたくさんありました。だから盆踊り感覚で、『この曲はこの踊り』『このサビでこの手拍子』のような“お約束”があって、みんなで同じ遊び方をした。それが楽しかったんです」

 90年代以降は個が尊重される時代になり、十人十色、多種多様なニーズに対応する店舗やDJスタイルのクラブに移行していった。OSSHY氏によると、クラブは「俺の選曲を聴け!」的な、上から目線のスタイルが主流だという。

「ディスコは、お客様が踊ってくれてナンボの評価です。だから、DJは『サービス精神』が前提で、お客さんのリクエストに応えていました。カッコ良くてとんがったクラブに行って卑屈に低姿勢で過ごすより、気持ちよくサービスしてくれるディスコの方が、居心地がいいのかもしれませんね」(同)

■若い世代は、バブルを冷静に半笑いで楽しんでいる

 ディスコの復活を歓迎しているのは大人世代だが、それはある意味、懐古ともいえる。また、たとえば最近は、太い眉毛がメイクの主流とはいえ、バブル期のような極太の眉をしている若い女性はいない。ライターでバブル時代研究家のDJGB氏は、若い世代にとってのバブルはコミュニケーションのキーワードなのだと話す。

「現在30歳以下の方々は、生まれて以降『景気がいい時代』がほとんどなかったわけで、バブル時代の現象が新鮮に映るのは当然です。加えて、当時を知る世代には“思い出補正”もあり、語られるのは楽しかったことばかり。若い世代にとっては、『バブルの頃ってホントにこうだったんですか?』という問いが、上の世代とコミュニケーションをとるきっかけとしても、便利なんだと思います」

 また、「こうした回帰ブームは、今回が初めてではない」とDJGB氏は語る。

「まさにバブル絶頂の90年には、その名も『おやじGALS』というグループが『平成スーダラ節』という曲を発売しています。原曲の『スーダラ節』の発売が61年ですから、今回のバブルブームと同じく、約30年周期です。『世代をまたいで話題にできる』のがブームですからね。ただし若い世代は、冷静に、半笑いで楽しんでいるように見えます。バブルファッションが“ウケている”のは事実ですが、決してリバイバルしているわけではないですよね。本気で平野ノラさんの『肩掛けケータイ』『太い眉毛』『肩パット』がおしゃれでカッコイイと思っている人は、まずいないですし(笑)」(DJGB氏)

■父親や母親が着ていた洋服を、娘が着ることも

 ブームは巡る。さまざまな分野で共通して言われている言葉だ。バブル期そのままの文化が復活したわけではないが、ファッション界では当時のブームを受け継いでいるアイテムもあるという。

「最も象徴的なのは、ペンシルスカートだと思います。昔はタイトスカートと言いましたけどね(笑)。ひざ丈のものが主流ですが、体のラインをあらわにするシルエットは、ボディコンの語源であるボディ・コンシャス(体を意識した)のコンセプトに沿ったものです。ボディコンを扱っているブランドもいまだにあって、通販を中心に、意外に売れているようですよ」(ファッションブランド代表)

 そのほかにも86年の映画『トップガン』で流行したフライトジャケットはデザインを今風にして、さらに、バブル絶頂期に注目されたケミカルウォッシュのジーンズも、“ダサかわいい”アイテムとして受け入れられているという。

「バブル期に青春時代を過ごした父親や母親が着ていた洋服を、現代風のコーディネイトにアレンジして、娘が着ることも増えているようです。2015年には、おニャン子クラブが衣装として使い、80~90年代に一世を風靡した、水兵のロゴがトレードマークのブランド『セーラーズ』が復活し、タレントの千秋さんが着たのがきっかけで、順番待ちになるほどの人気です。形を変えながらも、バブル文化は受け継がれているといえると思います」(同)

 バブルを懐かしむ世代と面白がる世代、楽しみ方は年齢によって異なるとはいえ、日本が元気だった時代を象徴する当時の文化、アイテムは、世代を超えて人を惹きつけるパワーを持っているようだ。
(Kazuhiko Inose)

取材協力:
ライター・バブル時代研究家DJGB Twitter Facebook
DJ OSSHY 公式HP

ピコ太郎の衣装を作った男を直撃! ヤンキーファッションの変遷

 2016年の世界的な大ヒット曲・ピコ太郎の『PPAP』(ペンパイナッポーアッポーペン)は、曲だけではなく一度見たら忘れられないアニマル柄ファッションも注目された。この衣装の製造元である不良系ファッション大手「BIRTHJAPAN(バースジャパン)」(新潟県南魚沼市)の石川智之社長に、ブランド設立の経緯やヤンキーファッションのトレンドについて話を聞いた。同社は不良のためのファッションを積極的にアピールし、『闇金ウシジマくん』をはじめ数々の映画やドラマにも衣装提供をしており、“その筋”では有名なブランドである。

■不良を表現する服を作りたい

――ピコ太郎さんのPV『PPAP』では曲以上にアニマル柄の服のインパクトがすごかったですが、以前から不良の間では「知る人ぞ知る」人気ブランドだったそうですね。あの服でなければ、あれだけヒットしたかどうかはわからないくらいです。

石川智之社長(以下、石川) 実は取材でお問い合わせをいただくまで、あの服がウチの製品とは知らなかったんです。確認したら、お買い上げいただいていたとわかった次第ですが、(ピコ太郎の所属する)エイベックス・マネジメントは認めていないようですしね。

 おかげさまで各方面からご連絡をいただいていますが、当社はPVがヒットする前からインターネットを通じて全国にお客様がいらっしゃったので、今回もそれほどビジネスには影響はないです。

――もともと常連さんたちが、たくさんいらっしゃるということですね。ブランドとしてストレートに「不良」を前面に出しているのは珍しいと思います。会社を作られたのは、どのような経緯からなのでしょう?

石川 私は新潟生まれの新潟育ちで、いろいろありまして高校中退、新聞拡張員、逮捕などを経て、今の会社を作りました。店の公式サイトにも書いた通り逮捕歴がありますが、初犯だったので執行猶予がついて、ムショには行ってないんです。

――なるほど。ファッションブランドを立ち上げられたということは、もともとこうしたデザインがお好きだったのですか?

石川 「不良を表現できるような服を作りたい」というのは前からありましたね。小さい頃からワルガキで、中学からは空手を習っていたのですが、ケンカもよくやっていました。漫画では『CUFFS 〜傷だらけの地図〜』(東條仁/集英社)や『今日から俺は!!』(西森博之/小学館)などが好きで、服もそういうのをマネしていたんです。

 設立時(06 年)はホスト向けの服を作っていたのですが、09年から現在のスタイルにしました。当時はホストのニーズに合わせて作っていて、今は逆に私の方からデザインというか世界観を提供させていただく感じですね。

■仏様や龍をデザインしたTシャツが人気!

――ヤンキーファッションの最近のトレンドは、どのようなものですか?

石川 トレンドというのは特にないですね。「10年前も10年後も、このファッションで!」ということです。最近は若い人にも、仏様や龍をデザインしたTシャツは人気があります。

 ちなみにピコ太郎さんの服はずっと売れ残っていて、「困ったなあ」と思っていたところで売れたんです。それから1年くらいして『PPAP』のヒットで急に注目されたんです。もう増産はしませんでしたけどね。

――製品は、ご自分でデザインされているんですね。

石川 おおまかなデザインは自分で考えて、細かいところは提携しているデザイン会社にお願いしています。型紙づくりや縫製は中国に発注しています。

 あとは、ホームページを見て連絡してきたイギリス人の女性デザイナーさんも手伝ってくれています。和風柄のデザインがものすごくうまくて驚いています。日本のことをとても勉強しているのがわかりますね。ちなみにメールのやりとりは、グーグルの翻訳機能を使っています。

――中国やイギリスの方も関わっておられるのですね。ホームページも、ご自分で作られているのですか?

石川 そうです。技術的なところはプロに頼んでいますが、全体のイメージとか「クールにワルく、男らしく、そして誰よりも粋に……」といったコピーは自分で考えています。あとは、カミさんも手伝ってくれています。

――お客様は、やはり大阪などヤンキー文化のある地域に多いのでしょうか? 

石川 そうですね。やはり大阪や福岡、北関東などからのご注文は多いですが、全国からご注文をいただいています。

――年齢層はどのあたりが中心ですか?

石川 スタートした当初は主に10代のやんちゃな層をターゲットに企画していたのですが、意外に年齢層は幅広いですね。30代以上のお客様からもご好評をいただいています。なので、大人の男性向けに、少しシンプルで落ち着いた印象の「DIAMOND JAPAN(ダイヤモンドジャパン)」というブランドも作っています。

 10代から20代をターゲットにした「BLOOD MONEY TOKYO(ブラッドマネートーキョー)」はプリント柄が中心なのですが、「DIAMOND~」は柄を織り込んだ布地などで高級感を出しています。

■「ムショ割」は酒の席で考案

――社長さんの「逮捕歴」をあえて公開され、「逮捕から12周年だから12%引き」のほか、拘留や服役をされている方への割引などユニークな取り組みも話題ですね。

石川 世の中には女性とかシルバーとかいろいろな割引がありますけど、「ウチでできるのは何かなあ?」と酒の席で話したことがあったんです。それで、「ムショ割」「出所割」にしようとなりました。「元受刑者の社会復帰の支援」などという高尚な話ではなく、「みんなに覚えてもらえたらいいな」とか、そんな程度の意味合いです。

――本当の意味での「再チャレンジ」ですね。ところで、ヤンキーに人気の「ガルフィ」や「キャプテンサンタ」といったブランドは高価なイメージがありますが、御社は送料を「うざいから無料」にしたり、全体的にお手頃な価格ですね。

石川 ウチは流通の見直しなど、常にコストを抑える工夫をしています。日本の有名ブランドが高いのは、仕入れや流通が複雑なこともあるのではないでしょうか?

――今後はどのようなビジネスを考えておられますか?

石川 作業服は現在もご好評をいただいていますが、とび職など建設現場の作業用に龍や蛇などの刺繍をしたものを作りたいですね。現場で叱られるかもしれませんが(笑)。

 あとは、お客様からレディスのデザインのリクエストもいただいています。私は男性なので、なかなか難しいですが、検討課題ですね。これからも新しいことに取り組みたいので、よろしくお願いします。
(蒼山しのぶ)

石川智之(いしかわ・ともゆき)
1982年新潟生まれの新潟育ち。「ちょっとやらかして埼玉にいたこともあります(笑)」。2006年に「BIRTHJAPAN」設立。趣味は「生活全般。毎日が楽しいです。写真を撮るのも好き」
会社の公式サイト

ピコ太郎の衣装を作った男を直撃! ヤンキーファッションの変遷

 2016年の世界的な大ヒット曲・ピコ太郎の『PPAP』(ペンパイナッポーアッポーペン)は、曲だけではなく一度見たら忘れられないアニマル柄ファッションも注目された。この衣装の製造元である不良系ファッション大手「BIRTHJAPAN(バースジャパン)」(新潟県南魚沼市)の石川智之社長に、ブランド設立の経緯やヤンキーファッションのトレンドについて話を聞いた。同社は不良のためのファッションを積極的にアピールし、『闇金ウシジマくん』をはじめ数々の映画やドラマにも衣装提供をしており、“その筋”では有名なブランドである。

■不良を表現する服を作りたい

――ピコ太郎さんのPV『PPAP』では曲以上にアニマル柄の服のインパクトがすごかったですが、以前から不良の間では「知る人ぞ知る」人気ブランドだったそうですね。あの服でなければ、あれだけヒットしたかどうかはわからないくらいです。

石川智之社長(以下、石川) 実は取材でお問い合わせをいただくまで、あの服がウチの製品とは知らなかったんです。確認したら、お買い上げいただいていたとわかった次第ですが、(ピコ太郎の所属する)エイベックス・マネジメントは認めていないようですしね。

 おかげさまで各方面からご連絡をいただいていますが、当社はPVがヒットする前からインターネットを通じて全国にお客様がいらっしゃったので、今回もそれほどビジネスには影響はないです。

――もともと常連さんたちが、たくさんいらっしゃるということですね。ブランドとしてストレートに「不良」を前面に出しているのは珍しいと思います。会社を作られたのは、どのような経緯からなのでしょう?

石川 私は新潟生まれの新潟育ちで、いろいろありまして高校中退、新聞拡張員、逮捕などを経て、今の会社を作りました。店の公式サイトにも書いた通り逮捕歴がありますが、初犯だったので執行猶予がついて、ムショには行ってないんです。

――なるほど。ファッションブランドを立ち上げられたということは、もともとこうしたデザインがお好きだったのですか?

石川 「不良を表現できるような服を作りたい」というのは前からありましたね。小さい頃からワルガキで、中学からは空手を習っていたのですが、ケンカもよくやっていました。漫画では『CUFFS 〜傷だらけの地図〜』(東條仁/集英社)や『今日から俺は!!』(西森博之/小学館)などが好きで、服もそういうのをマネしていたんです。

 設立時(06 年)はホスト向けの服を作っていたのですが、09年から現在のスタイルにしました。当時はホストのニーズに合わせて作っていて、今は逆に私の方からデザインというか世界観を提供させていただく感じですね。

■仏様や龍をデザインしたTシャツが人気!

――ヤンキーファッションの最近のトレンドは、どのようなものですか?

石川 トレンドというのは特にないですね。「10年前も10年後も、このファッションで!」ということです。最近は若い人にも、仏様や龍をデザインしたTシャツは人気があります。

 ちなみにピコ太郎さんの服はずっと売れ残っていて、「困ったなあ」と思っていたところで売れたんです。それから1年くらいして『PPAP』のヒットで急に注目されたんです。もう増産はしませんでしたけどね。

――製品は、ご自分でデザインされているんですね。

石川 おおまかなデザインは自分で考えて、細かいところは提携しているデザイン会社にお願いしています。型紙づくりや縫製は中国に発注しています。

 あとは、ホームページを見て連絡してきたイギリス人の女性デザイナーさんも手伝ってくれています。和風柄のデザインがものすごくうまくて驚いています。日本のことをとても勉強しているのがわかりますね。ちなみにメールのやりとりは、グーグルの翻訳機能を使っています。

――中国やイギリスの方も関わっておられるのですね。ホームページも、ご自分で作られているのですか?

石川 そうです。技術的なところはプロに頼んでいますが、全体のイメージとか「クールにワルく、男らしく、そして誰よりも粋に……」といったコピーは自分で考えています。あとは、カミさんも手伝ってくれています。

――お客様は、やはり大阪などヤンキー文化のある地域に多いのでしょうか? 

石川 そうですね。やはり大阪や福岡、北関東などからのご注文は多いですが、全国からご注文をいただいています。

――年齢層はどのあたりが中心ですか?

石川 スタートした当初は主に10代のやんちゃな層をターゲットに企画していたのですが、意外に年齢層は幅広いですね。30代以上のお客様からもご好評をいただいています。なので、大人の男性向けに、少しシンプルで落ち着いた印象の「DIAMOND JAPAN(ダイヤモンドジャパン)」というブランドも作っています。

 10代から20代をターゲットにした「BLOOD MONEY TOKYO(ブラッドマネートーキョー)」はプリント柄が中心なのですが、「DIAMOND~」は柄を織り込んだ布地などで高級感を出しています。

■「ムショ割」は酒の席で考案

――社長さんの「逮捕歴」をあえて公開され、「逮捕から12周年だから12%引き」のほか、拘留や服役をされている方への割引などユニークな取り組みも話題ですね。

石川 世の中には女性とかシルバーとかいろいろな割引がありますけど、「ウチでできるのは何かなあ?」と酒の席で話したことがあったんです。それで、「ムショ割」「出所割」にしようとなりました。「元受刑者の社会復帰の支援」などという高尚な話ではなく、「みんなに覚えてもらえたらいいな」とか、そんな程度の意味合いです。

――本当の意味での「再チャレンジ」ですね。ところで、ヤンキーに人気の「ガルフィ」や「キャプテンサンタ」といったブランドは高価なイメージがありますが、御社は送料を「うざいから無料」にしたり、全体的にお手頃な価格ですね。

石川 ウチは流通の見直しなど、常にコストを抑える工夫をしています。日本の有名ブランドが高いのは、仕入れや流通が複雑なこともあるのではないでしょうか?

――今後はどのようなビジネスを考えておられますか?

石川 作業服は現在もご好評をいただいていますが、とび職など建設現場の作業用に龍や蛇などの刺繍をしたものを作りたいですね。現場で叱られるかもしれませんが(笑)。

 あとは、お客様からレディスのデザインのリクエストもいただいています。私は男性なので、なかなか難しいですが、検討課題ですね。これからも新しいことに取り組みたいので、よろしくお願いします。
(蒼山しのぶ)

石川智之(いしかわ・ともゆき)
1982年新潟生まれの新潟育ち。「ちょっとやらかして埼玉にいたこともあります(笑)」。2006年に「BIRTHJAPAN」設立。趣味は「生活全般。毎日が楽しいです。写真を撮るのも好き」
会社の公式サイト

人気ブランドの下請け業者は奴隷!? 109系の代表「C」凋落の真相

 有名百貨店の大丸などを経営するJフロントリテイリング子会社の通販会社「JFRオンライン」が、下請け業者に在庫品の衣類約3億3,300万円分を不当に返品したことに対し、公正取引委員会は11月11日、下請法違反(不当な理由による返品など)に基づき再発防止を勧告した。

 業界を知らない者からすれば、3億円もの返品は震え上がるような行為だが、ファッション業界、特に流行の移り変わりが激しい女性服や通販業界からすれば、金額の総額は別として返品などは珍しいことではないという。

■返品された商品が韓国の東大門市場で販売されている

「洋服には旬があり、適切な販売時期を逃せば “ゴミ”になります。定められた納期から大幅に遅れると値引きを受けますし、ひどい場合は売上保障(上代=定価での買い取り)になります。私たちはJFRさんとは直接取引はありませんでしたが、知り合いの会社はけっこう締め上げられていたみたいですよ」(メーカー社員)

 JFRなど通販サイトの場合、クライアント側(この場合JFR)が企画した製品を製造業者に縫製させる形態ではなく、ブランドや企画会社が持ち寄った製品をコンペにかけて販売する「持ち寄り型」が多い。サイトに掲載しても売れなかった場合、商品を製造した会社は出入り禁止になったり、低品質、納期遅れなどの理由がつけられ値引きを受けたりすることも珍しくない。

「納期遅れで値引きを受けても納品できればまだいい。痛いのはやはり返品や売上保障です。納期が遅れてしまったこちらが悪いんですが、担当者から『〇日までに入れろ』と言われて、海外で作った製品を税関まで取りに行き、社員総出で徹夜で検品して物流センターに納品することもよくあります。そこまでしたのに値引きをされる場合もあるので、ストレスは半端じゃありませんよ。それでも、クライアント側も利益を出すために必死だから、悔しいけど納得できる部分はありますが、JFRさんの3億の返品はさすがにやりすぎ。恐らく、向こうも経費削減を上から言われていて、“死に在庫”の処分のために理由をこじつけて返品したのでしょうね」(同)

 返品を受けたメーカーは処分に困り、採算を度外視した捨て値でブローカーに売ることもある。韓国の東大門市場などでは、某ブランドの製品に生地もデザインもそっくりなのに、韓国のブランドタグがついた商品を見かけることがあるが、これらはコピーではなく、返品された製品が流れ着いたものなのかもしれない。

■企画だけ取って他メーカーに同じものを作らせる横暴

 しかし、通販サイトなどネットを使う商売の場合、SNSなどでこうしたパワハラ行為を告発されるとサイトの存続にも関わるため、まだおとなしい方だという。もっとパワハラがひどいのは、店頭で商品を販売するブランドだ。

「私が取引していたのは109系の代表的ブランドCでしたが、あそこはトレンドに合わせて下請けメーカーが企画した商品を精査し、それを店頭に並べる『持ち寄り型』の商売を採用していたため、ひとつのヒットアイテムやイメージにこだわるブランドがバタバタ潰れていく中、売り上げを維持してきました。店頭に並べてもらえれば売れるし追加発注も来るから、こっちも必死で担当者のご機嫌を取っていました。でもね、そんなことをしていると、担当者が勘違いをするんですよ」(元メーカー勤務H氏)

 H氏はアラフォー、当時の担当はまだ20代の女性だったという。あだ名やタメ口で話すのはまだ許せた。しかし、言動は次第にエスカレートしていったという。

「こっちがリサーチして作ったものを『ダサい』と言うだけで、こうすればいいというアドバイスや意見もなしに突っ返されることもしょっちゅうありました。でも、若い子のそうした直感はバカにできないから、腹は立つけど、まだいいんです。

 一番許せなかったのは、向こうが気に入ったこちらの製品の原価が高いと、他メーカーに同じものを作らせて、『〇〇の方が同じものを安く作れる』と言われて企画だけ取られたり、利益が出ないくらい単価を下げられたりしたこと。その他にも『このサンプルを今日見たいから、(工場がある)大阪まで取りに行って』なんてアゴでこき使われたり、どう考えても素材の手配、縫製、納品まで2カ月近くかかる製品をひと月で納品しろと言われ、必死で駆けずりまわって1週間遅れで納品したら『納期遅れだ』と言われ、値引きされたりしたこともありました。結局、相手の横暴さに疲れて担当を外れたんです」(H氏)

■負のスパイラルに陥り売り上げが減少

 その後、H氏の後任になった人物も心身を患って退社。誰もが担当につくのを嫌がるようになり、H氏の会社はCとの取引はやめたが、同じ理由で取引をやめた会社は少なくないという。

「Cのように売れているブランドには次々と業者がすり寄りますが、みんな横暴さに辟易として離れていきます。そうしていい製品を作る一線級のメーカーが離れると、次はそれより劣るメーカーと取引を始める、同じ理由でメーカーが離れる、今度はさらにレベルが下のメーカーと取引する……そんな負のスパイラルに陥るんです。そんな状況でいい製品なんてできるわけがない。2014年頃から売り上げが落ちているようですが、『やっぱりな』と思います。最盛期を築いた会長が社長に復帰してテコ入れするようですが、社員が今でもあのままだったら持ち直せるわけありません。商品を見直すより、社員教育をやり直した方がいいでしょうね」(同)

 アパレルに限らず、新入社員の多くは入社した際、「勘違いはするな」と教えられる。その理由は、下請け業者が丁寧に接してくれるのは会社の看板があるからで、その社員個人の力ではないからだ。

 H氏が言うように、ブランドの強化、売り上げ向上にばかり注力するのではなく、下請け業者とウィンウィンの関係を築ける、社員の人間力アップに目を向けた方がよさそうだ。

(KAZU)

アメアパ撤退、アバクロは大丈夫? GAPがいつもセールをしている理由は?

 ファストファッション、洋服に興味がない人の間でもすっかり定着した感のある言葉だが、この言葉が生まれたのは、ちょうど16年前の2000年。日本発の「UNIQLO」、日本に定着していた「GAP」をはじめ、「American Apparel(アメアパ)」「H&M」「Forever21」「Abercrombie & Fitch(アバクロ)」、そしてGAP系列の「OLD NAVY」「Banana Republic(バナリパ)」が参入し、“プチプラ”(プチプライス)ブームが起こる。さらに、ファストファッションを着こなすおねえタレントがブレイクするなど、一時代を築いたのだが……。

■薄利多売のビジネスモデルが崩壊

 16年現在、そのブームは急速に収束しつつある。5月にGAPが「OLD NAVY」の日本からの撤退、「バナリパ」の大規模閉店を発表。さらに、11月には「アメアパ」が全面撤退を発表し、商品はECサイトでも買えなくなってしまった。

 アメリカでビジネスコンサルタントとして活躍する清水ひろゆき氏は、「OLD NAVY」に関し、「一定の客数(パイ)が取れず、薄利多売のビジネスモデルが崩壊してしまった」と自身のメルマガ『顧客を喜ばせる世界の成功企業最新戦略紹介』で綴っている。また、ファストファッションの業績不振は日本に限ったことではなく、一見好調なように見える「H&M」「Forever21」も、アメリカの経済紙は、「ファストファッション自体が、すでにピークを過ぎた」と辛らつに報じている。

 しかし、一部のアパレル関係者は、ファストファッションの衰退を「当然のこと」だと受け止めているという。

「確かに『H&M』が参入したとき、一部の古参アパレルの間では、安い価格帯の商品を展開しようかという案も出ていたようです。でも、それをすると、昔から自社の製品を買ってくれていた顧客を裏切ることにもなります。だから、ほとんどのブランドはぐっと我慢して、ファストファッションより高くても、質のいい商品を作り続けてきました。『ファストファッションの売り上げが、それほどでもない』という話は10年頃から出ていて、ここにきて撤退を始めましたが『やっぱりね』というのが、多くの国内アパレル関係者の印象だと思います」(ファッション誌ライター)

 また、店頭でファストファッションと自社ブランド製品を見比べてきた某ショップの販売員の女性は、違った意味で「売れるわけがない」と思っていたという。

「商品はもちろん、ショップで大切なのは、店の見た目です。商品を保管するバックヤードは、すごいことになっているときもありますが(笑)。でも、ファストファッションのお店は、品出しが間に合わず、店内に段ボールが出ていることがありました。すぐに隠していましたが、帰ろうとして外に出て、その店の窓を見たら、カーテンの後ろに段ボールが山積みにされていました。表通りからも丸見えなんですよ!? こんな店が長続きするわけないと思っていました」

■サイズが外国人向けだったため、売れなかった

 日本で海外発のファストファッションが売れなかったもうひとつの理由は、サイズが外国人向けだったため。特にそれが顕著だったのは「アバクロ」で、日本人が着ても、「アバクロ」自慢のイケメン店員のようにカッコよくならず、日本市場に参入した09年がピークで、売り上げは下降の一途。鳴り物入りでオープンした福岡店は、CEOのマイケル・ジェフリーズが「福岡に進出すべきではなかった」と語るほどの惨敗を喫し、1年で閉店した。

「日本に参入するまで、アパレル関係者の中で『アバクロ』は海外出張や社員旅行の際のいいお土産だったんです。でも、現地ではよく見えるけど、持って帰ると、たいしたことないと思ってしまう。そして何より高い! Tシャツも他のファストファッションが1,000~2000円で買えるのに、アバクロは4,000円以上しますからね。それに、海外で店に入ったときは、店中にあふれる香水の匂い、大音量のBGM、イケメン店員もお上りさん気分でカッコよく見えるけど、日本だとうざいだけ。お客さんが『買いづらい』と思うのは当然でしょう。最近は演出を控えめにしたようですが、どこまで続きますかね」(某ブランドデザイナー)

 アパレル関係者の間では「(撤退まで)いいとこ1年か、もって2年かな?」というのが「アバクロ」に対する評価だ。

 老舗の海外発の「GAP」は毎日のようにセールを行い、売り上げ低下を防いでいるようだが、アパレル関係者からすると、延命措置のように見えるという。

「値段を下げられるということは、それだけ原価が低いということです。『GAP』の商品は原産国表示を見るとバングラデシュなどの東南アジアや中東の直営工場で安く作っているんでしょうね。それに、すべて直営店というのも強い。ブランドが直営店以外のお店に商品を卸す場合、日本だと上代(商品価格)の半分ほどで販売するため、利益率はそれほど高くありません。でも直営店の場合、原価を割りさえしなければ、70%オフにしても利益は出ますからね」(某ブランドスタッフ)

 しかし、商品を生産している開発途上国の工場における劣悪な作業環境が問題になり、「安い服を作るために苦しい思いをしている人がいるのが悲しい」と、倫理的な観点から「GAP」などファストファッションの購入を避ける人が増えていると、アメリカの男性誌「エスクァイア」は報じている。

 そうした批判が出てくるのも、日本でいう「安かろう悪かろう」な商品が、長らく続く不況で目が厳しくなった消費者に、見切りをつけられたからなのかもしれない。果たして、数年後に、日本でどれだけのファストファッションが残っているのだろうか?

2017年売れるファッションは喪服? 流行の陰にある「団塊世代」というキーワード

 衣料品通販サイト・ZOZOTOWNを運営する株式会社スタートトゥデイが千葉マリンスタジアムの命名権を取得し、12月から「ZOZOマリンスタジアム」に変更することが決定した。それだけ聞くとアパレル業界は絶好調のように見えるが、アパレル小売業界に詳しい人々は「今は業界全体で経営が最悪な時期」と口を揃える。

「2015年頃はメンズブランドの経営状態が逼迫していましたが、16年はミセスブランドも苦しいですね。最近、同じショップで買い物をする親子をよく見ませんか? 年齢によるブランドのすみ分けがなくなっているから、いい商品を扱っていない、もしくは売れ筋を見極められなかったブランドはどんどん淘汰されているんです」(ブランドスタッフ)

  多くのブランドのオフィスが軒を連ねていた東京・千駄ヶ谷も、売り上げ不振で次々と撤退して寂しい状況になっているという。そんな中、16年のトレンドキーワードとしてファッション業界が挙げていたのが「オケージョン」だ。

 「ここでいうオケージョンとは冠婚葬祭などの特別な行事、儀式というシチュエーションを指しています。要は結婚式用のドレスや、喪服などのフォーマルウェアですね。楽天市場で『オケージョン』とか『パーティードレス』で検索してみてください。どれだけ多くのブランドが参入しているかわかりますよ」(ファッション誌ライター)

 そうした動きは今年から始まったわけではなく、14年には大人の男のカジュアル&スポーツウェアを発信していた『junhashimoto(ジュンハシモト)』がフォーマルウェアに参入、さらに、15年1月には通販カタログの『ディノス』がフォーマルウェアに特化したカタログを発行している。

  各メーカーも15年初め頃から積極的にオケージョンに参入し、洋服が売れないと嘆かれている中、ネットショッピングを中心に売れ行きは好調だという。しかし、すでに17年には供給過多で飽和状態による売り上げ低下も予想されている。そんな中、目端の利くブランドが注目しているのがブラックフォーマル、喪服だ。そして、喪服が売れるという根拠に「団塊世代」というキーワードがある。

「団塊世代とは第一次ベビーブームといわれた1947年(昭和22年)から49年(昭和24年)に生まれた人たちを指します。広義ではその後数年の間に生まれた世代も含まれますね。経済効果が数10億円といわれるファッションブームには、必ずといっていいほど団塊世代が絡んでいるんです。まず、彼らが青春時代を迎えた60年代にはヒッピー、アイビー、その後70年代にさしかかる頃にはモッズ、ロッカーズ、ロカビリーなんかもありましたね。

 彼らが社会人になる頃にはメンズ・ビギなどトラッドがブームでした。今でも60年代、70年代はファッションのお手本になっています。そうしたスタイルは海外発信ではありますが、日本でそれを確立したのは団塊世代の人たちです」(デザイナー)

 時が流れて団塊世代の人々も親に。そして、第二次ベビーブーム(71~74年)が訪れ、その世代がファッションに敏感な年代になったときに起きたのが109ブームだ。

 「109ブーム、いわゆるギャル系ファッションの流行は95年頃にピークを迎えますが、その中心にいたのは第二次ベビーブームで生まれた、いわゆる『団塊ジュニア』です。ギャル服だけでなく、この頃はファッション産業の最盛期で、次々と新しいブランド、雑誌が生まれました。大人気だった『浅ヤン』(テレビ東京『浅草橋ヤング洋品店』92年4月~96年3月)なんかはまさにそのブームに乗った番組でしたよね。そして、団塊ジュニアも親になり、入学式や冠婚葬祭でフォーマルウェアを着る機会も増えてきます。我々はオケージョンの売り上げが好調な理由はそこだと思っています」(前出ブランドスタッフ)

 しかし、それ以外のアイテムの売り上げは下降の一途をたどっている。売り上げに差が出る理由は、簡単に言ってしまえば洋服を買う絶対数の違いだ。厚生労働省の調査によれば、出生数のグラフは第一次ベビーブームを起点にすると右肩下がりのいびつなW字を描いており、ピークの第一次ベーブームでは約270万人、次に上がる第二次ベビーブームでは約200万人、しかし、それ以降は下がりっぱなしで、100万人を下回る日も近いとされている。

 子どもができれば、ほかにお金がかかるようになり、団塊ジュニアの人々も洋服に使う金額は減る。そして、1年ごとに子どもの数も減っているのだから、洋服全体の需要が減るのは必然といえるだろう。

 では、なぜ今後はオーケージョンの中でも喪服だけが引き続き売れると予想されているのだろうか?

「団塊世代の人たちはすでに仕事をリタイアし、70代にさしかかり、亡くなる人も出てきます。その子どもである団塊ジュニアにあたる30代後半~40代の中には、これを機に喪服をそろえようという人もいるでしょう。店に行くよりネットショッピングで探す方が早いから、楽天、ZOZOTOWNなどの通販サイトで商品を販売しているブランドは、こぞって参入していく可能性は高いです。しかも、人気のあるブランドが普段使いもできるデザイン性の高いものを発売すれば、もっと需要は高まるでしょう」(同上)

 そうした流れを受けてか、楽天市場などで礼服をレンタルするビジネスを展開する企業も好調だという。しかし、「人が亡くなることで売り上げを伸ばすなんて」と、眉をひそめるファッション関係者が多いのも事実。できることなら、こうした局所的なブームではなく、ファッション業界全体が盛り上がるトレンドが押し寄せてほしいものだが……。

“オトナ女子”が着るべき服とは? アラフォー世代のトレンドとファッションビジネスの現状

<p> 篠原涼子、吉瀬美智子、鈴木砂羽と人気女優を揃えたドラマ『オトナ女子』(フジテレビ系)が大苦戦中だ。視聴率は一桁台が続き、いいトシをした大人が集まってキャーキャー恋バナに花を咲かせる様子は「リアリティがない」と批判的な意見が集まっている。たしかに、現実の「オトナ女子会」は、横丁の飲み屋でキツめの酒を酌み交わし、明日に備えて翼を休める密やかな集いなのだから。<br /> </p>

「麻袋みたい」「水前寺清子?」ファッション&メイクが酷評される美人タレントたち

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デビュー時は、ストレートヘア&ひざ丈ワンピが正解って知ってたのに!

 テレビや雑誌の世界で活躍する女性タレントたち。オシャレな衣装やメイクでより魅力的になった彼女たちは、見る者に夢を与えているが、時としてそれらがネット上で酷評されてしまうこともある。

 3月7日に開催された映画の祭典『第37回 日本アカデミー賞授賞式』では、数々の女優がドレス姿で登場する中、真木よう子はマニッシュな上下黒のジャケットスタイルで登壇。その出で立ちが、ボディーガード役を演じたドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ系)のようで「地味」という声が上がってしまった。また、赤い口紅が目立つメイクも賛否両論で、ベリーショートには「水前寺清子みたい」などと、良くも悪くも注目が集まった。