ユニクロユーの落とし穴――トレンドを押さえたコラボラインは「高品質&低価格」でも、購入には要注意!?

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 日本人のほとんどが買ったことがあるという意味で「国民服」とまで言われるようになったユニクロ。その国内売上収益がついに8700億円に到達しました(2019年8月期決算連結業績)。直営店舗型の単独アパレルブランドとしては、国内で圧倒的1位の売上高です。以前は「安物」「ダサい」の代名詞として、ユニクロ着用がバレることを「ユニバレ」、着用しているユニクロアイテムが他人と重なることを「ユニ被り」などと揶揄されましたが、今では「ユニバレ」「ユニ被り」も当たり前で、誰も話題にしません。逆にブランドイメージは高まる傾向にあり、その転機の1つとなったのは、有名デザイナーとの「コラボライン」だと言えます。

 ユニクロは2006年から、さまざまなデザイナーやブランドと何品番かをコラボした「デザイナーズ・インビテーション・プロジェクト」を行っていましたが、大々的にその路線を打ち出したのは、ジル・サンダー氏とのコラボライン「+J(プラスジェイ)」(09年スタート)からです。その後、「アンダーカバー」とのコラボライン「UU」を経て、現在は、クリストフ・ルメール氏とのコラボライン「ユニクロユー(以下、ユニクロU)」が展開中で、同ラインはこれまでにない長期契約となっています。

 「長期」となるくらいですから、恐らくは、ユニクロ側とルメール氏の関係が良好な上に、売上高もそれなりに好調なのではないかと推測されます。なお、この「ユニクロU」に続いて、「JWアンダーソン」や「エンジニアドガーメンツ」とのコラボも展開されました。

 さて、ユニクロの衣料品は、低価格ゾーンでありながら、圧倒的に素材と縫製が良く、高く評価されています。一部の百貨店向けブランドやセレクトショップ向けブランドより「品質は高い」とまで言われているのです。個人的には特に冬のウールセーター類のコスパの高さは群を抜いていると感じています(カシミヤセーターは値段相応)。

 そのため、8700億円もの売上収益を叩き出すのも当然だと言えるものの、定番のダウン、パーカー、フリース、セーターなど、商品のラインナップがベーシックすぎて飽きてしまうことはないでしょうか? レディースもそうですが、とりわけ衣料品のデザインバリエーション自体が少ないメンズにおいてはどうでしょうか? 筆者は、やはりユニクロは「飽きがきやすい」というのが、正直な印象です。

 例えば冬のセーター。基本となる黒、グレー、紺と3色を揃え、あとはアクセントとなる赤やブルー、紫など2~3色買い足せばそれで終わりになります。全10色全てを揃えようという人はほとんどいないでしょう。次に買うときは、以前に買った物が破れたり傷んだりしたときになるものの、よほど乱暴で粗雑な扱いをしなければ、だいたい3年前後は持ちますから、買い替え・買い足しは3年に1度ということになります。

 ユニクロがこれまでその品質を磨き続けてきたベーシック衣料というのは、ユニクロ側にとって、販売期間を長く設定できるというメリットがある半面、買い替え・買い足し頻度を低くしてしまうというデメリットをはらんでいるのです。最近は無駄遣いの象徴としてやり玉に挙げられることが増えたトレンド衣料品ですが、ブランド側にとっては、はやり廃りが激しいため販売期間が短くなるというデメリットがありつつ、買い替え・買い足し頻度を高くできるというメリットもあります。

 この買い替え・買い足し頻度が低くなるというユニクロのビジネス上の弱点を補完するのが、現在の「ユニクロU」をはじめとするデザイナーコラボラインだと言えます。

 業界では、「ユニクロU」ほかデザイナーズコラボラインに対して、「最新トレンド品が、この値段、この品質で買えるとは驚きだ」という意見が多く、おおむね高評価。ちなみに筆者も業界の端くれにいるからなのか、実はユニクロの本体ラインよりも、「ユニクロU」含むデザイナーコラボラインの方を多く買っていて、この3年間くらいのユニクロ購入品の約7割はデザイナーコラボラインなのです。私ですら、こうした有様ですから、業界からの評価がいかに高いかがおわかりいただけるのではないかと思います。

 しかし、業界の評価と一般のマス層の評価は必ずしも一致しません。「ユニクロU」も、一般の購入者視点で見ると、「欠点」となり得るポイントはありそうです。

「ユニクロU」はどのようなラインかというと、まずその特徴として、基本的に最近のトレンドである「ルーズシルエット」が挙げられます。よほど体格の大きい人以外はMかLサイズで着られるのではないでしょうか。また、ルメール氏がフランス出身のため、どことなくフランステイストもあり、さらに色は基本的に黒、紺、ベージュが中心ですが、中に1色か2色、アクセントカラーが差し込まれているのも特徴。 なお、使用素材はユニクロ本体よりもワンランク上のものが多く使われており、商品価格も1,000~3,000円くらい高くなっています。

 ユニクロUは使用素材、縫製仕様ともに品質が高く、最新のトレンドを安値で試せるとはいえ、一般の購入者の中には「着こなすのが難しい」と感じる人が、少なからずおられるのではないかと思います。その理由はさまざまあるのでしょうが、個人的に真っ先に思い浮かぶのが、先ほど指摘した、トレンドの「大きめのルーズサイズ」という点です。

 15年頃から、それまでの流行だった「ピチピチ」「ピタピタ」のタイトシルエットへの反動として、ダボっとしたルーズシルエットへの注目が始まりました(この火付け役は「ヴェトモン」だと言われています)。ユニクロの商品も、ベーシックとはいうものの、トレンドはそれなりに反映するので、15年頃までは、比較的タイトなシルエットが主流でしたが、今ではややゆとりのあるシルエットの商品がほとんどとなっています。そして「ユニクロU」のアイテムは、このゆとりある本体ラインよりも、またさらに大きめのサイズ感となっているのです。

 ファッション好きの若い人たちの間では、あえて2~3サイズ大きめの服を着ることがはやっていますが、中高年層に、その着こなしはなかなか似合いません。本体ラインでMサイズだからといって、「ユニクロU」でもMサイズを選べばよいかというと必ずしもそうではなく、体型や体格にもよりますが、Sサイズを選んだ方がすっきり見えるという人も少なくないのです。つまり「ユニクロU」はサイズ選びが難しいと言わねばならず、そこを間違えるとダボダボでだらしなく見えてしまうという危険性があります。

 また、「ユニクロU」のカラー展開にも、欠点というより「惜しい点」が存在します。先ほどアクセントカラーが差し込まれていると指摘しましたが、結構目立つ色が選ばれるので、苦手と感じられる方も多いのではないかと考えられるのです。ただし、柄物は少なく、ほとんどが無地なので、その部分では、多くの購入者にとっては手に取りやすいのかもしれません。

 ちなみに柄物の話で言うと、「JWアンダーソン」とのコラボラインには柄物が多く、しかもアクの強い特徴的な柄も珍しくありません。この柄が一般的に不評なのか、「JWアンダーソン」コラボアイテムには売れ残る品番が多く、最終的に驚くほどの安価に値下げされる場合が結構あるのです(逆に、お買い得とも言えますが)。

 このように、購入者視点だと、「欠点」や「惜しい点」もある「ユニクロU」ですが、その部分に気を付ければ、本当にお買い得な商品が多いのも事実。ぜひチャレンジしてもらいたいと思います。
(南充浩)

ユニクロユーの落とし穴――トレンドを押さえたコラボラインは「高品質&低価格」でも、購入には要注意!?

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 日本人のほとんどが買ったことがあるという意味で「国民服」とまで言われるようになったユニクロ。その国内売上収益がついに8700億円に到達しました(2019年8月期決算連結業績)。直営店舗型の単独アパレルブランドとしては、国内で圧倒的1位の売上高です。以前は「安物」「ダサい」の代名詞として、ユニクロ着用がバレることを「ユニバレ」、着用しているユニクロアイテムが他人と重なることを「ユニ被り」などと揶揄されましたが、今では「ユニバレ」「ユニ被り」も当たり前で、誰も話題にしません。逆にブランドイメージは高まる傾向にあり、その転機の1つとなったのは、有名デザイナーとの「コラボライン」だと言えます。

 ユニクロは2006年から、さまざまなデザイナーやブランドと何品番かをコラボした「デザイナーズ・インビテーション・プロジェクト」を行っていましたが、大々的にその路線を打ち出したのは、ジル・サンダー氏とのコラボライン「+J(プラスジェイ)」(09年スタート)からです。その後、「アンダーカバー」とのコラボライン「UU」を経て、現在は、クリストフ・ルメール氏とのコラボライン「ユニクロユー(以下、ユニクロU)」が展開中で、同ラインはこれまでにない長期契約となっています。

 「長期」となるくらいですから、恐らくは、ユニクロ側とルメール氏の関係が良好な上に、売上高もそれなりに好調なのではないかと推測されます。なお、この「ユニクロU」に続いて、「JWアンダーソン」や「エンジニアドガーメンツ」とのコラボも展開されました。

 さて、ユニクロの衣料品は、低価格ゾーンでありながら、圧倒的に素材と縫製が良く、高く評価されています。一部の百貨店向けブランドやセレクトショップ向けブランドより「品質は高い」とまで言われているのです。個人的には特に冬のウールセーター類のコスパの高さは群を抜いていると感じています(カシミヤセーターは値段相応)。

 そのため、8700億円もの売上収益を叩き出すのも当然だと言えるものの、定番のダウン、パーカー、フリース、セーターなど、商品のラインナップがベーシックすぎて飽きてしまうことはないでしょうか? レディースもそうですが、とりわけ衣料品のデザインバリエーション自体が少ないメンズにおいてはどうでしょうか? 筆者は、やはりユニクロは「飽きがきやすい」というのが、正直な印象です。

 例えば冬のセーター。基本となる黒、グレー、紺と3色を揃え、あとはアクセントとなる赤やブルー、紫など2~3色買い足せばそれで終わりになります。全10色全てを揃えようという人はほとんどいないでしょう。次に買うときは、以前に買った物が破れたり傷んだりしたときになるものの、よほど乱暴で粗雑な扱いをしなければ、だいたい3年前後は持ちますから、買い替え・買い足しは3年に1度ということになります。

 ユニクロがこれまでその品質を磨き続けてきたベーシック衣料というのは、ユニクロ側にとって、販売期間を長く設定できるというメリットがある半面、買い替え・買い足し頻度を低くしてしまうというデメリットをはらんでいるのです。最近は無駄遣いの象徴としてやり玉に挙げられることが増えたトレンド衣料品ですが、ブランド側にとっては、はやり廃りが激しいため販売期間が短くなるというデメリットがありつつ、買い替え・買い足し頻度を高くできるというメリットもあります。

 この買い替え・買い足し頻度が低くなるというユニクロのビジネス上の弱点を補完するのが、現在の「ユニクロU」をはじめとするデザイナーコラボラインだと言えます。

 業界では、「ユニクロU」ほかデザイナーズコラボラインに対して、「最新トレンド品が、この値段、この品質で買えるとは驚きだ」という意見が多く、おおむね高評価。ちなみに筆者も業界の端くれにいるからなのか、実はユニクロの本体ラインよりも、「ユニクロU」含むデザイナーコラボラインの方を多く買っていて、この3年間くらいのユニクロ購入品の約7割はデザイナーコラボラインなのです。私ですら、こうした有様ですから、業界からの評価がいかに高いかがおわかりいただけるのではないかと思います。

 しかし、業界の評価と一般のマス層の評価は必ずしも一致しません。「ユニクロU」も、一般の購入者視点で見ると、「欠点」となり得るポイントはありそうです。

「ユニクロU」はどのようなラインかというと、まずその特徴として、基本的に最近のトレンドである「ルーズシルエット」が挙げられます。よほど体格の大きい人以外はMかLサイズで着られるのではないでしょうか。また、ルメール氏がフランス出身のため、どことなくフランステイストもあり、さらに色は基本的に黒、紺、ベージュが中心ですが、中に1色か2色、アクセントカラーが差し込まれているのも特徴。 なお、使用素材はユニクロ本体よりもワンランク上のものが多く使われており、商品価格も1,000~3,000円くらい高くなっています。

 ユニクロUは使用素材、縫製仕様ともに品質が高く、最新のトレンドを安値で試せるとはいえ、一般の購入者の中には「着こなすのが難しい」と感じる人が、少なからずおられるのではないかと思います。その理由はさまざまあるのでしょうが、個人的に真っ先に思い浮かぶのが、先ほど指摘した、トレンドの「大きめのルーズサイズ」という点です。

 15年頃から、それまでの流行だった「ピチピチ」「ピタピタ」のタイトシルエットへの反動として、ダボっとしたルーズシルエットへの注目が始まりました(この火付け役は「ヴェトモン」だと言われています)。ユニクロの商品も、ベーシックとはいうものの、トレンドはそれなりに反映するので、15年頃までは、比較的タイトなシルエットが主流でしたが、今ではややゆとりのあるシルエットの商品がほとんどとなっています。そして「ユニクロU」のアイテムは、このゆとりある本体ラインよりも、またさらに大きめのサイズ感となっているのです。

 ファッション好きの若い人たちの間では、あえて2~3サイズ大きめの服を着ることがはやっていますが、中高年層に、その着こなしはなかなか似合いません。本体ラインでMサイズだからといって、「ユニクロU」でもMサイズを選べばよいかというと必ずしもそうではなく、体型や体格にもよりますが、Sサイズを選んだ方がすっきり見えるという人も少なくないのです。つまり「ユニクロU」はサイズ選びが難しいと言わねばならず、そこを間違えるとダボダボでだらしなく見えてしまうという危険性があります。

 また、「ユニクロU」のカラー展開にも、欠点というより「惜しい点」が存在します。先ほどアクセントカラーが差し込まれていると指摘しましたが、結構目立つ色が選ばれるので、苦手と感じられる方も多いのではないかと考えられるのです。ただし、柄物は少なく、ほとんどが無地なので、その部分では、多くの購入者にとっては手に取りやすいのかもしれません。

 ちなみに柄物の話で言うと、「JWアンダーソン」とのコラボラインには柄物が多く、しかもアクの強い特徴的な柄も珍しくありません。この柄が一般的に不評なのか、「JWアンダーソン」コラボアイテムには売れ残る品番が多く、最終的に驚くほどの安価に値下げされる場合が結構あるのです(逆に、お買い得とも言えますが)。

 このように、購入者視点だと、「欠点」や「惜しい点」もある「ユニクロU」ですが、その部分に気を付ければ、本当にお買い得な商品が多いのも事実。ぜひチャレンジしてもらいたいと思います。
(南充浩)

道端アンジェリカ、夫の逮捕以前から悪評だらけで「三姉妹揃って」ファッション業界追放も

 知人男性から現金35万円を脅し取ったとして、警視庁組織犯罪対策2課が3日、モデルの道端アンジェリカの夫で韓国籍の飲食店経営者キム・ジョンヒ容疑者を逮捕したことを、各メディアが報じた。

 逮捕容疑は今年8月7日、キム容疑者が道端の知人で会社役員の40代男性の都内のの職場に押しかけ、「お前の家族をめちゃくちゃにしてやる。嘘をついたら鉛筆で目を刺す」などと脅し、35万円を口座に振り込ませた疑い。

 キム容疑者は調べに対し、「脅したつもりはまったくなく、飲食代金として請求した」と容疑を否認しているというが、現場には道端も同席していたというのだ。

「被害者男性は道端の元彼で、飲食店でイチャイチャしていたのを見てキレという報道があり、道端に不倫疑惑が浮上。もともと、彼氏のような存在は複数いたので、結婚前に関係を切れなかったんでしょう。いずれにせよ、自分がいたのに旦那の“暴走”を止められなかったのは大失態です」(スポーツ紙記者)

 事件を受け4日、道端の事務所は公式サイトでコメントを発表。「現在報道されている内容等、全ての事実関係を確認中であります」とし、今後の対応を検討中だという。

 しかし、夫の逮捕を受け、事務所側が予定していた、5日開催の「東京ガールズコレクション 北九州 2019」(福岡・北九州市)の出演をキャンセルした。

「アンジェリカのみならず、姉のジェシカも裏方に対して常に高飛車な態度で有名でした。姉妹はイベントに呼んでも、自分たちに不都合な質問は露骨に嫌な顔をして答えないなど評判は最悪。また、道端三姉妹は自由奔放すぎて男性関係以外にも危ない噂話は数知れず、もともと大手クライアントからは敬遠されていた。今回の件では印象的にかなり深刻なダメージがあり、三姉妹揃ってファッション業界から追放されてもおかしくない」(広告代理店関係者) 

 道端の夫を国際的な犯罪を扱う組対2課が逮捕したのも気になるところ。今後の捜査の行方が注目される。

ユニクロはジーユーより「高価格」「高品質」って本当? 冬用セーターで比較すると……

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

ファーストリテイリングのブランド「ユニクロ」と「ジーユー」。どちらも一般的に低価格ではあるものの、2つを比較した場合、「ユニクロはジーユーより値段が高く、高品質」といったイメージを持たれているようです。しかし、果たしてこれは本当か聞かれると、そもそも「品質の高い/低い」を語ること自体が、非常に難しいと言えるでしょう。

家電やパソコンなど、機械類の「品質の高い/低い」は、一部に例外こそありますが、総じて、価格が高ければそれに比例して性能や耐久性が向上するのではないでしょうか。3万円と10万円のパソコンなら、圧倒的に10万円のパソコンが高品質だといえます。一方、衣料品の品質の高さとはなんでしょうか。これはケースバイケースで、その状況と用途に応じて変わるとしか答えられず、やっかいなことに、高額品が必ずしも高品質(耐久性や機能性が高い)とも言えないのです。ここが「高品質のものを買いたい」という消費者を惑わせる部分ではないかとも思います。

 例えば、織りでも編みでも、糸の密度を非常に高めた生地――いわゆる高密度生地は、糸がたくさん使われているため、単純に糸値だけ考えれば高額品ということになります。ちょっと極端な例え方をすると、同じ10本の糸を使って織った生地と、1万本の糸を使って織った生地だと、製造にかかった糸値は、後者の方が1000倍高いということになります。おわかりでしょうか。

 しかし、高密度な生地の商品だけが「高品質」かと言われると、それは違います。なぜなら服にはそれぞれ「用途」というものがあるから。例えば、シースルーっぽい夏用のジャケットを企画していたとします。このとき、高密度な生地を使用して「高品質」と言えるでしょうか。じゃあ、低密度のシースルー生地は安物で低品質かというと、これもそうとは限らないのです。通常のシースルー素材よりもさらに低密度の薄い生地ができた場合、その生地の製造が非常に難しいものであれば高級品、高品質品と呼ばれることになります。

 それから、一般的には、概して、細い糸で作られた柔らかくて光沢のある生地が「高品質」と呼ばれることもありますが、これまた違うのです。確かにそのような生地のTシャツは「高品質品」と認知される一方、8オンス(生地の厚さを表わす単位)以上の重くて分厚い生地のTシャツも、これもまた「高品質品」と言われます。これらを厳密に考えれば考えるほど、衣料品の高品質とは何なのかがますますわからなくなると言えるでしょう。

 ちょっと前置きが長くなりましたが、衣料品の品質とはこういうものなので、何を持ってユニクロとジーユーの品質を比較して論じるのかというのが、かなり難しい作業であるということを理解していただけたのではないかと思います。

 しかし、一般的に広く言われるように、ユニクロの方がジーユーより“総じて”高品質であることは間違いありません。冬用のセーターに的を絞れば、一般の方にもわかりやすく比較ができるかと思います。

 ユニクロの冬用のセーターですが、2018年秋には、「プレミアムラムウールセーター:2,990円」が最も定番だった印象です。こちらは、ちょっとざっくりしたミドルゲージセーターで、生地はウール100%。期間限定で、1,990円で販売されていたこともあります。なお、19年8月時点でも、同商品がすでに店頭投入されています。

 このウールは「高品質」素材と言え、また近年、その原料価格は高騰し続けています。昔ですと、ウール100%のセーターは、ユニクロに頼らずとも、低価格ブランドの店頭で、普通に3,000円くらいで売られていましたが、原料価格高騰によってほぼ姿を消しました。そんな中、2,990円で高品質素材のウールセーターを発売するユニクロは、すさまじいと言わねばなりません。同じ商品をセレクトショップに並べたら、恐らくは最低でも1万円前後になると考えられます。

 一方、ユニクロを下回る低価格ブランドのジーユーは、合繊100%またはウールを少しだけ混ぜた合繊主体の生地でできています。価格は1,490~1,990円が中心で、ユニクロのプレミアムラムウールセーターより確かに安価(期間限定価格時と比較すると同等)ですが、使用素材は大きく異なります。つまり、冬用セーターで比較すると、「ユニクロはジーユーより値段が少し高く、高品質」かつ、もしくは「ユニクロはジーユーと値段がほぼ同じで、高品質」と言えます。何せ、ウールの原料価格は毎年上昇し続けていますから、ウール100%のセーターを2,990円で発売することは並みのブランドには困難なのです。

 少しだけことわっておくと、ジーユーが格別に安い生地を使っているということではありません。ジーユーと同等価格の他社低価格ブランドはもっと粗悪な合繊100%セーターを発売していますから、それらに比べるとジーユーはまだマシなのです。

 ちなみに、ユニクロの高品質ぶりが一層顕著になるのは、春夏シーズンよりも秋冬シーズンだと言えます。それらは原料高騰のウールとダウンをふんだんに使っているにもかかわらず、2018年秋まで価格はほぼ据え置きだったからです。ラムウールセーターしかり、ダウンジャケットしかり、ウール素材のコート類しかりです。

 今秋冬も高品質低価格ぶりをユニクロが続けられるのかどうか、注目してみたいと思います。
(南充浩)

ZARAが抱える2つの地雷――「日本ではユニクロに勝てない?」「パクリ問題連発」好調の裏側

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 先進国で服が売れにくくなっている状況下において、世界規模でみれば売上高トップを独走し、その成長率と高利益率で注目を集めるのが、主力ブランド「ZARA」を擁するインディテックス社です。全世界の売上高は3兆円を超えています。

 今回は、そんなZARAの我が国における状況――好調の裏側にある“懸念材料”までを見てみたいと思います。

 「各人がすでに大量の洋服を持っていて、新しい商品に手を伸ばさない」という背景から、洋服の販売不振、過剰在庫が取り沙汰される我が国のアパレル業界ですが、ZARAはそうした環境には左右されていないと言われています。さまざまなメディアで報じられている通り、その秘密は、「高速回転による多品種小ロット生産」だとされています。これは、多くの種類の商品を少量ずつ作って店頭に投入し、小刻みに新たな商品へ入れ替えていくスタイルです。

 ZARAとは違い、通常のアパレルブランドは「目玉」となる商品をたくさん作り置いて、徐々に売り減らすという手法を取ります。その理由は、

1.1枚当たりの生産コストが引き下げられ、粗利益額(商品の販売価格から仕入原価を差し引いた金額)が大きくなりやすいため
2.糸、生地の生産を考慮すると、少なくとも半年以上のリードタイム(発注あるいは製造開始から納品までの時間)が必要となるため
3.生地や副資材(ボタン、ファスナー、芯地など)の製造・仕入れコストが抑えられるため
4.サイズ切れや色柄切れなどの欠品による機会損失を防ぎやすいため

などが考えられます。

 この手法を極限まで突き詰めたブランドが、ユニクロだと言えます。通常、メディアでは「ファストファッション」と分類されがちなユニクロですが、実は企画から店頭投入まで1年以上かけている「スローファッション」なのです。1型当たりの生産数量は最低でも数十万~100万枚となり、売れ行き不振で生産調整を行っている我が国のほかのアパレルとは、一線を画す生産量を誇っています。

 一方、ZARAは多品種小ロット生産で知られています。これによって、売り場の新鮮さがいつも保たれるだけでなく、「値下がりまで待っていては売り切れる」という焦燥感から、消費者は定価で買うケースが増えます。この売り方こそ、「各人がすでに大量の洋服を持っている」という我が国をはじめとする先進諸国に適したシステムだとされているのです。通常、多品種小ロットを高速で投入し続けると、1枚当たりの製造コストがかさみ、商品価格は高くならざるを得ませんが、ZARAの場合、店舗数は全世界では2,000店を超えます。つまり1店舗に1型当たり10枚ずつを配送するとしても、総生産数量は2万枚となるので、商品価格を百貨店向けブランドの約半分に抑えることができるのです。

 ZARAはこの企画生産システムを導入することで、成功を収めてきたわけですが、ほかのアパレルがこれを導入することは容易ではありません。なぜなら、常に先を読む企画体制が必要となりますし、高速で次々と新型を生産する仕組みや、各店に商品を送付する物流システムが必要となるからです。このため、ZARAの優位は中期的には変わらないだろうと考えられています。

 とはいえ、世の中に完全無欠の企業は存在しません。ZARAにも、わずかばかりではあるものの、懸念材料はあります。まず、我が国市場に限っていえば、ZARAの総売上高は伸び悩み・停滞が見られるのです。ZARAジャパンは売上高を公開していないので、詳細はわかりませんが、小島ファッションマーケティング代表取締役・小島健輔さんは、独自の情報網から入手したという「数字」を、ニュースサイト「商業界オンライン」の2019年4月配信記事で公開しています。それによると、インディテックス系日本法人の売上高について、18年度は前年実績から76億円減少した約690億円と類推しており、19年に入ってから復調したとは聞かないため、よくても現状維持、悪ければさらに売上高は低下していると考えらえます。また国内の店舗数も18年からは増えていないばかりか、逆に減少傾向にあると指摘されています。

 代表的な事例でいえば、旗艦店の一つとされていた大阪・心斎橋店が、移転のため閉店しました。そしてその後、ドラッグストア「ココカラファイン」が入店したのです。インバウンド客で賑わう心斎橋筋商店街は現在、アパレル店がどんどんと減り、その跡地にドラッグストアが入店するということが続いて、「ドラッグストア商店街」へと急速に変貌しています。

 店舗というのは、家賃交渉や契約更新などのタイミングがあり、一概に「不調だから撤退した」とは言えない場合がありますが、アパレル店に比べてドラッグストアは売上高が全般的に高いため、家主がアパレル店を排除してドラッグストアに貸したがるということが増えています。ある有名アクセサリーブランドの元役員によると「ドラッグストアのトップ店舗の売上高は月額3億円もある」とのこと。年商にすると1店舗で40億円くらいあることになり、アパレル店の10倍ほどになります。詳細は明かされていませんが、恐らくZARAの心斎橋旗艦店も同様だったのではないかと考えられます。ドラッグストアの勢いには遠く及ばなかったということではないでしょうか。

 ZARAの商品は一般的に「ファッション性が高い」と言われ、店頭を見てもらえば一目でわかりますが、ユニクロに比べて「着こなしが難しそう」な商品が数多く並んでいます。そうなると、いくら「百貨店向けブランドよりも半額くらい安い」とはいえ、購買客数の上限はそう高くはならず、ユニクロのようにマス層には広がりません。田舎の老人までもが着用できるようなことには絶対にならないのです。現在、推定されている700億円内外というのが、我が国市場におけるZARAブランドの限界点ではないかと考えられます。ZARAを好むような「おしゃれな客層」をあらかた獲得し尽くしたのではないでしょうか。

 次の懸念材料は、「パクリ訴訟」による相次ぐ敗訴です。ZARAの商品企画は、有名ブランドのデザインを巧みに、良く言えばインスパイア、悪く言えばパクるところに特徴があります。これまで、業績の好調ぶりが騒がれる裏側で、数々の著名ブランドとの類似が指摘されてきたのです。

 ZARAは昨年11月、我が国のデザイナーブランド「ザ・リラクス」に、フード付きコートのデザインを完全コピーされたとして裁判を起こされ敗訴。東京地方裁判所から1041万7282円の支払いを命じられました。またイタリアのOTBグループからも、ブランド「Diesel(ディーゼル)」のジーンズ「Skinzee-SP」と「Marni(マルニ)」のサンダル「Fussbett」を模写されたとして、15年にミラノの裁判所に提訴され、3年後の18年7月に敗訴となっています。

 この2件以外でも、これまでZARAによる「デザインのパクリ疑惑」は、常にファッション業界人やネットユーザーから指摘され続けてきました。トレンド分析を速く正確に行うにあたって、ZARAはコレクションブランドや著名ブランドの商品動向に四六時中目を光らせており、「イケる」と判断した商品を、ほぼそのままコピーすることも、決して少なくはないのではないかと言われているのです。

 ファッション業界は、基本的に「パクりパクられ」の連鎖ですから仕方がない一面があるとは言え、ファッションブランドの知的所有権保護が強化される状況下では、今後、これまでの商品デザインの手法は通用しにくくなる可能性が高くなると考えられます。

 世界的には、ZARAの強さは今後しばらく続くとされています。また、我が国の市場でも急激に衰えることはないでしょうが、これらの懸念材料が影響し、今後のさらなる大幅拡大は期待できないと予想される状況にあるのは事実。日本では、一定規模を維持した「外国のオシャレブランド」として、現状維持が続くのではないでしょうか。
(南充浩)

GUCCIが偽ブランド品をサンプリング! “ブート・クチュール”の複雑化する最尖端

――ブランドのロゴを勝手に使い、自己流にアレンジした“ブート・クチュール”と呼ばれるアイテムが、最近ファッション界でイケてるという。しかし、“偽ブランド品”とは何が違うのか? ファッションと法律の両観点から、その最新状況と是非を整理してみたい。

 “ブート”とは、“Bootleg(ブートレグ)=海賊版、密造品”のこと。それらを自分流に解釈して仕立てる(=クチュール)ことを指した“ブート・クチュール”なる言葉がある。“オート(=高級)クチュール”とは真逆といえるものだが、近年、ファッション界でこのブート・クチュールが注目を集めている。しかも、悪い意味ではなく“良い意味”において、である。

 2018年夏、グッチは30年前のブート品をサンプリングした「グッチ〔ダッパー・ダン〕コレクション」(84ページ写真上)を発売した。ダッパー・ダンとは、1980年代から90年代初めにかけてカルト的人気を誇った、ニューヨーク・マンハッタン出身の黒人テイラーだ。独学で服づくりを学び、ハーレムにショップを開くと、グッチ、フェンディ、ルイ・ヴィトンなどハイブランドのモノグラムを全面にプリントしたファブリックやレザーを密造。およそそのブランドの製品とは思えない独自のスタイルを生み出し、ブルゾンやスーツなどをオーダーメードで仕立てた。もちろんブランド側には許可を取っていない違法ビジネスだったが、黒人のヒップホップ・スターやアスリートたちにとって彼のアイテムを着用することがある種のステータスになっていた。

 ところが88年、彼の顧客だったプロボクサー、マイク・タイソンとライバルのミッチ・グリーンがダッパー・ダンの店で暴行事件を起こす。この事件はテレビや新聞で大きく報道され、ダッパー・ダンの存在やブート・クチュールも世間に露呈してしまう。これが原因でブランド側がこぞって彼を訴え、92年、ダッパー・ダンの店は閉店に追い込まれた。

 ヒップホップのクラシック(名盤)のひとつとされている、エリック・B&ラキムのアルバム『Paid in Full』(1987年)。このジャケットで2人が身にまとっていたのも、ダッパー・ダンが手がけたブート・クチュールだった。
 ファッションジャーナリストのA氏は、ダッパー・ダンについてこう評する。

「単にブランド名をプリントしただけのコピー品は、アジアを中心に世界で流通していますが、自身のテイラーの技術を駆使したクリエイティブなブートという意味で、彼は異質でした。サンプリングの仕方にしてもひねりが効いていて、同時代のヒップホップ文化と完璧にリンクしていたといえます」

 そこに注目したのが、2015年にグッチのクリエイティブ・ディレクターに就任したアレッサンドロ・ミケーレだ。17年6月に発表した18年クルーズコレクションには、袖が大きく膨らんだファージャケットが登場。これが、ダッパー・ダンがかつてデザインしたジャケットに似ているとインスタグラムのアカウント「Diet Prada」(87ページのコラム参照)で指摘されて、話題となった。ほどなくアレッサンドロ・ミケーレは、このジャケットはダッパー・ダンへの“オマージュ”とソーシャルメディアで説明。その後、同年9月にはダッパー・ダンを17年秋冬シーズンのメンズのテーラリングキャンペーンモデルに起用し、18年にはオーダーメードでメンズウェアを仕立てるダッパー・ダンのアトリエをオープンした。そして、18年秋冬コレクションではダッパー・ダンとコラボレーションした先述の「グッチ〔ダッパー・ダン〕コレクション」を発表するに至ったわけだ。すなわち、本家がニセモノをリスペクトした上にフィーチャーするという、複雑な事態が起きたのである。

■ストリートにすり寄るハイブランドの魂胆

 似たような動きはほかのブランドでもないことはない。ニューヨークで1994年に創業した、ストリートブランドのシュプリームは、2000年にルイ・ヴィトンのモノグラムを全面に配したスケートボードデッキを販売したが、ルイ・ヴィトン側からクレームを受け、発売から約2週間で販売中止となってしまった。ところが17年、シュプリームはルイ・ヴィトンと正式にタッグを組み、ウェアやバッグ、財布、iPhoneケースなど限定コラボ商品を販売した。

 とはいえ、今や世界的な人気を誇るシュプリームと、30年前に密造屋の烙印を押されて表舞台から姿を消したダッパー・ダンとでは、衝撃度が大きく違う。

「当時のダッパーはニューヨークのハーレム限定のスターデザイナーであり、欧米のファッション業界ではほとんど知られていなかったはずです。でも、2010年代に入ってから、70~80年代のヒップホップをディグる動きが顕著になって、当時のヒップホップのファッションの重要人物として、注目を集めるようになりました。Netflixがドラマ『ゲットダウン』やドキュメンタリー『ヒップホップ・エボリューション』といった70年代の黎明期から90年代の黄金期までヒップホップの変遷をたどる番組を配信したのも、大きく影響していると思います」(A氏)

 加えて、それ以前にハイブランドがストリートブランドにすり寄ってきたことも背景にある。例えば2008年、リカルド・ティッシ(現バーバリーのチーフ・クリエイティブ・オフィサー)がジバンシィのメンズ・クリエイティブ・ディレクターに就任し、数シーズンにわたってストリートスタイルに大きな影響を受けたコレクションを発表。また同時期、世界的ラッパーのカニエ・ウェストは、従来のストリートスタイルにハイブランドをミックスしたスタイルを好むように。そして09年、ルイ・ヴィトンがそんなカニエのデザインによるスニーカーを発売。以降、さまざまなハイブランドが、ストリート・カルチャーにインスパイアされたコレクションを発表したり、ストリートブランドとのコラボを盛んに行ったりするようになった。顧客とのタッチポイントの多様化、購買ニーズの多様化が進む時代、各ブランドはこうして顧客の若返りを目指したのである。その試みが功を奏し、2010年代半ばになると、ハイブランドとストリート色の強いアイテムを組み合わせる“ラグジュアリーストリート(ラグスト)”が大流行した。

 こうした流れの一要素として、ブート・クチュールもとらえられるだろう。実例としては、16年にデビューし、新世代のポップ・アイコンとして注目されるLA在住の17歳の歌姫ビリー・アイリッシュは、しばしばアーティストのTsuwoopによるルイ・ヴィトンのモノグラムを使ったブート・クチュールを着て公の場に登場(85ページ写真)。なおTsuwoopは、ルイ・ヴィトンだけでなくグッチやシャネル、フェンディのロゴやモノグラムを勝手に派手な色使いにアレンジして仕立てたストリートウェアやスニーカーを次々と発表。それらの画像はインスタグラムの自身のアカウントでアップしているが、それらを公式に販売しているかどうかは明らかになっていない。

「アメリカではそうしたブートのファッションが非常に盛り上がっています。お金で買えないもの、自分だけの一点ものを求める傾向が世界的に強まっていることも、一要因としてあるでしょう」(同)

■シュプリームのロゴをバグらせて刺繍する

 ブートとは文脈が異なるが、日本のファッション業界では“サンプリング”や“オマージュ”の動きが盛ん。過去の銘品を参照して別の物を生みだしたり、別の方法で作り変えたりする手法である。

「2018年度のLVMHプライズを受賞したダブレットの井野将之は、過去の銘品をサンプリングして新しいものに作り変える発想と技術力が、世界から高く評価されています。オマージュという手法では、東京・浅草をベースに活動する革製品のブランド、エンダースキーマのオマージュラインが代表例。誰もが知るスポーツブランドの名作スニーカーを、ヌメ革で手工業的なアプローチで製作していて、こちらも高い評価を受けています。17年からは“公式二次創造物”と銘打ち、アディダスと正式にコラボレーションを実現させました。これは、本当に画期的なことだと思います。洋服やシューズのデザインはある程度出尽くしているので、こうしたリスペクトのあるサンプリングやオマージュの手法は、今後ますます盛んになっていくでしょう」(同)

 また、スタイリストの小山田孝司氏は、日本におけるある種のブート・クチュールの発展形について、こう話す。

「ファッション・デザイナー/アーティスト、Nukeme(ヌケメ)のグリッチ刺繍シリーズは、コンピュータミシンに読み込ませる刺繍データを意図的に破損させて刺繍することで作品化しています。14年にはサンリオとコラボレーションし、キャラクターをグリッチ刺繍の手法で制作したTシャツを伊勢丹新宿店で販売しました。キャラクターの取り扱いに非常に敏感といわれるサンリオが、わざとキャラクターの形を崩したりしている商品にOKを出したのは画期的でしたね」

 そんなNukemeは17年、GraphersRock名義でも活動するアートディレクター岩屋民穂との合作展「Dear Supreme, Dear PLAY」を開催。2人が特に思い入れが強いシュプリームのボックスロゴとコム デ ギャルソンの「PLAY」ラインのハートロゴを、グリッチ刺繍した作品を展示した。いずれも、正規店で購入した“本物”の上から、グリッチ刺繍したロゴを叩きつける、という手法で制作。つまり、単なるブートではなく、オリジナルを用いたカスタムなのだ(画像1枚目)。

「さらに、ブランド品以外の模刻まで行われることもあります。例えば、ジュエリーブランドのDO NOT DOは、硬貨を模したペンダントやリングを制作していますね(86ページ写真上)」(小山田氏)

 もっとも、通貨偽造罪は無期懲役または3年以上の懲役(20年以下)と重罰に処されるが、「ペンダントの場合、本物の硬貨とデザインは同じでありながら、安価な素材から高価な素材へ変更し、図柄自体も反転させている」(同)という。

■ZARAパクリ事件がもたらしたインパクト

 通貨偽造罪はともかく、「例えばブランドのロゴを商標権者の許可なく使って商品を販売すれば、日本法では商標権侵害となる」と弁護士法人プラム綜合法律事務所の梅澤康二弁護士は話す。

「商標は、商標となるロゴやマークなどと、その用途となる商品やサービスである指定商品・指定役務がセットで登録されています。例えば、あるブランドが『衣料品にこのロゴを使用する』と登録した場合、別の事業者が衣料品やこれに類する商品に勝手に同じロゴを使用することは商標権侵害に。この場合、権利者は当該侵害行為を行う者に、商標の使用差止めや損害賠償を求めることができます。また、こうした商標権侵害が組織的・営利的に行われるなど悪質なケースであれば、民事とは別に刑事事件として立件されることも。仮に刑事事件で起訴されて有罪となれば、その行為類型にもよりますが、もっとも重い場合は10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金刑、またはその併科となる可能性があります(法人が併せて処罰される場合の罰金額は、最大3億円とされています)。このような商標権侵害については、販売行為だけでなく、販売目的で所持・譲渡する場合も取り扱いは同様」(梅澤氏)

 また、ロゴを改変した場合には、著作権侵害に当たる可能性もあるという。

「個人的な趣味の範囲内で著作物であるロゴにアレンジを加える程度であれば、これが権利侵害となるかは別として、ことさら責任追及を受ける可能性は高くないかもしれません。しかし、企業側はブランド価値の維持のために、ロゴやマークの権利にある程度のコストをかけているのが通常。そのため、『単なるオマージュだから』と気軽にタダ乗りして販売利益を得ることを是認すると、企業はそうしたコストをかけることに躊躇し、登録を前提とする商標制度自体が崩壊するかもしれません。そのため、“オマージュ”という理由は権利侵害を正当化する理由にはなり得ないでしょう。なお、インターネットが発達した現代では、グレーゾーンと思える事象も。例えばブート・クチュールを着た姿をSNSに投稿することなどがあり得ます。こうした行為が商標の使用、そのほか商標権侵害行為となるかは慎重な判断を要すると思われます。他方で、ブート・クチュールを着た投稿で“オシャレな人”として知名度を得た上で、別の営利行為につなげるケースも考えられるので、これを規制の対象外と言い切るのもどうかと思います」(同)

 なお、日本では18年7月、アメリカで買い付けたグッチやシャネルなどの古着のブート品59点を、販売目的で所持していた古着店の店主ら2人が逮捕されている。警視庁によると、約3年前から古着店においてブート品の販売が目立つようになったという。とはいえ、ブランド側はパクられるばかりでなく、パクることもある。

「もともと、ファッション業界は引用に対して寛容でした。アートや建築からの引用は一般的な商法ですし、近年は“文化の盗用”という言葉で批判されることも多くなっていますが、少数部族の民族衣装を取り入れることも多かった。また、業界内では“抜く”という隠語で、優れたブランドの洋服のパターン(設計図)をそのままパクるということも公然と行われていました。18年に日本のブランドのザ・リラクスが、同社が販売するモッズコートをZARAが模倣して販売したとしてザラ・ジャパンを提訴し、ザラが敗訴することがありましたが、この事例は“抜く”という行為が違法であることを認めた画期的な判決だったと思います」(同氏)

 ただ、ファッションにおいて偽物、ブート、オマージュ、サンプリング……といった分類の境界線はやはり見えづらいところがある。また、ここまで見てきたように、オリジナルがブート(的表現)をさらにサンプリングしたりする複雑な状況にもなっている。その上、個人レベルの創作物もSNSで簡単に発信できる今、新たなグレーゾーンが生じ、問題は一層ややこしくなっているため、この先、ブート・クチュールの定義と意義がまた変化していくのかもしれない。(月刊サイゾー6月号『令和時代の(新)タブー』より

(写真:1枚目、5枚目/小濱晴美)

(スタイリング:画像1枚目のキャップ、5枚目のジュエリー/小山田孝司)

GUCCIが偽ブランド品をサンプリング! “ブート・クチュール”の複雑化する最尖端

――ブランドのロゴを勝手に使い、自己流にアレンジした“ブート・クチュール”と呼ばれるアイテムが、最近ファッション界でイケてるという。しかし、“偽ブランド品”とは何が違うのか? ファッションと法律の両観点から、その最新状況と是非を整理してみたい。

 “ブート”とは、“Bootleg(ブートレグ)=海賊版、密造品”のこと。それらを自分流に解釈して仕立てる(=クチュール)ことを指した“ブート・クチュール”なる言葉がある。“オート(=高級)クチュール”とは真逆といえるものだが、近年、ファッション界でこのブート・クチュールが注目を集めている。しかも、悪い意味ではなく“良い意味”において、である。

 2018年夏、グッチは30年前のブート品をサンプリングした「グッチ〔ダッパー・ダン〕コレクション」(84ページ写真上)を発売した。ダッパー・ダンとは、1980年代から90年代初めにかけてカルト的人気を誇った、ニューヨーク・マンハッタン出身の黒人テイラーだ。独学で服づくりを学び、ハーレムにショップを開くと、グッチ、フェンディ、ルイ・ヴィトンなどハイブランドのモノグラムを全面にプリントしたファブリックやレザーを密造。およそそのブランドの製品とは思えない独自のスタイルを生み出し、ブルゾンやスーツなどをオーダーメードで仕立てた。もちろんブランド側には許可を取っていない違法ビジネスだったが、黒人のヒップホップ・スターやアスリートたちにとって彼のアイテムを着用することがある種のステータスになっていた。

 ところが88年、彼の顧客だったプロボクサー、マイク・タイソンとライバルのミッチ・グリーンがダッパー・ダンの店で暴行事件を起こす。この事件はテレビや新聞で大きく報道され、ダッパー・ダンの存在やブート・クチュールも世間に露呈してしまう。これが原因でブランド側がこぞって彼を訴え、92年、ダッパー・ダンの店は閉店に追い込まれた。

 ヒップホップのクラシック(名盤)のひとつとされている、エリック・B&ラキムのアルバム『Paid in Full』(1987年)。このジャケットで2人が身にまとっていたのも、ダッパー・ダンが手がけたブート・クチュールだった。
 ファッションジャーナリストのA氏は、ダッパー・ダンについてこう評する。

「単にブランド名をプリントしただけのコピー品は、アジアを中心に世界で流通していますが、自身のテイラーの技術を駆使したクリエイティブなブートという意味で、彼は異質でした。サンプリングの仕方にしてもひねりが効いていて、同時代のヒップホップ文化と完璧にリンクしていたといえます」

 そこに注目したのが、2015年にグッチのクリエイティブ・ディレクターに就任したアレッサンドロ・ミケーレだ。17年6月に発表した18年クルーズコレクションには、袖が大きく膨らんだファージャケットが登場。これが、ダッパー・ダンがかつてデザインしたジャケットに似ているとインスタグラムのアカウント「Diet Prada」(87ページのコラム参照)で指摘されて、話題となった。ほどなくアレッサンドロ・ミケーレは、このジャケットはダッパー・ダンへの“オマージュ”とソーシャルメディアで説明。その後、同年9月にはダッパー・ダンを17年秋冬シーズンのメンズのテーラリングキャンペーンモデルに起用し、18年にはオーダーメードでメンズウェアを仕立てるダッパー・ダンのアトリエをオープンした。そして、18年秋冬コレクションではダッパー・ダンとコラボレーションした先述の「グッチ〔ダッパー・ダン〕コレクション」を発表するに至ったわけだ。すなわち、本家がニセモノをリスペクトした上にフィーチャーするという、複雑な事態が起きたのである。

■ストリートにすり寄るハイブランドの魂胆

 似たような動きはほかのブランドでもないことはない。ニューヨークで1994年に創業した、ストリートブランドのシュプリームは、2000年にルイ・ヴィトンのモノグラムを全面に配したスケートボードデッキを販売したが、ルイ・ヴィトン側からクレームを受け、発売から約2週間で販売中止となってしまった。ところが17年、シュプリームはルイ・ヴィトンと正式にタッグを組み、ウェアやバッグ、財布、iPhoneケースなど限定コラボ商品を販売した。

 とはいえ、今や世界的な人気を誇るシュプリームと、30年前に密造屋の烙印を押されて表舞台から姿を消したダッパー・ダンとでは、衝撃度が大きく違う。

「当時のダッパーはニューヨークのハーレム限定のスターデザイナーであり、欧米のファッション業界ではほとんど知られていなかったはずです。でも、2010年代に入ってから、70~80年代のヒップホップをディグる動きが顕著になって、当時のヒップホップのファッションの重要人物として、注目を集めるようになりました。Netflixがドラマ『ゲットダウン』やドキュメンタリー『ヒップホップ・エボリューション』といった70年代の黎明期から90年代の黄金期までヒップホップの変遷をたどる番組を配信したのも、大きく影響していると思います」(A氏)

 加えて、それ以前にハイブランドがストリートブランドにすり寄ってきたことも背景にある。例えば2008年、リカルド・ティッシ(現バーバリーのチーフ・クリエイティブ・オフィサー)がジバンシィのメンズ・クリエイティブ・ディレクターに就任し、数シーズンにわたってストリートスタイルに大きな影響を受けたコレクションを発表。また同時期、世界的ラッパーのカニエ・ウェストは、従来のストリートスタイルにハイブランドをミックスしたスタイルを好むように。そして09年、ルイ・ヴィトンがそんなカニエのデザインによるスニーカーを発売。以降、さまざまなハイブランドが、ストリート・カルチャーにインスパイアされたコレクションを発表したり、ストリートブランドとのコラボを盛んに行ったりするようになった。顧客とのタッチポイントの多様化、購買ニーズの多様化が進む時代、各ブランドはこうして顧客の若返りを目指したのである。その試みが功を奏し、2010年代半ばになると、ハイブランドとストリート色の強いアイテムを組み合わせる“ラグジュアリーストリート(ラグスト)”が大流行した。

 こうした流れの一要素として、ブート・クチュールもとらえられるだろう。実例としては、16年にデビューし、新世代のポップ・アイコンとして注目されるLA在住の17歳の歌姫ビリー・アイリッシュは、しばしばアーティストのTsuwoopによるルイ・ヴィトンのモノグラムを使ったブート・クチュールを着て公の場に登場(85ページ写真)。なおTsuwoopは、ルイ・ヴィトンだけでなくグッチやシャネル、フェンディのロゴやモノグラムを勝手に派手な色使いにアレンジして仕立てたストリートウェアやスニーカーを次々と発表。それらの画像はインスタグラムの自身のアカウントでアップしているが、それらを公式に販売しているかどうかは明らかになっていない。

「アメリカではそうしたブートのファッションが非常に盛り上がっています。お金で買えないもの、自分だけの一点ものを求める傾向が世界的に強まっていることも、一要因としてあるでしょう」(同)

■シュプリームのロゴをバグらせて刺繍する

 ブートとは文脈が異なるが、日本のファッション業界では“サンプリング”や“オマージュ”の動きが盛ん。過去の銘品を参照して別の物を生みだしたり、別の方法で作り変えたりする手法である。

「2018年度のLVMHプライズを受賞したダブレットの井野将之は、過去の銘品をサンプリングして新しいものに作り変える発想と技術力が、世界から高く評価されています。オマージュという手法では、東京・浅草をベースに活動する革製品のブランド、エンダースキーマのオマージュラインが代表例。誰もが知るスポーツブランドの名作スニーカーを、ヌメ革で手工業的なアプローチで製作していて、こちらも高い評価を受けています。17年からは“公式二次創造物”と銘打ち、アディダスと正式にコラボレーションを実現させました。これは、本当に画期的なことだと思います。洋服やシューズのデザインはある程度出尽くしているので、こうしたリスペクトのあるサンプリングやオマージュの手法は、今後ますます盛んになっていくでしょう」(同)

 また、スタイリストの小山田孝司氏は、日本におけるある種のブート・クチュールの発展形について、こう話す。

「ファッション・デザイナー/アーティスト、Nukeme(ヌケメ)のグリッチ刺繍シリーズは、コンピュータミシンに読み込ませる刺繍データを意図的に破損させて刺繍することで作品化しています。14年にはサンリオとコラボレーションし、キャラクターをグリッチ刺繍の手法で制作したTシャツを伊勢丹新宿店で販売しました。キャラクターの取り扱いに非常に敏感といわれるサンリオが、わざとキャラクターの形を崩したりしている商品にOKを出したのは画期的でしたね」

 そんなNukemeは17年、GraphersRock名義でも活動するアートディレクター岩屋民穂との合作展「Dear Supreme, Dear PLAY」を開催。2人が特に思い入れが強いシュプリームのボックスロゴとコム デ ギャルソンの「PLAY」ラインのハートロゴを、グリッチ刺繍した作品を展示した。いずれも、正規店で購入した“本物”の上から、グリッチ刺繍したロゴを叩きつける、という手法で制作。つまり、単なるブートではなく、オリジナルを用いたカスタムなのだ(画像1枚目)。

「さらに、ブランド品以外の模刻まで行われることもあります。例えば、ジュエリーブランドのDO NOT DOは、硬貨を模したペンダントやリングを制作していますね(86ページ写真上)」(小山田氏)

 もっとも、通貨偽造罪は無期懲役または3年以上の懲役(20年以下)と重罰に処されるが、「ペンダントの場合、本物の硬貨とデザインは同じでありながら、安価な素材から高価な素材へ変更し、図柄自体も反転させている」(同)という。

■ZARAパクリ事件がもたらしたインパクト

 通貨偽造罪はともかく、「例えばブランドのロゴを商標権者の許可なく使って商品を販売すれば、日本法では商標権侵害となる」と弁護士法人プラム綜合法律事務所の梅澤康二弁護士は話す。

「商標は、商標となるロゴやマークなどと、その用途となる商品やサービスである指定商品・指定役務がセットで登録されています。例えば、あるブランドが『衣料品にこのロゴを使用する』と登録した場合、別の事業者が衣料品やこれに類する商品に勝手に同じロゴを使用することは商標権侵害に。この場合、権利者は当該侵害行為を行う者に、商標の使用差止めや損害賠償を求めることができます。また、こうした商標権侵害が組織的・営利的に行われるなど悪質なケースであれば、民事とは別に刑事事件として立件されることも。仮に刑事事件で起訴されて有罪となれば、その行為類型にもよりますが、もっとも重い場合は10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金刑、またはその併科となる可能性があります(法人が併せて処罰される場合の罰金額は、最大3億円とされています)。このような商標権侵害については、販売行為だけでなく、販売目的で所持・譲渡する場合も取り扱いは同様」(梅澤氏)

 また、ロゴを改変した場合には、著作権侵害に当たる可能性もあるという。

「個人的な趣味の範囲内で著作物であるロゴにアレンジを加える程度であれば、これが権利侵害となるかは別として、ことさら責任追及を受ける可能性は高くないかもしれません。しかし、企業側はブランド価値の維持のために、ロゴやマークの権利にある程度のコストをかけているのが通常。そのため、『単なるオマージュだから』と気軽にタダ乗りして販売利益を得ることを是認すると、企業はそうしたコストをかけることに躊躇し、登録を前提とする商標制度自体が崩壊するかもしれません。そのため、“オマージュ”という理由は権利侵害を正当化する理由にはなり得ないでしょう。なお、インターネットが発達した現代では、グレーゾーンと思える事象も。例えばブート・クチュールを着た姿をSNSに投稿することなどがあり得ます。こうした行為が商標の使用、そのほか商標権侵害行為となるかは慎重な判断を要すると思われます。他方で、ブート・クチュールを着た投稿で“オシャレな人”として知名度を得た上で、別の営利行為につなげるケースも考えられるので、これを規制の対象外と言い切るのもどうかと思います」(同)

 なお、日本では18年7月、アメリカで買い付けたグッチやシャネルなどの古着のブート品59点を、販売目的で所持していた古着店の店主ら2人が逮捕されている。警視庁によると、約3年前から古着店においてブート品の販売が目立つようになったという。とはいえ、ブランド側はパクられるばかりでなく、パクることもある。

「もともと、ファッション業界は引用に対して寛容でした。アートや建築からの引用は一般的な商法ですし、近年は“文化の盗用”という言葉で批判されることも多くなっていますが、少数部族の民族衣装を取り入れることも多かった。また、業界内では“抜く”という隠語で、優れたブランドの洋服のパターン(設計図)をそのままパクるということも公然と行われていました。18年に日本のブランドのザ・リラクスが、同社が販売するモッズコートをZARAが模倣して販売したとしてザラ・ジャパンを提訴し、ザラが敗訴することがありましたが、この事例は“抜く”という行為が違法であることを認めた画期的な判決だったと思います」(同氏)

 ただ、ファッションにおいて偽物、ブート、オマージュ、サンプリング……といった分類の境界線はやはり見えづらいところがある。また、ここまで見てきたように、オリジナルがブート(的表現)をさらにサンプリングしたりする複雑な状況にもなっている。その上、個人レベルの創作物もSNSで簡単に発信できる今、新たなグレーゾーンが生じ、問題は一層ややこしくなっているため、この先、ブート・クチュールの定義と意義がまた変化していくのかもしれない。(月刊サイゾー6月号『令和時代の(新)タブー』より

(写真:1枚目、5枚目/小濱晴美)

(スタイリング:画像1枚目のキャップ、5枚目のジュエリー/小山田孝司)

渡辺直美、グッチに続き出演化粧品CMも物議! ファッション界では「お騒がせキャラ」化?

 昨年初頭には、アパレルブランドGAPのCMに出演するなど、日本だけではなく世界的な活動を行っている芸人の渡辺直美。そんな彼女が出演したあるCMが物議を醸してるという。

 物議を醸したのはスキンケアブランドであるSK-IIが3月11日に動画配信サイトであるYouTubeで配信された「すっぴん素肌トーク」のエピソード2。このCMは、女優である有村架純のもとに渡辺が訪れ、その美の秘密を探ろうとするという内容だ。問題となったエピソード2では、渡辺が有村からメイクの落とし方を教わるというものになっている。この中で渡辺が、CMでよくあるような顔に水をスローモーションで当てるというのを再現するのが夢だったと語り、それを再現するのだが、その際に水が口に入ってむせてしまうというシーンがある。結局、普通にメイク落としで落とそうというオチになるのだが、このシーンの渡辺があまりに嫌悪感をもよおすと批判が殺到。また、このシーンの抜粋がCMの冒頭で流れることから、動画のコメント欄には「冒頭から汚い」「スベってる」「嫌悪感しかない」「この広告が流れるたびに不快」など、非難が殺到。中には「もうSK-IIさんの商品は買いません」と宣言する者も現れている。

 この件について、ネット上では「気にならなかった」「批判している人たちはそもそもSK-IIユーザーではなさそう」と、渡辺を擁護する声も上がっているが、「私も嫌い」「開き直ったデブほど見苦しいものはない」「むせた豚の映像なんて見たくないわ」と渡辺を批判する声も多く、賛否両論の状態となっている。

「もともと渡辺さんは、ネット上でメイク動画などを公開し、それがかなりの人気を博しているんですよね。今回のCMも、そんな渡辺さんの人気にあやかろうとして作られたものなんでしょうけど、ちょっとアテが外れる感じになってしまったと。でも、もともと彼女のファッションに関わるときは、こうした物議を醸す事が多いんですよ。去年の9月にも、SNSのInstagram上で、グッチの公式アカウントからリニューアルしたグッチ青山のパーティーに参加したとして投稿された渡辺さんの写真について、『痩せたモデルを出すべきでは』といった批判が上がったことがありました。テレビでコミカルなキャラを演じている時に受け入れられても、こうしたメイクなどの分野になるとどうしても体形やそのキャラが鼻についてしまう…そう考える人が多いという事なのかもしれません」(ファッション誌編集)

 バラエティなどでは、誰もが愛するキャラとして人気を博す渡辺も、ファッションの世界では自然と論争を呼んでしまうお騒がせキャラという事なのかもしれない。

渡辺直美、グッチに続き出演化粧品CMも物議! ファッション界では「お騒がせキャラ」化?

 昨年初頭には、アパレルブランドGAPのCMに出演するなど、日本だけではなく世界的な活動を行っている芸人の渡辺直美。そんな彼女が出演したあるCMが物議を醸してるという。

 物議を醸したのはスキンケアブランドであるSK-IIが3月11日に動画配信サイトであるYouTubeで配信された「すっぴん素肌トーク」のエピソード2。このCMは、女優である有村架純のもとに渡辺が訪れ、その美の秘密を探ろうとするという内容だ。問題となったエピソード2では、渡辺が有村からメイクの落とし方を教わるというものになっている。この中で渡辺が、CMでよくあるような顔に水をスローモーションで当てるというのを再現するのが夢だったと語り、それを再現するのだが、その際に水が口に入ってむせてしまうというシーンがある。結局、普通にメイク落としで落とそうというオチになるのだが、このシーンの渡辺があまりに嫌悪感をもよおすと批判が殺到。また、このシーンの抜粋がCMの冒頭で流れることから、動画のコメント欄には「冒頭から汚い」「スベってる」「嫌悪感しかない」「この広告が流れるたびに不快」など、非難が殺到。中には「もうSK-IIさんの商品は買いません」と宣言する者も現れている。

 この件について、ネット上では「気にならなかった」「批判している人たちはそもそもSK-IIユーザーではなさそう」と、渡辺を擁護する声も上がっているが、「私も嫌い」「開き直ったデブほど見苦しいものはない」「むせた豚の映像なんて見たくないわ」と渡辺を批判する声も多く、賛否両論の状態となっている。

「もともと渡辺さんは、ネット上でメイク動画などを公開し、それがかなりの人気を博しているんですよね。今回のCMも、そんな渡辺さんの人気にあやかろうとして作られたものなんでしょうけど、ちょっとアテが外れる感じになってしまったと。でも、もともと彼女のファッションに関わるときは、こうした物議を醸す事が多いんですよ。去年の9月にも、SNSのInstagram上で、グッチの公式アカウントからリニューアルしたグッチ青山のパーティーに参加したとして投稿された渡辺さんの写真について、『痩せたモデルを出すべきでは』といった批判が上がったことがありました。テレビでコミカルなキャラを演じている時に受け入れられても、こうしたメイクなどの分野になるとどうしても体形やそのキャラが鼻についてしまう…そう考える人が多いという事なのかもしれません」(ファッション誌編集)

 バラエティなどでは、誰もが愛するキャラとして人気を博す渡辺も、ファッションの世界では自然と論争を呼んでしまうお騒がせキャラという事なのかもしれない。

イエベ、ブルベは半数が間違っている? 指原莉乃も行った女子界を揺るがすイエベブルベ論争とは

 今年の流行語ノミネート入りもしかねない「イエベ」「ブルベ」。女子界を揺るがすホットワードであり、HKT48・指原莉乃も自身のTwitterで「黄味肌ブルーベースウィンターマン爆誕」と自身を評している。イエベブルベとは、要はその人が何色が似合うかというカラー診断の指標のひとつで、ざっくり言えば金が似合うのがイエベ、銀が似合うのがブルベだ。しかし「このイエベブルベ判断は正直半数以上が間違っている」と、あるカラーリストは警鐘を鳴らす。詳しく話を聞いた。

似合う色を着るだけで顔は若返るし、似合わない色を着れば老け込む

 ここで「あるカラーリストの登場」なのだが、手前味噌だが引き続き出てくるのはこの原稿を書いているライター石徹白になる。しかし安心してほしい。私はライター以外に個人向けスタイリングの仕事をしており、カラー診断も仕事にしている。

 写真1がカラー診断のときに使う色の布の一部になる。さまざまな色の布をその人の胸元にあてると、顔色が明るくなりしわやくすみが目立たなくなる色もある一方、逆にほうれい線やクマやしわが目立ったり、白目が黄ばむ色もある。似合う色を顔回りにもってくるだけで「ライトちょっと飛ばしまくりの安藤優子アナ効果」が、ライトなしで得られるのだ。

 ここまで読んで「女子向けの話なんでしょ」と思う男性は損をしている。男性のスーツはほぼ紺、黒、グレーだが、ネクタイやそして私服はかなりの色幅があるはずだ。

 なお、ファッションの色に対するよくある誤解に「年を取ったら派手な色は厳しい」というのがあるがこれは違う。日本ボクシング連盟元会長、山根明氏はかなり派手なショッキングピンクのシャツを着こなしていた。一方、くすんだベージュのシャツを着ていたときは「おじいさん」という印象だった。派手色が似合う人は年をとっても似合うし、一方渋めの色を着こなす幼児もいる。似合う色は年齢に左右されず、その人に左右される。

【参考】山根明元会長に学ぶ、ミス時のダメージを最小限に抑えるための「普段のファッション」

 似合う色を知ればファッションもメイクも楽しくなる。そのためTwitterの美容アカウントを見ると、名前のあとにブルベやらイエベやらを聞いてもいないのに自己申告している人も多い。

 これは「これだから女はww」と女の自意識過剰を指摘しマウントを取ることが三度の飯より大好きな小姑系男子に向けた耳より情報ともいえるが、「聞かれてもいないのに自己申告」はジャンルが変われば男でも当然多いし、そもそもマウント野郎も含めSNS等で特定の相手ではないネット空間に聞かれてもいないのに何かを発信する人間は全員、お口にチャックができない出しゃばりクソ野郎なのだ。クソ同志、手に手を取り合い仲良くすべきだろう。

 当然自身を「黄味肌ブルーベースウィンターマン爆誕」と申告した指原も出しゃばりだが、出しゃばりじゃない指原など、体調が悪いのかと思ってしまう。そのあふれるエネルギーやガッツこそ、彼女を好きな人が「さすが指原! そこにシビれる! あこがれるゥ! 」となるポイントなのだろう。「らしさ」を発揮できているとき人は輝く。

 

イエベブルベの弊害①2分類では拾えない人が多い

 さて、自分がどの色が似合うかは「プロのところでカラー診断を受ける」という方法もあるが、昨今ではネットやアプリなどで自己診断できるツールも増えた。

 カネボウ化粧品の数多のブランドにおいて「ちょっといい方」くらいに位置し、それゆえオタクアカウントなどで「新色買った~」と写真付きで投稿しようものなら、投稿者の心の中では半月くらいドヤれそうなブランド「コフレドール」でも、イエベブルベ診断のページがある。

 ただしこういった自己診断イエベブルベツールは2つの意味でお勧めできない。まず一点目が「イエベ/ブルベ」というたったの2分類でやってしまう強引さだ。 

 カラー診断はいくつかの流派があり、有名なのは4分類。指原莉乃が受けたところは、発言から「肌色を黄み肌、青み肌に分けたうえでそれぞれに4分類がある」と推測され、おそらく8分類だろう。私も行っている10分類も行っている人は多い(もっと多いのもある)。

 何もカラーに限らず、分類数が少なければ少ないほど「強引にどっちかにくくる」ケースが増えてしまう。イエベブルべの2分割の場合「黄みがかった色が似合う(イエベ)か、青みがかった色が似合う(ブルベ)」というひとつの尺度しかない。

 ただ、色の尺度は「イエベかブルベか」だけではない。私の行う10分類の場合、それ以外に「鮮やかな色が似合うか、くすんだ色が似合うか」「薄い色が似合うか、濃い色が似合うか」という尺度もある。これらの尺度に該当する人は「イエベかブルベか」は関係ないのだ。これらの人が「イエベ/ブルベ」だけの尺度で診断すると、間違える。

 

イエベブルベの弊害②自己診断は「理想の自分」で診断してしまう~ブルベ女子はメンヘラか?

 続いて、昨今多いネットやアプリでの自己診断の欠点を挙げたい。

 これは何もカラーに限らず、心理系などさまざまな診断に言えるが、自己診断において完璧な客観性など期待できない。どうがんばっても大なり小なり「本来の自分」でなく「こうであってほしい自分」で測定してしまうだろうし、逆に自分を過小評価しすぎる人もいるだろう。こうであってほしい自分も、過小評価も本来の姿ではない。

 本来こういうのは自分でやるより、ある程度センスが信頼できる知人に診断してもらった方が間違いにくいと思う。

 そして女子の場合、えてして「イエベ」よりも「ブルベ」の方が格上っぽく見られがちという謎の不文律が存在する。これはおそらく「ブルベの方が色白が多そう」という印象によるものであり、ブルベマウントは21世紀版「色の白いは七難隠す」ともいえる。

 診断する側からすれば、イエベでも色白な人はいるし、ブルベでも色黒な人はいる。大体色白か色黒よりも、似合う色を適切に着ることの方がカラー診断においてよっぽどプライオリティは高いのであり「ブルベマウント」は悪しき風習だ。

 しかし一方で、自分が政権第一党にいるときに、あえて下位政党の苦しみに寄り添い、皆にとってよりよい未来を作っていくのかといえば、これは聖人君子でない限りなかなか厳しいだろう。

 例えば私はオタクであり、女子オタクにおいては確実に政権第一党である与党「腐女子」だ。同人イベントのカタログやPixivの検索結果を見ると議席の過半数以上を軽く超える心強さに「数こそ力、これこそが民主主義」とウットリ万歳三唱してだるまの目を埋めている。よってブルベ女子のイキりとて、急には止まれないのはわかる。

 ということで、2分類はダメ、自己診断もダメ、としてきたが、それでは自分に似合う色を知るにはどうすればいいのか。以下を勧めたい。

・10分類のところで受ける(「カラー診断 10分類」でググればいっぱい出てくる)
・中堅どころをいくつか受けて、多数決を取る

 なお、自己診断でなくプロにやってもらえば間違いないんでしょ? と思うかもしれないが、残念ながらそうとも言えない。私自身も診断の技術を覚える前に、ホームページ上で納得行く事例写真も豊富に出している有名なサロンでカラー診断を受けた。しかしそこでの結果にどうも違和感があり、別なところで受けたところ全く違う診断をされ、それでようやく腑に落ちたことがある。

 実際私のホームページで「パーソナルカラー診断を受けたのに、どうもピンとこない人に見て欲しいポイント」というコーナーがあるが、そこはアクセス数が安定して高い。安くもない金額を払い、誤診で首をかしげる人も多いのだと思うとつらいし、この人たちを診断した人たちは猛省したほうがいいだろう。

 これは少々乱暴な意見だが、結構高いところで一回診断する予算があるなら、それで中堅どころ3箇所を受けてみて多数決にするという手もあると思う。「事例をたくさん出しているところだから信頼できる」とも、残念ながら私自身の前述の経験からそうとは限らない。

 ただ一方で、こういったカラーの診断は一か月もすれば髪が伸びる美容室と違い、一度やればそれで終わりなので、高くなるサロン側の都合も提供する側としてはわかるのだが。

 あと、こういった世界でサロンを運営する人たちは仕事である以上「魅せ方」の超絶プロフェッショナルであり、たたずまいや言動に教祖的なカリスマ性を宿す人も多く、熱心な信者がついていて底上げ効果も凄まじいケースも多い。

 だからこそ、利用する側はウットリしそうなところを財布の紐を引き締めていってほしい。カリスマ性にウットリして財布がガバガバになるのはホストクラブならイケてる金の使い方だが、カラー診断なら重要なのは自身が納得いく診断結果を得ることだ。特に「血中信者濃度が高い」人は事前に冷水を3杯頭からかぶるくらいの冷静さが欲しい。

 ただ、誤診などの問題をクリアし、正しく「自分に似合う色」を知ればそれは一生の財産になる。年をとっても似合う色は変わらないからだ。若ければある程度なんでも着こなせるが、30歳前後から「似合う/似合わない」の差は本当に、露骨に、残酷なまでに出てくる。そのとき、色の持つ力は大きな助けになるはずだ。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

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