『相棒』元日スペシャルが11年ぶりの爆死! 「300回記念前後編」も期待薄!?

 毎年恒例の『相棒season16』(テレビ朝日系/水谷豊主演)元日スペシャル(第10話)が1日午後9時から2時間15分枠でオンエアされ、視聴率は15.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)にとどまり、同時間帯に放送された日本テレビ系『嵐にしやがれ元日SP 米倉涼子、有吉弘行、波瑠、長瀬智也!豪華共演SP』の15.6%に敗れた。昨年の『相棒season15』元日SPは17.3%で、前年比1.9ポイントものダウンとなった。

 一般的にドラマで15%を超えれば上々だが、『相棒』の元日SPは、ほかのドラマとはワケが違うのである。同元日SPは、『season4』の2006年からスタートした。初年から16.1%と高視聴率をマークしたことで、その後、慣例化。今年で実に13年目となり、『season9』(11年)には19.3%、『season12』(14年)には19.6%を記録し、大台目前までいった年もあるほどで、例年高い視聴率をキープしてきた。だが、今年の15.4%は、この13年間で見ると、『season5』(07年)の13.8%に次ぐ歴代ワースト2位で、事実上の爆死となってしまったのだ。

 かつては、他の追随を許さないほど高視聴率を挙げてきた『相棒』だが、“3代目相棒”成宮寛貴氏が『season13』で降板し、反町隆史扮する冠城亘が“4代目相棒”に就任した『season14』(15年10月~16年3月)以降、視聴率は急降下。平均視聴率は『season14』が15.3%、『season15』も15.2%と低迷。『season16』も元日SPまで、14.8%で、15%をキープできるかどうか微妙な情勢となっている。

 00年6月に「土曜ワイド劇場」枠で、単発ドラマとして始まった『相棒』は、31日放送の第14話で通算300回を迎える。それを記念して、24日(第13話)と31日の放送回で「前後編SP」をオンエアする。区切りの300回には、津川雅彦、木村佳乃、高橋惠子の再登板が決まっている。元法務大臣で投獄されていた瀬戸内米蔵役の津川は4年ぶり、元衆院議員・片山雛子役の木村は2年ぶり、尼僧・蓮妙役の高橋は13年ぶりの登場となるが、いずれもメインキャラクターとはいいがたく、とても視聴率アップにつながるとは思えない人選だ。

「『相棒』では昨年2月にも、前後編をオンエアし、人気キャラクターだった“2代目相棒”神戸尊役の及川光博、名物鑑識課員・米沢守役の六角精児を投入して、ファンを喜ばせました。しかし、今回の津川、木村、高橋では、とてもテコ入れにはならないでしょう。ヘタをすれば、300回記念回で今シーズンのワースト視聴率を更新しかねません」(テレビ誌関係者)

『相棒』の平均視聴率が15%を割ることになれば、“初代相棒”亀山薫(寺脇康文)時代の『season4』の14.7%以来、12年ぶりとなってしまう。及川が相棒時代の『season9』では平均視聴率が20.4%を記録し、我が世の春を謳歌した『相棒』。だが、年月の経過と共に、視聴率はどんどん下がっていき、同局の“看板ドラマ”の座を、米倉主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』に取って代わられつつある。このままでは、今シーズンは厳しい数字で終わりそうな気配が漂っているが、なんとか平均15%はキープしてほしいものだ……。
(文=田中七男)

『ドクターX』が朝ドラを制しトップ! フジ、日テレは惨敗……「2017年連ドラ視聴率ランキング」

 12月24日に放送され、視聴率20%を超えたTBS日曜劇場『陸王』(役所広司主演)最終回の余韻も覚めやらぬところだが、2017年にオンエアされた連続ドラマを平均視聴率ランキング形式で振り返ってみたい。対象は、年内に放送を終え、10%以上の視聴率をマークしたドラマのみ。(視聴率はすべてビデオリサーチ調べ、関東地区)

 昨年はNHK連続ドラマ小説の『あさが来た』(波瑠主演)と『とと姉ちゃん』(高畑充希主演)がツートップとなったが、今年の朝ドラはやや低調で、『ひよっこ』(有村架純主演)が2位、『べっぴんさん』(芳根京子主演)が3位に終わった。両ドラマ共、なんとか20%の大台には乗せたが、首位に立ったのは、米倉涼子主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』第5シリーズ(テレビ朝日系)だった。昨年は朝ドラに敗れて3位に甘んじたが、今年は堂々のトップ。これだけファンの高い支持を受けている作品だけに、来年も続編の放送を期待したい。

 最終回で有終の美を飾った『陸王』は4位で、原作者・池井戸潤氏の作品の強さを改めて証明した。ただ、民放2位といっても、『ドクターX』とは4.9ポイントもの大差がついた。

 2クールにまたぐテレ朝の鉄板ドラマ『相棒season15』(水谷豊主演)は15.2%で5位。前シーズンは15.3%で、視聴率はほぼ横ばい。ただ、“4代目相棒”反町隆史が登場した『season14』以降、明らかに数字が落ちており、反町が『season17』も続投するかどうか気になるところ。

 6位には、山下智久主演『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-3rd season』(フジテレビ系)が14.8%を獲得して入った。同シリーズは7年ぶりの放送で不安視されたが、そんな不安など一掃した。昨年、フジの連ドラはオール1ケタの惨状だったが、同ドラマはまさしく救世主となった。

 木村拓哉主演『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)は14.6%と今ひとつ振るわず、7位にとどまった。かつては、主演ドラマで20%超えを連発し、“平成の視聴率男”と称された木村だが、その人気にも陰りが見えてきた。

 14年1月期以来、3年ぶりの放送となった『緊急取調室』(天海祐希主演/テレビ朝日系)は14.1%の高視聴率で8位にランクイン。シーズン1の12.9%を上回る高い数字を挙げただけに、シーズン3のオンエアが期待される。

“演技派”長谷川博巳が主演を務めた『小さな巨人』(TBS系)は、キャストが全体的に地味だったが、ストーリーで視聴者を引っ張り、13.6%をマークして9位に入った。長谷川は1月2日にTBS系で放送されるスペシャルドラマ『都庁爆破!』での主演が決まっており、注目の作品となりそう。

 12.8%で、NHK大河ドラマ史上ワースト3位の低視聴率に終わった『おんな城主 直虎』(柴咲コウ主演)は、かろうじて10位にランクイン。昨年の『真田丸』(堺雅人主演)は16.6%で5位だっただけに、一抹の寂しさを禁じ得ない。来年の『西郷どん』(鈴木亮平主演)は高視聴率をマークして、大河の健在ぶりを示してほしいものだ。

 視聴率10%を超えた24作品を局別に見ると、テレ朝が9作で、今年も断トツのトップ。これは、『相棒』『科捜研の女』『ドクターX』など数多くの人気シリーズモノを抱えているからこそ。『黒革の手帖』(武井咲主演)を除く8作がシリーズモノで、来年も、その強さは変わらないだろう。

 TBSは、看板枠の「日曜劇場」を中心に6作が2ケタ視聴率に乗せた。「火10」「金10」からもヒット作が生まれており、“ドラマのTBS”を示した。

 一方、民放で惨敗を喫したのは3作のフジと日本テレビだ。それでも、フジは昨年0作だっただけに、いくらかがんばった方だ。問題は日テレで、最高が綾瀬はるか主演『奥様は、取り扱い注意』の12.7%で11位。原因は明らかで、「水10」は強くても、「土10」と「日曜ドラマ」が弱すぎで、昨年も2ケタ突破ドラマが4作しかなかった。バラエティ、情報番組は好調で、今年も視聴率3冠王に向け邁進する同局だが、来年はテコ入れを図らないと、「ドラマが弱い局」との印象は変えられそうにない。いつまでもジャニーズとベッタリではまずいだろう。

 例年通りだが、NHKは大河と朝ドラ以外は今年もサッパリで、世間の話題にすらならないのはさびしいところ。

 なお、NHKを除く民放プライム帯の連ドラで、平均視聴率が5%にも満たなかったのは、沢村一樹主演『ユニバーサル広告社』(テレビ東京系)=3.99%、真木よう子主演『セシルのもくろみ』(フジテレビ系)=4.5%、小雪主演『大貧乏』(同)=4.99%の3作だった。

(文=田中七男)

 

<2017年連続ドラマ平均視聴率ランキング>
※2017年中に放送を終えたドラマのみが対象

1位 『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)20.9%
2位 『ひよっこ』(NHK総合)20.4%
3位 『べっぴんさん』(同)20.3%
4位 『陸王』(TBS系)16.0%
5位 『相棒season15』(テレビ朝日系)15.2%
6位 『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-3rd season』(フジテレビ系)14.8%
7位 『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)14.6%
8位 『緊急取調室』(テレビ朝日系)14.1%
9位 『小さな巨人』(TBS系)13.6%
10位 『おんな城主 直虎』(NHK総合)12.8%
11位 『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)12.7%
12位 『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)12.2%
13位 『コウノドリ』(TBS系)11.9%
14位 『科捜研の女16』(テレビ朝日系)11.7%
15位 『警視庁捜査一課9係』(同)11.5%
16位 『過保護のカホコ』(日本テレビ系)11.47%
17位 『黒革の手帖』(テレビ朝日系)11.45%
18位 『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)11.39%
19位 『嘘の戦争』(フジテレビ系)11.30%
19位 『刑事7人』(テレビ朝日系)11.30%
21位 『あなたのことはそれほど』(TBS系)11.25%
22位 『遺留捜査』(テレビ朝日系)11.1%
23位 『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系)10.6%
24位 『カンナさーん!』(TBS系)10.2%

『ドクターX』が朝ドラを制しトップ! フジ、日テレは惨敗……「2017年連ドラ視聴率ランキング」

 12月24日に放送され、視聴率20%を超えたTBS日曜劇場『陸王』(役所広司主演)最終回の余韻も覚めやらぬところだが、2017年にオンエアされた連続ドラマを平均視聴率ランキング形式で振り返ってみたい。対象は、年内に放送を終え、10%以上の視聴率をマークしたドラマのみ。(視聴率はすべてビデオリサーチ調べ、関東地区)

 昨年はNHK連続ドラマ小説の『あさが来た』(波瑠主演)と『とと姉ちゃん』(高畑充希主演)がツートップとなったが、今年の朝ドラはやや低調で、『ひよっこ』(有村架純主演)が2位、『べっぴんさん』(芳根京子主演)が3位に終わった。両ドラマ共、なんとか20%の大台には乗せたが、首位に立ったのは、米倉涼子主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』第5シリーズ(テレビ朝日系)だった。昨年は朝ドラに敗れて3位に甘んじたが、今年は堂々のトップ。これだけファンの高い支持を受けている作品だけに、来年も続編の放送を期待したい。

 最終回で有終の美を飾った『陸王』は4位で、原作者・池井戸潤氏の作品の強さを改めて証明した。ただ、民放2位といっても、『ドクターX』とは4.9ポイントもの大差がついた。

 2クールにまたぐテレ朝の鉄板ドラマ『相棒season15』(水谷豊主演)は15.2%で5位。前シーズンは15.3%で、視聴率はほぼ横ばい。ただ、“4代目相棒”反町隆史が登場した『season14』以降、明らかに数字が落ちており、反町が『season17』も続投するかどうか気になるところ。

 6位には、山下智久主演『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-3rd season』(フジテレビ系)が14.8%を獲得して入った。同シリーズは7年ぶりの放送で不安視されたが、そんな不安など一掃した。昨年、フジの連ドラはオール1ケタの惨状だったが、同ドラマはまさしく救世主となった。

 木村拓哉主演『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)は14.6%と今ひとつ振るわず、7位にとどまった。かつては、主演ドラマで20%超えを連発し、“平成の視聴率男”と称された木村だが、その人気にも陰りが見えてきた。

 14年1月期以来、3年ぶりの放送となった『緊急取調室』(天海祐希主演/テレビ朝日系)は14.1%の高視聴率で8位にランクイン。シーズン1の12.9%を上回る高い数字を挙げただけに、シーズン3のオンエアが期待される。

“演技派”長谷川博巳が主演を務めた『小さな巨人』(TBS系)は、キャストが全体的に地味だったが、ストーリーで視聴者を引っ張り、13.6%をマークして9位に入った。長谷川は1月2日にTBS系で放送されるスペシャルドラマ『都庁爆破!』での主演が決まっており、注目の作品となりそう。

 12.8%で、NHK大河ドラマ史上ワースト3位の低視聴率に終わった『おんな城主 直虎』(柴咲コウ主演)は、かろうじて10位にランクイン。昨年の『真田丸』(堺雅人主演)は16.6%で5位だっただけに、一抹の寂しさを禁じ得ない。来年の『西郷どん』(鈴木亮平主演)は高視聴率をマークして、大河の健在ぶりを示してほしいものだ。

 視聴率10%を超えた24作品を局別に見ると、テレ朝が9作で、今年も断トツのトップ。これは、『相棒』『科捜研の女』『ドクターX』など数多くの人気シリーズモノを抱えているからこそ。『黒革の手帖』(武井咲主演)を除く8作がシリーズモノで、来年も、その強さは変わらないだろう。

 TBSは、看板枠の「日曜劇場」を中心に6作が2ケタ視聴率に乗せた。「火10」「金10」からもヒット作が生まれており、“ドラマのTBS”を示した。

 一方、民放で惨敗を喫したのは3作のフジと日本テレビだ。それでも、フジは昨年0作だっただけに、いくらかがんばった方だ。問題は日テレで、最高が綾瀬はるか主演『奥様は、取り扱い注意』の12.7%で11位。原因は明らかで、「水10」は強くても、「土10」と「日曜ドラマ」が弱すぎで、昨年も2ケタ突破ドラマが4作しかなかった。バラエティ、情報番組は好調で、今年も視聴率3冠王に向け邁進する同局だが、来年はテコ入れを図らないと、「ドラマが弱い局」との印象は変えられそうにない。いつまでもジャニーズとベッタリではまずいだろう。

 例年通りだが、NHKは大河と朝ドラ以外は今年もサッパリで、世間の話題にすらならないのはさびしいところ。

 なお、NHKを除く民放プライム帯の連ドラで、平均視聴率が5%にも満たなかったのは、沢村一樹主演『ユニバーサル広告社』(テレビ東京系)=3.99%、真木よう子主演『セシルのもくろみ』(フジテレビ系)=4.5%、小雪主演『大貧乏』(同)=4.99%の3作だった。

(文=田中七男)

 

<2017年連続ドラマ平均視聴率ランキング>
※2017年中に放送を終えたドラマのみが対象

1位 『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)20.9%
2位 『ひよっこ』(NHK総合)20.4%
3位 『べっぴんさん』(同)20.3%
4位 『陸王』(TBS系)16.0%
5位 『相棒season15』(テレビ朝日系)15.2%
6位 『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-3rd season』(フジテレビ系)14.8%
7位 『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)14.6%
8位 『緊急取調室』(テレビ朝日系)14.1%
9位 『小さな巨人』(TBS系)13.6%
10位 『おんな城主 直虎』(NHK総合)12.8%
11位 『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)12.7%
12位 『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)12.2%
13位 『コウノドリ』(TBS系)11.9%
14位 『科捜研の女16』(テレビ朝日系)11.7%
15位 『警視庁捜査一課9係』(同)11.5%
16位 『過保護のカホコ』(日本テレビ系)11.47%
17位 『黒革の手帖』(テレビ朝日系)11.45%
18位 『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)11.39%
19位 『嘘の戦争』(フジテレビ系)11.30%
19位 『刑事7人』(テレビ朝日系)11.30%
21位 『あなたのことはそれほど』(TBS系)11.25%
22位 『遺留捜査』(テレビ朝日系)11.1%
23位 『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系)10.6%
24位 『カンナさーん!』(TBS系)10.2%

テレビウォッチャー・てれびのスキマが選ぶ、2017年のテレビ事件簿【ドラマ編】

 2016年は、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)が社会現象といえる大ヒットになり、「逃げ恥」ロスなどと言われる中で始まった2017年。

 今年は、社会現象になるような話題作こそなかったものの、しっかりとした秀作が多かった印象がある。そんな2017年のドラマ界を振り返ってみたい。

■ジャンルレスな『カルテット』と会話劇の隆盛

 今年の一作といえば、なんと言っても『カルテット』(TBS系)だろう。松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平という4人のメインキャストが、サスペンスともコメディともラブストーリーともジャンル分けできないドラマを生み出した。ジャンル分け同様、白黒つかない言葉にできないような人間の機微を描き、まさに「みぞみぞする」ドラマに仕上がっていた。何気ない場面が、ドラマを貫くテーマになっていたり、人生の真理につながっていたりする坂元裕二の巧みな脚本は圧巻だった。

『カルテット』同様、ある密室なシチュエーションの中に複数の登場人物が集まる会話劇がメインになったドラマが多かった。

 おじさん俳優たちが実名で登場し、共同生活を繰り広げる『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)や、宮藤官九郎がおばちゃんのワチャワチャ感を刑務所を舞台に描いた『監獄のお姫さま』(TBS系)、バカリズム脚本の『住住』や『架空OL日記』(ともに日本テレビ)、昼ドラの『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)や朝ドラの『ひよっこ』(NHK)もそうだった。

 脚本家の力と、その台詞を表現できる役者の力が最大限活かされていた。

 

■何はともあれ、高橋一生と山田孝之

 そんな役者陣の中では、今年は何と言っても高橋一生の活躍が目立った。いくらなんでも高橋一生に頼り過ぎだろ!と思ってしまうほどあらゆるメディアに露出していた。

『カルテット』で完全にブレイクした後は、大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK)で直虎を時に表から、時に裏から支える政次を演じ、その最期は多くの視聴者の涙を誘った。

 さらに朝ドラ『わろてんか』(NHK)にもヒロインを支える役で出演。同じ年の大河と朝ドラでメインキャストとして出演するという異例の活躍。加えて月9の『民衆の敵』(フジテレビ系)にも出演する獅子奮迅っぷりだ。

 同じく『カルテット』の「人生、チョロかった!」と高笑いをする魔性の女役がきっかけになりブレイクを果たした吉岡里帆の活躍も目立った。それまでエキセントリックな役回りが多かったが、『ごめん、愛してる』(TBS系)では正統派のヒロインを好演。彼女が出演するCMも話題を集め、文化系の番組にも引っ張りだこだった。

 また、山田孝之の活躍も印象的だ。一連のテレ東深夜の山田ドキュメンタリードラマの集大成とも言える『山田孝之のカンヌ映画祭』はもとより、『破獄』(ともにテレビ東京系)では一転してシリアスな演技を見せつけた。ドキュメント番組『戦後ゼロ年 東京ブラックホール』(NHK総合)でも存在感を発揮。さらに『緊急生放送!山田孝之の元気を送るテレビ』(テレビ東京系)という頭のおかしな番組も放送した。『カンヌ映画祭』などがツッコミ不在で視聴者がツッコミ役を担う構造だったが、この番組ではさらに一歩進んで、視聴者にボケ役まで担当させた。「数年間引きこもりだった僕が、コンビニに行く決意ができました」「シャワーの出が良くなりました」「4年間止まっていた時計が動き出しました」などという視聴者からの即興のボケがTwitterを通してテレビで伝えられた。

 

■ネット融合で深夜ドラマに新時代到来

 そうしたテレ東深夜ドラマは今年も自由で元気だったが、ここ数年の「深夜ドラマといえばテレ東」というイメージが崩れた年と言えるだろう。

 今年は、新たな潮流が加わった。それがネット動画配信サービスとの融合だ。

 FODで先行配信された『ぼくは麻理のなか』(フジテレビ系)、Huluで先行配信された前出の『住住』『架空OL日記』、Netflixと組んだ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』(MBS)や『100万円の女たち』(テレビ東京系)、GYAO!と組んだ『デリバリーお姉さんNEO』(テレビ神奈川)など、最初から動画配信を前提に作られ、その分、通常のテレビドラマの文脈とはやや異質なものが作れる土壌が生まれたのだ。結果、テレ東以外の深夜ドラマも活性化し、『わにとかげぎす』(TBS系)のような傑作も生まれた。

 また、新たな枠組といえば、テレビ朝日系に「帯ドラマ劇場」と呼ばれる昼ドラ枠ができたのも大きなトピックスだった。ここでは『やすらぎの郷』や『トットちゃん』が放送され、本来のターゲット層である中高年のみならず、ドラマファンにも支持され、朝ドラのライバルになり得る枠と急成長した。連続ドラマといえばゴールデンで1時間というイメージはどんどん崩れつつある。NHKでは土曜の夕方にも新設。『みをつくし料理帖』、『悦ちゃん~昭和駄目パパ恋物語~』、『アシガール』と、家族で楽しめる秀作を連発している。

 ドラマ以外に目を向けると、今年はドキュメンタリーが元気な年だった。ここ数年驚くほどのクオリティを見せているNHKの戦争関連のドキュメントは、今年もさらに、こんな切り口が残されていたのか! というような作品を制作している。

 また、ドキュメントでいえば、今年はフジテレビが気を吐いていた。宮崎勤の肉声を流した『30年目の真実 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人犯』などの『衝撃スクープ』シリーズは大きな話題を集めた。また、『ザ・ノンフィクション』は、借金を背負い鳥のエサなどに用いられる“くず米”を主食にする極貧生活をしながら、性同一性障害で、地下アイドルを目指す「きらら」さん(12月28日のTBS系『人生逆転バトル カイジ』にも出演!)を追った「しっくりくる生き方」など話題作を連発する中、衝撃の問題作「人殺しの息子と呼ばれて…」を放送。強烈なインパクトを与えた。

 来年は1月に『カルテット』の坂元裕二による『anone』(日本テレビ系)や『逃げ恥』の野木亜紀子による『アンナチュラル』(TBS系)、井上由美子と木村拓哉が組んだ『BG』(テレビ朝日系)などがラインナップされている。さらに4月には月9に古沢良太による『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)が放送されるという。2018年もさまざまなドラマで楽しませてくれそうだ。
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/

◆「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

テレビウォッチャー・てれびのスキマが選ぶ、2017年のテレビ事件簿【ドラマ編】

 2016年は、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)が社会現象といえる大ヒットになり、「逃げ恥」ロスなどと言われる中で始まった2017年。

 今年は、社会現象になるような話題作こそなかったものの、しっかりとした秀作が多かった印象がある。そんな2017年のドラマ界を振り返ってみたい。

■ジャンルレスな『カルテット』と会話劇の隆盛

 今年の一作といえば、なんと言っても『カルテット』(TBS系)だろう。松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平という4人のメインキャストが、サスペンスともコメディともラブストーリーともジャンル分けできないドラマを生み出した。ジャンル分け同様、白黒つかない言葉にできないような人間の機微を描き、まさに「みぞみぞする」ドラマに仕上がっていた。何気ない場面が、ドラマを貫くテーマになっていたり、人生の真理につながっていたりする坂元裕二の巧みな脚本は圧巻だった。

『カルテット』同様、ある密室なシチュエーションの中に複数の登場人物が集まる会話劇がメインになったドラマが多かった。

 おじさん俳優たちが実名で登場し、共同生活を繰り広げる『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)や、宮藤官九郎がおばちゃんのワチャワチャ感を刑務所を舞台に描いた『監獄のお姫さま』(TBS系)、バカリズム脚本の『住住』や『架空OL日記』(ともに日本テレビ)、昼ドラの『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)や朝ドラの『ひよっこ』(NHK)もそうだった。

 脚本家の力と、その台詞を表現できる役者の力が最大限活かされていた。

 

■何はともあれ、高橋一生と山田孝之

 そんな役者陣の中では、今年は何と言っても高橋一生の活躍が目立った。いくらなんでも高橋一生に頼り過ぎだろ!と思ってしまうほどあらゆるメディアに露出していた。

『カルテット』で完全にブレイクした後は、大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK)で直虎を時に表から、時に裏から支える政次を演じ、その最期は多くの視聴者の涙を誘った。

 さらに朝ドラ『わろてんか』(NHK)にもヒロインを支える役で出演。同じ年の大河と朝ドラでメインキャストとして出演するという異例の活躍。加えて月9の『民衆の敵』(フジテレビ系)にも出演する獅子奮迅っぷりだ。

 同じく『カルテット』の「人生、チョロかった!」と高笑いをする魔性の女役がきっかけになりブレイクを果たした吉岡里帆の活躍も目立った。それまでエキセントリックな役回りが多かったが、『ごめん、愛してる』(TBS系)では正統派のヒロインを好演。彼女が出演するCMも話題を集め、文化系の番組にも引っ張りだこだった。

 また、山田孝之の活躍も印象的だ。一連のテレ東深夜の山田ドキュメンタリードラマの集大成とも言える『山田孝之のカンヌ映画祭』はもとより、『破獄』(ともにテレビ東京系)では一転してシリアスな演技を見せつけた。ドキュメント番組『戦後ゼロ年 東京ブラックホール』(NHK総合)でも存在感を発揮。さらに『緊急生放送!山田孝之の元気を送るテレビ』(テレビ東京系)という頭のおかしな番組も放送した。『カンヌ映画祭』などがツッコミ不在で視聴者がツッコミ役を担う構造だったが、この番組ではさらに一歩進んで、視聴者にボケ役まで担当させた。「数年間引きこもりだった僕が、コンビニに行く決意ができました」「シャワーの出が良くなりました」「4年間止まっていた時計が動き出しました」などという視聴者からの即興のボケがTwitterを通してテレビで伝えられた。

 

■ネット融合で深夜ドラマに新時代到来

 そうしたテレ東深夜ドラマは今年も自由で元気だったが、ここ数年の「深夜ドラマといえばテレ東」というイメージが崩れた年と言えるだろう。

 今年は、新たな潮流が加わった。それがネット動画配信サービスとの融合だ。

 FODで先行配信された『ぼくは麻理のなか』(フジテレビ系)、Huluで先行配信された前出の『住住』『架空OL日記』、Netflixと組んだ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』(MBS)や『100万円の女たち』(テレビ東京系)、GYAO!と組んだ『デリバリーお姉さんNEO』(テレビ神奈川)など、最初から動画配信を前提に作られ、その分、通常のテレビドラマの文脈とはやや異質なものが作れる土壌が生まれたのだ。結果、テレ東以外の深夜ドラマも活性化し、『わにとかげぎす』(TBS系)のような傑作も生まれた。

 また、新たな枠組といえば、テレビ朝日系に「帯ドラマ劇場」と呼ばれる昼ドラ枠ができたのも大きなトピックスだった。ここでは『やすらぎの郷』や『トットちゃん』が放送され、本来のターゲット層である中高年のみならず、ドラマファンにも支持され、朝ドラのライバルになり得る枠と急成長した。連続ドラマといえばゴールデンで1時間というイメージはどんどん崩れつつある。NHKでは土曜の夕方にも新設。『みをつくし料理帖』、『悦ちゃん~昭和駄目パパ恋物語~』、『アシガール』と、家族で楽しめる秀作を連発している。

 ドラマ以外に目を向けると、今年はドキュメンタリーが元気な年だった。ここ数年驚くほどのクオリティを見せているNHKの戦争関連のドキュメントは、今年もさらに、こんな切り口が残されていたのか! というような作品を制作している。

 また、ドキュメントでいえば、今年はフジテレビが気を吐いていた。宮崎勤の肉声を流した『30年目の真実 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人犯』などの『衝撃スクープ』シリーズは大きな話題を集めた。また、『ザ・ノンフィクション』は、借金を背負い鳥のエサなどに用いられる“くず米”を主食にする極貧生活をしながら、性同一性障害で、地下アイドルを目指す「きらら」さん(12月28日のTBS系『人生逆転バトル カイジ』にも出演!)を追った「しっくりくる生き方」など話題作を連発する中、衝撃の問題作「人殺しの息子と呼ばれて…」を放送。強烈なインパクトを与えた。

 来年は1月に『カルテット』の坂元裕二による『anone』(日本テレビ系)や『逃げ恥』の野木亜紀子による『アンナチュラル』(TBS系)、井上由美子と木村拓哉が組んだ『BG』(テレビ朝日系)などがラインナップされている。さらに4月には月9に古沢良太による『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)が放送されるという。2018年もさまざまなドラマで楽しませてくれそうだ。
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/

◆「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

星野源が初めて笑った……!『コウノドリ』最終回の充実ぶりと“シーズン3”への期待

 周産期母子医療センターを舞台に出産にまつわるさまざまな物語を見せてくれた『コウノドリ』(TBS系)も、いよいよ最終回。10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と数字は思ったより伸びなかったものの、毎回2ケタ視聴率をキープ、前シーズンを上回る安定感を見せた。レギュラーメンバーそれぞれの行く末はいかに?

 

■帰ってきたメンバー

 

 急患の中国人旅行客への言語対応で四苦八苦する産科医の鴻鳥(綾野剛)や助産師の小松(吉田羊)の前に、颯爽と現れ中国語で通訳し始めた同僚の産科医・倉崎(松本若菜)。才女ぶりがかっこいい。もとヘビーメタル愛好家なのに、そのギャップはなんなのか。しかも中国語を話せることに対し「理由は聞かないでください」というのが、またいかす。女・四宮のようになってきた。

 救命科に転科した下屋(松岡茉優)の代わりにやってきた彼女だが、真顔でボケまでこなし、すっかりペルソナ産科に馴染んだようだ。

 その急患の出産の際中、新生児科医として現場に現れたのは、なんと新井恵美(山口紗弥加)だ。前シリーズでバーンアウトしてペルソナから姿を消し、ついこの前の第8話(参照記事)で講談医科大にいることがわかったばかりの彼女。「なんで?」と驚く鴻鳥や小松に対し「話はあとで。モタモタしないでお産に集中してください」と言い放つ。

 鴻鳥と連絡は取っていたようだが、それでもなんの連絡もなく帰ってきて、迷惑をかけた仲間に説明もなく、いきなり「モタモタするな」「集中しろ」とは、さすが「鉄の女」と呼ばれていただけのことはある。だが、そんな性格を知ってる鴻鳥らは、それすらうれしそうに受け入れる。

 どうやらペルソナの院長(浅野和之)が講談医科大に土下座をしてまで頼んでくれたらしい。

 そして、もう一人。前シーズンに出ていた助産師の角田真弓(清野菜名)も産休を終えて産科に戻ってきた。しかも、立て続けに2人も産んでるとは! 復帰を希望したのは小松だというが、その真意は……?

 

■「オランダへようこそ」

 

 21トリソミー(ダウン症候群)の子どもを出産する決意はしたものの、不安が消えない高山透子(初音映莉子)。

 そんな透子に、新生児科医の今橋(大森南朋)が渡したのは、ダウン症の子をもつエミリー・パール・キングスレイという作家が書いた「オランダへようこそ」という文章。

 キングスレイは、あの『セサミストリート』の作家を長く務めており、『セサミ~』は昔から人間の多様性を意識的に織り込んできた番組。最近も自閉症のキャラクターを登場させ、発達障害への理解を啓蒙しているほど。

 その文章の中でキングスレイは、予定通りの旅にならず違う目的地(オランダ)に着いてしまっても、その新たな場所を楽しめばよい。いつまでも行けなかった場所のことばかり考えていたら、今いる場所のよさが見えない。と、自身の経験をもとに語る。

「イタリア旅行をずっと夢見てきたのに」「あんなに一生懸命に計画を立てたのに」「手違いで飛行機はオランダに着いてしまった」

「でもある日、ゆっくりと胸に空気を吸い込んだら……素敵な風車が目についた。綺麗なチュウリップが目についた」

 特に、

「周りの人たちはイタリアの話で盛り上がっている」「そうよ、私もそこに行くはずだったのよ……」

 という部分はキングスレイ自身の当時の苦悩をうかがわせる。しかし、最後の、

「みんなとは違う土地だけど、私はオランダを思い切り楽しんで、そして大好きになりました。」

 という結びは透子に大きな勇気を与えてくれただろう。

 しかもこの文章はダウン症や障害を持つ妊婦だけでなく、すべての、予定通りにいかなかった人生を生きる人々の傍に寄り添うことのできる力がある。今回の放送を機に、この文章も話題となり広まっている。

 透子は、同じダウン症の子を持つ木村弓枝(奥山佳恵)らにも会い、話を聞く。同じ境遇の仲間の存在は、医師とまた違う助けになるのだろう。透子の夫・光弘(石田卓也)も、いまだダウン症の子を育てることに心のどこかで否定的だったが、やはり同じ立場である弓枝の夫(今里真)と接し、気持ちが溶けていく。

「案ずるより産むが易し」(向井)

「傘を忘れて家を出ても意外となんとかなるもんだし」(小松)

 付き添いつつ、夫妻の肩の力を抜いてあげるペルソナ熟女コンビ。『北風と太陽』のやり口。

 カンファレンスで鴻鳥や今橋は、とにかく押し付けず見守ることが大切だと言っていた。しかし「太陽」のつもりで接しても「北風」だと感じられてしまうことは日常生活でも多々あることで、こういう配慮は医療技術とはまた別の信頼につながるのだろう。

 後日、透子は双方の親の前で「オランダへようこそ」を聞かせる。

「この子はみんなの子だもの」

 当初反対していた夫方の親も今は味方だ。周囲も「イタリア」だけが目的地ではないことに気づこうとしている。

 

■四宮の迷い

 

 父親の訃報に、三たび帰郷した四宮。能登の曇った海岸で、生前に父から渡されたヘソの尾を見つめ、亡き父を想う。

「この街を子どもが産めない街にはさせない」「この街のお産を守ることが使命だと思っている」

 気持ちを知ってか知らずか、戻ってきた四宮を飯に誘う鴻鳥。店に入って荻島(佐々木蔵之介)を見つけるなり「はめられた」という顔をする四宮。塩顔大集合。

 荻島は今シーズンの第1話で鴻鳥がヘルプで向かった隠岐の島で開業医として切り盛りしていたあの荻島だ。鴻鳥の先輩なのだから当然同期の四宮の先輩でもある。

「そういう郷土愛とかセンチメンタリズムに左右されて設備の整っていないところでお産をすることは、俺は尊いとは思いません。医師一人が全てを抱えるのは無理がある」

 故郷で働く思いを語る荻島に対し、いきなり中二病丸出し発言をぶつける四宮。おそらく父親のことがあるから感情的になっているのだろう。

 現地で実際に孤軍奮闘してる先輩に久しぶりに会っていきなりこれを言うのはなかなか頭おかしいので、そうあってほしい。

 しかし、大人の荻島は怒ったりなんかしない。

「酒が足りないんじゃないか?」と冗談でかわしつつも「何をそんなに怖がってるんだ? しかめっ面はお前の本当の顔じゃないだろ?」「同じ産科医、場所は違っても心意気は同じ。どこへ行っても一人ぼっちで戦わなきゃいけないなんてそんなことはないんだ」荻島の言葉が四宮に響くのがわかる。

 

■さらに成長した若手

 

 間もなくペルソナを離れ講談医科大に小児循環外科医の修行にでる白川(坂口健太郎)。
「俺、先生の一番弟子になれましたかね?」と不安げに聞く白川に、「僕の弟子じゃない。頼りになるパートナーだよ」とニクいことを言う今橋。これで安心して新天地に向かえるだろう。

 救命科で居眠りしてる下屋を起こそうとする加瀬(平山祐介)に、「寝かせといてやりなよ。面白いねよ。ガッツだけでなんとかやっていけるもんなんだ」「産科には返さないって言ってみようか?今橋先生がどんな顔するか見たくない?」と冗談めかしつつ下屋を認める救命科部長の仙道(古舘寛治)。

 研修医から一人前の医師になる過程でつまずいた同期2人も、どうやらもう一段成長し認められているようだ。

 ちなみに、すっかり丸くなった仙道部長だが、第6話で、鴻鳥、四宮らを含む産科新生児科医師全員の前で「産科ってさ、毎日妊婦さん相手にお世辞言ってる感じでしょ? 君たち危機感たりないんじゃないの?」と失礼極まりなく言い放っていたのが忘れられない。

 もちろん下屋が飛び込むことになる救命科の厳しさを煽る演出なのは重々承知だが、あれだけ人を殺したピッコロやベジータが平然と仲間になっているくらいの違和感を感じるのは筆者の器が小さいからだろうか。それだけ古舘がいい存在感を出してたのだ。

 

■オールスター IN 手術室

 

 診療にくるたびに小松とじゃれ合う同期の助産師・武田京子(須藤理彩)が、いよいよ出産。子宮口がなかなか開かず、帝王切開に切り替え、無事子どもを出産したものの、安心したのもつかの間、床が血の海に。

 さすが助産師「結構出てるね?」と他人事のような、冷静な「まな板の鯉」ならぬ「手術台の助産師」武田に安心させられるが血はまったく止まらない。羊水が母体の血中に入って引き起こされるという、子宮型羊水塞栓症。胎児の成分で起こるアナフィラキシーショックらしい。

 手術前、鴻鳥・四宮の揃い踏みに「豪華だね」と笑っていた武田だが、白川はもちろん途中から今橋や新井もくるわ、下屋や加瀬ら救命科までやってきて心臓マッサージするわ、もはやオールスター手術室。心停止した緊迫したシーンなのに、正直「豪華」だと思ってしまったのは、やはり最終回だからだろうか。

 同期の死の気配に、一瞬気が動転しつつも、一度の深呼吸で「大丈夫です、もう落ち着きました」と立て直す小松がさすがだ。

 心停止でもうダメかと思われたが「武田ー! 生きろー!!」の小松の声でなんとか息を吹き返し、子宮を全摘出したものの一命は取り留めた。戦友のような関係だからこその双方の信頼をとても強く感じたシーン。

 

■出て行くメンバー

 

 武田の手術直後、一息つく鴻鳥と小松を前に突如「ペルソナをやめようと思う。能登に帰る」と切り出す四宮。親のいた産科を継ぐのだ。

「飛び込んでみるしかない、怖がってるばかりじゃなくて」と語ったのは、やはり荻島の言葉を意識してのことだろう。

「四宮はそう言うと思ってたよ」鴻鳥もわかっていて荻島に会わせたようだ。

「俺も赤ちゃんが好きだからな」わかってはいたが、こんなことを四宮が言うなんて。

 そして、それに呼応するかのように自分もペルソナをやめると言い出す小松。「お母さんのケアに力を入れた場所を作りたい」という。

「産む前も、産んだあともお母さんの家族の人生に寄り添いたい」という決意は、ペルソナでたびたび患者に寄り添いすぎて注意を受けてしまう小松ならではだ。

「離れてたって僕たちが目指す場所は同じだ」と受け入れる鴻鳥。四宮は驚いていたのに。どうせ小松の気持ちもわかっていたのだろう。何でも知っている男・鴻鳥。

「僕はいつまでもペルソナにいてみんなを繋げていく。お母さん・赤ちゃんと社会を。そして、それぞれの場所でがんばる仲間たちを繋げていく、そういう医者に僕はなりたい」

 まるで宮沢賢治のようだ。

「また夢みたいなこと言ってるかな」という鴻鳥に「でもいいんじゃないか? 夢みたいなことをいう奴がいないと先には進めないからな」と四宮。

 鴻鳥は小松に言われ、ペルソナが自分の家族だと気づかされる。孤児の鴻鳥に親も兄弟もいない。夕日が差し込む部屋で抱きしめあう3人。

 少し前に屋上で下屋に「鴻鳥先生はずっとペルソナにいますよね?」と問われた時に鴻鳥は何もいわず遠くを見ていた。「もしや、鴻鳥も……?」と思いかけたが、あの時何を思っていたのか。

 白川も講談医科大にいくため新生児科に別れを告げ、ロビーで会った下屋に「お前がいたから今までやってこれた」と事実上告白とも取れる発言をするが、下屋はそれには答えず大声で、何かを吹っ切るように「白川ー! 頑張れよー!!」とエールを送る。

「お、お前もなー!」去っていく白川を目で追う下屋は、一瞬顔を歪める。安易に恋愛に発展しない若駒同士の関係が美しい。

 鴻鳥と四宮のラスト2ショットは屋上で。

「ちゃんと野菜たべなきゃだめだよ」とお母さんみたいな鴻鳥。

「お前にいわれたくない」と彼氏のような四宮。2人ともカップ焼きそばとジャムパンだけで暮らしてそうだから、見ているこっちが心配になる。

「ペルソナは任せろ」と力強く四宮を送り出す鴻鳥に、四宮は自ら手を出し握手を求めた。シーズン3があるのかはわからないが、2人の関係は今後も変わらないだろう。

 

■4カ月後・エピローグ

 

・高山夫妻は無事女の子を出産。子どもの心臓は今の所問題なく、子どもが可愛くて仕方がない様子だ。

・小松は新しい職場を作るため内装業者に相談、若干、恋の予感も!

・能登で父の跡を継ぎ、働く四宮は、マイペースでおおらかな地元の患者にも今まで通りの四宮として接しつつも充実してる様子。そこに現れたのは、地域医療研修医として派遣されてきた赤西吾郎(宮沢氷魚)。

「サクラのやつ……」とフィクサー鴻鳥の差し金を見破る四宮。「邪魔はするなよ、ジュニアくん」という第一回と同じ皮肉に対し「体当たりで学ばせてもらいます、ジュニア先輩」と言い返す成長した赤西。

 これに、ぷっと吹き出して笑う四宮。このシリーズ通して、初めて見せる四宮の笑顔。しかも笑い方が素すぎて一瞬NGなのかと思ったほど。いや、正直あれはNGでもいいのではないかと今でも思っているほど、「らしくない」笑い方だった。気をとりなおして「ついてこい」とカッコつける四宮。この続きをスピンオフでぜひ見たい。

 

■シーズン3は……?

 

 今シリーズでは、妊婦や家族だけでなく医師やスタッフの苦悩が多く描かれた。特に後半はその進退にからめて、毎回誰かが一人減り二人減りという状態。まるで『バトルロワイヤル』だ。

 オリジナルの話を生かしつつ、レギュラーメンバーそれぞれの苦悩も丁寧に描き、さらに第10話ではほぼオリジナルで「新型出生前診断」の問題に切り込むなど、構成や脚本も複雑に練られたものだった。

 第1話で鴻鳥が隠岐の島に行く設定にあまり意味を感じなかったのだが、ここにつながってくるとは。意味を感じなかったことをお詫びしたい。

 今回見終わって気になったのは、鴻鳥の裏の顔が人気ピアニストBABYであるという必要性がほぼなくなっていたことだ。

 前シーズンでは、クライマックスで正体を記者に嗅ぎ付かれつつも、それを記者の良心で記事にせず、ことなきを得るなど、最後まで意味を持っていた設定だが、今回は正直なくてもいいような場面でピアノを弾くシーンが挿入されたり、意味なく患者がBABYのファンで動画を見るシーンが加えられていたり、かといって本筋に一切かかわらなかったりと、設定を持て余しているように見えた。

 これは原作でも、その設定の「旨味」を使いつくしぎみな傾向が見られるので仕方がないことなのかもしれないが、BABYと交流のある米国の人気歌手(アレサ)が来日中に鴻鳥に助けられる話など、何か一つ鴻鳥がBABYである意義を入れて欲しかった。

 しかし裏を返せば、今回は「実は人気ピアニスト」という奇抜な設定が入る余地がないくらい、王道の詰まった内容だったということでもある。

 続編を期待する声も多そうだが、思ってた以上にメンバーが散り散りになってしまい、裏の要だった小松までも出て行ってしまったので、果たしてどうなるのだろうか。しかし、故郷の慣れない地で揉まれる四宮の話はぜひ見てみたいし、新天地で輝く小松や白川も見てみたい。もちろん「家族」の一部と離れ「家」を守る鴻鳥母さんの寂しそうな顔も気になる。

 シーズン3とまでいかなくてもそれぞれの活躍を描くスピンオフはぜひとも作っていただきたい。
(文=柿田太郎)

篠原涼子主演『民衆の敵』最終回が同枠史上ワースト視聴率更新で、またぞろ“月9廃止”の風向き

 篠原涼子が主演するフジテレビ月9ドラマ『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?』最終回(第10話)が25日、15分拡大で放送され、視聴率は4.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、よもやの“5%割れ”を喫した。裏の日本テレビ系『有吉ゼミ』4時間スペシャルの15.7%にトリプルスコア以上の大差をつけられ、大爆死した。

『民衆の敵』最終回は、今年1月期『突然ですが、明日結婚します』(西内まりや主演)第6話の5.0%を下回り、同枠史上ワースト視聴率を更新する大失態となった。30年の歴史を誇るフジの看板枠で、視聴率が5%を割り込んだのは、むろん史上初の醜態だ。

 初回は9.0%でスタートしたが、その後、7%台→6%台→5%台とジリジリ下げていった。第9話では7.0%まで巻き返したが、最終回で再び急降下した。

 全話平均は6.74%となり、月9ワースト記録を持つ『明日結婚します』の6.65%と、わずか0.09ポイント差で、かろうじて最低記録更新は免れた。

『民衆の敵』は、小さな子どもを持つ普通の主婦・佐藤智子(篠原)が、市政に挑戦する物語。智子は仕事をクビになり、高額報酬に目がくらんで、あおば市の市議選に出馬したところ、繰り上げで当選。市長の河原田晶子(余貴美子)が失職すると、同市議会のボス・犬崎和久(古田新太)に担がれて、市長選に臨み、晴れてあおば市長となった。ところが、ことごとく犬崎と対立。最終回は、身に覚えのない不正献金疑惑や公共事業「ニューポート計画」反対などで、智子(篠原)の人気は急落し、リコールされる目前となっていた。だが、犬崎に付いていた秘書・富田恭一(渡辺いっけい)の告発で、智子の不正疑惑は晴れ、「ニューポート計画」の是非を市民の議会で決める……という展開だった。

「フジの看板枠だった月9は、昨年1月期『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(有村架純、高良健吾主演)以降、6クール連続で視聴率1ケタが続き、主たるスポンサーも離脱してしまいました。ドラマ畑出身の亀山千広社長が6月に退任したこともあり、フジ社内では月9廃止論が噴出し、打ち切りの危機に瀕したようです。しかし、7月期の『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-the 3rd season』(山下智久主演)が平均14.8%の高視聴率をマークして、“存続”に流れが変わったと聞きます」(テレビ誌関係者)

 ところが、今クールの『民衆の敵』が篠原と“今が旬”の高橋一生のコンビで、枠史上ワースト2位の低視聴率となったことで、またぞろ“廃止論”が噴出するのは必至。来年1月期の『海月姫』(芳根京子主演)は、女性向け漫画が原作で、主要キャストは若手ばかりとあって、視聴者が若年層に限定されそう。14年末に能年玲奈(現・のん)主演で公開された映画は爆死しており、視聴率的には期待薄。4月期は長澤まさみの引っ張り出しに成功し、『コンフィデンスマンJP』がオンエアされるが、来年には、月9が廃止の憂き目に遭う可能性もありそうだ。
(文=田中七男)

『陸王』竹内涼真の走り方って、本当に正しいの!? トレーナーに聞いてみると……

 最終回を迎えたTBSドラマ『陸王』。最終回の視聴率は大台の20.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まさに有終の美を飾った。

 中小企業の足袋業者の社長が縮小化されていく足袋市場からランニングシューズ業界にトライするものの、商売敵の大企業に邪魔され悪戦苦闘していく姿を、主演の役所広司が熱演。ケガから復活しようとするランナー・竹内涼真の姿も、役所の喜怒哀楽と重なり、視聴者には相乗効果となって感動を生んだのだろう。

 ただ、一つ疑問に思うこともあった。

 役所が作る足袋ベースのランニングシューズが、ケガの多い竹内のフォーム修正に役立ち、再びトップランナーに復活するというストーリーだが、現状、足袋をベースにしたシューズを見かけることはほとんどない。『陸王』の事実上のモデルとなった埼玉県・行田に実在する「きねや足袋」の足袋シューズも、池井戸潤の原作本が出版されるまで知名度はほとんどなかった。

 はたして、陸王が提唱したシューズやランニングフォームは、本当に正しいのか? トレーナーに聞いた。

「まずシューズですが、足袋をベースにする発想はいいと思います。『陸王』では、ソールの話に重きが置かれましたが、足袋がベースのシューズですから、つま先にフォーカスすれば、もっとよかったと思います。今の陸上のシューズでは、つま先で地面をかむように走れるシューズが、ほとんどないんです。つま先でかむような作りにすることで、かかと着地を防ぐことができて、足裏全体で着地するミッドフット走法が習得できます」

 実際に、サッカー界でも、ゴンこと中山雅史やドラゴンこと久保竜彦ら、元日本代表のケガを治した動作解析者・夏嶋隆氏も、かかと着地をやめさせるために、足指の感覚が意識できる五本指ソックスなどを履かせていたというエピソードもある。ケガをしにくくするミッドフット走法。そして、そのコツをつかむために足袋のシューズが役立つという説には、整合性がありそうだ。

 では、竹内のランニングフォームはどうだろうか?

「竹内くんは、完全にサッカー選手の走り方ですよね(笑)。基本はミッドフットを意識できていたと思うのですが、スピードを上げるシーンでは、完全にかかと着地になっていました。正しいイメージは、地面を蹴った足のかかとがお尻についてから膝が前に出て、そして足裏全体が地面につく。これの繰り返しをすると、足の歩幅がサッカーでいうメッシのように狭くなり、かかと着地になり辛くなります。ですが、竹内くんは、大きく足を開く大股歩きのように走っていました。そうなると、どうしてもかかと着地になってしまい、ケガにつながります。ラストの走りは、靴の性能とは無関係でしたね」(同)

 そういえば、竹内は高校時代に東京ヴェルディユースに所属していたが、足首のケガでサッカー選手という夢を諦めなければいけなくなったと聞いたことがある。そのケガを誘発した走り方が最終回で浮き彫りになるとは、なんとも皮肉なものだ……。
(文=TV Journal編集部)

『陸王』竹内涼真の走り方って、本当に正しいの!? トレーナーに聞いてみると……

 最終回を迎えたTBSドラマ『陸王』。最終回の視聴率は大台の20.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まさに有終の美を飾った。

 中小企業の足袋業者の社長が縮小化されていく足袋市場からランニングシューズ業界にトライするものの、商売敵の大企業に邪魔され悪戦苦闘していく姿を、主演の役所広司が熱演。ケガから復活しようとするランナー・竹内涼真の姿も、役所の喜怒哀楽と重なり、視聴者には相乗効果となって感動を生んだのだろう。

 ただ、一つ疑問に思うこともあった。

 役所が作る足袋ベースのランニングシューズが、ケガの多い竹内のフォーム修正に役立ち、再びトップランナーに復活するというストーリーだが、現状、足袋をベースにしたシューズを見かけることはほとんどない。『陸王』の事実上のモデルとなった埼玉県・行田に実在する「きねや足袋」の足袋シューズも、池井戸潤の原作本が出版されるまで知名度はほとんどなかった。

 はたして、陸王が提唱したシューズやランニングフォームは、本当に正しいのか? トレーナーに聞いた。

「まずシューズですが、足袋をベースにする発想はいいと思います。『陸王』では、ソールの話に重きが置かれましたが、足袋がベースのシューズですから、つま先にフォーカスすれば、もっとよかったと思います。今の陸上のシューズでは、つま先で地面をかむように走れるシューズが、ほとんどないんです。つま先でかむような作りにすることで、かかと着地を防ぐことができて、足裏全体で着地するミッドフット走法が習得できます」

 実際に、サッカー界でも、ゴンこと中山雅史やドラゴンこと久保竜彦ら、元日本代表のケガを治した動作解析者・夏嶋隆氏も、かかと着地をやめさせるために、足指の感覚が意識できる五本指ソックスなどを履かせていたというエピソードもある。ケガをしにくくするミッドフット走法。そして、そのコツをつかむために足袋のシューズが役立つという説には、整合性がありそうだ。

 では、竹内のランニングフォームはどうだろうか?

「竹内くんは、完全にサッカー選手の走り方ですよね(笑)。基本はミッドフットを意識できていたと思うのですが、スピードを上げるシーンでは、完全にかかと着地になっていました。正しいイメージは、地面を蹴った足のかかとがお尻についてから膝が前に出て、そして足裏全体が地面につく。これの繰り返しをすると、足の歩幅がサッカーでいうメッシのように狭くなり、かかと着地になり辛くなります。ですが、竹内くんは、大きく足を開く大股歩きのように走っていました。そうなると、どうしてもかかと着地になってしまい、ケガにつながります。ラストの走りは、靴の性能とは無関係でしたね」(同)

 そういえば、竹内は高校時代に東京ヴェルディユースに所属していたが、足首のケガでサッカー選手という夢を諦めなければいけなくなったと聞いたことがある。そのケガを誘発した走り方が最終回で浮き彫りになるとは、なんとも皮肉なものだ……。
(文=TV Journal編集部)

“頼みの綱”は菜々緒のお色気シーン!? “高視聴率”が義務づけられた木村拓哉主演『BG~身辺警護人~』

 1月18日に放送開始する木村拓哉主演ドラマ『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系/木曜午後9時~)は、高視聴率が義務づけられており、同局としては相当なプレッシャーがかかりそうだ。

 というのは、木村の主演ドラマは注目度や制作費の高さから、高い視聴率をマークするのが必須とされている。さらに、今クール、同局の同枠でオンエアされた、米倉涼子主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』第5シリーズが、平均20.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を挙げているだけに、『BG』は何かと『ドクターX』の視聴率と比較されるのが間違いないからだ。

『BG』の主人公・島崎章(木村)は、民間警備会社のボディガードだったが、ある出来事をきっかけにボディガードの世界から身を引き、工事現場の警備員をしていた。そんな折、身辺警護課の新設に伴い、ボディガードに復帰する。民間の警護人は拳銃など殺傷能力の高い武器を持つことができないため、丸腰で危険と隣り合わせで、クライアントの依頼に応えなければならない。そんなボディガードたちの熱く泥臭い戦いの日々を濃密に描いた作品で、警視庁SPとの激しい対立も見どころとなっている。

 脇を固めるのは、同僚ボディガード役の斎藤工、菜々緒、間宮祥太朗、上川隆也、元キャスターで厚生労働大臣役の石田ゆり子、警視庁SP役の江口洋介らで、このメンバーで何本も主演ドラマがつくれるほどの豪華キャストだ。

 脚本は、フジテレビ系『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(2014年)をヒットさせた井上由美子氏で、木村の主演ドラマでは、『GOOD LUCK!!』(03年/TBS系)、『エンジン』(05年/フジテレビ系)を手掛けており、13年ぶり3度目のタッグ結成となる。

 かつては、“平成の視聴率男”として君臨した木村だが、近年ではすっかり陰りが見えている。14年7月期『HERO』第2シリーズ(同)こそ、平均21.3%をマークしたが、その前の13年10月期『安堂ロイド~A.I.knows LOVE?~』は平均12.8%しか取れず、自身の主演ドラマでワースト視聴率を記録した。『HERO』後は、15年4月期『アイムホーム』(テレビ朝日系)が平均14.8%、今年1月期『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)が平均14.6%で15%割れが続いている。

「木村の主演ドラマは、そのギャラの高さだけではなく、キャスティング、脚本、演出などに口を出してくるため、制作費がどうしても膨れ上がってしまいます。ご多分に漏れず、すでにクランクインしている『BG』も同様です。『HERO』のような人気シリーズならともかく、今の木村で20%超えは困難でしょうが、ノルマは最低でも15%以上。これを下回るとなると、スポンサーにも面目が立たなくなるでしょうね。脚本家の井上氏は、『昼顔』のヒット以降、堀北真希主演『まっしろ』(TBS系)や、松嶋菜々子主演『営業部長 吉良奈津子』(フジテレビ系)で爆死しているだけに不安視されます。前半で数字がなかなか上がらないようなら、菜々緒の“お色気シーン”などの奥の手も使わざるを得なくなりそうです」(スポーツ紙記者)

 テレ朝の「木9」枠といえば、『ドクターX』や『緊急取調室』(天海祐希主演)などの人気シリーズモノを放送しており、同局としては、歴史ある「TBS日曜劇場」と並ぶ“ドラマ枠”に育てようと躍起になっている。それだけに、『BG』は“高視聴率必須”という呪縛から逃れられそうにない。同作がコケたら、木村の株もいよいよ大暴落だ。
(文=田中七男)