菅田将暉主演『3年A組』初回は謎だらけ……エンドロールがあぶり出すクラスの闇

 1月6日、『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)がスタートした。タイトル自体は金八先生を意識したものと容易に察することができるが、内容はあまりにも違った。

 菅田将暉扮する3年A組の担任教師・柊一颯(ひいらぎいぶき)が生徒たちへ宣言した「今から皆さんには人質になってもらいます」というセリフから映画『バトル・ロワイアル』をイメージしがちだが、それも違う。映画『悪の教典』に近いものを感じるが、まだ結論付けたくない。ショッキングなシーンが連続した初回だったが、実のところ、まだ伏線が提示されるばかりの段階である。

■初日でクラス全員を敵に回してしまったさくら

 半年前、A組の生徒である景山澪奈(上白石萌歌)が自殺した。

「なぜ、景山澪奈は死んでしまったか。その理由を夜の8時までに導き出せたら、みんなをここから解放してあげよう。不正解の場合、誰か1人死んでもらう」(柊)

 ちなみに、この宣言が行われたのは朝の9時だ。『3年A組』は、サスペンスや残酷ショーといった類いのドラマではない。ちゃんと、柊は11時間ものシンキングタイムを与えている。彼の狙いは、生徒に考えさせること。やはり、授業を行おうとしているのだ。

 本作は各話ごとに「Day-1」「Day-2」とナンバリングされており、どうやら1話ごとに1日ずつ進んでいくようだ。1日目でフォーカスされたのは、茅野さくら(永野芽郁)と宇佐美香帆(川栄李奈)の2人だった。

 水泳の全国大会で優勝した経験を持つ澪奈に憧れを抱いていたさくら。澪奈とさくらは友達になった。それ以前、澪奈は香帆と仲が良かったが、澪奈はさくらを優先するようになる。香帆から声を掛けられても「先約あるから」とその誘いを振り、見せつけるようにさくらと一緒に下校する澪奈。2人の後ろ姿を見る香帆が嫉妬に燃えている。かわいさ余って憎さ百倍。のちにA組で澪奈へのいじめが勃発するが、その中心人物は香帆だった。

 香帆の澪奈への執着は、1日目の様子のそこかしこに表れていた。クラスメイトから「よく(澪奈と)一緒に帰ってたじゃん」と聞かれると、いじめの首謀者にもかかわらず「この中じゃ一番仲良かったかな」と返し、他の生徒が「景山さんと友達だったのは茅野ちゃんでしょ?」と発言すると、なぜか香帆が「別にさくらだってそこまで仲良かったわけじゃないよ」とシャットアウト。さくらがいじめに遭っていた澪奈への態度を悔やむと「自分が一番の親友みたいに語っちゃってさあ! そういうの、マジでむかつくんだけど」と激高する香帆。

 香帆とさくらは危うい関係性だ。「私のほうが澪奈と仲良かった!」という嫉妬の感情を香帆はさくらに抱いている。

 生前の澪奈にはドーピングのうわさが立てられていた。自殺を選んだ彼女に対し、「卑怯な真似してまで1位になろうとしたあいつにムカついたから、しゃべりたくなかっただけ」「薬使うような奴と仲良くなれねえよな」とクラス中が罵詈雑言をやめない。「あんな奴、死んで当然だったんだよ」と暴言を吐く甲斐隼人(片寄涼太)に、とうとう我慢ならなくなったさくらは、「ふざけんじゃねえ!」と膝蹴りを入れた。

 香帆も甲斐もスクールカーストのトップで、さくらは下位だ。さくらは2人を敵に回し、初日からいきなり「さくらvs他のクラスメイト」という状況に陥った。これから10日間、教室に閉じ込められて共同生活を強いられる3年A組。明日からのさくらを思うと、地獄の日々が容易に想像できてしまい、つらいのだが。

■エンドロールがあぶり出すA組の闇

 A組の面々が、とにかくクズすぎる。誰か1人が死ぬというのに、澪奈の自殺の原因について真面目に考えない。「水泳絡みが自殺の原因」と浅い答えで結論付け、答えに窮す回答者のさくらに「さっきの言えばいいんじゃない」「あれでいいと思うけど」と圧をかける無責任さ。「あれでいい」レベルの答えじゃダメなのに、当事者意識がまるでない。

 さらに、「死んで当然だった」と吐き捨てる冷たさ。澪奈の自殺原因を言い当てられなかったさくらを指さし「茅野を殺れよ。答えを外したのはこいつなんだから!」と主張する身勝手さ。

 柊は、涙を流して生徒たちを怒鳴った。

「自分が助かれば、他人がどうなっても構わない。イカれてるね~。どうしてそんな、貧しい考えが生まれるのか。モラルの欠如、アイデンティティの拡散。要は、中身が空っぽなんだよ!」

「お前たちは、さっきの茅野を見ても何も思わなかったのか? 景山の死から目を背けていた自分を奮い立たせて、向き合おうとした茅野を見ても……何も思わなかったのか!? 過去の自分が、今の自分を作る! だから、過去から逃げてるお前も、お前も、お前も、極めて幼稚なガキのまま成長が止まってるってわけだ。そんな奴らが、一体何から卒業するって言うんだよ!」

「なぜ、景山澪奈は死ななければならなかったのか? これから、彼女の生きざまを通して、お前らの考えがいかに脆く、弱いものなのか、思い知らせてやる」

「変わるんだ。悪にまみれたナイフで、汚れなき弱者を傷付けないように、変わるんだよ! ……変わってくれ」

 先がまったく読めないこのドラマだが、人質にとってまで柊が生徒に教えたいことは、間違いなくこの熱弁に凝縮されている。

 柊は宣言通りに1人の生徒を刺殺したが、これだって怪しい。自殺の原因を考えさせ、生まれ変わるよう説く彼が人を殺めるとは思えない。柊は美術教師だ。殺したように見せかけるのはお手の物。血糊メイクだって簡単に施せるだろう。じゃないと、彼の理念に反するではないか。

 初回、筆者の印象に最も強く残ったのは、エンディングのスタッフロールだった。クロマニヨンズのアップテンポな曲をバックに映し出されるのは、仲良さげな学校生活を送るA組の写真。「澪奈は死んで当然」「茅野を殺れよ」と平気で口にするほどの薄っぺらい関係性なのに、外ヅラはこんなにも楽しそう。闇を隠し、表面上は明るく振る舞う日常を見事に切り取っている。

 でも、本当のA組はこんなんじゃない。だから、現実とのギャップにゾッとするのだ。この闇をあぶり出し、変わるよう促すのが柊の目的であり願いである。

(文=寺西ジャジューカ)

松嶋菜々子『救命病棟24時』復活で反町隆史と別居・離婚危機! 『相棒』裏かぶりで大激怒

 今年、“完全復活”が期待されている女優の松嶋菜々子。だが、女優復帰をめぐって、夫・反町隆史と別居・離婚の危機に直面しているという。

 松嶋は、1998年放送の反町主演ドラマ『GTO』(フジテレビ系)での共演をきっかけに、2001年2月に結婚。その後、出産・育児を経て、09年に女優復帰し、11年に主演したドラマ『家政婦のミタ』(日本テレビ系)の大ヒットで“視聴率女王”の座に輝いたのはまだ記憶に新しいだろう。

 だが、実は、その後、松嶋は日テレを出禁状態になっていたという。

「“打倒! テレビ朝日”を掲げた日テレが、『家政婦のミタ』と同じ製作チームで連ドラを企画。松嶋も一度はオファーを受諾したのですが、土壇場になってドタキャンしたんです。あまりに非常識なドタキャンに、日テレの上層部は『もう松嶋は使わなくていい』と激怒したそうです」(マスコミ関係者)

 日テレを出禁になったことで、ドラマのオファーが激減していたが、その後、徐々に復活し、今年は4月からスタートするNHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』に、ヒロイン役の広瀬すずの育ての母親役で出演することが決定。さらに10月からは、松嶋主演の人気ドラマシリーズ『救命病棟24時』(フジテレビ系)が復活する予定で、彼女にとって本格的な女優復帰の1年になるのではないかと注目されている。

「ただ、『救命病棟24時』は、以前は火曜夜10時枠に放送されていたのですが、フジテレビ側は、新シリーズを水曜夜9時枠にする意向だそうで、それが松嶋夫婦のケンカの火種になっているようです」(同)

 関係者によれば、現在、フジテレビでは水曜夜9時枠に、明石家さんまの『ホンマでっか!?TV』を放送しているが、この時間帯はもともと同局にとって人気ドラマ枠。編成局はこの“水曜ドラマ”を復活させたいようで、『ホンマでっか!?TV』を今年10月から火曜夜9時枠に移動させ、代わりに『救命病棟24時』を持ってくるつもりなのだという。

 確かにフジテレビの同枠は、かつて「水曜ドラマシリーズ」「水曜劇場」と銘打たれてきたが、水曜の夜9時枠は、テレビ朝日のドラマ『相棒』の放送枠でもある。

『相棒』といえば、反町が“4代目相棒”を務める、水谷豊主演の言わずと知れた人気ドラマシリーズで、フジテレビが“水曜ドラマ”を復活させ、そこに『救命病棟24時』を持ってくれば、“夫婦ドラマ対決”となる。

 視聴者にとっては注目の対決になるが、シリーズが終わるたびに降板説がウワサされている反町にとっては面白くないだろう。主演の水谷に気に入られて4代目相棒の座を死守しているといわれているが、視聴者の評価も視聴率も決して高いとはいえず、そこにきて、10%以上の視聴率が見込める『救命病棟24時』が真裏で復活するとなれば、『相棒』の足を引っ張りかねない。

 一部では、松嶋のドラマが水曜9時枠と聞いて激怒した反町が、自宅のある東京・青山の高級マンションから出たといわれているが、実際、反町は『相棒』の撮影のため、東映撮影所近くにマンションを借り、そこからスタジオに入っていたという。

 夫婦ゲンカがエスカレートして、別居、離婚に発展するケースは芸能界でも少なくないが、ただ、反町・松嶋は、日ごろから些細なことでもケンカが絶えない夫婦だといわれている。

 例えば11年5月、当時2人が飼っていたドーベルマンが、同じマンションの住人に噛みついてケガをさせ、それを理由に一家が転居したことで、マンションの管理会社から損害賠償を請求される騒動があった。この一件をめぐっては、夫婦ゲンカの末、反町がドーベルマンを連れて家出。滋賀県は琵琶湖にある別荘で一人暮らしをしていたことから破局危機がウワサされたが、その後、よりを戻している。

 昨年5月には、次女が通う都内の名門私立女子小学校の運動会で、娘を応援する夫婦の仲睦まじい姿が目撃されているが、はたして、夫婦のドラマ対決は実現するのか。同時に、夫婦に危機は訪れるのか。ドラマの内容以上に注目されることになるだろう。
(文=本多圭)

『刑事ゼロ』は、まるで逆『名探偵コナン』? 沢村一樹&瀧本美織の“新人刑事”コンビが魅力的

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまう刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第1話が10日、2時間の拡大版で放送され、平均視聴率14.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進しました。

 京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)は、“京都府警に時矢あり”といわれるほどの逸材。しかし、連続殺人犯の能見冬馬(高橋光臣)を追跡中、ビルの屋上から貯水プールに落下し、刑事生活20年分の記憶をごっそり失ってしまいます。

 そんな折、見舞いにやって来た元相棒の福知市郎(寺島進)から、新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)の教育係を託されることに。刑事職を解かれることを恐れた時矢は、記憶喪失になったことを隠し、佐相と共に女性府議会議員・椎名蒼が刺殺された事件を追うことになります。

 その蒼が殺された現場では、あみだくじの一部分を切り取ったような奇妙な記号が書かれた紙が見つかるのですが、その直後に発生したフリーライター・今宮賢の殺害事件では、遺体そのものが同じような記号に見えるように、公園の鉄棒に粘着テープで吊るされた状態で発見。時矢は、そのテープと蒼の殺害現場に落ちていた紙から同じニオイがすることに気づきます。

 その後、今宮の父親・隆二(大澄賢也)と継母のもとを訪れた時矢は、応接室に置いてある香炉(香木を入れる器)が妙に気になり、直感を信じて香木の販売店へ足を運ぶことに。するとその店の主人から、殺人現場に残されていた奇妙な記号が、源氏香(5種の香を各5包ずつ計25包作り、任意に取り出した5包のニオイを嗅ぎ分ける組香の一種)で用いる香の図であることを指摘されます。この香の図には、源氏物語54帖のうち最初と最後の帖以外の巻名ひとつひとつが附されているというのです。

 さらに以前、蒼と今泉夫妻、小説家の鳴島恭三(小林稔侍)とその妻・桜子(富田靖子)が、同じお香のサークルに通っていたことが発覚。また、桜子のもとを訪れた時矢は、息子・芳孝(百瀬朔)が初めて書いた小説を恭三に焼かれてしまたっため、逆上して家出してしまったことを知るのでした。

 捜査を進めていくと、芳孝は隆二が桜子を襲った際にできた子であることや、その背景には、『郭公の庭』という小説を書くためだけに、恭三が自分の妻を隆二に襲うよう命じたこと、議員になる前に産婦人科医をしていた蒼が芳孝の出産を担当したことや、それらの事実をネタに賢が金を脅し取ろうとしていたことなどが判明します。

 蒼と賢の殺害現場に残された香の図がそれぞれ、源氏物語中で“不義の子”をテーマにした話であることから、時矢は一連の事件を芳孝の犯行による見立て殺人だと推測。そんな中、隆二がワイヤーで首を吊られ殺される第3の事件が発生してしまいます。

 芳孝を逮捕するべく、時矢は捜査に夢中になるのですが、ふとしたきっかけで記憶喪失したことが佐相にバレてしまいます。しかし、今回が刑事生活最後の事件ということで見逃してもらい、捜査を続行することに。そんな中、桜子が神社の階段で何者かに突き落とされる事件が発生します。

 ところがこれは桜子の狂言だったのです。桜子は、隆二を殺害した際に傷を負って死んでしまった芳孝の遺志を継ぎ、第5の事件を計画。かつて家族3人で暮らした家もろとも焼死すべく、恭三をスタンガンで気絶させて部屋中にガソリンを撒き散らすという凶行に及んだのです。

 そこへ駆けつけた時矢は、「人間は2度死ぬ」として、1度目は肉体が滅びる時、2度目は生きている人たちの記憶から忘却される時だと話し、息子の記憶をこの世に留めるためにも生き続けるべきだと説得。桜子がこれを聞き入れたことで事件解決となりました。

 その後、約束通り退職届を用意した時矢。しかし佐相は、今回の活躍から“新・時矢”も刑事として必要な素養を備えていることを認め、記憶喪失したことは誰にも漏らさないと約束。“旧・時矢”の捜査データを網羅していることから、彼の「取扱説明書」として支えていくことを表明したところで終了となりました。

 ベテラン刑事が20年間の記憶を失くすというトリッキーな設定や、沢口靖子・主演の人気シリーズ『科捜研の女』の“谷間”に差し込まれるカタチでの放送ということで、箸休め的な作品かと侮っていましたが、開始早々からかなり惹きこまれるものがありました。

 正直、源氏物語を見立てに用いた設定は複雑すぎるため映像作品には不向きで、被害者たちの関係性もごちゃごちゃしていてミステリー的には少し難ありかなぁ、という部分はありました。

 しかしそれを補って余りあるぐらい時矢が魅力的でした。記憶を失ったことで内面が20年前、つまり31歳の時に戻ってしまったという設定なのですが、今宮夫妻のもとを訪れた際には、妻と顧問弁護士との関係が怪しいと見て、「おふたり、デキてます?」と直球で訊いてしまうなど、その言動はまるで子どものよう。アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)のオープニングでの名セリフ「見た目は子ども、頭脳は大人」の真逆のようなキャラクターなのです。

 それでいて、捜査に必要な観察力や記憶力、優れた五感、調査力、信念みたいなものは残っているんですね。証拠品が見つかれば夢中になって調べ、直感が働けば即座に行動する姿は、大人少年探偵とでもいうようなコミカルな雰囲気が漂っていました。

 そしてその時矢を支える佐相役を滝本が好演。佐相は庶務係に在籍時、たまたま目にした時矢の姿に憧れ、彼が関わった事件データすべてを記憶したという熱烈な信奉者なんですね。

 だからこそ、時矢とのバディが決まり張り切るわけですが、その活き活きとした様子を滝本が実直に演じていました。また、傍目からはベテラン刑事と新人なのですが、視聴者からすれば新人同士のコンビ、という設定も観ていてユニークでした。佐相は、他の先輩刑事と組んでいれば恐らく、「お前は引っ込んでろ」と言われかねないほど積極的すぎる面があるのですが、実はぺーぺーの時矢と組むからこそ持ち味を活かせているのだろうな、と思います。

 その佐相いわく、時矢は以前は理論派、記憶を失ってからは直感派になったということですが、次回は7年前に関わった事件に再び挑むということで、どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。敏腕刑事時代の粗を自ら掘り起こしていくことになってしまうのですかね。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』は、まるで逆『名探偵コナン』? 沢村一樹&瀧本美織の“新人刑事”コンビが魅力的

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまう刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第1話が10日、2時間の拡大版で放送され、平均視聴率14.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進しました。

 京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)は、“京都府警に時矢あり”といわれるほどの逸材。しかし、連続殺人犯の能見冬馬(高橋光臣)を追跡中、ビルの屋上から貯水プールに落下し、刑事生活20年分の記憶をごっそり失ってしまいます。

 そんな折、見舞いにやって来た元相棒の福知市郎(寺島進)から、新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)の教育係を託されることに。刑事職を解かれることを恐れた時矢は、記憶喪失になったことを隠し、佐相と共に女性府議会議員・椎名蒼が刺殺された事件を追うことになります。

 その蒼が殺された現場では、あみだくじの一部分を切り取ったような奇妙な記号が書かれた紙が見つかるのですが、その直後に発生したフリーライター・今宮賢の殺害事件では、遺体そのものが同じような記号に見えるように、公園の鉄棒に粘着テープで吊るされた状態で発見。時矢は、そのテープと蒼の殺害現場に落ちていた紙から同じニオイがすることに気づきます。

 その後、今宮の父親・隆二(大澄賢也)と継母のもとを訪れた時矢は、応接室に置いてある香炉(香木を入れる器)が妙に気になり、直感を信じて香木の販売店へ足を運ぶことに。するとその店の主人から、殺人現場に残されていた奇妙な記号が、源氏香(5種の香を各5包ずつ計25包作り、任意に取り出した5包のニオイを嗅ぎ分ける組香の一種)で用いる香の図であることを指摘されます。この香の図には、源氏物語54帖のうち最初と最後の帖以外の巻名ひとつひとつが附されているというのです。

 さらに以前、蒼と今泉夫妻、小説家の鳴島恭三(小林稔侍)とその妻・桜子(富田靖子)が、同じお香のサークルに通っていたことが発覚。また、桜子のもとを訪れた時矢は、息子・芳孝(百瀬朔)が初めて書いた小説を恭三に焼かれてしまたっため、逆上して家出してしまったことを知るのでした。

 捜査を進めていくと、芳孝は隆二が桜子を襲った際にできた子であることや、その背景には、『郭公の庭』という小説を書くためだけに、恭三が自分の妻を隆二に襲うよう命じたこと、議員になる前に産婦人科医をしていた蒼が芳孝の出産を担当したことや、それらの事実をネタに賢が金を脅し取ろうとしていたことなどが判明します。

 蒼と賢の殺害現場に残された香の図がそれぞれ、源氏物語中で“不義の子”をテーマにした話であることから、時矢は一連の事件を芳孝の犯行による見立て殺人だと推測。そんな中、隆二がワイヤーで首を吊られ殺される第3の事件が発生してしまいます。

 芳孝を逮捕するべく、時矢は捜査に夢中になるのですが、ふとしたきっかけで記憶喪失したことが佐相にバレてしまいます。しかし、今回が刑事生活最後の事件ということで見逃してもらい、捜査を続行することに。そんな中、桜子が神社の階段で何者かに突き落とされる事件が発生します。

 ところがこれは桜子の狂言だったのです。桜子は、隆二を殺害した際に傷を負って死んでしまった芳孝の遺志を継ぎ、第5の事件を計画。かつて家族3人で暮らした家もろとも焼死すべく、恭三をスタンガンで気絶させて部屋中にガソリンを撒き散らすという凶行に及んだのです。

 そこへ駆けつけた時矢は、「人間は2度死ぬ」として、1度目は肉体が滅びる時、2度目は生きている人たちの記憶から忘却される時だと話し、息子の記憶をこの世に留めるためにも生き続けるべきだと説得。桜子がこれを聞き入れたことで事件解決となりました。

 その後、約束通り退職届を用意した時矢。しかし佐相は、今回の活躍から“新・時矢”も刑事として必要な素養を備えていることを認め、記憶喪失したことは誰にも漏らさないと約束。“旧・時矢”の捜査データを網羅していることから、彼の「取扱説明書」として支えていくことを表明したところで終了となりました。

 ベテラン刑事が20年間の記憶を失くすというトリッキーな設定や、沢口靖子・主演の人気シリーズ『科捜研の女』の“谷間”に差し込まれるカタチでの放送ということで、箸休め的な作品かと侮っていましたが、開始早々からかなり惹きこまれるものがありました。

 正直、源氏物語を見立てに用いた設定は複雑すぎるため映像作品には不向きで、被害者たちの関係性もごちゃごちゃしていてミステリー的には少し難ありかなぁ、という部分はありました。

 しかしそれを補って余りあるぐらい時矢が魅力的でした。記憶を失ったことで内面が20年前、つまり31歳の時に戻ってしまったという設定なのですが、今宮夫妻のもとを訪れた際には、妻と顧問弁護士との関係が怪しいと見て、「おふたり、デキてます?」と直球で訊いてしまうなど、その言動はまるで子どものよう。アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)のオープニングでの名セリフ「見た目は子ども、頭脳は大人」の真逆のようなキャラクターなのです。

 それでいて、捜査に必要な観察力や記憶力、優れた五感、調査力、信念みたいなものは残っているんですね。証拠品が見つかれば夢中になって調べ、直感が働けば即座に行動する姿は、大人少年探偵とでもいうようなコミカルな雰囲気が漂っていました。

 そしてその時矢を支える佐相役を滝本が好演。佐相は庶務係に在籍時、たまたま目にした時矢の姿に憧れ、彼が関わった事件データすべてを記憶したという熱烈な信奉者なんですね。

 だからこそ、時矢とのバディが決まり張り切るわけですが、その活き活きとした様子を滝本が実直に演じていました。また、傍目からはベテラン刑事と新人なのですが、視聴者からすれば新人同士のコンビ、という設定も観ていてユニークでした。佐相は、他の先輩刑事と組んでいれば恐らく、「お前は引っ込んでろ」と言われかねないほど積極的すぎる面があるのですが、実はぺーぺーの時矢と組むからこそ持ち味を活かせているのだろうな、と思います。

 その佐相いわく、時矢は以前は理論派、記憶を失ってからは直感派になったということですが、次回は7年前に関わった事件に再び挑むということで、どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。敏腕刑事時代の粗を自ら掘り起こしていくことになってしまうのですかね。
(文=大羽鴨乃)

予算は10分の1、過激シーンはムリ? 『24』日本版リメークに立ちはだかる数々の難題

 世界的に大ヒットとなったアメリカのテレビドラマ『24 -TWENTY FOUR-』が、『24 Japan』として日本でリメークされることが明らかになった。テレビ朝日開局60周年記念番組として2020年度にテレビ朝日で放送されるという。

 オリジナル版では、テロと戦う捜査官ジャック・バウワーを主人公とし、24時間に起きた出来事を1時間ごとに区切り、全24話で描くというスタイル。日本版でも同様のフォーマットを踏襲し、日本初の女性総理が誕生するまでの24時間に巻き起こるテロとの戦いを描いていくという。

 有名ドラマの日本版リメークということで注目が集まるところだが、一方で不安の声も多いようだ。テレビ局関係者は話す。

「まず、単純に制作費の問題です。海外ドラマは一般的に1話あたり1億~3億円くらいの制作費だといわれていますが、日本のドラマは精々2,000万~4,000万円くらい。10倍ほどの差があるわけで、日本のテレビドラマでオリジナル版のような派手なアクションシーンなんかを作るのは相当難しい。リメークしたはいいけど、蓋を開けてみたら、会話シーンばかりで、アクションはたいしたことなかった……なんてことにならなければいいんですが」(以下同)

 また、テロとの戦いを描くという内容についても難しい点がありそうだ。

「オリジナル版の『24』では、とにかく簡単に人が死ぬ。主人公であるジャック・バウワーは容赦なくテロリストを殺していくし、テロリストの方も罪のない人をどんどん殺していく。敵も味方も“目的遂行のためなら殺人もいとわない”というのが、『24』の世界なんです。同じような描写を日本のドラマでできるのかというのは甚だ疑問です。最近ではコンプライアンスの問題もあるし、過激な描写にクレームが入ることも少なくない。かなり生ぬるいドラマになりかねないのでは」

 全24話という点も懸念材料になっている。

「日本のドラマは3カ月1クールで終わるのが基本。俳優のスケジュールも基本的には3カ月をサイクルに回ることが多い。でも、『24』は全24話の2クールになるので、キャストのスケジュールを半年分押さえなければならないことになります。たくさんのドラマや映画を掛け持ちしているような売れっ子だと、半年も1つの作品にかかりっきりにもなれないので、キャスティングは難しいと思います。しかも、ネットでの番組配信企画もあるようなので、ネットNGが基本のジャニーズ系は出られないはずですし、いわゆる“数字を持っている俳優”を引っ張り出してくるのが、大きな課題でしょう」

 実現までにはいくつもの難関が待ち構えている『24』の日本版リメーク。企画倒れにならないことを願うばかりだ。

『家売るオンナの逆襲』松田翔太と千葉雄大が“おっさんずラブ”状態? 時代錯誤のパワハラ演出も

 北川景子が不動産屋の天才的な営業ウーマン役で主演するドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第1話が放送され、平均視聴率12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。好スタートを切りました。

 2016年に放送された前シーズンで結婚し、田舎で「サンチー不動産」を営んでいた三軒家万智(北川)とその夫・屋代大(仲村トオル)は、古巣・テーコー不動産からの要請を受け、新宿営業所へ戻ってくることに。東京での久しぶりの仕事に意気込む万智は、熟年離婚の危機にある夫婦に対し、寝室に間仕切りのある家を紹介。経済的なことを考慮すれば結婚していた方が得策だと妻・えり子(岡江久美子)を諭し、売却に成功します。

 万智が復帰早々に成果を出す一方、同じチーフとして働く足立聡(千葉雄大)は、炎上系YouTuber・にくまる(加藤諒)から“プライバシーを守れる家”探しの依頼をされたものの失敗。最新セキュリティーを備えた高級マンションに案内した際、住人にSNS上で目撃情報を拡散されてしまったのです。

 にくまるの担当は万智が引き継ぐことに。落ち込む足立は、趣味のフェンシングクラブで知り合った謎の男・留守堂謙治(松田翔太)に相談するのですが、実は留守堂はフリーランスの不動産屋だったのです。

 後日、万智がにくまるを案内したのは、国道に面したボロ屋。見るからに価値のない物件に、にくまるは激昂してしまうのですが、そこへ現れた留守堂が田舎の一軒家を紹介します。動画のアップや炎上に疲れ、静かに暮らすことを望んでいたにくまるは、幼少期を過ごした祖母の家に似たその家を気に入り、購入を即決するのでした。

 顧客を横取りされてしまった万智は、テーコー不動産の元アルバイト事務員の白洲美加(イモトアヤコ)を半ば脅すようにして緊急招集し、ボロ屋の塀を全壊。家の窓を開け放した状態で美加にゲテモノ料理を食べさせるという、公開収録式のYouTubeチャンネルを開設し、ネット上で話題をかっさらいます。

 実はこれは、にくまるを誘いだすための行動で、その狙い通り、静かな田舎生活に耐えきれなくなったにくまるはボロ屋へ駆けつけ、万智のセールストークとやじ馬たちに乗せられるカタチで購入を即決。万智が1億円の高値をふっかけることに成功したところで今回は終了となりました。

 前シーズンの全話平均視聴率11.6%、その翌年放送のSP版は13.0%と、安定した数字を稼いできた『家売るオンナ』シリーズ。その人気の秘訣は、不動産を売るためなら手段を選ばず、部下を顎でこき使う万智の強烈なキャラにあるのですが、今シーズンもそれは健在でした。

 テーコー不動産の社員たちは、営業成績が悪いくせに屁理屈だけはいっちょ前にこねる新人社員2人をもてあまし気味だったのですが、万智は復帰して早々、前作でも話題になった「GO!」の決め台詞を発して下働きを命令。その迫力にビビった後輩たちがあっさり命令を聞き入れ従う構図は、時代錯誤なパワハラそのものなのですが、万智の無表情なロボット・キャラのためにどこかコミカルに思えてしまうのです。日頃、部下の扱いに頭を悩ませている視聴者にとっては痛快なシーンだったかもしれませんね。

 そんな万智のライバルとして今期から登場した留守堂もまたキャラが立っていました。仕事はできるものの日常生活は隙だらけという、一歩間違えれば変人になりかねない天才タイプ。時に計算、時に天然な言動で人を魅了し、奥の見えないミステリアスなキャラクターを松田が好演しています。

 本人は恐らくそのつもりはないのでしょうが、まるで口説き文句のような言葉を発してしまうため、足立がポッとなってしまうシーンも。不動産屋という設定が共通することから、田中圭・主演ドラマ『おっさんずラブ』のエッセンスを取り入れたのかもしれませんね。同ドラマは、少女漫画のようなピュアな世界観とコミカルな演出で同性愛を描き女性からの支持を集めましたが、留守堂&足立のロマンスが前シーズンとは違った層の視聴者を獲得することになるかもしれません。

 前期との違いといえば、万智と屋代が夫婦になった点も挙げられますが、その関係性は仕事もプライベートもほとんど変わらず。東京へ戻ってからは万智が水を得た魚のように働き、家に帰ってこないことに対して屋代が、馴染みのバーで寂しい気持ちを吐露するシーンがありました。

 夫婦の営みの際にも「ベッドへGO!」と発してしまう艶っ気のない万智は果たして、仕事と家庭を両立させることができるのでしょうか。“家売るオトコ”留守堂との対決も含めて、この先の展開が楽しみです。
(文=大羽鴨乃)

『ZIP!』福山雅治の朝ドラで“脚本家”バカリズムに大ダメージ?「MOCO’Sキッチン」休止に批判も

 日本テレビが開局65周年記念番組として手がけた『ZIP!』内の7分×全13話の『生田家の朝』。

 企画プロデュースを福山雅治が務め、福山からの誘いでバカリズムが脚本を担当、さらに本家・NHK朝ドラ史上最高傑作と名高い『カーネーション』でヒロインを務めた尾野真千子に、ユースケ・サンタマリアを加えた豪華な布陣は、放送開始前には大いに注目された。

 しかし、「正直、NHK朝ドラを狙いました」と堂々宣言したことがあだとなり、「NHKのマネ」と嫌われたほか、人気コーナー「MOCO’Sキッチン」を休止しての放送だったことも批判を呼んだ。

 さらに「あるあるネタ」を中心に、「どこにでもいるフツーの家族の朝を切り取り、小さな幸せや事件を描く」というコンセプトでありながらも「あんなデカい一軒家買っといて、どこにでもいる普通の家族ってのがまず納得できない」「起きてきて、お湯出しっぱなしでトイレ行くとか、主婦の感覚からズレてて、おかしいと思いました」など、一般の主婦感覚からズレていることも批判の対象となっていた。

 とはいえ、もちろん一部には「終わっちゃった。地味な話なのに面白かった~」「生田家の朝めちゃくちゃ面白いし小さい時を思い出して心が温かくなる」など、番組の終了を惜しむ声もある。バカリズムならではのクスッと笑える「あるある」に共感したという声も上がっている。

 しかし、悲惨なのは、話題が当該ドラマから『ZIP!』全体の批判にまで広がってしまったこと。ネット上には、以下のようなコメントが多数ある。

「番組じたいを改編してほしい。朝からバカ騒ぎしてるのはみたいと思わない」

「MOCO’Sキッチンよりキンプリやめてくれれば良かったんだよ。ドラマも微妙だけど、それよりもっと面白くないし放送の意味が見出せない」

「そもそもZIPがつまらない。多すぎる女タレント、ジャニーズゴリ押し、つまらないゲスト、さむいノリ、NHKのニュース見てる方がマシwww」

 結局、誰が得したのかわからない、日テレの「挑戦」。中でも特にダメージを被ってしまったのは、脚本を担当したバカリズムである。昨年12月に行われた同番組の制作発表会見の際には、報道陣の間で「バカリズムの目の奥が笑っていない」などと言われていたと報じられていたが……。

「バカリズムさんは『生田家の朝』がつまらないとネット上で多数つぶやかれるなど、批判されたり、ネガティブな記事が書かれたりすることを非常に気にしていて、すっかり疲弊しています。一部記事にクレームをつけたこともあるようです」(放送作家)

 ちなみに、以前、AbemaTVの『必殺!バカリズム地獄』において、「どうせろくなことが書かれていない」からと、エゴサーチはしないことを言い切り、Twitterで直接リプライしてくるユーザーは「直接晒す」「すぐブロックする」とも語っていたバカリズム。

 そんなデリケートな性格をおもんばかると、今回の企画が与えたダメージは、バカリズムにとって相当深刻なものだったのだろう。

『下町ロケット』大団円もリアル農家が“怒りのツイート”連打

 フィクションとしては十分面白かったのだが……。

 1月2日に放送された阿部寛主演の『下町ロケット』特別編(TBS系)の平均視聴率が14.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。同作は、昨年10月クールの日曜劇場として全話平均13.9%を記録していたが、年をまたいで楽しみにしていた視聴者が多かったようだ。

「特別編は『台風編』と名付けられ、北陸地方に大型台風が直撃する前に米を収穫するという手に汗握るシーンが見所でした。ほとんど嵐のような状況の中、佃製作所がエンジンとトランスミッションを手掛けた無人農業用ロボット『ランドクロウ』が大活躍。クライマックスでは嵐の中、帝国重工の財前道生(吉川晃司)が率いるコンバイン・ランドクロウを乗せたキャラバンが到着し、不測のトラブルを乗り越えながら台風直撃寸前で全ての収穫をなんとか終えることができた、という内容でした」(テレビ誌ライター)

 佃航平(阿部)にかけられた「少しは日本の農業を救えたか?」の一言は視聴者に感動を与えた一方、放送後のTwitterでは“リアル農家”の人たちからの「あり得ない」という怒りのツッコミが続出。

「台風の雨の中での稲刈りはあり得ない。籾が濡れて品質が落ちるしコンバインが壊れる。そもそも通常の台風では大した被害は出ません」
「濡れていたら最新鋭のコンバインであっても詰まって稲刈りなんてできない。それくらいシビア。それにあんなに青かったんじゃ売り物にはならない。ドラマとはいえちょっとダメすぎ」
「実際は台風が過ぎた後、倒れた奴を時間かけて刈るのがリアルです。爆あんな青いやつ刈っても価値ねーよ」
「あのシーンの後で米作りとか日本の農業の未来とかを熱く語られてもねぇ」

 などと、本職の人たちはあきれ返っていたようだ。

 現場で頑張っている人の心に寄り添うのがテーマのドラマだったが、やや詰めが甘かったのか!?

実写版サンダーバードだった『下町ロケット』SP 映画、ラグビーW杯へと続く池井戸ユニバース!

 お正月もやっぱり熱かった、阿部寛主演の熱血理系ドラマ『下町ロケット』(TBS系)。昨年12月23日に最終回を迎えた『下町ロケット』第2シリーズは「ダーウィン・プロジェクト」と雌雄を決することなく終わったために消化不良状態でしたが、1月2日にオンエアされた実質的な最終回『下町ロケット 新春ドラマ特別編』は爽快感溢れる大団円となりました。感動のフィナーレを振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 まずは最終話で描かれなかった、「帝国重工」のダーティ重役・的場(神田正輝)vs.重田(古舘伊知郎)&伊丹(尾上菊之助)ら下町連合による「ダーウィン・プロジェクト」との決着戦です。重田たちの農業ロボット「ダーウィン」は“下町トラクター”として農家に大好評、一方「帝国重工」が売り出した農業ロボット「ランドクロウ」は営業的な苦戦を強いられます。社内での立場が危うい的場は、なりふり構わず「ダーウィン」を潰しに掛かります。

 的場のやり口とは、「ダーウィン・プロジェクト」に関係している下請け企業に、「今後は帝国重工で仕事ができなくなるよ」と脅すという卑劣なものでした。長いものには巻かれろと、多くの中小企業は「ダーウィン・プロジェクト」を抜けることに。一時的に重田たちは窮地に追い込まれますが、人を呪わば穴二つです。的場は自分で自分の墓穴を掘ってしまいました。

 

■的場も巨人軍も設計思想が古い

 重田たちのピンチを救ったのは、あの悪徳弁護士・中川(池畑慎之介)でした。弁護士資格は剥奪されたはずですが、重田の会社「ダイダロス」の法律顧問として復活したのです。毒は毒をもって制す。中川元弁護士は、的場の下請け企業いじめを公正取引委員会に訴え、さらに「週刊ポスト」にネタをリークするのでした。「佃製作所」を苦しめてきた中川ですが、的場を社会的に葬り去るという大きな仕事をやり遂げます。ヘビ野郎、グッドジョブです!

 佃社長(阿部寛)は複雑な心境で、的場と重田たちの抗争をマスコミを通して見守っていました。技術力やサービスで競い合うのならともかく、これではお互いの足を引っ張り合うだけで、ユーザーである農家のためにはなりません。佃社長の不安は的中しました。的場への長年の復讐を果たした重田と伊丹ですが、終わってみれば復讐を遂げたことを一緒に喜んでくれる家族も仲間もいません。残るのは空虚な気持ちだけです。そうしている間にも、「ダーウィン」が農作業中に停止してしまうという事故が多発するのでした。

 謝罪会見を開いた的場は「帝国重工」を辞職しますが、すれ違った財前部長(吉川晃司)に向かって「帝国重工は勝つしかないんだ」と捨て台詞を吐いて去っていきます。でも、これはどうなんでしょうか。プロ野球の巨人軍は強豪チームの主力選手を抜き取ることで目先の勝利を得ることを常套手段としていますが、それではいつまでもチーム力の底上げにはなりません。的場が指揮した農業ロボット「アルファ1」は審査機関から「設計思想が古い」と酷評されました。的場も巨人軍も、目先の勝利しか考えない発想事体がもう古くさいのではないでしょうか。そういった思考回路では、業界の盟主になることは到底不可能です。

 

■災害救助隊、出動せり!!

 場面は新潟県燕市へと移り、物語はいっきに佳境へと向かいます。「帝国重工」と「佃製作所」が提携して完成させた「コンバイン・ランドクロウ」の零号機が、殿村(立川談春)の実家の田んぼに導入されます。当初は農業ロボットを毛嫌いしていた殿村パパ(山本學)も大喜びです。そんな折、大型台風が接近。天気予報では関東地方に進むはずだったのに、台風は進路を変えて信越地方を直撃します。「ランドクロウ」のお陰で、殿村家は稲刈りを台風前に済ませる算段が立ちましたが、殿村にひとりの男が泣いてすがってきました。

 殿村に泣きついてきたのは、これ見よがしに「ダーウィン」を購入した稲本(岡田浩暉)でした。農林協の吉井(古川雄大)と一緒になって殿村家にせこい嫌がらせをしてきた稲本ですが、稲本家の稲が全滅することは放っておけない殿村は、絵に描いたようなお人よしです。殿村家のサポートに駆け付けてきた佃社長と天才エンジニアの島津(イモトアヤコ)は、「ランドクロウ」に入力されている地図データを「ダーウィン」のものと書き換え、「ランドクロウ」を稲本家の田んぼへと向かわせます。その陰には、北海道農業大学の野木教授(森崎博之)と「帝国重工」側の責任者・財前部長の理解と協力がありました。

 大型台風が間近に迫り、猛烈な暴風雨が襲い掛かります。果たして1台の「ランドクロウ」だけで収穫は終わるのでしょうか。絶望マックス状態のとき、地平線の向こうからヘッドライトが輝き始めました。自然災害対策にと「帝国重工」がスタンバイしていた「ランドクロウ・キャラバン」が、財前部長の出動命令でついにその全貌を明らかにしたのです。コンテナに搭載されていた初号機から六号機、そして零号機を含めた計7台の「ランドクロウ」が稲本家の田んぼへと降り立ち、黙々と作業を開始します。まるで往年の特撮人形劇『サンダーバード』(1966年~67年)の実写版を観ているかのような大スペクタクルシーンです。真っ赤なレインコートを来た吉川晃司は、戦隊ヒーローの司令官のようなかっこよさでした。地味な展開が続いた『下町ロケット』第2シリーズでしたが、SFパニック映画を思わせる迫力満点なクライマックスが用意されていたことにびっくりです。

■企業が抱える問題点は映画で描かれることに

 台風に立ち向かう「ランドクロウ」たちの一昼夜にわたる奮戦を、軽部(徳重聡)たちは「佃製作所」のテレビで見守っています。ひねくれ者だった軽部ですが、自分たちが開発した「ランドクロウ」に向かって「がんばれよ~」と父親らしい表情でエールを送ります。すっかり残業大好き人間になった軽部。心臓が弱い実の娘の病院への送り迎えは奥さんに任せているのかが、ちょっと気になりますが……。

 台風の夜が、そして「ランドクロウ」たちの無言の働きぶりが、みんなの心を変えました。立花(竹内涼真)は自分たちが苦労して開発した特許を、トランスミッションの不具合が発覚した「ダーウィン」に使わせることに大反対していましたが、考えを改めました。藤間社長(杉良太郎)の「我が社が作っているのは心だ。下請け企業が力を発揮できる環境をつくってこそ帝国重工だ」という決め台詞によって、「帝国重工」も他社への特許使用を認めることに。かくして、ライバルだった「ダーウィン」は製造中止の事態を免れたのです。すべては目先の利益や勝ち負けではなく、日本の農業を、そして日本の未来を明るいものにしたいという佃社長の英断から生まれたものでした。「帝国重工」への復讐のためにダースベイダー化していた伊丹社長は、人間らしい素顔に戻り、感謝の涙を流すのでした。
 
「ダーウィン」の不具合を開発主任の氷室(高橋努)が黙殺しようとしたり、「帝国重工」の製造部長・奥沢(福澤朗)が「アルファ1」の不備を野木教授や「佃製作所」の責任に押しつけようとした商品の安全性に関する問題点は、2月1日(金)から全国公開される池井戸潤原作の映画『七つの会議』でより深く掘り下げられることになります。監督は『下町ロケット』の福澤克雄チーフディレクターです。さらに9月20日(金)から日本で開催される国際的ビッグイベント「ラグビーワールドカップ2019」に先駆けて、7月期には池井戸原作&福澤ディレクターによる連続ドラマが予定されているそうです。福澤ディレクターは慶應大学時代にラグビー部の主力選手として日本一に輝いています。熱さ200%のスポーツドラマになることでしょう。

 異例となる年またぎで完結した『下町ロケット』第2シリーズ。『新春ドラマ特別編』の視聴率は14.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。お正月3日間のゴールデン帯とプライムタイム帯で全局トップに立ったテレビ朝日の看板ドラマ『相棒season17元旦スペシャル』が15.5%、1月3日放送の『科捜研の女 正月スペシャル』が11.4%だったので、かなりの健闘だったと思います。内容的にも満足度の高い2時間15分でした。

 大企業から転職してTBSに途中入社した福澤ディレクターが1964年生まれ、理系大学出身の伊輿田英徳プロデューサーが1967年生まれ。『新春ドラマ特別編』は国際救助隊が活躍する『サンダーバード』の実写版であり、また年末に放映された最終話には『ウルトラセブン』(TBS系)に主演した森次晃嗣が首相役を演じました。福澤ディレクターや伊輿田プロデューサーたちが子どもの頃に夢中になっていたスーパーヒーローたちを現代に蘇らせたのが、『下町ロケット』だったのではないでしょうか。佃社長や財前部長に憧れるエンジニアの卵が、『下町ロケット』から生まれるといいなと思います。
(文=長野辰次)

食べることは生きること『忘却のサチコ』最終回 “サイコな俊吾さん”で「シーズン2」はあり得るのか?

 前回、幸子(高畑充希)の元に突如戻ってきた元・新郎の俊吾さん(早乙女太一)。結婚式の最中に突如失踪し、その後偶然旅先(宮崎)で再会するも再度失踪、そんな「どのツラ下げて」な俊吾さんがついに……。

 グルメドラマなのにグルメどころじゃなくなってる『忘却のサチコ』(テレビ東京系)最終回を振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■何事もなかったような俊吾が怖い

 俊吾が現れるや否や、幸子に恋心を抱いている後輩の小林(葉山奨之)は「今さらどういうつもりで!」とブチ切れる。もともとモンスター後輩だったのに今や実に常識人、かつ幸子の一番の理解者。

 もうこの子とくっつけばいいのに! と何度も思ってきたが、そうは原作が許さない(想像ですが)。すかさず「ご紹介遅れました、こちら俊吾さんです」と、いつものように馬鹿丁寧にことを進めようとする幸子だが、内心かなり慌てている様子。

 そして渦中の俊吾さんは、「いつも幸子さんがお世話になってます」と笑顔で挨拶、こちらは未だ、まったくもって真意が読めない。

 少なくとも今まで幸子へしてきた仕打ちを気にもとめず、平然と笑顔で挨拶してくる様子は、とんでもないサイコパス野郎。手土産に生鮭を一匹渡すところも、もはや不気味。

 そんな俊吾に「行こう」と言われ、迷いつつも着いて行く幸子。残された小林の気持ちを思うとなかなか辛い。

 幸子の家に着いてからも、いなくなった理由を聞きたい幸子の気持ちをよそに、生鮭の保冷を気にしたり、幸子の身長が伸びたことに触れたりと、まったく心が読めない俊吾。

 もうここまでくると外見はそのままで中身が宇宙人に乗っ取られてるとかじゃないと説明がつかない気がする。映画『ゼイリブ』みたいに。

■さよなら、俊吾さん

 次の日、仕事も手につかず帰宅した幸子は、真意を問おうと家事をする俊吾に背後から近づくも、結局背中を抱きしめてしまう。絵に描いたような「好きになったら負け」っぷり。

 小林にやんや言われても、つい俊吾をフォローしてしまい、「それで佐々木さんが幸せならどうぞご自由に」と呆れられてしまう。

 今まで合理的な正解しか選んでこなかった幸子が初めて見せる間違った選択の数々。

 そんな中、担当作家・姫村(長谷川朝晴)との打ち合わせで(幸子は文芸雑誌の編集員)、その姫村が言った「見たいものを見に行くのが放浪、見たくないものから逃げのが逃亡」という何気ない一言が、幸子に突き刺さる。

 俊吾は果たして、ただの気まぐれな放浪だったのか、それとも幸子との結婚が嫌で逃亡していたのか……?

 それを幸子が確認しようとする前に、俊吾がついに失踪について幸子に詫びる。

「どんなに謝っても許してもらえないことをしたと思ってる。本当にごめんなさい」と土下座。

 気持ちを落ち着かせるかのように、第1話の鯖味噌からの今までの忘却遍歴を語る幸子。そして、核心を突く。

「なぜ結婚式のあの日、私を置いて逃げたのですか?」

「嫌なものから目を背けたかっただけなんですよね? 本当は私と結婚したくなかったんですよね? あの日、私から逃げたんですよね?」

 謝りながらも今でも幸子を愛していると言いかけた俊吾を遮って幸子は言う。

「ダメです、もう逃げてはダメです。私ももう逃げません。私、きちんと俊吾さんを忘れます」

 当の幸子も現実から「逃亡」していたのだ。心からの「忘却」なんてできちゃいなかった。

 俊吾のことを好きだったと告げつつ、握ろうとしてきたの俊吾の手を振り払って幸子は言った。

「さよなら俊吾さん」

 ラブイズオーバー。

■別れた直後の一人石狩鍋

 一人になった部屋で、残された食べ頃の2人前の石狩鍋をキチンと味わう幸子。おじやまでちゃんも作って食べた。俊吾オススメのバターも入れた。

 普通なら一番食欲がなくなるタイミングなのかもしれないが、幸子は食べた。忘れようとしていたからなのか、忘れないようにしたからなのかはわからない。

 バターと味噌の相性を確かめながら言う。

「んー、間違いない。うん……間違ってない……」

 少なくとも幸子が前を向いていたことだけは間違いないだろう。

 不条理な死を扱うドラマ『アンナチュラル』(TBS系)では、主人公がやたらとものを食べるシーンが生々しく挿入されており、食事が「生」の象徴として描かれていた。

 違うドラマの褌を借りるような言い方になってしまうが、幸子のこの食事にも同じようなメッセージを感じた。

「生」とまで言わないが、幸子のこの食事は前を向いて歩いてゆくこと=それでも生きていくことの決意なのだろう。

 毎日ルーティーンになってしまっている食事というものの本来の意味を考えさせられる。

 こんなに重い「飯テロ」も珍しい。飯テロというか「飯哲」。飯の哲学。お腹も空くし頭も使う。そして結局余計お腹が空く。

『アンナチュラル』を見てお腹が空くことはあまりなかったから、やはり『忘却のサチコ』はこれまでにないドラマだ。

■シーズン2はあるのか?

 翌日、腫れ物に触るように接してくる職場仲間を昼飯に誘う幸子。

 幸子が連れてきたのは第1話の三宝食堂(東府中)。幸子が『忘却』に目覚めた鯖味噌定食を全員で食べる。ドラマ最後の晩餐。大人数で食べるのことのよさがなんとなく伝わってくる。

 その時、食堂のテレビの街角中継に、南の国へ放浪してるはずの俊吾さんの姿が映る。

「サチコさん、メリークリスマス! 待っててね、必ず帰るから!」

 笑うところなのかも知れないがここは完全にホラーだと思った。

「ご心配なく、綺麗さっぱり忘却しましたから」と幸子は言っているが、この俊吾さんの放浪はシーズン2がいつ来てもいいための布石だろう。

 しかし、ここまで俊吾さんが不気味に描かれてしまうと、次から幸子が悩みにくいのではないだろうか?

 もしくは次からは単にストーカーと化した俊吾さんのあの手この手の嫌がらせから『忘却」するために食べる話になるのだろうか。

 まあ未確定な先の話はさて置き、少なくとも幸子が前を向けたのだから、これはこれでハッピーエンドなのだろう。

 最終回は雑に扱ってしまいがちな自分をちゃんと労ってやりたくなるような回で、前向きに胃袋に何かを入れてあげたくなるような回でした。

■俊吾さんは困難の象徴?

 ふざけた回から考えさせられる回まで、実に振り幅の広いドラマで、正直どういう流れで見ていいのかレビュー的に難しいところもあったのだが、見終わった瞬間感じたのは、そんな細かいことなどどうでもいいという爽快感。

 結局、俊吾さんの整合性などどうでもよいのだ。象徴としての「困難そのもの」だと思うと見やすくなる。最後はそんなずるい見方になってしまいました。

 原作の幸子はもっと機械的でコミカルだし、ドラマほど生々しい弱さや人としての悩みを露わにしなかったので、ドラマは結末も含めて別物として見るのが正解だろう。

 別物と言ってもしっかり手を抜かず、原作が続行してる中で、作る側の試行錯誤や遊びがふんだんに盛り込まれていたので、毎回新鮮に楽しめたのがよかったです。

 なんなら最後、俊吾さんがやはり宇宙人に乗っ取られていて突如エイリアンとの死闘に変わるとか、ロバート・ロドリゲス的な展開も期待してしまったので、シーズン2ではさらなる遊びを期待してます!
(文=柿田太郎)