『家売るオンナの逆襲』ぶりっこワーキングマザーにゲス不倫を企むスーパーの店長……鬱陶しいキャラ祭りに?

 北川景子が不動産業界を舞台にスーパー営業ウーマンを演じるドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第7話が20日に放送され、平均視聴率11.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.2ポイントダウンとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 今回、輝く女性社員の活躍をPRするために会社が立ち上げた『ウーマンプロジェクト』のメンバーに選ばれた三軒家万智(北川)は、企画開発課でキャリアを築く朝倉雅美(佐藤江梨子)、子ども2人を育てながら働く宇佐美サキ(佐津川愛美)と打ち合わせを行うことになります。

 ところが、時短勤務のサキは会議の途中で帰宅。結婚しているものの子どもをつくらずキャリアアップを優先する雅美には、仕事をないがしろにするような態度が許せません。2度目の会議でもサキは途中で席を外したため、雅美との溝は深まるばかりとなってしまいます。

 そんな中、万智が雅美に新居として紹介した物件が、フリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)からサキが仲介された物件とダブっていることが発覚。2人ともその物件が気に入り、仕事上でのイザコザもあいまって、お互いに譲ろうとしません。

 というわけでいろいろと話し合った結果、万智と留守堂のボーリング対決によって、購入権を争うことになるのですが、万智はボーリングがド下手。かつての部下・白洲美加(イモトアヤコ)にコーチを頼み、「ウンチ(運動音痴)野郎」などと罵られながらも猛特訓を重ねます。

 そして迎えた決戦。万智は僅差で勝利し、雅美が新居を手に入れます。敗れてしまったサキは、仕事と子育てが両立できる物件をまたイチから探さなければならなくなってしまうのです。

 しかし万智は、サキへのフォローも忘れません。サキの旦那の会社に新しく託児所ができることを調べ、その会社に近い物件をサキに紹介。子育ては女性だけでなく男性も負担すべきだと提案することで、家を売ることに成功するのでした。

 一方、仕事に邁進する万智に構ってもらえず寂しさを抱えていた夫・屋代大(仲村トオル)は、美加がパート勤めするスーパーマーケットの店長・三郷楓(真飛聖)への浮気心を抱き始めます。その異変を万智が察知し、夫婦間に不穏な空気が流れたところで今回は終了となりました。

 今回、雅美とサキの衝突を他人事ではないと感じた視聴者は少なくなかったかもしれません。ワーキングマザーが途中で仕事を切り上げて帰ってしまい、その分のフォローをしなければならなくなった場合、他の社員の不満は募り、ギスギスした空気が流れたりもするでしょう。

 ただ、サキの方を一方的に悪く描いていた気がしてならないんですよね。長引きそうだと予想できる会議を業務が終了する30分前にスケジューリング。雅美の提案にケチをつけ、反対するなら自分の案を出すよう言われたところで逃げるように帰ってしまう。おまけにオーバーなほどのぶりっこキャラでした。

 その一方、雅美に関しては特に悪い部分は描かれず。『キャリアウーマンVSワーキングマザー』がテーマのハズなのに、視聴者が雅美の肩をもつよう自然に促すかのようなアンフェア感が漂っていました。

 また、万智が最後にサキに物件を紹介した際、「女性だけが家庭と仕事の両立をしなければいけないのはおかしい」と語ったセリフについては、なるほど、その通りだと思ったのですが、そもそもサキが家庭の仕事を背負いすぎなのではないでしょうか。

 序盤、子ども2人を引き連れてマンションの内覧をしていたため、てっきりシングルマザーなのかと思いました。最後にとってつけたように旦那が登場しましたけど、家庭のことに無頓着なのか発言権がないのかイマイチ立ち位置がわかりません。オープニングシーンのナレーションにおいて、男性の遺伝子に含まれるY染色体が衰えつつあるとの情報が流れましたが、あるいは家父長制の逆転現象が裏テーマだったのですかね。

 万智と屋代の関係においては、主導権を握っているのは完全に妻の方ですが、そこへ割って入ろうとする楓の中途半端に嫌なオンナ感はなんなのでしょうか。前回、スーパーの店内で美加が積み上げたサバ缶の山が崩れ、屋代に助けてもらったことが縁となり急接近。今回、美加に連れられ、屋代の馴染みのバーへやって来た時には、美加から不倫を唆されて否定したのですが、「じゃあ、なんでノコノコついて来たんだ?」と、観ていてイラっとしてしまいました。

 しかもその後、屋代を自分から食事へ誘い、ゲス不倫を画策する腹黒さを露呈するのですが、キャラクターの背景がちっとも見えてきません。40歳(ぐらい?)でスーパーの店長。独身? バツイチ? 万智と屋代の仲を掻き乱すためだけに用意されたコマといった感じで血が通っていないため、魔性のオンナにもなりきれずといった感じなのです。

 美加に関しては、役というよりもイモトアヤコそのまま。ひとりだけコントを披露といった感じで姿を見せるたびにウンザリするのですが、これにプラスして今回のサキのようなぶりっこが登場すると、鬱陶しいキャラのお祭り状態となり、観ていてかなりストレスが溜まります。

 しかも、次週のゲストは泉谷しげる……。視聴者が辟易するような役柄&ストーリー展開にならないことを祈りたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

竹内結子『QUEEN』から感じる「若い男にホレるババアは惨めだ」という強烈なメッセージ

 さて、当代きっての不愉快ドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)も第6話。視聴率は6.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、低調が続いています。

 前回の第5話から、ようやくやりたいことが見えてきた感のある同作ですが、うーん、やっぱりおもしろくないです。いや、今回も大筋の大筋ではすごくいい話。悲しいし、希望もある。多少の粗があっても細かいところに目をつぶれば楽しめると思うんだけど、その粗がでかいのよ……。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■今回の時事ネタはパワハラでした

 ご老人の女流売れっ子作家が女性秘書3人に灰皿を投げつけるなど、パワハラ行動をしている場面からスタート。作家はどうやら、若く美しい男の秘書にメロメロなようです。

 何話か前にも国生さゆりが若く美しい男に骨抜きにされるシーンがありましたが、このドラマは「年老いた女が若い男にホレる」というシチュエーションを、とことん惨めな行動として描きます。制作側の上の方の女の人に、よっぽど何かあるんだろうけど、その歪んだ価値観がダダ漏れなんです。「若い男にホレるババアは惨めだ」というメッセージは、おそらく「私はババアだが若い男には翻弄されない」という決意表明なんだろうけど、そんなのは見る側には関係ないですからね。見苦しいだけです。

 ついでにアラサー女性がハワイに一人旅することも軽くバカにしておいて、さあ第6話も不快に始まりました。要するに「軽妙」をはき違えてるんです。このドラマ、「キャラクター監修」という見慣れない役職でバカリズムがクレジットされてるんですが、世の女性たちから大いに不評を買った彼の女装ネタ「女子と女子」を、達者な女優さんたちが地で演じてしまっている感じ。あのネタはバカリズムの美しくない顔芸も込みで面白いわけで、美しい竹内結子や斉藤由貴がやったら、どうにも受け入れ難い設定なんです。そのへんも、制作側の上の方の女の人が醸し出す雰囲気が見えるのよね。「私はバカリズムのウイットを理解できる女だわよ」みたいな主張を感じる。実に見苦しい。

 だいたいからして、全編から敵対心というか「成敗してやろう」みたいなマウント意識が竹内ら弁護士チームの行動原理になっているし、クライアントに世間の同情が集まることをもって「任務成功」とされても、知らんがなという話なんです。問題解決の手段のひとつとしてメディアを使った世論操作があってもいいと思うけど、それが目的になっちゃうと共感できないんです。「そんなくだらないことでカネもらってんの?」となってしまう。

 ほかにもあります。今回も明確にパワハラが行われるシーンがあったにもかかわらず、「被害者側に非がある」という理不尽な描写がありました。灰皿を投げつけられた3人の女性秘書は、長きにわたって作家に尽くしてきたはずなのに、いつの間にか「遺産狙いの薄汚い狸ババア」扱いされてドラマから叩き出されてしまう。代わりに、「遺産狙いのホスト上がりのクソ野郎」として扱ってきた若い男を「才能ある若手流行作家」に仕立て上げる。若い男の才能や未来といった美しさを描こうとしても、その内実を作るのが面倒だから、周囲の人物を必要以上に汚していく。そして、汚されていくのは、いつも女性ばかり。

 老若にかかわらず、竹内結子と水川あさみに成敗されるのは、いつも女性なんです。画面から「美人が気に食わない」「自立した女が気に食わない」「すぐ泣く女はもっと気に食わない」というメッセージがビンビンに伝わってくる。4話まででちょっとやりすぎたと思ったのか、5話からは女性を救うようなポーズを取ってみたけど、結局5話の遠野なぎこからは仕事を取り上げ、再起不能の状態に陥れることで大団円のような顔をしていたし、今回の6話では真野響子を、がんで殺してしまいました。どうしても女性に救済や平穏を与えたくないというドラマの強い意思を感じます。さらに気味が悪いのは、それでも表面上は「女性を救った」という顔をしていることです。

■時事ネタならまだしも

 前回まで、時事ネタを雑に扱っているのが嫌だという話もしていましたが、今回は時事ネタ要素薄めで、人の才能や故人の遺志、あるいは誇りや信頼といった普遍的なテーマが語られました。人の才能や故人の遺志、あるいは誇りや信頼といった普遍的なテーマが、これまで同様に雑に扱われたのです。これはもう時事ネタとは比較にならないくらい不快でした。

 今夜放送の第7話は「マタハラ」だって。もう見るのが怖いよ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

竹内結子『QUEEN』から感じる「若い男にホレるババアは惨めだ」という強烈なメッセージ

 さて、当代きっての不愉快ドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)も第6話。視聴率は6.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、低調が続いています。

 前回の第5話から、ようやくやりたいことが見えてきた感のある同作ですが、うーん、やっぱりおもしろくないです。いや、今回も大筋の大筋ではすごくいい話。悲しいし、希望もある。多少の粗があっても細かいところに目をつぶれば楽しめると思うんだけど、その粗がでかいのよ……。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■今回の時事ネタはパワハラでした

 ご老人の女流売れっ子作家が女性秘書3人に灰皿を投げつけるなど、パワハラ行動をしている場面からスタート。作家はどうやら、若く美しい男の秘書にメロメロなようです。

 何話か前にも国生さゆりが若く美しい男に骨抜きにされるシーンがありましたが、このドラマは「年老いた女が若い男にホレる」というシチュエーションを、とことん惨めな行動として描きます。制作側の上の方の女の人に、よっぽど何かあるんだろうけど、その歪んだ価値観がダダ漏れなんです。「若い男にホレるババアは惨めだ」というメッセージは、おそらく「私はババアだが若い男には翻弄されない」という決意表明なんだろうけど、そんなのは見る側には関係ないですからね。見苦しいだけです。

 ついでにアラサー女性がハワイに一人旅することも軽くバカにしておいて、さあ第6話も不快に始まりました。要するに「軽妙」をはき違えてるんです。このドラマ、「キャラクター監修」という見慣れない役職でバカリズムがクレジットされてるんですが、世の女性たちから大いに不評を買った彼の女装ネタ「女子と女子」を、達者な女優さんたちが地で演じてしまっている感じ。あのネタはバカリズムの美しくない顔芸も込みで面白いわけで、美しい竹内結子や斉藤由貴がやったら、どうにも受け入れ難い設定なんです。そのへんも、制作側の上の方の女の人が醸し出す雰囲気が見えるのよね。「私はバカリズムのウイットを理解できる女だわよ」みたいな主張を感じる。実に見苦しい。

 だいたいからして、全編から敵対心というか「成敗してやろう」みたいなマウント意識が竹内ら弁護士チームの行動原理になっているし、クライアントに世間の同情が集まることをもって「任務成功」とされても、知らんがなという話なんです。問題解決の手段のひとつとしてメディアを使った世論操作があってもいいと思うけど、それが目的になっちゃうと共感できないんです。「そんなくだらないことでカネもらってんの?」となってしまう。

 ほかにもあります。今回も明確にパワハラが行われるシーンがあったにもかかわらず、「被害者側に非がある」という理不尽な描写がありました。灰皿を投げつけられた3人の女性秘書は、長きにわたって作家に尽くしてきたはずなのに、いつの間にか「遺産狙いの薄汚い狸ババア」扱いされてドラマから叩き出されてしまう。代わりに、「遺産狙いのホスト上がりのクソ野郎」として扱ってきた若い男を「才能ある若手流行作家」に仕立て上げる。若い男の才能や未来といった美しさを描こうとしても、その内実を作るのが面倒だから、周囲の人物を必要以上に汚していく。そして、汚されていくのは、いつも女性ばかり。

 老若にかかわらず、竹内結子と水川あさみに成敗されるのは、いつも女性なんです。画面から「美人が気に食わない」「自立した女が気に食わない」「すぐ泣く女はもっと気に食わない」というメッセージがビンビンに伝わってくる。4話まででちょっとやりすぎたと思ったのか、5話からは女性を救うようなポーズを取ってみたけど、結局5話の遠野なぎこからは仕事を取り上げ、再起不能の状態に陥れることで大団円のような顔をしていたし、今回の6話では真野響子を、がんで殺してしまいました。どうしても女性に救済や平穏を与えたくないというドラマの強い意思を感じます。さらに気味が悪いのは、それでも表面上は「女性を救った」という顔をしていることです。

■時事ネタならまだしも

 前回まで、時事ネタを雑に扱っているのが嫌だという話もしていましたが、今回は時事ネタ要素薄めで、人の才能や故人の遺志、あるいは誇りや信頼といった普遍的なテーマが語られました。人の才能や故人の遺志、あるいは誇りや信頼といった普遍的なテーマが、これまで同様に雑に扱われたのです。これはもう時事ネタとは比較にならないくらい不快でした。

 今夜放送の第7話は「マタハラ」だって。もう見るのが怖いよ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

『さすらい温泉』故・佐々木すみ江の最期の仕事に……『花男』『ふぞろい』にも負けない仕事ぶりが光る

 遠藤憲一が役者を引退する決意で温泉宿の仲居になり、そこで出会った人々のために一肌脱ぐ。そんなパラレルワールドを見せてくれるドキュメンタリー風の人情温泉ドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)。まさに、この記事の執筆中に、第5話のマドンナである佐々木すみ江さんの訃報が届いた。

 亡くなったから言うわけではなく、凛とした芯の通った演技でドラマ全体を引っ張っていただけにとても驚いた。佐々木すみ江の活躍を中心に、第5話を振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■一人で銀行から金を下ろせない遠藤憲一

 今回も遠藤のリアルな人となりを同級生や事務所スタッフから聞き出すインタビューから番組はスタート。

 今回は遠藤は一人では銀行からお金を下ろせないことが暴露される。

 そうなってくると、バスの予約なども一人ではできなそうな気がするので、どうやって毎回各地の温泉に移動しているのか考えてしまう。

 そんな遠藤がやってきたのは、群馬と新潟の県境にある法師温泉。温泉界ではレジェンドと言ってもいいほどの温泉だ。

 ちなみに番組内でも軽く触れていたが、かの田中角栄は法師温泉のすぐ横の三国峠をダイナマイトで吹っ飛ばし、その土砂で日本海を埋め立て佐渡島まで歩いて行けるようにすると新人時代の選挙演説で語っていた。実現していたら法師温泉のお湯も途絶えていたかもしれないので、実行されなくて何より。

■死を覚悟した旅行者役を熱演した佐々木

 この温泉で出会った宿泊客が佐々木すみ江演じる笠木澄恵。

 戦争に行ったまま戻らない、かつての許嫁との想い出を振り返りに、一人で来ているという。

 健さん(遠藤は派遣仲居のときは中井田健一と名乗っている)がその許嫁に似ているらしく、健さんに出会った瞬間の驚き→喜び→恥じらいと変わる佐々木演じる笠木の表情の変化が素晴らしい。しばらく無言なのに、画がじつに持つ。ここから一気に笠木の存在感に引き込まれる。

 その許嫁と、かつて笠木が泊まった宿が今回の舞台である法師温泉・長寿館で、その滞在の直後、召集令状が届き、そのまま彼は戻ってこなかったという。

 今は結婚し、孫までいて幸せだと語る笠木だが、祝言すら挙げられぬまま引きちぎられるような形で想い出もろとも戦争に奪われてしまった、かつての許嫁の存在は今でも大きいようだ。

 笠木が死を目前に控えたステージ4の末期の膵臓がんであることを知った健さんは、悩みながらも笠木の願い通り、もう一泊、笠木のケアをすることに。

 そして今回も、あのなんでも出てくる四次元トランクを開く時が。

 出てきたのは想い出の写真に写る許嫁と同じ軍服。

 それを着て枕元に立つ健さんが笠木に語りかける。驚きながらも、それを許嫁の「加瀬清次(清さん)」として受け入れる笠木。

「久しぶり」

「お久しぶりです」

「よくまたここにきてくれたね」

「ずいぶん時間が経っちゃいましたけど……」

 夢だと思っていたのかもしれないが、逢えぬはずの人に逢える喜びは、ひとしおだろう。

■佐々木と遠藤の幻の混浴シーン

 彼が照れ屋のため名物の混浴風呂に一緒に入れなかったのが心残りだという笠木を、風呂に誘う、健さん演じる清さん。

 風呂に向かう途中で、笠木の姿はあの頃の若い姿(堀田真由)に変わっていた。

 健さんの錯覚なのか、笠木本人のイメージなのか、はたまた科学を超えたファンタジーなのかわからないが、笠木の心が軽くなって行くのがわかる。

 堀田は『わろてんか』(NHK総合)で葵わかなの妹役や、最近では『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で、フェイク動画を作った犯人だと疑われる水泳部員役など活躍する若手。実在はしているものの、姿は観念であるという難しい入浴シーンを、雰囲気たっぷりに演じた。

 作中でも触れていたが、ここのお湯は風呂の底が砂利引きになっており、底から50年前の雨水が温泉となり滲み出ている。

 当時の許嫁との「再会」には、ぴったりの場所だ。

 作家の田中眞一のTwitterによると、佐々木はこの脚本をとても褒めてくれていたという。

 実際に享年90歳で亡くなってしまった佐々木も、17歳で終戦を迎えていたはずで、許嫁でなくとも大切な人を亡くしたり、亡くした人の悲しみに触れたりしてきたはずだ。

 佐々木が亡くなったのがどんな原因かは執筆してる今現在まだわからないし、なんなら知る必要も特にないが、何にせよ年齢的に人生の終幕を大なり小なり意識していたであろう中で今回の仕事に挑んでいたのは間違いないだろう。

 1コマずつまで丁寧に演じて、役柄から彼女(笠木)の持つであろう「想い出」を振り絞っているのがわかる。

 贅沢を言えば、ほんの一瞬でいいから、若き日を演じた堀田真由との混浴シーンのどこかで、今の佐々木と遠藤が笑顔で温泉に浸かってる画も差し込んでほしかった。

 佐々木が亡くなった今だから余計にそう感じるのかもしれないが、「今の笠木」を笑顔で「清さん」とお風呂に入れてあげたかった。

 こんなときに不謹慎なのかもしれないが、『スターウォーズ』のファーストシリーズのラストシーン(ジェダイの帰還)で改心したアナキン(ダースベーダー)が幽霊のように出てくるシーンがあるが、ずっと年老いたアナキンの姿だったのに、ジョージルーカスが途中で改訂してしまい、現行版では若き日のアナキンになってしまったことを思い出した。

 若き日のアナキンもよいのだが、いろいろあった上でそれはそれとして、いろいろなことを経た年老いたアナキンの笑顔の方を求めるファンも多かったので、後藤監督がディレクターズ・カットを作るとしたら、是非一瞬でも今の笠木の、佐々木の笑顔での混浴もお願いしたかった。

 こんなふざけた願いも、もはや絶対に叶わないのが、ただただ悲しい。

 

■飛鳥凛が深刻さを中和する

 今回は佐々木が圧巻の存在感を見せてくれたため、その影に回ってしまった感があるが、飛鳥凛のサバサバした仲居(久美)もいい味わいで、死別や戦争をテーマとした中で息抜きのような演技を挟みこみ、全体を中和してくれた。

 時間があれば、もっと健さんとの絡みも見たかった。

 病院へと戻る笠木を見送る健さんに、「泣いてるの……?」と久美が尋ねるラストは、訪ねておきながらいなくなる久美の気遣いが感じられて、いいシーンだった。

 今はエイベックスにいる飛鳥だが、元はスターダスト所属で、ももクロのデビューイベントの舞台も一緒に踏んでいる苦労人(メンバーではない)。きっぷの良さそうな役などハマりそうなのでもっと芝居を見てみたい。

 佐々木が亡くなったことで、かつての代表作(TBS『ふぞろいの林檎たち』『花より男子』、NHK『ゲゲゲの女房』『篤姫』など)がいろいろ流れる中で、この『さすらい温泉』も佐々木のギリギリまで灯された役者人生の最後を飾るのに見劣りしないものだったと思う。

 それはベテランながら深夜ドラマだろうと手を抜かない佐々木の姿勢も大きいし、ドラマを丁寧に作っている『さすらい温泉』制作側の姿勢も大きいだろう。

 paraviでも見られるが、ぜひもう一度、地上波で再放送して、佐々木の最期の仕事を、まだ見ていない人にも見せてあげてほしい。

 ご冥福をお祈りします。
(文=柿田太郎)

『さすらい温泉』故・佐々木すみ江の最期の仕事に……『花男』『ふぞろい』にも負けない仕事ぶりが光る

 遠藤憲一が役者を引退する決意で温泉宿の仲居になり、そこで出会った人々のために一肌脱ぐ。そんなパラレルワールドを見せてくれるドキュメンタリー風の人情温泉ドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)。まさに、この記事の執筆中に、第5話のマドンナである佐々木すみ江さんの訃報が届いた。

 亡くなったから言うわけではなく、凛とした芯の通った演技でドラマ全体を引っ張っていただけにとても驚いた。佐々木すみ江の活躍を中心に、第5話を振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■一人で銀行から金を下ろせない遠藤憲一

 今回も遠藤のリアルな人となりを同級生や事務所スタッフから聞き出すインタビューから番組はスタート。

 今回は遠藤は一人では銀行からお金を下ろせないことが暴露される。

 そうなってくると、バスの予約なども一人ではできなそうな気がするので、どうやって毎回各地の温泉に移動しているのか考えてしまう。

 そんな遠藤がやってきたのは、群馬と新潟の県境にある法師温泉。温泉界ではレジェンドと言ってもいいほどの温泉だ。

 ちなみに番組内でも軽く触れていたが、かの田中角栄は法師温泉のすぐ横の三国峠をダイナマイトで吹っ飛ばし、その土砂で日本海を埋め立て佐渡島まで歩いて行けるようにすると新人時代の選挙演説で語っていた。実現していたら法師温泉のお湯も途絶えていたかもしれないので、実行されなくて何より。

■死を覚悟した旅行者役を熱演した佐々木

 この温泉で出会った宿泊客が佐々木すみ江演じる笠木澄恵。

 戦争に行ったまま戻らない、かつての許嫁との想い出を振り返りに、一人で来ているという。

 健さん(遠藤は派遣仲居のときは中井田健一と名乗っている)がその許嫁に似ているらしく、健さんに出会った瞬間の驚き→喜び→恥じらいと変わる佐々木演じる笠木の表情の変化が素晴らしい。しばらく無言なのに、画がじつに持つ。ここから一気に笠木の存在感に引き込まれる。

 その許嫁と、かつて笠木が泊まった宿が今回の舞台である法師温泉・長寿館で、その滞在の直後、召集令状が届き、そのまま彼は戻ってこなかったという。

 今は結婚し、孫までいて幸せだと語る笠木だが、祝言すら挙げられぬまま引きちぎられるような形で想い出もろとも戦争に奪われてしまった、かつての許嫁の存在は今でも大きいようだ。

 笠木が死を目前に控えたステージ4の末期の膵臓がんであることを知った健さんは、悩みながらも笠木の願い通り、もう一泊、笠木のケアをすることに。

 そして今回も、あのなんでも出てくる四次元トランクを開く時が。

 出てきたのは想い出の写真に写る許嫁と同じ軍服。

 それを着て枕元に立つ健さんが笠木に語りかける。驚きながらも、それを許嫁の「加瀬清次(清さん)」として受け入れる笠木。

「久しぶり」

「お久しぶりです」

「よくまたここにきてくれたね」

「ずいぶん時間が経っちゃいましたけど……」

 夢だと思っていたのかもしれないが、逢えぬはずの人に逢える喜びは、ひとしおだろう。

■佐々木と遠藤の幻の混浴シーン

 彼が照れ屋のため名物の混浴風呂に一緒に入れなかったのが心残りだという笠木を、風呂に誘う、健さん演じる清さん。

 風呂に向かう途中で、笠木の姿はあの頃の若い姿(堀田真由)に変わっていた。

 健さんの錯覚なのか、笠木本人のイメージなのか、はたまた科学を超えたファンタジーなのかわからないが、笠木の心が軽くなって行くのがわかる。

 堀田は『わろてんか』(NHK総合)で葵わかなの妹役や、最近では『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で、フェイク動画を作った犯人だと疑われる水泳部員役など活躍する若手。実在はしているものの、姿は観念であるという難しい入浴シーンを、雰囲気たっぷりに演じた。

 作中でも触れていたが、ここのお湯は風呂の底が砂利引きになっており、底から50年前の雨水が温泉となり滲み出ている。

 当時の許嫁との「再会」には、ぴったりの場所だ。

 作家の田中眞一のTwitterによると、佐々木はこの脚本をとても褒めてくれていたという。

 実際に享年90歳で亡くなってしまった佐々木も、17歳で終戦を迎えていたはずで、許嫁でなくとも大切な人を亡くしたり、亡くした人の悲しみに触れたりしてきたはずだ。

 佐々木が亡くなったのがどんな原因かは執筆してる今現在まだわからないし、なんなら知る必要も特にないが、何にせよ年齢的に人生の終幕を大なり小なり意識していたであろう中で今回の仕事に挑んでいたのは間違いないだろう。

 1コマずつまで丁寧に演じて、役柄から彼女(笠木)の持つであろう「想い出」を振り絞っているのがわかる。

 贅沢を言えば、ほんの一瞬でいいから、若き日を演じた堀田真由との混浴シーンのどこかで、今の佐々木と遠藤が笑顔で温泉に浸かってる画も差し込んでほしかった。

 佐々木が亡くなった今だから余計にそう感じるのかもしれないが、「今の笠木」を笑顔で「清さん」とお風呂に入れてあげたかった。

 こんなときに不謹慎なのかもしれないが、『スターウォーズ』のファーストシリーズのラストシーン(ジェダイの帰還)で改心したアナキン(ダースベーダー)が幽霊のように出てくるシーンがあるが、ずっと年老いたアナキンの姿だったのに、ジョージルーカスが途中で改訂してしまい、現行版では若き日のアナキンになってしまったことを思い出した。

 若き日のアナキンもよいのだが、いろいろあった上でそれはそれとして、いろいろなことを経た年老いたアナキンの笑顔の方を求めるファンも多かったので、後藤監督がディレクターズ・カットを作るとしたら、是非一瞬でも今の笠木の、佐々木の笑顔での混浴もお願いしたかった。

 こんなふざけた願いも、もはや絶対に叶わないのが、ただただ悲しい。

 

■飛鳥凛が深刻さを中和する

 今回は佐々木が圧巻の存在感を見せてくれたため、その影に回ってしまった感があるが、飛鳥凛のサバサバした仲居(久美)もいい味わいで、死別や戦争をテーマとした中で息抜きのような演技を挟みこみ、全体を中和してくれた。

 時間があれば、もっと健さんとの絡みも見たかった。

 病院へと戻る笠木を見送る健さんに、「泣いてるの……?」と久美が尋ねるラストは、訪ねておきながらいなくなる久美の気遣いが感じられて、いいシーンだった。

 今はエイベックスにいる飛鳥だが、元はスターダスト所属で、ももクロのデビューイベントの舞台も一緒に踏んでいる苦労人(メンバーではない)。きっぷの良さそうな役などハマりそうなのでもっと芝居を見てみたい。

 佐々木が亡くなったことで、かつての代表作(TBS『ふぞろいの林檎たち』『花より男子』、NHK『ゲゲゲの女房』『篤姫』など)がいろいろ流れる中で、この『さすらい温泉』も佐々木のギリギリまで灯された役者人生の最後を飾るのに見劣りしないものだったと思う。

 それはベテランながら深夜ドラマだろうと手を抜かない佐々木の姿勢も大きいし、ドラマを丁寧に作っている『さすらい温泉』制作側の姿勢も大きいだろう。

 paraviでも見られるが、ぜひもう一度、地上波で再放送して、佐々木の最期の仕事を、まだ見ていない人にも見せてあげてほしい。

 ご冥福をお祈りします。
(文=柿田太郎)

『さすらい温泉』故・佐々木すみ江の最期の仕事に……『花男』『ふぞろい』にも負けない仕事ぶりが光る

 遠藤憲一が役者を引退する決意で温泉宿の仲居になり、そこで出会った人々のために一肌脱ぐ。そんなパラレルワールドを見せてくれるドキュメンタリー風の人情温泉ドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)。まさに、この記事の執筆中に、第5話のマドンナである佐々木すみ江さんの訃報が届いた。

 亡くなったから言うわけではなく、凛とした芯の通った演技でドラマ全体を引っ張っていただけにとても驚いた。佐々木すみ江の活躍を中心に、第5話を振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■一人で銀行から金を下ろせない遠藤憲一

 今回も遠藤のリアルな人となりを同級生や事務所スタッフから聞き出すインタビューから番組はスタート。

 今回は遠藤は一人では銀行からお金を下ろせないことが暴露される。

 そうなってくると、バスの予約なども一人ではできなそうな気がするので、どうやって毎回各地の温泉に移動しているのか考えてしまう。

 そんな遠藤がやってきたのは、群馬と新潟の県境にある法師温泉。温泉界ではレジェンドと言ってもいいほどの温泉だ。

 ちなみに番組内でも軽く触れていたが、かの田中角栄は法師温泉のすぐ横の三国峠をダイナマイトで吹っ飛ばし、その土砂で日本海を埋め立て佐渡島まで歩いて行けるようにすると新人時代の選挙演説で語っていた。実現していたら法師温泉のお湯も途絶えていたかもしれないので、実行されなくて何より。

■死を覚悟した旅行者役を熱演した佐々木

 この温泉で出会った宿泊客が佐々木すみ江演じる笠木澄恵。

 戦争に行ったまま戻らない、かつての許嫁との想い出を振り返りに、一人で来ているという。

 健さん(遠藤は派遣仲居のときは中井田健一と名乗っている)がその許嫁に似ているらしく、健さんに出会った瞬間の驚き→喜び→恥じらいと変わる佐々木演じる笠木の表情の変化が素晴らしい。しばらく無言なのに、画がじつに持つ。ここから一気に笠木の存在感に引き込まれる。

 その許嫁と、かつて笠木が泊まった宿が今回の舞台である法師温泉・長寿館で、その滞在の直後、召集令状が届き、そのまま彼は戻ってこなかったという。

 今は結婚し、孫までいて幸せだと語る笠木だが、祝言すら挙げられぬまま引きちぎられるような形で想い出もろとも戦争に奪われてしまった、かつての許嫁の存在は今でも大きいようだ。

 笠木が死を目前に控えたステージ4の末期の膵臓がんであることを知った健さんは、悩みながらも笠木の願い通り、もう一泊、笠木のケアをすることに。

 そして今回も、あのなんでも出てくる四次元トランクを開く時が。

 出てきたのは想い出の写真に写る許嫁と同じ軍服。

 それを着て枕元に立つ健さんが笠木に語りかける。驚きながらも、それを許嫁の「加瀬清次(清さん)」として受け入れる笠木。

「久しぶり」

「お久しぶりです」

「よくまたここにきてくれたね」

「ずいぶん時間が経っちゃいましたけど……」

 夢だと思っていたのかもしれないが、逢えぬはずの人に逢える喜びは、ひとしおだろう。

■佐々木と遠藤の幻の混浴シーン

 彼が照れ屋のため名物の混浴風呂に一緒に入れなかったのが心残りだという笠木を、風呂に誘う、健さん演じる清さん。

 風呂に向かう途中で、笠木の姿はあの頃の若い姿(堀田真由)に変わっていた。

 健さんの錯覚なのか、笠木本人のイメージなのか、はたまた科学を超えたファンタジーなのかわからないが、笠木の心が軽くなって行くのがわかる。

 堀田は『わろてんか』(NHK総合)で葵わかなの妹役や、最近では『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で、フェイク動画を作った犯人だと疑われる水泳部員役など活躍する若手。実在はしているものの、姿は観念であるという難しい入浴シーンを、雰囲気たっぷりに演じた。

 作中でも触れていたが、ここのお湯は風呂の底が砂利引きになっており、底から50年前の雨水が温泉となり滲み出ている。

 当時の許嫁との「再会」には、ぴったりの場所だ。

 作家の田中眞一のTwitterによると、佐々木はこの脚本をとても褒めてくれていたという。

 実際に享年90歳で亡くなってしまった佐々木も、17歳で終戦を迎えていたはずで、許嫁でなくとも大切な人を亡くしたり、亡くした人の悲しみに触れたりしてきたはずだ。

 佐々木が亡くなったのがどんな原因かは執筆してる今現在まだわからないし、なんなら知る必要も特にないが、何にせよ年齢的に人生の終幕を大なり小なり意識していたであろう中で今回の仕事に挑んでいたのは間違いないだろう。

 1コマずつまで丁寧に演じて、役柄から彼女(笠木)の持つであろう「想い出」を振り絞っているのがわかる。

 贅沢を言えば、ほんの一瞬でいいから、若き日を演じた堀田真由との混浴シーンのどこかで、今の佐々木と遠藤が笑顔で温泉に浸かってる画も差し込んでほしかった。

 佐々木が亡くなった今だから余計にそう感じるのかもしれないが、「今の笠木」を笑顔で「清さん」とお風呂に入れてあげたかった。

 こんなときに不謹慎なのかもしれないが、『スターウォーズ』のファーストシリーズのラストシーン(ジェダイの帰還)で改心したアナキン(ダースベーダー)が幽霊のように出てくるシーンがあるが、ずっと年老いたアナキンの姿だったのに、ジョージルーカスが途中で改訂してしまい、現行版では若き日のアナキンになってしまったことを思い出した。

 若き日のアナキンもよいのだが、いろいろあった上でそれはそれとして、いろいろなことを経た年老いたアナキンの笑顔の方を求めるファンも多かったので、後藤監督がディレクターズ・カットを作るとしたら、是非一瞬でも今の笠木の、佐々木の笑顔での混浴もお願いしたかった。

 こんなふざけた願いも、もはや絶対に叶わないのが、ただただ悲しい。

 

■飛鳥凛が深刻さを中和する

 今回は佐々木が圧巻の存在感を見せてくれたため、その影に回ってしまった感があるが、飛鳥凛のサバサバした仲居(久美)もいい味わいで、死別や戦争をテーマとした中で息抜きのような演技を挟みこみ、全体を中和してくれた。

 時間があれば、もっと健さんとの絡みも見たかった。

 病院へと戻る笠木を見送る健さんに、「泣いてるの……?」と久美が尋ねるラストは、訪ねておきながらいなくなる久美の気遣いが感じられて、いいシーンだった。

 今はエイベックスにいる飛鳥だが、元はスターダスト所属で、ももクロのデビューイベントの舞台も一緒に踏んでいる苦労人(メンバーではない)。きっぷの良さそうな役などハマりそうなのでもっと芝居を見てみたい。

 佐々木が亡くなったことで、かつての代表作(TBS『ふぞろいの林檎たち』『花より男子』、NHK『ゲゲゲの女房』『篤姫』など)がいろいろ流れる中で、この『さすらい温泉』も佐々木のギリギリまで灯された役者人生の最後を飾るのに見劣りしないものだったと思う。

 それはベテランながら深夜ドラマだろうと手を抜かない佐々木の姿勢も大きいし、ドラマを丁寧に作っている『さすらい温泉』制作側の姿勢も大きいだろう。

 paraviでも見られるが、ぜひもう一度、地上波で再放送して、佐々木の最期の仕事を、まだ見ていない人にも見せてあげてほしい。

 ご冥福をお祈りします。
(文=柿田太郎)

「肩書」を外した時、本当の気持ちが見えてくる――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第6話

(前回までのレビューはこちらから) 

 基本的に、占いや呪いのたぐいを信じてはいない。元々疑り深い性格もあって、論理的に説明できないものを信じることができないのだ。ただ、こういった“あるかどうかわからないもの”が、ドラマのスパイスとして有効に機能することはよくわかっている。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第6話では、そんな占いや呪いが、効果的なアイテムとして使われていた。

 酔っ払って山下(中村倫也)を家に泊めてしまった順子(深田恭子)。さらに、二人で家から出てきたところを、教え子の匡平(横浜流星)に見られてしまい、パニックに陥る。

 悩んだ順子は、友人の美和(安達祐実)に相談するが、「一番大事なのは、匡平を東大に合格させること」だと諭されるだけ。ようやく気づいた匡平の自分に対する気持ちについても、「勉強のしすぎでおかしくなったのでは?」と、無理やり自分自身を納得させるのだった。

 順子に思いを寄せる従兄弟の雅志(永山絢斗)は、出張に行く途中で匡平を見かけ、声をかける。そこで匡平は、順子への思いを話すのだ。

「好きで好きで、嫌いになりそうなくらい好き」

 順子の存在が、自分の中で大きくなりすぎて、重荷にすら感じてしまっているのかもしれない。情熱的で、どこか不器用な言葉を聞いて、雅志はどう思っただろう。匡平よりも、ずっと長い時間、順子のことを想い続けてきた。しかし、ここまで強く気持ちをぶつけることができただろうか。そんなことを感じたかもしれない。

 そんな頃、美和は、店のキャバ嬢・もんちゃん(真凛)から、占いによると、今年は運命の出会いがあること、ラッキーアイテムはエメラルドグリーンのスニーカーであることを知らされる。これを聞いて、出会いを求めた美和は、店の客でもある雅志に電話をし、同窓会を開くようにけしかける。その席で、順子に雅志の魅力を認識させるとともに、美和の婚活にも役立てようというのだ。

 まずは、「占い」が物語の鍵として登場。そして「呪い」についても話が進む。

 いつものお好み焼き屋で飲んでいる順子と美和は、同窓会の話になる。アラサーで、結婚や仕事で一番差がついている時期に同窓会を開くなんてと、順子は「新しい靴を履いた日に、必ず土砂降りになる呪い」「割り箸が必ず変に割れる呪い」「毎回注文間違えられる呪い」などと、幹事に地味にダメージのある呪いをかけまくる。後々、これが大きな伏線になる。

 塾では、匡平がメキメキと力をつけていた。元々文系であった順子は、数学で自分の力不足を感じ焦り始めていた。

「合格させたい」そう言う順子に、塾長(生瀬勝久)は言う。

「普通ですね」

 塾長はこれまで、「普通では受からない」と言い続けてきた。ここで考えが変わったのかもしれない。

 同窓会を前に、雅志は同僚の西大井(浜中文一)から、「学歴と、商社マンという肩書に釣られた女子がやってくるのはむしろ短所だ」と言われる。さらに西大井は、「学歴も肩書も無い、別の自分になったら、本当の出会いがあるかもしれないと思う」と言うのだ。

 同窓会当日、会場は久しぶりの再会を懐かしむ人たちで溢れていた。そして予想通り、ハイスペックな雅志は女性たちからモテモテだった。一方、順子は匡平との授業が延びてしまい、会場に行くことができない。連絡を受け、雅志は落ち込む。

 うまく同窓生になりすまして会場に紛れ込んだ美和は、二次会に向かう途中、雨宿りをしていたときに新しい靴に水をかけられる。ここで、順子の呪いがきいてくる。

 同じく雨宿りをしにやってきたのは、エメラルドグリーンのスニーカーを履いた西大井だった。本当の出会いを求めていた西大井は、自分を「売れないダンサー」と紹介する。肩書を外し、「別の自分」になって、美和にアプローチしようと考えたのだ。

 その頃、バーで二人になった雅志と山下。山下から、順子とのことを聞かされた雅志は思い余って、山下のことを殴ってしまう。

 その後、一人でラーメン屋に入った雅志だったが、ここで、割り箸がうまく割れない呪いと、注文が間違われてしまう呪いに襲われる。

 翌日、学校で匡平と向き合った山下は、「順子のことは遊びじゃない」と気持ちを宣言する。それに対し匡平は、「取られるつもりはない。ひっこんでろ。俺のだ」と言い切るのだ。

 雅志は、順子の職場を訪ね、山下とのことを問いただす。順子は否定しながら、「雅志にだけは知られたくなかった」と話す。それは、「よりによって身内に言うなんて」という意味だったのだが、雅志は、自分だけには知られたくなかった、自分に気があるのではないかと勘違いをしてしまう。順子がかけたいろいろな呪いにかかっているようであるが、雅志が本当にかかっているのは、「どんなに思いを伝えても、相手に全く伝わらない」という呪いなのかもしれない。

 その頃、順子は、匡平を東大に合格させるため、他の塾に行かせることを考えていた。「どんな手を使ってでも、確実に東大に合格させる」そう言う順子に、匡平は答える。

「先生とか、年とか、肩書とか関係なく、ただ普通に会いたかった」

 肩書は大事だ。その人が、才能を活かしたり、努力をしたりして手に入れたひとつの証しだから。ただ、それだけで、人を見定めたり、恋愛対象にするかどうかを決めたりするのは、少し残念な気がする。匡平が言うように、逆に肩書があるために、自由を奪われることもあるからだ。

 とかく大人になると、利害や損得だけでものごとを考えてしまいがちだ。しかし、「肩書なんかどうでもいい」と言う匡平の言葉を聞いていると、論理的に考えるよりも、気持ちが先走っていた頃のことを、思い出したりもする。

 物語も中盤となり、今まで、頼りなさや鈍感さばかりが目立っていた順子も、凛々しい表情を多く見せるようになった。雅志、山下、匡平、三人の男性と向き合い、それぞれの気持ちを受け止める。実際の深田恭子もさぞやと思わせる芯の強さが、そこにはある。

 ラストでは、新たな塾講師、百田(高梨臨)が登場した。これまで、男性三人の戦いを見てきた中、今度は新たな女の戦いが始まるのかもしれない。高校3年の秋、受験まではあと少しだ。

(文=プレヤード)

日本版『24』主演に唐沢寿明内定も不安要素だらけ? スリルの足りない作品になってしまう……

 世界的ヒットドラマ『24 -TWENTY FOUR-』の日本版リメイクとなる『24 Japan』。テレビ朝日の開局60周年記念ドラマとして2020年に放送される同作品の主人公に唐沢寿明が内定したと「女性セブン」(小学館)が報じた。

 オリジナル版ではキーファー・サザーランドが演じるテロ対策ユニット(CTU)のジャック・バウアー捜査官が主人公だったが、日本版でも同様にテロに立ち向かう捜査官が主人公になるとのこと。

「唐沢さんは特撮のスーツアクターをやっていた経験もあり、アクションは得意なので、納得の人選なのではないでしょうか」(テレビ局関係者)

 今回の報道の前には、主演の候補として堺雅人、岡田准一、小栗旬、阿部寛などの名前も挙がっていた。

「まだ正式発表ということではありませんが、テレ朝としては真偽不明な情報がいろいろ出回るよりも、確定的な情報が出回ってくれたほうがありがたいでしょうね。情報が錯綜すれば、スポンサーも不安になるでしょうし、いろいろと面倒くさいことに発展する可能性も出てきてしまう。『主演は唐沢で内定』という情報があれば、各方面も安心するはず。そういう意味では、もしかしたらテレ朝方面からの情報リークがあったのかもしれません」(同)

 とはいえ、正式発表ではないため、今後の動きは流動的だ。

「正式発表前に情報が出たことが原因となって、降板してしまうケースは過去にもあります。テレ朝も、唐沢さんがダメだった場合の別プランは、当然のごとく用意しているでしょう」(同)

 一方で、唐沢が『24』の主演をするということに対する違和感も聞こえてくる。

「キーファー・サザーランドが『24』の第1シーズンでジャック・バウアーを演じたのは、30代半ばの頃ですが、今の唐沢さんは55歳。現場でバリバリに活動する捜査員としては年齢が高すぎます。ドラマの設定上、今の唐沢さんが主演を張るというのは、ちょっと無理があるような気がします」(エンタメ誌ライター)

 また、唐沢のクリーンなイメージが、役の邪魔するのではないかとの指摘も。

「ジャック・バウアーは、任務遂行のためには殺人をもいとわない役柄。ドラマの主人公としては、少々ダーティーなキャラクターです。しかし、唐沢さんは善人の役を演じることが多く、血まみれになりながら拳銃をぶっ放すようなイメージはまったくない。唐沢さんのキャラクターに作品が引っ張られてしまうと、スリルが足りない作品になってしまうのではないかとの懸念もあります」(同)

 さらに、唐沢とテレビ朝日との関係性についても不安があるようだ。

「唐沢さんは、これまであまりテレ朝の作品に出ていないんです。全24話の大作ドラマの主演なのに、慣れていないテレ朝の仕事となると、ちょっと現場が心配ですよね……」(同)

 なんだか不安ばかりに感じられる唐沢主演の日本版『24』。こんな状態では、本当に主演交代で別プランの発動もありえそうだ。

フジ“月9”せっかく回復傾向だったのに……4月期、窪田正孝&本田翼コンビで好調ストップか?

 一時はドン底に落ち、枠自体の廃止すら取りざたされたフジテレビの看板ドラマ枠“月9”。昨年7月期以降、回復傾向で、いいムードになってきたが、それも4月期の『ラジエーションハウス』で好調ぶりにストップがかかりそうな雲行きになってきた。

 かつては、我が世の春を謳歌した“月9”だが、2016年1月期『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(有村架純、高良健吾主演)が平均9.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で1ケタに転落すると、以後、長い低迷が続いた。17年7月期『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd season』(山下智久主演)こそ、人気ドラマシリーズの第3弾とあって、14.8%の高視聴率をマークしたが、よかったのはこのドラマだけで、同10月期から再び1ケタ台に逆戻りした。

 流れが変わったのは、昨年7月期『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(沢村一樹主演)から。同ドラマは上戸彩が主演し、好評だったドラマの第3シリーズ。同作で、上戸は脇役に回ったが、過去シリーズの人気と沢村の好演で10.6%を獲得し、1年ぶりに2ケタを記録。

 続く、同10月期の『SUITS/スーツ』(織田裕二主演)も10.8%で、2クール連続で2ケタに乗せた。そして、前評判は決して高くなかった今クールの『トレース~科捜研の男~』(関ジャニ∞・錦戸亮主演)も、ここまでの平均視聴率で2ケタをキープしており、いい流れが戻ってきた。それだけに、4月期は非常に重要なクールとなりそうだが、不安が尽きない。同期にオンエアされる『ラジエーションハウス』は、主演・窪田正孝、ヒロイン・本田翼による若手コンビに託される。

 原作は、「グランドジャンプ」(集英社)で連載中の同名漫画(原作・横幕智裕、作画・モリタイシ)。脚本は、昨年7月期に『グッド・ドクター』(山崎賢人主演/フジテレビ系)をヒットに導いた大北はるか氏が担当する。

 窪田が演じるのは、凄腕の放射線技師・五十嵐唯織役で、病の写真家として、患者の“視えない病”を発見し、命を救っていく物語。本田は、窪田が勤務する甘春総合病院の放射線科医・甘春杏役。

 民放ゴールデン帯の連ドラで窪田が主演するのは、17年7月期『僕たちがやりました』(同)以来となるが、同作は平均6.0%と惨敗を喫している。ただ、その演技力は高く評価されており、昨年7月期に深夜帯で主演した『ヒモメン』(テレビ朝日系)でもインパクトを残した。

「窪田の演技力はともかく、ゴールデン帯での主演には、まだ不安がよぎります。さらに、サポート役が“棒読み”で定評のある本田では、役不足感が否めません。『絶対零度』でもヒロインを務めた本田ですが、これはキャリアある沢村に救われた感があり、視聴者の本田評はかなり手厳しいものがありました。『ラジエーションハウス』でも、窪田の足を引っ張りかねません。それに、本田が医者役というのは、なんともリアリティがないですね。視聴者が感情移入できるかどうか甚だ疑問です」(テレビ関係者)

 近年の“月9”では、若手コンビで高視聴率が取れたことがないだけに、『ラジエーションハウス』も、1ケタ台に終わってしまう可能性がありそう。なんとか、下馬評の低さを覆して、高視聴率を上げられれば、「“月9”は復活した!」といってもよさそうだが……。
(文=田中七男)

フジ“月9”せっかく回復傾向だったのに……4月期、窪田正孝&本田翼コンビで好調ストップか?

 一時はドン底に落ち、枠自体の廃止すら取りざたされたフジテレビの看板ドラマ枠“月9”。昨年7月期以降、回復傾向で、いいムードになってきたが、それも4月期の『ラジエーションハウス』で好調ぶりにストップがかかりそうな雲行きになってきた。

 かつては、我が世の春を謳歌した“月9”だが、2016年1月期『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(有村架純、高良健吾主演)が平均9.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で1ケタに転落すると、以後、長い低迷が続いた。17年7月期『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd season』(山下智久主演)こそ、人気ドラマシリーズの第3弾とあって、14.8%の高視聴率をマークしたが、よかったのはこのドラマだけで、同10月期から再び1ケタ台に逆戻りした。

 流れが変わったのは、昨年7月期『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(沢村一樹主演)から。同ドラマは上戸彩が主演し、好評だったドラマの第3シリーズ。同作で、上戸は脇役に回ったが、過去シリーズの人気と沢村の好演で10.6%を獲得し、1年ぶりに2ケタを記録。

 続く、同10月期の『SUITS/スーツ』(織田裕二主演)も10.8%で、2クール連続で2ケタに乗せた。そして、前評判は決して高くなかった今クールの『トレース~科捜研の男~』(関ジャニ∞・錦戸亮主演)も、ここまでの平均視聴率で2ケタをキープしており、いい流れが戻ってきた。それだけに、4月期は非常に重要なクールとなりそうだが、不安が尽きない。同期にオンエアされる『ラジエーションハウス』は、主演・窪田正孝、ヒロイン・本田翼による若手コンビに託される。

 原作は、「グランドジャンプ」(集英社)で連載中の同名漫画(原作・横幕智裕、作画・モリタイシ)。脚本は、昨年7月期に『グッド・ドクター』(山崎賢人主演/フジテレビ系)をヒットに導いた大北はるか氏が担当する。

 窪田が演じるのは、凄腕の放射線技師・五十嵐唯織役で、病の写真家として、患者の“視えない病”を発見し、命を救っていく物語。本田は、窪田が勤務する甘春総合病院の放射線科医・甘春杏役。

 民放ゴールデン帯の連ドラで窪田が主演するのは、17年7月期『僕たちがやりました』(同)以来となるが、同作は平均6.0%と惨敗を喫している。ただ、その演技力は高く評価されており、昨年7月期に深夜帯で主演した『ヒモメン』(テレビ朝日系)でもインパクトを残した。

「窪田の演技力はともかく、ゴールデン帯での主演には、まだ不安がよぎります。さらに、サポート役が“棒読み”で定評のある本田では、役不足感が否めません。『絶対零度』でもヒロインを務めた本田ですが、これはキャリアある沢村に救われた感があり、視聴者の本田評はかなり手厳しいものがありました。『ラジエーションハウス』でも、窪田の足を引っ張りかねません。それに、本田が医者役というのは、なんともリアリティがないですね。視聴者が感情移入できるかどうか甚だ疑問です」(テレビ関係者)

 近年の“月9”では、若手コンビで高視聴率が取れたことがないだけに、『ラジエーションハウス』も、1ケタ台に終わってしまう可能性がありそう。なんとか、下馬評の低さを覆して、高視聴率を上げられれば、「“月9”は復活した!」といってもよさそうだが……。
(文=田中七男)