今、決戦の時が始まる――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第9話

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 多くのドラマは、登場人物の誰に感情移入するかで、見え方が違ってくる。

 例えば、恋愛ドラマで、出てくる男優の仕草に心を奪われたとすれば、それは相手役の女性に感情移入していることになる。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)は、そのあたりの計算がちゃんとできている。匡平(横浜流星)を見てキュンキュンしている女性は、知らず知らずのうちに、順子(深田恭子)の気持ちを体感しているのだ。

 一方、男性視点で考えると、その感覚は3つに分かれる。順子の可愛らしさやセクシーさに心惑わされる点では共通していても、匡平、雅志(永山絢斗)、山下(中村倫也)、それぞれの立場で違った世界が見えてくるからだ。第9話では、特に、従兄弟である雅志の気持ちが強く伝わってきた。

 父親のスキャンダルから、一時は東大受験を諦めようとしていた匡平。担任の山下の働きで問題は収まったが、勉強の予定は遅れてしまっていた。順子はその遅れを取り戻すため、匡平、美香(吉川愛)、牧瀬(高梨臨)を自宅に連れていき、追い込みをかけていた。そこへ、意を決した表情で雅志がやってくる。

 匡平らが帰った後、ベランダで2人きりになる順子と雅志。そこで、雅志は順子にキスをする。実は雅志は、会社からロシアへの転勤を打診されており、結婚に向けて思い切った行動に出たのだ。キスをされて、パニックになる順子。雅志のことは、どうしても「従兄弟」としてしか見ることができずにいたのだ。

 思えばこのドラマ、男性たちが、“今までの関係をどう打ち破っていくか”を競っているような視点でも見ることができる。従兄弟同士、教師と生徒、昔振った相手と振られた男。それぞれの関係性から、一歩足を踏み出し、「恋愛関係」に持っていくまでの競争のようでもある。

 実は、この「最初に出会った関係から一歩踏み出す」というのは意外に難しいものだ。お見合いや合コンで出会ったのならば、初めから恋愛・結婚という関係が見えているが、幼馴染や友達としての関係が長かった場合などは、そこから関係を深めていくためには、何かしらのきっかけが必要である。そこには、常に、「うまくいかなかったら、それまでの関係まで崩れてしまう」というリスクがつきまとう。

 雅志が20年も気持ちを伝えられずにいたのは、順子との良好な関係が壊れてしまうことへの恐怖心もあったことだろう。

 12月になり、順子と雅志は、親戚の結婚式に出席する。その後の集まりの席で、「付き合っている人はいないのか?」「誰かいい人を紹介して」などと、親戚中から集中攻撃をされてしまう。

 私も経験があるが、この“いい年をした独身者が、親戚の集まりに行く”というのは、本当につらいものだ。特に、同世代の親戚が、皆家庭を持ち、幸せそうにしていたりすると、実にいたたまれない気持ちになる。「結婚しない生き方」も認められる社会になってはいるが、やはり、結婚して子どもを作ってという幸せに憧れたりもするのだ。

 集まりの後、部屋で2人になった順子に、雅志は改めて自分の気持ちを告白し、プロポーズをする。何かを答えようとする順子に、雅志は言う。

「すぐ答えなくていい。少しは俺で悩め」

 この言葉の本意はどこにあるだろう? 自分のことで悩んで欲しいともとれるし、簡単に断りの返事をされることを恐れたとも思える。

 雅志に告白されたことを知った、友人の美和(安達祐実)は、順子の家に駆けつけ、悩む彼女に言う。「相手は捨て身で向かってきた。ちゃんと気持ちに答えるべき」。

 年が明け、順子と匡平は初詣に行く。その神社は、初めて順子が匡平に勉強を教えた場所でもあった。その頃を思い、そして今の自分の状況も考えて、順子は「何を選ぶかで人生は変わる」としみじみ思うのだった。

 ここで、匡平と山下が、順子について話すシーンがある。「好きな女と毎日一緒にして、よく押し倒さずにいられるな」そう言う山下に、匡平は答える。「めちゃくちゃそういう目で見てる。けど、我慢してる」。この気持が見る側に共感されるのは、深田恭子がただキレイなだけではなく、どこかセクシーで、女性的な魅力を放っているからだ。つくづく、この役柄は彼女でなければ成立しなかったと感じさせる。

 センター試験前の最後の授業も終わり、いよいよ決戦の日がやってくる。体調も、気持ちも、万全のままその時を迎えようとしていた匡平であったが、ふとしたことから、順子と雅志が結婚するという話を聞き、動揺する。

 その頃、順子は雅志と一緒にいた。プロポーズの返事をするためだ。「雅志を結婚相手として見たことは一度もない。でも、ちゃんと考えてみるのでもう少し時間がほしい」そう言う順子に対し、雅志は、「順子が俺のこと考えてくれる時間が一番嬉しい」と答えるのだった。これこそが、雅志の気持ちだろう。好きな女性の心の中に長くいる。それはとても幸せなことなのだ。

 順子の結婚の話を聞き、精神的にも弱った匡平は、風邪をひいてしまう。迎えた1月19日、センター試験1日目。体調が万全ではない中、匡平は試験に臨む。自己採点の結果は、足切りにあうかどうか微妙なところ。それでも、二次試験に向け勉強を続けなければならない。

 そんな中、2月3日を迎える。この日は匡平の18歳の誕生日。順子たちは、匡平の家に行き、サプライズでお祝いをする。そして2人きりになった時、匡平は、誕生日を覚えていてくれたことに感謝をする。そして順子を抱きしめ、「好きだ」という気持を伝える。順子は自然に匡平の背中を抱きしめるのだった。

 一次試験の結果発表で、匡平は無事通過。そしていよいよ二次試験の日、待ち合わせの場所に順子は現れなかった。実は、順子はバイクにはねられ、病院に運ばれていたのだ。知らせを受けた匡平は、病院に行くか、試験を受けるか、迷う。

 しかし、匡平の姿は試験会場にあった。順子の思いも背負って、一緒に合格する。その気持を優先した。最後の戦いが始まったのだ。

 ラスト目前で主要キャストが事故に遭ったり、病気で倒れたりするのは、ドラマでよくある展開ではある。しかし、その試練を乗り越えてなお、強い結びつきを感じてしまうようなラストに、期待もしてしまう。

 今までの展開を見ると、順子の気持ちは匡平に傾いているように見える。しかし、私が一番感情移入できるのは雅志なのである。雅志のようにいい大学を出ているわけでもないし、エリート社員でもないが、順子に対する愚直なまでの思いと、それをうまく伝えられない不器用さにシンパシーを感じてしまうのだ。

 順子の人生は一つしかない。雅志と匡平、どちらかを選ばなければいけないのだ。それはわかっていても、できることなら、主要キャストみんなに幸せになってもらいたい。そんな祈りを持って、最終回を待ちたいと思う。

(文=プレヤード)

遠藤憲一の“大人げなさ”を堪能『さすらい温泉』卓球シーンのクオリティにニヤける

 遠藤憲一が俳優を引退して温泉で派遣の仲居をやっている。そんな設定のフェイクドキュメンタリー風人情ドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)。仲居の時は「中井田健一」と名乗り、なぜか遠藤だと気づかれることのない「健さん」が今回(第8話)も、見事に恋に落ちつつもシリーズ随一の大人げなさを見せる。振り返ります。

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「芦花公園」の徳富蘆花の常宿

 今回健さんが派遣されたのは、群馬は伊香保温泉の老舗旅館・千明仁泉亭。「明治の文豪・徳富蘆花が定宿にしていたことで知られている」と紹介されていたが、亡くなったのもこの宿の離れで、その木造の建物は、同じく伊香保の徳富蘆花記念文学館に移築されている。

 ちなみに京王線の芦花公園駅はもともと上高井戸駅で、近くに徳富蘆花が住んでいた蘆花恒春園があるので「芦花公園駅」に改名された。京王線ユーザーは特に気になる宿のはず。

珍しく若女将から逃げまくる健さん

 若女将(岩本和子)に挨拶するなり「健さんのような人を探していたのよ(ハート)」とモロに好意を寄せられる健さん。

 婚活中だということで積極的なのだが、グイグイくる女性が苦手なのか健さんは、珍しく逃げの一手。

 女将役の岩本和子は、第3回国民的美魔女コンテストファイナリストだったり、「週刊ポスト」(徳間書店)にグラビアが乗るたびに問い合わせが殺到(編集部談)したりするくらいらしいのだが、健さんの琴線には響かないようで、その「押し」の強さが面白くもあり、その報われなさぶりがどこか物悲しかったりもする。

 まあ、9割9分面白いのだが。

デリカシーの無い健さん

 今回健さんが恋に落ちたのは、宿泊客の増本若奈(松本若菜)。子連れなのに、お構いなしに恋に落ちるのは第1話(ともさかりえの回)から変わりない。

 むしろ子ども(達也=中野龍)の心をつかむことで母親につけ入ろうとして、子どもを有効に利用する節がある。

 温泉に浸かりながら若菜の入浴シーンを想像し、「やっぱり父親が必要だよな」とニヤけるたくましさも相変わらず。

「お父さんてのは家で留守番してるの?」

「今はいない、離婚した」

「その辺の話もう少し詳しく聞かせてくれないかな?」

 思春期で反抗期っぽい少年とのファーストコンタクトから、自分の目的のために引くくらいデリカシーのないアプローチを見せる健さん。

 さらに温泉に一緒に入ろうと誘うも強烈に拒否される。母親に言われても温泉には絶対に入らないようで、しかしながら、それには意外な理由があった。

 失踪しかけるも見つかり、慰める健さんを邪険にする達也。

「そんなでかい口を叩くのは俺を倒してからにしろ」

 まるで同い年の子どものように真正面からぶつかっていく、ただ母親のことが好きなだけの部外者・健さん。

 なぜ倒さないといけないのかはわかないが、口車に乗せられ、健さんに向かっていく相当年下の達也。

 何度か大人げなく子どもを投げ飛ばしたカットから、いきなり2人で並んで神社の階段上に腰掛け、ジュース(湯上り堂のサイダー?)を飲んでいるシーンに。

 無駄な説明をせず、見事に打ち解けた空気を表現した気持ちのいいシーン。

 汚れた身体を洗うため温泉に入りかけた達也の脚の痣を見て、温泉に入りたがらない理由も、卓球を辞めようしてる理由も健さんは理解する。

 恒例のなんでも出てくる四次元トランクから出てきたのは、卓球のユニフォーム。

 前回(第7話)、板前に扮した時も包丁でそうしていたが、今回も2人の前にユニフォームを着用して登場したとき、ずっとラケットを斜めに構えたまましばらく会話していた。

 しかも宴会場の畳の上で卓球のシューズを履いたまま。この猪突猛進ぶりがいい。

 ちなみに、四次元トランクにはビニール製のおもちゃの蛇も入ってました。

それでもデリカシーのない健さん

 達也は卓球のユニフォームを着ていると、どうしても脚の痣を見られてしまい、それを同級生がやんや言ったらしい。子どもは純粋なほど逆に残酷だ。

「なんできれいな身体に産んでくれなかったんだよ!」

 切実な達也の叫びが、今度は若菜を傷つける。

 母親にこの言葉はきつい。しかし、狭い世界で八方塞がりの達也は、それほど追い込まれていたのだろう。

「いいか、勝負ってのはな、痣があるとかないとか関係ないんだよ! 勝つか負けるかだ!」

 いまいちピンと来ない名言らしき迷言を、もっともっぽく叫ぶ健さん。怒っていることは間違いない。

 そして2人の卓球勝負が始まるのだが、スマッシュを決めるなり大声で「チョレーーーイ!」と叫び、拳を突き上げる健さん。

 どこまでも大人げない。最高。今時、なかなか恥ずかしくて言えないワードなのに。

 しかしここまでくるともはや気持ちいい。

 試合は結局、僅差で達也が勝利。

 息を切らしながら、「強いなお前。その才能をお母さんからもらったんだ。感謝しろ?」と言い残し、2人の前から消える健さん。

 親子は会話するかのように卓球をする。

「母と子の静かなラリーはお互いの心を確かめ合っているようだ……」と心の声で良いことを言いつつ、「俺も覚悟ができた……達也くんの父親になる覚悟が……!」と、支離滅裂でサイコな独り言で笑わせてくれる健さん。

 その後に、若菜が来月再婚するとの報告を聞き、絶妙な顔でフリーズしてしまうのもお馴染みだがきれいなオチだ。本当にいい顔をしていた。

 軽く「バイバーイ」と吐き捨てるような挨拶をしていなくなる達也もいいが、フリーズが治らない健さんに素早く寄り添い「いいわね再婚……私たちも……(ハート)」と持ちかけるたくましき若女将も見事。

 今回お色気要因として配置されたはずの岩本と黒川だが、健さんを狙う女将のめげない獣ぶりや、それを面白がって健さんに知らせる仲居・なお(黒川サリナ)のお節介ぶりが大変よかった。どちらも芸達者だ。

 今回さらに笑ったのは、幼い頃から卓球に勤しんできたはずの達也が思いっきり卓球が下手くそだったこと。

 健さんのことが言えないくらい大人げなくて申し訳ないが、あからさまにピンポンレベルのラケットさばきで、逆に笑ってしまった。

 次回は修善寺温泉。

 予告では全裸の女体に「金色夜叉」と書いてある謎のシーンが。これだけで俄然楽しみになりました。
(文=柿田太郎)

『後妻業』第7話 木村佳乃も篠田麻里子も陥落……やっぱり高橋克典のフェロモンが無敵説

『後妻業』第7話 木村佳乃も篠田麻里子も陥落……やっぱり高橋克典のフェロモンが無敵説の画像1

『後妻業』(フジテレビ系)第7話「資産家老人殺人の驚きの真相発覚!不倫妻の決意とすれ違いの夜」

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「死にたい」は老人たちのトーク術にすぎなかったのか!?

 前回のラスト、柏木亨(高橋克典)に対して、

「小夜子ではなく、私と手を組みませんか?」

 なんて、トンデモない提案をしていた中瀬朋美(木村多江)。

 ひとまず柏木からたしなめられ、提案はうやむやになっていたが、武内小夜子(木村佳乃)&柏木の後妻業チームと、朋美&本多芳則(伊原剛志)の不倫カップルチームのバトルは激化していく。

 小夜子が「後妻業」のターゲットとして狙っていた笹島雅樹(麿赤兒)が練炭自殺で亡くなったということで、「絶対に小夜子が殺ったはず」と確信した朋美たちは、笹島邸に出入りしていた証拠をマスコミにばらまくと小夜子を脅す。

 逆に後妻業チームも朋美を呼び出して、笹島からはまだ遺言公正証書にサインをもらっていないと明かし、潔白を主張。

「笹島のじいさんは、自殺やったんやないかな」

 長年医師として活動してきた笹島は、助けられなかった患者たちへの自責の念から「早う死んでしまいたいんですわ」と語っていたのだ。

 小夜子を疑う朋美、自殺を確信する小夜子。しかし実際はどちらもハズレ。通いの家政婦による怨恨殺人だったということが判明する。

 朋美の父親も含め、「死にたい」と言っているさびしい老人は殺してあげるのがその人のためだと考えてきた小夜子。

 しかし、老人たちの語る「死にたい」は、若い女の気を引くための話題のひとつにすぎず、自殺をするほど本気で言っているわけではなかったのでは……。そう思わされる事件だった。

 笹島の件では振り上げた拳のやり場がなくなってしまった朋美。弱り目にたたり目で、浮気していた事実婚の夫・司郎からも別れを切り出されてしまう。

 事実婚だったとしても浮気に対する慰謝料は発生するはずだし、いろいろともめる方法はあるはずだが、朋美はすんなり受け入れてしまった。

 自分の不妊が原因でふたりの関係がギクシャクし、挙げ句、夫は若い女に走ってしまったという精神的ダメージに耐えるので精一杯といったところだろうか。

 これだけつらいことがあったら仕方がないかな、とも思わなくもないが、それにしてもちょと朋美はユルイ。

 夫が去った直後、何だかんだでヤッてしまった本多のところにメール。

「お酒、飲まない?」

 しかし本多から「今は、二人で会うのはまずい」という返信が来ると(これはこれで、一発ヤッたら気が済んじゃった感があるが)仕方なくひとりでホテルのバーに飲みに行く。

「東京リッチホテルのバーに行って、ひとりで飲むね」

 み……未練がましいメール!

 ところが、そこで柏木と遭遇すると、「付き合おうか?」と言われてベロ酔い。そのままホテルの部屋にお持ち帰りされてしまったのだ。

 これから裁判などで争うことになるかもしれない相手にこうもカンタンに身体を預けてしまうとは、朋美、ちょっとユルイにもほどがないだろうか。

 小夜子に犯罪行為の責任を押しつけて私と組もうと言っていただけに、柏木に対する怨恨は薄いのか?

「後妻業」を行っている小夜子&柏木のバディが憎いというよりは、やはり小夜子単体への対抗意識の方が強いということだろう。

 その小夜子の方も、「後妻業」の新たなターゲットとしてアプローチをかけている舟山(中条きよし)と食事に。

 イケメンだし紳士だし金も持っているし……。しかし冷静に見ると結婚詐欺師感がハンパない。

 それでも小夜子はイケメン・オーラにやられてメロメロになってしまっているようだ。小夜子は小夜子で、騙される側になるとこうもチョロいのか。

 小夜子も朋美も、心に傷を抱えているさびしい女同士。心にポッカリ空いた穴を攻められると弱そうだ。

 本多も、家族に出て行かれてしまったという傷がある。こう考えると、なーんにもダメージを受けていないのは柏木だけだ。

 それでいながら、特にあくどい手を使うまでもなく、おのれのフェロモンのみで篠田麻里子は抱くわ、木村多江は抱くわ、さらに小夜子からも惚れられていそうだし……。

 うーん、やっぱり高橋克典が最強だ。

 ちなみにGYAO!で配信されているスピンオフ「チェインストーリー」では、繭美(篠田麻里子)以外のホステスともヤッている。おお……。

 金持ちのジジイを狙う「後妻業」じゃなくて、柏木自身が金持ちのババアを狙った「後夫業」の方が手っ取り早かったんじゃないだろうか!?
(文とイラスト=北村ヂン)

常盤貴子『グッドワイフ』黒幕がついに判明で事件あっさり解決「引っ張ったのにこのオチ?」とネット激怒!

(これまでのレビューはこちらから

 常盤貴子主演ドラマ『グッドワイフ』(TBS系)の第9話が3月10日に放送され、平均視聴率9.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

 今回、先延ばしにされた(前回のレビューで判明詐欺だといいました)裏切り者がやっと判明したということで、1.0ポイントも上昇! 判明詐欺した甲斐がありましたね~(笑)。

 ではでは、今週もあらすじから振り返りましょう。

■壮一郎の濡れ衣が晴れるも、恩を仇で返す展開に!

 黒幕が佐々木(滝籐賢一)だったことが判明。佐々木は南原官房副長官(三遊亭円楽)との癒着を告白するも、壮一郎の目の前で自殺してしまう。だが、そのおかげで無事、壮一郎の無実が証明。壮一郎は検察庁に戻り、異例の出世で検事正の座を掴む。

 その一方、杏子の事務所に脇坂(吉田鋼太郎)が現れ、円香みちる(水原希子)と壮一郎が実は関係を持っていたこと、そのせいで円香が検察庁をやめた事実を知ってしまう。杏子はショックを受け、怒り爆発。壮一郎を自宅から追い出した。そして円香からも告白されさらに謝罪されるも、受け入れられない杏子は円香と仲違いする。そんな周りからの裏切りにショックを隠せずにいる杏子に多田は直接、自分の本心を伝えるのだった。

 そんな中、検察に戻った壮一郎は多田(小泉孝太郎)に贈賄の疑いを掛け、多田は逮捕されてしまう事態に追い込まれてしまう、というのが9話のストーリーでした。

■黒幕はわかったけど……「もう終わりかよ!?」

 今回、冒頭でやっと黒幕が佐々木だということが判明し、視聴者のモヤモヤがついに解決!残り2話(今回を含む)というだけあって、あとは壮一郎の裁判で杏子が弁護し、晴れて無罪となるという終わりを予測した視聴者が多くいたんです。

 ですが、実際に放送されたのは、佐々木が飛び降り自殺し、南原が逮捕されたというニュースが流れ、壮一郎は無罪放免となったというのを約5分で、というもの。

 ……ここまで黒幕問題で、引っ張るだけ引っ張っておいて、あっさりな終わり。いやいや、あまりにも酷すぎます。「おい、この壮一郎の汚職事件は1話からやってるし、杏子が弁護するシーンはないし!」と突っ込んじゃいましたよ! なんでしょうか、このモヤモヤ感は(笑)。ネットもこのオチに激怒。「なんだよ! ここまで引っ張っておいて!」「円楽さん、最後ニュースで写真だけの出演って……」「あっさりすぎる!」「急に原作だったらもう少し深くなかったっけ?」との声が続々。みんな戸惑いとガッカリが同時に押し寄せてきたようですね。

 こんな展開になったのも、原因は原作方向に戻したことにあるかと。大体、タイトルが『グッドワイフ』というだけあって、裁判・弁護ドラマではなく冷え切った夫婦の物語ですからね。戻したほうがいいと気づいたんでしょう。ですがね、解きすでに遅し。残り、今回を含めてあと2話ですからね。ここで大きくかじを切られても視聴者は「え~!?」となってしまうに決まってる。ちゃんと章立てしてやったほうが良かったかなと思います。

 本当、前回まで面白かったんですけどね。この急展開にさらっと終了で、思いっきりわけわからん展開になってしまった感。残念としかいいようがありません。

■浮気に気付いた常盤貴子の演技が怖い、もしかして私生活でも!?

 円香と壮一郎の浮気を脇坂から聞いた杏子は、自宅に戻るも、頭の中が混乱。ふいに使用済みのマグカップを洗おうとしたんですが、急に手を止め、笑い始める。そして、夫の衣類から仕事道具まで全部を箱詰めして、追い出すんですが……、マジでこのときの常盤の演技が怖い。まあ、わかりますよ。遠山とはなにもなく、浮気してなかったわ~よかった~と思ったら、自分の同僚で友達でもある円香と関係していたなんて、正直狂っちゃいますよね。

 でもね、こういう時ってそんな表情するんだね~って思っちゃう顔を見せるんです。あれは、過去に体験しているひとにしかできない表情!もしかしたら、私生活の方でも!? あっ、夫の長塚圭史は昔、真木よう子と浮気していたところを撮られたことありましたよね(笑)。もしかしたら、そのときもこんな顔になったのかも!? 

 あまり詮索しないでおきますが、このときの演技は最高でした(笑)。

■唐沢に主人公がシフト。常盤ないがしろに!?

 今回の最後に多田が逮捕されてしまい、ついに壮一郎と多田の直接対決となったのですが……。この展開は「杏子いらないでしょ?」なんて思ったんですよね。だって、壮一郎と多田さえいれば、話は進むし。『グッドワイフ』ってタイトルが『バッドダーリン』になっちう(笑)。

 まあ、予測ですが、多田の弁護に杏子が着くというストーリーになるのでしょう。それだったら、許せる。

 ですが、ここでさらにもう一点ツッコミが。あと1話しかありませんが、本当に終わりますか? ってことです。きゅうに壮一郎と多田の話が出てきたもんだから、ネットも「急すぎる」「終わる気あるの?」といった声が上がっており、前評判は微妙……(でも、展開は面白そうとの声があり案外好評価の様子です)。だから、もっと早くに壮一郎の事件を終わらせておけばよかったのに! としかいえません。

 あと1話で本当におわらせるつもりなんでしょうか。(まあ、無理やりにでも終わらせるんでしょうけど)

 以上、9話のレビューでした。

 次週ついに最終回を迎える同ドラマ。杏子の選ぶ今後にも注目! 放送を楽しみに待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

常盤貴子『グッドワイフ』黒幕がついに判明で事件あっさり解決「引っ張ったのにこのオチ?」とネット激怒!

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 常盤貴子主演ドラマ『グッドワイフ』(TBS系)の第9話が3月10日に放送され、平均視聴率9.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

 今回、先延ばしにされた(前回のレビューで判明詐欺だといいました)裏切り者がやっと判明したということで、1.0ポイントも上昇! 判明詐欺した甲斐がありましたね~(笑)。

 ではでは、今週もあらすじから振り返りましょう。

■壮一郎の濡れ衣が晴れるも、恩を仇で返す展開に!

 黒幕が佐々木(滝籐賢一)だったことが判明。佐々木は南原官房副長官(三遊亭円楽)との癒着を告白するも、壮一郎の目の前で自殺してしまう。だが、そのおかげで無事、壮一郎の無実が証明。壮一郎は検察庁に戻り、異例の出世で検事正の座を掴む。

 その一方、杏子の事務所に脇坂(吉田鋼太郎)が現れ、円香みちる(水原希子)と壮一郎が実は関係を持っていたこと、そのせいで円香が検察庁をやめた事実を知ってしまう。杏子はショックを受け、怒り爆発。壮一郎を自宅から追い出した。そして円香からも告白されさらに謝罪されるも、受け入れられない杏子は円香と仲違いする。そんな周りからの裏切りにショックを隠せずにいる杏子に多田は直接、自分の本心を伝えるのだった。

 そんな中、検察に戻った壮一郎は多田(小泉孝太郎)に贈賄の疑いを掛け、多田は逮捕されてしまう事態に追い込まれてしまう、というのが9話のストーリーでした。

■黒幕はわかったけど……「もう終わりかよ!?」

 今回、冒頭でやっと黒幕が佐々木だということが判明し、視聴者のモヤモヤがついに解決!残り2話(今回を含む)というだけあって、あとは壮一郎の裁判で杏子が弁護し、晴れて無罪となるという終わりを予測した視聴者が多くいたんです。

 ですが、実際に放送されたのは、佐々木が飛び降り自殺し、南原が逮捕されたというニュースが流れ、壮一郎は無罪放免となったというのを約5分で、というもの。

 ……ここまで黒幕問題で、引っ張るだけ引っ張っておいて、あっさりな終わり。いやいや、あまりにも酷すぎます。「おい、この壮一郎の汚職事件は1話からやってるし、杏子が弁護するシーンはないし!」と突っ込んじゃいましたよ! なんでしょうか、このモヤモヤ感は(笑)。ネットもこのオチに激怒。「なんだよ! ここまで引っ張っておいて!」「円楽さん、最後ニュースで写真だけの出演って……」「あっさりすぎる!」「急に原作だったらもう少し深くなかったっけ?」との声が続々。みんな戸惑いとガッカリが同時に押し寄せてきたようですね。

 こんな展開になったのも、原因は原作方向に戻したことにあるかと。大体、タイトルが『グッドワイフ』というだけあって、裁判・弁護ドラマではなく冷え切った夫婦の物語ですからね。戻したほうがいいと気づいたんでしょう。ですがね、解きすでに遅し。残り、今回を含めてあと2話ですからね。ここで大きくかじを切られても視聴者は「え~!?」となってしまうに決まってる。ちゃんと章立てしてやったほうが良かったかなと思います。

 本当、前回まで面白かったんですけどね。この急展開にさらっと終了で、思いっきりわけわからん展開になってしまった感。残念としかいいようがありません。

■浮気に気付いた常盤貴子の演技が怖い、もしかして私生活でも!?

 円香と壮一郎の浮気を脇坂から聞いた杏子は、自宅に戻るも、頭の中が混乱。ふいに使用済みのマグカップを洗おうとしたんですが、急に手を止め、笑い始める。そして、夫の衣類から仕事道具まで全部を箱詰めして、追い出すんですが……、マジでこのときの常盤の演技が怖い。まあ、わかりますよ。遠山とはなにもなく、浮気してなかったわ~よかった~と思ったら、自分の同僚で友達でもある円香と関係していたなんて、正直狂っちゃいますよね。

 でもね、こういう時ってそんな表情するんだね~って思っちゃう顔を見せるんです。あれは、過去に体験しているひとにしかできない表情!もしかしたら、私生活の方でも!? あっ、夫の長塚圭史は昔、真木よう子と浮気していたところを撮られたことありましたよね(笑)。もしかしたら、そのときもこんな顔になったのかも!? 

 あまり詮索しないでおきますが、このときの演技は最高でした(笑)。

■唐沢に主人公がシフト。常盤ないがしろに!?

 今回の最後に多田が逮捕されてしまい、ついに壮一郎と多田の直接対決となったのですが……。この展開は「杏子いらないでしょ?」なんて思ったんですよね。だって、壮一郎と多田さえいれば、話は進むし。『グッドワイフ』ってタイトルが『バッドダーリン』になっちう(笑)。

 まあ、予測ですが、多田の弁護に杏子が着くというストーリーになるのでしょう。それだったら、許せる。

 ですが、ここでさらにもう一点ツッコミが。あと1話しかありませんが、本当に終わりますか? ってことです。きゅうに壮一郎と多田の話が出てきたもんだから、ネットも「急すぎる」「終わる気あるの?」といった声が上がっており、前評判は微妙……(でも、展開は面白そうとの声があり案外好評価の様子です)。だから、もっと早くに壮一郎の事件を終わらせておけばよかったのに! としかいえません。

 あと1話で本当におわらせるつもりなんでしょうか。(まあ、無理やりにでも終わらせるんでしょうけど)

 以上、9話のレビューでした。

 次週ついに最終回を迎える同ドラマ。杏子の選ぶ今後にも注目! 放送を楽しみに待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

『トレース~科捜研の男~』最終回目前、錦戸亮が感情爆発! 主役の魅力が際立つ第9話!

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 3月4日放映の第9話。『僕と彼女と彼女の生きる道』(フジテレビ・2004年)で凛ちゃんを演じていた美山加恋が冒頭から死体として登場する、その衝撃の内容から。

 仮出所した富樫康太(和田正人)は元恋人・胡桃沢綾乃(美山加恋)の自宅で彼女の遺体を発見する。慌てて逃げ出した富樫は、容疑者として警察から追われることに。7年前に富樫を逮捕した虎丸(船越英一郎)は、彼の犯行ではないと信じるも、それが仇となり捜査から外されてしまう。虎丸は礼二(関ジャニ∞・錦戸亮)に富樫の無実を証明してほしいと頼む。正規の捜査でない真相の解明に、礼二ら科捜研の面々は挑むのであった。

 以上が第9話のあらすじだ。次章より、その内容を振り返りつつ、感想を綴りたい。

■「そうそうこれが見たかった!」感情爆発させた錦戸演じる真野礼二の活躍!

 第9話は、バランスのとれた良質な回だった。

 事件の内容・キャラクターの心情・最終話への伏線。すべて過不足なく描かれており、見易いと同時に、主人公・礼二たちの目線で富樫が助かってほしいと願えた。

 シンプルな物ほど、作り手の頭はフル回転になる。特に第9話は、礼二が家族を失った25年前の事件の振り返りと、メインの富樫の事件の起承転結を描かなければならず、情報量が多かった。

 それでもスルッと見れたのは、脚本の段階から情報の圧縮と連結が見事だったからだろう。

 今までは俯瞰して事件と向き合っていた主人公・礼二が、感情移入して事件に寄り添い、真実を導き出す。それ故に25年前の事件の情報提示を最小限にとどめる事ができていた。

 礼二が正規の依頼でないにもかかわらず、富樫の無実の証明を引き受けたのは、25年前家族殺しのレッテルを貼られた兄を想っての事だろう。虎丸が富樫への「俺だけが(殺してないと)信じてやらなきゃいけない」といった想いを聞き、口には出さないが、「兄にもそう言ってくれる人がいてくれたら」と礼二は感じたに違いない。

 また、富樫が元恋人・綾乃を殺した疑いの強い人間に報復しようとした際、礼二が感情を露わにして食い止める場面は珠玉のシーンだった。

 前提として富樫という男は、父親が犯罪者だったせいで白い目で見られる人生を送ってきた。唯一自分を信頼してくれた元恋人まで失い、自分が加害者として疑われている。「恵まれて生きてきたお前(礼二)には俺の気持ちはわからない」と言う富樫に対し、「俺も同じだ」と家族を失った過去を語る礼二。虎丸とノンナ(新木優子)を前にし、他人に知られたくない過去を持ち出してでも富樫を止めようとする自己犠牲には、胸が熱くなった。

 しかも、主観でなく根拠に基づいて捜査する礼二のキャラを損ねなかったのが素晴らしい。富樫に対して、「根拠がないまま疑う相手を狙うのは、犯罪者の息子だから罪を犯すと言ってくる連中と同じ」という旨を語る。バックグラウンドから誘発される感情の昂りと、性格に由来する説得の仕方……見逃し配信でいうと23分目からの5分間だけでもいいので、多くの人に見てほしいと感じる。

 先の回で必要な要素を組み上げながら名場面にしてしまうメイン脚本の相沢友子氏の腕は一級品であった。

■作中で描かれない関係性まで伝わる演出

 第9話の監督である三橋利行氏の演出も冴えていた。

 昨年4月期の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(同)でも、三橋氏の演出は、台本の良さを引き立てていた。台詞は聞き取りやすく、見せるべき画は見せるという基本を大切にする。無駄なオカズは挟まないため、話についていけなくなることはない。

 本作第9話においては、足し引きの塩梅が絶妙だった。タイトル前、礼二と虎丸が別々の方向を歩き出すだけの場面を濃く見せる事で「今回はこの二人が主軸の物語」とわかった。逆に、科捜研メンバーがノンナの恋心をイジる場面は、シリアスさが崩壊しないようアッサリと終わらせていた。

 またクライマックスで、逃亡する富樫を捜索する際、礼二の同僚たちが協力する場面がある。最終回に向けて特に描かなければならないのは礼二と彼らとの関係値だ。

 市原浩(遠山俊也)は、富樫との通話中の音声を解析するプロフェッショナルな側面で協力的な姿勢を提示できる。ここまでは台本領域であるが、相良一臣(山崎樹範)は捜索開始の際、礼二の肩をポンと叩いたのは演出と演技の領域の可能性が高い。相楽の兄の死の真相を解き明かす4話以来、あまり描かれなかった礼二と相楽との関係の進展が垣間見えた。

 富樫捜索の場面で、いつもエンディングで流れる主題歌を使った編集も、最終回直前だからこそできるニクい演出だった。

 連ドラ後半は、撮影スケジュールがカツカツとなる事が多く、本作も例外ではないと思う。そんな中でも、可能な範囲で出来る限りの事をしようとする姿勢が作品と同様に好感が持てた。

■最終回のセットアップとしても良質な回

 今回は同僚たちだけでなく、虎丸・ノンナと礼二との関係が深まる回だった。虎丸は礼二を素直に頼れるようになっており、ノンナも礼二への恋心を素直に認め、彼を救いたいという想いが明確となった。

 そんな温かい気持ちで繋がる仲間たちであるが、礼二自身は25年前の真相の解明を「復讐」と捉えている節がある。今回、富樫の救出を通して感情を爆発させたからこそ、真犯人と向き合ったときの礼二の行動が楽しみとなった。

 次回は、袴田吉彦が演じる兄の元同級生が絡む事件。11日放送の第10話にも期待したい。

(海女デウス)

『トレース~科捜研の男~』最終回目前、錦戸亮が感情爆発! 主役の魅力が際立つ第9話!

(これまでのレビューはこちらから

 3月4日放映の第9話。『僕と彼女と彼女の生きる道』(フジテレビ・2004年)で凛ちゃんを演じていた美山加恋が冒頭から死体として登場する、その衝撃の内容から。

 仮出所した富樫康太(和田正人)は元恋人・胡桃沢綾乃(美山加恋)の自宅で彼女の遺体を発見する。慌てて逃げ出した富樫は、容疑者として警察から追われることに。7年前に富樫を逮捕した虎丸(船越英一郎)は、彼の犯行ではないと信じるも、それが仇となり捜査から外されてしまう。虎丸は礼二(関ジャニ∞・錦戸亮)に富樫の無実を証明してほしいと頼む。正規の捜査でない真相の解明に、礼二ら科捜研の面々は挑むのであった。

 以上が第9話のあらすじだ。次章より、その内容を振り返りつつ、感想を綴りたい。

■「そうそうこれが見たかった!」感情爆発させた錦戸演じる真野礼二の活躍!

 第9話は、バランスのとれた良質な回だった。

 事件の内容・キャラクターの心情・最終話への伏線。すべて過不足なく描かれており、見易いと同時に、主人公・礼二たちの目線で富樫が助かってほしいと願えた。

 シンプルな物ほど、作り手の頭はフル回転になる。特に第9話は、礼二が家族を失った25年前の事件の振り返りと、メインの富樫の事件の起承転結を描かなければならず、情報量が多かった。

 それでもスルッと見れたのは、脚本の段階から情報の圧縮と連結が見事だったからだろう。

 今までは俯瞰して事件と向き合っていた主人公・礼二が、感情移入して事件に寄り添い、真実を導き出す。それ故に25年前の事件の情報提示を最小限にとどめる事ができていた。

 礼二が正規の依頼でないにもかかわらず、富樫の無実の証明を引き受けたのは、25年前家族殺しのレッテルを貼られた兄を想っての事だろう。虎丸が富樫への「俺だけが(殺してないと)信じてやらなきゃいけない」といった想いを聞き、口には出さないが、「兄にもそう言ってくれる人がいてくれたら」と礼二は感じたに違いない。

 また、富樫が元恋人・綾乃を殺した疑いの強い人間に報復しようとした際、礼二が感情を露わにして食い止める場面は珠玉のシーンだった。

 前提として富樫という男は、父親が犯罪者だったせいで白い目で見られる人生を送ってきた。唯一自分を信頼してくれた元恋人まで失い、自分が加害者として疑われている。「恵まれて生きてきたお前(礼二)には俺の気持ちはわからない」と言う富樫に対し、「俺も同じだ」と家族を失った過去を語る礼二。虎丸とノンナ(新木優子)を前にし、他人に知られたくない過去を持ち出してでも富樫を止めようとする自己犠牲には、胸が熱くなった。

 しかも、主観でなく根拠に基づいて捜査する礼二のキャラを損ねなかったのが素晴らしい。富樫に対して、「根拠がないまま疑う相手を狙うのは、犯罪者の息子だから罪を犯すと言ってくる連中と同じ」という旨を語る。バックグラウンドから誘発される感情の昂りと、性格に由来する説得の仕方……見逃し配信でいうと23分目からの5分間だけでもいいので、多くの人に見てほしいと感じる。

 先の回で必要な要素を組み上げながら名場面にしてしまうメイン脚本の相沢友子氏の腕は一級品であった。

■作中で描かれない関係性まで伝わる演出

 第9話の監督である三橋利行氏の演出も冴えていた。

 昨年4月期の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(同)でも、三橋氏の演出は、台本の良さを引き立てていた。台詞は聞き取りやすく、見せるべき画は見せるという基本を大切にする。無駄なオカズは挟まないため、話についていけなくなることはない。

 本作第9話においては、足し引きの塩梅が絶妙だった。タイトル前、礼二と虎丸が別々の方向を歩き出すだけの場面を濃く見せる事で「今回はこの二人が主軸の物語」とわかった。逆に、科捜研メンバーがノンナの恋心をイジる場面は、シリアスさが崩壊しないようアッサリと終わらせていた。

 またクライマックスで、逃亡する富樫を捜索する際、礼二の同僚たちが協力する場面がある。最終回に向けて特に描かなければならないのは礼二と彼らとの関係値だ。

 市原浩(遠山俊也)は、富樫との通話中の音声を解析するプロフェッショナルな側面で協力的な姿勢を提示できる。ここまでは台本領域であるが、相良一臣(山崎樹範)は捜索開始の際、礼二の肩をポンと叩いたのは演出と演技の領域の可能性が高い。相楽の兄の死の真相を解き明かす4話以来、あまり描かれなかった礼二と相楽との関係の進展が垣間見えた。

 富樫捜索の場面で、いつもエンディングで流れる主題歌を使った編集も、最終回直前だからこそできるニクい演出だった。

 連ドラ後半は、撮影スケジュールがカツカツとなる事が多く、本作も例外ではないと思う。そんな中でも、可能な範囲で出来る限りの事をしようとする姿勢が作品と同様に好感が持てた。

■最終回のセットアップとしても良質な回

 今回は同僚たちだけでなく、虎丸・ノンナと礼二との関係が深まる回だった。虎丸は礼二を素直に頼れるようになっており、ノンナも礼二への恋心を素直に認め、彼を救いたいという想いが明確となった。

 そんな温かい気持ちで繋がる仲間たちであるが、礼二自身は25年前の真相の解明を「復讐」と捉えている節がある。今回、富樫の救出を通して感情を爆発させたからこそ、真犯人と向き合ったときの礼二の行動が楽しみとなった。

 次回は、袴田吉彦が演じる兄の元同級生が絡む事件。11日放送の第10話にも期待したい。

(海女デウス)

最終話は15.4%! 菅田将暉主演『3年A組』はなぜ支持されたのか?

 昨日(3月10日)、『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の最終話が放送された。

 多くの視聴者の予想通り、柊一颯(菅田将暉)が起こした今回の騒動はSNSに警鐘を鳴らすことが目的だった。

澪奈のさくらへの別れが手紙だった理由

 景山澪奈(上白石萌歌)が自殺した日、茅野さくら(永野芽郁)はビルの屋上で澪奈と会っていた。さくらはクラスでいじめを受ける澪奈を見て見ぬふりし、皆と同じように無視したことを謝罪した。

 ちょうどそのとき携帯が鳴り、さくらは会話を中断。そして、スマホを手に取った。すると、澪奈の耳にだけ「ドーピングの景山澪奈だ」「悲劇のヒロイン気取ってんじゃねえよ」という声が届く。

「やめて……。なんでそんなこと言うの!? なんで私を責めるの!?」(澪奈)

 スマホに文字を打ち込むさくらを見て、様子がおかしくなる澪奈。さくらが味方だとはわかっている。なのに、さくらが敵に見えてしまう。SNSで誹謗中傷にさらされ、澪奈の身には幻覚や幻聴が起こるようになっていた。

「ダメなの。皆が敵に見えて、そんな風に思う自分が嫌で、たまらなく嫌で。だからもう、無理なんだ」(澪奈)

 澪奈は屋上から飛び降り、自らの命を絶った。

 第1話で「もう二度と話しかけないで。さくらとは友達になれない」と、澪奈から手紙をもらったことをさくらは明かした。それを聞いた柊は「なんで手紙だったんだろうな?」と質問した。もう、澪奈はメールも打てないくらいに追い詰められていたのだ。

 SNSで標的にされ、澪奈のように心の病気になった人は現実でも大勢いるはずだ。

 郡司(椎名桔平)を人質に取り、校舎の屋上に上がった柊は、「すべての真相をお話する」とSNSでライブ中継を行った。

 まず、澪奈が亡くなった当日にビルから柊が出てきた映像について。これは相良孝彦(矢島健一)協力のもとに柊が製作したフェイク動画だった。その事実を知り、「俺たちをコケにしたってことかぁぁぁ!」「ワレ、何がしたいんじゃボケッ!」と怒りの書き込みがSNSで相次いだ。

「ハハハッ! 混乱してるねぇ! なのに、けなすことは忘れない。これだよ、これ! これが、俺が立てこもった最大の理由だよ」(柊)

 フェイク動画を使い状況を二転三転させ、いかに不確かな情報に踊らされているかをネット民に自覚させる。これが柊の狙いだ。柊を凶悪犯扱いし、その後にヒーロー扱いし、武智大和(田辺誠一)に矛先を変え、再び柊を糾弾。確かに彼らは信憑性のない情報を元にたびたび態度を翻し、その都度、罵詈雑言を浴びせていた。

「これを娯楽としか思っていないあんたに言ってんだよ! おい! そこの!! 周りに流されて意見を合わせることしかできない、お前に言ってんだよ!」(柊)

 マインドボイスに向き合う柊の視線が、視聴者の視線と合っている。「お前らに言ってんだ!」と叫ぶ柊。彼は、ドラマを見る我々に直接伝えようとしている。明らかに、私たちに向けての言葉だった。

「お前ら、景山の何を知ってたんだよ? 何にも知らねえだろ! 会ったことねえだろ、話したこともねえだろ! 大して知りもしないのに、なんであんなに叩けるんだよ? 『ウザイ』『キモい』『死ね』、よくもまぁそんなゲスなワードがポンポン出てくるもんだわ、恥ずかしい……。それだよ、それ! そのお前の自覚のない悪意が、景山澪奈を殺したんだよ!」

「自分の親や、友だちに面と向かって言えない言葉を、見ず知らずの他人にぶつけんなよ。お前のストレスの発散で他人の心をえぐるなよ」

「右にならって吐いた何気ない一言が、相手を深く傷つけるかもしれない。独りよがりに、偏った正義感が束になることでいとも簡単に人の命を奪えるかもしれないってことを、そこにいる君に! これを見ているあなたに! 一人一人の胸に刻んでほしいんだよ。他人に同調するより、他人を貶すより、まずは自分を律して、磨いて作っていくことが大切なんじゃないのか?」

 こんなに熱弁を振るったとしても、ネット(私たち)はきっと変わらない。このメッセージを受け止め「感動した」と言っている人も、きっと数日後には忘れてしまう。いじめがなくならないのと同じようにゼロ。それが現実だ。3周忌の際、柊の遺影にさくらが語りかけた「あの事件で世の中が大きく変わったなんてことは全然ない」という言葉はリアルだった。

 ドラマはある1人のネットユーザーへフォーカスする。柊のライブ中継開始を待機し「叩く準備はできたぞ、ばっちこーい!」と書き込んだ青年である。数年後、彼は「お前なんか死ねばいいのに」と書き込む寸前に思いとどまり、打ち込んだ文字をdeleteした。

 きっと、ネットは変わらない。でも、誰か1人でも考える機会になればいい。この青年のように。それが制作陣の思いではないだろうか。

 はっきり言ってこのドラマ、細部が雑だった。ストーリーに整合性が取れていない箇所があるし、未回収の伏線も多い(元大臣・牧原の存在、朝の体操が派手な理由、教師時代の郡司の教え子のこと、澪奈の絵画について等)。恐らく、あまり先のことを考えず脚本を作り、熱さのみで突っ走った結果だろう。

 でも、「一時の感情で不用意な行動を起こすな」「自覚なき悪意を見ず知らずの他人にぶつけるな」という真芯だけは、全話通じてぶれていない。

 ネットでは「中高生など若者向けのドラマ」「大人には響かないけど子どもに響けばいい」という視聴者の声が散見された。果たしてそうだろうか? 柊のメッセージを理解していない大人は大勢いる。それどころか、SNSで汚い言葉を発するのはどちらかと言えば大人のほうだ。武智はネットを悪用する大人の象徴のような存在だった。「若者ばかりに向けたメッセージではない」という制作陣の意図を察することができるのだ。

 ライブ配信終了後に柊は屋上から飛び降り(死ぬつもりはなかったが)、寸前で生徒たちに助けられた。

「死ぬのは……怖いな」(柊)

 死を怖がるよりも、ネットの罵詈雑言に耐えられず命を絶った澪奈。彼女のような存在を生み出してはならない。だから、私たちはLet’s Think!しなければならない。

 正直、「ほかに黒幕がいる?」「最終話にどんでん返しがある?」等の予想もしていた。いや。ドラマが発するメッセージは、最後まで愚直なほどにどストレートだったのだ。

(文=寺西ジャジューカ)

1月期の民放連ドラ「超低レベル」の視聴率争い……2ケタ突破は3作のみか?

 1月期の民放連ドラがいよいよ佳境を迎えているが、視聴率はなんとも低レベルで、平均で2ケタを超える作品が3作しか出ない可能性もありそうだ。

 北川景子主演『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)、高畑充希主演『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)、常盤貴子主演『グッドワイフ』(同)など、それなりに話題作があった今期だが、始まってみると、全体的に視聴率は超低調。

 2クールをまたぐ、水谷豊主演『相棒season17』(テレビ朝日系)を除き、現時点(7日放送分まで)で、平均視聴率トップは、沢村一樹主演『刑事ゼロ』(同)の11.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)なのだから、なんとも低レベル。

 これを僅差で追うのは『家売るオンナ』の11.3%、3位は菅田将暉主演『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で11.1%。現状、『刑事ゼロ』『家売るオンナ』が伸び悩んでいるのに対し、『3年A組』は第5話から6週連続でアップし、10日放送の最終話では15.4%まで上げた。他のドラマの伸び悩みを鑑みれば、最終的にトップに躍り出る可能性もある。

 とはいえ、首位となるドラマの全話平均は11~12%台にとどまりそうで、前クールのトップだった、米倉涼子主演『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)の15.7%と比べると、なんとも低水準だ。

 そのほかに、平均で2ケタを超えているのは3作で、関ジャニ∞・錦戸亮主演『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)が10.7%、杉咲花主演『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)が10.6%、『メゾン・ド・ポリス』が10.4%といったところ。

 しかし、この終盤に来て、『トレース』は3週連続、『メゾン・ド・ポリス』は5週連続で1ケタ台に甘んじており、ジリ貧状態。『アタル』も第6話と直近の第8話で2ケタを割っており、完全に盛り上がりに欠けている状況だ。これらの3作は、終盤で大きく数字を落とせば、平均で1ケタに転落してしまう危機に瀕している。仮にそうなってしまうと、今期の民放連ドラで2ケタを超えるのは、『刑事ゼロ』など3作のみということになってしまう。

 今や、ドラマの視聴率は10%を突破すれば、“ヒット”といわれるような時代だが、クールのトップのドラマが11%台、2ケタ台が3作だけではさすがにさびしすぎる。ギリギリのところにいる『トレース』などの3作には、なんとか最後のがんばりを見せて、2ケタ台をキープして終えてほしいものだ。
(文=田中七男)

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『3年A組』あらゆる意味で今期ナンバー1ドラマが繰り返し伝えてきた「考える」ということ

 菅田将暉主演の連続ドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)が、回を追うごとに熱烈なファンを増やしながら、いよいよ最終回を迎える。『3年A組』の視聴率は右肩上がりで、第7話は11.9%、第8話は12.0%、先週放送の第9話が12.9%(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)で自己最高を叩き出した。

 このドラマはとにかく展開が早く、しかもひとつ謎が解けると今度は別の謎が浮上して、とにかく気になることがあり過ぎる。これが一度でも視聴したら離れられなくなる大きな理由だ。

 菅田将暉演じる私立魁皇高校の教師・柊一颯が、“人質”にした3年A組の生徒29人に要求したのは、クラスメイトの景山澪奈(上白石萌歌)が自ら命を絶った理由を明らかにすることだった。生前の澪奈は水泳部のエースで将来を渇望されていたが、ドーピングをしていると噂され、クラスメイトに避けられるようになっていた。

 ドーピング疑惑につながるフェイク動画には、半グレ集団に脅されて撮影を持ち掛けた者、撮影した者、投稿した者、拡散した者……複数の生徒が絡んでおり、徐々に明らかになっていくのだが、その都度一颯は生徒たちに熱く語りかけ、最初は反抗していた生徒たちも少しずつ変わりはじめる。

 一颯が生徒たちに繰り返し伝えてきたのは、「考える」ということ。「Let’s think!」は教壇に立った時の一颯の決まり文句だ。「考える」ことは、言葉や行動とは違い、目に見えるものではないから、気づかれにくい。考えよりも言葉や行動で人は評価するし評価される。インターネット、SNSが普及して物事はあっという間に拡散され、スピードが求められている現実も、確かにある。

 しかしだからこそ、言葉や行動にする前に、「考える」ことをしなくてはならないし、自分の言葉や行動には責任を持たなければならない。一颯の演説は社会や大人への問いかけでもあるのだろう。

 さて最終回目前、『3年A組』7話以降のあらすじを振り返っておきたい(6話までのあらすじはこちら)。ネタバレになるため、すべて自分で視聴してから最終回に臨みたいという方はご遠慮願いたい。

 

澪奈のフェイク動画の撮影を依頼したのは“カリスマ熱血教師”の武智
 第7話では、最初からわかりやすく胡散臭い存在だった“平成最後のカリスマ熱血教師”こと武智(田辺誠一)の本性が暴かれた。武智は自らの私腹を肥やすため、癒着関係のある大学にスポーツ推薦で生徒を送り込んでおり、澪奈にも裏金を使って誘いを持ち掛けたが断られた。澪奈のドーピング疑惑につながるフェイク動画を半グレ集団に依頼していたのは武智であり、「教育委員会に訴えます」と言う澪奈を逆恨みしてのことだったのだ。

 さらに武智の誘いを受けスポーツ推薦で入学した生徒のうち、実に9割が中退していた。結果を出せなかった選手は強制退部に加え、学費免除も取り消されるからだ。大学でスポーツに打ち込みたいと望む高校生はいるだろうし、それもひとつの選択肢だが、もし大学を中退すればその後の人生は大きく変わる。そういったリスクを踏まえながら進路選択の助言を行うのも教師や親の役目だが、武智は違った。

 「生徒がどうなろうと自己責任だ、俺には関係ない。勝ち続けなければ消される、それが世の中だ」と吐き捨てる武智に、一颯は「生徒はモノじゃない、人間だ!」「3歩先しか見えてない彼らに、どの道を歩めばそれが彼らにとっての最善なのかを考える。寄り添って一緒に答えを探す。それが、教師の務めだろう」「お前に教壇に立つ資格はない」と食って掛かった。

 だが、まだ澪奈の死の真相が判明したわけではない。武智はフェイク動画の依頼はしたが、澪奈を殺してはいないようだ。

 

一颯が立てこもり事件を起こした理由は3つある
 第9話で一颯は「俺の計画」「本当の目的」を生徒たちに話した。

 一颯が学生時代から付き合っていた女性・文香(土村芳)は、武智の罪を暴いたことによって、フェイク動画を流され精神を病んだ。一颯はフェイク動画の証拠を掴むべく、武智のいる魁皇高校に入り込んだ。だが学生時代に患っていた癌が再発し、余命わずかと宣告される。

 そんな中、澪奈のフェイク動画が出回り、一颯は澪奈に話に聞いたが、その帰りに澪奈は武智を説得すべくひとりで学校を出て亡くなった。だが、その日、武智は澪奈と会っていないという。

 「景山を殺した本当の犯人は……」と一颯が明かすと、生徒たちに衝撃が走ったが、犯人が誰なのか、音声が消されているので視聴者にはわからない。何ともじれったい演出だ。

 一颯が立てこもった目的は3つあるいう。1つは「武智大和に自分の過ちを気付かせること」。「最大の目的」である2つ目は、またも音声が消され、視聴者にはわからない。そして一颯は自分の手の甲にナイフを刺し、血を流しながら3つ目の目的を語った。

<ナイフを刺せば血が出る。痛みも伴う。場合によっては命も奪える。当たり前のことだ。でも今の社会はこんな当たり前のことに気がつく間もないくらいにせわしく回り続けている。相手に何をしたら傷つくのか、何をされたら痛むのか、お前たちはそれに気づかない、感情が麻痺した大人にはなってほしくなかった。想像力を働かせて、自分の言葉や行動に責任を持つ。決断をする前に踏みとどまって、これが本当に正しいのかを問いただす。そんな誰もがわかっているのにできていない、考えることの大切さをみんなには伝えたかった>

<景山が気づかせてくれた。俺はまだ何もしていない、教師を名乗りながら俺は何も教えていない。みんなには怖い思いをさせて、本当に申し訳なかったと思っている。でも、この10日間で見違えるほど変わってくれた。それが何より、何より嬉しかった。俺を教師にしてくれてありがとう、ありがとうございました。明日の昼にみんなを解放する。俺の授業はこれで終わりだ。今まで、お疲れ様>

 3年A組の教室を出て美術室に向かった一颯は、警察に電話。人質にした郡司(椎名桔平)を連れて屋上に上がり、「最後の要求」をするという。亡き澪奈の親友だった茅野さくら(永野芽郁)は異変に気付き、美術室に駆けつけ「行かないでください!」と一颯を止めようとする。

<私は、先生を信じてきました。今でも信じてます。でももう限界です。先生がこれ以上悪者にされるのは納得がいきません!>
<先生に最後まで見届けるように言われて、今日まで先生の授業を受けてきて、見ないようにずっと蓋をしていたものが真実なのか偽りなのか。だから苦しいんです。先生が自分を犠牲にしてすべてを抑え込もうとすればするほど、苦しいんです。お願いします、もうやめて下さい!>

 しかし一颯は郡司を連れ、屋上に向かう。「先生は何のために、誰のために戦っているんですか?」というさくらの問いかけに対する一颯の答えは「Let’s think!」。そして爆破を起こし、さくらや他の生徒たちが屋上に来られないようにした。

 

さくら「私が澪奈を殺した」の真意は
 かつて澪奈のドキュメンタリーを撮影していた逢沢(萩原利久)は、「それが、先生の望みだから」と言う。逢沢は、一颯が生徒たちを“人質”にすることを最初から知っていて、生徒たちのお目付け役として動向を見守っていたのだ。このことは第5話で明かされていた。

 逢沢に協力を求める際、一颯は「真実を明らかにするには、俺が最終的に全国の敵になる必要がある。そうでもしなければ、俺の目的は果たせない」と説明したという。「そしてこれは、茅野のためでもある」とも。逢沢は一颯の言葉を信じて、協力したのだ。逢沢はさくらに想いを寄せているのだろうか。

 屋上に上がった一颯は、「警察のみなさーん、お待たせしましたぁー!」と拳銃を鳴らす。下では警察やマスコミが待ち構え、教室では生徒たちが心配そうにスマホやパソコンで動向を見守っている。一連の立てこもり騒動は、インターネット上でも注目の的であり、まさに全国を巻き込んでいる。

 教室に戻ったさくらはクラスメイトたちに言う。「私が澪奈を殺した」と。そんな中、屋上では銃声が響き、胸を撃たれた一颯は落下……。自ら撃ったようにも見え、自殺の可能性も考えられる。

 第1話でさくらは澪奈の本心に気づかないふりをしていた自分を責め「澪奈が死んだのは自分のせい」と語り、しかし一颯は「お前のせいじゃない」と言っていた。だが、さくらは、何か重要なことを胸に秘めているのだろう。

 第9話冒頭では、一颯の3回忌のために3年A組の教室に喪服姿の生徒たちが集まり、澪奈のドキュメンタリーが流されていた。生徒たちは一颯に教わったことを胸に刻み、それぞれの人生を歩んでいるように見えるが、遅れてやってきたさくらが澪奈や一颯の死をどう受け止めているのかはまだわからない。

 3月10日の最終回、ついにすべての謎が明かされる。

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