米倉涼子が元弁護士役で主演を務めるドラマ『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)もいよいよ今回で最後。13日に放送され、前回から4.2ポイントの大幅アップとなる平均視聴率17.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。
(前回までのレビューはこちらから)
小鳥遊翔子(米倉)は1年前、NPO法人「貧困を救う会」の幹部職員・市瀬徹(夙川アトム)を刺殺し逮捕された青年・守屋至(寛一郎)の弁護に関する調査中、暴力団幹部・花田尊に金銭を渡す姿を週刊誌にすっぱ抜かれ、弁護士資格を剥奪された過去があります。
その処罰を不服として、古巣「Felix & Temma法律事務所」の代表弁護士・天馬壮一郎(小日向文世)を相手取り、1円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしました。といっても本当の狙いは、「貧困を救う会」の代表・大峰聡(速水もこみち)に依頼され、殺人を犯したという守屋の証言を法廷に持ち込むためだったのです。
そして前回、守屋が殺人を犯した際、市瀬のポケットから落ちたというカギを受け取った小鳥遊は、そこに市瀬が殺された“理由”が隠されているのではないかと睨み、関東圏内に378店舗あるスポーツジムのロッカーを、「京極法律事務所」のメンバーで手分けして1店舗ずつ調査することにします。
また、1年前の週刊誌のスクープ記事は、天馬が裏で手を回したのではないかと疑う小鳥遊は、花田に証言者になってもらうべく、弱みをにぎるようパラリーガルの馬場雄一(荒川良々)と茅野明(三浦翔平)に調査を命じます。
ところが、この動きが天馬側に感づかれてしまい、馬場と茅野は花田の子分たちに襲われ、病院送りとなってしまうのでした。
このことに怒り心頭となった小鳥遊は、古巣に怒鳴り込むものの天馬には会えずじまい。代わりに応対した、かつての同僚で元カレの海崎勇人(向井理)から、「君1人では絶対に勝てない」と、無謀な裁判を止めるよう諭されてしまいます。
しかし小鳥遊は諦めず、再びジム回りを開始。カギの合うロッカーを見つけ、その中から、大峰が募金を着服していたことを裏付けする会計資料を見つけ出すのでした。
さらに、退院した馬場が、花田の車のドライブレコーダーから、組長の愛人とイチャつく姿を記録したSDカードを盗み出していたため、それをネタに花田を証人として出廷させる約束を取り付けます。
その動きを察知した天馬は、自身も車内で密談する機会が多いため、弱みを握られてはまずいと、海崎がドライブレコーダーから抜き取ってきたSDカードを自ら焼却するのでした。
さらに天馬は、大峰に直接会いに来た小鳥遊が、まるで脅すような口調で天馬との親子関係を訊き出そうとする姿を盗撮。これを裁判の際、小鳥遊の不正行為を立証する証拠として提出することにするのです。
そして迎えた裁判。海崎が原告側の証人として立ち、天馬が尋問を行うことになった際、その“切り札”を開示することになったのですが、その映像には、車内で天馬が大峰に市瀬殺しを指示する姿が映っていたのでした。
実は梅崎はこっそり、SDカードをすり替えていたのです。この裏切りによって小鳥遊は勝訴し、弁護士資格の剥奪は取り消しとなったのですが、「京極法律事務所」の優秀なスタッフに恵まれた今となっては、その資格は必要ないとのことで、勝訴の余韻に耽りながら旅に出たところで終了となりました。
さて感想。これまでお飾り的な存在だった海崎が、最後の最後にイイとこ取りの展開となったわけですが、その直前、小鳥遊と2人きりになった時の「君1人では絶対に勝てない」というセリフが伏線であることが丸わかりだったため、特にサプライズ感はありませんでした。
というよりも、1年以上前の記録がなぜ残っていたのか? という疑問の方が強かったです。海崎は初回から、天馬の座を狙っているのだろうな、と薄っすらニオわせていましたが、それならば最初から裏で小鳥遊と結託していた、というシナリオの方が面白かったのではないかと思います。
また、1年がかりで復讐を遂げた割に、小鳥遊の勝訴にまったく爽快感がなかったのは、弁護士資格を失った時のどん底感や悔しさなどを伝えるシーンが、これまでほとんど描かれなかったからでしょう。“強く美しい米倉涼子”のイメージを守りたかったからなのかはわかりませんが、苦汁をなめさせられるシーンをもっと見せ、視聴者の同情を煽った方がより強いドラマ性が生まれたのではないでしょうか。
放送前、『ドクターX』シリーズで演じる孤高の天才外科医・大門未知子役とは対照的に、組織を動かす司令塔役、という設定が話題になった同ドラマ。この設定を守りつつ続編へ繋げるためなのか、最後に小鳥遊は弁護士への復帰を拒んだわけですが、我の強いキャラとして描かれてきただけに、かなり不自然な印象を受けました。
仮にシリーズ化となった場合、かなり苦しい展開になっていくのではないかと予想されます。今回でさえ、豪華キャスト陣の無駄遣いといわざるを得ない低級な脚本でしたから、米倉はもっと『ドクターX』を大事にすべきなのでは? というのが全体を通しての感想でした。大門の決め台詞「私、失敗しないので」から拝借すれば、『リーガルV』は失敗しなかった代わり、大きな成功もしなかったのではないかと思います。
(文=大羽鴨乃)