歌手や声優、アイドルなど、幅広い芸能活動を行っているりょーさん。彼女は、近年注目されている「プラスサイズモデル」というジャンルでも躍進中だ。あえて「デブ活」をして約20キロの増量に成功したものの、世間からの目は大きく変わり、モデルとして活躍する今も、さまざまな苦労が絶えないという。たかが体重、されど体重。「デブ活」をした理由、彼女を取り巻く現在の環境、そこから見えた日本人の美意識について話を聞いた。
■日本人は「何かが足りない人」が好き
――りょーさんは最近、音源付きの写真集を出したそうですが、そもそもなぜ「プラスサイズモデル」になろうと思ったのですか?
りょー プラスサイズモデルの仕事を始めたきっかけは、「居場所がない人に、居場所を作ってあげたい」という思いからでした。趣味がない人や、本当に心から信頼できる人がいない人は、自分から「寂しい」とか「孤独だ」と言えないと思うんです。だからこそ、手を差し伸べたい。「いつでもあなたと一緒にいるために」という思いで、写真集も持ち運べる文庫サイズの小さなものにしたんです。
歌手やアイドルとしてなら、ファンの方にとってライブハウスが居場所になって、声優としてであれば、携わったコンテンツが誰かの趣味になることもありますよね。ぽっちゃり好きの男性は、「私はぽっちゃり好きです」って声を大にして言いにくいようです。「お前デブ専かよ!」と言われて、なかなか価値観を共有できない風潮があります。「ぽっちゃり」って形を表す言葉ですが、「デブ」は言われる人にとっては悪口ですからね。キラキラした「ぽっちゃり」として活躍することで、なかなか自分の嗜好を共有できない人たちに対して、少しでも居場所を作れてるのかなと思ってます。
――「ぽっちゃり好き」と言いにくいのは、一般的に世間では「美しい=痩せている」と考えられているからですよね。この常識について、どう思いますか?
りょー もはや文化だなと。どうしても日本人は、「かわいい」を求めると思うんですよ。「かわいい」って、何かが足りてない人のことだと思っていて、対する「きれい」とか「美人」は、「見上げる存在」「あがめたい存在」といった感覚です。「かわいい」って、体が小さくてきゃしゃとか、ちょっと抜けてるとか、言い換えれば「力が劣ってる人」「見下ろしていい存在」という印象が強いと思うんです。これが、日本人の男性が持っている感覚や、求めているイメージだと思います。
――「力が劣ってる人」「見下ろしていい存在」を求めていると聞くと、残念な感じがしますね。
りょー そうかもしれませんが、わかる気がしませんか? 誰だって、ないものを求めるじゃないですか。女性も力の強い男性に惹かれたり、背の高い男性を魅力的に感じたりする人は多いですからね。
――なるほど。海外では体が大きくても、すごく生き生きとしてる人が多い印象の一方で、日本人は「きゃしゃな女の子が正義」という感覚があると思いますが、そんな中であえて“大きな体”づくりをされたことで、世間の風当たりや対応は変わりましたか?
りょー 痩せてた時と、対応はかなり変わりましたよ! 特に男性からの対応は、相当変わりました。少なからず、昔は男性に「かわいいね」「きれいだね」と言ってもらう機会もあったんですが、20キロ太ってからは、めっきり言われなくなりました(笑)。あと、最近は実年齢より上に見られたり、「お母さん」「お姉さん」っぽく見られたりしがちになりましたね。
――そうなんですね。「日本人女性の美意識」って、男性目線の影響が強いイメージがありますが、それについてはどう思いますか?
りょー SNSを意識した現代では、女性からの目線も強いと思いますよ。私の場合は、レディースファッションのモデルという仕事柄、女性の「いいね!」が必要なんです。なんというか、「あざとい女」ではなくて、あっけらかんとした、親しみやすさを感じる魅力が受け入れられやすいのかなと思います。
――では「お母さん」的なイメージも、むしろちょうどいいのでしょうか?
りょー 肉感の魅力をお届けしたいと思っていますが、不服はあります!!(笑) それに、性的な対象になりたいなと思ってます(笑)。同性から見ても、異性としても、魅力的な女性でありたいと思いますね。
――特に男性からの対応が変わったと考えると、「プラスサイズモデル」の魅力は女性の方が理解できそうですよね?
りょー どうでしょうか……。太ってる人は、だらしないイメージが強いじゃないですか。見栄張って、「昔は痩せていた」って言う人は多いんですけど、それでも、「どうせ前から太ってたんでしょ」と思われることが多いものです。でも、言葉が悪いかもしれないですが、昔の写真を見せたり、「仕事でこの体形をキープしてる」と言ったりすると、みんな見る目が変わります。女性からは、「顔はいいから、そのままいけ」って言ってもらえますしね! 太っている人が嫌いな方じゃなければ、男女ともに受け入れてもらえますよ!
――「デブ活」を、やめたくなったことって、ありませんでしたか?
りょー あります! 世間からの目が冷たくなったというのが理由です。また、仕事柄、写真を撮ってもらう機会が多いのですが、撮影データを見ていて二重顎を見つけたときとか、とてもやめたいという気持ちになりました。お気に入りの服が着られなくなったとか、狭いところを通るとおしりがぶつかるとか。あと、電車で服を踏まれることも増えましたね(笑)。
――体重が増えたことによる弊害は、ほかにもありますか?
りょー 20キロ太ってから、骨を折りました。たたりですかね(笑)。ダンス中に着地したところに物が転がってきて転んだんです。それだけで足首の骨が折れました(笑)。無理なダイエットをしていた時もあったので、急に体重を増やしたから耐えられなかったのかも。
――壮絶ですね。体形維持のほかに、「プラスサイズモデル」として気を付けていることはありますか?
りょー プラスサイズモデルの基準が、大体3Lサイズなんですよ。それを似合うように着こなすのが大切なので、「太っているからだらしがない」「化粧の仕方がわからない」「どうせ私なんて……」といったマイナスの思考やイメージを払拭して、「きらきらしてないと」と常に思ってます。
――なるほど。目標にしている方や、素敵だなって思う方っていますか?
りょー 渡辺直美さんとか、ちょっとジャンルは違いますけど、叶姉妹さんとかですね。
――それは、肉感の魅力でしょうか?
りょー ファビュラスな感じ……ではありませんね(笑)。あの方たちの美意識の高さって、すごいと思うんですよ。まるで二次元から出てきたみたいな。私もそうなりたいと思っています。
――多くの女性が、「痩せたい」を「キレイになりたい」と同義で使っています。あらためてプラスサイズモデルとして、この考え方をどう思いますか?
りょー あくまで持論ですが、「美しい=痩せている」は大間違いです。痩せていても自分の魅力を引き出せていない女性はたくさんいますし、逆にぽっちゃりでも、異性にモテる人はかなり多いです。要は、内面の美しさなんです。他者を慈しむ心を忘れず、自分を恥じて生きず、周りからも後ろ指をさされにくい人物こそが、美しい人だと思います。だから、「きれいになりたい」と思ったら、「内面を磨こう」と思うことが大事なのかなと。本当に自分を愛してくれる人からすれば、体かたちなんて取るに足らないものですから。ダイエット志向の方々には、どうにかして痩せようと必死になって、「心までダイエット」なんてことはしてほしくないと思っています。
(浅沼彩菜)
りょー
静岡県出身。ぽっちゃりアイドル「エルチャンス」加入後、声優、舞台、ラジオ等さまざまなシーンに進出し、プラスサイズモデルを始める。現在はeur3(イトキン株式会社)、VARAL DE MODA+(株式会社GSIクレオス)にて、ブランドモデルとして起用されている。
薄着とともに露わとなった余分な脂肪に、焦りを感じるこの季節。巷にあふれるダイエット法を参考にして、太らないとされる食材を意識的に摂ったり、食べる順番に気をつかったりする人が増える一方で、曖昧な知識から、実は効果のないダイエットを続けてしまっている人も少なくない様子。そこで、一般社団法人臨床栄養実践協会の理事長で管理栄養士の足立香代子先生に、「ダイエットの正しい食材と摂取方法」について伺った。




