昨年8月、人気アクション映画シリーズ『ワイルド・スピード』の最新作『ワイルド・スピード ICE BREAK』に出演している“ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソンが、共演俳優のことを「男らしくないチキン野郎」「腰抜け」と批判。その後、米大手ゴシップ芸能サイト「TMZ」が「共演俳優とは、ヴィン・ディーゼルのことだ」とスクープした。ドウェインは撮影終了後、インスタグラムに映画関係者への感謝メッセージを長々と投稿したものの、主演兼プロデューサーであるヴィンの名前はナシ。2人は撮影中険悪な雰囲気だったというウワサも流れ、修復不可能な仲になったと報じられた。
ドウェインとヴィンのように、映画で共演した役者が長期間にわたる撮影を通して、対立したり不仲になったりすることは珍しくない。今回はそんな「犬猿の仲になったハリウッド映画共演者たち」をご紹介しよう。
■『チャーリーズ・エンジェル』(2000)のビル・マーレイとルーシー・リュー
1970年代半ば~80年代前半に大ヒットした3人の美女が主役のアクションドラマ『チャーリーズ・エンジェル』。2000年の映画版はキャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューの3人の主演女優を世界的大スターにのし上げた作品で、テレビドラマを主戦場にしていたルーシーは、この作品でアジア人女優としての地位を確立した。
同作には3人のエンジェルのほか、もう1人重要な役がある。エンジェルたちをサポートするボスレーという中年男性の役だ。映画版ではこの役をベテラン俳優のビル・マーレイが熱演し、コミカルな演技が評判を呼んだ。しかし、このビルがルーシーのことを毛嫌いし、撮影の雰囲気を最悪なものにしたと伝えられているのだ。
米芸能誌「People」は、ビルはルーシーと性格が合わず、ある日撮影についてもめ、大げんかしてしまったと報道。後に、複数のゴシップサイトが、「ビルが突然撮影を止めて、キャメロンとドリューを指し、『お前らがなんでここにいるのかは理解できる。才能があるからな』と言った後、ルーシーについて『でもお前がなんでここにいるのかは理解できない。演技なんて全然出来ないじゃないか!』と吐き捨てるように言った」「激怒したルーシーはビルに殴りかかろうとして周囲のスタッフたちに止められ、別の部屋に連れていかれる騒ぎになった。ルーシーが嫌いだから、続編映画には出演しなかったのだ」などと伝え、ビルとルーシーは敵対していると見られるようになった。
03年、米芸能サイト「Contactmusic.com」は、「伝えられているケンカの内容はウソだ。あるシーンを撮影する時に『ルーシー、この台詞はないんじゃないか。クレイジーだよ』と言ったら、彼女は侮辱されたと勘違いしてしまったんだ。でも、彼女もその台詞については疑問に思っていたんだよ。いがみ合っていたのは一瞬なんだ」「オレたちはすぐに和解して、その日からさらに関係は良くなったんだ」と説明するビルのコメントを紹介。ビルは、続編に出演しなかったのはルーシーと共演したくなかったからではないと強調したが、今なお、「ビルとルーシーの不仲説」は根強く流れている。
■『ロミオ+ジュリエット』(1996)のレオナルド・ディカプリオとクレア・デインズ
シェークスピアの『ロミオとジュリエット』の舞台を現代に変え、両家のいがみ合いをギャングの抗争に変更するという大胆な脚色で話題を集めた『ロミオ+ジュリエット』。ロミオを演じたのは当時まだ21歳だったレオナルド・ディカプリオ。ジュリエットを演じたのは17歳のクレア・デインズで、美青年のレオナルドと可憐なクレアのカップルは、多くの作品ファンを生み出した。
しかしこの2人、カメラが回っていないところでは、目も合わせなかったという。クレアはレオナルドのことを「常にふざけているお調子者」「本当にガキっぽい」と毛嫌いし、徹底的に無視。レオナルドもクレアのことを「お高くとまったお堅い奴」だと嫌うようになり、2人の間には険悪な空気が漂うようになったというのだ。
クレアは、11年から放送されている人気ドラマ『HOMELAND』で主人公を演じているが、13年に受けたインタビューで、レオナルド主演映画への出演と天秤にかけた結果、『HOMELAND』を選んだと告白。「『HOMELAND』のオーディションを受けた週末に、クリント・イーストウッド監督の『J・エドガー』(11)のオーディションも受けたの」「(レオナルドが演じたFBI初代長官ジョン・エドガー・フーバーの)秘書役を演じるべきか、自分自身がボス役を演じるべきか、自問自答して……『私はボス役を演じたい』って。『HOMELAND』の役は怖かったけど、なおさら『この役を演じなきゃ』って思って」と明かした。
また、『タイタニック』(97)でレオナルドと共演したケイト・ウィンスレットが12年に受けたインタビューで、「レオも私も年を取ったし。それに、今じゃ彼はデブで、私は痩せたし」とレオナルドをけなして話題になったが、この直後にクレアもインタビューで、レオナルドのことを「デブ」と侮辱。
「『ロミオ+ジュリエット』の撮影は楽しかったわ。”純情な少女の役”だったしね」と前置きした上で、「この前、レオを見かけたんだけど、『私たちは変わってないな』って。でも、すぐに『ちょっと待ってよ。私たち、超デブデブに成長しちゃってるじゃん』って思った」と発言。自分のことも「デブデブ」だと表現したが、クレアは当時妊娠していたのであって、おなか以外はスリムなまま。このことから明らかにケイト同様、レオナルドを「太っている」とディスしたのだと話題に。多くのファンが、クレアは今でもレオナルドが嫌いなのだろうと見ている。
■『アイ・ラブ・トラブル』(94)のジュリア・ロバーツとニック・ノルティ
新聞社のベテランコラムニストであるピーターと、ライバル新聞社の若き美人記者サブリナが、スクープ合戦を繰り広げながら事件の裏に隠された陰謀を暴き、ピンチに陥る。しかし2人はピンチを乗り越え、愛情を深めていくという『アイ・ラブ・トラブル』。ピーター役には当時53歳のニック・ノルティ、サブリナ役には当時27歳のジュリア・ロバーツがキャスティングされた。
しかし当時、年の差以上に話題になったのが、「2人は救いようがないほど仲が悪い」という事実だった。ジュリアは米紙「ニューヨーク・タイムズ」のインタビューで、「ニックとは、会った瞬間から互いに手を焼いてきたわ。お互いの神経に障るような存在になっていったの」と激白。「彼は、すごくチャーミングでいい人だけど」と前置きした上で、「ものすごく気持ち悪いのよね。こんなこと言ったら彼は怒るだろうけど、人を不快にさせるようなことをするタイプなのよ」と”口撃”。
その後も、「ジュリアは、ニックの偉そうな態度や人のことをバカにするような態度に、撮影中ムカついていた」「嫌われていたニックは、わざとジュリアの気持ちをかき乱すようなことばかりしていた」と報じられ、「あまりにも険悪な仲へと発展してしまったため、撮影は代役を立てて行われた」という説まで流れた。
このジュリアの発言に対して、ニックは「人のことをキモいなんて言うのはよくないね。ま、でも、みんな彼女のことをうい人だなんて思ってないし。みんな(ジュリアの本性を)知ってるしね」と吐き捨てるようにコメントしたと、米エンタテインメント情報サイト「Contactmusic.com」などが報道。
09年には人気深夜トーク番組『Late Show With David Letterman』に出演したジュリアが、「共演した中で最悪だった俳優」のモノマネを披露。「このフ●ックはなんだ? オレの話を聞いてなかったのか?」「オレの言っていることを理解してないだろう!」とまくし立て、「ニックのマネだ」「まだニックのことが嫌いなんだ」と大きな話題になった。
■『エニイ・ギブン・サンデー』(99)のLL・クール・Jとジェイミー・フォックス
鬼才オリヴァー・ストーン監督が、アメリカン・フットボールの弱小チームの奮闘を描いた『エニイ・ギブン・サンデー』。チームのヘッドコーチ役にはアル・パチーノ、オーナーはキャメロン・ディアスと大物スターが出演したが、注目を集めたのは選手役のLL・クール・Jとジェイミー・フォックスだった。というのもこの2人、撮影中に警察を巻き込む大げんかをし、険悪な関係になったと伝えられていたからだ。
ジェイミーは撮影後、スタンドアップコメディのステージでLLを徹底的にディス。「ヤツは唇を舐め回してさ。女がいるならわかるけど、現場には男ばっかなんだぜ」「それに、本当にアメフトしている気になっててさ。演技だっつーのに。思いっきり走るから『なにやってんだよ』って文句言ったら、『試合してるんだよ!』って。ちょっと待てよ、映画の撮影じゃねぇか」と、LLが台本を無視して暴走していたことを暴露し、「でも最大の問題は、口論シーンだったわけよ。台本に書いてある口論シーンね。オレの言葉ではなく、台詞なわけよ。大丈夫かな~って心配だったけど、シーンの撮影が始まったらLLがすごいわけよ。マジでオスカーものな演技なわけよ。そんなこと思ってたら、突然オレをぶったんだよ。台本にないから、びっくりなわけよ」と笑いネタにしまくった。
また、ジェイミーはラジオ番組に出演した際に、LLとのビーフについて詳しく説明。「オレは彼の大ファンで、アルバムは全部持ってるくらいなんだ。共演できると知って大喜びしたほどなんだ」と前置きした上で、「口論シーンがあったんだけど、押し合いへし合いになってさ。演技なのかマジなのか、わからなくなってさ。アザはできるし、警察を呼んで訴えることにしたんだよ。単に法的な対応を取っただけ」と明かした。
一方、LLは「オレはキャラクターに入り込んでね。もちろん演じているわけだけど、即興で『なんだ、てめぇ』とか怒鳴ったわけよ。体にも触ったりしてさ。それをジェイミーは演技じゃないだろ、ってマジに受け止めたんだ。で、オレを叩いたんだよ」と説明。「オレも自分を守らなきゃいけない、ま、そんなとこだよ」と笑いながら話し、ジェイミーがビビっていたのだと示唆した。
2人はその後、和解。ジェイミーいわく、「オレがアカデミーを獲った(06年)直後にね。LLと顔を合わせる機会があったんだけど、互いに『いつまでもこんなことしてたら、時間の無駄だよな』という意見で一致して。『一緒に音楽やろうぜ』『映画も撮ろうぜ』って盛り上がったんだ」とのことで、2人は意気投合。早速、06年に開催された『Hot 97 Summer Jam』コンサートでパフォーマンスしたLLのステージに、ジェイミーが特別ゲストとして出演。2人一緒にパフォーマンスし、観客を大喜びさせた。
■『スター・ウォーズ』のケニー・ベイカー(R2-D2役)とアンソニー・ダニエルズ(C-3PO役)
「遠い昔、遥か彼方の銀河系」を舞台にしたSF超大作『スター・ウォーズ』シリーズ。人気キャラクターR2-D2役をケニー・ベイカー、C-3PO役をアンソニー・ダニエルズが演じているのだが、この2人は救いようがないほど不仲なことで有名なのだ。
ケニーが内情を暴露したのは05年のこと。米エンタメサイト「Hollywood.com」のインタビューで、「アンソニーは誰とも交流しない。殻に閉じこもっている」「一度『やぁ!』って挨拶したら、くるっと背を向けて『私は今、別の人と会話中だ』と冷たく言い放ったんだ。あんな侮辱を受けたのは初めてだ」と激怒。
09年には英紙「Metro」に対して、「アンソニーと仲が悪いのは自分だけかと思っていたんだけど、彼は誰とも仲良くなれないってことがわかったんだ」「気難しいヤツでね。もっと気楽にみんなと交流すれば、キャスト・ツアーとかで大儲けできるのに。4回も提案してるんだけど、まるで汚いものを見るかのような目で私を見たんだよ」と明かし、「『会話するのが嫌いなんだ。小男よ、あっちへ行け』とまで言われた」と、112cmの身長をバカにする言葉まで投げつけられたことを明かした。11年にも、「アンソニーのことは嫌いじゃない。好きじゃないだけ」と改めて断言した。
一方のアンソニーは英紙「The Mirror」のインタビューで、「そもそもケニーとは合わない。R2-D2は話さないしね。いっそのこと、バケツでいいんじゃないかって思う」とケニーをディス。昨年も、「ここ何年もケニーを見かけないね。彼の名前は映画のクレジットに出てるけど」「ケニーは私の悪口ばかり言うから、もう彼についてはコメントしないことにした」と吐き捨てるように言った、と報じられた。
しかし、昨年8月。ケニーが81歳で死去した後、アンソニーはTwitterに、「ケニーが亡くなったと聞き、とても悲しい」「彼は(『スター・ウォーズ』の)真のオリジナルキャストの1人だった。R2の役で知られた男だった。彼は大勢のファンの心の中で生き続けるだろう」と追悼ツイートを投稿。ケニーの死をもって、やっと和解したとファンを切ない気持ちにさせた。