台風でも通常営業、保育園としての課題は子どもの安全と人員確保

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日替わりでアクティビティがあるので、転園者が少ないのかも。アクティビティを通して、子どもたちは体も心も鍛えられます

 10月は台風が立て続けにやってきましたが、保育園は電車が止まろうと予約の時間には開園しなければなりません。うちの保育園でも調理スタッフが定刻に来られないという状況になりましたが、自転車通勤のスタッフが2名と徒歩通勤の私がいたので、なんとかなりました。ですが、ほかの保育園ではどのような対応をしていたかが気になります(横のつながりがないので)。

 一番現実的なのは「タクシーに乗って出勤をしてください」と指示をすることかもしれませんね。今後スタッフを採用する上で、地域雇用はとても大事だと実感しました。震災が起きたとしても同様に、自転車で帰宅できる距離なら雇用主として安心ですし、自分も子どもがいるのに、大渋滞のなかスタッフを一人ひとり車で送っていくのも大変です。もちろん保育園なので、水、食料のストックはありますが、園児全員を保護者に引き渡した後は、スタッフの帰宅の心配をしなければなりません。子どものいるスタッフもいますので、なるべく早く安全に帰宅させることが雇い主の務めとなります。当園ではアルバイトを採用する時、交通費の負担を減らすためなるべく近くに住む人を採用してきました(現役アイドルは別ですが)。しかし、正社員になるといい人材を選ぶことが重要となるので、近くに住んでいるからといって安易に採用するのは危険すぎます。バランスが難しいですね。

オシャレな靴にイスでの食事、母親が求めることは子どもの成長を妨げます!

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靴持ちの我が子ですが、小さいときから自分で脱着できる靴だけを買っていました。手伝わないで待つことが重要ですよ、お母さん!

 受験直前、ひさびさに熱を出しました(私です、娘は元気)。受験以外にも仕事のことなど考えることが多く、たぶんストレスです、きっとね。娘は来年4月から小学生になり、自分の子どものために作った保育園は必要なくなります。ありがたいことにこの保育園を必要としてくれる保護者やスタッフがいるので今後も運営を続けるのですが、これから先、自分のモチベーションを保つにはどうすればいいのか、わからなくなってしまいました。

 自分たちの接し方で、子どもたちの能力を引き出したり、生きる力を培っていかせることができるので、すごくおもしろいですよ。ですが、子どものためを思ってすることが、園児の母親からすると「迷惑」と思われているような気がしてならないのです。

気合で発奮させる! 角川家はアニマル式教育法でお受験を乗り越えます

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いつも保育園ではTシャツ短パンのため、受験服への慣れが必要です。11月からはお教室で親子ともに受験服の着用が求められています。「ガリガリくん、当たったよ!」

 まさにお受験直前! 感染症に超敏感になりながら、我が子ともども保育園生活を送っています。詳しいお話はお受験が終わってから、いろいろ書いてみたいと思っています(自粛中)。

 先日、保育園のすぐ近くのカフェで、胸が痛くなる場面に遭遇しました。3歳くらいの男の子が、母親と一緒に食事をしていました。男の子は少しふざけていて、体を動かした勢いで飲みものをザーッとこぼしてしまいました。よくある光景ですよね。ですが、母親の対応がすごかった! 「なにをやっているの!」と声をあげて、男の子の太ももをバチンと叩いたのです。男の子は泣きながら「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も言ったのですが、母親の機嫌が直らず(子どもっぽい母親ですね)、周囲の目が気になったのか店を出て行きました。

 おせっかいと知りつつも、行き過ぎた虐待に発展したら止めなければと思い、親子の後をつけました(虐待死は周囲が気づけば止められると思っています)。その後も母親は男の子をなじり、何度も「ごめんなさい、ごめんなさい、許して」という男の子の声が聞こえました。その声から、日常的に母親が度を越えて叱っていることが見てとれ、泣きそうになりました。子どもに、そんなこと言わせてはだめ。叱ったことを引きずってはだめです。よくこの男の子は耐えていますよ。逃げ道のない男の子を抱きしめたくなりました。

 そして、親子は高級分譲マンションに消えていきました。母親は育児で疲れているのでしょうか。母親には妻という顔もあり、夫との関係、実の両親、夫の両親、健康の心配、経済の心配……爆発しそうになっているのはよくわかります。でも、子どもには絶対手をあげてはいけないのです。未就学児に手をあげたら捕まるような法律にならないかなと、個人的には思いますが……。

■手をあげても成績が上がるわけではありません

 仲のいいお母さんで、子どもがお受験用のペーパーができないので、イライラして手をあげた人がいます。そのお母さん自身「手をあげず冷静に指導できる夫が教えた方ができるようになった」と言っていました。手をあげたから、なにかができるようになるわけではないんです。以前、幼児教室の中に子どもに手をあげる父親がいましたが、春の時点で思ったより成績が伸びず、志望校を変更したそうです。手をあげてなにかが解決できるとは思えませんし、萎縮して逆効果になるのでは? と思います。

 現代は「褒めて伸ばす」という教育方針が主流ですが、角川家はちょっと変わった教育法を行っています。私は大学と大学院で臨床心理を専攻していて、児童心理はあんまり強くないですが、心理学自体は得意です。例えば受験に関することで、できることをやらなかった場合。「お金もったいないから、塾をやめようか。これだと受けても合格しないからさ」「ごめんね、受験をさせようとして。○○ちゃんには無理だったよね。普通の小学校に行こうね」と、あえて優しい言い方をします。すると子どもの方から、「やれる、やれるってば! 受験させてください! 絶対受かるもん」と泣きながら懇願されました。それからは、できることは全力で取り組む子になりましたね(笑)。

 また、うちはアニマル浜口式なので、お教室に行く直前や模試の直前は「やれんのか!(うん)やれんのか!(うん)やれんのか!(うん)」といった、X JAPANを彷彿とさせる合いの手が入った儀式を行っています(婿担当)。最近は本人から「お父さん、気合入れて」と言ってきます。いいのか悪いのか、よくわかりませんが、最難関校の模試成績がC判定→A判定になり、勝気な娘には合っていたようです。「褒めて伸ばす」教育方針とは確実に違っている角川家ですが、普段はマンガ『おぼっちゃまくん』(小学館)のお父さんのような、愛し方ですよ(笑)。家庭によって教育方法は自由でいいですが、戸塚ヨットスクール式は反対です。本番どうなるかわかりませんが、とにかく元気で受験の日を迎えてくれればいいなと思っています!

角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの"鬼畜ライター"としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では5歳の愛娘の子育てに奮闘中。

開園2周年、育児放棄に過保護……これまでに出会ったトンデモ親子たち

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小学生もいる保育園なので、子どものあだ名を管理するのは無理かと思いますよ、お母様

 シロウト保育園、オープンして2年がたちました。右も左もわからない状態から始めましたが、大きなトラブルはなく、無事毎日が過ぎていっています。会社としては着実に大きくなり、まだ先ですが再来年9月を目標に2号園をオープンさせる予定でもあります。

 「駒沢の森こども園」は最初からスタッフがいたので、箱と園児を集めれば成り立ちました。ですが、これからは採用も私の仕事となり、いろいろと考えることが多そうな予感。なまじいろんなものが視えてしまうので(霊視)、困りものなのです。一般的には、いいエネルギーの人だけを入れれば問題ないと思われがちですが、プライベートに問題のある人をあえて入れる方が、会社としてうまく行くこともあります。例えば、面接で旦那が家にお金を入れなくて困っているビジョンが見えたとします。そのような経済的問題を抱えている方が、がんばって働きますし、残業を喜んでやってくれますよね。これも程度問題で、負エネルギーは子どもに悪影響がありますし、負エネルギーのところへは人もお金も集まりません。本人はプラスエネルギーなのに、暗い部分があって、それが就業意欲につながればいいという感じです。

女社会だからこそ? 我が園での保育士の不思議な行動

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そろそろプール納めです。毎日入っているので、水に慣れていく子たちがほとんどですが、中には「子どもがプールを嫌がっているので登園時間を遅らせます」とか「嫌がっているので見学で」という甘い親もいます。1年生までには克服しなきゃいけないのに、ホントにそれでいいんですか? と問いたくなる瞬間です。

 保育園は良くも悪くも女性の社会。最近は男性の保育士も増えたましたが、保育園で働こうと考える男性は女性の中で生きていける器用な男たちで、保育士の本流はやっぱり女なのです。私は顧問やコンサルタントの経験はありますが、一般的な正社員として働いた経験がないので、保育園経営を始めてから暗黙の女子ルールに面食らいました。パーコン(パーティコンパニオン)やキャンギャルはやったことがあるけれど、男の視線を意識した業界な上に仕切るのは男性スタッフなので、女のイヤな部分は見ずに済みました。ちなみに女子校出身で女の裏も表も知っているため、女子嫌いです。娘には反動で共学しか受験させないという、筋金入りの女子苦手。今回は女の社会、保育園版をお伝えしたいと思います。

 保育士のカーストは、典型的な年功序列です。四大卒で幼稚園教諭免許を持っていようと、若い保育士は年齢が一番上の保育士にはかないません。保育士の資格さえあれば、四大でも短大でも専門でも出身校は関係ないのが実態です(※編註)。保育園のカーストを説明すると、

年齢が一番上の保育士

押しが強い保育士

自己主張しない保育士

女性有資格者バイト

男性保育士

無資格バイト

保育園や幼稚園の方針に疑問を感じたとき、保護者はどうするべき?

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お盆の時期多いのが「消費者金融のFAX」です。経営難の零細企業は、盆暮れを乗り切れないのかも

 プライベートでも仲よくしている園の保護者から、「保育士の有資格者で働きたい人がいるんだけど、パートで雇ってくれないかしら」と頼まれました。バイトは以前ご紹介したアイドルのアリス十番・月村麗華ちゃんがいるし、すぐには募集する予定がなかったので、断ったのです。その後、その方はある保育園に応募して働くことになったそうなのですが、「全然働かせてくれないの!」とのこと。話を詳しく聞くと、勤務の希望時間(何時間働きたいか)などを面接の時に話したのに、まったく考慮してくれないのだそうです。「なんで採用したのか謎」と困っていました。

 私が「××さんは有資格者だから、おそらくホームページにスタッフとして写真を載せたいだけなのかも。“たくさん先生がいる”と思わせたいという保育園もあるんですよ」と言うと、「そうなんですね!」と大きな声を出して納得されていました。つまり、職員の水増し。その可能性もあるんです。うちは常勤スタッフの写真しか載せていません。ほとんど出勤しない(させない)人の写真を載せる行為は、保護者もパートさんも裏切る行為だと考えます。私は保育園経営者として保育園のからくりが推測できるし、母親でもあるので、保護者の気持ちもわかります。引っかかっちゃう親が気の毒だわ。

インターのサマースクール、幼児を預かる施設としての立ち位置は微妙?

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サマースクールで製作したものです。紙皿、ペットボトルの蓋、ハンガーなど身近なものを利用していますが、クオリティー高いです

 保育園を作ったきっかけは娘のためだったのですが、娘が保育園を必要としないお年頃になりました。駒沢の森こども園には、1歳から小学2年生のお子さんが通っているので、決して“幼稚”ではないのですが、娘にとっては刺激のない毎日のようです。それだけ娘が成長したということで喜ばないといけないのですが、うーん微妙。娘のためを思って、必死で素晴らしい園(手前味噌ですが、自信アリ)を作ったのに、「とっとと早く帰って遊びたい」「17時になったらすぐ園を出たい」と言い出しています。夜、用事のため娘を保育園に預けていたら、母に「おばあちゃん、すぐ迎えにきて」と泣きながらキッズ携帯で電話をする始末。後に「ウソ泣きしちゃった」と言っていましたが、もう保育園では限界があるようです。

 園では小さい子の面倒をよくみているし、本人も面倒をみるのが好きだと言っていますが、幼児教室など外の生活をよく知っている娘としては、窮屈なのかもしれません。言い出したタイミングを考えると、幼児教室での模試で某難関校が十分に合格の見込みがあるA判定を取ってからなので、もしかしたらもう受かって、勝手に小学生になった気分なのかもしれません。

セレブ保育園に憧れて無理して通わせる親も……保育料未納トラブルの現実

<p> 保育園を作ってもうすぐ2年。これまで大きなトラブルはないものの、やっぱりあるのが保育料(※編註)の滞納です。支払いを忘れているだけの人なら、連絡したらすぐ入金してくれるのですが、中には本当に払えない人もいるから困っています。</p> <p> 駒沢の森こども園が有名になればなるほど、お金に無理をしてでも通わせたい親が出てきているのも事実なのです。「VERY」(光文社)に載ったり、「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)で紹介されたりすると(発売中の8月号に掲載)、遠方からの入園希望者や経済的に無理をする入園希望者が多くなります。有名私立校じゃないのだから、あまりに家と離れているのは親子ともに負担が大きいと思うのですが……。華やかな人たちがほとんどですが、華やかな人に憧れている保護者もいるのがセレブ保育園の実態だと思いますね。<br /> </p>

「こびとを捕まえたい」「サンタは絶対いる」という子どもにどう答える?

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お台場にある「こびとづかん」のお店「こびと百貨店」に行って、写真を撮ってきました。みんな大好きな「こびとづかん」ですが、フィクションですから!

 保育園を経営していると、子どもの言葉にギョッとすることがあります。

 「こびとづかん」(編註:1)というキャラクターをご存じですか? 私は1度テレビで見たのですが、理科実験番組のような作りで、あたかも「こびと」が実在するようなナレーションと映像なので、信じる子どもがいてもおかしくありません。そう思っていた矢先、年中の園児が、「モモジリ(=こびとのキャラクター名)捕まえようよ!」と言って、いろんなものを駆使してしかけを作り始めました。しかけをして数十分してからまた見ると、しかけの位置が少しずれていたので(本当は1歳児が触って動かしただけ)、その間にモモジリが現れ、また隠れてしまったと思ったらしく、「ほら、さっきと場所が違っているよ。きっとモモジリが来たんだよ」とうれしそうに大声で報告し始めると、周りの子も「本当だ」と言ってざわざわ寄ってきたのでした。

保護者に「このコラムで保育園への偏見がなくなった」と言われました

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保育園に置いた「ヒキュウ」(右端と左端)です。風水では正財(仕事で入る財)と偏財(ギャンブルや副収入)のどちらにも効果があると言われています

 この連載が始まり、もうすぐ2年がたとうとしています。保育園経営とまったく無縁の女が、気づけば保育園経営のエキスパートになりつつあり、保育園のコンサルタント業でも食べていけそうな予感さえしてしまう今日このごろ。連載を読み返すと、私自身「幼かったな」と思うことが多々あり、それでもこの連載を読んで入園してくれた保護者に感謝しています。

 当園は、「この連載がきっかけで入園した人」と「入園を検討していてこの連載を発見した人」「娘と前の保育園からの友だち」「在園生からの口コミ」の人たちで構成されていて、いずれも私が「角川さん」だということを知っていて入園してきた人です。「娘と前の保育園からの友だち」組の保護者は、駒沢の森こども園を設立する前ぐらいになんとなく素性がバレ、オープン前の内覧会ではみんな知っているようでした。このメンバーとは、食事をしたりする仲なので、気づけば知っていたという感じです。