また始まる、青春18きっぷの季節──どんどん減っていく利用可能区間への不安

 3月から、岩手県を走る三陸鉄道が、日本最長の第三セクターとして装いも新たに「リアス線」の名称で開業する。県内の盛駅から久慈駅までの163kmを約4時間30分で結ぶ。太平洋の荒波を見ながらの、長い“汽車旅”を味わうことができる路線だ。

 この路線は、これまで南北に分かれていた三陸鉄道が、JR山田線の宮古駅~釜石駅間の移管を受けて誕生したものだ。この区間は2011年の東日本大震災で被災。以降、復旧が行われていたが、経営的な問題もあり、第三セクターに移管して復活することとなった。

 いまだ震災の爪痕の残る地域としては、うれしいニュース。だが、赤字路線だからと切り捨てたJRに対しては不信感も募る。またまた、青春18きっぷで旅行できる区間が減るからである。

 ここ数年、新幹線の開業などに伴い、青春18きっぷの利用できる区間は、どんどん削られている。本州から北海道へと向かうことのできる在来線は消滅し、別途運賃が必要になった。そもそも、東北本線が盛岡以北はほぼ消滅したので、青森方面へ向かおうとすれば秋田方面へ大回りするしかなくなった。

 北陸はもっとひどい状況で、北陸新幹線の開通によって北陸本線も信越本線も、多くの区間が第三セクターへ移管されたことで移動はかなり制限されることになる。

 今後も、北陸新幹線の関西方面への延伸が予定されていることなどを考えると、青春18きっぷで旅行できる区間はどんどんと減っていく見込みだ。

 もちろん、限られた期間しか利用できない青春18きっぷで旅行する者が、地域の事情を考えずに第三セクターへの移管や路線そのものの消滅に対して、異論を唱えることは難しい。だとしても、路線の減少によって、どんどん旅の機会が失われているのも事実。

 ただ呆然と車窓を眺める、あてどのない旅も、もうできなくなってしまうのか……。
(文=大居候)

【画像アリ】美味すぎるからか? 需要はどんどん増えている昆虫食の本場・伊那で開かれた「美味しい昆虫シンポジウム」

 やっぱり昆虫は美味いのだ。

 一昨年には、本気の昆虫食を展示する「大昆蟲食博」を開催し全国から人が集まる盛況となった長野県伊那市。今でも昆虫が盛んに食される本場で、今度は「美味しい昆虫シンポジウム」が上伊那地域振興局の主催で2月17日に開催された。

 伊那谷の内外から、昆虫食を語り倒す熱い人々が集まるという、この催し。会場では、各種の昆虫食が試食・販売されると聞き、さっそく会場の伊那市創造館を訪れた。

 実は、近年昆虫食は世界的に熱い。国連食糧農業機関(FAO)が、人口増加による食糧危機に備えて、昆虫食を提唱しているからだ。

 講演者のひとり、株式会社昆虫食のentomo代表の松井崇さんは語る。

「コオロギと牛を比較した時に、必要な土地は1:100、水は1:2000。それでいて、栄養価はタンパク質も栄養価もコオロギが圧倒的。昆虫は、いわばスーパーフードなんです。日本でもここ数十年食べていないだけで、今でも世界人口のうち20億人あまりは昆虫食に親しんでいるんですよ」

 大正時代の調査では日本でも全国の広い地域で昆虫が食べられていることがわかっている。食されている種類も現在よりずっと多かった。別に昆虫食は伊那谷で続いてきた特異な文化ではなく、たまたま伊那谷では現在まで続いたという見方が正しい。

 そんな昆虫の美味さを存分に語ってくれたのは、昆虫料理研究家の内山昭一さん。最初ら「来る時に、車窓を眺めていたら美味しい昆虫がいそうだなあと思いました」と語る内山さん。とにかく料理研究家だけあって、これまで手がけた料理を、美味しそうに語るのがうまい。

「佃煮のイメージが強いざざ虫だが、茹でて酢醤油で食べると美味い」「蚕は油分が酸化しやすいので繭から取り出して食べると美味い」「ゴトウムシ(カミキリムシの幼虫)は、(マグロの)トロみたいで美味い」

 ……などなど話は止まらない。

 この後、登壇した、伊那市を代表するざざ虫研究家の牧田豊さん、地蜂愛好会会長の有賀幸雄さん、駒ヶ根シルクミュージアム館長の中垣雅雄さんも、それぞれに昆虫食の美味さを語り続けたのである。

 そんな魅力たっぷりの昆虫食。単にゲテモノ食いではないし、食糧危機のことを考えて、嫌々食べようというわけでは決してない。既にビジネスとしても魅力的な商材になっているのだ。

 そんなことを語ってくれたのは、伊那谷の土産物屋に行くと売っている、ざざ虫の佃煮など各種の昆虫食を製造販売している、つかはら信州珍味の塚原保治さんだ。

 近年、イナゴの佃煮などは爆発的に売れている。塚原さんは国産のイナゴにこだわっているが(なんと全国シェアの9割近くを取り扱い)、中国からの輸入も行われるようになっている。

 名物である、ざざ虫の値段も高騰中。

「台風などで川が荒れた後の年は、収穫量が減るんです。前は一日で5~6キロは獲れていたのですが、今は1キロ程度。ざざ虫漁は、株と鑑札が必要なんですが高齢化で漁師は減っています。技術的には難しくないので、興味がある方はやってみてはどうでしょうか」

 そんなざざ虫だが、買い取り価格は1キロあたり6,000~6,500円程度。なるほど、イナゴの瓶詰めは300円なのに、同じ大きさのざざ虫の瓶詰めが1,200円な理由に納得。漁期は冬場だけど、天竜川でざざ虫を獲って暮らすのも悪くないな。

 さて、そんな伊那谷の昆虫食だが、なんと3月1日からは、銀座NAGANOで各種イベントと販売が実施される。銀座NAGANOといえば、今や全国で知られる伊那名物のローメンもろくに置いてない「信州」ではなく「長野」が支配するアンテナショップ。これを契機に信州の魅力を多くの人にアピールしてもらいたい。
(文=昼間たかし)

安田美沙子に「子育てママの敵」 迷惑を許せない社会になっていないか

 タレントの安田美沙子の子育てについて、Yahoo!ニュースのコメント欄で批判的なコメントが多くついている。安田美沙子のインタビュー記事がYahoo!ニュースに転載され、読者の感想が書き込まれたかたちだ。

 元記事は読売新聞「ヨミドクター」に掲載されたもので、Yahoo!ニュースでは<安田美沙子さん 街中で寝転がって泣くイヤイヤ期の長男、スタジオには「子連れ出勤」も>というタイトル。「イヤイヤ期の子どもを職場に連れて行きスタッフに面倒を見てもらうなんて迷惑だ、甘えている」といった論調のコメントが殺到している。

 安田美沙子は、2014年にデザイナーの男性と結婚。長男妊娠中の2016年12月には夫の不倫が『週刊文春』(文藝春秋)で報じられた。夫の謝罪を受けた安田は所属事務所を通じて「今回ばかりは許したいと思っています。お腹の赤ちゃんのため、もう一度、二人でやり直したいと思います」と同誌にコメント。2017年5月には長男の誕生を発表した。

 「ヨミドクター」では、1歳9カ月になった長男はイヤイヤ期が始まり、<自分がやりたいことを止められると、街中でも寝転がって大泣き>するが、<でも、それはそれでいいかなと。人に振り回されることって、あまりないことなので……。 子ども自身が葛藤していることも感じられて、「いろいろ考えているんだなあ」と思います。人間の発達って面白いなって、冷静に見ています>と語っている。

 現在は夫と連携して育児や家事を行っており、母親が東京に来て子どもを見てくれることもあるという。また、スタジオの仕事の時は長男を連れて行くこともあるそうだ。

<プレスクールは預けられる時間が月単位で決まっていて、それ以上は預けられません。スタジオでの仕事なら、メイクさんやスタッフさんが見てくれるので連れていけます。ママさんが多いので安心です。連れていけない時は、友達にシッターを頼んだりします>

 こうした安田の育児環境を「甘えている」と糾弾するコメントが、Yahoo!ニュースには大変に多く、暗澹たる気持ちになった。イヤイヤ期で街中で寝転がるような子どもを職場に連れて行き、尚且つスタッフに子どもを見てもらうという行為が、いかに「迷惑」かを指摘し、「仕事をセーブすればいい」「お金があるのだからシッターや託児所を使うべき」といった意見もある。

<どのような職場か知らないけど、やっぱり子どもを連れて来るなら、ずっと自分がそばにいなくてはならないと思う。メイクさんがみてくれるからなんて、甘えてないかな。メイクさんは嫌々してるかもしれない。よその子どもにうっかり怪我させないようにと、相手は神経を使うと思うし。もちろん謝礼もしているとは思うけど、やっぱり甘えすぎ。ベビーシッターを頼めないのかな>

<一時預かりやシッターを使わずに職場に連れて行くのはなぜ? スタッフの方は子連れで来たくても絶対に来られないですよね 自己中だな、と思いました>

<これは無いわ…。メイクさんは立場上断れないし、自分の子供以上に気を使うのにイヤイヤ期の子供の子守をさせるなんて考えられない。待ち時間に情報収集したり他の仕事の準備をしたりするだろうにあまりにも自分勝手。友達にシッターを頼むということはその友達が忙しい時に勿論子供を預かっているんですよね? ひとつ間違えたら命に関わることなんだしそうなったときお互いに後悔するのだからシッターを頼んだ方がいいと思う。ここまで自己中心的な人だとは、驚きです。でもテレビ局なんてタレントだけじゃなくスタッフも沢山いるのに託児所が無いということにも驚きました>

<寛容ではなく甘い風潮になっている、世界的に。仕事だよね。で通常のサラリーマンよりいい収入あるわけでしょ? シッターか保育園利用するべきでは? 子連れ出勤って他が迷惑するんだよね。当の親子はいいだろうけど、周りの人は仕事をしにきてるのに子供に気を使わないといけないとか苦痛だよ>

<これからはこの人をテレビで観ると「裏でメイクさんが子供の世話してるんだな」と思ってしまうでしょうね。自分より立場の弱い人に子育てを任せるなんて。しかも、ママさんのメイクさんやスタッフは自分の子供に加えて、この人の子供の面倒も見ないといけないんですよね? 一般の子育てママは誰かに預けられません。まして自分の子供の面倒に加えて、他人の子供の面倒なんて考えられません。この人は「子育てママの敵」だと思いました。>

<安田さんのお子さんと同い年の子供がいますが…うちもイヤイヤ期です。私は専業主婦なので1日1人で見ていますが自分の子供だからこそ対応できるイヤイヤ期です。それをメイクさんや友人にお願いするのは迷惑かと…子供のオムツ替えやご飯etc…安田さんご本人でされているんですよね? それもメイクさんに任せっきり? メイクさん達は朝早く起きて、家族、自分の準備を終わらせて子供を預けてから現場に入ってるんです。子供の相手をさせられるなら帰って自分の子供と遊んであげたい…と私なら思いますね>

 スタジオでの仕事に長男を連れて行く頻度や、長男を見てくれるスタッフへの謝礼の有無については安田のインタビューでは触れられておらず、スタッフの心中もわからない。ただ、タレントがヘアメイクやスタイリストと公私に渡って仲良く交流していることは珍しくないため、仕事中に長男を預けても「大丈夫」な間柄ということも考えられる。

 もちろん、子どもの世話を頼む以上、相手には迷惑をかけてしまうだろう。しかし、迷惑をかけてもよいし、かけられてもよく、頼れて助け合うことのできる相手がいることは、基本的には心強いものであるはずだ。

 ヤフコメで、安田の「子連れ出勤」を「迷惑」だと断定しているユーザーの中には、安田を「子育てママの敵」と中傷し、本当かはわからないが子育て中の母親を自称するユーザーからの批判などもあるが、迷惑をかけずに家庭だけで子育てをこなそうとすれば、疲弊するのは目に見えている。これでは自縄自縛だ。

 子育て中の芸能人が、SNSやテレビ番組で子育て事情や価値観を明かした結果「迷惑」「非常識」「子どもがかわいそう」だとバッシングを浴びた事例は枚挙にいとまがない。ベビーカー利用、子連れでの外出や外食をめぐっても、定期的に論争となっている。

 先月、自由民主党衆議院議員で内閣府特命担当大臣の宮腰光寛少子化担当相が、政府として「子連れ出勤」を後押しすると表明した際も、「職場の同僚に迷惑では」という意見は噴出した。たしかに迷惑を被ることはあるだろう。しかし核家族が当たり前となった現代、孤育てに陥り苦しまないためにも、「迷惑」をかけ合うことを恐れず、「迷惑」をかけても寛容に許しあえる社会を構築した方が良いのではないか。

一罰百戒の意図もあり? 実刑判決で「海賊版サイト」は本当に減るのか……

 結局、有効なのは重い刑罰か。海賊版サイト運営に対して実刑判決が下り、今後の海賊版サイト対策の在り方として話題を呼んでいる。

 1月、海賊版リーチサイト「はるか夢の址」を運営していた元大学院生らに対して、懲役3年6ヶ月など執行猶予のつかない実刑判決が下った。「はるか夢の址」は、巨大海賊版サイトとして問題となった「漫画村」などと並んで利用者が多かったとされる海賊版リーチサイトだ。

 リーチサイトとは、ネット上の海賊版サイトへと利用者を誘導するサイトのこと。「はるか夢の址」は、不正にアップロードされた漫画などのリンクをまとめて掲載し、広告収入で収益を得ていたとされている。

 これまでリーチサイトは、サイト運営者自体が不正なアップロードをしていないために、
摘発は困難なのではないかとされてきた。だが、今回、大阪地裁がこれを著作権法違反であると認定したことで、同様のサイトも今後、摘発される可能性は高くなっている。

 何よりも、実刑判決が下ったことは重要だ。この判決を通じて、社会に不正なアップロードは重罪であることを知らしめたという意義があるからだ。

「海賊版対策としてブロッキングなどさまざまな方法が論じられてきました。海外のサーバーを用いるなどして、運営者が巧妙に特定されることを避けてきたからです。ところが、実際には運営者の特定は可能であることが、次第に明らかになっています。その上で、特定されたら重罰を科せられることがわかれば、海賊版サイトに対する大きな圧力となるのではないでしょうか」(出版社社員)

 海賊版サイトを運営することで得られる利益はあるかもしれない。それでも、実刑判決を科せられるとなると、割に合うとは思えない。重い刑罰を受けることがわかれば、軽い気持ちではできないはず。今後、海賊版絡みは減っていくと思いたい。

(文=是枝了以)

BTSは「政治化」するグラミー賞の舞台で何を語るのか?

 2月10日(日本時間では11日)にロサンゼルスのステイプルズ・センターで行われる第61回グラミー賞。今回のグラミー賞で話題となっているトピックのひとつが「プレゼンターにBTSが抜擢された」ということだ。

 BTSは『LOVE YOURSELF 轉 'Tear'』が最優秀レコーディング・パッケージ賞にノミネートされており、受賞が決まればそこでもグラミー賞のステージに上がる予定だ。

 2018年にBTSがおさめた成功は東アジアのアーティストとして例を見ないものだった。『LOVE YOURSELF 轉 'Tear'』『LOVE YOURSELF 結 'Answer'』の2枚をビルボード総合アルバムチャートの1位に送り込んだのである。しかもこの2枚は全編韓国語で歌われており、そういった面でも画期的な出来事。こういった人気と業績を考えれば、グラミー賞にBTSが登場するのは至極当然の成り行きとも言える。

しばしば「政治」が争点となる近年のグラミー賞
 グラミー賞の場でBTSがどういったかたちのスピーチを行うのかはいまだ発表されていないが、そこでなにが語られるのかにも注目が集まる。

 近年のグラミー賞は、アカデミー賞と同じく政治的な主張が前面に出ることが多い。

 2017年には、ケイティ・ペリー、ジェニファー・ロペス、ビヨンセといったアーティストらがトランプ大統領の人種差別的な政策を批判するスピーチを行ったり、黒人アーティストに対する冷遇を批判してドレイク、カニエ・ウェスト、フランク・オーシャン、ジャスティン・ビーバーらが賞をボイコットするといった出来事があった。

 また、2018年には、ケシャ、カミラ・カベロ、ジャネル・モネイらによる「#MeToo」「#TimesUp」をテーマにしたパフォーマンスやスピーチに絶賛の声があがる一方、女性アーティストへの不公平な評価が問題となっていることに対して、アワードを主催するナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス(NARAS)の会長・ニール・ポートナウ氏が「女性たちはもっと頑張る必要があります」と発言したことが大問題になっている。

 グラミー賞が黒人差別や女性差別に対する意見表明の場になっていることには批判的な声もあるが、マイノリティに対する差別が激化している社会に対して異議を申し立てるのはアートの役割であり、この流れは今後も続いていくだろう。

国連本部でスピーチの場に立ったRM(BTS)が語った言葉
 そういったなかでのBTS登壇は意味のあることだ。

 BTSは昨年9月にニューヨークの国連本部で行われた、すべての若者に質の高い教育、技能研修、雇用を与えるための新たなパートナーシップ「Generation Unlimited(無限の可能性を秘めた世代)」の発足イベントに出席し、スピーチを行っている。

 登壇したRMは、<皆さんのストーリーを聞かせてください。皆さんの声と信念を聞きたいです。あなたが誰なのか、肌の色、ジェンダーのアイデンティティは関係なく、自分自身について話してください。自分自身を語ることで、自分の名前、そして自分の声を見つけてください>(2018年9月25日付ニュースサイト「モデルプレス」)と語っている。

 ここでRMが語る、「自分自身を見つめ直し、さらに、自分自身を愛しながら生きていく」ことの大切さを説いた言葉は世界中の人の心を打った。ちなみに、アルバムタイトルであり、国連スピーチの主題にもなっている「LOVE YOURSELF」は、「10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守り抜く」を活動コンセプトに掲げ、若者が抱える悩みや怒りを歌い続けてきたBTSの活動のテーマのひとつである。

 こういった背景のなかでBTSはどんなメッセージを発信するのか。おそらく、そこには若者のメンタルヘルスの問題について訴えかけ続けてきたBTSだからこそ語ることのできる言葉があるだろう。また、「東アジア出身のアーティスト」という、これまでグラミー賞ではあまり脚光を浴びたことのないアイデンティティを意識した言葉も予想される。

 BTSがどんなスピーチをするのかが楽しみだ。

東方の時と同じ手法も、今度は完全にアウト! 同人ショップ「ホワイトキャンバス」の終焉

 最近、過去に取材した騒動の主が再び炎上することが多いな。1月末、秋葉原の同人誌ショップ「ホワイトキャンバス」が『ラブライブ!サンシャイン!!』の偽グッズを販売していたとして、“ご当地”である沼津署と静岡県警に商標法違反で摘発され、関係者が逮捕される見込みであることがわかった。

 筆者自身も忘れていたが、ホワイトキャンバスの社長に取材をしたのは2011年の冬コミ直前のこと。当時『東方Project』で知られる同人サークル・上海アリス幻樂団の代表・ZUN氏が「委託販売している作品の売り上げが不払いなこと」「権利者であるZUNの監修を受けていない『東方Project』関連グッズを作成・販売したこと」を理由に、ホワイトキャンバスとの取引を停止することを告知し、注目を集めていたのである。

 ホワイトキャンバスが行っていたのは「同人であれば自由に使って構わない」というZUN氏の懐の深さを悪用する行為。要は自社が資金やアイデアを出して、既存の同人サークル、あるいは自社の関係者が立ち上げたダミーサークルに商品を作らせる手法だと、当時からウワサされていた。あくまで表向きは「同人サークルが、同人誌ショップに販売を委託している」という形を取って、版権使用料も払わずに儲けていたというわけである。

 この時、ZUN氏に反論したホワイトキャンバス側は、自社のサイトに掲載した文書でファンの間では「公然の秘密」であったZUN氏の本名まで晒し、一気に東方民を敵に回すということまでやってのけていた。

 そんな渦中に、話を聞こうとホワイトキャンバスに電話したところ、電話口に出た「社長」は「訴訟の件は、取引の中の見解の違いによって、私たちが支払いを差し止めているもの」「ZUN氏が、臆測でものを書いている」と非難を口にし続けた。

 いくつかの情報によれば『ラブライブ!サンシャイン!!』の偽グッズも、これと同じ手法で制作し販売していたということらしい。さすがに、今や嵐に次ぐ巨大コンテンツとなっている『ラブライブ』で、やらかせばどうなるのか、そんなことも予測できなかったのだろうか。

 ここまで誰も同情しない企業も珍しいが、同時に、そんな会社が何年も続いていたことが興味深い。
(文=昼間たかし)

東方の時と同じ手法も、今度は完全にアウト! 同人ショップ「ホワイトキャンバス」の終焉

 最近、過去に取材した騒動の主が再び炎上することが多いな。1月末、秋葉原の同人誌ショップ「ホワイトキャンバス」が『ラブライブ!サンシャイン!!』の偽グッズを販売していたとして、“ご当地”である沼津署と静岡県警に商標法違反で摘発され、関係者が逮捕される見込みであることがわかった。

 筆者自身も忘れていたが、ホワイトキャンバスの社長に取材をしたのは2011年の冬コミ直前のこと。当時『東方Project』で知られる同人サークル・上海アリス幻樂団の代表・ZUN氏が「委託販売している作品の売り上げが不払いなこと」「権利者であるZUNの監修を受けていない『東方Project』関連グッズを作成・販売したこと」を理由に、ホワイトキャンバスとの取引を停止することを告知し、注目を集めていたのである。

 ホワイトキャンバスが行っていたのは「同人であれば自由に使って構わない」というZUN氏の懐の深さを悪用する行為。要は自社が資金やアイデアを出して、既存の同人サークル、あるいは自社の関係者が立ち上げたダミーサークルに商品を作らせる手法だと、当時からウワサされていた。あくまで表向きは「同人サークルが、同人誌ショップに販売を委託している」という形を取って、版権使用料も払わずに儲けていたというわけである。

 この時、ZUN氏に反論したホワイトキャンバス側は、自社のサイトに掲載した文書でファンの間では「公然の秘密」であったZUN氏の本名まで晒し、一気に東方民を敵に回すということまでやってのけていた。

 そんな渦中に、話を聞こうとホワイトキャンバスに電話したところ、電話口に出た「社長」は「訴訟の件は、取引の中の見解の違いによって、私たちが支払いを差し止めているもの」「ZUN氏が、臆測でものを書いている」と非難を口にし続けた。

 いくつかの情報によれば『ラブライブ!サンシャイン!!』の偽グッズも、これと同じ手法で制作し販売していたということらしい。さすがに、今や嵐に次ぐ巨大コンテンツとなっている『ラブライブ』で、やらかせばどうなるのか、そんなことも予測できなかったのだろうか。

 ここまで誰も同情しない企業も珍しいが、同時に、そんな会社が何年も続いていたことが興味深い。
(文=昼間たかし)

失われる旅情……JR九州・北海道の“車内販売全廃”で何が起こるのか

 いつの間にか風前の灯火になっていた。特急電車の車内販売が、である。

 3月のダイヤ改正にあわせてJR北海道とJR九州が車内販売を終了することを決めたのだ。JR九州に至っては、新幹線での車内販売も終了。博多駅~鹿児島中央駅間では、新幹線であっても、弁当などは購入できなくなる。

 両社とも終了の理由として挙げるのは、コンビニなどが充実したことによる売り上げの低迷だ。近年、駅構内の売店は著しく充実している。大きめの駅であれば必ず従来のキヨスクを拡充したようなコンビニ形態の店舗が入居。弁当でも飲み物でも、車内で購入するのではなく乗車する前に買う物になっている。

 利用する機会が減った車内販売だが、完全になくなってしまうのは、これまた悲しい。

 たとえ時代が変わっても、特急電車や新幹線に乗るのは特別な体験。多少割高であっても、車内販売でコーヒーを買ったり、お菓子を買ったりすることで旅の気分は盛り上がるもの。やはり、コンビニのビニール袋をガサゴソやっているだけではどこか虚しい。

 そして、いざという時に、あってよかったと思うのが車内販売。既にJR東海では、在来線特急の車内販売を全廃。ワイドビュー南紀も、くろしおも、しなのも、あちこちに「車内販売」はありませんと掲示してある。

 一応、車内には自販機は置いてあって飲み物程度は買えるのだが、腹の足しになるものは一切ない。途中の停車駅でも食べ物を買うことは不可能。やっぱり、旅路の途中というのは腹が減るもので、ワイドビュー南紀で名古屋から新宮まで行った時には、尾鷲あたりから腹が減って、とにかく新宮が待ち遠しかった。しなのに乗った時とかも同様である。

 特急の本数も決して多いものではないので、慌てて乗車して空腹に苦しむ人も多いと聞く。

 売り上げが低迷している以上、全廃を余儀なくされるのは仕方ない。だが、かつての食堂車に続いて、車内販売。楽しい鉄道旅行の要素が失われているのは残念だ。
(文=昼間たかし)

急増する「美少女になりたいおじさん」たち……受肉の背景にある男の娘や女体化エロの存在意義

 2018年末に公開されたFANZA(旧DMMR18)による同人誌配信プラットフォーム「FANZA同人」の利用者データ「FANZA REPORT 2018 同人編」。「寝取り・寝取られ(NTR)」が、男女を問わずジャンル1位になったことが注目を集めた。でも、筆者はそれ以上に興味深い事実を読み解いた。

 それは、総合では第4位になった「女装・男の娘」と第9位になった「性転換・女体化」の存在である。

 男女別で見ると、男性では「女装・男の娘」は第4位。「性転換・女体化」は第8位。女性ではそれぞれ第3位と第17位になっている。

 これをさらに年齢別で見ると興味深い。35~44歳で「性転換・女体化」が第12位になっているのを除けば「女装・男の娘」と「性転換・女体化」は、どの年代も第10位以内に入っているのである。

 今さら説明するまでもなく、この2つのジャンルはマニアック。ともすれば「変態」ともいわれるものである。どちらも、作品単体の売り上げでは上位ランキングに登場することはほとんどないが、それなのに常に需要の高いジャンルになっているのである。

 とりわけ「女装・男の娘」以上にコアなジャンルであったはずの「性転換・女体化」は、ここ10年余りの間に、著しく進化している。

 物語の定番は、なんらかの理由で女になってしまった男性主人公が、女の身体の快楽に溺れていくというもの。ところが、この10年の間に、そこに女性になったがゆえの心の戸惑い……男性の視線が気になるとか、今まで仲良くしていた男友達に恋心を覚えるとか。あるいは、必死に化粧を覚えて可愛くなろうとするシーンを挿入したりだとか。心情描写は、日進月歩で進化している。

 変化は「女装・男の娘」ジャンルでも見られる。「結局はホモなんじゃないのか」と敬遠する人は減り「これはこれで」とか「むしろ生えているほうが」と拒否しない人のほうが多数派になっている。こちらのジャンルで目を見張るのは、現実にも同様のことが起きていること。

 Twitterやらなにやらで、セクシーな画像をアップしている男の娘は増えている。彼女らのファンの多くは「可愛いいから、別に男性でも構わない」という。

 こうした「可愛ければ性別は問わない」という新たな常識の中から、自分も可愛くなりたいという願望を抱く人が出てくるのは当然であろう。

 昨年「バーチャルキャスト」や「Vカツ」などのアプリも登場したことで、バーチャルな自分を創造する人は圧倒的に増えた。それらが楽しいものとして受け入れられる背景に、男の娘だとか女体化作品の普及があることは、無視はできない。
(文=昼間たかし)

コミカライズが物議の『ヒプノシスマイク』、同人イベントはお通夜か、はたまた大盛況だったのか?

 オタクコンテンツは「ちょっとしたブーム」という言葉では収まりきらない、一時代を牽引する「覇権コンテンツ」がたまに生まれる。女性向けコンテンツにおいて今、覇権に近い位置にいるのが男性声優によるラッププロジェクト『ヒプノシスマイク(以下ヒプマイ)』だろう。2017年9月のサービス開始からおよそ1年、それまでラップとドラマが収録されたCDとライブだけという絞った供給でオタクの妄想を掻き立てて続けてきたが、一転、18年12月より3誌でコミカライズ展開といういきなりの超供給に舵を切った。しかし、その肝心のコミカライズの内容は物議を醸している。コミカライズでヒプマイは詰んでしまったのか、レポートしたい。

■「ヒプマイはコミカライズで終わった」とググれば、
  同じ考えの人しか引っかからない

 まず、個人的にはヒプマイのコミカライズにはがっかりしており、百瀬祐一郎氏(ヒプマイシナリオ担当)は私の中で「買い換えたばかりのスマホを紛失して欲しい人ランキング」上位にいるほどだ。

 ネットを使えばコミカライズにがっかりした人の声や、大きくバズった批評ブログも簡単に見つけられる。こういったものを見て「そうそう、やっぱり百瀬氏は買い換えたばかりのスマホを紛失すべきだし、スマホカバーに買ったばかりの六カ月定期もはさんでて欲しいよね」と自分の意見を強化させるのはネットの楽しさでもあるが、ネットの短所でもあり恐ろしさでもある。

 ネットは検索で同じ意見の人を見つけやすく、そのため、自説により固執してしまいがちだ。しかしそれはあくまで自分の検索で作り出した仮想世界であり、実態から乖離しているかもしれないのだ。

 それでは実態はどうなのか。著者は物議のコミカライズから約1カ月後の19年1月27日に、全国の都市部で各種同人イベントを主催する赤ブーブー通信社が主催のヒプノシスマイク同人イベント『Crazy Lyric Battle 2』に参加した。

 こちらは同日、多くの他ジャンルの同人イベントも併催される同人誌即売会だ。赤ブーブー通信社の発表によると、当日の参加サークルは14,201、そのうちヒプマイでの参加サークルは1,556と、二次創作において最多だった。

 ただし『Crazy Lyric Battle 2』のサークル申し込み締め切りはコミカライズ発表前だった。それからコミカライズが発表され、ガッカリして筆を折ったサークルもいるかもしれないし、欠席した人だっているかもしれない。

 当日、実際にイベントの様子を見てみたが、感想は「ヒプマイ、限りなく覇権」だった。著者はいくつかの同人ジャンルで同人誌を買ったり、また、同人誌を出す側になることもある。しかしこれだけ人でごった返したイベントは初めて見た。少なくともイベントの雰囲気で見る限り「コミカライズでお通夜」どころか、大盛況だったのだ。

 

■若者が多いジャンルは短命なのか?

 また『Crazy Lyric Battle 2』における来場者や、同人サークルの大多数が20代に見え、若々しかった。

 ファンが若者中心のジャンルは廃れやすいとも言われる。しかしこれも本当だろうか。若者は移り気だからというのがこういった意見の根拠で挙げられるが、飽きっぽい中年もいる(ソースは自分)。ただ、加齢に伴い腰が重くなるため中高年は一途に見えがちな傾向はあるとは思うが。

 むしろ「若者が多いジャンル」ならでは利点もあるだろう(当原稿において、若者とは「新社会人~アラサーまで(30ちょいすぎ)」とする)。まずメリットとして、この世代は、中年よりも確実に金を落とすと思う。

 これが「学生」まで若くなると、西野カナばりに震えるほど金がなく、東京ビッグサイトに行くまでのりんかい線やゆりかもめの、あの微妙に高い運賃でもうライフが削られてしまうだろうが、働き出し、かつ親元で暮らすなど低コストだったり、勤務先の給料がよければ、財布は一気に火を吹くことができる。

 収入が増えること以外にも、そもそも若者は中高年より消費に意欲的だ。自分が20代のころを思い出しても、学生時代から使えるお金が増えたことでの消費へのピュアな喜びがあったと思う。

 私は本来ドケチで、家でネットしながらビール飲めれば何もいらないし、オタクのわりに収集癖もコンプ欲もまったくない。そんなドケチでも20代はお金を使える喜びで結構あれこれ買っていた。デパートの一階で化粧品を買うなど、お金を使うことで世界が広がっていくことが嬉しかったのだ。

 ただ、これがさらに年を取りアラサーを超えると「子どもなど、オタ活より優先順位の高い課金対象ができる」など社会的事情でオタ活への課金を抑えざるを得ない人も出てくる。

 また、そういった事情がなくても、あれだけ熱狂的にものを買っていた「消費だんじり祭」のテンションは年とともに薄れていく。化粧品はドラッグストアで十分だ、など、それぞれが自分の好みやこだわりに応じ、出費のオンオフのスイッチを調整できるようになっていく。「熱狂」を失う代わりに「分別」がついてくるのだ。

 もちろん大人でも分別をつけられない人もおり、多重債務者からのウシジマ君コースになれる才能があるともいえる。しかしそんな、いくつになっても金をパカパカ楽しそうに使う人は、消費への熱狂を失っていないのだ。気持ちが若いとも言え、生まれてこの方ドケチの私からしてみれば皮肉でなくまぶしくも思う。

 話を戻すと、ヒプマイは『Crazy Lyric Battle 2』で見る限り、「消費だんじり祭」真っ最中で山車が曲がり切れず民家を破壊するような元気がハツラツすぎる世代が支えているのだ。金を出すことに意欲的なファンが多い、というのは公式にとってこれ以上ない追い風だろう。覇権は目前だ。

 さらに若い世代は中年世代と違い、体力という天からの期間限定ギフトがある。公式が放っておいても、やれ公式のあのグッズを買った、コラボグッズを買った、コラボカフェ行っただのハイカロリーでつぶやいて、勝手に公式の広報担当もしてくれるのだ。

 ヒプマイが供給を絞っていたころ「ソシャゲはイベントとか日課とか、追うのが大変だから、ヒプマイの供給の少なさって楽でいい(※ただしヒプマイは19年にソシャゲ化も発表している)」という意見があり頷いていた。

 しかし、ヒプマイは一転して過剰供給に舵を切った。最初のスタンスから随分違うが、もしこの転向の理由が「特にそこまで考えてなかったでーす」なら私は泣いてしまうだろうから、まだ「もともとこうするつもりだった。ついてこれん奴は置いていく」という理由であってほしい。

 今のヒプマイのような「若者が支えるジャンル」のパワーと瞬発力は最強と言える。ただ、息の長い老舗ジャンルを見ると、やはり世代にしっかりと幅がある印象だ。「若者も若くない人もいて、新規さんもいつでもウェルカム」というジャンルと、そんなジャンルで楽しそうにしているオタクを見ると本当に幸せな気持ちになるので、同人誌即売会のときは用もないのにいい感じのジャンルのスペースをうろうろ歩いたりしている。ヒプマイは「覇権」から「老舗」に移れるだろうか?

 

■ヒプマイが覇権に近いのは、対抗馬がいないから?

 ヒプマイは『Crazy Lyric Battle 2』を見る限り、豊臣秀吉で言うなら「もうすぐ小田原攻め」くらい覇権は間近だと言える。コミカライズにケチをつけてた勢は傍流だったのかもしれないが、しかし「そもそも、今ヒプマイの対抗馬がいない」という現状も忘れてはいけない。

「ヒプマイのコミカライズの内容が残念だったから、私はオタクをもう引退します」とステージにマイクを置きカタギに戻る気骨のあるオタクはそうは見かけず、たいていあるジャンルに失望したオタクは、別のジャンルに流れていく。オタク趣味はシャブみたいなもので、効き目があり過ぎてほかのもので埋めることができず、簡単に辞められないのだ。

 今のところヒプマイの対抗馬になりうるジャンルは見た限りなく、また、既存の他ジャンルが急に大化けすることも考えにくい。『名探偵コナン』も次の映画に安室さんは出ないようだ。

 3カ月ごとに新アニメは出るものの、アニメの人気は水モノな傾向もあり、第一、3カ月たてば終わってしまう。その点プロジェクトであり、供給タイミングを調整できるヒプマイのやり方はうまい。

 ただ、何もオタク界隈に限らず、ライバル不在の一強状態は胡坐をかきがちになってしまうため、望ましくない。個人的にはこのコミカライズを続けていたらファン層をごっそり持っていかれるとヒプマイ公式が青ざめ、テコ入れに乗り出してくれるような「とんでもないライバル」の爆誕を願わずにはいられない。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

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