「ベテラン処女」彼氏いない歴=36歳の本音に共感!? 「東方神起で友情」「陰毛に白い毛」アラフォー座談会

 「喪女」「年齢=彼氏いない歴」といった言葉がネット上に現れてから、どれほどの歳月がたっただろうか。もともとはネットのスラングだったが、2018年には、NHK『ねほりんぱほりん』で「喪女」が取り上げられ、「年齢=彼氏いない歴の女性」、つまり「処女」だと説明されるまでになった。それから現在までも、いまだ喪女関連の話題は注目を集めて続けているが、そんな中、36歳=彼氏いない歴の処女・一子をめぐる小説『21世紀の処女』(双葉社、『知られざるわたしの日記 ベテラン処女の最後の一年』から改題)が8月7日に発売された。

 同作は「ベテラン処女」の編集者・勅使河原一子の日記形式でつづられる小説。36歳の誕生日を迎えたその日から日記は始まり、1年以内の処女喪失を目指して奮闘する日々が赤裸々に書かれている。しかし一子の頭の中は、自慰とAV、電マといった下ネタや、東方神起などK-POPアイドルのことばかりで、行動も暴走しがちだ。そんな一子と『21世紀の処女』について語り合うべく、今回は座談会を開催。くしくも、一子と同業で同世代の女性3人が集まった。

【出席者】
◎A子:31歳 男性向け月刊誌と男性向けウェブメディアの編集者。

◎B美:36歳 女性向けウェブメディア編集者。男性雑誌の編集部から転職。
◎C代:41歳 フリーランスのライター&編集者。男性向けから女性向けまでいろいろ。

乳首や陰毛や処女で悩んでいるけど……

――36歳の「ベテラン処女」がテーマの本でしたが、どうでした? 

A子 一子にすごく共感したところがありましたね。私、実は陥没乳首で悩んでて(笑)。歳をとったら自然と治ったんだけど、10代の頃は一子みたいに手術を本気で考えてたから、過去を思い出して悶絶した。

B美 いきなりすごいカミングアウト! 一子の手術はすごくつらそうだったから、自然に治って済んでよかったね(笑)。

C代 一子が陰毛に白いのを見つけてショック受けてたシーンは、自分のことかと思った。私も一子と同じ36歳のときに見つけて、「はぁっ!?!?」って、二度見。出先のトイレで声出ちゃった(笑)。

B美 一子って、乳首や陰毛や処女で悩んでいるけど自己肯定力が強くないですか? 意中の相手にアピールするために、急にギャルファッションで出社したり、ちょっと落ち込んだだけで仕事休んだり、他人の目を気にしてるのに実はまったく気にしてない。それに、自己嫌悪してる人は、あんなに明るくないと思った。

A子 日記ですごく自虐してるよね。自虐できる時点で、自分のことを俯瞰して見てる。他人の目を気にしすぎているというネガティブな感じではなくて、本当はすごく周囲が「見えてる」し、なおかつ自分を持っている子と思った。

――一子は編集者でみなさんと同業ですよね。一子の仕事ぶりはどうですか?

C代 一子の日記はボキャブラリーが豊かだし、妄想力、思い込んだことは猪突猛進なところも編集やライター向きだなって思った。だから、経理から編集部に異動になってよかった! 編集部の男性社員・カニ山は、よくぞ声をかけてくれた!

A子 カニ山はいい上司だなー。一子を適材適所に配置したよね。仕事以外は女にだらしないダメな男かもしれないけど、一子の才能を見抜く目を持ってた。

B美 でもカニ山、アラフィフの男性編集者にいがちなタイプな気もする。一子がチンコとか包茎、AVの話をするから「面白い!」「お前はセンスある」と買ってるワケでしょ? そういう過激な下ネタを話す女子を「面白い」と評価するオジサン、よくいる感じだなあって。結局、一子に任せたのも「AV現場取材」だし。

C代 そう言われてみれば、典型的な男性編集者かも。カニ山みたいに、見た目がキレイでかわいい女性スタッフ・緑川を愛玩道具としてそばにおきつつ、一子みたいな子には「お前は面白い!」と発破をかけて、どんどん仕事させるって構図。いろんな編集部で見るな……。リアルだなあ。

A子 あとは企画会議のシーン。一子がライターの持ってきた「合コンの成功率を上げるLINE術」企画に「死ぬほどつまんねー」「無性にムカムカしてきた」って心で毒づいてるところが面白かった。私もあんなの提案されたらつまらなさに白目剥く! でも、その手の記事ってよく読まれるんだよね……。 

B子 「彼にかわいいと思われるLINE術」とかでしょ? あんな記事、得体のしれない人たちが適当に書いてるのにね。そういうつまんない記事多い。

C代 その手の記事を書いてるライターが、一子の大好きな東方神起のインタビューをやったと判明したときも印象的だった。「なぜこんなダサい女が東方神起に会えて、私が会えないのか」って愕然とするところ。一子にとったら、つまらない=ダサいんだよね。でも一子よ、残念ながら、面白さよりダサいコピペ文が求められる世界もあるのだよ……。

ーー東方神起といえば、K-POPアイドルのオタ友・ハマチ子も出てきます。デザイナーで恵比寿の立派なマンションに住みつつ、年下の男とばかりセックスしているという。一子に男を紹介したり、仕事を手伝ったり、良い関係に見えます。

一同 ハマチ子はいい子だよね〜。

A子 趣味で知り合った友達って、プライベートの事情まで話す関係になかなかならない。だけど、ハマチ子は一子に自分の家族の問題や、男関係も話してるでしょ? オタク友達の垣根を越えたきっかけはなんだろう。2人の家が恵比寿と駒込で近いから、しょっちゅう会えてるのもうらやましい。私のオタ友は高槻在住だから全然会えない。 

B美 この年になると、自分に怒ってくれる人なんていなくなるから、ハマチ子みたいな子は貴重。それに2人が推してるのが東方神起、EXO、NCTというSMエンターテインメントの系譜なのもいい。そっち系のオタクなのね、ってリアルに想像できる(笑)。

C代 ハマチ子、チャンミンがファンに送った「一日でもはやく彼氏でも作って花見にいきなさい」ってメッセージに暗くなってよね。私も読みながらズーンときた(笑)。一子とハマチ子が明け方までEXOの動画みたり、新大久保で焼き肉食ってるのは自分のことかと思ったし。ハマチ子が東方神起のダンスを全力で踊って、ピンチに陥った一子を助けるシーンには、グッときたな。

A子 それで結局、ハマチ子が男をゲットするのも「ちゃっかりしてんな〜」って笑えた(笑)。

「ソフトクリーム食べないなんて女の子じゃない」!?

ーー一子の周りにも、3人の男性が登場しました。ハマチ子の紹介で知り合ったひどいワキガのサラリーマン“ワキガマン”、大学時代の片思い相手・伊知郎、そして仕事つながりで出会ったAV男優・太。

A子 一子と交際することになったワキガマンのインパクトが強すぎたな。デート先のマザー牧場で、一子がソフトクリームを食べないでいたら「牧場デートでソフトクリーム食べないなんて女の子じゃないよ」って言ったじゃん。腰抜かしたわ。

B美 お前の「女の子」観はどこでなに見て育ったんだよ! メールで「チューしたいナリ」「ハグハグしたいナリ」と、「〜ナリ」で終わるくだりも、とにかく気持ち悪い。でも、こういう人ってリアルにいそうだから、すごくイメージしやすかったけど(笑)。

C代 ワキガマンの言動がどんどん狂っていくのは、ちょっとしたホラー。次はどんな気持ち悪いこと言うんだろ? って読む手が止まらなかった(笑)。

ーー大学時代の先輩・伊知郎との出来事は、一子の「黒歴史ランキング1位」でした。物語の序盤と終盤に登場してきた伊知郎、どうでしたか?

A子 この伊知郎、大学時代に何年もかけて一子をハメる悪策を練ってたんですよね。登場したときは「こいつ……」って、ねっとりした目で伊知郎を見てたけど、十数年ぶりの再会で印象が変わった。

B美 大学時代はイケメンのやり手で鳴らしてたのに、いまやってることが「YouTuber」「イベントのオーガナイザー」「俳優」で、さらに「芥川賞を目指して執筆中」。もう「頑張れよ!」としか言えない(笑)。

C代 伊知郎の胡散臭さ、新宿の珈琲西武にいそうだなあ。いま伊知郎が大学生だったら、バイナリオプションとかに手を出してそう。

A子 飲み会の一番最後に登場して「さっきまで編集者と打ち合わせしててさ」「昨日も2時間しか寝てないわ」とか聞いてもないのにアピールしてきそう。伊知郎と再会をした一子が、「私の才能に嫉妬してるんでしょ」って言ったでしょ? 私も、伊知郎は結局、一子に嫉妬してたんだと思う。

ーーお笑い芸人を目指すAV男優の太には、一子が面と向かって「わたしとセックスしてほしい」と告げましたね。

C代 太……。仕事内容や将来のことで悩んでるのは伝わるんだけど、面白みがない男だった。一子はなんで太が好きなんだろう? AV現場取材でチンコ見たから?

A子 結局、顔がイケメンだから? 自分やハマチ子の顔のことは自虐するのに、男のことは顔で選ぶんだよなあ、一子……。

C代 性格は気にしてないのかな。もしかして、自分でもどんな人と付き合いたいのか、わかってないのかも。性格とか、男の内面に求める基準がないから、外見だけでジャッジしてる可能性もある。それに、太にはっきりと「無理」と振られたのに、一子は友達として続けてくんだよね。今後、交際してセックスすることを期待してるのかな?

B美 一子は、太とセックスできないままでいいと思う。そもそも、処女であることも、言うほど悩んでない気がする。セックスじゃなくて、心のつながり、コミュニケーションみたいなものを一子は欲しいんじゃないかな……。だって、ワキガマンと念願のセックスをできる場面が目の前に訪れたのに、自分から手放してたし。マジで一番の悩みだったら、相手がワキガマンでもヤルはず。

A子 一子、自分がほしいものを探してる最中なのかな? 自分探し中……(笑)? 処女というポイントばかり本人は問題視してたけど、仕事も趣味も友達関係も、いまが一番楽しそうに見える。そのうち好きな子ができて、セックスできると思う。処女だろうとなんだろうと、むしろ一子は恵まれてるよ!

C代 人間関係もいい感じだし、体力も性欲も食欲も20代レベルに満ちてるのが一番うらやましいな。会社で徹夜したり、日常的に豚の背脂の塊食をべたりできる36歳、素晴らしい。

B美 一子、いいなあ。処女喪失=人生の再スタートなんて日記に掲げてたけど、とっくに良い人生送ってるじゃん! 

A子 タイトルは『21世紀の処女』で、処女脱出を目的にしてるとはいえ、人生にジタバタしてる女なら誰でも面白く読めるんじゃないかな。……っていうか、他人のことなら「十分恵まれてるじゃん!」とか「こんないい部分があるのに!」とかわかるけど、いざ自分のことになると全然わからなくてジタバタしちゃうよね(笑)。

一同 確かに! あがいてるのは一子だけじゃなかった……(笑)!

『21世紀の処女』

甲子園は「感動ポルノ」? “頑張る高校生”として消費された、ブラバン&チア部が「中止でよかった」と本音対談

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、3月に開催予定だった「第92回選抜高等学校野球大会(センバツ)」中止に続き、8月の「第102回全国高等学校野球選手権大会」いわゆる「夏の甲子園」も中止となった、2020年の夏。7月以降、全国各地で代替大会が行われているほか、8月10〜17日には、センバツへの出場が決まっていた全32校による「2020年甲子園高校野球交流試合」が無観客で開催され、高校球児たちが汗を流していた。

 甲子園といえば、吹奏楽部やチアリーダーがアルプススタンドで応援のパフォーマンスを行う光景もおなじみになっているが、今年は無観客試合となり、現地での応援はなし。「応援団がいなくて残念」という声もあるが、実際にスタンドから高校球児を応援していた人たちは、どのような思いがあるのだろうか。今回は、元当事者たちに、リアルな実情や本音をぶちまけてもらった。

<座談会参加者>

A子:関東近郊の某公立高校、吹奏楽部出身
B美:地方都市の某私立高校、チアリーディング部出身

野球応援に“駆り出される”私たちのホンネ

――別々の部活に所属していたお二人ですが、「野球部を応援する」という同じ活動をしていたんですね。

A子 私が所属していた吹奏楽部は、顧問の方針もあって、高校野球の応援によく駆り出されていました。でも、炎天下での演奏は大変だし、自分たちだって大会の練習があるのに……と、正直モヤモヤする時もあったりして。

B美 私はチアリーディング部として、野球部の応援に行きましたね。当時はこれも活動の一つだと思っていたし、普段の練習よりラクっちゃラクだったので、それなりに楽しんでいたかな。でも引退してから、メディアが応援も含めて感動を煽るような取り上げ方をしていて、すっかり高校野球が苦手に……(笑)。

――今年は甲子園が中止になりましたが、各地で代替大会が行われていました。しかし、スタンドでの応援は自粛になり、SNSでは「応援がなくて寂しい」という声も見られます。一方、応援をする当事者からの声は、あまり表に出ません。

A子 応援に行くのが当たり前になっているので、本音では「行きたくねえ」と思っていても、大きな声では言いづらいです。うちの高校の吹奏楽部の場合、顧問が高校野球大好きで「みんなで行くぞ!」というテンションだったので、問答無用で応援に行かされていました。吹奏楽部のコンクールと日程がかぶったりしない限りは、原則全員参加で、「行かない」という選択肢はない。でも、自分たちだって夏にコンクールを控えているんです。野球部が頑張っているのもわかるけど、野球部が勝ち進むと自分たちの練習時間がなくなってしまうため、私は「この辺で負けてくれないかな〜」と思うことが結構ありました。

B美 ブラバンやチアって、高校野球の応援が「活動の一環」になっていて、「当然応援するもの」だと思いこまされていますよね。個人の気持ちはさておき、少なくとも建前としては、自分たちの学校のチームを応援する。でも、部活動の一環として強制的に応援させられている以上、内心「負け」を願うこともあります。

 私がいたチア部でも「負けてほしい」とこっそり言っている子はいました。「スタンツ(組体操)やダンスがやりたくて入部したのに、なんで野球の応援しなきゃいけないの?」って。生真面目でストイックな子ほど、疑問を抱いていた印象です。それでも、応援しているうちに感化されてくるというか、「演技で人を元気にする、応援するのがチアというスポーツ」だと日頃から顧問に言われていたので、だんだん積極的に応援するようになっていました。一方で、野球部が勝ち進めば進むほど、自分たちの練習時間が減ってしまうことも頭にはありました。夏はチアも大きな大会を控えていましたから。

A子 ぶっちゃけ、「あそこの高校は野球部強くないから練習できていいよな」って思ったりしていました(笑)。野球部が負けてくれれば、自分たちの練習に時間を費やせるのにな、と。

B美 わかります(笑)。しかも野球の試合って長いし、延長戦になると3時間以上かかっちゃったりもして、当然決着がつくまでやるから、終わりの時間が見えない。生理中の野球応援が本当につらかったのを覚えてますね。

A子 どんなに延長して試合終了が遅くなっても、私のいたブラバンは球場から学校に戻って自分たちの練習をしなければならず、それが一番嫌でした。ブラバンはブラバンで大会を控えているので練習しなきゃいけませんが、体が疲れているから、100%の力では練習できないし、効率も悪い。ずっと残業しているようなもので、実のある練習になっていたのか疑問です。野球部の人たちは、今ごろ家に帰ってクールダウンしてるだろうなって思いながら、こっちは練習……。不公平だなあって思っちゃいますね。

B美 野球部のスケジュールにかなり振り回されますよね。野球の応援が好きな子はいいけど、そうじゃなければ納得がいかないと思います。

――野球応援をしている時に「大変だな」と思うことはありますか?

B美 ブラバンの人たちは、試合の状況を見て「どの曲をやるか」を判断しなきゃいけないから、大変そう。場面によって演奏する曲が変わってくるじゃないですか? チアはブラバンの演奏する曲に合わせればいいですが。

A子 そうなんです。打者によっても曲が変わるし、ヒットの曲、ホームランの曲と、場面によって演奏する曲が決まっていて、常に試合を見ている必要がありました。あと、「演奏してはいけない時間」っていうのがあって。たとえば、選手たちが集まって指示を受けている間は、絶対演奏しちゃいけないんですよ。なぜならば「うるさいから」。じゃあブラバン呼ぶなよ(笑)!

B美 いやいや、何様だよ……って感じですね。

A子 どのくらいうるさいんだろうと思って、野球部に聞いたことがあるんですけど、どうやら本当に迷惑らしくて。ブラバンの顧問は「迫力のある応援をすることで、相手チームにプレッシャーを与える」とか言っていましたが、実際は自分たちの学校の野球部にとってもプレッシャーだったみたいです。満塁になった時や、逆転できそうな時に演奏する曲もあるんですが、「その曲が流れると緊張するからやめてほしい」と言われましたからね。それからというもの、「応援」という行為自体が一方的なものである、ということを忘れないようにしようと思ってます。

――逆に、応援していて「楽しいこと」はありましたか?

B美 入部当初は、チアのユニフォームが着られることだけでうれしかった気がしますね。応援うんぬんより、「自分がチアリーダーになれた」と実感することが重要でした。私の場合、当時はチア部のある高校自体が珍しかったし、チア部であるという事実が自分の中でアイデンティティになっている部分もあって。他校の友達に「チアは野球の応援とかできて楽しそう」とかうらやましがられると、うっすら気分がよかったり。

 そういう意味では、正直なところ、本心から野球部を応援しているわけではなく、自分のアイデンティティを確認するための活動の一つだったんだと思います。だんだん試合が面白くなって、多少は気持ちが入るようになりましたが……。冷静に振り返ると、野球部が勝ち進むことのうれしさは、自分のアイデンティティを確認する機会が増えたからだったのかもしれません。でもそれって、チアの大会に出場した時にも得られていたし、「野球の応援」だからこそ得られるものってわけではないかなあ。

A子 私は自分の知っている子が試合で活躍している時ぐらいじゃないと楽しくなかったですね(笑)。1年生の頃は同級生も出ていないし、試合を見ていても正直よくわからないし、別に楽しくない。そのくせ暑い中での演奏はすごく大変。だから、1、2年の時は全然楽しくなくて、3年になってようやくクラスメイトが選手として出るようになり、応援する気持ちになりましたけど。

B美 逆に「応援が楽しくて仕方ない!」という感じの子もいましたね。まあ、チアは「笑顔」で応援するというスポーツなので、試合会場でも明るく元気に振る舞わなければいけないのですが……。感極まって涙目になっている子もいたなあ。

A子 自分の学校が負けて泣いている子もいましたね。そんな中、私は周りが泣いていると、どんどんしらけて「やれやれ終わった」と……。うちの高校の場合、一番楽しんでいたのは顧問の先生だったと思います(笑)。

――ブラバンやチアは野球の応援に行って当たり前とのことですが、野球部が大会の応援に来ることはあるんですか?

B美 チアの大会に、野球部が来たことはなかったですね。野球部が今、どのくらい勝ち進んでいるのかはみんな知ってたけど、チアの大会についてはほとんど知られていなかったかも。

A子 ブラバンの場合、定期演奏会だけは来てくれましたが、野球部が吹奏楽コンクールを見に来たという話は聞いたことがないですね。「お前らも来い」と言いたいわけではないですが、「野球部を応援するのは当然」だと本人たちも思っていることを、如実に表しているような気がしてしまいます。

B美 高校の運動部は硬式野球部だけじゃないのに、なぜか「高校野球」だけは応援に行こうという雰囲気になっていますよね。特に甲子園出場校が決まる夏の地方大会は、そこまで強い学校じゃなくても、一応応援には行くというか。

A子 ほとんど“学校行事”みたいな扱いですよね。私の学校は部活動に力を入れるのもあってか、野球部のレギュラーの子が授業中に寝ていても、先生が「こいつ頑張っているし、まあしょうがないか」みたいな感じで、明らかに特別視していました。

B美 友達の高校では、野球部だけ掃除が免除されていたそうです。私の高校はむしろ、運動部はやたら共用スペースの掃除を担当させられていたし、世の中には素手でトイレ掃除をやっている強豪の野球部もあるというので、一概には言えませんが。

――話を聞いていると、「高校野球」はずいぶんと甘やかされているというか、何かにつけ特別扱いされている印象です。

B美 今振り返ると、そういう面はありましたね。私の地元の新聞では、夏の地方大会シーズンになると、強豪校のみならず、地方大会に参加する野球部の一覧表が掲載されるんですよ。キャプテンの顔写真や抱負、ベンチ入りした選手の名前や出身中学、身長まで載っていました。地元密着型の地方紙とはいえ、アマチュアスポーツである部活動で、予選の段階からそこまで取り上げられるのは高校野球くらいじゃないですかね。

A子 学校内だけでなく、メディアも高校野球だけは特別枠として取り扱いますよね。なんでだろう、不思議。

B美 その甲斐あってか、確かに注目度は高くて、自分の地元ではどの高校が甲子園に行くのか、自分の母校がどこまで勝ち進んだのか、熱心に追っている人がたくさんいましたね。じゃあ、そういう人が普段から野球好きかといえば必ずしもそうではなくて、「高校野球」「甲子園」というコンテンツを消費しているんだろうなと。

A子 「高校野球」がいかに消費されているかは、高校野球と無関係の立場になって、外から俯瞰して見るとよくわかりますよね。『熱闘甲子園』(テレビ朝日系)なんかで負けたチームの選手たちが泣いている姿がやたら映されるのは、「感動ポルノだなあ」と思うし。

B美 試合前の中継で、選手たちが円陣を組んでいる場面が映されて、キャスターが「さっきマネジャーの女の子に聞いたんですけど、今年のチームは何回も円陣を組んでいるそうです。バラバラになりそうな心を一つにするために……」と、心揺さぶるような説明をしていたのを見たことがあります(笑)。高校サッカーの中継でも、敗退したチームの選手たちが号泣して、そんな彼らを監督が𠮟咤激励する場面を見ましたけど、“感動的なシーン”を見せまくって、酔いやすいようにプログラムされているんですかね。

A子 むしろ、試合そのものよりも“感動的なシーン”がメインになっていますよね。男泣きする選手や監督、献身的な女子マネジャー、円陣を組む様子、スタンドで応援するチアリーダーばかりを映して、わかりやすく美しい物語に仕立て上げる。でも、高校球児たちはいいプレーをしたり、試合に勝つために練習を頑張っているわけで、泣いてる場面なんか見てほしくないんじゃないかな。自分だったら、めちゃくちゃかっこいいプレーをしたところだけ映してくれよ、と思いますけど。

――甲子園のテレビ中継では、「炎天下で健気に応援する高校生」として、吹奏楽部やチアリーダーも「感動ポルノ」に巻き込まれているように思います。当事者たちも、自分たちが注目され、消費されている意識はあったのでしょうか?

B美 注目されているという意識はありましたね。チアはユニフォームがどうしても目立つため、野球の応援に限らず、そこにいるだけで良くも悪くも注目されてしまうことは、わかっていました。ただそれはどちらかというと「エロ目線で見られてしまう」「性的消費される」という意味合いで、「感動ポルノ」の対象にもなっていたことは、競技を離れてから気づきました。

A子 私も当時は演奏することに必死で、「注目を浴びている」「消費されている」という意識はなかったです。でも、卒業後に「ここのブラバンの応援はすごい!」と、わざわざYouTubeに動画が上がっているのを知って、「こんなふうに見られていたんだ」と驚いた感じです。

B美 メディアでは、さも「その場にいる全員が勝利を願い、心を込めて応援している」かのように映されますよね。実際は応援している側も、いろいろなことを思いながらやっているわけですが。

A子 さっき話していたように、「暑くてしんどい」とか「このへんで負けないかな」って思っていたりもするのに、外野から「みんなが一体になって応援してる」「みんなが野球を楽しんでいる」という理想を押しつけられているというか。だから私は、いま高校野球の応援席を見ると、「この子たち、暑い中で長時間応援して、終わってから練習するのかな?」と思ってつらくなります(苦笑)。

B美 炎天下での応援は熱中症の危険もあるので、「ここまでやらなくちゃいけないの?」と疑問に感じたりもします。あと、チアの場合、応援のパフォーマンスよりもユニフォーム姿を消費されている側面もあり、写真や動画がネットで出回ったりもしているので、学校側はどう考えているのか、すごく気になりますね。

――甲子園の中止が発表された時、世間では「かわいそう」「やらせてあげたかった」といった声が多かったです。

A子 私は正直、「高校野球」について考えるタイミングができたという意味で、中止になってよかったんじゃないかと思います。吹奏楽コンクールもほとんど中止になってしまったようですが、これでようやく、自分たちだけのために楽器を演奏できるんじゃないかな、とも。それと、応援に行く本人たちも大変だけど、その親や関係者も毎年本当に大変そうだったので、内心ホッとしてる人は案外多いかもしれません。

B美 授業数の不足や受験への影響も懸念されている状況ですし、親御さんは安心していそうですよね。チアリーディングは、いつも夏に開催している大会を秋に延期したようですが、高校3年生の子たちはどうするのかな……。

 一方で、不完全燃焼になっちゃった子もいると思います。ただ、甲子園などの大きな大会を「中止になってかわいそう」なものにしているのは、大人たちですよね。10代の頃の経験が大事なのもわかりますが、残念ながら時間は戻らないし、今回のような不測の事態が起こることもある。「高校最後の夏」「二度とない青春」と神聖化して重みを持たせるのは、ますます彼らを苦しめることにならないでしょうか。

A子 その点、全国で代替の大会が行われているのはよかったと思います。でも、「かわいそう」はやめてほしいですよね。大人なら、「今回は残念だったけど、それだけじゃないよ」「まだまだ楽しいことが待ってるよ」と言ってあげるべきなんじゃないかなあ。

B美 高3で引退して卒業後はゆっくりするつもりだったのに、コロナ禍で引退試合を逃したことで、「これで終わるのは自分がかわいそう」あるいは「負けた」ような気がして、大学でも競技を続けなければ、と思わされる子もいるんじゃないか……とか考えちゃうと、複雑です。競技を純粋にやりたいならいいけど、メディアや大人によって植えつけられた「かわいそう」という思考回路で、競技に時間を費やすのは違うと思うし。

A子 高3の引退と同時にやめるのは、確かにキリがいいですよね。とはいえ、部活動で結果を残せても残せなくても、そこで人生が終わるはずもなく、10代が終わっても人生は続く。スポーツも音楽もなんでも、20代、30代、もっと大人になってから始めたっていいわけですし。大人たちが10代の子に向けて「10代の今が一番楽しい」「輝かしい時期は今だけだよ」と言うのは、よくないですよね。

B美 ぶっちゃけて言えば、10代の頃よりも大人になった今のほうが楽しいし、お金も自由もある(笑)。「やらせてあげたかった」気持ちもなくはないですが、「まだまだやりたいことをやっていいんだよ」と声をかけてあげたほうが、救われる人が多いんじゃないでしょうか。

甲子園は「感動ポルノ」? “頑張る高校生”として消費された、ブラバン&チア部が「中止でよかった」と本音対談

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、3月に開催予定だった「第92回選抜高等学校野球大会(センバツ)」中止に続き、8月の「第102回全国高等学校野球選手権大会」いわゆる「夏の甲子園」も中止となった、2020年の夏。7月以降、全国各地で代替大会が行われているほか、8月10〜17日には、センバツへの出場が決まっていた全32校による「2020年甲子園高校野球交流試合」が無観客で開催され、高校球児たちが汗を流していた。

 甲子園といえば、吹奏楽部やチアリーダーがアルプススタンドで応援のパフォーマンスを行う光景もおなじみになっているが、今年は無観客試合となり、現地での応援はなし。「応援団がいなくて残念」という声もあるが、実際にスタンドから高校球児を応援していた人たちは、どのような思いがあるのだろうか。今回は、元当事者たちに、リアルな実情や本音をぶちまけてもらった。

<座談会参加者>

A子:関東近郊の某公立高校、吹奏楽部出身
B美:地方都市の某私立高校、チアリーディング部出身

野球応援に“駆り出される”私たちのホンネ

――別々の部活に所属していたお二人ですが、「野球部を応援する」という同じ活動をしていたんですね。

A子 私が所属していた吹奏楽部は、顧問の方針もあって、高校野球の応援によく駆り出されていました。でも、炎天下での演奏は大変だし、自分たちだって大会の練習があるのに……と、正直モヤモヤする時もあったりして。

B美 私はチアリーディング部として、野球部の応援に行きましたね。当時はこれも活動の一つだと思っていたし、普段の練習よりラクっちゃラクだったので、それなりに楽しんでいたかな。でも引退してから、メディアが応援も含めて感動を煽るような取り上げ方をしていて、すっかり高校野球が苦手に……(笑)。

――今年は甲子園が中止になりましたが、各地で代替大会が行われていました。しかし、スタンドでの応援は自粛になり、SNSでは「応援がなくて寂しい」という声も見られます。一方、応援をする当事者からの声は、あまり表に出ません。

A子 応援に行くのが当たり前になっているので、本音では「行きたくねえ」と思っていても、大きな声では言いづらいです。うちの高校の吹奏楽部の場合、顧問が高校野球大好きで「みんなで行くぞ!」というテンションだったので、問答無用で応援に行かされていました。吹奏楽部のコンクールと日程がかぶったりしない限りは、原則全員参加で、「行かない」という選択肢はない。でも、自分たちだって夏にコンクールを控えているんです。野球部が頑張っているのもわかるけど、野球部が勝ち進むと自分たちの練習時間がなくなってしまうため、私は「この辺で負けてくれないかな〜」と思うことが結構ありました。

B美 ブラバンやチアって、高校野球の応援が「活動の一環」になっていて、「当然応援するもの」だと思いこまされていますよね。個人の気持ちはさておき、少なくとも建前としては、自分たちの学校のチームを応援する。でも、部活動の一環として強制的に応援させられている以上、内心「負け」を願うこともあります。

 私がいたチア部でも「負けてほしい」とこっそり言っている子はいました。「スタンツ(組体操)やダンスがやりたくて入部したのに、なんで野球の応援しなきゃいけないの?」って。生真面目でストイックな子ほど、疑問を抱いていた印象です。それでも、応援しているうちに感化されてくるというか、「演技で人を元気にする、応援するのがチアというスポーツ」だと日頃から顧問に言われていたので、だんだん積極的に応援するようになっていました。一方で、野球部が勝ち進めば進むほど、自分たちの練習時間が減ってしまうことも頭にはありました。夏はチアも大きな大会を控えていましたから。

A子 ぶっちゃけ、「あそこの高校は野球部強くないから練習できていいよな」って思ったりしていました(笑)。野球部が負けてくれれば、自分たちの練習に時間を費やせるのにな、と。

B美 わかります(笑)。しかも野球の試合って長いし、延長戦になると3時間以上かかっちゃったりもして、当然決着がつくまでやるから、終わりの時間が見えない。生理中の野球応援が本当につらかったのを覚えてますね。

A子 どんなに延長して試合終了が遅くなっても、私のいたブラバンは球場から学校に戻って自分たちの練習をしなければならず、それが一番嫌でした。ブラバンはブラバンで大会を控えているので練習しなきゃいけませんが、体が疲れているから、100%の力では練習できないし、効率も悪い。ずっと残業しているようなもので、実のある練習になっていたのか疑問です。野球部の人たちは、今ごろ家に帰ってクールダウンしてるだろうなって思いながら、こっちは練習……。不公平だなあって思っちゃいますね。

B美 野球部のスケジュールにかなり振り回されますよね。野球の応援が好きな子はいいけど、そうじゃなければ納得がいかないと思います。

――野球応援をしている時に「大変だな」と思うことはありますか?

B美 ブラバンの人たちは、試合の状況を見て「どの曲をやるか」を判断しなきゃいけないから、大変そう。場面によって演奏する曲が変わってくるじゃないですか? チアはブラバンの演奏する曲に合わせればいいですが。

A子 そうなんです。打者によっても曲が変わるし、ヒットの曲、ホームランの曲と、場面によって演奏する曲が決まっていて、常に試合を見ている必要がありました。あと、「演奏してはいけない時間」っていうのがあって。たとえば、選手たちが集まって指示を受けている間は、絶対演奏しちゃいけないんですよ。なぜならば「うるさいから」。じゃあブラバン呼ぶなよ(笑)!

B美 いやいや、何様だよ……って感じですね。

A子 どのくらいうるさいんだろうと思って、野球部に聞いたことがあるんですけど、どうやら本当に迷惑らしくて。ブラバンの顧問は「迫力のある応援をすることで、相手チームにプレッシャーを与える」とか言っていましたが、実際は自分たちの学校の野球部にとってもプレッシャーだったみたいです。満塁になった時や、逆転できそうな時に演奏する曲もあるんですが、「その曲が流れると緊張するからやめてほしい」と言われましたからね。それからというもの、「応援」という行為自体が一方的なものである、ということを忘れないようにしようと思ってます。

――逆に、応援していて「楽しいこと」はありましたか?

B美 入部当初は、チアのユニフォームが着られることだけでうれしかった気がしますね。応援うんぬんより、「自分がチアリーダーになれた」と実感することが重要でした。私の場合、当時はチア部のある高校自体が珍しかったし、チア部であるという事実が自分の中でアイデンティティになっている部分もあって。他校の友達に「チアは野球の応援とかできて楽しそう」とかうらやましがられると、うっすら気分がよかったり。

 そういう意味では、正直なところ、本心から野球部を応援しているわけではなく、自分のアイデンティティを確認するための活動の一つだったんだと思います。だんだん試合が面白くなって、多少は気持ちが入るようになりましたが……。冷静に振り返ると、野球部が勝ち進むことのうれしさは、自分のアイデンティティを確認する機会が増えたからだったのかもしれません。でもそれって、チアの大会に出場した時にも得られていたし、「野球の応援」だからこそ得られるものってわけではないかなあ。

A子 私は自分の知っている子が試合で活躍している時ぐらいじゃないと楽しくなかったですね(笑)。1年生の頃は同級生も出ていないし、試合を見ていても正直よくわからないし、別に楽しくない。そのくせ暑い中での演奏はすごく大変。だから、1、2年の時は全然楽しくなくて、3年になってようやくクラスメイトが選手として出るようになり、応援する気持ちになりましたけど。

B美 逆に「応援が楽しくて仕方ない!」という感じの子もいましたね。まあ、チアは「笑顔」で応援するというスポーツなので、試合会場でも明るく元気に振る舞わなければいけないのですが……。感極まって涙目になっている子もいたなあ。

A子 自分の学校が負けて泣いている子もいましたね。そんな中、私は周りが泣いていると、どんどんしらけて「やれやれ終わった」と……。うちの高校の場合、一番楽しんでいたのは顧問の先生だったと思います(笑)。

――ブラバンやチアは野球の応援に行って当たり前とのことですが、野球部が大会の応援に来ることはあるんですか?

B美 チアの大会に、野球部が来たことはなかったですね。野球部が今、どのくらい勝ち進んでいるのかはみんな知ってたけど、チアの大会についてはほとんど知られていなかったかも。

A子 ブラバンの場合、定期演奏会だけは来てくれましたが、野球部が吹奏楽コンクールを見に来たという話は聞いたことがないですね。「お前らも来い」と言いたいわけではないですが、「野球部を応援するのは当然」だと本人たちも思っていることを、如実に表しているような気がしてしまいます。

B美 高校の運動部は硬式野球部だけじゃないのに、なぜか「高校野球」だけは応援に行こうという雰囲気になっていますよね。特に甲子園出場校が決まる夏の地方大会は、そこまで強い学校じゃなくても、一応応援には行くというか。

A子 ほとんど“学校行事”みたいな扱いですよね。私の学校は部活動に力を入れるのもあってか、野球部のレギュラーの子が授業中に寝ていても、先生が「こいつ頑張っているし、まあしょうがないか」みたいな感じで、明らかに特別視していました。

B美 友達の高校では、野球部だけ掃除が免除されていたそうです。私の高校はむしろ、運動部はやたら共用スペースの掃除を担当させられていたし、世の中には素手でトイレ掃除をやっている強豪の野球部もあるというので、一概には言えませんが。

――話を聞いていると、「高校野球」はずいぶんと甘やかされているというか、何かにつけ特別扱いされている印象です。

B美 今振り返ると、そういう面はありましたね。私の地元の新聞では、夏の地方大会シーズンになると、強豪校のみならず、地方大会に参加する野球部の一覧表が掲載されるんですよ。キャプテンの顔写真や抱負、ベンチ入りした選手の名前や出身中学、身長まで載っていました。地元密着型の地方紙とはいえ、アマチュアスポーツである部活動で、予選の段階からそこまで取り上げられるのは高校野球くらいじゃないですかね。

A子 学校内だけでなく、メディアも高校野球だけは特別枠として取り扱いますよね。なんでだろう、不思議。

B美 その甲斐あってか、確かに注目度は高くて、自分の地元ではどの高校が甲子園に行くのか、自分の母校がどこまで勝ち進んだのか、熱心に追っている人がたくさんいましたね。じゃあ、そういう人が普段から野球好きかといえば必ずしもそうではなくて、「高校野球」「甲子園」というコンテンツを消費しているんだろうなと。

A子 「高校野球」がいかに消費されているかは、高校野球と無関係の立場になって、外から俯瞰して見るとよくわかりますよね。『熱闘甲子園』(テレビ朝日系)なんかで負けたチームの選手たちが泣いている姿がやたら映されるのは、「感動ポルノだなあ」と思うし。

B美 試合前の中継で、選手たちが円陣を組んでいる場面が映されて、キャスターが「さっきマネジャーの女の子に聞いたんですけど、今年のチームは何回も円陣を組んでいるそうです。バラバラになりそうな心を一つにするために……」と、心揺さぶるような説明をしていたのを見たことがあります(笑)。高校サッカーの中継でも、敗退したチームの選手たちが号泣して、そんな彼らを監督が𠮟咤激励する場面を見ましたけど、“感動的なシーン”を見せまくって、酔いやすいようにプログラムされているんですかね。

A子 むしろ、試合そのものよりも“感動的なシーン”がメインになっていますよね。男泣きする選手や監督、献身的な女子マネジャー、円陣を組む様子、スタンドで応援するチアリーダーばかりを映して、わかりやすく美しい物語に仕立て上げる。でも、高校球児たちはいいプレーをしたり、試合に勝つために練習を頑張っているわけで、泣いてる場面なんか見てほしくないんじゃないかな。自分だったら、めちゃくちゃかっこいいプレーをしたところだけ映してくれよ、と思いますけど。

――甲子園のテレビ中継では、「炎天下で健気に応援する高校生」として、吹奏楽部やチアリーダーも「感動ポルノ」に巻き込まれているように思います。当事者たちも、自分たちが注目され、消費されている意識はあったのでしょうか?

B美 注目されているという意識はありましたね。チアはユニフォームがどうしても目立つため、野球の応援に限らず、そこにいるだけで良くも悪くも注目されてしまうことは、わかっていました。ただそれはどちらかというと「エロ目線で見られてしまう」「性的消費される」という意味合いで、「感動ポルノ」の対象にもなっていたことは、競技を離れてから気づきました。

A子 私も当時は演奏することに必死で、「注目を浴びている」「消費されている」という意識はなかったです。でも、卒業後に「ここのブラバンの応援はすごい!」と、わざわざYouTubeに動画が上がっているのを知って、「こんなふうに見られていたんだ」と驚いた感じです。

B美 メディアでは、さも「その場にいる全員が勝利を願い、心を込めて応援している」かのように映されますよね。実際は応援している側も、いろいろなことを思いながらやっているわけですが。

A子 さっき話していたように、「暑くてしんどい」とか「このへんで負けないかな」って思っていたりもするのに、外野から「みんなが一体になって応援してる」「みんなが野球を楽しんでいる」という理想を押しつけられているというか。だから私は、いま高校野球の応援席を見ると、「この子たち、暑い中で長時間応援して、終わってから練習するのかな?」と思ってつらくなります(苦笑)。

B美 炎天下での応援は熱中症の危険もあるので、「ここまでやらなくちゃいけないの?」と疑問に感じたりもします。あと、チアの場合、応援のパフォーマンスよりもユニフォーム姿を消費されている側面もあり、写真や動画がネットで出回ったりもしているので、学校側はどう考えているのか、すごく気になりますね。

――甲子園の中止が発表された時、世間では「かわいそう」「やらせてあげたかった」といった声が多かったです。

A子 私は正直、「高校野球」について考えるタイミングができたという意味で、中止になってよかったんじゃないかと思います。吹奏楽コンクールもほとんど中止になってしまったようですが、これでようやく、自分たちだけのために楽器を演奏できるんじゃないかな、とも。それと、応援に行く本人たちも大変だけど、その親や関係者も毎年本当に大変そうだったので、内心ホッとしてる人は案外多いかもしれません。

B美 授業数の不足や受験への影響も懸念されている状況ですし、親御さんは安心していそうですよね。チアリーディングは、いつも夏に開催している大会を秋に延期したようですが、高校3年生の子たちはどうするのかな……。

 一方で、不完全燃焼になっちゃった子もいると思います。ただ、甲子園などの大きな大会を「中止になってかわいそう」なものにしているのは、大人たちですよね。10代の頃の経験が大事なのもわかりますが、残念ながら時間は戻らないし、今回のような不測の事態が起こることもある。「高校最後の夏」「二度とない青春」と神聖化して重みを持たせるのは、ますます彼らを苦しめることにならないでしょうか。

A子 その点、全国で代替の大会が行われているのはよかったと思います。でも、「かわいそう」はやめてほしいですよね。大人なら、「今回は残念だったけど、それだけじゃないよ」「まだまだ楽しいことが待ってるよ」と言ってあげるべきなんじゃないかなあ。

B美 高3で引退して卒業後はゆっくりするつもりだったのに、コロナ禍で引退試合を逃したことで、「これで終わるのは自分がかわいそう」あるいは「負けた」ような気がして、大学でも競技を続けなければ、と思わされる子もいるんじゃないか……とか考えちゃうと、複雑です。競技を純粋にやりたいならいいけど、メディアや大人によって植えつけられた「かわいそう」という思考回路で、競技に時間を費やすのは違うと思うし。

A子 高3の引退と同時にやめるのは、確かにキリがいいですよね。とはいえ、部活動で結果を残せても残せなくても、そこで人生が終わるはずもなく、10代が終わっても人生は続く。スポーツも音楽もなんでも、20代、30代、もっと大人になってから始めたっていいわけですし。大人たちが10代の子に向けて「10代の今が一番楽しい」「輝かしい時期は今だけだよ」と言うのは、よくないですよね。

B美 ぶっちゃけて言えば、10代の頃よりも大人になった今のほうが楽しいし、お金も自由もある(笑)。「やらせてあげたかった」気持ちもなくはないですが、「まだまだやりたいことをやっていいんだよ」と声をかけてあげたほうが、救われる人が多いんじゃないでしょうか。

甲子園中止、今だから言える“チアリーダー”のホンネ……「男子の応援」に駆り出される女子が抱える、密かな葛藤

 新型コロナウイルス感染拡大のため、今年は「全国高等学校野球選手権大会」が中止に。球児たちから悲しみの声が上がる一方で、応援席から彼らに声援を送る人たちは、いま何を思うのだろうか。チアリーダーとして活動した経験のある冷田夏子さんに寄稿していただいた。

 今年は新型コロナウイルスの影響で中止になってしまったが、毎年この時期は「全国高等学校野球選手権大会」、いわゆる「夏の甲子園」の真っ最中だ。甲子園出場ともなれば、学校側の「応援」にも俄然気合が入る。

 率先して「応援」することを期待される存在といえば、応援歌でスタンドを盛り上げる吹奏楽部、そしてチアリーダーたちだ。「チアガール」と呼ばれたりもする。甲子園の主役は言うまでもなく高校球児の男子たちだが、インターネット上にはなぜか「甲子園チアガール特集」「美人チアリーダーまとめ」として、毎年、“応援する女子”の写真や動画が多数アップされ、消費されている。

「女子だけ」が当たり前になっているスポーツ・チアリーディング

 私も高校・大学時代に「チアリーダー」を経験した。ただし、私が所属していたのは「チアリーディング」という競技がメインの部活動。チアリーディングはスタンツと呼ばれる組体操をはじめ、モーションやダンス、タンブリング、ジャンプなど、オールマイティーな技術が求められる、ハードなスポーツだ。筋トレもするし、練習は厳しい。一方で、野球部、サッカー部、ラグビー部などの大会があれば、「応援」に駆り出された。

 高校、大学とも共学でありながら、私が所属したチアリーディング部は、どちらも部員は女子のみ。そもそも、チアリーディングの競技人口は女子が圧倒的に多く、大多数のチームが女子のみで編成されている。しかし、チアリーディングは女性限定のスポーツではなく、男女混成でチアリーディング競技を行う大学や社会人チームもかなり前から存在している。2010年に刊行された朝井リョウの小説『チア男子!』(集英社)は、早稲田大学の男子チアリーディングチームをモデルに書かれた作品だ。とはいえ、「チア男子」というタイトルが成り立つこと自体、チアリーディングは女子のスポーツであり、男子は異質な存在であることを具現化しているようにも思う。

 現役時代、男女混成の社会人チームと合同練習をしたことがある。男子によるスタンツは安定力が凄まじく、男子がいることでよりダイナミックな演技ができるのだと感じた。大会でも、男女混成チームの演技にはいつも圧倒されていた。一方で、自分自身が所属する部では「女子だけ」であることを当たり前に受け止め、男子部員の加入を現実的に検討したことは一度もない。なぜか「男女混合でやりたいなら、社会人になってから入ればいい」という考えがあったように思う。

「チアといえば、ミニスカートの女子」という世間のイメージ

 少女たちは、なぜ「チアをやりたい」と思うのか。そこにどんな欲求があるのかは、きっと人それぞれだ。ユニフォームも含め、見た目の「華やかさ」や、「これをやっているとチヤホヤされそう」という予感、あるいは「女子っぽい感じ」に惹かれて、またあるいは「野球やサッカーの応援がしたい」「モテたい」からチアを始める子もいるだろう。逆に、アクロバットなスタンツやキレのあるダンスに惹かれ「やりたい」と思ったけれど、ユニフォームのミニスカートに抵抗を覚え、躊躇した子もいるかもしれない。

 私が所属していたのは、大会上位を狙い、チアリーディングという競技に熱心に取り組む“ザ・体育会系部活動”の世界だったため、入部動機として「チヤホヤされたい」「女子っぽい感じに惹かれた」と大っぴらに話す子はいなかった。そのような入部動機は、顧問やコーチ、先輩たちからまず歓迎されないし、さらに10代の頃は、自分に「チヤホヤされたい」欲求があると直面化すること自体しんどかったりもする。もし、「どうしてチアを始めたの?」と人に聞かれたら、「楽しそうだったから」「先輩がかっこよかったから」などと無難に答えればよく、これらの答えも決して嘘ではないだろう。

 このように、私たちの間では、始める動機からして「チア」には明確な区別があり、目指す方向も違う。しかし、野球やサッカーの試合会場でポンポンを振って声援を送る「チア」であれ、スタンツなどでアクロバットな技を決める「チア」であれ、多くの場合、女子のユニフォームとして取り入れられているのは「ミニスカート」だ。老若男女問わず、「チアといえば、ミニスカートの女子」というイメージが先行している人もいるだろう。

 00年代から10年代にかけて、チアリーディングという“競技”が広く知られるようになった。しかし、甲子園を含む大会の場では、チアリーダーに「女子が男子を元気づける」役割のようなものを期待され、性的に消費されたりもする。「ミニスカート」が当たり前になっているのは、果たして動きやすさなのか、それとも“役割上”そうするのが適切だと思われているのか。これはどちらも正解だと思う。

 では、チアリーダー本人にそのような視線が向けられている意識があるかというと、私の知る限り、一応は「ある」。「ある」けれど、わりと無頓着だった。「女子だからそのように見られる」「女子だからそのような期待がされる」というよりも、ユニフォームがミニスカートであることから「チャラそうに見られてしまう」という意識のほうが強かった印象で、また、活動する上での「弊害」というほどの問題意識はなかったように記憶している。

 高校では、チアリーディング経験のある女性教員が顧問を務め、指導にあたっていたのだが、顧問からは「“チアの子”はどうしても目立つし、チアをよく知らない人は、短いスカートでポンポン振っていてチャラそうに見られることもあるから、誤解や偏見を受けないためにも、練習だけでなく日頃の振る舞いにも気をつけるように」と、口を酸っぱくして言われていた。“チアの子”は遅刻せず、授業に真面目に取り組み、校則を守り、教師に口答えをするな、ということだ。

 一方で、「性的視線」に晒されてしまう可能性に言及することは滅多になかった。社会人スポーツの応援を依頼されてスタジアムに出向いた際、「万が一、変なおじさんとかいたら教えてね」と言われた程度だ。顧問や学校側も、“チアの子”たちが「性的視線」に晒されることよりも、「チャラそうに見られる」ことを危惧していたのだろう。

 大学時代も、チアリーディング仲間の間で、自分たちが「性的視線」に晒される可能性について、話題になることはほとんどなかった。「チャラそう」と誤解されがちという意識は多少なりともあったが、その打開策は「すごい技やって、“チアガール”とか馬鹿にしてくるやつを黙らせよう」「馬鹿にしてくる人は相手にするな」といった、体育会系にありがちな手法だった。そもそも、チアリーダーたちへの「誤解」を生む要因は一体どこにあるのかと考えたり、議論したりということ自体なかった。練習はハードで上下関係も厳しく、無意味としか言いようがない規則に縛られ、そのようなことを議論する余裕もなかったからだと思う。

 ちなみに、私たちの間で「チアガール」とは、チアリーディングのことをわかっていない人がバカにして使う“侮蔑的な造語”という認識で、とにかく「黙らせる」という反骨精神に火をつけた。

 今は私の現役時代よりも、さらにネットが発達した。また、2000年代から「競技としてのチア」が知られるようになり、「応援」より「競技」としてのチアを志す子も増えているという。一方で、ネット上で「チア 甲子園」と検索すると「美女チアガール」という言葉がいくつも見られ、「チア」が性的消費コンテンツとして扱われる側面があることは否めない。

 今も世間的には、「チア」というと競技よりも応援のイメージが強く、「女子っぽい雰囲気」が強いとすれば、少なくとも「競技チアに携わった経験のある人たち」と、「チアについてよく知らない人たち」の間には、認識に大きな乖離があるのだろう。そして、どれだけ「アクロバットを駆使したすごい技」を決めようが、大会で優勝しようが、「女子」「チアガール」という目線で見ている人の誤解や偏見を払拭するのは、簡単ではない。

 簡単ではないが、しかし、誤解や偏見に対して、「相手にしない」「スルーする」という手段も得策ではない、と今なら思う。誤解や偏見を持つ側は、「相手にしてこない」「何も言わない」という態度を、「言い返せないということは、やっぱりチアはチャラいんだ」「誰も文句を言わないから、性的に消費されても嫌がっているわけじゃない」と都合よく捉えられる可能性だってある。

 もし、できることがあるとすれば、身近なところから誤解や偏見を解いていくことだろう。もしチアについて「女子っぽい」「チャラそう」と印象を語られたり、「モテたくてやってるんでしょ?」「男にチヤホヤされたいの?」と聞かれて嫌な気分になったら、「いや、違う」と言葉で説明するのだ。華やかそうに見えるが、実際は地道な練習を重ねなければ良い演技はできないこと、練習中はケガをするリスクもあり、ふざけてなどいられないこと、私たちは自分のためにチアをやっているということを。

 高校時代、チアリーディング部に入ったことを友達や親戚を話すと、「応援するんでしょ? なんか楽しそうでいいな」「ミニスカ穿くんでしょ? 男子にモテるんじゃない」といった反応が返ってくることもあった。しかし、私が連日ハードな練習を行っていることを知っていくうちに、「大変なんだね」「かっこいいね」と見方が変わった人も確かにいた。

 どれだけ言葉を尽くしたところで「チアガール」と呼んで侮蔑する人がすぐにいなくなるわけではないが、チアに関わったことのある私たちが、チアとはどんな競技であるのかを伝え続けていくことに意味があると思う。甲子園が開催されない今年の夏は、一度立ち止まってこれまでの「当たり前」を考えるいいチャンスではないだろうか。
(冷田夏子)

タイBLドラマ『2gether』人気のワケ――動画配信とSNS、ファンの翻訳が盛り上げるブーム

 『2gether』をはじめとしたタイのBLドラマが話題沸騰中。少し前からSNSで話題になっていたが、今やドラマのタイトルがTwitterの世界トレンド1位になり、日本の雑誌やウェブメディアの記事になり、都内の駅にDVD発売のサイネージ広告が出る。この勢いは、ますます加速していくだろう。その背景には、やはりネットやSNSの力があるようだ。

来なかった13年前のタイブーム

 2007年ごろ、タイのエンターテインメントがちょっとした話題になったことがある。それは主にアイドル(音楽)の分野だった。歌手のアイス・サランユーが来日し、「タイのハニカミ王子」と呼ばれてメディアで取り上げられたり、“タイ版ジャニーズ”兄弟ユニットのゴルフ&マイクが山下智久とユニット「GYM」を組んでCDをリリース、音楽番組に出演したりもした。

 当時、筆者もしきりに「韓流・華流の次はタイ流」というフレーズを使った記事を雑誌で書いた覚えがあるが、タイアイドルの勢いは、すでに定着した韓流や華流の波とは比べものにならないほど弱く、全く定着しないまま、天下のジャニーズと組んだGYMさえも短命に終わり、小さく燃えかけた炎はすっかり消えてしまった。

 まだYouTubeが日本語サービスを始めたばかりの頃、mixiはあったが、Twitterの日本語サービスはなく、日本向けiPhoneも発売される前のこと。エンターテインメントを発信するメディアはテレビや雑誌が中心だった。

世界中からファンを集めたファンミーティング

 しかし、数年前から、タイのエンターテインメントは主にBLドラマというジャンルで、急速にファンを拡大している。その勢いは日本にとどまらず、世界中に広がっているのだ。

 Twitterで世界トレンド1位を獲得した話題のBLドラマ『2gether』主演の2人、タイン役のウィン(メータウィン・オーパッイアムカジョーン)とサラワット役のブライト(ワチラウィット・チワアリー)のオンライン・ファンミーティングが、6月20日に行われた。オンラインでの開催ということもあり、アジアのみならず、ヨーロッパや南米も含め世界中からファンが参加しており、全世界同時に湧き起こる熱狂をパソコンの画面から感じ取ることができた。

 これほどまでにタイBLドラマが人気を集めているのには、動画サイト、SNSの発達と浸透が大きいだろう。いくつかのドラマはYouTube等の動画配信で無料で見られることから、K-POPや韓流ドラマでは広く行われてきた、ファン有志による動画の翻訳字幕作成が、タイドラマでも行われているのだ。それが、日本でのファン拡大にも一役買っている。

 筆者がタイに滞在していた2013年ごろ、現地ではすでにジャニーズの人気は陰り、K-POPの勢いが強かった。バンコクで行われた日本のドラマやエンターテインメントを売り込むイベントを取材し、サイゾーウーマンでも記事にしたが、当時ジャニーズだった元KAT-TUNの田口淳之介、菅野美穂、東京女子流、ニコ動出身アーティストなどが来タイし、大勢のファンが集まり、熱気を帯びていた。

 記事にも書いたが、日本のドラマを売り込もうという企画にもかかわらず、会場に集まったタイのファンは、すでに海賊版DVDでそれらのドラマを見てしまっていたのだ。そのDVDには有志によるタイ語字幕が付けられていた。

 タイのファンたちは、日本の漫画やアニメをきっかけに日本に興味を持ち、日本語を勉強し、日常会話ができたりJ-POPを歌えたりする人も多かった。

 それと全く逆の現象が今、日本で起きている。合法的に見られる動画配信サービスで、有志による日本語字幕を付けられたタイBLドラマを見てハマり、それをきっかけに、タイの文化に興味を持ったり、タイ語を勉強し始める日本人が増えているのだ。

多様なプラットフォームで公開作品も続々

 先述のドラマ『2gether』(全13話)は、大学生のタイン(ウィン)が同級生のサラワット(ブライト)に「偽装彼氏」を依頼したことをきっかけに、恋愛関係に発展していく姿を描いたラブストーリー。7月31日から、動画配信サービスRakuten TVで配信がスタートし、WOWOWでも10月22日から放送が決定。また、それに先駆けて、「ザ・テレビジョン」(2020年7月10号/KADOKAWA)のアジア配信ドラマ特集で紹介された。

 そのほかの作品も公開のプラットフォームを拡大している。16年にタイのオンライン小説を原作にドラマ化され、アジアで爆発的な人気を誇った『SOTUS』はGYAO!などで配信中。タイBLドラマとして日本で初めてDVD-BOXが発売された『Love By Chance』も、Amazonプライムビデオなどで見ることができる。昨年、主要キャストによるファンミーティングが日本で開催された『Until We Meet Again~運命の赤い糸~』は7月3日にDVD-BOXが発売されたほか、Rakuten TVでも配信中、8月22日からはアジアドラマチックTVで放送が始まる。今やテレビに限らず、配信やDVDなどさまざまな方法で作品に触れることができるのだ。

 出演している俳優の見目麗しさ、少女漫画のように心ときめくストーリー、メイン以外のキャラクターも含めたクオリティの高さなどが魅力といわれるタイのBLドラマ。今後、ますます公開作品は増え、ファンも拡大していくだろう。この勢いで映画や音楽も含め、さらに広くタイのカルチャーに触れる機会が日本で増えていくことを期待したい。
(西野風代)

日テレ『バンキシャ!』で現地取材に「お触れ」が……コロナ禍で取材ができない報道現場のジレンマ

 5月25日の緊急事態宣言解除から2カ月が過ぎた今、東京都を中心に再び感染者が増加し始めた新型コロナウイルス。各局テレビ番組ではソーシャルディスタンスに配慮し、リモート出演はもちろん、スタジオ収録では出演者同士が間隔を空け、間に透明なアクリル板を設置するなど、感染防止策が取られている。一部の番組では、マスクを着用し、距離をとって取材対象者にアプローチしながら外出ロケを再開しているが、テレビ局関係者によれは、「現場では想像以上の困難が存在している」という。

 6月中旬、筆者は日本テレビの報道部に所属する知人から電話を受けた。同局の報道番組『真相報道 バンキシャ!』を担当しており、新型コロナウイルス感染拡大の元凶ともされている「夜の街」で働くキャバクラ嬢やホストにインタビューを取りたいというのだ。

 その知人とは長い付き合いだが、筆者はテレビ局に取材対象者を紹介することは避けているために依頼を断り、「自腹でキャバクラに行ってはどうか」と提案すると、言いにくそうに話し出した。

「“感染の危険がある現場には取材に出かけないように”とのお触れが出ているんです。そのため、コロナ関連の取材は、ほとんど現場に行くことができていません」(同)

 7月に入り、都内を中心に再び感染が拡大する中で、筆者も仕事を依頼されている出版社から、取材に出かけるのをストップされるケースが多い。とりわけ「今はやめて」と止められるのが地方取材である。

 今月16日、熊本県などを襲った九州豪雨を取材するために、神奈川県から現地を訪れた時事通信社のカメラマンが、新型コロナウイルスに感染していたことが報道された。地方では、感染者数が増加している東京からの来訪者には厳しい目が向けられる。時事通信の例に限らず、感染者がテレビ、新聞、出版社などマスコミ関係者であれば、社名も一緒に報じられてしまう可能性が高く、万が一、職場でクラスターが発生してしまった場合は、業務が完全にストップするだけでなく、世間からは大きな批判を浴びることになるだろう。編集者も、そこまでリスクを背負うことはできないというわけである。

 筆者としても、コロナの感染対策がテーマでもない限り、地方の取材は避けざるを得ない状況だ。どんな取材でも、現地で事前に連絡した人物にだけ、数時間話を聞いて終了……なんてことはまずない。滞在中に街ですれ違った人や、飲み屋で出会った人に話を聞いたりして、現地取材を行っていく、そういうものだ。

 しかし、地方のコロナ感染者の状況を見ると、そのほとんどは「東京に出かけて」「東京から来た人が」という事例である。そんな状況で「東京から来ました」と取材に出かければ、白い目で見られることは明らかだろう。

 先日、現地訪問を先送りしている仕事の担当者と話していたら、こんなことを言われた。

「どうしても、今取材に来ないと締め切りに間に合わないということなら止めませんが……いつものような対面取材はやめて、風景とか雰囲気を見るだけにしてくださいよ……」

 そう言いながら、「……なんて、無理ですよね?」という顔で筆者を見るのだった。

 筆者は、5月の緊急事態制限解除後に岡山県を取材で訪れているが、その時思ったのは、地方では想像以上に“よそ者”が目立つということ。岡山市は人口70万人の都市で観光客も多いが、少し田舎に行くと、部外者は圧倒的に目立つ。とても「東京から取材で来ました」とは言えない状況だった(筆者は岡山出身のため、ずっと地元民のふりをしていた)。

 誰もがウイルスに感染する可能性を持つ中、特に地方取材は困難となっていると感じる昨今、取材陣は頭を悩ませている。

Go To トラベル開始、大都市からの旅行者の本音――「東京はコロナから逃げられない牢獄」「感染の危険感じない」

 迷走状態のまま、4連休とともにスタートした「Go To トラベルキャンペーン」。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛により、大きな打撃を受けた国内の観光業や飲食業などの事業者支援を目的として政府が打ち出したこの施策は、4月に実施が決まり、8月上旬から開始が予定されていた。

 その後、政府は7月23日からの4連休に合わせて開始日を7月22日に前倒しすると発表するも、東京を中心に再び感染者が増加していることから、飲食や旅行などの消費喚起を促すキャンペーンの実施に世間から反発の声が続出。これを受け、政府はキャンペーン開始直前の今月17日に、東京都内を発着する旅行や、都民の利用は対象外にし、これによって発生するキャンセル料金は補償しないと表明。しかし、今度は旅行業者から批判の声が相次いだため、政府は20日、キャンセル料金を補償することを決定した。

 そうして22日にキャンペーンがスタート。新型コロナウイルス感染者数は連日過去最多を更新する中、全国の観光地では観光客の姿が見受けられるようになっているという。直前に制度が見直されたことで「見切り発車」といった批判も多いGo To トラベル事業だが、観光産業にとっては、まさに進むも地獄、戻るも地獄という状況。たとえ感染のリスクがあったとしても、「観光客には来てもらわないと困る」というのが実情であろう。

観光産業の現状は……奇妙な雰囲気が漂う京都の街

 去る6月、筆者は観光客の失われた状況を取材しようと京都を訪れた。訪れるにあたってまず驚いたのは、ホテルの宿泊価格だ。筆者がいつも利用している四条烏丸のビジネスホテルは、ここ数年、価格が上昇する一方。狭い部屋でも平日で1泊1万円前後が当たり前になっていた。それが、コロナ禍によって価格は大幅に下落し、1泊3,000円程度に。ホテルの従業員も「今までで、最も安い価格です」と言うほどそれでも、「客足が戻ってくる雰囲気はまったくない」という。

 とにかく、京都の雰囲気は今まで感じたことがないほど奇妙なものだった。なにしろ、コロナ禍によって京都の街は、世界各国から観光客が訪れる古都から、地元民しかいない地方都市へと様変わりしていたのだ。河原町あたりの繁華街は、地元民でそこそこ賑わってはいるものの、観光客ゼロの光景は明らかに異様だった。

 観光客向けのエリアに足を運べば、その落ち込みぶりは目の当たりにできた。昨年まで、アジアからの観光客で足の踏み場のなかった錦市場は、営業している店も少なく、あちこちに「長期休業」の貼り紙がある。人気アーケード街・新京極あたりでも、地元民向けの店はまだ賑わいがあるものの、土産物屋は閑古鳥が鳴いていた。

 ほかにも様子を見ようと清水寺に足を運んだところ、さらに驚きの光景があった。これまで、何度も訪れている清水寺の参道。ここで商売をしていれば絶対に潰れることなどあるまいと思っていた商店が、ことごとくシャッターを下ろしているのだ。わずかに開けている店も、店員が虚空に向かって呼び込みをしていたり、「マスクあります」の貼り紙があったり……。もはや、Go To トラベルでもなんでも、とにかく人に来てもらわねばというのが本音だろう。

 とはいえ、Go To トラベルに関しては、感染に気をつけながら旅行を楽しむか、感染リスクがある中で旅行なんてとんでもないと考えるか、人々の意見は二分しされている。特に、旅行に否定的な意見はSNSなどでもよく見受けられるが、意外に見えてこないのは、実際に旅行に出かけている人の意見だ。

 一体、感染リスクを背負ってまで旅行に出かける理由は何なのか。Go To トラベルによる混雑を前に、岩手県を除いた東北地方を旅行してきたという男性は、次のように話す。

「行き帰りの新幹線を除けば、感染の危険性はさほど感じません。なにしろ一人旅ですから、人に接触する機会はほとんどありません。食事も黙ってとりますし、会話らしき会話をするのは、宿の受付の人くらい。濃厚接触なんてまったくありませんよ」

 この間、東京を離れて地方を旅して来た人たちが一様に話すのは、東京や大阪などの大都市圏と地方の状況差である。

「地方でも人混みではマスクをしていないとひんしゅくを買います。でも、人通りの少ないところでは外している人も多く、賑わっている地方都市の繁華街でも、東京ほど3密状態になるなんてことはほとんどありません。東京に暮らして働いているだけで、どれだけ感染のことを考えて緊張を強いられているのかに気づきました」(同)

 こうした落差は、この間の地方取材で筆者も感じている。なにしろ、だいたいの地方都市は車社会のため、道を歩いている人自体少ない。まず、人口が少ないので人通りもまばらで、マスクを外していたとしても、白い目で見られないだろうエリアも多々ある。

 つまり、感染の少ない地域は感染拡大が止まらない大都市圏からはある意味“楽園”のように見えているわけだ。Go To トラベルの東京除外でキャンセルしたものの、地方のリゾート地を家族旅行する予定だったという男性はこんな話を。

「感染する、させるのリスクは常にありますが、濃厚接触するのは家族くらいでしょう。ここまで感染が拡大するとわかっていたら、1月の時点で家族を地方の実家へ避難させていましたよ。東京で生活するのは、もはやコロナから逃げることもできない牢獄にいるような気分です。感染のリスクはありますが、数日でもコロナの恐怖から逃れないと、正直気が変になりそうです」

 壊滅した観光業界にとっては、少しでも収益を取り戻すべく藁にもすがる思いのGo To トラベル。一方、これを利用して旅行する人たちは、たとえ一時的でもコロナの恐怖から逃れようとしているのも事実。感染防止対策を徹底した上での旅行は、心の安寧を得るための一つの手段なのかもしれない。

小池百合子は、なぜ「史上初の女性都知事」になれたのか? 2016年「東京都知事選のウラ側」を振り返る!

 7月5日に投開票となる「東京都知事選」に世間の注目が集まっている。一部メディアでは「小池百合子氏、圧勝ムード」などと報じられてきたが、学歴詐称疑惑問題の再燃、新型コロナウイルス感染拡大への対応に都民の不満が高まっている現状、そして2016年都知事選の際に掲げた公約「7つのゼロ」を「達成していない」点などが物議を醸しているのも事実だ。

 この「7つのゼロ」とは、待機児童、残業、満員電車、ペット殺処分、介護離職、都道電柱、多摩格差(多摩地区と東京23区の各種インフラ格差)ゼロで、この中で達成したのは「ペット殺処分」のみ。ただし、これも病気やケガなどを理由とした処分は除いたものだけに、「達成とは言えない」とする向きもある。

 そんな小池氏だが、4年前の都知事選に当選した際は、「初の女性都知事」として脚光を浴びていたのも記憶に新しい。当時、サイゾーウーマンでは、国会議員秘書・神澤志万氏に、小池氏の永田町評を綴ってもらっていた。「小池氏の人間性については評価がいまひとつ」と神澤氏が指摘する理由とは。4年前の都知事選を振り返るためにも、この機会に再掲する。


(初出:2016年8月1日)

史上初の女性都知事・小池百合子が誕生した裏事情 永田町から見た都知事選総括

 国会議員秘書歴20年の神澤志万と申します。セクハラ、パワハラ当たり前! 映画もテレビドラマもかなわないリアルな国会とその周辺について、現役議員秘書が暴露します。

■自分の顔写真のポスターが、都内全域に貼られる快感

 日本の首都である東京都の知事選挙が終わりました。2020年には、東京オリンピック・パラリンピックもありますので、世界から注目されていたと言っても過言ではない選挙だったのではないでしょうか。

 アメリカの民主党では、ヒラリー・クリントン氏が初めて女性の大統領候補に選出されました。国務長官として立派に任務をこなした実績が高く評価されたんだと思います。

 そして、日本では、東京都知事に小池百合子氏が選出されました。初の女性都知事です。「女のくせに」と言われ続けている永田町の女たちは小池知事誕生に感動した人も多かったのではないかと思われます。普段は仲良く会話をしている秘書同士でも、選挙となると応援する候補者が違う場合、なんとなくお互いに距離を置くので、まだぶっちゃけた話ができていないんですよ(笑)。

 それにしても、今回の都知事選挙は21名もの方が立候補されました。番号の上に選挙ポスターが貼られる「公営掲示板」は都内で1万カ所以上。その全てに初日のうちにポスターを貼ることができた陣営は、3つくらいだったのではないでしょうか? 候補者21人分の21枚が全部貼られている掲示板は存在しなかったと思います。

 候補者の皆さんにそれぞれの思いはあるのでしょうが、選挙って、とにかくお金がかかるんですよ。得票数が有効投票総数の10分の1に満たないと供託金の300万円は没収されてしまいますし(今回も、ほとんど没収でしょう)、防水など特殊な仕様の選挙ポスターの印刷代といった公費も供託金没収者には支払われないため、選挙費用は事実上、全額自腹になります。

 そこまでして、出馬するのはなぜなんでしょうか? ある候補者によると、「自分の顔写真のポスターが都内全域に貼られ、たくさんの人に見てもらえることが快感で仕方がない。やみつきになる」とのこと。そんなもんなんでしょうか……。

■政界のボスたちの元を渡り歩いたイメージが強い

 20年前は、小池氏も「愛人顔」(色気があって魅力的だけれど、ちょっと態度がなれなれしい女性)カテゴリーでした。

 最初の選挙は1992年、細川護煕氏が党首だった日本新党から立候補した参議院選挙。その時の「初心を忘れず」というアピールだったと思いますが、日本新党のイメージカラーだった緑と白で、今回の都知事選挙を戦われていました。

 永田町では、小池氏といえば「変遷の人」。日本新党を出て新進党の小沢一郎→保守党の熊谷弘→自民党の小泉純一郎と、政界のボスたちの元を渡り歩いてきました。そのイメージが強いからかもしれませんが、永田町では、小池氏の人間性については評価がいまひとつな感じです。

 でも、選挙の中盤の世論調査で「小池候補が増田候補をややリード」という結果が伝えられると、勝ち馬に乗りたい方たちが続々と小池選挙事務所を訪問し始めました。そもそも、選挙とはそういうものです。「人間性については疑問があるけど、知事になった時に相手にされないと支障が出るからね」と、いかにも自分たちは最初から小池候補を応援していたようにアピールするわけです。

 自民党本部は、当初は自民党都連と小池氏の対立を静観していました。まさか、小池氏が有利な状況になるとは想定しておらず、「東京都のことより国政が大事」と、内閣改造の準備を着々と進めていたのです。

 でも、小池氏と鳥越俊太郎氏が優勢になってきてしまい、終盤はさすがに党幹部も増田寛也氏の応援に入りました。自民党の意地がありますから。そのおかげで、最後の3日間は増田氏がかなり追い上げたようですが、小池氏のアイデア戦法に歯が立たなかったようです。

 鳥越氏も惜しかったですね。でも、いかんせん出だしが遅かった。それに野党共闘がうまくいかなかったのが残念です。「この政策を言ってはダメ、あれもダメ」と政策面での調整に手間取り、街頭演説で政策を訴えられなかった。「政策のない鳥越」などとマスコミで揶揄されるようになり、やっと、1日に1つずつ政策を出していく、という戦法を取ったものの、小池氏には追いつけませんでした。

 鳥越候補という「神輿」を担ぐグループが多すぎたのも、失敗でしたね。野党共闘もあまり多いと、選挙戦略はうまくいかないというモデルケースになったのではないかと思います。

 石原慎太郎元知事による「厚化粧」発言など、いろいろありましたが、当選した以上、小池氏には「初の女性都知事」というお祝いムードを早々に終息させ、東京都民のため、地道に都政をハンドリングしてもらいたいものです。

 そして、女性の敵は女性ですからね。神澤や後輩の永田町女子たちは、厳しい目で今後の都政を監視していきたいと思います(笑)。

リモート婚活パーティ、やってみた! アラフォー婚活ライターがZoomで初潜入リポート

 コロナ禍が続く世の中、皆さまいかがお過ごしでしょうか? ついに緊急事態宣言も解除され、テンションが上がってきている婚活ライターの白戸ミフルです。緊急事態宣言から仕事がリモートとなったのはまだしも、合コンや他婚活の予定までもキャンセルが続き、絶望の淵に立たされていました。

 がしかし! このご時世、リモート(オンライン)婚活パーティなるものが人気と聞きつけ、先日、早速参加してみたのですが、これが結構楽しかったのです♪

オンライン婚活パーティとは

 この度、私が参加したのは、株式会社いろものが運営する、スマホの結婚相談所「naco-do」が定期的に開催しているオンライン婚活パーティです。その名の通り、婚活パーティのオンライン版で、リモートワークにもよく使われているビデオ会議アプリのZoomを使って実施します。女性は980円(参加し放題プランだと1回185円〜)と手頃なのです。

 毎週金・土の夜8時から開催されている、このオンライン婚活パーティですが、参加の流れは、運営者側から送られてくるZoomのリンク先に入る、たったそれだけ。先日、オンライン合コンの記事でも書かせていただきましたが、Zoomにはホスト(開催者)が参加者を選び、ツーショットにできる「ブレイクアウトルーム」という機能があるので、それを利用して、運営者側が参加者の男女でツーショットを作ってくれます。

 それぞれツーショットでの会話を楽しんだ後、また相手を変えて、順々に参加者全員と会話を楽しみ、最後にマッチングしたい希望の相手を運営側に伝え、マッチングしたら、LINE等で連絡が取れるようになるという流れです。

イケメンとツーショットになったものの…

 これまで合コンやアプリ等、さまざまな婚活手段を試してきた筆者ですが、実は婚活パーティは初めてだったので、最初は少し緊張しました。午後8時の開始前に、運営者側からレクチャーの時間があり、簡単な操作方法を覚えたら、8時からツーショットスタートです。

 最初の男性は、なかなかの爽やかイケメン公務員(36歳)でした。正直失礼ながら、イケメンはあまり期待していなかったこともあったので、緊張のボルテージが一気に高まり、アタフタしてしまう筆者、相手も初めての参加ということもあり、マゴマゴしている様子……。これはまずい! ツーショット時間は10分(参加人数により変動)しかないのにー!

 と、そこで筆者は、プロフィールカード(事前に情報を記載し、オンライン上で見れるプロフィールカードのURL)の存在を思い出し、相手に送って何とか会話をつなげようとしました! が、これが結果あまり良くなかったかもしれないなぁ……と今になって思っております。

 というのも、そのプロフィールカードには職業・出身/居住地などだけではなく、年齢や身長・年収等も赤裸々に書かれています。全ての記載が必須ではないのかもしれませんが、私は全てバカ正直に記入したため、初対面の時にはオブラートに包むであろうセンシティブな情報を、初っ端から全てさらけ出してしまったのです……!

 しかも、相手はそのURLを持っていなかった(!?)ため、私のプロフィールカードを見ながら、真摯に自身のプロフィールも話してくれましたが、気になる年収と身長は開示されないままでした。ほかのオンライン婚活パーティのルールは知らないのですが、もしこの「naco-do」のサービスを使う場合は、プロフィールカードは相手が開示してから、自身も示すことを検討したほうが良いかと思われます。

 少し悶々としつつも、誰にも邪魔されずにしっかりツーショットでトークができるのは、とても良いなと思いつつ、次の人へ。たまたま最初がイケメンだったから、無駄にハードルが上がってしまい、その後の男性を見る目がシビアになってしまうのは否めないですが、男性の年齢層は30代前半から40代後半と、アラフォーの筆者にとって、とてもシックリくるお年頃だったので、普通に世間話をするだけでも楽しめました。最終的には、プログラマー、音楽家、会社員、公務員×2名(参加男性の半分の3人が公務員でした)の合計6名の男性とお話をし、ドキドキのマッチングタイムです!

 マッチングのリクエストは3人までで、その相手の番号かニックネームを運営者側に伝えます。全体的に楽しめたものの、少し顔がタイプだった人と、話が盛り上がった人をリクエストしたのですが、残念ながらマッチングせず……(泣)。

 しかしながら、2人の男性からマッチングリクエストはいただいていたようで、それなりに満足した筆者でした。マッチングしないものの、リクエストがあった場合は、運営者側から誰から来たのか通知がきます。

 アラフォーを迎えてから、なかなか同世代の男性との出会いがない(というか、皆既婚者なので)と嘆いていましたが、こんなところにあるなんて! アラフォーと言わず、アラサー以下の方でも年上男性が好きな女性にはオススメです(日によって若い男性が多い日もあるかもしれませんので悪しからず)。

 ちなみに、ビデオチャットアプリは、Google meetやLINEのビデオチャット機能もありますが、Zoomの画質が女性には良いような気がしています。眉毛を描くだけで十分(欲張りな方はアイラインも)、お肌はスッピンでもキレイに映りますよ! 
(白戸ミフル)

「9月入学制度」は見送りも「現状でギリギリ」と教員たちが悲鳴! 学校再開で見過ごされる課題

「どさくさに紛れて9月入学なんて話も出ていますけれど、実現するわけがない。それよりも今年をどう乗り切ればいいのか」

 首都圏でも緊急事態宣言が解除され、今週末あるいは6月1日からの小中高校の授業再開に向けて教育現場では準備が進められている。今回、新型コロナウイルスの感染拡大で学校が長期休校したことで、政府や識者からは「9月入学制度」の導入を検討する声まで出てきた。降って湧いたこの案は、27日に2021年度からの導入を見送る方針で固めたことが明らかになった。

 一時は盛り上がった9月入学制度だが、教育現場には、歓迎する声はまったくなかったどころか「現場を知らない勝手な話」とでもいうべき怒りすら聞かれた。

「9月入学なんて、実現するとはまったく思えませんね。これまでの学習指導要領に則った授業計画はもちろん、学校の年間行事の流れまですべて見直さなければなりません。教員全員が、授業も何もせず、移行の準備だけすればいいんだったらできるかもしれませんけどね」

 そう話すのは、都内の小学校教師。都内の小学校では1クラスの人数が40人に近く、ソーシャルディスタンスなんて不可能というところもざら。クラスを2つに分けて行う分散授業や時差通学を導入する予定で、感染リスクを高める「3密」もある程度はクリアされそうだ。それでもまだまだ問題は尽きない。

「登校時に生徒の体温結果や体調を把握するといいますが、現時点でも教員は朝から授業準備や事務仕事で時間はギリギリです。どうやって時間を割けばいいというのでしょう」(同)

 まだ都内では実施されていないものの、何人かの都内公立学校の教員に聞いたところ、小学校で噴出する問題はだいたい予想できるというのだ。検温したり、健康チェックを行う間に騒ぎ出す生徒。また、新学期シーズンがズレたことで、必ず「学校に行きたくない」という生徒も出てくるだろう。そんな子どもが親に引きずられてやってきて、校門で泣きだしてしまうという十数年来定番の光景も、今年は急増することは織り込み済み。教員不足が叫ばれている中で分散登校を導入した結果、少人数になったクラスで従来通りの教育ができるとは言い難いだろう。

 全国の小中高校では、タブレット端末を配布し、オンライン授業を導入することで解決を図ろうとしている地域もあるが、これにも現場は懐疑的だ。こちらは都内の区役所などと取引のあるIT系企業の担当者の声。

「テレワークになった人がZoomで会議するのが流行していますが、10人揃えば1人か2人は『マイクが入らない』とか『画像が映らない』とか、何らかのトラブルが起きますよね。児童・生徒を相手にオンライン授業したら、どれだけトラブルが続出するか。それに対応しているうちに授業時間は終わってしまいます」

 東京都のブルジョア地帯といえる港区では、全小中学校にiPadを1人1台配布、早々とオンライン授業を実施することを決めるなどし注目されている。ところが、すでにデジタル化でタブレットの配布が実施されている小中学校では、児童・生徒がクラスメイトのタブレットを盗んで転売するというケースも相次いでいるという。Wi-Fi環境がないとか、親がパソコンに詳しくないという声はあちこちで耳にするが、問題はその程度では終わらないのだ。

 現場の努力に委ねられている部分が多い授業再開後の動向。しかし、どんなに教員たちが善処しても授業の質が低下することは避けられない。

「実際に授業が再開されると、問題は次々に噴出するでしょう。文部科学省が5月22日に発表した衛生管理マニュアルによると、近距離で対面形式となるグループワークや近距離で一斉に大きな声で話す活動などは、感染リスクが高いものとして、感染レベルの高い地域では行わないよう呼びかけられています。音楽の合唱・楽器演奏、家庭科の調理実習、図画工作・美術・工芸の共同制作、体育の密集運動など、教科にかかわらず、実習や共同作業が必要なことはまったくできません。『ゆとり世代』のように、10年後、今の子どもたちが『コロナ世代』と揶揄されてしまうことは目に見えてますよ」(前出・小学校教師)

 9月入学どころか、どうやって学校の機能を維持するのか、今年の教育行政は喫緊の課題が多過ぎる。