二次元にも規制強化が迫るダウンロード販売サイト これは新たな創作への希望か

 ダウンロード販売の大手であるDMMが、同人作品に対するレギュレーションを強化したことが波紋を呼んでいる。

 規制の対象となっているのは、作品のタイトルや説明文。制作者などに送付された説明によれば「幼児、小学生、中学生などを連想させるキーワードをタイトルや説明文に使用することを禁止し今後それらの取扱についてDMM規定にて販売停止」するとしている。

 さまざまなアダルトメディアを扱うDMMでは、これまでも幾度かレギュレーションの強化が行われている。過去には実写タイトルで獣姦作品の取り扱いを禁止。最近では、過度な凌辱描写のある実写タイトルの削除なども行われている。また作品タイトルや説明文でも「ロリータ」を「ロ○ータ」と表記するなどの措置が取られている。今回の同人での措置は、こうしたレギュレーションを援用したものとみてよいだろう。

 いわゆる「児童ポルノ」は、法律面では長年の議論を経て2015年に施行された現行の児童ポルノ法において「二次元」は対象外であることが明確にされた。それでも、創作物の児童ポルノ的な表現、性表現などに絡む論争は、現在までやむことがない。DMMは、レギュレーションを強化するに至った経緯を明確にはしていない。ただ、アダルトのみならず、一般メディアや証券など、多面的なプラットフォームとして存在感を増す中で、企業としての社会的な責任を迫られたということだろう。

 今回のDMMの措置によって明確になったのは、プラットフォームの寡占化がもたらす影響である。国家権力など公的機関による規制は、その成立過程における議論が明らかにされる。ところが、民間企業の場合は、そうではない。Twitterの凍結問題でも知られるように、民間企業のサービスは、それが生活に密着したインフラとなっていても、ブラックボックスのままなのである。

 今回のDMMのレギュレーション強化においてもTwitter上では、商品説明の「幼い頃に遊び場にした~」という文言が抵触するとされたなど、理不尽な検閲が起こっている。けれども、それに対する異議申し立てを行うのは困難なのである。

 こうした状況の中で、創作者の側は改めて覚悟を求められているといえるだろう。ダウンロード販売が存在感を増したことは、売る側・買う側にとってメリットが大きかった。とはいえ、創作を行う側はダウンロード販売を行うサイトがなければ、作品をつくらなかったのか? サイトの存在はきっかけになったかもしれないが、創作するにあたって、なくてはならないものではない。

 たとえ読み捨てにされる「実用」作品であっても、作者は「これで、読者のザーメンを搾り取ってやる……」とか、搾り取られた読者の感想を求めて、必死に机に、パソコンに向かっていたハズだ。そんなつくりたい欲求、見せたい欲求。消えない炎のようなものがあるのならば、作品を読者に送り届ける手段は、いくらでもあるのではないか。

 理不尽な規制に対する万感の怒りをもって、もっとトンデモない作品が次々と生まれることを期待してやまない。
(文=昼間たかし)

いたちごっこのコミケ「サークル通行証転売問題」 新たな舞台はメルカリへ?

 Yahoo!JAPAN(以下、Yahoo!)が運営するオークションサイト「ヤフオク!」が、転売目的で入手したチケットの出品を禁止した。

 これまで「ヤフオク!」では、コンサートをはじめ、人気の高い各種催しのチケット転売が問題となっていた。

 今回の禁止にあたって、Yahoo!ではガイドラインを改定。出品禁止物に「転売する目的で入手したと当社が判断するチケット」が追加される予定だ。転売目的か否かはYahoo!が独自に判断することになるが、判断基準については「公表すると、基準をかいくぐった出品を誘発する恐れがあるため非公開」とされている。

“正直者がバカを見る”状態が続いていた転売行為に対する効果的な策として、さまざまな業界にとって「朗報」となっているYahoo!の動き。中でも、直前に冬の当選サークルが発表されたコミックマーケット参加者からは、称賛の声が上がっている。

 これまで、コミックマーケット開催時期になると「ヤフオク!」には、本来は出展サークルのみに配布されているはずのサークル通行証が、次々と出品されてきた。コミックマーケット準備会ではYahoo!に対し是正を求めていたが、十分な対応はされてこなかった。

 コミックマーケットの一部の参加者にとって、開場前に入場することのできるサークル通行証は、早朝から行列することなく入場できる垂涎のもの。同人誌を発行する気がないのにサークル参加を申し込む「ダミーサークル」も、後を絶たない。

「準備会では、明らかにダミーと判断したサークルに対しては、出禁の措置も講じています。とはいえ、個人名で名寄せをしているわけではないので、悪意のある者を防ぐことはできません」(コミケ関係者)

 基本的に参加者の性善説に基づいている以上、厳しい措置を取ることができないのが実情。今回「ヤフオク!」がガイドラインを改定したとはいえ、これで通行証の転売が撲滅されるわけではない。近年、利用者が急増している「メルカリ」には、すでに多くのサークル通行証が出品されているのだ。

 いたちごっこの続く通行証の転売問題。転売業者に数万円を払って通行証を入手しなくても、友人と買い物を分担するなりすれば、だいたいのものは入手できると思うのだが……。
(文=コミケ取材班)

それは、寂しいクリスマスへの序章──“文系デート”の聖地としての「神田古本まつり」

「神田古本まつり」「神保町ブックフェスティバル」。それは、本好きにとっては、1年に一度のお祭り。せどりを生業にする者にとっても、利益を上げる好機である。

 今年も10月27日~11月5日には、多くの古書店、そして、出版社が在庫を割安で販売した。とりわけ、すずらん通りに広がる出版社の出店は、すでに絶版になっている在庫、あるいは、読むには支障はないけれど汚損などで書店には回せない本などが、一斉にバーゲン価格で売られ、多くの人が群がっていた。

 

 基本、日祝日は休業の周囲の店も、この時ばかりは、かき入れ時である。中でも、老舗喫茶店さぼうる、さぼうる2は大行列。それどころか、普段は閑散としているミロンガやラドリオにまで行列ができている。

 

 神保町界隈の編集者や出入りの人々にとっては、よく使われる馴染みの店。待ち合わせや取材の時に「○○時にミロンガ」などといえば、細かく地図や住所を送る手間もない。

 もっとも「いや~ミロンガって聞いてたのに、ラドリオで待ってたヨ!!」ってことは、けっこうある。

 そんな地域密着店も、この時期ばかりは観光地とななる。普段、店を使っているような出版人や本好きは少なく、その多くは家族連れ、そして、カップルである。

 そう、この祭りは単に本好きや、せどりが群れなす祭りではない。文系カップルにとって、なんとも便利なデートスポットなのである。

 ある古書店の前の棚に積まれていたのは、80年代の「POPEYE」や「BRUTUS」など、若者雑誌の山。表紙が破れていたり、ページが折れていて、普段売るには適さないものの投げ売り。これは宝の山だと吟味している筆者の両側は、なぜか中年カップルだった。

「いや~、この時ちょうど学生だったよ」

 みたいな会話をしながら、えらくウキウキしている。とりわけ、不倫カップルっぽい中年のほうは、本を手にしていても内容について語るのではない。男のほうが、ひたすらに自分がいかにウィンドサーフィンでイケていたかを語っているのである。

 

 こうした、一種知的なデートを楽しむ余裕がある中年カップルと異なるのが、若者層。よく見ると、手をつないで歩いている男女と、微妙に距離がある男女は半々くらい。

 興味深いのは、がぜん後者のほうである。距離感が見える。男にとって、このお祭りは一種の口実。とにかく2人だけで会う機会が欲しい。女の側に、その気があるのか? あるいは、断るのも角が立つと、仕方なしに「参加」しているだけなのか? 人混みの中に、微妙な距離感が揺れ動いている。

 筑摩書房、雄山閣、柏書房……さまざまなジャンルの専門書を手に取り、その本の価値を語って、自分の値段を吊り上げようと必死な男。でも、残念だ。隣にいる女のコの瞳は、明らかに違う方向へと泳いでいる。

 このお祭りも、今年で58回。いつも、人知れず多くの恋が破れ、寂しいクリスマスの序章がここに始まるのだと、改めて感じた。
(文=昼間たかし)

それは、寂しいクリスマスへの序章──“文系デート”の聖地としての「神田古本まつり」

「神田古本まつり」「神保町ブックフェスティバル」。それは、本好きにとっては、1年に一度のお祭り。せどりを生業にする者にとっても、利益を上げる好機である。

 今年も10月27日~11月5日には、多くの古書店、そして、出版社が在庫を割安で販売した。とりわけ、すずらん通りに広がる出版社の出店は、すでに絶版になっている在庫、あるいは、読むには支障はないけれど汚損などで書店には回せない本などが、一斉にバーゲン価格で売られ、多くの人が群がっていた。

 

 基本、日祝日は休業の周囲の店も、この時ばかりは、かき入れ時である。中でも、老舗喫茶店さぼうる、さぼうる2は大行列。それどころか、普段は閑散としているミロンガやラドリオにまで行列ができている。

 

 神保町界隈の編集者や出入りの人々にとっては、よく使われる馴染みの店。待ち合わせや取材の時に「○○時にミロンガ」などといえば、細かく地図や住所を送る手間もない。

 もっとも「いや~ミロンガって聞いてたのに、ラドリオで待ってたヨ!!」ってことは、けっこうある。

 そんな地域密着店も、この時期ばかりは観光地とななる。普段、店を使っているような出版人や本好きは少なく、その多くは家族連れ、そして、カップルである。

 そう、この祭りは単に本好きや、せどりが群れなす祭りではない。文系カップルにとって、なんとも便利なデートスポットなのである。

 ある古書店の前の棚に積まれていたのは、80年代の「POPEYE」や「BRUTUS」など、若者雑誌の山。表紙が破れていたり、ページが折れていて、普段売るには適さないものの投げ売り。これは宝の山だと吟味している筆者の両側は、なぜか中年カップルだった。

「いや~、この時ちょうど学生だったよ」

 みたいな会話をしながら、えらくウキウキしている。とりわけ、不倫カップルっぽい中年のほうは、本を手にしていても内容について語るのではない。男のほうが、ひたすらに自分がいかにウィンドサーフィンでイケていたかを語っているのである。

 

 こうした、一種知的なデートを楽しむ余裕がある中年カップルと異なるのが、若者層。よく見ると、手をつないで歩いている男女と、微妙に距離がある男女は半々くらい。

 興味深いのは、がぜん後者のほうである。距離感が見える。男にとって、このお祭りは一種の口実。とにかく2人だけで会う機会が欲しい。女の側に、その気があるのか? あるいは、断るのも角が立つと、仕方なしに「参加」しているだけなのか? 人混みの中に、微妙な距離感が揺れ動いている。

 筑摩書房、雄山閣、柏書房……さまざまなジャンルの専門書を手に取り、その本の価値を語って、自分の値段を吊り上げようと必死な男。でも、残念だ。隣にいる女のコの瞳は、明らかに違う方向へと泳いでいる。

 このお祭りも、今年で58回。いつも、人知れず多くの恋が破れ、寂しいクリスマスの序章がここに始まるのだと、改めて感じた。
(文=昼間たかし)

飯島三智の「3人セット売り」戦略の意図は? ビジネス評論家が「新しい地図」ブランド化を分析

今年9月、ジャニーズ事務所を独立した元SMAP・稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が、元チーフマネジャー・飯島三智氏と合流し、「新しい地図」という名の元、芸能活動を再開した。今回はビジネス評論家の山田修氏が、彼らの戦略を分析する。

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 SMAP解散騒動、それに続いてのメンバー5人のうちの稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾のジャニーズ事務所退所騒動が、昨年から今年にかけて大きな話題となっていました。退所した3人は、「SMAP育ての親」と言われる飯島三智さんが率いるプロダクション「CULEN」と合流して、サイト「新しい地図」を9月22日に立ち上げ、芸能活動再開の号砲を鳴らしたのです。

 新体制で最初の大きなイベントとなったのが、ネットTV『稲垣・草なぎ・香取3人でインターネットはじめます「72時間ホンネテレビ」』(AbemaTV)への3日間の生出演。ネット番組なので、視聴者は断続的に替わっていったはずですが、延べで7400万回ものクリックが記録され、ネットテレビ視聴の新記録となりました。

 地上局テレビの視聴率は、1%だとしたら関東地区では40万8,000人の視聴者数と推定できるそうです(『視聴率ハンドブック』株式会社ビデオリサーチ)。ですから7400万回クリックというのは、7400万人が見たということではないのですが、それなりに大きな数字なのでしょう。世間の「SMAPロス」が大きかったことが窺えます。

■「SMAP」という大ブランド、「新しい地図」という新ブランド

 SMAPは5人グループでしたが、「新しい地図」は3人です。昨年からの動きは、ビジネスでいうブランドの考え方で理解できる側面があるかもしれません。

 「SMAP」というのが、5つのケーキを詰め合わせ商品だと考えてください。5つのケーキはそれぞれに個性があり、いずれもおいしいものでした。それらのケーキは単品でも売られることもありましたが、消費者は全体の商品名「SMAP」というブランドで強く印象付けられていました。

 3つのケーキがパッケージから離れてしまうことになり、全体のブランドは終了してしまいました。元のケーキ屋さんに残った2つのケーキは個別商品として、立派に販売されていますし、引き続き愛されています。一方、離れてしまったのが3つのケーキです。離れたときから、あるいはそれ以前から、この3つのケーキは一緒に店頭に並べてもらおう、と決めていました。個別商品3つを1つのセットとして流通する、消費者にセットとして認定してもらうには、やはり新しいブランドが必要となります。そこで「新しい地図」があたかも新商品名のように機能し始めたのです。

 新商品を大々的に売り出そうとした最初のビッグ・セールが『72時間ホンネテレビ』でした。同番組では、大物タレントが入れ替わり立ち代り登場したり、元SMAPメンバーの森且行が21年ぶりに共演して、「森くん」がTwitterのトレンドワードで世界1位になったなど、いくつものプロモーション的コーナーが組まれ、話題を呼びました。また、番組の告知にSNSを積極的に使うなど、今日的なマーケティング手法も積極的に取り入れています。

 飯島さんのこれらの仕掛けは「成功を収めた」と言えるでしょう。さすが、ジャニーズ時代に「敏腕プロデューサー」「SMAP育ての親」と言われただけのことがあります。忘れられてしまう前に、旬なうちに、「SMAPロス」が世を覆っているうちに……というタイミングで、「3つのケーキ」を求め続けていた消費者に見事に応えたのです。3つのケーキは個別に売られたとしても、求められるだけの“味”がありますが、ファンは何しろ「SMAPロス」。3人をアソート(組み合わせ)したことで、復活インパクトは個別の3倍を大きく超えた効果となったわけです。

■ジャニーズを忖度したのか、テレビ局

 これだけの話題のイベントであり、大変な人気の3人組の新しい動向となった『72時間ホンネテレビ』ですが、地上波テレビ局で紹介されることはありませんでした。元のケーキ屋さんが力を持っています。デパートには、そのケーキ屋さんがとても多くのケーキを卸しているので、各デパートのケーキ売り場責任者は“Jケーキ屋”の意向にとても敏感になっているのです。

 『72時間ホンネテレビ』を放映したAbemaTVは、サイバーエージェントとテレビ朝日が共同出資しています。テレビ朝日は、言ってみれば子会社が製作した番組なので、紹介するなどバックアップしてもいいのかなとも思うのですが、一切取り上げることはありませんでした(既報)。

 放送について絶大な影響力を持っているテレビ地上波各局は、つまりジャニーズ事務所に対して遠慮、配慮、あるいは今年の流行語である忖度をしているのでしょう。

 SMAPとしての揃っての芸能活動は、昨年12月26日の『SMAP×SMAP』(関西テレビ・フジテレビ共同制作)で終了しました。稲垣、香取、草なぎの3 人が、「株式会社ジャニーズ事務所」を退社したのは今年の9月8日。その際、同社の創設者で代表取締役社長のジャニー喜多川氏は次のようなコメントを出しています。

「(略)この度3名が自分達の決意で異なる道を歩み始めますが、どこにいようとも。又どのような立場になろうとも、彼らを想う気持ちに変わりはありません。長年に渡って頑張ってきてくれた3人ですので、これからも沢山の人々に感動と幸せを届けてくれることと確信しています。(略)」(2017年6月18日 株式会社ジャニーズ事務所)

 とても父親的な、度量と愛情に富んだ送り出しコメントだと思います。私は、これをジャニー喜多川さんの本音だと受け止めました。

 しかし、ビジネスの現場は、それとは別の力で動きます。大手デパートのケーキ売り場のコーナーを押さえているJケーキ屋としては、そのコーナーを競合に渡したくはありません。というより、できるだけ拡張すべく日々精一杯やっているのです。

 そのJケーキ屋さんにいたプロデューサー・飯島さんとしては、そこにあえて割り込んでいく、ゼロからの戦いを仕掛けていくことが、どんなに大変なのか、よくわかっていたのかもしれません。

 そこであえて「既存売り場の奪取」という競争方法を取らないで、別の方法を構築したわけです。それが「新しい地図」サイトの構築であり、映画『クソ野郎と美しき世界』(来春公開予定)で3人を競演させる、というやり方。サイト「新しい地図」を9月22日に立ち上げた後に、堰を切ったように3人の個別での芸能活動を始めさせました。

 飯島さんという方は、ずいぶんなやり手な人だと私は評価します。番組を制作するプロデューサーとしてだけでなく、「新しい地図」ブランドの3人商品を売り込む方策に長けた優秀なマーケターであり、それらを総合した企業経営戦略家として活動しています。

 芸能人、タレントが個々に魅力的であれば、当然売れる、人気が出る、ということはありません。能年玲奈がしばらく活動できなかった時期を過ぎて、「のん」として人気が復活している例がありますが、あれは例外。人気タレントが時代の経緯とともに消えていくというのが、いくらでもあるのが通例なのです。

 ビジネスの世界では、「力のある製品、あるいは技術は放っておいても世に出て行く。なぜならそれを買わない、採用しないのは顧客にとって損となるのだから」という考えが通用しがちなのですが、大きな間違い。マーケティングと戦略が優れていない限り、それらは世に出ていくことはありません。タレントが売れることも同じ構造です。

 「新しい地図」の活動は、ジャニーズが展開してきた活動ルールをいろいろな形で破っています。タレントの写真についての厳格な縛りをゆるめたこと、SNSを活用し始めたことなどです。この新しいやり方について、一部のファンからは「安っぽくなった」などの否定的な声も上がっているようですが、「新しい地図」の3人組が対面している状況は、ジャニーズ時代のものと違っています。ジャニーズのやり方を踏襲することは、逆に自らの手を縛ってしまう可能性があるのです。ここは一部の否定的な声は気にせずに、新しい3つセットのケーキの新しい売り方を考え、世間にアピールしていく方が、結果的に多くのファンを獲得できることになるでしょう。業界にジャニーズ事務所という巨人がいるのなら、逆にあえて別のやり方を取る、ということは効果を発揮する可能性があります。

 サイト「新しい地図 本格始動」をクリックすると、映像がスタートします。そこに現れるタイトルです。

「道なき道をいこう」
「こわくなんかない」
「もしも迷ったら 耳を澄まそう 誰かの笑い声がする方へ」

 なかなかいいではありませんか。SMAPロス、これからだいぶ晴れるのではないでしょうか。

山田修(やまだ・おさむ)
経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり、外資4社および日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績を全て回復させ「企業再生経営者」と評される。

飯島三智の「3人セット売り」戦略の意図は? ビジネス評論家が「新しい地図」ブランド化を分析

今年9月、ジャニーズ事務所を独立した元SMAP・稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が、元チーフマネジャー・飯島三智氏と合流し、「新しい地図」という名の元、芸能活動を再開した。今回はビジネス評論家の山田修氏が、彼らの戦略を分析する。

170725paripia1

 SMAP解散騒動、それに続いてのメンバー5人のうちの稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾のジャニーズ事務所退所騒動が、昨年から今年にかけて大きな話題となっていました。退所した3人は、「SMAP育ての親」と言われる飯島三智さんが率いるプロダクション「CULEN」と合流して、サイト「新しい地図」を9月22日に立ち上げ、芸能活動再開の号砲を鳴らしたのです。

 新体制で最初の大きなイベントとなったのが、ネットTV『稲垣・草なぎ・香取3人でインターネットはじめます「72時間ホンネテレビ」』(AbemaTV)への3日間の生出演。ネット番組なので、視聴者は断続的に替わっていったはずですが、延べで7400万回ものクリックが記録され、ネットテレビ視聴の新記録となりました。

 地上局テレビの視聴率は、1%だとしたら関東地区では40万8,000人の視聴者数と推定できるそうです(『視聴率ハンドブック』株式会社ビデオリサーチ)。ですから7400万回クリックというのは、7400万人が見たということではないのですが、それなりに大きな数字なのでしょう。世間の「SMAPロス」が大きかったことが窺えます。

■「SMAP」という大ブランド、「新しい地図」という新ブランド

 SMAPは5人グループでしたが、「新しい地図」は3人です。昨年からの動きは、ビジネスでいうブランドの考え方で理解できる側面があるかもしれません。

 「SMAP」というのが、5つのケーキを詰め合わせ商品だと考えてください。5つのケーキはそれぞれに個性があり、いずれもおいしいものでした。それらのケーキは単品でも売られることもありましたが、消費者は全体の商品名「SMAP」というブランドで強く印象付けられていました。

 3つのケーキがパッケージから離れてしまうことになり、全体のブランドは終了してしまいました。元のケーキ屋さんに残った2つのケーキは個別商品として、立派に販売されていますし、引き続き愛されています。一方、離れてしまったのが3つのケーキです。離れたときから、あるいはそれ以前から、この3つのケーキは一緒に店頭に並べてもらおう、と決めていました。個別商品3つを1つのセットとして流通する、消費者にセットとして認定してもらうには、やはり新しいブランドが必要となります。そこで「新しい地図」があたかも新商品名のように機能し始めたのです。

 新商品を大々的に売り出そうとした最初のビッグ・セールが『72時間ホンネテレビ』でした。同番組では、大物タレントが入れ替わり立ち代り登場したり、元SMAPメンバーの森且行が21年ぶりに共演して、「森くん」がTwitterのトレンドワードで世界1位になったなど、いくつものプロモーション的コーナーが組まれ、話題を呼びました。また、番組の告知にSNSを積極的に使うなど、今日的なマーケティング手法も積極的に取り入れています。

 飯島さんのこれらの仕掛けは「成功を収めた」と言えるでしょう。さすが、ジャニーズ時代に「敏腕プロデューサー」「SMAP育ての親」と言われただけのことがあります。忘れられてしまう前に、旬なうちに、「SMAPロス」が世を覆っているうちに……というタイミングで、「3つのケーキ」を求め続けていた消費者に見事に応えたのです。3つのケーキは個別に売られたとしても、求められるだけの“味”がありますが、ファンは何しろ「SMAPロス」。3人をアソート(組み合わせ)したことで、復活インパクトは個別の3倍を大きく超えた効果となったわけです。

■ジャニーズを忖度したのか、テレビ局

 これだけの話題のイベントであり、大変な人気の3人組の新しい動向となった『72時間ホンネテレビ』ですが、地上波テレビ局で紹介されることはありませんでした。元のケーキ屋さんが力を持っています。デパートには、そのケーキ屋さんがとても多くのケーキを卸しているので、各デパートのケーキ売り場責任者は“Jケーキ屋”の意向にとても敏感になっているのです。

 『72時間ホンネテレビ』を放映したAbemaTVは、サイバーエージェントとテレビ朝日が共同出資しています。テレビ朝日は、言ってみれば子会社が製作した番組なので、紹介するなどバックアップしてもいいのかなとも思うのですが、一切取り上げることはありませんでした(既報)。

 放送について絶大な影響力を持っているテレビ地上波各局は、つまりジャニーズ事務所に対して遠慮、配慮、あるいは今年の流行語である忖度をしているのでしょう。

 SMAPとしての揃っての芸能活動は、昨年12月26日の『SMAP×SMAP』(関西テレビ・フジテレビ共同制作)で終了しました。稲垣、香取、草なぎの3 人が、「株式会社ジャニーズ事務所」を退社したのは今年の9月8日。その際、同社の創設者で代表取締役社長のジャニー喜多川氏は次のようなコメントを出しています。

「(略)この度3名が自分達の決意で異なる道を歩み始めますが、どこにいようとも。又どのような立場になろうとも、彼らを想う気持ちに変わりはありません。長年に渡って頑張ってきてくれた3人ですので、これからも沢山の人々に感動と幸せを届けてくれることと確信しています。(略)」(2017年6月18日 株式会社ジャニーズ事務所)

 とても父親的な、度量と愛情に富んだ送り出しコメントだと思います。私は、これをジャニー喜多川さんの本音だと受け止めました。

 しかし、ビジネスの現場は、それとは別の力で動きます。大手デパートのケーキ売り場のコーナーを押さえているJケーキ屋としては、そのコーナーを競合に渡したくはありません。というより、できるだけ拡張すべく日々精一杯やっているのです。

 そのJケーキ屋さんにいたプロデューサー・飯島さんとしては、そこにあえて割り込んでいく、ゼロからの戦いを仕掛けていくことが、どんなに大変なのか、よくわかっていたのかもしれません。

 そこであえて「既存売り場の奪取」という競争方法を取らないで、別の方法を構築したわけです。それが「新しい地図」サイトの構築であり、映画『クソ野郎と美しき世界』(来春公開予定)で3人を競演させる、というやり方。サイト「新しい地図」を9月22日に立ち上げた後に、堰を切ったように3人の個別での芸能活動を始めさせました。

 飯島さんという方は、ずいぶんなやり手な人だと私は評価します。番組を制作するプロデューサーとしてだけでなく、「新しい地図」ブランドの3人商品を売り込む方策に長けた優秀なマーケターであり、それらを総合した企業経営戦略家として活動しています。

 芸能人、タレントが個々に魅力的であれば、当然売れる、人気が出る、ということはありません。能年玲奈がしばらく活動できなかった時期を過ぎて、「のん」として人気が復活している例がありますが、あれは例外。人気タレントが時代の経緯とともに消えていくというのが、いくらでもあるのが通例なのです。

 ビジネスの世界では、「力のある製品、あるいは技術は放っておいても世に出て行く。なぜならそれを買わない、採用しないのは顧客にとって損となるのだから」という考えが通用しがちなのですが、大きな間違い。マーケティングと戦略が優れていない限り、それらは世に出ていくことはありません。タレントが売れることも同じ構造です。

 「新しい地図」の活動は、ジャニーズが展開してきた活動ルールをいろいろな形で破っています。タレントの写真についての厳格な縛りをゆるめたこと、SNSを活用し始めたことなどです。この新しいやり方について、一部のファンからは「安っぽくなった」などの否定的な声も上がっているようですが、「新しい地図」の3人組が対面している状況は、ジャニーズ時代のものと違っています。ジャニーズのやり方を踏襲することは、逆に自らの手を縛ってしまう可能性があるのです。ここは一部の否定的な声は気にせずに、新しい3つセットのケーキの新しい売り方を考え、世間にアピールしていく方が、結果的に多くのファンを獲得できることになるでしょう。業界にジャニーズ事務所という巨人がいるのなら、逆にあえて別のやり方を取る、ということは効果を発揮する可能性があります。

 サイト「新しい地図 本格始動」をクリックすると、映像がスタートします。そこに現れるタイトルです。

「道なき道をいこう」
「こわくなんかない」
「もしも迷ったら 耳を澄まそう 誰かの笑い声がする方へ」

 なかなかいいではありませんか。SMAPロス、これからだいぶ晴れるのではないでしょうか。

山田修(やまだ・おさむ)
経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり、外資4社および日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績を全て回復させ「企業再生経営者」と評される。

食の価格破壊に驚く!! 県庁所在地なのに寂れている街・秋田と「ドジャース食堂」の真実

 東京を起点に見ると、秋田はたどり着くのも一苦労な街である。

 まず、交通手段は限られていて、高額だ。新幹線なら通常運賃は1万7,800円。購入日によって値段の上下がある飛行機の平均価格と、ほぼイコール。金券ショップで購入すれば、幾分かは安くなるが、それでも割高感は否めない。

 今や、北海道や沖縄、あるいは、近隣の海外へ出かけるよりも、秋田に行くほうがお金がかかるという、奇妙な状況である。確かに、安く済ませようと思ったら手段はある。深夜の高速バスがそれだ。ただし、翌日は身体がほとんど使い物にならなくなるわけだが……。

 今回、ある取材のために乗った土曜日の秋田新幹線・こまち。驚いたことに、座席は満席であった。でも、それは秋田は秋田でも、秋田市に行く人々ではない。

 盛岡駅で東北新幹線と切り離された後、秋田駅へと走る新幹線。田沢湖駅・角館駅と、続々と乗客は降りていく。

 大曲駅を過ぎ、いよいよ次は秋田駅となると、満席だった車内はガラガラである。

 それはもちろん、飛行機を利用している人もいるからだろうが、秋田市は、県庁所在地ながら、特に用事のない街となっているようだ。

 そんな魅力のなさそうな秋田市。確かに、駅前にも人の数は少ない。ちょうど、駅周辺の繁華街ではイベントが開催されてにぎわっていた。そのにぎわいも、決して目を見張るようなものではない。商店や百貨店などを見ても、とにかく客の姿が見えないのである。

 

 もう、何年にもわたって「県庁所在地なのに寂れている」と揶揄される秋田市。確かに、ほかの地域からわざわざ訪れるような魅力は少ない。田沢湖のような観光地に比べると、圧倒的に見るべきものがないのだ。

 

 駅近くには、藩主・佐竹氏の居城であった久保田城がある。公園になった城跡は、市民の憩いの場になっている。けれども、わざわざ見に来るものかといえば、魅力には乏しい。秋田には、ほかにも秋田城という名城がある。こちらは、奈良時代に作られた古代の城柵。むしろ、こっちのほうが歴史的な価値がありそうだけど、残念なことに市街地からは、随分と遠い。

 そんな、なんだかネガティブな雰囲気ばかりの秋田市。でも、今回一日歩いてみて、思った。

「何もない、寂れていると聞いてはきたが、やたらと栄えているではあるまいか!」

 

 まず、おっ!! と思ったのが、久保田城の前に秋田名物の「ババヘラアイス」の露店が出ていること。多くは街道沿いで、車で移動する客相手と聞いていた。ここの露店は、要は観光客目当てというわけだが、それにしても地元名物が200円という商売っ気のなさには、呆れながらも興奮する。

 

 実は、あまり知られていないが、秋田市というところは食の価格破壊がやたらと目立つ街である。スーパーに入ってみても、総菜コーナーがやたらと安い。とりわけ、パック寿司は東京のスーパーにあるものに比べると雲泥の差。よくもまあ、こんなネタを500円台で……。しかも、閉店近くなると半額とかで売っているのだ。

 そんな秋田市内の食の価格破壊の象徴が、秋田駅東口から徒歩5分くらいのところにある「ドジャース食堂」である。

 この食堂に一歩足を踏み入れた時、筆者は思った。近所にあるなら、住める……と。

 

 ここ、名前の通り食堂である。メニューは、一番安いもので550円。高いもので700円程度。ラーメンからトンカツなどなど、食堂らしくメニューは豊富である。

 そして、食堂の中には高校生や大学生がいっぱい。その理由は明白である。ここ、ごはん・味噌汁・コーヒーが、おかわり自由の食堂なのである。

 しかも、おかわり自由の幅が広い。たいていの地域では、「おかわり自由」と書かれていても、「丼物は除く」などとあるもの。でも、ここは違う。様子を見ていると、カツ丼か何かを注文した若者が、途中から茶碗に、ご飯を山盛りでついできて、丼に追加している。別の若者は、チャーハンと唐揚げを注文。チャーハンを食べた後で、大盛りごはんで、唐揚げを食べ始めるではないか!!

 なんとも、食うには困らない街。さすが、米どころ。それが秋田の真実だった。

 

 なお、腹ごなしがてらに、大鵬の奥さんの実家であるお菓子屋の二階にある「東海林太郎記念館」は、ぜひ訪れておきたいスポット。懐メロが流れ続ける館内で、ほぼマンツーマンで相手してくれるぞ。ええ、秋田の人は基本的に親切だった。
(文=昼間たかし)

東京では絶対にあり得ない! 独特の香りに酔う……知られざる“サブカルタウン”盛岡の実態

 盛岡は、東北屈指のサブカルタウンである。

 確かに、盛岡あたりは文化の香りがする。ご当地の有名人と聞いて、まず思い出すのは石川啄木と宮沢賢治。そんな2人の足跡を検証すべく、市内には「もりおか 啄木・賢治青春館」という展示施設も存在する。ただし、最近では誰もが知るようになった、2人のクズエピソードには、まったく触れられていない……これは、プロパガンダなのか?

 まあ、そういった(どういった?)、文化の系譜があるからだろうか。盛岡は、一種独特のサブカルタウンとして、人知れず発展を遂げている。

 

 と、今回筆者が盛岡を訪ねたのは、取材の帰り道。「盛岡に寄るときには、ぜひ連絡を」と、常々ある人物から言われていたからである。

 それが、地元のサブカル事情に詳しい影山明仁さん。影山さんは不動産業を営む傍ら『名作マンガの間取り』(SBクリエイティブ)なる著書も出している、尊敬すべき奇人である。

 この本、もし未読なら絶対にオススメである。本業の知識をフル活用し『海街diary』の香田邸、『美味しんぼ』の山岡邸など、さまざまな作品に出てくる家の間取りを、独自の考察で描き出しているのである。

 

 筆者と影山さんが『究極超人あ~る』の聖地巡礼を通じてネットで知り合ったのが、5年ほど前。今回は、オフでは初対面ということで、サブカルやオタクなどを越境して広範な知識を持つこの人物のルポを仕立て上げようと思っていた。

 でも、それは断念。10分も話さないうちに気づいた。この人がネタの宝庫だということに……。地元情報誌にはサブカルをテーマにした連載を持ち、地域の面白い人たちを次々と紹介。さらには、自身でも「八日丁劇場」という新たなスポットまで立ち上げた。知識、バイタリティ。それは、一晩話を聞くくらいでは終わらない。

 というわけで、ざっくばらんに盛岡のサブカル文化の基礎を知ることになった夕べ。交歓の場となったのは、内丸の飲み屋である。

 盛岡市の内丸は、盛岡でも随一のアヤシゲなスポット。人口30万人にも満たない地方都市に、ゴールデン街のような一角が広がっているのだ。

 

 観光客なら、入るのに躊躇するようなディープゾーン。そこに足を踏み入れることができただけでも、今回は成功だ。

 さて、そんな内丸のシンボルとなっているのが、櫻山神社。この神社もまた、独特のサブカルスポットとして知られている。それは、数年前から節分の時期になると『ジョジョの奇妙な冒険』のキャラクターをモチーフにした鬼が登場すること。ワムウ、サンタナと毎年キャラを変えながら、今や地域では「今年は何が来るのだろう」と期待を集めるようになっている。

 これは、神社の権禰宜・佐藤辰吾さんが、神社と地域のために、毎年ひとりで作っているもの。佐藤さんの創作意欲は近年さらに高まっていて、七五三シーズンの現在は「フェルメール?」と思わず足を止めたくなるような、謎のポスターが登場していた。

 

 盛岡の文化の特徴は、一口にサブカルといっても、しゃれた店があるかと思えばディープな店や人が連なっていること。決して人口も多くなく、市街地がコンパクトにまとまっているゆえに、それは煮詰められて独特の香りとなっている。

 一度くらいの訪問では、全容が把握できない盛岡のサブカル文化。その実態は、また改めて報告することにしたい。
(文=昼間たかし)

『結婚しても恋してる』人気愛妻家が炎上! 「ノロケ」「あざとい嫁」にアンチ増殖

 2017年の夏に日本テレビ系で『ウチの夫は仕事ができない』という、仕事ができない愛妻家の夫とそんな夫を裏から支えようとする若妻のドラマが放送され、視聴者から「ラブラブでかわいらしい」「こんな夫婦になりたい」と評判を呼んだ。著名人の不倫が世間を騒がせ続ける一方、世の中では有名・無名の「愛妻家」がもてはやされている。ネットの世界でもそれは同じで、妻との日常を愛情いっぱいにつぶやくTwitterアカウントはいずれも人気だ。中でもフォロワー数が20万を超えるアカウント・shin5は、そのつぶやきが漫画化され、アカウント名そのままに原作者となり、『結婚しても恋してる』(KADOKAWA/作画、白虎)というタイトルで1~3巻まで発売されている。

 妻の連れ子とその後に生まれた子どもたちを分け隔てなくかわいがり、妻とはずっとラブラブな関係をキープしているというshin5。その結婚生活が理想の夫婦像として人気を博し、コミックスだけでなくフォトエッセイも出版と、順風満帆のように思えるが、その一方でアンチが増え炎上騒動が起きているのも事実である。

 アンチが嫌悪感を抱いているポイントは、学生カップルのようにTwitterで連日ノロケていること、自己陶酔型のポエム的な発言内容にあるようだ。また、妻とのLINEでのやりとりのスクリーンショットを頻繁に投稿しているが、そのやりとりがどうも嘘っぽく見え、やらせを感じると評判が悪い。

 ノロケと指摘されている投稿例を挙げると、

「クリスマスに腕時計のプレゼント。『またお揃い?』といいながら嬉しそうにしていました。」

 これに対して「こういうのは高校生まで」「30歳男と37歳女がしてるかと思うと……」という批判が多く出たとともに、時計メーカーのステマではないかという疑いまで出ている。また、ノロケの間に突如として投下されるポエム。その中でも、ファンの間で人気となり、またアンチ増加のきっかけとなった投稿がある。

「妻と結婚する前『このまま会えなくて別れるかも… 』って思ったことが何回かあったんだけど、その度に僕は会社休んで会いにいったり予定を全てキャンセルしてずっと一緒にいたことがある。人として最低だと思うけど、それくらい本気で距離を縮めたかった。大切なものを守るために優先順位なんてない。」

 このツイートは1万を超える「いいね」が押され、3,500以上リツイートされた。以降、shin5の書き込みはポエム色が強くなっていく。それらに対し、「ちょっとくらい会えなくても死にゃあしない」「働き盛りの三十路中年男が、毎日毎日『泣く』『失いたくない…』『好き好きー』ってSNSで世界に垂れ流すって…」「自己陶酔感きもすぎ いい歳してこんなの恥ずかしくて書けないよ」と拒絶反応を示す人も多い。
 そして、最大の炎上ポイントはその最愛の“妻”。賛否両論を呼んだshin5の投稿がある。

「妻と結婚する前、待ち合わせに10分遅れると連絡があったので駅で待っていたら中年夫婦に『道を教えてもらえませんか?』と話しかけられ、歩いて5分のレストランだし一緒に話しながら行ったんだけど、その先になぜか笑顔の妻がいて『お父さん、お母さん、私の彼氏どう?』って試されたことがあった」

 これには「4歳の子持ちバツイチ女がすることか」「嫁も嫁の親もあり得ない」と批判の声が相次ぎ、モテない男が、年増シングルマザーの魔の手に引っかかったと辛口な意見もあった。

 こうしたshin5の投稿やコミックスの内容から、妻のあざとさが指摘されることとなり、『結婚しても恋してる』のアマゾンレビュー欄には「残念ながら奥さんに好感がもてません。お父さん、日曜日まで仕事してるのにたまの休みに朝食作り、洗濯物、 食器洗い……」「読んでてひどいというか、女性に嫌われる感じの計算丸見え女子力を駆使されてる奥様ですよね」「年齢的にはもう痛い言動のアラサー嫁」など、辛辣なコメントが並ぶ。

 確かにshin5の発言を見ると、家事をやらされていることも多く、小遣いが月2万円など、彼の体や妻との上下関係を心配する声も少なくない。また、こうした投稿内容とコミックスで年齢や固有名詞が違うことが多く、全部が作り話ではないかと疑う意見もある。

 アンチブロック事件で炎上

 こうして大小の炎上が続いていたが、対応の悪さがよりその輪を加速度的に拡大させた。彼はアンチが増えてきていると察したのか、エゴサーチをはじめ、自分を批判する人たちのアカウントを片っ端からブロックし始めたようだ。さらに、「shin6」というパロディアカウントができた際には、自分がブロックするだけにはとどまらず、フォロワーにブロックを促すツイートやDMを送ったという。これがネットで反感を買い、この一連の流れは拡散され、アンチがより増える結果となった。

 しかし、一方でshin5を支持するファンも増加し、現在では似たような嫁大好きポエム投稿をするアカウントも誕生、shin5同様に書籍化までされたものもある。今後も、「愛妻家」アカウントには賛否両論が巻き起こり、炎上がつきまとうであろう。ネット上でにわかに起こった「愛妻家」アピールブームは一体どこまで続くのだろうか。
(円城寺小春)

『おそ松さん』第2期は「お通夜状態」? 爆発的ブーム終了で「視聴率暴落」したワケ

 2015年10月~16年3月まで放送され、爆発的ヒットを飛ばしたアニメ『おそ松さん』(テレビ東京ほか)。今年10月から第2期がスタートし、さぞやファンは大盛り上がりしているだろうと思いきや、ネット上の反応は第1期放送時と比べ物にならないほどトーンダウンしているようだ。現状、Twitterの検索窓に「おそ松さん」と打ち込むと、「つまらない」という単語がサジェストされるありさまで、なぜこのような事態に陥ったのか、その理由に迫る。

 『おそ松さん』第1期放送時の大フィーバーぶりは、今も記憶に新しい。16年のオリコン年間映像ランキング(集計期間:15年12月28日付~16年12月19日付)の「アニメ・特撮DVD部門」において、『おそ松さん 第一松(初回生産限定盤)』が1位を獲得。DVDとBlu-rayの合計売り上げ枚数は11.5万枚で、1万枚売れれば大ヒットといわれるアニメ業界においては異例の数字を記録したのだ。また、関連グッズやCD、ゲームアプリ、雑誌も軒並み人気を博し、その市場規模は放送開始から1年強で300億円に上ると報じられたこともある。

 しかし、そんな『おそ松さん』第2期が、「低迷している」「失速した」とファンの間で物議を醸している。「第1期より第2期の方が、ファンの熱量は下がる」とよくいわれるものの、『おそ松さん』に限っては、第1期の爆発力が凄まじかっただけに、その急落ぶりが目に余るというのだ。

 事実、視聴率を調べてみると、第1期最終回(16年3月28日深夜)は、深夜アニメとしては異例の3.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を獲得し、有終の美を飾った同作だが、第2期の視聴率は、初回(10月2日)1.6%、第2話(9日)0.8%、第3話(16日)0.6%、第4話(23日)0.7%、第5話(30日)0.7%、第6話(11月6日)0.9%。初回を除いて0%台で推移している。確かに第1期初回も、0.9%だったものの、それ以降は話題が話題を呼び、視聴率は右肩上がりになっていっただけに、第2期は、「失速した」と言って間違いはないだろう。

 また気になるのが、DVD・BDの売り上げだ。10月3日、第2期のDVD・BDシリーズの発売が決定したのだが、『おそ松さん第2期 第1松』(12月22日発売)は、現在Amazonランキングの「DVDアニメの売れ筋ランキング」では57位、「同BDランキング」では67位と、昨年年間1位を獲得した実績を考えると、予約段階ながらパッとしない順位だ。同日発売予定の『ラブライブ! サンシャイン!! 2nd Season Blu‐ray 1』が、「同BDランキング」で9位であることを比較しても物悲しさが残る(11月10日午後8時現在)。

 こうしたデータ以外にも、第1期では、『おそ松さん』放送中に、関連ワードが次々とTwitterのトレンド入りすることが珍しくなかったが、第2期では同様の現象は見られなくなっている。さらには、前述のとおり、Twitter上で、ファンによる「第2期になってつまらなくなった」「見るのをやめた」「もうオワコンになっちゃったのかも」といったツイートが飛び交っているのだ。果たして、第2期で既存のファンが離れていった原因はどこにあるのか? おそ松ファンの女性に話を聞いたところ、意外な声が返ってきた。

「『おそ松さん』は、そもそも腐女子を中心に人気を集めたアニメでした。六つ子のキャラクターが個性豊かで、それぞれの関係性に萌えていたんですが、第2期になった途端、彼らの個性が消えて、六つ子が画一的に描かれるようになった気がするんです。第2期初回の冒頭、女子たちに人気を博し、カネを手に入れ、ブクブクに太った六つ子が握手会を開催し、それをイヤミとチビ太が『気持ち悪い』と反吐を吐くシーンがあるのですが、それを見た時、制作サイドが腐女子を『おそ松さん』から切り離そうとしているのではないか……と思ってしまいました」

 また、第1期から話題を呼んでいた“過激な下ネタ”は受け継がれているものの、「六つ子の関係性が描かれないので、ただただお下劣な下ネタなだけで、女子ウケはしない気がします。オナホが登場したり、イヤミの股間にモザイクが入っていたり、男子が『くだらねー』って笑うタイプの下ネタというんでしょうか。あとギャグ自体も、『イヤミが馬券をゆでたみそ汁を飲む』とか不条理路線で、これが元来の赤塚不二夫っぽい作風なのかもしれませんが、ピンと来ない女子も多いのでは」

 そのほか、第1期放送終了から1年半の時間が経過している点に関しても、「長すぎた」とファンの間で見る向きは強い。『おそ松さん』ファン層の中心である10~20代女子が、新しいコンテンツに目移りしてしまった可能性も指摘されている。また最近では、『刀剣乱舞』『あんさんぶるスターズ!』『A3!』といったソーシャルゲームが大ブームとなっており、これらは言ってしまえば「毎日推しに会える」コンテンツ。それだけに、『おそ松さん』の1年半というブランクは、ファンの興味・関心を保たせるのには、あまりにも長すぎたといえるのかもしれない。

 そんな『おそ松さん』だが、現在、セブン-イレブンやアドアーズ、SEGA、HMVなど、多数の企業とコラボ企画を行っており、限定コラボグッズのプレゼントや販売などしている。傍から見ると、ブームは続いているようだが、ネット上のファンの反応を見ると、「コラボが多すぎて追いつけない」「以前は限定グッズはすぐになくなっていたのに、まだ手に入る状態」といった声も散見され、ファンだけが置いてきぼりになっている印象もある。

 『おそ松さん』第2期は、1月から第2クールの放送が決定。果たしてこれから、再び第1期のような盛り上がりを取り戻すことができるのか、注視していきたい。