妊娠したら高校退学? 妊娠・出産・育児をしながらの通学は不可能じゃない

 全国の公立高等学校で、妊娠した生徒が引き続き通学の希望などをしていたにもかかわらず、学校側が退学をすすめた事案が、平成27年4月から平成29年3月までの間に32件あったことが文部科学省の調査によって明らかになった。妊娠を理由に退学処分を下したというケースは確認されなかった。学校側のこうした対応は、生徒の教育の機会を奪うだけでなく、貧困化を促しかねない。

 なお、学校側が自主退学を勧めたもののうち、生徒または保護者は通学、休学または転学を希望していたが、学校が退学を勧めたケースが18件、生徒または保護者に今後の明確な希望はなく、学校が退学を勧めたケースが14件だった。文科省は全国の教育委員会等に対し、適切な配慮をするように指導するという。

 調査対象期間で学校側が生徒の妊娠を把握した件数は2098件(全日制1006件、定時制1092件)。このうち「産前産後を除く全ての期間通学」していた生徒は最も多い778件で、「真に本人(又は保護者)の意思に基づいて自主退学」した生徒が二番目に多い642件だった。

 学校側が生徒や保護者の意思を尊重しないことも問題だが、学業と育児を両立できるような支援体制が不十分だったために、退学を選択するしかなかった可能性も十分に考えられる。実際、学校が退学を勧めた理由をみると、母体の状況や育児を行う上での家庭状況から学業を継続することが難しいと判断したのが18件、学校における支援体制が十分ではなく、本人の安全が確保できないと判断したのが8件あった。

 「産前産後を除く全ての期間通学」していた生徒が最も多かったことを考えると、それぞれの家庭環境に違いはあれど、妊娠・出産・育児をしながら高校に通学することは不可能ではない。本人が通学等を希望しているのであればその意思を尊重するべきであるし、また退学を希望している場合も、妊娠等と通学の両立が不可能ではないこと、学校側が支援体制を整えるなどの配慮が可能であることを伝えるべきだろう(実際、「全ての期間通学した生徒」に対して、授業内容の代替、病院との連携、託児所の設置や紹介などを行った学校は多数ある)。

 自主退学を促すことは、教育の機会を奪うだけでなく、貧困化を促すことにもつながってしまう。「平成29年賃金構造基本統計調査」によれば、学歴別にみた女性の平均収入は、中学卒が187.6万円、高校卒が210.9万円、高専・短大卒が254.8万円、大学・大学院卒が291.5万円と中学卒と高校卒だけでも20万円以上の差がある。なお、この調査は、特定の産業・規模の事業所を対象としているため、その他の産業・規模、そして働いていない女性は含まれていない。平均収入はもっと下がることが考えられる。

生徒たちの性に関する人権が疎かにされている
 3月23日、東京都議会文教委員会で、古賀俊昭都議(自民党)が、足立区の区立中学校で行われた性教育に対して「学習指導要領にそぐわない」と指摘し、東京都教育委員会が足立区教育委員会に指導するというニュースが流れた。

関連記事:性教育で「避妊」「中絶」を取り扱うことは不適切? 15年前と変わらぬ都議と東京都教育委員会

 この区立中学校が問題とされたのは、「妊娠が可能となることを理解できるようにする」「妊娠の経過は取り扱わない」と定めている中学校の学習指導要領の内容を超えて、「性交」「避妊」「人工妊娠中絶」といった「妊娠の経過」にあたる言葉を使ったことにあった。

 「性交」「避妊」「人工妊娠中絶」といったトピックを扱わない性教育など不十分なものだろう。区立中学校がとった事前アンケートでは「高校生になったらセックスしてもよい」と答えた生徒が44%いた。望まない妊娠や性感染症の予防のために正しい知識を教育するのは、高校に入ってからではなく、中学校の時点で行わなければ手遅れとなる。だが東京都議会文教委員会に限らず、文科省も積極的な性教育の推進には及び腰なままだ。

 なお、文科省は今回の調査結果を各都道府県の教育委員会等に向けて通知する際、3点の留意事項を添えていた。そのうちの「日常的な指導の実施」には「妊娠による学業の遅れや進路の変更が発生する場合があり得ることにも留意が必要であることを踏まえ、学習指導要領に基づき、生徒が性に関して正しく理解し適切な行動をとることができるよう性に関する指導を保健体育科、特別活動で行うなど、学習教育活動全体を通じて必要な指導を行うこと」とある。問題はまさにその学習指導要領にあるのではないだろうか。

 支援体制が不十分なまま、妊娠した生徒の一部が、自らの意思を尊重されず「自主退学」を迫られている。さらに積極的な性教育が推進されない中で、文科省は中学校で「妊娠の経過」を扱わないとする学習指導要領にそった指導を学校など教育機関に促している。ちぐはぐな環境の中で、犠牲となるのは生徒、保護者そして生まれてくる子どもたちだ。

最新のインフルエンサー!? 増えまくる“職業的コスプレイヤー”が持てはやされる裏事情

 最近、あちこちの企業系イベントや製品発表会で、頻繁に見かけるようになったのがゲストとして招かれる「コスプレイヤー」である。

 以前は、タレントなどがゲストとして招かれ、ニュースでは「タレントの○○さんが~」と、なっていた記述が最近は「コスプレイヤーの~」となっているワケである。

 この変化はなんなのか。もう、従来のアイドルや芸人が飽きられているのか。あるいは、コスプレイヤーのほうがギャラが安いのだろうか、などなど、さまざまな勘ぐりをしてしまう。

 そこには、広告効果を高めたい企業と、コスプレイヤー側との両方が得をする事情があった。

「企業側が求めるのは、広告効果です。実は、扱う製品やサービスによっては、コスプレイヤーのほうが広告効果が高いといわれているのです」

 そう話すのは、ある大手広告代理店の営業マンだ。この人物によれば、コスプレイヤーの最大の利点はファンの年齢層が広いことだという。

「一般のタレントなどでは、どうしてもファンの年齢層が一部に偏ってしまっている場合が多いんです。ところが、コスプレイヤーの場合は、もっとさまざまな年齢層にファンが広がっています。ですので、広告効果が高いとみています」

 さらに、多くのコスプレイヤーはイベント出演などをすると、自分のTwitterなどで熱心に宣伝をしてくれるという。つまり、インフルエンサーとしてコスプレイヤーは凡百のタレントよりも価値があるのだ。

「つまり、同じギャラを払うなら芸能事務所に所属しているタレントよりも、コスプレイヤーのほうがコストパフォーマンスが格段によいのです……それに、業界慣れしていないコスプレイヤーは、同じギャラでも“こんなにもらえるんですか!”と、メチャクチャ熱心にやってくれますから。これからしばらくは、宣伝イベントにおいてコスプレイヤーは、欠かせない存在だと思っていますよ」

 まだ、発展途上ゆえに情熱度の高いコスプレイヤーという存在。近年は、コスプレイヤーを扱う芸能事務所も増えているが、古きに飲み込まれて熱さを失わないことを願って止まない。
(文=コスプレ取材班)

産まない女に居場所はなかった――「子安講」化する日本

 少子化の原因はさまざま言われているが、産みたくない女性が素直に産まなくなった、ということが一番大きいのではないだろうか。子どもを持たずとも“普通”に生きていけるようになった以上、欲しくもないのに子どもを産んだり、育てたりする必要はない。かつてはその選択ができなかっただけだ。

歴史をひもとくと、共同体の一員として妊娠、出産を繰り返しながら生きることが女性の宿命だった。産めない女性には「石女(うまずめ)」というレッテルが貼られ、ペナルティを課せられた。こうした「石女」差別は、地域にもよるが戦前までは日本各地に見られた。

 不妊の原因が医学的に解明されるようになっても、「石女」は「前世で人を殺した」「先祖が生き物をたくさん殺した」などと言われ、その原因が本人や先祖の悪業にあるかのように責められた。

 また、「石女」は「家」にとって不都合な存在であるばかりでなく、村などの共同体にとっても「不幸の源」であり、「穢れた存在」だと見なされた。

 例えば岐阜のある地方では、「キオンナ(石女のこと)は穢れが強い」ため、道端で用を足すと「たちまち草木が枯れる」とし、その身体的特徴を「心臓に故障があり、猫背で眉が非常に薄いか、または無い者が多く、血色がきわめて悪く、青白い顔色、皮膚色をしている」と説いた。

岐阜の別の地方では、「石女」がその土地に住んでいるだけで、「穢れのために」神社の木が毎年一本ずつ枯れると言われていた。鳥取では各地で無月経の女性を「木女房」、子どものいない女性を「竹女房」と呼び、彼女たちがいると村が絶えると信じ、村から追い出していた。

 「石女」は子育てをしないことから「この世で楽をした」と見なされ、その報いとして死んだら地獄へ堕ちると説く地域も多く、岡山では、「石女はあの世に行って竹薮の竹の根を掘らなければならない」が、生前猫を可愛がっていると、その猫が手伝ってくれると言われていた。

 奈良のある地方では、「元来女には目に見えない12本の角がある。その角は子どもを1人産むごとに1本ずつ落ちていくのであって、12人産んで12本の角がなくなってしまえば善人となる。しかし石女は12本の角がすべて残っているので極楽には行けない」とされていた。12人産まないと善人になれないのであれば、現代の女性たちのほとんどが角の生えた悪人だということになる。

 日本各地に子安地蔵や子安観音、塩釜様などの信仰拠点があるのは、こうした時代の名残でもある。

 今も子どものいない女性に対し、口さがないことをいう人はいるが、共同体ぐるみの理不尽な差別はかなり薄らいだといえる。それが少子化に拍車を掛けているとしても、悪いことだとは思わない。

 個人的な話になるが、私の友人は15年ほど前に結婚し、姑から引き継ぐ形で嫌々「子安講」に参加していた。

 その地域では、 各家の「嫁」が果物や菓子を持って集まり、歓談するという形の「子安講」が定期的に開かれていた。「おかげさまで子どもを授かりました」と赤ん坊を連れて参加する若い母親もいたという。解散時には、「まだ子どもができない人」が残った果物や菓子を持ち帰る。それらにご利益があるという考えらしい。友人はいつも一手にそれを引き受ける羽目になるので、憂鬱で堪らないとこぼしていた。

 友人は結局子どもを持たなかった。最後に会ったとき、まだ「子安講」に参加しているのかと尋ねたら、「行きたくないから、姑に代わってもらった」と言っていた。本人でなくても「ご利益」はあるのだろうか? そんなに集まりたいのなら、「地域親睦会」とでも改称すればいいのに、と思った。

 政府が子産みを奨励し、定期的に「妊娠菌」が流行る日本は、国自体が「子安講」化しているのかもしれない。

引用・参考文献)『家と女性 暮らしの文化史』小学館、『日本産育習俗資料集成』第一法規出版

産まない女に居場所はなかった――「子安講」化する日本

 少子化の原因はさまざま言われているが、産みたくない女性が素直に産まなくなった、ということが一番大きいのではないだろうか。子どもを持たずとも“普通”に生きていけるようになった以上、欲しくもないのに子どもを産んだり、育てたりする必要はない。かつてはその選択ができなかっただけだ。

歴史をひもとくと、共同体の一員として妊娠、出産を繰り返しながら生きることが女性の宿命だった。産めない女性には「石女(うまずめ)」というレッテルが貼られ、ペナルティを課せられた。こうした「石女」差別は、地域にもよるが戦前までは日本各地に見られた。

 不妊の原因が医学的に解明されるようになっても、「石女」は「前世で人を殺した」「先祖が生き物をたくさん殺した」などと言われ、その原因が本人や先祖の悪業にあるかのように責められた。

 また、「石女」は「家」にとって不都合な存在であるばかりでなく、村などの共同体にとっても「不幸の源」であり、「穢れた存在」だと見なされた。

 例えば岐阜のある地方では、「キオンナ(石女のこと)は穢れが強い」ため、道端で用を足すと「たちまち草木が枯れる」とし、その身体的特徴を「心臓に故障があり、猫背で眉が非常に薄いか、または無い者が多く、血色がきわめて悪く、青白い顔色、皮膚色をしている」と説いた。

岐阜の別の地方では、「石女」がその土地に住んでいるだけで、「穢れのために」神社の木が毎年一本ずつ枯れると言われていた。鳥取では各地で無月経の女性を「木女房」、子どものいない女性を「竹女房」と呼び、彼女たちがいると村が絶えると信じ、村から追い出していた。

 「石女」は子育てをしないことから「この世で楽をした」と見なされ、その報いとして死んだら地獄へ堕ちると説く地域も多く、岡山では、「石女はあの世に行って竹薮の竹の根を掘らなければならない」が、生前猫を可愛がっていると、その猫が手伝ってくれると言われていた。

 奈良のある地方では、「元来女には目に見えない12本の角がある。その角は子どもを1人産むごとに1本ずつ落ちていくのであって、12人産んで12本の角がなくなってしまえば善人となる。しかし石女は12本の角がすべて残っているので極楽には行けない」とされていた。12人産まないと善人になれないのであれば、現代の女性たちのほとんどが角の生えた悪人だということになる。

 日本各地に子安地蔵や子安観音、塩釜様などの信仰拠点があるのは、こうした時代の名残でもある。

 今も子どものいない女性に対し、口さがないことをいう人はいるが、共同体ぐるみの理不尽な差別はかなり薄らいだといえる。それが少子化に拍車を掛けているとしても、悪いことだとは思わない。

 個人的な話になるが、私の友人は15年ほど前に結婚し、姑から引き継ぐ形で嫌々「子安講」に参加していた。

 その地域では、 各家の「嫁」が果物や菓子を持って集まり、歓談するという形の「子安講」が定期的に開かれていた。「おかげさまで子どもを授かりました」と赤ん坊を連れて参加する若い母親もいたという。解散時には、「まだ子どもができない人」が残った果物や菓子を持ち帰る。それらにご利益があるという考えらしい。友人はいつも一手にそれを引き受ける羽目になるので、憂鬱で堪らないとこぼしていた。

 友人は結局子どもを持たなかった。最後に会ったとき、まだ「子安講」に参加しているのかと尋ねたら、「行きたくないから、姑に代わってもらった」と言っていた。本人でなくても「ご利益」はあるのだろうか? そんなに集まりたいのなら、「地域親睦会」とでも改称すればいいのに、と思った。

 政府が子産みを奨励し、定期的に「妊娠菌」が流行る日本は、国自体が「子安講」化しているのかもしれない。

引用・参考文献)『家と女性 暮らしの文化史』小学館、『日本産育習俗資料集成』第一法規出版

デマで溢れるインターネットにも、子育てに役立つサイトはあります

※この記事はメタモル出版ウェブサイトに掲載されていた森戸やすみさんの連載「小児科医ママの子どものケアきほんの『き』」を再掲載したものです

 前回の「子育てサイトに気をつけて!」では、インターネット上のおかしな記事の見分け方について書きました。でも、いちいち裏を取ったり確認したりするのも大変ですから、「信頼できるサイトはあるの?」「どうやって探すの?」ということを知りたいですよね。

 誰が書いたのか/取材や監修の依頼をしているかどうかはとても大切ですが、その点、公的機関のサイトは安心です。その分野の、他の専門家からも信頼の厚い人たちが書いています。データに関しても出どころが確か。そこで、子育て中に役立つものをいくつか挙げてみます。

◆内閣府

「結婚・妊娠・出産・育児の切れ目ない支援」

これは内閣府がまとめたもので、「妊娠に備えて」、「妊娠中に知りたいこと」、「出産について」、「育児について」の4つに分かれていて、それぞれ信頼できるリンク先が載っています。子どもがほしいと思ったときから、すぐに役に立つリンク集です。難点は、文字ばかりでとっつきにくいこと、知りたい情報の検索がしづらいことですが、一度見てみましょう。

◆消費者庁

「子どもを事故から守るプロジェクト」

手作り感のあるサイトですがアイキャッチ画像も多く、文章も読みやすいのでおすすめです。どの月齢でどういう事故が多いのか、事故が起こった際にはどう対応したらよいのかがまとめられています。悲しい事例、もう少しで大惨事になり得た事例をみんなで共有すると繰り返さずにすみます。「子ども安全メール」に登録すると、主に0歳から小学校入学前までの子どもの事故を防ぐための注意点などの情報が週に1回、無料で届きます。

◆国立感染症研究所

http://www.nih.go.jp/niid/ja/

感染症については、このサイトを参考にしましょう。話題の麻疹やジカ熱、定期予防接種になったばかりのB型肝炎などについても詳しく載っています。また、疾患名または感染源や特徴から感染症の情報を検索することもできます。

◆国立成育医療研究センター

「病気に関する情報」

感染症以外の病気、薬に関する疑問についても知ることができます。

「妊娠と薬情報センター:授乳と薬について」

授乳中に「安全に使用できると思われる薬」、反対に「授乳中の治療に適さないと判断される薬」についてわかります。お母さんだけでなく他のご家族、医療関係者にも知っておいていただきたい情報です。

このほか、各種学会のガイドラインや提言、一般の方向けのページも読んでおくと役立つと思います。

◆日本小児科学会

「ガイドライン・提言」

予防接種のスケジュール、同時接種についての考え方、ホメオパシーへの対応など、学会の考えなどがわかります。また、サイト内検索で特定の項目も調べられますし、一般の皆さまへというページも役立つことがたくさん。

◆小児科学会監修「こどもの救急」

http://kodomo-qq.jp/

夜間や休日などの診療時間外に病院を受診するかどうかの判断の目安を提供しているサイトです。PC・タブレット端末・スマホ・携帯全てに対応しているので、迷ったらぜひ見てください。

◆「こどもの便秘の正しい治療」

http://www.jspghan.org/constipation/kanja.html

日本小児栄養消化器肝臓学会と日本小児消化管機能研究会が共同で作成した便秘治療のガイドラインがとてもわかりやすくまとめられています。便秘は身近なだけに困る人は多いけれど、医療者によって言うことが違ったりすることもあるので、こちらを確認してみましょう。

◆日本医師会

「白クマ先生の子ども診療所」

主に急な事故やケガ、病気などの対処方法がわかるサイトです。「ドアや窓などに指をはさんでしまった」「おなかのあたりを痛がっている」などの状況から検索することができます。

◆日本皮膚科学会

https://www.dermatol.or.jp/index.html

上記トップページを開いて、「一般市民の皆様」を開くと出てくる「皮膚科Q&A」で、虫さされからヘルペス、とびひなど様々な皮膚の病気について詳しくわかりやすく解説されています。

◆日本小児歯科学会

「子どもたちの口と歯の質問箱」

成長段階別にわかりやすいQ&Aが掲載されています。たとえば、「3歳の子どものすきっ歯が気になる」という質問に対して、永久歯が生えるために隙間があるほうが正常であるという返答が載っていたりして、気になる疑問が解消するかもしれません。

◆日本小児外科学会

「小児外科で治療する病気」

切る、縫うなどは小児科でなく小児外科が専門。また、知っている人が少ないのですが、小児外科の医師は消化器に詳しいんです。よく吐く子は胃軸捻転かもしれませんし、お尻にできているものは肛門周囲膿瘍かもしれません。その他、鼠径ヘルニアや陰嚢水腫、虫垂炎、腸重積などの小児外科で治療する病気と、その特徴などが詳しくわかります。

◆KNOW☆VPD

http://www.know-vpd.jp/

ワクチンに関しては、このサイトが最も読みやすく網羅的です。「受ける必要があるの?」に始まって「同時接種ってどうなの?」「どの順番で受けたらいいの?」などのよくある疑問にもわかりやすく回答してくれています。「予防接種スケジューラー」というアプリもあるので、ワクチンのスケジュール管理におすすめです。

 インターネットで情報を集める場合は、まずは以上のような公的機関、学会などのサイトを見てみましょう。個別の疾患についても、各学会HPでのサイト内検索がおすすめです。ブラウザや一般のYahoo!検索、Google検索では前回お話ししたように、ページビューだけ多い変なサイトばかりヒットしてしまうのでご注意くださいね。

■育児の不安をいたずらに煽る膨大な情報、どう見分ければいい? 宋美玄×森戸やすみクロストーク【4月1日開催】

デマで溢れるインターネットにも、子育てに役立つサイトはありますの画像2
新装版 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK(内外出版社)

デマで溢れるインターネットにも、子育てに役立つサイトはあります

※この記事はメタモル出版ウェブサイトに掲載されていた森戸やすみさんの連載「小児科医ママの子どものケアきほんの『き』」を再掲載したものです

 前回の「子育てサイトに気をつけて!」では、インターネット上のおかしな記事の見分け方について書きました。でも、いちいち裏を取ったり確認したりするのも大変ですから、「信頼できるサイトはあるの?」「どうやって探すの?」ということを知りたいですよね。

 誰が書いたのか/取材や監修の依頼をしているかどうかはとても大切ですが、その点、公的機関のサイトは安心です。その分野の、他の専門家からも信頼の厚い人たちが書いています。データに関しても出どころが確か。そこで、子育て中に役立つものをいくつか挙げてみます。

◆内閣府

「結婚・妊娠・出産・育児の切れ目ない支援」

これは内閣府がまとめたもので、「妊娠に備えて」、「妊娠中に知りたいこと」、「出産について」、「育児について」の4つに分かれていて、それぞれ信頼できるリンク先が載っています。子どもがほしいと思ったときから、すぐに役に立つリンク集です。難点は、文字ばかりでとっつきにくいこと、知りたい情報の検索がしづらいことですが、一度見てみましょう。

◆消費者庁

「子どもを事故から守るプロジェクト」

手作り感のあるサイトですがアイキャッチ画像も多く、文章も読みやすいのでおすすめです。どの月齢でどういう事故が多いのか、事故が起こった際にはどう対応したらよいのかがまとめられています。悲しい事例、もう少しで大惨事になり得た事例をみんなで共有すると繰り返さずにすみます。「子ども安全メール」に登録すると、主に0歳から小学校入学前までの子どもの事故を防ぐための注意点などの情報が週に1回、無料で届きます。

◆国立感染症研究所

http://www.nih.go.jp/niid/ja/

感染症については、このサイトを参考にしましょう。話題の麻疹やジカ熱、定期予防接種になったばかりのB型肝炎などについても詳しく載っています。また、疾患名または感染源や特徴から感染症の情報を検索することもできます。

◆国立成育医療研究センター

「病気に関する情報」

感染症以外の病気、薬に関する疑問についても知ることができます。

「妊娠と薬情報センター:授乳と薬について」

授乳中に「安全に使用できると思われる薬」、反対に「授乳中の治療に適さないと判断される薬」についてわかります。お母さんだけでなく他のご家族、医療関係者にも知っておいていただきたい情報です。

このほか、各種学会のガイドラインや提言、一般の方向けのページも読んでおくと役立つと思います。

◆日本小児科学会

「ガイドライン・提言」

予防接種のスケジュール、同時接種についての考え方、ホメオパシーへの対応など、学会の考えなどがわかります。また、サイト内検索で特定の項目も調べられますし、一般の皆さまへというページも役立つことがたくさん。

◆小児科学会監修「こどもの救急」

http://kodomo-qq.jp/

夜間や休日などの診療時間外に病院を受診するかどうかの判断の目安を提供しているサイトです。PC・タブレット端末・スマホ・携帯全てに対応しているので、迷ったらぜひ見てください。

◆「こどもの便秘の正しい治療」

http://www.jspghan.org/constipation/kanja.html

日本小児栄養消化器肝臓学会と日本小児消化管機能研究会が共同で作成した便秘治療のガイドラインがとてもわかりやすくまとめられています。便秘は身近なだけに困る人は多いけれど、医療者によって言うことが違ったりすることもあるので、こちらを確認してみましょう。

◆日本医師会

「白クマ先生の子ども診療所」

主に急な事故やケガ、病気などの対処方法がわかるサイトです。「ドアや窓などに指をはさんでしまった」「おなかのあたりを痛がっている」などの状況から検索することができます。

◆日本皮膚科学会

https://www.dermatol.or.jp/index.html

上記トップページを開いて、「一般市民の皆様」を開くと出てくる「皮膚科Q&A」で、虫さされからヘルペス、とびひなど様々な皮膚の病気について詳しくわかりやすく解説されています。

◆日本小児歯科学会

「子どもたちの口と歯の質問箱」

成長段階別にわかりやすいQ&Aが掲載されています。たとえば、「3歳の子どものすきっ歯が気になる」という質問に対して、永久歯が生えるために隙間があるほうが正常であるという返答が載っていたりして、気になる疑問が解消するかもしれません。

◆日本小児外科学会

「小児外科で治療する病気」

切る、縫うなどは小児科でなく小児外科が専門。また、知っている人が少ないのですが、小児外科の医師は消化器に詳しいんです。よく吐く子は胃軸捻転かもしれませんし、お尻にできているものは肛門周囲膿瘍かもしれません。その他、鼠径ヘルニアや陰嚢水腫、虫垂炎、腸重積などの小児外科で治療する病気と、その特徴などが詳しくわかります。

◆KNOW☆VPD

http://www.know-vpd.jp/

ワクチンに関しては、このサイトが最も読みやすく網羅的です。「受ける必要があるの?」に始まって「同時接種ってどうなの?」「どの順番で受けたらいいの?」などのよくある疑問にもわかりやすく回答してくれています。「予防接種スケジューラー」というアプリもあるので、ワクチンのスケジュール管理におすすめです。

 インターネットで情報を集める場合は、まずは以上のような公的機関、学会などのサイトを見てみましょう。個別の疾患についても、各学会HPでのサイト内検索がおすすめです。ブラウザや一般のYahoo!検索、Google検索では前回お話ししたように、ページビューだけ多い変なサイトばかりヒットしてしまうのでご注意くださいね。

■育児の不安をいたずらに煽る膨大な情報、どう見分ければいい? 宋美玄×森戸やすみクロストーク【4月1日開催】

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新装版 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK(内外出版社)

部下イジメでウケ狙い、女性客に密着セクハラ……金曜の飲み屋にはびこる“クソ客”の生態

kuso01_500

 


どうも、紫帆です。都内の某飲み屋街で小さなバーを経営している私が、夜毎の営業中に目撃したクソ客・変な客・珍事件について、お話させていただきますね。さて、今宵のお客さまは――


 

クソにもほどがある! ケチ・セクハラ・つまんないの三拍子リーマン

 そのオッサンは1、2回目の来店からいきなり態度がデカく、某大企業の名刺を印籠代わりに「金持ってる」アピールをする50代サラリーマンでした。外見は白髪交じりに眼鏡の普通のおじさんですが、身長がちょっと高くガタイがいいところを見ると、体育会系から来るハラスメント気質があるようです。

 飲む酒は毎度、スコッチのシングルモルトをロックでチビチビ飲むスタイル。バー飲みが好きな方ならごく普通の飲み方ではありますが、癖の強いスコッチをオーダーすることで「俺わかってる」感を醸し出そうとしている可能性も否めません。

 基本的には部下をいじって笑いものにするか、店員にセクハラする(「おっぱい見せろ」などと言う、体に触る、アフターに誘う等々)しか機能が備わってないご様子。「金ある」発言の割には大した額を使うわけでもなく(ボトルをおねだりしたら無視されました)、趣味、時事ネタなどの世間話はオールスルー。もはや人間として存在している意味がないレベルです。

 どうにかしてそのオッサンを撃退しようと思っていたある夜――

オッサンは例によって、仲間内でつまんない話をして居座っています。0時をまわった頃、とある常連のお客さまが女性をお連れになりました。するとそのお連れの女性の、あり得ない至近距離にオッサンがすり寄り始めたのです……! 

パーソナルスペースという用語はだいぶ一般的だと思うのですが、果たして彼は知っているのでしょうか? 女性が事態を飲み込めず固まっているのをいいことに、鼻息がかかるような距離で「こういう店よく来るのン?」とかボソボソ話しかけています。

 

こいつ、マジモンの痴漢だーッ!

 

 女性から離れるようにと私が注意した直後、よく通る声が店内に響き渡りました。

「こういう店では、ほかのお客が連れてきた女性には声をかけないもんですよ」

 常連さんの一喝でした。60代後半ながら男として現役感漂う、しかし紳士的な姿勢を決して崩さない常連さんの言葉は重みと迫力をたたえていました。その後は連れのリーマン仲間に諭されてすごすごと撤退したオッサン……(なぜか、こういう迷惑な奴に限って連れの人が超絶いい人なんですよね)。

 これにこりて飲みに来ることもなくなるだろうとのんきに構えていたら、なんとオッサンは翌週にもご来店。前回とは違うお連れさまと、何食わぬ顔で飲み始めたオッサン……。ここはなんとしてもトドメを刺さねば! 経営者としてそう判断した私は、あくまでにこやかに、そして店内のお客さま全員に聞こえるように言いました。

「今日はもう、女性のお客さまにセクハラしないでくださいね~~!」

 満席の店内に緊張が走り、それからお客さまの視線がオッサンに集まります。慌てながらも必死でとぼけるオッサン。やがて、空気を読んだお連れさま(やっぱり善良そう……気まずい思いさせてゴメンね)に促されて店を出ていきました。仲間内でのマウンティングだけで生きる実感を得ているこのタイプには、「仲間の前で恥をかかせる」攻撃が効果的なんですね。

 それからはオッサンの姿を見ていません。そもそも、内輪のポジション取りだけが生きがいの彼のような人種が、「個」を試されるバーに来て楽しいのでしょうか? 

 思うに人間とは、自分から一番遠い世界に心惹かれるものなのかもしれませんね。

 

(隔週金曜日・次回は4月13日更新)


プロフィール
浮川紫帆(うきがわ・しほ)
東京都内の繁華街の一角でバーを経営する30代バツイチ女性。ママ歴は6年。好きなお酒はマカストロングのお湯割り。


(イラスト=ドルショック竹下)

部下イジメでウケ狙い、女性客に密着セクハラ……金曜の飲み屋にはびこる“クソ客”の生態

kuso01_500

 


どうも、紫帆です。都内の某飲み屋街で小さなバーを経営している私が、夜毎の営業中に目撃したクソ客・変な客・珍事件について、お話させていただきますね。さて、今宵のお客さまは――


 

クソにもほどがある! ケチ・セクハラ・つまんないの三拍子リーマン

 そのオッサンは1、2回目の来店からいきなり態度がデカく、某大企業の名刺を印籠代わりに「金持ってる」アピールをする50代サラリーマンでした。外見は白髪交じりに眼鏡の普通のおじさんですが、身長がちょっと高くガタイがいいところを見ると、体育会系から来るハラスメント気質があるようです。

 飲む酒は毎度、スコッチのシングルモルトをロックでチビチビ飲むスタイル。バー飲みが好きな方ならごく普通の飲み方ではありますが、癖の強いスコッチをオーダーすることで「俺わかってる」感を醸し出そうとしている可能性も否めません。

 基本的には部下をいじって笑いものにするか、店員にセクハラする(「おっぱい見せろ」などと言う、体に触る、アフターに誘う等々)しか機能が備わってないご様子。「金ある」発言の割には大した額を使うわけでもなく(ボトルをおねだりしたら無視されました)、趣味、時事ネタなどの世間話はオールスルー。もはや人間として存在している意味がないレベルです。

 どうにかしてそのオッサンを撃退しようと思っていたある夜――

オッサンは例によって、仲間内でつまんない話をして居座っています。0時をまわった頃、とある常連のお客さまが女性をお連れになりました。するとそのお連れの女性の、あり得ない至近距離にオッサンがすり寄り始めたのです……! 

パーソナルスペースという用語はだいぶ一般的だと思うのですが、果たして彼は知っているのでしょうか? 女性が事態を飲み込めず固まっているのをいいことに、鼻息がかかるような距離で「こういう店よく来るのン?」とかボソボソ話しかけています。

 

こいつ、マジモンの痴漢だーッ!

 

 女性から離れるようにと私が注意した直後、よく通る声が店内に響き渡りました。

「こういう店では、ほかのお客が連れてきた女性には声をかけないもんですよ」

 常連さんの一喝でした。60代後半ながら男として現役感漂う、しかし紳士的な姿勢を決して崩さない常連さんの言葉は重みと迫力をたたえていました。その後は連れのリーマン仲間に諭されてすごすごと撤退したオッサン……(なぜか、こういう迷惑な奴に限って連れの人が超絶いい人なんですよね)。

 これにこりて飲みに来ることもなくなるだろうとのんきに構えていたら、なんとオッサンは翌週にもご来店。前回とは違うお連れさまと、何食わぬ顔で飲み始めたオッサン……。ここはなんとしてもトドメを刺さねば! 経営者としてそう判断した私は、あくまでにこやかに、そして店内のお客さま全員に聞こえるように言いました。

「今日はもう、女性のお客さまにセクハラしないでくださいね~~!」

 満席の店内に緊張が走り、それからお客さまの視線がオッサンに集まります。慌てながらも必死でとぼけるオッサン。やがて、空気を読んだお連れさま(やっぱり善良そう……気まずい思いさせてゴメンね)に促されて店を出ていきました。仲間内でのマウンティングだけで生きる実感を得ているこのタイプには、「仲間の前で恥をかかせる」攻撃が効果的なんですね。

 それからはオッサンの姿を見ていません。そもそも、内輪のポジション取りだけが生きがいの彼のような人種が、「個」を試されるバーに来て楽しいのでしょうか? 

 思うに人間とは、自分から一番遠い世界に心惹かれるものなのかもしれませんね。

 

(隔週金曜日・次回は4月13日更新)


プロフィール
浮川紫帆(うきがわ・しほ)
東京都内の繁華街の一角でバーを経営する30代バツイチ女性。ママ歴は6年。好きなお酒はマカストロングのお湯割り。


(イラスト=ドルショック竹下)

更年期症状はホットフラッシュやイライラだけじゃない! デリケートゾーンの痒みも我慢せず受診を

 空前の膣ケアブームがやってきた、と言ってもいいのではないだろうか。40、50代向けの雑誌やwebサイトはどこもこぞって「膣周りのケアをしましょう」と唱え始めている。

 私もメノポーズカウンセラーの端くれとして、40代に入り女性ホルモンであるエストロゲンが減少することで、膣周りに様々な変化が訪れることは知っている。たとえば、外陰部のかゆみやヒリヒリする痛み、匂いの変化。また、膣の中の膣壁が薄くなり少しの刺激で出血してしまうことがあることや膣萎縮、そして性交痛……更年期世代になると、これまでにない症状に悩まされる人が多いのである(むろん全員にではない)。

 このあたりのお話をプロに詳しく聞いてみたい――。そう考え、今回は性交痛に詳しいことで知られる潤滑ゼリーを輸入・販売されている小林ひろみさんからお話をうかがうことにした。小林さんはメノポーズカウンセラーでもあり、また女性の健康とワーク・ライフ・バランス推進員でもある。

 小林さんは2008年よりアメリカの潤滑ゼリー「アイディルーブ」の輸入販売をはじめる。自身も若いころから性交痛に悩まされ潤滑ゼリーで解放されたこともあり創業以来、性の健康に関連するセミナー、学会に多数参加。性交時の自然の潤いは女性ホルモンと深く関係していることから専門知識を得るため2014年に更年期のメノポーズカウンセラーを取得。また潤滑ゼリーは成分がとても重要なことから化粧品成分検定1級を取得している。

これまで感じたことのないような不快感が起きることも
――最近のこの膣周りケアブーム、すごくないですか? 「膣ケアしないと、キラキラした40、50代を過ごせないわよ!」的文言が多いようなのが少し気になりますが……。

「膣周りをケアしないと女じゃない! みたいな流れになるのはたしかに心配です。だいたい、更年期世代で強く更年期症状が出ている人って、体調が安定しないわけですから、毎日をなんとか終えるだけで精一杯なんですよ。そういう状態のときにケアは必須的な記事を読むと、『そんなこともできてない私って駄目なのかな……』と落ち込んじゃう恐れもありますから」

――私もそこは気になるところです。ただ、更年期で外陰部や膣にこれまで感じたことのないような不快感を覚える人が増えるのは事実ではありますよね。

「女性ホルモンであるエストロゲンは、皮膚や粘膜の潤いや弾力を保つ役割をしているんですね。エストロゲンが分泌されることで、膣や外陰部の潤いが保たれ、雑菌が繁殖しにくいpH値が維持されます」

――更年期に入りエストロゲンの減少が始まると、膣や外陰部の潤いも低下するんですね。

「はい。そうすると、乾燥によるかゆみやヒリヒリする痛みなど、デリケートゾーンに不快感を覚える症状がでてきます。また、pH値のバランスが崩れて雑菌も繁殖しやすくなり、それが匂いの変化にもつながります」

――更年期といえば、ホットフラシュとイライラ。こういった症状ばかりが注目されがちですが……。

「最近は、薬局や婦人科などで、更年期について書かれたパンフレットがよく置いてありますよね? あの中にはちゃんとデリケートゾーンの不快感についても書かれているんですけど……なぜかこれまで語られることが少なかったようです」

――私たちよりも上の世代はネットもありませんし、情報が少なかった。かゆみや痛みが出たときに不安だったでしょうね。

「いまも、更年期にそういう状態になることがある、ということを知らない人は少なくないと思います。突然の激しいかゆみに驚いて『もしかして性病?』と病院に駆け込む人も多いらしいですよ。久しく性行為をしていなくても」

――なんらかの菌が潜伏していて、今突然に発症した……と想像してしまうんでしょうか。そういう勘違いを防ぐためにも、更年期世代には膣や外陰部になんらかの違和感や不快感を覚える人もいる、ということを世間に広めていくというのは大切ですよね。

「知っておくと慌てなくてもすみますから。たとえば外陰部にかゆみや乾燥がある場合は、婦人科に行ってHRT(ホルモン補充療法)でホルモンを身体に入れることで収まる場合もあります」

――かゆい=皮膚科に行く。それで治るなら問題ないですけど、治らない場合は婦人科に行くという選択もあるよ、と。

「はい。HRT以外にも保険適用外ですが最近は膣レーザーという施術もありますよ。主に膣の乾燥が進行して膣や外陰部の萎縮してしまっている状態を改善することを目的とした治療で、レーザーを照射することで膣や外陰部の不快感の改善に高い効果があるようです」

かゆい=ゴシゴシ洗う、ではない
――痛みやかゆみ、匂いの変化などが表れると「ちゃんと洗えてないんじゃないか?」と、これまで以上にボディーソープをたっぷりとつけて念入りに洗ってしまいがちですが、あれは逆効果なんですよね?

「そうなんです。とにかくゴシゴシしない! これが大事なんですね。洗うときだけではなく、トイレに行って用を足して紙で拭く場合も同じ。私が行く婦人科では、トイレの壁に張り紙がしてありますよ。『ゴシゴシ拭かない!』『そっと紙を押し当てて水分を吸収させるように』って(笑)」

――幼い頃に母親に教わった教えを、更年期世代は再び思い出さないといけないというわけですね(笑)。

「エストロゲンが減少することで乾いていくのは髪や肌だけでなく、膣周りも同じですから。乾燥しているのに、ゴシゴシして刺激を与えるのはもってのほか」

――ゴシゴシ洗い、さらに乾燥を引き起こす。悪循環ですね。

「洗浄力が強すぎると肌って荒れちゃいますから。肛門は大腸菌があるので、きちんと石鹸をつけて洗ったほうがいいけれど。陰部は、ときにはお湯で洗うだけでもいいんじゃないかと私は思います」

――いまはデリケートゾーン専用のソープなどもありますが。

「必ずしも専用ソープを使う必要もないとは思います。なるべく低刺激のものを使うほうがいいのは間違いないんですけれど。わざわざ専用商品を使わなくても、肌に優しく自分が心地いいものであればそれを使えばいいと思います」

――乾燥防止のために、デリケートゾーンもお風呂上りに保湿対策を施したほうがいいですか?

「したほうがいいですが、これも深刻な乾燥状態ではない限り特に専用のクリームなどを使う必要はないと思いますが、粘膜に近いデリケートな部分ですので必ず粘膜を避けてテストして使用、自分の肌にあったものを。私も市販の顔やボディ用の保湿剤を、ありとあらゆるものを試してみた過去があります(笑)」

更年期世代の性交痛について
――かゆみやヒリヒリ感のほかに、更年期世代になると話題にのぼることが多いのが、性交痛。この世代になると「これまでなんともなかったのに、性行為に際して痛みを感じるようになった」という女性が多いようですね。

「エストロゲンが減ると、外陰部や膣の乾燥による普段からの不快感で性交自体が億劫になる方が増えます。普段からの乾燥に加え、性的に興奮すると出てくる潤いも減少することと、膣壁の弾力が失われることで、性行為の際に痛みを感じる女性が増えてくるんです」

――膣壁は本来コラーゲンが中にあって、ふかふかしたものなんですよね?

「ふかふかというよりは、膣壁の弾力がコラーゲンや水分によって保たれている状態ですね。それがエストロゲン減少によって、膣粘膜が乾燥、萎縮し膣壁が薄くなる。そのせいで性行為のときに出血する方がでてきます」

――「痛い」と一度でも感じると、次から行為そのものが億劫になってしまう。次第に性行為から遠ざかるようになり、「セックスレス」という問題をご夫婦で抱えてしまうことになりますよね。

「ええ。私の主治医である婦人科の先生は、性行為に関する悩みを相談される患者さんは非常に多いとおっしゃってました」

――性交痛に関しても「HRTでホルモンを補充することで解消された」とおっしゃる人は多いようですが……でもHRTはまだまだ抵抗感がある人が多いのが現状ですから。小林さんが販売されている潤滑ゼリーを使用する、というのは性交痛に悩む方にはとてもいい選択ではないかと思います。

「はい、夫婦やパートナー関係の改善のお役に立てたなら嬉しいなと思ってます。いくつになってもスキンシップって大切ですから。市場調査のためにネットショップの潤滑ゼリーの商品レビューを読んだりするのですが、けっこうなご年配だなと推測できる男性の方が『痛がる妻のために購入しました』とコメントされていたりしますよ」

知っておきたい、ローションの違い
――奥様のために旦那様が購入されているんですね! たしかに最近はネットで購入できることで手軽になったとは思うのですが。ただ、いろんな種類がありすぎて、どれを買えばいいのか迷ってしまう人もいるのではないでしょうか。

「ラブグッズと言われるローションは、大きく分けて2種類があるんです。ひとつは、ボディ上でヌルヌル感を楽しむもの。ラブホテルに置かれているのは、だいたいがこのタイプですね。そして、もう一つは挿入をスムーズにヘルプする、潤滑ゼリー/ジェルです。」

――量販店やドラッグストアなどでは、どちらも区別なく陳列されていることが多いです。性交痛のヘルプのためのローションを買う場合は、成分をチェックしたほうがいい、と。

「どちらも見た目は透明でヌメリがあるので紛らわしく、さらにどちらもローションとカテゴリされたり、呼ばれていることが多いので見分け方が難しいんです……。挿入に使用する場合は、一般的に水とグリセリン(又は似た成分)で構成され『潤滑xx』と書いてあるものを選んで頂くとよいかと思います。ヌルヌル感を楽しむローションは、成分表示の最初にポリアクリル酸ナトリウムが表示されていることが多いので判断しやすいです」

――潤滑ゼリーの量なのですが、どれぐらいが適量なんでしょう?

「適量はひとさし指の第一関節分ぐらいかと思います」

――どのタイミングで塗ればいいのかわからない、という声もあるようです。

「挿入する直前に塗るのがいいと思います。あと、塗るタイミングではなく、潤滑ゼリーを使おうよと最初に話すタイミングが難しい、というのは私もよく聞く話です。でも、最初だけですよ、気まずいのは(笑)」

――それで夫婦間やパートナーの関係が良好になるなら、使わない手はないですよね。

「次第にゼリーの存在が当たりまえになってきますから。性交痛で悩んでいるなら、男性も女性も恐れずにパートナーに潤滑ゼリーの使用を提案してみてほしいです」

潤滑ローションは、ふしだらなものなんかじゃない
――日本では、たとえ夫婦間やパートナー間といえ、性行為に関して話し合うということはまだまだ一般化されていませんものね。特に40、50代ではその傾向が強い。潤滑ゼリーを使いたいと話すと、男女とも「どこでそんな知識を覚えてきたんだ!?」と嫌悪感や抵抗感を示す人もいるかもしれないですね。

「そうなんです。ローションといえば、性風俗で覚えた遊び、というイメージが強いですし、あとは女性がそんなものを提案するのはふしだらだ、と思い込んでいる人は男女問わずにいるかと思います。だから私は婦人科のお医者様が積極的に勧めてくださったらいいのになと思っているんですよ」

――たしかに「お医者さんから勧められたから」と言えば、話もスムーズな気がします。

「ですよね。私の主治医は、患者さんからのそういった相談も多いので、積極的に潤滑ゼリーの存在を話してくださっているようですけれど、まだまだ……」

――性交痛はなにも更年期世代だけの悩みとは限りませんよね。

「そうです。若い方でも悩んでいる方は多いです」

――若い世代の性交痛にはどんな原因が考えられますか?

「そのときの身体のコンディションによる潤い減少が多いのかなと思いますけど……。ほかにたとえば子宮頚がんや内膜症など子宮に関連する病気、出産による会陰の外傷、膣の炎症、薬の副作用による乾燥など、原因は様々で多岐にわたります。初体験や出産で経験した痛みから『また痛いのではないか』という恐怖心がおこり、それが性交痛につながるケースも。あと、生理が止まるようなハードなダイエットをしている人は、エストロゲンが減少しているわけですから、濡れにくくなるようです」

――性交痛で悩んでいる方って、どれぐらいいらっしゃるんでしょう?

「弊社ホームページ上で、101名の方にアンケートを実施したことがあるんですね。『性交時に痛かった経験はありますか?』の問いに『ない』と答えた方は18名、『ある』と答えた方は82名でした」

――8割! 痛みに悩んでいらっしゃる方は、まずは潤滑ゼリーを試してみてほしいですね。

「はい。ただ、更年期世代の方で潤滑ゼリーを使っても痛みが激しい、出血するといった場合は、やはり婦人科に行ってみてほしいです。HRTのほかに、痛みを緩和する膣座薬などもありますから。入り口以外が痛い場合は、潤滑ゼリーで解決はしません」

――顔や肌と違って、デリケートゾーンって普段は気に掛けることあまりないし、鏡でじっくり見ることも滅多にない。でもある程度の年齢になるとそこも変化していく、ということを知識として知っておくことは重要――。改めてよくわかりました。キラキラするためじゃなく、自分の健康のために、ですね。

「その通りだと思います。デリケートゾーンを直視出来ない、という女性は多いようですが、時には勇気を出して鏡などでチェックしてみてもいいんじゃないでしょうか。定期的に確認すると変化にも気づきやすいかもしれませんから」

――今日はどうもありがとうございました。

<プロフィール>
▼小林ひろみ
うるおいヘルスケア株式会社 代表/メノポーズカウンセラー/化粧品成分検定上級スペシャリスト1級/女性の健康とワーク・ライフ・バランス推進員
【会員】
日本性科学会(JSSS)/NPO法人 更年期と加齢のヘルスケア/NPO法人 女性の健康とメノポーズ協会/性と健康を考える女性専門家の会

更年期症状はホットフラッシュやイライラだけじゃない! デリケートゾーンの痒みも我慢せず受診を

 空前の膣ケアブームがやってきた、と言ってもいいのではないだろうか。40、50代向けの雑誌やwebサイトはどこもこぞって「膣周りのケアをしましょう」と唱え始めている。

 私もメノポーズカウンセラーの端くれとして、40代に入り女性ホルモンであるエストロゲンが減少することで、膣周りに様々な変化が訪れることは知っている。たとえば、外陰部のかゆみやヒリヒリする痛み、匂いの変化。また、膣の中の膣壁が薄くなり少しの刺激で出血してしまうことがあることや膣萎縮、そして性交痛……更年期世代になると、これまでにない症状に悩まされる人が多いのである(むろん全員にではない)。

 このあたりのお話をプロに詳しく聞いてみたい――。そう考え、今回は性交痛に詳しいことで知られる潤滑ゼリーを輸入・販売されている小林ひろみさんからお話をうかがうことにした。小林さんはメノポーズカウンセラーでもあり、また女性の健康とワーク・ライフ・バランス推進員でもある。

 小林さんは2008年よりアメリカの潤滑ゼリー「アイディルーブ」の輸入販売をはじめる。自身も若いころから性交痛に悩まされ潤滑ゼリーで解放されたこともあり創業以来、性の健康に関連するセミナー、学会に多数参加。性交時の自然の潤いは女性ホルモンと深く関係していることから専門知識を得るため2014年に更年期のメノポーズカウンセラーを取得。また潤滑ゼリーは成分がとても重要なことから化粧品成分検定1級を取得している。

これまで感じたことのないような不快感が起きることも
――最近のこの膣周りケアブーム、すごくないですか? 「膣ケアしないと、キラキラした40、50代を過ごせないわよ!」的文言が多いようなのが少し気になりますが……。

「膣周りをケアしないと女じゃない! みたいな流れになるのはたしかに心配です。だいたい、更年期世代で強く更年期症状が出ている人って、体調が安定しないわけですから、毎日をなんとか終えるだけで精一杯なんですよ。そういう状態のときにケアは必須的な記事を読むと、『そんなこともできてない私って駄目なのかな……』と落ち込んじゃう恐れもありますから」

――私もそこは気になるところです。ただ、更年期で外陰部や膣にこれまで感じたことのないような不快感を覚える人が増えるのは事実ではありますよね。

「女性ホルモンであるエストロゲンは、皮膚や粘膜の潤いや弾力を保つ役割をしているんですね。エストロゲンが分泌されることで、膣や外陰部の潤いが保たれ、雑菌が繁殖しにくいpH値が維持されます」

――更年期に入りエストロゲンの減少が始まると、膣や外陰部の潤いも低下するんですね。

「はい。そうすると、乾燥によるかゆみやヒリヒリする痛みなど、デリケートゾーンに不快感を覚える症状がでてきます。また、pH値のバランスが崩れて雑菌も繁殖しやすくなり、それが匂いの変化にもつながります」

――更年期といえば、ホットフラシュとイライラ。こういった症状ばかりが注目されがちですが……。

「最近は、薬局や婦人科などで、更年期について書かれたパンフレットがよく置いてありますよね? あの中にはちゃんとデリケートゾーンの不快感についても書かれているんですけど……なぜかこれまで語られることが少なかったようです」

――私たちよりも上の世代はネットもありませんし、情報が少なかった。かゆみや痛みが出たときに不安だったでしょうね。

「いまも、更年期にそういう状態になることがある、ということを知らない人は少なくないと思います。突然の激しいかゆみに驚いて『もしかして性病?』と病院に駆け込む人も多いらしいですよ。久しく性行為をしていなくても」

――なんらかの菌が潜伏していて、今突然に発症した……と想像してしまうんでしょうか。そういう勘違いを防ぐためにも、更年期世代には膣や外陰部になんらかの違和感や不快感を覚える人もいる、ということを世間に広めていくというのは大切ですよね。

「知っておくと慌てなくてもすみますから。たとえば外陰部にかゆみや乾燥がある場合は、婦人科に行ってHRT(ホルモン補充療法)でホルモンを身体に入れることで収まる場合もあります」

――かゆい=皮膚科に行く。それで治るなら問題ないですけど、治らない場合は婦人科に行くという選択もあるよ、と。

「はい。HRT以外にも保険適用外ですが最近は膣レーザーという施術もありますよ。主に膣の乾燥が進行して膣や外陰部の萎縮してしまっている状態を改善することを目的とした治療で、レーザーを照射することで膣や外陰部の不快感の改善に高い効果があるようです」

かゆい=ゴシゴシ洗う、ではない
――痛みやかゆみ、匂いの変化などが表れると「ちゃんと洗えてないんじゃないか?」と、これまで以上にボディーソープをたっぷりとつけて念入りに洗ってしまいがちですが、あれは逆効果なんですよね?

「そうなんです。とにかくゴシゴシしない! これが大事なんですね。洗うときだけではなく、トイレに行って用を足して紙で拭く場合も同じ。私が行く婦人科では、トイレの壁に張り紙がしてありますよ。『ゴシゴシ拭かない!』『そっと紙を押し当てて水分を吸収させるように』って(笑)」

――幼い頃に母親に教わった教えを、更年期世代は再び思い出さないといけないというわけですね(笑)。

「エストロゲンが減少することで乾いていくのは髪や肌だけでなく、膣周りも同じですから。乾燥しているのに、ゴシゴシして刺激を与えるのはもってのほか」

――ゴシゴシ洗い、さらに乾燥を引き起こす。悪循環ですね。

「洗浄力が強すぎると肌って荒れちゃいますから。肛門は大腸菌があるので、きちんと石鹸をつけて洗ったほうがいいけれど。陰部は、ときにはお湯で洗うだけでもいいんじゃないかと私は思います」

――いまはデリケートゾーン専用のソープなどもありますが。

「必ずしも専用ソープを使う必要もないとは思います。なるべく低刺激のものを使うほうがいいのは間違いないんですけれど。わざわざ専用商品を使わなくても、肌に優しく自分が心地いいものであればそれを使えばいいと思います」

――乾燥防止のために、デリケートゾーンもお風呂上りに保湿対策を施したほうがいいですか?

「したほうがいいですが、これも深刻な乾燥状態ではない限り特に専用のクリームなどを使う必要はないと思いますが、粘膜に近いデリケートな部分ですので必ず粘膜を避けてテストして使用、自分の肌にあったものを。私も市販の顔やボディ用の保湿剤を、ありとあらゆるものを試してみた過去があります(笑)」

更年期世代の性交痛について
――かゆみやヒリヒリ感のほかに、更年期世代になると話題にのぼることが多いのが、性交痛。この世代になると「これまでなんともなかったのに、性行為に際して痛みを感じるようになった」という女性が多いようですね。

「エストロゲンが減ると、外陰部や膣の乾燥による普段からの不快感で性交自体が億劫になる方が増えます。普段からの乾燥に加え、性的に興奮すると出てくる潤いも減少することと、膣壁の弾力が失われることで、性行為の際に痛みを感じる女性が増えてくるんです」

――膣壁は本来コラーゲンが中にあって、ふかふかしたものなんですよね?

「ふかふかというよりは、膣壁の弾力がコラーゲンや水分によって保たれている状態ですね。それがエストロゲン減少によって、膣粘膜が乾燥、萎縮し膣壁が薄くなる。そのせいで性行為のときに出血する方がでてきます」

――「痛い」と一度でも感じると、次から行為そのものが億劫になってしまう。次第に性行為から遠ざかるようになり、「セックスレス」という問題をご夫婦で抱えてしまうことになりますよね。

「ええ。私の主治医である婦人科の先生は、性行為に関する悩みを相談される患者さんは非常に多いとおっしゃってました」

――性交痛に関しても「HRTでホルモンを補充することで解消された」とおっしゃる人は多いようですが……でもHRTはまだまだ抵抗感がある人が多いのが現状ですから。小林さんが販売されている潤滑ゼリーを使用する、というのは性交痛に悩む方にはとてもいい選択ではないかと思います。

「はい、夫婦やパートナー関係の改善のお役に立てたなら嬉しいなと思ってます。いくつになってもスキンシップって大切ですから。市場調査のためにネットショップの潤滑ゼリーの商品レビューを読んだりするのですが、けっこうなご年配だなと推測できる男性の方が『痛がる妻のために購入しました』とコメントされていたりしますよ」

知っておきたい、ローションの違い
――奥様のために旦那様が購入されているんですね! たしかに最近はネットで購入できることで手軽になったとは思うのですが。ただ、いろんな種類がありすぎて、どれを買えばいいのか迷ってしまう人もいるのではないでしょうか。

「ラブグッズと言われるローションは、大きく分けて2種類があるんです。ひとつは、ボディ上でヌルヌル感を楽しむもの。ラブホテルに置かれているのは、だいたいがこのタイプですね。そして、もう一つは挿入をスムーズにヘルプする、潤滑ゼリー/ジェルです。」

――量販店やドラッグストアなどでは、どちらも区別なく陳列されていることが多いです。性交痛のヘルプのためのローションを買う場合は、成分をチェックしたほうがいい、と。

「どちらも見た目は透明でヌメリがあるので紛らわしく、さらにどちらもローションとカテゴリされたり、呼ばれていることが多いので見分け方が難しいんです……。挿入に使用する場合は、一般的に水とグリセリン(又は似た成分)で構成され『潤滑xx』と書いてあるものを選んで頂くとよいかと思います。ヌルヌル感を楽しむローションは、成分表示の最初にポリアクリル酸ナトリウムが表示されていることが多いので判断しやすいです」

――潤滑ゼリーの量なのですが、どれぐらいが適量なんでしょう?

「適量はひとさし指の第一関節分ぐらいかと思います」

――どのタイミングで塗ればいいのかわからない、という声もあるようです。

「挿入する直前に塗るのがいいと思います。あと、塗るタイミングではなく、潤滑ゼリーを使おうよと最初に話すタイミングが難しい、というのは私もよく聞く話です。でも、最初だけですよ、気まずいのは(笑)」

――それで夫婦間やパートナーの関係が良好になるなら、使わない手はないですよね。

「次第にゼリーの存在が当たりまえになってきますから。性交痛で悩んでいるなら、男性も女性も恐れずにパートナーに潤滑ゼリーの使用を提案してみてほしいです」

潤滑ローションは、ふしだらなものなんかじゃない
――日本では、たとえ夫婦間やパートナー間といえ、性行為に関して話し合うということはまだまだ一般化されていませんものね。特に40、50代ではその傾向が強い。潤滑ゼリーを使いたいと話すと、男女とも「どこでそんな知識を覚えてきたんだ!?」と嫌悪感や抵抗感を示す人もいるかもしれないですね。

「そうなんです。ローションといえば、性風俗で覚えた遊び、というイメージが強いですし、あとは女性がそんなものを提案するのはふしだらだ、と思い込んでいる人は男女問わずにいるかと思います。だから私は婦人科のお医者様が積極的に勧めてくださったらいいのになと思っているんですよ」

――たしかに「お医者さんから勧められたから」と言えば、話もスムーズな気がします。

「ですよね。私の主治医は、患者さんからのそういった相談も多いので、積極的に潤滑ゼリーの存在を話してくださっているようですけれど、まだまだ……」

――性交痛はなにも更年期世代だけの悩みとは限りませんよね。

「そうです。若い方でも悩んでいる方は多いです」

――若い世代の性交痛にはどんな原因が考えられますか?

「そのときの身体のコンディションによる潤い減少が多いのかなと思いますけど……。ほかにたとえば子宮頚がんや内膜症など子宮に関連する病気、出産による会陰の外傷、膣の炎症、薬の副作用による乾燥など、原因は様々で多岐にわたります。初体験や出産で経験した痛みから『また痛いのではないか』という恐怖心がおこり、それが性交痛につながるケースも。あと、生理が止まるようなハードなダイエットをしている人は、エストロゲンが減少しているわけですから、濡れにくくなるようです」

――性交痛で悩んでいる方って、どれぐらいいらっしゃるんでしょう?

「弊社ホームページ上で、101名の方にアンケートを実施したことがあるんですね。『性交時に痛かった経験はありますか?』の問いに『ない』と答えた方は18名、『ある』と答えた方は82名でした」

――8割! 痛みに悩んでいらっしゃる方は、まずは潤滑ゼリーを試してみてほしいですね。

「はい。ただ、更年期世代の方で潤滑ゼリーを使っても痛みが激しい、出血するといった場合は、やはり婦人科に行ってみてほしいです。HRTのほかに、痛みを緩和する膣座薬などもありますから。入り口以外が痛い場合は、潤滑ゼリーで解決はしません」

――顔や肌と違って、デリケートゾーンって普段は気に掛けることあまりないし、鏡でじっくり見ることも滅多にない。でもある程度の年齢になるとそこも変化していく、ということを知識として知っておくことは重要――。改めてよくわかりました。キラキラするためじゃなく、自分の健康のために、ですね。

「その通りだと思います。デリケートゾーンを直視出来ない、という女性は多いようですが、時には勇気を出して鏡などでチェックしてみてもいいんじゃないでしょうか。定期的に確認すると変化にも気づきやすいかもしれませんから」

――今日はどうもありがとうございました。

<プロフィール>
▼小林ひろみ
うるおいヘルスケア株式会社 代表/メノポーズカウンセラー/化粧品成分検定上級スペシャリスト1級/女性の健康とワーク・ライフ・バランス推進員
【会員】
日本性科学会(JSSS)/NPO法人 更年期と加齢のヘルスケア/NPO法人 女性の健康とメノポーズ協会/性と健康を考える女性専門家の会