「性に関して、自分だけは幸せになりなさい」婦人科医が語る、女性の権利を奪われない生き方

 前回、婦人科医の早乙女智子先生に「セクシュアル・ライツ(性の権利宣言)」に触れながら、女性の人権がないがしろにされている現状を伺った。今回は、女性がもっと生きやすくなる方法について探る。

前編はこちら:「男も世間も、女にラクをさせたくない」性の現場から語る、女性権利“不在”の日本の現状

■嫌なセックスをしないことで、身体権が守れる

――女性は、自分を守るためにどうしたらいいのでしょうか?

早乙女智子先生(以下、早乙女) 嫌なセックスをしないことです。「お茶飲まない?」と聞かれたら、「飲まない」とか「いりません」と答えられるでしょう。それと同じです。セックスするかしないかをはっきりさせる。いるかいらないかをはっきりするだけです。「今はいいわ」「あなたとは飲みたくない」「砂糖はやめて」それだけのこと。相手のために我慢してセックスしたら、その我慢は性搾取でしかない。男性は絶対に自分が痛いセックスはしないでしょう。それなのに、女性には痛いセックスを最初から強要している。挿入は、女性にとっては後戯でしかありません。前戯が女性にとってのセックスです。つまり、前戯をしない挿入だけのセックスは暴力。女性の身体権が奪われています。それを愛とかいう男がいたら、「馬鹿野郎!」って叫んでやればいい。

――日本でセックス嫌いの女性がいるのは当然の状況のように思えます。暴力をなくすには、どうしたらいいでしょうか?

早乙女 まず、暴力とは何かを知ることですね。暴力に当たるものは非常に範囲が広いんです。精神的、身体的、性的、経済的、社会的……言葉の暴力もそうです。落ち度もないのに、故意になじることも暴力。一度振るった暴力を、再び振るうそぶりを見せることも、暴力に当たります。夫婦間でも、合意がない場合のセックスは暴力。デートDVも、もちろん暴力です。社会的暴力とは、社会から隔絶させることです。例えば、男の名前をスマホから消させるとか、外出を禁止するとか、外出先から必ず電話を入れさせるのも暴力です。男性は、いつでも遅くなったり飲み歩いたりしているのに。日本の女性はすさまじく地位が低く扱われています。その上、日本にはまだ、中絶する女性を下に見る風潮が残っているのです。

――シングルマザーで、苦しい生活を余儀なくされている女性も少なくないですね。

早乙女 妊娠も出産もセックスも、みんなお金の問題なんです。男性と女性で入れ替えてみれば、おかしい仕組みがすぐにわかります。嫌な言い方かもしれないけれど、日本では愛だけでは生きていけないし、子どもも育てられない。フランスやオランダのように生活保障がちゃんとしていれば、シングルマザーでもちゃんと育てられるけれど、そうではないのです。お金がなくて、頼れる人もいない足場の危ないところで子どもを産んでも、いい人生ではなくなってしまいます。だから、妊娠して出産を控えた女性に必ず言うことがあります。「たとえ小さなお財布でも、絶対に手放しちゃいけない」ということです。妊娠中の離婚もよくあるので、とにかく妊婦さんは小さな預金でも取り崩さずに隠して取っておくように。妊娠出産しても、女性は絶対にお金を生む手段を手放してはいけないんです。

――妊娠出産は女性だけの問題ではないはずなのに、すべてを女性が背負っているケースも多いように思います。

早乙女 女性は、自分の体のことを自分で決めていいんです。月経をずらすのも自由。ピルを飲んで何十人と経験するのも自由。ただ、それにはリスクがあって、感染症や望まない妊娠の危険性があります。だからパートナーはたくさんいていいけれども、最低限コンドームは使ってほしいですね。自分の性生活について、いちいち他人にとやかく言われる筋合いはありません。もし言われても「関係ない」と耳をふさいで無視するくらいでいいんです。日本社会では、そうでもしないと権利が守られないと思います。

■自分が幸せになろうとみんなが思えば、社会はもっと良くなる

――日本の女性は、科学の恩恵を受けられず、情報も必要な人に届いてない。そんな状況の中で、どのように考えたら楽になるでしょうか?

早乙女 性に関して、自分だけは幸せになろうとすることです。もちろん他人に迷惑をかけずにですけどね。一番は、自分が周りの人に対して、小さな自己主張をしていくこと。同調圧力に弱い人は、まずは小さなことから始めないとだめ。自分の好きなものを選ぶようにしましょう。日本人の良さとして、ある程度の同調はいいと思いますし、混乱するのを避けるのは悪いことではないけれど、それが自分たちを苦しめてしまっている。

――苦しんでいる人がたくさんいるのに、どうしてこれだけ窮屈な社会ができてしまうのでしょうか?

早乙女 お母さんという立場の人が「自分さえ我慢していれば」と思ってやり過ごしている。でも、お父さんも「俺だって会社で我慢している」と思っている。こっちもつらいけど、そっちもつらい。いま日本は、非生産的な人生観になっています。同調圧力が強くなっていて、みんなが苦しいから、みんなが苦しいことを確認して満足しているのが現状です。でも、同調しているだけで、それが正しいとは限りません。そんな状態から次の世代は生まれにくいでしょう。「子どもを産め」と言うならば、「まず私たち女性を伸び伸び生きさせてください」と言いたいですね。まずは、子どものことより自分たちからですよ。

―――具体的には、どうしたらいいかを教えてください。

早乙女 自分の中のもう1人の自分を想定し、常に気持ちを確認してみる。そこでもし「嫌だ」と言ってきたら、「本当はどうしたいの?」と聞いてみる。日本社会は少しずつ変わってきたような気もするけれど、根本的な女性問題は、まだなくなっていません。だから「自分だけは幸せになりなさい」と患者さんに言っています。他人はどうでもいいんです。「子どもが幸せでいてくれれば私はいい」というなら、それでもいいですが、子どもから見たら、「かあちゃんは、なんだかわからないけど楽しそうだよね」というほうが絶対にいいと思います。「あなたのためにこんなに我慢している」は、不幸の連鎖にしかなりません。エゴに見えるけど、自分だけは幸せになりなさい。みんながそう思っていたら、みんなが幸せになる。余っていれば、周りの人にも分けてやりなさい。それでいいと思います。それが案外難しいけれど、やったらできますよ。みんなが幸せな社会、それが一番です。
(弥栄 遖子)

早乙女智子(さおとめ・ともこ)
日本産婦人科学会認定 産婦人科専門医。1986年筑波大学医学専門学群卒業。国立国際医療センター、東京都職員共済組合青山病院、ふれあい横浜ホスピタル勤務などを経て、現在は主婦会館クリニック勤務。「性と健康を考える女性専門家の会」副会長、日本性科学会認定セックスセラピスト。著書は、『LOVE・ラブ・えっち』(保健同人社)、『13歳からの「恋とからだ」ノート』(新講社)など多数。

「男も世間も、女にラクをさせたくない」性の現場から語る、女性権利“不在”の日本の現状

 今年5月に発売された「日本性科学会」編集による『セックス・セラピー入門 性機能不全のカウンセリングから治療まで』(金原出版)は、性の喜びを得られない人をサポートするための医療従事者向けテキスト。前回、日本性科学会理事長の大川玲子医師に、セックス・セラピーの必要性について伺ったが、性は、健康だけでなく、人権の問題とも大きく関わってくる。今回は、女性の性と権利に詳しい婦人科医の早乙女智子先生に、女性の人権の現状についてお話を伺った。

■出産が楽しくないのは、女性の人権がないがしろにされているから

――早乙女先生は、『セックス・セラピー入門』で女性の性と人権についての章を担当されていますが、人権とは具体的には、どのようなことを指すのでしょうか?

早乙女智子先生(以下、早乙女) 女性が思うように生きられること、つまり女性が思ったことを口にしたり、行動したりできることが人権です。男性も女性もすべての人間が、自由・尊厳・平等に基づき、危害から保護されるのが当然です。世界性の健康学会(WAS)が発表した「セクシュアル・ライツ」という性の権利宣言があるのですが、改めてその中身を振り返る必要性がいま出てきています。女性差別に関しては、男女を入れ替えて考えると、どれもおかしいと気づくことが多い。

――先生から見て、女性の人権がないがしろにされていると感じるのは、特にどのような部分ですか?

早乙女 例えば「出産は楽しいですか?」と聞かれて、「楽しい」と答える女性は10%程度しかいません。一方で、「セックスは楽しいですか?」と聞けば、大半の人が「楽しい」と答えます。セックスは楽しいといえるのに、出産は楽しいといえない。女性の最大のライフイベントなのに、それが楽しくなくて、女性の人生が楽しいわけがありません。産婦人科の世界を見ても、内診の上半身と下半身を分けるカーテンを使っているのは日本だけです。日本では、ただ時間と効率だけを考えて分娩台を使うことが多いですが、それは出産を管理しやすいからです。

――世界では無痛分娩が普通なのに、日本では「無痛分娩だと愛がない」などと言われたりもします。

早乙女 それは日本特有の「女はラクをしてはいけない」という刷り込みです。とにかく男も世間も、女にラクをさせたくない。ラクをさせないっていうのは、人権をないがしろにしているということです。女は出産も育児もして、働いて介護もしろっていうのは、人として扱わなくていいと言っているのと同じことです。

――まさに“産む機械”にされているわけですね……。ただ、女性の中にも、不利な立場に置かれていることに気づかない人がいるように思います。

早乙女 例えば日本では、薬局でピルを手軽に購入可能にする認可がなかなか下りない現状がありますが、これも女性の人権をおろそかにしています。なぜなら、ピルは女性の体を守るためのものだからです。日本は先進国だといっても、ピルに代表される「科学の恩恵を受ける権利」がまるでない。海外では「#MeToo運動」が盛り上がって、女性の権利向上の動きが見られますが、日本ではそれほど大きな動きがありません。日本は本当に厳しい状況です。

――ピルの認可や社会での扱いについては、よく海外と比較されますね。

早乙女 海外で緊急避妊ピルといえば、大学内の自販機で手に入るようなものです。学生には普通のピルも無料で配られる国もあります。女性の体を守るための薬なのに、日本では何十年たっても変わらない。「ピルを飲んでまでセックスがしたいのか」という批判がありますが、自由にしていいものを、なぜしてはいけないのでしょうか。緊急避妊ピルなんて1〜2万円、人工妊娠中絶も10万円以上かかってしまうなど、世界から後れを取っていて、まったくお話にもなりません。

――性教育にも反対派が大勢いたり、「高校生が婦人科に行くなんてふしだら」といった意見がネットでは飛び交ってますが……。

早乙女 性教育をちゃんと受けた真面目な高校生カップルが、受験もあるし、「妊娠したら困るよね」と婦人科に相談に行ったら、「高校生にはピルは出さない」と断られたそうです。高校生のセックスなんて普通のことなのに、大人は見たくないから目をそむけているんです。「性教育を受けて真面目に自分たちで考えて素晴らしい!」という話なのに、医師も世間も遅れすぎています。日本では、妊娠したら女性だけが高校中退させられ、大学にもまともに通えないケースが少なくありません。それなのに妊娠させた男はその後、普通に暮らしていくんです。最近はそうした女子高校生を支援する機運が高まりつつあるものの、あらゆる意味で、社会が女性を貧困に追い込む形になっている。オランダなら、高校生が妊娠しても養子のシステムを提案してくれたりします。結果的に、痛い思いもつらい思いも、女性だけにかぶせようとしているように思います。

――政治家も「産め産め」と騒いで、プライバシーの侵害を頻繁に行っていますが、その現状についてはどう思われますか?

早乙女 そもそも女性も男性も、体のどこにも機能的に問題がなく健康でも、10人に1人は子どもができないということを知らないで政治家は言っている。誰でも子どもができるわけではないことを、国民全体に知らせるべきです。中高生の段階で教えておかないと、いざ子どもを作ろうとしたときに、なぜできないのかと悩んでしまう。10%といえば、結構な確率です。

――政府は、女性が早く子どもを産むように働きかけたりしていますが……。

早乙女 以前、文部科学省が高校生向け保健体育の副教材で発表した「22歳が妊娠しやすいピーク」という数字も、データが改竄されていました。妊娠のしやすさは、33歳くらいまでは年齢に関係なく変わりません。20 代から妊娠を考えても、10 %程度は妊娠しないカップルがいるのが現実。性教育もそうですが、正しい知識がまったく教えられていないのが大きな問題なんです。

――こうした女性をめぐる問題が解消されるどころか、強まっていくのはなぜでしょうか?

早乙女 想像力の欠如です。男女を入れ替えても大丈夫か、という立場で問題を考えないからですね。入れ替えてみて自分が嫌だと感じることを、男女ともに相手にしないことが大事だと思います。相席居酒屋なども、明らかな性差別です。「男性の欲求を満たすため」という目的があるから、女性が無料になっている。女性が男性と同等の賃金をもらっていたら「自分で払います」と断れるのに、中には払えない子もいる。女性は低賃金で貧困層が量産されているから、そういった日常に潜んでいる差別に気づかない。本当に構造的な問題ですね。
(弥栄 遖子)

(後編につづく)

早乙女智子(さおとめ・ともこ)
日本産婦人科学会認定 産婦人科専門医。1986年筑波大学医学専門学群卒業。国立国際医療センター、東京都職員共済組合青山病院、ふれあい横浜ホスピタル勤務などを経て、現在は主婦会館クリニック勤務。「性と健康を考える女性専門家の会」副会長、日本性科学会認定セックスセラピスト。著書は、『LOVE・ラブ・えっち』(保健同人社)、『13歳からの「恋とからだ」ノート』(新講社)など多数。

国民は小室圭さんに嫉妬している――精神科医が「眞子さまとの結婚騒動が盛り上がるワケ」を考察

 今年2月、秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さんの結婚延期が報じられ、日本中に大激震が走った。2人は昨年9月に婚約内定会見を行い、今年3月に一般の結納に当たる「納采の儀」、そして11月4日には結婚式を執り行う予定だったが、「十分な準備を行う時間的余裕がないこと」を理由に、結婚関連の諸行事を2020年まで延期することとなったのだ。

 こうした延期の背景には、一部で報じられた圭さんの母親・佳代さんと元婚約者A氏との間の“400万円借金トラブル”があるといわれている。このA氏は週刊誌に登場し、佳代さんとの付き合いの中で、いかに“搾取”されてきたかを切々と語り、借金を返してほしいと吐露。世間から、「皇族の結婚相手にふさわしくない」という声が上がり始めた。

 婚約内定当初、インターナショナルスクール育ちでTOIECスコア950、名門・国際基督教大学(ICU)卒という優秀な人物で、「湘南江の島 海の王子」にも選ばれた爽やかなイケメンともてはやされていた圭さん。その一方、パラリーガルの身で収入が低いこと、また家庭環境について、小学生の頃に父が自死し、佳代さんが新興宗教に傾倒していたことなども、スキャンダラスに報じられてきた。

 なぜ人々は、秋篠宮家に巻き起こった結婚延期騒動に熱狂し、圭さんをめぐるスキャンダルに飛びつくのか。そんな大衆の心理について、『被害者のふりをせずにはいられない人』(青春出版社)や『高学歴モンスター~一流大学卒の迷惑な人たち~』(小学館)などの著者である精神科医・片田珠美氏に話を聞いた。

 眞子さまと小室さんの結婚騒動について、「世間は『2人が破談になればいい』と思っているようなフシさえある」と指摘する片田氏。人々が、それほどまでの感情を爆発させる要因はどこにあるのだろうか。

「まず皇室というのは、人々の身分が平等化する世の中で、別格の存在であり、言うなれば日本一の名家。皇室御用達として“ハクがつく”と、“格が高い”とみなされ、人々の興味を引いて売れるのです。そんな皇室は人々にとって『羨望』の対象です。そして、この『羨望』とは、『他人の幸福が我慢できない怒り』なのです。そんな皇室に、しかも天皇陛下の初孫に降って湧いた結婚騒動とあって、人々は『他人の不幸は蜜の味』と感じ熱狂しているのではないでしょうか」

 「他人の不幸は蜜の味」は、裏返せば「他人の幸せは癪の種」ということだ。眞子さまとの婚約内定が報じられると、ネット上では、圭さんを「シンデレラボーイ」と呼ぶ者も多かったが、結婚延期騒動への人々の熱狂には、“圭さんへの嫉妬”が関係していると、片田氏は述べる。

「戦前、女性皇族の嫁ぎ先は皇族か華族とされていましたが、戦後の民主化により、人々の身分が平等になる中、そういった制限はなくなりました。今上天皇の第一皇女である清子さまは、秋篠宮さまと学習院初等科時代からのご学友だった東京都職員・黒田慶樹さんと、また、高円宮家の三女・絢子さまは、日本郵船社員でNPO法人『国境なき子どもたち』の理事も務める守谷慧さんとご結婚されています。ただ、やはりお二人とも“それなりの方”であるのは事実。そんな彼らと比べると、圭さんは、そこらへんにいる若い男の子と変わらない印象で、“図抜けた人”ではありません。そんな人物が、眞子さまとご結婚とあって、特に圭さんと同年代の男性は『なんでアイツはいい思いをしているのに、自分はそうではないのか』と、嫉妬心を抱いたはずです」

 圭さんは、ICU卒業後、三菱UFJ銀行に就職、その後、弁護士事務所でパラリーガルとして働き、年収は250万円程度ではないかと報じられている。

「ICUも名門ですが、トップの東京大学ではない……それ以外にも、圭さんの図抜けていないところはあります。こうした経歴を知り、『自分と学歴や能力はそこまで変わらないのに』とか、母子家庭であるという点で『うちの方が家柄はいいのに』とか思った人がいたのではないでしょうか。つまり、圭さんに対して『自分とそれほど違わない人間なのに不平等だ』と、多くの人が感じたからこそ、圭さんを批判する声が大きくなったと考えられます」

 片田氏は、「皮肉なことですが」と前置きした上で、「世の中が平等になればなるほど、人はちょっとした差や違いに敏感になる」という。

「19世紀のフランスの政治思想家、アレクシ・ド・トクヴィル氏も指摘していますが、身分が平等になることは、実は危険もはらんでいます。つまり、みんな平等だと思えば思うほど、『アイツだけいい思いをしやがって』と、ひりつくような思いを抱きやすいのです。だから、今の圭さんに向けられる世間の視線がこれだけ厳しいのではないでしょうか。例えば圭さんが、東大卒の官僚で、家柄も素晴らしかったら、ここまで世間の批判は盛り上がっていなかったと思いますよ。『自分とは別世界の人だから』と、嫉妬されずに済んだことでしょう」

 圭さんに対する嫉妬が、結婚延期騒動への世間の熱狂を生んだとするならば、一連の騒動の争点が「お金」である点も捨て置けない。佳代さんと元婚約者A氏との借金トラブルはもちろんのこと、小室家の警備費に「莫大な税金が使われている」と世間で物議を醸したことも記憶に新しい。

「景気が良くなったといわれていますが、やはり皆さん、『収入が上がらない』『金銭的に将来が不安』など、お金で苦労されているのだと思います。だからこそ、圭さんに対し『こっちはつらい思いをしているのに、どうして借金も返さず、莫大なお金を使って警備までしてもらってるんだ』と怒りがわくのです。凄まじい怒りというのは、その矛先を向ける人物を、不幸にすることを望みます。なので、圭さんに怒っている人は、もし破談となった場合、拍手喝采となるでしょう。逆に、もし結婚に至った場合、何かしらのクレームをつけるなど、バッシングは収まらないでしょう」

 また、圭さんは今年8月から、国際弁護士資格取得のため、3年間の予定で米フォーダム大学ロースクールに留学しているが、当初、同大のサイトで「眞子さまのフィアンセ」と紹介されたことが話題になった。宮内庁から「納采の儀を行っていないのでフィアンセではない」と通達があり、その文言は削除されたというが、「こうした“ロイヤルファミリーの関係者”としての特別扱いも、世間を煽る」と片田氏は言う。

 片田氏の話を聞くと、いかに圭さんが世間の嫉妬を買ってきたかを痛感するが、それに拍車をかける存在が、母親の佳代さんであるという。

「華やかなバブル時代、家が貧しくていい思いができなかったので、それを今こそ取り戻そうとしている……佳代さんにはそんな印象があります。母子家庭でお金に余裕がない中、圭さんをインターナショナルスクールに通わせ、私立のICUに入れて海外留学もさせる……息子をどうにか輝かせようという気持ちはわかるものの、そのために交際相手にお金を援助してもらうなど、何というかすごく“背伸び”しているんです。圭さんは、そんなお母さんの影響をかなり受けていると思いますね。そして、そんな佳代さんがロイヤルファミリーの関係者になるという成功をつかみかけている点もまた、世間の怒りを買ったのではないでしょうか」

 佳代さんについて、片田氏は「大きなサングラスをかけるなど、ファッションが派手だと感じました。皇族とお付き合いするのであれば、普通はもっと地味にすべきなのに」と率直な感想を述べる。もし佳代さんが、息子が皇族と結婚するにあたり、できるだけ目立つことを避けようという配慮ができていれば、世間のバッシングも免れたのではないかと想像してしまうが……。

「もし佳代さんがそんなふうに考えられる人だったら、眞子さまと圭さんは、婚約内定までいっていませんよ。いくら世の中が平等になったとはいえ、家柄や息子の現在の仕事、年収などを考え、『皇室のプリンセスを我が家に迎えるのは無理。分をわきまえて、諦めなさい』と、息子を諭したのではないでしょうか。週刊誌報道で、佳代さんは圭さんの交際相手の家柄を気にしていたとありましたし、眞子さまとの結婚で、ステップアップを図ろうとしていたようにも見えます」

 皇族との結婚を深く考えていないのではないかという印象を与えかねない小室さん親子の言動は、世間に違和感を与えたことだろう。それが世間の「なぜ皇族との結婚に、あんなにも堂々としていられるのか」「何様のつもりなのか」といった怒りを呼び起こしたのかもしれない。

 眞子さまと圭さんはこうした世間の感情をどのように受け止めているのか。“祝福される結婚”からは遠のくばかりにも思えるが、2人にとって最良の道を選ばれることを祈りたい。

「セックスしない夫婦は今後も増え続ける」精神科医・阿部輝夫氏が語る日本の“セックスレス問題”

 近年、カラダの関係がない“セックスレス夫婦”が増え続けているという。日本性科学会が1994年に定義したところによると、セックスレスとは「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクト(性的なふれあい)が1カ月以上ないこと」を指すが、一般社団法人日本家族計画協会が2017年に発表した「男女の生活と意識に関する調査」において、調査対象の20~69歳で「セックスレス」と回答した夫婦は、過去最高の47.2%だったとのこと。「約半数の夫婦がセックスレス」という現況は、多くのメディアによってセンセーショナルに取り上げられ、「セックスをしない日本人」のイメージがより広まった印象だ。

 今回、1991年に初めて「セックスレス」という言葉を提唱し、長年、セックスレスに悩む人たちの治療にあたってきた、あべメンタルクリニック院長の阿部輝夫氏に取材を行った。阿部氏の目に、セックスレス夫婦の増加はどう映るのか。セックスレス治療に訪れる患者の傾向をお聞きするとともに、世間がセックスレス問題をどう受け止めているかについての見解を伺った。

27年前には想定できなかった事態

――「日本人の約半数の夫婦がセックスレス」という調査結果について、先生はどのように思われますか?

阿部輝夫先生(以下、阿部) 悲しいですね。セックスレスの定義に沿った調査のようですから、半数近い夫婦が、性器的な結合も然ることながら、セクシャル・コンタクトすらないというのは、どうなってしまったんだろうと思います。私がセックスレスを提唱した91年当時には想定できなかったようなことが、現実に起きていると感じます。

――阿部先生は長年、セックスレス治療に取り組まれてきましたが、来院する患者さんにはどのような方が多いのでしょうか。

阿部 やはり「子づくりのためにセックスを取り戻したい」という30代後半の夫婦からの相談は多いですね。また、40代の妻が「このままセックスなしに人生を終えるのはイヤだ」と夫を連れてくるパターン。夫側はマスターベーションで十分だと思っているものの、妻は「女性として見られたい」という思いから、子づくりのためではない、男女としての夫婦のセックスを求めている……というケースです。

 それから、性嫌悪症の男性。性嫌悪症とは、性行為はもちろん、性的な事柄そのものに嫌悪感を抱くことで、『セックスレスの精神医学』(筑摩書房、2004年)にも急増していると書いたのですが、こうした相談は変わらずあります。私自身、近年は広報活動を控えていますが、昔の本やネット記事などを参考に、性嫌悪症だと自己診断して、当院に来られる男性は依然として多いです。

――男性の性嫌悪症とは、具体的にどのような症状なのでしょうか?

阿部 まず性障害は、次のような病型に分類できます。

1)生来型:その性機能不全が、初めての性体験からずっと存在し続けている場合
獲得型:その性機能不全が、ある時を契機に現れた場合

2)全般型:その性機能不全が、ある特定の刺激・状況またはパートナーに限られていない場合
状況型:その性機能不全が、ある特定の刺激・状況またはパートナーに限られている場合

3)心因型:心理的要因による性機能不全
複合型:心理的要因のほかに、身体疾患や薬物などが関与している場合

 増加している男性の性嫌悪症は、「獲得型」かつ「状況型」で、妻に対する愛情の質の変化によって、妻に限ってのみその気が起こらないケースです。一緒に暮らすうちに、妻が母親や妹、マスコットなどに思えてきて、性的な対象ではなくなってしまう……という。夫婦仲はすごくいいし、妻がかわいくて仕方がないんだけど、たとえ妻の裸を見ても性的魅力を感じず、ムラムラもしないんですね。でも、性的な欲求自体はあるから、マスターベーションはするし、人によっては婚外セックスをしていることもあります。

――男性の性嫌悪症は、受診で改善できるのでしょうか?

阿部 男性の性嫌悪症は、性欲低下症と同じくらい、最も治りにくい症例の1つなんです。以前は女性に多かったのですが、ここ数十年で男性の性嫌悪症が国内外を問わず増えたことで、さまざまな論文が出されました。しかし、治療しても改善が見られないことから、20年ほど前からほとんど論文が出なくなってしまったんです。それに伴い、アメリカの『DMS(精神疾患の診断統計マニュアル)』の5版からは、性嫌悪症が「性機能不全群」の項目から削除され、「他の特定される性機能不全」にまとめられてしまっています。ただ、4~5年前にできた抗うつ剤「エスシタロプラム」が男性の性嫌悪症にも効果が見込めるとなって、当院でも、エスシタロプラムを使用した患者さんの多くは、より改善が見られています。

――具体的にどのような治療をしていますか?

阿部 面談で、結婚年数、子どもの有無、セックスレス歴、妻をどう思っているかなどをヒアリングし、カウンセリングを中心に進めます。また、「妻を性的な目で見る」「昔の妻や、当時のセックスを思い出しながらマスターベーションをする」など、段階的にレベルアップしていって、最終的には夫婦での行為に至れるような宿題も出していきます。薬を使った方が、妻を性的な目で見ることへの抵抗感が早くなくなるようで、成功するスピードも確率も上がっていますね。

――改善には夫婦間での理解がないと難しいような気もします。

阿部 中には、妻が「私は悪くない。あなた1人で治して来て」というケースもありますが、いざというときには、やはり2人での話し合いが必要になってくるので、揃っての受診をお願いしています。ただ、男性の性嫌悪症が原因でセックスレスになっている夫婦は、先ほども述べた通り、愛情の質が変わっただけで仲はいいことが多いので、最初から揃って来られる方も少なくありませんよ。セックスレスについては、夫婦2人だけで話し合うと喧嘩してしまい、その話題自体を避けるようになることも少なくないようです。そのため、第三者を交えての建設的な話し合いの方がスムーズにいきやすいでしょう。

――女性が男性と同じような性嫌悪症になるケースも増えているのでしょうか?

阿部 そもそも女性の性嫌悪症は、「誰とでも嫌」という「全般型」が多いです。夫にのみという「状況型」でいうと、男性同様、「夫に愛情はあるものの、父親のように見えて性嫌悪症になる」といったパターンもありますが、夫の浮気や乱暴なセックス、あとは度重なる夫の勃起障害により、こちら側がその気になっているのにうまくいかないことが繰り返されたなど、不安や外傷体験から性嫌悪症になるケースの方が圧倒的に多いです。そのため、夫とはできないけれど、不倫相手とならできるという女性も少なくないですよ。

――ほかに女性の性障害で、近年見られる傾向はありますか?

阿部 性欲低下症で受診する女性は増えていますね。夫側が困って妻を連れてくるケースと、妻自身が「なんか不自然」「このまま歳をとっていくわけにはいかない」などと感じて自発的に来られるケースの両方があります。患者数が増えた背景には、女性の性が開けてきたことも関係しているのかもしれませんね。ただ最近では、30代などの若い女性も多いことから、仕事が忙しく、疲れやストレスが溜まり、性欲を司る男性ホルモンが低下して、欲求が湧かなくなっているということもあり得ると思います。

――女性側が原因のセックスレスでは、性欲低下症が一番多いですか?

阿部 いえ、私のクリニックで最も多いのは、「性器骨盤痛・挿入障害」です。幼少期の教育などから、セックスすると女性器が「破ける」「大量出血する」などのイメージを持ってしまい、恐怖心から、触れられるだけでも痛みを感じるケース。もしくは、ある時の経験をきっかけに痛みを感じるようになるケース。前者が「生来型」で後者が「獲得型」です。どちらも治療で100%治せるのですが、生来型の方はなかなか手ごわいですね。とある産婦人科医の話ですが、娘さんが生来型の性器骨盤痛・挿入障害で、結婚後もセックスができなかったため、下半身の痛みを感じなくする腰椎麻酔をしたのですが、娘さんは「痛い」と言ったんだそうです。実際には感じない痛みを、脳が感じてしまったんですね。

 なお性器骨盤痛・挿入障害の治療は、宿題を出しながらのカウンセリングが中心となります。宿題は、自分の性器を手鏡などで見て構造を理解してもらう「自己身体観察」から始め、コンドームを被せた綿棒2本など、細い物から挿入練習をしていき、最終段階では、挿入せずに性器同士の触れ合いを意識する「ノン・エレクト法」から、性行為へとつなげていきます。

―― 一口にセックスレスと言っても、その人それぞれに、さまざまなケースがあることがわかりましたが、セックスレス夫婦が増加の一途をたどる社会的背景について先生はどのように思われますか?

阿部 深夜まで営業している店の増加や、ネットの普及などで、セックス以外に楽しいことが増えていることも一因かもしれませんね。また、“草食男子”という言葉が定着するほど優しい男性が増えている印象がありますが、例えば女性が「痛い」と言ったら、すぐにやめてしまうような人も多いようです。本来なら、コミュニケーションを取りながら、セックスを継続できるように工夫していくものですが、そのコミュニケーションを面倒に感じてやめてしまうという。それこそネットで簡単にエッチな画像や動画が手に入るから、マスターベーションで十分と感じていたりする男性が増えていることも、セックスレスに拍車をかけているのかなと感じます。ただ、一方で、女性遍歴何百人とか、風俗大好きとか、セックスフルな男性もいて、両極端な印象もあります。程よい中間層が少ないんです。男性側の話になってしまいましたが、この両極端という傾向は、女性にも見られることです。

――セックスレスの増加に伴って、相談件数も増えているのでしょうか?

阿部 うちのクリニックの相談件数でいえば、減っていますね。もしかしたら、セックスレスでも問題ないと感じている夫婦が増えているということなのかもしれません。以前はオルガズム障害で受診する女性も多かったのですが、近年はほとんどいなくなりました。感じない女性がいなくなったのかもしれませんが、恐らく、感じなくても困らない女性が増えたということの表れなのでしょう。

――今後、セックスレス夫婦の増加が止まったり、減少に転じたりする可能性はあると思いますか?

阿部 どうでしょうか……。最近の傾向を見ていると、「それでもいい」とセックスレスを問題視していない人が増えているようですし、恐らく日本では、セックスレス夫婦は増えていくんだろうと思います。「子どもがほしいけどセックスレス」という夫婦も、医療の力に頼るようになっているみたいですから。「セックスで人生が豊かになる」という視点は、どんどん減っていきそうですね。その夫婦の価値観だから、両者が納得していれば、何もお節介しなくていいとは思います。ただ本音を言えば、セックスレスによって少子化が進み、いずれ労働人口が減って、日本が成り立たないようになったらと思うと、寂しいかなとは感じてしまいますけどね。
(取材・文=千葉こころ)

阿部輝夫(あべ・てるお)
1944年宮城県生まれ。順天堂大学医学部卒。医学博士。順天堂大学精神科助教授、米・コーネル大学精神科Human Sexual Program研究員、順天堂大学付属浦安病院勤務を経て、96年に「あべメンタルクリニック」を開業、同院長。

地下アイドル・姫乃たま×バカ映画の巨匠・河崎実対談!! ファンも絶句した『シャノワールの復讐』の衝撃

 棒のように生きる男の生き様を描いた『棒の哀しみ』(94)という、神代辰巳監督の晩年を代表する名作がある。神代作品を愛するシネフィルからお叱りを受けそうだが、河崎実監督の最新作『干支天使チアラット外伝 シャノワールの復讐』には“棒の楽しみ”がある。主演女優・姫乃たまの演技がとにもかくにも強烈すぎ、逆に観る者の心を捉えて離さない。世の中には“愉快な棒”と“残念な棒”の二種類の棒があることが分かる。2019年4月いっぱいでの地下アイドルからの卒業を表明した姫乃たまとバカ映画の巨匠・河崎監督との対談も、棒の喜びが溢れた1時間となった。

──『干支天使チアラット』(17)では敵キャラだったシャノワールですが、今回は主役へとステップアップ。

姫乃たま(以下、姫乃) はい。いや、これステップアップと言っていいんでしょうか(笑)。

河崎実(以下、河崎) まぁ、もらい事故みたいなものかな。

姫乃 もらい事故(笑)! 前作ではクラウドファンディングが終わった時点で、まだシャノワール役が決まっていなかったんですよね。そんなとき、ラジオの収録で河崎監督が中野でやっているバー「ルナベース」をお借りした際に名刺交換したところ、なぜかすぐに出演オファーが届いて……。

河崎 シャノワールって、化け猫なんですよ。だから「たま」って名前がいいなと思ったんです。直感です。

姫乃 ぴったりなのは私の芸名だけなんですけど、現場に行ったら案の定ぴったりどころかガバガバでした(笑)。私はこれまで映画に2~3本、芝居にも2~3本出た程度なので、大丈夫なのかなと思って、ホン読み(脚本の読み合わせ)に参加したら、河崎監督が「いいね、いいね。歌を歌っている人は声の通りがいいね」とか褒められて、「私、やれるじゃん!」と思ったんです。でも、撮影が始まってからは悩むことの連続でした。自分がちゃんと演技できているのかどうか分からなくて、どんどん不安になっていったんです。

河崎 えっ、そうだったの? 気がつかなかった。

姫乃 前作は主演の3人(希崎ジェシカ、辰巳ゆい、友田彩也香)ともプロの女優さんじゃないですか。やっぱり現場での立ち回りも慣れていて、カメラが回ったら演技のスイッチを入れて、休む時はきちんと休んでいたんですが、私は演技もわからないし、どの程度スタッフさんに気を使ったらいいのかもわからないので、ずっと一人でやいのやいのしてたんですね。もしかしたら、私、浮いてるんじゃ……と心配していたんですが、試写会で『干支天使チアラット』を観たら、あ~そんな次元じゃなかったんだなって分かりました(笑)。

河崎 ハハハ。たまちゃんは、そこがいいんだよ。天然の魅力だよ。大ヒットしているインディーズ映画『カメラを止めるな!』は新人俳優たちがワークショップに参加して芝居がうまくなっていくわけだけど、俺はワークショップはやらないからね。

姫乃 河崎監督は灰皿飛ばしたりとかもしないですしね。ホン読みも適当に褒めるから、女優も下手さに気づかないという。

河崎 素材勝負だから、俺の作品はね。寿司と一緒なんです。いい素材が揃えば、それで美味しいんです。

──素材がダメだったら、映画もおしまい?

河崎 そうです。おしまいです(きっぱり)。

姫乃 よく姫乃たま主演にしたな。

河崎 今回は怪我の巧名だね。

姫乃 主役のキャスティングから怪我しようとするのやめて。

■オープニングから衝撃の嵐!!

──ファンからの反響はどうでした?

河崎 今回は、たまちゃんが全編出ずっぱりだから、【頭がメリメリした】とかツイッターに書かれていたよ。それから、やっぱり【ナイス・スティック!】だね。

姫乃 河崎監督のファンの方たちからは、【ナイス・スティック!】とか【うまい棒】といったお言葉をたくさんいただきました。【演技下手】っていろんな表現があるんだなぁと、ライターとして勉強になりましたね。はい。私のファンの人たちは意外と前作を観てなかった人が多くて、河崎監督の作品世界を知らないまま、姫乃たまの主演映画として、それこそ本当に私のステップアップとして捉えていたので、衝撃が強すぎたみたいです。今年の9月に行なったパトロン向けの完成披露試写でも、ファンの方たちは真面目に固唾を呑んで見守っている様子でした。笑っていいのか戸惑ったんでしょうね。そりゃそうだ。

河崎 父親が娘の学芸会を見守るような雰囲気だった。

姫乃 本物の父親も冷やかしに来てたしね。特に『シャノワールの復讐』はオープニング曲が強烈だったんでしょう。

──姫乃さんは音楽ユニット「僕とジョルジュ」でも活動しているわけですが、衝撃的な歌唱を披露したテーマ曲「わらわはシャノワールじゃ!」は大丈夫なんでしょうか?

姫乃 大丈夫なわけないですよね(真顔)。レコーディングも何回か録って、最後のテイクなんかそれなりに良かったと思うんですけど、河崎監督が「よーし、うまかったね!」って褒めた後、すぐ「いちばん最初のでいこう!」って。いちばん最初って、最初の録音ですらなくて、テストテイクですよ!? 作曲家の国本剛章さんもちゃんとした方なんですけど、脱力した歌にフェチでもあるのか、「感情がなくて良かったですね!」とか盛り上がってて。私も「まぁ、いいか。もはやこの映画で歌がうまいかどうかなんて関係ないな」って、自分を納得させました。正直CDは自分で全部買い取って、燃やそうか悩んでいます。お焚き上げ。

河崎 燃やしちゃダメだよ。ちゃんと売ってよ。

姫乃 コアなファンだけに、こっそり売ろう……。スカムミュージックに理解がある人にだけ……。

■バカ映画の巨匠が見初めたヒロインたち

──女優・姫乃たまの演技キャリアについてお聞きしたいと思います。小学校の頃に学芸会などには出たんですか?

姫乃 女優・姫乃たま……? 孫悟空の出る、あのー、ほら『西遊記』をやりました。夏目雅子さんが演じていた役です。

河崎 三蔵法師役やったんだ。

姫乃 あっ、そうです。教室でホン読みがあったんですけど、隣の席がお母さんが宝塚出身の女の子で、その子に「ホン読み、うまいね」って褒められて、「私、イケてるんだ!」って思ったのを覚えてます。河崎監督のホン読みの時と同じですね。本番の舞台を観た親からは「ひどかった」って言われたんですけど、映像には残ってなかったので、自分の演技がどうひどかったのか気づかずにいました。その後、地下アイドルになって舞台に何度か上がったんですが、舞台なので映像で観る機会がなくて、前作の『干支天使チアラット』の試写会で、ようやく自分の演技に衝撃を受けました。

──『干支天使チアラット』出演から1年、演技面での向上を見せていないのは“ファンの楽しみを奪ってはいけない”というサービス精神からでしょうか?

姫乃 いや、上手くなったつもりだったんですが!!! 河崎監督の作品に出るのは2度目だから前回よりは上達しているだろうし、まあ別に何か練習をしたわけじゃないですけど……。それに今回は全編出ずっぱりだったので、2日間、朝から晩まで撮影していれば、演技に目覚める瞬間がきっと訪れるに違いないと信じていました。現場ではほとんど撮り直しがなくて、河崎監督が一発OKを連続していたので「私の演技力アップしてるなあ」と、しみじみしていたわけです。でも、「あれ、今の台詞噛んだぞ……?」と思った瞬間に、河崎監督がカメラを止めなくて、カメラマンさんが「監督、いま噛んだよ~」と教えてるのを聞いて、「あっ、河崎監督すべてワンテイクで済ませようとしてるだけだ」って気がついたんです。

河崎 ハハハ! いや、一流の監督はみんな、ワンテイクしか撮らないものですよ。

──北野武監督やクリント・イーストウッド監督は1回しかカメラを回さないそうですね。

河崎 そうです。噛んでも、かわいければOKなんです。

姫乃 そうやって甘やかされているうちに、今回もすべての撮影が終わったのです……。

──河崎監督は、これまでにも『地球防衛少女イコちゃん2』(88)で増田未亜、『兜王ビートル』(05)で中川翔子、『地球防衛未亡人』(14)で壇蜜……と時代を先取りするようなニューヒロインたちを起用してきたわけですが、今回の姫乃たまさんにも共通するものがありますか?

河崎 あります。やっぱり、グッと来るものがないとね。過去には有名アイドルを起用したけど、うまくいかなかったこともあるんです。それって、俺がいまひとつ乗れなかったからなんです。

姫乃 うおお、ではしょこたんと壇蜜さんに続いて、姫乃たまもニューヒロインになるわけですね!

河崎 う~ん、どうだろうね(笑)。でも、監督は女優のことが好きじゃないと映画は撮れないよ。

姫乃 そういえば河崎監督って、小明さんのCD「君が笑う、それが僕のしあわせ」のプロモーションビデオも撮ってましたね。

河崎 小明ちゃんがサイゾーでCDをリリースしたときだね。ゾンビアイドルだった小明ちゃんも、今や子持ちの人妻アイドル。しょこたんとも仲がいいし、たまちゃんも小明ちゃんと通じるものがあるよね。

姫乃 私もニューヒロインは諦めてゾンビになるか……。

■セルフプロデュースによる地下アイドルとは違った魅力

──あの、ここではっきり言っていいでしょうか。姫乃さんは女優としての演技はド下手です。でも、与えられたシャノワールという役を懸命に演じている姿は、アイドルならではの“やらされている感”がポジティブに溢れ出ていて、それが妙にかわいく思えてしまいます。

姫乃 あっ、シャノワール役、2年やりましたけど「ド下手」とそのまま言われたのは意外と初めてかもしれません。普段はフリーランスで地下アイドルをやっているので「(マネージメントから物品販売まで自分でやって)しっかりしているね」と言われることが多くて、「かわいい」ってあまり言われないんです。河崎監督の作品に出るようになって、ずいぶん「かわいい」と言われるようになりました。まあ、「かわいい」とでも言わないと、あの演技力はフォローしきれないですからね(笑)。

河崎 できない子ほど、かわいく思えるからね。

──地下アイドルとして活動しているときはセルフプロデュースしているわけですが、今回のようにまったく異なる世界の大人からプロデュースされる心地よさってありますか?

姫乃 あー、それはあると思います。普段は誰と仕事しても、ある程度自分の意見を出すのですが、河崎監督との仕事は口を挟む隙がいっさいないんですよね。すべて、河崎監督にお任せ。というか、知らないうちに全部決まってるんですけど、たまにはなすがままにされるのも楽しいかもしれません。

河崎 “もてあそばれ感”とでも言うのかな。

姫乃 DVDのジャケットもすごいと思いませんか? 知らない間に完成していたんですが、私の顔がデリヘルの宣材写真みたいになっていますよ。

河崎 悪いね。修正しまくったよ。ジャケットの出来で、売り上げが変わってくるからね。AVのパッケージを手掛けているプロに頼んで、たまちゃんの顔はかなり修正されているよ。

姫乃 いや、言われなくてもわかりますよ! とは言え、エロ本でライターデビューしたので、不思議と見慣れている感じはある……。

河崎 映画って一生残るから、そこがいいよね。

姫乃 いまの流れでそれ言われてもな!

■主演女優以上に強烈だったスティックの束

──『シャノワールの復讐』では、打倒チアラットを目指すシャノワールはOLの内情を知るために就職体験する。そこでシャノワールが味わうのは、セクハラ、パワハラ、働き方改革、機密書類の隠蔽……。能天気コメディに見える『シャノワールの復讐』は実は社会派作品でもある。

姫乃 えっ、これって社会派映画なんですか。

河崎 俺の作品は、いつも時事ネタを盛り込んでいるんだよ。

姫乃 そうだったのか……。私自身は学生時代にアルバイトを経験したぐらいで、就職経験はまったくないんです。時々出版社なんかに行くと、大人たちが同じ時刻にいっせいに働いてて、すごいなぁと思います。

河崎 それが普通なんだけどね。たまちゃんは就職活動はしたの?

姫乃 大学4年生の冬頃に、そろそろ卒業シーズンだし就活でもするかと思って、大学の就職課を訪ねたら、「来年の卒業ですか?」とか言われて(苦笑)。あれって、もっと全然前から始まるんですね。「まあこれで就活の時期が分かったから、とりあえず卒業して来年がんばろう」と思っていたら、サイゾー編集部から初めての著書『潜行 地下アイドルの人に言えない生活』を出版する話があってバタバタしているうちに、なんだかんだと仕事が来て、今日に至るという感じです。

河崎 今回はOLの制服を着て、オフィスラブのシーンもある。普段できないことを体験できるのも女優としての醍醐味だよね。

姫乃 今回、岩井志麻子さんが専務役だったんですが、「みなさんそれぞれ仕事の演技してください」と指示があったシーンで、カメラ回った瞬間に岩井さんが電話取ってて、専務ってあんまり電話とか取らないんじゃないかなぁと思いました。知らないですけど。あの現場にいた人たち、基本的に会社勤めの経験がない人多くて、誰もよく分かってなかったんですね(笑)。

河崎 俺の作品に出てくれる人たちは、ホラー作家の岩井志麻子さん、千葉の誇る大スター・ジャガーさん、かつてアントニオ猪木とモハメド・アリの異種格闘技戦のフィクサーとして暗躍した康芳夫さんとか、普通じゃない人ばかりだからね(笑)。

姫乃 康さん、大好きです。康さんの出演シーンは助監督さんたちがカンペを用意しているのですが、カンペを読み終わると、「読みましたよ?」って感じで河崎監督のほうを振り返っちゃうんですよね。その仕草がすごくかわいらしくて、最終的に康さんの出演シーンは河崎監督がカメラのすぐ横に立つようにしていました(笑)。ジャガーさんもすごかったですねー。

河崎 たまちゃんの棒ぶりよりも、すごかったよね。

姫乃 私がすぐ近くで「ジャガー星人、大丈夫か?」と声を掛けるシーンがあったんですが、その時のジャガーさんの瞳があまりに真っ暗で、何を見ているのか心配になりました。闇を間近で感じた気がしましたね。

──姫乃さんは著書『職業としての地下アイドル』(朝日新書)で地下アイドルと心の闇の関係について言及していましたが、ジャガーさんの抱える闇って何なんでしょうね?

姫乃 えっ、地下アイドルですか? 彼女たちが抱える闇は、主にブレイクまでの見通しが立たない不安とか、やりがい搾取による不安定な金銭事情によって生まれるものですけど、ジャガーさんの闇は……。ジャガーさんは演技するというより、カンペに書かれた文字を一語一句ただ読み上げている感じで現場では完全なる虚無だったんですけど、完成披露の舞台あいさつで「試写を観て、自分が何をやっていたかようやく分かった」と話していたので、「自分の役が分かっていなかったのか」と納得しました。確かにかなりややこしい役柄だったので。

河崎 ジャガーさんは若い頃にブレイクして大金持ちになって、千葉で自社番組をオンエアしたりして、その後は潜伏してたんだけれど、それが、またマツコ・デラックスのテレビ番組で脚光を浴び、今や千葉のアイコンだからね。

──底辺を味わった人間って、独特な魅力を感じさせます。

姫乃 地下アイドルもジャガーさんも、人間は自分が何をやっているのかわからなくなってしまった時、虚無になります。さっきの“もてあそばれ感”で言えば、ジャガーさんは完璧なアイドルですね。世の中には、いろんなナイススティックがあります。

■『シャノワールの復讐』は壮大な実験だった!?

河崎 たまちゃんは、アイドルなのにこんな狂った映画にも、楽しんで出演するところがいいよ。

姫乃 そうか、河崎監督の映画ってやっぱり普通じゃないんだ……! 実は私、ほとんど映画を観たことがないんです。『干支天使チアラット』に出演するまでに観た映画は10本くらい。そのうちの3本は『トイ・ストーリー』シリーズ(95~10)の3本で、後はペドロ・アルモドバル監督の『私の、生きる肌』(11)やギャスパー・ノエ監督の『エンター・ザ・ボイド』(10)と『LOVE 3D』(15)などです。日本映画も勉強しなきゃと思って、小津安二郎監督の『東京物語』(53)を観たんですが、自然光に見せかけた照明を水に当ててたり、食事のシーンでお茶碗にご飯が入ってなかったり、意図が汲めない演出が多くて、映画を見る素養がないことに自信を失ってしまったんです。以来、映画評やコメントの仕事以外はあまり映画を観ていません。

河崎 どうだい? えぇ。そうかい……。小津作品の台詞回しは、確かに棒読みっぽくて不気味だね。

──戦後の小津監督はそうとう深い闇を抱えていたようですしね。

河崎 たまちゃんは、TVドラマも観てないの?

姫乃 桜井幸子さんが出演していた『高校教師』(TBS系)は後追いで観ました。桜井さん、すごくかわいかった。はっ、もしかして私の演技って発声練習とかの問題ではなく、映画やドラマをほとんど観てこなかったことが敗因なのでは!? よく考えたら演技というものをあまり観たことがない……。

河崎 すべては真似から始まるからね。多くの俳優は三船敏郎に憧れて、黒澤明監督の映画をいろいろと観るようになる。そういうものなんです。

姫乃 子どものときから、テレビや映画を観せずに育てて、いきなり映画に主演させるとこんな衝撃作が生まれるという壮大な人体実験だったんですね。

河崎 まるで『ブリグズビー・ベア』(18)の世界だな(笑)。

姫乃 「リアルサウンド映画部」で定期的に映画評を書いてるんですけど、映画評を書くこと前提で映画を観ているので、俳優の演技よりも、物語性や監督の演出のほうに意識が行ってるかもしれません。

河崎 AVはけっこう観てるんでしょ?

姫乃 はい。一時期は年間130本くらい観てました。でもそれもビデオ情報誌でレビューを書く仕事なので、男優さんがどこに何回射精したかをカウントしないといけないから、演技はそんなに……。ドキュメンタリーが好きなので、井口昇監督が出演している平野勝之監督がのAVは好きで観てました。河崎監督は井口監督とジャンルの距離的に近いものを感じますが、実は作風が全く違いますね。

河崎 俺も変態だけど、俺の場合は爽やかな変態だからさ(笑)。AVについて語れるアイドルは、たまちゃんの他にはいないよ。でも、地下アイドルはもうすぐ辞めちゃうらしいね。

姫乃 はい、2019年4月いっぱいで、地下アイドルの肩書きはおろすことにしました。今の活動がすでに地下アイドルにそぐわないので、肩身が狭くて。

河崎 フリーの地下アイドルは、すべて自分でやらなくちゃいけないから、いろいろと大変なんだよね。

姫乃 どうなんですかねえ。大変とは思わないですけど、大変だと思わずにいろいろできるようになっちゃうと地下アイドルではいられないってことですね。肩書きをおろした4月以降も活動は続けていくつもりです。今後、女優として私を起用する監督は現われるでしょうか?

河崎 今、25歳か。う~ん、30歳を過ぎたら違ったオファーが来るようになるんじゃないかな。

姫乃 熟女AVの話ですか? 女優は30歳を越えると魅力が増すと聞いています。知らんけど。

河崎 ハハハ。でも、『シャノワールの復讐』がクラウドファンディングで製作費が集まったのは、やっぱり姫乃たまの存在が大きかった。11月29日(木)のDVDリリースに合わせて、いろいろイベントやろうよ。

姫乃 いやはや、今後とも姫乃たまを起用する希少な監督ということで、よろしくお願いします!
(取材・文=長野辰次)

『干支天使チアラット外伝 シャノワールの復讐』
原作/中川ホメオパシー『干支天使チアラット』(リイド社)
プロデューサー・脚本・監督/河崎実 脚本/鈴木つかさ、荒木太朗
出演/姫乃たま、ジョナサン・シガー、岩井志麻子、すずきつかさ、原田篤、ジャガー、康芳夫、町あかり、いまみちともたか、エンリケ、AKIRA、逢瀬アキラ、塩谷瞬
販売元/リバートップ 11月29日(木)よりリリース開始
(c)中川ホメオパシー・リイド社・リバートップ

 

●河崎実(かわさき・みのる)
1958年東京都生まれ。明治大学在学中から特撮映画を自主製作し、注目を集める。萌えカルチャーを先取りした『地球防衛少女イコちゃん』(87)で商業監督デビュー。以後、中川翔子をヒロインに起用した『兜王ビートル』(05)、壇蜜主演の特撮映画『地球防衛未亡人』(14)、人気レスラー・飯伏幸太主演作『大怪獣モノ』(16)などの話題作を次々と放つ。筒康隆原作の『日本以外全部沈没』(06)は東スポ映画大賞の特別作品賞を受賞、『ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発』(08)はベネチア映画祭に正式招待された。近年の監督作に『干支天使チアラット』(17)、『乳首ドリルの逆襲 ATTACK OF THE NIPPLE DRILL』(18)など。現在、『電エース』30周年記念作を製作準備中。

●姫乃たま(ひめの・たま)
1993年東京都生まれ。16歳よりフリーランスで地下アイドル活動を始める。ライブイベントへの出演を中心に、ライター、モデル、DJ、司会としても活躍。音楽ユニット「僕とジョルジュ」での活動のほか、ライターとしての著書に『潜行 地下アイドルの人には言えない生活』(サイゾー社)、『職業としての地下アイドル』(朝日新書)、『周縁漫画界 漫画の世界で生きる14人のインタビュー』(KADOKAWA)がある。平成最後の日となる2019年4月30日に、地下アイドルとして最後のワンマンライブ「パノラマ街道まっしぐら」を渋谷区文化総合センター大和田さくらホールにて行なうことが決まっている。

地下アイドル・姫乃たま×バカ映画の巨匠・河崎実対談!! ファンも絶句した『シャノワールの復讐』の衝撃

 棒のように生きる男の生き様を描いた『棒の哀しみ』(94)という、神代辰巳監督の晩年を代表する名作がある。神代作品を愛するシネフィルからお叱りを受けそうだが、河崎実監督の最新作『干支天使チアラット外伝 シャノワールの復讐』には“棒の楽しみ”がある。主演女優・姫乃たまの演技がとにもかくにも強烈すぎ、逆に観る者の心を捉えて離さない。世の中には“愉快な棒”と“残念な棒”の二種類の棒があることが分かる。2019年4月いっぱいでの地下アイドルからの卒業を表明した姫乃たまとバカ映画の巨匠・河崎監督との対談も、棒の喜びが溢れた1時間となった。

──『干支天使チアラット』(17)では敵キャラだったシャノワールですが、今回は主役へとステップアップ。

姫乃たま(以下、姫乃) はい。いや、これステップアップと言っていいんでしょうか(笑)。

河崎実(以下、河崎) まぁ、もらい事故みたいなものかな。

姫乃 もらい事故(笑)! 前作ではクラウドファンディングが終わった時点で、まだシャノワール役が決まっていなかったんですよね。そんなとき、ラジオの収録で河崎監督が中野でやっているバー「ルナベース」をお借りした際に名刺交換したところ、なぜかすぐに出演オファーが届いて……。

河崎 シャノワールって、化け猫なんですよ。だから「たま」って名前がいいなと思ったんです。直感です。

姫乃 ぴったりなのは私の芸名だけなんですけど、現場に行ったら案の定ぴったりどころかガバガバでした(笑)。私はこれまで映画に2~3本、芝居にも2~3本出た程度なので、大丈夫なのかなと思って、ホン読み(脚本の読み合わせ)に参加したら、河崎監督が「いいね、いいね。歌を歌っている人は声の通りがいいね」とか褒められて、「私、やれるじゃん!」と思ったんです。でも、撮影が始まってからは悩むことの連続でした。自分がちゃんと演技できているのかどうか分からなくて、どんどん不安になっていったんです。

河崎 えっ、そうだったの? 気がつかなかった。

姫乃 前作は主演の3人(希崎ジェシカ、辰巳ゆい、友田彩也香)ともプロの女優さんじゃないですか。やっぱり現場での立ち回りも慣れていて、カメラが回ったら演技のスイッチを入れて、休む時はきちんと休んでいたんですが、私は演技もわからないし、どの程度スタッフさんに気を使ったらいいのかもわからないので、ずっと一人でやいのやいのしてたんですね。もしかしたら、私、浮いてるんじゃ……と心配していたんですが、試写会で『干支天使チアラット』を観たら、あ~そんな次元じゃなかったんだなって分かりました(笑)。

河崎 ハハハ。たまちゃんは、そこがいいんだよ。天然の魅力だよ。大ヒットしているインディーズ映画『カメラを止めるな!』は新人俳優たちがワークショップに参加して芝居がうまくなっていくわけだけど、俺はワークショップはやらないからね。

姫乃 河崎監督は灰皿飛ばしたりとかもしないですしね。ホン読みも適当に褒めるから、女優も下手さに気づかないという。

河崎 素材勝負だから、俺の作品はね。寿司と一緒なんです。いい素材が揃えば、それで美味しいんです。

──素材がダメだったら、映画もおしまい?

河崎 そうです。おしまいです(きっぱり)。

姫乃 よく姫乃たま主演にしたな。

河崎 今回は怪我の巧名だね。

姫乃 主役のキャスティングから怪我しようとするのやめて。

■オープニングから衝撃の嵐!!

──ファンからの反響はどうでした?

河崎 今回は、たまちゃんが全編出ずっぱりだから、【頭がメリメリした】とかツイッターに書かれていたよ。それから、やっぱり【ナイス・スティック!】だね。

姫乃 河崎監督のファンの方たちからは、【ナイス・スティック!】とか【うまい棒】といったお言葉をたくさんいただきました。【演技下手】っていろんな表現があるんだなぁと、ライターとして勉強になりましたね。はい。私のファンの人たちは意外と前作を観てなかった人が多くて、河崎監督の作品世界を知らないまま、姫乃たまの主演映画として、それこそ本当に私のステップアップとして捉えていたので、衝撃が強すぎたみたいです。今年の9月に行なったパトロン向けの完成披露試写でも、ファンの方たちは真面目に固唾を呑んで見守っている様子でした。笑っていいのか戸惑ったんでしょうね。そりゃそうだ。

河崎 父親が娘の学芸会を見守るような雰囲気だった。

姫乃 本物の父親も冷やかしに来てたしね。特に『シャノワールの復讐』はオープニング曲が強烈だったんでしょう。

──姫乃さんは音楽ユニット「僕とジョルジュ」でも活動しているわけですが、衝撃的な歌唱を披露したテーマ曲「わらわはシャノワールじゃ!」は大丈夫なんでしょうか?

姫乃 大丈夫なわけないですよね(真顔)。レコーディングも何回か録って、最後のテイクなんかそれなりに良かったと思うんですけど、河崎監督が「よーし、うまかったね!」って褒めた後、すぐ「いちばん最初のでいこう!」って。いちばん最初って、最初の録音ですらなくて、テストテイクですよ!? 作曲家の国本剛章さんもちゃんとした方なんですけど、脱力した歌にフェチでもあるのか、「感情がなくて良かったですね!」とか盛り上がってて。私も「まぁ、いいか。もはやこの映画で歌がうまいかどうかなんて関係ないな」って、自分を納得させました。正直CDは自分で全部買い取って、燃やそうか悩んでいます。お焚き上げ。

河崎 燃やしちゃダメだよ。ちゃんと売ってよ。

姫乃 コアなファンだけに、こっそり売ろう……。スカムミュージックに理解がある人にだけ……。

■バカ映画の巨匠が見初めたヒロインたち

──女優・姫乃たまの演技キャリアについてお聞きしたいと思います。小学校の頃に学芸会などには出たんですか?

姫乃 女優・姫乃たま……? 孫悟空の出る、あのー、ほら『西遊記』をやりました。夏目雅子さんが演じていた役です。

河崎 三蔵法師役やったんだ。

姫乃 あっ、そうです。教室でホン読みがあったんですけど、隣の席がお母さんが宝塚出身の女の子で、その子に「ホン読み、うまいね」って褒められて、「私、イケてるんだ!」って思ったのを覚えてます。河崎監督のホン読みの時と同じですね。本番の舞台を観た親からは「ひどかった」って言われたんですけど、映像には残ってなかったので、自分の演技がどうひどかったのか気づかずにいました。その後、地下アイドルになって舞台に何度か上がったんですが、舞台なので映像で観る機会がなくて、前作の『干支天使チアラット』の試写会で、ようやく自分の演技に衝撃を受けました。

──『干支天使チアラット』出演から1年、演技面での向上を見せていないのは“ファンの楽しみを奪ってはいけない”というサービス精神からでしょうか?

姫乃 いや、上手くなったつもりだったんですが!!! 河崎監督の作品に出るのは2度目だから前回よりは上達しているだろうし、まあ別に何か練習をしたわけじゃないですけど……。それに今回は全編出ずっぱりだったので、2日間、朝から晩まで撮影していれば、演技に目覚める瞬間がきっと訪れるに違いないと信じていました。現場ではほとんど撮り直しがなくて、河崎監督が一発OKを連続していたので「私の演技力アップしてるなあ」と、しみじみしていたわけです。でも、「あれ、今の台詞噛んだぞ……?」と思った瞬間に、河崎監督がカメラを止めなくて、カメラマンさんが「監督、いま噛んだよ~」と教えてるのを聞いて、「あっ、河崎監督すべてワンテイクで済ませようとしてるだけだ」って気がついたんです。

河崎 ハハハ! いや、一流の監督はみんな、ワンテイクしか撮らないものですよ。

──北野武監督やクリント・イーストウッド監督は1回しかカメラを回さないそうですね。

河崎 そうです。噛んでも、かわいければOKなんです。

姫乃 そうやって甘やかされているうちに、今回もすべての撮影が終わったのです……。

──河崎監督は、これまでにも『地球防衛少女イコちゃん2』(88)で増田未亜、『兜王ビートル』(05)で中川翔子、『地球防衛未亡人』(14)で壇蜜……と時代を先取りするようなニューヒロインたちを起用してきたわけですが、今回の姫乃たまさんにも共通するものがありますか?

河崎 あります。やっぱり、グッと来るものがないとね。過去には有名アイドルを起用したけど、うまくいかなかったこともあるんです。それって、俺がいまひとつ乗れなかったからなんです。

姫乃 うおお、ではしょこたんと壇蜜さんに続いて、姫乃たまもニューヒロインになるわけですね!

河崎 う~ん、どうだろうね(笑)。でも、監督は女優のことが好きじゃないと映画は撮れないよ。

姫乃 そういえば河崎監督って、小明さんのCD「君が笑う、それが僕のしあわせ」のプロモーションビデオも撮ってましたね。

河崎 小明ちゃんがサイゾーでCDをリリースしたときだね。ゾンビアイドルだった小明ちゃんも、今や子持ちの人妻アイドル。しょこたんとも仲がいいし、たまちゃんも小明ちゃんと通じるものがあるよね。

姫乃 私もニューヒロインは諦めてゾンビになるか……。

■セルフプロデュースによる地下アイドルとは違った魅力

──あの、ここではっきり言っていいでしょうか。姫乃さんは女優としての演技はド下手です。でも、与えられたシャノワールという役を懸命に演じている姿は、アイドルならではの“やらされている感”がポジティブに溢れ出ていて、それが妙にかわいく思えてしまいます。

姫乃 あっ、シャノワール役、2年やりましたけど「ド下手」とそのまま言われたのは意外と初めてかもしれません。普段はフリーランスで地下アイドルをやっているので「(マネージメントから物品販売まで自分でやって)しっかりしているね」と言われることが多くて、「かわいい」ってあまり言われないんです。河崎監督の作品に出るようになって、ずいぶん「かわいい」と言われるようになりました。まあ、「かわいい」とでも言わないと、あの演技力はフォローしきれないですからね(笑)。

河崎 できない子ほど、かわいく思えるからね。

──地下アイドルとして活動しているときはセルフプロデュースしているわけですが、今回のようにまったく異なる世界の大人からプロデュースされる心地よさってありますか?

姫乃 あー、それはあると思います。普段は誰と仕事しても、ある程度自分の意見を出すのですが、河崎監督との仕事は口を挟む隙がいっさいないんですよね。すべて、河崎監督にお任せ。というか、知らないうちに全部決まってるんですけど、たまにはなすがままにされるのも楽しいかもしれません。

河崎 “もてあそばれ感”とでも言うのかな。

姫乃 DVDのジャケットもすごいと思いませんか? 知らない間に完成していたんですが、私の顔がデリヘルの宣材写真みたいになっていますよ。

河崎 悪いね。修正しまくったよ。ジャケットの出来で、売り上げが変わってくるからね。AVのパッケージを手掛けているプロに頼んで、たまちゃんの顔はかなり修正されているよ。

姫乃 いや、言われなくてもわかりますよ! とは言え、エロ本でライターデビューしたので、不思議と見慣れている感じはある……。

河崎 映画って一生残るから、そこがいいよね。

姫乃 いまの流れでそれ言われてもな!

■主演女優以上に強烈だったスティックの束

──『シャノワールの復讐』では、打倒チアラットを目指すシャノワールはOLの内情を知るために就職体験する。そこでシャノワールが味わうのは、セクハラ、パワハラ、働き方改革、機密書類の隠蔽……。能天気コメディに見える『シャノワールの復讐』は実は社会派作品でもある。

姫乃 えっ、これって社会派映画なんですか。

河崎 俺の作品は、いつも時事ネタを盛り込んでいるんだよ。

姫乃 そうだったのか……。私自身は学生時代にアルバイトを経験したぐらいで、就職経験はまったくないんです。時々出版社なんかに行くと、大人たちが同じ時刻にいっせいに働いてて、すごいなぁと思います。

河崎 それが普通なんだけどね。たまちゃんは就職活動はしたの?

姫乃 大学4年生の冬頃に、そろそろ卒業シーズンだし就活でもするかと思って、大学の就職課を訪ねたら、「来年の卒業ですか?」とか言われて(苦笑)。あれって、もっと全然前から始まるんですね。「まあこれで就活の時期が分かったから、とりあえず卒業して来年がんばろう」と思っていたら、サイゾー編集部から初めての著書『潜行 地下アイドルの人に言えない生活』を出版する話があってバタバタしているうちに、なんだかんだと仕事が来て、今日に至るという感じです。

河崎 今回はOLの制服を着て、オフィスラブのシーンもある。普段できないことを体験できるのも女優としての醍醐味だよね。

姫乃 今回、岩井志麻子さんが専務役だったんですが、「みなさんそれぞれ仕事の演技してください」と指示があったシーンで、カメラ回った瞬間に岩井さんが電話取ってて、専務ってあんまり電話とか取らないんじゃないかなぁと思いました。知らないですけど。あの現場にいた人たち、基本的に会社勤めの経験がない人多くて、誰もよく分かってなかったんですね(笑)。

河崎 俺の作品に出てくれる人たちは、ホラー作家の岩井志麻子さん、千葉の誇る大スター・ジャガーさん、かつてアントニオ猪木とモハメド・アリの異種格闘技戦のフィクサーとして暗躍した康芳夫さんとか、普通じゃない人ばかりだからね(笑)。

姫乃 康さん、大好きです。康さんの出演シーンは助監督さんたちがカンペを用意しているのですが、カンペを読み終わると、「読みましたよ?」って感じで河崎監督のほうを振り返っちゃうんですよね。その仕草がすごくかわいらしくて、最終的に康さんの出演シーンは河崎監督がカメラのすぐ横に立つようにしていました(笑)。ジャガーさんもすごかったですねー。

河崎 たまちゃんの棒ぶりよりも、すごかったよね。

姫乃 私がすぐ近くで「ジャガー星人、大丈夫か?」と声を掛けるシーンがあったんですが、その時のジャガーさんの瞳があまりに真っ暗で、何を見ているのか心配になりました。闇を間近で感じた気がしましたね。

──姫乃さんは著書『職業としての地下アイドル』(朝日新書)で地下アイドルと心の闇の関係について言及していましたが、ジャガーさんの抱える闇って何なんでしょうね?

姫乃 えっ、地下アイドルですか? 彼女たちが抱える闇は、主にブレイクまでの見通しが立たない不安とか、やりがい搾取による不安定な金銭事情によって生まれるものですけど、ジャガーさんの闇は……。ジャガーさんは演技するというより、カンペに書かれた文字を一語一句ただ読み上げている感じで現場では完全なる虚無だったんですけど、完成披露の舞台あいさつで「試写を観て、自分が何をやっていたかようやく分かった」と話していたので、「自分の役が分かっていなかったのか」と納得しました。確かにかなりややこしい役柄だったので。

河崎 ジャガーさんは若い頃にブレイクして大金持ちになって、千葉で自社番組をオンエアしたりして、その後は潜伏してたんだけれど、それが、またマツコ・デラックスのテレビ番組で脚光を浴び、今や千葉のアイコンだからね。

──底辺を味わった人間って、独特な魅力を感じさせます。

姫乃 地下アイドルもジャガーさんも、人間は自分が何をやっているのかわからなくなってしまった時、虚無になります。さっきの“もてあそばれ感”で言えば、ジャガーさんは完璧なアイドルですね。世の中には、いろんなナイススティックがあります。

■『シャノワールの復讐』は壮大な実験だった!?

河崎 たまちゃんは、アイドルなのにこんな狂った映画にも、楽しんで出演するところがいいよ。

姫乃 そうか、河崎監督の映画ってやっぱり普通じゃないんだ……! 実は私、ほとんど映画を観たことがないんです。『干支天使チアラット』に出演するまでに観た映画は10本くらい。そのうちの3本は『トイ・ストーリー』シリーズ(95~10)の3本で、後はペドロ・アルモドバル監督の『私の、生きる肌』(11)やギャスパー・ノエ監督の『エンター・ザ・ボイド』(10)と『LOVE 3D』(15)などです。日本映画も勉強しなきゃと思って、小津安二郎監督の『東京物語』(53)を観たんですが、自然光に見せかけた照明を水に当ててたり、食事のシーンでお茶碗にご飯が入ってなかったり、意図が汲めない演出が多くて、映画を見る素養がないことに自信を失ってしまったんです。以来、映画評やコメントの仕事以外はあまり映画を観ていません。

河崎 どうだい? えぇ。そうかい……。小津作品の台詞回しは、確かに棒読みっぽくて不気味だね。

──戦後の小津監督はそうとう深い闇を抱えていたようですしね。

河崎 たまちゃんは、TVドラマも観てないの?

姫乃 桜井幸子さんが出演していた『高校教師』(TBS系)は後追いで観ました。桜井さん、すごくかわいかった。はっ、もしかして私の演技って発声練習とかの問題ではなく、映画やドラマをほとんど観てこなかったことが敗因なのでは!? よく考えたら演技というものをあまり観たことがない……。

河崎 すべては真似から始まるからね。多くの俳優は三船敏郎に憧れて、黒澤明監督の映画をいろいろと観るようになる。そういうものなんです。

姫乃 子どものときから、テレビや映画を観せずに育てて、いきなり映画に主演させるとこんな衝撃作が生まれるという壮大な人体実験だったんですね。

河崎 まるで『ブリグズビー・ベア』(18)の世界だな(笑)。

姫乃 「リアルサウンド映画部」で定期的に映画評を書いてるんですけど、映画評を書くこと前提で映画を観ているので、俳優の演技よりも、物語性や監督の演出のほうに意識が行ってるかもしれません。

河崎 AVはけっこう観てるんでしょ?

姫乃 はい。一時期は年間130本くらい観てました。でもそれもビデオ情報誌でレビューを書く仕事なので、男優さんがどこに何回射精したかをカウントしないといけないから、演技はそんなに……。ドキュメンタリーが好きなので、井口昇監督が出演している平野勝之監督がのAVは好きで観てました。河崎監督は井口監督とジャンルの距離的に近いものを感じますが、実は作風が全く違いますね。

河崎 俺も変態だけど、俺の場合は爽やかな変態だからさ(笑)。AVについて語れるアイドルは、たまちゃんの他にはいないよ。でも、地下アイドルはもうすぐ辞めちゃうらしいね。

姫乃 はい、2019年4月いっぱいで、地下アイドルの肩書きはおろすことにしました。今の活動がすでに地下アイドルにそぐわないので、肩身が狭くて。

河崎 フリーの地下アイドルは、すべて自分でやらなくちゃいけないから、いろいろと大変なんだよね。

姫乃 どうなんですかねえ。大変とは思わないですけど、大変だと思わずにいろいろできるようになっちゃうと地下アイドルではいられないってことですね。肩書きをおろした4月以降も活動は続けていくつもりです。今後、女優として私を起用する監督は現われるでしょうか?

河崎 今、25歳か。う~ん、30歳を過ぎたら違ったオファーが来るようになるんじゃないかな。

姫乃 熟女AVの話ですか? 女優は30歳を越えると魅力が増すと聞いています。知らんけど。

河崎 ハハハ。でも、『シャノワールの復讐』がクラウドファンディングで製作費が集まったのは、やっぱり姫乃たまの存在が大きかった。11月29日(木)のDVDリリースに合わせて、いろいろイベントやろうよ。

姫乃 いやはや、今後とも姫乃たまを起用する希少な監督ということで、よろしくお願いします!
(取材・文=長野辰次)

『干支天使チアラット外伝 シャノワールの復讐』
原作/中川ホメオパシー『干支天使チアラット』(リイド社)
プロデューサー・脚本・監督/河崎実 脚本/鈴木つかさ、荒木太朗
出演/姫乃たま、ジョナサン・シガー、岩井志麻子、すずきつかさ、原田篤、ジャガー、康芳夫、町あかり、いまみちともたか、エンリケ、AKIRA、逢瀬アキラ、塩谷瞬
販売元/リバートップ 11月29日(木)よりリリース開始
(c)中川ホメオパシー・リイド社・リバートップ

 

●河崎実(かわさき・みのる)
1958年東京都生まれ。明治大学在学中から特撮映画を自主製作し、注目を集める。萌えカルチャーを先取りした『地球防衛少女イコちゃん』(87)で商業監督デビュー。以後、中川翔子をヒロインに起用した『兜王ビートル』(05)、壇蜜主演の特撮映画『地球防衛未亡人』(14)、人気レスラー・飯伏幸太主演作『大怪獣モノ』(16)などの話題作を次々と放つ。筒康隆原作の『日本以外全部沈没』(06)は東スポ映画大賞の特別作品賞を受賞、『ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発』(08)はベネチア映画祭に正式招待された。近年の監督作に『干支天使チアラット』(17)、『乳首ドリルの逆襲 ATTACK OF THE NIPPLE DRILL』(18)など。現在、『電エース』30周年記念作を製作準備中。

●姫乃たま(ひめの・たま)
1993年東京都生まれ。16歳よりフリーランスで地下アイドル活動を始める。ライブイベントへの出演を中心に、ライター、モデル、DJ、司会としても活躍。音楽ユニット「僕とジョルジュ」での活動のほか、ライターとしての著書に『潜行 地下アイドルの人には言えない生活』(サイゾー社)、『職業としての地下アイドル』(朝日新書)、『周縁漫画界 漫画の世界で生きる14人のインタビュー』(KADOKAWA)がある。平成最後の日となる2019年4月30日に、地下アイドルとして最後のワンマンライブ「パノラマ街道まっしぐら」を渋谷区文化総合センター大和田さくらホールにて行なうことが決まっている。

アメリカは意外に保守的! 日本人が思いがちな「F××kって表現はクール」という罠

 洋画や洋楽でおなじみな「F××k」に代表されるスラング。くだけた表現では「F××k」を「超」のような意味合いで使うケースもあり、「very」を使うよりカッコいい、と思っている人もいるかもしれない。しかし、通訳、英語講師を仕事にしている、『英語がサクッと口から出る 英語の「筋トレ」4センテンス繰り返しCDドリル初級編』(主婦の友社)著者、渡部泰子氏は「スラングは危険」と話す。全3回の最終回となる今回は、日本人が思っているよりもマナーがある、保守的なアメリカの一面について話を聞く。

◆これまでのインタビューはこちらから◆
【前編】「英語が喋れるようになりたい」で毎年大勢挫折するのはなぜか? 英語のプロに聞く英語学習法
【中編】「英語を仕事にできる人」と「しゃべれるけど仕事にはできない人」は何が違う?

■英語のプロが、スラングを知っていても使わない理由

――前編で、「目的にフォーカスして英語を勉強することが大切(=なんとなく英語うまくなりたいでは上達しづらい)」という話を伺いました。

 私はゲームや漫画が好きなので、同じオタク趣味を持つ外国人(発言は英語)をTwitterでフォローしてみたんです。しかし、SNSでの英語の使い方って分かりにくいんですよね。スラングが多いし、スペースを省略したり、Youを「U」にするなど独自の省略ルールがありますし。

渡部泰子氏(以下渡部) Twitter は生きた英語だと思いますが、辞書を使うことも大切です。辞書は「これは品のない言葉なのであまり使わない方がいい」と書いてありますから。

―― Twitterを見て英語を勉強したら、英語が母国語の人たちからしたら眉をひそめるような言葉を使っているかもしれないですね。

渡部 私はあえて英語のスラングは使わないようにしています。もちろん分かった方がいいのですが使うのは友人同士など、限定的ですね。それによって人物判断がされかねないこともある言葉ですから。さらに、自分では「これはイケてるだろう」と思ったスラングでも、どう受け取るかは結局相手次第ですから。

――考えてみれば日本語でも差別用語など、その一言を言っただけで、「そんな言葉を使うような人なんだ」とドン引きするような言葉はたくさんありますよね。

渡部 私自身は帰国子女でも、英語圏の国に長く住んでいたわけでもなく、学習で英語を習得した立場です。だからこそ、英語は外国語であることを意識し、スラングには安易に手を出さないよう気を付けています。

 以前日本人の方が「F××king tired.」と話していたことがあったのですが、それを聞いた英語圏の方はかなり引いていました。ご存知の方も多いかと思いますが、「F××k」は向こうの人からすると、とても引いてしまう表現なんです。

――おそらく、日本人が洋画や洋楽からイメージする言葉としての「F××k」は、アメリカ人のイメージする「F××k」とかなり隔たりがあるのでしょうね。日本人は「F××k」を「Veryを使うよりももっと口語的でこなれていて、分かっている」というニュアンスでとらえている人も中にはいますが、これをアメリカで適用すると火傷すると。

 

■日本人のスタンダードな振る舞いは、アメリカ人から見たら「不愛想で無礼」

――しかし、日本人はアメリカ人に対し「日本人よりはっきりものを言うし、フランク」というイメージがありますが、意外と保守的なんですね。

渡部 アメリカは案外マナーに厳しいところもありますよ。あと、ないと思っている人も多いですが、英語にも敬語があります。知り合いが幼稚園の時に先生に「Can I go to the bathroom?(トイレに行っていいですか?)」と言ったら、怒られたそうです。「Can I」はカジュアルであり、先生に対しては「May I」を使えと。「よろしいですか?」ですね。

 あと、日本人は忘れがちですが、「Thank you.」と「Please」をアメリカ人はとてもよく使います。例えば買い物をする際、日本ではお客様は神様ですから「ありがとう」とお客さん側はなかなか言わないですよね。でも、向こうはお客さんも「Thank you.」と言います。

――欧米系の人を見ると、本当にお店でニコッと笑って「Thank you.」と言いますよね。電車で降りる時も「Excuse me.」と言う。言葉や行為で、害意がないことや感謝を伝える努力は、日本人よりずっとしますよね。

渡部 良家ほどそういったことを徹底的に教育されるようですね。また、喫茶店で注文する際も日本だと「オレンジジュース」みたいに品名だけ言う人は多いですよね。でも、向こうは「オレンジジュース、プリーズ」という風にお願いします。そうするとサービスの質も上がりますよ。

 

●英語で話すときは日本語の二倍話せば、通じる!

――こういったことは、英語の文法やルールを学ぶことよりも、大切なことに思えますが、あまり知られていませんよね。

渡部 そうかもしてませんね。以前アメリカ系の航空会社の飛行機に乗客として乗っていた時のことですが、日本の若い方が、機内食を何も言わず受け取ったことに、米国人の客室乗務員が怒ったんです。「あなたは人からサービスを受けておいて、『Thank you.』すら言えないのか」と。しかし言われた方も、相手が英語でまくしたてているし、そもそもおそらく「Thank you.」を大切にするアメリカ文化の事情も知らないのでしょう、キョトンとしていました。

――店員が客を叱ること自体、日本人にしてみたら「超想定外」ですもんね。「日本人のふるまいは、アメリカ人から見ると、言葉足らずで不愛想に見えがち」というのは、言葉以前に気を付けておいた方がいいのでしょうね。

渡部 アメリカ人と話す時は、日本で話す時の2倍ぐらい話さないと伝わらない、と思った方がいいかと思います。「こういうつもりで言ったんです」とか「そういうつもりではない」ということを、一所懸命伝える。日本語だと「伝わるでしょ」としてしまうことを、英語ではさぼらずに、こまやかに伝える。そうすることで伝わることも実際にあるんです。

――なるほど。最後に、何年も前から「技術の発達で英語をはじめ、外国語の勉強はいらなくなるのではないか?」という議論がありますよね。Googleのコマーシャルでも「パリ北駅に行ってください」とスマホが翻訳するシーンが出てきました。それについて渡部さんはどう考えていますか?

渡部 翻訳機が発達して、脳にチップが埋め込まれ、口から外国語が勝手に出てくる、となったらもうお手上げですが、現状の「翻訳機が進んでいる」というくらいでしたら、自分で勉強する方がいいと思います。「伝わる喜び」はこの上ないものですから。

――私もフィリピンに留学した時に、外国語が通じるというのは、こんなに嬉しいものなのかとちょっと驚くぐらい感動しました。外国語を話すというのは、母国語を話すのとはまったく異質の喜びがありますよね。

渡部 ですのでもし、技術的には不要になっても、英語の勉強はやる価値があるものだと思います。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

■渡部泰子
東京生まれ。TOEIC985点。総合商社、外資系企業などに勤務後独立。株式会社マグノリア・コンサルティング代表。通訳、リサーチや海外とのコーディネーション、個人/企業向けの英語トレーニングを行っている。

◆石徹白未亜の過去記事はこちらから◆

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「英語を仕事にできる人」と「しゃべれるけど仕事にはできない人」は何が違う?

 一言で「英語ができる」といっても色々な段階があるが、その最高峰といえるのが「仕事で英語を使える」レベルだろう。『英語がサクッと口から出る 英語の「筋トレ」4センテンス繰り返しCDドリル初級編』(主婦の友社)著者の渡部泰子氏は、帰国子女やインターナショナルスクール出身者でなく、英語の勉強は中学生からだがTOEIC985点。通訳、英語講師を仕事にしている、学習による英語のプロだ。そんな渡部氏に、前編に引き続き日本人の英語学習の問題点や、英語を仕事にすることについて話を聞く。

【インタビュー前編はこちらから】

■「英語できない」はスキルより失敗を恐れる国民性にある

――渡部さんご自身は、幼少期からガッツリ海外漬けの生活をされていたわけではないですよね。

渡部泰子氏(以下、渡部) はい。英語は好きでしたが、英語教室などもさほどポピュラーではなかったように記憶しています。英語自体は中学の授業から学び始め、短大の英文学科に進み、19歳のときに初めてホームステイで海外に一週間行きました。その時はまだ「英語で気持ちを表現する」という段階ではまったくありませんでしたね。

 その後、就職したのですが、英語を使うことや学ぶことはあまりなく、やはり英語が学びたい、そして仕事で使ってみたいと、会社を辞めてカリフォルニア大学サンディエゴ校付属の、母国語が英語でない学生に向けた語学学校に半年間留学したんです。生徒は多国籍で、当時はヨーロッパの人が多かったです。

――ドイツ、フランス、イタリア、スペインなどの人たちの言葉は、「日本語と英語」よりは母国語が英語に近いですよね。そういった人たちはやはり日本人より上達が早いでしょうか?

渡部 早いと思います。それには要因が2つありますね。まずお話にあった「日本語より母国語が英語に似ている」という点です。単語も英語と似ているものが多いですし、その点では習得しやすいでしょうね。ただ、そういったこと以外に、「性格」という点も大きいと思います。

 日本人はシャイで控えめで、他人に迷惑をかけてはいけない、目立ってはいけない、というところがありますよね。語学学校でイタリア系ブラジル人の方がいましたが、見事に3ヶ月でペラペラになって帰っていったことを鮮明に覚えています。彼女は性格がラテンで、恥ずかしがったりしないし、人との交流を楽しめるんです。そういった性格の違いも大きいと思います。

――私自身も6週間ですが留学していました。そのときに、関西の人は物おじしないし、話すのが好きなので上達が早いな、と感じました。「日本人の英語できない問題」はスキルより、案外メンタルによるところが大きいのかもしれないですね。

 多国籍の生徒たちの中で授業を受けていて、「言葉が分からなくて恥ずかしい」という感覚は、日本人がやはり顕著でしたか?

渡部 そうですね。あと、決めつけてはいけないんですが、「恥ずかしい」という感覚は男性に多い気がします。特に女性がいると「カッコ悪い所を見せられない」となってしまう。

 

■ちょっと使えるようになったら、ビビらずにすぐに飛び込め!

――英語のスキルを大きく分けると「物おじせず旅行ができるレベル」「日常会話ができるレベル」「仕事で英語ができるレベル」の3つになると思うのですが、渡部さんの場合、留学から帰ってきたあと、早速仕事として英語を使うことを始めていますね。

渡部 はい。ご縁があって、最初の仕事はIBMでの英語を使ったアシスタント業務でした。職場は多国籍でしたね。

――英語で仕事をするって、とんでもなくハードルが高そうですが……。

渡部 英語はちょっとできるようになったら、できるだけ使える環境に行くことをお勧めします。仕事に限らずプライベートでも、キッカケをつかんで自分からその場に身を置くことで、英語に慣れることになりますから。

 また、IBMの仕事はアシスタントでしたので、センテンスは短く、交渉するような立場ではありませんでしたし、当時の自分の英語のレベルに合っていたというのもよかったですね。

――ただ、その後渡部さんはユナイテッド航空の機内通訳(※機内での英語、日本語双方を用いたお客様対応。フライトアテンダント業務でなく、通訳専門のスタッフ。現在は募集していない)に転職します。トラブル対応も含まれる仕事で、使う英語のレベルも一気に難しくなりますよね。不安はなかったのでしょうか。

渡部 このポジションは機内に一人しかいないからものすごく不安でしたね。最初のフライトの時は、「あっちの人が何か言ってる!」とフライトアテンダントの腕をつかんでしまったこともあって、子供っぽかったなと反省しました。

■日本語発音の「ビール」はアメリカ人には「ミルク」に聞こえる

――日本人の英語にまつわる機内トラブルなどはありますか?

渡部 日本人で多いのは、「ビールと牛乳」のトラブルです。ビールは「BEER」、最後はRです。ただし、日本人が日本語英語の調子で「BEER」と言うと、アメリカ人にはその「R」が「L」に聞こえてしまうんです。そうすると「MILK」なのかと、牛乳が出されてしまうんですね。

「ビールを注文したのに牛乳が出てきた、馬鹿にされているのか?」というような声をいただくことがよくありましたが、これは本当によくあることなんですよ、とお伝えしていました。

――日本人が照れくさくて苦手とする「R」の発音ですね。「照れくさい」「恥ずかしい」という日本的思考は、案外英語習得のラスボスなのかもしれません。「大人が機内で注文するんだから、普通牛乳じゃなくてビールだって分かるでしょ?」というのも、考えてみれば日本的な「察してくれ」の文化ですし。

 

■早かったり、分からなかったら遠慮なく聞き返していい

――英語上達のためには、英語を使う場所に身を置くことが大切なんですね。

渡部 そうだと思います。今はネットを利用した様々なサービスがありますよね。例えば、「ミートアップ」というサービスがあります。外国人と話すためのパーティーや、趣味の集まり、勉強会を探すプラットフォームで、主催をすることも、参加だけすることもできます。さまざまなミートアップがあるので、検索してみるといいですよ。

――いざ参加してみて、相手が言ってることが分からない時はどうすればいいでしょうか。

渡部 聞き取れない理由は、まずスピードだと思いますので、「Could you speak more slowly?(もう少しゆっくり話してください)」と聞きましょう。

――ゆっくり話しているのに、分からない! というときは、どうすればいいでしょう。

渡部 そういったときに便利なフレーズが、「Can you rephrase it?(言い換えていただけませんか?)」です。簡単に「Simple English please.」でもいいですね。

――英語って、類義語がかなり多いですから、「Simple English please.」って、いいですね。

渡部 何回も聞き返したっていいんです。逆に、一番やってはいけないのは笑顔で、わかったふりをすることですね。

――怖さや恥ずかしさからそうしてしまう日本人は多いでしょうね。

 後編では引き続き渡部氏に、うっかり日本人が使いがちな「英語のスラング」の注意点について伺う。

 (文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

■渡部泰子
東京生まれ。TOEIC985点。総合商社、外資系企業などに勤務後独立。株式会社マグノリア・コンサルティング代表。通訳、リサーチや海外とのコーディネーション、個人/企業向けの英語トレーニングを行っている。

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「英語が喋れるようになりたい」で毎年大勢挫折するのはなぜか? 英語のプロに聞く英語学習法

「日本人は英語が苦手」とよく言われる。英語の教材を買ったり、英語教室の門を叩いたものの、モノにならず自己嫌悪という人は毎年数多いるだろう。日本人の英語学習には何が足りないのか?『英語がサクッと口から出る 英語の「筋トレ」4センテンス繰り返しCDドリル初級編』(主婦の友社)著者の渡部泰子氏は、帰国子女やインターナショナルスクール出身者でなく、英語の勉強を始めたのは中学生からだが、TOEICは985点。現在通訳、英語講師を仕事にしている、学習によって英語を習得したプロだ。そんな渡部氏に、日本人の英語教育の問題点について聞いた。

 

■英語の学習が挫折するのは、目的がぼんやりしているから

――渡部さんご自身は幼少期からガッツリ海外漬けではないのに、英語を仕事とされていますよね。どうすれば、英語はうまくなるのでしょうか。

渡部泰子氏(以下、渡部) 「英語を学んでどうなりたいか」という目的を持つことがまず大事ですね。「なんとなく英語が話せればいいな」という人は伸びにくいと思います。

――「なんとなく話せればいい」で勉強して挫折してを繰り返している人は私も含めて多いでしょうね。耳が痛いです。

渡部 「なんとなく」の何がいけないかというと、なんとなくだと学習範囲が定まらないんですよね。ですから「海外旅行に行ったらショッピングは全部自分でできるようになりたい」というのもいい目的だと思います。中学程度の文法を把握していれば、あとはショッピングの会話の実例をどんどん練習していけばいいと思います。

――「なんとなく」から「ショッピング」になるだけで、やるべきことが一気に明確になりますね。

渡部 はい。私は企業の従業員の方に向けた講師の仕事もしていますが、例えばアミューズメントパ―クの会社さんからご依頼を頂いた際は、事前にその施設に行き、できるだけいろいろな乗りものを試します。そうすることで、そのアミューズメントパークで実際に、本当に使える表現をお伝えすることができますから。

――「英会話教室に通う」「英語の参考書を買う」という場合も、「自分はこういう英語がしゃべりたいんだ」というより具体的なシーンをイメージした上で、教材を選ぶことが大切なんですね。よく、「外国人の友達を作る」というのも語学上達に効果的なこととして挙げられますが、これもちょっと漠然としていますね。

渡部 ですので、「外国人の友達とごはんを食べに行く」とか、よりフォーカスするといいと思います。

――確かに「なんとなく友達と話す」より「食事する」なら、シーンが見えて、準備しておくべきことが分かりますね。

渡部 また、毎月でテーマを決めても面白いですよ。例えばある月は政治系の単語帳をひたすら作ったりとか。これはプロの通訳もやっていることです。

■「見るだけ」「聞くだけ」では英語は上達しない

――プロでも勉強を続けているんですね。

渡部 もちろんです。私の中の英語学習のイメージとして、まずベースとして中学英語の文法があります。そして、その上に「英語のジャングルジム」みたいなものが建っているんです。

 ジャングルジムはひとつひとつマスがありますよね。その中のマスたちを、日々の実戦、反省、気づきと勉強で埋めていくんです。例えば「不定詞が弱いな」と気づいたら勉強して自分のものにしていき、「不定詞」のマスを埋める。そうやってマスをコツコツと埋めていくんです。そして、記憶は薄れますから、忘れたらまた勉強して……の繰り返しです。

――近道はないんですね。

渡部 はい。ただ、英語学習において余計な遠回りをしてしまっているケースはありますね。

――「遠回り」とはどんなことでしょう。

渡部 脳の仕組みから物事の習得のコツには2つあって、まずは「繰り返すこと」です。ですので、おすすめできない遠回りの学習法は「1日新しい10単語を覚えていく」ということですね。これで年間10×365=3650単語覚えられる、とはなりません。脳は常に情報を捨てようとします。忘れるのが当たり前なので、これはどうやら重要らしい、と脳に理解させるために、何度も何度も繰り返さないといけないんです。

――毎日真剣に10単語覚えるより、同じ英単語をひたすら繰り返す方が、脳にとっては効率的なんですね。

渡部 はい。物事の習得のコツ2つ目は「五感を使うこと」です。英語の場合は「読む、書く、話す、聞く」。ですので、お勧めできないのは「見るだけ」や「聞くだけ」です。

――聞くだけで、ある日突然英語は口から出てこないと。「年間360本の洋画を見たのにさっぱり英語がわからない」というのには理由があるんですね。

渡部 字幕があると、英語を聞いているように思っていても、日本語字幕を読んでしまっているんですよね。ただ、洋画も使い方によっては効果的ですよ。私が徹底的にやったのは英語の映画やテレビドラマを、字幕を出さないで見て、何と言っているのか推測することです。これはお勧めします。

 知らない単語は当然聞き取れませんが、知っている単語を聞き取れないのは音に慣れていないからなんです。それを見極めるのが大切なんです。

――単語を知らなければ語彙不足であり、既に知っていたら耳が慣れていないということで、原因が違いますもんね。そうすると100本の洋画をひたすら見るよりは1本の洋画を何度も繰り返し見るのがいいんでしょうか?

渡部 気に入った作品を続けて見るのはいいと思いますね。「聞くだけ」や「読むだけ」で伸びなかったというケースはありますが、五感を使った練習をしても全然伸びなかったという人は見たことがないです。

 

■英語のプロでも「三日坊主がいっぱい」は多い

――先ほどもお話がありましたが、文法は中学レベルで大丈夫なんですね。

渡部 基本としてはまずは中学英語です。より複雑なことを言うのには、その上も必要になってきますが、まずは中学英語の文法が必要です。ですので、学生時代英語が得意だったという人は問題ないですが、英語が苦手だった人は、まず中学文法は克服したいですね。

――思えば、中学英語の文法って、今も覚えていますよね。一週間前のテレビやネットの内容はすっかり忘れていても、中学英語は卒業して数十年たつのに覚えているというのも、やはりひたすら当時「くり返した」ことで脳に染み付いているんでしょうね。

渡部 文法書は辞書のように使うといいですよ。前置詞のルールってどうなっていたっけ? と分からないことがあるときに調べる。文法の本を一から読むと途中で嫌になってしまいますよね。日本人は真面目なので、挫折経験があると自分を責めてしまいますから。

 学習は「三日坊主をいっぱい」でいいんです。英語の先生は一冊の参考書をやりなさいと生徒さん方に話しがちなんですが、先生同士で話すと「飽きちゃうから三日坊主を続けている」という人は多いですよ。三日坊主でも、また別の英語の学習をすれば、結果的には「英語学習」という輪をぐるぐる回っていることになります。英語を仕事にしている人はそういう方たちが多いですよ。

――なるほど。「まずは目的を具体的に持ち、語彙はひたすらくり返し、文法は中学英語をしっかりと」ということですね。あと重要なことは何でしょうか?

渡部 英語を使う環境に積極的に身を置くことです。「漠然と話す機会がない」と言うのではなく、「話して使っていくのだ」というハートで動くことです。何も座学だけが勉強ではありません。外国人のお姉さんと英語で話すのだって勉強のひとつです。

 中編では引き続き渡部氏に、「英語を仕事にすること」について伺っていく。

 (文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

■渡部泰子
東京生まれ。TOEIC985点。総合商社、外資系企業などに勤務後独立。株式会社マグノリア・コンサルティング代表。通訳、リサーチや海外とのコーディネーション、個人/企業向けの英語トレーニングを行っている。

◆石徹白未亜の過去記事はこちらから◆

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“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士が『ボヘミアン・ラプソディ』を大絶賛!「過去最高!」と評したワケは……

 11月24日はフレディ・マーキュリーの命日。というわけで、今月の「“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき」は、伝説のバンド・クイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーの生涯を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』を題材にお届けしよう。「ロックは好きだし、母親のあだ名はクイーンだし、新宿二丁目のクインという和食屋にも行ったことがあるけど、バンドのクイーンはほとんど聴かずに育ってきた」という38歳の瓜田は、果たしてこの作品を見て何を感じるのか?

 映画『ボヘミアン・ラプソディ』は、1991年に45歳の若さで逝去したフレディ・マーキュリーの伝記ドラマだ。英国では『ラ・ラ・ランド』の累計興行収入を上回り、日本でも今月9日の公開以降、2週連続で興収1位を獲得するなど世界中で大ヒットしている。

 取材当日も場内は満員。客層は中年以上の男女が中心だったが、20代風の若い観客も多く見受けられた。

 1979年に新宿で生まれ、青春時代はBOØWYやガンズ・アンド・ローゼズなどを聴いて育ち、自身もバンド活動をしていたことがある瓜田だが、クイーンにはほとんど関心がないようだった。

 先月、映画館のロビーで予告編をチラリと見た際には、「これ、つまんなそうだな。俺、クイーンってあまり好きじゃないんですよ」とつぶやいていた。今回この映画を見ることに決まったのも、実は二択の消去法だった。

 編集部から「今月の映画評は『ボヘミアン・ラプソディ』か、『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』。このいずれかでお願いします」と言われ、瓜田が渋々前者を選んだに過ぎない。

「クイーンってあまり好きじゃない」という発言の真意は後ほど詳しく聞くとして、まずは奥様と共に映画をじっくり見てもらうことにした。

 以下は、鑑賞後の瓜田夫婦の感想である。

 * * *

――いかがでしたか?

瓜田純士(以下、純士) 過去最高! 日刊サイゾーの連載で見た映画15作品の中で、ぶっちぎりの1位! DVD出たら買うわ!

瓜田麗子(以下、麗子) うん、これは絶対買わなアカンやつや。

純士 まずフレディ・マーキュリーという人物のカリスマ性に圧倒されたし、それを演じたあの役者(ラミ・マレック)のエネルギーにも圧倒されっ放しで、あっという間の2時間でした。夫婦ともども、ほとんどクイーンに触れてこなかったこれまでの人生を恥じてるところです。

――この作品にも出てくる20世紀最大のチャリティーコンサート「ライヴエイド」のとき、瓜田さんは何歳でしたか?

純士 5~6歳でしょうか。だから、そんなイベントがあったこと自体をこの映画を見て初めて知った。ついでに言うと、フレディがエイズで死んだことも今日初めて知りました。

麗子 本物の「ライヴエイド」は、ワイドショーかなんかで映像を見た記憶があるような、ないような。勉強不足ですいません。

――クイーンというバンドのことは、どの程度ご存知だったのでしょう?

純士 海外の有名なモンスターバンドで、フレディ・マーキュリーっていう変なゲイがボーカルで……ぐらいの認識ですかね。正直なところ、あまりいい印象は抱いてなかったんですよ。というのも、俺が中2ぐらいのときに楽器とかを教えてくれた不良の先輩が、こう言ったんです。「クイーンはロックっぽい雰囲気だけど、所詮はエリートの集まりなんだぜ」と。以来、クイーンは格好悪いみたいな印象が刷り込まれちゃって、好んで聴こうとは思わなかったんですよ。

麗子 エンドロールに出たヒゲのおっちゃん(実物のフレディ・マーキュリー)の顔は知っとったし、ゲイやということもうっすら知っとったけど、その人がクイーンのフレディ・マーキュリーやいうことは今日初めて知りました。

――曲はどの程度知っていましたか?

純士 表題曲の「ボヘミアン・ラプソディ」は、街角で流れる有線とか、『glee』っていう海外ドラマとかで聴いたことがあります。あとは「ウィ・アー・ザ・チャンピオン」とか「ウィ・ウィル・ロック・ユー」あたりのメジャーな数曲を、CMや格闘技イベントで聴いた程度でしょうか。

麗子 ブリトニー・スピアーズとビヨンセが共演してるペプシのCMで流れてた「ズンズン、チャン、ズンズン、チャン」って曲(ウィ・ウィル・ロック・ユー)が好きなんやけど、それもクイーンの曲やったんや~、ということを今日知りました。

純士 という程度の認識のわれわれ夫婦でも、泣くほど感動したんだから、この映画とクイーンというバンドは本当にすごいですね。ミュージシャンの伝記映画ってことでいうと、こないだ『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』っていう作品のDVDを買って。男から女に性転換したカリスマロックシンガーの物語に夫婦して引き込まれたんだけど、そのとき薄々気付いたんですよ。「世の中にはいろんな映画があるけど、バンドの伝記映画みたいなのが実は一番面白いんじゃないか」と。それが今日、確信に変わりました。

――なぜでしょう?

純士 要するに王道なんですよ。バンド誕生の秘話があって、カリスマ性のあるメンバーがひとりいて。で、売れてくると変な奴が近づいてきたり、裏切り者が現れたり、契約の話でトラブったりしつつ、随所随所で誰もが知ってるヒット曲が流れたりして。やがてドラッグに溺れて、家庭がグチャグチャになって、メンバーに寿命が訪れて、死んだ後に殿堂入りする、みたいなパターンが多い。ミュージシャンのそういう話って、ドキュメントにせよ実話ベースのドラマにせよ、面白いんですよ。紆余曲折がハンパないし、そこに名曲の力も加わるから。

――そのほかミュージシャンの映画は、どんなのを見ましたか?

純士 ドキュメントも含まれるけど、『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』とか『レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ』とか『Ray』とか、結構見てるんです。どれも面白かったけど、『ボヘミアン・ラプソディ』がダントツでした。

――その理由は?

純士 たとえば『Ray』でレイ・チャールズを演じた役者もすごかったんだけど、それは器用なだけで、やっぱレイ・チャールズじゃないんですよ。でも今日の彼(ラミ・マレック)は、フレディそのものにしか見えなかったから、なんの違和感もなく物語に没入できたのがまず一つ。

――フレディもさることながら、ギターもドラムもベースも、よく似ていましたよね。

純士 あんなクリソツ、どうやって探してきたんだろう。特にフレディは顔だけじゃなく、演技力と熱気でそう見させてしまうっていうか。インド系の厳格な家が嫌で、名前を変えて彼女を家に呼んで……っていう序盤から、彼のコンプレックスと希望が入り混じったような表情に釘付けになっちゃって。あの出っ歯は入れ歯だと思うんだけど、俺自身も入れ歯を入れてるってこともあって、そこからスターになっていく展開にめちゃくちゃ感情移入できました。

麗子 他のメンバーの心情もよう伝わってくる作りやったな。

純士 あと、これはカリスマにつきものの話で、俺もカリスマだからわかるんだけど(笑)、どこか孤独で、それを放っておけない女性が現れて、っていうあたりも自分に置き換えて共感できました。マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』もよかったけど、ここまで鳥肌は立たなかったもんなぁ。たぶん、あの役者がフレディを演じたからよかったんだろうな。あの子、すごいわ。

――ライヴのシーンはいかがでしたか?

純士 メンバーと共にバックヤードからステージに向かうあのパターン、よくあるっちゃあるんだけど、そこに至るまでの熱気とか緊張がビンビンに伝わってきました。まさにフレディの横にいる気分。CGを使ってるのか全部エキストラなのか知らないけど、空撮も交えた客席の盛り上がり方も圧倒的で、映画館にいるこっちまで興奮した。もちろん、すべては「楽曲のよさ」あっての興奮だけど。曲の生誕にまつわる裏話も知ることができたし、字幕で歌詞の意味を知って泣けるシーンも多々あったわ。

麗子 ウチも1曲目から込み上げてくるもんがあって、途中からは震えながら泣いてたわ。映画としてもテンポがめっちゃよくて、それでいて内容も濃いから、最後まで飽きへんかった。映画って、2時間のうち必ず飽きるとこがあるねんけど、今回なかったってことは、これは1曲のミュージックビデオみたいなもんで、フレディの生涯は音楽やねん。しかも彼にとって音楽は仕事やなく、命やねんな。

純士 映画『アマデウス』にちょっと近いかも、とも思った。モーツァルトの破天荒な生涯が描かれてるんけど、流れる音楽は天才そのもの。それを見てる感じでした。あと、これは監督の意図じゃなく、実際のライヴがそうだったのかもしれないけど、最後、持ち時間20分のトリに表題曲がくるかと思いきや、そこを裏切る曲順だったじゃないですか。しかも、例のオペラのフレーズを切ったあたりが、オシャレだなと。大トリで表題曲がかかって例のオペラも全部やっちゃったら、予想通りで面白くなかったと思います。

――今のところベタ褒めですが、不満点は?

純士 不満ってわけじゃないけど、一箇所だけ「ここは美化したかな」と感じたのは、元嫁のメアリーが夢を見て、クスリでヨレてるフレディの元を訪れる場面。あれ、実際は来てないんじゃないでしょうか。再婚して子どもまでできてたら、さすがに元旦那のところには行かないんじゃないか。あれは脚色じゃないかな、と感じました。まあでも、そのシーンがあったおかげで、フレディの孤独さがより一層浮き彫りになったし、裏切り者と縁を切って仲間の元へ戻るシーンにつながるわけだから、脚色だとしてもアリなんですけどね。

麗子 ウチはあのシーン、自己投影しながら見てたわ。実は今朝、夫婦喧嘩をしたんですよ。そやからウチは、タクシーに乗ってメアリーが去って行くシーンを見ながら、「純士が『こうなりたくない』と思って心を改めてくれればいいのに」と思いました。

純士 全体的に文句のつけようがない作品でしたが、メアリーに対してだけは文句を言いたい。窓辺の電気をつけて乾杯するっていう約束事のとき、気のないそぶりを見せやがって。気持ちはわからないでもないけど、せめてもっと近くにいてあげろよ! フレディが可哀想だろ! と思いました。

麗子 あれはしゃあないで。紀州のドンファンの嫁みたいな性格やったら、たとえ気持ちがなくても、お金で割り切って仮面夫婦を続けることもできたんやろうけど、メアリーは心が綺麗やから、そういう関係を望まへんかってんやろ。そこがウチ的にはよかったわ。

純士 フレディは一途だったんだね。あれだけの大スターだったら、もっと色恋があるはずなのに。

麗子 いやいやいや、じゃあ、なんでエイズになるん?(笑) 映画では描いてへん部分もあるんやって!

純士 あの時代、どういうセクシャリティーの主張の仕方があったのかわかんないけど、あんなヒゲ同士でくっつくもんなんですか? あれが当時の合図だったんですか? あのフレディにケツを触られたお手伝いの男、いい味出してましたけどね。「今度触ったらブン殴るぞ」とか言っときながら、最後ちゃっかりステージ脇に行くまでの仲になってるという(笑)。「お前誰だよ」みたいな。

麗子 ニヤニヤしとったもんな。どっかの演歌歌手みたいな顔して。

純士 フレディがエイズであることをメンバーにカミングアウトするタイミングもよかったし、あと、フレディのお父さんもよかったな。息子のことを、ひそかに応援してる感じが。しかし、ああいう家庭に育った子が、あれだけの世界的スターになっちゃうんだから、本当にすごい話だよね。

麗子 アメリカンドリームやな。

純士 まあ、イギリスなんだけどさ。

麗子 イギリスかーい!(笑)

――では、そろそろまとめのコメントをお願いします。

純士 メンバーも家族も、元嫁もその恋人も、裏切り者もレコード会社のお偉いさんも、エイズをカミングアウトする前から「大丈夫なのか?」とフレディの一挙手一投足を見守ってる感じで終わった2時間でした。そこに真意が詰まってるというか、本当はそれだけ愛されてたのに自分から孤独になっていったんでしょうね。だから最後、受け入れられてよかったですよ。ドラマーあたりが怒って「お前とはやれない」とならなくてよかった。いやぁ、やっぱ、バンドの映画は面白い!

――日本でBOØWYの映画とかを作ったら、どうなるでしょうね?

純士 邦画のバンドものだと最近、『キセキ-あの日のソビト-』っていうのをDVDで見たんですよ。GReeeeNの「キセキ」の誕生までの実話を元にした物語なんですけど、イマイチでした。なんでこんなに違うのか? それはきっと、売れ方のレベル違うからじゃないかと思います。スーパースターの暮らしぶりや、見えてる景色が日本と海外とでは全然違うから、作品のスケールも違ってきちゃうのかな、と。

――なるほど。

純士 GReeeeNはさておき、クイーンを聴いてこなかったことはマジで恥じてます。今日から大ファンになりました。

麗子 ウチもや! フレディが生きてる間にクイーンをちゃんと聴かへんかったとは、なんて薄っぺらい人生を歩んできたんやと反省してます。

純士 こんな世界的なロックスターを知らずに、俺はアマチュアバンドでステージに立ったとき、観客に向かって「お前らロック好きか? ロックが好きならこの曲知ってるだろ? 行くぜ!」とかほざきながら、手垢のつきまくった邦楽のカバーを演ってたんですよ。「てめえが一番ロックを知らねえんじゃねえのか? てめえが知ってるのはヤーさんの世界だけだろ!」と、観客は心の中で突っ込んでたかもしれませんね(笑)。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

『ボヘミアン・ラプソディ』瓜田夫婦の採点(100点満点)
純士 100点
麗子 100点

※今回から採点機能が加わりました。過去回の採点も記事一覧からご覧になれます。

※「“キングオブアウトロー”瓜田純士、かく語りき」の記事一覧
http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/

※瓜田純士のYouTube好評配信中!(瓜田純士プロファイリング)
https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg