「お客さんとの距離を詰めたくなってきた」“コント職人”ラバーガールの現在地

『エンタの神様』(日本テレビ系)などで知られるコント師・ラバーガールが、2年連続で全国ツアーを開催する。1月21日から東京・俳優座劇場を皮切りに、「お前ら愛してるぜ」なるタイトルで全国13箇所をまわり、新ネタライブを行うという。昨年は公式YouTubeチャンネルも開設。芸歴18年目を迎えた2人に、最近の活動を振り返ってもらった。

――1月21日の東京公演を皮切りに、単独ライブツアー『お前ら愛してるぜ』が始まります。2018年夏に全国で『ベストネタライブツアー 爆笑オンステージ』を行ったばかりで、なぜこんなに短いスパンでの開催になったのでしょうか?

大水 これまでは、1回単独をやると半年以上は何も考えたくないから結構空いちゃってたんですけど、今回はたまたま会場の空きが出たので、やることになりました。

飛永 去年の夏の時点で、1月にやることはもう決まってたよね。最初は企画ライブでお茶を濁そうかとも考えていたんですけど、「せっかくいい会場でやらせていただくので(東京公演は俳優座劇場)、ちゃんとしたものをやらないと」って思って、重い腰を上げました。

――では今(12月中旬)は準備の真っ最中ですね。いつもどんな感じでネタ合わせしてるんですか?

飛永 話してるうちに「あれって、どういう意味だっけ?」ってなって、お互いスマホで調べるときがあるじゃないですか。あのー、大水さん、ああいうときたまにゲームをいじっているのは、いまだにやってるんですか?

大水 あぁー……あるねぇ。

飛永 あるんですね。俺もある(笑)。

大水 俺が座る席はだいたい後ろが窓だから、「反射してないかな」って角度を気にするときはある。

飛永 お互い、同じスマホゲームをやってるんですよ。そのゲームが毎日15時に更新されるので、14時55分くらいになると、2人ともそわそわし始めます。

――その時間を避けてネタ合わせすればいいのでは……と思いますが、仲良しですね。ラバーガールさんの18年の大きな出来事といえば、YouTubeチャンネルの開設があると思います。なぜ始めたのですか?

飛永 去年のツアーはベストネタをやるものだったので、その映像を撮ってYouTubeに流せば一石二鳥じゃないか、と。そうしたら、YouTubeに漂っている、誰かが勝手に上げたネタ動画を駆逐できるんじゃないか、というのもありました。テレビの違法アップロードだと、番組の著作物なので、自分たちには消す権利がないんですよ。それに、東京03さんやサンドウィッチマンさんもオフィシャルチャンネルでネタ動画を上げているので、「そういう人たちがやってるなら我々も惜しみなく出していかないと」と思ったところはあります。

大水 今、そんなにネタ番組もないしね。こっちから見せていかないと。

飛永 僕ら、テレビと単独でネタが全然違うんです。「テレビでは見たことあるけど、ライブのネタは見たことがない」って人がいっぱいいるので、見てもらうチャンスでもあると思います。こんなに乖離してる人、ほかにいないんじゃないかな?

大水 あんまりいないと思いますね。テレビだと、「テンポがいいネタで」とか「そんなにぶっ飛んだ感じでなく」とか、いろいろオーダーがあって作ってる場合があるんですよ。

飛永 あるよね。「ニュースキャスターとリポーターみたいな設定で、緊迫した状況のネタで何か1本ないですか?」とかね。

――そんなに細かいオーダーがあるんですか!?

大水 番組によってはありますよ。

飛永 その通り作りますけど、自分たちのネタじゃない感じはしますよね。

大水 その番組ではそれが求められてるってことだから。ライブだったら好き勝手できるので、余計違う感じのネタが増えるのかもしれないですね。YouTubeチャンネルのコメントを見ると、「こういうネタもあるんだ」って書かれていることが結構あります。

――かなり若手の頃のネタもYouTubeに上げてますよね。昔のネタを見るのは気恥ずかしいという芸人さんもいますが、お2人はどうですか?

飛永 やっぱり昔のほうが尖ってるし、「最後の1ボケさえ面白ければいいや」って感じのネタは今見ると恥ずかしいですね。ちょっとエゴが過ぎるかなって。

大水 「そんな尖らなくていいよ」って言ってやりたいよね。それと、単純に「下手だな」って思う。もっと上手い人がやればおもしろいのになぁ、とか。

飛永 ただ難しいのが、昔のネタを今やると、上手くなっちゃってるから、あんまりウケないんですよ。当時は下手だから淡々と無表情にテンポ良くやってたんですけど、今は間を取ってツッコんだりボケたりしてるんで、同じ台本でやると超スベるんですよね。数年前のライブで、「最近やってないネタをやったら、ファンの人は笑ってくれるんじゃないか」と思ってやったら超スベりました。

大水 一昨年の年末ね。嫌な年の終わり方だったな。

――上手ければいいというものでもないんですね。

飛永 そうですね。それと、昔はどちらかというとツッコミでわからせる作りをしてたんですけど、今はボケをおもしろくしてるので、ツッコミが弱くはなってるんですよ。

大水 「なんでですか」とか「そういうことじゃないですね」とか、そういうツッコミばっかりになったね(笑)。

飛永 だから「昔のほうがよかった」っていう人もいます。でも、ある程度は経年変化を良しとしてもらわないとね。

大水 ずっと同じようには、やれないよね。プラスの変化としてとらえてほしい。

――そういう余裕というか、変化を感じるようになったのはいつ頃からですか?

大水 ここ3~4年くらいかなぁ……?

――ちょうど4年前の14年、『キングオブコント』の決勝に出られてますね。

飛永 その頃が、“みんなが思うラバーガール”の延長線上のMAXだったのかなって気はします。

大水 うん……?

飛永 いや、大水さんが引いてると僕しゃべれないから(笑)。

大水 ちょっと、“みんなが思うラバーガール”って恥ずかしいし、「なんだろう、それ」って……。

――(笑)。飛永さんとしてはどういう意味ですか?

飛永 「淡々としてる」とか「テンポがいい」とか言われていて、そのやり方の最高値が14年のKOCだったのかなって思うんですよ。それと同じことをやっても、以降の何年かは「はいはい、あれね」っていう空気が漂っていた感じがします。

大水 賞レースに関してはそうですね。あれが2回目の決勝進出で、以降は同じことをやっててももう無理だろうし、かといって賞レースの雰囲気に合わせたことをやるのも癪だし。だからここ数年は、「今年に1番面白いと思うことをやって、それでダメだったらしょうがないね」みたいに変わってきたかもしれないですね。

飛永 でもその「好きなこと」っていうのが、お客さん寄りになった感じはしないですか? そのへんはどうお考えですか?

大水 あぁ、それはそうね。自分のエゴじゃなくて、「喜んでもらうことが一番好き」みたいに変わってきたのかな。

飛永 全国ツアーもやって、最近は地方営業も増えていて、「こんなに待っててくれる人がいるんだ」「いろんな人に笑ってもらうのって素敵な仕事だな」って、去年すごく感じたんですよ。

大水 ……(笑)。

飛永 俺がそう言っていたら、大水さんとマネジャーがすごい引いてたんだよね。

大水 なんか、しみじみ「お客さんが笑ってくれるって、うれしいことだな」みたいなことを急に言うから、「何言ってんだ、こいつ」って。それは大前提の話だとずっと思ってたから、わざわざ改めて言うことでもないかな、って思った。

飛永 そうか……。とにかく、誰がどう見ても笑える笑いのほうがいいんじゃないかな、ってなってきたのかもしれないです。

大水 確かに、今やってるネタ作りでも、単独ライブの内容で全国を回るのは初めてだから、なるべく投げっぱなしにしないようなネタにしようとはしてますね。

飛永 いつもは単独だと「ちょっと変わったことやってみようかな」って考えるんですけど、今回はなるべくそれをなくして、何も考えずに笑えるネタを多くしようっていうのはありますね。

――今回のツアーは、北は北海道から南は福岡まで合計13カ所と、かなり細かく全国を回られますね。

飛永 北海道は初めてなので、どれくらいお客さんが入るかちょっと不安です。よくファンの方から「北海道には来てくれないんですか?」と言われるのでツアーに入れてみましたけど、これで入らなかったらもう行かないよね。

大水 北海道はライブをずっと続けていくと入るようになるらしいよ。愛着が湧くらしくて。

飛永 それは誰情報?

大水 (東京)03さん。

飛永 問題はさぁ、03さんよりうちらのほうが人懐っこくないじゃん。だから参考にならないかもしれない。「みんなに笑顔を届けたい」っていう気持ちはあるんですけど、なかなか表現が下手なもので……。

大水 去年、03さんのツアーの福岡公演を観に行ったんですよ。そしたら、グッズ買った人全員と握手してて。「◯◯を買った人」とかじゃなくて、なんでもいいから何か買った人全員だから、すごい人数なんですよ。たぶん1回の公演で500人以上と握手してるんじゃないかな。あれはちょっとびっくりした。

飛永 ちょうど僕らも全国ツアーの前半時期だったから、それを聞いて同じようにしたよね。03さんがそこまでやってるんだったら、僕らなんかそれ以上やらないと来ないよ。

――やっぱり03さんの影響は大きいんですね。そしてどうしても最後に聞いておきたいのですが、今回のツアータイトル『お前ら愛してるぜ』はどういう意図で……?

大水 やっぱり引っかかるか。

――そうですね(笑)。前回のツアータイトル「爆笑オンステージ」もネタなのか本気なのかわかりませんでしたが、今回もネットニュースで見たときに「なんで?」と思いました。2人とも言ったことがなさそうな言葉だな、と。

大水 20代のときはつけられなかったタイトルですね。歳とってきて、恥があんまりなくなってきたのかもしれない。さっきも話に出ましたけど、僕らってお客さんとの距離が遠いんですよ。ライブをやっても、勝手にこっちがネタやってるのをお客さんがちょっと離れたところで見てる、くらいの感覚。だからちょっと距離を詰めたいなって気持ちはありますね。

飛永 そうやって距離を詰めようとしてる自分たちが面白いっていうのもあるかもしれないです。わざわざあえて「尖ってないですよ」ってやってる自分たちにハマってるのかも。かっこいいタイトルつけるよりは反響もあるし。

大水 「楽しげだな」って思われればいいですね。

――お客さんとの距離が空いてしまった理由は、どう自己分析してますか?

大水 そんなにサービス精神がないのかもしれない。ネタ中に噛んだりミスったりしたのをいじって笑いにする人もいるけど、そういうことはしたくないという変な尖りがあって、その積み重ねが距離を生んでるんだと思います。例えば、事務所の身内ネタをちょっと入れたらお客さんは喜ぶだろうけど、「それは安いからやめておこう」みたいなことがうちらは多いと思うんだよね。

飛永 確かにね。お客さんいじりもできないし、アドリブも一切ないし。

大水 ライブでネタやって、すごいウケたから乗っちゃって尺が長くなるとか、一切ないよね。

飛永 ない、全然ない。そういう距離の詰め方ができるようになるには、もう何年か必要かもしれないですね。
(取材・文=斎藤岬/撮影=後藤秀二)

●ラバーガールLIVE『お前ら愛してるぜ』
詳細はこちらから
http://www.p-jinriki.com/info/rubbergirl/

東京ディズニーリゾート、障害者/ケガ人装う迷惑ゲスト……元キャストたちの怒りと本音

 昨年末、東京ディズニーリゾート(以下、TDR)で目撃されたという“車椅子ゲストの不正優遇疑惑”がネット上で物議を醸した。なんでも、ある男女2人組が、車椅子に“乗る側”“押す側”を入れ替えながら、パーク内で遊んでいたというのだ。

 TDRでは、障害のある人や、ケガなどで一時的に体の機能が低下している人に対するサポートサービスとして、「ゲストアシスタンスカード」を発行している。このカードを持っていると、例えば、アトラクションやグリーティングの列に並ぶことができない場合、列ではなく別の場所で待機できるという対応が取られるほか、耳に障害がある場合、音が聞えやすいスピーカー近くの席に案内してもらえるなどのサポートも受けられるという。全ての人に楽しんでもらいたいというTDRの思いが感じられる制度だが、これを不正に受けるために、障害者、もしくはケガ人などを装う人がいるのではないかと、以前から問題視されていたのだ。

 そんな中、TDRは、1月7日からゲストアシスタンスカードのルールを変更するとのことだが、実際に現場で働いているキャストは、今回のような不正優遇疑惑のゲストに、何を思うのか。それぞれ、ディズニーランド、シーのアトラクションで働いていたという元キャスト3人が集い、本音を語り合った。

ディズニーの“良心”を悪用する人たち

Aさん(以下、A) ゲストアシスタントカードのルールが変更になるそうで、正直、元キャストとしては「ようやくか!」という思いです。これまで、ゲストアシスタントカードの対象者は「身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の所持している方」もしくは「疾患、負傷などにより体の機能が低下している方(高齢者の方、妊婦の方を含む)」だったけれど、キャストが手帳の確認もしていなかったから、いくらでも嘘をつける状況でしたよね。今後は手帳の有無で、カードが分けられるそうです。

Bさん(以下、B) 7日からは、手帳を持っていて列に並ぶことができない人、手帳を持っていて列に並ぶことができる人、手帳を持っていない人の3つのカードに分かれるので、手帳チェックはマストになります。

Cさん(以下、C) どうして手帳を確認しないんだろうという疑問は、キャスト側にもありましたよね……。それがディズニーの良心だったかもしれませんけど。そもそも、ゲストアシスタントカードは、「待ち時間ゼロになる魔法のカード」のようなイメージですけど、名目上は、「待ち時間分、別の場所で待機していてください」「その間、ほかの施設は利用できません」というカードなんです。例えば、昼の12時にスプラッシュマウンテンに行って、そのとき60分待ちだとした場合、「60分後に再度来てください」と、カードに記入する……という。でも、待機時間中、ずっとキャストが監視しているわけではないので、例えば待ち時間ゼロのほかのアトラクションに乗ることもできてしまう。

B ネットで「障害者を装って不正優遇されてる」と騒がれていましたけど、TDRは“優遇”しているんじゃなくって、ゲストの方みんなが、同じように楽しんでほしいという思いなんですよ。だから、アトラクションに行っても、待ち時間ゼロですぐ乗れるわけではなく、待ち時間分ほかの場所で待機していてくださいということなんですよね。

A そうなんです。でも、いくら夢の国と言ったって、ゲストの中には、やましいことを考える人も大勢いますよ。そうだ、これまでは、同行者も同じように別の場所で待機というルールでしたけど、今後は、手帳を持っていない人の場合、同行者は列に並ぶことになるそうです。

C 公式サイトに、「列に並ぶことが困難な方ご本人に限り、待ち時間を列以外の場所で待つことが出来ます」と書かれてますよ。これで悪用する人が減らば万々歳という気持ちですが、実際問題、手帳は持っていないけれど、長時間並べない人にとっては、TDRで遊びにくくなってしまいますね。その点は心が痛いです。例えば、車椅子の親と小さい子どもの場合、子ども1人で列に並ばせるわけにはいきませんし……。

B 私がTDRで働く以前の話なんですけど、ゲストアシスタンスカードができた2000年当初は、待つことができないという障害を持つ人は、自己申告制で待ち時間ゼロになるという制度もあったみたいです。でも、悪用する人が増えて廃止されたそうで、そのときも、本当に困っている人にとっては納得いかなかっただろうなと思います。

B ぶっちゃけ、働いてるときに「あれ? この人怪しいな」「本当にケガしてる?」と疑ったことってありますか?

A ないですないです! 目の前で車椅子から降りて走り回ってたりしたら、そりゃあおかしいとは思うかもしれませんけど、私はそういう経験はなかったですね……。

C 私も、目で見て「おかしい」と感じることはなかったです。ただ、よく話には聞きましたよ。障害者ではないのに、障害者のフリをしたという話はさすがに一度もないですけど、例えば、「ほぼほぼ歩ける、完治直前のケガ」でも、車椅子を利用して、ゲストアシスタンスカードを使ったとか。

B TDRで働いてるっていうと、周りからそういう情報が集まりますよね(笑)。ケガの治りかけだったら、長時間歩くのはきついかもしれないけど、そもそもケガでも病気でもないのに車椅子を使う人もいると聞きました。

A 一部の人にとっては、ゲストアシスタンスカード=“闇の裏ワザ”みたいなものかもしれないですね……。ディズニーのホスピタリティって、実は諸刃の剣だなぁって思うことがあって、「ピクシーダスト」も悪用できてしまう。

C あ! わかります。ポップコーンやアイスをほとんど食べないまま落としてしまったとき、カストーディアル(お掃除キャスト)が新しいものと交換してもらえる券をくれるという。確かに、半分ほど食べたポップコーンをわざとこぼして、また新しいものをもらうという悪だくみをするゲストもいるかもしれません。

A もし私が、障害者やケガ人を装っているゲストを見つけたとしても、何と声をかければいいか迷ってしまうんですが、お二人はどうですか? 「本当に障害があるんですか?」「本当に骨折してるんですか?」なんて、絶対に聞けない……。

B 確かにキャストは、「ゲストに嫌な思いをさせてはいけない」と指導されますもんね。モヤモヤするけどスルーするしかない。

C 少なくとも、私が働いてた約10年前のマニュアルには、「ゲストアシスタンスカードを不正利用している人を見かけたら……」みたいな話は載ってなかったです。「ヤバい常連さんに気をつけましょう」という話はされましたけど(笑)。キャストにやたらしつこく絡んでくる常連には優しくしすぎないでとか。

A 不正利用疑惑のゲストに声をかけたとしても「大丈夫ですか?」くらいですかね、私は……。ゲストを叱るようなことはできないですもん。

C そうですよね。ゲストが、のぼっちゃいけないところにのぼっても、「ダメですよ」ではなく、「“安全のために”降りてくださいね」と、あくまでゲストがケガをしてはいけないからという体で声をかけるのが、TDRのキャスト(笑)。ゲストに「怒られた」「注意された」と思わせてはいけないんです。それに、そっちの方がゲストも聞いてくれますし。

B まぁ裏では、「あの子どもの親、いい加減にしろよ」とか言いまくってましたけど(笑)。そうだ、キャストって、TDRのおもてなしの基本理念「SCSE」を叩き込まれますよね。働いているとき、Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率)の優先順位で判断しましょうって。SCSEに照らし合わせて、「ゲストアシスタンスカードを不正利用」にどう対応すべきかと考えると……うーん、難しい。ベテランだったら、叱らず、かつ礼儀正しさを保ち、うまく対応できるかもしれませんが、不正利用は明らかに悪意があるだけに、やっぱりこの問題は、ルールを変えるのが正解だと思います。

A キャストにとっても、ルール変更はよかったですよね。モヤモヤすることも減るでしょうし。ただ、さっきCさんも言ってましたけど、手帳を持っていないけれど困っている人には、かなり酷なルール変更。ミッキーに、不正利用する人を改心させる魔法をかけてもらいたいくらいです。

4人に1人は持つ「子宮筋腫」と「ピル」の関係は? 眉唾情報の真偽を産婦人科医に聞く!

 40代女性の4人に1人は持つ「子宮筋腫」。子宮にできる「こぶ」であり、10センチ以上(赤ちゃんの頭程度)になる人も少なくない。不妊要因になったり貧血や重い生理痛を引き起こすこともあるが、「下腹が出ている以外問題なし」というケースも多く、手術するほどでは、とためらってしまう人も多いのがこの病気の難しいところだ。

 子宮筋腫は女性ホルモン「エストロゲン」で大きくなるとされる。日本産科婦人科学会ホームページでは「(執筆注:自然に体内から分泌されるよりは)女性ホルモン量の少ないピルを使うことで、筋腫が大きくならず、(執筆注:子宮筋腫の)症状も楽になることがあります」との記載もある。果たしてピルと子宮筋腫の関係とは? 子宮筋腫の手術で知られる四谷メディカルキューブ・子安保喜医師と、調布keijinkaiクリニック・瀧康紀医師に話を伺った。

低用量ピルなら、もともと体が出す女性ホルモンより量は減るが……

【四谷メディカルキューブ 子安保喜医師】

――ピルと子宮筋腫の関係について教えてください。

子安保喜医師(以下、子安) 子宮筋腫は女性ホルモン、エストロゲンで大きくなります。ピルにもエストロゲンが入っていますが、いわゆる「低用量ピル」は、自分の卵巣から出てくるエストロゲンに比べてみれば非常に量は少なくなります。そのため、ピルを服用すれば筋腫の大きくなるスピードを少し制限できる「かもしれない」という点はありますね。

――それでは、子宮筋腫のある人が、子宮筋腫の成長を抑えるためにピルを飲む、という方法についてはどうでしょうか。

子安 予防はできるかもしれませんが、当院ではそこまではしていません。理由は2つあり、まだ子宮筋腫の抑制をピルで抑えられると言えるほどの十分なエビデンス(証拠)がないというのが1点です。

 そして2点目は、ピルにも副作用があるという点です。特に血管をふさぐことのある「血栓」は致命的な影響を及ぼすこともあります。また、35歳以上の女性で喫煙している方は、血栓リスクが高まるのでピルを処方することができません。

 なお、子宮筋腫でなく、子宮内膜症(子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が、卵巣など子宮以外の場所で増殖する病気)の場合、ピルは保険適用になっていますね。ピルは排卵を抑えますので、子宮内膜の増殖を防ぐからです。

【調布keijinkaiクリニック 瀧康紀医師】

――ピルと子宮筋腫の関係について教えてください。

瀧康紀医師 ピルを飲むことで女性の体は妊娠中と同じ状態になります。月経が停止されますから、月経痛が重い、月経時の出血が多い、という人にはピルはいいのではないでしょうか。

 ただ「子宮筋腫の対処としてのピル」には欠点があります。まず低用量ピルの中にもエストロゲンが含まれていますから、このエストロゲンが子宮筋腫を大きくする可能性があるわけです。これがまず1つ目の欠点です。もう一つは低用量ピルにも副作用のリスクがあり、まず血栓のリスクがあります。また、ピルを服用すればタバコは吸えなくなります。

 ただ、ピルのいいところはやめれば元の体に戻るところです。 過多月経に関してはピルはいいと思いますが、大きな筋腫を小さくするためにピルを使うというのはありえないですね。そもそも、ピルにもエストロゲンが入っているのですから。

 子宮筋腫を小さくしたいのならば、ピルではなく、子宮筋腫の薬物療法で治療するリュープリンを利用します。リュープリンは「女性の体を疑似的に閉経後の状態にする」というもので、「女性の体を疑似的に妊娠の状態にする」低用量ピルとは異なります。

 閉経後はエストロゲンの分泌が大幅に抑えられますから筋腫は小さくなります。ただ、閉経状態になるので更年期障害の症状ともいえるホットフラッシュやイライラが出る人もいますし、人によってはうつ状態になる人もいます。動脈硬化も進み、骨のカルシウムも失われます。ですので、リュープリン治療は長期間できません。だいたい半年ですね。なお、子宮筋腫において、粘膜下筋腫の方の場合10~17%ぐらいはリュープリン治療を行うことで大量出血を起こす伴うケースもあるので、注意が必要です。

 ただリュープリンもピル同様にやめれば体は元に戻るのと、誰がやっても、どこでやっても同じ効果が出るというのは手術とは違ったメリットとも言えますね。

****
 子安医師、瀧医師ともに、「現状では(子宮筋腫の治療において)ピルは勧めるほどのものではない」という意見となっており、また、両医師ともにピルによる血栓のリスクを指摘されている。

 「子宮筋腫」は40代女性の3~4人に1人はなる非常にポピュラーな病気でありながら、まだ謎多き病気ともいえるのだ。サイゾーウーマンでは子宮筋腫特集として、子安医師、瀧医師に引き続き話を伺っていく。
(石徹白未亜)

4人に1人は持つ「子宮筋腫」と「ピル」の関係は? 眉唾情報の真偽を産婦人科医に聞く!

 40代女性の4人に1人は持つ「子宮筋腫」。子宮にできる「こぶ」であり、10センチ以上(赤ちゃんの頭程度)になる人も少なくない。不妊要因になったり貧血や重い生理痛を引き起こすこともあるが、「下腹が出ている以外問題なし」というケースも多く、手術するほどでは、とためらってしまう人も多いのがこの病気の難しいところだ。

 子宮筋腫は女性ホルモン「エストロゲン」で大きくなるとされる。日本産科婦人科学会ホームページでは「(執筆注:自然に体内から分泌されるよりは)女性ホルモン量の少ないピルを使うことで、筋腫が大きくならず、(執筆注:子宮筋腫の)症状も楽になることがあります」との記載もある。果たしてピルと子宮筋腫の関係とは? 子宮筋腫の手術で知られる四谷メディカルキューブ・子安保喜医師と、調布keijinkaiクリニック・瀧康紀医師に話を伺った。

低用量ピルなら、もともと体が出す女性ホルモンより量は減るが……

【四谷メディカルキューブ 子安保喜医師】

――ピルと子宮筋腫の関係について教えてください。

子安保喜医師(以下、子安) 子宮筋腫は女性ホルモン、エストロゲンで大きくなります。ピルにもエストロゲンが入っていますが、いわゆる「低用量ピル」は、自分の卵巣から出てくるエストロゲンに比べてみれば非常に量は少なくなります。そのため、ピルを服用すれば筋腫の大きくなるスピードを少し制限できる「かもしれない」という点はありますね。

――それでは、子宮筋腫のある人が、子宮筋腫の成長を抑えるためにピルを飲む、という方法についてはどうでしょうか。

子安 予防はできるかもしれませんが、当院ではそこまではしていません。理由は2つあり、まだ子宮筋腫の抑制をピルで抑えられると言えるほどの十分なエビデンス(証拠)がないというのが1点です。

 そして2点目は、ピルにも副作用があるという点です。特に血管をふさぐことのある「血栓」は致命的な影響を及ぼすこともあります。また、35歳以上の女性で喫煙している方は、血栓リスクが高まるのでピルを処方することができません。

 なお、子宮筋腫でなく、子宮内膜症(子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が、卵巣など子宮以外の場所で増殖する病気)の場合、ピルは保険適用になっていますね。ピルは排卵を抑えますので、子宮内膜の増殖を防ぐからです。

【調布keijinkaiクリニック 瀧康紀医師】

――ピルと子宮筋腫の関係について教えてください。

瀧康紀医師 ピルを飲むことで女性の体は妊娠中と同じ状態になります。月経が停止されますから、月経痛が重い、月経時の出血が多い、という人にはピルはいいのではないでしょうか。

 ただ「子宮筋腫の対処としてのピル」には欠点があります。まず低用量ピルの中にもエストロゲンが含まれていますから、このエストロゲンが子宮筋腫を大きくする可能性があるわけです。これがまず1つ目の欠点です。もう一つは低用量ピルにも副作用のリスクがあり、まず血栓のリスクがあります。また、ピルを服用すればタバコは吸えなくなります。

 ただ、ピルのいいところはやめれば元の体に戻るところです。 過多月経に関してはピルはいいと思いますが、大きな筋腫を小さくするためにピルを使うというのはありえないですね。そもそも、ピルにもエストロゲンが入っているのですから。

 子宮筋腫を小さくしたいのならば、ピルではなく、子宮筋腫の薬物療法で治療するリュープリンを利用します。リュープリンは「女性の体を疑似的に閉経後の状態にする」というもので、「女性の体を疑似的に妊娠の状態にする」低用量ピルとは異なります。

 閉経後はエストロゲンの分泌が大幅に抑えられますから筋腫は小さくなります。ただ、閉経状態になるので更年期障害の症状ともいえるホットフラッシュやイライラが出る人もいますし、人によってはうつ状態になる人もいます。動脈硬化も進み、骨のカルシウムも失われます。ですので、リュープリン治療は長期間できません。だいたい半年ですね。なお、子宮筋腫において、粘膜下筋腫の方の場合10~17%ぐらいはリュープリン治療を行うことで大量出血を起こす伴うケースもあるので、注意が必要です。

 ただリュープリンもピル同様にやめれば体は元に戻るのと、誰がやっても、どこでやっても同じ効果が出るというのは手術とは違ったメリットとも言えますね。

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 子安医師、瀧医師ともに、「現状では(子宮筋腫の治療において)ピルは勧めるほどのものではない」という意見となっており、また、両医師ともにピルによる血栓のリスクを指摘されている。

 「子宮筋腫」は40代女性の3~4人に1人はなる非常にポピュラーな病気でありながら、まだ謎多き病気ともいえるのだ。サイゾーウーマンでは子宮筋腫特集として、子安医師、瀧医師に引き続き話を伺っていく。
(石徹白未亜)

寝る時にベストなのはノーブラ・ノーパン? 「睡眠の迷信」の真相をプロが一刀両断!

 肌寒くなってくると、なかなか寝付けない夜を送っているという女性も少なくないのでは? 世の中にはさまざまな快眠法が伝わってるけど、何が正しいのかわからない…そんな悩める女性のために、数少ない「日本睡眠改善協議会認定・上級睡眠改善インストラクター」の資格を持つ安達直美さんに、「睡眠の迷信」の真相についてうかがいました。

■寝る時に最適な服装は?

 「快眠」と切っても切り離せないのが、睡眠時の服装、いわゆる「パジャマ」の問題。女子力高めのサテン地のパジャマを購入したものの、ラクさに負けて結局スウェットで寝ている女子も多いと思いますが、快眠にはスウェットが一番ですよね? 

「スウェットやジャージはラクで寝やすいと思われがちですが、意外とウエストゴムの締め付けが大きいんです。眠っている間、人間の体はいわば『エコモード』になっていて、内臓の代謝が落ちています。そこにゴムの締め付けによる臓器への圧迫があると、より活動が低下してしまうんです。夜間は体内で排便のための準備をする時間なので、締め付けがキツいと便秘の原因にもつながります」(安達さん、以下同)

 安達さんによると、パジャマ選びはとにかく「ユルさ」がポイント。締め付けが快眠を妨げるので、当然、ブラジャーやパンツにも注意が必要だそう。

「先ほどの締め付けによる理由と同様で、ブラもパンツもないほうが、体に負担はありません。着用する場合は、ナイトブラなどのできるだけ締め付けの少なそうなものを選びましょう」

 ではユルめに着れば、パジャマの素材はサテンでもベロアでもモコモコ系でもいいんでしょうか?

「一般的な評価ですが、天然素材で静電気が起きにくく、なによりも吸湿性の良さが抜群な綿100%のパジャマがオススメです。同じ綿100%でも、糸の形状や織りによってさまざまな生地がのものがあるので、季節によって選ぶと、なおいいですね。夏は強撚糸(薄手の生地を作るときに向いている滑らかな糸)を使ったものだと汗をかいても肌にくっつきにくいですし、冬場はワッフルのように立体的な織りの生地なら空気層がしっかりできて保温性も上がり、快適な睡眠を実現できます」

 見た目はさておき、ノーブラ・ノーパンで綿100%のユルめパジャマを着ることが、快眠のためには正解のようです。

 パジャマの正解が出たので、次は布団や枕などの寝具について。ベッド周りのアイテムは一度購入するとずっと使い続けてしまい、替え時を見失いがち。寝具によって睡眠の質が改善されることはわかっているけど、ついつい同じモノを使い続けてしまうのは、快眠的にも衛生的にもNGですよね?

「寝具の耐久年数は素材によって変わりますので一概には言えませんが、敷き布団やマットレスであれば、腰部にへたりがなく、弾力性が維持できていて、清潔に保てているなら問題なし。ただし、当然ながら人間は年齢とともに体つきが変わっていくものなので、起床時に体のどこかに違和感があれば替え時のサインです」

 なにより睡眠の質を左右するとよく言われる枕に関しては、何年も使い続けるなんてもってのほか!

「枕はどうしても経年劣化してしまうので、快適な高さや素材感を維持できるのは2〜5年程度。目が覚めたときに枕を使っていなかったり、手を枕の上に添えていたりするようなら、合わなくなってきた証拠です」

 さらに長年の使用による汚れやホコリ、ダニの発生がアレルギー性鼻炎や気管支炎、アレルギー性結膜炎などを引き起こす可能性もあるので、寝具はサイズ感や寝心地をチェックするだけでなく、定期的に買い替えを検討したほうがいいとのこと。

■掛け布団、靴下の重ねすぎはNG! 

 さらに「布団の重ねすぎも快眠にはNG!」だと安達さんは言います。

「布団の重ね掛けで重くなり、寝返りを妨げてしまうと、良い睡眠は得られません。スムーズに寝返りが打てないと、熱放散がうまくできず、寝汗をかくなど、睡眠環境が悪化してしまうのです」

 アチコチに寝返りを打ってしまうと「寝相が悪い」といわれ、一般的にはあまりポジティブに捉えられていません。しかし、寝返りは快眠のために重要な行為なのだそうです。

「寝返りには、睡眠に重要な3つの機能が備わっています。1つ目は、寝床内の温湿度調整。2つ目は体位を変えることで、局部的にかかる圧を解放する役割。そして3つ目は、レム睡眠とノンレム睡眠のスムーズな切り替えを行う役割です」

 重ねすぎNGなのは、掛けふとんだけではありません。

「就寝時に靴下の重ねばきをすることは、絶対にNGです」

 寒さが加速するこの時期、特に女性は足先の冷えに悩み、靴下を何枚も重ねばきしないと眠れないという方も多いはず。しかし、その重ねばきが快眠を妨げている可能性があるのだとか。

「ゆるくて無意識に脱げる靴下や、足先に穴が開いていて熱放散ができる靴下であればはいて寝てもOKですが、それ以外は基本的にNGです。深い眠りに入るためには手足から熱放散させて、体の深部の熱を下げることが大事なんです」

 この「体の深部の熱を下げる」というのが重要ポイント。なので、寝る直前の運動や、お風呂に入って体を温める行動も、場合によっては快眠を妨げる要素になってしまいます。

「就寝前なら、38〜39度程度の、ぬるめのお湯がおすすめですね。眠る30分くらい前までに体温を0.5度程度上げて、その後の放熱によって体温が低下することで、眠りの質が上がります。熱いお湯で体温を上げすぎると、体温がなかなか下がらず、かえって寝付きを悪くしてしまうんです」

 さらに寝る前の激しい運動は交感神経を刺激して、体と脳を活動方向に誘導するためNG! リラックスしながら、緊張をほぐす程度のヨガやストレッチにとどめるのがベストだそう。

 体温を上げすぎないのが安眠に良いことがわかったけど、どうしても体の末端が冷えて寝付けない……。そこで、布団に入ってから体が温まるまで、使い捨てカイロや湯たんぽを使うのはどうなんでしょう?

「湯たんぽは時間と共に少しずつ温度が下がっていくので睡眠を妨げず、快眠に導く良アイテム。適度な温度で、熱すぎない位置にセットすればOKです。電気毛布や使い捨てカイロは使い方に注意が必要です。一晩中ポカポカ状態が続くと、体温が下がらず、深く眠ることができません。また、低温やけどにも注意が必要ですね」

 パジャマに寝具に体温管理……いろいろ教えていただきましたが、それだけ快眠のために工夫する余地があるということ。まずはできることから始めてみて、寒い季節でもスッキリとした眠りを手に入れたいですね。
(藤野ゆり/清談社)

20代にも増加! 「プレ更年期」だと思ったら、どうすべき? 婦人科医に聞いた

 更年期と聞くと、40代、50代の女性に訪れる体のほてりやイライラなどの“不調”をイメージする人が多いはず。しかし近年、20〜30代の女性の身にも更年期に似た症状が起きる「プレ更年期」が増加しているという。「プレ更年期」とはいったい、どのような症状なのか、その原因についておおいウィメンズクリニックの大井隆照院長に聞いた。

■閉経はまだ先のはずなのに……更年期症状に悩まされる20代、30代女性たち

 まずは、一般的な更年期症状の特徴について知る必要があるだろう。本来の更年期症状は生理がなくなる、いわゆる“閉経”と深い関わりがあるというが……。

「更年期の期間は、閉経前後の5〜10年間、年齢にしておよそ45〜55歳を指します。そして、その年代の女性にみられる体の不調(不定愁訴)を更年期症状といいます。原因不明ののぼせや急な発汗、イライラなどが代表的な症状です」

 更年期症状のおもな原因は、卵巣機能の低下による女性ホルモンの急激な減少。それに加えて加齢に伴う身体的変化や、精神・心理的な要因など、さまざまな要素が複合的に影響するのが、更年期症状の特徴だとか。

「“プレ更年期”というものは医学用語ではないため、その定義は曖昧です。一般に、更年期よりも若い年齢で起きるのぼせやイライラなど、更年期症状に似たさまざまな不調を指しています。本来の更年期症状との違いは発症する年齢がひとつの基準にはなります。ただ、プレ更年期自体が医学的な定義があるものではないので、診断が出るわけではありません」

 更年期症状とプレ更年期の症状が類似している理由は「どちらもホルモンの変動や自律神経の乱れ、心や体へのストレスが原因になっているため」と、大井医師。

「とくにプレ更年期の場合、生理の周期に伴った女性ホルモンなどの生体内物質の変動や、その増減が関係していると考えられています。20代〜30代の女性は、卵巣機能そのものは健康だとしても、過激なダイエットをはじめ喫煙などの要因が、生理周期に伴った女性ホルモンの変動に悪影響を及ぼしていることもあります」

 そしてなにより、ハードワークや家庭と仕事の両立など、現代の「超ストレス社会」での生活も、プレ更年期に深く関わっているそう。

「精神的、身体的なストレスや食生活の乱れ、生活スタイルの乱れは自律神経のバランス、ひいては女性ホルモンのバランスを悪くします。自律神経には、体の各器官に働きかけて体調を最適な状態に保つ役割があるのですが、この自律神経の乱れがプレ更年期の原因になることもありますね」

 ホルモンの変動やストレス、自律神経の乱れなど、さまざまな要素が絡み合い発症するプレ更年期。誰しも発症する可能性があるものの、なかには「治療が必要な病気」が隠れているケースもあるという。

「プレ更年期の症状は、うつ病や不安障害などの精神疾患、甲状腺機能の異常や貧血などで、ほかの疾病にも似た症状が表れるため、油断は禁物です。人それぞれにプレ更年期の症状が異なるので、明確な診断を出すのが難しいのが実情です。しかし、医療機関に行き、治療が必要な病気が隠れていないかを確認するのはとても大切。それぞれの症状に応じた診療科を受診するか、婦人科や女性外来を受診すると間違いないかと思います」

 原因不明の体調不良や強い不安を感じているときには、その症状を医師に伝え、総合的に身体評価をしてもらい、適切なアドバイスを受けることは治療の第一歩となるそう。

「プレ更年期が疑われる場合の治療では、漢方薬の服用のほか、ホルモンバランスの変動が影響していれば、低用量ピルの服用が効果を表すこともあります。また、症状や不安を医師に傾聴してもらいアドバイスを受けるだけでも、精神的に安定して症状がやわらぐことがありますね」

 そして、プレ更年期の改善や予防には生活習慣の見直しがポイントだという。

「何より食事や睡眠をしっかり取り、適度な運動をして規則正しい生活を送るのが理想です。1日のうちでリラックスできる時間をつくり、ストレスの緩和を心がけましょう。また、信頼できる医師の診察を定期的に受けることもプレ更年期の予防につながります」

 体の不調はもちろん、精神的にも追い詰められるプレ更年期。ひとりで悩まず、少しでも不安を感じたときは医師に相談するのが得策のようだ。
(真島加代/清談社)

大井隆照(おおい・たかてる)
昭和大学医学部を卒業後、静岡済生会総合病院、国立がん研究センター中央病院を勤務後、平成28年、横浜市におおいウィメンズクリニックを開院。「地域に密着した医療」「トータルな診療」を心がける。
おおいウィメンズクリニック

20代にも増加! 「プレ更年期」だと思ったら、どうすべき? 婦人科医に聞いた

 更年期と聞くと、40代、50代の女性に訪れる体のほてりやイライラなどの“不調”をイメージする人が多いはず。しかし近年、20〜30代の女性の身にも更年期に似た症状が起きる「プレ更年期」が増加しているという。「プレ更年期」とはいったい、どのような症状なのか、その原因についておおいウィメンズクリニックの大井隆照院長に聞いた。

■閉経はまだ先のはずなのに……更年期症状に悩まされる20代、30代女性たち

 まずは、一般的な更年期症状の特徴について知る必要があるだろう。本来の更年期症状は生理がなくなる、いわゆる“閉経”と深い関わりがあるというが……。

「更年期の期間は、閉経前後の5〜10年間、年齢にしておよそ45〜55歳を指します。そして、その年代の女性にみられる体の不調(不定愁訴)を更年期症状といいます。原因不明ののぼせや急な発汗、イライラなどが代表的な症状です」

 更年期症状のおもな原因は、卵巣機能の低下による女性ホルモンの急激な減少。それに加えて加齢に伴う身体的変化や、精神・心理的な要因など、さまざまな要素が複合的に影響するのが、更年期症状の特徴だとか。

「“プレ更年期”というものは医学用語ではないため、その定義は曖昧です。一般に、更年期よりも若い年齢で起きるのぼせやイライラなど、更年期症状に似たさまざまな不調を指しています。本来の更年期症状との違いは発症する年齢がひとつの基準にはなります。ただ、プレ更年期自体が医学的な定義があるものではないので、診断が出るわけではありません」

 更年期症状とプレ更年期の症状が類似している理由は「どちらもホルモンの変動や自律神経の乱れ、心や体へのストレスが原因になっているため」と、大井医師。

「とくにプレ更年期の場合、生理の周期に伴った女性ホルモンなどの生体内物質の変動や、その増減が関係していると考えられています。20代〜30代の女性は、卵巣機能そのものは健康だとしても、過激なダイエットをはじめ喫煙などの要因が、生理周期に伴った女性ホルモンの変動に悪影響を及ぼしていることもあります」

 そしてなにより、ハードワークや家庭と仕事の両立など、現代の「超ストレス社会」での生活も、プレ更年期に深く関わっているそう。

「精神的、身体的なストレスや食生活の乱れ、生活スタイルの乱れは自律神経のバランス、ひいては女性ホルモンのバランスを悪くします。自律神経には、体の各器官に働きかけて体調を最適な状態に保つ役割があるのですが、この自律神経の乱れがプレ更年期の原因になることもありますね」

 ホルモンの変動やストレス、自律神経の乱れなど、さまざまな要素が絡み合い発症するプレ更年期。誰しも発症する可能性があるものの、なかには「治療が必要な病気」が隠れているケースもあるという。

「プレ更年期の症状は、うつ病や不安障害などの精神疾患、甲状腺機能の異常や貧血などで、ほかの疾病にも似た症状が表れるため、油断は禁物です。人それぞれにプレ更年期の症状が異なるので、明確な診断を出すのが難しいのが実情です。しかし、医療機関に行き、治療が必要な病気が隠れていないかを確認するのはとても大切。それぞれの症状に応じた診療科を受診するか、婦人科や女性外来を受診すると間違いないかと思います」

 原因不明の体調不良や強い不安を感じているときには、その症状を医師に伝え、総合的に身体評価をしてもらい、適切なアドバイスを受けることは治療の第一歩となるそう。

「プレ更年期が疑われる場合の治療では、漢方薬の服用のほか、ホルモンバランスの変動が影響していれば、低用量ピルの服用が効果を表すこともあります。また、症状や不安を医師に傾聴してもらいアドバイスを受けるだけでも、精神的に安定して症状がやわらぐことがありますね」

 そして、プレ更年期の改善や予防には生活習慣の見直しがポイントだという。

「何より食事や睡眠をしっかり取り、適度な運動をして規則正しい生活を送るのが理想です。1日のうちでリラックスできる時間をつくり、ストレスの緩和を心がけましょう。また、信頼できる医師の診察を定期的に受けることもプレ更年期の予防につながります」

 体の不調はもちろん、精神的にも追い詰められるプレ更年期。ひとりで悩まず、少しでも不安を感じたときは医師に相談するのが得策のようだ。
(真島加代/清談社)

大井隆照(おおい・たかてる)
昭和大学医学部を卒業後、静岡済生会総合病院、国立がん研究センター中央病院を勤務後、平成28年、横浜市におおいウィメンズクリニックを開院。「地域に密着した医療」「トータルな診療」を心がける。
おおいウィメンズクリニック

King&Prince・平野紫耀、“天然キャラ”は本物かビジネスか? 専門家がタブーに斬り込む!!

 次世代のジャニーズを担うとの呼び声高いKing&Prince。今年5月のCDデビューをきっかけに、メンバーはそれぞれに目覚ましい活躍を見せているが、中でも高い注目を浴びているのが平野紫耀だ。「“マジ卍”の卍(まんじ)が地図記号だと最近初めて知った」「エイプリルフールをエリンギプールだと思っていた」などの発言や、オーバーすぎるリアクションで、バラエティ番組でも芸人顔負けの笑いを巻き起こしており、世間では「天然すぎる!」「かわいいし面白い」と大人気。とはいえ、「21歳にもなる大人が、本当にそんな間違え方をするものか?」「ビジネス天然キャラなのではないか?」と、疑惑を抱く者も少なくない。

 そこで、パフォーマンス心理学の博士である、ハリウッド大学院大学教授・佐藤綾子先生に、平野の天然キャラがホンモノかビジネスか、ジャッジしていただいた。

平野の天然キャラは「演技です」

 平野の天然発言の数々を見た佐藤先生の見解は、「演技ですね。ただ、頭のいい人がバカなフリをするのとも違うので、演技の比率は6割で、4割は本当の天然だと思います」とのことだった。

 その根拠として、「普通では連想できないような間違え方をしたり、話を振られたときに全身で反応したり、感情を過度に表情に表したりと、平野さんは不自然な言動が多い。リアクション面でいうと、驚いたときに飛び跳ねて床に転がるなんてシーンもありましたが、普通驚いただけではそこまでいかないはず。以前、関ジャニ∞の番組で、目の前の風船が突然割れたときの反応から、『誰が一番ビビりか?』を診断したことがあるのですが、皆さん、後ずさりしたり、目をつむっていたくらいで、倒れ込んだ人は1人もいませんでしたよ」と語る。

 佐藤先生の解説によれば、間違えは誰にでもあるが、「たいていは元の事象から間違いを連想できる範囲内」とのこと。例えば「ダンスホール」→「ダンボール」など、パッと見が似ているものを見間違える程度だというが、平野の場合は、「エイプリルフール」という世に広く知られた事柄を、文字面的にもそこまで似ていない「エリンギプール」と勘違いし続けていたなど、にわかには信じがたい間違え方をしている。そのようなことから、「演技の比率が高い」とのジャッジに至ったようだ。

 そんな平野を、佐藤先生は“3オーバー”であると指摘する。

「平野さんは、オーバーリアクション、オーバー表情、そしてオーバー連想と、3つのオーバーが見受けられます。これほど“オーバー”が揃っている人は稀有ですね(笑)。普通は、突拍子もない間違えやリアクションなどをすると、恥をかいて終わり。でも、彼の場合はそれが仕事であり、お金に変わるので、演技をしてでも3オーバーで笑いを取っているのだと思います」

 突然振られた話題で、即座にオーバーな返しの演技ができるのは、平野の努力の賜物なのだろうか。

「恐らく、ずいぶん昔に『どうしたらみんなが笑ってくれるか』を考えていた時期があったと思います。それで、奇想天外なことを言えばいいとわかり、そればかりをやり続けてきた結果、今はボタンを押せば出てくるかのように、咄嗟にオーバーな演技が自然とできるようになったのではないでしょうか。もしかしたら、演技ではなく、4割ある天然の部分で返しているときもあるかもしれませんが(笑)」

平野の笑いは時代に求められている

 パフォーマンス学の観点から、演技色が強いとのジャッジが下った平野の天然キャラ。佐藤先生は、そんな平野が生む笑いを「今の時代に求められる」という。一体どういうことなのか。

「『笑い』には3つのパターンがあります。1つは『考え落ち』『まわり落ち』といわれる高級な笑い。これは、よく考えないとその面白みに気づけない笑いで、笑わせる方も笑う方も頭を使います。落語などによく使われる手法で、特に中高年の方が好む笑いです。2つ目は『自虐ネタ』や『あるあるネタ』の笑い。多くの人が共感できる話題で笑いを取るため、笑わせる方は頭を使わないと話せませんが、笑う方は一瞬考えるだけで笑えてしまう。綾小路きみまろさんの小話を思浮かべていただけば、わかりやすいと思います。3つ目は『優越感を抱かせる笑い』という、笑わす方も笑う方もコンマ1秒も考える必要がない、学びはないけど疲れない笑いです」

 佐藤先生は、平野の笑いをこの3つ目のタイプと分析する。

「例えば『卍が地図記号だと知らなかった』という発言ひとつとっても、見ている側は『小学生でも知ってるよ』『バカだなぁ』と、優越感に浸りながら何も考えずに笑うことができるんです。そして、今までの歴史を振り返ってみると、閉塞感に満ち溢れている時代には、このような奇想天外な笑いが求められる傾向にあります」

 かの有名な喜劇王チャールズ・チャップリンが監督・脚本・主演を務めた映画『独裁者』。アドルフ・ヒトラーの独裁政治をモチーフにした動作の“笑い”は、当時の閉塞した時代背景あってこそのものだという。

「チャップリンの笑いには、時代に対する反骨精神、いわゆる“イズム”があります。いつ自分の命が取られるかわからないような閉塞感の中だけに、チャップリンのようなレジスタンティズムのある笑いが、一瞬でも気持ちを休め、ヒトラーに仕返しができたような愉快な気持ちにもなれるとして、ウケたのです」

 現代は、長期に渡る安倍政権や目前に迫った消費増税、諸外国からさらされている脅威など、閉塞的な状況が続いている。また、個人で見ても、貧富の差などの格差があったり、技術の進歩や外国人労働法が通過したことによって「AIや外国人に職を奪われるかもしれない」という先々への不安があったりと、やはり閉塞気味だ。

「命を取られるほどではないため、チャップリンのように、イズムがあったり、命がけで笑わせてくれたりするような笑いまでは求めていないけれど、閉塞感から、束の間開放されるような、パッと笑える笑いがほしい……。現代の人たちはそう感じているのでしょう。だから、何も考えずに笑える、平野さんの“3オーバーな笑い”がぴったりなんです」 

 さらに佐藤先生は、「人に優越感を与えるという平野さんの笑いは、計算されていると思います」と語る。21歳という若さ、そして、平野のキャラクターに“3オーバー”が合わさることで、相手は優越感を抱くと共に、可愛がったりいじったりしたくなる。それが人気の一端を担っていることを平野自身が理解しているからこそ、笑いを生む演技ができているのではないかというのだ。 

「おそらく24~25歳くらいまでは今のままで人気を維持できるでしょう。それ以降、平野さんのセカンドステージがどのような方向性になるのかは、そのときの社会と本人の意識によって変わってくるでしょうね」

 ジャニーズでありながら、見る者に優越感を与える笑いを届けられるのは、“サービス精神が旺盛”とも言える。今後も平野には、とことん演技をして、ボケまくり、さらなる人気を博してほしいものだ。

イーストウッド88歳の主演&監督作『運び屋』ほか、2019年注目すべきメジャー洋画を一気に紹介!!

 あけましておめでとうございます。お正月休みには、たっぷり映画を楽しみたいという方が多いのではないでしょうか。そんな映画好きなみなさんへ、2019年注目のメジャー洋画をどどんとご紹介したいと思います。2月24日(現地時間)に開催されるアカデミー賞授賞式に向けて、米国ではノミネートが有力視される話題作が年末に続々と公開されました。ちなみにノミネート発表は1月22日になります。WOWOWの映画情報番組『週刊ハリウッドエクスプレス』(毎週土曜朝11:30~)の飯塚克味ディレクターに、賞レースに絡んでいる注目作、気になる話題作について語ってもらいました。

──番組の収録・編集で忙しいところ、すみません。ハリウッドの最新情報に詳しい飯塚ディレクターに、日本でも話題になりそうなオススメ作品を教えてもらえればと思います。

飯塚克味(以下、飯塚) 仕事に追われてなかなか本編を観ることができずにいるんですが、僕で話せる範囲でよかったら(笑)。アカデミー賞ノミネート間違いないのは、日本でも公開が始まったレディー・ガガ主演作『アリー/スター誕生』ですね。米国では初週1位にはなれなかったものの、高いアベレージで動員を続け、米国内だけで興収2億ドルを超えています。レディー・ガガはテレビドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー:ホテル』(16)でゴールデングローブ賞テレビドラマ部門女優賞をすでに受賞していますが、ネームバリューのある彼女ならアカデミー賞にノミネートされるだけで大変なニュースになるでしょう。

──監督を兼任しているブラッドリー・クーパーも、ステージシーンでがんばっていますね。

飯塚 ブラッドリー・クーパーはもともと監督志望だったけれど、『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(09)でブレイクし、イケメン俳優として有名になってしまった人です。ロン・ハワードと境遇が似ていますね。ロン・ハワードも『アメリカン・グラフィティ』(73)などに俳優として出ていたんですが、“B級映画の帝王”ロジャー・コーマンのお陰で『バニシングIN TURBO』(77)を主演と兼ねる形で監督させてもらった。多分、ブラッドリー・クーパーも出演を兼ねることを条件に、監督をやらせてもらったんじゃないかと思います。『スター誕生』というタイトルですが、実は『スター没落』でもあるんです。女は輝き、手を貸した男は逆に落ち目になっていく。なぜか米国人はこの物語が大好きで、映画化されるのは『栄光のハリウッド』(32)も含めると今回で5度目なんです。

■今年の賞レースの大本命はこれだ!!

──KKKに潜入捜査する黒人刑事を主人公にした実録映画『ブラック・クランズマン』は賞レースで本命視されていますね。

飯塚 スパイク・リー監督はここ何本か日本での劇場未公開が続きましたが、『ブラック・クランズマン』は期待できそうです。2016年のアカデミー賞で白人俳優ばかりがノミネートされていたことを、スパイク・リーはツイッター上で批判し、翌年はアメリカンアフリカ系の俳優たちが大挙ノミネートされました。彼の発言の影響が大きかったと思います。今年のアカデミー賞はさらにすごいことになりそうです。スパイク・リーはパームスプリングス国際映画祭で生涯功労賞を受賞することが決まっており、アカデミー会員たちも彼のことを無視できないはず。また、2018年はライアン・クーグラー監督の『ブラックパンサー』が全米で7億ドルという驚異的な大ヒットを記録しました。単なるヒーローアクションものと思われがちな『ブラックパンサー』ですが、アフリカ系アメリカ人映画批評家協会の最優秀作品賞に選ばれるなど、賞レースにも絡んでいます。主人公が最後にスピーチする「愚か者は壁を作るが、賢き者は橋を架ける」という台詞は、米国人の胸に刺さったようです。『ブラックパンサー』は日本で考えられている以上に、米国では大きな作品となっています。アフリカ系の監督や俳優たちが今年のアカデミー賞を席巻しそうです。

──人種差別を題材にした『グリーン ブック』もアカデミー賞で有力視されています。監督のピーター・ファレリーって、もしかして……。

飯塚 そうです、ファレリー兄弟のお兄ちゃんのほうです(笑)。まさか『ジム・キャリーはMr.ダマー』(94)を撮った監督がアカデミー賞の有力候補になるなんて、誰も考えなかったでしょう。同姓同名の別人かと思いますよね(笑)。人種差別が残っていた1960年代の物語ですが、ピーター・ファレリーの笑いのセンスはそう変わってないんじゃないかなぁ。でもヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリといった演技派俳優が出演しているので、ピーター・ファレリーも彼らとコミュニケーションを図りながら、バランスの取れた作品になっていると思います。米国では11月末に公開され、興収的にはまだまだな感じですが、アカデミー賞にノミネートされたら大きく伸びるでしょうね。

 

■イーストウッドとアカデミー賞との関係

──製作費6,000万ドルを投じた大作『ファースト・マン』(日本では2月8日公開)は、米国での興収は奮わなかったようですね。

飯塚 『ラ・ラ・ランド』(16)のデイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ注目作ですが、ゴールデングローブ賞では助演女優賞と作曲賞の2部門にノミネートされただけでした。月面に初めて立った英雄ニール・アームストロング船長の伝記映画に対し、アカデミー賞がどう対応するのか気になるところです。宇宙飛行士たちを主人公にした実録ものといえば、名作『ライトスタッフ』(83)があるので、どうしても比較してしまいますよね。配給のユニバーサルは作品内容には自信を持っているらしく、日本での試写はIMAXシアターで行なっています。アカデミー賞の結果次第では、日本で化ける可能性のある作品だと思います。

──クリント・イーストウッドの主演&監督作『運び屋』が公開されるのも2019年の大きなニュース。

飯塚 88歳になるイーストウッドが、実在した麻薬の運び屋を演じるという大注目作です。米国では年末に公開され、イーストウッド主演作としては歴代2位、監督作としては3位という好スタートを切っています。個人的にも、とても楽しみにしている作品ですが、これはアカデミー賞には絡まないんじゃないかと思います。『ミリオンダラー・ベイビー』(04)で作品賞・監督賞などを受賞して以降、アカデミー賞ではイーストウッド作品は選考の対象から外れています。イーストウッドほどの存在になると、アカデミー賞にノミネートされましたが受賞はできませんでした……というわけにはいきませんからね(笑)。今では誰もが名監督・名優として認めるイーストウッドですが、かつてはオラウータンと共演した『ダーティファイター』(78)や続編『ダーティファイター 燃えよ鉄拳』(80)なんて、おかしな映画に主演しています。それもまた、彼の魅力。イーストウッド映画を観て育った世代には、『運び屋』は見逃せません。

■大ヒット作『ボヘラプ』の監督はどうなった?

──ジェームズ・キャメロン製作の『アリータ:バトル・エンジェル』は正月映画として世界公開される予定だったのが、2月22日(金)に公開延期。日本のSF漫画『銃夢』が原作ですが、仕上がりが心配です。

飯塚 予告編の公開以降、ヒロインの眼の大きさばかりが話題になっています。いくらヒロインがアクロバティックな動きを見せても、「アニメでしょ」と思われてしまいますよね。ロバート・ロドリゲス監督がこちらの想像を上回るサプライズを用意していることを期待しましょう(笑)。米国では『アリータ』の正月公開が間に合わなかったことで、20世紀フォックスが『デッドプール2』をR指定からPG13に再編集したものを急遽上映するなど、対応に苦慮したようです。日本では『ボヘミアン・ラプソディ』が大ヒットしているので、逆にお正月のスクリーンが空いてラッキーでした。『ボヘラプ』の日本での熱狂ぶりはすごく、日本での興収75億円を射程距離に置いています。世界的に見ても、日本での『ボヘラプ』人気はすごいことになっています。

──日本で大絶賛されている『ボヘラプ』ですが、ブライアン・シンガー監督について触れたニュースはあまり聞かないんですが……。

飯塚 ブライアン・シンガーは監督としてクレジットは残っていますが、撮影途中で降板して、俳優でもあるデクスター・フレッチャーが残り2週間分を撮って完成させています。トラブルを起こしたブライアン・シンガーは、ディズニー配給になる『X-MEN』シリーズからも外されるでしょう。ディズニーはゴシップを嫌いますから。ディズニーといえば、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14)のジェームズ・ガン監督を過去のツイッター上の暴言を理由に、『ガーディアンズ』シリーズから降板させたことも話題になりました。マーベルユニバースである『ガーディアンズ』を降ろされたジェームズ・ガンですが、ライバルであるDCコミックの『スーサイド・スクワット』(16)の続編の脚本に起用され、監督も務めることになりそうです。まるで笑い話のようですが、『ガーディアンズ』のキャストの中には『スーサイド・スクワッド』に出たがっているジェームズ・ガン支持派が少なくないようですね。転んでもただでは起きないところは、さすがジェームズ・ガンです(笑)。

 

■ハリウッドの新トレンドは、Jホラーの影響?

──ダリオ・アルジェント監督が撮ったカルトホラー『サスペリア』(77)のリメイク版が、日本では1月25日(金)から公開されます。これって米国では劇場公開されたんでしょうか?

飯塚 『君の名前で僕を呼んで』(17)のルカ・グァダニーノ監督がリメイクした『サスペリア』はAmazonが出資した作品で、米国では2018年10月に限定公開されただけです。銀座シネパトスでひっそり上映されたみたいな感じですね(笑)。ホラーファンにとっては特別な作品なので、ひょっとしたら興収トップ10に入るかなと思っていたんですが、いかせん公開劇場数が少なすぎました。配信を前提に製作された作品なので、仕方ないのかもしれません。今後は劇場公開はなくて配信のみ、パッケージ化もされないという洋画が増えてくるかもしれません。日本にはオリジナル版『サスペリア』の熱狂的なファンが多いので、劇場公開で盛り上がってほしいですね。

──米国では『イット・フォローズ』(14)、『ドント・ブリーズ』(16)『ゲット・アウト』(17)など新感覚のホラー作品が人気を集めています。

飯塚 ホラーとサスペンスの中間みたいな作品が米国では当たっていますね。日本では11月に公開された『ヘレディタリー/継承』も、新しいタイプのホラーとしてかなり話題を集めました。『イット・フォローズ』や『ドント・ブリーズ』は出来がよかったし、『ゲット・アウト』は大ヒットし、アカデミー賞脚本賞まで受賞しています。ホラーなどのジャンル映画を低く見ていた認識が、米国人の中でもずいぶん変わってきているようです。

──不条理な物語『イット・フォローズ』などは、Jホラー映画の進化形のような印象を受けました。

飯塚 Jホラーの影響は確実にあるでしょう。Jホラーが種を蒔いて、海外で予想以上に大きな花を咲かせているような感じがしますよね。Jホラーブームの発火点となった鶴田法男監督は、現在は中国で撮った新作が公開待機中だそうです。内容はまだ明かせないそうですが、鶴田監督が恋愛ドラマを撮るとは思えないので、ホラーファンは期待しますよね(笑)。鶴田監督だけでなく、中国資本で映画を撮るホラー系の日本の監督はけっこういるようです。ホラー出身監督といえば、ジェームズ・ワン監督の『アクアマン』が日本では2月8日(金)に公開されます。低予算ホラー『ソウ』(04)でデビューしたワン監督が、『ワイルド・スピードSKY MISSION』(15)を経て、大作『アクアマン』を撮るなんて、感無量です。ワン監督がプロデュースしている『死霊館』『インシディアス』シリーズも面白さをキープしているので、『アクアマン』の出来映えも楽しみです。

 

■ホームシアター派に推したいSF官能ホラー

──オススメ映画はまだまだありそうですね。

飯塚 アカデミー賞絡みで挙げるなら、ヨルゴス・ランティモス監督のコスチュームもの『女王陛下のお気に入り』(日本では2月15日公開)もノミネートは固いでしょう。賞レース以外では、『トランスフォーマー』シリーズの最新作『バンブルビー』(日本では3月22日公開)が面白そうです。『トランスフォーマー』はシリーズが進むにつれてごちゃごちゃしてきましたが、これは少女とバンブルビーとのシンプルな友情ものなので、予告編を観た限りでは期待できそうです。ヒロイン役のヘイリー・スタインフィルドは作品選びがうまいので、脚本もきちんとしているんじゃないかと思います。『バンブルビー』にも出演しているジョン・シナ主演のコメディ『Blockers(原題)』は米国ではヒットしたんですが、日本での配給が決まっていないのが残念です。ハリウッド作品ではありませんが、僕が個人的に推しているのがスペイン・アルゼンチン合作映画『家(うち)へ帰ろう』。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭コンペ部門の一次審査員をしている関係で毎年100本ほど海外からの応募作品を観ていますが、2018年の観客賞を受賞した『家へ帰ろう』は素晴しい作品です。日本では12月22日から公開が始まったばかりなので、劇場で感動体験をしたい方はぜひ足を運んでみてください。

──週刊誌「SPA!」(扶桑社)で「飯塚克味のボーナス・エイゾーに乾杯!」を連載されていた飯塚さんですが、最近のオススメのパッケージものは?

飯塚 11月にキングレコードからブルーレイとしてリリースされた『スペースバンパイア〈最終版〉』の特典インタビューがよかったですね。バンパイア役のマチルダ・メイの堂々としたヌード姿が強烈だった『スペースバンパイア』(85)ですが、本人へのインタビューによると当時のマチルダ・メイは脱ぐことは納得していたものの、どんな役か説明されないままカメラの前に立たされたそうなんです。そのことを恥じらいながら語る表情がいいんですよ(笑)。WOWOWの『週刊ハリウッドエクスプレス』の年明けは1月12日(土)午前10時30分、いつもよりちょっと早く始まるので、こちらもよろしくお願いします。
(取材・文=長野辰次)

●飯塚克味(いいづか・かつみ)
千葉県出身、日大芸術学部卒業。フリーの映像ディレクターとして、WOWOWの映画情報番組『週刊ハリウッドエクスプレス』の演出などを担当。映像ソフトライターとして「DVD&動画配信でーた」(KADOKAWA)などでも執筆中。

絵本/児童書の“萌え絵”論争はなぜ白熱する? 「萌え絵」「マンガ絵」のボーダーを考える

 「絵本/児童書に“萌え絵”を使用するのは是か非か」――そんな論争が、ネット上で巻き起こって久しい。「人に萌えを感じさせる絵」を意味するという萌え絵は、人に性的なイメージを連想させるケースもあるだけに、「子ども向けの本にはふさわしくない」とする意見が出ているのだ。しかしその一方で、「『萌え絵』として問題視されている絵は、子どもに好かれそうな少女マンガ絵ではないか?」「萌え絵とマンガ絵の違いを把握できていない人がいる」といった指摘も。

 そんな中、絵本/児童書の萌え絵論争において、例に挙げられることが多い「せかいめいさくアニメえほん」シリーズを出版する河出書房新社が11月、公式Twitterに見解を発表。「絵本萌え絵論争が囂しいですが、弊社の『せかいめいさくアニメえほん』は作家さんたちに『萌え絵を描いてください』とお願いしたものではなく『子ども自身が飛びつく絵を』という発注のため『なぜ萌え絵にしたのか』としきりと質問され困惑、担当者も何度説明しても理解してもらえず苦慮しています」とつづり、「そもそも萌え絵ではない」ことを断言したのだ。

 では、「萌え絵」と「少女マンガ絵」もしくは「子どもが飛びつく絵」には、具体的にどのような違いがあるのだろうか。河出書房新社に問い合わせを行ったところ、残念ながら「回答しかねる」との返事だったが、この違いを明確にすることにより、最近の「絵本/児童書」に対する見方が変わる人もいるかもしれない。そこで今回、京都精華大学マンガ学部マンガ学科キャラクターデザインコースで教鞭を振るう、ときまつさなえ氏に取材を行った。小学館「ちゃお」、講談社「なかよし」、芳文社「まんがタイムファミリー」等でのマンガ連載のほか、東京書籍「小学生理科」教科書のイラスト、絵本『いたずらさるの子』などの絵を担当している、ときまつ氏の目に、萌え絵はどう映るのだろうか。

 まず、ときまつ氏は、「『せかいめいさくアニメえほん』シリーズの絵は、萌え絵ではなく『子ども自身が飛びつく絵』」とする河出書房新社の主張について、「その通りだと思います」と見解を述べる。

「同シリーズの絵は、今のマンガ、特に少女マンガの絵。現在は、少年マンガに登場する少女キャラクターも、ああいった絵です。萌えキャラと少女マンガのキャラクターというのは、見た目は確かに似ていますが、まったくもって違うものだと言えます」

 ときまつ氏は、「萌えキャラ」と「少女マンガのキャラ」のあり方を踏まえた上で、萌え絵と少女マンガ絵の違いについて持論を展開する。

「少女マンガのキャラクターは、主な読み手である女性が感情移入できるキャラ。一方で、萌えキャラは、女性より主に大人の男性を興奮させるように作られています。絵的に見ると、少女マンガのキャラと萌えキャラは、顔は同じなのですが、首から下のスタイルやファッションを見るとまったく違うことがわかります。少女マンガのキャラは、ストーリーに沿ったスタイル/ファッションをしていて、たとえ恋愛マンガの主人公でも、好きな男性に対し、可愛らしさや恥じらいは見せますが、『私は胸が大きいのよ!』とアピールするようなスタイル/ファッションで、色気をちらつかせることは基本的にありません。一方で萌えキャラは、ストーリーに沿っているというより、色気を見せることを目的とするスタイル/ファッションをしているのです。例えば、胸が大きかったり、“見えそうで見えない”胸元の開いた服やミニスカートを着用しています」

 当然、少女マンガのキャラがミニスカートをはいているケースもあるが、「でもそれは、『パンツを見せるため』のものではないということです」。

「マンガは1つの作品として売るものですが、萌えキャラはそのキャラ自身を売るもの。その違いでしょう。今回、京都精華大学の学生に、萌えキャラや萌え絵についてどう感じるか、アンケート調査を取ったのですが、女子学生の中には、萌えキャラや萌え絵を『男性に媚びている』『可愛いと思うけど、好きじゃない』とする人も少なくありませんでした」

 ときまつ氏の話によると、萌え絵と少女マンガ絵の違いは、首から下を見ることで“区別”できそうだ。しかし、萌えキャラや萌え絵自体をどう“定義するか”について学生に聞いてみたところ、「答えはない」という結論に至ったとのこと。

「男女ともに、萌えキャラは、ツインテールや巨乳が“定番”とする意見は多かったです。確かにツインテールは、動きを与えることで色気を出しやすい髪形で、かつ可愛らしさもある。それから『顔は童顔だけど体は大人』とする意見もありましたね。ただ、男子学生の中には『自分が可愛いと思うキャラ』『グッズがあったらほしいと思うキャラ』『もしこの子が現実世界に人間として存在したら、付き合いたいと思うキャラ』こそが萌えキャラとする意見も目立っていたんです。これは結局、『その人自身がどう取るか』『いやらしく受け取るか、受け取らないか』によって変わるものなので、萌えキャラや萌え絵の定義に答えはないのではないでしょうか。そうすると、子ども向けの絵本や児童書に『萌え絵が使われている』と捉える人がいること、またそれを否定的に見る人が出てくることも、おかしい話ではありません」

 ときまつ氏は、子ども時代から少女マンガが好きで、大人になってからも、よく読むという人には、河出の「せかいめいさくアニメえほん」シリーズの絵も、抵抗なく受け入れられるのではというが、「あまりマンガを読まない人、マンガが嫌いな人、そもそもマンガを“作品”として捉えていない人からすると、萌え絵と少女マンガ絵が同じに見えるかもしれない」と指摘する。

「そういった方たちには、ぜひ萌え絵が使われていると思う絵本/児童書を、作品としてちゃんと読んでほしいと思います。果たして大人の男性がこれを読んで、性的興奮を覚えるのか……私はそんなことはないと思いますよ」

 そもそも、萌え絵という以前に、マンガ絵が絵本/児童書に使われること自体が嫌だという人もいるだろう。ネット上では、マンガ絵の絵本/児童書について、「表情が豊かすぎて、子どもの想像力が育たない」「フラットな絵の方が合っている」とする声もある。ときまつ氏は、いまや誰もが認める子どもたちのアイドル・アンパンマンも、絵本として初めて世に出た1970年代、「あれは童話ではない、絵本ではないと、ボロクソに叩かれていた」という事例を教えてくれた。

「子どもたちは先入観なしに、アンパンマンというキャラクターを『かっこいい』『可愛い』と受け入れていましたが、当初は『マンガ絵だから』という理由により、絵本作家の間で批判されていたんです。当時、マンガは『読むと頭が悪くなる』『目が悪くなる』などといわれ、文化として認められていなかったんですよ。しかし、『アンパンマン』は、今でも愛され続ける作品・キャラクターになりました。今、一部の人たちが『萌え絵だ、萌えキャラだ』と批判されている作品・キャラクターも、子どもたちに認められていさえすれば、20年後、30年後も愛され続けるのではないかと思います。それに、日本のマンガは、いまや世界的に認められている。マンガ絵の絵本や児童書を批判するのは、私からすると、『考えが遅れている』と感じますね。偏見を持たず、ちゃんと読んでほしいです」

 ときまつ氏いわく、以前からポプラ社は、マンガ絵の子ども向けの小説を出版しているとのこと。最初は、「マンガの絵で挿絵?」と驚いた人もいたであろうが、「いまだに出版されているということは、すでに認知されているということでは。いつの時代も、先駆けは批判対象になりやすいものですが、出版社は一部の『萌え絵だ』『マンガ絵だ』という批判で、出版をやめることはしないでほしい」ときっぱり述べる。

 書店の絵本/児童書コーナーで、“モヤッ”としたときには、ときまつ氏の言葉を思い出し、自分が何に違和感を覚えているのか、そしてそれは違和感を覚えるべきものなのか、あらためて考えてもいいのかもしれない。