娘と性交した父親が無罪――性暴力サバイバーが「つらいし、悲しいし、おかしい」事件と判決を語る

 2017年、愛知県内で、抵抗できない状態の実の娘に対し、二度にわたって性交したとして、準強制性交の罪に問われた父親の男性被告に、名古屋地裁岡崎支部は、「被害者が抵抗不能な状態だったと認定することはできない」として、無罪判決(求刑懲役10年)を言い渡した。この判決に、世間からは「おかしい」「強い憤りを覚える」という声が上がり、いま性暴力/性犯罪の問題をあらためて考え直さなければいけないという気運が高まっている。

 女性は中学2年生の頃から、父親による性的虐待を受けていたという。公判では、検察側が「専門学校の学費を負担させた負い目から、心理的に抵抗できない状態にあった」と主張し、弁護側は「同意があり、抵抗可能だった」と反論。名古屋地裁岡崎支部は、同意はなかったと認めたものの、「以前に性交を拒んだ際に受けた暴力は恐怖心を抱くようなものではなく、暴力を恐れ、拒めなかったとは認められない」「従わざるを得ないような強い支配、従属関係にあったとまでは言い難い」と判断し、無罪となった。

 「抵抗できたのか/できなかったのか」が争点となった今回の裁判。「抵抗できた」という判決には、「本当に『抵抗できた』のか?」という疑問も、ネット上では多く見られる中、性暴力サバイバーであり、性被害当事者が生きやすい社会の実現を目指す当事者を中心とした団体「一般社団法人Spring」の代表理事・山本潤氏は、この事件、そして判決をどう見たのか。あわせてSpringが精力的に取り組んでいる「性犯罪刑法の見直し」についての見解もうかがった。

関係性のある人物に胸を触られて、とっさに殴れるか

――今回の判決を知り、率直にどのような感想を抱きましたか。

山本潤氏(以下、山本) つらいし、悲しいし、「またこんな判決が出るのか」と、信じられませんでした。被害者の女性は、これまで抵抗した際に、父親から殴られるなどの暴力を受けていたものの、名古屋地裁岡崎支部は「暴力は恐怖心を抱くようなものではなく、暴力を恐れ、拒めなかったとは認められない」と判断しています。しかしそれ以前に、中2の頃から性的虐待を受け続けてきたという経験は、なぜ「暴力」と認められないのか? と思いました。こうした性的虐待があっても、人格を完全に支配するまでの支配・従属関係ではないと判断すること自体、まったく性的虐待をわかっていないように感じます。

 虐待には、被害者が加害者に順応し、その状況を受け入れるようにマインドが働くという面があります。しかし彼女はそうならずに抵抗しようとした、また訴える力が残されていたわけですが、裁判所はそのことすら理解できていないのだなと、非常に腹立たしく思っています。

――なぜ、これまでの性的虐待が認められず、「抵抗できたはず」と判断されてしまったのか、疑問を抱かずにはいられません。

山本 裁判所が、性的虐待の影響を認めたケースもありました。16年、大阪で、18歳未満の娘に対し、長年性的虐待をしたとして、児童福祉法違反罪に問われた父親の判決公判があったのですが、被害者の娘と母親が「父親を許してほしい」と刑の減軽嘆願書を出したんです。しかし、そのときの裁判官は「性的虐待の影響により、被害者が加害者寄りの考え方になっている」と嘆願書を退け、懲役4年(求刑懲役6年)という実刑判決を下しました。こうした判決もある一方、今回のように、回避責任を被害者側に求めるような納得のいかない判決もあるのです。

――実の父親からという点においても、被害者のショックは計り知れません。

山本 被害を訴えるには、まず「これは自分にとって不当なこと」「自分は侵害されたのだ」と認識できないといけませんが、加害者が関係性のある人物の場合、その認識がなかなかできないのです。見知らぬ人である場合の方が、社会的にも「レイプ=夜道で知らない人にされるもの」というイメージが強いですから、「不当である」「侵害だ」と認識しやすいと思います。

 日常的に接し、あるときは自分を保護してくれる関係性のある人物に、いきなり自分の胸を触られたら、とっさに殴れるか。そんなこと、普通はできません。たぶんびっくりして、「あれは何だったんだろう」「もしかしたら私の勘違いかもしれない」「何か理由があったのではないか」「ちょっとした、はずみだったのかも」などと、一生懸命考えると思います。そうした中で、加害者の支配に飲み込まれていくと、さらに被害者は混乱し、判断力もなくなっていく。ダメージを受け続け、自分を守れなくなっていってしまうのです。

――父親の弁護側が「同意があった」と言っているのも、理解しがたいです。

山本 加害者が、自分の身を守るためという面もありますが、認知がゆがんでいることも考えられます。心の奥底では罪だとわかっていても、加害者は「スリル感を味わえる」「相手を支配できる」といった自己の目的を達成するため、相手は嫌がってなかった、喜んでいた、受け入れていたなどと、認知を歪めていきます。

――そもそも性犯罪においては、「被害者側に責任がある」とされ、問題視されることがよくあります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

山本 日本には、貞操概念があるからでしょう。女性は家のために、命をかけて自分の処女性や体を守らなければいけない、それをしなかったため“責任”が生じるという考え方で、この「家のため」とは、家の血統を守るために、ほかの男に性交されてはいけないといった意味合いです。刑法は、今から112年前の1907年に作られたのですが、当時から性犯罪の構成要件に「暴行脅迫要件」があり、その保護法益(法令がある特定の行為を規制することによって保護、実現しようとしている利益)は「性的自由ないしは貞操」とされていました。つまり、「貞操は守らなければいけないものだけど、激しく暴行脅迫を受けたら、貞操を守れなくてもしょうがない」という考え方で、被害者個人の身体や意思決定を侵害したとは考えられていなかったわけです。それが受け継がれ、被害者に厳しい判決が下されて続けてきたという背景があります。

 性にはダブルスタンダードがあって、「女性は貞操を守り、男性の興味・関心を惹起しないようにおとなくしていなければならない」一方で「男性は、女性に対してグイグイ押していくのが男性らしい」というものです。そこに齟齬が生じていて、例えば痴漢事件でも「女性が短いスカートをはいているから悪い」「一人で夜道を歩いているから悪い」など、被害者の落ち度ばかりが着目され、加害者の犯罪性が問われないという状況が生まれてしまいます。

――17年に、110年ぶりに刑法性犯罪が改められ、名称が「強姦罪」から「強制性交等罪」になり、内容も一部変更となりました。しかし、今回の判決で、まだ問題点は多いと感じました。

山本 「監護者性交等罪」「監護者わいせつ罪」という18歳未満(17歳まで)の子どもを監護する親や児童養護施設職員など、その影響力に乗じて性交・わいせつ行為をした者を処罰できる罪が新設されたものの、今回の被害者女性は事件当時19歳だったので、適用されませんでした。「もっと年齢を上げておくべきだったのに」と思いましたね。

――被害者女性は、中2の頃から性的虐待を受けていたといいますが……。

山本 それは、今回の起訴内容には含まれていませんでした。検察側が、当時の場所や時間を特定できなかったのではないかという話を聞きましたが、子どもの頃から、日常的にそういったことをされていたら、「何月何日何時何分」なんてことは、わからなくて当然だと思います。

 時効の話になりますが、旧強姦罪の公訴時効は10年で、改正された強制性交等罪も10年なんです。しかし、ドイツの司法制度では、子どもの頃に性的虐待を受けた人が、コールセンターなどに電話をして相談できた平均年齢が46歳だったという調査結果から、性的虐待の場合、被害者の年齢が30歳まで時効停止、その後20年間、起訴可能となっています。日本でも、何歳まで虐待の影響下にいるのかという実態を把握した上で、刑法が作られるべき。「自分がされたことはおかしかった」と気づく頃には、もう訴えられないという状況はなくすべきだと感じます。

――「抵抗できたのか/できなかったのか」が争点になった点についてはどうでしょうか。

山本 旧強姦罪からある「暴行脅迫要件」に関しても問題だと思っています。暴行脅迫要件を満たせないから、検察が起訴してくれない。そういった被害者は山のようにいるのに、ニュースにはなりません。また、起訴できたとしても、「暴行脅迫の程度に達していない」「はっきり抵抗しなかったから相手はわからなかった」などと判断されることもあります。そもそも刑法は、性犯罪の実態や精神医学的知見を踏まえて作られたものではないので、普通に考えて「おかしい」と感じる判決が出るのです。

 一般的に、もっと「抵抗できないのが当たり前」という認識が広まってほしいと思います。昨年、イギリスに行ったのですが、性犯罪に遭うと、被害者はフリーズ状態になって抵抗できない、またそういうことがあってもすぐには訴えられないことが、「当然」と認識されているなと感じました。それは科学的な根拠をもって立証されているからであり、日本の裁判官も個人の経験則で判決を出すのはやめてほしいと感じます。

――海外には、性犯罪が「抵抗できたか/できなかったのか」ではなく「同意があったか/なかったか」によって判断される国もあります。

山本 イギリスでは不同意性交を性犯罪としています。法律で「同意とは何か」を定めているのですが、「同意とは、自由と能力があって初めて選択できるもの」とされているんです。相相手が教師などの目上の立場という地位関係性において、相手に従わなければいけない状態は自由ではない、また、薬物やアルコールにより意識状態が下がっている、また幼すぎたり、何らかの障害がある場合も、同意を選択できる能力がないとみなされます。なお、日本の刑法性犯罪は、17年の改正時、3年後を目処、つまり20年を目処として、「必要があると認めるときは見直しを検討する」とされています。

――今回の判決に対しては、世間から「おかしい」という声が多数上がっています。

山本 やはり、誰が見てもおかしい。今回の判決はそれがとてもわかりやすかったのではないかと思いました。被害者女性にとっては、裁判所には否定されけれど、世間がこうして声を上げてくれたことは、よかったと思います。こうしたことが許される世の中だったら、また同様の事件が起きてしまうかもしれず、それは彼女にとって、とても怖いことなのではないでしょうか。被害者の落ち度ではなく、加害者の責任を追及していくような流れになっていってほしいと思います。

 福岡・久留米で、テキーラの一気飲みによって意識がもうろうとなっていた女性を強姦した被告に、無罪判決が出た際も、「おかしい」という声が上がっていたので、性犯罪に対する世の中の意識が変わってきたのではないかとも思いますね。

――この「おかしい」という気持ちを、我々はどういったアクションにつなげていけばよいのでしょうか。

山本 Twitterなどで、事件や裁判のニュースをリツイートする、「おかしい」という意見を投稿することは非常に大切だと思います。また、私が代表理事をしている「一般社団法人Spring」では、20年の刑法見直しに向けて全国キャンペーンを行っています。法務省はまだ「見直しをする」と決定しているわけではないので、全国各地でイベントを行い、参加者の方に刑法見直しに関して話をしています。そこで、おかしい現状に対する「声」を集める「One Voice キャンペーン」を行い、それらをシートにまとめて、国会議員会館でイベントをして可視化しようと考えていて、あわせて署名活動も行う予定です。今回の判決に対して「おかしい」と感じた人は、ぜひ刑法性犯罪について調べたり、こうした活動に参加してほしいと思います。

山本潤(やまもと・じゅん)
1974年生まれ。看護師・保健師。性被害当事者が生きやすい社会の実現を目指す当事者を中心とした団体「一般社団法人Spring」の代表理事。13歳から20歳の7年間、父親から性暴力を受けたサバイバー、性暴力被害者支援看護師(SANE)として、その養成にも携わる。著書に『13歳、「私」をなくした私 性暴力と生きることのリアル』(朝日新聞出版)。
一般社団法人Spring公式サイト

「当選権利は対象?」「サイン会は?」「ディズニーランドは?」チケット転売規制法を弁護士がスッキリ解説!

 6月に施行され、東京オリンピックのチケットも関係する「チケット転売規制法」。弁護士法人ALG&Associates山岸純弁護士から前回(記事はこちらから)「そもそもこの法律は消費者保護が目的ではない」という意外な事実を伺った。引き続き今回は、チケット転売規制法の詳細について見ていきたい。

 

ポイント①双方向でなく「一方通行」の興行が対象

――チケット転売規制法の対象となるのは、どのような興行なのでしょうか。

山岸純弁護士(以下、山岸) 「この法律において「興行」とは、映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定又は多数の者に見せ、又は聴かせること」とあります。

 よって、飛行機、新幹線といった交通チケットは対象外です。ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンといったレジャー施設の入場券も「見せる、聴かせる」でなく体験させるタイプのものなので対象外です。

――握手会やサイン会のチケットは含まれないとみていいのでしょうか。

山岸 アイドルと握手をしたり、サインをするのは芸能を「見せる、聴かせる」ではないので、対象外でしょうね。見せるだけ、聴かせるだけといった「一方通行感」がポイントです。

 

ポイント②反復する意思があるとアウト!

――法律を見ると、業(ぎょう)として興行主やその委託を受けた販売業者の事前の同意を得ないで、販売価格を超える金額で(チケットを)有償譲渡すれば、売り手、書い手ともに罰せられる。とありますね。「業」って、なんなんでしょう?

山岸 法律上の業とは「ある動作を反復継続する意思があるか、実際にそれをやっているか」ということです。車で人を轢いてしまう罪を、今は自動車運転致死傷罪と言いますが、以前は業務上過失致傷罪と言っていました。この業務上という言葉も「業」と同じです。車の運転は「繰り返し」するものですよね。別に営利目的でなくても、何回も繰り返そうとしている行動であれば「業」にあたります。

――なぜ無職の人が車で人を轢いたときに「業務上過失致傷罪」になるのか不思議だったのですが、「仕事中」でなく「繰り返す行為」という意味なんですね。

山岸 はい。法律上の業は「何度も繰り返す」という意味です。ただ、営利目的であればそのこと自体で既に「業」にはなりますね。営利目的ならば「何回も繰り返す」ことが想定されますから。

――つまり、何回も転売を繰り返す職業としてのダフ屋は、当然チケット転売規制法において「業」となり、アウトなんですね。ダフ屋は定額より高い金額でチケットを売ったらアウトだし、ダフ屋から定額より高い金額で購入した人もアウトだと。

山岸 はい。しかし「今回一回だけ、どうしても金欠なので、チケットを1万円で売りました」という場合は「業」にはあたりません。

 ポイントは「繰り返し」です。定価からどれだけの金額を上乗せしたかは全く関係ありません。500円のチケットを510円で売ったとして、それを繰り返し行えば「業」ですし、個人が一回きりで5,000円のチケットを10万円で売っても、それは業には当たりません。

――そうなると、チケット転売規制法ができても「一回きり」で高額転売をする人は規制の対象にならないということですね。歯がゆい気もしますが……。

山岸 前回(記事はこちらから)でお話した通り、チケット転売規制法が保護する対象は「高額チケットで苦しむ個人」でなく「興行主」です。個人の一度きりの転売を規制するのではなく、それよりも数が多いであろう「業」として転売を続ける業者を規制の対象としているのです。

――チケット転売規制法における対象のチケットは、
「興行主やその委託を受けた販売業者が、販売時に
A:同意のない有償譲渡を禁止し、
B:入場資格者又は購入者の氏名・連絡先を確認した上で、
ABが券面などに表示されている興業であり、かつ興行の日時・場所のほか、入場資格者又は座席が指定されているもの」とあります。

 近年は転売防止のため、指定席でも座席が当日にならないと判明しないチケットもありますが、こういったチケットも規制の対象でしょうか?

山岸 はい。上記ABの条件に該当していれば、座席が当日にならないとわからないチケットも規制の対象です。

 

 

ポイント④「チケット」ではなく「当選権利」は規制の対象?

――チケットそのものではなく「あなたはこのコンサートに当選しました。 いつまでに●●円を振り込み、その際に今回の整理番号を入力してください」というような「当選権利」が当たるケースもあります。振込票番号を入力し、代金を支払った後チケットが発券される形になります。こういったチケットになる前の当選権利は、チケット転売規制法の対象になるのでしょうか。

山岸 当選権利は対象外ですね。この法律が規制する対象は「チケット(電子チケットの場合も含む)」です。 「当選権利」は「チケット」ではないからです。

――似たようなものにも思えるのですが、なぜでしょう?

山岸 処罰がある法律は「類推解釈」してはいけない法律の原則があります。チケット転売規制法では、9条で「(違反した場合)一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています。 よってこの法律では「チケットでは」と特定されているため、当選権利までの類推はできないのです。

――ほかに、チケット予約を本人に代わって代行するサービスもありますが、ではこちらもチケット転売規制法の対象ではないですよね。

山岸 はい。チケットを取ることを本人に代わってやっているだけであり、今回の法律の対象外です。

 

ポイント⑤チケットに抱き合わせて販売はセーフ?

――チケットに支払手数料や送料等を抱き合わせるのは問題ないでしょうか。

山岸 この法律における不正転売の定義はもともとのチケットの販売価格を超えて売ることになります。ただ、支払手数料や送料は付随する話なので、問題ないでしょう。

――では、チケットにグッズ等を抱き合わせるのはどうでしょうか。

山岸 100円のブロマイドをつけて、チケットが5,000円の場合、5,100円で売るのは問題ありません。ただ、5万円で販売したら、アウトでしょうね。

* * *

 チケット転売規制法が施行されても「業として」ではない、一回きりの個人の転売は今まで通り問題ないのだ。では、チケット転売専用サイトやメルカリ、twitterといった、個人間の売買時によく使われる「ウェブサービス」は罪に問われないのだろうか? 引き続き山岸弁護士に伺う。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

「手コキでサクッと5万円」「キャバクラより安い」パパ活は男女ともに“コスパ”がいい関係性?

 『副業愛人 年収300万円で囲えるオンナの素顔28』(徳間書店)の著者・中山美里氏に「パパ活女子」について聞く今回のインタビュー。後編ではパパ側の意識やパパ活のリスクについての話を聞いた。

(前編はこちら)

“お金を介在する男女関係”であることに変わりはない

――SNS上では「1時間デートして5,000円」など、女子高生が相手を募集している投稿も見かけます。これらもパパ活なのでしょうか?

中山 それはたぶん、「JKビジネス」の派生ですね。JKビジネスは「ハグして2,000円」とか「一緒にプリクラを撮って1,500円」という感じなので、パパ活とはシステムもお金の価値も違います。パパ活は、たとえ最初は食事だけだったとしても、男性側は内心セックスを期待しているので、そういった面からも、JKビジネスよりもうちょっと大人の女性のものかなと。

――その子たちは、どんな感覚でやっているんですか?

中山 18歳未満はバイト代がとても安いので、「それよりはいい」みたいな感覚だと思います。もしかしたら危険な目に遭うかもしれない、みたいなことは一切考えていなくて、ハグしたり1時間食事するだけだからいいかって、軽く考えている節はありますね。仲間ができるというか、コミュニティがすぐできるというあたりも、パパ活とは違います。愛人に援助交際、パパ活、JKビジネスの派生とさまざまな男女の形があるんですね。

 確かにそれぞれ特徴のようなものはありますが、一方で、誰かがネーミングしたからそれらがあるだけで、基本的には全部「お金を介在する男女関係」です。あとはその時代によって定義が若干変わっているだけで、一概に「愛人はこう」「パパ活はこう」などと言い切れないと思います。

――つまり、それぞれ時代を反映した特徴はあるものの、根底は同じということでしょうか?

中山 そうだと思います。愛人という言葉自体は昔からありますが、時代によって“妾”だったり“副業愛人”だったり、関係性は移り変わっていますよね。パパ活や援助交際も、最初にそういった男女の関係性が現れたときと数年たったあとでは、関係性が変わっています。例えばパパ活は、初めはセックスなしだったのが、今ではセックス込みが当たり前とかね。なので、この先も形を変えていくでしょうし、パパ活に代わる新しい呼び名が出てくる可能性も十分にあると思いますよ。

――男性側の意識についても聞かせてください。彼らはパパ活をする女性にどのようなことを求めているのでしょうか?

中山 例えば個人売春であれば「抜きたい」ですよね。デリヘルや風俗で仕事っぽい塩対応をされるからイヤっていう感覚の人が、出会い系や立ちんぼといった選択肢の中の一つにするのかなって。その中でも、定期的に会ったり、最初の時点から継続性を期待している男性は、パパ活女子を選ぶのではないでしょうか。

――継続性を求める男性は、どのような女性を好むんですか?

中山 ラウンジで女の子を探す男性は、お金を持っている人が多いから、ぶっ飛んでいる子や、ちょっと変わった子が好きという人が多いです。すごく清楚に見えるのに、ハプニングバーやSMプレイに興味津々みたいな。セックスに対するポテンシャルが高い子や、酒豪でべろんべろんになっちゃう子、すごくよく食べる子とか、見ていて楽しい、一緒にいたいって思わせる女性だと長続きするみたいです。

――素人らしい女性を求める男性が多いと思っていたので、ちょっと意外でした。

中山 一概には言えませんが、少ないお給料やなけなしのお小遣いで養える“都度払い愛人”を求めている男性だと、素人らしい普通の女性を求める人も多いみたいです。風俗のようにいかにも“お仕事”のような塩対応を受けることもないですし。それに、風俗だとソープ以外は本番ができないし、そもそもデートっぽさがない。でも、キャバクラだとセックスまでにいくらかかるかわからないので、確実にセックスできて、見た目も好みの女性と恋人っぽく過ごせるという面で、パパ活女子はすごくコスパがいいんです。あとは、お金が発生している関係なので、女性より優位に立てて自尊心も満たせるし、不倫より別れるときのリスクも低いから。ただ、やっぱり飽きちゃうんですよね。なので、金品だけに固執して、男性を喜ばせる精神がないようなパパ活女子は、どちらにしても続かないようです。

――パパ活女子として求められ続けるのは、簡単なことではなさそうですね。

中山 「良い思いして、お金をもらいたい」という中途半端な子だと難しいでしょうね。例えばお金ためならなんでもできる“振りきってる”子だと、「ビルのあいだで、5万円で手コキした」とか、すごい武勇伝を持っていたりするんですよ。お金のためだからサクッとしていて、「時給にしたらすごくないっすか?」みたいに、ほかの男性客にも話しちゃうから、男性は「面白い! 俺もやってよ」みたいになって新たなパパとのつながりができる。その子のキャラとか、営業力もあると思いますが、パパ活女子の勝ち組コースですね。

――パパ活は個人で行うものだけに、性病感染や危険な目に遭うリスクも高いのではないでしょうか?

中山 性病の検査はしていない子がほとんどではないでしょうか。風俗などなら、勤め先で性病の検査をしてくれるところもあるし、危険な目に遭いそうになっても助けを求められるけれど、パパ活女子は個人なので危険性は常に隣り合わせですね。実際、男性の家に着いて行ったら部屋の中にもう一人男性がいたとか、ご主人様とSMプレイをしていてケガをしたとか、そういった話もよく耳にします。しかも、警察に行くと、売春で補導されたり親にバレたりするリスクがあるので、相談もしづらいんです。

――日々の営業や、危険性から考えても、風俗よりも大変そうですね。

中山 大変だと思いますよ。それで生計を立てるとなると、なおさら。相手も自分で探さなきゃいけないし、営業して、つなぎとめておこうにもネタも尽きてくるでしょうしね。あと、アプリで知り合った相手だとドタキャンやすっぽかし率も高いので、交通費と時間の無駄になることも多く、そんなことが続くと割に合わなくなってくるし、疲れちゃうんですよ。だから、パパ活ができる年齢は何歳まで……といったことではなく、本人が続けたいかどうか次第で、何年もパパ活だけで稼いでいる女性は非常にレアケースです。パパ活は愛人よりハードルが下がっていますが、そのぶん、うまくやり続けるには手腕が必要なんですよ。そんな感じだから、やったりやらなかったり、副業くらいがちょうどいいってなっているのではないかと思います。

――現在パパ活をしている女性に向けて、中山さんから注意喚起などがあれば教えてください。

中山 実際のところ、注意喚起はあまりないんです。危険だと思うことはありますが、当人がそれを選んだことには、それなりの理由があるのでしょうから。否定はできないなって。パパ活がらみの殺人事件のニュースを見ると、うーんって思うけど、目先の生活を守ることって大切じゃないですか。すごく“刹那的”なんですけど、日々生きていくことというか、そこを守りたい気持ちはよくわかるので、それで痛い目に遭っても自業自得とは思えないですね。殺人は被害者の女性ではなく、殺す人が悪いんです。

 ただ、リスクがあるということを天秤にかけた上で踏み切るんだから、痛い目に遭った時に、誰のせいにもできないということは、頭の片隅くらいに入れておいた方がいいと思います。誰かのせいにすると、お金に困ったら誰かに頼るような生活を続けたり、承認欲求が低いままで人として成長できないと思うので。

中山美里(なかやま・みさと)
1977年、東京都生まれ。フリーライター。編集プロダクション株式会社オフィスキング取締役。『16歳だった~私の援助交際記』(幻冬舎文庫)『漂流遊女~路地裏の風俗に生きた11人の女たち~』(ミリオン出版)『高齢者風俗嬢~女はいくつまで性を売れるか』(洋泉社)などがある。

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、魂のリリックを聞け! 夫婦でラッパーデビュー!!

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“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(39)が先日、「瓜田夫婦」名義でラッパーデビューを果たした。デビュー曲のタイトルは『recollection~遠い日の記憶から~』(ジーザスレーベル)。ヤクザ時代のホームタウンである新宿・歌舞伎町を舞台にしたMVがYouTubeで公開されるや、「かっこよすぎ」「鳥肌が立った」「久しぶりに心の琴線に触れる曲」「こりゃマジモンだわ」といった称賛コメントが相次いだ。格闘技、文筆、プロファイリングなど、これまでさまざまな表現活動を行ってきた瓜田が、初めて挑んだヒップホップ。リリックに込めた熱い思いや、曲づくりの裏話を本人に聞いた。

――突然のラッパーデビューに驚きました! いつから曲作りを始めていたのでしょう?

瓜田純士(以下、瓜田) 俺のYouTube「瓜田純士プロファイリング」のチャンネル登録者数が1万人を超えた昨年の秋頃に、オリジナルのラップを作ってエンディング曲にしたいと考え始めました。で、そこからいろいろと勉強を始めたんですよ。

――勉強とは?

瓜田 日本語ラッパーの現状についてです。今どんなのが流行っていて、どんな奴らがどんな活動をしているのかをYouTubeなどでリサーチしました。そこでざっくりわかったのは、メジャーで売れている連中と、インディーズのアングラ連中に分かれているってこと。で、アングラの中でも、「俺はアウトローな位置にいるんだ」と踏ん反り返っている奴らもいれば、「そんなお前らは大したことない」と反発する奴らもいたりと、いくつかの路線に分かれていて、お互いリリック(歌詞)でビーフ(ケンカ)を仕掛けたり、応戦したりしているんですね。

 その中でも一定の支持者を集めている奴らは大抵、自らの生い立ちを歌った自叙伝的な曲からキャリアをスタートしている。日本だけじゃなく、海外でもそう。ヒップホップはそういう文化なんだな、という全体図をまず把握しました。

――その中で瓜田さんは、どういう路線を目指そうと思ったのでしょう?

瓜田 まず強く思ったのは、「誰かを意識したり誰かに影響されたりするのは嫌だ」ということ。俺は基本、自分にしか興味がなくて、ほかの奴らはどうでもいいと思っているんですが、そうは言っても、何も知らないまま参入するのはダメなので、一応は日本のいろんなラッパーの主だった楽曲を聴いてみた。そしたらまあ、悪さ自慢みたいなのが鼻についたんですよ。名前も顔も知らないような連中が、やれマリファナでパクられてワッパをかけられただの、やれ俺はあのとき臭い飯を食っただの、そういうことを誇らしげに歌っているわけです。

 仮にそれが百歩譲って真実だったとしても、だから何だと言いたくなった。たとえば新宿署の留置所に100人いたとして、その中で名が売れている不良は1人か2人程度しかおらず、あとの98人か99人は雑魚なんですよ。不良として街で名が売れるまで踊り出るには、本当にキツい目にも山ほど遭う。俺は実際、フクロにされたり晒し者にされたりという痛い目にさんざん遭ってきました。

 そう考えると、「今支持を得て持ち上げられているラッパー連中の大半って、いったい何なの?」と疑問になってきたんですよ。こいつらはそれを金にまで変えているけど、「いつどこで名を上げて、どんな痛い目に遭ってきんだろう?」と。

――頭にきたんですか?

純士 いや、そいつらはそいつらでいい、と思いました。不良路線で行ったら売れると思って商業的な戦略でやっていることなんでしょうから。頭にくるというよりはむしろ、「じゃあ、そういうシーンに俺の自叙伝的なリリックを投下したらどうなるんだろう?」ということを実験したい欲求が高まってきました。作詞を開始したのは、2ヶ月前ぐらいです。腰痛で外出できない期間を利用して、一気にリリックを書き上げました。自分で言うのも何だけど、俺の不良としての生い立ちは申し分ないと思っているので。

――でもそうすると結局、悪さ自慢で張り合う形になりませんか?

瓜田 そこは、そうならないように気をつけました。ただの悪さ自慢の奴らとは一緒にされたくなかったから、俺の作品は「夫婦で残す」ということにこだわったんですよ。俺の自叙伝的なリリックが中心になるとはいえ、最後は「夫婦の絆」を匂わせるフレーズで締めくくろう、と。そのほか、嫁には歌でも参加してもらうことに決めました。まあ、そこからが大変な道のりでしたが(笑)。嫁のわがままが炸裂して……。

――作詞上のワガママですか?

瓜田 いや、俺も一応は作家なので、作詞は任せてもらえたんですが、嫁の歌のパートをどこに入れるか? ってことで大いに紛糾しまして。結局、フック(サビ)の部分にコーラスで入ってもらうことになったんだけど、嫁がこれを何百バージョンも考えてくるから大変だったんですよ(笑)。

――何百!?

瓜田 たとえば、「Live ther own story(自分の物語を生きろ)」と嫁が歌うパートがあって、俺としてはこの最後の部分は「ストーリー」で統一してほしいのに、「ストーーーーリー」みたいに伸ばしたりとか、まあ、いろんなバージョンを持ってくるわけです。要は「もっとウチにも歌わせろ! ウチも爪痕を残したいんや!」ってことなんでしょうけど、レコーディングに向けてバージョンをどんどん増やしてきたから困りました。「そんなにいろいろ入るわけねえだろ!」と言っても、全然言うことを聞いてくれないし(笑)。

――そんな奥様のことを、どのように制御したのでしょう?

瓜田 嫁の提案をすべて聞いていたら大変なことになるから、途中からは空返事だけして聞き流していました。そうすりゃいつか諦めるだろうと高をくくっていたんですが、嫁を甘く見ていましたね。レコーディングの当日、DJが来て、じゃあ録りますよとなったときに、「ほかにもいっぱいパターンがあんねん!」と嫁が言い出して、結局、俺のパートよりも長い時間をかけて嫁のパートを録るハメになった。DJから「奥さん、これはちょっとやめておきましょう」と注意されるほどでした(笑)。

――瓜田夫婦らしいエピソードですね(笑)。

瓜田 さらにはレコーディングが終わってミックスダウンする段階になってからも嫁がああだこうだ言っているから、DJから「本来、瓜田さんの歌詞が頭に入ることがまず重要かと思われます。なので奥様は控えてもらった方が良いかと思われます」という忠告メールまで届いたから笑いました。ただ最終的には、嫁の提案のうちのいくつかが、いい塩梅にハマったので、結果オーライでしたけどね。

――DJのTVXI氏とはどこで知り合ったのでしょう?

瓜田 ネットで探してオファーしたんですよ。彼はたまたまですが、「瓜田純士プロファイリング」を以前から見てくれていたそうです。だから世界観をすぐに共有できたのがよかったです。

――トラック(ラップの背後で鳴っている音楽)は、どこで探したのでしょう?

瓜田 インターネット上で良質なフリートラックをたくさん発表しているKombow氏から無料提供してもらいました。「フリートラックはダサい」というのが定説なんですが、Kombow氏のあの曲に関しては下手な有料トラックよりも格好いいと感じたし、嫁も「自分の生き方やリリックさえ良ければ一銭もかける必要ないんやで」と言うので、「よし、これで行こう!」と決めました。

――リリックの話に移りますが、ラップは「韻を踏む」のが定石らしいですね。瓜田さんは今回、そこをあえて無視したんでしょうか?

瓜田 いやいや、一応、何箇所かは韻を踏んでいますよ。

――あ、そうでしたか。ラップに疎いので、気づきませんでした。たとえば、どのあたりで踏んでいますか?

瓜田 「極道ライフに胸が高鳴る」というリリックと、「DEAD or ALIVE 出世は必ず」というリリックがあるけど、「高鳴る」と「必ず」が、「あああう」で母音が揃いますよね。あとは「辿り着いた懲役の果てに」と「独居の外は標的のアウェイ」というところも、「懲役」と「標的」、「果てに」と「アウェイ」の母音が一緒じゃないですか。そのほかにも何箇所かあります。……ってか、そんなこといちいち説明させないでくださいよ!(笑)

――失礼しました! やはり、韻を踏まないとラップとは言えないのでしょうか?

瓜田 そんなことはないと思いますよ。俺の調べによると、ヒップホップってのは、「どれだけ強く個性を出すか」を勝負する世界みたいで。定石に寄せちゃうと逆に笑われちゃう文化だとわかったので、いかにオリジナリティを出すかってことだけを意識しました。

 だから本来は韻を踏む必要はないんでしょうし、嫁からも「韻なんか踏むな!」と怒られたんですが、「まったく何も知らないのにこのジャンルに来やがった」と視聴者からバカにされるのもシャクだったので、「できなくねえぞ、この程度のことは!」ぐらいの感覚で韻を踏んでやりました。

――レコーディングにはどれぐらいの時間がかかったのでしょう?

瓜田 一発録りに近かったので、1時間程度で終わりました。夫婦揃って自宅のPCの前でさんざん練習してきたので、当日のリハーサルもほぼ不要でした。俺らが自宅練習にこだわった理由は、レコーディングが長くなると延長料金がかるからです(笑)。瓜田夫婦はケチなので、「何が何でも時間内に終わらせる!」と最初から決めていました。DJの子もビビっていましたよ。「こんなにもあっけなく終了しちゃうんですか?」と。すべてはPC前の練習の成果です。

――ラップには以前から興味があったのでしょうか?

瓜田 もちろん、ありました。もともと好きなんですよ。大人になってからは、その分野の友達が周囲にほとんどいなかったから話題に出なかっただけで、実はガキの頃からヒップホップの影響は結構受けているんですよ。

 俺はガキの頃、素行が悪くて新宿の中学から杉並の中学に強制転校させられたんですが、杉並の先輩から回ってくるビデオは「ビー・バップ・ハイスクール」とか任侠モノとか暴走族のドキュメンタリーばかり。でも俺は、新宿と杉並のハーフみたいなもんじゃないですか。だからどっぷり杉並に染まることはなく、ちょいちょい浮気して中野の子らとも遊んでたんですよ。

――浮気ですか(笑)。

瓜田 パンチパーマにボンタンかドカンみたいな謎の文化が流行っていた杉並と違って、中野の連中はオシャレでした。当時、中野ではヒップホップが流行っていて、ブロンクスっていう中野の有名な店でオシャレな服を買ったり、渋谷のシスコでレコードを買ったりしている子が多かった。みんな大きめのパーカーを着て、フードをかぶって、ディッキーズのパンツを穿いてね。

 そんな子たちから「瓜田くんは普段どんな映画を見ているの?」と聞かれて、「ビー・バップ・ハイスクール」と答えるのは恥ずかしかったんですよ(笑)。なぜなら中野の奴らは、「これはニガーラッパーの抗争を描いた『ポケットいっぱいの涙』っていう映画だ」とか「『ジュース』って映画を見たらヒップホップから抜けられなくなる」とか、そういうオシャレなことを言っていたからです。

 かたや杉並の先輩方は、みんなパンチパーマで「チャンプロード」を読んでいる。それがなんだか、恥ずかしくって(笑)。オシャレなことも知っとかなくちゃまずいだろと思ったから、中野の連中と知ったかぶりで会話をしながら新しい流行を必死で覚えて、家に帰ってからビデオでこっそりヒップホップの勉強をしていました。

――杉並の先輩方に、浮気はバレなかったんでしょうか?

瓜田 キャラを使い分けていたので大丈夫でした。杉並の先輩たちの前では「BOØWYって最高ですよね」とか言いつつ、中野の奴らと遊ぶときは、アイスキューブとかウータン・クランとかビースティ・ボーイズとかスヌープ・ドッグとかを聴いていました。

――杉並と中野は隣接した区なのに、そんなにも文化の違いがあったんですか。なぜ当時の杉並の不良の間では、ヒップホップが流行らなかったんでしょうね?

瓜田 杉並は暴走族文化が強かったから、「ヒップホップ=チーマー文化」みたいな捉え方をして、「チーマーはチャラいしダサい」と敵視していたんでしょう。一番ダサいのはアンタ方だろ! って感じですけどね(笑)。

――しかし、今回発表した『recollection~遠い日の記憶から~』のMVの中で瓜田さんは、ヒップホップ風のファッションはしていません。コテコテのチンピラファッションで登場していますが、その心は?

瓜田 俺は今回、ラップをしたとは思っていないんですよ。ラップっぽくなっているけど、表現方法がたまたまそうなっただけ。フードをかぶってハンドサインを出して、「YoYoYo、お待ちかねのヘッズたち、今から俺たちがビーフを仕掛けるぜ! チェケラ!」みたいなことをするつもりは一切ないんですよ(笑)。

 新宿、杉並、中野……それらすべての人生経験がミックスされた今の俺が、今回のMVだと思ってください。曲はヒップホップ調だけど、場所は歌舞伎町で、ファッションは昭和の杉並テイストで決めている。ちぐはぐかもしれないけど、それが俺ですから。ちなみに最初は、もっとチンピラ感丸出しのスーツにサラシ姿で出ようと思ったんだけど、家で試着したら山本譲二みたいになっちゃって、嫁から「それだけは絶対にアカン!」と止められました(笑)。

――タイトルの「recollection」の意味を教えてください。

瓜田 「回想、記憶、思い出」みたいな意味です。いざ動画がアップされたら、「遠い日の記憶」というサブタイトルを嫁が勝手につけていたから、「何勝手なことしてんだ!」と怒ったんですが、視聴者の反応は上々なようなので、嫁のセンスの正しさを感じました。「自分だけがわかればいいんだ」という考えだと自己満の格好つけになっちゃうけど、嫁は客観的に物事を見ることができる人なので、今回いろんな場面で助けられました。まさに夫婦合作の曲と言えますね。

――過去から現在までがコンパクトにまとめられたリリックなので、「この一曲を聴けば瓜田純士がわかる」と言っても過言じゃありませんね。

瓜田 はい。俺はラップを歌っているんじゃなくて、仁義を切っているつもりなんですよ。よく渡世人が「お控えなすって。ご列席のご一統さん、失礼さんにござんす。私○○と発します」と初対面の人に挨拶をするけど、あれと一緒です。4分25秒かけて、俺は仁義を切っている。「じゃあなんで韻を踏むんや?」と嫁からは笑われましたが、まあとにかく、そういう感覚で聴いてもらえたら幸いです。

 * * *

『recollection~遠い日の記憶から~』は、デジタル音源としてiTunesなどからの購入も可能(https://linkco.re/ZqdVAsxv)。今後は「瓜田純士プロファイリング」のエンディング曲として使われるほか、カラオケ配信も予定しているので楽しみにしておこう。

(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

※瓜田純士のYouTube好評配信中!(瓜田純士プロファイリング)
https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg

※「“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき」の記事一覧
https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/

チケット転売規制法は「高額チケットに苦しむ国民救済」が目的じゃない! 弁護士がスッキリ解説

 東京オリンピックを視野に6月に施行される「チケット転売規制法」。チケットの高額転売はあとを絶たず、中学生がジャニーズのチケットを売るフリをして金をだまし取り、書類送検される事件も起きている。高額チケット転売はもはや見過ごせない社会問題であり、困っている国民のためこの法律が施行されると思っている人も多いかもしれない。

 しかし、弁護士法人ALG&Associates山岸純弁護士によると「報道のされ方でそう思っている人がほとんどですが、そういう趣旨の法律ではないんです」とのこと。読めばスッキリ、チケット転売規制法がこれでわかる!

 

高額チケットに苦しむファンのための法律ではない

――「チケット転売規制法」は転売された高額チケットに苦しむ国民のための法律ではないのでしょうか。

山岸純弁護士(以下、山岸)はい。この法律は「消費者のためのもの」ではないんです。

 なお、政府の電子図書館において「チケット転売規制法」はまだ正式なものにはなっておらず、現時点では衆議院のホームページに出ている「案」に基づいて説明します。

※ 衆議院ホームページ:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律

 この法律は「興行主」、例えばジャニーズアイドルのコンサートなら「ジャニーズ事務所」を守るためのものなんです。

 

ほとんどの人が誤解している「プロバイダー責任制限法」

山岸 報道のされ方で誤解されている法律は他にもあります。例えば、「プロバイダー責任制限法」もそうですね。「2ちゃんねるなどで名誉毀損の書き込みをされた人が、プロバイダーに対し、書き込んだ人のIPアドレスに紐づいた個人情報の開示請求をすることができる法律」と理解している方も多いかと思います。

――そう思っていました。「名誉毀損された人を守るための法律」という印象を受けます。

山岸 報道を見ると確かにそう思ってしまいますよね。でも、実際は違います。そもそも名称が「プロバイダー責任制限法」であり、プロバイダーの責任を制限する、つまり“プロバイダーを守るため”の法律なんです。

 流れで見ていきましょう。まず、ネット上で名誉毀損された人はプロバイダーに書き込んだ人の個人情報を教えてほしいと言います。ただ、プロバイダーは素直に教えていいか迷いますよね。守秘義務だってありますし。書き込んだ人から「なんで勝手に教えるんだ」と報復される可能性もある。

 そのためプロバイダーは、書き込んだ人に「名誉毀損された人にあなたの個人情報を教えていいですか?」と聞くんです。そこで書き込んだ人が「教えてはダメ」と言えば、プロバイダーは個人情報を名誉毀損された人に教えなくていい。

 この一連の手順を踏みさえすれば、プロバイダーは名誉毀損された側に「なんで書き込んだ人間の個人情報を教えてくれないんだ! このプロバイダーを訴えてやる!」と言われても、損害賠償などの責任を負わなくていい、というのがこの法律の趣旨なんです。

――でも、書き込みをした人にしてみれば、自分の個人情報なんて当然教えたくないですよね?

山岸 はい。ですので、プロバイダーから名誉毀損された人に対して「書き込んだ人は自分の個人情報を教えたくないと言っている」という情報が通知されたあと、名誉毀損された人は個人情報開示のための裁判を起こすことができます。

 そうすれば裁判官によって、それぞれの事例が名誉毀損にあたるかどうかの判断が行われ、個人情報の開示が必要な場合は、裁判所からプロバイダーに開示するよう指示がいきます。「裁判所に言われたから個人情報を開示しました」となれば、書き込んだ人もプロバイダーに対して何も言えないですよね。

 チケット転売規制法の話に戻りますが、この法律でも同じような認識の間違いがあるんです。「高額でチケットを買わざるを得ない国民を救済する」ためではなく「興業主が、コンサートのチケット定価が5,000円であったら、その金額で行き渡らせるようにする」ための法律なんです。

――興行主は、なぜ定価でチケットを行き渡らせたいのでしょうか? 転売され高額になろうとも、その分は興行主の儲けには関係ないですよね。

山岸 それを理解するために、また別の法律、さまざまな経済活動を規制する「独占禁止法」についてお話します。独占禁止法には「廉価販売」の禁止があります。簡単に言えば、仕入れ価格より安く売ってはいけないよ、ということです。なぜだかわかりますか?

――消費者にしてみれば「安ければいい」とも言えますよね。

山岸 そうですね。でも法律というものは、とても広く、長期的な視野で考えているんです。

 例えばA、B、C社が原価が80円の中華まんを100円で売っていたとしましょう。 しかし、A社が70円で売り出す廉価販売をしたとします。こうなると国民が皆、A社の安い中華まんを購入しますよね。結果、 B、C 社は潰れてしまい、中華まん業界はA社の独占になってしまいます。ライバルがいなくなったのを見計らって、A 社が中華まんを120円に値上げするかもしれないですよね。それを防ぐために廉価販売をあらかじめ禁止しているんです。

 チケット転売規制法も考え方は似ています。ある興行主が「うちのアイドルの定価5,000円のチケットが5万円でじゃんじゃん転売されているが、うちとしては全く構わない」と言い切れるのであれば、構わないんです。でも、そのような状況が続いたらどうなるでしょうか。

――ファンは金にものを言わせるつらい消耗戦になるでしょうね。さらに「このアイドルのチケットはまず定価で入手できず、転売で相当高額になる」という情報は今はTwitterなどのSNSですぐ知ることができますから、新しくそのアイドルのファンになりかけた人がその過酷な争奪戦を知り、やっぱり本格的にハマるのはやめとこう、となるかもしれないですね。

山岸 そうなんです。転売されず高く買わずに済む他の興行主のアイドルの方がいいや、と競合に流れていってしまう可能性だってあります。それでは興行主側も困るわけです。

 チケット転売規制法は、直接的にはチケットを定価で売ろうとする興行主を守ることが趣旨です。ただ、法律は一番大きく考えれば広くあまねく国民のためです。そういった意味では国民のため、という論調のマスコミも間違ってはいないんですけどね。「直接的には業者のため、でも広く考えると国民のためである」という階層の構造をしているんです。

 このチケット転売規制法も含め、近年の法律は「目的」欄がありますから、そちらを見ると、誰のための法律なのかすぐわかりますよ。

――プロバイダー責任制限法はプロバイダーのため、チケット転売規制法は興行主のため。となると「特定の被害を受けて困っている個人たち」のために作られる法律というのは、ほとんどないのでしょうか。

山岸 ほぼないです。法律は特定の個人を守るものではなく「一般抽象的な国民のためのものである」と法学部の学生は憲法の授業で学びます。

* *

「誰に向けた法律なのかを理解すること」「法律は「特定の個人」ではなく、広くあまねく国民のため」――法律のこの二つの原則を理解すれば、チケット転売規制法にかかわらず、今後さまざまな法律が出ても理解の指針になるはずだ。次回も山岸弁護士に、より詳細に「チケット転売規制法」について伺っていく。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

「援助交際と一緒にするな」「どれだけ金を引っ張れるか」愛人とは違うパパ活女子の意識とは?

 SNSの普及により、手軽に男女が出会える昨今。若い世代の女性を中心に、富裕層の男性と食事やデートをする対価として金銭援助を受ける「パパ活」がひそかなブームとなっている。パパ活を行う女性のSNS投稿からは、かつて“オンナ”を売って囲われていた「愛人」や、セックスと引き換えに金品をもらう「援助交際」とは「一緒にしてくれるな」というプライドのようなものを感じる。その一方で、肉体関係有りきの関係が蔓延している様子も垣間見られ、実際のところ、愛人・援助交際との境界線は曖昧に思える。一体、彼女たちは“パパ活”をどのように捉えているのだろうか? そこで、2月に発売された『副業愛人 年収300万円で囲えるオンナの素顔28』(徳間書店)で、1回のセックスにつき、1万円弱という安い手当で副業的に愛人を行う女性たちの実態に迫った著者・中山美里氏に、パパ活女子の自意識について見解を伺った。

■“月極愛人”から“都度払い愛人”へ
――『副業愛人 年収300万円で囲えるオンナの素顔28』を執筆されたきっかけは?

中山美里さん(以下、中山) もともとは雑誌の企画だったのですが、取材を進める中で、昔はひと月何十万円みたいな“月極”が主流だった愛人のお手当が、最近は、会うたびにお金をもらう“都度払い”に変化していることを知りました。都度払いだと傍から見れば個人売春と変わらないのに、本人は愛人というスタンスでやっている。そこの自意識や世間の認識とのギャップに興味を惹かれたんです。しかも、会ってみたら、愛人のイメージによくある“女のプロ”みたいなオーラも漂っていない普通の女性が、ほかに仕事を持ちながら副業的に愛人をやっているんですよ。それも面白くて、同じような女性を探して話を聞いていきました。

――“愛人”というと、日陰の女みたいな淫靡なイメージがありましたが、今時は違うんですね。

中山 カジュアルで、あっけらかんとやっている女性が多い印象はありますね。昔の“耐え忍ぶ女”みたいな愛人感はなくて、仕事はしているけれど、男性からもお金を引き出してワンランク上の生活を送りたいといったような、たくましく、したたかな感じです。だから、どっぷり愛人業に浸らず、いつでも身を引ける状態をキープしながら、ゲーム感覚で「どれだけお金を引っ張れるか」みたいな面白さを感じていたり、良い男がいたらすぐに愛人をやめて結婚してやるといった変わり身の早さがあったり。女性の生きる力強さを感じます。

――最近は「パパ活」がブームのようですが、パパ活とはどのようなものなのでしょうか?

中山 パパ活が生まれたのは、2011年あたりに女子大生やOLなど素人女性をウリにした「ラウンジ」が出てきたことが、大きく影響していると思います。六本木や西麻布界隈で遊んでいる富裕層の男性と素人女性との接点ができて、それがメディアにフィーチャーされ、「パパ活」という言葉が生まれたのかと。さらに、そこにアダルト業者が目をつけたことで、SNSやアプリなどを通じて、ラウンジを利用しない男女にまで広がっていったのだと思います。

――パパ活をする女性の特徴などはありますか?

中山 あるラウンジのオーナーから聞いた話や、私が実際に会ってみたパパ活女子の話を元にすると、彼女たちは愛人のような「セックスと引き換えにお金をもらう」という認識は薄く、「今の彼氏とは味わえないような、未知なるセックスを楽しめるかも」という好奇心を抱いている感じがありますね。「セックスせずに済めばラッキーだし、良い人ならヤってもいい」とか、「大人の世界を見てみたい」とか、「年上男性からいろいろと教えてもらって女磨きができる上、お金ももらえて超ラッキー!」といった感覚なのかなっていう印象を受けました。

――確かに当初、パパ活は「食事だけ」「デートだけ」の関係で、アルバイト感覚でセックスまではしないと言われていましたが、今はそのようなことはないのでしょうか?

中山 ほぼほぼないですね。今はパパ活と個人売春との区別がなくなってきたように感じます。アプリなどでパパを探している女性たちは、デリヘルや個人売春と変わらない感覚ではないでしょうか。ただ、中には雰囲気や話術でセックスなしの関係を上手に引っ張る子もいて、三軒茶屋に家賃12~13万円のオートロックマンションを借りてもらって、週に3回ほど食事をするという関係を1年半続けても、1回もセックスしていないという女性がいました。彼女は3人のパパと同時に付き合っていて、家にはエルメスの箱が積んであったくらいなのですが、誰とも体の関係をもたなかったそうです。

――彼女を含め、パパ活女子の年代や容姿はどのような感じですか?

中山 その女性はあどけなさの残る清楚で可愛い感じでしたけど、20代なのに30代くらいに見える子もいますし、年齢も10代~40代までと幅広く、共通点はないですね。ただ、容姿に自信はないけどサービス精神は旺盛とか、自分の価値をしっかり踏まえた上で、お値段プラスアルファのセールスポイントを持っていると、見た目に関係なくうまくいくことが多いようです。

――お話を聞いていると、パパ活女子から好奇心の強くて合理的な印象を受けます。彼女たちはどのような意識でパパ活を行っていると感じますか?

中山 やっぱり基本はお金です。ただ、一人が寂しいというメンヘラっぽい女性もいれば、男性に求められることで心を満たす自己評価の低い女性もいるし、とにかくお金! っていう女性もいて。“お金”という基本に、どんな願望が乗っかるかで多種多様な組み合わせができているので、あまり分類はできないですね。本当に人それぞれで、最終的なゴールもみんな違いますから。

――90年代には「援助交際」ブームがあったと思います。「援助交際」と「パパ活」の相違性を感じますか?

中山 パパ活は、相手との関係に継続性があるという面では愛人に近いものを感じますが、ブームの始まり方は、援助交際とすごく似ている印象を持ちました。援助交際もパパ活も、生活のためにやっているのではなく、「大人の世界を覗いてみたい」という遊びの延長のような感じなので、女の子が強気なんですよ。私は援助交際第一世代だから、シンパシーを感じましたね。

――パパ活女子のSNSなどでは、自身を「PJ」と称して、「援助交際と一緒にしないで」「相場を下げるようなことをしないで」といったような、パパ活女子としてのプライドを感じさせる投稿も目立ちます。

中山 私もある座談会で、パパ活女子の自意識を感じたことがあります。ただ、パパからもらえる金額やブランド、相手のタイプなど、表面的なことにこだわりすぎていて、つまらないって感じたんですよね(笑)。それよりも、いろいろ経験していく方が楽しいのになって。買う方の男性にしても、日常生活では出会えないような面白い女の子を求めているので、「私、いくらだから」とお高くとまっていたり、マウンティングし合うような普通の子は、チャンスを逃しちゃっているような気もしますね。

――確かに、パパ活女子は、SNS上で「今日は食事で0.5回収(5,000円もらった)」など状況を逐一投稿してマウンティングしあっています。

中山 援助交際でも、「何を買ってもらった」とか「あの子は旅行に行ったらしいよ」とか、女の子同士のマウンティングはあったんですよ。ただ、当時は比較対象が自分の周囲だけだったのに対して、今はSNSが発達して見ず知らずのパパ活女子の様子もわかってしまうので、マウンティングが激化している様子は感じます。あと、視覚からの情報は大きいので、写真もアップできる分、ほかのパパ活女子がブランド物のバッグを持っていたりすると、「あの子は買ってもらえて、どうして私は買ってもらえないんだろう」って、余計に固執してしまう部分もあるのかもしれませんね。

(後編につづく)

中山美里(なかやま・みさと)
1977年、東京都生まれ。フリーライター。編集プロダクション株式会社オフィスキング取締役。『16歳だった~私の援助交際記』(幻冬舎文庫)『漂流遊女~路地裏の風俗に生きた11人の女たち~』(ミリオン出版)『高齢者風俗嬢~女はいくつまで性を売れるか』(洋泉社)などがある。

毒舌婚活応援ブログ『結婚物語。』”中の人”に聞く「35歳過ぎた男は結婚できない説」の真偽

「ブログなんてもう古い、時代はnoteだ――」

 そんな声がにわかに高まりだした2018年下半期、突如ネット上に現れた婚活応援ブログが話題を読んでいる。テキストサイト時代の名残を色濃く感じさせるスタイルで、随所にオタクネタや漫画・アニメのパロディを挟みつつ、婚活市場の残酷な現実と実践的な恋愛テクニックを切れ味鋭い文章でハイテンションにつづるブログの主は、兵庫県高砂市にある結婚相談所「結婚物語。」の仲人Tさん(30代、女性)だ。

 悩める婚活人はもとより一般人からも支持を集め、昨年末にはアメブロで総合1位を獲得。さらに、今月上旬にはブログからよりすぐりのエピソードを抜粋した『夢を見続けておわる人、妥協を余儀なくされる人、「最高の相手」を手に入れる人。“私”がプロポーズされない5つの理由』(大和出版)も上梓されるなど、その勢いはとどまるところを知らない。

「平成最後のブログの女王」とも称されるTさんに、ブログの裏話と最新婚活事情についてメールインタビューを行った。

***

――書籍化おめでとうございます! 特にこだわったポイントなどありますか?

「まったくありません! とにかく時間がなくて、私の代わりに睡眠時間を返上して頑張ってくださった担当編集さんには頭が上がりません」

――1日100以上の婚活ブログを読むのが日課で、めぼしい婚活本もほぼ読み倒すなど、お仕事とはいえ、かなり婚活マニアのようにもお見受けしますが、ブログを書く上で参考にしていることは?

「山ほどあります。もうパクリまくっています。むしろ、ほかの人が筋道立てて書いてくださっている理論を、私がオタク要素を振りかけて出しているだけだと思っています!」

――そもそも、ブログを書き始めたきかっけは?

「始めは当社の代表が書いていたんですが、文章が堅すぎて、あんまり面白くなくて……。代表の恋愛テクニックは本当に素晴らしいので、それをもっとたくさんの人に伝えたいなと思ったのがきっかけです」

――切れ味鋭いツッコミをはじめ、サブカル臭漂う抜群の文章センスは、どこで培われたものなのでしょうか?

「ネットで文章を書くのは初めてなので、センスがあるだなんて……本当に恐れ多いです! ただ、本を読むのはすごく好きで、年400~600冊くらいは読んでいるので、そのおかげかもしれませんね」

――会員さんの実話を元にした「親が毒親だと婚活はガチでキツイ」や、「年増の美人はモテない!若いブスの方がいい!説」「相談所での交際中のHはアリかなしか」は特に大きな反響を呼びました。ネタにした会員さんからクレームが来たりすることは……?

「ブログに関しては一切ありません。年収や年齢はそのままですが、身バレを防ぐために職業や住所は変えたり、“そのまま書いていいよ”と言われても、少しはフェイクを入れています。当社の代表は器がデカいので、社内からストップがかかることもありません」

――一部では「平成最後のブログの女王」などと呼ばれているみたいですが……。

「恐れ多いの一言です!」

 

――ブログが爆発的な人気となったことで、入会希望者も増えたんじゃないですか?

「相当増えましたね。以前は月平均数名程度の入会でしたが、ブログを始めて以降、100名近く入会する月もありました。最近の入会者はほぼ私のブログを見て入ってきていただいた方なので、どの会員様からメールが来ても渡しが返答しています。ただ増えすぎてフォローができないため、現在は意図的に入会数を制限していますが……」

――反響が大きいブログだけに、時に批判的な意見が寄せられることもあるかと思いますが、どのようにメンタルを維持していますか?

「元TBSの宇垣美里アナの教えに従い、『私はマイメロだよ~☆ 難しいことはよくわかんないしイチゴ食べたいでーす』と唱えるようにしています」

――恋愛本といえば、最近ではデヴィ夫人の『選ばれる女におなりなさい』(講談社)が人気を集めていますが、ジェンダーの問題がデリケートになっている昨今、「男に気に入られる女性になる」という教えには賛否両論あります。仲人としては、どう思われますか?

「『男受けする服を着て』『男性の話を笑顔で否定せず聞いて』というと、『異性に気に入られるように、本来の自分を抑えて媚びろ』と取る方もいらっしゃいます。でも、そうではないんです。相手を喜ばせてあげたい、どうやったら相手が喜ぶのか工夫してあげたい。その気持ちが、服装であったり、笑顔に表れると私は思っています。男だから、女だからではなく、人として、目の前にいる相手をどうやったら笑顔にできるか? と考えられる人になってほしい、っていうか……

ジェンダーとかうるっせえーーーーー!!!

だいたいお前らはなんや! かわいげのない強い女を認めろって言うたその口で、気弱な童貞の男をバカにするやないか! ジェンダージェンダー言うなら、男の多様性も認めろや!

ほんでなんや! 会計だけはしっかり男に払わすんかい! 男女平等にしたるから、お前も財布を出せや!

ジェンダー言うてるわりに、レストラン探すのも会話を盛り上げるのも全部男なんかい!

自分は『女らしさを押し付けないで』とか言うくせに『男はおごって当然、男はリードするもの』って、一回、東京港に沈んでこいや!!

ってます☆」

――Tさん節炸裂(笑)。ブログを拝見する限り、Tさんはもとより『結婚物語。』の所長も人情に厚い方が多いようですが、御社の特徴と、いい相談所、悪い相談所の見分け方を教えてください。

「当社の特徴は、きめ細かなフォローと、的確なアドバイスでしょうか? 個人的には悪い相談所はないと思っていて、その方に合う相談所と合わない相談所があるのでは? 自分はアドバイスが欲しいタイプなのか、好き勝手にやりたいタイプなのか、たくさんの異性を見て決めたいのか、少人数と深く付き合って決めたいのか。いい人が出てきたら結婚したいのか、半年以内に絶対に結婚したいのか――。自分の求めるものをきちんと整理し、相談に行った時に違和感を覚えたところには入会せず、話しやすいアドバイザーがいるところを選べば、自分に合った相談所に入れると思います。あとは迷ったら結婚相談所ネットワーク『日本結婚相談所連』(IBJ)に加盟しているところをお勧めします」

――今回の書籍はアラフォー女性向けですが、一方、35歳を過ぎた独身男性はこだわりが強く、また金銭的にも余裕があってひとりの生活を満喫しているので、結婚が難しい、といわれがちです。

「結婚は、してもしなくても、どちらでもいいと思います。ただ、子どもが欲しいとか、いつかは結婚したいと思っているなら、早く始めたほうが絶対にいいです。20代の女性が相手にしてくれるのは35歳までだし、35歳を過ぎると、子どもが大学を卒業するまでに定年になってしまう。女性たちもそれを熟知しているので、男性は35歳を過ぎると1年ごとに婚活市場でのモテ度はガンガン減り、40歳を過ぎると、20代どころか30代前半の女子にすら、まったく相手にされません。

 特に、親の介護問題がある方は相当大変です。10年以上連れ添った夫婦なら、同居で介護か! よし! やったるか! と思えますが、最初から同居と介護が目に見えている男性を選ぶ女性はいません。あなたが素敵な人でも、年を取れば取るほど、素敵な相手との結婚は難しくなります」

――確かに……。

「婚活市場が男性余りだった10年前と違い、今は7対3で女性が余っています。この時代では、男性が多いアプリで活動するより、女性が多い相談所に入るほうが、間違いなく若くてかわいい女性に出会えます。そして重要なのは、あなた自身も、今が一番若いということ! 結婚願望がある方は、ぜひ早めにお近くの相談所へ! 当社は入会金が高めですが、安いところも結構ありますよ」

――一般的に、相談所の会員男性の成婚退会の平均期間は1年~1年半、女性は1年半~2年といわれていますが、長年登録しているのにいい出会いがなく、辞めたいけどこれまで払ってきた金額を考えるとやめられない……という人もいますね。

「そうですね……そういう方は、一度自分を見つめ直したほうがいいのでは? 心の中に、結婚したくない理由があるはずです。結婚したら何かができなくなる、イヤイヤ何かをしなければならない。両親のように不仲になるのではないか――。心の奥底で結婚したくないと思っていると、相手の欠点を見つけ、結婚しない理由を探し続けてしまいます。結婚して幸せな人の話を聞いたりして、自分が何を恐れているのかを明確にしてください。そこに答えがあります。あとは、『いい人には会えなくて、変な人ばかり申し込んで来る!って言うやつ全員正座しろ』を読んでください☆」

(取材・文=編集部)

●結婚物語。ブログ<https://ameblo.jp/kekkon-monogatari/

池袋暴走事故で親子死亡――高齢ドライバーが「免許返納」を拒む実情と、家族が抱える苦悩

 4月19日、東京都豊島区東池袋4丁目の都道交差点で、飯塚幸三さん(87歳)の乗用車が、歩行者を次々とはね、ゴミ収集車やトラックに衝突する事故を起こした。松永真菜さん(31歳)と長女・莉子ちゃん(3歳)は、病院で死亡が確認され、40~90代の男女8人が重軽傷を負った。

 飯塚さんは事故後、息子に電話をかけ「アクセルが戻らなくなって、人をたくさんひいてしまった」と話していたというが、交通捜査課によると、車内にアクセルペダルの動きを妨げるような障害物はなかったとのこと。また、事故現場には、ブレーキ痕もなかったと伝えられている。

 今回の事故で注目を集めたのが、飯塚さんの「年齢」だ。一般的に、高齢になると認知機能が低下するとされる中、87歳という年齢で自らハンドルを握り、事故を起こしたことに対して、世間からは「なぜ免許を返納しなかったのか」「自分の認知力を過信していたのでは」「家族は何も言わなかったのか」といった怒りと疑問の声が飛び交うことになった。真菜さんの夫も、24日に都内で記者会見を開き、「少しでも運転に不安がある人は、運転しないという選択肢を考えてほしい」と強く訴えた。

 しかし、高齢者の免許返納に関しては、さまざまな問題があるようだ。昨年5月、神奈川県茅ヶ崎市で、90歳の女が運転する乗用車が暴走し、1名が死亡する事故が発生した際、サイゾーウーマンでは、「家族による免許返納の説得が難航する現実」についての記事を掲載。高齢者の加齢性変化について知り、どのように、高齢者の免許返納問題に取り組んでいくべきかを考察している。池袋の事故のニュースを受け、「もし家族が高齢になったとき、車の運転をやめようとしなかったら……」という不安が頭をよぎったという人は、ぜひこの機会に読んでいただきたい。
(編集部)
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(初出:2018年6月2日)

「認知症でなくとも性格は変わる」高齢ドライバーの免許返納問題、家族の説得が難航するワケ

 5月28日、神奈川県茅ヶ崎市の国道で、90歳の女が運転する乗用車が、次々と歩行者をはね、うち1名が死亡するという事故が起こった。超高齢社会を迎えつつある日本において、“高齢ドライバーによる自動車事故”は、深刻な問題となっており、警視庁交通総務課によると、事故全体に占める高齢運転者(原付以上<特殊車を含む>を運転している65歳以上の者)の事故割合は、平成20年は11.1%だったが、29年には17.9%に増加しているという。

 警視庁のサイトを見ると、「高齢運転者は、自分で安全運転を心掛けているつもりでも、他人が客観的にみると安全運転とは言えないところがあると言われています」と指摘し、安全運転を支援するシステムを搭載した車(安全運転サポート車)の普及啓発に取り組んでいると紹介される一方、運転免許の自主返納サポートにも尽力していることがうかがえる。

 高齢運転者の事故と聞いて、一番に思い浮かぶのは、やはり“認知症”による影響だろう。2017年3月12日に施行された改正道路交通法では、75歳以上の免許保有者は、免許更新時に約30分の認知機能検査が必要となり、認知機能が低下している恐れがある場合は、実車指導と個別指導を含めた計3時間の「高度化講習」を受けて免許更新、また認知症の恐れがある場合は、後日臨時適性検査、または医師の診断が必要で、認知症だと判明した場合には、免許証の停止または取り消しとなる。これに加えて、特定の違反行為があった場合、臨時に認知機能検査も実施されているのだ。

 こうした対策が取られてはいるが、家族としては、認知症でなくとも高齢になれば運転を控えてほしい、免許を返納してほしいのが本音だろう。事実、今回事故を起こした容疑者も、3月に運転免許証を更新した際の認知機能検査で問題は見つからなかったものの、息子から免許返納を勧められていたとのこと。それでも、容疑者は免許を返納せず、大事故を起こしてしまったのだ。

 今回の事故をめぐっては、家族が高齢者に対して免許返納の説得をするのが難航する実情が浮き彫りになった。立正大学心理学部教授で、『高齢ドライバー』(文春新書)の著者・所正文氏は、今回の事故を「たとえ90歳になっても、運転免許を持っているような方は、まだ体が動くうちは運転し続けたいのでしょうね。車の運転は自立の象徴であるからです。運転断念後の生活の道筋ができていれば返納を受け入れると思いますが、単に周辺者が『危ないからやめろ』と言ってもなかなか受け入れません」と語る。

 確かに、「車の運転をやめるように言うのは、高齢者の尊厳を傷つけかねない行為」などといった論調で伝える新聞やテレビは多い。しかし、ネット上では「運転免許を取得できる年齢が定められているように、免許を返納する年齢も決めちゃえばいいのに」「地方だと、確かに足がなくなるって問題があるけど、免許返納ってそこまで重大なこと?」などとさまざまな声が上がっている。こうした意識の違いが、免許返納の説得を難しくさせている要因になっているのかもしれない。

 また、『介護というお仕事』(講談社)などの著者である介護ジャーナリスト・小山朝子氏は、加害者が「認知機能検査に問題がなく、ゴールド免許で、息子さんも『認知症のようには思えなかった』とお話されている点が、今回の事故の特徴だと思います」と前置きしつつ、認知症でなくとも、高齢者と家族間で、免許返納の話し合いが進まなくなるケースはあるという。実際に小山氏は、「娘の『免許返納』の提案を一切聞き入れない、ゴールド免許の80代」「地方に住んでいて、生活の足がなくなるのは困ると、返納を受け入れられない90代」など、さまざまな高齢者の話を見聞きしてきた。

「個人差はありますが、老年期(おもに65歳以上)になると、性格面で変化が生じることがあります。例えば、他者の意見を聞き入れない、用心深くなるなど。若い頃は、新しいものにチャレンジしようという意欲があった人でも、年を重ねると『危ない橋を渡りたくない』と考える傾向にあります。例えば、これまで食べたことがない、聞いたこともない食材が食卓に並んでいると、『食べたくない』と言う高齢者がいますが、『これを食べるとアレルギー反応が起きるのではないか?』『病気になるのではないか?』などと考えてしまう。このような不安の背景には、配偶者や友人を失うといった喪失体験が増え、自分の命に対する不安が増していることも考えられます」

 これらは“加齢性変化”といわれ、一般的に起こりうることで、苦労する家庭は少なくないという。こうした性格の変化が、少なからず免許返納の説得に影響を及ぼす可能性は否定できない。

 また、ほかの人から言われたことを、「批判ではないのに『批判されている』と受け取り、攻撃的になるなど、心理的な影響が大きくなる傾向があります。逆に傷つきやすくなって、抑うつ(気分が落ち込んで何もしたくない状態)になる人もいます」。

 先月11日、愛知県に住む83歳の男が、自宅に自ら放火し、警察の簡易聴取に「運転免許の返納をめぐって家族と口論になった。自暴自棄になり、死んでやろうと思って放火した」と供述していたというが、「このケースも、加齢性変化による心理的な影響があったことも考えられます」。

「高齢者に関する研究を行っていたアメリカの精神科医、ロバート・N・バトラー氏は『年を重ねると、自分を頼る、自分自身に誇りを持つ傾向がある』と示しています。“行動に強い責任感をもつようになる”ということです。免許返納をしたくないのは、『人に頼らないで、自分でできることはしたい』という意思の表れでもあるのではないでしょうか。一方、高齢者は新たな環境への適応が難しくなり、保守的傾向が強くなります。『運転しない生活への変化』に拒否感があることも考えられます」

 誰にでも起こりうる加齢性変化。しかし、家族がそのことを知らないままだと、「父母が、祖父母が変わってしまった」と大きなショックを受けることになるのではないか。

「免許返納の話をする以前に、高齢者とその家族の間で、コミュニケーションが取れていないケースも考えられますよね。このような場合は、医師やケアマネジャーなど、第三者を介入させるのも手かもしれません。2000年に、介護保険制度が始まり、介護をサービスとして頼むことへの敷居が低くなってきましたし、高齢者の運転事故が社会問題となっている現在、免許返納にしても、家族だけで抱えこむのは得策ではないかもしれません」

 そもそも「健常でも、年を取ると性格が変わる」と知ること、また「ほかの家も同じようなことで悩んでいる」と思うだけで、家族の心は少し楽になり、高齢者への接し方を工夫するきっかけになりうるという。こうしたちょっとした意識の変化が、免許返納への第一歩となるのかもしれない。

 なお、前出の所氏も「この問題は警察による免許規制や高齢ドライバーを抱える家族のみの問題だけではなく、広い視点で捉える必要があります。キーワードは『多職種連携』と『地域連携』です」と語り、高齢者の免許返納問題の発展的な対策を紹介してくれた。

「熊本県を皮切りに九州各県、鳥取県などで免許更新現場に看護師・保健師を同席させた注目すべきシステムが展開されております。これは、高齢ドライバーから健康状況をはじめ生活全般について親身に話を聞き、地域事情に精通した看護師たちが具体的に助言・指導するというシステムです。これによって、確実に免許返納が増えているようです。私は、この数年、現地調査を行っておりますが、西日本から徐々に浸透してきているこのシステムが、免許返納の今後の切り札になるように感じております」

 今後もさまざまな議論が繰り広げられるであろう高齢者の免許返納問題。二度と痛ましい事故が起こらないよう、誰もが他人事ではなく向き合っていくべきなのではないだろうか。

池袋暴走事故で親子死亡――高齢ドライバーが「免許返納」を拒む実情と、家族が抱える苦悩

 4月19日、東京都豊島区東池袋4丁目の都道交差点で、飯塚幸三さん(87歳)の乗用車が、歩行者を次々とはね、ゴミ収集車やトラックに衝突する事故を起こした。松永真菜さん(31歳)と長女・莉子ちゃん(3歳)は、病院で死亡が確認され、40~90代の男女8人が重軽傷を負った。

 飯塚さんは事故後、息子に電話をかけ「アクセルが戻らなくなって、人をたくさんひいてしまった」と話していたというが、交通捜査課によると、車内にアクセルペダルの動きを妨げるような障害物はなかったとのこと。また、事故現場には、ブレーキ痕もなかったと伝えられている。

 今回の事故で注目を集めたのが、飯塚さんの「年齢」だ。一般的に、高齢になると認知機能が低下するとされる中、87歳という年齢で自らハンドルを握り、事故を起こしたことに対して、世間からは「なぜ免許を返納しなかったのか」「自分の認知力を過信していたのでは」「家族は何も言わなかったのか」といった怒りと疑問の声が飛び交うことになった。真菜さんの夫も、24日に都内で記者会見を開き、「少しでも運転に不安がある人は、運転しないという選択肢を考えてほしい」と強く訴えた。

 しかし、高齢者の免許返納に関しては、さまざまな問題があるようだ。昨年5月、神奈川県茅ヶ崎市で、90歳の女が運転する乗用車が暴走し、1名が死亡する事故が発生した際、サイゾーウーマンでは、「家族による免許返納の説得が難航する現実」についての記事を掲載。高齢者の加齢性変化について知り、どのように、高齢者の免許返納問題に取り組んでいくべきかを考察している。池袋の事故のニュースを受け、「もし家族が高齢になったとき、車の運転をやめようとしなかったら……」という不安が頭をよぎったという人は、ぜひこの機会に読んでいただきたい。
(編集部)
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(初出:2018年6月2日)

「認知症でなくとも性格は変わる」高齢ドライバーの免許返納問題、家族の説得が難航するワケ

 5月28日、神奈川県茅ヶ崎市の国道で、90歳の女が運転する乗用車が、次々と歩行者をはね、うち1名が死亡するという事故が起こった。超高齢社会を迎えつつある日本において、“高齢ドライバーによる自動車事故”は、深刻な問題となっており、警視庁交通総務課によると、事故全体に占める高齢運転者(原付以上<特殊車を含む>を運転している65歳以上の者)の事故割合は、平成20年は11.1%だったが、29年には17.9%に増加しているという。

 警視庁のサイトを見ると、「高齢運転者は、自分で安全運転を心掛けているつもりでも、他人が客観的にみると安全運転とは言えないところがあると言われています」と指摘し、安全運転を支援するシステムを搭載した車(安全運転サポート車)の普及啓発に取り組んでいると紹介される一方、運転免許の自主返納サポートにも尽力していることがうかがえる。

 高齢運転者の事故と聞いて、一番に思い浮かぶのは、やはり“認知症”による影響だろう。2017年3月12日に施行された改正道路交通法では、75歳以上の免許保有者は、免許更新時に約30分の認知機能検査が必要となり、認知機能が低下している恐れがある場合は、実車指導と個別指導を含めた計3時間の「高度化講習」を受けて免許更新、また認知症の恐れがある場合は、後日臨時適性検査、または医師の診断が必要で、認知症だと判明した場合には、免許証の停止または取り消しとなる。これに加えて、特定の違反行為があった場合、臨時に認知機能検査も実施されているのだ。

 こうした対策が取られてはいるが、家族としては、認知症でなくとも高齢になれば運転を控えてほしい、免許を返納してほしいのが本音だろう。事実、今回事故を起こした容疑者も、3月に運転免許証を更新した際の認知機能検査で問題は見つからなかったものの、息子から免許返納を勧められていたとのこと。それでも、容疑者は免許を返納せず、大事故を起こしてしまったのだ。

 今回の事故をめぐっては、家族が高齢者に対して免許返納の説得をするのが難航する実情が浮き彫りになった。立正大学心理学部教授で、『高齢ドライバー』(文春新書)の著者・所正文氏は、今回の事故を「たとえ90歳になっても、運転免許を持っているような方は、まだ体が動くうちは運転し続けたいのでしょうね。車の運転は自立の象徴であるからです。運転断念後の生活の道筋ができていれば返納を受け入れると思いますが、単に周辺者が『危ないからやめろ』と言ってもなかなか受け入れません」と語る。

 確かに、「車の運転をやめるように言うのは、高齢者の尊厳を傷つけかねない行為」などといった論調で伝える新聞やテレビは多い。しかし、ネット上では「運転免許を取得できる年齢が定められているように、免許を返納する年齢も決めちゃえばいいのに」「地方だと、確かに足がなくなるって問題があるけど、免許返納ってそこまで重大なこと?」などとさまざまな声が上がっている。こうした意識の違いが、免許返納の説得を難しくさせている要因になっているのかもしれない。

 また、『介護というお仕事』(講談社)などの著者である介護ジャーナリスト・小山朝子氏は、加害者が「認知機能検査に問題がなく、ゴールド免許で、息子さんも『認知症のようには思えなかった』とお話されている点が、今回の事故の特徴だと思います」と前置きしつつ、認知症でなくとも、高齢者と家族間で、免許返納の話し合いが進まなくなるケースはあるという。実際に小山氏は、「娘の『免許返納』の提案を一切聞き入れない、ゴールド免許の80代」「地方に住んでいて、生活の足がなくなるのは困ると、返納を受け入れられない90代」など、さまざまな高齢者の話を見聞きしてきた。

「個人差はありますが、老年期(おもに65歳以上)になると、性格面で変化が生じることがあります。例えば、他者の意見を聞き入れない、用心深くなるなど。若い頃は、新しいものにチャレンジしようという意欲があった人でも、年を重ねると『危ない橋を渡りたくない』と考える傾向にあります。例えば、これまで食べたことがない、聞いたこともない食材が食卓に並んでいると、『食べたくない』と言う高齢者がいますが、『これを食べるとアレルギー反応が起きるのではないか?』『病気になるのではないか?』などと考えてしまう。このような不安の背景には、配偶者や友人を失うといった喪失体験が増え、自分の命に対する不安が増していることも考えられます」

 これらは“加齢性変化”といわれ、一般的に起こりうることで、苦労する家庭は少なくないという。こうした性格の変化が、少なからず免許返納の説得に影響を及ぼす可能性は否定できない。

 また、ほかの人から言われたことを、「批判ではないのに『批判されている』と受け取り、攻撃的になるなど、心理的な影響が大きくなる傾向があります。逆に傷つきやすくなって、抑うつ(気分が落ち込んで何もしたくない状態)になる人もいます」。

 先月11日、愛知県に住む83歳の男が、自宅に自ら放火し、警察の簡易聴取に「運転免許の返納をめぐって家族と口論になった。自暴自棄になり、死んでやろうと思って放火した」と供述していたというが、「このケースも、加齢性変化による心理的な影響があったことも考えられます」。

「高齢者に関する研究を行っていたアメリカの精神科医、ロバート・N・バトラー氏は『年を重ねると、自分を頼る、自分自身に誇りを持つ傾向がある』と示しています。“行動に強い責任感をもつようになる”ということです。免許返納をしたくないのは、『人に頼らないで、自分でできることはしたい』という意思の表れでもあるのではないでしょうか。一方、高齢者は新たな環境への適応が難しくなり、保守的傾向が強くなります。『運転しない生活への変化』に拒否感があることも考えられます」

 誰にでも起こりうる加齢性変化。しかし、家族がそのことを知らないままだと、「父母が、祖父母が変わってしまった」と大きなショックを受けることになるのではないか。

「免許返納の話をする以前に、高齢者とその家族の間で、コミュニケーションが取れていないケースも考えられますよね。このような場合は、医師やケアマネジャーなど、第三者を介入させるのも手かもしれません。2000年に、介護保険制度が始まり、介護をサービスとして頼むことへの敷居が低くなってきましたし、高齢者の運転事故が社会問題となっている現在、免許返納にしても、家族だけで抱えこむのは得策ではないかもしれません」

 そもそも「健常でも、年を取ると性格が変わる」と知ること、また「ほかの家も同じようなことで悩んでいる」と思うだけで、家族の心は少し楽になり、高齢者への接し方を工夫するきっかけになりうるという。こうしたちょっとした意識の変化が、免許返納への第一歩となるのかもしれない。

 なお、前出の所氏も「この問題は警察による免許規制や高齢ドライバーを抱える家族のみの問題だけではなく、広い視点で捉える必要があります。キーワードは『多職種連携』と『地域連携』です」と語り、高齢者の免許返納問題の発展的な対策を紹介してくれた。

「熊本県を皮切りに九州各県、鳥取県などで免許更新現場に看護師・保健師を同席させた注目すべきシステムが展開されております。これは、高齢ドライバーから健康状況をはじめ生活全般について親身に話を聞き、地域事情に精通した看護師たちが具体的に助言・指導するというシステムです。これによって、確実に免許返納が増えているようです。私は、この数年、現地調査を行っておりますが、西日本から徐々に浸透してきているこのシステムが、免許返納の今後の切り札になるように感じております」

 今後もさまざまな議論が繰り広げられるであろう高齢者の免許返納問題。二度と痛ましい事故が起こらないよう、誰もが他人事ではなく向き合っていくべきなのではないだろうか。

整形男子アレンもボロボロに!? セラミックやジルコニア、人工歯トラブルの実態をきぬた歯科解説

 歯みがき粉「アパガード」CMの「芸能人は歯が命」というキャッチコピーが、かつて大きな話題を呼んだことを覚えているだろうか。このCMは今から20年以上も前のものだが、「歯の印象が、人の見た目に大きな影響を与える」のは、いまや常識となっている。人から見られる職業である芸能人はもちろんのこと、一般人の中にも「見た目の美しい歯を手に入れたい」と、ホワイトニングに力を入れたり、歯列矯正をする人は多く、中には、健康な歯を削って、セラミックなどの人工歯を被せる人も珍しくなくなった。

 しかしそんな中、「整形男子」としてメディアに登場するタレント・アレンが、ブログで人工歯のトラブルを告白。アレンは5年前、自身の歯16本を小さく削り、神経を抜き、そこにジルコニアと呼ばれる人工歯を被せたというが、「土台からジルコニアが揺れるようになった」とのこと。差し替えた際に、歯をより綺麗に見せるため、元の前歯を削って、ジルコニアを4mmほど内側に倒したといい、その負荷が原因なのではとつづっている。応急処置として、前歯のジルコニアの後ろ側を少し削ったものの、今度は顎関節症のような症状が出て、アゴには疲労感が、また頭と首にも痛みが走るようになり、「自殺したくなるほど」の心境にまで陥ったという。

 アレンのこの告白は、人々に「健康な歯を削るリスク」について、あらためて知らしめることとなったが、果たしてこの事態を、歯科医はどう見るのか。今回、インパクトの強い看板でお馴染みの八王子きぬた歯科院長・きぬた泰和先生に取材を行うと、「アレンさんのトラブルは、実は日常的によくある話なんです」とのこと。歯の美しさを求める人にとっては他人事ではないこのトラブルを解説してもらった。

――アレンさんの人工歯トラブルですが、率直にどのような感想を抱かれましたか。

きぬた泰和先生(以下、きぬた) まず、アレンさんはブログで「神経を抜いた」と書いていましたが、神経を抜くと歯が弱くなるため、そもそも「神経を抜かなければよかったのではないか」という話なんです。しかし神経を抜くと、水や空気が当たって凍みることがなくなるので、歯をより多く切削できる面があります。元の歯を小さく削れば削るほど、人工歯の角度を自由自在にできる、つまり見た目の美しい歯にしやすいのです。これが彼を担当した歯科医の作戦だったのではないでしょうか。気持ちはわかります。

 また、彼はジルコニアの人工歯ですが、セラミックの人工歯は、パウダーを焼き付けて重ねていくことで多層構造を作り、よりリアル感のある色にしていくものでして、その場合、元の歯は小さければ小さいほど、色合わせが自由自在となる。ただし、繰り返しますが、彼が被せたのはジルコニアであり、これはセラミックとは違ってパウダーを重ね合わせて色合いを調整する素材ではないんです。恐らく担当した歯科医が、セラミックと同じ要領で神経を抜いて、歯を小さく削ったのではないかと思われます。

――歯科医が、そんなミスをするものなんですか。

きぬた ミスかどうかはわかりませんが、サメの歯のように小さく削るのは、美容歯科系に多いですね。セラミックをきれいに作るための訓練をしているので、「ジルコニアを被せる」という認識がなく、自動的に歯を小さく削ってしまった可能性はあります。また、ジルコニアの歴史が浅いのも、セラミックと同じ要領で削ってしまったことに関係しているかもしれません。ジルコニアが歯科領域に登場したのは、ここ10年くらい。人工ダイアモンドと呼ばれるほど硬い素材で、当初は土台として使用されていました。神経を抜くと歯が弱くなるので、それを補強するために、歯の中に芯を入れて土台を作るんです。被せ物として使われるようになったのはまだ5年くらいで、彼が差し替えたのは、まさに「出始めの頃」だったのでしょう。

――被せ物としてのジルコニアの安全性は、まだ確立されていないんですね。

きぬた ジルコニアであれば、大きく切削する必要はないし、神経を残したままにしてもよかったかな? とは思います。それでも彼の場合、やはり歯の角度を変えるため、神経を抜いて元の歯を小さくしなければならなかったのかもしれません。ちょっとくらい角度を調整するのなら、神経を抜かなくてもよかったはずですが、彼は前歯を内側に4mm倒したと。これって、かなり思い切った数字で、僕がやるとしたら、MAXで1mm。普通は倒したとしても1mm以下です。あくまでも僕の基準ですが。

――アレンさんはそれが原因で前歯部分のジルコニアに負荷がかかり、「土台からジルコニアが揺れるようになった」と言っています。

きぬた 顎というのは上下、前後、左右と、あらゆる角度で自由自在に動くものですが、アレンさんはジルコニアに差し替えた際、前歯を内側に倒したため、上の前歯と下の前歯がクローズ状態となり、稼動域が限られてしまった。それでも、今まで通りに顎を動かそうとして、上の前歯と下の前歯がガンガンぶつかり、負荷がかかったというわけです。セラミックは、負荷がかかると割れて、それが「このままでは歯根に無理が生じますよ」という警告になるのですが、いかんせんジルコニアは強力に硬い。すると、歯根が衝撃を受け続ける状態になるのです。

――ジルコニアは無傷なのに、その中の歯根がダメになるのですか?

きぬた 車を例に説明しましょう。昔、車のボディーというのは硬かったのですが、最近は柔らかい材質になっています。というのも、車がぶつかった際、ボディーが硬いと、ボディー自体は平気なのですが、衝撃が中に乗っている人に伝わるのです。なので、死亡事故も多かった。一方、ボディーが柔らかいと、ボディー自体はグシャッと潰れるものの、そこで衝撃を吸収してくれるので、中の人への影響は少なくなります。ジルコニアに負荷を与え続けると歯根がダメになる原理と同じです。

――アレンさんは土台については言及していましたが、歯根に関しては特に何も言っていなかったので、歯根が折れるまではいっていなかったかもしれません。

きぬた 土台がそもそも「浅かった」ので、土台がグラついたという面もあるのではないでしょうか。実はこれ、不幸中の幸いなんです。土台が深かったらその衝撃がより歯根に響いて、折れていたと思いますよ。

――結局、アレンさんは、土台ごと抜けた上の歯の部分は、土台ごと作り直し、ジルコニアをスーパーボンドで固定したそうですが、それは正しい治療法と言えるのでしょうか。

きぬた アレンさんは、サメのようになった小さな歯が「ボロボロ崩れちゃって」と書いていたので、歯根状態になっているとみられます。そこに自分の歯と近い、けれど少しだけ内側に入れた土台を作り、そこに「仮歯」を被せて様子を見るのがいいと、僕は思いました。もしそれで調子が悪いならば、さらに土台と仮歯を調整していき、問題ないとなったら、正式な歯を取り付けるんです。歯根があるのだから、土台を何度も作り変えればいいのではないでしょうか。

 また、彼は、前歯部分のジルコニアの裏側を少し削ってもらったとも書いていましたが、それは、上の前歯と下の前歯がクローズ状態となっている噛み合わせの当たりを、弱くするのが狙いでしょう。歯の動きに多少、遊びができるようにしたわけです。確かに急場をしのぐにはその方法しかありません。しかし、それは同時に奥歯への負担が大きくなることにもつながります。つまり、前歯に遊びができた分、ものを噛んだときに、奥歯だけしか上下の歯が噛み合わなくなり、異様な感覚が口内に広がっていると思いますよ。

――顎関節症の症状が出たり、頭や首に痛みが走るようになった原因は噛み合わせの変化なのでしょうか。

きぬた いえ、噛み合わせとの因果関係は証明しにくいですね。顎関節症は、メンタルの不調が原因だとも言われているので、恐らく噛み合わせが急激に変化したことにより、アレンさんの精神の均衡が崩れたのではないかと思われます。

――先生の話を聞いていると、安易に見た目のために健康な歯を削るべきではないと感じます。

きぬた そうですよね。でも、リスクを背負ったとしても、芸能人の方など「どうしても今、歯を綺麗にしなければいけない」という人はいると思います。じゃあ、どうするのか。僕だったら、神経を抜かないで、元の歯をサメの歯のように小さく削らないようにします。そして、ジルコニアではなくセラミックを使います。強度を不安視されるかもしれませんが、最近のセラミックは硬くなっていますし、その半面、先ほど言った通り、負荷がかかったときは、欠けることでちゃんと“警告”してくれるんです。そして、そのセラミックを「仮止め」します。今はいろいろな種類の接着剤があるので、仮止めといっても日常生活にはまったく問題はありません。また、自分の歯の表面に、0.5mmくらいの厚さでセラミックを貼り付ける「ラミネート」という方法もあります。それだけだと剥がれ落ちてしまうことがあるので、歯の裏側にも少しだけセラミックを引っ掛ける方法もあるんです。刺青と同じで、今はいいけどのちのち後悔することがあると思うので、このような“引き返せる”治療を選ぶのが大事なんですね。

――美容目的の治療で、健康な歯の神経を抜いたり、小さく削ることで、将来的に自分の歯がなくなってしまうのは怖いです。

きぬた 歯がなくなったり入れ歯になると、ものを噛んでも脳に刺激がいかず、認知症のリスクが上がるという話もあるので、確かに怖いですよね。ただ、インプラントにすればその心配はありません。インプラントは、口腔内の骨に人工の歯根を作り、その上に新しい歯を作るという方法で、もしアレンさんも歯根がダメになったら、最終的にはインプラントにすることになるでしょう。

 最近では、それ以外に美容目的で「スピード矯正」を謳う歯科医院で治療を受ける女性もいますが、実際の矯正と違い、噛み合わせをあまり考慮せずに、綺麗に並んだセラミックを短期間で、ケースによっては 1日で被せてしまうため、以前からトラブルがささやかれています。その人それぞれのケースによるので一概には言えませんが、怖いですよね。そういった心配のない一般矯正や舌側矯正、最近ではマウスピース矯正が人気になっているようです。美容目的で歯科治療をする人は、そのリスクをしっかり考えた上で臨んでほしいと思います。

きぬた泰和(きぬた・やすかず)
日本歯科大学新潟生命歯学部卒。東京・八王子のきぬた歯科/インプラントセンター八王子院長。都内をはじめ神奈川、埼玉のあらゆる場所に設置される「看板」が話題に。好きな言葉は「すべての業には時がある」。
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