美容意識が高い女性たちの間では、サプリを日常的に摂るという人も少なくない。最近SNSを中心に流行しているのが、「フォースコリー」「メリロート」そして「はとむぎエキス」で、それぞれ「ダイエット」「むくみ」「美肌」に効果が期待できるという。しかし、最近では、効果のほどが疑わしいサプリの存在が取りざたされることも多々あるだけに、果たしてこれらが、実際に信頼できるものなのか、気になるところ。今回、『そのサプリ、危険です!』(経済界)の著者である、予防医療サプリメントアドバイザー・柴田丞氏に話を聞いた。
フォースコリーは運動しなければ意味なし
――まず、「フォースコリー」について教えてください。化粧品やサプリのメーカーであるDHCから発売されているダイエットサプリで、パッケージでは「除脂肪体重(筋肉や骨、内臓など、体脂肪以外の組織の総量のこと)に着目」と紹介されています。
柴田丞氏(以下、柴田) フォースコリーの成分「フォルスコリン」は、もともと外国で「医薬品」に使用されているものです。インド大陸の伝統医学「アーユルヴェーダ」において、喘息やガン、はたまた高血圧など、さまざまな治療に用いられています。その中の一つとして、ダイエット効果に着目したのが、このサプリというわけです。
具体的にフォースコリーが体にどのように作用するのかについてですが、リパーゼとアデニリルシクラーゼという酵素が、脂肪を燃えやすい形にしてくれます。なので、フォースコリーを飲むと体重が減るのではなく、フォースコリーを飲んで「運動する」と、脂肪が燃えやすくなるというわけです。「除脂肪体重に着目」というのは、除脂肪体重を減らさず――つまり筋力を維持しながら体脂肪率を減らすことに着目しているといった意味になります。
――「これさえ飲めばダイエットはばっちり」といった、ぐうたら思考の人には向かないサプリですね。
柴田 はい、運動は必須です。ダイエットサプリにはさまざまな種類があり、例えば「炭水化物を吸収しにくくするもの」「胃袋で膨らんで満腹感を与えてくれるもの」などもあるのですが、フォースコリーはそれらとは別で、食前に飲めばいいといったものではありません。あくまで体脂肪を燃やしやすくするもの、運動の効率を上げるもの、体形を維持しながらダイエットしたい人向けのものと考えてください。論文にも「これを飲みさえすれば痩せる」と書かれているものはなかったです。「体脂肪は減少したが、体重は減少しなかった」といったものはありましたが……。ほかにも、ある国の実験で、23人の太りすぎ女性を対象に、12週間フォースコリーを投与したところ、「体重減少はしなかったが、実験期間中、体重増加はしなかった」という結果になった論文も見ました。
――危険性についてはどうでしょうか。
柴田 調べてみたところ、安全性に関する論文が出されているので、危険性は低いのではないかと考えられます。しかしフォースコリーの成分は、さまざまな薬効がある中で、主に「血圧を下げるため」に使用されており、となると、低血圧の人や、すでに血圧を下げる薬を飲んでいる人はあまり飲まない方がいいかもしれません。
――続いて「メリロート」についても教えてください。こちらもDHC、また大手だとFANCLも販売しています。メリロートはマメ科のハーブで、利尿作用を持つことから、むくみに効果があると広く知られています。
柴田 フォースコリーと同じく、メリロートエキスは、ヨーロッパだと、慢性静脈不全の治療として、脚の血流を良くするために使用される医薬品で、確かに利尿作用があります。それが、「脚のむくみを軽減するサプリ」という名目で売られているのです。ちなみに調べたところ、メリロートエキスはもともと、主に「いぼ痔の緩和」にも使われているものだといいます。
メリロートで着目したいは、過去に肝障害の被害報告が上がっている点です。メリロートエキスの中に含まれ、効果のもとになっている「クマリン」という成分があるのですが、肝障害の報告を受けて調べた結果、このクマリンの含有量が医薬品の摂取目安量を超えており、これが原因なのではないかと疑われたそうです。メリロートエキスをサプリとして売る際、このクマリンの含有量について規制がなかったのが原因でしょう。
――それで販売停止にはならなかったのですか。
柴田 肝障害の報告が出たのが2003年で、DHCの「メリロート」だったのですが、1日の摂取目安量を3粒から2粒に減らすことで販売を続けているようですね。それで特に、被害報告が出ていないのであれば、問題はないのでしょうが、飲めば飲むほど利尿作用があると思い、大量に摂取するのは絶対に避けるべき。そういった飲み方をする人は、むくみ対策というより、体重減少を目的にしているかもしれませんが、そもそもメリロートにダイエット効果は期待できません。
――では、「はとむぎエキス」はどうでしょうか。肌に透明感やなめらかさを与えるという効果が期待できるとのことで、こちらはDHC、アサヒグループ食品などから販売されています。
柴田 はとむぎは、イメージがいいですよね。よく知られる植物なので、天然のものであることが想像できやすいし、はとむぎ茶などもポピュラーですから。効果があるとされるのは、はとむぎエキスに含まれる「ヨクイニン」という成分で、ウイルス感染によるイボの治療薬として使われるものです。確かに、美肌効果は期待できるのではないでしょうか。メリロートのように被害報告が出ているものではないですし、安全性に関しては問題ないかと思いますが、「摂れば摂るほどよい」というものでもないですね。
しかし気になるのは、実際に商品として売られている「はとむぎエキス」のサプリを見てみると、はとむぎエキス以外に、さまざまな成分が入っていることです。例えば、アサヒグループ食品の「はとむぎエキス」は、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB2、ビタミンB6、さらにはヒアルロン酸とコラーゲンまで配合されている。もしアサヒの「はとむぎエキス」を飲んで、実際に肌が綺麗になった人がいたとして、「本当にはとむぎエキスの効果なのか?」と思ってしまうところはあります。
――ほかの成分によって肌が綺麗になったのではないか、ということですか。
柴田 そうです。ビタミンCは、たんぱく質をコラーゲンにするために必要ですし、ビタミンEは抗酸化作用によって細胞の健康維持に役立ちます。ビタミンB2・B6は、皮膚や粘膜を維持するもので、これだけ飲んでいても、肌への効果は期待できます。こうした疑問は、フォースコリーにも抱きますね。DHCの「フォースコリー」には、ビタミンB1・B2・B6も配合されており、これらにも脂肪燃焼作用があるので、効果があったとしたら、フォースコリーの成分ではなく、もしかしたらビタミンB1・B2・B6によるものなのかもしれません。こういう「保険を打っているサプリ」って、結構多いんですよ。なお、FANCLの「メリロート」に関して言うと、分岐鎖アミノ酸(BCAA)が配合され、これは筋トレをする人がよく摂取している、たんぱく質を作る成分。なぜメリロートサプリに、BCAAが入っているのか謎なのですが、ダイエット目的で飲んでいる人に向けてなのかもしれませんね。
――すでによく知られたサプリの中に、同様の効果が期待できるものがあるんですね。
柴田 やはり「目新しいもの」の方が手を伸ばしてもらいやすいのでしょう。例えばビタミンCが肌にいいというのは一般的に知られていますが、はとむぎエキスのサプリと一緒に並んでいたとしたら、「どんなサプリなんだろう?」と、はとむぎエキスの方に興味を示す人が多いのでは。ちなみに、売るためには値段設定も重要で、皆さん「値段が高い」と買うんですよ。フォースコリーは、30日分3,000円弱の値段で、同様の脂肪燃焼作用があるビタミンB1・B2・B6のサプリより割高ですが、よくわからないサプリの値段がそれなりに高いと、「効果があるのではないか」と期待する人は少なくない。そういったサプリのからくりを知っておいてもいいかもしれませんね。
柴田丞(しばた・たすく)
1980年、東京都生まれ。2007年、東京農工大学大学院応用生命化学専攻修了。大手外資系製薬会社アストラゼネカなどを経て、株式会社柴田丞メディカル総合研究所を設立、代表取締役に就任。予防医療サプリメントアドバイザーとして活躍中。著書に『そのサプリ、危険です!』(経済界)がある。







