3代目バチェラー・友永氏、「彼女とお別れした理由」激白! あの発言の真意とは?(※ネタバレ)

 CMやSNS等でも話題沸騰中のAmazon Prime Video独占配信中の、リアル婚活サバイバル番組の『バチェラー・ジャパン』シーズン3。3代目バチェラーの友永真也氏は、最後に残った女性へ渡すため、世界に一つしかないオーダーメイドの指輪を用意して参加するほど、結婚への強い意気込みを感じさせていました。そして20人いた女性たちをふるいにかけ、第11話で、ついに水田あゆみさんを選んだバチェラー。ですが、まさかの話はここで終わらず、“バチェラー史上初”のドタバタ展開に! 

 『バチェラー』シリーズのファンとしては、最終話を迎えるまでの間、「あんなにお気に入りに見えたのに、なぜ!?」と納得のいかないお別れ劇もありましたよね? 

 今回はお別れとなってしまった女性たちへの本心を、バチェラー・友永氏に根掘り葉掘りと聞いてみました。

お別れした人たちの理由

 第1話では5人、2~4話は2~3人、5話以降は1人と各回で女性が脱落していきますが、バチェラーと過ごす時間が長くなるほど、ローズセレモニーでのお別れの儀式は毎回ヘビーになっていきます。涙を流して別れを惜しむ彼女たちを見ていると、「一体なにがダメだったの?」と思ってしまうことも。

◎6話 濱崎麻莉亜さん

 
 
 
 
 
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 6話でお別れした濱﨑麻莉亜さんのことを、すごく気に入っているように見えたので、驚きました。水族館デートでは、かなり感情が入っているように見えましたが……。

「多分、映像だと僕の感情以上に気持ちが入っているように見えるかもしれませんね」

 ビズ(フランス式のキスをする挨拶)をたくさんしていたので、そのせいもあります。

「あれはフランスでは普通のこと。友達の彼女にもするし、何なら男性にする場合もあります。握手と同じような感覚なので、キスとは違いますね。彼女とは10歳の年齢差があって、ライフステージも違うし、なんとなく彼女の前ではカッコつけないといけない気になって、本当の自分を出せないんです」

若い女性を好む男性が多いなか、年齢差が重荷になる人もいるんですね。たしかに、年は近い方が楽な面があることは否めません。

◎7話 中川友里さん

 
 
 
 
 
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 異例の『ローズセレモニー』前のお別れとなってしまった中川さんですが、7話でお別れをすることはすでに決まっていたのでしょうか?

「はい、彼女から話をされる前からお別れすることは決めていました。話をした時、彼女は“どっち”を選ぶのか本気で求めていたので、期待を持たせるのも申し訳ないし、彼女の出した答えがふさわしいと思いました」

 金髪でDJをしている中川さんについて、『バチェラー』シーズン1に出ていたギャルの“ゆきぽよ”にたとえていましたよね。女性陣の中では、見た目が派手なので、7話まで彼女が残っていたことを意外に思った方も多いと思います。

「彼女は良い意味でも悪い意味でも、裏表がなくてめちゃくちゃ素直で、そんなところに惹かれていました」

 でも、最終的には気持ちに答えられないと思ってしまった?

「彼女は精神的に弱い部分があるように思い、そこは気になっていましたが、一方でそこが魅力でもありました。ほかの方と比較して、相対的に考えたとき、彼女ではなかったということだったかもしれないですね」

 7話では、当初の20人から4人にまで絞られ、もう誰が落されても致し方ない状況になっています。

 
 
 
 
 
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 田尻さんが実はバツイチで子持ちだったことは、特に気にしないとのことでしたが、やはり息子さんと直接お会いしたことで気持ちに変化が生まれたのでしょうか?

「息子さんとは本当に会いたいと思ったし、いろんなことをたくさん、本当に答えにくいようなことも話して、仲良くなれたと思っています。でも、田尻さんの親御さんと話した時に、娘の話よりも孫の話が多くて、自分の心の準備が足りないことに気づいた」

 心の準備とは、父親になるということですか?

「そうですね。子どもを持つというのは、とても大きなこと。自分はまだ、子どもを持つというステージに行き着いていないと思いました」

 確かに、大きいですよね……。

◎9話 野原遥さん

 
 
 
 
 
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 スカイダイビングやドライブインシアターなど、野原さんとはゴージャスなデートで楽しんでいました。お二人は、とてもお似合いに見えていましたが……。

「彼女については、すごくカッコいいなと思っていて。憧れ感が強くて、お互い距離を縮められなかった部分がありますね。双方に壁が1枚あって、平行線みたいな感じ」

 絵になる2人でしたが、お互いシュッとしすぎている感じはしました。

「彼女がシュッとしすぎているから、その横にはもっと合う人がいると思ってしまいましたね。僕、すごいだらしないところがあるのですが、自分のだらしないところを出せない気がしました。緊張感がいつもある感じですね。頑張ってしまうというか」

 ですが、8話で彼女の実家へ挨拶に行った際、農業をする姿を見て隙やギャップを感じませんでしたか?

「正直それはなかったですね。農業しててもカッコよかったですよ(笑)」

 ところで野菜嫌いなのに、あの時よくもぎたてのネギを食べられましたね。相当嫌だったのでは?

「相当嫌でした(笑)。でも辛くなくて甘かったので、何とかなりました。もぎたてのネギはおいしいと知りましたね(笑)」

 かくして、最終話まで残ったのは、山梨でぶどう農家を営む両親を持つ岩間恵さんと、元・北新地のホステスという水田あゆみさんの2名になりました。

 『バチェラー・ジャパン』シーズン1・2では、ファーストローズをもらった女性は最後まで残れないというセオリーがありましたが、今回は、ファーストローズを受け取った岩間恵さんが最終話まで残っており、“初のファーストローズ完遂なるか”と期待されます。

 ちなみに、9話の最後では、岩間さん、水田さん、野原さんという3名の女性を紹介された友永氏のご家族が、全員一致で「水田さん」を好印象だと答えていました。しかし、友永氏は、その言葉を受けて初めて感情をあらわにしていましたね。

「“岩間さんが良いって思ってるのに”って言っちゃいましたね(笑)」

 やはり、ご家族だけに感情が出てしまったのでしょうか?

「そうですね。『今までのことを何も知らないのに、何言ってるの?』と思って(笑)。1~8話も見ているわけでもないし、少しの時間対面しただけで判断するなんて、無理だと思います」

 短時間で第一印象勝負の場では、コミュニケーション能力があって同じ関西弁の明るい水田さんにアドバンテージがあったのですね。そんな友永氏は、「好きになる方と好きになられる方と、どちらが幸せか?」とご両親に問いていましたが、シーズン1では「好きになる方(追いかける方)」、シーズン2では「好きになられる方(追いかけられる方)」をバチェラーは最後に選んでいました。

 一般的に、男性は追いかける(好きになる)方が好きなタイプが多いとも聞きますが、例外なく友永氏も、10話のスタジオトークで、野原さんとお別れした理由を聞かれた時に「追いかける方」が好きなことが判明しましたね。そして11話では、恐らく誰もが予想してたであろう岩間恵さんとお別れをし、水田あゆみさんを選んだバチェラー。ですが、その後、岩間さんを選び直すという“史上初”のドタバタ劇を展開することに!

 バチェラーといえば毎回、後半になればなるほど、お別れする女性を苦渋の思いで選択するシーンが見どころではありますが、今回は今までにない優柔不断さを感じました(笑)。ただ、最終話で岩間さんから「(好きかどうか)わからない」的なことを言われているので、最後に水田さんを選ぶバチェラーの気持ちもわかります。うーん。どうしてもモヤモヤが残ってしまう筆者ですが、お二人には結婚というゴールインまで果たしてほしいですね~!
(白戸ミフル)

“元・アウトローのカリスマ”瓜田純士『ジョーカー』を大絶賛! 「俺とアーサーの違い」とは? 

 映画『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督、ホアキン・フェニックス主演)が世界各国で話題沸騰中だ。“悪のカリスマ”が主役の作品となれば、この男は居ても立ってもいられないだろう。“元アウトローのカリスマ”こと瓜田純士(39)が、妻と共に映画館に向かった!

 コメディアンを夢見るひとりの心優しい男・アーサーが、映画史上最凶の悪役といわれるジョーカーに変貌するまでを描いた『ジョーカー』。ベネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得した本作は、日本でも公開から3週連続で週末ランキングのNo.1を記録するなど快進撃を続けている。

 バットマンシリーズの悪役として知られるジョーカーだが、今回の映画は独立した作品であるため、「シリーズを見ていなくても楽しめる」との声も多い。シリーズのファンである瓜田と、シリーズ未見の妻・麗子。それぞれの感想を聞いてみよう。

 ✳︎ ✳︎ ✳︎

――いかがでしたか?

瓜田純士(以下、純士) いやぁ、もう、めちゃくちゃよかったですよ! 『ゴッファーザー』とか『アマデウス』とか『タイタニック』などの歴史的名作に、いきなり肩を並べたどころか、ヘタすりゃ首位に躍り出たんじゃないか、ってぐらいのド傑作でした。ひとりの孤独なメンタルをやられた男が、テレビの力を使いつつ、政治的な要素も重なって、一夜にして悪のカリスマになる。その描き方が圧巻でした。お見事と言うほかない。

「(アーサーとジョーカーを演じた)ホアキン・フェニックスの演技がすごい」というウワサを耳にしてたから、最初は斜に構えて見てたんですよ。「ほうほう、どれほどのもんだい? ちょっとやそっとじゃ、俺は驚かないぞ」と。ところが、そんな上から目線な態度の俺が、開始早々、胸ぐらをつかまれてKOされて病院送りになるぐらいの怪演でしたから、参りましたよ。歴代の、どのジョーカーよりもすごかった。

――奥様はどうだったでしょうか?

瓜田麗子(以下、麗子) 泣くと思って、わざわざティッシュを買って劇場入りしたのに、まったくその出番がなかったです。なんやあのメンヘラ被害妄想男は。あいつ、暗いねん。

純士 だから、それを演じ切ったのがすごいんだよ。並の役者だったら、台本があっても、あの演技は無理だって。

麗子 鑑賞中、純士がずっと横で泣いてるから、「はぁ、純士の頭の中は、やっぱこうなんや……」と再確認すると同時に、付き合い始めの頃の自分の苦労を思い出してウンザリしたわ。

純士 俺をメンヘラ扱いかよ……。

麗子 ホンマに出会った頃はああやったから。

純士 (あきれ顔で)ごくまれに、こういうバカっているんですよ。これだけの名作をくさすバカが……。うちの嫁にシャガールとかゴッホの絵を見せたところで、どうにもならない。つまりは、そういうことでしょうね。

麗子 シャガールやゴッホやジョーカーに心酔するような奴は、ブランドに弱い奴やと思うねん。

純士 いいものをいいと思えない。そういうひねくれたバカは、『天気の子』でも見てりゃいいんですよ(笑)。

麗子 『天気の子』はよかったなぁ(参照記事)。

純士 ああいうどうしようもないインポテンツな作品が、嫁は好きなんですよ。俺だけがベタ褒めしてるんならただのメンヘラ支持者のたわごとで終わっちゃうかもしれないけど、世界の絶賛と照らし合わせれば、『ジョーカー』がいかに素晴らしいのかはわかること。俺、この映画になら1万円出してもいいと思いました。

麗子 1円も出したないわ……。

純士 最初から最後まで圧巻だったじゃん。あの表情や、走り方、そして彼が少しずつ傷ついていく描写などに、いちいち鳥肌が立った。そんな彼が、ただたたずんでるだけでも絵になる。日本人じゃ、そんな俳優は1人もいない。レベルが違いますね。

麗子 この映画をええと思う人は、偽善者か、育った境遇が近かった人だけやと思うで。「かわいそう、かわいそう。人を殺すのもわかるよ」って、じゃあ、「植松聖(相模原障害者施設殺傷事件の犯人)の気持ちもわかるよ」となるんかい。

純士 正真正銘のバカは、こういう横ヤリを入れてくるんですよ。誰も人殺しがいいなんて言ってない。彼の芝居の話をしてるだけで。

麗子 あいつには向上心がないねん。

純士 それはただの因縁だね。「かわいそうな人の話は初めから見る気がしない」「主人公がマイナス思考の映画は全部受け入れない」ってことになったら、批評なんか成り立たないだろ。ひよっけ(妻の愛称)は、1から9までをすっ飛ばして、ただ好きか嫌いかの感情だけで語っちゃうから、つまんない。関西人がよくやるんですよ、こういう話になんないことを。串カツでも食ってろって話ですよ。ブヒブヒ言いながら(笑)。

麗子 彼はもっと現状を把握して、もっと向上心を持って行動しやんとあかんねん。

純士 だから、リアルの社会でこんなのがいい悪いの話じゃなく、映画としてどうなのかって話をしてんのに……。自分の嫁がここまでのレベルだと思うと、情けなくなってくるわ。

麗子 ウチも、あいつや純士のことが、情けないと思うわ。とにかくこの映画は、受け入れられへん。「かわいそう」に持っていこう、持っていこうとするあまり、逆に冷めた自分がいてたわ。

純士 でも、ひよっけは、『プリズン・ブレイク』のティーバッグがかわいそうな目に遭ったときは泣いてたじゃん。ティーバッグは、6人の子どもを強姦殺人した鬼畜だぞ? ルックスに左右されてないか? ジョーカーは見た目がキモイから好きになれないだけだろ。

 確かにホアキン演じるアーサーならびにジョーカーはキモイ部分もあるけど、しゃべらずして演じるっていうの? 口元ひとつ、目つきひとつで悲哀を漂わせるその姿に、俺は心をわしづかみにされたよ。もしホアキンが、汁に麺だけの味気ないラーメンを、「A.激辛」「B.お袋の味」で演じ分けたとしたら、A、B、どっちでも泣く自信があるわ。

麗子 どんだけ泣き虫やねん。

純士 ガキどもに追いかけられていじめられるシーンも、舞台でやらかすシーンも、バスで冷たい視線を浴びながらカードを出すシーンも、便所でブン殴られるシーンも、全部ハラハラしたし、泣けた。地下鉄でサラリーマンのグループと同じ車両になったシーンなんて、「ああ、これからロクでもないことが起きるに決まってる」と胸が締め付けられちゃって……。

 俺自身、精神科病院に入ったことがあって、精神疾患を抱えた人と結構接してきてるんですよ。病院の中ではいい人だったけど、彼らも表で事件を起こすと、ウチの嫁みたいな民衆に叩かれるんだろうな。もちろん人殺しはいけないことだけど、そこまで追い詰められる理由も見てあげないといけないな、なんてことを思ったり。

 ここまで感情移入させられたのは、そうした実人生で経験したことの影響もあるけど、やっぱホアキンの演技力あってこそ。すごくなかったですか、彼の表情。母親の前や、カウンセラーの前では急に、おっさんなのに少年みたいな顔になるし。マイケル・ジャクソンを思い出したわ。

 子どもの前でマジックもしてたけど、ああいう演技って実際、難しいと思うよ。相当練習しないと無理。ちなみにあの子どもが誰なのか、わかった?

麗子 誰って、あのお屋敷に住んでる資産家の息子ちゃうの?

純士 そうなんだけど、それだけじゃないんだよ。彼が大きくなったら、どうなると思う?

麗子 わからん。

純士 やっぱバットマンシリーズを見てない人だと、わからないか……。ホアキンの演技に話を戻すけど、トイレかなんかでクネクネ気持ち悪いことをやってたよね。ガリガリの体で。でも終盤、髪を緑に染めて、あの服に袖を通してジョーカーになると、気持ち悪さが格好よく見えてくる。デコ(警察)から逃げながらタバコを吸うシーンや、自己陶酔したように階段で踊るシーンなんかは、しびれるほどに格好よかったなぁ。

麗子 純士とかぶるところなかった? ナルシストなところとか、被害妄想っぽいところとか。

純士 被害妄想で思い出したけど、映画を見てる最中にちょっとだけ引っかかったのは、「それって、殺すほどのことか?」と思えるようなシーンがいくつかあった点。でも今にして思えば、それもあえて、そうしたのかも。その手の人は思い込みが激しいっていう、実際の症例を取り入れてるのかもしれませんね。

――そのほか、この映画で気に入った点は?

純士 テレビ司会者であるコメディアンを、貫禄たっぷりに演じたロバート・デ・ニーロですね。生放送を滞りなく進行しなくちゃいけないという場面で、ジョーカーが、みんなの顔が引きつっちゃうようなことを次から次へとやらかすじゃないですか。その状況下、デニーロがとっさに機転を利かせるシーンが好き。

 もちろん細かいシナリオがあるんだろうけど、本当に引きつった感じ、そしてその引きつった状況から、ほかのゲストに腹の内を見られないように、ポンポン話題を変えていくところの演技がすごかった。生放送中のハプニングに対応する、みのもんたやタモリを見てるようでした。

 あとは映像美ですね。古い町並みや、酒場とか地下鉄がよかったです。舞台は古いのに、迫力がすごい。特に電車のシーンは臨場感たっぷりでした。ただ、これは劇場の問題かもしれないけど、若干ボリュームがデカすぎたかなって気もします。

麗子 おしゃれやな、きれいやな、と思えるシーンは確かにあったな。

純士 美しさと孤独さがたまらなかった。孤独な奴ってこうなりかねないっていう瀬戸際の状況。そういうのをあまり美化しちゃいけないんだろうけど、明日からそっち側に行っちゃうんじゃないかというギリギリのボーダーラインと、それを突破する心模様がとても上手に描かれていた。社会で居場所がなくて人に愛されてないから、彼はものすごく孤独だったんだと思うよ。

麗子 愛されようと努力すればええやん。

純士 そのやり方がわかんないんだよ。誰も教えてくれないから。現実社会の身の回りにも、ああいう、どこにいても「あっち行け」と言われるような際どい人って結構いるよね。

麗子 純士とかぶるな。

純士 なんでもかんでも俺にかぶらせるんじゃねえ! でも確かに、ひよっけと出会わなかったら、俺もあっち側に行ってたかもしれない。アーサーと俺の違いは、自分を出すか否かだね。アーサーはジョーカーという別の人格を作り上げて恨みを晴らしてたけど、俺クラスのナルシストになると、そんなことをして獄中に入ったところで誰が俺を称賛するんだ、割に合わないだろ、と思っちゃう。だって、名前を変えて顔を隠しちゃったら、瓜田純士の手柄にはならないじゃないですか。だから、あっち側へ行かずに済んだ。

「コンチクショウ」と思って、ヤケのやんぱちになりかけたこともあったけど、俺の場合、そういうときに、テレビ番組に呼ばれるような絶好の大舞台もなかったし。もしそういう機会があったら、俺もすべてをぶちまけて、一夜にして悪のカリスマになってたかもしれない。実際はそんなことはなく、ただの「痴話ゲンカ脅迫男」レベルで終わりましたけどね(笑)。

 でも、アーサーほどじゃないにせよ、理不尽にさげすまれて傷つくことって、誰しもあると思うんですよ。だから多くの人が、ジョーカーに共感するんじゃないでしょうか。女性は母性本能をくすぐられるのかと思いきや、ウチの嫁に関して言えば、まったくその気配がないという……。

麗子 傷の舐め合いをする奴とか、向上心がない奴は嫌いやねん。

純士 傷の舐め合いどころか、彼には愚痴をこぼせる相手すらいなかったんだよ。誰にも頼らず、悪のカリスマになったところがすごい。悪といっても、今作では、まったく罪のない人を殺したわけじゃないんだけどね。

麗子 それは犯罪者を守ってるわ。どんな理由があっても人は殺したらあかん。

純士 とはいえ、今まで山ほど理不尽な目に遭いながらも、すべて「しょうがない」「致し方ない」と自分に言い聞かせてきた人間が、一度の間違いをきっかけに、歯止めが利かなくなっちゃう気持ち、俺にはよくわかるんですよ。

麗子 負け犬やで、負け犬。

純士 負け犬が、そのままカリスマになっちゃったわけじゃないですか。悪のカリスマに。かわいそうな奴なんですよ。

麗子 かわいそうやったら、何してもええんか?

純士 あそこまで行ったら、いいよ(笑)。

麗子 殺された人も、よそではええことしてるかもしれんやん。

純士 よそでいいことしてたって、AがBにしたことは事実。だからBがAにやり返しただけ。因果応報だよ。俺、無差別殺人や快楽殺人はもちろん否定するけど、もしひよっけが誰かにいじめられたら、いじめた奴を殺すと思うよ。

麗子 それは殺さなあかんな。

純士 そういうことなんだよ。だから俺は、ジョーカーを支持する。100点満点だから100点をつけたけど、本当は1000億点をつけたいぐらいですよ。派手なCGや手の込んだどんでん返しはないけど、めちゃくちゃ心を揺さぶられる作品でした。人に勧めたくなる映画ですね。見たほうがいいよ、って。

麗子 見やんでええわ。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

『ジョーカー』瓜田夫婦の採点(100点満点)
純士  100点
麗子  3点

※瓜田純士のYouTube好評配信中!(瓜田純士プロファイリング) https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg

※「“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき」の記事一覧 https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/

下ネタ大好きでも不潔なネタは嫌い…キングオブコント最下位でもオファー殺到の『空気階段』による“コントの作り方”

 今年、多くのテレビ番組に出演し、『キングオブコント』でも決勝へと駒を進めた空気階段。5月に行われた単独ライブ「baby」は絶賛され、10月に再演が決まる異例の事態になった。クズ芸人としての活躍が目覚ましい鈴木もぐらと、『キングオブコント2019』で「お笑いのある世界に産まれてきてよかったです」の敗者コメントで、ほどよい戦果を上げた水川かたまり。注目の2人のコント観に迫る。

――『キングオブコント2019』の決勝が終わって、1カ月ほど経ちました。今振り返ってみてどうですか。

水川 始まる前、1位から最下位まで全部シミュレーションしていてたんですよ。結局順位は最下位でふるわなかったんですけど、「そうか、このパターンか」という感じで……。「悔しかった」より、「楽しかった」が強かったですね。

――ベストの想定は優勝でした? チャンピオンより、爪痕残した2位が売れるようなパターンもあるじゃないですか。

水川 それはもちろん優勝です。1000万円もらえるんで。

鈴木 ゼロですからね、2位は!(笑)。 僕は『キングオブコント』はライブ感があったなという印象ですね。生放送、舞台の大きさ。コントライブの一番上に出られた感覚でした。

――決勝にかけるネタは早くから固まってました?

水川 毎年『キングオブコント』は、7月ぐらいに何をやるか決めてたんですよ。それが今年は直前までめちゃくちゃ迷いましたねえ。結局、ライブでかけていて、一見のお客さんでも安定してウケていた、タクシーのネタにしました。準決勝と決勝で同じネタをやるので、両方でちゃんとウケるネタがいいのかなと。あと今年はテレビでネタやる機会が多くて、基本的にもぐらがキャラクターを演じてボケるというコントだったんです。なのでそれ以外のパターンを見せたいなというのもありました。

YouTube「空気階段チャンネル」より

――そもそも去年、決勝に行くと評判でした。準決勝の感触はだいぶよかったんですか。

水川 よかったですね。決勝に行くものだと結果が出るまでは思ってました。ただ毎年、準決勝ウケて落ちたけど、その翌年に決勝行くパターンがわりとあるんですよね。やさしいズさんとか、パーパーさんとか。落ちてからはそのパターンを信じて、切り替えました。

鈴木 まあ、審査員の方が決めることですからね。僕は決勝の10組が限界を超えた数値っていうだけで、32組ぐらいがちょうどいいと思ってるんで。だからウケても行けない組が出てくるのは仕方ない気もします。

――空気階段さんはそれこそ1年ぐらい前から加速した印象があって、当時、ラジオで「劇場であまりスベらなくなった」と言ってましたよね。何が変わったんですか?

水川 ネタのテイストを変えたわけじゃないんですよ。お客さんがだんだん僕らのことを知ってくれて、浸透してきたのかなと。

鈴木 受け入れてもらうのに、7年かかったってことですかね。

水川 あと、もぐらの結婚もあるかもしれません。今までお客さんのイメージが、「借金あるクズ野郎。嫌い!」だったのが、「ちゃんと結婚して子供育てる人だったんだ!」で、見方が少しマイルドになったような。

鈴木 水川の言う通り、ずっと劇場に通っている方からしたら、得体の知れないヤツが結婚して、安心して笑いやすくなったんでしょうね。逆に初めて見る人が、「こいつ嫁子供いて、さらに借金あるのか?」になりましたけど(笑)。

水川 テレビのゴールデン帯の番組で、一般の視聴者に受け入れてもらうにはまだまだg時あ間かかる気がします。

―― 一方、『キングオブコント』のおかげで、かたまりさんの顔ファンが増えたという説もあるじゃないですか。

水川 イメージビデオのオファーが来ました。

――イメージビデオ?

水川 雑誌の付録のDVDみたいで。

鈴木 女の子が生クリーム舐めたりするようなやつじゃないですか? 僕は番外編で、水川が本編だと予想してます。

水川 不本意です……。今のところ検討中ですが、お金がよかったら引き受けます。

鈴木 地獄の沙汰も金次第ってことだよね。そういう人間なんです、水川は!

――空気階段を結成する前、養成所ではコントをやってました?

水川 はい、コントでした。僕はデデという、ボケとかあまり決まってないようなコンビで。大阪NSCと対抗戦をやったらギリ出してくれるぐらいのレベルでした。演者としての技量は足りなくても、台本の部分は同期の中ではよかったと思います。といっても、養成所レベルの話ですけど。

鈴木 僕は42歳ぐらいのおじさんと組んでコントやってました。マージナルマンというコンビで。

――それは奇抜な人と組めば目立つという考えで?

鈴木 いや、最初は年上だと知らなかったんですよ。看護師やりながらNSCに通っている方で。見た目は僕と同じぐらいに見えるんです。

水川 いや、おじさんのほうが若く見えたな。

鈴木 ネタは僕が書いてました。クラスでいうと上から2番目で、1番上のクラスには行けなかったですね。

――組んで初めて作ったコント覚えてます?

鈴木 初めて作ったのは……たぶん2時間サスペンスを1分で見せるみたいなコントやりましたね。そのときは20組ぐらいが出番1分でバーッと出るライブだったんで。

水川 スベったと思います。緊張して、あんまり覚えてないんですよ。

――デビュー当時、作家の山田ナビスコさんに「ヒゲを剃って漫才しろ」と言われたと聞いたんですけど。

鈴木 1年目ですかね。「なんでコントやってるのにヒゲ生えてんだ?」と言われました。

水川 「大喜利大喜利しすぎて、頭でっかちのヤツが書いたコントだ。それなら漫才やったほうがいい」と。悔しかったんでヒゲ剃らずにコントやってたら、そのうち認めてくれるようになって。

――振り返ると、頭でっかちなコントでした?

水川 そのころはキャラクターを入れることや、演じることに重きを置いてなかった気がしますね。面白い台本あれば面白くなるみたいな。

鈴木 そう考えると、確かにヒゲあってもなくても一緒のコントだったかもしれない。その時の俺らにはヒゲが早かったんです。

――もぐらさん、ヒゲあって太っていて個性が強いじゃないですか。組むとき、かたまりさんはコント作りにくくなると考えませんでした?

水川 それはなかったですね。ヒゲがあるとないで、説得力が違うんですよ。普通の太った人が言うことより、太ってヒゲ生えた人が言うことのほうが、本当のように聞こえてくるんで。

――つけヒゲではダメ?

水川 ダメなんです!

――コンビとして調子よくなってきた、と感じたのはいつぐらいですか?

水川 「多重人格」というネタが3年目にできて、新ネタライブにかけたらめちゃくちゃウケたんですよ。それまでもウケるネタはあったんですけど、芯食ってウケた感覚あって、「キャラクター入れるとこんなにウケるのか!」と感じましたね。そのネタもあって、その年は『キングオブコント』の準決勝まで行けましたし。

鈴木 あのネタに出てくる人がだらしなくて、自分に近かったんです。

――でももぐらさんって演技うまいですよね。特にボケ役じゃない時、強く感じます。

鈴木 最初はめちゃくちゃヘタだと思ってました。それはやっぱりキャラクターを考えるようになったからじゃないですか。昔は「静か」「激しい」の二択でしか考えてなかったんですよ。寡黙だけど激しい人みたいな、そういう人間を演じないとコントにならないと気づいたのも3年目ぐらいですかね。

水川 もぐらは器用ですけど、僕はできる役の幅が狭いんで……。いろんなパターンできるわけでもないから、ネタの足を引っ張らないようにしてるつもりですね。

――空気階段のネタって、どうやって作っているんですか。

水川 最近はパターンが変わってきてますね。僕がまるまる一本書いて渡すときもあれば、もぐらが書いてというのもありますし。2人で話し合うパターンが一番多いんじゃないですかね。

鈴木 こういう設定でこういうキャラでこうボケて、というのは2人で話して、道が見えたら僕はお役御免で、あとは水川がバーッと書いて形にしてくれてます。そうしないとまとまらないんで。

――あっ、そうなんですね。かたまりさんが一字一句書いてるものと勝手に考えてました。

鈴木 一字一句みたいな人間じゃないですよ! 「このへんは適当に」もありますし。

水川 台本に「?」って書いてるときもあります。おじさんのキャラ入ったネタで、大喜利的なボケだったら、僕が考えるよりもぐらのほうがウケたりするんで。そういうやつは任せてます。

鈴木 借金がある役の一言だったら、ほんとうに借金がある俺が考えたほうがリアルでいいんじゃないかということで。そこで出した案の取捨選択は水川です。ただ2人でやってることもあって、本当に筆が遅いですから。うらやましいです、早く作れるのは。

水川 かが屋とか早そうですよねえ。

――かが屋さんの名前出ましたけど、「このコント、すごいな」と感じるグループは誰ですか?

水川 かもめんたるさんとロバートさんですね。かもめんたるさんは聞いたことのない言い回しであったり、どこを面白がってるんだろう? という部分が。ロバートさんは問答無用で面白い。

鈴木 「これはとんでもないな!」という設定のコントをやってますもんね。それを3人の見た目のポップさで、ものすごい食べやすくしているという。

――空気階段さんって、劇場やテレビで見るコントと単独のコントがあまりかぶってない気がしまして。そこは分けてます?

水川 単独に関しては賞レースをいっさい意識してないんです。2時間見終わった後、面白かったなと感じてもらいたいのが優先で、ボケつめこんでたたみかけて爆笑……はいっさい考えないです。

――今年の春に単独でやっていた駄菓子屋のコントが、予想できない展開で驚異的に面白かったんです。ああいう長いのを縮めて賞レースに持っていこうというのはないんですか?

水川 あれは14分ぐらいあって、持っていく発想はないですねえ。芸人が審査するシステムの『キングオブコント』ならあったかもしれないですけど。

鈴木 観覧は一般のお客さんが多くて、その人たちを笑わせないと審査員も点を入れられないじゃないですか。だったらまずはウケないといけない。そうなるとああいう駄菓子屋みたいなネタは怖いというか。

――暗い世界観ですもんね。

鈴木 お客さんが「エー!?」「キャ~!」という反応になったら、それこそ今年の「R-1」の岡野(陽一)さんのようになる懸念もあるので(笑)。

水川 岡野さん、巨匠時代に『キングオブコント』でもお客さん引かせてましたね(笑)。ただ、今年の『キングオブコント』で、2本目に用意してたのは去年の単独でやったやつだったんですよ。単独のネタを縮めて賞レースにかけれたのは、一個よかったと思います。

――でも単独は単独なんですね。

水川 はい。単独をやるために『キングオブコント』出てるんで。

――大会で結果を出して、単独をやれる環境を作るということですか?

水川 そうです。

鈴木 大人の方に納得してもらうのには、賞レースで結果を出すのがわかりやすいですから。
水川 その単独を賞レースのために捧げるのは、本末転倒な気がするので。単独はめちゃくちゃ労力はかけているつもりなんで、できるだけ多くの人に見てほしいですね。東京03さんみたいに、何度も公演して全国展開するのをすごいやりたいですし、それが生活の基盤にできるといいなと。

――単独にこだわるのは、何がきっかけだったんですか。

水川 芸人になって2年目ぐらいに、かもめんたるさんの単独『メマトイとユスリカ』のDVDを見て、「段違いですごすぎる!」「こんな面白いものができるなら単独やりたい!」と心動かされたんです。あと芸人になる前、東京ダイナマイトさんのDVD『漫才ふたり旅』を見たのも大きいですね。ネタはダイジェストなんですけど、2人が全国の劇場行って漫才やってメシ食って、スタッフと車で海行って裸で遊ぶような様子を映していて。「芸人ってこんな楽しいのか!」と思えて、それが芸人になりたくなった理由の一つですし。

――ちなみにインタビューしてて、他事務所の芸人さんの名前が多くあがる気がしたんですけど、よしもと内で交友関係あるのは誰ですか?

水川 僕はオズワルドの伊藤です。マブダチです。

鈴木 僕は麻雀ネットワークで、トレンディたかしさん、シソンヌじろうさんとは仲良くさせてもらってますね。鬼越トマホーク・坂井さん、ゆにばーす・川瀬さん、おかずクラブさん、デニスの(植野)行雄さんには、よくごはん連れて行ってもらいます。

――かたまりさん、よくラジオで異性関係だらしない人に対して「不潔だ!」と言うじゃないですか。一方で、コントに下ネタ多いのは矛盾しないんですか?

水川 あー、下ネタはめっちゃ好きなんです。でも自分のコントは不潔にはなってないと思います。何も考えてない、配慮がなされてない下ネタはイヤなんですけど。

――決めているコントのルールってあります?

水川 人がイヤな気持ちになることはやらないですね。

――言われれば、ハッピーエンドのコントが多いような。

水川 バッドエンドなんて見たくないんで。映画や小説で余韻のあるものだったらいいですけど、お笑いライブ見に来てる人には、最後、「面白い」で終わってほしいです。

鈴木 俺らじゃなくてもできるコントは、この2,3年やらなくなってる気がしますね。設定よさそうだけど、他の人がやっても面白そうだったら寝かしておいて、そこに何か足して俺らなりのものが見つかった時、もう一度掘り起こすみたいな感じですかねえ。

――最後にひとつ。こないだ空気階段さんが出ていたライブで、出演芸人が「コントとは?」を聞かれるくだりを見たんですよ。うるとらブギーズさんが「2人のダンス」、ザ・マミィさんが「出産」などと答える中、かたまりさんの答えが「てめえで考えろ」で。

水川 そうでしたね。

――あれ、かわされた気がしまして……。

鈴木 ワハハハ! すかしてましたか。

水川 いやー、あれは真面目に答えられないですよー。

鈴木 芸人いると大喜利になっちゃうんでねえ。僕はネルソンズ・和田さんの「人力舎」という回答が好きでした。

――改めて「コントとは?」を聞いていいですか?

水川 (しばらく考えて)「ストレス発散」ですかね。生きてるとイヤことあって、「ワーッ!」とか言うじゃないですか。なんでワーッなのかを考えて、うまいことコントにして、笑いやお金に変えられたらいい循環というか、楽だなというか。真面目な回答です。

鈴木 僕は「花」ですね。コントという字を書いて縦にしてもらえると、花が咲いてるように見えませんか?

水川 見えないよ。

鈴木 ほら、これが茎で、これが葉で……。

――ああ、見えなくはないです。

鈴木 ということなんですよ。「角度を変えれば花」。これ以上説明は要りません!

写真/二瓶彩

空気階段(くうきかいだん)
水川かたまり(1990年生まれ、岡山県出身)と鈴木もぐら(1987年生まれ、千葉県出身)のコンビ。2011年結成。『ラフターナイト』(TBSラジオ)第2回・第3回グランドチャンピオン。TBSラジオにて毎週金曜24:30から『空気階段の踊り場』パーソナリティをつとめている。YouTubeの公式チャンネル『空気階段チャンネル』にて、コントを配信中!

『今日も拒まれてます』ポレポレ美さんインタビュー――セックスレス・ハラスメントの実情と“救われた”言葉(※ネタバレ)

 「セックスレス問題」を赤裸々に綴った内容だとして、Twitterを中心に話題沸騰中のコミックエッセイ『今日も拒まれてます 〜セックスレス・ハラスメント 嫁日記〜』(ぶんか社)。著者・ポレポレ美さんが、実際の体験を元に描いた作品だ。

 内容は、9年間交際した彼氏と結婚したポレ美が、セックスレスに悩む日々を送るというもの。ポレ美はあの手この手でセックスレスを解消しようと奮闘するが、夫との関係は悪くなるばかり。周囲からの子作りプレッシャーもあり、追いつめられたポレ美はとうとうノイローゼ状態になってしまう。誰しも起こりうる夫婦間の切実なセックスレス問題を描く本作に、共感を覚える読者は多い。

 ポレ美さんが語る、マンガ化に至るまでの背景と彼との関係とは――?

『今日も拒まれてます』ポレポレ美さんインタビュー前編

――凄まじいですね、漫画の内容。Twitterなどを見ていても、反響がすごいです。

ポレポレ美氏(以下、ポレ美) ありがとうございます。最近は、反応が怖くてTwitterをあまり見てないんですが。反響があるならうれしいです。

――セックスレスになった男性からの意見で、セックスの目的がお互いへの愛情より子作りに変化するのがつらい、というものはありますよね。でも、それを差し引いても、ポレ美さんの夫・山木さんの言動は度を超えているな、と思いました。

ポレ美 そうですよね。もう少し、真摯に向き合ってほしかったなと今でも感じています。

――あらためて、ひどかったと感じるのはどの部分ですか?

ポレ美 言動ではないのですが、言い合いしてる時の夫の表情が、一線を超える冷たさだったのは印象深いです。本当に、漫画に描いたような能面の顔になるんですよね。心底、私とセックスしたくないんだなっていうのを感じてつらかったです。言葉よりも表情のほうが饒舌といいますか。

 作品の前半では、ポレ美が「セックスチケット」を作ってみたり、夫がEDかどうか確かめるために、寝ている夫のイチモツに切手シートを巻いて朝勃ちしているかどうか確認するなど、コミカルな展開が続く。しかし、トラブルも起きてしまう。ポレ美が男友達にセックスレスの相談をしたら、欲求不満扱いされてラブホテルに連れ込まれそうになるというエピソードがあるのだ。

――セックスレス・ハラスメントって、妻と夫、2人の間だけの話に捉えてしまいがちですが、セックスレスに悩んでいる人に対する“嫌がらせ”という意味では「周囲からぶつけられる偏見」も入ってきますよね。セックスレスで悩んでる女の人に対して「溜まってるんでしょ?」と、ただの欲求不満と茶化してみせたり。

 

『今日も拒まれてます』ポレポレ美さんインタビュー後編

――夫の山木さんは、基本的に“自分のほうが立場が上”といったポジションで話しているように感じます。さらにポレ美さんが「セックスをしてください」と頼む土下座の場面で、完全に山木さんのほうが優位だという関係ができてしまったのかな、と。

ポレポレ美氏(以下、ポレ美) そうだと思います。そこから明らかに変わってしまった感じが、夫婦の中ではありまして。土下座は象徴的で、私の中でもすごく印象深いという言い方は変なのですが、心のなかにずっと残っている出来事です。「それをしたらおしまい」だったのですが、それをせざるを得ない状況になってしまって。そこから、私の立場が一気に弱くなってしまいました。

 土下座事件のあと、ポレ美夫婦は夫の両親や姉夫婦と一緒に家族旅行に出かける。気が沈むばかりのポレ美だったが、なんとか気持ちを切り替え、平常を装っていた。そんな中、義理の父に子作りについて質問される場面が。思わず本当のことを話しそうになるポレ美だったが、その気配を察した夫が「積極的に妊活している」と嘘をつく。2人きりになった時に、なぜあんなデタラメを言ったのかと問うたポレ美に、夫は「なぜ僕を怒るの」「ポレちゃんを守ろうとしただけ」だと返す。思わず黙りこんだポレ美に対し、夫はさらに「じゃあ聞くけど、どっちが悪い?」「ポレちゃんを守ろうとした僕と、家族の前で本当のことを言おうとしたポレちゃん、どっちが悪いかな?」と責めはじめる。

ポレポレ美(ぽれ・ぽれみ)
イラストレーター、漫画家。趣味は旅と掃除。
自身の体験を綴ったエッセイ漫画「今日も拒まれてます」を
漫画アプリ・Vコミにて連載中。
 
画像提供:まんがアプリ「Vコミ

西成を舞台にした『解放区』は何が問題だった? 阪本順治×太田信吾監督が邦画界の内情を語る

 令和元年を象徴する、火傷しそうなほどに熱いインディーズ映画『解放区』が現在公開中だ。自殺した親友を被写体にしたドキュメンタリー映画『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(13年)が国内外の映画祭で高い評価を受けた太田信吾監督の劇映画デビュー作であり、太田監督は主演も兼任している。主人公の須山は東京の映像制作会社でADとして働いているが、引きこもりの青年を取材している現場でトラブルを起こしてしまう。東京で居場所を失った須山は大阪のドヤ街へと漂着し、西成を舞台にした新しいドキュメンタリー作品を撮ろうとするも、逆に西成という街の圧倒的なリアリティーに呑み込まれてしまう。

「ここ何年もの間に観た劇映画の印象がすべて吹っ飛ぶくらい、衝撃を受けました。」というコメントを本作のフライヤーに寄せたのは阪本順治監督。デビュー作『どついたるねん』(89年)から、現役ボクサー・辰吉丈一郎の姿を追い続けた『ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年』(15年)まで大阪を舞台にした数々の映画を撮ってきた阪本監督が、太田監督との対談に応じた。『解放区』の驚きの制作内情から大阪市との間に起きた助成金返上問題まで、両監督が日本映画界のシビアな現状について語り合った。

***

――阪本監督、まず『解放区』をご覧になった感想を改めておうかがいできますか。

阪本 西成という街を上から目線で撮っていないし、劇映画としてとても面白いと思った。社会派作品と呼んでいいんだろうけど、太田監督は正しさを声高に叫ぶのではなく、娯楽作として見せている。映画の持っている熱量が伝わってくるし、作り手の顔も見えるしね。太田監督は主演も兼ねているから、顔が見えるのは当然なんだけど(笑)。クソみたいな映画業界に対して、僕はいつもツバを吐いてきたけれど、厳しい条件の中で完成させたこの映画を観てからは、天に向かってツバを吐くようなことは止めようと思った。オリンピックや万博の開催に浮かれる今、この国の繁栄を最底辺から支えてきた人たちが暮らしてきた街を舞台にした『解放区』が公開される意義は大きいですよ。

太田 大阪の街を生き生きと描いてこられた阪本監督にそう言ってもらえると、うれしいです。僕が西成で映画を撮ろうと思ったきっかけは、大学の卒業制作で撮った『卒業』(10年)というドキュメンタリー映画でした。西成でも上映されることになり、それで初めて西成に足を踏み入れたんです。『卒業』は引きこもりをテーマにしたセルフドキュメンタリーだったんですが、地元のオッチャンたちがゲラゲラ笑いながら観てくれた。そして街を案内し、ドヤ街としての歴史を教えてくれた。危ない街という先入観は最初からなく、むしろみんなすごく人間味があって、温かい街だなと感じたんです。いろんな問題を抱えているけど、コミュニティーとして機能しているこの街を舞台に、いつか映画を撮りたいなと考えるようになったんです。

阪本 実は僕も20代のとき、西成で8ミリカメラを回して自主映画を撮っていたことがあった。僕の責任なんだけど、その自主映画は半分も撮り切れず、石井岳龍監督の『爆裂都市 BURST CITY』(84年)の現場で僕は仕事をするようになってしまった。未完成のままで終わってしまったその映画のことは、ずっと胸に残っている(苦笑)。

――西成で映画を撮るのは難しいんでしょうか?

阪本 いや、そんなことはないよ。別に怖いことはないけど、カメラがあるとオッチャンたちがすぐに寄ってくる。自主映画を撮っていたときもオッチャンが後ろに来て、「この映画のテーマはなんや?」と訊かれた(笑)。オッチャンは関西弁なんだけど、よく聴くと東北訛りが入っている。西成って、地方出身者たちが集まった街なんです。松井良彦監督の『追悼のざわめき』(88年)や山本政志監督の『てなもんやコネクション』(90年)なども、西成で撮っていますよ。

太田 『解放区』を撮ったのは2013年だったんですが、それから6年が経って、西成も変わってきています。2019年3月で「あいりん総合センター」が閉鎖され、街のいたるところに立っていたシャブの売人たちも姿を消してしまいました。西成で最後に暴動が起きたのが2008年。その頃に比べると、ずいぶん変わったと思います。映画にも出ていますが、西成出身のラッパー「SHINGO★西成」さんの影響でラップをする若い子も増え、「釜ヶ崎SONIC」という音楽フェスがあったり、オッチャンたちの紙芝居劇団があったり、文化的な匂いのする街に変わってきていますね。

阪本 西成は1990年に起きた暴動が大きかったけれど、当時は「花博(国際花と緑の博覧会)」があって、街に活気があった。関西国際空港の開港(94年)や阪神・淡路大震災後の復旧のときも、若い労働者たちが集まり、西成は賑わっていた。経済状況によって、すごく変動のある街でもある。『どついたるねん』の後、『王手』(91年)や『ビリケン』(96年)も新世界で撮影したんだけど、西成のオッチャンたちは飲み食いするのに新世界へと流れてくる。カメラを回していると、やっぱりオッチャンたちが集まってくる。新世界と西成が繋がっている感じだった。新世界は今では観光地化して、すっかり串揚げ通り状態(苦笑)。大阪に帰っても新世界にはあまり行かず、西成の三角公園あたりに佇むようになった。西成のオッチャンたちは、みんなひとり。ひとりで過ごすには、西成はいい街だよ。

――『解放区』は大阪市から助成金を受けて製作されたものの、完成後に大阪市から内容修正を求められ、助成金60万円を返上したことがニュースになりました。自主映画を撮っている若者にとって、60万円は大きいですよね。

太田 カツカツで映画を撮っている者にとって、かなりの金額です。大学を卒業した後、正社員として働いていた時期もあったんですが、7年がかりで撮影した前作『わたしたちに許された特別な時間の終わり』の評判がよかったこともあり、会社を辞めて『解放区』を撮ることに専念していたので収入はありませんでした。それまでの蓄えと僕の映画づくりを理解してくれる人からの個人的な支援で撮ったものです。CO2(シネアトス・オーガニゼーション大阪)という大阪の映画組織を通じて、事前に脚本を渡し、西成で撮影することやドキュメンタリータッチの作品になることは大阪市側にも伝えていたんですが、『解放区』が完成した後から、三角公園など西成と分かるシーンはカット、西成のことを「どん底」と呼ぶ台詞や「統合失調症」などの言葉も使わないようにと言われたんです。それではこの映画が成り立たなくなってしまう。CO2はすごく懸命に動いてくれて、僕が大阪市側と直接話す場も設けてくれたんですが、話し合ってもダメでした。一度は向こうの修正案に譲歩したものを編集したんですが、それもダメということで。

阪本 役人は自分の経歴にキズがつかないようにすることしか考えてないからね。表現する側の立場になって、考えることはしない。自分が監督した映画の中にも助成金を受けた作品はあるけど、映画の完成後しか助成金は受け取れない。作る側としては撮影前にお金が必要なんだけど、そういった都合はまったく通じない。もちろん、そんな人ばかりじゃなくて、文化支援にちゃんと理解ある役人もいるはずだけど、太田監督はそうじゃない人に当たってしまったわけだ。

太田 結局、助成金は返上して、『解放区』は本来の形のまま上映できる場を探すことになったんです。2014年の東京国際映画祭などで上映されて、観た人たちからの反応はよかったんですが、配給は決まりませんでした。一度、配給に名乗りを挙げてくれた人がいたんですが、多忙らしく、その人に預けたまま劇場公開が決まらない宙ぶらりん状態が続き、5年が経ってしまった。それまで音楽映画を主に配給していた「SPACE SHOWER FILMS」が音楽映画ではない配給第1弾作品に選んでくれ、ようやく劇場公開に辿り着きました。この5年間は、この映画を熟成させるために必要な時間だったと考えるようになりました。助成金問題も、宣伝のネタに活用してやろうと今ではポジティブに受け止めています(笑)。

日本映画界の構造的な問題

阪本 映画をプロデュースする立場の人間は、映画をつくるだけでなく、どうアウトプットするかも常に考えないといけない。僕が撮ったドキュメンタリー映画『ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年』も、なかなか配給会社が決まらなかった。ライブハウスなどを借りて自主上映することもできたけど、20年以上の時間を費やしてフィルムで撮影した映画だから、ちゃんとした配給会社に頼んで劇場公開したかった。無償で長年働いてくれたスタッフに、少しでもギャラを渡したかったしね。

太田 僕もちゃんとした配給のプロに頼みたいと思い、それで時間が経ってしまいました。阪本監督の作品の中には、映画の完成から公開まで寝かしたことで逆によかったものはありますか?

阪本 いや、映画が完成したら、「今を撮った作品だから、早く公開してくれ」と自分はいつも頼んでいる。でも、今の日本は映画の公開本数があまりにも多すぎて(※2018年度の映画公開数は邦画613本、洋画579本、合計1,192本)、スクリーンの奪い合い状態。小さなミニシアターで上映期間は1週間、しかもモーニングショーの1日1回だけの上映で、どれだけの人が観ているんだということにもなっている。これはDVDなど二次使用する際に「劇場公開作」という肩書きを入れるためだけの上映ですよ。

――シネコンで上映される作品も、初週の集客が思わしくないとすぐに打ち切られてしまいます。

阪本 配給の問題は難しい。あまりこちらから劇場側にうるさく言うと、「そこまでおっしゃるなら補償金は用意できますか?」と訊かれるしね。制作プロダクションも下請け会社化して、疲弊しきっている。結果、制作プロダクションがどんどん潰れている現状がある。その一方、「製作委員会」に参加している企業側はどこも懐を痛めない構造になっている。う~ん、これ以上は映画業界の悪口を言うのを止めます。いつまで話しても埒が明かないから(苦笑)。

太田 助成金に関してですが、国によって対応が違うことにも驚きました。韓国の釜山国際映画祭の脚本制作助成に応募したところ、企画書だけでポンッと脚本の制作費を前払いしてくれたんです(笑)。そのお陰で、今は韓国と台湾との合作映画の準備を進めることができています。釜山国際映画祭は自国の映画人だけでなく、アジア全体の若い映画人を広く育てようという気概を感じさせます。

阪本 釜山国際映画祭には、僕も20年前くらいにシナリオを応募したことがある。韓国映画は政府が映画産業を支援したことで成功したわけで、日本はそれを真似て映画支援するようになった。でも、経済産業省の人たちはみんな、映画のことをコンテンツと呼ぶからね。心理学者の河合隼雄さんが文化庁長官(2002年~2006年)を務めていたときに、僕も映画産業振興を謳った会合に呼ばれたことがあるけど、某有名大学の学長さんが「映画はビジネスなのに助成金を渡す必要があるのか」みたいなことを言っている。やりとりを聞いていると、いい映画と悪い映画は誰がどう判断するんだとか、いろいろと疑問が生じるわけです。思わず「どういう映画がいい映画なんですか?」と尋ねたら、『ローマの休日』(53年)みたいなのがいい映画だと。いったい、いつの時代だよと(笑)。もちろん、河合さんはちゃんと分かっている人でした。志を持った、熱意のある若者が新しいものを創ろうとするにはお金が必要になる。河合さんは「やっぱり銭やな」と最後に言って、その会合を締めたんです。

――9月に公開された『宮本から君へ』(配給:スターサンズ)は薬物所持で逮捕されたピエール瀧の出演シーンをカットしなかったことから、内定していた助成金1000万円の不交付を文化庁が決めたというニュースが先日ありました。この件はどう思いますか?

阪本 そのニュースは聞いたばかりで、まだ内情が分からないので答えられない。でも製作側は出演者が犯罪を犯していることを知らずにキャスティングしたわけで、予算組みに1000万円は当然入れていただろうから、痛いのは確かでしょう。

――『解放区』の西成ロケは、スタッフ&キャストが無料の炊き出しに並びながらの撮影だったそうですね。

太田 炊き出しに並んだり、コンビニで賞味期限切れの弁当が早朝安く売られているのを食べたりしました。おにぎりが10個で100円だったりするんです(笑)。西成の喫茶店「アース」のマスターと仲良くなり、ロケ期間中は店の二階三階で寝泊まりさせてもらえたのも、助かりました。多分、ホテルに泊まっていたら、別の映画になっていたと思います。キャストとスタッフが西成で合宿みたいな生活を送ったことで撮れた映画ですね。実は最初はオーディションもやって、プロの俳優をキャスティングしようとしていたんですが、西成に撮影の2週間前から前乗りすることを伝えると断られたんです。それで監督の僕が主人公の須山を演じ、撮影監督の岸建太朗さんが主人公と衝突するディレクター役も演じるなど、スタッフが出演も兼ね、あとは映画の内容に賛同してくれる少数のキャストだけで撮影することにしました。日雇いバイトのシーンは、男性スタッフが無償で働くことを交換条件にして、実際の解体現場で撮影させてもらいました。僕が解体現場でクギを踏んで怪我をしたのは予想外のアクシデントでしたけど、改めて健康や怪我のリスクを負いながら働いている日雇い労働者の方々の暮らしの危うさが痛いほど分かりました。みんなで一緒に汗を流したことで、いろんな驚きや発見が映画に宿っていったようと思います。日雇いの仕事を斡旋したオッチャン(朝倉太郎)が「紹介料」と須山に金をせびる台詞は、阪本監督の『王手』で子どもが「情報料」とヤクザに手を出すシーンのオマージュです(笑)。

――阪本監督は『どついたるねん』の1カ月に及ぶ撮影期間中、食事をしなかったエピソードが有名です。物づくりにはハングリーさも必要なんでしょうか?

阪本 『どついたるねん』のときは、赤井英和の減量に付き合ってだった。その後も映画の撮影中に食事をしなくなったのは、神経を研ぎ澄ますとか、そんなかっこいい理由ではなく、単に胃が受け付けなくなってしまったから。今でも撮影期間中はほとんど食事はしない。お昼にカロリーメイトを1箱食べ、夜は柿ピーだけ(笑)。

太田 さすがに朝ご飯は食べますよね?

阪本 いや、朝食も摂らない。スタッフは僕が食事をしないことを知っているから、僕の分の弁当も用意しない。僕の前でうまそうにスタッフは弁当を食べるわけです。『エルネスト もう一人のゲバラ』(17年)の撮影でキューバに1カ月間行ったときは、15キロも痩せてしまった。

太田 すごい……。

――『解放区』の終盤、主人公に誘われる形で西成を訪れた引きこもりの青年(本山大)の「どん底にいる人間の気持ちを一度でも考えたことがあるのか?」という言葉は心に刺さりました。「メディアは人を救うことはできない」という叫びにも聞こえました。あの台詞はどのようにして生まれたんでしょうか?

太田 学生時代にドキュメンタリーの制作会社でバイトをしていた時期があったんですが、そのときの体験がベースになっています。カメラを回している側が上から目線で撮影していることに疑問を感じたんです。自分たちは安全な場所にいて、取材対象を都合いいように加工している。それってメディアによる搾取じゃないかと思ったんです。それと現実に起きているニュースをまるで他人事のように受け流す社会の風潮もどうなのかなと。自分の問題に置き換えながら、『解放区』を観てもらえればなと思います。他者の物語を奪い、身勝手に調理するのではなく、僕の映画の現場は、スタッフも含めた個々がそれぞれの物語を持ち寄り、誤解や偏見を解きながら想像を常に更新し続ける公園のような場でありたいですね。

阪本 ドキュメンタリーだからできることもある。劇映画だからやれることもある。目の前にある問題に向き合って、自分たちの映画をつくっていくしかないんじゃないかな。

太田 大阪のテアトル梅田や地方でも11月から『解放区』の上映が始まります。合宿所を提供してくれるなど、西成での撮影を支えてくれたカフェ「アース」のマスターは大阪での上映をすごく喜んで、映画のポスターをあっちこっちに貼ってくれています。飛田新地には昔からある成人映画館が残っていたりするので、そういう劇場でも上映できると面白いかもしれません。西成のみなさんと一緒に映画を楽しめればいいなと思っています。

(取材・文=長野辰次、撮影=尾藤能暢)

『解放区』

監督・脚本・編集/太田信吾

出演/太田信吾、本山大、山口遥、琥珀うた、佐藤亮、岸建太朗、KURA、朝倉太郎、鈴木宏侑、籾山昌徳、本山純子、青山雅史、ダンシング義隆&THE ロックンロールフォーエバー、SHINGO★西成

配給/SPACE SHOWER FLIMS R18+ 10月18日よりテアトル新宿にて公開中、11月1日(金)よりテアトル梅田ほか全国順次公開

(C)2019「解放区」上映委員会

http://kaihouku-film.com/

●太田信吾(おおた・しんご)

1985年生まれ、長野県出身。大学の卒業制作として撮ったドキュメンタリー作品『卒業』(09年)がヨコハマ国際映像祭2009入選、イメージフォーラムフェスティバル2010優秀賞・観客賞を受賞。初の長編ドキュメンタリー作品『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(13年)は山形国際ドキュメンタリー映画祭2013ほか国内外の映画祭に出品された。初の長編劇映画『解放区』は2014年の完成後、東京国際映画祭2014日本映画スプラッシュ部門などに選ばれ、2019年に劇場公開が決まった。『情熱大陸』(TBS系)などのテレビ番組の演出も手掛けたほか、俳優としても活躍中。

●阪本順治(さかもと・じゅんじ)

1958年大阪府生まれ。横浜国立大学中退。在学中より、石井岳龍監督らの製作現場にスタッフとして参加。赤井英和主演映画『どついたるねん』(89年)で監督デビュー。新世界を舞台にした『どついたるねん』、『王手』(91年)、『ビリケン』(96年)は「新世界三部作」と称されている。その他の主な監督作に『トカレフ』(94年)、『顔』(00年)、『KT』(02年)、『闇の子供たち』(08年)、『行きずりの街』(10年)、『人類資金』(13年)、『エルネスト もう一人のゲバラ』(17年)など。今年2月に劇場公開された稲垣吾郎主演作『半世界』は現在DVDがリリース中。

「Googleのレビューはもっとひどい」――“食べログやくざ”告発の店主を直撃、さらなる激白!

このところ、価格比較サイト大手「カカクコム」が運営する、ユーザー投稿型グルメ口コミサイト「食べログ」界隈が騒々しい。一部週刊誌記者によると、「数年前から、飲食店関係者の間で違和感を覚えるとの声が聞こえてきます」という。2016年に都内レストランオーナーが自身のTwitterで「突然スコアが3.0に落とされた」と明かし、物議を醸した件をはじめ、17年には、飲食店が有名レビュアー“うどんが主食氏”に過剰接待を行っていたことが、「週刊文春」(文藝春秋)で報じられた。

 そして10月1日、人気料理研究家・リュウジ氏が自身のTwitterに、「このお店トガってるなー、嫌いじゃない」という言葉と共に、張り紙の画像を投稿。そこには<お願い 当店は食べログへの掲載をお断りします。食べログヘビーユーザー全員は出入り禁止です。食べログヘビーユーザーの傍若無人、独善的、自ら神のごとき口コミに迷惑しまして禁止します。大切なお客様に評価していただきますので、食べログやくざの評価は結構です。食べログみかじめ料のお支払いお断り!>と食べログへの嫌悪感をあらわにした文章が確認できる。10万人近いフォロワー数を誇るリュウジ氏の投稿は、瞬く間に拡散され、ネットユーザーからは、「こんな張り紙をするなんて、余程嫌な気持ちにさせられたのでしょう……。お気の毒に……」など、店主への同情の声が多数寄せられることになった。

食べログの“算出方法”に疑問符
 そこで今回、サイゾーウーマンは、張り紙を掲示した居酒屋「九州料理とっとっと 千葉店」の店主である田中雅幸氏に話を聞くことにした。

――張り紙を掲示するに至った経緯についてお教えください。

田中雅幸氏(以下、田中) 最近貼ったものではなく、11年のオープン当初から貼っています。

――食べログに掲載されたのはいつ頃でしたか。

田中 オープン後、知らないうちにといった感じですね。写真に写っていたのは食べかけの料理で、見栄えが悪かったので、食べログにメールで削除依頼をしたんです。食べログ公式ホームページには電話番号の記載がなかったため、受付はメールのみ。問い合わせからタイムラグがあったものの、「店主の同意を得て掲載する」という規約に違反しているとのことで、依頼は応じられました。

――ひとまずは、応じてくれたんですね。

田中 ただ、その後がひどくって。削除された食べログ“ヘビー”ユーザーが 「せっかく好意的に書いてやったのに、評価がどうなっても知らないよ」と逆ギレして、スコアを4点から1点に下げてきました。なんでも、食べログ独自の平均スコア算出方法により、10軒ほどしかレビューしていないユーザーの採点は、平均スコアになんの影響をもたらさないけれど、1,000軒もレビューしているようなヘビーユーザーの採点は、平均スコアに大きく影響するようなんです。

――飲食店界隈では、算出方法について、そのようにウワサされているんですね。食べログに算出方法を問い合わせたことなどはありますか。

田中 はい。ありますが、「教えられない」と言われてしまいましたね。そんな背景があり、逆ギレしたあのユーザーは大きく出たのでしょう。

焼酎日本酒専門店 九州料理 とっとっと 千葉店 食べログ公式サイトより

――“大きく”ということですが、嫌がらせなどがあったのでしょうか。

田中 不特定多数による、誹謗中傷のような“おかしなレビュー”が、年に数回、数年間かけて、たびたび書き込まれるようになりました。例えば、「ポテトサラダを頼んだら、キュウリが1本出て来た」とか「BGMが80年代でセンスがない」とか。食べ始めのもつ鍋は脂が出ていないことが当たり前なのに「スープにコクがない。チェーン店のもつ鍋の方がコクがあっておいしい。“九州料理”の看板を降ろせ」といったものです。そうしたことが続いたので、食べログに掲載辞退を申し入れることにしました。

――例によってメールでの問い合わせですね。食べログの回答をお聞かせください。

田中 今回もタイムラグがあり、なかなか返信が来なかったのですが……うちの店の電話番号は勝手に載せているのに……。そして、いざ来た返信は、「レビューは、ユーザーが独自に載せている日記のようなものだから、削除できない」という、通り一辺倒な回答のみでした。店側の意見はまったく聞き入れてもらえないんだなと思いましたね。

――食べログに対して、不信感を抱かざるおえない回答ですね。そのほかに、食べログへの掲載によって、何か影響など受けましたか。

田中 ユーザーから“タダ”で集めた情報を、ほかのグルメサイトに売っているようなんです。それに気付いたのは、「子連れで行けるお店」といったグルメサイトに掲載されていたのを発見した時。うちはずっと子連れ入店をお断りしているのですが、そのグルメサイトに、「どこから、うちの店の情報(子連れで行ける)を得たんですか?」と問い合わせると、「食べログさんから情報提供してもらっている」と教わったんです。

――それで、張り紙に「お子様連れご遠慮ください」とあったんですね。ウェブニュースサイトのみならず、テレビ番組からも取材を受けていますが、食べログから説明などありましたか。また今後、食べログに望むことなどがありましたら教えてください。

田中 連絡はまったくないです。なんとも思っていないんじゃないでしょうか。店のことを、金儲けの道具にしか思っていないのでは。こちらももう、食べログに望むことはなにもないです。何を書かれても相手にしませんから。ただ、最近は食べログ以外にも、Googleマップに掲載される口コミや評価レビューにも悩まされています。あんなに資本力がある大きな会社が、あれほどまでにいいかげんなレビューを許しているのはひどいですよ。

 食べログについて、かなり頭を抱えているものの、百歩譲って実際に来店したユーザーが具体的にレビューしているでしょ。でも、Googleのレビューは評価を表す星の数を投稿するだけでもOKなんですよ。来店経験がない方からの、「近くに行くときは是非寄ってみたい」などと応援するレビューもある一方で、普段のレビューの傾向から、うち(千葉)の店まで来るとは思えないレビュワーによる嫌がらせのような書き込みもあって。Googleにも問い合わせましたが、返答は「レビュワーが、実際は来店していないという証明はできない。納得できないなら、法務部を通してくれ」といった回答のみでした。

 不正な評価や中傷行為が、健全に口コミサイトを利用しているユーザー、そして店側に多大な影響を与えることを忘れてはいけない。また、口コミサイト運営会社は掲載店へ配慮した、規定などを設けるべきなのではないだろうか
(番田アミ)

ジャニーズの男社会が生む“保守的なジェンダー観”は、どんな「危険」「問題」を孕むのか?

 最近、ジャニーズファンが「アイドルのジェンダー観は遅れている」と口にする機会が増えた。前編では、『「アイドル」のメディア史 『明星』とヤングの70年代』(森話社)の著者である帝京大学 文学部 社会学科 助教の田島悠来氏が、その原因を「アイドルは女性の理想像を具現化した存在」という視点から考察してくれた。後編では、「ジャニーズという組織の特徴」という面からこの問題を掘り下げていく。

(前編はこちら)

「男らしさ強調」「女性を下に見る」発言を「あえて」する?

――ほかにも、ジャニーズのジェンダー観が「遅れている」と言われる要因として、考えられるものはありますか。

田島悠来氏(以下、田島) ジャニーズのアイドルは、見た目的にフェミニンであることが多いため、「中身は男らしいんだ」ということを、古いジェンダー観につなげて、強調しようとする傾向があるのではないでしょうか。また、体を鍛え出したり、髭を生やすなどして、見た目のフェミニンさをなくそうとするアイドルもいますよね。これはジャニーズに限った話ではありませんが、フェミニンな容姿にコンプレックスを抱く男性は少なくないのかもしれません。個人的に、ジャニーズの美しい男性像は日本独特だし、「いいな」と思ってるんですが。

 また、ジャニーズが「男社会」である点も関係しているのでは。「ジャニーズファミリー」というワードにもよく表れていますが、男性の集団生活の中で、保守的な縦のつながり、また横のつながりを大切にしているというか……。アメリカの文学研究者、イヴ・セジウィック氏が、こうした社会の中での男同士の絆を「ホモソーシャリティ」として提唱しており、それは同性愛的な関係性、つまり「ホモセクシュアリティ」とあまり差がないとされています。そういった背景から、「同性愛」と見られることを拒否したいがゆえに、男性が「自分は異性が好きだ」また「同性愛を嫌悪している」と、ことさらにアピールすることがあるとされ、ジャニーズの関係性の中では、それが表に出やすいのかなと感じています。体育会系のノリで、アイドルたちが下ネタで盛り上がるのも、その一例です。「自分は異性に興味がある」「同性愛者ではない」と主張するため、男らしさを強調し、女性を下に見るような、保守的なジェンダー観と結びつけた発言を、あえてしている面もあるのではないでしょうか。

――「女性を下に見ている」という点なのですが、ジャニーズアイドルは、「男性ファン」がつくことをことさらに喜ぶ傾向があります。女性より男性に認められたいのかと、疑問に思うファンも、ネット上で散見されています。

田島 アイドル自身に、「男性に認められてようやく一人前になれる」といった感覚があるとすれば、これもまた、古い「男性優位」の考え方ですね。実は70年代のアイドル誌を見ていると、アイドル自身が「アイドルって、下に見られている気がする」「歌手と呼ばれたい」などと主張することがあり、これはつまり「アイドルは女・子どもに好まれるもの」「歌手(アーティスト)は男性に好まれる」といった価値観があったのかもしれません。70年代の方が、よりそれが顕著だった印象ですが、今もジャニーズ事務所を飛び出して、アーティスト活動を始める人もいますし、その傾向は続いているとも考えられます。

―― 一方で、Sezy Zoneのマリウス葉が、自身のラジオ番組で、「男性から見た女子力とはなんですか?」という質問に対し、「僕、女子力っていうワード自体が(あまり好きじゃない)」と切り出し、世間的に「女子力」とされる「家事能力の高さ」や「身だしなみへの意識」は、「女性のだけのものではない」と語ったことが、ファンの間で称賛されました。

田島 社会的に「#MeToo運動」が起こるなど、女性に対する差別や蔑視に、女性自身が敏感となり、「このままではいけない」と感じているからこそ、マリウスさんの発言が称賛されたのだと思います。マリウスさんのジェンダー観を育んだのは、生まれ育った環境によるところもあるかもしれません。世界経済フォーラムが公表している「ジェンダーギャップ指数(男女格差指数)」の2018年度版データによると、彼の故郷であるドイツは14位、対して日本は110位なんです。それに、マリウスさんは言動だけでなく、立ち居振る舞いもジェンダーフリーという印象で、彼のようなジャニーズアイドルは、これまであまりいなかったような気がしますね。

――ジャニーズファンの間では、アイドルへのジェンダー教育を望む声も根強いです。

田島 ジャニーズアイドルがジェンダー教育を受けるというより、女性を取り巻く社会状況が変わり、「男性にリードされ、守られる」ことを理想とする女性が減らないことには、どうにもならないと感じてしまいます。むしろ、ジャニーズのアイドル像というのは、社会状況の変化を「映し出すもの」として、注目していきたい気持ちがあります。

 一方、ジャニーズ事務所がどうこうの話ではなく、「一般教養」として性別問わずジェンダーについて学ぶべきとは思いますね。世間一般的に、ジェンダーは女性が考えるべき問題と認識されている状況があります。「女性が権利を得ていくために必要となるもの=ジェンダー教育」といった受け止められ方で、「進歩的な女性が学ぶもの」「女性の先生が女子生徒に対して教えるもの」と思っている人もいまだにいるのではないでしょうか。しかし、男性側にもジェンダー教育は必要です。ただここにも問題はあります。

 以前に比べ、学校でジェンダーを学ぶ機会は増え、20代前半までの学生には「男女平等」の意識をしっかり持っている人も多いと思うのですが、社会に出てもそれを継続して意識し続けられるかというと、今の日本社会には、そこまでの余裕がない気がするのです。仕事が忙しすぎる、また根強い男社会とあって、「男女平等」を考えられなくなるのではないか、と。若い世代が変わるだけでなく、上の世代も変わらなければいけない。社会を変えるというのは至難だと感じています。

――それでも、アイドルがジェンダーについて学ぶことは、決して悪いことではないと思います。

田島 そうですね。ジャニーズファンの年齢層は幅広いものの、アイドル誌の主な読者層を10代だと考えると、ジェンダーアイデンティティ―を確立していく過程にある女子たちに、アイドルがステレオタイプのジェンダー観を植え付けてしまう可能性があるのは、問題でしょう。藤島ジュリー景子氏が新社長となり、さまざまな社内改革をしているという話もあるので、アイドルに向けた、ジェンダーに関する試みに期待したいところはありますね。

田島悠来(たじま・ゆうき)
1985年、佐賀県唐津市生まれ。帝京大学文学部社会学科 助教。同志社大学社会学部卒。2014年、同大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(メディア学)。14年より、同志社大学創造経済研究センター特別研究員(PD)を経て、2018年4月より現職。著書に『「アイドル」のメディア史 『明星』とヤングの70年代』(森話社)がある。

ジャニーズのジェンダー観は、なぜ「遅れている」のか? アイドルたちの言動が映し出すモノ

 「ジャニーズ事務所は、アイドルにジェンダー教育をしてほしい」――ここ最近、Twitter上を中心に、そんなジャニーズファンの声が散見されているのをご存じだろうか。大きなきっかけとなったのは、6月27日に放送されたラジオ番組『ジャニーズWEST桐山照史と中間淳太のレコメン!』(文化放送)内で、桐山と中間が、「女性蔑視」と取れる発言をしたことだった。

 同番組には、リスナーから寄せられた、気になる言動をする周囲の男子や女子を紹介する『オテンキのりPresents! バカ男とタワ女』というコーナーがあるのだが、のりが「すぐに『女性だから私は不利』とかいう割に、得意なものが一つもない女子」という例を挙げると、中間は「これはでも多いよなあ!」、一方の桐山も「『女性差別をなくそう』とかね」と反応。中間は加えて「それ(女性差別)さあ、だったら映画館のレディースデーなくせって思うしさ。学校の体力測定とかも、男子と同じ条件でやれって思わへん? なんか都合がいいわ」と口にし、さらに、「可愛い子はええで」と続けたのだ。同放送には「女性差別問題をまったくわかっていない」「レディースデーをなくせとか、的外れすぎる」「しかも『可愛い子はいい』って、容姿差別まで……」と怒りと失望の声が噴出し、「ジェンダー教育を!」との声が高まったのである。

 その一方で、ネット上のファンの反応を見ていると、今回の件に限らず、アイドルたちのジェンダー観に、「モヤモヤしたことがある」と語る者は少なくない。“男らしさ”“女らしさ”といった「ジェンダー・ステレオタイプ」を感じたり、女性を過度に性的な視点で捉える言動などがそれにあたり、「ジャニーズアイドルのジェンダー観は遅れている」と、ズバリ指摘する人も。なぜジャニーズのジェンダー観は時代に取り残されているのか――今回、『「アイドル」のメディア史 『明星』とヤングの70年代』(森話社)の著者である帝京大学 文学部 社会学科「助教」の田島悠来氏に話をお聞きした。

アイドルが「デートプランを考える」企画に違和感

――普段、「ジャニーズアイドルのジェンダー観は遅れている」と実感されることはありますか。

田島悠来氏(以下、田島) アイドル誌を読んでいると、「基本的に違和感を覚える」レベルでありますね。「このアイドルが」「この発言が」というより、全体的に違和感がある。それは、企画の構造自体にも見て取れます。女性ファンからのリクエストを基に、ジャニーズアイドルがデートプランを考える企画がよくありますが、それ自体「男性がリードし、女性がそれに付き従う」を前提としているように思うのです。そしてアイドルも、「俺について来い」といったデートプランを語る……。そういう企画はジェンダー的には好ましいと思わないのですが、ファンには人気ですよね。

――「恋愛観や好みの女性像」を聞く企画にも、アイドル自身のジェンダー観がにじみ出やすいですよね。結果として、ステレオタイプな女性らしさを押し付けてしまうケースも散見されます。

田島 そうですね。そもそもこの質問自体が、セクシャルハラスメントではないかと思うのですが。最近では、海外のアスリートに対し、記者が「好みのタイプ」を聞いて回答を拒否され、ネット上で記者が批判されるといった例がありますよね。ただアイドルは、疑似恋愛の対象として、「お仕事」で回答している。ここに、ジャニーズアイドルのジェンダー観が「遅れている」と言われる原因があると感じています。

――具体的にどういったことでしょうか。

田島 ジャニーズのアイドルは、小中学生から事務所に入所するケースも少なくなく、彼らは“表向き”には「小さな頃から仕事が忙しく、一般の人たちがするような恋愛を経験することが難しい」といったイメージが存在。また「恋愛をしてはいけない」といった不文律もありますよね。

 するとアイドルは、メディアで発言する際、マスボリュームで「理想的」と思われるであろうジェンダー観を表出させる傾向にあるのではないかなと思うのです。各々、別のジェンダー観を持っていたとしても、それを前面に出した発言をすると、ファンに「もしかして恋愛経験があるのかな?」と思われてしまう可能性もあります。あくまでファンタジーとして、「世間的にはこれが理想だよね」というジェンダー観を基にした発言に留めているところがあるのでは……と。逆に言うと、日本のジェンダー観が、保守的なステレオタイプに甘んじている傾向があるのではないでしょうか。

――モヤモヤするファンがいる一方で、日本のジェンダー観が前時代的である実情があるのですね。ジャニーズアイドルが、女性にとっての理想の男性像を体現する存在とした場合、その「理想像」は時代ごとに変化しているのでしょうか。

田島 全体として、何か大きく変わったのかと聞かれると、私は「そんなことはない」と感じています。ずっと「自分をリードして、守ってくれる男性」が理想とされている気がしますね。女性にとっての「理想の男性像」は、女性が置かれている社会的状況と密接に結びついていると思うのですが、男女平等が叫ばれ、80年代頃から女性の社会進出を後押しする政策や法律が生まれたものの、2019年現在、果たして「うまくいっているか」と聞かれると、楽観視はできません。そのことを女性側は敏感に感じ取り、「男性と同じように働こうと頑張ったが、結局、格差はなくならない」と、どこか諦めるムードが漂っているのではないでしょうか。そんなとき、ジャニーズを「ファンタジー」と考えると、女性側は保守的な男性を求めるのではないか、もっと言うと、求めざるを得ない状況がつくられているのではないかと思うのです。

 研究の一環として、女性ユーザーが集うあるオンラインの匿名掲示板をよく見るのですが、あの場では「専業主婦になって、旦那さんがそれに見合うだけ稼いできてくれる」ことが良しとされる価値観があり、ユーザー同士がマウントを取り合っている。現実的に考えると、また話は別でしょうが、“理想”としては、「自分をリードして、守ってくれる男性」が好まれる傾向がずっと変わらない。いや、変えようとしたけど、変えられなかったというのが正しいかもしれません。

――働く女性は増加している半面、働くことに疲れ、守ってくれる男性を求める傾向に進んでいる可能性もありそうです。

田島 女性に対して「男性側に合わせること」を求めるのが一般的になっている点にも、疑問を抱きますね。「男並みに働くこと」を求められた女性が疲弊しているのであれば、「女性側に合わせる」という発想はないものか、と。中間さんが体力測定に関して「(女子も)男子と同じ条件でやれ」と言っていた件も、そうした日本の古いジェンダー観の一面を見た気がしました。

――ジャニーズアイドルの言動には、今の日本のジェンダー観が映し出されていることがわかります。

田島 あと気になるのは、ジャニーズファンが、どういう視点でアイドルを応援しているのかについてで、当然、人によって違うと思うのですが、ファンの年齢によっては、いわゆる「バーチャルおかん」……母親的な視点で、アイドルを息子のよう応援している人もいるのではないでしょうか。お母さんって、基本的に息子に甘いと思うんですよ(笑)。だから、アイドルが女性に違和感を抱かせる発言をしても、「うちの子がすみませんね」「そんなところも、かわいい」と受け止めてしまうこともあるのではないかな、と。それは気がかりな部分ではあります。

(後編につづく)

田島悠来(たじま・ゆうき)
1985年、佐賀県唐津市生まれ。帝京大学文学部社会学科「助教」。同志社大学社会学部卒。2014年、同大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(メディア学)。14年より、同志社大学創造経済研究センター特別研究員(PD)を経て、2018年4月より現職。著書に『「アイドル」のメディア史 『明星』とヤングの70年代』(森話社)がある。

3代目バチェラー・友永氏、1~6話を本人が解説! “乳首責め”“バツイチ告白”を受けた本音は?

 Amazon Prime Video独占配信のリアル婚活サバイバル番組『バチェラー・ジャパン』シーズン3。CMやSNS等でも話題なので、気になっている方や、すでに毎週金曜日の最新話配信を心待ちにしている方も多いのではないでしょうか?

 3代目のバチェラー、友永真也氏は歴代のバチェラーの中でも、結婚相手探しにかける本気度はダントツ。すでにシリーズは後半戦に突入し、20人いた女性も半数以下になり佳境を迎えていますが、これまでに受けたさまざまな“強烈アピール”について友永氏はどう思っていたのか!? 『バチェラー』シリーズが大好きなライター、白戸ミフルが本音を聞いてみました!

バチェラーからのスキンシップもすごい!

 シーズン3となった今回の『バチェラー』は、参加女性たちが「モンスター揃い」といわれています。それだけに、バチェラー・友永氏への“アピール”もシリーズ史上最も激しい様子。一方で、バチェラーから仕掛けるスキンシップも激しいような……? 積極的なのは、中高を“ジュテーム”的な愛の国・フランスで過ごしたことが影響してるんでしょうか?

「いえ、そこに関してはわざとやっています。時間がないなかで、結婚相手を見つけようと思っているので、一気に距離感を縮めないと、という焦りもありまして」

 すぐに腰に手を回したり、全体的に女性との距離が近いのはそのためだったんですね。ハグなんて全員としているんじゃないですか!?

「そうですね。ハグは多いですね。ハグは全員としますね。ハグはだって、誰でもするものではないんですか?」

 ……数えるくらいしかないですね。

「そうですか。僕にとってハグは日常なので、全然ハグは(相手に対する気持ちの表れとして)判断材料にならないです(笑)」

  スキンシップは女性たちも負けてはいません。しかし、積極的にアピールをした女性たちに限って、すでにお別れしてしまっているのも事実。一体、何がいけなかったのでしょうか? 

◎自己紹介よりも前にキスした高田汐美さん

 
 
 
 
 
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 最初に強烈な印象を残したのは、シオミン(髙田汐美さん)でした。自己紹介よりも前にキスをしてきましたよね。ビックリしませんでしたか?

「そうですね、印象は強かったですね。でも、いやらしい感じには全然思わなかったです。キスとかされてもサッパリしているように感じましたね」

 確かに、グループデートでも単独行動と取って、サッパリしてました。

「ああいう自由な感じの子、僕のプライベートでもよくいるタイプなんですよ。だから本当に一緒にいて楽しいし、仲良い友達にはなれると思います。番組を見ている、僕の友人たちからも一番人気なんですよ」

 お別れの時はカッコいい引き際でしたね。

「そうそう。最初があんな感じだったので、最後はキレてタックルとかしてくるかと思ったら、みんなに応援の言葉を残して、潔くキレイに去って行った。カッコええなと思いましたね」

 5話ではシオミンから“惚れ薬”のプレゼントもありましたが。

「あの惚れ薬、僕が毎日飲んでるサプリとまったく同じだったんです(笑)。そういう意味でも感覚が一緒なので、友達として仲良くなれるっていう運命は感じましたね!」

 初対面のキスアピールはマイナスではなかったものの、“結婚相手ではなく友達”となってしまい、お別れとなったシオミンでした。

 続いて印象に残ったのはグアムのビーチで水着姿の田尻夏樹さんが、ハンモックの上でバチェラーに脚を絡ませるシーン……と思いきや、その後の加賀美碧さんのマッサージが猛烈にエロく、見せ場は完全に持っていかれました。

 水着で股がられて、そして乳首も触られて……、あのドエロなマッサージを受けている間も表情を崩すことなく、冷静に受け止めてましたが、どんな気持ちでしたか?

「おかげさまで楽しんでいました(笑)。シーズン2でも見たような光景だったし、落ち着いていられましたね。女性から何かやってもらう時は、その女性が一番輝けるようにしたいと思っていたので、彼女がイケるとこまでお付き合いしようと思っていましたね」

 女性が頑張っている時は、邪魔しちゃいけないって感じですかね。

「はい。むしろ、僕が油を注いで盛り上げてあげる感じですね(笑)」

 でも結果的に、エロ攻撃をする女性は結婚相手にはならないですよね?

「はい(笑)。エロ攻撃が来た時点で“お別れだな”とは思っていました(笑)」

 シーズン1では鶴(あいか)さん、シーズン2ではあずあず(野田あず沙)と、エロ攻撃はもはや『バチェラー』シリーズの風物詩となっていますが、嫁候補に残るのは厳しい道のようです。それでもエロ度のレベルは、シーズンを重ねるごと確実に上がっています!

 金子実加さんは、初対面で「昔会ったことがある」けど、どこで会ったのかは秘密にするという、“引っ張り”作戦を展開。2話でようやく、友永氏に“どこで”を教えたところ、女性たちにも話が広まり、その過去を知らなかった、金子さんの昔からの友人、中川友里さんがショックを受ける――という、飛び火騒動まで巻き起こりました。そんな金子さんは、4話で去ってしまうわけですが、やはり“秘密”といえば、田尻さんの“バツイチ子持ち”の過去が一番大きなものでしょうか。

 正直、6話での告白は遅すぎる気がしましたが、いかがでしたか?

「もちろん驚いたんですが、聞いた瞬間、いろんな思いが駆け巡りましたね。やはり真っ先に考えたのは子どものこと。『今、子どもは何をしているの!?』と。当時、撮影から2カ月はたっていたので、『連絡も取れない状況下で子ども一人置いて大丈夫なのか?』とか」

 ドン引きというより、お子さんのことを考えてしまったんですね。

「僕、子どもの頃の記憶がすごくあって。撮影時、彼女の子どもはちょうど時期的に小学5年から6年に上がるタイミングだったんですけど、そんな時期に母親がいなかったら、自分だったらキツイなぁとか考えてましたね。祖父母のところに預けていたようですが、もしも6年から中学に上がるタイミングだったら、卒業式とか入学式をパスするわけじゃないですか。それはないな、と思いましたね。もしそうだったら来ないと、彼女も言ってましたが」

 なるほど。告白時期は気になりませんでしたか?

「はい。僕は女性の本音を探ることに全力で、質問ばかりしていたから、自分が話したいと思っていてもタイミングがなかったのかなと思ってます。こっちが言わせない空気を作っていたせいです」

 水着で脚を絡ませるシーンとか、子どもが見たらショックだろうなと思っちゃいましたが。

「それも考えましたね~。あれはママだったんやと思うと、本当にビックリしました」

 田尻さんの“バツイチ子持ち”の告白時期は気にならないまでも、撮影中の子どもの状況に思いが駆け巡ったという友永氏。

 『バチェラー』シーズン3も後半になり、それぞれの女性に対する友永氏の感情も深くなっている中、それでも毎回1人の女性が脱落していきます。次回の記事では“お別れした女性たちと、その真相”について突っ込んで聞いてみたいと思います。

3代目バチェラー・友永真也、激白! いま明かす「女性の本性を暴くため」とった行動とは?

 CMやSNS等でも話題沸騰中のAmazon Prime Video独占配信の『バチェラー・ジャパン』をご存じでしょうか? 米国発の世界中で大ヒットした恋愛リアリティ番組『ザ・バチェラー』の日本版で、現在シーズン3が配信中です。

 1人の完璧な独身男性(バチェラー)を20人の美女が奪い合い、最後に残った1人が勝利(というかバチェラー)を勝ち取るという、凄まじい婚活サバイバルが繰り広げられる『バチェラー』シリーズ。番組にすっかり夢中になった私、白戸ミフルが、3代目バチェラーの友永真也氏に会ってきました!

取材にも颯爽と登場!

 紺のスーツにブルーのシャツを合わせ、颯爽と現れた友永氏。中高をフランスで過ごし、貿易会社を経営する実業家で、番組解説の指原莉乃も「これまでで一番“港区男子”色が強い!」(彼は神戸在住ですが)と認めるだけあって、正に“さわやか”そのもの! 映像を通じても、そのさわやかさ、イケメンさは十分に感じられましたが、実物はやっぱり圧倒的です。

 初代バチェラーの久保裕丈氏は、王子様系で少女漫画に出てきそうなスイート系イケメン、2代目の小柳津林太郎氏はヒゲで少しチャラ目のワイルド系イケメンでしたが、3代目の友永氏は、ここ数年はやりの、いわゆる塩顔イケメン。番組解説の今田耕司も「今までで一番ビジュアルが良い」と言っていた通り、幅広い世代の女性のハートをキャッチしそうです。

 31歳と歴代バチェラーに比べると年齢は若いのですが、周りの友人はほとんど結婚していたり、長年連れ添った愛犬とのお別れもあったことで、かなり強い結婚願望を持っているという友永氏。

 その表れとして、3つ宝石を使ったオーダーメイドの指輪を、『バチェラー』で最後に選ばれた女性にプレゼントするために用意してきたというから驚きです。その宝石にも、それぞれ意味があるそうで、ダイヤモンド=結婚の象徴、ルビー=愛犬が身につけていた赤いリボンの色、サファイア=友永氏のラッキーカラーのブルー、となっているとか。

 結婚相手を本気で探しにきたと語る友永氏ですが、参加女性と一緒に過ごす時間は、想像以上に少ない(基本は別行動で、女性と過ごすのは収録時のデートやカクテルパーティ等のみ)ようですし、そんな中で、お相手を見つけるのは困難だったのでは?

「そうですね。本当に短い時間ではあったので、相手の本性を探る方法をたくさん考えましたね。本性を暴くためにできることは全てしました(笑)」

 本性ですか(笑)。どんなことをしたのですか?

「どこまで話していいのかな(笑)。本当にいろいろ考えて、たくさん質問をしました。でも結果、全然足りてなかったです。もっと問い質せばよかった(笑)。番組を通じて、女性の本音を知るのは本当に難しいということを学びましたね」

 結果、“モンスター揃い”と巷でいわれている、参加女性の本性を暴くことはできなかったようですが、誰がモンスターだったのか? 本音を隠しているのは誰なのか? そんな目線で見てみると、さらに面白そうですね。

 『バチェラー』といえば、面白いのは参加女性同士の生々しいトークやドロドロの闘い、そして個別インタビューでの赤裸々なトークですよね。

 撮影中は、女性と隔離されているため、女性同士の会話や、インタビューシーンは配信後に見たという友永氏。自分に見せていた姿とギャップを感じたりしませんでしたか?

「う~ん。素朴な一面もあった元ユニバースの野原遥さんには驚きましたけど、高田汐美さんのギャップには一番驚きましたね」

 
 
 
 
 
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 シオミン(高田汐美さん)といえば、初対面でキスしてきて強烈な印象がありますが。

「そうですね。最初から圧倒的な強い印象はあったんですけど、後から番組を見て、『あんな面白い子やったんや~』と思いました。彼女のコメント力はヤバいですね。本当に裏表がなくて、思ったことを全部言ってくれていますね」

 確かに、2話ではファーストローズをもらった岩間さんに対して「後はもう落ちるだけ」とか「色気がない」とか、3話では「つまんないデート」ってハッキリ言っちゃうし、5話ではバチェラーのアポ無し訪問に、お酒を片手にスッピンで「発狂!」と興奮していたりと、自由奔放な言動が目立ちます。

 さて、初対面からキスをしてきたシオミンをはじめ、性感マッサージのようなエロ攻撃や、ワケあり風情で秘密をチラつかせられるなど、女性たちから肉体的・精神的なアピールを受けてきたバチェラー。実際、その時どう感じていたのか!?

 次回は、女性からの熱烈アピールについて“ぶっちゃけトーク”をしてもらいます。

――次回は10月14日公開!