バカリズム、KAT-TUN・中丸雄一、メイプル超合金・カズレーザーの“家事初心者”3人が、家事をゼロから学ぶドキュメントバラエティー『家事ヤロウ!!!』(テレビ朝日系)。番組公式サイトで、「基礎中の基礎から、今すぐ役立つテクニックまで“狭く” “深く” “ユルく”家事をイチからではなくゼロから徹底的に学んでいきます」とあるように、「キッチン汚れの落とし方」「洗濯物の干し方」「アイロンのかけ方」といった基礎から、「豆腐料理」「スイーツ」「炊き込みご飯」など、さまざまなレシピにチャレンジするお料理企画まで、家事にまつわる幅広いテーマを取り上げ、人気を博している。
誰しもの生活に関わる「家事」だが、こと夫婦間では、「家事の分担問題」が物議を醸すことがある。日本では、男性に比べ、女性の家事負担が大きく、それによって女性側が不満を溜めこんでしまうことが珍しくない。近年では、男性も家事に取り組むようになってきたというものの、ネットを見てみると、「夫は仕事から帰ってくるとソファーから一歩も動かない」「食器を流しに持っていくことすらしない」「洗濯機の使い方すらわかっていない」など、女性の家事分担にまつわる“悩み”がいくつも見受けられる。
男性タレントが家事を学ぶ番組が支持され、男性も家事をするのが一般的になってきた一方、それでもまだまだ女性側の家事負担が大きいのはなぜか。サイゾーウーマンでは過去に、『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(光文社新書)の著者であり、家事研究家の佐光紀子氏に取材を行い、その疑問についてお聞きしていた。佐光氏が「女性自身が家事に求めるレベルが高すぎることが背景にある」と語るワケとは。今回、あらためてこのインタビューを掲載する。
(編集部)
(初出:2018年4月7日)
家事のやりすぎが“国を滅ぼす”? 完璧主義な日本女性の“手抜き”が重要なワケ
育児に積極的な夫「イクメン」、家事に協力的な夫「カジメン」という言葉が生まれて久しい。しかし、厚生労働省によると、2016年度の男性育児休業(育休)取得率は過去最高とはいえ、たった3.16%。女性の育休取得率81.8%とは圧倒的な差が開いている。さらに世界的に見ても、日本の家事分担率は低く、女性に大きな負担がかかっているのが現状だ。日本の家事分担の実態について、『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(光文社新書)の著者であり家事研究家の佐光紀子氏に、詳しく話を聞いた。
■完璧な家事をしようとする日本の女性
諸外国の女性と比べて、日本女性が家事をしすぎているのは事実であり、実際のデータにも如実に表れている。たとえば、16年のOECD(経済協力開発機構)の統計によると、男性が家事を分担する割合は、OECD加盟国平均で31%。これでも少ないといわれているが、日本に至っては半分以下の15%にまで落ちる。なぜ日本人男性の家事分担率は低いのだろうか? その理由のひとつに、女性自身が家事に求めるレベルが高すぎることが背景にあると、佐光氏は指摘する。
「夫に家事を頼む妻側が、『自分のやり方が正しい』『ちゃんと正しい家事でなければ』と思っているケースは多いのです。たとえば、服のたたみ方ひとつとってみても、妻側に『正しい』たたみ方がある。夫が『ちゃんと正しく』できないと、ダメだしされたりするわけです。そうなると、家事そのものの難易度が上がってしまうので次第に苦痛になり、なかなか家事分担が進まなくなってしまうのです」
12年、ダスキンが行った「主婦のお掃除実態調査」でも、日本の主婦のほぼ半数(48.4%)が「トイレ掃除は毎日すべき」と回答するも、夫側の答えは2割弱という結果だった。夫がよしとするレベルでは、妻が到底満足しないことは、想像に難くない。この意識のギャップが、家事分担率の低さに表れているといえる。
佐光氏によれば、日本では根強い「家事は女性がやるもの」という価値観は、諸外国にもあったはずだという。しかし、欧米諸国では、1960年代後半からのウーマンリブ運動をきっかけに男女同権が徐々に進み、家事においても格差が是正されていった。一方、その時期日本では高度成長期を迎えてサラリーマン家庭が増加し、男は企業戦士、女は家庭を守る専業主婦という分業体制が確立され、いまだにその考えが引き継がれているというわけだ。また、そんな家庭に育った子どもたちは、母親が家事に追われている姿を見て、結婚や出産そのものに及び腰になっていると、佐光氏は警鐘を鳴らす。
「家庭と仕事の両立は大変だという認識が若い世代にも浸透しているため、子どもを産むことをためらい、結婚しない人が増えています。女性の専業主婦志向が強まっているのも、同様の理由といえるでしょう」
とはいえ、高度成長期が過ぎ、夫の収入だけでは家計がもたなくなったことで、92年に初めて共働き世帯が専業主婦世帯を上回った。女性が家事だけでなく、仕事もすることが一般的になった今、平等性の観点からも家事分担は必然だろう。
■夫とのシェアだけでなく、外部サービスを試してみるのもあり
それでは、女性の家事負担を減らすためには、どうすればいいのか? 佐光氏は、思い切って夫に家事を任せてみることも大事だという。
「妻側が無理やり自分のやり方を押し付けず、夫を信じて細かい指示を出しすぎないようにすることが重要。さらに、男女ともに家事ができないことを、そこまでダメだと意識しすぎず、重く受け止めないように意識改革することも必要でしょう」
また、女性の家事負担を下げるためには、必ずしも夫の手助けだけでなく、外部サービスに頼むことも一案だと、佐光氏は指摘する。
「多くの女性は家事のすべてを全部自分でやろうとしていますが、たとえば市区町村が手がけている『ファミリーサポートセンター』では、保育園への送迎や託児サービスなどを受けられます。ほかにも、定年退職後の高齢者が買い物、洗濯、雑草抜きなどをしてくれる『シルバー人材センター』というものもあるので、家事と仕事の両立をするなら、他人の手をうまく活用すべきです」
「女性が『ちゃんとした家事をしなければならない』という意識の呪縛から解放されれば、身も心も楽になるでしょう」と佐光氏。
良い家庭を築くことと、完璧に家事をこなすことは、イコールでない。社会のため、日本のためにも、家事は適度に“手抜き”することも大事なのだ。
(福田晃広/清談社)
