昨今、SNSで話題になることが増えた「裏垢女子」をご存じだろうか。普段使用しているアカウント以外を総じて「裏垢」と言うこともあるが、最近では、性的な事柄をつづったり、裸の写真などをアップするアカウントを「裏垢」、またそれを運営している女性を「裏垢女子」と呼ぶそうだ。
今年、青山のアパレルショップ店長がSNSで裏垢を作り、胸元の際どい写真を投稿したところ、現実世界では得られない称賛を浴びたことで裏垢にハマッていく様子を描いた映画『裏アカ』も製作されるなど、いまや裏垢女子は、一部のSNS界隈では知られた存在になりつつある。
しかしその半面、「裏垢女子」という言葉を知ってはいても、彼女たちの実情について「詳しくはわからない」という人も多いはず。そこで今回サイゾーウーマンでは、現役の「裏垢女子」サオリさん(仮名)に取材を行い、その実態を解説いただいた。
裏垢女子は「エロい自撮り」をアップするだけじゃない!?
サオリさんは、現在29歳の会社員。3年前に結婚し、都内近郊で夫と2人暮らしをしている。裏垢女子デビューは今年に入ってから、「コロナ禍の影響で仕事が暇になり、マッチングアプリのTinderを始めて男性と会うようになったんですが、その備忘録にしようと裏垢を開設しました」という。裏垢では、男性との密会の様子やセックス内容、またその感想などを文章でつづっているそうだ。
「『裏垢女子』と一口に言っても、その投稿内容は多岐にわたります。皆さん、エロい自撮り……例えばおっぱいとかお尻、性器ギリギリの写真や、セックス写真をアップしているアカウントを裏垢女子と思っているかもしれませんが、私のように『セックスの体験談』をメインで投稿しているアカウントも裏垢女子。ほかにも、クスッと笑える“エロネタ”をツイートするアカウント、セックステクニックをレクチャーするアカウント、オフパコ(※)募集アカウントなんかも、そうです。もちろん、これらの要素を全て兼ね備えたアカウントもあります。フォロワー数が数万人という人気アカウントもあって、“性に特化したインフルエンサー”みたいだなぁと思っています」
※ネットを介して知り合った人とセックスをすること
また、裏垢女子より数は少ないものの、裏垢男子も存在するという。女性に好まれそうなプレイ内容をツイートしている裏垢男子は、裏垢女子に特に人気があるといい「キャーキャー言われて、王子様気分を味わっているみたい」とサオリさん。そのほかに、エロ写真や動画を、DMを介して販売していると思しき裏垢女子もいるそうで、「もしかしたら業者なのかもしれませんが」とサオリさんは付け加えた。
性的なことを日夜ツイートしている裏垢女子だけに、「性欲が強くて、エロいことが大好き」なのかと思いきや、サオリさんは「むしろ自分に自信がないタイプが多いのでは」と指摘する。その背景には、彼女たちが裏垢を作る理由が見え隠れする。
「そもそも、なぜ裏垢を作るのかと言われれば、承認欲求を満たすためだと思います。裏垢女子には、彼氏に振られたり、セフレ沼にハマッて(セフレに本気で恋をして)しまったり、異性関係で傷ついた経験を持つ子が結構いるんです。そうやって自信を失った人が、エッチな投稿をして『いいね!』をもらうことで、自尊心を満たそうとしているような気がします」
サオリさんも、そんなタイプの裏垢女子だという。
「私は昔から女としての自分にまったく自信がない。そのコンプレックスを克服したくて、暇ができたのをきっかけにTinderを始め、いろんな男性とセックスするようになったんですが、ある程度、承認欲求は満たされるものの、それを体験談として投稿し『いいね!』をもらうと、さらに満たされる。『私はこんなにもいろんな男と、いろんなセックスをしてるんだぞ!』と自慢したら、『いいね!』と言ってもらえるわけですから。それに、『いいね!』によって、『既婚者なのに多数の男性と肉体関係を持つこと』への罪悪感がなくなる面もあります」
投稿内容はさまざまな裏垢女子の中でも、「エロい自撮りをアップする人は、特に承認欲求が強いのではないか」とサオリさん。なんでも、エロい自撮りは、瞬く間に大量の「いいね!」がつくというのだ。裏垢女子の年齢層は幅広いものの、写真をアップするのは、未成年と人妻が多い印象だといい、「彼女たちはもしかしたら、クラスメイトから容姿をバカにされたり、夫とのセックスレスに悩んだりしているのかもしれませんね。だから『男の人に欲情されたい』という願望が爆発するのかな」と考察する。ちなみサオリさんは、写真を投稿したことはないというが、裏垢男子にDMで送ったことはあるそうだ。
「ただ面白いのが、裏垢女子の自撮りには、男性からだけでなく、同じ裏垢女子からも『いいね!』がつくんです。エロい自撮りは男性からですが、顔の一部を出している自撮りは裏垢女子から『いいね!』がつく。男性に欲情されるだけでなく、女性に『可愛い』『美人』と認めてもらいたいという気持ちがあって、それを裏垢女子同士で満たし合っているような感じかもしれません」
裏垢女子同士の交流でいうと、オフ会を行うケースもあるとのこと。
「オフ会をしているのは、女子大生が多いイメージ。男女関係に関する共通の悩みを語り合ったりしているそうですよ。意外にも同性同士のつながりが強いのも、裏垢女子の特徴。私も、若い裏垢女子が、異性関係の病みツイートをしていると、『ああ、私も昔そうだったなぁ』と胸がキュンとなり、思わず『いいね!』してしまいます」
サオリさんが語る「時に自らの承認欲求を満たし、時に誰かの承認欲求を満たしている」裏垢女子たちの一面は、SNS界でキワモノ扱いされている彼女たちのイメージを覆すものかもしれない。しかし、この界隈ではトラブルも発生しており、例えばある裏垢女子が、別の裏垢女子にDMで顔写真を送ったところ、Twitter上で晒されるという騒動もあったという。
後編では、裏垢女子のトラブル事例や危険性について、ITジャーナリスト・高橋暁子さんに詳しく話をお聞きする。