毒母の介護、最後は“意地”だった。「娘がいて“便利で”よかったわ」「つまらない人生でした」母の辛辣な言葉に、私は……

 皆さんは、これまでの人生で「看取り」を経験したことがあるだろうか? 

 「看取り」とは、高齢者が自然に亡くなるまでの過程を見守ることを指し、超高齢社会の現代においては多くの人が経験するものと考えられるが、家族が年老い、死んでいく姿を“まったく想像できない人”は少なくないはず。もしくは、死を目前にした家族を皆で囲みながら、感謝の言葉を伝え合いながら、穏やかな時間を過ごす……そんなドラマのようなワンシーンを思い浮かべる人もいるかもしれない。

 しかし、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)を上梓したエッセイスト・鳥居りんこ氏は、「看取りはもっと過酷なものです!」と語る。本書には、両親を10年以上にわたり介護し、看取った実体験を元に、介護・看取り初心者へのアドバイスをつづっているが、その内容は確かに過酷そのもの。そして、読者に“死への向き合い方”を考えさせる1冊となっている。

 今回、サイゾーウーマンでは、鳥居氏にインタビューを行い、その介護体験を振り返りつつ、親を看取ることの難しさを語っていただいた。

◎私の母は女王様、子どもは使用人だった

——鳥居さんは、2006年にお父さまが心筋梗塞で倒れてから、介護生活をスタートされたそうですね。

鳥居りんこ氏(以下、鳥居) そうですね。父はその後、末期の肺がんと診断され、08年に息を引き取りました。一方の母は、今から20年前、いわゆる“目にくる脳溢血”で突然片目が見えなくなってしまい、病院への付き添いが始まりました。思えば、その頃から「介護がスタートした」といえるかもしれませんね。そして12年には、パーキンソン症候群の一つである難病「進行性核上性麻痺(PSP)」と診断されたのですが、病名がわかるまでが大変でした。ガラス窓に頭から突っ込むなど、明らかにおかしな行動が増え、母から目が離せなくなったのに、病院へ行っても「老化です」と言われてしまって……。その後、13年に介護付き有料老人ホームに入居し、17年に亡くなりました。

——簡単に介護歴を振り返っていただいただけでも、その壮絶さがひしひしと伝わってきます。

鳥居 私の母は、いわゆる毒母。昔からまるで女王様のように「いろいろしてもらって当たり前」という態度で、子どもは“使用人”。母の意に反することをしてしまうと、罵倒されました。まぁ、母からすると「正しいことを指摘した」だけなのでしょうが。片目が見えなくなった頃から、その傾向はさらに強まっていきましたね。

 そんな中、介護のキーパーソンだった姉が病気になってしまい、私がメインで引き受けざるを得ない状況に。家事と子育て、仕事、介護と、目まぐるしい日々に突入しました。夫にとっては実の親ではないため「介護を手伝って」とは言えなかったし、当時中学生だった下の娘をしっかり見てあげることもできず、自分の家族がバラバラになっていくのを感じました。

◎「どこまでやったら褒めてもらえる?」毒母を意地になって介護した

——当時、どのような心境だったか覚えていますか?

鳥居 もう、目の前のことしかできなくなるんです。この割れたガラスを片付ける、失禁したパンツを洗う、食べさせるものを作るとか。目の前のハエを追うような毎日で、「この場を切り上げて早く家に帰りたい」とばかり思ってました。帰宅しても、山のような家事が待っているんですけどね。全てが中途半端にしかできなくて、フラストレーションがどんどんたまり、体力だけでなくメンタルも削られていきました。

——介護の中で、特に印象に残っている、つらかった経験はなんでしょうか?

鳥居 これは老人ホームに入ってからの話ですが、母に毎日毎日「つまんない」と愚痴られるのがつらかった。母の病気は、嚥下がしづらくなる症状もあったため、食べていてもすぐもどしそうになる。老化によって、味覚も鈍くなっていたのか、食事の楽しみがなくなってしまいました。それに老人ホームは、どこの誰かわからない人たちと集団行動しなくちゃいけないというストレスもありますから、「つまんない」のは当然なんですよ。

 そんな母の楽しみを補うのは、私の役割でした。昔から母は、自分の楽しみを私に委ね、私は母を喜ばせるために、いろんな話をしなければいけなかった。それをしないと、母が機嫌を損ねてしまい、爆発するから。この頃の母は、私にさらに楽しみを求め、感情をぶつけてくるようになっていました。

 毎日「今日は来るの?」と電話がかかってきて、「◯時頃行くよ」と答える。そしたら「もう出た?」と電話が入り、「今向かってる」と言っても、また「まだ着かないの?」とお叱りの電話が鳴り響く……。「今、車に乗ってんだよ!!」って叫びたかったですよ。そういえば、母にカメラを回しながら「どんな人生だったか?」を聞いたことがあったんですけど、「つまらない人生でした」と言っていて……「本当にそうですよね、自分で楽しもうとしなかったんだもん」と、心の中で思いました。

——それでも介護を投げ出さなかった理由はなんでしょう?

鳥居 私は「お願いだから、今日死んでくれ」って散々思っていましたし、当時仕事をしていたメディアでも言ってましたけどね(笑)。これは、毒母を持つ娘ならではの感覚かもしれませんが、母に認めてほしかったんです。母は「娘がいて“便利で”よかったわ」とは言うんですが、私は“自分の存在”を認めてほしかった。どこまでやったら褒めてくれるんだろうと、最後のほうは意地になって介護していました。でも結局、最後まで認めてはもらえませんでした。

 介護をする人の心って、「親に対する恩」と「親に対する怨」の間で揺れ動いていると思うんですよ。「恩」を感じすぎても、「怨」を感じすぎても、心が疲弊してしまう。親に対して「今すぐ死んでしまえ!」と思っても、次の瞬間に「かわいそうだから、これをやってあげよう」と動く……そんなふうに「恩」と「怨」の心境を行ったり来たりすることが、介護なのだと感じています。

(後編につづく)

鳥居りんこ(とりい・りんこ)
エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。『偏差値30からの中学受験』シリーズ(学研)など、中学受験の著書で広く知られる一方、近年は実体験を元に、介護問題へのアドバイスを行っている。『鳥居りんこの親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』『親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(いずれも学研プラス)など著書多数。

「女性客の顔ランク付け」男性美容師が大炎上! 「お客様に渡す雑誌の種類」にも意外な事実が?

 東京・渋谷区内の美容室「navile原宿」の男性スタッフが、ヘアサロンのスタッフ予約アプリ「minimo」で、女性客に顔写真を送らせ、顔のランクによって施術メニューを決めているとして、SNSで大炎上が巻き起こった。

 このスタッフは、「正直に書きますが、このメニューで、施術可能になるには かなり審査レベルは高いです」と前置きをして、「sランク 全て無料」「Aランク カット、カラー全般、トリートメント」「Bランク カットカラートリートメント」「cランク カット、ワンカラー<モデル料金>1000円」「Dランク カットのみ」(原文ママ)と提示。

 とあるTwitterユーザーが、この文面をスクショした画像とともに「美容師に顔ランクSからABCDまで付けられるの死なない??笑」とツイートすると、一気に拡散され、「ひどい店」「顔にランク付けるなんて気持ち悪い」などと批判が噴出したのだ。

 これを受け、男性スタッフは「お客様を見た目で判断する様な対応をしてしまった」として、オーナーとともにTwitterで謝罪。しかし、クレームがやまなかったようで、オーナーは再び謝罪を行い、一部取材に対して、顔のランク付けは「一般客にではなく撮影モデルなどになる人」への行為だったと弁明したのだった。

 「きれいになるため、可愛くなるため」に美容院を訪れる人も多い中、事前に美容師から顔をランク付けされるとあっては、不快感を抱かざるを得ないだろう。今回の件はかなり異例だが、美容院にて、仕上がり以外で“モヤッ”となったことがある人は、少なからずいるのではないだろうか。

 その一つとして挙げられるのが、施術中に渡される雑誌だ。「結婚してないのに、主婦向け雑誌を渡された」「上の世代のファッション誌を持ってこられた」「週刊誌っておばさん認定?」などなど、ネット上には、美容院と雑誌をめぐる“モヤッ”と体験に枚挙にいとまがない。

 果たして、「お客様に渡す雑誌」には何らかの基準があるのか? サイゾーウーマンでは過去、現役美容師に取材を行っていた。その真相を知ることで、少しでも美容院でモヤモヤする人が減るようにとの思いを込め、今回、同記事をあらためて掲載する。
(編集部)


(初出:2018年7月5日)

「週刊誌=おばさん認定」は本当か? 現役美容師が「お客様に渡す雑誌」の裏側を暴露

「先日から通ってる美容院が雑誌廃止してiPad Proでdマガジンを読ませてくれるようになったんだけど、美容師さん側も気遣わなくてよくなったし、お客さんも200誌以上の中から好きなものを読めるって喜んでるからdマガジンにしてよかった…って美容師さん言ってた」

 先日Twitter上で、“美容院で渡される雑誌”に関するツイートが話題を集めた。ほとんどの美容院では、お客さんが施術中に暇をしないようにという配慮からか、ファッション誌やグルメ誌、週刊誌といった雑誌が渡される。自分とは趣味趣向の合わない雑誌、読者層が違う雑誌を渡されると、モヤッとしてしまうことも少なくないが、このツイート主によると、通っている美容院が雑誌を廃止して、200誌以上の最新号が読み放題のサービス「dマガジン」を導入、お客さん側が自分の好きな雑誌を選べるようになったという。事実、数年前から、「dマガジン」に移行しているサロンも少なくないだろう。

 このツイートが話題になった背景には、多くの人が「美容院で渡された雑誌」に関して、腑に落ちない思いをした経験があるからなのではないだろうか。地方のサロンで美容師をしているAさんは「カウンセリングの際に、『普段読んでいる雑誌は何ですか?』と質問している美容院も多いですが、そうでなければ、お客様の服装や雰囲気、メイクから判断して、その系統のファッション雑誌を、美容師が選んで渡しています」とのこと。つまり、見た目によって「この人はこういう雑誌を読みそう」とジャッジされているというわけだ。

 ネット上には「自分より上の世代向けのファッション誌を渡されてショック」「席に、ファッション誌ではなく週刊誌が置いてあったのを見たときは、『あぁ私もババアになったんだ』と痛感した」「独身なのに主婦向け雑誌を持ってこられてムカッとした」などのエピソードも散見されるが、今回、現役の美容師たちに、お客さんに対する雑誌選びの基準や工夫、そして普段は言えない“本音”を明かしてもらった。

 前出のAさんいわく、「独身なのに主婦向けの雑誌を渡す、そのお客様より上の年代の雑誌を渡すといったことは、完全に美容師のミス」と指摘する。

「美容師が、雑誌のジャンル、読者層の年代を把握していない、またお客様のことを覚えていないために起きた失敗だと思います。新人だとたまにやってしまうかもしれませんが、実際にお客様からクレームを受けたというのは、ないかなぁ。そんなことしたら、お客様の前に先輩にど叱られるので、『先輩から説教されたことがある』という美容師はいるかも。あと、気をつけないといけないのは、お客様より下の世代の雑誌を渡してしまうこと。以前、40~50代、言い方は悪いですが“普通のおばさん”といった感じのお客様に、赤文字系のファッション誌を渡そうとした美容師がいて、『ちゃんと見て!』と。『若く見られてうれしい』と好意的に受け取ってくれる人もいるかもしれませんが、不快に思われる人もいますから、注意が必要です」

 また、新規のお客さんの場合、見た目に加えて、会話の中で「独身か既婚か」「子持ちかキャリアウーマンか」などを聞き出し、それによってその人に合った雑誌を決めるというAさん。2回目以降のお客さんに関しては、朝礼で「お客様情報」の申し送りを行い、「その際には、結婚しているかどうか、といったことも伝えます。もしそのお客様が大好きな雑誌があれば、『絶対にそれを渡してください!』と共有する」そう。施術中、話を振られるがままにプライベートについての話をする人も多いだろうが、意外にも美容師はしっかりとその話を把握しているようだ。

「週刊誌を渡されたら、それで即『おばさん認定』というわけではないです。会話をしている中で、そのお客様がニュースで話題になっている芸能人の話をしたとか? 美容師が『このお客様はゴシップが好き』と思ったら、若い方でも週刊誌を渡す可能性はありますね。見た目だけでなく、会話からも判断していると思ってくれるとうれしいです。あと、私の場合、その人の年齢層に合ったファッション誌を3冊、あとグルメ誌やカルチャー誌などを1冊、計4冊持っていって、選んでもらうようにしています。そうすれば、嫌な思いはさせないかなって」

服装に気を使ってなさそうな30~40代に渡すのは……

 都内で美容師をしているBさんも、Aさん同様に「見た目だけでなく、会話の内容も重要」と語るが、新規のお客さんに受付で待ってもらう際に渡す雑誌は、「完全に見た目だけで判断しています」という。

「ただ、うちの場合ですが、お客様と会話をする前に渡す雑誌に関しては、主婦向け雑誌を外すようにしています。失礼に当たるといけないからという配慮で、そういった点に関しては、どの店も気を使っているんじゃないでしょうか。『独身なのに主婦向け雑誌を渡された』という場合は、かなり落ち着いた雰囲気が出てたってことだと思いますけどね」

 またBさんは「言い方は悪いですが……」とことわった上で、「私は30~40代で、服装に気を使ってなさそうなお客様には、無難に『東京ウォーカー』(KADOKAWA)とかの情報誌をベースに、そこにその方の年代のファッション誌を加えて持っていくことはあります」と本音を覗かせる。

「逆に『美容院=オシャレ』な場所と思って、背伸びしたファッションで来るお客様も多いんですが、それは避けた方がいいかも。一番好きなジャンル&等身大のファッションでご来店してもらった方が、雑誌だけじゃなくて、髪形やヘアケアの提案までまるで違ってきます。普段通りの格好で来てほしいなと思います」

 ネット上には「この雑誌を渡されてショックだった!」というエピソードが数々飛び交っているが、「むしろ新人でもないのに、雑誌選びを間違える美容師はヤバい!」と語るのは、都内近郊のサロンに勤めるCさん。

「美容院ごとにそのお店の雰囲気というものがあります。幅広い雑誌を置いているところもあると思いますが、それなりにお店の雰囲気に合った雑誌を置いているのでは。お客様側も、最近は、美容院のホームページや美容師のSNSを見て、お店の雰囲気を知った上で来店する方が多いですから、それで雑誌を外すっていうのは、あまり起こらないと思うんですよね。なのに間違えるのは、美容師がどうかしてると思っちゃう(笑)」

 話題になったツイートでは、dマガジンに移行したことで、「美容師さん側も気遣わなくてよくなった」とあったが、Cさんは「雑誌選びが面倒くさいなぁとは思わないですよ、少なくとも僕は」と語る。美容師は、お客さんの雰囲気を読み取ってヘアスタイルを提案していくというのも仕事の1つだけに、どんな雑誌が好まれるのかを見抜くのも美容師としての“目”が問われるのかもしれない。

 来店する側からすると、「どの雑誌を渡されるか」「自分は他人にどう見えているのか」は気にしてしまうところだが、「それは違う」という雑誌だったとしても、美容師が間違えただけと軽く受け流した方がいいのかもしれない。

「女性客の顔ランク付け」男性美容師が大炎上! 「お客様に渡す雑誌の種類」にも意外な事実が?

 東京・渋谷区内の美容室「navile原宿」の男性スタッフが、ヘアサロンのスタッフ予約アプリ「minimo」で、女性客に顔写真を送らせ、顔のランクによって施術メニューを決めているとして、SNSで大炎上が巻き起こった。

 このスタッフは、「正直に書きますが、このメニューで、施術可能になるには かなり審査レベルは高いです」と前置きをして、「sランク 全て無料」「Aランク カット、カラー全般、トリートメント」「Bランク カットカラートリートメント」「cランク カット、ワンカラー<モデル料金>1000円」「Dランク カットのみ」(原文ママ)と提示。

 とあるTwitterユーザーが、この文面をスクショした画像とともに「美容師に顔ランクSからABCDまで付けられるの死なない??笑」とツイートすると、一気に拡散され、「ひどい店」「顔にランク付けるなんて気持ち悪い」などと批判が噴出したのだ。

 これを受け、男性スタッフは「お客様を見た目で判断する様な対応をしてしまった」として、オーナーとともにTwitterで謝罪。しかし、クレームがやまなかったようで、オーナーは再び謝罪を行い、一部取材に対して、顔のランク付けは「一般客にではなく撮影モデルなどになる人」への行為だったと弁明したのだった。

 「きれいになるため、可愛くなるため」に美容院を訪れる人も多い中、事前に美容師から顔をランク付けされるとあっては、不快感を抱かざるを得ないだろう。今回の件はかなり異例だが、美容院にて、仕上がり以外で“モヤッ”となったことがある人は、少なからずいるのではないだろうか。

 その一つとして挙げられるのが、施術中に渡される雑誌だ。「結婚してないのに、主婦向け雑誌を渡された」「上の世代のファッション誌を持ってこられた」「週刊誌っておばさん認定?」などなど、ネット上には、美容院と雑誌をめぐる“モヤッ”と体験に枚挙にいとまがない。

 果たして、「お客様に渡す雑誌」には何らかの基準があるのか? サイゾーウーマンでは過去、現役美容師に取材を行っていた。その真相を知ることで、少しでも美容院でモヤモヤする人が減るようにとの思いを込め、今回、同記事をあらためて掲載する。
(編集部)


(初出:2018年7月5日)

「週刊誌=おばさん認定」は本当か? 現役美容師が「お客様に渡す雑誌」の裏側を暴露

「先日から通ってる美容院が雑誌廃止してiPad Proでdマガジンを読ませてくれるようになったんだけど、美容師さん側も気遣わなくてよくなったし、お客さんも200誌以上の中から好きなものを読めるって喜んでるからdマガジンにしてよかった…って美容師さん言ってた」

 先日Twitter上で、“美容院で渡される雑誌”に関するツイートが話題を集めた。ほとんどの美容院では、お客さんが施術中に暇をしないようにという配慮からか、ファッション誌やグルメ誌、週刊誌といった雑誌が渡される。自分とは趣味趣向の合わない雑誌、読者層が違う雑誌を渡されると、モヤッとしてしまうことも少なくないが、このツイート主によると、通っている美容院が雑誌を廃止して、200誌以上の最新号が読み放題のサービス「dマガジン」を導入、お客さん側が自分の好きな雑誌を選べるようになったという。事実、数年前から、「dマガジン」に移行しているサロンも少なくないだろう。

 このツイートが話題になった背景には、多くの人が「美容院で渡された雑誌」に関して、腑に落ちない思いをした経験があるからなのではないだろうか。地方のサロンで美容師をしているAさんは「カウンセリングの際に、『普段読んでいる雑誌は何ですか?』と質問している美容院も多いですが、そうでなければ、お客様の服装や雰囲気、メイクから判断して、その系統のファッション雑誌を、美容師が選んで渡しています」とのこと。つまり、見た目によって「この人はこういう雑誌を読みそう」とジャッジされているというわけだ。

 ネット上には「自分より上の世代向けのファッション誌を渡されてショック」「席に、ファッション誌ではなく週刊誌が置いてあったのを見たときは、『あぁ私もババアになったんだ』と痛感した」「独身なのに主婦向け雑誌を持ってこられてムカッとした」などのエピソードも散見されるが、今回、現役の美容師たちに、お客さんに対する雑誌選びの基準や工夫、そして普段は言えない“本音”を明かしてもらった。

 前出のAさんいわく、「独身なのに主婦向けの雑誌を渡す、そのお客様より上の年代の雑誌を渡すといったことは、完全に美容師のミス」と指摘する。

「美容師が、雑誌のジャンル、読者層の年代を把握していない、またお客様のことを覚えていないために起きた失敗だと思います。新人だとたまにやってしまうかもしれませんが、実際にお客様からクレームを受けたというのは、ないかなぁ。そんなことしたら、お客様の前に先輩にど叱られるので、『先輩から説教されたことがある』という美容師はいるかも。あと、気をつけないといけないのは、お客様より下の世代の雑誌を渡してしまうこと。以前、40~50代、言い方は悪いですが“普通のおばさん”といった感じのお客様に、赤文字系のファッション誌を渡そうとした美容師がいて、『ちゃんと見て!』と。『若く見られてうれしい』と好意的に受け取ってくれる人もいるかもしれませんが、不快に思われる人もいますから、注意が必要です」

 また、新規のお客さんの場合、見た目に加えて、会話の中で「独身か既婚か」「子持ちかキャリアウーマンか」などを聞き出し、それによってその人に合った雑誌を決めるというAさん。2回目以降のお客さんに関しては、朝礼で「お客様情報」の申し送りを行い、「その際には、結婚しているかどうか、といったことも伝えます。もしそのお客様が大好きな雑誌があれば、『絶対にそれを渡してください!』と共有する」そう。施術中、話を振られるがままにプライベートについての話をする人も多いだろうが、意外にも美容師はしっかりとその話を把握しているようだ。

「週刊誌を渡されたら、それで即『おばさん認定』というわけではないです。会話をしている中で、そのお客様がニュースで話題になっている芸能人の話をしたとか? 美容師が『このお客様はゴシップが好き』と思ったら、若い方でも週刊誌を渡す可能性はありますね。見た目だけでなく、会話からも判断していると思ってくれるとうれしいです。あと、私の場合、その人の年齢層に合ったファッション誌を3冊、あとグルメ誌やカルチャー誌などを1冊、計4冊持っていって、選んでもらうようにしています。そうすれば、嫌な思いはさせないかなって」

服装に気を使ってなさそうな30~40代に渡すのは……

 都内で美容師をしているBさんも、Aさん同様に「見た目だけでなく、会話の内容も重要」と語るが、新規のお客さんに受付で待ってもらう際に渡す雑誌は、「完全に見た目だけで判断しています」という。

「ただ、うちの場合ですが、お客様と会話をする前に渡す雑誌に関しては、主婦向け雑誌を外すようにしています。失礼に当たるといけないからという配慮で、そういった点に関しては、どの店も気を使っているんじゃないでしょうか。『独身なのに主婦向け雑誌を渡された』という場合は、かなり落ち着いた雰囲気が出てたってことだと思いますけどね」

 またBさんは「言い方は悪いですが……」とことわった上で、「私は30~40代で、服装に気を使ってなさそうなお客様には、無難に『東京ウォーカー』(KADOKAWA)とかの情報誌をベースに、そこにその方の年代のファッション誌を加えて持っていくことはあります」と本音を覗かせる。

「逆に『美容院=オシャレ』な場所と思って、背伸びしたファッションで来るお客様も多いんですが、それは避けた方がいいかも。一番好きなジャンル&等身大のファッションでご来店してもらった方が、雑誌だけじゃなくて、髪形やヘアケアの提案までまるで違ってきます。普段通りの格好で来てほしいなと思います」

 ネット上には「この雑誌を渡されてショックだった!」というエピソードが数々飛び交っているが、「むしろ新人でもないのに、雑誌選びを間違える美容師はヤバい!」と語るのは、都内近郊のサロンに勤めるCさん。

「美容院ごとにそのお店の雰囲気というものがあります。幅広い雑誌を置いているところもあると思いますが、それなりにお店の雰囲気に合った雑誌を置いているのでは。お客様側も、最近は、美容院のホームページや美容師のSNSを見て、お店の雰囲気を知った上で来店する方が多いですから、それで雑誌を外すっていうのは、あまり起こらないと思うんですよね。なのに間違えるのは、美容師がどうかしてると思っちゃう(笑)」

 話題になったツイートでは、dマガジンに移行したことで、「美容師さん側も気遣わなくてよくなった」とあったが、Cさんは「雑誌選びが面倒くさいなぁとは思わないですよ、少なくとも僕は」と語る。美容師は、お客さんの雰囲気を読み取ってヘアスタイルを提案していくというのも仕事の1つだけに、どんな雑誌が好まれるのかを見抜くのも美容師としての“目”が問われるのかもしれない。

 来店する側からすると、「どの雑誌を渡されるか」「自分は他人にどう見えているのか」は気にしてしまうところだが、「それは違う」という雑誌だったとしても、美容師が間違えただけと軽く受け流した方がいいのかもしれない。

「いぬのおまわりさん」で話題の村方乃々佳ちゃん、CDデビュー発表に「モヤッとする」の声! 元子役が語る“商品”としての自分

 昨年12月、「第35回童謡こどもの歌コンクール」子ども部門で銀賞を受賞した村方乃々佳ちゃんのYouTube動画が、ネット上で大きな話題になった。2018年5月31日生まれ、現在2歳の乃々佳ちゃんは、同コンクールで童謡「いぬのおまわりさん」を歌唱。小さな体で大きな身振り手振りをする愛らしい姿や、堂々とした歌声が話題を呼び、同動画の再生回数は2月25日午後3時の時点で1390万回を突破している。

 その人気は日本国内にとどまらず、海を越えて韓国でも注目を浴びるほど。乃々佳ちゃんの公式YouTubeチャンネル「ののちゃんねる」には、韓国語のコメントが多数書き込まれている。

 そんな彼女のCDデビューが2月25日に発表され、ネット上で再び話題に。AKB48やももいろクローバーZが所属するキングレコードより、5月26日にミニアルバム『ののちゃん 2さい こどもうた』をリリース予定だというが、祝福の声の一方で批判的な声も続出する事態となった。

 SNSやネット掲示板を見てみると、「無料で動画が見れるから人気が出ただけで、お金払ってCD買う人がどれだけいるんだろう?」「話題になったからといって、すぐにCD出すのはやりすぎ……」とCDデビューに懐疑的な声や、「こんな小さいうちから金を稼ぐ道具にされて、子どもがかわいそう」「物心つかないうちに親が将来を決めるのはモヤッとする」「親が勢いで子どもに商売させている感じ。大人になってからのことも考えてるのかな?」など、乃々佳ちゃんを心配する人も少なくない。

 彼女のように、幼いころから人々の注目を浴びる子役たちにも、同じような反応が寄せられることはしばしば。サイゾーウーマンでは、乃々佳ちゃんと同じ2歳で子役タレントとして活動を始め、ドラマやバラエティで人気を博した細山貴嶺さんにインタビューを行っていた。

 12年、高校3年生でエッセイ『デブ、死ね、臭い! を乗り越えて』(マガジンハウス)を出版し、17年に芸能界を引退した“元子役スター”が語った壮絶ないじめ体験、そして大人との向き合い方とは――同記事をあらためて掲載する。
(編集部)

(初出:2012年7月16日)

■「いじめの原因でもあり、アイデンティティーでもあった」細山貴嶺くんが語る、子役の光と陰

子役タレントとして活躍していたころ(左)に比べ、スマートになった現在(右)
 「かわいい」「癒やされる」ともてはやされ、一躍スターになったかと思えば、心身ともに大人になり、ひっそりと消えていく子役スターたち。成長著しい彼らの絶頂期はとても短い。それでも「大人の都合」に笑顔で応える彼らは、子役としての自分をどう捉えているのだろうか。

 2001年から2006年頃、ぽっちゃり体形に蝶ネクタイ、サスペンダー付きのズボンで「お坊ちゃま」キャラとして活躍していた子役、細山貴嶺くん。現在高校3年になった彼が壮絶ないじめ体験をつづったエッセイ『デブ、死ね、臭い! を乗り越えて』(マガジンハウス)を出版した。宿題を盗まれる、首を絞められるなどのいじめを受け、自殺も考えたという彼。子役活動と同時期にいじめを受けた彼に、子役がもたらす影響を聞いた。

――太っていたということのほかに、子役であったこともいじめの原因のひとつだったそうですね。

細山貴嶺さん(以下、細山) 子役だったからいじめられたということもあったんですが、それ以上に大きなプラス面もあったんです。芸能界にいて、自分のコンプレックスを売りにしている芸人さんたちを見て、僕は「短所は長所でもある」と気づけた。芸能界にいなかったらそういう気づきもなく、薄っぺらい人間になっていたんじゃないかなと思います。子役として活動してきたからこそ、今の僕がいる。子役だったからこそいじめを乗り越えることができたんです。

――幼い自分が「商品」であり、自分に大人がお金を払うということについて、恐怖や戸惑いはありましたか?

細山 自分が商品であるということは、ほかの人にはない価値を持っているということ。恐怖というより、自分は自分として胸を張っていいんだと捉えていました。

――子役として「生意気なお坊ちゃま」キャラを演じなければいけないことはつらくなかった?

細山 「生意気なお坊ちゃま」は、実際の僕とは正反対のキャラ。全然お金持ちじゃないし、自分で言うのもなんですが生意気というよりは、ほかの人に合わせる平和志向。バラエティー番組では求められるキャラとしての面白いコメントを即座に言わなければならないので、その点では負担になっていた部分は確かにありました。でも、視点を変えてみれば、学校でいじめられていても、仕事では自分は必要とされているということ。実際の自分とは違う部分が他人から求められ、アイデンティティーを証明する手段にもなっていたんです。複雑ですね。

――「自分のキャラと違うからいやだ」と訴えなかったんですね。

細山 それはなかったですね。2歳から芸能活動を始め、物心ついたときには仕事が日常生活の一部となっていたので、自然と「本当の自分」と「ビジネスとしての自分」のスイッチを切り替えられていました。そうしないと心が保てなかったというところはあるかもしれません。だからといって、学校でも自分を出すといじめられると思って、どう振る舞えばいいか測っていたところがあります。本当にリラックスできたのは、家で親と一緒にいる時間か、仕事に行く途中の電車の中くらいでした。

■「子役ブーム」に対して、子役本人が思うこと

――子どもらしいわがままを親に言ったことは?

細山 ありません。性格的な部分が大きいのですが、僕は自己主張して相手に従わせるよりも、自分が相手に合わせた方がいいと思っているんです。反抗期らしい反抗期もなかったですね。もしかしたら、小学生の時に両親が離婚したので、一生懸命僕を愛して育ててくれた母に反抗するのは違うと思っていたのかもしれません。

――ほかの子役はどうでしたか? わがままな子はいました?

細山 ほかの子役の子とはあまり深く話したことがなかったので、正直よくわからないんですよ。僕にとって子役はビジネスパートナー。仲良く遊ぶのは違うという意識があったんです。ただ、やっぱり学校でいじめられているという話は何人かから聞いたことがあります。ほかの生徒とはちょっと違う特徴がある子、僕だったら太ってるとか、そういった相違点があるといじめられて排除されるのかなと思います。

――今は「子役ブーム」といわれていますが、大人たちが勝手にチヤホヤして、飽きたら見向きもしないということ風潮についてはどう思いますか。

細山 悲しいけど、この業界はそういうもの。一時期売れたとしても、視聴者側が面白いと感じなくなったらそこで終わり。仕方ありません。仕事が減って傷ついた時は、親や周りの人が一緒にいてあげてほしい。僕も成長とともに仕事が少なくなり不安な時期があったんですが、母が「それは別にあなたがどうというわけではなく、芸能界全体として中学生は使いにくいから仕方がないんだよ」と言ってくれたので、「僕はもう不要なんだ」と本気で悩むことはありませんでした。誰も僕を必要としなくなっても、親は最後まで僕を必要としてくれるという安心感もありました。親との信頼関係が重要だと思います。

――大人でも「自分探し」という言葉があるくらい、社会で自分の居場所をみつけることができず悩む人が多いわけですが、どう思いますか。

細山 「自分ってなんだろう」「どういうふうに生きればいいんだろう」と悩むのは誰もが通る道だと思うんですけど、誰にも答えは見えません。だから、ただ自分に自信を持って、人を傷つけず自分らしく生きていれば、きっとあなたを大切に思ってくれる人がいるよ、と思います。

――将来の夢は?

細山 今、高3で受験勉強中。将来的には、いじめで苦しんでいる子を助けるために政治家になりたいと思っています。教師ということも考えたんですが、根本からいじめ問題を解決するには、日本の教育システムを変える必要がある。だから、政治家を目指しています。

――もう一度生まれ変わったら、子役になりたいですか?

細山 絶対に子役としての人生を選びます!
(インタビュー・文=安楽由紀子)

細山貴嶺(ほそやま たかね)
1994年生まれ。赤ちゃんモデルを経て、2歳より子役タレントとして活躍。『おはスタ』(テレビ東京系)、『踊る!さんま御殿!!』『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)、『ワンダフルライフ』『笑う犬の発見』(フジテレビ系)、『英語でしゃべらナイト』(NHK)などへの出演経験がある。

「いぬのおまわりさん」で話題の村方乃々佳ちゃん、CDデビュー発表に「モヤッとする」の声! 元子役が語る“商品”としての自分

 昨年12月、「第35回童謡こどもの歌コンクール」子ども部門で銀賞を受賞した村方乃々佳ちゃんのYouTube動画が、ネット上で大きな話題になった。2018年5月31日生まれ、現在2歳の乃々佳ちゃんは、同コンクールで童謡「いぬのおまわりさん」を歌唱。小さな体で大きな身振り手振りをする愛らしい姿や、堂々とした歌声が話題を呼び、同動画の再生回数は2月25日午後3時の時点で1390万回を突破している。

 その人気は日本国内にとどまらず、海を越えて韓国でも注目を浴びるほど。乃々佳ちゃんの公式YouTubeチャンネル「ののちゃんねる」には、韓国語のコメントが多数書き込まれている。

 そんな彼女のCDデビューが2月25日に発表され、ネット上で再び話題に。AKB48やももいろクローバーZが所属するキングレコードより、5月26日にミニアルバム『ののちゃん 2さい こどもうた』をリリース予定だというが、祝福の声の一方で批判的な声も続出する事態となった。

 SNSやネット掲示板を見てみると、「無料で動画が見れるから人気が出ただけで、お金払ってCD買う人がどれだけいるんだろう?」「話題になったからといって、すぐにCD出すのはやりすぎ……」とCDデビューに懐疑的な声や、「こんな小さいうちから金を稼ぐ道具にされて、子どもがかわいそう」「物心つかないうちに親が将来を決めるのはモヤッとする」「親が勢いで子どもに商売させている感じ。大人になってからのことも考えてるのかな?」など、乃々佳ちゃんを心配する人も少なくない。

 彼女のように、幼いころから人々の注目を浴びる子役たちにも、同じような反応が寄せられることはしばしば。サイゾーウーマンでは、乃々佳ちゃんと同じ2歳で子役タレントとして活動を始め、ドラマやバラエティで人気を博した細山貴嶺さんにインタビューを行っていた。

 12年、高校3年生でエッセイ『デブ、死ね、臭い! を乗り越えて』(マガジンハウス)を出版し、17年に芸能界を引退した“元子役スター”が語った壮絶ないじめ体験、そして大人との向き合い方とは――同記事をあらためて掲載する。
(編集部)

(初出:2012年7月16日)

■「いじめの原因でもあり、アイデンティティーでもあった」細山貴嶺くんが語る、子役の光と陰

子役タレントとして活躍していたころ(左)に比べ、スマートになった現在(右)
 「かわいい」「癒やされる」ともてはやされ、一躍スターになったかと思えば、心身ともに大人になり、ひっそりと消えていく子役スターたち。成長著しい彼らの絶頂期はとても短い。それでも「大人の都合」に笑顔で応える彼らは、子役としての自分をどう捉えているのだろうか。

 2001年から2006年頃、ぽっちゃり体形に蝶ネクタイ、サスペンダー付きのズボンで「お坊ちゃま」キャラとして活躍していた子役、細山貴嶺くん。現在高校3年になった彼が壮絶ないじめ体験をつづったエッセイ『デブ、死ね、臭い! を乗り越えて』(マガジンハウス)を出版した。宿題を盗まれる、首を絞められるなどのいじめを受け、自殺も考えたという彼。子役活動と同時期にいじめを受けた彼に、子役がもたらす影響を聞いた。

――太っていたということのほかに、子役であったこともいじめの原因のひとつだったそうですね。

細山貴嶺さん(以下、細山) 子役だったからいじめられたということもあったんですが、それ以上に大きなプラス面もあったんです。芸能界にいて、自分のコンプレックスを売りにしている芸人さんたちを見て、僕は「短所は長所でもある」と気づけた。芸能界にいなかったらそういう気づきもなく、薄っぺらい人間になっていたんじゃないかなと思います。子役として活動してきたからこそ、今の僕がいる。子役だったからこそいじめを乗り越えることができたんです。

――幼い自分が「商品」であり、自分に大人がお金を払うということについて、恐怖や戸惑いはありましたか?

細山 自分が商品であるということは、ほかの人にはない価値を持っているということ。恐怖というより、自分は自分として胸を張っていいんだと捉えていました。

――子役として「生意気なお坊ちゃま」キャラを演じなければいけないことはつらくなかった?

細山 「生意気なお坊ちゃま」は、実際の僕とは正反対のキャラ。全然お金持ちじゃないし、自分で言うのもなんですが生意気というよりは、ほかの人に合わせる平和志向。バラエティー番組では求められるキャラとしての面白いコメントを即座に言わなければならないので、その点では負担になっていた部分は確かにありました。でも、視点を変えてみれば、学校でいじめられていても、仕事では自分は必要とされているということ。実際の自分とは違う部分が他人から求められ、アイデンティティーを証明する手段にもなっていたんです。複雑ですね。

――「自分のキャラと違うからいやだ」と訴えなかったんですね。

細山 それはなかったですね。2歳から芸能活動を始め、物心ついたときには仕事が日常生活の一部となっていたので、自然と「本当の自分」と「ビジネスとしての自分」のスイッチを切り替えられていました。そうしないと心が保てなかったというところはあるかもしれません。だからといって、学校でも自分を出すといじめられると思って、どう振る舞えばいいか測っていたところがあります。本当にリラックスできたのは、家で親と一緒にいる時間か、仕事に行く途中の電車の中くらいでした。

■「子役ブーム」に対して、子役本人が思うこと

――子どもらしいわがままを親に言ったことは?

細山 ありません。性格的な部分が大きいのですが、僕は自己主張して相手に従わせるよりも、自分が相手に合わせた方がいいと思っているんです。反抗期らしい反抗期もなかったですね。もしかしたら、小学生の時に両親が離婚したので、一生懸命僕を愛して育ててくれた母に反抗するのは違うと思っていたのかもしれません。

――ほかの子役はどうでしたか? わがままな子はいました?

細山 ほかの子役の子とはあまり深く話したことがなかったので、正直よくわからないんですよ。僕にとって子役はビジネスパートナー。仲良く遊ぶのは違うという意識があったんです。ただ、やっぱり学校でいじめられているという話は何人かから聞いたことがあります。ほかの生徒とはちょっと違う特徴がある子、僕だったら太ってるとか、そういった相違点があるといじめられて排除されるのかなと思います。

――今は「子役ブーム」といわれていますが、大人たちが勝手にチヤホヤして、飽きたら見向きもしないということ風潮についてはどう思いますか。

細山 悲しいけど、この業界はそういうもの。一時期売れたとしても、視聴者側が面白いと感じなくなったらそこで終わり。仕方ありません。仕事が減って傷ついた時は、親や周りの人が一緒にいてあげてほしい。僕も成長とともに仕事が少なくなり不安な時期があったんですが、母が「それは別にあなたがどうというわけではなく、芸能界全体として中学生は使いにくいから仕方がないんだよ」と言ってくれたので、「僕はもう不要なんだ」と本気で悩むことはありませんでした。誰も僕を必要としなくなっても、親は最後まで僕を必要としてくれるという安心感もありました。親との信頼関係が重要だと思います。

――大人でも「自分探し」という言葉があるくらい、社会で自分の居場所をみつけることができず悩む人が多いわけですが、どう思いますか。

細山 「自分ってなんだろう」「どういうふうに生きればいいんだろう」と悩むのは誰もが通る道だと思うんですけど、誰にも答えは見えません。だから、ただ自分に自信を持って、人を傷つけず自分らしく生きていれば、きっとあなたを大切に思ってくれる人がいるよ、と思います。

――将来の夢は?

細山 今、高3で受験勉強中。将来的には、いじめで苦しんでいる子を助けるために政治家になりたいと思っています。教師ということも考えたんですが、根本からいじめ問題を解決するには、日本の教育システムを変える必要がある。だから、政治家を目指しています。

――もう一度生まれ変わったら、子役になりたいですか?

細山 絶対に子役としての人生を選びます!
(インタビュー・文=安楽由紀子)

細山貴嶺(ほそやま たかね)
1994年生まれ。赤ちゃんモデルを経て、2歳より子役タレントとして活躍。『おはスタ』(テレビ東京系)、『踊る!さんま御殿!!』『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)、『ワンダフルライフ』『笑う犬の発見』(フジテレビ系)、『英語でしゃべらナイト』(NHK)などへの出演経験がある。

紀子さまは“東大進学”悲願も……悠仁さまは学業優秀なのか? 「あまり聞いたことはないが……」皇室ウォッチャー考察

 秋篠宮家の長男・悠仁さまが、この春、お茶の水女子大学附属中学校の3年生に進級される。これに伴い、にわかに注目を浴びているのが、悠仁さまがどこの高校へ進学されるかだ。というのも、同校は高校から女子生徒のみとなるので、必然的に他校を受験しなければいけないのである。今後、各週刊誌では、進学先に関する報道が相次ぐものとみられるが、皇室ウォッチャーXの考える“本命校”はどこなのか? 話を聞いた。

——悠仁さまは高校受験をされるそうですが、進学先の候補として挙がっている高校はどこなのでしょうか?

皇室ウォッチャーX氏(以下、X) 現在のところ3校です。1つ目は“皇族のための学校”として有名で、お姉さま方も(女子)高等科まで通われていた「学習院高等科」。2つ目は、東京大学への進学率も高い名門進学校である「筑波大学附属高校」。そして3つ目が、一昨年に秋篠宮さまと文化祭に足を運ばれたと報じられた「東京農業大学第一高校」です。中学に上がる際には、お友達と文化祭に行かれた「渋谷教育学園渋谷高校」も候補として挙がったそうですが、高校からの募集はしていない完全中高一貫校なので、前述した3校の中から選ばれるのではないかといわれています。

——この3校の中で、進学濃厚と見ている高校はどこですか?

X 「農大一高」の可能性が高いと思います。同校は10年以上前から秋篠宮さまが客員教授を務められており、殿下が講義などで訪問されるたびに、管轄の警察署が警備に稼働しています。その経験から、学習院と同様に皇族の受け入れ態勢が整っているといえるのです。さらに、悠仁さまは殿下と同じく、生物学にご興味が強いので、将来的にこの分野をライフワークとされるのであれば「農大一高」は最適な環境だと思います。

——秋篠宮ご夫妻は、悠仁さまの進学先や教育方針について、どのようにお考えなのでしょうか?

X 紀子さまは以前から「悠仁さまを東大に入学させる」ことが悲願だといわれているため、東大進学率の高い「筑波大学附属」に進学させたいのではという見方があります。一方で、秋篠宮さまは、“個人の意思を尊重する”スタンスです。実際、皇族は学習院というイメージを覆し、眞子さまは大学から、佳子さまは学習院大学を中途退学して、それぞれ「国際基督教大学」に入学されました。

 このことからもわかるように、秋篠宮さまは、「皇族だからといって学習院に進学しなくてはならないわけではない」「好きなことをやらせたい」というお気持ちなのです。悠仁さまに対しても、いろいろな学校を紹介しながら、興味・関心のある分野を学ぶことができる学校を、“自主的に”選ばせるのではないでしょうか。

——愛子さまはよく「学業優秀」と聞きますが、悠仁さまはいかがでしょう? 得意な教科などはありますか?

X 確かに愛子さまは、学習院女子中・高等科時代の定期テストは、クラス内で上位だったそうです。英語が堪能で、海外から来日したVIPなどとも通訳なしで会話がおできになります。また、国語もとてもお得意で、現在、学習院大学では日本文学を学ばれています。

 一方の悠仁さまは、学業成績に関する話はあまり聞いたことがありません。ただ、2019年に中学に上がられた際の入学式では、114人の新入生を代表して挨拶を務められたことから、悪い成績ではないのでしょう。これ自体初めて行われたものと報じられていますが、普通であれば、新入生の中で成績最上位の生徒が選ばれるはずですから。得意な教科も耳にしたことはないものの、昆虫などの生物の知識は豊富でいらっしゃったので「理科」、特に「生物」の分野は成績がよいかもしれませんね。

——少し先のことですが、悠仁さまは、大学でどのようなことを学ばれると思いますか? 

X 秋篠宮家のプライベートはあまり明かされないので何ともいえないですが、悠仁さまは、カメラとトンボにご関心が強いのは確かです。一昨年の10月には、トンボの観察や採集をもとに書いた作文が「全国小・中学校作文コンクール」で佳作に入賞しています。

 さらに、昨年9月、14歳のお誕生日に公となった近影では、赤坂御用地内でお父さまから写真の構図やシャッタースピード、絞りなどについて教わりながらトンボをカメラで撮影されているものでした。普段から御用地内のトンボを撮影されているそうで、カメラが好きというよりは、どちらかというとトンボのほうがお好きだとは思います。

 幼い頃から変わらず、自然や生き物にご興味がおありなので、大学では理系学部で生物関係の研究をなされるのでは。おじいさまにあたる上皇さまは、皇太子時代からのハゼの研究を今でも続けておられるので、悠仁さまもトンボの研究を一生のライフワークにされる可能性はあるでしょう。

石橋貴明、『THE夜会』で“戦力外通告”発言語る……YouTubeで復活も「なぜテレビ視聴者から嫌われた」のか?

 とんねるず・石橋貴明が、2月18日放送の『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)にゲスト出演し、番組MCの嵐・櫻井翔と対談を行った。

 かつて石橋と中居正広がMCを務めた音楽番組『うたばん』(同)では、嵐・大野智が、先輩である中居に食ってかかるという「下剋上コント」が定番のネタになっており、これがきっかけで嵐のファンになったという人も多かったが、対談では、このコントが生まれたきっかけや裏話も披露。

 また、石橋は嵐と接すると「自分が親戚のおじさんのような気持ちになっちゃって」と、その心境を明かすとともに、昨年末の嵐の活動休止については「5人が出した答えだから、俺らはそれをちゃんと応援していくしかない」と、見守るような気持ちで見ていたとも話していた。

 一方、対談では、2018年に『とんねるずみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)が終了したことを、石橋が「戦力外通告」と表現したことも話題に。櫻井は、この発言を「意外だった」と語ったが、「ボロボロですよ」「ユニフォーム脱がされてしまうんだなって」と、当時の気持ちを吐露していた。

 ところが、石橋は20年にYouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」を開設し、これが大当たり。チャンネル登録者数は150万人を突破し、再生回数100万回を超える動画を連発するようになった。対談ではYouTubeを始める前までは精神的に落ち込んでいた時期もあったというが、現在ではYouTubeでの成功を機に、テレビ界からも再注目されている状況といえるだろう。

 そもそも石橋は、なぜテレビ界から戦力外通告をされたのか。『みなさんのおかげでした』が終了し、深夜番組『石橋貴明のたいむとんねる』がスタートした際には、ネット上で「石橋のバブルノリが嫌だ」という声が多数飛び交っていたものだったが、サイゾーウーマンでは当時、「バブルノリとは何か?」「なぜ今の時代に合わないのか?」について迫る記事を掲載していた。

 取材に協力いただいた、元吉本芸人で、“コミュニケーション学”や“笑い”に関する研究をしている桜美林大学講師・瀬沼文彰氏は、石橋のバブル期の武勇伝は「若者には“ギャグ”に聞こえない」と指摘、またその笑いについて「パワハラ上司的に見える」と評していた。また今から2年以上前に、瀬沼氏は早くもYouTubeに活路を見いだす可能性を示していたのだが、その理由とは……。石橋が“再ブレーク”を果たした今、同記事をあらためて掲載する。
(編集部)

(初出:2018年5月23日)

 「バブル世代に武勇伝を語られても面白くない」――そんな痛烈な批判を巻き起こしたのが、4月にスタートした深夜バラエティ『石橋貴明のたいむとんねる』(フジテレビ系)だ。

 今年3月、とんねるずのご長寿番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』(同)が終了、そして新たに石橋をMCに据えて『たいむとんねる』が始まったのだが、「石橋貴明とミッツ・マングローブがゲストと『勝手に語り継ぎたい昔のアレコレ』を掘り起し『あったねぇ~!懐かしい~!』を共有する」(公式サイトより)という内容が視聴者にウケにくかったのか、工藤静香をゲストに迎えた「イケイケだった80年代テレビ業界」という初回の視聴率は、3.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と大コケしてしまった。

 いったい同番組の何が不評を買ったのか。ネット上に飛び交う初回視聴者の声を見ていくと、「石橋が80年代のイケイケ話をドヤ顔で語るってダサい」「バブル時代はとっくに終わってるんだけど……」「石橋はもうオワコンでしょ」など、「石橋×バブル」の組み合わせに、時代遅れ感を抱いている若い世代が多く見受けられた。しかし昨今メディアでは、バブルカルチャーを目にする機会が多い。特に昨年は、「OK!バブリー!!」のギャグで知られるバブル芸人こと平野ノラ、また大阪府登美丘高校ダンス部のバブリーダンスが若者を中心に大ブレーク。バブルカルチャーのリバイバルイベントも各地で盛んに行われているという。

 そんな人気コンテンツであるバブルが、石橋と組み合わさることで、なぜ人に煙たがられてしまうのだろうか? そんな疑問を解消すべく、元吉本芸人で、“コミュニケーション学”や“笑い”に関する研究をしている桜美林大学講師・瀬沼文彰氏に取材を行った。

若者はバブルを“ネタ”として消費する

 最初に、瀬沼氏は、若者間のバブルブームをどのように見ているのだろうか。

「若者は、バブルを“ネタ”として消費をしていると思います。そういった流れを牽引したのは、やはり平野ノラさんなのではないでしょうか。ノラさんから『バブルってこういうふうに見ると面白いよね』というヒントをもらい、若者がネタとして楽しむようになったと見ています。また、バブルの自由さ、存在感、キラキラした感じは、SNSとの相性がよく、例えば“バブル的な写真”をインスタグラムに投稿すると『いいね!』がもらえる……みたいなところから、ブームになっていったと感じています」

 いまの若者が、バブルを本気で実践しようとすると、圧倒的にお金が足りないのは事実。しかし、「今はシェアの文化が発達し、高級バックやハイブランドファッションのレンタルシステムがあったり、リムジンもみんなお金を出し合って借りることができるんです。あと、SNOWなど、デジタル加工が発達しているので、写真にバブル的なキラキラ加工を施せる。意外とバブルって実践できるんですよ」とのこと。

「若者は、バブル的なキラキラした日が、ずっと続くのではなく、“たまにあるといいな”という感覚のようです。リアルが充実していることをアピールしたい半面、『私、すごいでしょ?』と自慢して周りから浮くことを避けたいという思いがあるのでしょうね。バブルを“ネタ”として消費するのも、“これは冗談だよ”と予防線を張っているように思いますし、むしろ、バブル的なキラキラ感を楽しむのではなく、『私はバブルを面白いと思っている』という自分のセンスをSNSでアピールさえできれば、満足なのかもしれません」

 ただし、メディアで騒がれるバブルブームは、「マスコミ主導なブームという印象がある」という瀬沼氏。若者の間で生まれたのではなく、「ノラさんのような影響力のある人から“降りてきた”ものだと思います」。

 若者にとって、“周りから浮かない、適度なキラキラ感の自己演出ツール”の1つになっているというバブル。一方で、石橋はなぜ嫌われるのだろうか? まず瀬沼氏は、人々が石橋に感じる“バブル感”を紐解いてくれた。

「『みなさんのおかげでした』でよく見られた“フジテレビの大掛かりなセット”での企画がそういったイメージを生んだのかなと。また、『“イマココ”を最大限楽しむ、先のことを考えない』といったノリや、内輪の業界ネタ、上から目線でガンガンものを言うスタイルなども、バブルっぽいと受け止められるのではないでしょうか。あと石橋さん……というか、とんねるずは、素人として出場したお笑いコンクールで活躍し、デビューを果たしたんですが、そのままの勢いで、素人やアイドル、テレビにあまり出ていない俳優、ときには大御所までもイジる、スタジオを壊して暴れまくるといったノリでどんどん成り上がっていったコンビなんです。その勢いこそバブルノリだと捉えられるのではないでしょうか」

 そんな石橋のバブルノリが若い世代にウケないのは、ズバリ「“冗談だから”“ネタだから”という予防線が張り巡らされていないから」と瀬沼氏は考察を繰り広げる。

「石橋さんが『たいむとんねる』で語った80年代のイケイケエピソードは、視聴者の若者からしたら、直接的すぎてしまい、“ギャグ”に聞こえないと思うんです。もしかしたら本人は、ネタとして言っているのかもしれませんが、視聴者は、ガチの自慢話をされているとしか受け取れないのでは。あと単純に、昔話だから共感できないというのもあると思いますね。それから、いまの若者は、“話している内容+見た目”に面白さを見いだす傾向があり、ノラさんも、あの“見た目”でのバブル感もあるからこそ、若者にウケたと思うんです。そう考えると、石橋さんにはそういった見た目としての面白さは演出できていないので、ウケにくいのかもしれませんね」

 若者の感性に合わないという石橋のバブルノリは、同様に今の芸能界やバラエティの空気からもズレてしまい、“オワコン”化して見えるという。

「今の芸能界やテレビって、“礼儀と挨拶”が徹底され、番組内でも空気を乱さぬように謙虚にならざるを得ないんです。またバラエティでは、“よしもと的な笑い”が寡占化している状態。“よしもと的な笑い”とは、基本的にボケとツッコミの笑いが大半で、みんなで協力して盛り上げていくスタイルなのですが、これは1954年、よしもとが『吉本ヴァラエティ』(毎日放送)という新喜劇の前進となる舞台をテレビで放送し始めた頃から、ずっと受け継がれているものなんです。MCの仕切りがいて、誰かが何かを言ったらそれをみんなで拾う。また、面白いキャラの人がいてそれをみんなでイジる――そういった、みんなで面白くしていくスタイルの今のバラエティに、石橋さんのような1人のパワーで全てを壊せてしまうような人は合わないと感じます」

 確かに、石橋はワンマンスタイルで、みんなで協力し合って笑いを作り上げていくというタイプではない。一方で、わかりやすく濃いキャラの持ち主でもないだろう。

「“みんなで一緒に”という、よしもと的笑いに慣れた人からすると、石橋さんの場を壊すことによる笑いは、パワハラ上司的に見えるかもしれません。若手芸人と絡んでいても、接待されているように見え、“現実を忘れられる”というバラエティの良さを感じにくいんですね。また、コンプライアンス重視の今のテレビ局では、“めちゃくちゃやる”という芸風の石橋さんを起用しづらい面もありますね。以前、『みなさんのおかげでした』で保毛尾田保毛男をリバイバルした際、『差別的な笑いってどうなの?』と炎上したように、世間でポリティカル・コレクトネスが定着したことも、石橋さんが敬遠される理由だと考えられます」

 そんな石橋について、瀬沼氏は、「年とともにバブルノリ自体は弱まっていると思う」といった印象も受けるそうだ。

「『たいむとんねる』を見ると、昔に比べると落ち着いたなぁとも思います。当時の勢いを面白く求めている人は絶対にいると思うので、個人的には、ネットやSNSに活路を見いだしてほしいですね。本人はそういったものに否定的みたいですが、例えばTwitterでの素人いじり、YouTubeで大暴れするなど、“炎上”も含めて面白くなるのではないかと。規制のないところで、自由に暴れて、日本をかき乱してほしいです」

 ただ、『たいむとんねる』に対しても、このまま“大爆死”だけで終わるのはもったいないという。

「売れ続けている芸人って、ちょっとずつ新しいキャラをプラスしていこうとするんです。例えば、ダウンタウンの松本人志さん、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんは、“知的な面”を出し、コメンテーターなどをするようになったのですが、一方で、石橋さんは、こうした“新たなキャラを見せること”をあまりしてこなかった。だからこそ、石橋さんは、『たいむとんねる』で新たなキャラを確立してみてはどうだろうと思いますね。過去のアレコレを振り返るという番組内容は、視聴者の『僕も、私も話したい!』という気持ちをくすぐると思うので、石橋さんには“人の共感を引き出す”新たなキャラを目指して、番組を盛り上げてほしいです」

 「バブル的な勢いを失くして落ち着いた」というネガティブな面も、見ようによっては、新たな魅力につながるということか。ご長寿番組が終わった今、石橋がどのような進化を遂げるのか見守っていきたい。

【著書紹介】
『ユーモア力の時代―日常生活をもっと笑うために』(日本地域社会研究所)
生活の中にユーモアがあると、自分が見ている世界や日常はもっと面白くなる――そんな“ユーモア”について分析、その効果の大きさと影響力を示すとともに、誰にでもできるユーモア力アップの方法と技術を具体的に紹介した1冊。

石橋貴明、『THE夜会』で“戦力外通告”発言語る……YouTubeで復活も「なぜテレビ視聴者から嫌われた」のか?

 とんねるず・石橋貴明が、2月18日放送の『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)にゲスト出演し、番組MCの嵐・櫻井翔と対談を行った。

 かつて石橋と中居正広がMCを務めた音楽番組『うたばん』(同)では、嵐・大野智が、先輩である中居に食ってかかるという「下剋上コント」が定番のネタになっており、これがきっかけで嵐のファンになったという人も多かったが、対談では、このコントが生まれたきっかけや裏話も披露。

 また、石橋は嵐と接すると「自分が親戚のおじさんのような気持ちになっちゃって」と、その心境を明かすとともに、昨年末の嵐の活動休止については「5人が出した答えだから、俺らはそれをちゃんと応援していくしかない」と、見守るような気持ちで見ていたとも話していた。

 一方、対談では、2018年に『とんねるずみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)が終了したことを、石橋が「戦力外通告」と表現したことも話題に。櫻井は、この発言を「意外だった」と語ったが、「ボロボロですよ」「ユニフォーム脱がされてしまうんだなって」と、当時の気持ちを吐露していた。

 ところが、石橋は20年にYouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」を開設し、これが大当たり。チャンネル登録者数は150万人を突破し、再生回数100万回を超える動画を連発するようになった。対談ではYouTubeを始める前までは精神的に落ち込んでいた時期もあったというが、現在ではYouTubeでの成功を機に、テレビ界からも再注目されている状況といえるだろう。

 そもそも石橋は、なぜテレビ界から戦力外通告をされたのか。『みなさんのおかげでした』が終了し、深夜番組『石橋貴明のたいむとんねる』がスタートした際には、ネット上で「石橋のバブルノリが嫌だ」という声が多数飛び交っていたものだったが、サイゾーウーマンでは当時、「バブルノリとは何か?」「なぜ今の時代に合わないのか?」について迫る記事を掲載していた。

 取材に協力いただいた、元吉本芸人で、“コミュニケーション学”や“笑い”に関する研究をしている桜美林大学講師・瀬沼文彰氏は、石橋のバブル期の武勇伝は「若者には“ギャグ”に聞こえない」と指摘、またその笑いについて「パワハラ上司的に見える」と評していた。また今から2年以上前に、瀬沼氏は早くもYouTubeに活路を見いだす可能性を示していたのだが、その理由とは……。石橋が“再ブレーク”を果たした今、同記事をあらためて掲載する。
(編集部)

(初出:2018年5月23日)

 「バブル世代に武勇伝を語られても面白くない」――そんな痛烈な批判を巻き起こしたのが、4月にスタートした深夜バラエティ『石橋貴明のたいむとんねる』(フジテレビ系)だ。

 今年3月、とんねるずのご長寿番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』(同)が終了、そして新たに石橋をMCに据えて『たいむとんねる』が始まったのだが、「石橋貴明とミッツ・マングローブがゲストと『勝手に語り継ぎたい昔のアレコレ』を掘り起し『あったねぇ~!懐かしい~!』を共有する」(公式サイトより)という内容が視聴者にウケにくかったのか、工藤静香をゲストに迎えた「イケイケだった80年代テレビ業界」という初回の視聴率は、3.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と大コケしてしまった。

 いったい同番組の何が不評を買ったのか。ネット上に飛び交う初回視聴者の声を見ていくと、「石橋が80年代のイケイケ話をドヤ顔で語るってダサい」「バブル時代はとっくに終わってるんだけど……」「石橋はもうオワコンでしょ」など、「石橋×バブル」の組み合わせに、時代遅れ感を抱いている若い世代が多く見受けられた。しかし昨今メディアでは、バブルカルチャーを目にする機会が多い。特に昨年は、「OK!バブリー!!」のギャグで知られるバブル芸人こと平野ノラ、また大阪府登美丘高校ダンス部のバブリーダンスが若者を中心に大ブレーク。バブルカルチャーのリバイバルイベントも各地で盛んに行われているという。

 そんな人気コンテンツであるバブルが、石橋と組み合わさることで、なぜ人に煙たがられてしまうのだろうか? そんな疑問を解消すべく、元吉本芸人で、“コミュニケーション学”や“笑い”に関する研究をしている桜美林大学講師・瀬沼文彰氏に取材を行った。

若者はバブルを“ネタ”として消費する

 最初に、瀬沼氏は、若者間のバブルブームをどのように見ているのだろうか。

「若者は、バブルを“ネタ”として消費をしていると思います。そういった流れを牽引したのは、やはり平野ノラさんなのではないでしょうか。ノラさんから『バブルってこういうふうに見ると面白いよね』というヒントをもらい、若者がネタとして楽しむようになったと見ています。また、バブルの自由さ、存在感、キラキラした感じは、SNSとの相性がよく、例えば“バブル的な写真”をインスタグラムに投稿すると『いいね!』がもらえる……みたいなところから、ブームになっていったと感じています」

 いまの若者が、バブルを本気で実践しようとすると、圧倒的にお金が足りないのは事実。しかし、「今はシェアの文化が発達し、高級バックやハイブランドファッションのレンタルシステムがあったり、リムジンもみんなお金を出し合って借りることができるんです。あと、SNOWなど、デジタル加工が発達しているので、写真にバブル的なキラキラ加工を施せる。意外とバブルって実践できるんですよ」とのこと。

「若者は、バブル的なキラキラした日が、ずっと続くのではなく、“たまにあるといいな”という感覚のようです。リアルが充実していることをアピールしたい半面、『私、すごいでしょ?』と自慢して周りから浮くことを避けたいという思いがあるのでしょうね。バブルを“ネタ”として消費するのも、“これは冗談だよ”と予防線を張っているように思いますし、むしろ、バブル的なキラキラ感を楽しむのではなく、『私はバブルを面白いと思っている』という自分のセンスをSNSでアピールさえできれば、満足なのかもしれません」

 ただし、メディアで騒がれるバブルブームは、「マスコミ主導なブームという印象がある」という瀬沼氏。若者の間で生まれたのではなく、「ノラさんのような影響力のある人から“降りてきた”ものだと思います」。

 若者にとって、“周りから浮かない、適度なキラキラ感の自己演出ツール”の1つになっているというバブル。一方で、石橋はなぜ嫌われるのだろうか? まず瀬沼氏は、人々が石橋に感じる“バブル感”を紐解いてくれた。

「『みなさんのおかげでした』でよく見られた“フジテレビの大掛かりなセット”での企画がそういったイメージを生んだのかなと。また、『“イマココ”を最大限楽しむ、先のことを考えない』といったノリや、内輪の業界ネタ、上から目線でガンガンものを言うスタイルなども、バブルっぽいと受け止められるのではないでしょうか。あと石橋さん……というか、とんねるずは、素人として出場したお笑いコンクールで活躍し、デビューを果たしたんですが、そのままの勢いで、素人やアイドル、テレビにあまり出ていない俳優、ときには大御所までもイジる、スタジオを壊して暴れまくるといったノリでどんどん成り上がっていったコンビなんです。その勢いこそバブルノリだと捉えられるのではないでしょうか」

 そんな石橋のバブルノリが若い世代にウケないのは、ズバリ「“冗談だから”“ネタだから”という予防線が張り巡らされていないから」と瀬沼氏は考察を繰り広げる。

「石橋さんが『たいむとんねる』で語った80年代のイケイケエピソードは、視聴者の若者からしたら、直接的すぎてしまい、“ギャグ”に聞こえないと思うんです。もしかしたら本人は、ネタとして言っているのかもしれませんが、視聴者は、ガチの自慢話をされているとしか受け取れないのでは。あと単純に、昔話だから共感できないというのもあると思いますね。それから、いまの若者は、“話している内容+見た目”に面白さを見いだす傾向があり、ノラさんも、あの“見た目”でのバブル感もあるからこそ、若者にウケたと思うんです。そう考えると、石橋さんにはそういった見た目としての面白さは演出できていないので、ウケにくいのかもしれませんね」

 若者の感性に合わないという石橋のバブルノリは、同様に今の芸能界やバラエティの空気からもズレてしまい、“オワコン”化して見えるという。

「今の芸能界やテレビって、“礼儀と挨拶”が徹底され、番組内でも空気を乱さぬように謙虚にならざるを得ないんです。またバラエティでは、“よしもと的な笑い”が寡占化している状態。“よしもと的な笑い”とは、基本的にボケとツッコミの笑いが大半で、みんなで協力して盛り上げていくスタイルなのですが、これは1954年、よしもとが『吉本ヴァラエティ』(毎日放送)という新喜劇の前進となる舞台をテレビで放送し始めた頃から、ずっと受け継がれているものなんです。MCの仕切りがいて、誰かが何かを言ったらそれをみんなで拾う。また、面白いキャラの人がいてそれをみんなでイジる――そういった、みんなで面白くしていくスタイルの今のバラエティに、石橋さんのような1人のパワーで全てを壊せてしまうような人は合わないと感じます」

 確かに、石橋はワンマンスタイルで、みんなで協力し合って笑いを作り上げていくというタイプではない。一方で、わかりやすく濃いキャラの持ち主でもないだろう。

「“みんなで一緒に”という、よしもと的笑いに慣れた人からすると、石橋さんの場を壊すことによる笑いは、パワハラ上司的に見えるかもしれません。若手芸人と絡んでいても、接待されているように見え、“現実を忘れられる”というバラエティの良さを感じにくいんですね。また、コンプライアンス重視の今のテレビ局では、“めちゃくちゃやる”という芸風の石橋さんを起用しづらい面もありますね。以前、『みなさんのおかげでした』で保毛尾田保毛男をリバイバルした際、『差別的な笑いってどうなの?』と炎上したように、世間でポリティカル・コレクトネスが定着したことも、石橋さんが敬遠される理由だと考えられます」

 そんな石橋について、瀬沼氏は、「年とともにバブルノリ自体は弱まっていると思う」といった印象も受けるそうだ。

「『たいむとんねる』を見ると、昔に比べると落ち着いたなぁとも思います。当時の勢いを面白く求めている人は絶対にいると思うので、個人的には、ネットやSNSに活路を見いだしてほしいですね。本人はそういったものに否定的みたいですが、例えばTwitterでの素人いじり、YouTubeで大暴れするなど、“炎上”も含めて面白くなるのではないかと。規制のないところで、自由に暴れて、日本をかき乱してほしいです」

 ただ、『たいむとんねる』に対しても、このまま“大爆死”だけで終わるのはもったいないという。

「売れ続けている芸人って、ちょっとずつ新しいキャラをプラスしていこうとするんです。例えば、ダウンタウンの松本人志さん、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんは、“知的な面”を出し、コメンテーターなどをするようになったのですが、一方で、石橋さんは、こうした“新たなキャラを見せること”をあまりしてこなかった。だからこそ、石橋さんは、『たいむとんねる』で新たなキャラを確立してみてはどうだろうと思いますね。過去のアレコレを振り返るという番組内容は、視聴者の『僕も、私も話したい!』という気持ちをくすぐると思うので、石橋さんには“人の共感を引き出す”新たなキャラを目指して、番組を盛り上げてほしいです」

 「バブル的な勢いを失くして落ち着いた」というネガティブな面も、見ようによっては、新たな魅力につながるということか。ご長寿番組が終わった今、石橋がどのような進化を遂げるのか見守っていきたい。

【著書紹介】
『ユーモア力の時代―日常生活をもっと笑うために』(日本地域社会研究所)
生活の中にユーモアがあると、自分が見ている世界や日常はもっと面白くなる――そんな“ユーモア”について分析、その効果の大きさと影響力を示すとともに、誰にでもできるユーモア力アップの方法と技術を具体的に紹介した1冊。

『にじいろカルテ』高畑充希、井浦新らが歌う「にじ」大好評! 俳優たちはなぜ歌うのか……湯山玲子氏が解説

 高畑充希が主演を務める連続ドラマ『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)。1月21日放送の第1話は平均視聴率12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、その後も10〜11%台をキープしている。

 同作は、山奥にある「虹ノ村診療所」にやって来た主人公の内科医・紅野真空(高畑)が、看護師・蒼山太陽(北村匠海)、外科医・浅黄朔(井浦新)と共に、一つ屋根の下で暮らす様子を描くヒューマンドラマ。2月18日放送の第5話では、「虹ノ村診療所」がテレビ取材を受けることになるも、ある日、太陽が診療所を飛び出してしまう……という内容になるようだ。

 高視聴率をキープする傍ら、劇中歌「にじ」を高畑と北村、井浦の3人が歌い、1月25日にテレビ朝日公式YouTubeチャンネルに動画をアップしたことも、ネット上で話題に。コメント欄には「すごく心に響いた」「思わず涙が出ました」といった絶賛や、「井浦さん、こんなに素敵な歌声なんだ!」「充希ちゃんの歌唱力に驚き」など、俳優たちの「イメージが変わった」との声も多い。

 俳優が歌うとなると、ネット上で「迷走」などと批判されることもあるが、一方で近年、歌手としても活躍する俳優は増えている。こうした“俳優の歌手活動”は何年も前から見られるが、彼らはなぜ歌を武器にするのだろうか? サイゾーウーマンでは、著述家の湯山玲子氏に「俳優と歌」の関係性を解説してもらっていた。あらためて同記事を掲載する。
(編集部)


(初出:2020年6月4日)

菅田将暉、中村倫也、真剣佑……「歌う俳優」が台頭するのはナゼか? 湯山玲子が語る「俳優と歌」の関係性

 石原裕次郎、小林旭、渡哲也、60年代の映画黄金時代に活躍したスター俳優たちの多くは歌手活動を行なっていた。時は流れ、吉田栄作、織田裕二、江口洋介、反町隆史ら90年代のトレンディ俳優のブームを最後に、00年代に入ると俳優の歌手活動はすっかり廃れてしまった。 だが、2020年代を迎えたいま、菅田将暉、ディーンフジオカ、新田真剣佑といった若手俳優たちが彗星のように現れ、俳優の歌手活動路線をふたたびアップデートしはじめているようだ。

 この背景にはどのような事情があるのだろうか、音楽とジェンダー論に明るい著述家の湯山玲子さんに分析してもらった。

——90年代のトレンディ俳優以降、あまり目立った動きがなかった男性俳優の歌手活動が、再び活発化しているように思います。

湯山玲子(以下、湯山) そもそも俳優の音楽活動って、ふたつのタイプに分かれるんですよ。仕事と切り分けて自分の聖域(サンクチュアリ)としてやるタイプと、俳優仕事のプロモーションの一環として歌う昔ながらのタイプ。前者はトレンディ俳優以降では、オダギリジョーや浅野(忠信)くんが音楽活動をしているけど、本当に好きでやっている感じで、タイアップでドラマの主題歌みたいなことはやらない。で、最近の菅田将暉やディーン・フジオカ、三浦春馬なんかは、ちょうどその中間くらいのバランスで、うまくやっているように見える。

——確かに、菅田将暉さんが昨年の紅白歌合戦で歌った『まちがいさがし』は、事務所の先輩である松坂桃李さん主演ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)の主題歌でしたが、菅田さん自身はドラマには出ていませんでした。

湯山 演技がうまくて、それで歌もうまいんだから、なんだかすごい時代になってきたよね。そもそも、最近の俳優たちって急激にレベルが上がっていて、実力があることが当たり前の世界になりつつある。歌えたり踊れたりする俳優も徐々に増えてきているわけで、これ、ジャニーズが影響していることに間違いはない。ミュージカルのレベルも上がっていて、『キンキーブーツ』のドラアグクウィーンの女装で歌い踊る三浦春馬はすごかった。ちなみに、彼は英語も中国語も得意としている。

——山崎育三郎さんや、井上芳雄さんなど、ミュージカル界からもスター俳優が出てきています。やはり、演劇の舞台は俳優にとって重要だということでしょうか?

湯山 舞台経験が俳優を鍛えることは紛れもない事実で、昔はテレビや映画の出演よりも下にみられていた舞台の現場に、積極的に人気の若手を入れて成長させるという戦略がこの10年の当たり前になってきた。その先駆けがジャニーズ事務所だったんだけど、1989年に木村拓哉を蜷川(幸雄)さんの『盲導犬』って舞台に出して、今後は舞台で実力をつけていかないと戦っていけないというふうに、長い目で見て育成するようになったことは大きかったんじゃないかな。

——なるほど。ちなみにいま、湯山さんが「歌える」俳優で気になっている人はいますか?

湯山 ほら、去年の紅白で『アラジン』の劇中歌を歌ってたあの……そうだ、中村倫也! タクシーの車中CM映像で可愛いコがいるな、と思って、ググったら、それが彼。歌もうまいし、チンピラ役からお坊ちゃま役まで芸域が広い。そう、いまの世代の役者は急激にハリウッド化していますよね。大ヒットしたアメリカのミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』も、劇中で歌ってるのは俳優なわけで、持っている技術が高い。アクション映画もミュージカル映画もできるヒュー・ジャックマンとかもいるし。アン・ハサウェイみたいなお嬢ちゃん俳優だって、『レ・ミゼラブル』であれだけ歌えて驚いたわけです。日本の芸能界も、その世界に近づきつつあるんじゃないかな。

——女優でいえば、松たか子さんも、今年のアカデミー賞で各国のエルサ役とともに堂々と『アナと雪の女王2』の主題歌「イントゥ・ジ・アンノウン」を歌い上げていました。

湯山 松たか子さんは、確かに両方の表現者として秀でている。女優だとほかには、大竹しのぶさんもすごい世界観持ってる。渡辺えり子さんのシャンソンもすごくいいんですよ……ってこのお二人はちょっと大御所すぎる? 若手だったら、高畑充希も芸達者。CMでもX JAPANの『紅』を歌って話題になってたけど。

——高畑さんは歌手活動も活発で、コブクロの小渕健太郎プロデュースのデビュー曲『大切なもの』(2007・みつき名義)や、竹内まりやさんが楽曲提供したアルバム『PLAY LIST』(2018)をリリースするなど、実は以前から音楽活動もやっています。

湯山 でも、あんまり知られてないかも。本人にそこまで歌手活動の興味がないのかな? 00年前後はともさかりえが、さかともえり名義でテクノポップっぽいことをやってみたり、小西康陽が深田恭子に渋谷系っぽい曲を歌わせて遊ぶみたいな時代があったけど、いまはそういう目立ったコラボがないですよね。アテ書きを楽しむ職業的作曲家がいなくなってることも影響してると思うけど、当時の女優の歌は自分を素材にいじって遊んでもらうパターンが多かったかもね。いま、そういう感じで歌っている女優っているのかな……。

——満島ひかりさんはどうですか? 大沢伸一さんや、小沢健二さんともコラボしています。

湯山 彼女がボーカルをやったMONDO GROSSOの「ラビリンス」はよかったよね。PVがめちゃくちゃかっこよくて。ドラマ『カルテット』(TBS)のエンディングで流れる『おとなの掟』を松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平の4人で歌ってたけど、声が独特。確かに彼女なんかは、歌の世界にも自分がやりたいことがしっかりあって、自発的に選んでいる感じがする。

 あとは、それこそ『カルテット』の主題歌を書いた椎名林檎には、ぜひ女優をやってほしかったりする。レディー・ガガみたいに、自分で主演映画とか撮らないかな……。

後編に続く

湯山玲子(ゆやま・れいこ)
映画、音楽、食、ファッション、クラブ・カルチャーなど文化全般を横断しながら執筆を展開。『ごごナマ』(NHK)をはじめ、テレビ番組にコメンテーターとしても出演している。著書に『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『女装する女』(新潮新書)、『男をこじらせる前に』(角川文庫)など多数ある。

『にじいろカルテ』高畑充希、井浦新らが歌う「にじ」大好評! 俳優たちはなぜ歌うのか……湯山玲子氏が解説

 高畑充希が主演を務める連続ドラマ『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)。1月21日放送の第1話は平均視聴率12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、その後も10〜11%台をキープしている。

 同作は、山奥にある「虹ノ村診療所」にやって来た主人公の内科医・紅野真空(高畑)が、看護師・蒼山太陽(北村匠海)、外科医・浅黄朔(井浦新)と共に、一つ屋根の下で暮らす様子を描くヒューマンドラマ。2月18日放送の第5話では、「虹ノ村診療所」がテレビ取材を受けることになるも、ある日、太陽が診療所を飛び出してしまう……という内容になるようだ。

 高視聴率をキープする傍ら、劇中歌「にじ」を高畑と北村、井浦の3人が歌い、1月25日にテレビ朝日公式YouTubeチャンネルに動画をアップしたことも、ネット上で話題に。コメント欄には「すごく心に響いた」「思わず涙が出ました」といった絶賛や、「井浦さん、こんなに素敵な歌声なんだ!」「充希ちゃんの歌唱力に驚き」など、俳優たちの「イメージが変わった」との声も多い。

 俳優が歌うとなると、ネット上で「迷走」などと批判されることもあるが、一方で近年、歌手としても活躍する俳優は増えている。こうした“俳優の歌手活動”は何年も前から見られるが、彼らはなぜ歌を武器にするのだろうか? サイゾーウーマンでは、著述家の湯山玲子氏に「俳優と歌」の関係性を解説してもらっていた。あらためて同記事を掲載する。
(編集部)


(初出:2020年6月4日)

菅田将暉、中村倫也、真剣佑……「歌う俳優」が台頭するのはナゼか? 湯山玲子が語る「俳優と歌」の関係性

 石原裕次郎、小林旭、渡哲也、60年代の映画黄金時代に活躍したスター俳優たちの多くは歌手活動を行なっていた。時は流れ、吉田栄作、織田裕二、江口洋介、反町隆史ら90年代のトレンディ俳優のブームを最後に、00年代に入ると俳優の歌手活動はすっかり廃れてしまった。 だが、2020年代を迎えたいま、菅田将暉、ディーンフジオカ、新田真剣佑といった若手俳優たちが彗星のように現れ、俳優の歌手活動路線をふたたびアップデートしはじめているようだ。

 この背景にはどのような事情があるのだろうか、音楽とジェンダー論に明るい著述家の湯山玲子さんに分析してもらった。

——90年代のトレンディ俳優以降、あまり目立った動きがなかった男性俳優の歌手活動が、再び活発化しているように思います。

湯山玲子(以下、湯山) そもそも俳優の音楽活動って、ふたつのタイプに分かれるんですよ。仕事と切り分けて自分の聖域(サンクチュアリ)としてやるタイプと、俳優仕事のプロモーションの一環として歌う昔ながらのタイプ。前者はトレンディ俳優以降では、オダギリジョーや浅野(忠信)くんが音楽活動をしているけど、本当に好きでやっている感じで、タイアップでドラマの主題歌みたいなことはやらない。で、最近の菅田将暉やディーン・フジオカ、三浦春馬なんかは、ちょうどその中間くらいのバランスで、うまくやっているように見える。

——確かに、菅田将暉さんが昨年の紅白歌合戦で歌った『まちがいさがし』は、事務所の先輩である松坂桃李さん主演ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)の主題歌でしたが、菅田さん自身はドラマには出ていませんでした。

湯山 演技がうまくて、それで歌もうまいんだから、なんだかすごい時代になってきたよね。そもそも、最近の俳優たちって急激にレベルが上がっていて、実力があることが当たり前の世界になりつつある。歌えたり踊れたりする俳優も徐々に増えてきているわけで、これ、ジャニーズが影響していることに間違いはない。ミュージカルのレベルも上がっていて、『キンキーブーツ』のドラアグクウィーンの女装で歌い踊る三浦春馬はすごかった。ちなみに、彼は英語も中国語も得意としている。

——山崎育三郎さんや、井上芳雄さんなど、ミュージカル界からもスター俳優が出てきています。やはり、演劇の舞台は俳優にとって重要だということでしょうか?

湯山 舞台経験が俳優を鍛えることは紛れもない事実で、昔はテレビや映画の出演よりも下にみられていた舞台の現場に、積極的に人気の若手を入れて成長させるという戦略がこの10年の当たり前になってきた。その先駆けがジャニーズ事務所だったんだけど、1989年に木村拓哉を蜷川(幸雄)さんの『盲導犬』って舞台に出して、今後は舞台で実力をつけていかないと戦っていけないというふうに、長い目で見て育成するようになったことは大きかったんじゃないかな。

——なるほど。ちなみにいま、湯山さんが「歌える」俳優で気になっている人はいますか?

湯山 ほら、去年の紅白で『アラジン』の劇中歌を歌ってたあの……そうだ、中村倫也! タクシーの車中CM映像で可愛いコがいるな、と思って、ググったら、それが彼。歌もうまいし、チンピラ役からお坊ちゃま役まで芸域が広い。そう、いまの世代の役者は急激にハリウッド化していますよね。大ヒットしたアメリカのミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』も、劇中で歌ってるのは俳優なわけで、持っている技術が高い。アクション映画もミュージカル映画もできるヒュー・ジャックマンとかもいるし。アン・ハサウェイみたいなお嬢ちゃん俳優だって、『レ・ミゼラブル』であれだけ歌えて驚いたわけです。日本の芸能界も、その世界に近づきつつあるんじゃないかな。

——女優でいえば、松たか子さんも、今年のアカデミー賞で各国のエルサ役とともに堂々と『アナと雪の女王2』の主題歌「イントゥ・ジ・アンノウン」を歌い上げていました。

湯山 松たか子さんは、確かに両方の表現者として秀でている。女優だとほかには、大竹しのぶさんもすごい世界観持ってる。渡辺えり子さんのシャンソンもすごくいいんですよ……ってこのお二人はちょっと大御所すぎる? 若手だったら、高畑充希も芸達者。CMでもX JAPANの『紅』を歌って話題になってたけど。

——高畑さんは歌手活動も活発で、コブクロの小渕健太郎プロデュースのデビュー曲『大切なもの』(2007・みつき名義)や、竹内まりやさんが楽曲提供したアルバム『PLAY LIST』(2018)をリリースするなど、実は以前から音楽活動もやっています。

湯山 でも、あんまり知られてないかも。本人にそこまで歌手活動の興味がないのかな? 00年前後はともさかりえが、さかともえり名義でテクノポップっぽいことをやってみたり、小西康陽が深田恭子に渋谷系っぽい曲を歌わせて遊ぶみたいな時代があったけど、いまはそういう目立ったコラボがないですよね。アテ書きを楽しむ職業的作曲家がいなくなってることも影響してると思うけど、当時の女優の歌は自分を素材にいじって遊んでもらうパターンが多かったかもね。いま、そういう感じで歌っている女優っているのかな……。

——満島ひかりさんはどうですか? 大沢伸一さんや、小沢健二さんともコラボしています。

湯山 彼女がボーカルをやったMONDO GROSSOの「ラビリンス」はよかったよね。PVがめちゃくちゃかっこよくて。ドラマ『カルテット』(TBS)のエンディングで流れる『おとなの掟』を松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平の4人で歌ってたけど、声が独特。確かに彼女なんかは、歌の世界にも自分がやりたいことがしっかりあって、自発的に選んでいる感じがする。

 あとは、それこそ『カルテット』の主題歌を書いた椎名林檎には、ぜひ女優をやってほしかったりする。レディー・ガガみたいに、自分で主演映画とか撮らないかな……。

後編に続く

湯山玲子(ゆやま・れいこ)
映画、音楽、食、ファッション、クラブ・カルチャーなど文化全般を横断しながら執筆を展開。『ごごナマ』(NHK)をはじめ、テレビ番組にコメンテーターとしても出演している。著書に『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『女装する女』(新潮新書)、『男をこじらせる前に』(角川文庫)など多数ある。