Snow ManとLDHは早くコラボを! 『音楽の日』で輝いたトラジャ・宮近のすごさとは?【JO1・EBiDAN・LDHオタク座談会】

 ボーイズグループがジャニーズ事務所の専売特許だったのも今は昔。2023年現在、いくつものグループが他事務所で活動し、ファンを喜ばせている。そこで今回、ジャニーズ以外のボーイズグループ、ダンスボーカルグループを応援するファンが集合。ダンスコラボが話題を呼んだ『音楽の日2023』(TBS系)の衝撃や、ジャニーズ事務所への思いを聞いた。

<座談会メンバー>

・EBi子:スターダストプロモーション所属のEBiDANファン。ジャニーズ、INI、K-POPまで広くアイドルを追う。
・JO子:LAPONEエンタテイメント所属のJO1ファン。元ジャニーズファン
・LD子:LDH所属のGENERATIONS、BALLISTIK BOYZファン。ジャニーズやSMエンタテイメントのK-POPも通過。

▼前編はこちら▼

『音楽の日』Travis Japan・宮近海斗が輝いて見えた

――先日の『音楽の日』(TBS系)で各事務所のコラボが注目を集めました。ほかのグループで気になった人はいますか?

JO子 私、トラジャ(Travis Japan)がなんかすごく良く見えました。

LD子 ああ、私も! わかる!

JO子 トラジャだけが伝統的なジャニーズダンスをしてて、やけに良く見えたんですよね、あの中にいると。

LD子 わかります。「仮面舞踏会」あったじゃないですか。あのときに、宮近(海斗)の地力というか、歴の違いというか、全然違う。歌舞伎役者を見ているみたいな気持ちだった。

一同 わかる〜!

LD子 1人だけやっぱり違いましたね。はやりの踊り方とか、今の主流のダンスをLDHやJO1はやっていると思うんですけど、そこじゃない、もっと昔からあるダンスの根本的なうまさみたいなのを、宮近くんから感じて、すごいって思っちゃいました。

JO子 めっちゃわかります。ダンスボーカルグループって、ダンスをそろえてグループの一体感を出そうとするけど、ジャニーズはメンバー同士でダンスをそろえる気がないじゃないですか。でも、それによって個人個人がすごく際立って、いつの間にか目がそっちにいっちゃう、という。

EBi子 いいですよね。そろえないダンスもめっちゃ最近いいなと思って。

LD子 「仮面舞踏会」の正解がたぶんそっちなんですよ、たぶん。たった3人だけの曲だから、バッチリそろえるだけでは足りなくて、個性をしっかり3色出すというのがあの曲では正解。元ネタ知ってるから言えるんですけど(笑)。それでいうと、やっぱ宮近くんの伝統を踏襲するみたいなところが正解で。もちろんジャニーズの曲だったというのがあるんですけど、輝いて見えてしまいましたね、あれは。

JO子 本当に良かったです。ジャニオタだった時はトラジャになんの感情もなかったのに、離れてから魅力に気づいた(笑)。

LD子 佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE)くんも、トラジャについてTwitterで「マジでブチかましてた」みたいな。LDH用語で褒めてた(笑)。

EBi子 何様だよ(笑)。

LD子 「とんでもないダンサーみた」って、トラジャのことを褒めてましたね。でもその後にTikTokとかインスタでも、各グループがコラボしているのは、やっぱり隔世の感というか、すごく時代が全然違う感じがして、楽しかったですね。

Snow ManとLDHは早くコラボしてほしい

――トラジャはINIとも一緒にやってました。

EBi子 タジー(田島将吾/INI)と松松(松田元太、松倉海斗/Travis Japan)あたりが同期で、一緒に『ガムシャラ!』(テレビ朝日系)に出てたよね。ジャニーズを辞めた子と現役のジャニーズなんて、昔だったら絶対一緒にやらなかったのに。今は一緒にTwitterとかも出てくれる。

JO子 でも、共演してくれるのはトラジャだけですよね。ジャニーズの治外法権? 

EBi子 野放し?

LD子 どの国でもないみたいな扱いなのかな(笑)。

JO子 だから、次はSnow Manが出てきてくれないと。ジャニーズと他事務所の男性グループが共演して「時代が動いた!」って感動してるオタクもいましたけど、Snow Manが出てこないと本当の意味で“完成”しないよと思う。

LD子 それ思った。Snow Manを出してこい、ラウールを。

EBi子 サイキック(PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE)とラウール(Snow Man)、RIEHATA。

LD子 そうだ。RIEHATAの門下生なんですね、2人とも。あと白濱亜嵐(GENERATIONS)くんと岩本(照/Snow Man)くんがすごい仲良かったりと。物語はあるから、さっさとコラボしてほしいですね(笑)。

EBi子 やっぱりSnow Manだよね。M!LKはSnow Manの曲をTikTokで踊ってるんだけど、Snow ManがM!LKを踊るのはナシなんだよね、きっと。目黒(蓮/Snow Man)くんは優しいのか、佐野(勇斗/M!LK)が配信してるときに電話かけてきてくれたり。お土産とかを渡してくれたりして。フレンドリーな感じで近寄ってくれてるけど、M!LKのほうは利用しようとしている感が強すぎて。Snow Manのオタクは若干気付いてる、みたいな(笑)。

LD子 会社として見たときに、やっぱSnow Manだけ飛び抜けて売れてるから。誰かコラボとなると、利益を分け与えることになっちゃうよね。だから、簡単にその判断ができない気持ちもわかる。Snow Manくらい売れなきゃってことなんですよ、我々が。我軍が。Snow Manくらい売れて、貸し借りなしで付き合えるところまで行かないと。

EBi子 そうだね。どうしても「利用してる」になっちゃうからね。

JO子 お互いの利益が貸し借りなしだったのが、トラジャだったということか(笑)。

――気になっているよその事務所はありますか?

EBi子 IMPACTorsがタッキーのところに行っちゃったので、TOBEを追わなきゃって義務感がわいてます。ただ、追っていいべきか、タイミングを見計らっている感じ。

JO子 私はLDHかな。JO1のメンバーがLDHと関わり深い子が結構いるので。例えば豆ちゃん(豆原一成)はデビュー前から亜嵐くんに憧れてた、とか。

LD子 『音楽の日』でジェネの「AGEHA」でコラボしましたよね。バキバキに踊ってた。あれは良かったな。

JO子 あれも豆ちゃんがJO1のメンバーに振り入れしたらしいですよ。ジェネとJO1は番組で共演する機会も多くて自然と目に入るし、ファン同士も仲良くなっているのを感じますね。あと、リーダーの與那城奨さんもTHE RAMPAGE・神谷健太くんと与那嶺瑠唯さんの幼なじみで。その2人の名前はよく出てきます。

LD子 そうだ。沖縄の子たち、ガチの幼なじみなんですよね。

JO子 そうそう。だから普通にJO1だけ見てても、“サブリミナルLDH”みたいな感じで情報が入ってくるんですよ。それと私、実はすごい昔に三代目(J Soul Brothers)の山下健二郎の顔が好きだなと思って、追っかけてた時期があったんです。だから、もともとLDHオタクの素質があるというか(笑)。と言いつつも、今はJO1だけで完全に満足しちゃってますね。事務所も話題をどんどん提供して、ほかに目を向けないようにしている気がします。だから、他グループが入ってくる隙間がない、というのが現状です。

LD子 私は最近、「神様が好きなだけ」だと気が付いて。だから、神様のいない事務所のアイドルというのは、あんまり好きにならないんだな、というのを理解したんです。とんでもねえ創造主がいるというところが好き。

EBi子 原作者みたいな。

LD子 そうそう。だから、そういう意味ではBE:FIRSTは気になっています。SKY-HIってたぶんいい作家なので。その作風が合うか合わないかはわからないけど、いい作者が出てきたなって感じはしますよね。あと、YOSHIKIプロデュースのXY! 『THE MUSIC DAY』(日本テレビ系)でのパフォーマンスが面白くて。メンバーの後ろでなぜかYOSHIKIがDJしてるんですよ! トチ狂い度でいったら他の追随を許さない予感。

ジャニーズ事務所はどうなっても面白い

――ところで、ジャニーズ事務所の現状をどう見ていますか?

JO子 私は元ジャニオタなので、「なんか大変だな」というふうに見つつも、今別の事務所の担当としては「チャンス」としか思ってないです。今のうちに全番組の枠をもらって、CMもらって、さっさと立場逆転したらいいなって思ってます。

 その気配がしているところもあって。JO1は今年に入ってドラマや映画にも進出してますし、「なんかうちのグループ、ジャニーズがやりそうな仕事やっちゃってますわ」ってことがチラチラあるんですよね。

LD子 結局、業界の人たちがまだジャニーズを好きだから、影響力は弱まってはいるけど、まだまだ完全逆転みたいなところは見えていないかなって、冷静なところでは思うんですよね。LDHもジャニーズとコラボすると大はしゃぎするし(笑)。だから、徐々に衰えてはきてるけど、もうしばらくは、「ジャニーズと共演できました! キャッキャッキャ」みたいな子たちを見るのも楽しいかなと思っていますね。

EBi子 コロナ禍でジャニオタがすごく増えたと感じているんだけど、でも結局、違う事務所に流れてるんじゃないのかな。INIとかBE:FIRSTとかLDHとか、EBiDANにも流れてきているし。

LD子 でもジャニオタはジャニオタですよね、ずっと。にわかだった人たちが流れてるのであって、ジャニーズのファンって太いよね。私もにわかでハマって、すぐ流れたんですけど。

JO子 たしかに、頑なにジャニーズしか信じてない人の層も厚いから、やっぱりまだまだ強い。でも、そういう人たちも大ダメージだと思いますけどね、今回のことはさすがに。

LD子 ジャニオタの人たちが今一番注目しているのはTOBEじゃないですか、やっぱ。だから、あんまりこっちを向いてなさそうな気はする。というか、ここで非ジャニと共闘して仲良くしておかないと! 平野紫耀という巨人が来るから闘いに備えて(笑)。本当に戦国時代みたいになってきたけど。

EBi子 平野紫耀楽しみだね。もしかして全てぶち壊すかもしれないね。

――タッキーは神様になりそうですか?

LD子 なりそうですね。Snow ManとSixTONESのクリエイティブから、私はもうタッキーが好きだったので。タッキーってジャニーさんと志村けんとプロレスという日本の昭和から平成を盛り上げた変なポップカルチャーから影響を受けてる。そういう伝統感もあるから、やっぱり好きなんですよね。期待しちゃうところがあります。

EBi子 やっぱちょっとTOBE推したいですね。Snow ManってTOBE行くんですかね?

LD子 そのへんも見ものというか。どうなるのかな、というゴシップ的な面白さが続くから見続けていたい。

JO子 ジャニーズってゴシップも楽しいじゃないですか。LAPONEはできたての事務所だからその辺すごい気を付けてるし、世間が騒ぐようなゴシップって今のところないんですよね。でも、ジャニーズはゴシップの渦中だし、宝庫じゃないですか(笑)。ついつい野次馬しちゃうところはあるな。

EBi子 ジャニオタは辛かろうが、もうジャニーズがどうなっても面白いから楽しい(笑)。破壊されようが、このまま押し通そうが、楽しすぎてしょうがない。革命だもん。

LD子 「愛・革命」とか言ってた人がまさか、本当に革命を起こすとは……(笑)。そしてこの革命の中で非ジャニたちがどういう立ち振る舞いをするのかが、かなり見ものだなと思ってます。

Snow Manエピソードをこすり続けるM!LK、JO1とINIはLAPONE合同コンが大荒れ!?【JO1・EBiDAN・LDHオタク座談会】

 いまやボーイズグループはジャニーズ事務所の専売特許ではなくなり、いくつものグループが誕生している。そこで今回、ジャニーズ以外のボーイズグループやダンスボーカルグループを応援するファンが集合。推しのグループや所属事務所について、最近の騒動を聞いた。

<座談会メンバー>
・EBi子:スターダストプロモーション所属のEBiDANファン。ジャニーズ、INI、K-POPまで広くアイドルを追う。
・JO子:LAPONEエンタテインメント所属のJO1ファン。元ジャニーズファン。
・LD子:LDH所属のGENERATIONS、BALLISTIK BOYZファン。ジャニーズやSMエンタテインメントのK-POPも通過。

JO1とINIの合同コンサートで大荒れ

――それぞれ応援しているグループや事務所の周辺で、最近なにか騒動はありましたか?

JO子 JO1、INI、DXTEENが所属する事務所「LAPONEエンタテインメント」が2023年5月に所属アーティストの合同コンサート『LAPOSTA』をやって、それが大荒れしたんです。そもそも、JO1のファンとINIのファンとDXTEENのファンってすごく仲がいいという感じじゃなくて、なんというか、「JO1しか好きじゃないです」「INIとか知りません」みたいな“オンリーファン”が多くて。一部には、他グループのアンチみたいなファンもいる界隈なんですよね

――仲たがいの発端となる何かがあったんですか?

JO子 いや〜、これには歴史がありまして……。そもそもLAPONE所属のアーティストは、韓国の人気オーディション番組の日本版『PRODUCE 101 JAPAN』(TBS系)から誕生しています。シーズン1でJO1が結成されたんですけど、デビューがコロナ初期の20年3月で、1年以上まともに活動できませんでした。事務所もまだまだ小さいから、運営もグダグダで。JO1のファン「JAM」たちは事務所に対するストレスを抱えつつも、メンバーを応援していた感じでした。

 そんな中、20年の冬にシーズン2の開催が発表されて、大荒れ。「新しいグループを作るより、JO1の活動を支援するのが先だろ」という怒号が飛んでましたね。そんな始まりだったので、今もINIやDXTEENに負の感情を抱いているファンは少なくないと思います。それからも、主にJO1とINIのファン同士が些細なことで言い争いしているところを何度も見ましたね(笑)。

 『LAPOSTA』が発表されたときも「そんなの望んでねえよ!」みたいなファンは結構いたと思います。まあ、私は行ったんですけれども。会場で殴り合いが始まるみたいな感じでは全然なくて、普通に楽しんでる人ばかり。私はINIとDXTEENに全く興味がなくて、この現場で初めて聞く曲ばかりだったので逆に面白かったです。

EBi子 『LAPOSTA』行ったんですけど、めちゃくちゃ楽しかった。それまで確かにすごくネットが荒れてて、なのに行ったらめっちゃ楽しくて。JO1、INI、DXTEENがお互いの曲をちゃんとしっかり練習してるのがわかって、もう本当に最高でした。結局、在宅の人たちが荒れたんですかね、やっぱり。

JO子 そうだと思います。“オタクの現場あるある”ですけど、現場に行っていない人たちが断片的な情報だけ拾ってネットで文句言っている、みたいな状況だった気がしますね。それに、もともと事務所や他グループが「嫌い」な人たちは、現場に来てなかったんじゃないかな。私も含めて、行った人たちはすごく楽しんで帰ったという。

EBi子 そう。本当にあんなに荒れたのがうそみたいに、みんな超ハッピーになって帰ってきた。

JO子 『LAPOSTA』ではトロッコを使った演出があったんですが、行ってない人の一部からは「単独公演ではトロッコを使ってないのに、『LAPOSTA』ではトロッコやるんですね」みたいな声も出たりしましたね。

EBi子 現場勢と在宅勢でもう溝が深まっていますね。

JO子 そんな気がします。

――LAPONEの全グループが好き、みたいなジャニーズでいう「事務所担」はあんまりいないんですか?

EBi子 いないんじゃないですかね。やっぱりジャニーズって神様が一人でつくっているから。その神様がつくったものをみんなで愛するけど。

LD子 LDHもそうですよね。HIROさんという神様がつくったものだからみんな好き。

JO子 そうですよね。帝国感がありますもんね。

EBi子 ビーファ(BE:FIRST)もやっぱり神様の事務所。“日高が選んだ子たち”で、日高崇拝だから。でも、INIとJO1は違う。なんなら、私はINIの推しメンしか好きじゃないくらい。事務所のファンにはならないな。

JO子 自分が応援している個人に投票して、上位のメンバーでグループが結成されるという成り立ちだから、「推ししか好きじゃない」って人は意外に多そうですよね。ジャニーズやKPOPみたいに「練習生時代が一緒だった」とか、そういう背景もないし。

EBi子 でも“推し被り”同士がめっちゃ仲良しという感じはあるな。推しを支える“親”がたくさんいるみたいな。親何十人で子ども1人育ててる、みたいな感じ。不思議な形だね。だから、事務所の合同コンは楽しかったけど、DXTEENを好きになったわけでもないという。嫌じゃないけど、別に好きではない。

JO子 そうそう。結局自分の推してるグループを一番好きになって帰ってくるので、「JO1最高! 私の推し最高!」って感想で終わりました。ジャニーズだと、先輩のバックについたJr.の子が気になるみたいな話になりますし、LAPONEもそれを狙ってたんだと思います。でも、1回合同コンサートやったぐらいじゃ何も変わらないですよ(笑)。

EBiDANファミリー売りの広告費にファン「何千万円?」

――EBiDAN周りで、今年の騒動はありますか?

EBi子 22年にEBiDANを卒業したDISH//がその前の年に「猫」でバズったので、「EBiDANもいけるんじゃないか?」みたいな雰囲気があるんです。それで、今まで雑に売ってたけどちゃんと本腰入れよう、って感じで“ファミリー売り”をするようになったんです。ジャニーズもLDHもファミリー売りしているじゃないですか。

 それで、一世風靡の「前略、道の上より」という曲をなぜかEBiDAN48人でカバーして、全員で踊るという企画を春にやったんです。山手線ジャックと渋谷のスクランブル交差点の広告ジャックと、あと山手線の全駅(高輪ゲートウェイ駅を除く)に広告出すとかすごくお金をかけてやって、その結果、別にどうもならなかったという。

JO子 これ、ファンの間で評判はどうだったんですか?

EBi子 金かけるのそこじゃないだろう、みたいな雰囲気で。みんなすぐに広告にかけた金額を計算して、「山手線何千万円?」って。私たちが特典会でCD積んだの、ここに使ってんだ……みたいな。しかも、それだけやったのに無風みたいな感じで(笑)。でも、もうあんまり文句を言わないかな。ファンも少ないし、メンバーも少ないので、悪口言ったらすぐ本人に届いちゃう。ただ、テレビに全然出てないので、「テレビ出れば一発なのに」という気持ちはある。

――EBiDANファミリーで「前略、道の上より」をテレビで歌えれば、違う展開があった?

EBi子 そうですね。歌番組で歌えればいいんですけど、たぶんその力はスターダストになくて。深夜番組でちょっと歌うくらい。毎年、一応EBiDANの合同コンサートみたいなのがあって、今年は力を入れて代々木体育館でやりました。でも、それでなにか起こるかというと、別にない。

――EBiDANのM!LK・佐野勇斗くんはいまSnow Man・目黒蓮とドラマ『トリリオンゲーム』(TBS系)に出てますよね。

EBi子 そうですね。M!LKが秋に横浜アリーナでやるんですよ。新人の「原因は自分にある。」というグループも、ぴあアリーナでやることになったり。超特急とDISH//以外もアリーナ公演をやれるほど規模が大きくなってきたという感じはありますね。あと、ドラマ『君の花になる』(TBS系)にBUDDiiSの子が出たので、BUDDiiSも人気が出ました。

JO子 じゃあ今、推してて結構楽しい感じですね。

EBi子 そうですね。EBiDANはめちゃめちゃ現場が多いんですよ。ジャニーズよりチケットが取りやすいし、現場の数も多いのでジャニーズのファンが流れてきてる感じがある。週1〜2くらいで現場があって、2〜3個のグループを追っていると大体当たるんですよ。

 それに、メンバーもジャニーズファンに来てほしいから、ジャニーズと共演したときにインスタライブをして誘導しますね。「M!LKに来いよ」みたいな。

――それはファンから見て、いい仕事してるなと思います?

EBi子 いや、もうやりすぎで(笑)。佐野勇斗もSnow Man・目黒蓮とちょっと話した、というだけの話を、もうずっとこすり続けてるので。しつこいと思いつつも、でも彼が「東京ドームで公演したい」と言うから、応援するしかない。

 でもジャニオタが流れてきたことで、現場にうちわが増えてるんです。EBiDANはもともとペンラなので、今までいた人たちがペンラを持って、新規がうちわを持ってくる。過渡期っていう感じ。ファンが増えることはいいことだけど、EBiDANはペンラだよ、みたいな内部の闘いがあります。

LD子 うちわでいうと、LDHもついに公式うちわをつくりました(笑)。それが「居酒屋えぐざいる」の公式グッズとして売られてるんですが、その前にGENERATIONS(以下、ジェネ)がライブグッズとしてうちわ出したときにちょっと物議を醸したんです。

 古き良きLDHファンって、「俺たちはアイドルオタクじゃねえ」みたいな自意識があって。「LDHはアーティスト事務所だからジャニーズのようなアイドルではないんです」という謎のプライドを持っているんですよね。でも、15年に『HiGH&LOW』がスタートしたことで、二次元オタとかジャニオタとかがガーッと流れてきて、お金を落とすようになった。運営としては稼げればいいわけですから、最近は結構“アーティストである”みたいなところも崩れていっている気がするんですけど、そのひとつの象徴がうちわなのかなと。

 でもやっぱり、うちわはジャニーズの象徴っぽいので、ジェネが作ったときに「うちわなんてアイドルみたいじゃん」みたいな感じで物議を醸して。そのときはLDHも葛藤があったのか、ライブフォトを使用したうちわでしたね。歌ってる最中の顔だから、正面向いてないんです。その抗いが果たして必要なのかと(笑)。とはいえ、LDHのアイドル化はどんどん進んでいます。たとえば、ライブアイテムといえば歴史的にはフラッグ、旗だったんですけど、この数年ペンライトを使うようになってきたんですよ。三代目(J Soul Brothers)のライブも、今ペンライトなんですよ。

JO子 面白い展開ですね。

LD子 今年の「居酒屋えぐざいる」で売ってるうちわは、甚平か浴衣みたいなのを着た写真を使ってるんだけど、それが原宿や新大久保にありそうな非公式グッズ感があって(笑)。でも、TAKAHIROさんとか、わりと上の世代の人のうちわからデビューしたてのグループまで、「居酒屋えぐざいる」で買えるぞという状態です。

JO子 「居酒屋えぐざいる」って、どこでやってるんですか?

LD子 09年から毎年お台場開催してましたが、20年以降はコロナでなくなってました。今年は4年ぶりにお台場に戻ってフジテレビの7階テラスで催されてます。だけど、入場料が今まで2,000円くらいだったのが、4,000円くらいに跳ね上がって驚きました(苦笑)。ただ、誰かしらメンバーが来る頻度は高いので、運が良ければ推しに会える。とはいえ、何時に来るかもわからない。居酒屋えぐざいるの公式インスタグラムが、その日に誰が来るか、みたいなことを匂わせるらしいんですけどね。

EBi子 アイコンかなんかで匂わせるんだっけ? 「明日来るよ」みたいな。

LD子 そうそう。でも予告されたとて、次の日のチケットを買っていない人からしたら飢餓感をあおられるだけで。

EBi子 直己さん(小林直己/三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)はストーリーにビールの絵文字を載せて匂わせてたね。

LD子 そうそう。そういうことをするんです。

EBi子 LDHでいうと、今日ランページ(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)のリリイベ(リリースイベント)行ってきたんです。ライブとかしないで、ハイタッチ会のハイタッチがないバージョンみたいなのをやっているんですけど、それに行ってきました。アクリルボード越しのあいさつを見るだけ、みたいなのを2周してきたんですけど。

――それって、メンバーの前を通過するだけってことですか?

EBi子 前を通過するだけです。1回1,500円で前を通過する。ファンは一応ボードとか見せるんですけど、回転が早すぎて、メンバーから反応があるわけでもないっていう。

LD子 ランページは人数が多いので、何チームかに分かれて全国でリリイベをやっているんですよね。ちなみに、事務所きっての売れっ子である三代目もやってますよ。やっぱりどこもCDの売り上げ厳しいのかな……。まあ、ライブすらしないそういうイベントでもファンは来るんだよね。

▼後編につづく▼

音楽ドキュメント『シーナ&ロケッツ 鮎川誠』 愛することがロックだったマコとシーナの伝説

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高校野球はブラック部活の代表例か? 「長時間練習すれば上達する」「大会での勝利が目標」という考えの問題

 「夏の甲子園」こと全国高等学校野球選手権大会が開催中だ。連日放送され続ける大会の模様を楽しみにしている視聴者も多い。

 しかし、こうした野球部をはじめとする“勝利”至上主義の部活は、“ブラック”な部活内容がつきものだろう。一日のかなりの時間を部活に注ぎ込むことを求められ、1カ月に休みは3日というとんでもないルールや、指導者からの日常的な暴言や体罰といった行為も黙認されてきた背景がある。

 こうした非常識な活動内容を持つ部活は「ブラック部活」ともいわれ、ネット上では「高校野球はブラック部活の代表例」「高校野球のブラック化」といった指摘が簡単に見つかる。

 2018年には政府が部活動に関する「ガイドライン」を策定したが、強豪校ほどブラック部活からの脱却が難しいのだろう。22年、春の高校女子バレーの強豪校において指導者から部員への暴言や部員同士でビンタを強要させるという事件が明るみなった。

 サイゾーウーマンでは、19年に『ブラック部活動』(東洋館出版社)『学校ハラスメント』(朝日新書)等の著者である名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授の内田良氏に、ブラック部活について取材している。その内容を、あらためて掲載したい。

※2019年12月20日公開記事に追記、再編集しています。

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 2016年8月、『クローズアップ現代+』(NHK総合)が「『死ね!バカ!』これが指導? ~広がる“ブラック部活”~」と題し、中学・高校の部活動において、顧問から生徒に“ハラスメント”が行われている実態を特集した。「死ね、消えろ!」といった暴言だけでなく、日常的な体罰、1カ月に3日しか休めない長時間拘束が行われている現状には、視聴者から大きな反響があった。

 それ以降、「ブラック部活」という言葉が世に広がり、改善へ向けた問題提起や、現場での取り組みが活発に。18年には、政府が部活動に関する「ガイドライン」を策定し、「週当たり2日以上の休養日を設ける」といった具体的な基準や、体罰の禁止について明文化された。

 しかし、それから1年たった現在も、部活の“ブラック化”がもたらす問題はなくなっていない。今年4月には、茨城県高萩市の卓球部で、顧問の男性教諭から「バカ野郎」「殺すぞ」といった暴言を受けた女子生徒が自殺。同部は全国大会の出場歴がある強豪校で、男性教諭もベテランの指導者だったという。また、「ガイドライン」の策定をきっかけに、記載された休養日を守らず、“自主練”と称して強制的な練習を行う「闇部活」も、新たな問題として浮上している。

 時に尊い命を奪うこともある「ブラック部活」は、なぜなくならないのだろうか? そして、子どもが部活動で苦しんでいる時、親には何ができるのだろうか? 名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授であり、前出の番組にも出演した、内田良氏に話を聞いた。

明確な制度がない、無法地帯な部活動

――いち早くこの問題に取り組んできた内田先生は、「ブラック部活」をどういった状態の部活動だと捉えているのでしょうか。

内田良氏(以下、内田) 最も主眼に置いているのは、「やりすぎている部活」です。さらに言えば、「やりすぎているせいで、安全・安心が損なわれている部活」に関心があります。例えば、休養日がなく毎日活動、1日何時間も拘束するといった「練習のやりすぎ」、大会やコンクールが毎週末あって休めない「大会のやりすぎ」、顧問や指導者が生徒に暴言・体罰を加える「指導のやりすぎ」、校内に練習場所が取れず、狭い校庭や体育館をいくつもの部活で分け合って使う「同時にやりすぎ」などがあり、どれも生徒や先生の安全・安心を脅かすものです。

――18年3月には「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が、同年12月には「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が、それぞれ策定されました。この中には、体罰の禁止や管理体制のほかに、休養日や適切な練習時間の設定についても基準が設けられています。それにもかかわらず、なぜ「やりすぎ」が起こるのでしょうか。

内田 「健全でない部活=ブラック部活」をなくしていくために、このガイドラインの策定は“前進”でした。しかし、今回策定されたのは「ガイドライン」ですから、必ず守らなければいけない決まりではなく、“目標”レベルのことなんですよね。法的な拘束力はなく、違反した場合にペナルティが科されるわけでもありません。

 部活動は、授業と違ってきちんとした“制度設計”がなく、これが大きな問題です。授業には「学習指導要領」というはっきりとした制度がありますが、部活には「ガイドライン」のみ。すると、狭い校庭を複数の部活が分け合って使うことが問題視されず、ストレッチをしている陸上部の隣で、サッカー部がボールを蹴るといった、事故が起こりやすいシチュエーションができてしまいます。体育の授業で場所が足りないとなれば、体育館か学校自体をもうひとつつくることになります。

 でも部活には制度設計がないため、そもそも「広さ○平方メートルに対して、活動できる部活はいくつまで」といった決まりもない。なので、なかなか状態が変わらないのだと思います。

――生徒や先生を守るはずの「ガイドライン」ですが、現場からは反発も多いようです。それはなぜでしょうか。

内田 やはり、「部活は楽しいから」「やりがいがあるから」でしょう。練習や大会が大きな負担であっても、そこに楽しさややりがいを感じていると、自粛するのは難しい。子どもたちが楽しんでやっていれば、大人たちも規制しにくいのでしょう。

――学校側が止めても、顧問や部員たちが“自主的な練習”として活動をしてしまう「闇部活」もあると聞きます。

内田 “部活動の練習”として認めると問題があるので、朝や放課後の練習を“自主練”として、学校に届けず活動をする部活もあるようです。しかしこの「闇部活」、とても恐ろしい問題をはらんでいます。“自主練”といっても生徒だけで行うわけではなく、顧問の先生が個人的に引率したり、保護者が付き添ったりするでしょう。しかし、どちらにしても「学校が認めた活動」ではありませんから、何かトラブルが起きた場合に、責任の所在が曖昧になってしまいます。

 「闇部活」中に子どもが大ケガをした、練習場所として借りていた施設を破損した、学校の楽器を運んでいたら落として壊した……そんな時、一体誰が責任を取るのでしょうか? こうした問題が起こる可能性について、顧問・保護者の認識が非常に甘い。近所の友だち同士で勝手に遊んでいるのとは状況がまったく異なりますから、思わぬトラブルに巻き込まれかねません。

――「練習のやりすぎ」をなくすためには、まず大会やイベントが多すぎる「大会のやりすぎ」問題を解決する必要がありそうです。

内田 まさにそうですね。今の部活は、練習試合、大会、地域の交流会など、年に何度も大会やコンクールなどがあります。もしかしたら、社会人より忙しいかもしれません。しかし、大会の数自体を減らすという動きは、実はほとんど起こっていない。

 例えば吹奏楽部なら、コンクールには参加せず、地域の行事や学内演奏会などの活動をメインにする選択肢があってもいいはずなのに、ほとんどの学校が複数のコンクールを中心にして、1年のスケジュールを組んでいます。大人になったら、スポーツも音楽も“趣味”として楽しみながらやっていますよね。勝利や高みを目指して大会を目標とする活動のほかに、学生でも「趣味として楽しむ部活」という観点があってもいいのではないでしょうか。

――では逆に、「たくさん練習したくても、ガイドラインがあってできない子ども」に対し、顧問や親はどうしてあげるべきなのでしょうか。

内田 「がんばりたい子」のフォローは、部活改革の重要な課題です。ひとつの方法としては、民間のクラブなどに入って、そこで練習をすることが考えられます。誰よりもうまくなりたい、プロを目指したいという子どもに、質の良い指導を受けさせることもできるでしょう。あくまで部活の中で、ということなら、「長い時間練習すれば上達する」という考え方を変える必要があります。

 例えば、週3日の練習で最大のパフォーマンスを引き出すためにはどうしたらいいか、顧問と生徒が頭を使って考え、密度・濃度の高い練習にシフトしていくのです。週3日のみ活動を行う部活が集まって、年に1回だけ大会を開催するというのもありでしょう。

「部活に入らないと内申点が悪くなる」という“勘違い”

――部活が過熱したり、「辞めたくても辞められない」生徒がいる背景には、“内申点”の存在があるように思います。「部活をやっていたほうが高く評価される」という“部活神話”も聞きますが……。

内田 学習指導要領の中で、部活は「自主的参加」です。要するに、部活をやっていないからといって、それをわざわざネガティブに書くことは、まずありません。一般論として、スポーツ推薦が欲しいとか、全国大会に進むほどの抜群な成績だったとか、そういった特殊な事情がない限り、部活は内申書において大きな影響力を持たないと言っていいでしょう。内申のため、部活を無理に続けるくらいなら、その時間を使って勉強したほうが、受験には有利ということになります。

 また、学校側が明らかに逸脱した指導を行っているのに、子どもがそれを嫌がっておらず、なかなか止められないという場合もあるかもしれません。保護者としてはもどかしい状況ですよね。そのとき保護者は、「ガイドライン」を持って学校に相談するといいでしょう。法的な拘束力がないとはいえ、表立った基準ができたことで、学校側に意見が言いやすくなったことは確かです。

――「部活は内申点にほとんど影響がない」という事情は、顧問の先生なら知っているはずですが、部活動はなぜブラック化してしまうのでしょうか。

内田 リスクよりも、それによって“得るもの”のほうに目が向いているからではないでしょうか。企業がなぜブラック化するかといえば、従業員の健康被害や離職率よりも、“会社の利益”に目が向いているからですよね。

 部活だったら、利益の代わりに得られるものは、“子どもの笑顔”や“達成感”でしょう。目標が高ければ高いほど、得られる感動や一体感は増していきます。先ほども言いましたが、部活って楽しいんです。喜びもやりがいもあるから、子どもたちは夢中になる。でもその一方で、苦しむ声が無視されていることを忘れてはなりません。

子どもを“ブラック”から救うために、大人がするべきこと

――現代では、「ブラック企業」に始まり「ブラックバイト」「ブラック部活」などの言葉が生まれ、組織が個人を酷使することが問題視されています。その中でも「ブラック部活」は、人生の中で一番最初に出合う「ブラック」ともいえそうです。

内田 「ここで頑張らないと、将来もっと大変なことがあったときに乗り越えられないぞ!」とは、キツい練習をさせるときの常套句ですよね。なんでこの先も「大変なこと」が起こる前提なんだよ、と思いますが(笑)。でもこの言葉こそが、現代の理不尽を強いる社会構造の表れです。

 人より多く練習・仕事をすることは、「負けたけど頑張った」「成果は出なかったけどよくやった」という形で、“免罪符”になりがちです。練習時間の長さで出し抜こうとしたり、熱意を測ったりするのをやめて、早いうちから“ルールの中で最大のパフォーマンスを発揮すること”を学んでいくのが大事ですね。

 そのためにはまず、先生や保護者が定時に帰宅することを徹底し、社会人の一人として、子どもに背中を見せる必要があるのではないかと思います。「がむしゃらに頑張る」一辺倒の構造に対し、「おかしい」と言える人間を育てていくべきではないでしょうか。

台風7号、タワマンの怖い「災害リスク」は? 過去には武蔵小杉で「トイレ使用禁止」の悲劇も

 非常に強い勢力の台風7号。8月15日現在、近畿地方を北上し、日本海へ進む見通しだというが、自転車並みのゆっくりとした動きが特徴だけに、風雨の影響が長時間にわたるとみられる。

 そんな中、一部SNSでは、今回の台風によりタワーマンション住民が大きな被害を受けるのではないかと予想する声が散見される。というのも、2019年秋、台風19号の大雨の影響により、神奈川県・武蔵小杉の47階建てタワーマンションで停電が発生。エレベーターもエアコンもテレビも使えず、さらに水を上層階までくみ上げ、各世帯に供給するという仕組みにも不具合が生じた結果、「全戸断水」――まさかの「トイレ使用禁止」という状況に陥ったのだ。

 その“悲劇”は多くの人に衝撃を与え、以降、台風の季節になると、これを蒸し返す人は少なくない。サイゾーウーマンでは19年当時、『限界のタワーマンション』(集英社新書)の著者・住宅ジャーナリストの榊淳司氏に、地震や台風以外にもあるタワマンの災害リスクについて取材を行っていた。台風7号に注目が集まるいま、同記事を再掲したい。

※2019/10/15公開の記事に加筆、再編集を加えています。

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 台風19号の大雨の影響により、神奈川県・武蔵小杉の47階建てタワーマンションの地下にある配電盤が浸水し、24階まで停電が発生。また、水を上層階までくみ上げ、各世帯に供給するという仕組みも、停電によって不具合が生じ、「全戸断水」という事態にも陥ったのだ。エアコンやテレビが使えないのはもちろん、エレベーターも動かず、トイレも流せない状況に、住民がパニックになっていると、連日テレビや新聞で取り上げられていた。

 「災害に強い」と言われていたタワマン神話は一気に崩壊したように見えるが、今回露見した以外にも、タワマンは、さまざまな恐ろしいリスクをはらんでいるようだ。今回、『限界のタワーマンション』(集英社新書)の著者・住宅ジャーナリストの榊淳司氏に話を聞いた。

「タワマンは災害に強い」イメージはなぜ生まれた?

 今回、武蔵小杉のタワマンの停電は、なぜ起こったのだろうか。榊氏は「私はまったく予期し得なかったのですが」と前置きした上で、次のように解説してくれた。

「下水の処理能力に増して雨が降り、多摩川から逆流した水がタワマンの地下に入って、そこにあった電気室がダメになり、停電したわけです。なぜ水が地下に入り込んでしまったかというと、地下駐車場のシャッターが開いていた可能性も否定できません。武蔵小杉のタワマン11棟のうち、停電したのは2棟で、ほかの棟はシャッターを締め、土嚢で浸水を防ぐなどの対策を取っていたという話も聞きました」

 タワマンは災害に強いというイメージもあったが、それは偽りだったのだろうか。

「たまに『災害でタワマンが折れることはないか』といった声を耳にしますが、よほどの手抜き工事がなされていればわからないものの、1981年以降の新耐震基準に沿って建設されたマンションであれば、理論上『折れる』なんてことはありませんし、実際にそのようなことは起こっていませんよね。そもそもなぜ『災害に強い』というイメージが生まれたかといえば、東日本大震災直後、デベロッパーが、『タワマンは災害に強い』ということを大々的にアピールするようになったことが影響しているのでは。当時、私は不動産広告業界で働いていたのですが、新しい物件が出るたびに、広告の3割程度のスペースを割いて『こんな備えをしている』などと宣伝することはよくありましたね。しかし、今回、災害に対するハード面以外での脆弱性が露見してしまったかもしれません」

 タワマンの一番の魅力は、やはり「高層ゆえに素晴らしい景観と共に生活できる」という点だろう。しかし、榊氏は「『高い』というポジションにおけるリスクはある」と指摘する。 

「2016年、カナダ・トロント市のヨーク地区救急サービスの隊員たちが、一刻を争う『心肺停止』を起こしたマンション住民の階数別の“生存率”を調査した際、25階以上は0%だったといいます。高いというのは、つまりそれだけ移動距離があり、移動時間もかかる。移動手段はエレベーターしかなく、それは電力によって支えられている……そう考えると、『景色が良いから』だけでタワマンを選ぶのは、リスキーだと感じます」

 確かに今回、停電によってエレベーターが使えなくなり、一部報道では「40階近くまで階段を上り下りする住民もいる」と伝えられ、ネット上を驚かせていた。

「東日本大震災のとき、東京電力福島第一原発事故などの影響で、計画停電が実施されましたが、せいぜい3時間程度だったので、それくらいなら部屋の中でじっとしていれば問題ありませんでした。しかし、いざ災害で停電になったら、3~4日間、電気が使えない生活を強いられることもありますし、9月に台風15号が直撃した千葉では、一部地域で、実に1カ月も停電が続きました。このような状況に陥った場合、とてもじゃないけれどタワマンには住めないと思いますよ」

 また、タワマンは「戸数が多い」という点も、災害時のリスクになり得るという。

「例えば地震が発生し、停電が起こってエレベーターが停止した場合、避難経路は非常階段しかありません。そこに一斉に住民が集まったら大渋滞になりますし、さらに『我先に』と慌てる人が続出すると、将棋倒しになる危険性もあるのです」

 さらに、武蔵小杉の一件では、「トイレが使えない」という点も大きな話題となった。榊氏いわく「停電により、下水処理にも不具合が生じ、『トイレを流すな』という命令が出ている……ということでは」と述べる。

「トイレが使えないなんて、現代の人にとってはあり得ない事態でしょう。簡易式トイレが配布されたものの、用を足した後、『手が洗えない』という問題も出てきますし、そのストレスも大きいはず。総じて、タワマンの災害時における脆弱性は、『電気に頼り切っている』という点なのではないでしょうか」

 なお、タワマン住民が災害時、地域の避難所に身を寄せようとすると、敬遠されてしまうケースもあると付け加える榊氏。というのも、タワマンの建築ラッシュとなっている中央区・勝どきは、人口が激増しているにもかかわらず、避難所数が少ないそう。榊氏が、区役所にその点について「どうお考えですか?」と質問したところ、「マンションにお住まいの方は、基本的にマンション内で自活をしていただくことを考えています」といった回答を得たという。

「避難所というのは、基本的に自分の住まいにいると命に危険が及ぶという人が避難する場所なのです。そう考えると、確かにタワマンにいても命に別状はありません。けれども、生活面に重大な不具合が生じる可能性があるということなのです。実際に武蔵小杉のタワマンの住民は、大きな荷物を持って、別の場所に避難している方も多いと聞きます」

 「災害大国」と言われる日本では、今後も大きな地震や台風がやって来ると予測できるが、今後、タワマンの住民や管理組合はどのような対策を取るべきなのだろうか。

「まず、住民は、『避難所には行けない』という前提のもと、原始的な災害対策をすべきでしょう。飲み水や食料、カセット式ガスコンロとボンベ、電池式ラジオ、水を運ぶ容器などを用意しておく。またトイレをどうするか考えておくことも重要です。今回は、管理会社から簡易トイレが支給されたそうですが、大災害が起こった場合、そのような対応を一つひとつのマンションに行うことは不可能ですから」

 一方、管理組合は、「武蔵小杉の教訓として、台風時、『出入口はしっかり閉める』『シャッターの強度を上げる』というのは徹底すべき」と榊氏。

「また、タワマンには、自家発電装置が必ずあるものの、古いマンションは24時間、東日本大震災以降のマンションでも72時間しかもたないのです。そのため、急進的な管理組合は、自家発電に加え、空いている地下駐車場のスペースに、常に電気自動車を3台ほど停めており、停電が起こった際は、それを連結してエレベーターを動かすという体制をつくっています」

 さらに、いざという時のために、医療従事者の住民を名簿化している管理組合もあるとのこと。

「あと管理組合ができる災害対策で考えられるのは、1階に広い共有スペースがあるタワマンの場合、そこを臨時避難所にするというもの。高齢者や体の不自由な人、またケガをしている人など、高層階での生活に支障を来す人を優先的に入れるようにするなど、マニュアルを作成しておくこともできるのではないでしょうか。医療チームが来ても、治療を受けたい住民が30階に住んでいる場合、『エレベーターが動かないから階段を使って上ってもらう』というのは、現実的に考えられないですが、1階の共有スペースにいたらスムーズに診てもらえるはずです。災害時、管理会社は頼れないという意識で対策を練るべきでしょう」

 今回、台風19号によって、災害時の弱さが明るみとなってしまったタワマン。榊氏いわく「これまで日本にはタワマン信仰がありましたが、今回の件でイメージダウンしたのは確か。『100点』が『70点』くらいに下がったイメージです。ただ、それも一時的なもので、2~3年タワマンに懐疑的になる事件が起こらなければ、イメージも回復するはず」とのこと。

 悲惨な災害が起こらないことを祈りつつ、今後タワマン住民や管理組合がどのような対策を練っていくのか、注目していきたい。

榊淳司(さかき・あつし)
不動産ジャーナリスト・榊マンション市場研究所主宰。主に首都圏のマンション市場に関するさまざまな分析や情報を発信している。『限界のタワーマンション』(集英社新書)『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)など著書多数。
公式サイト

「なんで高校野球の応援しなきゃいけないの?」「何様だよ」チアと吹奏楽部が抱く、甲子園への本音

 連日、朝から晩までテレビで放送されている「夏の甲子園」。高校球児が汗を流す姿を毎年楽しく見ている高校野球ファンもいるだろう。しかし野球部の試合にもかかわらず、チアリーディング部や吹奏楽部までもが「原則参加」とされている事実は意外と知られていないのでは?

 サイゾーウーマンでは、かつて高校野球の応援に「駆り出されていた」という、元吹奏楽部員&元チアリーディング部員の対談を実施。「内心『負け』を願っていた」「野球部だけが特別視されることに違和感」など応援する側の本音や、「エロ目線で見られる」というチアの存在の葛藤などが飛び交った同記事を、あらためて掲載したい。

※2020/08/15公開の記事に加筆、再編集を加えています。

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 「夏の甲子園」といえば、吹奏楽部やチアリーダーがアルプススタンドで応援のパフォーマンスを行う光景もおなじみになっているが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け2020年は中止となった。8月10〜17日には、3月に開催予定だった「第92回選抜高等学校野球大会(センバツ)」への出場が決まっていた全32校による「2020年甲子園高校野球交流試合」が無観客で開催されたものの、「応援団がいなくて残念」という声もある。

 しかし、実際にスタンドから高校球児を応援していた人たちは、どのような思いがあるのだろうか。今回は、元当事者たちに、リアルな実情や本音をぶちまけてもらった。

<座談会参加者>

A子:関東近郊の某公立高校、吹奏楽部出身
B美:地方都市の某私立高校、チアリーディング部出身

野球応援に“駆り出される”私たちのホンネ

――別々の部活に所属していたお二人ですが、「野球部を応援する」という同じ活動をしていたんですね。

A子 私が所属していた吹奏楽部は、顧問の方針もあって、高校野球の応援によく駆り出されていました。でも、炎天下での演奏は大変だし、自分たちだって大会の練習があるのに……と、正直モヤモヤする時もあったりして。

B美 私はチアリーディング部として、野球部の応援に行きましたね。当時はこれも活動の一つだと思っていたし、普段の練習よりラクっちゃラクだったので、それなりに楽しんでいたかな。でも引退してから、メディアが応援も含めて感動を煽るような取り上げ方をしていて、すっかり高校野球が苦手に……(笑)。

――今年は甲子園が中止になりましたが、各地で代替大会が行われていました。しかし、スタンドでの応援は自粛になり、SNSでは「応援がなくて寂しい」という声も見られます。一方、応援をする当事者からの声は、あまり表に出ません。

A子 応援に行くのが当たり前になっているので、本音では「行きたくねえ」と思っていても、大きな声では言いづらいです。うちの高校の吹奏楽部の場合、顧問が高校野球大好きで「みんなで行くぞ!」というテンションだったので、問答無用で応援に行かされていました。吹奏楽部のコンクールと日程がかぶったりしない限りは、原則全員参加で、「行かない」という選択肢はない。でも、自分たちだって夏にコンクールを控えているんです。野球部が頑張っているのもわかるけど、野球部が勝ち進むと自分たちの練習時間がなくなってしまうため、私は「この辺で負けてくれないかな〜」と思うことが結構ありました。

B美 ブラバンやチアって、高校野球の応援が「活動の一環」になっていて、「当然応援するもの」だと思いこまされていますよね。個人の気持ちはさておき、少なくとも建前としては、自分たちの学校のチームを応援する。でも、部活動の一環として強制的に応援させられている以上、内心「負け」を願うこともあります。

 私がいたチア部でも「負けてほしい」とこっそり言っている子はいました。「スタンツ(組体操)やダンスがやりたくて入部したのに、なんで野球の応援しなきゃいけないの?」って。生真面目でストイックな子ほど、疑問を抱いていた印象です。

 それでも、応援しているうちに感化されてくるというか、「演技で人を元気にする、応援するのがチアというスポーツ」だと日頃から顧問に言われていたので、だんだん積極的に応援するようになっていました。一方で、野球部が勝ち進めば進むほど、自分たちの練習時間が減ってしまうことも頭にはありました。夏はチアも大きな大会を控えていましたから。

A子 ぶっちゃけ、「あそこの高校は野球部強くないから練習できていいよな」って思ったりしていました(笑)。野球部が負けてくれれば、自分たちの練習に時間を費やせるのにな、と。

B美 わかります(笑)。しかも野球の試合って長いし、延長戦になると3時間以上かかっちゃったりもして、当然決着がつくまでやるから、終わりの時間が見えない。生理中の野球応援が本当につらかったのを覚えてますね。

A子 どんなに延長して試合終了が遅くなっても、私のいたブラバンは球場から学校に戻って自分たちの練習をしなければならず、それが一番嫌でした。ブラバンはブラバンで大会を控えているので練習しなきゃいけませんが、体が疲れているから、100%の力では練習できないし、効率も悪い。ずっと残業しているようなもので、実のある練習になっていたのか疑問です。野球部の人たちは、今ごろ家に帰ってクールダウンしてるだろうなって思いながら、こっちは練習……。不公平だなあって思っちゃいますね。

B美 野球部のスケジュールにかなり振り回されますよね。野球の応援が好きな子はいいけど、そうじゃなければ納得がいかないと思います。

応援したのに「うるさい」「やめて」と言われるブラバン

――野球応援をしている時に「大変だな」と思うことはありますか?

B美 ブラバンの人たちは、試合の状況を見て「どの曲をやるか」を判断しなきゃいけないから、大変そう。場面によって演奏する曲が変わってくるじゃないですか? チアはブラバンの演奏する曲に合わせればいいですが。

A子 そうなんです。打者によっても曲が変わるし、ヒットの曲、ホームランの曲と、場面によって演奏する曲が決まっていて、常に試合を見ている必要がありました。あと、「演奏してはいけない時間」っていうのがあって。たとえば、選手たちが集まって指示を受けている間は、絶対演奏しちゃいけないんですよ。なぜならば「うるさいから」。じゃあブラバン呼ぶなよ(笑)!

B美 いやいや、何様だよ……って感じですね。

A子 どのくらいうるさいんだろうと思って、野球部に聞いたことがあるんですけど、どうやら本当に迷惑らしくて。ブラバンの顧問は「迫力のある応援をすることで、相手チームにプレッシャーを与える」とか言っていましたが、実際は自分たちの学校の野球部にとってもプレッシャーだったみたいです。満塁になった時や、逆転できそうな時に演奏する曲もあるんですが、「その曲が流れると緊張するからやめてほしい」と言われましたからね。それからというもの、「応援」という行為自体が一方的なものである、ということを忘れないようにしようと思ってます。

――逆に、応援していて「楽しいこと」はありましたか?

B美 入部当初は、チアのユニフォームが着られることだけでうれしかった気がしますね。応援うんぬんより、「自分がチアリーダーになれた」と実感することが重要でした。私の場合、当時はチア部のある高校自体が珍しかったし、チア部であるという事実が自分の中でアイデンティティになっている部分もあって。他校の友達に「チアは野球の応援とかできて楽しそう」とかうらやましがられると、うっすら気分がよかったり。

 そういう意味では、正直なところ、本心から野球部を応援しているわけではなく、自分のアイデンティティを確認するための活動の一つだったんだと思います。だんだん試合が面白くなって、多少は気持ちが入るようになりましたが……。冷静に振り返ると、野球部が勝ち進むことのうれしさは、自分のアイデンティティを確認する機会が増えたからだったのかもしれません。でもそれって、チアの大会に出場した時にも得られていたし、「野球の応援」だからこそ得られるものってわけではないかなあ。

A子 私は自分の知っている子が試合で活躍している時ぐらいじゃないと楽しくなかったですね(笑)。1年生の頃は同級生も出ていないし、試合を見ていても正直よくわからないし、別に楽しくない。そのくせ暑い中での演奏はすごく大変。だから、1、2年の時は全然楽しくなくて、3年になってようやくクラスメイトが選手として出るようになり、応援する気持ちになりましたけど。

B美 逆に「応援が楽しくて仕方ない!」という感じの子もいましたね。まあ、チアは「笑顔」で応援するというスポーツなので、試合会場でも明るく元気に振る舞わなければいけないのですが……。感極まって涙目になっている子もいたなあ。

A子 自分の学校が負けて泣いている子もいましたね。そんな中、私は周りが泣いていると、どんどんしらけて「やれやれ終わった」と……。うちの高校の場合、一番楽しんでいたのは顧問の先生だったと思います(笑)。

――ブラバンやチアは野球の応援に行って当たり前とのことですが、野球部が大会の応援に来ることはあるんですか?

B美 チアの大会に、野球部が来たことはなかったですね。野球部が今、どのくらい勝ち進んでいるのかはみんな知ってたけど、チアの大会についてはほとんど知られていなかったかも。

A子 ブラバンの場合、定期演奏会だけは来てくれましたが、野球部が吹奏楽コンクールを見に来たという話は聞いたことがないですね。「お前らも来い」と言いたいわけではないですが、「野球部を応援するのは当然」だと本人たちも思っていることを、如実に表しているような気がしてしまいます。

B美 高校の運動部は硬式野球部だけじゃないのに、なぜか「高校野球」だけは応援に行こうという雰囲気になっていますよね。特に甲子園出場校が決まる夏の地方大会は、そこまで強い学校じゃなくても、一応応援には行くというか。

A子 ほとんど“学校行事”みたいな扱いですよね。私の学校は部活動に力を入れるのもあってか、野球部のレギュラーの子が授業中に寝ていても、先生が「こいつ頑張っているし、まあしょうがないか」みたいな感じで、明らかに特別視していました。

B美 友達の高校では、野球部だけ掃除が免除されていたそうです。私の高校はむしろ、運動部はやたら共用スペースの掃除を担当させられていたし、世の中には素手でトイレ掃除をやっている強豪の野球部もあるというので、一概には言えませんが。

――話を聞いていると、「高校野球」はずいぶんと甘やかされているというか、何かにつけ特別扱いされている印象です。

B美 今振り返ると、そういう面はありましたね。私の地元の新聞では、夏の地方大会シーズンになると、強豪校のみならず、地方大会に参加する野球部の一覧表が掲載されるんですよ。キャプテンの顔写真や抱負、ベンチ入りした選手の名前や出身中学、身長まで載っていました。地元密着型の地方紙とはいえ、アマチュアスポーツである部活動で、予選の段階からそこまで取り上げられるのは高校野球くらいじゃないですかね。

A子 学校内だけでなく、メディアも高校野球だけは特別枠として取り扱いますよね。なんでだろう、不思議。

B美 その甲斐あってか、確かに注目度は高くて、自分の地元ではどの高校が甲子園に行くのか、自分の母校がどこまで勝ち進んだのか、熱心に追っている人がたくさんいましたね。じゃあ、そういう人が普段から野球好きかといえば必ずしもそうではなくて、「高校野球」「甲子園」というコンテンツを消費しているんだろうなと。

A子 「高校野球」がいかに消費されているかは、高校野球と無関係の立場になって、外から俯瞰して見るとよくわかりますよね。『熱闘甲子園』(テレビ朝日系)なんかで負けたチームの選手たちが泣いている姿がやたら映されるのは、「感動ポルノだなあ」と思うし。

高校野球は、頑張る若者を消費する「感動ポルノ」?

B美 試合前の中継で、選手たちが円陣を組んでいる場面が映されて、キャスターが「さっきマネジャーの女の子に聞いたんですけど、今年のチームは何回も円陣を組んでいるそうです。バラバラになりそうな心を一つにするために……」と、心揺さぶるような説明をしていたのを見たことがあります(笑)。高校サッカーの中継でも、敗退したチームの選手たちが号泣して、そんな彼らを監督が𠮟咤激励する場面を見ましたけど、“感動的なシーン”を見せまくって、酔いやすいようにプログラムされているんですかね。

A子 むしろ、試合そのものよりも“感動的なシーン”がメインになっていますよね。男泣きする選手や監督、献身的な女子マネジャー、円陣を組む様子、スタンドで応援するチアリーダーばかりを映して、わかりやすく美しい物語に仕立て上げる。でも、高校球児たちはいいプレーをしたり、試合に勝つために練習を頑張っているわけで、泣いてる場面なんか見てほしくないんじゃないかな。自分だったら、めちゃくちゃかっこいいプレーをしたところだけ映してくれよ、と思いますけど。

――甲子園のテレビ中継では、「炎天下で健気に応援する高校生」として、吹奏楽部やチアリーダーも「感動ポルノ」に巻き込まれているように思います。当事者たちも、自分たちが注目され、消費されている意識はあったのでしょうか?

B美 注目されているという意識はありましたね。チアはユニフォームがどうしても目立つため、野球の応援に限らず、そこにいるだけで良くも悪くも注目されてしまうことは、わかっていました。ただそれはどちらかというと「エロ目線で見られてしまう」「性的消費される」という意味合いで、「感動ポルノ」の対象にもなっていたことは、競技を離れてから気づきました。

A子 私も当時は演奏することに必死で、「注目を浴びている」「消費されている」という意識はなかったです。でも、卒業後に「ここのブラバンの応援はすごい!」と、わざわざYouTubeに動画が上がっているのを知って、「こんなふうに見られていたんだ」と驚いた感じです。

B美 メディアでは、さも「その場にいる全員が勝利を願い、心を込めて応援している」かのように映されますよね。実際は応援している側も、いろいろなことを思いながらやっているわけですが。

A子 さっき話していたように、「暑くてしんどい」とか「このへんで負けないかな」って思っていたりもするのに、外野から「みんなが一体になって応援してる」「みんなが野球を楽しんでいる」という理想を押しつけられているというか。だから私は、いま高校野球の応援席を見ると、「この子たち、暑い中で長時間応援して、終わってから練習するのかな?」と思ってつらくなります(苦笑)。

B美 炎天下での応援は熱中症の危険もあるので、「ここまでやらなくちゃいけないの?」と疑問に感じたりもします。あと、チアの場合、応援のパフォーマンスよりもユニフォーム姿を消費されている側面もあり、写真や動画がネットで出回ったりもしているので、学校側はどう考えているのか、すごく気になりますね。

――甲子園の中止が発表された時、世間では「かわいそう」「やらせてあげたかった」といった声が多かったです。

A子 私は正直、「高校野球」について考えるタイミングができたという意味で、中止になってよかったんじゃないかと思います。吹奏楽コンクールもほとんど中止になってしまったようですが、これでようやく、自分たちだけのために楽器を演奏できるんじゃないかな、とも。それと、応援に行く本人たちも大変だけど、その親や関係者も毎年本当に大変そうだったので、内心ホッとしてる人は案外多いかもしれません。

B美 授業数の不足や受験への影響も懸念されている状況ですし、親御さんは安心していそうですよね。チアリーディングは、いつも夏に開催している大会を秋に延期したようですが、高校3年生の子たちはどうするのかな……。

 一方で、不完全燃焼になっちゃった子もいると思います。ただ、甲子園などの大きな大会を「中止になってかわいそう」なものにしているのは、大人たちですよね。10代の頃の経験が大事なのもわかりますが、残念ながら時間は戻らないし、今回のような不測の事態が起こることもある。「高校最後の夏」「二度とない青春」と神聖化して重みを持たせるのは、ますます彼らを苦しめることにならないでしょうか。

A子 その点、全国で代替の大会が行われているのはよかったと思います。でも、「かわいそう」はやめてほしいですよね。大人なら、「今回は残念だったけど、それだけじゃないよ」「まだまだ楽しいことが待ってるよ」と言ってあげるべきなんじゃないかなあ。

B美 高3で引退して卒業後はゆっくりするつもりだったのに、コロナ禍で引退試合を逃したことで、「これで終わるのは自分がかわいそう」あるいは「負けた」ような気がして、大学でも競技を続けなければ、と思わされる子もいるんじゃないか……とか考えちゃうと、複雑です。競技を純粋にやりたいならいいけど、メディアや大人によって植えつけられた「かわいそう」という思考回路で、競技に時間を費やすのは違うと思うし。

A子 高3の引退と同時にやめるのは、確かにキリがいいですよね。とはいえ、部活動で結果を残せても残せなくても、そこで人生が終わるはずもなく、10代が終わっても人生は続く。スポーツも音楽もなんでも、20代、30代、もっと大人になってから始めたっていいわけですし。大人たちが10代の子に向けて「10代の今が一番楽しい」「輝かしい時期は今だけだよ」と言うのは、よくないですよね。

B美 ぶっちゃけて言えば、10代の頃よりも大人になった今のほうが楽しいし、お金も自由もある(笑)。「やらせてあげたかった」気持ちもなくはないですが、「まだまだやりたいことをやっていいんだよ」と声をかけてあげたほうが、救われる人が多いんじゃないでしょうか。

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