船越さんには「絶倫粉」を! 精力剤のパイオニア「あかひげ薬局」、知られざる実態に迫る

 性にまつわるアイテムの販売がカジュアルになった昨今。しかし、それよりずっと以前、昭和62年から「男女精力百貨店」として、この道を切り開いてきたパイオニアが、「あかひげ薬局」だ。「精力剤」「強精剤」「早漏」「不感症」といった刺激的なワードが掲げられた同店を、街中で見かけて気になっている人も多いだろう。そんな「あかひげ薬局」の実態を知るべく、今回、横浜店の店長・佐藤慎一氏に、同店の取り組みをはじめ、話題の船越英一郎氏の夜事情について助言をいただいてきた。

■女性客は2割、その来店目的

――あかひげ薬局は「男女精力剤専門店」とありますが、どうしても男性のイメージが強い印象です。女性客はどのくらいでしょうか?

佐藤慎一氏(以下、佐藤) 大体2割くらいですね。店頭以外にもネットや電話でも商品に関する相談を受け付けておりますが、ネット、電話だとより女性比率が上がりますね。

――女性2割は、意外と多いですね。

佐藤 ご本人の、というだけでなく「妊活中で、旦那さんに頑張ってほしい」という奥様からのご相談が多いんです。さまざまな年代の方がいらっしゃいますが、特に男性ですと40~50代、女性だと30代の方が多いですね。

――あかひげ薬局では男女双方に向け「強壮剤」「強精剤」のほか、男性に向けては「勃起剤」が販売されていますが、それぞれの違いを教えてください。

佐藤 強壮剤は体を強くする滋養強壮効果が期待でき、強精剤は男性ホルモン、女性ホルモンです。勃起剤は神経に働く薬で劇薬指定になっています。勃起剤であるバイアグラは日本では処方箋薬です。あかひげ薬局でも処方していますので、病院の処方箋をお持ちいただければ、バイアグラをお渡しします。

■船越氏にバイアグラよりお勧めしたい「絶倫粉」とは

――松居一代さんの動画の中では、バイアグラを服用した船越さんが“心臓を押さえて叫んだ”とありますね。バイアグラには、どのような副作用があるのでしょうか。

佐藤 頭が痛くなる、胸が苦しくなる、動悸がきつくなる、などですね。なお、日本だとバイアグラの処方は1回に50mgまでです。海外だと体が大きい人が多いので、100mgというところもありますね。

――松居さんは、船越さんが100mgを使っていた、と言っています。

佐藤 ですので、船越さんは海外から輸入されていたのかもしれません。海外からバイアグラをはじめとした医薬品を個人輸入したり、輸入を代行する業者は増えましたが、やはり日本製に比べ品質に不安があります。日本では、そもそも医師の診断がないと処方することのできない医療用医薬品ですし、体に入れるものです。船越さんには、日本製のものを、日本で購入することをお勧めしたいですね。

――バイアグラに代わって、あかひげ薬局でお勧めの商品はありますか?

佐藤 看板商品「絶倫粉(ぜつりんふん)」です。バイアグラは「勃起剤」で、絶倫粉は健康食品ですが、30年以上お使いになっている方もいる当社のベストセラー商品です。「ジワジワくる」と評判の商品です。

――あかひげ薬局の主力商品が「勃起剤」でなく、「健康食品」というのはちょっと意外です。

佐藤 どうしても、直接的な効果を求めバイアグラのような「勃起剤」に目がいってしまいがちなんですよね。一時的であれば勃起剤も有効です。ですが、遠回りに見えても、体の元気をきちんと作っていった方が結局、充実した性生活にもつながっていくんです。私も絶倫粉を毎日飲んでいますが、「男の力」がつくだけでなく体の調子も良く、お酒の抜けもいいですよ。

 なお、健康食品や強壮剤は男性、女性どちらも使えます。また、強精剤(ホルモン含有)はストレスから更年期のような症状(イライラする、やる気が出ない)になってしまう男性と女性、近頃は30代前半の若い方もいますが、そういった不調にもお勧めですね。

――絶倫粉の成分は自然成分なのでしょうか?

佐藤 はい。動物の肝(きも)などもありますし、あとは古来から有名な毒蛇系やすっぽんなどですね。毒をもった生物、マムシやハブは精力にいいとは昔から言われていますよね。また、オットセイの成分が入った商品も多数そろえています。オットセイは雄一匹でハーレムを作りますから。

――ホームページを見ると日本語のほか英・中・韓国語にも対応とワールドワイドですが、海外からの方も多いのでしょうか?

佐藤 中国、韓国の方は多いですね。中国ですと国内ではネットで規制がかかって見られないはずなのですが、情報を持ってらっしゃいます。マムシや毒蛇、生薬といえば、中国の方が本場のイメージですが、日本ブランドは強いようで、漢方薬でも信頼できる日本製をお求めになられるくらいです。少し前はいわゆる「爆買い」でいらっしゃる方も多かったですよ。

◆◆
 この取材は、あかひげ薬局横浜店の奥で行っていたが、取材が終わった際、男性客が来店していた。佐藤店長は男性客と取材班(女性2人)が鉢合わせにならないように気を配り動いていて、そのホスピタリティに感銘を受けたことも伝えておきたい。
(石徹白未亜)

船越さんには「絶倫粉」を! 精力剤のパイオニア「あかひげ薬局」、知られざる実態に迫る

 性にまつわるアイテムの販売がカジュアルになった昨今。しかし、それよりずっと以前、昭和62年から「男女精力百貨店」として、この道を切り開いてきたパイオニアが、「あかひげ薬局」だ。「精力剤」「強精剤」「早漏」「不感症」といった刺激的なワードが掲げられた同店を、街中で見かけて気になっている人も多いだろう。そんな「あかひげ薬局」の実態を知るべく、今回、横浜店の店長・佐藤慎一氏に、同店の取り組みをはじめ、話題の船越英一郎氏の夜事情について助言をいただいてきた。

■女性客は2割、その来店目的

――あかひげ薬局は「男女精力剤専門店」とありますが、どうしても男性のイメージが強い印象です。女性客はどのくらいでしょうか?

佐藤慎一氏(以下、佐藤) 大体2割くらいですね。店頭以外にもネットや電話でも商品に関する相談を受け付けておりますが、ネット、電話だとより女性比率が上がりますね。

――女性2割は、意外と多いですね。

佐藤 ご本人の、というだけでなく「妊活中で、旦那さんに頑張ってほしい」という奥様からのご相談が多いんです。さまざまな年代の方がいらっしゃいますが、特に男性ですと40~50代、女性だと30代の方が多いですね。

――あかひげ薬局では男女双方に向け「強壮剤」「強精剤」のほか、男性に向けては「勃起剤」が販売されていますが、それぞれの違いを教えてください。

佐藤 強壮剤は体を強くする滋養強壮効果が期待でき、強精剤は男性ホルモン、女性ホルモンです。勃起剤は神経に働く薬で劇薬指定になっています。勃起剤であるバイアグラは日本では処方箋薬です。あかひげ薬局でも処方していますので、病院の処方箋をお持ちいただければ、バイアグラをお渡しします。

■船越氏にバイアグラよりお勧めしたい「絶倫粉」とは

――松居一代さんの動画の中では、バイアグラを服用した船越さんが“心臓を押さえて叫んだ”とありますね。バイアグラには、どのような副作用があるのでしょうか。

佐藤 頭が痛くなる、胸が苦しくなる、動悸がきつくなる、などですね。なお、日本だとバイアグラの処方は1回に50mgまでです。海外だと体が大きい人が多いので、100mgというところもありますね。

――松居さんは、船越さんが100mgを使っていた、と言っています。

佐藤 ですので、船越さんは海外から輸入されていたのかもしれません。海外からバイアグラをはじめとした医薬品を個人輸入したり、輸入を代行する業者は増えましたが、やはり日本製に比べ品質に不安があります。日本では、そもそも医師の診断がないと処方することのできない医療用医薬品ですし、体に入れるものです。船越さんには、日本製のものを、日本で購入することをお勧めしたいですね。

――バイアグラに代わって、あかひげ薬局でお勧めの商品はありますか?

佐藤 看板商品「絶倫粉(ぜつりんふん)」です。バイアグラは「勃起剤」で、絶倫粉は健康食品ですが、30年以上お使いになっている方もいる当社のベストセラー商品です。「ジワジワくる」と評判の商品です。

――あかひげ薬局の主力商品が「勃起剤」でなく、「健康食品」というのはちょっと意外です。

佐藤 どうしても、直接的な効果を求めバイアグラのような「勃起剤」に目がいってしまいがちなんですよね。一時的であれば勃起剤も有効です。ですが、遠回りに見えても、体の元気をきちんと作っていった方が結局、充実した性生活にもつながっていくんです。私も絶倫粉を毎日飲んでいますが、「男の力」がつくだけでなく体の調子も良く、お酒の抜けもいいですよ。

 なお、健康食品や強壮剤は男性、女性どちらも使えます。また、強精剤(ホルモン含有)はストレスから更年期のような症状(イライラする、やる気が出ない)になってしまう男性と女性、近頃は30代前半の若い方もいますが、そういった不調にもお勧めですね。

――絶倫粉の成分は自然成分なのでしょうか?

佐藤 はい。動物の肝(きも)などもありますし、あとは古来から有名な毒蛇系やすっぽんなどですね。毒をもった生物、マムシやハブは精力にいいとは昔から言われていますよね。また、オットセイの成分が入った商品も多数そろえています。オットセイは雄一匹でハーレムを作りますから。

――ホームページを見ると日本語のほか英・中・韓国語にも対応とワールドワイドですが、海外からの方も多いのでしょうか?

佐藤 中国、韓国の方は多いですね。中国ですと国内ではネットで規制がかかって見られないはずなのですが、情報を持ってらっしゃいます。マムシや毒蛇、生薬といえば、中国の方が本場のイメージですが、日本ブランドは強いようで、漢方薬でも信頼できる日本製をお求めになられるくらいです。少し前はいわゆる「爆買い」でいらっしゃる方も多かったですよ。

◆◆
 この取材は、あかひげ薬局横浜店の奥で行っていたが、取材が終わった際、男性客が来店していた。佐藤店長は男性客と取材班(女性2人)が鉢合わせにならないように気を配り動いていて、そのホスピタリティに感銘を受けたことも伝えておきたい。
(石徹白未亜)

今井絵理子の不倫、妻への慰謝料は最高300万円!  「離婚調停中」の見極めラインは?

 「週刊新潮」(新潮社)で不倫疑惑を報じられた今井絵理子参議院議員。同誌によると不倫相手の橋本健・神戸市議は、妻と離婚調停中で4~5年前から別居中だったという。これについて『とくダネ』(フジテレビ系)コメンテーターの古市憲寿氏は、7月27日の放送で「(離婚調停と別居が)もしも本当なら、不倫とはいえ5年間も関係がないなら、一線を越えていてもいんじゃないかなと思うんですけれどね」とコメント。また、同日に会見した橋本市議自身も、不貞行為を否定した上で、今井との関係を「不法行為には該当しないという認識」だったと話している。

 一般的には、5年も別居していれば、結婚生活が破綻していると考えられるが、橋本市議の妻は今井を訴えることが可能なのだろうか? アディーレ法律事務所の鮫島玲央弁護士に聞いた。

「前提として、すでに婚姻関係が破綻している既婚者と肉体関係を持ったとしても、不法行為とはなりません。なぜならば、婚姻関係が破綻している場合、夫婦において保護されるべき『婚姻共同生活の維持』という利益が存在しないからです」と鮫島弁護士は述べる。そして、婚姻関係が破綻しているかの判断は、婚姻関係が完全に破壊され、修復の可能性があるか否かによって判断されるという。

「この判断にあたっては、婚姻期間や夫婦の不和の期間、夫婦の離婚意思等のさまざまな事情が総合的に考慮されます。一般的には、別居をしているということは、婚姻生活を継続する意思がないとして、婚姻関係の破綻が認定される方向に働く事情にはなりますが、別居しているという事実だけで、必ずしも婚姻関係が破綻していると認定されるとは限りません」

 例えば、離婚を前提としないで、夫婦が互いに距離を置いて冷静になるために別居をしていた場合では、婚姻関係の破綻が認定されなかったという裁判例もあるそうだ。

「今回のケースですと、夫婦の離婚意思が明確ではあるが、夫婦間で離婚協議や離婚調停で話がまとまらず別居していたという事情であれば、婚姻関係が破綻していると認定される可能性も十分あると考えられます。かといって、橋本市議の妻が、今井氏を訴えることは自由ですし、すでに述べたとおり、婚姻関係の破綻はさまざまな事情を考慮して判断されますので、必ずしも、橋本市議の妻の請求が認められないとも限りません」

 橋本市議の妻は「新潮」の取材に対し、「百歩譲って私たちが離婚に近づいているにしても、今の段階ではダメですよね」と話している。仮に、妻が今井に慰謝料請求した場合、金額はどのくらいになるのだろうか?

「一般的には、不貞慰謝料は、婚姻期間、不貞期間、不貞回数、婚姻関係が円満であったか、幼い子がいるか等の事情を、総合的に考慮して判断しますが、不貞が原因で離婚に至った等で婚姻関係が破綻したと認定されれば、100万円から300万円という額が相場といわれています。

 今回のケースでは、橋本市議と妻の双方に離婚意思があり、別居しているといった事情なのであれば、婚姻関係がすでに破綻しているとして、慰謝料請求が認められない可能性もあります。仮に、請求が認められたとしても、相場よりも低い額しか認められない可能性もあります」

 ところで、「新潮」に掲載されていた、2人が新幹線車内で手をつないでいる写真や、同宿したという記事は不倫の証拠になるのだろうか?

「どちらも、証拠にはなります。手をつないでいる事実や、同宿した事実は、肉体関係を直接証明する証拠ではないですが、肉体関係があったと推認させる証拠にはなります。ただ、証拠としての価値が高いかどうかというと、文章だけではなく、写真の方が証拠価値は高いでしょう。また、一般的には、手をつないでいることを示す証拠よりも、同宿したことを示す証拠の方が、より強く肉体関係の存在を推認できるため、証拠としての価値は高いと思われます」

 次から次と報道される各界の“不倫”だが、「不法行為」がないからといって問題にならないとは限らない。その影響力を考えれば、政治家や芸能人は、もう少し慎重な行動をとったほうがいいのではないだろうか。

「年収5,000万円、ホストで豪遊」の“タレント女医”脇坂英理子、執行猶予中の今を直撃!

 「年収5,000万円」「これまでに男600人以上と寝た」「ホストクラブに通って一晩で900万円を使った」――。かつてテレビのバラエティ番組に出演し、ぶっちゃけトークで注目を浴びた脇坂英理子さん。2016年7月に、美容クリニックの医療報酬不正受給事件で懲役3年、執行猶予4年の判決を受けた。同年9月に医業停止3年の行政処分を受けたが、近頃はSNSでの発信も再開している。執行猶予中の現在、どんな暮らしを送っているのか、今後の展望、事件の真相について本人に直撃した。

■騙され絶望して、死をも考えた

――現在は、主にどのような活動をされているのでしょうか?

脇坂英理子さん(以下、脇坂) 美容サイトを運営するクライアント様からの依頼で、原稿を書かせていただいています。医学的な知識を元に、自分の経験も交えて、皆様のお役に立てるような美容・健康系の情報を発信しています。

――美容系の資格を取得されたとか?

脇坂 「薬膳・漢方検定」「化粧品成分検定」「日本化粧品検定1級」「コスメマイスター」「メディカルハーブ検定」に合格しました。今の生活は勉強がメインで、合間に執筆活動をしています。いずれ医業に復帰することを前提に、新しい知識を得ることが、今やるべきことだと思いまして。勉強はもともと嫌いではないので、楽しみながらやっています。

――休業期間を有効活用されているんですね。

脇坂 ちょうど昨年の今頃、拘置所から戻ってきまして(笑)、そのときは世間にも自分にも絶望して死を考えたりもしましたが、ここ半年で、やっと前向きになりました。あの頃は週刊誌の記者に追い回されて、まともに外出できる状態じゃなかったんです。あの事件自体、信頼していた人に騙され、裏切られたどころか人生をぶち壊された。人間不信に陥って、人と接触するのも怖くなっていました。

――騙されたというのは、どういうことでしょうか?

脇坂 首謀者は別件の金塊密輸事件で逮捕されましたけど、その人に完全にハメられました。いろいろと思うところはありますが、もう彼らとは無縁で生きていきます。

――裁判のときに、お母様が「私が立ち直らせる」と言って話題になりました。

脇坂 報道では「気が強い」とかいろいろ書かれていたけど、母は本当に普通の人で、ずっと専業主婦をしてきたお嬢様なんです。この事件はショックだったと思います。母に私から「いっそ親子の縁を切ってほしい。私みたいな娘がいる事実を、この世から消して」と頼みました。でも「産んだ責任があるから」と言ってくれて。今は静かに見守ってくれています。

――ちなみに、芸能界では何かの騒動後、セクシー女優に転身する女性タレントも少なくないですが、AVからのオファーもあったりしました?

脇坂 拘置所から戻って最初に来た依頼はAVでした。目ざといですよね。でも、私は3年後に医師として復帰するので、当然断りました。今回のことで家族や身近な人たちに迷惑をかけたので、恩返しするとしたら、まずは自分が立ち直った姿を見せることだろうと思ったんですね。それでライターを始めて、SNSを再開したら、励ましの声を多くいただいたので、一歩踏み出してよかったなって。

――それにしても、なぜライターの仕事を始められたのですか?

脇坂 家に戻って半年くらいは、完全にニートだったんです。人間不信で何も手につかず、まともに仕事ができる状態じゃなかった。今年の2月頃に、友達から「書くことが得意なんだから、在宅ライターをしたら?」と提案されて、身分を隠してクラウドワーキングの会社に登録したんです。そうしたら、記事を書いたサイト内のランキングがどんどん上がっちゃって、某女性週刊誌に見つかってしまった。仕方ないので、個人的に仕事を受注するようになり、現在に至ります。

 今はウェブでもニセ情報があふれ返っていますよね。私には医師の肩書もありますし、美容の知識もあるので、女性がありのままで美しくいられるように、体質改善やライフスタイルの提案ができればいいなと思っています。

――脇坂さんといえばホストクラブですが、現在も通われているのでしょうか?

脇坂 テレビは、事実を500倍くらい盛ってるんです。そもそも私は自分のことを芸能人だと思ったことはないし、「メディアに出る医師」だと自負しています。某医師みたいに「医師免許を持ってるタレントさん」の逆です。でも、サービス精神ゆえに、求められると応えてしまって、だいぶイメージは悪くなりました。ホストクラブについても、間違った報道が多々ありましたよ。今は、ホストクラブにほとんど行きません。付き合いが長くて仲の良いホストの誕生日には顔を出しますけど、毎晩朝まで飲まないと気が済まないなんてことはなくなりました。憑き物が落ちた感じはあります。

――事件が良い方向に作用した面もあるんですね。

脇坂 そうですね。周囲からたくさんの人が去ったけれど、大事な人は残ってくれました。性格も良くなったと思いますよ。これまでは挫折知らずだったので、一度折れたら終わりだと恐れていました。でも、自分に隠れた生命力があると気づいたし、物事の裏に隠れている真実を見極める力もつきました。

――恋愛観は変わりましたか?

脇坂 人間不信時代は、人との触れ合い自体が怖かったけれど、元気になってからは元通りです。機会があれば、どんどん恋愛しますよ。やっぱり“女ホル”(女性ホルモン)は最高の美容液。それは変わりません。

――今、一番幸せを感じるのは、どんなときですか?

脇坂 野球観戦してるとき。昔から野球は好きだったけど、以前は仕事と遊びで、その時間がなかった。でも今は健全になったので、東京ドームで応援したりしてます。

――ごひいきの選手は?

脇坂 北海道日本ハムファイターズ背番号7、西川遥輝選手です♪ プレーもご本人も私服もカッコいい!

――へえ……。

脇坂 え? 知らないんですか? 「北のプリンス」と呼ばれて、女子人気が高いんですよ! ごひいきは彼ですが、日ハム以外の巨人・阪神戦などでも観戦に行きます。球場で選手が頑張ってる姿を見て、自分も頑張ろうと思えるので、元気をもらっています。

――今後の芸能活動やテレビ出演のご予定は?

マネジャー氏 医師のキャリアを生かしたお仕事から始めたいと思っています。本の執筆も考えていますが、テレビはまだ先の話です。

脇坂 テレビは怖いですもん。以前はプライベートが強調されすぎたので、これからは医師としての責任を果たしたいですね。
(松田松口)

詩織さんがレイプ被害を訴えても、“110年ぶり刑法改正”でも変わらない、被害者への視線

 7月13日、性犯罪を厳罰化する改正刑法が110年ぶりに施行された。それまで「強姦罪」の名称だったものが「強制性交等罪」に変更、被害者の告訴が必要な「親告罪」の規定が撤廃された。法律が変わることは大きな一歩のように思えるが、実際の現場ではどうなのだろうか? 『あさイチ』(NHK)の性暴力特集に出演した、NPO法人レイプクライシスセンターTSUBOMIの代表で弁護士の望月晶子さんに、性被害の現状について聞いた。

■ワンストップセンターは、警察に出向かなくても支援が受けられる

――先日、望月さんがNHKの『あさイチ』に出演された際、視聴者から「なぜ死ぬ気で逃げなかったんだ」「本気で逃げようと思えば逃げられるはず」といった性暴力の被害者を責めるような意見のメールも届いていました。なぜ、被害者が責められる傾向にあるのでしょうか?

望月晶子さん(以下、望月) 「必死で抵抗して貞操を守るもの」といった昔の考えがあるからだと思います。また、「狙われるのは若い女性だけ」「露出の多い格好をしているから狙われる」などと思われがちですが、実際、加害者は警察に訴えそうにない「おとなしい人」を狙っています。

――番組では、被害に遭ったら「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」に問い合わせるようおっしゃっていましたが、どのような支援をしてもらえるのでしょうか? ワンストップセンターの存在自体を知っている人も、少ないように思いますが。

望月 ワンストップセンターができたのが最近のことなので、多くの人にはまだ知られていないと思います。内閣府のホームページをご覧になるとわかると思うのですが、ワンストップセンターは被害者が電話で問い合わせると、面談を受けられたり、必要な治療や情報を提供してもらえたりする場所です。警察に出向かなくても適切な治療を受けられるという支援を目指しています。各都道府県に1つは作ることを目標に、現在は全国に40近くあります。

――望月さんが代表をされているTSUBOMIでも、被害者の支援を行っていらっしゃいますね。

望月 性被害の電話相談を月曜から金曜の14~17時と、メール相談の返信を週2回行っています。相談を受け付けるのは心理の専門家というわけではありませんが、面談も行っています。公共機関に足を運ぶのが不安な方への付き添い支援もあります。

――付き添い支援というのは、警察や病院といった場所に一緒に行ってくれるということですよね? 被害者が勇気を出して警察へ行ったのに、たらい回しにされたという話も聞きます。

望月 例えば、埼玉で被害に遭った人が自宅のある東京の警察へ行くと、「被害に遭った埼玉の警察に行ってください」と言われます。また、ストーカー被害だと生活安全課ですが、強姦だと刑事課となるなど、担当が分かれており、最初の段階で、うまく被害に関する話ができていないと、たらい回しのようにされてしまうということはあります。そして、そのたびに同じことを話さないといけません。

――それが嫌で、あきらめてしまう人もいるそうですよね。

望月 弁護士がついていても、そのようなケースは多いです。先日の法改正により告訴をしなくても罪が認められるようにはなりましたが、加害者が友達の場合、周囲の人から「友達を犯罪者にするのか」などと言われてしまうことがあります。その結果、被害者が「私さえ黙っていれば事が収まる」と、告訴をしないケースも見てきました。

――今回の法改正について、望月さんはどのように受け止めていますか?

望月 基本的には、今までと変わっていないと感じています。というのも、激しい暴行の伴う事件しか犯罪が成立しないからです。同意がなくても、突然襲われたものや、激しい暴行のない性行為は罪にならない点でいうと、今までと変わっていません。

 でも、今回の法改正には「3年後見直し」が入っているので、そこに向けて、暴行・脅迫要件についても改正されるよう頑張らねばいけないと思っています。

――最近では、フリージャーナリストの詩織さんが顔を出して被害を訴えました。この件を機に、今までは泣き寝入りしていたような人が声を上げやすくなったといった傾向はあるのでしょうか?

望月 上げやすくなりましたかね……? むしろ、頑張って届けを出して訴えたのに、潰されたという感じではないでしょうか。彼女のことが報道された後に、相談件数が増えたということも特にありませんでした。

――被害者の中には、それが性被害であることを知らず、加害者が顔見知りであると特に「単なる男女のいざこざ」と捉えてしまう人もいるようです。どうすれば、その行為が犯罪であると広められるでしょうか?

望月 義務教育の中で教えていくことだと思います。人の嫌がることをしてはいけないとか、自分が嫌なら性的なことはしなくていいといった、基本的な人権教育や性教育を行っていく必要があります。

 10年ほど前の話ですが、韓国に行った際に視察した性暴力被害者支援団体は、教育活動も行っていました。例えば「普段下着で隠れているパーツに触るのはいけないこと。触られたら嫌と言っていいんだよ」といった教育をしているのですが、日本にはそういった教育ってほとんどないですよね。

――きちんとした性教育を義務教育の中に入れたがらない、お偉いさんも多そうです。

望月 東京でも石原慎太郎都知事のときは、そんな雰囲気でしたよね。だいぶ前の話ではありますが、ある県で高校生の妊娠が問題になっていたとき、性教育をきちんと行ったら、望まない妊娠が減ったというケースがありました。

 子どもは何も知らない無防備な状態ですが、成長するに従って、性的なことに興味が出てきます。一方で、大人は「子どもが妊娠するなんてありえない!」と、子どもの性に対して目を向けたくないのだと思います。実際には、望まない妊娠という現実があります。現在は初めて性交する年齢も下がってきているので、現実と向き合って、避妊の仕方を教える等の現実的な対処をしていかなければならないのに、遅れているなと感じます。

――性被害に関する世間の意識を変えていくためには、どうすればいいでしょうか?

望月 そもそも、そのような被害があるということすら、あまり意識されていません。多くのマスコミは「強姦」ではなく「暴行」と書いて、生々しいことを伝えません。でも、警察に届けられているだけでも、年間1,200~1,500件の性犯罪が起こっています。事件が起きていることと、誰でもいつ被害に遭うかわからないということを、もう少し伝えていけたらと思います。

 また、被害を受けた方の痛みが全くわかっていない人も多いと実感しています。それこそ、「減るもんじゃないんだから」といった昔の考え方を持っている人もいます。被害者がどれだけ大変なのかを、教育の中で伝えておきたいですよね。
(姫野ケイ)

望月晶子(もちづき・あきこ)
NPO法人レイプクライシスセンターTSUBOMI代表。諏訪坂法律事務所所属弁護士。

詩織さんがレイプ被害を訴えても、“110年ぶり刑法改正”でも変わらない、被害者への視線

 7月13日、性犯罪を厳罰化する改正刑法が110年ぶりに施行された。それまで「強姦罪」の名称だったものが「強制性交等罪」に変更、被害者の告訴が必要な「親告罪」の規定が撤廃された。法律が変わることは大きな一歩のように思えるが、実際の現場ではどうなのだろうか? 『あさイチ』(NHK)の性暴力特集に出演した、NPO法人レイプクライシスセンターTSUBOMIの代表で弁護士の望月晶子さんに、性被害の現状について聞いた。

■ワンストップセンターは、警察に出向かなくても支援が受けられる

――先日、望月さんがNHKの『あさイチ』に出演された際、視聴者から「なぜ死ぬ気で逃げなかったんだ」「本気で逃げようと思えば逃げられるはず」といった性暴力の被害者を責めるような意見のメールも届いていました。なぜ、被害者が責められる傾向にあるのでしょうか?

望月晶子さん(以下、望月) 「必死で抵抗して貞操を守るもの」といった昔の考えがあるからだと思います。また、「狙われるのは若い女性だけ」「露出の多い格好をしているから狙われる」などと思われがちですが、実際、加害者は警察に訴えそうにない「おとなしい人」を狙っています。

――番組では、被害に遭ったら「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」に問い合わせるようおっしゃっていましたが、どのような支援をしてもらえるのでしょうか? ワンストップセンターの存在自体を知っている人も、少ないように思いますが。

望月 ワンストップセンターができたのが最近のことなので、多くの人にはまだ知られていないと思います。内閣府のホームページをご覧になるとわかると思うのですが、ワンストップセンターは被害者が電話で問い合わせると、面談を受けられたり、必要な治療や情報を提供してもらえたりする場所です。警察に出向かなくても適切な治療を受けられるという支援を目指しています。各都道府県に1つは作ることを目標に、現在は全国に40近くあります。

――望月さんが代表をされているTSUBOMIでも、被害者の支援を行っていらっしゃいますね。

望月 性被害の電話相談を月曜から金曜の14~17時と、メール相談の返信を週2回行っています。相談を受け付けるのは心理の専門家というわけではありませんが、面談も行っています。公共機関に足を運ぶのが不安な方への付き添い支援もあります。

――付き添い支援というのは、警察や病院といった場所に一緒に行ってくれるということですよね? 被害者が勇気を出して警察へ行ったのに、たらい回しにされたという話も聞きます。

望月 例えば、埼玉で被害に遭った人が自宅のある東京の警察へ行くと、「被害に遭った埼玉の警察に行ってください」と言われます。また、ストーカー被害だと生活安全課ですが、強姦だと刑事課となるなど、担当が分かれており、最初の段階で、うまく被害に関する話ができていないと、たらい回しのようにされてしまうということはあります。そして、そのたびに同じことを話さないといけません。

――それが嫌で、あきらめてしまう人もいるそうですよね。

望月 弁護士がついていても、そのようなケースは多いです。先日の法改正により告訴をしなくても罪が認められるようにはなりましたが、加害者が友達の場合、周囲の人から「友達を犯罪者にするのか」などと言われてしまうことがあります。その結果、被害者が「私さえ黙っていれば事が収まる」と、告訴をしないケースも見てきました。

――今回の法改正について、望月さんはどのように受け止めていますか?

望月 基本的には、今までと変わっていないと感じています。というのも、激しい暴行の伴う事件しか犯罪が成立しないからです。同意がなくても、突然襲われたものや、激しい暴行のない性行為は罪にならない点でいうと、今までと変わっていません。

 でも、今回の法改正には「3年後見直し」が入っているので、そこに向けて、暴行・脅迫要件についても改正されるよう頑張らねばいけないと思っています。

――最近では、フリージャーナリストの詩織さんが顔を出して被害を訴えました。この件を機に、今までは泣き寝入りしていたような人が声を上げやすくなったといった傾向はあるのでしょうか?

望月 上げやすくなりましたかね……? むしろ、頑張って届けを出して訴えたのに、潰されたという感じではないでしょうか。彼女のことが報道された後に、相談件数が増えたということも特にありませんでした。

――被害者の中には、それが性被害であることを知らず、加害者が顔見知りであると特に「単なる男女のいざこざ」と捉えてしまう人もいるようです。どうすれば、その行為が犯罪であると広められるでしょうか?

望月 義務教育の中で教えていくことだと思います。人の嫌がることをしてはいけないとか、自分が嫌なら性的なことはしなくていいといった、基本的な人権教育や性教育を行っていく必要があります。

 10年ほど前の話ですが、韓国に行った際に視察した性暴力被害者支援団体は、教育活動も行っていました。例えば「普段下着で隠れているパーツに触るのはいけないこと。触られたら嫌と言っていいんだよ」といった教育をしているのですが、日本にはそういった教育ってほとんどないですよね。

――きちんとした性教育を義務教育の中に入れたがらない、お偉いさんも多そうです。

望月 東京でも石原慎太郎都知事のときは、そんな雰囲気でしたよね。だいぶ前の話ではありますが、ある県で高校生の妊娠が問題になっていたとき、性教育をきちんと行ったら、望まない妊娠が減ったというケースがありました。

 子どもは何も知らない無防備な状態ですが、成長するに従って、性的なことに興味が出てきます。一方で、大人は「子どもが妊娠するなんてありえない!」と、子どもの性に対して目を向けたくないのだと思います。実際には、望まない妊娠という現実があります。現在は初めて性交する年齢も下がってきているので、現実と向き合って、避妊の仕方を教える等の現実的な対処をしていかなければならないのに、遅れているなと感じます。

――性被害に関する世間の意識を変えていくためには、どうすればいいでしょうか?

望月 そもそも、そのような被害があるということすら、あまり意識されていません。多くのマスコミは「強姦」ではなく「暴行」と書いて、生々しいことを伝えません。でも、警察に届けられているだけでも、年間1,200~1,500件の性犯罪が起こっています。事件が起きていることと、誰でもいつ被害に遭うかわからないということを、もう少し伝えていけたらと思います。

 また、被害を受けた方の痛みが全くわかっていない人も多いと実感しています。それこそ、「減るもんじゃないんだから」といった昔の考え方を持っている人もいます。被害者がどれだけ大変なのかを、教育の中で伝えておきたいですよね。
(姫野ケイ)

望月晶子(もちづき・あきこ)
NPO法人レイプクライシスセンターTSUBOMI代表。諏訪坂法律事務所所属弁護士。

『風俗嬢さんのための護身術講座』に学ぶ、女性が指1本で身を守る方法

 女性のなかで「怖い思いをしたことがない」という人は、ほとんどいないのではないか。暗い夜道で、人のいない路地で、混み合った電車内で、身の危険を感じたことはあっても、どうやったら自分の身を守れるのかわからない。なにしろ男性は総じて自分たちより体格がよく、力も強い。到底、かなうとは思えない……。

「たしかに真っ向勝負すれば、男性には勝てませんよね。圧倒的な体力差があります。でも身長155cmの私のような小柄な女性でも、指1本で身を守ることはできるんです!」

とお話ししてくれたのは、おりえ先生。2014年に硬式空手日本女子チャンピオンに輝き、現在は日本唯一の女性護身術師として女性や子どもに自分の身を守るためのノウハウを教えている。

 この日は「日本風俗女子サポート協会」が開催した『風俗嬢さんのための護身術講座』に登壇。同協会の代表・あや乃さんによると、派遣型の風俗が主流となり、見知らぬ男性とホテルの部屋でふたりきりになる女性たちは、危険な場面に出くわすことも多いそう。もちろん大半の男性は紳士的に、そして楽しくサービスを受けてくれるが、力ずくで女性を思い通りにしようとする男性もいる。スタッフに助けを求めても、すぐには駆けつけられないーーそんなときに、どうやって身を守ればいいのか?

 これは多くの女性にとって他人事ではない。暴漢に遭ったとき、私たちが取るべき行動とは? 女性に自衛を求めるばかりの社会はあってはならないが、自分を守るのは自分しかいないというシチュエーションは誰にでも起こりうる。

「急に危険な場面に身を置かれると、人は凍りつき、動けなくなります。でも、そんなときこそ自分が危険にさらされている状況を認識し、『何がなんでも逃げる!』という強い意志を持ってください。でも、実はこれが意外と難しいんです。襲ってくる相手は、女性の心を徹底的に折ろうとしますから。自分の目的を達成するためなら、何だってする人間なんです。そんな相手から自分は絶対に逃げると強く思うことが大事です」(おりえ先生)

 しかし、逃げようにも、体を羽交い締めにされて身動きが取れなくなっているかもしれない。声を上げようにも、口をふさがれているかもしれない。

「そのままどこかに引きずり込まれたり、車に押し込まれたりする前に、まず、どこでもいいので全力でかんでください! かむ力というのは女性でも案外、強いものです。もう相手の肉をかみちぎるぐらいの勢いで、全力を歯に注ぐのです。もしくは、手が自由になるなら、相手の“指1本”を狙います。拘束されているときに手首をつかんではがそうとしても、力の差があり難しい……。でも、指1本なら、なんとかつかめることがあります。手の甲側にぐいっと、折れてしまうかもしれないぐらいに引き倒しましょう。かむにしろ指を狙うにしろ、ダメージを与えれば相手の心が一瞬折れます。その隙をついて、全身全霊を傾けて逃げてください!」(同)

 体格のいい男性の全身をどうこうすることは、女性には難しい。しかし、全力でかむぐらいなら、指1本を狙うぐらいなら、自分にもできそうな気がする。

 このように、おりえ先生が提唱する護身術は、自身のルーツである空手をベースとしながらも少ないステップで構成されているため、イメージトレーニングしておけば、その場では頭を使わずとも動けそうなものばかり。講座でレクチャーされた護身術の一部を紹介する。

●腕を片手でつかまれたとき

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 男性が引き寄せようとする力を利用して、つかまれている腕と反対側の脚を大きく男性の体側に踏み込む。同時に、自分の空いている腕を勢いよく突き出す。そのとき、手のひらと手首のあいだの硬い部分で、男性の顔を狙う。急所であるアゴや鼻の部分に当たればベストだが、場所にこだわるよりヒットさせることが大事。

●腕を両手でつかまれたとき

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 おりえ先生が「パックンチョ」と名づけたワザ。空いている方の手をつかまれている手に重ね、互いに強く握り合う。両腕に力を込め、ぐいっと胸に引き寄せる。男性の力が強くても、無理やり引きはがすように!

●後ろから羽交い締めにされたとき

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 片足をひざから後ろに曲げ、自分の足裏を相手の膝下あたりに当て、足首にかけて一気にこすり下ろす。ここはまさに「弁慶の泣きどころ」。男性に強い痛みが走る。

●バッグを奪われそうになったとき

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 引っ張り合いになったら、基本的には手を離してバッグより身の安全を優先する。だが、どうしても奪われたくないときは、強く引っ張り合いながら、勢いよくしゃがむ! そして相手がバッグから手を離した瞬間に逃げる。

 いずれも相手に一瞬の隙を作らせ、その間に逃げるための“術”である。これを知っているだけで、いざというときに命を守れる可能性がぐっと上がる。

 最後に、おりえ先生から「ふだんの帰り道」に実践してほしい護身術を教えてもらった。

「最寄り駅に着いたら、キーホルダーをバッグから出して、手でぎゅっと握ってください。指と指のあいだからカギの先端がにょきっと顔を出すように。これでいざ襲われたとき、腕を振り回すだけで相手にカギが当たります。大きなダメージにはならないかもしれませんが、相手が驚いている間に逃げられます。また、夜道を後ろからつけられているとき、カギを手に持っていれば、自宅にたどり着いたとき、すみやかに解錠して中に入れるメリットもあります。でも追いつかれそうな場合は、そのまま押し入られる可能性もあるので、自宅には入らないようにしましょうね。近くの警察などに助けを求めてください」

goshinjutsu9

 特別なテクニックも、力もいらない。だけど最悪の事態を防げるかもしれない。習慣として身につけておきたい。
(三浦ゆえ)

・おりえ先生公式サイト「女性護身術と空手エクササイズ

『風俗嬢さんのための護身術講座』に学ぶ、女性が指1本で身を守る方法

 女性のなかで「怖い思いをしたことがない」という人は、ほとんどいないのではないか。暗い夜道で、人のいない路地で、混み合った電車内で、身の危険を感じたことはあっても、どうやったら自分の身を守れるのかわからない。なにしろ男性は総じて自分たちより体格がよく、力も強い。到底、かなうとは思えない……。

「たしかに真っ向勝負すれば、男性には勝てませんよね。圧倒的な体力差があります。でも身長155cmの私のような小柄な女性でも、指1本で身を守ることはできるんです!」

とお話ししてくれたのは、おりえ先生。2014年に硬式空手日本女子チャンピオンに輝き、現在は日本唯一の女性護身術師として女性や子どもに自分の身を守るためのノウハウを教えている。

 この日は「日本風俗女子サポート協会」が開催した『風俗嬢さんのための護身術講座』に登壇。同協会の代表・あや乃さんによると、派遣型の風俗が主流となり、見知らぬ男性とホテルの部屋でふたりきりになる女性たちは、危険な場面に出くわすことも多いそう。もちろん大半の男性は紳士的に、そして楽しくサービスを受けてくれるが、力ずくで女性を思い通りにしようとする男性もいる。スタッフに助けを求めても、すぐには駆けつけられないーーそんなときに、どうやって身を守ればいいのか?

 これは多くの女性にとって他人事ではない。暴漢に遭ったとき、私たちが取るべき行動とは? 女性に自衛を求めるばかりの社会はあってはならないが、自分を守るのは自分しかいないというシチュエーションは誰にでも起こりうる。

「急に危険な場面に身を置かれると、人は凍りつき、動けなくなります。でも、そんなときこそ自分が危険にさらされている状況を認識し、『何がなんでも逃げる!』という強い意志を持ってください。でも、実はこれが意外と難しいんです。襲ってくる相手は、女性の心を徹底的に折ろうとしますから。自分の目的を達成するためなら、何だってする人間なんです。そんな相手から自分は絶対に逃げると強く思うことが大事です」(おりえ先生)

 しかし、逃げようにも、体を羽交い締めにされて身動きが取れなくなっているかもしれない。声を上げようにも、口をふさがれているかもしれない。

「そのままどこかに引きずり込まれたり、車に押し込まれたりする前に、まず、どこでもいいので全力でかんでください! かむ力というのは女性でも案外、強いものです。もう相手の肉をかみちぎるぐらいの勢いで、全力を歯に注ぐのです。もしくは、手が自由になるなら、相手の“指1本”を狙います。拘束されているときに手首をつかんではがそうとしても、力の差があり難しい……。でも、指1本なら、なんとかつかめることがあります。手の甲側にぐいっと、折れてしまうかもしれないぐらいに引き倒しましょう。かむにしろ指を狙うにしろ、ダメージを与えれば相手の心が一瞬折れます。その隙をついて、全身全霊を傾けて逃げてください!」(同)

 体格のいい男性の全身をどうこうすることは、女性には難しい。しかし、全力でかむぐらいなら、指1本を狙うぐらいなら、自分にもできそうな気がする。

 このように、おりえ先生が提唱する護身術は、自身のルーツである空手をベースとしながらも少ないステップで構成されているため、イメージトレーニングしておけば、その場では頭を使わずとも動けそうなものばかり。講座でレクチャーされた護身術の一部を紹介する。

●腕を片手でつかまれたとき

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 男性が引き寄せようとする力を利用して、つかまれている腕と反対側の脚を大きく男性の体側に踏み込む。同時に、自分の空いている腕を勢いよく突き出す。そのとき、手のひらと手首のあいだの硬い部分で、男性の顔を狙う。急所であるアゴや鼻の部分に当たればベストだが、場所にこだわるよりヒットさせることが大事。

●腕を両手でつかまれたとき

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 おりえ先生が「パックンチョ」と名づけたワザ。空いている方の手をつかまれている手に重ね、互いに強く握り合う。両腕に力を込め、ぐいっと胸に引き寄せる。男性の力が強くても、無理やり引きはがすように!

●後ろから羽交い締めにされたとき

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 片足をひざから後ろに曲げ、自分の足裏を相手の膝下あたりに当て、足首にかけて一気にこすり下ろす。ここはまさに「弁慶の泣きどころ」。男性に強い痛みが走る。

●バッグを奪われそうになったとき

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 引っ張り合いになったら、基本的には手を離してバッグより身の安全を優先する。だが、どうしても奪われたくないときは、強く引っ張り合いながら、勢いよくしゃがむ! そして相手がバッグから手を離した瞬間に逃げる。

 いずれも相手に一瞬の隙を作らせ、その間に逃げるための“術”である。これを知っているだけで、いざというときに命を守れる可能性がぐっと上がる。

 最後に、おりえ先生から「ふだんの帰り道」に実践してほしい護身術を教えてもらった。

「最寄り駅に着いたら、キーホルダーをバッグから出して、手でぎゅっと握ってください。指と指のあいだからカギの先端がにょきっと顔を出すように。これでいざ襲われたとき、腕を振り回すだけで相手にカギが当たります。大きなダメージにはならないかもしれませんが、相手が驚いている間に逃げられます。また、夜道を後ろからつけられているとき、カギを手に持っていれば、自宅にたどり着いたとき、すみやかに解錠して中に入れるメリットもあります。でも追いつかれそうな場合は、そのまま押し入られる可能性もあるので、自宅には入らないようにしましょうね。近くの警察などに助けを求めてください」

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 特別なテクニックも、力もいらない。だけど最悪の事態を防げるかもしれない。習慣として身につけておきたい。
(三浦ゆえ)

・おりえ先生公式サイト「女性護身術と空手エクササイズ

「占い」「セックス」に頼りたくない! 戦いながら作りあげた放縦な“女の子”の世界

 2012年に創刊された「LARME」(徳間書店)は、淡いパステルカラーを基調とした独自の世界観や、現役アイドルをモデルに起用するなど大胆な手法で注目を集め、雑誌不況の中で発行部数20万部を叩き出した。そこで編集長として手腕を振るっていたのが中郡暖菜氏だ。彼女が新たに手掛ける女性ファッション誌「bis」と、雑誌業界の行く末を独自の美学で語ってもらった。

前編はこちら

◎セックス特集を買う女の子を1人でも減らしたい

――「LARME」を立ち上げた時期と現在の女性誌の状況の違いは感じますか? 

中郡 まず「読モ」の変化ですね。雑誌の中で読モという存在をあまり強く感じなくなりました。「小悪魔ageha」や「LARME」を作っていた頃は、雑誌の中で読モの子たちのパワーがすごかった。

――最近はそうではないと?

中郡 今はインフルエンサーで完結する場合も多いのかなと思います。Instagramのフォロワーが何万人にもなればそれで稼げますし、雑誌はギャラも安いのでそもそも雑誌に出るメリットは少ないんじゃないかな。

――逆に近年の女性誌はとにかく「Instagram」特集や「SNS映え」みたいなところを重要視していますよね。

中郡 そうなってくるとインフルエンサーだけで成立しちゃうし、編集者という職業とは一体何なのだろうかという気持ちはありますね。昔は「編集」って特殊技術的なところがあったけれど、今の読モやインフルエンサーの子って、たいてい「編集」が上手なんです。彼女たちの「編集」の技術と戦って勝てる雑誌編集者がどれだけいるのか。だから紙は紙ならではのことをした方が良いのではないかなとは思いますね。女性誌のウェブサイトは本の世界観をそのままウェブに持ってきている場合が多いですが、「bis」では雑誌を読んでいない人でも「bis」のウェブ版を見ていただけるように、別物として作っていきたいなと思っています。

――現段階の「bis」ウェブ版には、雑誌の「bis」には載ってないようなモテテクの記事も掲載されてますね。

中郡 ウェブの「bis」では昔の「JJ bis」の記事を再構成して載せていたりするので、モテテクの記事が結構ありますね。それは単純に記事数を増やしたいのと、ウェブの窓口を広くしておきたいという気持ちがあるからです。雑誌では「モテ」とか「恋愛テクニック」は今後もやらないんじゃないかな。

――その理由は? 

中郡 私、雑誌のセックス特集と占い特集が苦手なんです。でもその2つがやっぱり売れるそうなんです。だから相当需要はあるんでしょう。それでも、そういう雑誌を買う女の子を1人でも作りたくない。

――どちらも女性誌では読者人気の高い特集だと思います。中郡さんはなぜそう考えるのでしょうか?

中郡 性的なことに関しては絶対にやりたくない。これは「小悪魔ageha」からずっとそうで、「小悪魔ageha」ってすごく派手な女の子たちの雑誌でしたけど、セックス特集は一度もなかったんです。それが私が「小悪魔ageha」を好きな理由の1つです。たまに恋愛企画があってもポエティックな感じでしたし。実は占いもなかったんですよ。

 一般的な若い女の子の雑誌の表紙に、性的な言葉が書いてあることに対して違和感を覚えるんです。いくら売れると言われても、その言葉を表紙に載せるということは、その言葉が表紙に書いてある本をレジに持っていく女の子を生み出すわけで、その時にレジが男性かもしれないわけで…・・・と考えるとやはり無理ですね。明らかにそういう本だったら買う側もそのつもりだから問題ないと思うんですけど、普通の女性ファッション誌の表紙に書くべき言葉ではないと私は思います。

――でも恋愛においてセックスも避けられない問題ですし、占いも読者の需要があるならとは考えませんか?

中郡 もしも自分がその2つに対してすごく勉強していたり、興味があるとかだったらできると思うんですが、実際違うので。

 例えばその道のプロフェッショナルな方にコラムを書いていただくとするじゃないですか。でも私は知識がなくてわからないから、その情報が正しいかどうか判断できないので、校了できないです。

――「校了できない」! 編集者ならではの言い回しですね。

中郡 ヘアアレンジやメイクの記事って、そのやり方を自分が完璧に把握しているから校了できるんですよ。占いも同じ理由で、プライベートで占い師さんに見てもらうことはあっても、編集長としては校了できない。正しい情報なのか間違っている情報なのか自分では判断できない文章を、どうやって校了したらいいのかがわからないんです。

――編集部内でそういった中郡さんの思想を共有されている方はいますか?

中郡 今は内容に関して個人的に決めて進行していることが多いので、社内での密接なやりとりというのは、まだそんなにしていないかもしれません。というのも雑誌を作るのが、昔ほど大変じゃない気がするんです。そう思いません? 今は昔と違ってデータ便もあるし、簡単にデータのやりとりができるけど、昔はそうはいかなかった。出版業界全体の縮小傾向もあり、本作りはどんどん少人数の体制になってきていますよね。

 「小悪魔ageha」のインフォレストには5年間お世話になったのですが、そのうちの4年以上は私が一番年下で、なおかつその間ずっとアルバイトの雇用だったんです。なので電話をとるのも私が一番最初で、下積みの経験は割と長いんですよ。そこからいきなり編集長になったという。もう今は問い合わせも電話じゃなくてメールが基本ですし、読モや一般の子にアンケートをとるのもウェブを通して一気に集めることができます。そういう手間が減って、雑誌を作る上でのカロリーも少なくなっていると思うんです。雑誌を作ること自体はデザートみたいな楽しいことでしかなくて、つらいことではなくなってきています。 

――それは編集者としてすごく幸せなことですよね。「雑誌を存続させるために作らなきゃ」みたいなつらさも結構あると思うんです。

中郡 前職を辞めるまでの半年くらいは、割とそういうモードだったかもしれません。光文社は女性誌がたくさんあって、歴史も長いので、これまでのさまざまな経験が会社自体に積み重ねられている。だから誰かに相談というのもしやすい環境なのですが、女性誌が1つだけという状況だと常に開拓者であり、同時に安定した売り上げをあげなければならないから、挑戦をし続けることが難しく感じてしまう場面はありましたね。さっき言ったように、私は限界まで頑張るスタンスしか知らないから、立ち回りがヘタな部分も多いんです。最近の出版の流れとして会社の資本が変わって、体制自体が変わることが割とよくあるのですが、そういった環境の変化に適合するのもあまり得意ではなかったので。

――今は別の出版社から発行されている「小悪魔ageha」ですが、14年の休刊事件も、当時の出版社、インフォレストの倒産が原因でした。出版社の経営状態や方針変更によって現場の編集部にしわ寄せが来るというケースは少なくないですよね。

中郡 私は中條編集長時代の「小悪魔ageha」しか携わっていないので、その頃のことしかわかりませんが、会社が勝手に「小悪魔ageha」コラボの商品を作ることを決めてしまい、中條さんが怒るということが最後の頃はよくありました。中條さんは編集部員にすごく優しくて、怒ったりすることはまったくなかったのですが、編集部員にはそういったそぶりをまったく見せずにいろんなことと戦ってくださっていたんだろうと思います。私もその後、編集長になっていろいろなことを求められるようになり、ビジネス的なところで疲弊することはありました。「会社のおじさん対女の子」みたいになって、私はおじさんのために本を作っているわけではないのに。

――出版社の上層部と現場の認識のズレはどこにでもありますが、やはり会社の中で偉くなって、中から変えていくしかないのでしょうか。

中郡 売り上げをあげたら環境を変えることができると夢を抱いてやっていましたが、なかなかそれは難しいことだったという感想ですね。自分自身がインフォレストで編集者としてバリバリ働きながらもずっとアルバイト雇用だったように、若い人を雇えるパワーが残っている出版社が少ないんだと思います。これは多くの業界が抱えている悩みだと思いますが、会社におじさんが溢れている。だから若い人を増やすことが難しいんです。

――今はその辺の問題はクリアになっていますか?

中郡 今は「妹」という立ち位置なので、のびのびとやらせていただいていますね。いろんな女性誌も雑誌もあるし、ひとつの雑誌で全部を背負うというよりも、ターゲットの違う媒体同士で協力しあえることが、この先あるのではないかと思っています。

――そういう環境をフルに使っていくと、新しく良いものが作れそうですね。次号の構想は?

中郡 まだ全然決まってないんですけど……。「LARME」を離れて、しばらくニートみたいなことをやってた時に、自分は何のために雑誌を作ってるのかと考えたんです。やっぱりいろいろあるけど結局は自分のために雑誌を作っているんですよね。それは自分の生活や金銭的な話ではなくて、紙の雑誌に固執する理由でもあるんですけど、「あの頃こんな雑誌があれば良かったのに」っていう思いで作ってるんです。

――昔の自分に向けてですか?

中郡 学校や社会で当たり前とされているようなことが上手にできなくて、そういった悩みも多かったので、あの時にこんな本があれば救われたのに! って思えるような本を想像して作っているところはありますね。そう、やはり徐々に年齢を重ねてきているんですよ。「小悪魔ageha」を作っていた時は、中高生の頃に、ギャルを楽しんでいた頃にこういう本があればいいのにと、「LARME」は大学生の時の自分に向けて作っていて、今は社会人になったばかりの時。そうやって雑誌を作っていけて、自分と同じように悩んでいたりする女性を1人でも勇気付けられたり励ますことができたら、うれしいなと思います。

中郡暖菜(なかごおり はるな)
1986年2月10日生まれ、千葉県出身。国立音楽大学卒業。26歳の時に徳間書店史上最年少での編集長就任で「LARME」を創刊し、ヒットへ導いた。2017年より「bis」(光文社)の編集長を務める。
・「bis」オフィシャルサイト

「笑顔はいらない」「bis」編集長・中郡暖菜が語る「媚びない女性ファッション誌」の作り方

 大学時代から「小悪魔ageha」(インフォレスト~ネコ・パブリッシング)編集部のアルバイトを経て、2012年に「LARME」(徳間書店)を立ち上げ、弱冠26歳で編集長になった中郡暖菜氏。アイドルの起用や世界観重視の誌面など、それまでの女性ファッション誌にあまり見られなかった大胆な手法で、同誌を創刊1年で発行部数20万部のヒットに導いた。昨年秋に「LARME」編集長を退任し、今年より雑誌「JJ」(光文社)の妹誌である「bis(JJ bis)」の11年ぶりの復刊を手掛け、編集長を務めている。5月25日に発売されたプレ創刊号「bis」の表紙は女優の志田未来が飾り、夢野久作の小説をモチーフにしたフォトストーリーが巻頭特集となっている。明らかに現在の女性誌とは一線を画する作り方だ。

 今後の女性誌カルチャーを担うキーパーソンである彼女は現在の女性誌、女性向けウェブサイトをどう見ているのだろうか?

◎「小悪魔ageha」から脈々と続くギャルマインド

――まず「LARME」を離れ、「bis」復刊に携わるようになった経緯を教えてください。

中郡暖菜氏(以下、中郡) 「LARME」を昨年の秋に辞めてから、いくつかお話をいただいたのですが、以前光文社で本を作ったことがあった経緯があったことと「bis」(当時は「JJ bis」)のことが読者として大好きだったということがあり、「bis」の復刊をやらせていただきたいという話をしまして、今回編集者として新たな挑戦ができることとなりました。また、今まで(出版社に)女性ファッション誌がほかにあるという環境を経験したことがなかったので、女性ファッション誌が強い出版社で、ほかの世代の女性誌の作り方も学びたかったという気持ちもあります。そうじゃないと編集者として続けていけないと感じたからです。

――雑誌ではなくウェブの編集者という選択肢もあったと思います。「bis」はウェブ展開もされていますが、あえて雑誌を作る理由とは?

中郡 まず自分自身が紙の本が好きなんです。あと、私が「LARME」を作ってから5年がたちますが、その間に出てきた若い世代の女性誌がほとんどないんですよね。「LARME」くらいのボリューム感になった雑誌は私が知る限りないと思いますし、むしろどんどん休刊していっている。新しい媒体を作ることのできる編集者、出版社がないということに危機感があり、今作らないと新しい雑誌やカルチャーなんて、この先ずっと生まれないんじゃないかと。

――「LARME」創刊の時も同じような危機感は感じていましたか?

中郡 いいえ。「LARME」立ち上げのきっかけは、本当に個人的なことなんです。母が病気になってしまって、当時は「小悪魔ageha」編集部にいたんですけど、自分の作った本というものを母に見てほしかった。

――つまり「今後ド派手なギャルよりも、ガーリー系がはやる兆しがあった」と流行を察知して作ったわけではない。

中郡 全然違いますね(笑)。

――偶然の産物だったと! それもすごい話ですね。以前在籍していた「小悪魔ageha」は社会現象を起こすほどの「盛り髪」「つけま」「カラコン」なギャル雑誌でした。そこからパステルカラーなガーリー路線の「LARME」になるのは、ギャップがすごいですよね。

中郡 あまりそう見られないのですが、「LARME」も一種のギャルでしたし、私自身もマインドはすごくギャルなんですよ。今でもユーロビート聞いていますし(笑)。「小悪魔ageha」は最先端のギャル雑誌でしたが、正確には「ギャル」と「ヤンキー」のミックスですよね。中條寿子さん(初代編集長)がヤンキー要素のあるギャルだったのですが、私はヤンキー要素が一切なくて特攻服とかバイクに興味がないタイプ。「ホットロード」(集英社)や「チャンプロード」(笠倉出版社)などヤンキーカルチャーの作品をいろいろ貸してくださったのですがいつも「はて?」という感じでした。逆に自分はジーザスディアマンテを着てパラパラを踊っているタイプの姫ギャルだったので、中條さん的には謎に感じていた部分もあったと思うのですが、「小悪魔ageha」ではその両方が受け入れられていました。「ギャル」と「ヤンキー」は似ているようで、きっとまったく別の文化なんですよね。

――「LARME」の特徴としては乃木坂46ら、アイドルの起用も大きかった。女性誌のゲスト的にグラビアというわけでもなく、アイドルから雑誌専属モデルに転向するでもないやり方が、当時は新鮮だったと思います。

中郡 5年前に当時の女の子の「なりたい」と思う人物像を考えた時に、「アイドル」と「ハーフ」と「ギャル」だと思って。その3つの要素を全部入れようと決めたんです。元「Popteen」(角川春樹事務所)モデルの菅野結以ちゃんみたいなギャルの子もいれば、今は「ViVi」(講談社)専属ですがハーフの瑛茉ジャスミンちゃんもいて、乃木坂46の白石麻衣ちゃんもいる。アイドルも含めて全部同じバランスにしたかったんです。

――「ギャル」と「アイドル」は一見相反する要素ですが、誌面は統一感がある。雑誌に登場する女の子に共通点はありますか?

中郡 やっぱり「媚びない」ということでしょうか。

――アイドルの中でも、女子ウケする子を選んでいるように思えます。女の子を選ぶにあたって基準はありますか?

中郡 うーん、どういうふうに見分けているんだろう……? 自分では結構無意識なんですけど。リサーチもしないですし、自分の感覚で「かわいい」というそれだけですね。実は私、アイドルにまったく詳しくなかったんですよ。だから「LARME」創刊の時も、アイドル雑誌についているアイドル一覧表を初めて見て、「“かわいい”」からお願いしたいですと事務所にお伝えしたのが、乃木坂46の白石麻衣ちゃんと元NMB48の渡辺美優紀ちゃんで、お二人にレギュラーモデルになっていただけて。当初は彼女たちがどのくらい人気があるのかも知らずに「かわいい」というただそのインスピレーションだけだったんです。

――「LARME」の創刊号は渡辺麻友(AKB48)さんと白石麻衣さんの表紙ですが、固定ファン、いわゆるオタ層が買うという当て込みも考えてましたか?

中郡 全然考えてなかったです。その頃ちょうど乃木坂がデビューしてすぐのタイミングだったんですが、麻衣ちゃんはまだそんなに前面に出ていたわけではなかったんですよ。とはいえ、その頃から神がかったヴィジュアルだったので、絶対! と思っていました。

 渡辺麻友さんにもご出演していただけたので、かわいらしい雰囲気は残しつつもアイドルの要素が強くなりすぎないように、全体的にどこかギャルっぽさと、ハーフっぽさの要素も入ったものにしたいとは思っていました。いろんな女の子が出ていることを強調する表紙にしたかったので。事務所の方に「(表紙のモデル写真が)小さいですね」と言われたので、そういう点でも珍しかったのかなと思います(笑)。

――雑誌の表紙って、売り上げのために場合によっては読者層やコンセプトとズレたタレントを起用せざるを得ないケースも少なからずあります。コンセプトがズレても売るためには仕方ない、みたいなことも……?

中郡 それはないですね。そこは譲らないです。

――「bis」プレ創刊号の表紙は女優の志田未来さんです。こちらはどういう理由での起用だったのでしょう。

中郡 「bis」のコンセプトとして表紙にも入れてある文言「Lady with the girl’s heart」は、少女の心を持ちながらも大人の女性になっていくという意味で、以前は少女と大人の間で「大人になりたくない」と揺れている感じだったのですが、「bis」は「もう大人だけど、少女の心は忘れていない」という大きな違いがあるんです。その中で志田未来さんがイメージにピッタリで、とてもかわいくて少女的なイメージがあるけれど24歳の大人の女性というところが素敵だなと思って。意外性も考えましたね。ほかと同じようなことをやっても意味がないので。

――「LARME」や「bis」に共通する特徴として笑顔が少ないですよね。

中郡 笑顔は特に好きじゃないんです。今、とあるオーディションの審査員をさせていただいているのですが、応募者5,000人中の2,000人くらいが「チャームポイントは笑顔」って言うんです。笑顔にそんなに力ないよ! と私は思っています(笑)。倍率が高すぎるので、オーディションに出る予定のある方は「笑顔」ってPRするのはやめた方がいいのではないかと!

――確かに、笑顔じゃない表情も魅力的ですよね。中郡さんの中にある美意識を体現できるモデルさんが大事というわけですね。

――雑誌を作る上で一番大事にしていることはなんですか?

中郡 2つでもいいですか(笑)。1つは一冊を通してのバランスというか緩急です。例えば、一冊の雑誌を作る時に一個一個の特集にテーマ曲をつけて、ライブのセットリストみたいに本の流れを考えています。台割表にも曲名を入れて。そうじゃないと1人で考えているからか企画の雰囲気が似ちゃったり、気持ち悪い流れになっちゃったりするんですよ。今回のライブは華やかなアップテンポの曲から始めたい時と、マニアックでダークな曲から始めたい時と、ライブ全体の仕上がりイメージによって構成は変わってくるじゃないですか。それと同じですね。自分が音大出身なのもあるかもしれないですけど、音楽と関連付けていることは多いです。

 もう1つの雑誌を作る上で大事にしていることは「圧倒感」です。人によっては「bis」と「LARME」が近いと感じるかもしれませんが、私的には結構違う要素を入れています。「LARME」も独自の世界観があるので、そういった「LARME」の時に成功したパターンみたいなものはあえて「bis」には入れていないというか。甘さは抜いたつもりです。前と同じようなことをして普通にそれでやればなんとなく数字も読める部分もあるんですけど、平和な本を作る気はないというか。

 独特の個性がない本をいまさら作っても意味がないし、どこかで見たことのある感じの本になったらつまらないですし、そうじゃないと本を作るモチベーションにならない。この時代に本を出すのであれば「圧倒感」みたいなものは大事にしたいです。

――お話を伺っていると、物作りに対するこだわりを感じますね。少し嫌な質問になりますが、商業媒体でやっている限り、雑誌の売り上げは切り離せないじゃないですか。そことの兼ね合いはどうお考えですか?

中郡 もちろんバランスをとりたいと思うけど、数字のことはすごく苦手で、ほとんどわからない。だからとにかく精いっぱいやるしかないんですよね。計算してここまで頑張ろうじゃなくて、計算したくないしできないから限界まで頑張るしかない。限界まで頑張ってダメだったらその時は骨を拾ってください、という感じで。売り上げに関しても、売るためにどうするかみたいなことはあまり考えていないです。発売直前だけはめちゃくちゃ不安になりますが、基本楽観的ですね。

――頭で考えるより、とにかく全力を出すというスタンスにギャルマインドを感じますね。

中郡 あとは、私自身があんまりサブカル人間ではないというか、L’Arc~en~Cielや村上春樹さんが好きな人間なので、ニッチな嗜好ではないと思っていて。そこを突き詰めれば、届く人たちというか、コンサバほどじゃないけどサブカルでもない層は多数派ではないかもしれないけれど、割と大きな分母で存在しているんじゃないかなと思っています。

(後編につづく)

中郡暖菜(なかごおり はるな)
1986年2月10日生まれ、千葉県出身。国立音楽大学卒業。26歳の時に徳間書店史上最年少での編集長就任で「LARME」を創刊し、ヒットへ導いた。2017年より「bis」(光文社)の編集長を務める。
・「bis」オフィシャルサイト