NMB48・須藤凜々花、騒動後初単独インタビュー「私が卒業後もタレント続ける理由」

 2017年6月17日、沖縄県で行われた『AKB48 49thシングル選抜総選挙』は驚きの連続だった。当日は悪天候によって、史上初の無観客選挙となり、予定されていたイベントも中止に。さらにHKT48・指原莉乃のV3、AKB48・渡辺麻友のグループ卒業発表と波乱の連続だったが、“台風の目”となったのは、自身最高位となる20位を獲得した直後、結婚発表を行ったNMB48・須藤凜々花だろう。

 AKBメンバーやファンのみならず、業界関係者や各メディアからも、須藤の結婚宣言について賛否が飛び交った。その後、須藤は、記者会見でグループ卒業の意向を示していた通り、8月30日の公演をもって卒業することが正式発表された。アイドル人生も残り1カ月を切った須藤だが、8月上旬、東京・AKS本社で初となる単独インタビューに応じた。

「(総選挙で結婚を発表したことについては)『失敗した』とは思いますが、良かった悪かったは置いておいて、自分の中では納得できています」

 終始言葉を選びながら、真っ直ぐとした視線と口調で語った須藤。2カ月前にステージ上で起こった“事件”を振り返った。

■アイドルは「恋愛はしない方がいいと思います(笑)」

――あらためて、総選挙で結婚発表を行ったへの周囲の反響についてどう感じていますか?

須藤凜々花(以下、須藤) どんな反響も受け止めるつもりで言いました。でも、批判が自分だけじゃなく、NMB48のメンバーなど、周りの人にまで向いてしまったり、間違った情報が流れちゃったりしたのには、「ああ……」と思いました。自分に対しての意見は、全部受け止めようと思っていますが。

――アイドルには、「恋愛禁止」という“掟”がついて回ります。今回の須藤さんの結婚発表においても、「結婚って、恋愛禁止の掟を破っていたの?」と指摘する人が多くいました。

須藤 アイドルは、恋愛はしない方がいいと思います(笑)。秋元(康)先生は「“恋愛するヒマがないくらい”頑張って」というスタンスで、私もその通りだと思います。でも今や「アイドル」という言葉自体、その定義が難しくなっている。アイドルといえば、それ(恋愛禁止)が真っ先に出てくるとは思いますが、結局はそれぞれアイドル自身の気持ちだと思います。私たちにしても、「恋愛禁止」とハッキリ決まっているわけではないので。

――須藤さんは、ご自身でもアイドルファンを公言しています。須藤さんの中の“アイドルとはこういうものだ”といったアイドル観を知りたいです。

須藤 グループに加入する前は、若い女の子が自分の人生をさらして戦っているのが、「カッコイイな」と思っていました。アイドルって、批判の余地を与えてしまう存在というか。批判する側でなく、批判される側に自ら立つところが「カッコイイ」と感じていたんです。アーティストや女優さんと比べても、「所詮はアイドル」と見られてしまうので、アイドルというだけで風当たりが強い印象もありましたね。そうやって、いろんな夢を見てデビューしたのですが、実際になってみると、アイドルは想像以上に素敵でびっくりしました。イジメとかあるのかなと思っていたけど、みんな“男前”で。

 ただ、自分自身でもアイドルが好きだったんですけど、それは“自分と全然違うから好き”で、なりたいと思ってたわけじゃない。私は、私を見て、「自分の人生を大切にしよう」って思ってもらえるような、「生き方そのものを見せられるアイドル」になりたいと思っていました。

――「生き方を見せる」は、総選挙での結婚宣言とリンクしていますか?

須藤 そうですね。めちゃくちゃなことをして、すごく迷惑をかけて、しかもそれを承知でやったんですが、自分の気持ちに正直にした行動だったので。「自分の気持ちに正直に」というのは、私がずっと言ってきたことなんです。

――AKBグループには、男女問わず多くのファンがいます。例えば、「こういうファンに対して、自分をどう見せるべきか」というのは意識していなかったのでしょうか。

須藤 確かにメイクひとつをとっても、「こういうメイクは男性が苦手」とか「こういうのは女性向け」とか、いろいろあると思います。でも、私はあまり作らないでそのままでやっていた。そのままで好きになってくれたら、ずっと好きになってもらえるかなと思ったので。

――須藤さんの中では、アイドルでも、“自分の気持ちに正直に”、本気なら恋愛OKということでしょうか?

須藤 いえ、アイドルを辞めてもいいと思って、あの場で言いました。今回、私がしたことにより、アイドルの“グレーな部分”をファンに見せてしまった。もしかしたら今後、“恋愛しながらアイドル”みたいな人が出てくるかもしれませんが、私はクビになって当然だと思います。

――ネット上でも、大議論が巻き起こりました。

須藤 Twitterのリプとか、全部読んでいます。いろんな人が、いろんな感情がぶつけていて。自分のファンの方の中でも賛否両論あって、「りりちゃんらしいね。これからも応援するよ!」と言ってくれる人もいれば、「ふざけんなよ!」って人もいて。ファンの方ではない、まったく知らない人もものすごく怒っていたりして……。

――それでも応援してくれる人たちについて、どう感じますか?

須藤 アイドルとしての私だけじゃなく、私の人生全部にとってこれ以上ない理解者がいることは、すごく恵まれています。私にとって本当にかけがえのない存在です。

――このまま引退してドイツに留学したら、須藤さんに関する情報が、まったく入ってこなくなるのではと不安がっているファンもいます。

須藤 NMBを卒業したら、まず大学に行って、いずれはドイツで哲学を学びたいという夢があって、ファンの方、スタッフの方にも以前から伝えていました。でも、すぐに留学というわけではないです。「哲学者になる」という夢は変わらないので、それに向けて……という感じです。

 そして、卒業後も芸能活動を続けます。今でも応援してくれるファンの方々に、目に見える形で「ちゃんと生きてる」ってことを見せ続けたいです。アイドルとしてはではなく、“タレントとして”。アイドルとしてやり残したことはないですが、NMBに対しては、たくさんやり残したことがあります。NMBは私の青春そのものだった。まだまだ全然貢献できていないので、芸能界引退という考えもあったけど、グループ卒業生として今後も貢献したいと思っています。

――運営から、留意されたそうですが、それでもアイドルを続けるという選択肢はなかったんでしょうか?

須藤 はい。何がしたいのかわからなくなっちゃうな、と思ったので。

――結婚についての話は進んでいますか?

須藤 まだ具体的には決まっていなくて。NMBを卒業してから、あらためて相手の家族の方に挨拶に行く予定ですが、その後についてはそこから相談して決めようとなっています。

 騒動後初の単独インタビューについて「まさか『サイゾー』さんって。(ほかのメンバーも)ざわっとしてました」と笑う須藤。最後に「もし総選挙の日にタイムスリップしても、結婚発表はしていた?」と聞くと、「はい。多分、私は頑固なので」と言い切った姿が印象的だった。

「女の話はつまらないって言うけど」シソンヌ・じろうが語る、男の脳みそと女の面白さ

 女芸人や女性タレントによる、“めんどくさい女”あるある的な笑いがテレビにあふれている昨今。そんなとき、だいたいの男性タレントや芸人は「いるいる!」とうれしそうに、男目線でさらにエピソードを重ねて場を盛り上げている。しかし、それとはまた違ったアプローチで、女を素材に表現する芸人もいる。中年女性の約2年間の日記として小説『甘いお酒でうがい』(KADOKAWA)を執筆し、現在も「私」として女性に擬態し綴る、“妄想短編小説”「あの子が故郷に帰るとき」をwebサイト「雛形」で連載するシソンヌ・じろう氏に、女の面白さ、女と男の「おもしろい」の違いについて話を聞いた。

――『甘いお酒でうがい』で、中年女性を主人公にしようと思ったきっかけはありますか?

じろう シソンヌのコントで「川嶋佳子」という女性のキャラをずっとやっているんですが、彼女のキャラが立っていたので、「川嶋佳子として携帯サイトで連載してみませんか?」と吉本(興業)の担当の方に言われたのが始まりです。だから、自分から「書きたいです!」と言ったわけではなくて。女性を書くというより、川嶋佳子だから書いてみた感じですね。

――その川嶋さんは、46~48歳の独身OL。若い子やタレントなど、キャッチーな設定にしなかったのは、何かこの世代の女に思い入れがあったんでしょうか?

じろう 電車に乗っていて、おめかししてるおばさんを見ると、たまらない気持ちになるんですよ。「今日、銀座とか行くために、この格好を選んで来たんだな」って思うと、すごくカワイイなって気持ちになるんです。ワクワクするというか。そう意味では、若い女性とかよりも、おばさんが好きですね。それは熟年女性が好きっていうのではなく、年取ってもオシャレしたい、自分をよく見せたいという気持ちがあるのが、カワイイなって。おじさんも、帽子だけオシャレな人がいたりすると、奥さんに「これ被りなさい」って言われたのかなって、ワクワクしますね。服は全然ダサいのに、帽子だけオシャレな人とか。あと、リュックしょってるおじさんも好きです。

――川嶋さんも、日常の小さな出来事を、いちいちちゃんと1人で味わってるのがかわいかったです。出産や年齢に対する感覚もリアルで、男性が書いてるのに、そこをイジらないのは逆に意外でした。

じろう 50代くらいでも結婚されてない女性は多いですよね。そういう人に、「結婚してないんだな」「子ども生まないんだな」って思うのが、普通の男性の見方だと思うんですけど、意外と女性はそんなこと考えてなくて、「自分は自分の人生を楽しんでるわよ」っていう気持ちなんじゃないかなって。僕の想像の中の話なんですけど(笑)。あと、そういう女性に会うことが多かったんですよ。結婚も子どももいなくて、でもしゃべると面白いっていう。そういう人の方が輝いて見える、っていうのが自分の中にありましたね。

――現在はwebサイト「雛形」で、また女性の小説を「私」目線で書いていますが、仕事の話が来たときはどんな気持ちでしたか?

じろう 僕は言われたことをやりますよ、というタイプなので(笑)。ただ、毎月締め切りがあることなので、「できるもんなのかなぁ」と思ったり。それに、女性を演じることについては得意だと思いますけど、女性を書いたり、文字にするのは、誰でもできるんじゃないかなって……できないですかね(笑)。男の人って、「女の話はつまんない」って言いますけど、女の人の内に秘めた面白さ、女の人の見方で見た面白さ、ってあると思うんですよ。僕の内面には、男目線の「面白い」と女の人の見方の「面白い」のどっちもあると思ってて、「あ、女の人はこういうふうに見て面白いって言ってるんだろうな」って気づいた瞬間は、ちょっとやりがいがありますね。

――おもしろいの違いって、例えばどんなですか?

じろう この本でいうと、川嶋さんが、「シャンプーとリンスに男と女がある」って思うところ。男の人はそんなこと思わない。人形遊びとかしてないと、いかない発想かなって。まあ、思わない人がほとんどだと思いますけど(笑)。僕らのネタだと、ボクシングジムに行ってみたいんだけど、ガラス張りだから恥ずかしい、っていうのも、どちらかというと女性の発想かな。道行く人に見られたくないっていうのは、男の脳みそじゃないと思います。

――でも、女目線の笑いって、男社会のお笑い業界ではあまり評価されない気もします。

じろう 女の目線のネタは、女性の芸人がやるより僕がやった方が面白いな、とは思うんですよ。やってるのがオジサン、男だから、そういう部分で。

――「私」目線の小説だと、バカリズムさんも『架空OL日記』(小学館)という本を書いてますよね。ドラマではOL役もしてました。

じろう それ、書いてるのを知らなかったんですよ! 同じことしてると思われるのは嫌なので、知ってたらやらなかったですね……。読んではないですけど、読んだら面白いんだろうなと思います。バカリズムさんって、トークでも女子のノリをいじるところがあるじゃないですか。そういう、男から見て「なんでそれで盛り上がれるの?」っていう面白さがあると思うんです。でも僕は、そういう男目線のネタは、ほぼ書いたことがないです。だから、読んだら似てるようで違うのかもしれませんね。

――連載では、女性の写真1枚から、その人の半生を妄想して書いてますが、今後、書いてみたい女性像はありますか?

じろう 雛形の連載は、意識しないと「しっとり」した感じが多くなって似てしまうと思うので、激情型、感情的な女性も書いてみたいですね。写真を見てピンときた方がいたら、松居一代さんのような女性にチャレンジすることもあるかもしれません(笑)。

じろう
青森県弘前市出身。2006年4月結成の「シソンヌ」ボケ担当。演技力の高いコントを得意とし、14年「第7回キングオブコント」王者。著書に自身初の日記小説として書籍化した『甘いお酒でうがい』(川嶋佳子名義、KADOKAWA)。現在、『カンナさーん!』(TBS系)にレギュラー出演中、11~12月には舞台『スマートモテリーマン講座』に出演。18年8月1~26日まで、シソンヌライブの1カ月公演も決定している。

webサイト「雛形」“妄想短編小説”「あの子が故郷に帰るとき」

「オタ仲間の義理と人情」「接触はジャニオタのウチワと同じ」ドルオタ夫婦2組の異色対談

 『ヲタ夫婦: アイドルヲタクな2人はこうして結婚できました。』(出版ワークス)の作者・藍さん&“ヲタ夫”さん夫妻と、サイゾーウーマンの名物連載「ジャニーズツッコミ道場」を担当する太田サトルさん&田幸和歌子さん夫妻。2組ともジャンルは違えと、アイドルオタのご夫婦だ。前編に続き、後編は女性アイドルとジャニーズのサービスの違いや、今後のアイドル業界への思いを語ってもらった。

【座談会出席者】
◎藍さん……マンガ家。『ヲタ夫婦』『ミリオンドール』(アース・スターエンターテイメント、既刊2巻)等、アイドルやオタクをテーマにした漫画を執筆している。不定期でアイドルに関するトークイベントも主宰。イチ推しアイドルは小林晏夕(東京パフォーマンスドール、以下TPD)。90年代女性声優から入り、高橋愛(元モーニング娘。)や松浦亜弥ほかハロプロ系、AKB48を経て、現在はライブアイドル(地下アイドル)までを幅広く愛する。

◎ヲタ夫さん……35歳の会社員。UNDER17・桃井はるこや田村ゆかり、新谷良子など声優を経て、長野県のご当地アイドル・オトメコーポレーション、BiS、そして現在は元BiSのヒラノノゾミが所属するBILLIE IDLE(R)に夢中。

◎太田サトルさん……ライター。「週刊朝日」(朝日新聞出版)「AERAdot.」「エキサイトニュース」などでエンタメ系のコラムやニュース、インタビューなどを執筆。ジャニーズ事情に詳しくJr.の若手ユニットまでをウォッチ。

◎田幸和歌子さん……ライター。著書に『KinKi Kids おわりなき道』(アールズ出版)『Hey! Say! JUMP 9つのトビラが開くとき』(同)『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。ジャニヲタ歴が長く、太田さんと同じくベテランからJr.のユニットまでを愛する

 接触イベントはジャニヲタの「バーンして」と同じ

――同じアイドルでもジャニーズと女性アイドルでは、かなり違うところがあると思うんですが、お互いの現場をどう捉えていますか?

田幸 うちは最近、ハロプロの現場にも行き始めたんですよ。でも、そのクラスの大手事務所の子たちでさえ、テレビではほとんど活動を見られないじゃないですか。女性アイドルはグループが多すぎるから大変だなって。これから来るなっていう、新しいライブアイドルの子なんかは、どうやって見つけてくるんですか?

藍 Twitterの口コミがほとんどですね。今はライブフェスもたくさんあるし、あとはロックフェスにもアイドルが出るようになったので、そういうところから流れてくる人が増えた気もします。あとはAKB系列やハロプロとか、大手から流れてきてライブアイドルに来る人が主流です。

ヲタ夫 僕はライブアイドルにハマって現場に通い始めた友達と一緒に行くようになって、ライブアイドルの対バンイベントでBiSを見て、そこからですね。

田幸 ジャニーズの場合は、同じグループ内のほかのメンバーや、もっと若いグループや身近なグループに降りる「担降り」っていうのがよくあるんです。女性アイドルで、そういう現象はないですか?

ヲタ夫 担降りって言葉は聞いたことはあるんですけど……推し変に近いんですかね? 

太田 そうかもしれない。グループを変えるんじゃなくても、握手会とかの接触である程度顔見知りになったり名前を覚えてもらったりするようになったことで、グループ内で推しメンを変えたりしないですか?

ヲタ夫 たまにいますけど、そのコミュニティでは忌み嫌われますよね。

藍 “接触で対応がいい”という理由でチェンジしちゃう人は結構いるんですよ。アイドルといえばこの事務所、という1社だけの世界だったのがだんだん崩れてくると、なんというか、ファンにも「一途が美徳」というような奥ゆかしさがなくなるんですよね。女性アイドル=ハロプロの時代が長かったけど、今はそうではないから、アイドルオタクも自分たちは自由に好きな子を選んでいいということに気づいて流動するようになりました。もしかしたら今後、男性アイドルにもそういう時代がくるかもしれない。

太田 男性アイドルもどんどん細分化していってますしね。超特急とかBOYS AND MENとか、売り出し方やコンセプトがうまいグループが、ジャニーズ以外でも近年出てきてますし。

――ジャニーズもグループによっては接触イベントありですが、太田さん田幸さんは全ジャニーズの現場で接触が解禁になったらどうですか?

田幸 私は接触を望まないですね。ひたすら外から愛でていたいというか……例えばKinKi Kidsとかは、あの2人だけで完成してる世界で、とても孤高な感じが美しいから、そこにほかの人は入らないでほしいという気持ちがあるので。

太田 僕は同性なんで、会ってときめくとかないから。ライブでトロッコが近くを通っても、手振ったり歓声あげたりしないもんね(笑)。結局、ジャニーさんの作る世界が好きなんだと思うんですよね。すごくよくできたエンターテインメントなんだけど、ちょっと笑える、みたいなものを見せてくれるのが好きなんだろうなと。

田幸 さっきも言ったんですけど、ハロプロでもこぶしファクトリーなんかのイベントには歌を聞きに行ったりするんですよ。でも、行くと握手会がついてきて、どんなことをしたらいいのか、わからなかったりもします。

――藍さんとヲタ夫さんは、もし女性アイドルとの接触がなかったらどうだったと思います?

ヲタ夫 うーん、接触がなくても好きにはなったと思うんですよね。BiSはCDを聞いて、曲がいいなと思って通い始めたのが出発点だったので。

藍 その割には、たいそう接触イベント行ってるよね? チェキを撮るときハグまでして。

ヲタ夫 うふふ。接触イベントでは多少会話するので、なんとなく、本人のことがわかったような気になってくるんだと思うんですけど……ただ接触はそんなに重要じゃないんですよ、自分にとっては。ライブが楽しかったとかそういうのが伝えられればそれで。

田幸 ジャニヲタのうちわでも「バーンして」とかいう要求派と、「ありがとう」などの感想だとかメッセージを伝えたい派がいますけど、後者ということですよね。

 オタ仲間の義理と人情の世界に疲れてUターン

――藍さんは接触がなかった時代のハロプロから女性アイドルに入って、今はライブアイドルがメインなんですよね。

藍 私は最初にAKB48に興味を持ったとき、劇場に行くまですごい抵抗があったんですよ。でも、間近で見て彼女たちが真面目にやってるんだというのがわかったし、行き始めると自分の意識も変わっていったんですよね。当時のAKBはみんなファン対応がうまかったから、こちらもこういうふうに楽しめばいいんだっていう接触の楽しみ方を覚えました。ライブアイドルの現場はまた違って、文化祭ノリというか……年齢も職業もまったく違う男性のファンが大半なんですけど、同じグループや同じ推しのファンの間には妙な連帯感がありますね。

ヲタ夫 ライブアイドルはファンの人数も少ないから、話したことはなくても、だいたい皆顔はわかるんですよ。

田幸 「このチームから抜けちゃマズい」みたいな、義理と人情の世界にはならないですか? 

藍 それはすごくあって、そういう関係性に疲れた人が、今度はハロプロ系やももクロとか、大手のグループに移って、距離感のちょうどいい場所に流れていく逆現象が起こっていますね。

ヲタ夫 あとは、接触でしゃべってる間に言い合いみたいになって、メンバーと関係がよくなくなって来づらくなる人とか。

太田 ああ、ダメ出ししちゃう人とかいますよね。

藍 ジャニコンにもたまに行くんですけど、“お客さま”でいられるのがいいなと思います。彼女気分でいさせてくれるっていうか。

田幸 女性アイドルのステージは、恋人気分ではないということ?

藍 もちろん若い人は疑似恋愛をしてる人もいるんですけど、基本的に中年くらいの年齢層の男性が「アイドルを頑張って支えてあげなきゃ」という発想の世界なので、推しが恥をかかないように対バンは駆けつけてあげたり、コールで盛り上げてあげたり、「推しに奉仕する」精神の方が多い気がします。

――ちなみに、藍さん自身は男性アイドルには興味は持ったことはないですか?

藍 私は最初から女の子にしか興味がなかったです。たぶんセーラームーン世代だからかな? 子どもの頃から、女の子が主人公の戦闘モノとか好きでした。

全員 なるほど……!

――長い目で見たドルヲタとしての幸せな人生って、どういうものだと思いますか?

ヲタ夫 ヲタ夫婦、ヲタ家族が増えてくるのって、たぶんこれからだと思うんですよ。ハロプロのファンが、やっと小さい子どもを連れてくるくらいですしね。

藍 今の女性アイドル現場はブームになってから歴史が浅いので、もっと夫婦とかカップルとか子連れでとか、逆に男性が1人で行っても肩身の狭い思いをしない工夫とか、いろんな立場の人が行けるように整備されていくと、ドルヲタとして明るい将来を想像しやすいのかなと思います。ジャニーズみたいに、年を取っても楽しく見にいける感じに、これからなっていけばいいなって。これまでは、女性アイドルのオタクの中では“結婚して幸せなやつは勝ち組なんだから愚痴なんて言うなよ”みたいな空気があったんですけど、結婚してるオタクもこれからもっと増えてくるだろうから、そういうヲタ夫婦やヲタ家族も当たり前になればいいかなと思います。そうやって、ヲタ夫婦も幸せなゴールではなく、それなりに苦労があるというナレッジが共有されていって、逆に独身でいるオタクも今が最高だなと気付いて前向きになったりするのかなと思います。アイドルオタクは、独身だと不幸で、結婚したら勝ち組というステレオタイプな価値観がとても強い気がするので、独身貴族的な有名オタクが楽しそうにしてる姿が増えたら、夢がある気がします。

田幸 子どもを持って初めて知ったのは、今の中高生など若い子にとって、「アイドルファン」はクラスの中でも少数派ということです。アニメファンや声優ファン、YouTuberファンなど、多様化・細分化している中で、男女ともにアイドルにハマっている子はかなり少ない。そんな少数派のアイドルファンの中の大部分を占めるのが、「親子でファン」というパターンです。だからこそ、今後はますます、親子で、あるいは三世代でアイドルを応援していくというのが、1つの主流になるのではないかと。勝手に伝統文化を見守る応援隊のような気持ちでいます。

太田 アイドルブームは沈静化したと一部では言われますが、アイドル文化は、すっかり当たり前のものとして定着してますし、欅坂46やTOKIOなど、ロックフェスに出て歓迎されるグループも増えてきた。親子で楽しむアイドルコンサートの先駆けは松田聖子なのかなと思いますが、ジャニーズアイドルも息が長い今だからこそ、そんな感じに親子とか夫婦とか、家族共通の趣味になっていくことも増えていくかもしれませんね。

「食事が菓子パンに」「一家3人で遠征」アイドルオタ夫婦2組が語る、“うちのヲタ活”

 30~40代のアイドルや既婚のアイドルも珍しくなくなった昨今。ではアイドルオタクが結婚し、家庭を持つとどうなるのか? 今回は話題のコミックエッセイ『ヲタ夫婦: アイドルヲタクな2人はこうして結婚できました。』(出版ワークス)の作者・藍さん&“ヲタ夫”さん夫妻と、サイゾーウーマンの名物連載「ジャニーズツッコミ道場」を担当する太田サトルさん&田幸和歌子さん夫妻が、アイドルヲタクのリアルな夫婦生活について話します。

【座談会出席者】
◎藍さん……マンガ家。『ヲタ夫婦』『ミリオンドール』(アース・スターエンターテイメント、既刊2巻)等、アイドルやオタクをテーマにした漫画を執筆している。イチ推しアイドルは小林晏夕(東京パフォーマンスドール、以下TPD)。90年代女性声優から入り、高橋愛(元モーニング娘。)や松浦亜弥ほかハロプロ系、AKB48を経て、現在はライブアイドル(地下アイドル)まで、幅広く愛する。

◎ヲタ夫さん……35歳の会社員。UNDER17・桃井はるこや田村ゆかり、新谷良子など声優を経て、長野県のご当地アイドル・オトメコーポレーション、BiS、そして現在は元BiSのヒラノノゾミが所属するBILLIE IDLE(R)に夢中。

◎太田サトルさん……ライター。「週刊朝日」(朝日新聞出版)やWebの「AERAdot.」「エキサイトニュース」などでエンタメ系のコラムやニュース、インタビューなどを執筆。ジャニーズ事情に詳しくJr.の若手ユニットまでをウォッチ。

◎田幸和歌子さん……ライター。著書に『KinKi Kids おわりなき道』(アールズ出版)『Hey! Say! JUMP 9つのトビラが開くとき』(同)『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。ジャニオタ歴が長く、太田さんと同じくベテランからJr.のユニットまでを愛する。

 急に「お金がない」と言い出して、食事が菓子パンに

――今日はアイドルヲタ夫婦2組に集まっていただいたので、まずヲタ夫婦であるメリット、デメリットを聞かせてください。

太田 メリットと言えば、うちはライブとかに夫婦セットで行くんですよ。別々の現場というのがほぼない。

田幸 だから藍さんのマンガを拝見して、「夫婦でも全然楽しみ方が違うんだ!?」って思いました。

藍 うちは全然一緒には行かないですね。特に解散前のBiSのライブって、すごく過酷な印象が強かったんですよ。

ヲタ夫 昔ライブに通ってた頃は、会場はヲタクの汗で水びたしで。ライブ終わったらTシャツやジーンズが絞れるくらい、汗をかいてましたから。

藍 夫がライブから帰ってくると常に傷だらけでした。推してるグループや人気度が違うと、チケットの取り方なんかも全然違うんですよ。私が通ってるグループは、すぐにチケットは売り切れないから、当日でも買えたりするんです。でも、当時のBiSは最初にツアーの日程が発表されたら、とりあえず全部押さえておかないと売り切れちゃうそうでした。そうすると、当日軽い気持ちで同行して2人一緒に行くという選択肢も消えますね。

田幸 イベントやライブでは、遠征もありですか?

ヲタ夫 ですね。

藍 うちの夫婦はデメリットというか、そもそも同じアイドルでも現場の種類がまったく違うので、好みは合わないながらも共通言語を探して楽しんでるところがあります。「お互いの戦場で頑張ろう」みたいな(笑)。

田幸 マンガで描かれていたのは恋人時代のエピソードが中心ですけど、その頃と夫婦になってからで一番違うのって、お金の面だと思うんですよ。ヲタ活動費をどうされてるのか気になるんですが、お財布は基本別々ですか?

藍 基本は別なんですけど、私は結婚後から漫画家を始めて、不安定な仕事になったので、どうしてもヲタ夫の安定した収入が家計を支える形になるんですね。そうなると、「財布が別」は独身時代は良かったけど、結婚してから急に不安が出てきて。アイドルにつぎ込んでるのは今まで通りなのですが、急に「お金がない」とか言い出して、食事が菓子パンになったりすると……。

ヲタ夫 うふふ。お互いがどのくらい使ってるかは把握してないですね。

藍 今は私の仕事が忙しくなって、私自身はそんなにアイドルにつぎ込む機会がなくなっちゃったんですけど、ヲタ夫が推してたBiSは、急に高額なプレミアムチケットを売り始めたりして、まとまって使う機会が多いかもしれませんね。

ヲタ夫 今推しているBILLIE IDLE(R)も、初年度のFC入会費が3万円でしたね。

太田 BiSやBILLIE IDLE(R)とか、渡辺(淳之介/プロデューサー)さんが手掛けるグループのファンって、そういう状況を楽しんでる印象がありますよね。10万円のチケットが出たとしたら「そう来たか!」みたいな。

田幸 そういうお金の使い方を、ご結婚されてちょっと緩めたりは?

ヲタ夫 したんですけど、結婚したからというよりBiSの解散がきっかけですかね。

藍 私の言うことは、なに一つ聞き入れてくれませんでした。私はリリースイベントでも、全部の会場に行ったりしないんですけど、ヲタ夫は全部行きたいし、高価なチケットも新しく出たTシャツも全部買いたいタイプだったので、そういう「ガチ度のギャップ」に苦しみました。貯金もまったくしてないって言うし。

太田 彼女たちに何回でも会いたいっていう気持ちに、どこかのタイミングから「ここもここもコンプリートしなくちゃ」みたいな、コレクター的な気持ちも入ってくるんですかね?

ヲタ夫 どうやっても全部のライブやイベントには行けないので、コンプリートするのは早々に諦めていたんですよ。でもやっぱりライブは、どの日でもちょっとずつ違うじゃないですか。それをたくさん見たいって気持ちがあったと思います。

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田幸 ジャニーズを見るにしても、独り身だと多ステしやすいんですよね。うちの場合、ヲタ夫婦である一番のメリットは、娘もジャニーズ好きだから一家でライブに行けることなんですけど、それと同時に多ステしたら破産しちゃう(笑)。昨年は北海道にKinKi Kidsのコンサートを見に家族で遠征したんですけど、全てのお金が×3人になるので。

太田 僕らは子どもがいるっていうのが一番大きいですよね。どうしても生活の中で優先度の最上位に近いところに、子どもがいるので。

――お子さんがいるとアイドルを見る目線も変わりますか?

太田 うちの子は高校2年なんですよ。だから、10代のアイドルは男女関係なく完全に子ども世代だから恋愛対象でもないし、子どもの発表会見てるみたいな気持ちで「頑張ってるなあ」って思ったりします。

田幸 こぶしファクトリーの子たちとか見てると、「娘と同い年くらいの子がこんなに頑張ってて、えらいわぁ」って。藍さんご夫婦にお子さんができたら、どんな感じになるのか気になりますね。

藍 まったく想像つかないんですけど……もしかしたら“子ども推し”みたいになっちゃうかもしれないね? アイドルの現場には行けなくなっちゃうかも(笑)。

ヲタ夫 そうなる可能性はありますね。

太田 女性アイドルはテレビで見られる機会も少ないから、お茶の間からの応援がしづらいのが難しいですよね。

藍 まだハロプロとかだったら、ファミリー席もあるし行きやすいと思うんですよ。ライブアイドルの現場にお子さん連れてくる人も見かけるんですけど、それで叩かれる場合もあるので、連れていくかどうかはケースバイケースですね。

ヲタ夫 「お子さん、かわいいですねー」みたいにアイドルの方から来てくれて、認知がもらえたりするので。

田幸 ジャニーズでもファミリー席があって、ちっちゃい子がいるとメンバーがかまってくれるから、そういうのはありますね。

太田 素朴な疑問なんですけど、お互いが推してるメンバーに対して「こんな子がいいの?」みたいな食い違いはないんですか?

藍&ヲタ夫 それはないです。

藍 好みが違うからというのも、もちろんありますけど、アイドル現場って特に「現場に行ってないやつがあれこれ言うのは野暮だ」みたいな風潮がすごく強いので、理解できないと思っても、それは個人の主観の違いだと割り切ってます。あと、夫だとしても、推しを「こんな子」って言われたら嫌ですね。

――ヲタ夫さんは藍さんが推すTPDの現場に行きますか?

ヲタ夫 今は全然行ってないけど、最初の頃は一緒に行ったりしてましたね。

藍 私が嫌なのは、“ガチ度の違い”なんですよ。私にとってはTPDを追いかけてたときはガチで好きだったんですけど、旦那にとってはそうじゃないから、イベントには遅刻して来るし、私が感動してるそばでライブの構成とか冷静に分析されるのがすごく嫌で。だから「もう来ないで」って言ってます。

太田 相手(またはパートナー)が来ることで、いつものようにはじけられないとか?

藍 それもお互いにありますね。だからなんとなく、夫婦としてやっていく中で、お互いの本現場に深入りしないようにしようという、暗黙の了解はあります(笑)。特にヲタ夫は私がついてくると、おとなしくなります。

太田 夫婦とか家族って、だんだん好みが似てくるっていうじゃないですか。うちは独身の頃はお互い全然違うものが好きだったし、僕はロックオタクでもあったから、それこそBiSの現場に近いようなモッシュ&ダイブありの現場に行ったりもしてたんですよ。でもそこには誘わなかったし、結婚当初は今のお二人に近かったんですよね。

藍 うちは夫婦遍歴がまだ数年程度だから、これから近づく……のかな?

ヲタ夫 どうなんだろう?

太田 一緒に過ごす年月と、お子さんの存在でも大きく変わるかなあと。

 父親「ヲタ夫くんの好きなアイドルのライブに行こうかな」

――親戚付き合いも避けては通れないと思いますが、義理の親御さんにアイドルの話とかは?

田幸 義理の親には特にしていないですが、自分の親にはしてますね。そもそもそんなに特殊なことだとは思っていないので、カミングアウトする・しないという感覚がないです。うちは関ジャニ∞ファンの姉がいて、姉の方がよくコンサートに行く話などしていて、私はあまり自分の話をしないので、親はあまり知らないですが、うちのがよっぽど行ってるかもしれなくて。ただ仕事柄、ライブに行ったりも仕事の一環だと思われてるフシはありますね。

藍 うちの親はアイドルといったらPerfumeとかをイメージしてるみたいで、とてもBiSのことは説明できなくて。父が、「ヲタ夫くんの好きなアイドルのライブを見てみたいから一緒に行こうかな」とか言うんですけど、Perfumeや℃-uteを想像してるような父が、平気な顔して参加できるような現場じゃないんですよね。それをうまく説明できないから、ただ「触れないでほしい」っていう雰囲気だけ出して。そんな状況なので親戚にはとても言えないですね。

ヲタ夫 僕は自分の親にも言ってないです。上京してからアイドルにハマったのもあるので。マンガやアニメは昔から好きだったから、それは知ってると思うんですけど、ライブにガンガン行くようになってるとは思ってないだろうし、そもそも説明するのがめんどくさい。

藍 うちの妹がミュヲタ(ミュージカルオタク)で、田幸さんのお姉さんと一緒でめちゃくちゃヲタ話をするんですよ。

ヲタ夫 つぎ込む金額も全然違うんですよね。チケット代が高いし、韓国のミュージカルにもハマってて、現地で見て帰ってきたりするんで。

藍 福岡に住んでるのにバリバリ遠征してるから、妹はヲタとして強いなって思いますね。妹がいるから、親からの追求も逃れられてるみたいなところはあります。
(後編につづく)

「食事が菓子パンに」「一家3人で遠征」アイドルオタ夫婦2組が語る、“うちのヲタ活”

 30~40代のアイドルや既婚のアイドルも珍しくなくなった昨今。ではアイドルオタクが結婚し、家庭を持つとどうなるのか? 今回は話題のコミックエッセイ『ヲタ夫婦: アイドルヲタクな2人はこうして結婚できました。』(出版ワークス)の作者・藍さん&“ヲタ夫”さん夫妻と、サイゾーウーマンの名物連載「ジャニーズツッコミ道場」を担当する太田サトルさん&田幸和歌子さん夫妻が、アイドルヲタクのリアルな夫婦生活について話します。

【座談会出席者】
◎藍さん……マンガ家。『ヲタ夫婦』『ミリオンドール』(アース・スターエンターテイメント、既刊2巻)等、アイドルやオタクをテーマにした漫画を執筆している。イチ推しアイドルは小林晏夕(東京パフォーマンスドール、以下TPD)。90年代女性声優から入り、高橋愛(元モーニング娘。)や松浦亜弥ほかハロプロ系、AKB48を経て、現在はライブアイドル(地下アイドル)まで、幅広く愛する。

◎ヲタ夫さん……35歳の会社員。UNDER17・桃井はるこや田村ゆかり、新谷良子など声優を経て、長野県のご当地アイドル・オトメコーポレーション、BiS、そして現在は元BiSのヒラノノゾミが所属するBILLIE IDLE(R)に夢中。

◎太田サトルさん……ライター。「週刊朝日」(朝日新聞出版)やWebの「AERAdot.」「エキサイトニュース」などでエンタメ系のコラムやニュース、インタビューなどを執筆。ジャニーズ事情に詳しくJr.の若手ユニットまでをウォッチ。

◎田幸和歌子さん……ライター。著書に『KinKi Kids おわりなき道』(アールズ出版)『Hey! Say! JUMP 9つのトビラが開くとき』(同)『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。ジャニオタ歴が長く、太田さんと同じくベテランからJr.のユニットまでを愛する。

 急に「お金がない」と言い出して、食事が菓子パンに

――今日はアイドルヲタ夫婦2組に集まっていただいたので、まずヲタ夫婦であるメリット、デメリットを聞かせてください。

太田 メリットと言えば、うちはライブとかに夫婦セットで行くんですよ。別々の現場というのがほぼない。

田幸 だから藍さんのマンガを拝見して、「夫婦でも全然楽しみ方が違うんだ!?」って思いました。

藍 うちは全然一緒には行かないですね。特に解散前のBiSのライブって、すごく過酷な印象が強かったんですよ。

ヲタ夫 昔ライブに通ってた頃は、会場はヲタクの汗で水びたしで。ライブ終わったらTシャツやジーンズが絞れるくらい、汗をかいてましたから。

藍 夫がライブから帰ってくると常に傷だらけでした。推してるグループや人気度が違うと、チケットの取り方なんかも全然違うんですよ。私が通ってるグループは、すぐにチケットは売り切れないから、当日でも買えたりするんです。でも、当時のBiSは最初にツアーの日程が発表されたら、とりあえず全部押さえておかないと売り切れちゃうそうでした。そうすると、当日軽い気持ちで同行して2人一緒に行くという選択肢も消えますね。

田幸 イベントやライブでは、遠征もありですか?

ヲタ夫 ですね。

藍 うちの夫婦はデメリットというか、そもそも同じアイドルでも現場の種類がまったく違うので、好みは合わないながらも共通言語を探して楽しんでるところがあります。「お互いの戦場で頑張ろう」みたいな(笑)。

田幸 マンガで描かれていたのは恋人時代のエピソードが中心ですけど、その頃と夫婦になってからで一番違うのって、お金の面だと思うんですよ。ヲタ活動費をどうされてるのか気になるんですが、お財布は基本別々ですか?

藍 基本は別なんですけど、私は結婚後から漫画家を始めて、不安定な仕事になったので、どうしてもヲタ夫の安定した収入が家計を支える形になるんですね。そうなると、「財布が別」は独身時代は良かったけど、結婚してから急に不安が出てきて。アイドルにつぎ込んでるのは今まで通りなのですが、急に「お金がない」とか言い出して、食事が菓子パンになったりすると……。

ヲタ夫 うふふ。お互いがどのくらい使ってるかは把握してないですね。

藍 今は私の仕事が忙しくなって、私自身はそんなにアイドルにつぎ込む機会がなくなっちゃったんですけど、ヲタ夫が推してたBiSは、急に高額なプレミアムチケットを売り始めたりして、まとまって使う機会が多いかもしれませんね。

ヲタ夫 今推しているBILLIE IDLE(R)も、初年度のFC入会費が3万円でしたね。

太田 BiSやBILLIE IDLE(R)とか、渡辺(淳之介/プロデューサー)さんが手掛けるグループのファンって、そういう状況を楽しんでる印象がありますよね。10万円のチケットが出たとしたら「そう来たか!」みたいな。

田幸 そういうお金の使い方を、ご結婚されてちょっと緩めたりは?

ヲタ夫 したんですけど、結婚したからというよりBiSの解散がきっかけですかね。

藍 私の言うことは、なに一つ聞き入れてくれませんでした。私はリリースイベントでも、全部の会場に行ったりしないんですけど、ヲタ夫は全部行きたいし、高価なチケットも新しく出たTシャツも全部買いたいタイプだったので、そういう「ガチ度のギャップ」に苦しみました。貯金もまったくしてないって言うし。

太田 彼女たちに何回でも会いたいっていう気持ちに、どこかのタイミングから「ここもここもコンプリートしなくちゃ」みたいな、コレクター的な気持ちも入ってくるんですかね?

ヲタ夫 どうやっても全部のライブやイベントには行けないので、コンプリートするのは早々に諦めていたんですよ。でもやっぱりライブは、どの日でもちょっとずつ違うじゃないですか。それをたくさん見たいって気持ちがあったと思います。

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田幸 ジャニーズを見るにしても、独り身だと多ステしやすいんですよね。うちの場合、ヲタ夫婦である一番のメリットは、娘もジャニーズ好きだから一家でライブに行けることなんですけど、それと同時に多ステしたら破産しちゃう(笑)。昨年は北海道にKinKi Kidsのコンサートを見に家族で遠征したんですけど、全てのお金が×3人になるので。

太田 僕らは子どもがいるっていうのが一番大きいですよね。どうしても生活の中で優先度の最上位に近いところに、子どもがいるので。

――お子さんがいるとアイドルを見る目線も変わりますか?

太田 うちの子は高校2年なんですよ。だから、10代のアイドルは男女関係なく完全に子ども世代だから恋愛対象でもないし、子どもの発表会見てるみたいな気持ちで「頑張ってるなあ」って思ったりします。

田幸 こぶしファクトリーの子たちとか見てると、「娘と同い年くらいの子がこんなに頑張ってて、えらいわぁ」って。藍さんご夫婦にお子さんができたら、どんな感じになるのか気になりますね。

藍 まったく想像つかないんですけど……もしかしたら“子ども推し”みたいになっちゃうかもしれないね? アイドルの現場には行けなくなっちゃうかも(笑)。

ヲタ夫 そうなる可能性はありますね。

太田 女性アイドルはテレビで見られる機会も少ないから、お茶の間からの応援がしづらいのが難しいですよね。

藍 まだハロプロとかだったら、ファミリー席もあるし行きやすいと思うんですよ。ライブアイドルの現場にお子さん連れてくる人も見かけるんですけど、それで叩かれる場合もあるので、連れていくかどうかはケースバイケースですね。

ヲタ夫 「お子さん、かわいいですねー」みたいにアイドルの方から来てくれて、認知がもらえたりするので。

田幸 ジャニーズでもファミリー席があって、ちっちゃい子がいるとメンバーがかまってくれるから、そういうのはありますね。

太田 素朴な疑問なんですけど、お互いが推してるメンバーに対して「こんな子がいいの?」みたいな食い違いはないんですか?

藍&ヲタ夫 それはないです。

藍 好みが違うからというのも、もちろんありますけど、アイドル現場って特に「現場に行ってないやつがあれこれ言うのは野暮だ」みたいな風潮がすごく強いので、理解できないと思っても、それは個人の主観の違いだと割り切ってます。あと、夫だとしても、推しを「こんな子」って言われたら嫌ですね。

――ヲタ夫さんは藍さんが推すTPDの現場に行きますか?

ヲタ夫 今は全然行ってないけど、最初の頃は一緒に行ったりしてましたね。

藍 私が嫌なのは、“ガチ度の違い”なんですよ。私にとってはTPDを追いかけてたときはガチで好きだったんですけど、旦那にとってはそうじゃないから、イベントには遅刻して来るし、私が感動してるそばでライブの構成とか冷静に分析されるのがすごく嫌で。だから「もう来ないで」って言ってます。

太田 相手(またはパートナー)が来ることで、いつものようにはじけられないとか?

藍 それもお互いにありますね。だからなんとなく、夫婦としてやっていく中で、お互いの本現場に深入りしないようにしようという、暗黙の了解はあります(笑)。特にヲタ夫は私がついてくると、おとなしくなります。

太田 夫婦とか家族って、だんだん好みが似てくるっていうじゃないですか。うちは独身の頃はお互い全然違うものが好きだったし、僕はロックオタクでもあったから、それこそBiSの現場に近いようなモッシュ&ダイブありの現場に行ったりもしてたんですよ。でもそこには誘わなかったし、結婚当初は今のお二人に近かったんですよね。

藍 うちは夫婦遍歴がまだ数年程度だから、これから近づく……のかな?

ヲタ夫 どうなんだろう?

太田 一緒に過ごす年月と、お子さんの存在でも大きく変わるかなあと。

 父親「ヲタ夫くんの好きなアイドルのライブに行こうかな」

――親戚付き合いも避けては通れないと思いますが、義理の親御さんにアイドルの話とかは?

田幸 義理の親には特にしていないですが、自分の親にはしてますね。そもそもそんなに特殊なことだとは思っていないので、カミングアウトする・しないという感覚がないです。うちは関ジャニ∞ファンの姉がいて、姉の方がよくコンサートに行く話などしていて、私はあまり自分の話をしないので、親はあまり知らないですが、うちのがよっぽど行ってるかもしれなくて。ただ仕事柄、ライブに行ったりも仕事の一環だと思われてるフシはありますね。

藍 うちの親はアイドルといったらPerfumeとかをイメージしてるみたいで、とてもBiSのことは説明できなくて。父が、「ヲタ夫くんの好きなアイドルのライブを見てみたいから一緒に行こうかな」とか言うんですけど、Perfumeや℃-uteを想像してるような父が、平気な顔して参加できるような現場じゃないんですよね。それをうまく説明できないから、ただ「触れないでほしい」っていう雰囲気だけ出して。そんな状況なので親戚にはとても言えないですね。

ヲタ夫 僕は自分の親にも言ってないです。上京してからアイドルにハマったのもあるので。マンガやアニメは昔から好きだったから、それは知ってると思うんですけど、ライブにガンガン行くようになってるとは思ってないだろうし、そもそも説明するのがめんどくさい。

藍 うちの妹がミュヲタ(ミュージカルオタク)で、田幸さんのお姉さんと一緒でめちゃくちゃヲタ話をするんですよ。

ヲタ夫 つぎ込む金額も全然違うんですよね。チケット代が高いし、韓国のミュージカルにもハマってて、現地で見て帰ってきたりするんで。

藍 福岡に住んでるのにバリバリ遠征してるから、妹はヲタとして強いなって思いますね。妹がいるから、親からの追求も逃れられてるみたいなところはあります。
(後編につづく)

結婚は夢物語!? 出産で友達は離れる? 犬山紙子×ハヤカワ五味が語る、女のリアル

 「子どもは欲しいですか?」現代において、これほど女子同士で聞きにくい質問はないのではないだろうか。

 『私、子ども欲しいかもしれない。結婚・出産・育児の“どうしよう”をとことん考えてみました』(平凡社)は、「子どもが欲しい!!」と強く思った瞬間が一度もなかった犬山紙子氏が、自分は子どもを産みたいのかわからず、子どものいない独身・既婚の友人、出産して仕事復帰している友人、子どもを持たない先輩、子育て中の同性愛者など、さまざまな人に、子どもについての考えを聞いて、聞いて、聞きまくってまとめた1冊だ。 

 当たり前だが、人生いろいろ。最終的に産む決断をする人もいれば、産まない選択をする人もいる。そのリアルな本音が詰まっていることに、「まさにこれが知りたかった」と、Twitter上で反応したのが21歳のハヤカワ五味氏。現役大学生であり、胸が小さな人向けの品乳ブラ「feast」などのブランドをもつ会社「ウツワ」代表兼デザイナーだ。Twitterでのやりとりをきっかけに、都内で2人によるメディア向けの公開対談が行われた。いまの20代は結婚・出産をどう考えているのか? 女の友情は結婚・出産で変わるのか? この日語られた内容をレポートする。

■結婚、出産はネガティブなイメージ

 対談は、犬山氏による「20代前半の人たちは、結婚や出産について、どう思っている?」という質問からスタート。それに対してハヤカワ氏は次のように答えた。

「どちらかといえばネガティブなイメージを持っているな、というのは体感としてあります。単純に、自分が食べていくだけで精いっぱいなのに、子どもまで養えるだろうか? という不安。あとは、仕事と両立できるんだろうか? と考えてしまいます。結婚したいなと思ってたとしても、女子からだと話題に出しづらい面もあり、なかなか考えづらく、少し遠くの夢物語的に見てしまう雰囲気がありますね」

 ほとんど30代と変わらぬ不安を、すでに20代が抱いていることに驚かされるが、それに対し、犬山氏が「結婚への不安は、何によってかき立てられているんですか?」と質問すると、ハヤカワ氏からはこんな回答が。

「私たちの世代は親が共働きの場合も多いため、お母さんがすごく働いている家の子は、『私も将来働こう』と思っている子が多い傾向がある気がします。一方で、親とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、仕事でなかなかかまってもらえなかったりで、これと同じことを自分の子どもにしてもいいのか、と思っている人は多いですね」

 共働きがスタンダードでありながら、共働きに疑問も抱いている。専業主婦の母親が多かった30代、40代とは、まったく状況が違い、時代の流れを感じる。ハヤカワ氏の世代は、母親が働くことに関しては、多くの人がポジティブに捉えつつも、寂しかったという自身の経験から不安も感じているようだ。働く女性に対しては、こんな印象も。

「30代後半から40代の世代は、女性の社会進出が叫ばれていた当時、すごく頑張ってくださって、いま私たちが当たり前のように働けるようになった。それは本当にありがたいと思っています。ただ、あくまでイメージですが、いわゆるキャリアウーマンは、すごくすごく大変で、寝ずに仕事ひと筋で頑張ってきた、という印象が強すぎるんですよね。自分がそれになりたいのかな? 憧れるかな? と、ちょっとひっかかる部分はあると思います」

 ハヤカワさんによると、仕事とプライベートの両方を取るのは贅沢と捉える風潮もあるらしく、大学生世代はガンガン仕事をしたい派と、仕事をしたくない専業主婦になりたい派とに大きく二極化しているようだ。けれど、実際に結婚・出産を体験した犬山氏はこう語る。

「夫との関係性や、周りがどれだけ助けてくれるか、という環境によると思うんですけれども、結婚相手を選ぶ段階から、夫がどの程度ジェンダーとか関係なく、役割分担について考えられるのかを見ていれば、案外両立できると思う」

 ハヤカワ氏が感じているという“出産=時間のロス”で、仕事復帰しづらい問題についても、「ネットのネガティヴな情報がそのまま自分にも当てはまるのかと思ってしまって、仕事復帰できるかビビッていたが、『意外とできるじゃん』と思った」と話す。

 対談後、犬山氏に出産後の仕事の効率について聞いてみた。著書の中では、「原稿を書くスピードが1.5倍になった」と書かれている。

「それは、私が銭ゲバだからだと思うんですけど(笑)、子どもを預かってもらう時間には、お金が発生するんですよね。お金がこれだけ発生すると思うと、効率よくやらざるを得ない」

 現在は、数日に及ぶ地方出張こそあきらめるものの、仕事量は出産前とそれほど変わらないと言う。

「出産して、なくなった仕事もあるんですけれど、それはただの実力不足。その代わり新しく始まった仕事もありますし、求められる需要も変わっていきますよね」

 また、独身女性が気になる、結婚・出産による“女の友情”の変化については、遊ぶ頻度こそ減ったものの、自宅に招いて遊ぶことが多いので、ほとんど変わらないという。

「友人が未婚、既婚、子持ちは、あまり関係ないですね。私にはゲーム、ファッション、漫画、ゲスな話、仕事などのLINEグループがもともとあって、そこに子どもの話のグループが加わった感じです」

 ただ、恋愛の話がベースの密な付き合いの場合は、「あれ?」となることがあるかもしれないと、犬山氏は語る。結婚によって友人の関心事が変わったことへの寂しさや不安が原因でギクシャクし、マウンティングが発生してしまうことも。

「『女は笑顔で殴りあう:マウンティング女子の実態』(筑摩書房)の本を作る時に、瀧波ユカリ先生と話していて私が思ったのが、マウンティングしてしまう原因が、相手に対して感じる寂しさや不安の時は、愛情を伝えるのが一番だなあ、と。相手の良いところを思い浮かべて、それを伝えて『好きだよ』って言う。それができたら、負の感情のほうにはあまり進まないかと思います」

 また、「もしも、結婚や出産を機に『女の幸せは結婚、出産だから、あんたもそうしな』とか、『いいよね〜あんたは勝ち組だよね〜裏切り者だよね』みたいなことを言われたら、それは呪いなので、付き合い続けるか考えるのもよいと思います。ステージが変わって本性が出たのか、と。付き合う相手、結婚相手もそうですが、友情もメンテナンスが必要だし、ずっと長続きする相手とは長く付き合い、常に一緒にいないほうがいいなと思えば離れる、でいいと思います」とも、ズバリ。

 目の前に子どもがいれば、男と女、モテがどうのこうのよりは、子どもの話が多くなるだろうし、付き合う人が変わっていくのも当然のこと。そこは、時の流れに身を任せるしかないのかもしれない。

 本来、出産はものすごくおめでたいはずなのに、ネット上では、ネガティブな話が蔓延しやすい。犬山氏が「自分の人生がなくなっちゃうのでは――とビビッていたんですが、案外楽しく暮らせております」と語るように、実際のところは、出産後、多くの人が普通に幸せだったりするのかも?

 自慢と事実をしっかりかぎ分け、ポジティブな情報も上手に取り入れながら、自分の人生が楽しくなる選択をしたい。
(上浦未来)

犬山紙子(いぬやま・かみこ)
1981年大阪生まれ。イラストエッセイスト、愛犬家、愛酒家。トホホな生態を持つ美女たちを描いた『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。「週刊SPA!」(扶桑社)や「anan」(マガジンハウス)などで連載中。

ハヤカワ五味(ハヤカワ・ごみ)
1995年東京生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科4年。アパレルブランドfeast、feast secret、LAVISH GIRL、ダブルチャカの株式会社ウツワ代表取締役。エープラス所属。

好物は「芋焼酎と猫」、「甘い酒」は苦手――アラサーグラドル・今野杏南と考える“婚活”

 近年、ドラマや実録コミックエッセイなどで身近になった「結婚相談所」。しかし、結婚相談所へのファーストステップは実際どのような形で進むのか? 今回、大手結婚相談所「サンマリエ」がウェブ上で提供している「婚活結婚診断テスト」を、アラサーのグラビアアイドル・今野杏南さんと一緒に行った。

■嫁に行っても欠かせないのは猫と芋焼酎

――「婚活結婚診断テスト」ではいくつかの問題のあと、結婚相手に求める条件を書くフリー回答欄がありますが、今野さんはどんな条件を挙げますか?

今野杏南氏(以下、今野) 欠かせない条件は「猫が好きな人」ですね。私が猫を飼っていますので。あと「お酒が飲める、お酒が好き」な人がいいですね。私自身、飲む方なので。

――お酒の中でも、何を飲まれるんですか?

今野 芋焼酎が好きで、水割りで飲むことが多いですね。グラビア撮影で宮崎に行くときは赤霧島、白霧島を必ず買います。麦焼酎は癖がないといわれてるんですが、私は飲めなくて。お茶割りとかも苦手で、ウーロンハイを飲める人に憧れますね。ビールはおなかいっぱいになってしまうので、最初にレモンサワーを飲んでから芋、この流れですね。

――酒のチョイスが『酒場放浪記』ですね。逆に、「これをされると嫌!」という条件はありますか?

今野 「お前」って言う男性は嫌ですね。友達に言われても「お前って何だよ!?」ってイラっと来ます。引っ張ってくれる男性はむしろ好きなんですけど、「お前」はアウトですね。

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――お前って言われて喜ぶ女性は少ないですよね。

今野 条件と言えば、「結婚相手に求める条件を3つ挙げて」と3つ挙げてもらったあとで、「じゃあ、さらにもう一つ加えると何?」って聞いたときに挙がってきた条件こそが、本当は一番重視している項目……、というのがあるそうなんですね。うちの母親は、4番目の条件が「泳げる人」だったんです。父親は今も現役のサーファーなので、「泳げる人」だなと。

 私自身もべろべろに酔っぱらっているとき、友達からこの「4番目の条件」を出されて答えたのですが、それまでの真面目な答えと違ってぶっ飛んだ、ひどい答えでしたね(笑)。

――もしかして、下ネタでしたか?

今野 下ネタでしたね(笑)。

――サンマリエでは、千葉マリンスタジアムで千葉ロッテマリーンズが大好きな男女が集まる婚活イベントなどをしていますが、こんな婚活があるといいな、というのはありますか?

今野 やはり趣味だったり、好きなものが合うのは大切ですよね。私の場合「猫好き」はとても重視します。あと、数時間でイベントが終わるものより、もう少し長いものがあると、相手の人となりがわかっていいなって思うので、バスツアーなどで遠出できるといいですね。

――結婚相談所のイメージっていかがでしょうか?

今野 ドラマで身近になりましたよね。あと、結婚相談所でアドバイスするスタッフの方々ってすごいなって思います。一生の問題だし、安易なアドバイスはできないじゃないですか。

――サンマリエのベテランのアドバイザーさんいわく、年収などにこだわる人はやはりとても多いですが、「1000万円の年収」が「そのままあなたを幸せにするとは限らない」ということをお話ししながら、事前に本当に求める条件は何か、じっくり話し込むそうです。お仕事上、共演者さんなど素敵な人に会う機会が多いと思いますが、仕事で「いい!」と思う方、いますか?

今野 いますが、ただ、好きとか、つきあいたいとかいうより、現場に行くのがちょっと楽しくなる程度ですね。自分が仕事モードになっているのもありますが、子どもっぽいところがありまして、好きな先輩を廊下で見たときのドキドキ程度で満足しちゃう。少女漫画のウキウキドキドキを今もやっちゃうんですよね。

 そういう感覚が好きなので、少女マンガの壁ドンのところなんて何度も読み返します。おすすめなのは南波あつこ先生『青夏 Ao-Natsu』(講談社)です。南波先生のファンなんです。なんだか、「お前」はNGで壁ドンはOKみたいになっちゃいましたが、壁ドンも「漫画だからいい」んですよね(笑)。

――結婚について伺ってきましたが、結婚しない人生ももちろん選択肢にありますよね。その場合、どうやって生きていきたいですか?

今野 仕事を続けて、将来は今以上に猫を飼って猫屋敷に住みたいですね(笑)!

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 今回、今野さんが真剣に行った「婚活結婚診断テスト」。その結果には、「バイタリティがあり、バリバリ仕事をこなす男性」がパートナーにふさわしく、今野さん自身は「情にもろく世話好き」だという記述が見られた。ほかにも、酒飲みだと語ったセルフイメージとは異なる意外な一面も指摘され、自分の秘めた魅力に気づくきっかけになりそうだ。

 ちなみにこの「婚活結婚診断テスト」。数日後にサンマリエから封筒が送られてくる(なお、封筒はサンマリエから、という記載が一切ないシンプルなものなので、同居家族に婚活していることを知られたくない人も安心だ)。封筒の中身は「テスト結果のお知らせ」と、シミュレーションに基づいた男性が何人か紹介されている「ご紹介リスト」だ。ご紹介リストでは、気になる相手の「年収」「婚歴」欄ももちろん完備されている。

 結婚相談所というとマンツーで会うイメージが強いが、記事内でも触れた、野球観戦などある程度の人数の男女が同時に介するイベント型タイプのパーティーも開催されている。一方、集団だと焦ったり、臆してしまい力を発揮しづらい人は、スタンダードなマンツーで会う形でも進められて、選択肢は広い。芋焼酎をキメつつ、4番目の条件に思いをはせてみてはいかがだろうか。

・「サンマリエ」婚活結婚診断テスト

※当記事はPR記事です

かつてのワルが“立派な人”に!? 海老蔵への「世間の視線」に違和感を覚えるワケ

 かつては暴力事件や隠し子騒動など“ワル”な一面でマスコミを騒がせた市川海老蔵。しかし、最愛の妻・小林麻央さんとの結婚や、彼女の闘病生活と喪失を経て、すっかり“立派な人”に。あらゆる心の内を片っ端から吐露する海老蔵のブログは、依然として注目を浴び続けている。しかし、このような社会現象に必ずしも同調できない人もいるのではないだろうか? では、その違和感とは一体どこから来るのか? 『この国の息苦しさの正体 感情支配社会を生き抜く』(朝日新聞出版)の著者であり、精神科医として多数の著書を手がける和田秀樹先生に問うてみた。

■自身の人間性を疑われそうなことは、率直に言いにくい

 まず、和田先生によると、嫉妬には“ジェラシー”と“エンビー”の2種類あるという。自分より優れている人を前に「負けてたまるか」と自分自身を奮い立たせるプラスの嫉妬が“ジェラシー”。一方、その人をおとしめようと図ったり、誰かに容赦なく攻撃される姿を見て快感を覚えるなど、マイナスの嫉妬が“エンビー”だ。

 それを踏まえて、海老蔵に向けられている違和感は、次の2つの心理に基づくという。

「ひとつは“エンビー”を抱く人による違和感です。かつて隠し子報道などもあったように、海老蔵氏は過去にさんざん遊んでいた。また、おそらく今後も、さまざまな人からもてはやされることでしょう。海老蔵氏本人が何か特別にいいことをしたわけでもなく、ましてや真に改心したかもわからない。それなのに麻央さんの一件で同情される対象になることに、不快感を覚えるのです。

 もうひとつは“エンビー”を抱かない人による違和感です。もともと海老蔵氏を嫌っていた人が『遊び人だったくせに、今頃いい顔しやがって』と言いづらくなっている。自身の道徳観に反した同調圧力に対するストレスです。“空気を読む”ことが日本では美徳とされますから、自身の人間性を疑われそうなことは率直に言いにくい。そんな違和感は、比較的“正常”なものだと私は考えています」

 日本人には、かつて不良だった人が逆境を越えて“いい人”になる成長物語を好む傾向があるという。

「古くは『義経記』の書かれた室町時代から“負けてる方の肩を持つ”気質が日本人の国民性にあります。学歴詐称していた田中角栄や、暗黒時代の阪神タイガースもしかり。負けの美学が、日本人のメンタリティに根づいているのです。

 また真逆のケースで、“優等生からの転落”も大きく取り上げられる。最近では政治家・豊田真由子氏なんて最たるものですね。でも彼女にしても、優等生であることが悪いのではない。彼女が感情のコントロールをできなかったことに、深刻な問題があります。

 しかし、日本人は批判するとき、不良や優等生といった本人の経歴に絡める傾向があますね。結局のところ、多くの日本人には反優等生感情とともに、自身の学生時代には先生に反抗できなかったためか、不良に対する憧れがある。そんな人々が不良の成長を応援する一方で、優等生の失脚を『ざまあみろ』と批判するのです」

 海老蔵は、すっかり多くの人に同情される対象となった。しかし、本当に妻を思う人が、あれほどあけすけに、妻の病や死をブログに綴るだろうか?

「海老蔵氏のブログの内容は、(あまりにも私生活を公にしすぎており)旧来の日本人の美学には反するもので、炎上するのもやむを得ないでしょう。日本におけるインターネット社会は、現代の感覚では信じられないほど、昔の“ムラ意識”を引きずっていますから。

 僕自身もすごく不思議なのですが、ネットを“自分が正義の味方になる場”と捉える人は、ずいぶん多いですね。言われた側の心情なんて全く気に留めず、正論を振りかざし自己陶酔する。無論、海老蔵氏がそうとは限りませんが」

 情報の発信者も受け手も陥りかねない、ネットの闇である。では、海老蔵に対して、「ブログは金儲け目的だろう」と、受け手がひねくれた見方をしてしまうのはなぜなのか?

「大多数の人が、自身の生活に対して不満をくすぶらせているのが現状です。格差社会化に伴った、貧困の深刻化や非正規雇用者数の増加が原因のひとつです。個人の心がけだけでは、エンビーがまん延する状況は変わりません」

 やり場のない不満のはけ口を、常に探し求めている。そんな“弱い”立場に置かれた人々にとって、今回の一件を機にさらなる人気を集め、活動を広げていくであろう海老蔵は「ムカつく」存在なのだ。だからこそ、批判の標的や違和感の原因になるのだろう。
(門上奈央)

和田秀樹(わだ・ひでき)
東京大学医学部卒、精神科医。国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問、和田秀樹こころと体のクリニック院長。また映画監督の顔も持つ。『この国の息苦しさの正体 感情支配社会を生き抜く』(朝日新聞出版)ほか著書多数。

194万円の健康食品、朝9時から開店待ちも……「あかひげ薬局」を訪ねる人のさまざまな事情

 昭和62年から「男女精力百貨店」として、全国で精力剤を販売するパイオニア「あかひげ薬局」。前編から続いて、横浜店・佐藤慎一氏に話を伺っている。後編では、同社で取り扱う30日分で194万円という車が買えるレベルに高価な健康食品についてや、来店客の切実な悩みについて話を伺った。男性の塗る精力剤は竿に塗るのか袋に塗るのか。この原稿を読めば、それが理由とともにわかるだろう。

■男性の「塗る」精力剤は竿と袋のどちらに塗るのか?

――精力剤として飲み薬と塗り薬がありますが、これらの違いは何でしょうか?

佐藤慎一氏(以下佐藤) 飲み薬は主に小腸から吸収されるので効き目が早いです。一方、塗り薬は皮膚から血管に入るので内臓に負担がかからないですね。ですので、内臓が弱い方ですと塗り薬を紹介していますね。

――塗り薬は、いわゆる局部に塗るんですよね?

佐藤 はい。男性の場合「袋」の部分に塗るんです。袋の部分は柔らかくて吸収がいいのと、腸と一緒で広げると面積が広いためです。ちなみに、女性用ホルモンの内服剤(飲み薬)は、市販が認められていません。婦人科でのみ処方されます。ピルもそうですよね。ですので、当店でも女性用の精力剤は塗り薬のみを提供しています。

――女性が男性ホルモン、もしくは男性が女性ホルモンを服用したり、塗ることはあるのでしょうか?

佐藤 性同一性障害の方などではあるかもしれませんが、そういった目的で来店される方は多くはいらっしゃらないですね。ただ、外陰無毛症(陰部の毛が生えない)の女性の場合、治療として男性ホルモンを塗るという認可は下りています。

――あかひげ薬局の商品は「絶倫粉」「ストロングミサイル」など、攻め一直線のネーミングで素敵です。どなたが考えているのですか?

佐藤 弊社社長、内原茂樹です。医薬品の場合弊社の一存だけでは決められないのですが、健康食品に関しては攻めたネーミング展開をしています。※

※医薬品とは病気の予防や治療を目的とし、成分、効果、副作用、用法用量、安全性等の調査を行い、厚生労働大臣、都道府県の知事から承認を受けたもの。

――確かに、あかひげ薬局の商品ラインナップを見ても、医薬品のものは「ヘヤーグロン」「トノス」など控えめですね。(前編で触れた売れ筋商品「絶倫粉」は健康食品扱い)。

――横浜店は午前9時開店、午後10時閉店(日祝は午後8時閉店)です。しかし、「朝9時! 精力剤がほしい!」という方がいるのかなと……。

佐藤 いらっしゃいますよ。開店前から待たれている方もいます。「今日の夜、デートになったけど心配だから」という方もいらっしゃいます。さまざまな事情の方に対応できるよう、なるべく長い時間開けるようにしています。

――横浜店は繁華街、伊勢佐木町の大通りに面して入り口がありますが、目立たない裏手にもひっそりとした入り口を設けていますね。どちらの入り口から訪れる方が多いですか?

佐藤 7割以上のお客様が裏手からですね。店に入るまでは、なかなかハードルが高いと思います。

――外観はどの店舗も赤を基調にしていて派手ですが、中に入ると商品のネーミングが攻めているだけで、普通の薬局という雰囲気です。スタッフの皆さんが白衣を着ていて、風邪薬なども売っていて。

佐藤 「予約制ですか?」とたまに質問をいただきますが、予約制ではないのでお気軽に来ていただければと思います。

――いわゆる繁忙期はあるのでしょうか。

佐藤 10月から翌年の3月ぐらいまでが繁忙期に当たります。12月はクリスマスなどイベントもありますし、ボーナスも入りますからね。クリスマス前は多くの方がいらっしゃいます。また、今のような暑い時期ですと「性」というより「体の健康」のために強壮剤※などを買われる方も増えますね。

※強壮剤…男性、女性ホルモンの「強精剤」と違い、栄養ドリンクや漢方薬などのように「滋養強壮」を目的としたもの。強精剤と異なり、男女共用で服用できる。なお、バイアグラは「勃起剤(勃起薬)」。

■飲み物に数滴入れるタイプの商品も提供

――夫婦、カップルの来店は多いのでしょうか?

佐藤 さまざまですね。お二人でいらして飲まれる方もいらっしゃいますし、旦那さん、奥様のどちらか1人が来て「夫が妻に(妻が夫に)もっとやる気を出してほしい」と、やる気のないパートナーに「飲ませる」ためや「性交痛」で苦しむ奥様のためにご相談に来られるケースもありますよ。

――「相手が嫌がって飲みたがらないケース」もありそうですよね。

佐藤 はい。実際よくご相談を受けますね。「媚薬系を料理に入れてもいいか?」と、妊活中の奥様から聞かれるケースもあります。加熱で成分はそこまで変わりませんが、自然のものなので商品によっては若干匂い、風味はありますので、味の濃いものに混ぜてもらえればと思います。また、飲み物に垂らすタイプの「エロチックエクスタシー」も用意しています。

――飲んでから効くまでの時間はどのくらいなのでしょうか?

佐藤 商品によってまちまちですね。医薬品は30分から1時間で効果の出るものが一般的です。

――あかひげ薬局で相談される、男性・女性で多い悩みはなんでしょうか?

佐藤 男女別というより共通しており、性欲減退、精力減退、性感減退、勃起力減退(女性の場合はクリトリスが感じないなど)ですね。やっぱり、もともとは体の健康なんですよね。ストレスがあると精力減退になりますし、また、性欲は消費しないと循環しません。元気がなくなって性交の回数がなくなると、ますますその気がなくなってしまうんですよね。セックスレスがますますセックスレスを呼んでしまいます。

 妊活の場合は特に難しく、女性側があまり「子ども子ども」となって「この日は妊娠しやすいから!」となると「作業」になってしまい、男性側は引いてしまうというのはあると思いますし、実際にお客様からよくご相談を受けますね。

――今までで印象的だったお客さんや、佐藤店長が仕事をしていて、うれしく感じた瞬間について教えてください。

佐藤 70歳後半くらいのお客様が、50歳くらいの息子さんを紹介してくれたケースがありましたね。あまり親子でそういう話をすることって少ないですから、いいなあ、と思ったのでよく覚えています。

 うれしいのは、お客様からお礼の言葉をいただいたときですね。高齢のご夫婦の方から、お礼にと菓子折りをいただいたこともあり、感激しました。弊社では「元気になるもの」を販売していますから、結果を出すことが大切ですので。

――確かに、ビタミン剤は「なんとなく飲んでる」でもいいですが、精力剤の場合ですと明確な「成果」が求められますよね。販売されている中で、一番高い商品は何でしょうか?

佐藤 「高天原精力源」です。約30日分で194万4,000円ですね。

――日産「マーチ」より高いんですね。

佐藤 高額ですが人気があり、リピータ―の方も多いです。弊社のオーナーが、最高の健康食品を作ろうと開発した商品で、真珠やゴウカイ、イッカクの角など「古来から良い」といわれるものをすべて入れた珠玉の商品ですよ。

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 取材後、編集Y氏と私はあかひげ薬局でそのまま強壮剤のドリンクを購入した。Y氏はジャニーズコンサートの前に飲むと言っており、膝を打った。萌えたい直前に強壮剤。有意義すぎる使い方だ。鼻血も吹き出る勢いで、さぞかしいい夢が見られるだろう。
(石徹白 未亜)

194万円の健康食品、朝9時から開店待ちも……「あかひげ薬局」を訪ねる人のさまざまな事情

 昭和62年から「男女精力百貨店」として、全国で精力剤を販売するパイオニア「あかひげ薬局」。前編から続いて、横浜店・佐藤慎一氏に話を伺っている。後編では、同社で取り扱う30日分で194万円という車が買えるレベルに高価な健康食品についてや、来店客の切実な悩みについて話を伺った。男性の塗る精力剤は竿に塗るのか袋に塗るのか。この原稿を読めば、それが理由とともにわかるだろう。

■男性の「塗る」精力剤は竿と袋のどちらに塗るのか?

――精力剤として飲み薬と塗り薬がありますが、これらの違いは何でしょうか?

佐藤慎一氏(以下佐藤) 飲み薬は主に小腸から吸収されるので効き目が早いです。一方、塗り薬は皮膚から血管に入るので内臓に負担がかからないですね。ですので、内臓が弱い方ですと塗り薬を紹介していますね。

――塗り薬は、いわゆる局部に塗るんですよね?

佐藤 はい。男性の場合「袋」の部分に塗るんです。袋の部分は柔らかくて吸収がいいのと、腸と一緒で広げると面積が広いためです。ちなみに、女性用ホルモンの内服剤(飲み薬)は、市販が認められていません。婦人科でのみ処方されます。ピルもそうですよね。ですので、当店でも女性用の精力剤は塗り薬のみを提供しています。

――女性が男性ホルモン、もしくは男性が女性ホルモンを服用したり、塗ることはあるのでしょうか?

佐藤 性同一性障害の方などではあるかもしれませんが、そういった目的で来店される方は多くはいらっしゃらないですね。ただ、外陰無毛症(陰部の毛が生えない)の女性の場合、治療として男性ホルモンを塗るという認可は下りています。

――あかひげ薬局の商品は「絶倫粉」「ストロングミサイル」など、攻め一直線のネーミングで素敵です。どなたが考えているのですか?

佐藤 弊社社長、内原茂樹です。医薬品の場合弊社の一存だけでは決められないのですが、健康食品に関しては攻めたネーミング展開をしています。※

※医薬品とは病気の予防や治療を目的とし、成分、効果、副作用、用法用量、安全性等の調査を行い、厚生労働大臣、都道府県の知事から承認を受けたもの。

――確かに、あかひげ薬局の商品ラインナップを見ても、医薬品のものは「ヘヤーグロン」「トノス」など控えめですね。(前編で触れた売れ筋商品「絶倫粉」は健康食品扱い)。

――横浜店は午前9時開店、午後10時閉店(日祝は午後8時閉店)です。しかし、「朝9時! 精力剤がほしい!」という方がいるのかなと……。

佐藤 いらっしゃいますよ。開店前から待たれている方もいます。「今日の夜、デートになったけど心配だから」という方もいらっしゃいます。さまざまな事情の方に対応できるよう、なるべく長い時間開けるようにしています。

――横浜店は繁華街、伊勢佐木町の大通りに面して入り口がありますが、目立たない裏手にもひっそりとした入り口を設けていますね。どちらの入り口から訪れる方が多いですか?

佐藤 7割以上のお客様が裏手からですね。店に入るまでは、なかなかハードルが高いと思います。

――外観はどの店舗も赤を基調にしていて派手ですが、中に入ると商品のネーミングが攻めているだけで、普通の薬局という雰囲気です。スタッフの皆さんが白衣を着ていて、風邪薬なども売っていて。

佐藤 「予約制ですか?」とたまに質問をいただきますが、予約制ではないのでお気軽に来ていただければと思います。

――いわゆる繁忙期はあるのでしょうか。

佐藤 10月から翌年の3月ぐらいまでが繁忙期に当たります。12月はクリスマスなどイベントもありますし、ボーナスも入りますからね。クリスマス前は多くの方がいらっしゃいます。また、今のような暑い時期ですと「性」というより「体の健康」のために強壮剤※などを買われる方も増えますね。

※強壮剤…男性、女性ホルモンの「強精剤」と違い、栄養ドリンクや漢方薬などのように「滋養強壮」を目的としたもの。強精剤と異なり、男女共用で服用できる。なお、バイアグラは「勃起剤(勃起薬)」。

■飲み物に数滴入れるタイプの商品も提供

――夫婦、カップルの来店は多いのでしょうか?

佐藤 さまざまですね。お二人でいらして飲まれる方もいらっしゃいますし、旦那さん、奥様のどちらか1人が来て「夫が妻に(妻が夫に)もっとやる気を出してほしい」と、やる気のないパートナーに「飲ませる」ためや「性交痛」で苦しむ奥様のためにご相談に来られるケースもありますよ。

――「相手が嫌がって飲みたがらないケース」もありそうですよね。

佐藤 はい。実際よくご相談を受けますね。「媚薬系を料理に入れてもいいか?」と、妊活中の奥様から聞かれるケースもあります。加熱で成分はそこまで変わりませんが、自然のものなので商品によっては若干匂い、風味はありますので、味の濃いものに混ぜてもらえればと思います。また、飲み物に垂らすタイプの「エロチックエクスタシー」も用意しています。

――飲んでから効くまでの時間はどのくらいなのでしょうか?

佐藤 商品によってまちまちですね。医薬品は30分から1時間で効果の出るものが一般的です。

――あかひげ薬局で相談される、男性・女性で多い悩みはなんでしょうか?

佐藤 男女別というより共通しており、性欲減退、精力減退、性感減退、勃起力減退(女性の場合はクリトリスが感じないなど)ですね。やっぱり、もともとは体の健康なんですよね。ストレスがあると精力減退になりますし、また、性欲は消費しないと循環しません。元気がなくなって性交の回数がなくなると、ますますその気がなくなってしまうんですよね。セックスレスがますますセックスレスを呼んでしまいます。

 妊活の場合は特に難しく、女性側があまり「子ども子ども」となって「この日は妊娠しやすいから!」となると「作業」になってしまい、男性側は引いてしまうというのはあると思いますし、実際にお客様からよくご相談を受けますね。

――今までで印象的だったお客さんや、佐藤店長が仕事をしていて、うれしく感じた瞬間について教えてください。

佐藤 70歳後半くらいのお客様が、50歳くらいの息子さんを紹介してくれたケースがありましたね。あまり親子でそういう話をすることって少ないですから、いいなあ、と思ったのでよく覚えています。

 うれしいのは、お客様からお礼の言葉をいただいたときですね。高齢のご夫婦の方から、お礼にと菓子折りをいただいたこともあり、感激しました。弊社では「元気になるもの」を販売していますから、結果を出すことが大切ですので。

――確かに、ビタミン剤は「なんとなく飲んでる」でもいいですが、精力剤の場合ですと明確な「成果」が求められますよね。販売されている中で、一番高い商品は何でしょうか?

佐藤 「高天原精力源」です。約30日分で194万4,000円ですね。

――日産「マーチ」より高いんですね。

佐藤 高額ですが人気があり、リピータ―の方も多いです。弊社のオーナーが、最高の健康食品を作ろうと開発した商品で、真珠やゴウカイ、イッカクの角など「古来から良い」といわれるものをすべて入れた珠玉の商品ですよ。

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 取材後、編集Y氏と私はあかひげ薬局でそのまま強壮剤のドリンクを購入した。Y氏はジャニーズコンサートの前に飲むと言っており、膝を打った。萌えたい直前に強壮剤。有意義すぎる使い方だ。鼻血も吹き出る勢いで、さぞかしいい夢が見られるだろう。
(石徹白 未亜)