『奥様は、取り扱い注意』より怖い!? 監禁された娘が語る「私を助けた意外な人物」

 綾瀬はるか主演の連続ドラマ『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)。綾瀬演じる主人公・伊佐山菜美は、特殊工作員という過去を持つ専業主婦で、同じセレブ住宅街に暮らす、主婦友の大原優里(広末涼子)や佐藤京子(本田翼)とともに、主婦の間で起きるさまざまなトラブルを解決していくストーリーだ。

 10月25日放送の第4話では、菜美が優里、京子と一緒に、町内の豪邸に住む主婦・美佐子(星野真里)が開く「読書会」に参加する。美佐子の息子・悠斗に会った菜美は、夫の勇輝(西島秀俊)に「子どもが欲しい」と言おうとするが、はぐらかされてしまう。数日後、悠斗が誘拐される事件が発生。犯人は翌日までに1億円支払うよう要求、「警察に通報したら息子を殺す」と脅迫してきたところを、菜美が助けようとする……という展開だ。

 誘拐ではなかったが、監禁され、犯人から脅迫を受けるというトラブルに巻き込まれた女性、アイリさん(仮名・20歳)。家族の力によって果たされた脱出劇について語ってくれた。

アイリさんは高校生の時、家の事情からキャバクラで働いていた。当時、彼女の住む地域には、18歳未満を雇う違法キャバクラがあったという。

「私が16歳の時に、父が病気で他界しました。私は三姉妹の長女なので、家計を助けようとアルバイトを始めたのですが、母は心労から徐々にアルコールに溺れるようになったのです」

 家に帰るといつも酒を飲んでいる母を、初めは仕方ないと思った。だが次第に嫌気が差し、友人の家を泊まり歩く生活を送るようになる。そんな時、街で声を掛けられたのが、キャバクラのスカウトだったという。

「高校生の私でも働けて、寮にも入れると言われました。すぐ働くことになり、学校へも行かなくなったのです。そんな時、母から『再婚したので、家に戻ってこい』と連絡がありました。再婚相手を聞くと、なんとヤクザだと言うんです。母のアルコール依存はマシになっていたようですが、見ず知らずで、しかもヤクザの義父と暮らしたくなかったので、帰りませんでした」

 キャバクラの寮に入り、週5日働くようになったアイリさん。しかし数カ月働いた頃、店に対して徐々に不信感を募らせるようになったという。

「給料が遅れていたんです。店長に聞いてもうまくはぐらかされ、1カ月で数万円しかもらえないこともありました。50万円ほどの未払いがあったと思います。このまま働いてもらちが明かないと思い、店長に退店を告げました」

 アイリさんの言葉を聞いて店長がとったのは、思いがけない行動だった。

「『今辞めたら、給料は払わない』と脅され、寮に監禁されました。携帯電話を奪われ、従業員に交代で寮の出入り口を見張られました。暴力などはありませんでしたが、外出はおろか、出勤もさせてもらえません。『もし通報すれば、未成年のお前たちも捕まるぞ』『店のバックには、ヤクザが付いているから逃げられない』と脅され、警察にも行けそうにありませんでした。私以外の未成年のキャストにも、未払いがあったようです。3日後、隙を見て逃げ出したのですが、すぐに見つかって連れ戻されました」

 アイリさんを助けたのは、意外な人物だった。

「連れ戻された時、偶然近くに住んでいた同級生が見ていて、実家に連絡してくれたそうです。それを聞いた義父が『話をつけてやる』と、店に乗り込んできました。後から聞いたところでは、義父は、キャバクラや飲食店や不動産業を仕切るのは『企業ヤクザ』だと言っていました。義父のような本物のヤクザ(暴力団の構成員)は店を持つことができないので、経営は企業ヤクザにやらせるそうです。ヤクザは名刺1枚出すことも脅迫になってしまうので、『相手がケツモチを出してこない限り、こっちも出ることができない』とも言われました。しかし、店長がケツモチの組の名を出したので、義父も出ることができたのです。結局、支払われた給料50万円のうち、20万円は義父のシノギ(収入)になりましたが……」

 現在は1人暮らしをしているアイリさん。実家には時々帰るが、母や義父との仲は良好だという。すでにカタギになったという義父のことを、アイリさんはどう思っているのだろうか?

「ヤクザだった義父が解決してくれたことには感謝しています。義父からは今も『また、未払いトラブルがあったら、いつでも言ってこい』と言われています。義父に頼むとシノギも取られますけどね。今は、変な店では働かないようにしています」
(カワノアユミ)

レゴランドが見習うべき、V字回復テーマパーク――「サンリオ」「ハウステンボス」の秘策

(前編はこちら)

 レゴランド・ジャパンの事業主体は、イギリスのマーリン・エンターテイメンツグループ。マダム・タッソー館など、ヨーロッパを中心に中小のテーマパークを所有している。テーマパーク経営を研究している、東京経営短期大学専門講師の中島恵氏は、「マーリンはよく、ヨーロッパで潰れたテーマパークを買い取って再建しています。再建といっても、細々とではあるでしょうが、ヨーロッパではディズニーランドを経験している人が少ないので、日本ではとてもじゃないけどやっていけないテーマパークでも、生き残っているのが現状です。ディズニーランドを知らない頃の日本人は、デパートの屋上の小規模なテーマパークでもそれなりに楽しめたのです」と語る。

 そんなマーリンが事業主体となっているレゴランド。中島氏は、客足が伸び悩む要因について、規模の小ささを指摘する。

「2時間もあれば全てのアトラクションに乗れてしまうのは、ディズニーランドで丸1日遊ぶということに慣れた日本人には物足りないはず。また、そもそも多くの人は、遊園地やテーマパークに、『丸1日過ごす場所』といったイメージを持っているため、レゴランドは物足りないと感じてしまうのかもしれません。にもかかわらず、入場料はディズニーランド並みとあって、人が集まりにくいのでは」

 ちなみに、レゴランドはマレーシアでは成功しているという。ディズニーランドへ行ったことのある人がほとんどおらず、また高度成長期にある同国の人々は、「ヨーロッパの先進国のテーマパークに行きたい」という思いが強く、さらにそれほどエンターテインメントの分散化が進んでいないため、「年間200万人の来場者数を誇っている」(中島氏、以下同)という。

「冬でも気候が温暖なマレーシアなので、ジャングルのような大型プールがメインのレゴランドになっています。“南国にリゾートプールを作って当たっている”という感じですね。ただ、日本のレゴランドには、こうした目玉となるプールのようなものは今のところありません」

 そんなレゴランドが参考にしたいのは、経営難に陥りながらも、V字回復を見せたテーマパークだ。中島氏はその1つに、サンリオピューロランドを挙げる。ハローキティをはじめとする、サンリオのキャラクターに触れ合える同所は、もともと小さな子どもとその親を対象にしていたが、集客力をアップするために、イケメン若手俳優ファンの女性をターゲットに。2015年には、「日本2.5次元ミュージカル協会」の理事としても活動するネルケプランニングとコラボし、初の男性だけのミュージカル『ちっちゃな英雄(ヒーロー)』を製作した。

「屋内施設だけに、大型ジェットコースターなどをつくることもできず、今あるアトラクションも子ども向けの小型のもの。そこで目をつけたのが、イケメン若手俳優ファンの女性でした。小さな会場だけに、イケメン俳優を間近で見られ、さらには握手や写真撮影もできるとあって、人気を博しています。サンリオ側としては、テーマが崩れて少々複雑な心境かもしれませんが……」

 同様に、長崎のハウステンボスでは、宝塚歌劇団やOSK日本歌劇団のOGなどによるショー『歌劇 ザ・レビュー ハウステンボス』を上演し、ファンを呼び込んでいる。「ハウステンボスパスポート」を持っている人は無料、「ハウステンボス散策チケット」を持っている人は1回500円、さらに良席で公演を楽しみたい人は、プラス500~1,000円を支払うシステムで、宝塚音楽学校を彷彿とさせる「ハウステンボス歌劇学院」という舞台人育成の学校も14年に誕生している。

「どこのテーマパークも、『テーマにこだわっていられない』状況なのでしょう。あのユニバーサル・スタジオ・ジャパンでさえ、アニメ『進撃の巨人』や『ワンピース』とコラボをしていますからね。現在の日本でテーマにこだわっているのは、ディズニーランドくらいでは」

 また、ハウステンボスは、旅行代理店HISの創業社長に再建を依頼し、資金注入や旅行ツアーにハウステンボスを組み込んでもらったことで、復活を遂げている。

「HISのおかげで、ハウステンボスは『ロボットの王国』を作りました。人工知能のロボットを導入した『変なホテル』『変なレストラン』といった施設、ドローンを飛ばすショーなど、ハイテク拠点となっています。資金注入だけでなく、HISの旅行ツアーにハウステンボスを組み込み、国内外から集客をアップさせているのも注目したいところ。レゴランドの事業主体であるマーリンも資金力がある企業なのですが、2020年の東京オリンピックに向けて日本では建設ラッシュが続いており、日本は世界で最も建設資材と建設作業員の人件費が高騰している国の一つとなっています。そんな背景があるだけに、マーリンがレゴランドにどれだけ投資する気なのか、興味深いですね」

 マーリンは18年に、レゴランド近くに水族館「SEA LIFE」を開業予定。しかし、同所から数キロ離れた場所に、地元民には馴染み深い名古屋港水族館があるため、すでに先行きが不安視されている。果たしてレゴランドは成功を収めることができるのか。注目していきたい。

中島恵(なかじま・めぐみ)
東京経営短期大学総合経営学科専門講師。ディズニーランドやユニバーサル・スタジオを中心にテーマパークの経営戦略の研究をしている。『テーマパーク経営論 ‐映画会社の多角化編‐』(三恵社)『テーマパークの施設経営』(同)など著書多数。12月11日に、最新刊『なぜ日本だけディズニーランドとUSJが「大」成功したのか?』(同)を発売予定。

レゴランドが見習うべき、V字回復テーマパーク――「サンリオ」「ハウステンボス」の秘策

(前編はこちら)

 レゴランド・ジャパンの事業主体は、イギリスのマーリン・エンターテイメンツグループ。マダム・タッソー館など、ヨーロッパを中心に中小のテーマパークを所有している。テーマパーク経営を研究している、東京経営短期大学専門講師の中島恵氏は、「マーリンはよく、ヨーロッパで潰れたテーマパークを買い取って再建しています。再建といっても、細々とではあるでしょうが、ヨーロッパではディズニーランドを経験している人が少ないので、日本ではとてもじゃないけどやっていけないテーマパークでも、生き残っているのが現状です。ディズニーランドを知らない頃の日本人は、デパートの屋上の小規模なテーマパークでもそれなりに楽しめたのです」と語る。

 そんなマーリンが事業主体となっているレゴランド。中島氏は、客足が伸び悩む要因について、規模の小ささを指摘する。

「2時間もあれば全てのアトラクションに乗れてしまうのは、ディズニーランドで丸1日遊ぶということに慣れた日本人には物足りないはず。また、そもそも多くの人は、遊園地やテーマパークに、『丸1日過ごす場所』といったイメージを持っているため、レゴランドは物足りないと感じてしまうのかもしれません。にもかかわらず、入場料はディズニーランド並みとあって、人が集まりにくいのでは」

 ちなみに、レゴランドはマレーシアでは成功しているという。ディズニーランドへ行ったことのある人がほとんどおらず、また高度成長期にある同国の人々は、「ヨーロッパの先進国のテーマパークに行きたい」という思いが強く、さらにそれほどエンターテインメントの分散化が進んでいないため、「年間200万人の来場者数を誇っている」(中島氏、以下同)という。

「冬でも気候が温暖なマレーシアなので、ジャングルのような大型プールがメインのレゴランドになっています。“南国にリゾートプールを作って当たっている”という感じですね。ただ、日本のレゴランドには、こうした目玉となるプールのようなものは今のところありません」

 そんなレゴランドが参考にしたいのは、経営難に陥りながらも、V字回復を見せたテーマパークだ。中島氏はその1つに、サンリオピューロランドを挙げる。ハローキティをはじめとする、サンリオのキャラクターに触れ合える同所は、もともと小さな子どもとその親を対象にしていたが、集客力をアップするために、イケメン若手俳優ファンの女性をターゲットに。2015年には、「日本2.5次元ミュージカル協会」の理事としても活動するネルケプランニングとコラボし、初の男性だけのミュージカル『ちっちゃな英雄(ヒーロー)』を製作した。

「屋内施設だけに、大型ジェットコースターなどをつくることもできず、今あるアトラクションも子ども向けの小型のもの。そこで目をつけたのが、イケメン若手俳優ファンの女性でした。小さな会場だけに、イケメン俳優を間近で見られ、さらには握手や写真撮影もできるとあって、人気を博しています。サンリオ側としては、テーマが崩れて少々複雑な心境かもしれませんが……」

 同様に、長崎のハウステンボスでは、宝塚歌劇団やOSK日本歌劇団のOGなどによるショー『歌劇 ザ・レビュー ハウステンボス』を上演し、ファンを呼び込んでいる。「ハウステンボスパスポート」を持っている人は無料、「ハウステンボス散策チケット」を持っている人は1回500円、さらに良席で公演を楽しみたい人は、プラス500~1,000円を支払うシステムで、宝塚音楽学校を彷彿とさせる「ハウステンボス歌劇学院」という舞台人育成の学校も14年に誕生している。

「どこのテーマパークも、『テーマにこだわっていられない』状況なのでしょう。あのユニバーサル・スタジオ・ジャパンでさえ、アニメ『進撃の巨人』や『ワンピース』とコラボをしていますからね。現在の日本でテーマにこだわっているのは、ディズニーランドくらいでは」

 また、ハウステンボスは、旅行代理店HISの創業社長に再建を依頼し、資金注入や旅行ツアーにハウステンボスを組み込んでもらったことで、復活を遂げている。

「HISのおかげで、ハウステンボスは『ロボットの王国』を作りました。人工知能のロボットを導入した『変なホテル』『変なレストラン』といった施設、ドローンを飛ばすショーなど、ハイテク拠点となっています。資金注入だけでなく、HISの旅行ツアーにハウステンボスを組み込み、国内外から集客をアップさせているのも注目したいところ。レゴランドの事業主体であるマーリンも資金力がある企業なのですが、2020年の東京オリンピックに向けて日本では建設ラッシュが続いており、日本は世界で最も建設資材と建設作業員の人件費が高騰している国の一つとなっています。そんな背景があるだけに、マーリンがレゴランドにどれだけ投資する気なのか、興味深いですね」

 マーリンは18年に、レゴランド近くに水族館「SEA LIFE」を開業予定。しかし、同所から数キロ離れた場所に、地元民には馴染み深い名古屋港水族館があるため、すでに先行きが不安視されている。果たしてレゴランドは成功を収めることができるのか。注目していきたい。

中島恵(なかじま・めぐみ)
東京経営短期大学総合経営学科専門講師。ディズニーランドやユニバーサル・スタジオを中心にテーマパークの経営戦略の研究をしている。『テーマパーク経営論 ‐映画会社の多角化編‐』(三恵社)『テーマパークの施設経営』(同)など著書多数。12月11日に、最新刊『なぜ日本だけディズニーランドとUSJが「大」成功したのか?』(同)を発売予定。

帝劇のファッションマナー論争……実は「ツアーTシャツ、痛バ」も問題なし!?

 東京・有楽町・日比谷エリアにある帝国劇場、通称・帝劇。明治44年、日本最初の近代的洋式劇場として創設された帝劇は、現在、日本を代表する劇場の1つとして広く知られている。1年を通してさまざまなミュージカルが上演され、「帝劇=日本ミュージカルの聖地」と見る者も少なくない。

 そんな帝劇に関して、ネットを中心に議論されているのが、“観劇時のファッションマナー”。帝劇に、“格式ある劇場”というイメージを抱いている人は少なくないだけに、ジャージやTシャツなどのラフな格好、また露出度の高い派手すぎる格好で来場する人たちに対し、「ふさわしくないのでは?」といった議論が巻き起こっているのである。

 さらに、特定のファンの間では、さらにこの議論が活発化している。帝劇では、堂本光一主演の『Endless SHOCK』、KAT‐TUN・亀梨和也やKis-My-Ft2・玉森裕太らが主演を務めてきた『DREAM BOYS』、またジャニーズJr.が一挙に介する『JOHNNYS’YOU&ME IsLAND(ジャニーズYOU&ME アイランド)』など、ジャニーズ事務所所属タレントがメインの舞台が頻繁に上演されている。また、昨年夏の『王家の紋章』に宮野真守、今年夏の『ビューティフル』に水樹奈々など、人気声優が帝劇のステージに立つこともある。

 そんな中、帝劇に訪れたファンの中に、彼らのツアーTシャツを着用していた者がいたと、ネット上で波紋を呼んだのだ。「帝劇はコンサート会場ではない」「ほかの出演者の方に失礼」「マナー違反」といった声が飛び交う一方、「Tシャツを着ていること自体は誰の迷惑にもなっていないと思う」「ファンが勝手にルールを作るのは息苦しい」などの反論も。さらに、帝劇に出演する声優が演じるアニメキャラクターの“痛バッグ”(推しキャラの缶バッチやぬいぐるみなどをあしらった「痛々しいバッグ」の意味)を持っていたファンに批判の声が渦巻くなどの炎上が起こったこともある。

 では、実際に、帝劇側は観劇のファッションマナーに関してどのような考えを持っているのだろうか。帝劇を運営する東宝演劇部宣伝室に問い合わせをしたところ、帝劇オフィシャルサイトの「よくあるご質問」にある「ドレスコードはありますか?」で記載している通りだといい、「それ以上のコメントは特にございません」との回答を得た。

 実際にサイトを確認してみると、「ドレスコードはございません。お客様のくつろげる装いでお気軽にお越しくださいませ。しかしながら、他にご観劇をされるお客様も多くいらっしゃいますので、他のお客様のご観劇の妨げにならないような装いを意識していただけますと幸いでございます。例:後方のお客様にご迷惑になるような髪型・髪飾り 背もたれに背中がつかず、前のめり姿勢になる恐れのある厚めの帯の着物など」とある。

 来場者の良識が問われる内容だけに、判断に悩む部分もあるが、これまで3000回以上劇場に通い、観劇マナーに関する番組にも出演する演劇ライターの上村由紀子氏は、この問題にどのような考えを持っているのだろうか。

 まず、上村氏は、観劇時のファッションに関する議論が起こる背景について、「普段あまり舞台の仕事をしないキャストが出演すると、観劇に慣れていないファンの方が劇場に訪れることが増えます。すると、既存の舞台ファンとの間に温度差が生じて、マナー問題で揉めやすいという面があると思います」と語る。

 確かに、帝劇という場所に思い入れがある人ほど、軽装や露出度の高いファッションに「ふさわしくない」という思いを抱きやすいかもしれない。しかし上村氏は、「周囲の観客に迷惑でなければ問題はない」と考えているといい、ただし、「個人的には、ジャージや肌を露出した服だと、劇場内で目立ちますし、浮いてしまいますから、『それでも構わないという強い心を持っているなら思いを通すのもアリ』という感じです。それに、劇場内は空調が効いているので、肌を出していると寒くてツラいですよ」(上村氏、以下同)。

 また、出演者のツアーTシャツを着てくる行為に関しては、「『ほかの出演者の方に失礼』という意見もあるようですが、そこまでの心遣いができるのは素晴らしいこと。『マナー完璧!』と感動します。ただ一方で、ツアーTシャツ自体が迷惑をかけるわけではないので、それを着ることで、その人自身の気持ちがアガるというのなら、特に問題はないと思います」とのこと。

 さらに、ネット上で猛批判を浴びていた“痛バッグ”に関しても、「缶バッチの音がうるさくなければ」といった点に気をつければ、帝劇に持っていくのも問題はないと語る。

「『王家の紋章』に声優の宮野さんが出演された際、“痛バッグ”を持ったファンの方がいて、ネット上で物議を醸していました。そういったファンのせいで『宮野さんが恥ずかしい思いをする』といわれていたようですが、宮野さんご自身はおおらかでファンを大切にする方ですので、むしろファン同士がいざこざを起こす方が心を痛める気も。それに“痛バッグ”以上に、出待ちの際に撮影禁止の俳優さんに対して勝手に写真や動画を撮る、洋服等を触るといった行為の方が問題視されるべきではないでしょうか」

 帝劇でのファッションマナーに関しては、「ロイヤルホストで晩ごはんを食べられる格好」を意識していれば問題ないとのこと。

「ファミレスの中ではちょっとグレードの高いロイヤルホストに行く服装をイメージしてもらえれば。なので、デニムやサンダルでももちろんOK。帝劇に行くのは就職試験に行くのとは違いますから。それに、ここ5年で観劇マナーはかなり向上している印象もありますし、演劇界に新しいファンを呼び込むためにも、そんなに締め付ける必要はないと思っています」

 上村氏は、「ちゃんとした服装をしていても、人に迷惑をかけるマナー違反をしている人がいて、そちらの方が問題」という。観劇時において「高さ(後ろの席の人が見えにくくなるようなお団子や盛り髪、帽子など)」「匂い(香水やハンドクリーム、また汗の匂いなど)」「光(スマホ画面、照明を反射するスパンコールの服など)」「音(スマホの着信&バイブ音、ダウンジャケットの“シャカシャカ”音、ビニール袋の“ガサガサ”音など)」の4つを出さないことを心がけるべきとし、また「大きな荷物や、かさばるダウンやコート類なども邪魔になるので、劇場内のクロークやロッカーに預けるといいと思います。劇場のサービスで利用できるものはどんどん利用しましょう」と語る。

 帝劇でのファッションマナー問題は、今後もネット上で議論を呼ぶだろうが、その際は「果たしてそれは、人に迷惑をかけているのか?」という視点を持つべきかもしれない。

帝劇のファッションマナー論争……実は「ツアーTシャツ、痛バ」も問題なし!?

 東京・有楽町・日比谷エリアにある帝国劇場、通称・帝劇。明治44年、日本最初の近代的洋式劇場として創設された帝劇は、現在、日本を代表する劇場の1つとして広く知られている。1年を通してさまざまなミュージカルが上演され、「帝劇=日本ミュージカルの聖地」と見る者も少なくない。

 そんな帝劇に関して、ネットを中心に議論されているのが、“観劇時のファッションマナー”。帝劇に、“格式ある劇場”というイメージを抱いている人は少なくないだけに、ジャージやTシャツなどのラフな格好、また露出度の高い派手すぎる格好で来場する人たちに対し、「ふさわしくないのでは?」といった議論が巻き起こっているのである。

 さらに、特定のファンの間では、さらにこの議論が活発化している。帝劇では、堂本光一主演の『Endless SHOCK』、KAT‐TUN・亀梨和也やKis-My-Ft2・玉森裕太らが主演を務めてきた『DREAM BOYS』、またジャニーズJr.が一挙に介する『JOHNNYS’YOU&ME IsLAND(ジャニーズYOU&ME アイランド)』など、ジャニーズ事務所所属タレントがメインの舞台が頻繁に上演されている。また、昨年夏の『王家の紋章』に宮野真守、今年夏の『ビューティフル』に水樹奈々など、人気声優が帝劇のステージに立つこともある。

 そんな中、帝劇に訪れたファンの中に、彼らのツアーTシャツを着用していた者がいたと、ネット上で波紋を呼んだのだ。「帝劇はコンサート会場ではない」「ほかの出演者の方に失礼」「マナー違反」といった声が飛び交う一方、「Tシャツを着ていること自体は誰の迷惑にもなっていないと思う」「ファンが勝手にルールを作るのは息苦しい」などの反論も。さらに、帝劇に出演する声優が演じるアニメキャラクターの“痛バッグ”(推しキャラの缶バッチやぬいぐるみなどをあしらった「痛々しいバッグ」の意味)を持っていたファンに批判の声が渦巻くなどの炎上が起こったこともある。

 では、実際に、帝劇側は観劇のファッションマナーに関してどのような考えを持っているのだろうか。帝劇を運営する東宝演劇部宣伝室に問い合わせをしたところ、帝劇オフィシャルサイトの「よくあるご質問」にある「ドレスコードはありますか?」で記載している通りだといい、「それ以上のコメントは特にございません」との回答を得た。

 実際にサイトを確認してみると、「ドレスコードはございません。お客様のくつろげる装いでお気軽にお越しくださいませ。しかしながら、他にご観劇をされるお客様も多くいらっしゃいますので、他のお客様のご観劇の妨げにならないような装いを意識していただけますと幸いでございます。例:後方のお客様にご迷惑になるような髪型・髪飾り 背もたれに背中がつかず、前のめり姿勢になる恐れのある厚めの帯の着物など」とある。

 来場者の良識が問われる内容だけに、判断に悩む部分もあるが、これまで3000回以上劇場に通い、観劇マナーに関する番組にも出演する演劇ライターの上村由紀子氏は、この問題にどのような考えを持っているのだろうか。

 まず、上村氏は、観劇時のファッションに関する議論が起こる背景について、「普段あまり舞台の仕事をしないキャストが出演すると、観劇に慣れていないファンの方が劇場に訪れることが増えます。すると、既存の舞台ファンとの間に温度差が生じて、マナー問題で揉めやすいという面があると思います」と語る。

 確かに、帝劇という場所に思い入れがある人ほど、軽装や露出度の高いファッションに「ふさわしくない」という思いを抱きやすいかもしれない。しかし上村氏は、「周囲の観客に迷惑でなければ問題はない」と考えているといい、ただし、「個人的には、ジャージや肌を露出した服だと、劇場内で目立ちますし、浮いてしまいますから、『それでも構わないという強い心を持っているなら思いを通すのもアリ』という感じです。それに、劇場内は空調が効いているので、肌を出していると寒くてツラいですよ」(上村氏、以下同)。

 また、出演者のツアーTシャツを着てくる行為に関しては、「『ほかの出演者の方に失礼』という意見もあるようですが、そこまでの心遣いができるのは素晴らしいこと。『マナー完璧!』と感動します。ただ一方で、ツアーTシャツ自体が迷惑をかけるわけではないので、それを着ることで、その人自身の気持ちがアガるというのなら、特に問題はないと思います」とのこと。

 さらに、ネット上で猛批判を浴びていた“痛バッグ”に関しても、「缶バッチの音がうるさくなければ」といった点に気をつければ、帝劇に持っていくのも問題はないと語る。

「『王家の紋章』に声優の宮野さんが出演された際、“痛バッグ”を持ったファンの方がいて、ネット上で物議を醸していました。そういったファンのせいで『宮野さんが恥ずかしい思いをする』といわれていたようですが、宮野さんご自身はおおらかでファンを大切にする方ですので、むしろファン同士がいざこざを起こす方が心を痛める気も。それに“痛バッグ”以上に、出待ちの際に撮影禁止の俳優さんに対して勝手に写真や動画を撮る、洋服等を触るといった行為の方が問題視されるべきではないでしょうか」

 帝劇でのファッションマナーに関しては、「ロイヤルホストで晩ごはんを食べられる格好」を意識していれば問題ないとのこと。

「ファミレスの中ではちょっとグレードの高いロイヤルホストに行く服装をイメージしてもらえれば。なので、デニムやサンダルでももちろんOK。帝劇に行くのは就職試験に行くのとは違いますから。それに、ここ5年で観劇マナーはかなり向上している印象もありますし、演劇界に新しいファンを呼び込むためにも、そんなに締め付ける必要はないと思っています」

 上村氏は、「ちゃんとした服装をしていても、人に迷惑をかけるマナー違反をしている人がいて、そちらの方が問題」という。観劇時において「高さ(後ろの席の人が見えにくくなるようなお団子や盛り髪、帽子など)」「匂い(香水やハンドクリーム、また汗の匂いなど)」「光(スマホ画面、照明を反射するスパンコールの服など)」「音(スマホの着信&バイブ音、ダウンジャケットの“シャカシャカ”音、ビニール袋の“ガサガサ”音など)」の4つを出さないことを心がけるべきとし、また「大きな荷物や、かさばるダウンやコート類なども邪魔になるので、劇場内のクロークやロッカーに預けるといいと思います。劇場のサービスで利用できるものはどんどん利用しましょう」と語る。

 帝劇でのファッションマナー問題は、今後もネット上で議論を呼ぶだろうが、その際は「果たしてそれは、人に迷惑をかけているのか?」という視点を持つべきかもしれない。

レゴランド低迷が示す「ディズニーランドが強い理由」! 消えたテーマパークの失敗例

 今年4月1日、愛知県名古屋市港区の金城ふ頭に「レゴランド・ジャパン」がオープンした。デンマーク発祥のブロック玩具メーカー「レゴ」が造る国内初の体験型テーマパークとして、鳴り物入りで開業したものの、当初から「規模が小さいのに、入場料が高すぎる」「園内の食事メニューが高い。しかも食べ物・水筒持ち込みNGはあり得ない」などと批判が巻き起こることに。

 レゴランドは、世間の声に応えるべく、開業2カ月を前に、家族向け割引1日パスポートを販売し、飲み物の持ち込みも可能に。さらに、夏休み期間、年間パスポート所有者は2人まで無料で一緒に入園できる割引サービス、近隣県在住者向け割引の実施など試行錯誤を続けており、今年9月には、「来場者数延べ100万人突破」を発表。この数値は「予定通り」というが、今後入場者数が伸びるのか、下降していくのか、今もなお世間の注目を集めている。

 しかし、レゴランド以外のテーマパークが順風満帆かといえば、そうではないようだ。東京経営短期大学専門講師で、『テーマパーク産業の形成と発展』(三恵社)などの著者・中島恵氏は「日本のテーマパークは、東京ディズニーリゾート(TDR)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)という2トップが抜きん出ているだけで、大半は経営状態が悪いんです」と語る。

「テーマパークは、カップルやファミリー層向けの施設と位置づけられますが、若者の恋愛離れや結婚しない人の増加、少子化などによって、来場者数が減っています。またエンタメ産業が多岐にわたり、分散化しているのも、テーマパーク低迷の要因として考えられます。六本木ヒルズや東京スカイツリーのソラマチタウンのような無料の観光施設が全国に増え、テーマパークの強力なライバルになっています」(中島氏、以下同)

 今回は、中島氏に、問題を抱えて潰れていったテーマパークを振り返るとともに、レゴランドの今後について語ってもらった。

■ディズニーランドを知ってしまった日本人

 日本では、これまでに数多くのテーマパークが潰れていった。中島氏は、その大きな要因として、「多くの日本人がディズニーランドを経験していること」を挙げる。

「例えば、1997年に開業し、2008年に経営難で閉園した岡山県倉敷市の倉敷チボリ公園。デンマークにある最古のテーマパークをモデルにしており、現在でもデンマークでは成功していますが、とにかく“ショボい”と感じるんです。まず面積自体も狭いですし、子ども用の小型のアトラクションばかりで、ジェットコースターも“絶叫系”ではない。では、なぜショボいと思ってしまうのかといえば、ディズニーランドを知っているからなんです。ディズニーランドが大成功を収めている日本とアメリカでは、ほかのテーマパークが伸び悩む傾向があると思います」

 ディズニーランドが立派に見えるのは、事業にかける資金が、ほかのテーマパークとは比べ物にならないからだという。例えば、レゴランドの総投資額は約320億円だが、一方でディズニーランドは、シーのアトラクション「トイ・ストーリー・マニア!」「タワー・オブ・テラー」は、それぞれだけで約210億円かかっているそうだ。

 次に中島氏は、新潟ロシア村や四国ニュージーランド村、とうほくニュージーランド村など、諸外国にスポットライトを当てたテーマパークの“ダメだった点”を次のように解説する。

「こうしたテーマパークはコンセプトがはっきりしているため、テーマパーク経営のノウハウに乏しい初心者でも作りやすいんです。その国にある特徴的な建築物を作って、民族衣装や民族レストラン、民族料理、民芸品を用意し、現地の民族音楽をBGMとして流せばいい……と考えているのでしょうが、初心者である分、失敗してしまう。気軽に海外旅行に行ける人も少なかった時代は、こうした外国村・外国フェアの需要もあったかもしれませんが、どんどん格安で海外に行けるようになったので、客足が遠のいたのでしょう。それに最近では、トルコ料理やブラジル料理など、多国籍料理店を街中でよく目にするようになりましたし、海外がより身近になっています。05年開業で、08年にスピード閉園した名古屋のイタリア村は、テーマパークというより複合商業施設とイタリア料理フェアという感じでした」

 テーマパーク経営に明るくない人でも、その分野に進出できる背景には、「ジェットコースターやメリーゴーランドといったアトラクションを売り、組み立てまでやってくれる企業が存在しています。『いくらあれば、これだけのアトラクションが作れます』というパッケージ販売なので、資金さえあれば、思ったより簡単にテーマパークができるんです」という。

 さらに、コンテンツを有する会社がテーマパーク産業に前のめりになりすぎて失敗した例も。95年、松竹大船撮影所の敷地内に建設されたものの、98年に巨額の赤字を出して閉園した鎌倉シネマワールドがそれだ。『男はつらいよ』等のセットを実物大で再現したゾーンが目玉となっていた。

「『男はつらいよ』というヒットコンテンツを持っていた松竹が、創立100周年事業として建設した“映画を体感できるテーマパーク”でしたが、あっという間に経営難に。100周年に合わせなければと、素人集団が開業を急いでしまったことが失敗の要因だと経営陣が記者会見で述べたと、『日経流通新聞』(98年5月7日、15頁)に掲載されていました。それでも、開園当初は、中高年~お年寄り層が結構来場し、お土産を購入して帰っていくパターンが多かったそうです。ただし、アトラクションに乗るタイプのテーマパークではないので、来場も1回限りが多かったはず。さらに96年には、寅さんを演じた渥美清さんが亡くなった影響で、来場者が激減したといいます」

 さまざまな要因によって、潰れていったテーマパーク。しかし中には、危機に瀕しながらも復活を遂げたテーマパークもあるという。後編では、レゴランドがぜひ参考にしてほしいテーマパークを紹介する。

(後編につづく)

レゴランド低迷が示す「ディズニーランドが強い理由」! 消えたテーマパークの失敗例

 今年4月1日、愛知県名古屋市港区の金城ふ頭に「レゴランド・ジャパン」がオープンした。デンマーク発祥のブロック玩具メーカー「レゴ」が造る国内初の体験型テーマパークとして、鳴り物入りで開業したものの、当初から「規模が小さいのに、入場料が高すぎる」「園内の食事メニューが高い。しかも食べ物・水筒持ち込みNGはあり得ない」などと批判が巻き起こることに。

 レゴランドは、世間の声に応えるべく、開業2カ月を前に、家族向け割引1日パスポートを販売し、飲み物の持ち込みも可能に。さらに、夏休み期間、年間パスポート所有者は2人まで無料で一緒に入園できる割引サービス、近隣県在住者向け割引の実施など試行錯誤を続けており、今年9月には、「来場者数延べ100万人突破」を発表。この数値は「予定通り」というが、今後入場者数が伸びるのか、下降していくのか、今もなお世間の注目を集めている。

 しかし、レゴランド以外のテーマパークが順風満帆かといえば、そうではないようだ。東京経営短期大学専門講師で、『テーマパーク産業の形成と発展』(三恵社)などの著者・中島恵氏は「日本のテーマパークは、東京ディズニーリゾート(TDR)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)という2トップが抜きん出ているだけで、大半は経営状態が悪いんです」と語る。

「テーマパークは、カップルやファミリー層向けの施設と位置づけられますが、若者の恋愛離れや結婚しない人の増加、少子化などによって、来場者数が減っています。またエンタメ産業が多岐にわたり、分散化しているのも、テーマパーク低迷の要因として考えられます。六本木ヒルズや東京スカイツリーのソラマチタウンのような無料の観光施設が全国に増え、テーマパークの強力なライバルになっています」(中島氏、以下同)

 今回は、中島氏に、問題を抱えて潰れていったテーマパークを振り返るとともに、レゴランドの今後について語ってもらった。

■ディズニーランドを知ってしまった日本人

 日本では、これまでに数多くのテーマパークが潰れていった。中島氏は、その大きな要因として、「多くの日本人がディズニーランドを経験していること」を挙げる。

「例えば、1997年に開業し、2008年に経営難で閉園した岡山県倉敷市の倉敷チボリ公園。デンマークにある最古のテーマパークをモデルにしており、現在でもデンマークでは成功していますが、とにかく“ショボい”と感じるんです。まず面積自体も狭いですし、子ども用の小型のアトラクションばかりで、ジェットコースターも“絶叫系”ではない。では、なぜショボいと思ってしまうのかといえば、ディズニーランドを知っているからなんです。ディズニーランドが大成功を収めている日本とアメリカでは、ほかのテーマパークが伸び悩む傾向があると思います」

 ディズニーランドが立派に見えるのは、事業にかける資金が、ほかのテーマパークとは比べ物にならないからだという。例えば、レゴランドの総投資額は約320億円だが、一方でディズニーランドは、シーのアトラクション「トイ・ストーリー・マニア!」「タワー・オブ・テラー」は、それぞれだけで約210億円かかっているそうだ。

 次に中島氏は、新潟ロシア村や四国ニュージーランド村、とうほくニュージーランド村など、諸外国にスポットライトを当てたテーマパークの“ダメだった点”を次のように解説する。

「こうしたテーマパークはコンセプトがはっきりしているため、テーマパーク経営のノウハウに乏しい初心者でも作りやすいんです。その国にある特徴的な建築物を作って、民族衣装や民族レストラン、民族料理、民芸品を用意し、現地の民族音楽をBGMとして流せばいい……と考えているのでしょうが、初心者である分、失敗してしまう。気軽に海外旅行に行ける人も少なかった時代は、こうした外国村・外国フェアの需要もあったかもしれませんが、どんどん格安で海外に行けるようになったので、客足が遠のいたのでしょう。それに最近では、トルコ料理やブラジル料理など、多国籍料理店を街中でよく目にするようになりましたし、海外がより身近になっています。05年開業で、08年にスピード閉園した名古屋のイタリア村は、テーマパークというより複合商業施設とイタリア料理フェアという感じでした」

 テーマパーク経営に明るくない人でも、その分野に進出できる背景には、「ジェットコースターやメリーゴーランドといったアトラクションを売り、組み立てまでやってくれる企業が存在しています。『いくらあれば、これだけのアトラクションが作れます』というパッケージ販売なので、資金さえあれば、思ったより簡単にテーマパークができるんです」という。

 さらに、コンテンツを有する会社がテーマパーク産業に前のめりになりすぎて失敗した例も。95年、松竹大船撮影所の敷地内に建設されたものの、98年に巨額の赤字を出して閉園した鎌倉シネマワールドがそれだ。『男はつらいよ』等のセットを実物大で再現したゾーンが目玉となっていた。

「『男はつらいよ』というヒットコンテンツを持っていた松竹が、創立100周年事業として建設した“映画を体感できるテーマパーク”でしたが、あっという間に経営難に。100周年に合わせなければと、素人集団が開業を急いでしまったことが失敗の要因だと経営陣が記者会見で述べたと、『日経流通新聞』(98年5月7日、15頁)に掲載されていました。それでも、開園当初は、中高年~お年寄り層が結構来場し、お土産を購入して帰っていくパターンが多かったそうです。ただし、アトラクションに乗るタイプのテーマパークではないので、来場も1回限りが多かったはず。さらに96年には、寅さんを演じた渥美清さんが亡くなった影響で、来場者が激減したといいます」

 さまざまな要因によって、潰れていったテーマパーク。しかし中には、危機に瀕しながらも復活を遂げたテーマパークもあるという。後編では、レゴランドがぜひ参考にしてほしいテーマパークを紹介する。

(後編につづく)

「小さく見せるブラ」「ノンワイヤー」トレンドに見る、オンナの“おっぱい”への意識

 男性に対して「どれだけセクシーに見せるか」「どれだけ胸を盛れるか」が重視されていたブラジャーだが、近年は「女性自身が楽しめるブラジャー」「快適に過ごせるブラジャー」にスポットライトが当たるようになった。ブラジャーのトレンドと“おっぱい”に対する女性の意識はどのように変化してきたのだろうか。1950年代にブラジャーを発売して以来約50年、延べ4万人以上のデータから日本女性のバストと体を研究してきたワコールの広報・村田美紀さんに話を聞いた。

――現在のブラジャーのトレンドを教えてください。

村田美紀さん(以下、村田) ブラジャーの需要がさまざまな方向に広がっています。業界としては「サードウェーブ・ブラ」(ノンワイヤーでありながらしっかりと支える新・解放系のブラジャー)がはやっていると言われており、弊社でも3D同化フレーム(カップの形を保つハード樹脂をソフト樹脂で挟んだもの)を使用するなど、ノンワイヤーの快適性を重視しながら、バストの造形性を持たせた「SUHADA(スハダ)」や「Date.(デイト)」を販売しています。

 旬のキーワードは「ラク」。「ラクにきれいになりたい」という思いは昔からありますが、一方でラクをしたら怠慢、一生懸命に“キレイ”を目指さないと女性らしくないと思われてもいました。それがいまは「私は私」と言える時代になったのではないでしょうか。仕事をしている女性、家庭に入っている女性、みんなが同じ方向を目指すのではなく、それぞれのスタンスに合ったブラジャーをTPOに合わせて使っていただく、使い分けが当たり前になったといえるでしょう。

――確かに、ラクをしたら“女をあきらめた”なんて言われる時代もありましたね。

村田 そうですね。しかし、今はいかにラクに、いかに時短して効率よく女性を楽しむか。「時短」もキーワードの1つです。購入も毎朝の支度も時短したい。「Date.」はS・M・L・LLのサイズ展開で、忙しい方も選びやすくサッと買えると人気ですし、「SUHADA」は、ベージュを中心と、洋服に響きにくい色展開とデザインで、下着と服の組み合わせをいちいち考えなくてもいいようになっています。

――かつてのブラジャーは、「胸を大きく見せたい」という女性の願望が現れていたように思います。ブラジャーはどのように変遷していったのでしょうか。

村田 戦後、欧米の流行のファッションが日本に取り入れられるとともに、ブラジャーもどんどん変革してきました。67年にツイッギー来日、ミニスカートブーム、70年代にパンタロンとリブニットがはやると、70年代前半、弊社はニットをきれいに着こなせる「シームレスカップブラ」を開発。その後、90年代になるとジュリアナブームが到来。ボディにメリハリのあるスーパーモデルが人気となり、ボディラインを強調するファッションが流行し、92年に「よせてあげる」がキャッチコピーの「グッドアップブラ」を発売しました。90年代は、バストコンシャスの時代でしたね。

――「よせてあげる」背景には、男性に対して“モテたい”という意識があったのでしょうか。

村田 ボディコンファッションそのものに、対男性目線を意識したところはあったと思います。ただ、どちらかというと女性が消費社会の主役になり台頭してきた時代だっただけに、“鎧”のような位置づけで流行したと考えています。バストシルエットも今主流の丸いものではなく、ツンと上向きでした。

――2000年代に入ってからはいかがでしょうか。

村田 99年にバストシルエットにまるみのでる「マシュマロブラ」を発売し、続く2000年代は柔らかい印象の自然なバストシルエットが主流になりました。樹脂ワイヤーを使用しているので、肌あたりはソフト。ファッションも派手なものやブランド志向から、等身大でコンサバティブな傾向に。“癒やし”“ヒーリング”がブームになった時代でもあります。その空気に合わせて、ブラジャーもマシュマロのような触感が受け入れられたのだと思います。

――2010年頃から、ブラジャーの多様化が進んだように思います。

村田 はい。2010年に、大きな胸を「小さく見せるブラ」を発売しました。実は、発売当初は「需要はあってもそこまで反響は大きくはないだろう」と予想していたんです。ところが、ウェブ限定販売で計画の1.5倍売れまして、弊社としても驚きました。「シャツを着るときにバストが大きすぎるとボタンが閉めづらい」「無理に盛り上げたくない」という悩みを抱えている方が結構いらっしゃったんですね。トラディショナルなスーツもバストが小さめの方が着こなしやすいというのもあります。

 一方で、エイジングケアも1つのテーマに。同年、40代女性をターゲットにした「胸もと年齢マイナス5歳をめざすブラ」を発表いたしました。個人差はありますが、バストはだんだん上辺がそげて、ハの字に開いて下垂します。靴や服と違ってブラジャーはバストに合っていないことに気づきにくい。加齢に限らず、サイズが合っていないブラジャーを使用していたり、スポーツのときも同じブラジャーで過ごしたりして胸が揺れると、胸を支えているクーパー靭帯がのびて下垂につながります。3カ月に一度は、ビューティアドバイザーによる計測をおすすめしています。

――過去と比較すると、ブラジャーの役割が“大きくきれいに見える”ということだけでなく、“バストケアや自分自身に対するケア”が含まれるようになったということでしょうか。

村田 そうですね。昨今は、心地よい眠りを誘う「ナイトアップブラ」もあります。女性の意識も、“見た目をきれいに”から“いかに快適に過ごすか”という意識に変わったように思います。その1つとしてバストケアも含まれているんですね。

 以前、女性にアンケートをとったとき、ブラジャーに求めることとして「ラクなこと」「肌触りがいいこと」が上位に入っていました。「肌触り」は、かつてはあまり意識されていなかったんです。今はボリュームが出ることを第一の目的としておらず、店頭でも「パッドが入ってよせてあげられますよ」というよりも「着けていないような着け心地ですよ」というお声がけの方が共感してもらえるように思います。

――「小さく見せるブラ」が売れたことからもわかるように、“とにかく大きく”という価値観も変わったかもしれません。

村田 小さいことも個性として受け入れられるようになったのかもしれません。また、カップ機能を持たせたタンクトップなども出てきて、「ブラジャーをつけないことは悪いことではない」という風潮もあるように思います。

――今後はどういうブラジャーがはやると考えていますか。

村田 着け心地のよいブラジャーは依然として人気を保ちつつ、もう一度、しっかりと寄せ感のあるブラジャーのニーズが高まると思っています。実際、15年頃から、ブラジャー回帰が始まっているように感じます。「ノンワイヤーがはやっている」と言われながらも、実は弊社の売り上げの半数以上は「リボンブラ」など、メイクタイプのワイヤー入りブラジャーなんです。ラクに過ごせるブラジャーが出てきたからこそ、今ならラクに、洋服をもっときれいに着こなせるブラジャーができるのではないか、と考える女性がより増えたのかもしれません。女性は、ますますハイスペックな製品を望んでいると感じています。
(取材・文/安楽由紀子)

※画像提供:ワコール

「小さく見せるブラ」「ノンワイヤー」トレンドに見る、オンナの“おっぱい”への意識

 男性に対して「どれだけセクシーに見せるか」「どれだけ胸を盛れるか」が重視されていたブラジャーだが、近年は「女性自身が楽しめるブラジャー」「快適に過ごせるブラジャー」にスポットライトが当たるようになった。ブラジャーのトレンドと“おっぱい”に対する女性の意識はどのように変化してきたのだろうか。1950年代にブラジャーを発売して以来約50年、延べ4万人以上のデータから日本女性のバストと体を研究してきたワコールの広報・村田美紀さんに話を聞いた。

――現在のブラジャーのトレンドを教えてください。

村田美紀さん(以下、村田) ブラジャーの需要がさまざまな方向に広がっています。業界としては「サードウェーブ・ブラ」(ノンワイヤーでありながらしっかりと支える新・解放系のブラジャー)がはやっていると言われており、弊社でも3D同化フレーム(カップの形を保つハード樹脂をソフト樹脂で挟んだもの)を使用するなど、ノンワイヤーの快適性を重視しながら、バストの造形性を持たせた「SUHADA(スハダ)」や「Date.(デイト)」を販売しています。

 旬のキーワードは「ラク」。「ラクにきれいになりたい」という思いは昔からありますが、一方でラクをしたら怠慢、一生懸命に“キレイ”を目指さないと女性らしくないと思われてもいました。それがいまは「私は私」と言える時代になったのではないでしょうか。仕事をしている女性、家庭に入っている女性、みんなが同じ方向を目指すのではなく、それぞれのスタンスに合ったブラジャーをTPOに合わせて使っていただく、使い分けが当たり前になったといえるでしょう。

――確かに、ラクをしたら“女をあきらめた”なんて言われる時代もありましたね。

村田 そうですね。しかし、今はいかにラクに、いかに時短して効率よく女性を楽しむか。「時短」もキーワードの1つです。購入も毎朝の支度も時短したい。「Date.」はS・M・L・LLのサイズ展開で、忙しい方も選びやすくサッと買えると人気ですし、「SUHADA」は、ベージュを中心と、洋服に響きにくい色展開とデザインで、下着と服の組み合わせをいちいち考えなくてもいいようになっています。

――かつてのブラジャーは、「胸を大きく見せたい」という女性の願望が現れていたように思います。ブラジャーはどのように変遷していったのでしょうか。

村田 戦後、欧米の流行のファッションが日本に取り入れられるとともに、ブラジャーもどんどん変革してきました。67年にツイッギー来日、ミニスカートブーム、70年代にパンタロンとリブニットがはやると、70年代前半、弊社はニットをきれいに着こなせる「シームレスカップブラ」を開発。その後、90年代になるとジュリアナブームが到来。ボディにメリハリのあるスーパーモデルが人気となり、ボディラインを強調するファッションが流行し、92年に「よせてあげる」がキャッチコピーの「グッドアップブラ」を発売しました。90年代は、バストコンシャスの時代でしたね。

――「よせてあげる」背景には、男性に対して“モテたい”という意識があったのでしょうか。

村田 ボディコンファッションそのものに、対男性目線を意識したところはあったと思います。ただ、どちらかというと女性が消費社会の主役になり台頭してきた時代だっただけに、“鎧”のような位置づけで流行したと考えています。バストシルエットも今主流の丸いものではなく、ツンと上向きでした。

――2000年代に入ってからはいかがでしょうか。

村田 99年にバストシルエットにまるみのでる「マシュマロブラ」を発売し、続く2000年代は柔らかい印象の自然なバストシルエットが主流になりました。樹脂ワイヤーを使用しているので、肌あたりはソフト。ファッションも派手なものやブランド志向から、等身大でコンサバティブな傾向に。“癒やし”“ヒーリング”がブームになった時代でもあります。その空気に合わせて、ブラジャーもマシュマロのような触感が受け入れられたのだと思います。

――2010年頃から、ブラジャーの多様化が進んだように思います。

村田 はい。2010年に、大きな胸を「小さく見せるブラ」を発売しました。実は、発売当初は「需要はあってもそこまで反響は大きくはないだろう」と予想していたんです。ところが、ウェブ限定販売で計画の1.5倍売れまして、弊社としても驚きました。「シャツを着るときにバストが大きすぎるとボタンが閉めづらい」「無理に盛り上げたくない」という悩みを抱えている方が結構いらっしゃったんですね。トラディショナルなスーツもバストが小さめの方が着こなしやすいというのもあります。

 一方で、エイジングケアも1つのテーマに。同年、40代女性をターゲットにした「胸もと年齢マイナス5歳をめざすブラ」を発表いたしました。個人差はありますが、バストはだんだん上辺がそげて、ハの字に開いて下垂します。靴や服と違ってブラジャーはバストに合っていないことに気づきにくい。加齢に限らず、サイズが合っていないブラジャーを使用していたり、スポーツのときも同じブラジャーで過ごしたりして胸が揺れると、胸を支えているクーパー靭帯がのびて下垂につながります。3カ月に一度は、ビューティアドバイザーによる計測をおすすめしています。

――過去と比較すると、ブラジャーの役割が“大きくきれいに見える”ということだけでなく、“バストケアや自分自身に対するケア”が含まれるようになったということでしょうか。

村田 そうですね。昨今は、心地よい眠りを誘う「ナイトアップブラ」もあります。女性の意識も、“見た目をきれいに”から“いかに快適に過ごすか”という意識に変わったように思います。その1つとしてバストケアも含まれているんですね。

 以前、女性にアンケートをとったとき、ブラジャーに求めることとして「ラクなこと」「肌触りがいいこと」が上位に入っていました。「肌触り」は、かつてはあまり意識されていなかったんです。今はボリュームが出ることを第一の目的としておらず、店頭でも「パッドが入ってよせてあげられますよ」というよりも「着けていないような着け心地ですよ」というお声がけの方が共感してもらえるように思います。

――「小さく見せるブラ」が売れたことからもわかるように、“とにかく大きく”という価値観も変わったかもしれません。

村田 小さいことも個性として受け入れられるようになったのかもしれません。また、カップ機能を持たせたタンクトップなども出てきて、「ブラジャーをつけないことは悪いことではない」という風潮もあるように思います。

――今後はどういうブラジャーがはやると考えていますか。

村田 着け心地のよいブラジャーは依然として人気を保ちつつ、もう一度、しっかりと寄せ感のあるブラジャーのニーズが高まると思っています。実際、15年頃から、ブラジャー回帰が始まっているように感じます。「ノンワイヤーがはやっている」と言われながらも、実は弊社の売り上げの半数以上は「リボンブラ」など、メイクタイプのワイヤー入りブラジャーなんです。ラクに過ごせるブラジャーが出てきたからこそ、今ならラクに、洋服をもっときれいに着こなせるブラジャーができるのではないか、と考える女性がより増えたのかもしれません。女性は、ますますハイスペックな製品を望んでいると感じています。
(取材・文/安楽由紀子)

※画像提供:ワコール

「薬物依存症」治療病院の実態とは? 元入院患者が語る、3カ月の“隔離生活”

 タレントの清水良太郎容疑者が覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕された。薬物で逮捕されたタレントといえば、ASKAや清原和博などが記憶に新しいが、特にASKAが保釈後に入院していた薬物依存症治療プログラムのある病院は、大きな注目を浴びた。

 そもそも、薬物依存症治療プログラムとはどういうものなのか? 実際に大麻依存で入院していた経験を持つ男性、下村武さん(仮名・28歳)に話を聞いた。

「大麻を初めて吸ったのは23歳の時でした。夏休みで地元に帰った時に、先輩に誘われたのがきっかけです。その時は『気持ちいい』ぐらいの感覚でしたが、夏休みが終わり東京に戻ると、また吸いたいと思うようになっていました」

 以来、週末ごとに地元へ帰り、先輩や友達と一緒に大麻を吸うようになった。やがて仕事も辞め、地元に戻ってからの2年間、ほぼ毎日大麻を吸い続けたという。そんな状況に焦りを持ち始めたのは、友人の結婚式に出席したことがきっかけだった。

「結婚式に出席して、『自分はこのままでいいのだろうか』と不安になりました。その足で実家に帰り、母親に『大麻をやめられないから、病院に入りたい』と懇願しました」

 下村さんが入院したのは、静岡県にあるS病院だった。

「場所は富士山のふもとにあり、周りは森しかありません。病院は3階建てで、入院患者は2階と3階に収容されます。2階は軽度のアルコール依存症患者、3階にはさまざまな薬物や僕と同じ大麻の依存患者がいます。部屋は男性用の10人部屋が8つ、女性用の3人部屋が3つ、大浴場とトイレは共同でした。3階には鍵がかかっていて、携帯電話の持ち込みどころか、フロアから自由に出入りするのも禁止です」

 入院患者は、一番多い時で約90人いたという。

「半分ほどが生活保護を受けている方で、年齢は30~40代が多いです。最年長は70歳で、最年少の20歳の子は脱法ハーブで入院したと言っていました。女性は6人ほどいました」

では、入院中の治療プログラムは、具体的にどのようなものなのだろうか?

「病院内の生活は、主に入居者同士のディスカッションですね。話し合いをして楽になりましょう……というのが趣旨です。大麻をやっている時のやめられなかった気持ちや、やめた後はどうしたいかなど……。ほかには薬物を断ち切れた人の講演を聞いたり、薬物の勉強会です。プログラムは薬の種類関係なく、皆同じ内容でした。やめる過程でのつらさや苦しさは、僕はあまり感じなかったですね」

 病院内の生活や、食事についても聞いてみた。

「食事は食堂に集まり全員で食べます。アレルギーや持病のある患者もいますので、メニューは各自違い、また、希望があれば、薬物依存後遺症の発作を抑えるための安定剤をもらうこともできます。薬を集めて自殺を企てないように、安定剤は女性看護師が飲ませるんです。中には飲んだふりをして、舌の裏に隠し、部屋に持ち帰る人もいましたが……」

 入浴は週2回、各2時間と決まっていて、その間に患者全員で大浴場を使う。また、洗濯は自身で行うという。

「洗濯は1,000円の洗濯カードを買い、1回100円でできます。ほかには、週に1回買い物ができるんですが、これらのお金は最初入る時に預けます。院内の生活費は月2万円ほどです。買い物はタバコ、お菓子、ジュース等の嗜好品が買えるものの、購入してもいい量が決まっています。お菓子やジュースは7品まで、タバコは1カートンまで。暇だったので、タバコばかり吸っていました。あとは院内に置いてある漫画や小説を読んだり……とにかく暇でしたね。娯楽といえば、週1回1時間だけ運動場で行う運動、それからソフトボールなどスポーツ大会もあります。ほかには囲碁や将棋をしていました」

 話を聞くと楽そうに聞こえるが、厳しい面もあったそうだ。

「何かあったらすぐに男の准看護師が出てきます。彼らは全員柔道部出身のゴリゴリマッチョ系なので、問題を起こす人もいませんでした。後遺症でフラッシュバックの強い人が、夜中に騒いだ時に来るぐらいですね。また、服は基本自由ですが、スウェットの紐などは自殺防止のため禁止でした」

 下村さんの入院期間は3カ月。入院費は130万円にも上ったという。退院後の支援などはあるのだろうか?

「田代まさしやASKAも通った薬物依存更生施設『ダルク』の紹介も受けられますが、入るかどうかは自由です。病院からは、退院後は仕事をする前に療養しろと言われますけれど……。そもそも、入院患者の半分以上が生活保護受給者なので、皆、仕事の話はあまりしないです。でも、就職するのであれば、入院していたことは内密にしてくれます。実際に僕や、院内で知り合った友人も就職できていますしね」

 現在、下村さんは飲食業界の会社に、友人は自動車メーカーに勤めている。最後に今回逮捕された清水良太郎容疑者について訊ねてみた。

「清水容疑者が覚せい剤を使うに至った経緯や、家宅捜索では覚せい剤や吸引器が見つかっていないなど、さまざまな報道や臆測が飛び交っていますが、もし本当に常用していたのであれば、ぜひ入院すべきですね。同じ境遇の人たちと自分の気持ちを話すだけで、気持ちがだいぶ楽になると思いますよ」
(カワノアユミ)