子育て中に生じる“焦り”の正体とは? 古泉智浩&しまおまほが語る「親」という存在

 里子を6歳未満で自分の籍に入れ、法的に実子と同じ扱いとする、特別養子縁組をした漫画家の古泉智浩さん。前編では、同じく子育て中のエッセイスト、しまおまほさんと、実子と里子や養子の育て方の違いについて思うことを語ってもらいました。後編ではさらに、育児に関する社会問題も含め、お互いの育児エピソードに踏み込んでいきます。

(前編はこちら)

■所構わず子連れで行くのは気が引ける

――お2人は、お子さんを今年から保育園に入れたんですよね。それによって、生活はどう変わりましたか?

古泉智浩(以下、古泉)・しまおまほ(以下、しまお) めっちゃ楽になりました!

――先日、熊本の市議会議員が預け先に困って議場に乳児を連れてきたことが、賛否両論を呼びました。保育園の時間外など、どうしても預け先が見つからないときもありますよね。

しまお そのニュース、あまり見ていないのですが、私自身はできる限り仕事場に子連れでは行きません。仕事柄、寛容な現場もあるのですが、決して子どもが好きな人ばかりではないでしょうし。とりあえず「可愛い」って言わないといけないような雰囲気にするのも、心苦しいと思ってしまっていて。息子が保育園に入る前は、家族や親しい友人に面倒を見てもらったり、託児所を利用したりしていました。

古泉 僕は、子どもを連れてきている人がいたら、うれしくて抱っこしちゃいますけどね(笑)。でも、そういう人ばかりではないですよね。

しまお 時と場合によりますね。勝手知ったる現場だったら、連れていくこともあるかな。でも、子どもって、基本的におとなしくはしていないので……。

――託児所は、「今日どうしても預け先がないから預けよう」と、いきなり行っていいのではなく、事前の登録が必要なんですよね?

しまお そうなんです。私がたまに利用しているところは、1階が託児所で2階がシェアオフィスになっていて、保育園入園前は助かりました。とてもきれいな場所で、来ているママたちもオシャレ。そんな中、テキトーな格好で机で昼寝したり、お菓子を食べながら原稿を書いている私は、完全に浮いていましたね(笑)。

古泉 アハハ! 利用料金はどれくらいなの?

しまお 保育園よりは高いですね。

古泉 でも、どこにも預け先がないときは助かるよね。

――ほかに、利用してよかった育児支援施設はありますか?

古泉 僕が住んでいる地域の役場の隣にある施設は、遊び道具があったり、「みんなで歌を歌いましょう」という時間があったりして、よかったです。預けるというより、保護者も一緒なのですが、保育園以外の時間で、家にずっといるのに飽きたときに利用していました。

しまお 私は演劇を鑑賞した際、劇場についている託児施設を使ったことがあります。

古泉 それは無料なの?

しまお 2,500円くらいかかりました。演劇のチケットにプラス2,500円と考えると結構な出費ですが、一緒に劇場まで行けるのはよかったです。利用者はずいぶん少なかったですけど。調べると、チケットサイトが運営している無料の託児サービスもあるようですね。

 行政の施設でいうと、区のベビーマッサージ講習に行ったことがあります。しかし実際は、講習は15分だけで、残りの1時間半は「みんなでおしゃべりをしましょう」という感じでした。住んでいる地域ごとに席が決められていて、「あそこのスーパーいいよね」といった、共通の話題を出しやすくされていました。孤立する母親をつくらないよう手厚く取り組んでいるんだな、と思いました。私は途中から参加したので、すでにできあがっている20代のママたちの輪に入れず焦りました(笑)。

古泉 うちも役所から保健師さんが来ましたよ。でも、当時は里親初心者だったから、虐待をしていないか監視されているのかなと疑心暗鬼になってた(笑)。

しまお でも、みんなスタートは一緒ですからね。私も子育て素人だったし、オムツ替えを練習しても、実践すると全然違ったりする。

古泉 女性は10カ月かけてお母さんになるけど、僕ら夫婦は(「里子を預かってくれませんか?」と連絡があってから)1週間で親にならなければなりませんでした。

しまお う〜ん、でも全然自覚はありませんでした。ただおなかが膨れていって……という感じで。そして、産んだ直後に「あ、これからずっと一緒なんだ、終わりがないんだ」と思ったら、ちょっと怖くなりました。産むのがゴールかと思っていたら、違った。

古泉 重荷みたいに感じたんですか?

しまお 重いと思いました(笑)。生まれたからには、死ぬってことじゃないですか。その重みが怖いというか……。友達の中には、「生まれた子どもの顔を見たら『大好き! 可愛い!』って幸せオーラしか出ないよ」と言っている人もいましたが、私は全然。「ゲッ、ヤバイ!」って思いました(笑)。

古泉 真面目なのかな。

しまお 真面目なのかもしれない。育児についてはサボったりもできるけど、責任をサボることはできない、と思ってしまって。

――入れる保育園を探す「保活」に取り組んでいる方も多いですが、お2人は、保活には苦労されなかったんですか?

古泉 僕が住んでいる地域は待機児童1人なので、特には。

しまお 周りではいましたね。私、病院も、産む1カ月くらい前になったら適当に探せばいいかと思っていたのですが、着床した段階で、大きい病院に連絡して予約する人もいるらしいです。妊娠してあまり間もない時期なのに、「産む病院をまだ決めてない」って言ったら「ヤバイよ」と言われてしまって……。

古泉 もし、決めてなかったら、怪しげな病院に回されるんですかね?

しまお どうなんでしょう。36歳で一応、高齢出産だったから、何かあったときのためにとりあえず大きい病院を選んだのですが、いま考えたら、近所の病院でよかったんじゃないかなと思います。

――都会では、ベビーカーを電車に乗せると、白い目で見られることもあります。どうすれば、もっと子育てしやすい社会になると思いますか?

しまお 東京のラッシュは本当にひどいですよね。私はほとんどベビーカーを使わなかったです。ずっと抱っこしていました。

古泉 うちの子も、ベビーカーに乗せると「降りるー! 抱っこしろー!」って言って全然おとなしく乗ってくれないので、ほとんど使い物にならなかったです。

しまお うちもベビーカーは1歳過ぎてから買ったんです。でも、エスカレーターに乗れないので、いちいちエレベーターを探すのが面倒に感じ、結局抱っこしていました。車があればベビーカーも楽なのかもしれないけど、ベビーカーがあるほうが、結構手間がかかるような気もします。

 「ベビーカーを買わなきゃいけない」わけじゃないのに、勝手に「買わなきゃ」って思い込んでいました。出産や育児ってなった時、急にレールに乗っているんですよね。病院を選ぶ、妊娠線予防のクリームを買う、ベビーカーを選ぶ、電動自転車を買う……みたいなラインに。

――焦ってしまうということですか?

しまお そうですね。情報が過多に入ってくる。でも、そんなの本当は、まったくと言っていいほど必要なかったりする。

古泉 ぼんやりしていると、取り残されてしまう感。

しまお ネットとかで育児グッズの情報を見るより、自分の子どもを見て、自分の子どもに合わせた取捨選択をしないと、逆に窮屈なんじゃないかと思います。ベビーカーや抱っこひもも、焦って買わなくていいんじゃないかな。

古泉 僕は、講師をしている漫画教室のママ友さんに、お古のアイテムをもらいましたよ。

しまお 結構みんなくれますよね。

古泉 チャイルドシートも、中古品を5,000円くらいで買いました。全然お金をかけていません。

しまお 私も服は、ほぼ友達のお古です。周りよりちょっと出産が遅れると、お古をたくさんもらえるんですよね。お古の服だから、全然インスタ映えしない子どもですけど(笑)。

(姫野ケイ)

古泉智浩(こいずみ・ともひろ)
1969年生まれ。ヤングマガジンちばてつや賞大賞受賞。代表作『ジンバルロック』(青林工藝舎)、『ワイルド・ナイツ』(双葉社)のほか、映画化された原作漫画に『青春☆金属バット』(秋田書店)、『ライフ・イズ・デッド』(双葉社)、『死んだ目をした少年』『チェリーボーイズ』(青林工藝舎/2018年2月公開予定)がある。DVD『渚のマーメイド』原作・脚本担当。子育てエッセイ『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』(イースト・プレス)が話題を呼ぶ。Vコミで『漫画 うちの子になりなよ』連載中。
・ブログ:古泉智浩の『オレは童貞じゃねぇ!!』

しまおまほ(しまお・まほ)
1978年10月東京・御茶ノ水生まれ。多摩美術大学芸術学科卒業。97年、『女子高生ゴリコ』(扶桑社)でデビュー。ファッション誌やカルチャー誌に漫画やエッセイを発表。著書に『ガールフレンド』(スペースシャワーネットワーク)、『ぼんやり小町』(ソニー・マガジンズ)、『しまおまほのひとりオリーブ調査隊』(プチグラパブリッシング)、『まほちゃんの家』(WAVE出版)、『漫画真帆ちゃん』(KKベストセラーズ)など。

子育て中に生じる“焦り”の正体とは? 古泉智浩&しまおまほが語る「親」という存在

 里子を6歳未満で自分の籍に入れ、法的に実子と同じ扱いとする、特別養子縁組をした漫画家の古泉智浩さん。前編では、同じく子育て中のエッセイスト、しまおまほさんと、実子と里子や養子の育て方の違いについて思うことを語ってもらいました。後編ではさらに、育児に関する社会問題も含め、お互いの育児エピソードに踏み込んでいきます。

(前編はこちら)

■所構わず子連れで行くのは気が引ける

――お2人は、お子さんを今年から保育園に入れたんですよね。それによって、生活はどう変わりましたか?

古泉智浩(以下、古泉)・しまおまほ(以下、しまお) めっちゃ楽になりました!

――先日、熊本の市議会議員が預け先に困って議場に乳児を連れてきたことが、賛否両論を呼びました。保育園の時間外など、どうしても預け先が見つからないときもありますよね。

しまお そのニュース、あまり見ていないのですが、私自身はできる限り仕事場に子連れでは行きません。仕事柄、寛容な現場もあるのですが、決して子どもが好きな人ばかりではないでしょうし。とりあえず「可愛い」って言わないといけないような雰囲気にするのも、心苦しいと思ってしまっていて。息子が保育園に入る前は、家族や親しい友人に面倒を見てもらったり、託児所を利用したりしていました。

古泉 僕は、子どもを連れてきている人がいたら、うれしくて抱っこしちゃいますけどね(笑)。でも、そういう人ばかりではないですよね。

しまお 時と場合によりますね。勝手知ったる現場だったら、連れていくこともあるかな。でも、子どもって、基本的におとなしくはしていないので……。

――託児所は、「今日どうしても預け先がないから預けよう」と、いきなり行っていいのではなく、事前の登録が必要なんですよね?

しまお そうなんです。私がたまに利用しているところは、1階が託児所で2階がシェアオフィスになっていて、保育園入園前は助かりました。とてもきれいな場所で、来ているママたちもオシャレ。そんな中、テキトーな格好で机で昼寝したり、お菓子を食べながら原稿を書いている私は、完全に浮いていましたね(笑)。

古泉 アハハ! 利用料金はどれくらいなの?

しまお 保育園よりは高いですね。

古泉 でも、どこにも預け先がないときは助かるよね。

――ほかに、利用してよかった育児支援施設はありますか?

古泉 僕が住んでいる地域の役場の隣にある施設は、遊び道具があったり、「みんなで歌を歌いましょう」という時間があったりして、よかったです。預けるというより、保護者も一緒なのですが、保育園以外の時間で、家にずっといるのに飽きたときに利用していました。

しまお 私は演劇を鑑賞した際、劇場についている託児施設を使ったことがあります。

古泉 それは無料なの?

しまお 2,500円くらいかかりました。演劇のチケットにプラス2,500円と考えると結構な出費ですが、一緒に劇場まで行けるのはよかったです。利用者はずいぶん少なかったですけど。調べると、チケットサイトが運営している無料の託児サービスもあるようですね。

 行政の施設でいうと、区のベビーマッサージ講習に行ったことがあります。しかし実際は、講習は15分だけで、残りの1時間半は「みんなでおしゃべりをしましょう」という感じでした。住んでいる地域ごとに席が決められていて、「あそこのスーパーいいよね」といった、共通の話題を出しやすくされていました。孤立する母親をつくらないよう手厚く取り組んでいるんだな、と思いました。私は途中から参加したので、すでにできあがっている20代のママたちの輪に入れず焦りました(笑)。

古泉 うちも役所から保健師さんが来ましたよ。でも、当時は里親初心者だったから、虐待をしていないか監視されているのかなと疑心暗鬼になってた(笑)。

しまお でも、みんなスタートは一緒ですからね。私も子育て素人だったし、オムツ替えを練習しても、実践すると全然違ったりする。

古泉 女性は10カ月かけてお母さんになるけど、僕ら夫婦は(「里子を預かってくれませんか?」と連絡があってから)1週間で親にならなければなりませんでした。

しまお う〜ん、でも全然自覚はありませんでした。ただおなかが膨れていって……という感じで。そして、産んだ直後に「あ、これからずっと一緒なんだ、終わりがないんだ」と思ったら、ちょっと怖くなりました。産むのがゴールかと思っていたら、違った。

古泉 重荷みたいに感じたんですか?

しまお 重いと思いました(笑)。生まれたからには、死ぬってことじゃないですか。その重みが怖いというか……。友達の中には、「生まれた子どもの顔を見たら『大好き! 可愛い!』って幸せオーラしか出ないよ」と言っている人もいましたが、私は全然。「ゲッ、ヤバイ!」って思いました(笑)。

古泉 真面目なのかな。

しまお 真面目なのかもしれない。育児についてはサボったりもできるけど、責任をサボることはできない、と思ってしまって。

――入れる保育園を探す「保活」に取り組んでいる方も多いですが、お2人は、保活には苦労されなかったんですか?

古泉 僕が住んでいる地域は待機児童1人なので、特には。

しまお 周りではいましたね。私、病院も、産む1カ月くらい前になったら適当に探せばいいかと思っていたのですが、着床した段階で、大きい病院に連絡して予約する人もいるらしいです。妊娠してあまり間もない時期なのに、「産む病院をまだ決めてない」って言ったら「ヤバイよ」と言われてしまって……。

古泉 もし、決めてなかったら、怪しげな病院に回されるんですかね?

しまお どうなんでしょう。36歳で一応、高齢出産だったから、何かあったときのためにとりあえず大きい病院を選んだのですが、いま考えたら、近所の病院でよかったんじゃないかなと思います。

――都会では、ベビーカーを電車に乗せると、白い目で見られることもあります。どうすれば、もっと子育てしやすい社会になると思いますか?

しまお 東京のラッシュは本当にひどいですよね。私はほとんどベビーカーを使わなかったです。ずっと抱っこしていました。

古泉 うちの子も、ベビーカーに乗せると「降りるー! 抱っこしろー!」って言って全然おとなしく乗ってくれないので、ほとんど使い物にならなかったです。

しまお うちもベビーカーは1歳過ぎてから買ったんです。でも、エスカレーターに乗れないので、いちいちエレベーターを探すのが面倒に感じ、結局抱っこしていました。車があればベビーカーも楽なのかもしれないけど、ベビーカーがあるほうが、結構手間がかかるような気もします。

 「ベビーカーを買わなきゃいけない」わけじゃないのに、勝手に「買わなきゃ」って思い込んでいました。出産や育児ってなった時、急にレールに乗っているんですよね。病院を選ぶ、妊娠線予防のクリームを買う、ベビーカーを選ぶ、電動自転車を買う……みたいなラインに。

――焦ってしまうということですか?

しまお そうですね。情報が過多に入ってくる。でも、そんなの本当は、まったくと言っていいほど必要なかったりする。

古泉 ぼんやりしていると、取り残されてしまう感。

しまお ネットとかで育児グッズの情報を見るより、自分の子どもを見て、自分の子どもに合わせた取捨選択をしないと、逆に窮屈なんじゃないかと思います。ベビーカーや抱っこひもも、焦って買わなくていいんじゃないかな。

古泉 僕は、講師をしている漫画教室のママ友さんに、お古のアイテムをもらいましたよ。

しまお 結構みんなくれますよね。

古泉 チャイルドシートも、中古品を5,000円くらいで買いました。全然お金をかけていません。

しまお 私も服は、ほぼ友達のお古です。周りよりちょっと出産が遅れると、お古をたくさんもらえるんですよね。お古の服だから、全然インスタ映えしない子どもですけど(笑)。

(姫野ケイ)

古泉智浩(こいずみ・ともひろ)
1969年生まれ。ヤングマガジンちばてつや賞大賞受賞。代表作『ジンバルロック』(青林工藝舎)、『ワイルド・ナイツ』(双葉社)のほか、映画化された原作漫画に『青春☆金属バット』(秋田書店)、『ライフ・イズ・デッド』(双葉社)、『死んだ目をした少年』『チェリーボーイズ』(青林工藝舎/2018年2月公開予定)がある。DVD『渚のマーメイド』原作・脚本担当。子育てエッセイ『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』(イースト・プレス)が話題を呼ぶ。Vコミで『漫画 うちの子になりなよ』連載中。
・ブログ:古泉智浩の『オレは童貞じゃねぇ!!』

しまおまほ(しまお・まほ)
1978年10月東京・御茶ノ水生まれ。多摩美術大学芸術学科卒業。97年、『女子高生ゴリコ』(扶桑社)でデビュー。ファッション誌やカルチャー誌に漫画やエッセイを発表。著書に『ガールフレンド』(スペースシャワーネットワーク)、『ぼんやり小町』(ソニー・マガジンズ)、『しまおまほのひとりオリーブ調査隊』(プチグラパブリッシング)、『まほちゃんの家』(WAVE出版)、『漫画真帆ちゃん』(KKベストセラーズ)など。

ファン歴25年超「嵐を見るのは不快。ジャニーズ事務所潰れないかな」【SMAPロス取材】

 香取慎吾、草なぎ剛、稲垣吾郎の3人による「新しい地図」の活動は順調で、木村拓哉は1月から主演ドラマがスタート、中居正広もTBS系の平昌冬季五輪メインキャスターが決まり、それぞれが動き出している。しかし、SMAPファン、ジャニーズファンにはSMAPロスを嘆く者が少なくない。

 今回登場してくれたのは、SMAP結成前からのファンで、「西武園ゆうえんち」で彼らがデビュー発表会を行った「はじまりの場所」に立ち会い、「人生の半分以上をSMAPと一緒に過ごしてきた」というD子さん(48歳)。

 出版関係の仕事に従事し、本人たちに取材した経験もあるそう。そんな近い場所から彼らを見守ってきたD子さんに、今の「SMAPロス」を聞いた。

――SMAPファンになったきっかけは?

D子さん(以下、D子) 小学生の頃、光GENJIがとにかくはやっていて。そこからテレビで見るSMAPメンバーに惹かれ、流れた感じです。

――SMAP以外にジャニーズで好きなグループは?

D子 SMAPから降りたことはありませんが、ほかに好きなのは、いわゆる「飯島班」ですね。特に、A.B.C-ZはSMAPのデビュー当初に似た雰囲気を感じるので好きです。デビュー当時舞台をたくさんやっているところとか。A.B.C-Zの場合は、『ザ少年倶楽部』(BSプレミアム)の収録を見に行ったのがきっかけで、河合郁人くんに一目惚れしました。神経質そうで、よくしゃべる感じが、中居正広さんに通じるのかも。Kis-My-Ft2の北山宏光さんはちょっと強すぎるんですよね。SMAPのコンサートにA.B.C-Zが来ていたのを見たこともあります。河合くんは、昨年の大阪城ホールのコンサートのソロで「夜空ノムコウ」を歌ったんですよ。「僕もSMAPのように、スーパースターになりたい!」と言って……。騒動以降、初めて本当に泣きました。今思えば、河合くんがSMAPファンじゃなければ、好きになっていなかったかもしれないです。

――現在のSMAPロスはどんな症状ですか。

D子 正直、今は嵐以下のジャニーズグループを見るのもキツイし、不快です。航空会社もそれで選ぶくらい。ギリギリ旧飯島班だったKis-My-Ft2とSexy Zoneは、なんとか大丈夫かなって感じですが「事務所、潰れないかな」と思います。でも、その一方で、潰れたらA.B.C-Zが困るし、気持ちのバランスを取るのが難しい。一番しんどかったのは、『ジャニーズカウントダウンコンサート2016-2017』。「ありがとうSMAP」なんて言ってて、「葬式かよ! お前らが言うなよ!」という怒りが湧きました。すごく悲しかった。それを言ったのがSMAPにとっては先輩にあたる岡本健一くんだけだったら、まだ良かったけど、ほかの人が言うのは許せなかったですね。

――一連の派閥問題、SMAP解散騒動をどのように見ていらっしゃいましたか。

D子 派閥問題って、実際には同じ会社内の事業部制くらいのことだったと思うんですよ。うまくいっているときは、何も問題なかったんです。阪神淡路大震災へのチャリティーの一環として、関西出身者がいるグループで「J-FRIENDS」が作られたときは、疎外される違和感はありました。でも、「SMAPはビッグすぎるから入らないのか」とも思っていて、売れていたからハブられてもよかったんです。それが、なぜ対立関係になってしまったのか。結局は、お世継ぎ問題が発端なんですよね。

――SMAPは他グループと並ぶことのない、別格の存在でした。そこに、あこがれを抱くファンや後輩も多かったと思います。そんなSMAPが東日本大震災復興支援プロジェクトの「Marching J」に来てくれたときは、頼もしく、ワクワクしました。

D子 そうですね。でも、今になって思えば、それが始まりで、終わりだったんですよね。

――SMAP解散後、ファンとしての活動はどのように変化しましたか。

D子 ジャニオタさんたちのTwitterアカウントは見なくなりました。SMAPファンのツイートを見るのもつらいです。でも、一番つらいのは、SMAPファンの仲間内の亀裂ですね。20年くらいの間、ずっと一緒にSMAPのコンサートに行っていた6~7人のグループがあって。年齢も職業も違う人たちが、結婚や出産など、人生のいろんな節目があってもずっとうまくやれていたのに、SMAP解散を機に空中分解してしまって。ブログやLINEのやりとりがおかしくなったり、連絡を取らなくなったり。

――他グループファンとでなく、SMAPファン同士でも揉め事が……?

D子 SMAPと嵐のファンを兼ねている「スマあら担」がいたんですが、その子を攻撃する人がいて……。嵐が悪いわけじゃないことはみんなわかっているけど、叩くんです。でも、自分の好きなもの(SMAP)があんな結果になってしまったせいで、私も正直、今は嵐ファンがはしゃいでいるのを見るのはしんどいです。あとは、SMAPファン同士でも意見が違うんですよね。それで対立したり。同じファン同士、なぜこんなにいがみ合うのかと、切なくなります。それでいて、若いSMAPファンが騒いでいるのを見ると「小娘がなにもわかってない…… 」と思ったり、他グループのファンがSMAPについて語るのを見ると「黙れ!」と思ったりします。そして、そんな不愉快な感情になってしまう、心の狭い自分も嫌で。このロスの気持ちは、SMAPファン同士であっても、誰とも分かち合いたくない。自分の問題ですから。だから、感情にフタをして、できるだけ見ないように、考えないようにしています。

――SMAPメンバーの今後の活動に期待するのは、どんなことですか。

D子 実は森且行くんの脱退のとき、あまりにつらすぎて、しばらく距離を置いたこともあったんです。それでもSMAPファンを降りたことはなかったので、この先も、なんとかなるんじゃないかという思いはあります。その一方で、なんともならないかもしれないとも思っています。

――新しい地図の活動については?

D子 新しい地図へのワクワク感は、SMAPとは別のワクワク感です。ある意味、いびつだし、現実から目を背けているわけで、それでSMAPロスが埋まるものではないですよ。ただ、新しい挑戦をする人たちを応援したい気持ち、新しい挑戦を見せてくれる飯島三智ねえさんの挑戦に対するワクワクはあります。

――ジャニーズ事務所、あるいはジャニー社長に伝えたいことはどんなことですか。

D子 事務所は潰れてほしいけど、ジャニーおじいちゃんのやることは、やっぱり好きなんですよ。どんなに問題のある人物だとしても、おじいちゃんのクリエイティビティには何の疑問も抱いていないです。それに、あのとき「SMAPは解散しない」と言ったのも、おじいちゃんの本当の気持ちだったと思います。ただ、騒動の中で、おじいちゃんは正直、蚊帳の外だったんじゃないかなって。もともと、自分が作り出すモノと男の子にしか興味のない人が、同じようにモノを作り出す飯島さんを気に入って、一番大事なモノ(ジャニーズJr.)を預けていたわけですし。そこが今回の騒動の発端といえば発端だったので。

――SMAPメンバーに伝えたいことはどんなことですか。

D子 伝えたいことは特にありません。いつか、また結成すれば良いなとは思いますが、ここ数年のうちにとか、そんな希望はまったく持ってません。東京五輪のパラリンピックでの再結成? 2年後ですよ、無理でしょ? 希望は抱かないようにしています。
(田幸和歌子)

「最後の不妊治療が失敗してよかった」漫画家・古泉智浩が語る、養子を育てる親のホンネ

 血縁関係のない子を6歳未満で自分の籍に入れ、法的に実子と同じ扱いとする「特別養子縁組」。不妊治療を続けたものの、失敗を重ねた末に治療をやめた漫画家の古泉智浩さんは、里子の男児「うーちゃん」に特別養子縁組の手続きを行った模様を自身のコミックエッセイ『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』(イースト・プレス)に綴っています。今回は、古泉さんと交友があり、現在2歳である実子の男児を育児中のエッセイスト・しまおまほさんとの対談を企画。里子と実子では育て方が違うのか、不妊治療への考え、里子や養子縁組の制度について、お互いの子育てをもとに語ってもらいました。

■最初は里子に抵抗があったが、子どもがいないことに耐えられなくなった

――今まで身近に、里子を育てた方はいましたか?

古泉智浩さん(以下、古泉) 僕は、『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』にも登場しているAさん。15年くらい前からの付き合いです。5歳の時にAさんが引き取ったので、お子さんは今年成人しました。

しまおまほさん(以下、しまお) 私の周りには里子を受け入れたり養子縁組をした人はいませんが、親戚や友達で不妊治療をしていた人はいます。それで、授かった人も授からなかった人もいます。

――古泉さんは、血のつながっていない子どもを育てることに、抵抗はありませんでしたか?

古泉 最初は抵抗があったのですが、なかなか子どもができないのに耐えられなくなってしまって……。

しまお 古泉さん、ずっと、いろんな人に「(奥さんの代わりに)産んでくれ」っておっしゃってましたもんね。そう言われて産む人はいないと思うけど(笑)。

古泉 そう、「(子どもを)産んでくれるなら誰でもいい!」って。でも、そんなことを言って妻を悲しませてしまったので、今はそれをとても反省しています……。

――古泉さんもしまおさんも、お子さんはやんちゃな時期ですよね。

古泉 そうですね。言うことを聞かないときは、「おばけが来るよ」とか「カミナリ様が、おへそを取りに来るよ」と言ったりします。特に、カミナリ様が来ると言うと、何があってもおへそから手を離さない(笑)。うーちゃんは怖がりなので。

しまお えーっ、素直ですね。うちの子は最初から見抜いててダメです。お化けとか通じないんですよね。現実主義なのかな? でも、なかなか寝てくれない夜、外からトランクをガラガラ引く音がしたとき、「あれは言うことを聞かない子をトランクに詰めて連れて行っている音だよ」と言ったら、すごく怖がってました。でも、そう言った私自身も怖くなってしまいました(笑)。

古泉 僕もそれ、パトカーバージョンで使います。「食べ物を粗末にするような悪い子は、おまわりさんがパトカーで連れて行くよ」って。しまおさんは、お子さんが悪いことしたとき、叱ります?

しまお 叱るけど、無視もします。泣いても無視。

古泉 えっ、無視!? かわいそうじゃないですかー! 僕は絶対無理。

しまお だって、こちらの反応をうかがいながら泣いたりするんだもん。

古泉 あー、あるある。

しまお 泣いたら優しくしてくれると期待しているから、そうなったらシカトを決め込むしかないですよ。

古泉 いや〜、僕なら、いくらでも抱っこしてあげますよ。

しまお クセになると、抱っこはこっちの体が持たなくなっちゃう。

古泉 僕の妻も、ぎっくり腰になっていましたね。

しまお 私も、はりに通ってますよ。

――実子と里子で、育て方の違いはあると思いますか?

古泉 僕は元婚約者との間に実子がいるのですが、育てたことはないのでわからないです。

しまお 私も、わからないです。

古泉 ただ、しまおさんが泣かせっぱなしにできるのは実子だからじゃないかなと、聞いていて思いました。やっぱり、僕は血縁関係がないから、もし関係が壊れたら、修復できなくなってしまうのではないかというおびえがあるんですよね。養子縁組をしたので、籍は入れていますけど。

しまお そうなのかな。私は自分に子どもができてみて、実子とそうでない子どもの区別ってなんだろうと考えるようになりました。

 今まで、子どもが嫌いでもなかったけど、すごく好きというわけでもなかったんです。「子どもはいたらいいな」くらいに思っていた感じで、みんなが「子ども可愛い〜」って言っているのもわからなかった。だけど、自分の子どもができたら、こういう行動はうちの子と同じだな〜と思えることが増えて、実子も他人の子も関係なく、本当に子どもっていとおしいものなんだな、と思えたんです。だから、逆に今のほうが血のつながりに固執していないかも。ただ、それはあくまで私の意見ですね。

 子どもに対して遠慮がなくなったので、保育園でほかの子の鼻水を拭いたり、乱暴をしている子がいたら普通に怒って、「出すぎたことをしたかな」と反省することもあります。古泉さんは実子でないことについて、普段から考えたりしますか?

古泉 いつも全然考えていないです。今年、最後に一度だけ不妊治療をしてみたのですが、失敗したのでもうやめようと決めました。635万円も使ってしまったので、これ以上はもったいないと。でも、今にして思うと、失敗してよかったなと思っています。もし、実子で弟か妹がいたら、うーちゃんが大人になったとき、自分だけ仲間外れというのはかわいそうだなと思ったんです。だから、次も里子か養子がいいなと思っています。

――里子や養子縁組の制度があることについては、どう思いますか?

古泉 僕はこの制度がなかったら、今もずっと暗い気持ちのままで発狂していたかもしれない(笑)。当初は民間の養子縁組業者にお世話になろうと思っていたのですが、年齢制限が46歳だったり、申し込むには行政の里親登録をしなければいけなかったりと、いろいろな条件がありました。それで、最初から行政の方にお願いすることにしました。

 行政の児童相談所って“お役所仕事”だろうと思っていたので、そんなに期待せずに登録だけして、民間の養子縁組委託業者に申し込もうと思っていたのですが、里親としての研修を受けた直後に「里子を預かってくれませんか?」と連絡が来たので、ものすごくびっくりしました。

しまお 古泉さんの漫画に登場する行政の方はみんな優しくて、親身になってくれていますね。

古泉 すごく親身に熱心に接してくれて、頼りになります。想像していたようなお役所仕事ではなくて、申し訳ない気持ちになりました(笑)。
(姫野ケイ)

(後編へつづく)

「最後の不妊治療が失敗してよかった」漫画家・古泉智浩が語る、養子を育てる親のホンネ

 血縁関係のない子を6歳未満で自分の籍に入れ、法的に実子と同じ扱いとする「特別養子縁組」。不妊治療を続けたものの、失敗を重ねた末に治療をやめた漫画家の古泉智浩さんは、里子の男児「うーちゃん」に特別養子縁組の手続きを行った模様を自身のコミックエッセイ『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』(イースト・プレス)に綴っています。今回は、古泉さんと交友があり、現在2歳である実子の男児を育児中のエッセイスト・しまおまほさんとの対談を企画。里子と実子では育て方が違うのか、不妊治療への考え、里子や養子縁組の制度について、お互いの子育てをもとに語ってもらいました。

■最初は里子に抵抗があったが、子どもがいないことに耐えられなくなった

――今まで身近に、里子を育てた方はいましたか?

古泉智浩さん(以下、古泉) 僕は、『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』にも登場しているAさん。15年くらい前からの付き合いです。5歳の時にAさんが引き取ったので、お子さんは今年成人しました。

しまおまほさん(以下、しまお) 私の周りには里子を受け入れたり養子縁組をした人はいませんが、親戚や友達で不妊治療をしていた人はいます。それで、授かった人も授からなかった人もいます。

――古泉さんは、血のつながっていない子どもを育てることに、抵抗はありませんでしたか?

古泉 最初は抵抗があったのですが、なかなか子どもができないのに耐えられなくなってしまって……。

しまお 古泉さん、ずっと、いろんな人に「(奥さんの代わりに)産んでくれ」っておっしゃってましたもんね。そう言われて産む人はいないと思うけど(笑)。

古泉 そう、「(子どもを)産んでくれるなら誰でもいい!」って。でも、そんなことを言って妻を悲しませてしまったので、今はそれをとても反省しています……。

――古泉さんもしまおさんも、お子さんはやんちゃな時期ですよね。

古泉 そうですね。言うことを聞かないときは、「おばけが来るよ」とか「カミナリ様が、おへそを取りに来るよ」と言ったりします。特に、カミナリ様が来ると言うと、何があってもおへそから手を離さない(笑)。うーちゃんは怖がりなので。

しまお えーっ、素直ですね。うちの子は最初から見抜いててダメです。お化けとか通じないんですよね。現実主義なのかな? でも、なかなか寝てくれない夜、外からトランクをガラガラ引く音がしたとき、「あれは言うことを聞かない子をトランクに詰めて連れて行っている音だよ」と言ったら、すごく怖がってました。でも、そう言った私自身も怖くなってしまいました(笑)。

古泉 僕もそれ、パトカーバージョンで使います。「食べ物を粗末にするような悪い子は、おまわりさんがパトカーで連れて行くよ」って。しまおさんは、お子さんが悪いことしたとき、叱ります?

しまお 叱るけど、無視もします。泣いても無視。

古泉 えっ、無視!? かわいそうじゃないですかー! 僕は絶対無理。

しまお だって、こちらの反応をうかがいながら泣いたりするんだもん。

古泉 あー、あるある。

しまお 泣いたら優しくしてくれると期待しているから、そうなったらシカトを決め込むしかないですよ。

古泉 いや〜、僕なら、いくらでも抱っこしてあげますよ。

しまお クセになると、抱っこはこっちの体が持たなくなっちゃう。

古泉 僕の妻も、ぎっくり腰になっていましたね。

しまお 私も、はりに通ってますよ。

――実子と里子で、育て方の違いはあると思いますか?

古泉 僕は元婚約者との間に実子がいるのですが、育てたことはないのでわからないです。

しまお 私も、わからないです。

古泉 ただ、しまおさんが泣かせっぱなしにできるのは実子だからじゃないかなと、聞いていて思いました。やっぱり、僕は血縁関係がないから、もし関係が壊れたら、修復できなくなってしまうのではないかというおびえがあるんですよね。養子縁組をしたので、籍は入れていますけど。

しまお そうなのかな。私は自分に子どもができてみて、実子とそうでない子どもの区別ってなんだろうと考えるようになりました。

 今まで、子どもが嫌いでもなかったけど、すごく好きというわけでもなかったんです。「子どもはいたらいいな」くらいに思っていた感じで、みんなが「子ども可愛い〜」って言っているのもわからなかった。だけど、自分の子どもができたら、こういう行動はうちの子と同じだな〜と思えることが増えて、実子も他人の子も関係なく、本当に子どもっていとおしいものなんだな、と思えたんです。だから、逆に今のほうが血のつながりに固執していないかも。ただ、それはあくまで私の意見ですね。

 子どもに対して遠慮がなくなったので、保育園でほかの子の鼻水を拭いたり、乱暴をしている子がいたら普通に怒って、「出すぎたことをしたかな」と反省することもあります。古泉さんは実子でないことについて、普段から考えたりしますか?

古泉 いつも全然考えていないです。今年、最後に一度だけ不妊治療をしてみたのですが、失敗したのでもうやめようと決めました。635万円も使ってしまったので、これ以上はもったいないと。でも、今にして思うと、失敗してよかったなと思っています。もし、実子で弟か妹がいたら、うーちゃんが大人になったとき、自分だけ仲間外れというのはかわいそうだなと思ったんです。だから、次も里子か養子がいいなと思っています。

――里子や養子縁組の制度があることについては、どう思いますか?

古泉 僕はこの制度がなかったら、今もずっと暗い気持ちのままで発狂していたかもしれない(笑)。当初は民間の養子縁組業者にお世話になろうと思っていたのですが、年齢制限が46歳だったり、申し込むには行政の里親登録をしなければいけなかったりと、いろいろな条件がありました。それで、最初から行政の方にお願いすることにしました。

 行政の児童相談所って“お役所仕事”だろうと思っていたので、そんなに期待せずに登録だけして、民間の養子縁組委託業者に申し込もうと思っていたのですが、里親としての研修を受けた直後に「里子を預かってくれませんか?」と連絡が来たので、ものすごくびっくりしました。

しまお 古泉さんの漫画に登場する行政の方はみんな優しくて、親身になってくれていますね。

古泉 すごく親身に熱心に接してくれて、頼りになります。想像していたようなお役所仕事ではなくて、申し訳ない気持ちになりました(笑)。
(姫野ケイ)

(後編へつづく)

“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、激動の年末年始を語る! 今後は「キング・オブ・アウトロー」に!!

 2018年の幕開けと同時に、作家・瓜田純士(38)の称号が変わった。“元アウトローのカリスマ”改め、今年からは“キング・オブ・アウトロー”で行くという。新称号に込められた意味を本人に問うと、「野暮なことを聞くな!」と一喝された。

――あけましておめでとうございます。

瓜田純士(以下、純士) (サングラスを外しながら)おめでとうございます。

――今日は瓜田さんに新年の抱負をお聞きしたいのですが、その前に、昨年末の“あの出来事”について触れないわけにはいきません。大晦日にAbemaTVで生放送された『朝青龍を押し出したら1000万円』に、瓜田さんが“伝説のアウトロー”として映っていたのでビックリしました。

純士 ネットでたまたま対戦相手を募集してるのを知って、応募したんですよ。書類審査に合格したあと、二次審査(東京予選)の会場に行ったんですが、AbemaTVに映ったのは、そのときの映像ですね。面接は突破して、最後の20人くらいまでは生き残ったんですが、結局そのあとの最終審査で落ちてしまいました。最終オーディションの会場にいたのは、新宿二丁目で奪い合いになるようなゴリマッチョばかりで、体格的に勝負になりませんでしたね。

――しかし、800以上の応募があった中、東京予選で最後の20人まで残ったのはすごいことですよ。

純士 いい経験になりました。うれしかったのが、撮影終了後に田舎のゴリマッチョどもが「瓜田さん、一緒に写真を撮ってください」と言って寄って来てくれたことですね。AbemaTVのスタッフも、ほぼみんな俺のことを知ってくれてたみたいで、「こんな企画に参加するような方だとは思わなかった」と言われました。「伝説の不良の方なのに、人前で恥をかくようなこういう場所に来るっていうのが意外でした」と。

――不良の世界から足を洗って何年も経つ瓜田さんですが、世間のイメージは今でも「アウトロー」のままなんですね。

純士 「もう俺の時代は終わった。俺は過去の人だ」と勝手にふさぎ込んでた時期もあったけど、今でもそう思ってくれる人たちがこんなに大勢いるんなら、その期待に応えるためにも、ツッパってるキャラをあんま崩しちゃいけないのかもな、なんてことも思いました。あ、不良に戻るという意味じゃないですよ。不良っぽいキャラを大事にしていこうという意味です。だから今年からは“元アウトローのカリスマ”の“元”を取ろうと思ってます。

――“アウトローのカリスマ”に戻しますか?

純士 いや、“キンブ・オブ・アウトロー”で行きましょう。

――キング!? その心は?

純士 言わせないでくださいよ。それを聞くのは野暮ってもんでしょう。

――えっ?

純士 この称号を名乗れる人間が、他にいますか?(と言って椅子に踏ん反り返る)。

――失礼しました。そういえば今日の出で立ちは、アウトローの貫禄がたっぷりですね

純士 大みそかに自分が映ってる番組を見て、反省した部分もあるんですよ。髪型も体型も気が抜けてたし、服装も着のみ着のままだったし、肌も徹夜明けで青白くむくんでて“紅の白豚”といった感じでした。やっぱああいう場には、頭も服もビシッと決めて、サウナできっちりむくみを取って、健康的に肌を焼いてから行かないとダメですね。普段からそういう部分をきっちり尖らせて光らせてる人のほうが、絶対にいろんなチャンスをつかめますから。というわけで新年早々、中核派の大学生みたいだった髪の毛を短く刈り込んで、日サロにも行って来ました。このサイドの刈り上げの部分から頭皮のタトゥーが透けるのがシブイでしょ?

――正直、怖いです。現役当時の瓜田さんに戻ったような印象です。

純士 普段から強そうでいようと思って。そしたら方向性を間違えて、髪型や服装が当番の不良(編注:事務所当番をするヤクザの若い衆)みたいになっちゃった(笑)。俺の「強そう」ってのは結局、こういうのなんですよ(笑)。

妻の瓜田麗子(以下、麗子) 「瓜田純士、おかえり」って感じやな。

純士 まあ見た目ばっかり強そうで中身が伴わないのはダサいんで、今年は格闘技にも本腰を入れて取り組もうと思ってます。元日からジムに行って来ましたから。

――総合格闘技のジムに通い始めて5カ月ほど経ちますが、成果はどうでしょう?

純士 まだまだですね。でも、今年からはプロ練にも参加させてもらえることになりそうなので、頑張って練習についてって、できれば40歳までにプロの格闘家としてデビューしたいです。ジムではホント、真面目に練習してるだけなので、面白い話は何もないですね。ウチの嫁のジムデビューの話のほうが笑えますよ。

――奥様もジムに通い始めたんですか?

麗子 はい。ボクササイズとかをやる普通のスポーツジムに通い始めたばかりなんですけど、そこの重鎮っぽいおばちゃんのジム生の挨拶を無視したとかなんとかが原因で、ピリピリした状態になってるんです(笑)。こっちは無視したつもりはなくて、声をかけられたことに気付いてへんだけやったのに……。謝ろうとして顔を見ても、目も合わせてもらえへん状況なんですよ。

純士 話を聞いてると、毎日が戦場で(笑)。そのババアと他のババアが結託して「ババア連合」みたいなのを作って、ウチの嫁を目の敵にしてるらしいんです。「そろそろケンカになるで、ホンマ。ぷんぷんぷん!」みたいなLINEが嫁からたまに届くんですけど、俺、それを読みながら笑ってますよ。一体何しにジムに行ってんだ、と(笑)。

麗子 ババアだけちゃうで。実はジジイも敵やねん。給水所でお代わりをしようとしたら、後ろに並んでたジジイにメンチ切られて舌打ちされた。めっさ怖い(笑)。

純士 そんなこんなでストレスがタマったのか、嫁はこの1カ月で3キロも太ったらしいです。ますます何のためにジムに通ってるんだかわからないですよね(笑)。

麗子 おそらく最初のババアが怒ってる理由は、挨拶のこと以外にもあるんちゃうかな。入会すると30分無料券をもらえるんやけど、男性のインストラクターがみんなの前で私に向かって「その券を使って、よかったら僕を指名してくださいね」と言うたんが、面白くなかったんやと思うんですよ。自分は言われてへんから。

純士 ウチの嫁は、すぐにそういう錯覚を起こすんです。「自分だけが声をかけられた」「私だけがモテていた」みたいなことを突然言い出すから困ったもんです。

麗子 たまに言うけど、今回のはちゃうねん!

純士 まあ、おめでたい奴なんですよ。

麗子 やかましわっ! 夫も敵やっ!

――新年早々、夫婦ゲンカに巻き込まれたくないので、そろそろお開きとしますが、何か言い残しはありますか?

純士 今年はもしかしたらYouTuberデビューするかもしれません。タイトルはもう決めてあるんです。『仁義なき晩酌』。今さらYouTubeかよって思われそうだけど、その今さら感が逆にいいかな、と。あと、作家業では新作のプロットを固めつつあり、タイミングを見ながら執筆に着手しようと思ってますので、今年も応援をよろしくお願いします。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。
http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/

※瓜田純士の最新刊『熱帯夜』(Kindle版)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07769PXXJ/nikkancyzo-22/ref=nosim/

※瓜田純士公式ブログ
http://junshiurita.com

※瓜田純士&麗子Instagram
https://www.instagram.com/junshi.reiko/

“自衛隊員の妻”になりたい女性が増加中!? 出会い方、人気の秘密……自衛官との婚活事情

 災害派遣など過酷な現場で活躍する自衛隊員の姿がテレビやネットのニュースなどで紹介されるようになって以降、自衛隊員との結婚を望む女性が急増しているらしい。「健康的で頼りがいがある」「収入が安定している」「礼儀正しい」「時間に正確」「約束を守る」といったことが人気の理由だとか。自衛隊員との結婚を望む女性は実際増えているのか? 自衛隊員が選ぶのはどんな女性? 業界の事情通に取材した。

■「自衛隊員限定」の婚活サービスとは?

 まずは、2009年から業界初の「自衛隊専門婚活サービス」を展開している結婚情報センター Nozze(ノッツェ)自衛隊員担当の宮下今朝芳さんに、同サービスの概要を聞いた。

「基本的には、ほかのお客様と同様のサービス内容ですが、全国各地の基地や駐屯地など部隊に赴いてのご説明やご案内、部隊が計画する婚活パーティーのコラボ開催やご支援、部隊での自衛隊員に向けた婚活セミナーの開催等を行っています。単に、自衛隊員を集めただけでのパーティーではなく、自衛隊員と結婚を希望する女性に、実際に駐屯地の見学をしてもらいながら、将来の伴侶となるかもしれない男性が働く職場についての理解を深めたり、安心感を持ってもらったりすることを目的としています」

 サービスを利用するのは、20歳代の隊員が最も多く、次いで30歳代前半だという。

「20歳代前半の方が多いのは、ほかの職業の方が婚活サービスを利用される場合と比較し、自衛隊員に特徴的な傾向ですね。考えられる理由のひとつに、陸・海・空で多少、事情は異なりますが、自衛隊では入隊して基礎教育期間は全員、また、部隊配置後も『3等陸曹以下』『幹部自衛官以外』の独身者は原則として寮生活です。しかし、結婚すれば寮を出て駐屯地の近くなどにアパートを借りて住むことができますから、若い世代で結婚を希望する自衛官が多いのかもしれません。周囲の仲間に彼女ができた、結婚した等のニュースを聞いて、自分も彼女が欲しい、結婚したいという気持ちが湧きあがってくるのだと思います」

 上下関係の厳しい寮生活から早く抜け出すためには、昇格を待つより結婚する方が手っ取り早いのかもしれない。それで、20代前半から婚活サービスを利用する自衛隊員が多いというわけである。とはいえ、結婚が遅れがちな自衛官ももちろんいる。40代、50代の幹部自衛官の会員も少なくないそうだ。

「人柄レベルの話になりますと一般男性と変わらないと思いますが、結婚が遅れる自衛官特有の理由は2点考えられます。ひとつは、女性は自衛官と結婚したいという希望を持ってお付き合いをするわけですから、自衛官らしくない人、例えば健康や体調維持を気にしない人、優柔不断な人、約束を守らない人などは敬遠されるかもしれません。もうひとつは、勤務環境により出会いの機会が少ない隊員は結婚が遅くなる傾向があると思います。例えば、離島勤務やシフト勤務の隊員です。しかし、これは自衛隊員に限った話ではないと思いますし、結局は自分が置かれている環境を考え、いかにお相手を見つける努力をし、行動するかだと思います」

 それではもっとも気になる、「自衛官が選ぶ(好む)女性」とはどんな女性だろうか? もちろん、好みとしては自衛官それぞれにあると思うが、大まかな傾向を知ることができれば、自衛官との結婚に一歩近づくはず。

「自衛官は自宅を空けることが多いことから、健康でしっかりした女性を希望する自衛官が多いと思います。あえて自衛官との結婚が不向きな女性を申し上げるとすれば、転勤を嫌う方は難しいでしょうね。一般隊員でも定年までに2〜3回の転勤はありますし、幹部は2〜5年に1回の割合で転勤があります。」

 なんと! 意外とハードルは低かった(笑)。転勤さえいとわなければ何とかなりそう? なお、自衛隊には女性自衛官も数は少ないが存在している。知人の元女性自衛官によると、ものすごくモテるとの話である。圧倒的に人数が少ないわけだから、モテて当然だとは思うが、婚活サービスを利用する女性自衛官もいるのだろうか?

「女性自衛官の比率は、隊員全体からすると5〜10%と、とても少ないので、交際相手、結婚相手として男性自衛官を探そうとすれば候補者はたくさんいることになります(笑)。また男性自衛官からしますと、頑張っている女性自衛官の姿を常に見ているわけですから、そのような姿に魅力を感じるのも理解できます。それゆえ女性自衛官は『社内結婚』が確かに多いですね。もちろん『結婚相手は自衛官以外で!』と希望される女性もいらっしゃいますので、そのような方は当社の婚活サービスを利用いただいています」

 宮下さん自身もかつて航空自衛隊に所属していた空自OB。自身の経験をもとに多くの自衛官と一般女性のカップリングを手助けしてきた。ちなみに宮下さんは20代の頃、奥様とテニスを通じて出会い、テニスの試合に弁当を作って来てくれたのが交際につながったそう。「まだコンビニなどない時代で、『男の胃袋をつかめ!』にハマったと思っています(笑)」。癒やし系だけどしっかり系で、お弁当作りが好きな女性は、“良き自衛官妻”になれる可能性が高いかもしれない。

 婚活の方法は、婚活サービスだけではない。防衛省公式の月刊誌「MAMOR」(扶桑社)では「マモルの婚活」という企画が好評だという。同企画は2009年にスタートし、未来のパートナーを探している独身自衛官を毎月3名(陸・海・空の自衛隊から各1名)紹介している。近年は「マモルの婚活」で自衛隊員との出会いの機会をつかみたいという理由で購読する女性が増えているそうだ。同企画を担当する高久裕編集長によると、過去最高で約80通の応募が殺到した自衛官や、実際に同企画で出会って結婚したカップルも多数いるという。

「13年2月号では、マモルの婚活で結ばれた7カップルを紹介し、そのうちの1カップルの結婚式を取材して巻頭特集で紹介しました。最新号(18年1月号)でも、3組の成婚カップルを誌面で紹介しています」

 毎月紹介される自衛隊員は本気で結婚相手を探している。真剣勝負なのだ。各隊員への質問項目もかなり細かく、「どれくらい付き合ってから結婚したい?」「子どもは何人くらい欲しい?」「初めて交際したのはいつ?」など、リアリティのある質問が20問並んでいる。

「企画をスタートしたときと比べて現在では、積極的な女性が増えたような気がします。3人全員に応募してくる方、毎号応募してくる方など。『マモルの婚活』の連載が始まった頃、いくつかの書店の店員さんから、『若い女性の購入が増えている』と聞きました。読者からのお便りで、『婚活が載っていたので初めて購入しました』というコメントをいただく機会も増えましたね」

 「マモルの婚活」で出会いを希望する女性が自衛隊員に連絡を取る手段は、なんと手紙! メールやLINEなどではないところが自衛隊らしいのかも。ともあれ応募するには、まず手紙の書き方から学んでおくのがよさそう。「拝啓」に始まり、時候の挨拶、そして最後は「敬具」をお忘れなく。
(加藤久美子)

「性欲が強いだけ」「ただのセックス好き」? セックス依存症の実態を専門家に聞いた

 「セックス依存症」。2009年に不倫スキャンダルで世界を驚かせたタイガー・ウッズが、後にこの病気だったと発覚し、日本でもその病名は一般的に知られるようになった。最近でも、複数の女優からセクハラ行為で告発(Twitterに「#Me Too」のハッシュタグで投稿)を受けている米映画界の大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインが専門病院でセックス依存症の治療を1週間受けたと、米メディアで報道され、世間を騒がせた。

 しかし、日本では、アメリカのようにセックス依存症が話題になることはほぼなく、実態が正しく理解されていないのが現状だ。そこで、多数の患者の治療にあたっており、著書『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)が各メディアで話題を呼んだ、大森榎本クリニック精神保健福祉部長の斉藤章佳氏(精神保健福祉士・社会福祉士)に、セックス依存症の実態、原因や治療について話を聞いた。

■女性のほうが男性よりもリスクは高い

 そもそもセックス依存症とは、どのような病気なのだろうか。

「セックス依存症は、『社会的・身体的・経済的な損失があるにもかかわらず、強迫的な性衝動が抑えられず、セックスやマスターベーションをすることがやめられない状態』のことをいいます。男女ともに陥る可能性はありますが、特に女性の場合ですと、不特定多数の人と性関係を持つことで望まない妊娠や人工妊娠中絶、STD(性感染症)になるリスクがあるので、男性よりも事態は深刻であるといえます」

 また、セックスをしていない時間が続くと、薬物が切れたときのようにセックスへの渇望感が溢れ出て、心理的な不安やパニック、リストカットや摂食障害などの禁断症状が表れ、それらを抑えるために危険を承知でさらにリスキーな性関係を求めてしまうという。

 男性の場合は、借金をしてまでも風俗通いがやめられないケースが多く、最近ではSNSを利用して手当たり次第、いわゆる “ヤリ目的”で女性と実際に会い、合意があると一方的に認識、強引にセックスをして事件化する場合も少なくないと斉藤氏は語る。さらにセックスだけに限らず、1日中マスターベーションがやめられずに、会社内でも我慢できずに行動化したり、大事な約束に遅刻してしまうなど、やるべきことの優先順位に逆転現象が起こることもセックス依存症のカテゴリーに入るといい、決して侮れない深刻な病気といえるのだ。

 セックス依存症に陥ってしまう女性の場合は、家庭内性虐待や性犯罪被害など、過去の陰惨な被害体験が大きく影響しているという。

「私が出会ってきたセックス依存症に悩む女性たちは、過去に実父や義父、親戚の誰かから性虐待を受けた経験や、レイプ被害に遭ったことのある人が多いです。聞くに堪えない虐待をされて育っているため、自己評価が低く(自分を大切にできない)、セックスの最中だけ相手に抱きしめられ自分が必要とされていると錯覚してしまい、セックスそのものにのめり込んでしまうのです」

 一般的に誤解されていることが多いが、セックス依存症とは、ただ快楽に浸り続けているわけではなく、自分の体を大切に扱うことができない自傷行為なのだ。ただ、本人にとっては、不特定多数の男性とセックスを繰り返すことが不安や葛藤、痛みを和らげる鎮痛作用=自己治療の側面もあるため、それが影響して自ら風俗店で働くことを望むケースも少なくない。斉藤氏が勤める榎本クリニックを訪ねてきた女性患者の多くは、セックスだけに限らず、複合的にいくつかの依存症を抱えているという。

「年齢層は20代から50代と幅広いですが、性被害のトラウマが原因で、性の問題以外にも、たとえばリストカットや摂食障害、アルコールや薬物依存など、さまざまな症状に苦しんでいて、セックス依存症単体のみという人はごく少数。特に薬物とセックス依存症は併発するケースが多いです」

■回復の中で大切なのは「自己受容」

 過去の性暴力被害がセックス依存症に陥ってしまう大きな要因ということだが、どのような治療法があるのだろうか。

「通常は、専門的な技法を用いたトラウマ治療もありますが、基本は個別のカウンセリングに加え、性被害に遭った人たちでグループになり、自分の体験を分かち合うことで、仲間から受け入れられているという経験を通して、少しずつ日常を取り戻していきます。つまり、仲間から受け入れられる共感的なプロセスを通して『今の自分で大丈夫なんだ』と自己受容できるようになることが治療の中では重要です」

 斉藤氏によれば、逆説的にはなるが、「自己破壊的に見える性的逸脱行動を無理やりやめさせるようなことはしない」そうだ。「どんな深刻なアクティングアウト(行動化)があっても、動揺せず『そのままのあなたでいいんだよ』と患者にメッセージを伝え続けることが、長い治療関係の中では重要」なのだという。

 これはマラソンの伴走に似ていて、必要なときは声をかけ励まし、倒れそうになったら手を貸すこともある。しかし、長い道のりを常に横で見守っている、そんなイメージだ。

「本人にとって、セックスは生き延びるために必要なことだから、これまで自己破壊的に見えたとしても続けてきたわけです。それを周囲が無理矢理やめさせようとすればするほど、恥の意識や罪悪感が強まり、逆効果になります。極端な場合、自分の支えとなっていたものが急になくなって、その反動で自死してしまうケースもあります。そのため、『今どうしてもとめられないなら、必要なんだからやっててもいいよ。そんなことで私たちはあなたを責めたり見捨てたりはしないよ』と、肯定的なメッセージを送り続けることが大切なのです」

 痴漢や強姦などの性犯罪は、直ちにやめさせないといけないし、言うまでもなく再発防止に最も力を入れなければいけない。しかし、セックス依存症の場合は、「再発は回復のプロセスである」という捉え方で、やめることを強制することはかえって逆効果になってしまうのだ。完治するのは困難だが、苦しい時期を経て一生のパートナーと出会い回復していったケースも多いという。まずは、セックス依存症が「ただのセックス好き」とは違うことを理解し、悩んでいる人がいれば、専門治療機関につなげることが重要なのではないだろうか。
(福田晃広/清談社)

20キロ増量したプラスサイズモデルに聞く、“デブ活”の苦労と「日本人女性の美意識」

 歌手や声優、アイドルなど、幅広い芸能活動を行っているりょーさん。彼女は、近年注目されている「プラスサイズモデル」というジャンルでも躍進中だ。あえて「デブ活」をして約20キロの増量に成功したものの、世間からの目は大きく変わり、モデルとして活躍する今も、さまざまな苦労が絶えないという。たかが体重、されど体重。「デブ活」をした理由、彼女を取り巻く現在の環境、そこから見えた日本人の美意識について話を聞いた。

■日本人は「何かが足りない人」が好き

――りょーさんは最近、音源付きの写真集を出したそうですが、そもそもなぜ「プラスサイズモデル」になろうと思ったのですか?

りょー プラスサイズモデルの仕事を始めたきっかけは、「居場所がない人に、居場所を作ってあげたい」という思いからでした。趣味がない人や、本当に心から信頼できる人がいない人は、自分から「寂しい」とか「孤独だ」と言えないと思うんです。だからこそ、手を差し伸べたい。「いつでもあなたと一緒にいるために」という思いで、写真集も持ち運べる文庫サイズの小さなものにしたんです。

 歌手やアイドルとしてなら、ファンの方にとってライブハウスが居場所になって、声優としてであれば、携わったコンテンツが誰かの趣味になることもありますよね。ぽっちゃり好きの男性は、「私はぽっちゃり好きです」って声を大にして言いにくいようです。「お前デブ専かよ!」と言われて、なかなか価値観を共有できない風潮があります。「ぽっちゃり」って形を表す言葉ですが、「デブ」は言われる人にとっては悪口ですからね。キラキラした「ぽっちゃり」として活躍することで、なかなか自分の嗜好を共有できない人たちに対して、少しでも居場所を作れてるのかなと思ってます。

――「ぽっちゃり好き」と言いにくいのは、一般的に世間では「美しい=痩せている」と考えられているからですよね。この常識について、どう思いますか?

りょー もはや文化だなと。どうしても日本人は、「かわいい」を求めると思うんですよ。「かわいい」って、何かが足りてない人のことだと思っていて、対する「きれい」とか「美人」は、「見上げる存在」「あがめたい存在」といった感覚です。「かわいい」って、体が小さくてきゃしゃとか、ちょっと抜けてるとか、言い換えれば「力が劣ってる人」「見下ろしていい存在」という印象が強いと思うんです。これが、日本人の男性が持っている感覚や、求めているイメージだと思います。

――「力が劣ってる人」「見下ろしていい存在」を求めていると聞くと、残念な感じがしますね。

りょー そうかもしれませんが、わかる気がしませんか? 誰だって、ないものを求めるじゃないですか。女性も力の強い男性に惹かれたり、背の高い男性を魅力的に感じたりする人は多いですからね。

ryo2b――なるほど。海外では体が大きくても、すごく生き生きとしてる人が多い印象の一方で、日本人は「きゃしゃな女の子が正義」という感覚があると思いますが、そんな中であえて“大きな体”づくりをされたことで、世間の風当たりや対応は変わりましたか?

りょー 痩せてた時と、対応はかなり変わりましたよ! 特に男性からの対応は、相当変わりました。少なからず、昔は男性に「かわいいね」「きれいだね」と言ってもらう機会もあったんですが、20キロ太ってからは、めっきり言われなくなりました(笑)。あと、最近は実年齢より上に見られたり、「お母さん」「お姉さん」っぽく見られたりしがちになりましたね。

――そうなんですね。「日本人女性の美意識」って、男性目線の影響が強いイメージがありますが、それについてはどう思いますか?

りょー SNSを意識した現代では、女性からの目線も強いと思いますよ。私の場合は、レディースファッションのモデルという仕事柄、女性の「いいね!」が必要なんです。なんというか、「あざとい女」ではなくて、あっけらかんとした、親しみやすさを感じる魅力が受け入れられやすいのかなと思います。

――では「お母さん」的なイメージも、むしろちょうどいいのでしょうか?

りょー 肉感の魅力をお届けしたいと思っていますが、不服はあります!!(笑) それに、性的な対象になりたいなと思ってます(笑)。同性から見ても、異性としても、魅力的な女性でありたいと思いますね。

――特に男性からの対応が変わったと考えると、「プラスサイズモデル」の魅力は女性の方が理解できそうですよね?

りょー どうでしょうか……。太ってる人は、だらしないイメージが強いじゃないですか。見栄張って、「昔は痩せていた」って言う人は多いんですけど、それでも、「どうせ前から太ってたんでしょ」と思われることが多いものです。でも、言葉が悪いかもしれないですが、昔の写真を見せたり、「仕事でこの体形をキープしてる」と言ったりすると、みんな見る目が変わります。女性からは、「顔はいいから、そのままいけ」って言ってもらえますしね! 太っている人が嫌いな方じゃなければ、男女ともに受け入れてもらえますよ!

――「デブ活」を、やめたくなったことって、ありませんでしたか?

りょー あります! 世間からの目が冷たくなったというのが理由です。また、仕事柄、写真を撮ってもらう機会が多いのですが、撮影データを見ていて二重顎を見つけたときとか、とてもやめたいという気持ちになりました。お気に入りの服が着られなくなったとか、狭いところを通るとおしりがぶつかるとか。あと、電車で服を踏まれることも増えましたね(笑)。

――体重が増えたことによる弊害は、ほかにもありますか?

りょー 20キロ太ってから、骨を折りました。たたりですかね(笑)。ダンス中に着地したところに物が転がってきて転んだんです。それだけで足首の骨が折れました(笑)。無理なダイエットをしていた時もあったので、急に体重を増やしたから耐えられなかったのかも。

――壮絶ですね。体形維持のほかに、「プラスサイズモデル」として気を付けていることはありますか?

りょー プラスサイズモデルの基準が、大体3Lサイズなんですよ。それを似合うように着こなすのが大切なので、「太っているからだらしがない」「化粧の仕方がわからない」「どうせ私なんて……」といったマイナスの思考やイメージを払拭して、「きらきらしてないと」と常に思ってます。

――なるほど。目標にしている方や、素敵だなって思う方っていますか?

りょー 渡辺直美さんとか、ちょっとジャンルは違いますけど、叶姉妹さんとかですね。

――それは、肉感の魅力でしょうか?

りょー ファビュラスな感じ……ではありませんね(笑)。あの方たちの美意識の高さって、すごいと思うんですよ。まるで二次元から出てきたみたいな。私もそうなりたいと思っています。

――多くの女性が、「痩せたい」を「キレイになりたい」と同義で使っています。あらためてプラスサイズモデルとして、この考え方をどう思いますか?

りょー あくまで持論ですが、「美しい=痩せている」は大間違いです。痩せていても自分の魅力を引き出せていない女性はたくさんいますし、逆にぽっちゃりでも、異性にモテる人はかなり多いです。要は、内面の美しさなんです。他者を慈しむ心を忘れず、自分を恥じて生きず、周りからも後ろ指をさされにくい人物こそが、美しい人だと思います。だから、「きれいになりたい」と思ったら、「内面を磨こう」と思うことが大事なのかなと。本当に自分を愛してくれる人からすれば、体かたちなんて取るに足らないものですから。ダイエット志向の方々には、どうにかして痩せようと必死になって、「心までダイエット」なんてことはしてほしくないと思っています。
(浅沼彩菜)

りょー
静岡県出身。ぽっちゃりアイドル「エルチャンス」加入後、声優、舞台、ラジオ等さまざまなシーンに進出し、プラスサイズモデルを始める。現在はeur3(イトキン株式会社)、VARAL DE MODA+(株式会社GSIクレオス)にて、ブランドモデルとして起用されている。

『渡鬼』女優・宇野なおみが“港区女子”に物申す! 自分の価値を「他人に委ねる」ことの怖さ

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(前編はこちら)

■港区女子に告ぐ「ロシア赴任とかになったらどうするの?」

――最近は、オンナの色気をフル活用して戦略的に成り上がろうとする“港区女子”にも注目が集まっています。権力のある男性に見初められていい暮らしをしたり、仕事を与えてもらったりもする、港区界隈に出没する野心にあふれる女性のことを指します。

宇野なおみさん(以下、宇野) “港区女子”を知らなかったので、調べました。私が得意な英語を生かして通訳の仕事をしているように、自分の能力を仕事にするという面では、オンナの色気をスキルとして使うのも、正しいとは思います。ただ、それが自分の実力なのか、未来があるかというのは別物。自分の価値を他人に委ねてしまうのは怖いなぁと思いますね。

 だって、オンナの色気だけでステップアップして、ロシア語がわからないのにロシア赴任とかになったらどうするの? そこで「頑張ってロシア語学ぼう」ってなればまだいいけど、相手に称賛されてちやほやされることが自分を肯定できる理由になっていたら、「もしそこにお魚しかいなかったらどうするの?」「お魚に褒めてもらうのかな?」って思いますもん(笑)。

――ちなみに、宇野さんのまわりに“港区女子”のような女性はいますか?

宇野 いませんね。でも、古くは花魁とか、“オンナ”で稼いできた人たちもいるわけだし、港区女子も自分の意思で極めているならいいと思います。芸能界には、可愛さを武器にしている人もいっぱいいますし、彼女たちの努力はプロフェッショナルで、生活できるくらいお金を稼いでいるので、それはすごいことだと感じます。ただ、見た目を磨くことが仕事に直結するわけではない場合、やっぱり「仕事の評価は、見た目ではなく仕事ぶりで判断される」のではないでしょうか。

――華やかなところだけを拾って、勝ち組と認められたい港区女子ワナビーも増えているんです。

宇野 ワナビーなら好きにすればいいと思いますけど、時間だけはみんな有限なんですよ。夜遊びして、オーパスワン空けて、明け方タクシーで帰って~とか、それがいいならいいのですが、私は面倒だしイヤだから、その時間を使って勉強したり寝たりしたいです(笑)。興味あることに時間を使いたいですね。その結果、茶道の上級免状をいただいたり、TOEICで910点取れたりしたので、結局は時間の使い方に集約されると思います。「限られた時間」と言うと、みんな「若いうちに」って言いますけど、若さに限定する必要もないと思うんです。86歳ですからね、オンナの平均寿命。折り返し地点が40歳ですよ! そう思うと長いじゃないですか(笑)。

 私はフリーランスで、実家暮らしで、結婚もしていなければ子どももいないと、世間一般からみれば“負け犬役満”かもしれませんが、毎日楽しいし、ストレスも少ないし、なにより自分で納得できています。「人より良ければいい」という考えだと底なし沼に落ちるので、ポジティブな意味での自己満足ができる時間の使い方をすればいいと思います。

――宇野さんが時間の使い方で意識していることはありますか?

宇野 大事なことは後回しにしないこと。私の周りは年配の方が多いので、のんびりしていると置いて行かれちゃう(笑)。先日も、『渡鬼』でご一緒した大好きな俳優さんが60歳で亡くなられたんです。「一緒に舞台に立ちたい」と思っていたので、ものすごく悲しい思いをしました。女優業をもう一度本格的にやりたいと思ったのも、またチャンスを逃してしまうことがないようにとの思いからです。

――『渡鬼』で演じられた野々下加津ちゃんも、向上心あふれる女性だったと思うのですが、宇野さんから見て加津ちゃんはどんな女の子ですか?

宇野 加津ちゃんと私を同一視している方も結構いて、「東大生なのよね」とか「親いないのね」とか言われることもよくありますし、私自身も自分の一部みたいな感じなので、どう思うかと言われるとちょっと困るのですが(笑)、人としてすごい子だなっていう尊敬はずっとありましたね。ためらいない飛び込みで自分の才能を開花させていくところとか、「人と違っても何とかなる」という思いは、加津ちゃんから学んだと思います。

――演じたことで影響を受けたところなどはありましたか?

宇野 あります、あります! 加津ちゃんは私よりデキる子ですから(笑)。一番は、あきらめないことです。加津ちゃんの立場は非常に複雑で、コンプレックスもあったと思うのですが、彼女はそんなバックボーンを跳び箱の踏切板にしていたんですよね。私は高校を中退し、大検で早稲田大学に入りましたが、それは普通に生きていたら思いつかなかったルートだったので、「自分で切り開けば道は常にある」という加津ちゃんの考え方が強く影響していたんだと思います。

 あと、私は昔からゴールキーパーにはなれないタイプで、人と人を紹介したら自分が入り込めないほど2人が仲良くなってしまったり、自分が出会いを探しに行った場で、友達にだけ恋人ができたりと、「誰かの1番」にはなれないパサーであることがコンプレックスでした。でも、人の言葉を、自分を介して伝えていく通訳や役者は、パサーじゃないと務まらない。コンプレックスを強みに変えることができたからこそ就けた仕事だと感じています。

――ちなみに、加津ちゃんを演じてきた中で、一番印象に残っているシーンはどこですか?

宇野 1つは、一人芝居をしながら階段を下りていくシーン。「ごはんまだかなぁ。『腹減った、早くメシ!』なんて言える身分になってみたいよ」という一人芝居の様子に、いつもは強い女の子の本音が出ているような気がしました。もう1つは、母親との再会のシーンですね。決して恨み節を投げつけず、母親にも事情があったことを慮ったセリフしかないんですよ。でもそれは、先に泣き出した母を見て、「お母さんは強くない人だ」ということを受け入れられたから、手を差し伸べることができたんだろうなって。人より不幸値の最大値が大きいからこそ、懐が深いというか。加津ちゃんの強さと優しさを感じられたシーンでした。

――今後チャレンジしてみたいジャンルなどはありますか?

宇野 文章を書く仕事をしてみたいです。文章を書くのが好きというのも、橋田寿賀子先生や加津ちゃんから覚えたことですね。これまでも『渡鬼』のホームページで連載したり、ブログを続けたりしてきましたが、自分の不器用な生き方が誰かの役に立つようなことも書いてみたいです。私のように、ずっと人と違って生きてきて、それを「ま、いっか!」と思いながら過ごせている人は今の日本ではレアなので、「私みたいなのもいるんだよ!」というのを知ってもらえれば、自信を持ってもらえるんじゃないかなって。高校を中退した人とか、コンプレックスを抱えている人とか、同じような境遇の人の心に伝わったらいいなと思います。

――最後に、今後の目標を教えてください!

宇野 赤木春恵さんが88歳で認定されたギネス記録「世界最高齢での映画初主演女優」を目指したいと思っています。本当に素晴らしいことだと思うので、できることなら、私もそういう女優になりたいですね。
(取材・文=千葉こころ)

宇野なおみ(うの・なおみ)
1989年生まれ、早稲田大学文化構想学部卒業。96年、『マダム・バタフライ』で初舞台を踏み、98年から『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)に野々下加津役としてレギュラー出演。大学卒業後、カナダ・バンクーバーのカレッジに留学し、「TOEIC」のスコアは990点満点中、910点という語学力を得る。現在は女優以外にも、通訳として活躍している。