「隣が騒音おばさん」の不幸を避けるには? 不動産プロに聞く、騒音トラブルから身を守る家探し

 自宅では穏やかに過ごしたいものだが、騒音や迷惑行為といったご近所トラブルは後を絶たない。神奈川県小田原市ではトラブルメーカーの母娘が越してきて、近隣住民に「サバの味噌煮」を投げつける事件も起きた。騒音をはじめ、各種トラブルが起きる前に、「自衛」の方法はないのだろうか? “完全紹介制(一見さんは利用不可)”というユニークな制度を採用し、『有吉ゼミ』(日本テレビ系)でも家探しを行う不動産仲介会社「誠不動産」社長・鈴木誠氏に、騒音対策を中心に、住民トラブルを回避するポイントを伺った。

 間取り図、内見時のチェックポイント

――賃貸住宅では、住んでからのトラブルは「管理会社」が受け持ちますよね。

鈴木誠氏(以下、鈴木) ただ、なかなか管理会社さんは音の問題で動いてくれないんですよね。何件もあることなので。「注意の張り紙をしておきます」と言われるケースが多いのですが、貼られないままのことも多いため、私が仲介した入居者さんには「管理会社の人に伝えますので、私まで連絡ください」とお伝えしています。

――どのような騒音トラブルが入居者さんから寄せられますか?

鈴木 上階のお子さんの足音、テレビの音、1Kなど一人暮らし用の間取りなのに2人で住んでいて夜がうるさい、などですね。

――騒音は、隣や上階に誰が住んでいるのかという、運にも寄るところが大きいと思います。入居者が事前に確認できることはありますか?

鈴木 まず家探しにおいてですが、「騒音」を最重視される場合、構造は「木造」ではなく「鉄筋」の物件を選んでください。不動産会社によっては「鉄骨」でも「音が響かないよ」と薦めるケースもあるのですが、鉄骨では木造とほぼ変わりません。そして、静かに暮らしたいなら最上階の角部屋ですね。最上階は暑いというデメリットもありますが。

――全ての希望をかなえる家などないのですから、何を最重視するかを決めておくことが大切なんですね。

鈴木 私自身はあまり音が気にならないのですが、妻は気にするタイプで、自宅のマンションを選ぶときは50棟以上のパンフレットを見て選んでいました。そこは1階に2戸しかなく、しかも真ん中にエレベーターがあるんです。どこも隣に面していないので、こういった構造もいいかと思います。また、大きい道路沿いに建っている物件は、車の音はしますが、隣の音は気にならないケースが多いですね。

――「静かなところに住みたいから閑静な住宅街」を選ぶと、車の音はしないものの生活音が気になるというケースも出てくるのでしょうね。

鈴木 ほかにも、「人が歩くヒールの音が気になる」という方もいます。こういった場合、家賃は高くなりがちですが、内廊下で絨毯の敷いている集合住宅なら、足音はだいぶ静かになりますね。

――人が「嫌だと感じる音」はバリエーションがありますね。ただ「静かに暮らしたい」ではなく、「自分は何の音が嫌なのか」を見極めることで、家が探しやすくなりそうです。

鈴木 次に内見時ですが、私は内見時には両隣の家のベランダを見るようにしています。隣の家のバルコニーがゴミだらけだったら要注意ですね。また、上の階も見ます。真上の部屋のドアの脇に小さいお子さんの自転車があった場合は、足音などを気にされる方は避けた方がいいでしょう。

――泣き声、騒ぎ声、足音など「子ども」の存在は、静かに暮らしたい人にとって気になる要素です。私自身、「子どもNG物件」があればぜひ住みたいのですが、「女性専用物件」「外国人NG物件」はあっても、「子どもNG」は不動産検索サイトでは見かけないように思います。

鈴木 「子ども入居NG物件」は、数は少ないですがありますよ。小学生までのお子さんはダメとか、子どもが生まれたら退去してください、という条件の物件もあります。お子さんのいる借り手さんを紹介した際に、物件の管理会社さんから「この物件は子どもがダメなんです」と断られたこともあります。物件の間取り図などに書いてあったりなどもしますので、仲介会社さんにどうしても子どもNG物件で探したい、と言って探してもらうのがいいでしょうね。

――現在、単身者向けの1Kに住んでいるのですが、子どもを含む数人で暮らしている部屋があるようで、騒がしく思っています。単身者向けの間取りの住居に「2人入居可」という記載があるのを見かけますが、逆に、「1人しか住んではいけない」という条件はあるのでしょうか。

鈴木 ありますよ。ただこちらも、「子どもNG」と同様に、表には出にくい条件ですね。ですが、「入居者の方は契約した方限定で」と明記した契約書は、最近増えていると感じます。

 民泊により変化する契約事情

――なにか事情があるんでしょうか?

鈴木 民泊の影響だと思います。あと、外国の方がお一人で契約したのに実際は6人で住んでいた、といったケースもよくあるので、それを防ぐためでしょうね。民泊の場合、近隣からの通報で発覚します。スーツケースを持った人がやたら出入りするようになった、とか。あと、通報サイトのようなものもあるようですね。

――以前、大家さん宅の一部が賃貸になっている家に住んでいました。「大家が近いのは嫌」と思う人もいるでしょうが、住むのに抵抗のない人は、問題を起こすこともないように思います。しかし、こちらも不動産サイトを見ると「大家さん同一建物内」といったチェックボックスはないんですよね。

鈴木 これも仲介会社に希望を伝える形でしょうね。建物の外観などを見てわかるケースもあります。ハウスメーカーの旭化成(へーベルハウス)、積水ハウスあたりの3階建てなどで、大家さんと同じ建物の賃貸物件が作られていますね。

――こうしてみると、騒音を気にする人にとっては、不動産サイトのチェック機能では探しきれないケースが多いようですね。そのあたりは、仲介会社に問い合わせるしかない、と。

鈴木 はい。ただ、残念ながら条件が細かいと面倒くさがる仲介会社はあるかもしれないですね。これは仲介会社側の問題ですが。

****

 「静かに暮らしたい人が渇望する条件は、不動産サイトに表示されにくい」――ここにビジネスチャンスを見出す仲介会社や不動産サイトが現れることを切に願わずにはいられない。

 後編では引き続き鈴木氏に、「いい仲介会社」「いい管理会社」の見極め方について伺う。(石徹白 未亜)

「3COINS」がジャニオタに優しすぎる! メンバーカラーを意識した新商品の“ウラ側”をインタビュー!

 アイドルファン向けの収納グッズなどを販売し、ジャニーズファンの間でも大きな話題となっている「3COINS」。ジャニ研では、昨年「オタ活応援」シリーズの商品企画担当者に取材を行い、ジャニーズファンにオススメのグッズを多数紹介していただきました。

師走特別インタビュー! 「3COINS」が“オタ心”をくすぐる理由は、企画担当の“情熱”にアリ!

うちわ・半券・銀テープ……どうやって収納したらいいの!? そんな悩みに「3COINS」が答えます!

 そんな「3COINS」が、この度新商品を発売したとの情報をGET。しかも今回は、10色のカラー展開とのことで……ますますジャニオタに優しくなっているのです! ということで、カラー展開を増やした経緯や、色はどのようにして決めたのかなど、再び商品企画担当・Nさんにお話を聞いてきました!

―――ジャニーズファンの間で大人気の「オタ活応援」シリーズですが、2月に新商品「カラーうちわカバー」「カラーチケットホルダー」が発売されましたね。今回はどのような経緯でカラー商品を発売することになったのでしょうか。

1802_26288_PU

商品企画・Nさん(以下、Nさん) 昨年発売した「うちわケース」が大好評いただいており、発売当初は売り切れが続出しておりましたが、ようやく多くのお客様の手元にお届けできたようで、連日SNSなどでうれしいお声をたくさん頂戴しております。そんな中、お客様から「なぜ白と黒しかないの?」「○○色作ってください!」というお声をいただくようになりました。

 もともと、ジャニーズに限らず“メンバーカラー”というものがあることは承知しておりましたが、色を意識せず使える白と黒にすることで、多くのお客様に違和感なく使用してもらえると思っておりました。しかし、メンバーカラーへの熱いこだわりを持つお客様の要望が伝わってきましたので、今回思い切って色展開を増やして発売することにしました。3COINSの商品は基本的に2~3色の展開で、多くても4~5色なので、10色展開というのは、正直かなりの“挑戦”でした。

―――「カラーうちわカバー」「カラーチケットホルダー」は、それぞれ新たに9色(ブラックを含め10色)が展開されていますが、なぜこの9色を選んだのでしょうか。

1802_26276_RD

Nさん 色選びは、本当に悩みました……! ジャニーズアイドル以外もいろいろと調べつつ、「何色がいいのか」「色展開が少なすぎても多すぎてもダメだ……」などと悩み、最初はどのグループにもほぼ対応ができる、虹の7色とブラック、計8色展開にしようと思っていました。

 しかし、例えばHey!Say!JUMPはグループ内で青と水色、緑と黄緑というふうに、同系色で細かくメンバーカラーが分かれているんです。もともと、お客様の色への熱い思いから生まれた企画でもありますので、買ってくださったお客様が「本当は水色なんだけどな~……」と思いながら青をご使用になるのは、自分だったら残念なことだと思ったので、水色と黄緑を追加しました。

―――確かに、青と水色・緑と黄緑の違いって、地味に気になっちゃうんですよね。そこに目をつけて色展開を考えたとは、さすがです! 今後、色展開を増やしたり、カラー商品の展開を増やしたりする予定はありますか?

Nさん 現在「これ!」と決まった商品はありませんが、今後もお客様と一緒に私も“オタ活”をしていく中で、色があった方がいいグッズがあれば、また出すかもしれません。

―――それは楽しみです! カラー商品が発売されたあと、お客様からの反応はありましたか。

Nさん 「3COINS」の公式ブログにて発売前に告知をしたのですが、その時から「ついに出た!」「待ってました!」「○○色買う!」と、お客様からのうれしいお声をたくさん目にしました。発売日には「ゲットできたよ!」「○○店は△△色が少なくなってる」など、お客様同士で情報交換もしていただいていたようですし、さっそくメンバーカラーの「カラーうちわカバー」にうちわを入れて、SNSにアップしてくださる方もいました。また、複数のアイドルを掛け持ちで応援されている方は、たくさんのカラーを購入してくださっていましたね。あとは、「○○色が減ってた! やっぱり△△君って人気なんだね!」とご自分の担当の人気を喜んでいる方も見かけました。

 「オタ活応援」シリーズの商品を購入してくださるお客様のほとんどが、まわりのお友だちに「3COINSでこんなの出てたよ!」などと商品を勧めてくださったり、ご自身の担当や推しキャラクターを本当に大事にされていたりするんです。そんな姿がとてもステキでかわいらしいなあ~と思いながら、いつも反応を拝見しております。実は、うれしいお言葉をいただいて涙することも多いです(笑)。

―――Nさん、結構涙もろいんですね(笑)。それだけ商品開発に力を注いでいるということですもんね、尊敬します! 最後に、今後発売を予定している「オタ活応援」シリーズのグッズがあれば教えてください。

Nさん 今は詳しく言えませんが、「まだまだあります!」とだけお伝えしておきます♪

 なお、今回紹介していただいた商品は、大好評につき5月再入荷予定とのこと。お近くの「3COINS」をぜひチェックしてみてください!

3COINS 公式サイト

モンスター映画はアカデミー賞での受賞なるか? オタク監督の新作『シェイプ・オブ・ウォーター』

 日本時間で3月5日(月)に発表される米国アカデミー賞において、作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞・助演女優賞ほか最多13部門でノミネートされている話題の映画『シェイプ・オブ・ウォーター』。日本の怪獣映画&ロボットアニメへの惜しみなきオマージュを捧げたSF大作『パシフィック・リム』(13)で知られる、ハリウッドきってのオタク監督、ギレルモ・デルトロの最新作だ。これまでオタク心満載な特撮ドラマを撮り続けてきたギレルモ監督だが、本作はアカデミー賞会員たちも認める今日的なテーマ性を持ちつつ、いつも以上にキテレツかつ娯楽性の高い作品となっている。

 ストーリーは極めてシンプル。異類婚姻譚『美女と野獣』をギレルモ流に振り切ってアレンジした内容だ。時代は1962年。主人公のイライザ(サリー・ホーキンス)は米国の極秘研究施設で清掃員として働いている。イライザは言葉を話すことができず、気のいい同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)とは手話で会話をしていた。そんな彼女たちの働く施設に、南米から不思議な生き物である“彼”が運ばれてきた。水槽に潜む彼の正体は、アマゾンの原住民たちが神として崇めている半魚人だった。軍人のストリックランド(マイケル・シャノン)は力づくで彼を服従させようとするが、逆に指を喰いちぎられるはめに。怒ったストリックランドは、電気棒で執拗に彼を殴りつける。

 南米から連れ去られてきた彼が虐待され続けるのを見かねたイライザは、昼休みにこっそり研究室に忍び込み、ゆで卵を水槽のふちに置くようになる。卵は彼の好物だった。ランチの差し入れをきっかけに、顔を合せるようになるイライザと彼。人間の言葉は通じない彼だったが、イライザの手話はボディランゲージとして彼にも理解することができた。やがてイライザはレコードプレイヤーを研究室に持ち込み、音楽やダンスを介して、彼と感情を共有しあうようになっていく。だが、研究のために彼が生体解剖される日が迫っていた。意を決したイライザは同じアパートに住む売れない画家ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)やゼルダに協力を求め、研究施設から彼を脱走させる計画を実行することに―。

 90年の伝統を誇るアカデミー賞は人権問題などを扱った意識高い系の社会派作品や実録作品が最高賞である作品賞を受賞することが多く、SF映画や怪獣映画は特殊メークなどの限られた賞しか与えられないのが相場だった。ギレルモ監督作のアカデミー賞ノミネートは、ファシストと少女との闘いをファンタジー要素を交えて描いた『パンズ・ラビリンス』(06)以来のこと。今回の『シェイプ・オブ・ウォーター』は往年のユニバーサル怪奇映画『大アマゾンの半魚人』(54)とその続編『半魚人の逆襲』(55)をベースにしながら、半魚人/モンスターを恐怖の存在としてではなく、自分たちの文明社会と相容れない他者として描いているところがアカデミー賞会員たちのハートに響いているようだ。口の不自由なイライザとアマゾンでひとりぼっちで暮らしてきた彼とが、手話や音楽を通して心を通い合わせていく過程が見どころとなっている。

 とは言っても、ギレルモ監督はアカデミー賞狙いで優等生タイプの作品を撮ったわけではなく、本作は相当にアブノーマルな内容でもある。心が通じ合うようになったイライザと彼は、人間とモンスターという壁を越えて愛し合うようになっていく。英国の名女優サリー・ホーキンスはフルヌードを披露し、バスルームいっぱいに満たされた水中で、半魚人とSEXするシーンが用意されている。

 映画史に残りそうな水中SEXシーンだが、決してエログロ描写にはなっておらず、ギレルモ監督ならではの映画愛に溢れたロマンチックなシーンに仕上げられている。1964年生まれのギレルモ監督はメキシコで過ごした少年時代、東映動画作品を熱心に観ていたこともあって、宮崎駿監督をリスペクトしていることでも有名。人間と半魚人とのラブストーリーという点では『崖の上のポニョ』(08)、水中で愛を確かめ合うイライザと彼の姿は『未来少年コナン』(NHK総合)の第8話でコナンとラナが海中で口づけを交わす名シーンを連想する人もいるのではないだろうか。

 1月末に来日したギレルモ監督は、会見の席で『シェイプ・オブ・ウォーター』に込めたメッセージ性をこのように語っている。

ギレルモ「我々とは異なる他者や異種を恐れてしまう今の時代に、この物語は必要だと考えました。でも、現代の設定にすると、なかなか耳を傾けてもらえません。それでお伽噺という形にしたんです。“アメリカを再び偉大に”という言葉がトランプ政権と共に言われるようになりましたが、本作の舞台となっている1962年が、まさにその偉大な時代でした。世界大戦が終わり、みんな裕福になり、未来への希望を抱いていた。宇宙開発が進み、ホワイトハウスにはケネディがいた。でも、現実的には1962年には今と同じように人種差別問題があり、ソ連との冷戦が続いていました。1962年と現代はまったく同じ時代として描いています。1960年代はテレビが普及して、映画業界の衰退が始まった時代でもありました。その点でも今と似ています。そんな時代への愛を、映画への愛を込めて描いた作品です」

 本作で半魚人の彼を演じたのは、ギレルモ監督の人気作『ヘルボーイ』(04)と『ヘルボーイ/ゴールデンアーミー』(08)で水棲人エイブを演じたダグ・ジョーンズ。日本ではスーツアクターは裏方的存在だが、特殊スーツをまといながらクリーチャーになりきってみせるダグ・ジョーンズの情感たっぷりな芝居は米国では高く評価されている。ギレルモ作品に欠かせない盟友ダグ・ジョーンズの演技を、ギレルモ監督は日本の古典芸能に例えて語った。

ギレルモ「ダグは世界的にも希有な素晴しい役者です。日本には文楽という古典芸能がありますね。文楽の人形遣いでまぁまぁな人はうまく人形を操ります。でも、文楽の最高の人形遣いは、自分自身が人形と一心同体化してみせます。ダグもそういったタイプの役者なんです。あの特殊スーツを着たら、完璧にあのキャラクターになってしまうんです。ダグが完全にキャラクターになっていることで、サリー・ホーキンス演じるヒロインも彼に愛を感じることができたんです」

 日本のオタク文化だけでなく、日本の古典芸能や浮世絵などへの関心も高いギレルモ監督。『パシフィック・リム』に出演した菊地凛子との久しぶりの再会を喜んだ記者会見の最後には「メキシコの兄弟を助けるつもりで、映画館に足を運んでね」と大きな体で謙虚にアピールしてみせた。オタク監督が異形の愛を描いた『シェイプ・オブ・ウォーター』、果たしてアカデミー賞ではどんな結果を残すだろうか。
(取材・文=長野辰次)

『シェイプ・オブ・ウォーター』
製作・原案・脚本・監督/ギレルモ・デルトロ 
脚本/ヴァネッサ・テイラー 撮影監督/ダン・ローストセン 美術/ポール・デナム・オースタベリー 編集/シドニー・ウォリンスキー 音楽/アレクサンドル・デスプラ 衣装/ルイス・セケイラ
出演/サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スツールバーグ、オクタヴィア・スペンサー 
配給/20世紀フォックス R15+ 3月1日(木)よりTOHOシネマズ シャンテほかロードショー
(c)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater

 

元公安が語る『BG~身辺警護人~』――木村拓哉は“敏腕ボディーガード”に向いている!?

 主演ドラマ『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)の演技が好評を博している木村拓哉。彼が演じる島崎章は、日ノ出警備保障株式会社身辺警護課の敏腕BG(ボディーガード)という役柄だが、果たしてその演技は、リアルボディーガードの目にどのように映るのか。

 元・公安外事警察に勤務、引退後は警察と裏社会について多数の著書を執筆する傍ら、依頼があれば民間ボディーガードとして要人警護もこなす、北芝健氏にその解説をお願いした。

木村拓哉は“威圧感”を表現できている

――最初に、木村さんの“体格”や“見た目”は、ボディーガードとして適しているのでしょうか? 『BG』で同じくボディーガード役を演じる、斎藤工、上川隆也などの長身俳優と比べると、背が低いな……と感じてしまうのですが。

北芝健氏(以下、北芝) ボディーガードは、警護対象者を守るために、“威圧感があること”が大切です。そういう意味で、ボディーガードは、体格がガッシリしていること、また見た目に関しては、強面であることが適しているといえるでしょう。私もこの顔のためか、警察にいるとき、ボディーガードとしての仕事を上司からよく振られました。

 また、ご指摘のように、長身というのもポイントになりますね。木村さんは、確かにほかのキャストに長身俳優が揃っているので一般体形に見えますが、第1話を見たところ、ちゃんと体を鍛え上げていましたし、また、威圧感を体格や見た目以外の面で出せていると思います。身辺警護中は切り替えてオドオドした雰囲気を一切見せず、周囲に目配りをしている。そういった点で威圧感を出せているので、十分に“適している”といえます。

――ボディーガードに向いている性格や人間性といったものはあるのでしょうか? その点では、木村演じる島崎はどう見えますか?

北芝 島崎さんは、劇中でクライアントのワガママともいえる指示を、文句も言わずにこなしています。こういった業務外の命令も、ボディーガードをしているとよくあるんです。依頼人の買い物の荷物を持つなど、実際には警護することが困難になる場合があるものの、やはり雇用関係にあるので、従わざるを得ないんです。

 島崎さんは、もともとボディーガードの経験者ということもあると思いますが、こういったワガママを受け入れる忍耐強さがあるし、一度受けた依頼はやり遂げるといった真面目さ、相手を観察して気配りをする性質を持っている。そこもまたボディーガードとして向いていると思います。

――『BG』で木村さんは、本格的なアクションシーンに挑戦していますが、そのスキルに関しては、どのように思いますか?

北芝 個人の感想ですが、第1話を見た段階では、木村さんのアクションはところどころに拙さも見受けられました。ですが回を重ねるごとに、演技に磨きがかかり、いまでは文句なくアクションシーンも見どころの1つになっていると思います。

――劇中には、警視庁警備課も登場しています。島崎は、民間のボディーガードという役柄なので、警視庁警備課のSPと違い、殺傷能力の高い武器の携帯は許可されていないそうです。北芝さんは、民間ボディーガードだけでなく、警察官時代にもボディーガードの任務をしていたそうですが、どんな違いがあるのでしょうか?

北芝 やはり拳銃を持っているかどうかで、要人警護をしているときの安心感は違います。ここは日本だとわかっていても、例えば金融業の社長に民間のボディーガードとしてついているときは「襲ってくる相手が拳銃を持っていたらどうしよう」と警護中に不安を覚えることもあります。

――島崎と警視庁警備課SPの落合義明(江口洋介)との対立も描かれていますが……。

北芝 島崎さんと落合さんの対立は見どころの1つですが、現実は違います。実際には、民間警備会社で働くボディーガードは、警察OBの人間が非常に多く、千葉県で警備会社の講演に呼ばれたとき、民間警備会社の社長・副社長合わせて100人近くが集まりましたが、ほぼ全員が千葉県警OBだったこともあります。

 このようにSPと民間のボディーガードはいわゆる現役とOBの関係にあたり、民間警備会社は、警察退職者の再雇用先としての側面もあるので、落合さんのように民間ボディーガードをバカにしたような高圧的な対応をしてくることはまずありません。民間警備会社側も、SPの人となりを現役時代からチェックしていますから、落合さんのような態度を取っていると、引退後にボディーガードとなる道が閉ざされてしまいます。

――第3話では、身辺警護課に緊急の依頼が舞い込み、人気タレント・かのん(三吉彩花)に支給する現金「1億円」の警護を島崎たちが任されていました。“人物以外”の警護をする依頼は現実にもあるのでしょうか。

北芝 現金輸送の警護などは割とあります。セコムやALSOK(綜合警備保障)といった警備会社を見ていただいてもわかるように、現金輸送は通常業務でやっていますので、ノウハウもあり、そこまで困難な任務というわけでもありません。

――同話には、渓谷の上にかかる高所の吊橋から、手錠を命綱にしてぶら下がるといったアクションシーンもありました。民間のボディーガードがこのような危険な任務を任されるものなのでしょうか。

北芝 そのような、あからさまに命の危険がある依頼は、警備会社が審査の段階ではねてしまいますのでボディーガードが任務に就くことはありません。やはりビジネスですし、日本では特に安全面が重視されていています。もし命を落としたりして、遺族が会社側を裁判で訴えた場合、十中八九会社側が負けてしまいますから。

 ちなみに第3話は、実はかのんが誘拐されていた(その後、狂言誘拐だと判明)という展開でした。誘拐だとわかった場面では、島崎らが警察に通報するかどうかで揉めたものの、結果危険性が高いという理由から、通報することに。しかし逆に言えば、小さな犯罪(例えば、依頼人が運転中に信号無視をしたなど)を犯しても、危険性が高くなく、証拠が残らず、しかも即座に逮捕されるような案件でない場合、ボディーガードは見て見ぬふりをすることもあります。

――そのほか、北芝さんが劇中で“ここはリアリティがある”と感じた点をお教えください。

北芝 島崎さんは、ボディーガードの仕事を辞めた後、警備員に転職して6年働き、配置転換によって再びボディーガードになるという設定ですが、とてもリアルだなと思いました。私もそうですが、頼まれれば警備員もしますし、ボディーガードの仕事があるときはボディーガードをしています。それを人に話しても、「ボディーガードが警備員もするの?」と、信じてくれないんですよ。なので、この設定が視聴者に受け入れられて、好反応だったのはうれしかったですし、島崎さんに親近感が沸きましたね。

――逆に、ここは現実と違うなと思った箇所を教えてください。

北芝 「ボディーガードの世界では、失敗を犯した者は現場には戻れません」といったセリフがありましたが、そんなことは現実にはありません。島崎さんは、過去に子どもの命を守るために、クライアントから目を離してケガをさせてしまったという過去があり、それが一度ボディーガードを辞める原因となったわけですが、緊急性のある正当な理由によって起こったことですから、それでボディーガードとして働けなくなることはないです。

 それとは別に、現実のボディーガード業界は人材難ということもあります。言い方は悪いかもしれませんが、クライアントが死んだわけでもありませんから、その程度の理由で会社も解雇することはあり得ませんね。

――最後に、北芝さんが過去に経験した、印象に残っている「ボディーガードの任務」を教えください。

北芝 ライブドア時代の堀江貴文さんを警護した時のことでしょうか。堀江さんが逮捕される少し前のことですが、7人のチームを組んで、私がリーダーの立場となり、講演会中の警護任務に就きました。まだ粉飾決算の問題が出る前だったものの、ライブドアの株で損したという人が、講演中に罵声を飛ばすだけでなく、堀江さんに襲い掛かろうとしたり……そういった人を取り押さえるなどの対応には苦慮しました。

 しかも講演後、別会場で座談会のような企画も予定されていたんです。堀江さんを連れて、徒歩で移動することになっていたのですが、どこから襲われても対処できるように、堀江さんの周辺を7人で取り囲んでいきました。その時のことは、とても印象に残っていますよ。

kitashibaken

北芝健(きたしば・けん)
早稲田大学卒業後、商社に勤務するも一念発起して警視庁入庁し、交番勤務の後、私服刑事となる。一方で鑑識技能検定にもパスし、警視庁の語学課程で優等賞をもらい、公安警察に転属したが、巡査部長昇任試験を拒否し、巡査のまま退職。ロス市警の捜査に協力したことから、アジア特別捜査隊と懇意になり、犯罪捜査をネイティブの英語で伝える語学力を身につける。現在は現場捜査の経験を活かし、複数の学校の講師として犯罪学を教える。プロファイリングの第一人者としてテレビのコメンテーターとしても活躍。

meikyukitashiba

『迷宮探訪 時効なき未解決事件のプロファイリング』(北芝健 著、双葉社)
科学捜査の発達した現代でも尚、絶えず起こる未解決事件。その現場を訪れて、はじめて解き明かされる事件の深層、そして真犯人―。迷宮事件の霧をすべて晴らす「北芝プロファイリング」完全版事件現場の現在。

シンデレラ体重は“危険”――それでも「BMI18以下」の女性タレントが続出する実情とは?

 先日、Twitter上で「BMI18」というワードがトレンドになった。いま10代後半~20代の若い女子たちの間で、肥満度を表す体格指数であるBMIにおいて、「18」を目指すダイエットがはやっており、「シンデレラ体重」なる名称もつけられているそうだ。BMI値は「体重kg÷(身長m)の2乗」で算出され、日本肥満学会による基準では、「18.5未満=低体重(やせ)」「18.5以上25未満=普通体重」「25以上=肥満」となる。

 Twitter上では、シンデレラ体重を目指す女子たちに対して、「痩せすぎ」「健康に悪い」といった声が噴出している状況だが、若い女子たちがあこがれとする女性タレントたちは、皆、一般人よりも痩せている。本人公表、もしくは、ネット上でのウワサによる彼女たちの体重は、「BMI15」というケースもザラであり、「BMI18以上」を探すのが困難なほど。しかもそんな彼女たちは、「明らかに病的に痩せて見える」ワケではなく、メディアによって盛んに“美しい体形”と称賛されているだけに、若い女子たちが「それでもやっぱり目指したい」と思ってしまうのは致し方ないのかもしれない。

 しかし、なぜ女性タレントたちはあれほどまでに痩せているのか。今回は、『名医の太鼓判!』(TBS系)などに出演する、産婦人科医・丸田佳奈先生に、シンデレラ体重よって起こる体の不調や、BMIとの向き合い方とともに、女性タレントの“低体重”の実情や問題点について話を聞いた。

痩せすぎは、普通の社会生活が送れなくなる

 最初に、丸田先生は「シンデレラ体重」という言葉について、「元々はBMI18ではなかった」と指摘する。たかの友梨ビューティクリニックが最初にシンデレラ体重という言葉を提唱した際は、「BMI19.8」が理想とされていたそうだ。それがここ数年で、なぜか「BMI18」という、完全に“やせ”に当たる数値となってしまったという。

 低体重による体の不調で最も多いのが、「月経異常。生理周期がぐちゃぐちゃになってしまう、生理が来ない、経血量が少ないなどです。それに伴って、将来的に妊娠・出産ができなくなる可能性も十分あり得ます。また、生理は女性ホルモンによって起こるのですが、人の体には、ほかにもさまざまな種類のホルモンがあり、それぞれお互いに連携をとり合っているんです。なので、女性ホルモンが乱れると、ほかのホルモンにも異常をきたすこともあります」。

「あとは骨粗しょう症。骨が弱くなります。10代の頃、骨は“伸びる”という方向で成長するため、実は中はスカスカなんです。成人になって密度もしっかりしてきて、40歳以降になると、今度は老化によって密度がだんだんスカスカになるのが普通なんですが、10代のうちに低体重になってしまうと、成人になるまでに骨がしっかり作ることができず、60代ですでにおばあちゃんのような骨になってしまうことも。また、動脈硬化のリスクが上がりますし、寿命も短くなるというデータも出ていますね」

 そして、痩せすぎるのは精神面へも不調を及ぼすという。

「私は摂食障害を経験したことがきっかけで、医師の道に進みました。体重に固執すると、精神的にもおかしくなってくるんです。常に“食べたいけど我慢”ということしか考えられなくなり、エネルギーがないので、趣味や異性などへの興味もなくなります。普通の社会生活が送れなくなんですね」

 そんな危険性の高い低体重だが、テレビで活躍する女性タレントたちは、皆痩せている。「BMI18以下の人がほとんどではないか」といわれ、「骨格が華奢だから?」「骨がそもそも細いんじゃない?」「内臓が一般人より軽そう」などと、疑問の声も出ているが……。

「それはないですね。確かにモデルさんなどで、元々持ってる骨格が華奢というのはあるんですが、だからといってBMIが18を切るほどの影響は骨格にはないです。骨や内臓の重さが軽いというのも同様。私自身、テレビや雑誌など芸能界で仕事をしていますが、イメージを大切にする芸能界では身長や体重を実際と異なる数値で公表することは珍しくない、という話は聞きます。また、これは実際の体重を見たことはないものの、ムチムチ系のグラビアアイドルの方が公表されている体重を見て、医師として『絶対にあり得ない』と感じることもあります。タレントさんの公表体重を『100%本当』と思い込まない方がいいです」

 ただし、実際にBMIが18以下というタレントもいたというが、「テレビを通すとちょっとふっくらして見えるのは本当。実際に生で見ると、かなりガリガリということはあります。若い子でも、BMI16の子は『脂肪がなくて顔がシワっぽい』印象。テレビで見るとちょうど良く見えるので、目指す子が出てくるのでしょうが、気をつけてほしいです」という。

 最近では、筋トレに精を出す女性タレントが多く、ネット上でも「BMIを減らすより体脂肪を落とした方がいい」との指摘もある。

「確かにBMIは低くても筋肉が全然ないという人もいますね。筋トレをするのはいいですが、女性ホルモンは皮下脂肪からも出るので、ある程度の脂肪はほしい。女性で体脂肪率が1ケタという人は、月経が止まります」

 また、丸田先生は、BMIと見た目、そして体脂肪については、人それぞれである点も忘れないでほしいという。見た目がかなり痩せていても、実は体脂肪がしっかりあって、体の不調もないという女性タレントもいるようだ。

「BMI18.5が標準の最低ラインなので、そこは絶対にキープしてほしいのですが、18.5でも、体調がよく、妊娠・出産も問題ない人がいる一方、生理が止まってしまう人もいます。個人差があるんですね。ただ、10代は体を作る時期だけに、“体に余裕がほしい”のは確かなので、10代でBMI18.5なのと、20代以降でBMI18.5なのは、体にかかる負担が10代の方が重いということは覚えておいてほしいです。20歳を過ぎるまでは、元々のシンデレラ体重である『BMI20』は切らないでもらいたいと思います」

 日本人は、真面目な性格からか、BMIのような数字を前にすると、“燃えて”しまう面があるのかもしれない。「BMI18はよくない」となり、また新たなBMIの数値に固執する……そんな現象が生まれることに、丸田先生はどのように感じているのだろう。

「数字に固執するのは、本来はよくないと思います。BMIの数字は、体全体で見るものなので、下半身がすごく太っていて、上半身はガリガリといった場合もあり得るし、そういった体形には皆さんなりたくないですよね。アンジェリーナ・ジョリーさんは、体重ではなく、自分の理想とする体形のときにぴったりなパンツを常にはけるようにして、体形維持をしているそうです。皆さんにも、数字ではなく、立った状態で、全身をちゃんと鏡で見て、というのをしてほしいです」

 ただし、人によっては、「ボディイメージが歪んでいて、本当は痩せているのに、自分の目には太って見えてしまう場合もある」と丸田先生は語る。見た目と数字、どちらかに偏ることなく、それぞれをバランスよく気にするというのも、体形管理には大事なことなのかもしれない。

丸田佳奈(まるた・かな)
産婦人科医。テレビやラジオ、雑誌等メディアを通じ、医療情報をわかりやすく伝えている。美に関する情報も発信中。著書に『キレイの秘訣は女性ホルモン:女医・丸田佳奈が答える47の悩み相談』(小学館)『間違いだらけの産活』(学研パブリッシング)がある。
オフィシャルブログ

 

「太ってる人がオシャレを楽しむ」は当たり前に? “痩せ信仰”ニッポンに変化の兆しは

(前編はこちら)

 ぽっちゃり女性のファッションをもっと自由にすることをコンセプトとしている「la farfa(ラ・ ファーファ)」(ぶんか社)編集長・清水明央氏と、ぽっちゃり男性向けにファッション、さらには“モテ”を指南する情報サイト「Mr.Babe(ミスターベイブ)」編集長・倉科典仁氏が初対面し、男女の“ぽっちゃり”について語り合う今回の対談。前編では、ぽっちゃりに対する男女の意識の共通点、相違点について語り合った。後編では、実際に誌面づくりの上で気をつけていることは何か、そして、ぽっちゃりメディアは今後のアパレル市場を変えていくのかについて語ってもらった。

――「日本人は、努力することが好き」とよくいわれます。さまざまなことを我慢し、ダイエットを頑張ることはいいこと、逆に太っているのに何もしないことは悪いことだという価値観が根強くあるような気がします。

倉科典仁氏(以下、倉科) 努力の方向性が、ガチムチというか、鍛える方向に行くならいいと思うんですよね。女性も最近は筋トレ女子っていますよね。「ミスターベイブ」の理想もガチムチ。たくましく、優しくが目標。だから誌面で、ぽっちゃり男子に向けて、「痩せなきゃだめ」「痩せた方がいいよ」とはいいません。とはいえ、「太った方がいいよ」ともいわない。やはり、健康害があるくらいに太ってしまうのはよくないと思います。僕はBMI29なんですけど、実は、BMI標準値(18.5~25未満)より、もう少し上の方が、死亡リスクが低いというデータがあるんです。太りすぎもよくないけれど、痩せすぎも死亡リスクが高い。

清水明央氏(以下、清水) 「ラ・ファーファ」でも健康記事は掲載していますが、意外だったのは、読者からのやってほしい企画リクエスト第2位に、「ダイエット企画」が入っていることです。「ありのままでいい」がコンセプトなので、ダイエットを促す企画は矛盾してしまうんですけど、健康に害がない程度に、例えばぽっちゃりしていても外見も中身も美しい、健康的な体作りや、ボディーメイクのような企画は、今後はもっと増やした方がいいかも、と思ってはいます。

倉科 ぽっちゃりでも健康は大切。女性は、10代の頃は相手に対して完璧を求めるらしく、イケメンが人気だそうですが、20代後半になって結婚を意識しだすと、いかに生命力・経済力があるかに重きを置いて判断するようになるそうです。ここが僕らぽっちゃりのチャンス。健康で優しい、その魅力をアピールしなさいと読者に伝えていきたい。

――それぞれモデルを選ぶときや、誌面づくりで重視している点はどんなところですか。

清水 モデル事務所から採用するのではなく、専属モデルを誌面上で募集しているので、「ラ・ファーファ」に出るのは、つまり「今まで一般人だった人が、名前と素性をさらす」ということになります。なので、自分がぽっちゃりしていることを受け入れていて、モデルとして活動することを前向きに楽しめる人を採用していますね。ぽっちゃりしていることをネガティブに感じている人だとモデルの仕事を楽しめないし、誌面に出たことで余計に世間の目が気になるようになってしまったら、本意ではないので。

倉科 モデルの“暗さ”は写真に出てしまいますからね。うちもモデルは、明るい人、前向きな人、清潔感のある人。それ以外はないですね。「Mr.Babe」でモデルをやっている方たちはそういった意味も含めて存在感ありますよ(笑)。

清水 取り引きのあるブランドや撮影スタッフから、「『ラ・ファーファ』の子は明るくていいよね」とよくいわれます。そこがウリにもなっているので、絶対にはずせないところです。誌面でも、ぽっちゃりしていることをネガティブに捉えたり否定したりするような言葉、表現は使わないようにしています。“いまのまま”でファッションや生活を楽しめるマインドになれるように……と思ってるんですよ。

倉科 うちも「デブ」という言葉は、なるべく使わないようにしていますが、面白ければ「ポジデブ」のように使うこともあります。ぽっちゃりした男性をどう表現するかはいまだに悩み。「ポチャイリッシュ」とか、もっと日常的に使える呼び方はないかと常に探し続けています。あと「わがままボディ」もよく使っています。

清水 うちは動物にたとえてますね。「ウサギ体型(お尻がぽっこり出ている体型)」「ハト体型(上半身がふっくらした体型)」「ペンギン体型(おなかがぽっこり)」「プードル体型(全体的にふっくらしているが手首、足首が細い)」「テディ体型(全体的に丸い)」とかですね。

――読者の方からの反応を見て、太っていることにコンプレックスを持っている男女に対して思われることは?

清水 僕が何か言える立場じゃないんですけど、悩んでいる方は、自分の殻に入って周りの意見をなかなか聞けない状況になっているケースも多いと思うんです。まず、ありのままの自分を受け入れてから、周りの人にどう思われているか、両面を見てみる。周りの意見を聞いてみると、果たして自分はそんな悲しい状況にいるのかどうか、見えてくると思います。

倉科 日本中の肥満の方が芸人根性を持って、コンプレックスを前に出していけるようになれば、コンプレックスは解消されると思うんですよ。でも、現状それは難しい。僕は、こういったぽっちゃりさん向け雑誌を他社さんからも出してもらって、これがスタンダードになってもらえてればいいと思う。僕の知りうる限りでは、この2冊が男女の唯一の情報ソースになっていますよね。それくらいじゃ、固く閉ざした心は開かない。僕らが情報源として独占したいわけではなくて、こういう媒体が競合してどんどん情報を発信して、太っている人がおしゃれを楽しむことが当たり前という状況になって初めて、読者はちょっと元気を出して、自分も試してみようかなと思うようになるのではないか、と。そうなったときには、いろいろなデザインに挑戦しだすと思うし、服もどんどん売れるはず。今、プラスサイズの市場規模はまだまだ小さい。これが普通サイズと同じ程度になったらすごいことになるでしょう。

清水 女性の場合、一般的なアパレルメーカーが作るサイズはLより大きいものがほとんどなく、これまでぽっちゃりした女性は「洋服を買いに行く」という基本的な楽しみの選択肢が多くありませんでした。それが最近になって、ようやく選択肢が増えてきて、痩せている子と一緒に買い物に行って、同じように着たい服を選べるようになったという段階。今後、洋服のサイジングはアパレルの一番の問題だと思います。昨年11月に 「ZOZOSUIT」ができて、ミリ単位で採寸ができるようになり、これからは、限られた選択肢の中から洋服を選ぶのではなく、誰もが自分が着たい服を着られるようになるのではないかと思っています。自分の体型に合った洋服を選ぶ環境は大きく変わってくるのではないでしょうか。

――自分の体型のままでファッションが楽しめるということですね。その変革に、2誌は一役買っている。

倉科 「『ミスターベイブ』は女性の店員さんがいると恥ずかしくて買えない」という読者が少なくありませんでした。もっと堂々とプラスサイズのファッション誌をコンビニや本屋さんで手に取れるようになるといいですね。そして、堂々と情報を得て服を買って、女性に「今日のシャツかわいいね」と褒められたら、それはそれはうれしいことですよ。もちろん同性に褒められてもうれしいですけど、女性からの褒め言葉は、男性にとって魔法の言葉ですから。そうすれば今後もっと市民権が得られるのではないかと思っています。

清水 褒められると自信が出ますよね。

倉科 褒められて自信がつくと、ファッションを楽しむだけでなくもっと外に出かけたくなりますよね。僕らの雑誌はファッション誌ではなくライフスタイル誌だという位置づけ。内向きから外向きになって、そのときに誰とどこへ行くか……というところまで、奥行きのある企画を誌面で展開していきたいと思っています。

清水 ぽっちゃり女性たちが生きやすい時代に……というところまでの力は、雑誌にはないかもしれませんが、プラスサイズ専門の雑誌がなければ、そもそもぽっちゃりした子はファッションを楽しむという入口まで来られなかった。情報を発信していくことで「何にすがっていきていけばいいのか」と悩んでいる方が、ぽちゃティブライフへ向かうための架け橋になっていきたい。それが「ラ・ファーファ」の役割だと思っています。

公式サイト
「la farfa WEB」
「Mr.Babeウェブマガジン」

大阪・女性監禁事件の現場“ヤミ民泊”の実態――「9割が違法」「宿泊者が誰かわからない」

 2月22日、今月中旬から行方不明になっていた兵庫県三田市の20代女性を、大阪市東成区の民泊として使われていたマンションの一室に監禁した疑いで、アメリカ人男性が逮捕された。その後、男性が宿泊した同市西成区の民泊施設で女性とみられる人の頭部、大阪府島本町の山中と京都市山科区の竹林で、人の胴体と両腕、両足が見つかったことが明らかとなり、世間に衝撃が走っている。そんな中、各新聞社が、事件の現場となった民泊施設について「“ヤミ民泊”だったのではないか」と報じているのだが、果たして、この凄惨な事件が起こってしまった背景に、この“ヤミ民泊”は関係するのだろうか。

 そもそも民泊とは、「旅行者などが一般の民家に宿泊する」という宿泊スタイルであり、2008年、アメリカで民泊仲介サイト「Airbnb」が誕生してから一気に世界中に広まった。「宿泊費を抑えられる」「旅行先の文化をより身近に知ることができる」といった利点があり、日本でも近年ブームとなっているが、実はそのほとんどが“違法民泊=ヤミ民泊”だという。

 民泊に関する苦情や迷惑情報を集め、監視・巡回する民泊パトロールサービスを提供している「民泊ポリス」の運営会社(株)オスカー代表取締役・中込元伸氏は、ヤミ民泊について「基本的に民泊というのは、今までの日本の法律上でいうと、“旅館業法”に抵触します」と語る。

 厚生労働省の「旅館業法概要」によると、旅館業は「宿泊料を受けて人を宿泊させる」と定義されており、この中でいう宿泊とは「寝具を使用して施設を利用すること」だという。旅行者を民泊させるためには、従来の旅館業法に則って旅館業申請を行う(もしくは地域の条例に定められた基準を満たして民泊申請を行う)必要があるものの、「許可を取らずに営業しているのが、“ヤミ民泊”といわれます」。

 なぜ“ヤミ民泊”と呼ばれるようになった理由については、「恐らくですが、今日本で、“誰がどこで民泊をやっているのか”、その実態を誰も把握していないからなのではないでしょうか」とのこと。大手民泊仲介サイトを見ても、民泊の宿泊施設の場所さえ、あいまいにしか表示されていない状況なのだ。

「地図にピンが刺してあるのですが、これが機械的に全てズラされているんです。そのため、旅館業法を指導していく保健所の方も取り締まりがなかなかできていない現状もあります。施設によっては、多数のサイトに情報を掲載している場合もあるので実数さえわかりませんが、あくまで感覚値でいうと、日本の民泊の“9割はヤミ民泊”だと言っても過言ではないでしょう」

 そんな“ヤミ民泊”に監視の目を向けている「民泊ポリス」だが、大阪で起こった女性監禁事件の舞台が“ヤミ民泊”である可能性が高まっていることを、どのように見ているのだろうか。事実これまでにも、暴行事件や盗撮被害、また覚せい剤の受け渡し場所となるなど、ヤミ民泊が「犯罪の温床になっているのではないか」といった意見も出ているが……。

「私個人の意見となりますが、実際には、ホテルで起こってもおかしくない事件だとは思います。ただし、ヤミ民泊は、カギの受け渡しでオーナーさんに会わないといったケースもあるんです。ホテルのように、チェックインの際に必ず“人の目”があるというわけではなく、例えば、『郵便受けにカギが入っていて、暗証番号を聞いて受け取る』、またオートロックのないマンションに限りますが、『チェックインの際にカギがまったくかかっていない』『カギが内ノブにかかっている、テーブルの上に置いてある』『カギはかけずにチェックアウトする』なんてこともあります。泊める側は誰が泊まるかちゃんとわかっておらず、一方で泊まる側も怖いと思います。民泊には、こういった状況が根底にあるのは確かです」

 そんなヤミ民泊事情が問題視され、今年6月には、民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行と旅館業法が改正される。昨年12月には、観光庁が民泊仲介サイト運営事業者へ向け、サイト上に掲載している違法民泊物件を全て削除するよう通知もしている。

「ただし、それも観光庁が把握しているサイトのみですし、全ての民泊仲介サイトが従うかどうか……。民泊ポリスも、もし行政の方からお声がけいただいた場合は、ご協力させていただければと思っています」

 6月以降、ヤミ民泊はどうなっていくのか。いたましい事件が起こってしまった中、あらためて注視していきたい。

ジャニーズファン歴36年「SMAPは命の次に大切なもの。嵐には違和感」【SMAPロス取材】

 今回登場してくれたのは、SMAP現場歴25年、「シブがき隊→SMAP→修二と彰→ジャニーズJr.ユニット『Love-tune』真田佑馬」に至るまで、ジャニオタ歴はお茶の間ファン時代も含めて36年にわたるというE子さん(カフェ経営/47歳)。

 実は「SMAPの木村拓哉くんと、どんなかたちでも良いから何かつながりたくて」、かつては芸能系の仕事もしていたそう。そんなE子さんに、今の「SMAPロス」を聞いた。

――SMAPの解散をどのように受け止めましたか。

E子 私自身はまだ「終わった」とは思っていないんです。共演者に解散をネタにイジられていることはあっても、本人たちが「解散」とか「元SMAP」とは一度も言っていないので。飲酒事件のときも木村くんの結婚のときも、常に自分たちの言葉で語ってきたSMAPが、ですよ? 2015年12月31日には、SMAPショップ10周にして、これまで一度も足を運んでいなかった中居(正広)くんが、木村くんと同時来店したことがファンの間で話題になりました。さらに大みそかの『CDTV 年越しプレミアムライブ2015→2016』で、SMAPは「STAY」を歌ったんです。なぜ地上波で、あのタイミングで、シングルでもない「STAY」を歌ったのか。これは、「今までずっと自分たちの言葉でファンに向けて発信してきたのに、言えない可能性が高いから、その代わりに」という、ファンに向けてのメッセージだと思うんです。貴乃花親方のニュースを見ても、SMAPと重ね合わせてしまいます。能年ちゃん(現・のん)の事務所独立騒動と同じく、何か大きな力が働いているとしか思えない。

――まだ終わっていないという思いを抱えつつも、「SMAPロス」はどんな症状ですか。

E子 16~17年は「喪に服している」状態でした。『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の最終回もいまだに見ていません。もともと仕事もジャニオタ活動を軸にして、現場にいつでも参戦できるようスケジュール管理していたのに、東京ドームの空き状況なども確認する必要がなくなって、働く気力がなくなりました。今は少し持ち直したものの、16年は収入も激減しました。

――これまでの主なジャニオタ活動について、教えてください。

E子 東京でのコンサートは全ステが基本。映画の舞台挨拶、出演舞台の観劇なども含めて基本「現場主義」です。テレビやラジオは半分くらい、CDは購入しますが雑誌は1/3かな。

――SMAP解散後のジャニオタ活動はどのように変化しましたか。

E子 いわゆる「スマオタ」とはあまり関わらなくなりました。もともと応援スタンスや、ほかに好きなグループやタレントの傾向も違う前提で付き合っていましたが、 解散以降は、出演情報等の客観的な情報交換以外、SMAPに関する意見や感想など、主観的なものは話したくないし、聞きたくもないので。スマオタのオフ会も仕事などを理由に断っていて、どのスマオタのグループLINEも未読が何百件も溜まっちゃっています。

――SMAPファン同士でも、思いはそれぞれ違うのですね。

E子 まったく違います。「SMAP解散」という重い十字架を背負う者同士で結束したい人もいますし、Twitterのジャニオタ専用アカウントで事務所の悪口しか書かない人もいて。でも、私はJr.を応援していることもあって、できるだけフラットでいたいと思っているんです。そもそも本人不在の誕生日会とか、オタ会にあまり行かないのですが、SMAP25周年のとき、中野サンプラザでファンの有志が開催したイベントに行ってみたんです。私は「何か違うな」と感じてしまって。自分は結局、本人たちにしか興味がないんだな、と思いました。

――特に激しいSMAPロスを感じるのはどんなときですか。

E子 Jr.の発言などを含め、SMAP関連のことに敏感になっているので、特にSMAP曲をライブで聞いたときの涙線の崩壊度がものすごいです。でも、ロスの状態から前を向こうと思えたこともありました。SMAP曲を披露する後輩は少なくないんですが、昨年5月にシアタークリエで上演された『ジャニーズ銀座2017』でLove-tuneがSMAPの「Otherside」を歌ったんです。「BANG!BANG!バカンス」や「笑顔のゲンキ」などは『ザ少年倶楽部』(BSプレミアム)でもよくJr.の子たちが歌っていますが、「Otherside」はラストシングルですし、歌詞も意味深で。これには「本人たちですらライブで歌っていないのに」と怒るSMAPファンもいたんですが、私自身はJr.が歌ってくれたことで、スマオタしか知らない曲を受け継いで、さまざまな層に広めてくれた気がしたんですよ。Jr.にとってはSMAPのラストシングルを歌うことは、事務所への反抗にも見えかねないし、リスキーですよね? そんな彼らの思いを感じたら、「いつまでも落ち込んでモヤモヤしていられない」と思えたんです。

 今年1月に帝国劇場で行われた『ジャニーズHappy New Yearアイランド』で、Love-tuneが「夜空ノムコウ」のコンテンポラリーダンスで見せた演出も本当にヤバくて、周りでもすすり泣きがたくさん聞こえました。

――ジャニーズ事務所に思うことはどんなことですか。

E子 事務所はやっぱり憎たらしいです。SMAPは絶対に消しちゃダメだった。お知らせハガキの周到な準備、簡素すぎるメールでの知らせ方なども、腹が立つばかりです。

 ただ、SMAPメンバーの番組が続々終了することについて、事務所が圧力をかけていると信じて疑わない人は多いですが、私はそうは思っていません。そのあたりは冷静に考えていて、局としては「ジャニーズ事務所のSMAP」と契約していたわけで、SMAPがジャニーズ事務所と契約が切れたら、切る。人なんだからもっと大切に扱えよとも思うけど、結局は契約書上の問題で、「一商品」に過ぎなかったんだと思います。

 イソジンのカバが使えなくなったことや、契約切れでヤマザキナビスコがリッツを販売製造できなくなったことと同じでは? でも、リッツという名前は使えなくなっても、商品力があるから、ヤマザキの新会社から別の名前で出した「ルヴァン」のほうが、よっぽどリッツですよね?

――ほかのジャニーズグループに思うことはありますか。

E子 事務所の嵐の特別扱いはすさまじいな、と思います。特に嵐のデビュー前の愚行を風の便りで聞いていたので、今の「優等生」演出にはどうしても違和感があって。あんなにも特別扱いしなくても、焦らなくても、いつかSMAPみたいになれたのに、と思います。ポスターに土下座したり、「嵐のワクワク学校」に年甲斐もなく間違ったコスプレーヤーのように制服を着ていったりするような類の嵐ファンの人が苦手なせいもあるかもしれません。

――ところで、SMAP解散に何か大きな力が働いている気がするという説ですが、E子さんは独自の解釈をされているそうですね?

E子 東京五輪問題も含め、電通からの解散指示だと私は思っています。ジャニーズのいわゆる「派閥問題」も、藤島ジュリー景子さんが、現場から経営のほうに重きを置くようになって、表向きには「派閥」が消えると、芸能関係者から聞いていました。それで、ジュリーさんは嵐が大好きで、Jr.には興味がないので、飯島三智さん若い子たちを請け負うことになったのだと。そこまではうまくいっていたはずなんです。

 もともと事務所は「パラリンピック→SMAP、オリンピック→嵐」で推していて、五輪幹部の森喜朗元首相もそのつもりで進めていたのに、森氏とズブズブだった舛添要一氏から小池百合子に都知事が代わり、そこが大誤算だったんじゃないかと。

 オリンピックに絡んでいる電通としては、ほかも使いたい。誤算で生じるギャラの問題を解決したい。でも、SMAPのギャラは高い。ジュリーさんとしては大好きな嵐を一番にしたい。となると、名実共にトップのSMAPを消すしかないと電通から助言をもらい、その指示に従ったのではないかと考えています。

――森喜朗氏とジャニーズ事務所のつながりというのは、どこから?

E子 「2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会」が発足されたのは2014年1月24日でしたが、同年1月27日にその会長に就任した森氏が『JOHNNYS’2020 World』を観劇した「トニトニ観劇事件」というのがあるんです。プログラムも急遽変更して、ジャニーズが媚びを売っているように見える内容に見えたと、ファンの間では大不評だったみたいです。

――なんだか恐ろしい話になってきましたが……。

E子 SMAP解散によるロスを解消するために、気持ちを面白い方向にもっていくしかないんです。友人などには「すごい発想力」と言われますが、天皇のご退位も安室ちゃんの引退も、SMAP解散とともに「平成が終わる」感として作られたのではないか、とか。今はいろんな事象・事件とSMAPを絡めて想像をふくらませています。

――E子さんにとって、「SMAP」とは、どんな存在でしたか。

E子 命の次に大切なものです。5年後10年後でなくても20年後でもかまいません。またSMAPとして活動して、ライブを見せてほしいです。

“ぽっちゃり”女性と男性のコンプレックス、モテ意識はどう違う?【la farfa×Mr.Babe編集長対談】

 2016年の婦人服・洋品市場は5兆7563億円(矢野経済研究所「2017 アパレル産業白書」)とされているが、LL以上のサイズの市場は約2000億円程度といわれ、全体から見るとかなり小さい。すなわち「着たい」と思う服があっても、太っていれば入らない。現状では「おしゃれ」であることは、「痩せている」ことと同義になっているのだ。

 そこに意義を唱え、これまで見てみぬふりをされてきた“ぽっちゃり”に焦点を当てているのが、ぽっちゃりした女性向けファッション誌「la farfa(ラ・ ファーファ)」(2013年発刊/ぶんか社)と、男性向けのファッション&ライフ スタイル情報サイト「Mr.Babe(ミスターベイブ)」(15年に雑誌として創刊、現在はサイトがメイン)。今までなかったコンセプトに両誌は好評を博しているが、男女での“ぽっちゃり”意識に違いはあるのだろうか。「ラ・ファーファ」編集長・清水明央氏と、「ミスターベイブ」編集長・倉科典仁氏が初対面し、メディアを作る中で“ぽっちゃり”とどう向き合っているのか、また、ぽっちゃり読者のモテに関する考え、そこに男女の差はあるのかなどを語り合ってもらった。

――最初に、「ラ・ファーファ」と「ミスターベイブ」、それぞれのメディアのテーマについて教えてください。

清水明央氏(以下、清水) 「ラ・ファーファ」は、ぽっちゃりした女性向けのファッション誌として13年に発刊しました。当時はまだプラスサイズ(大きいサイズ)の洋服がいまほど販売されておらず、発刊時の女性編集長が「私が着たい服がない」と思っていたところから始まりました。社としても「どこもやっていない企画だから面白い!」という想いもありまして、ファッションを「ぽちゃティブ」に楽しめる媒体がコンセプトになっています。「ぽちゃティブ」というのは、ぽっちゃりした女性が「アクティブ+ポジティブ」なマインドになる造語です。これまでの「どうせ私が着ても似合わないでしょ」というネガティブなマインドを変えたい。僕もそうしたコンセプトを踏襲して、2年ほど前から編集長を務めています。

倉科典仁氏(以下、倉科) スタートは「ミスターベイブ」も似ています。僕がデブなものですから、似合うサイズ感の服がなかった。以前「メンズナックル」(ミリオン出版)というギャル男向けのファッション誌を編集しており、当然そこには僕に合うサイズの服はなかったんですが、お付き合いしていたアパレルメーカーの方から特注サイズのTシャツをいただいたんです。しかし、着てみるとボンレスハム状態(笑)。長さだけ長くて、体型に合ってない。アパレルさんでも、こういう体型が似合うファッションを知らないんじゃないかと思ったんです。

 13年の厚生労働省の調査でも、日本人の成人男性の3人の1人は肥満。人口は減っているのに肥満は増えているので、同じ悩みを持つ人も多いだろうと思いました。ただ、「ラ・ファーファ」さんと違う点は、おしゃれをするのは「モテるため」という強い意識を持っている男性が圧倒的に多いところです。ファッションを純粋に楽しむ方ももちろんいるんですが、「モテるためにはどうするか」というところから、多くの男性は入ると思っています。

清水 「ラ・ファーファ」の場合は、モテはあまり意識してないですね。自分のおしゃれすら楽しめなかった女の子たちが、やっと「自分の着たい服が選べる」というファッションの入口に立ってきたところなので、モテはハードルが高くて誌面の中ではまだ踏み込めていないです。

倉科 そもそも女性は「モテたい、モテたい」と言わないですね。

清水 そうですね。以前、“赤文字系”はやっていましたけど、その後、媚びない強い女子が支持されるようになって“モテ”は下火に。「ラ・ファーファ」の立ち位置はニュートラルにしています。

倉科 「ミスターベイブ」では、毎回女子アンケート企画を掲載しています。「太っている男性がタイプ」といった声には読者の反響も大きいのですが、中には「ヤラセでしょ」「しこんでるんでしょ」と疑ってかかってくる読者も多い。というのも、「太っている男を結婚対象、恋人対象にするわけがない」と思い込んでいる内向きの読者が多いんですね。ガチンコで女の子を集めて座談会をしたり、リサーチ会社にランダムに調査してもらったりした結果なんですが……。実際に雑誌を作っている私からすると、「自分もまだまだイケるな」と自信を持ってしまうほどですから(笑)。そのテンションを誌面でお伝えしたくて毎回掲載しているんですが、「ネガデブ」の思い込みを一つひとつ取り除くのは時間的にはかかりそうです。

――男性は経済力、地位で判断されることが多く、一方、女性は容姿という価値観がいまだに世間にははびこっていると思われます。その中で、「太っていること」が大きなマイナスと捉えがちなのは、やはり女性のような……。

倉科 いや、女性と同じ感覚は男性もありますよ。晩婚といわれている時代、普通体型の方でも結婚したいのに結婚してない方、女性と交際していない方は多い。普通体型でもモテないなら、ましてや太っている俺は……と考えると、外に出たくなくなってしまう。僕を筆頭に男性は傷つきやすいんです。

清水 女性はそういった悩みが10代の頃から始まっています。例えば、「ラ・ファーファ」専属モデルのNaoは、高校生の頃に付き合っていた彼から、「もう少し痩せてほしい」と言われたのをきっかけに、無理なダイエットを始めたそうです。それで精神と体に負荷がかかり、リバウンドして痩せたり太ったりを繰り返して、摂食障害になってしまった。ほかの女性の中には同様のケースで、命を落とす直前まで苦しんでいた方もいるようです。太っていることはダメなことで、どう生きていけばいいかすらわからない、というレベルの状況まで行ってしまい、一度そのループに入ると抜け出せなくなって、親にも相談しづらいようです。

 Naoは20代になって、たくさんの人のプロフィール写真を扱うアルバイトをしているときに、何千枚もの写真を見て、いろいろな体型の人がいることを知り、「今の自分のままでいいんだ」と受け入れられるようになったそうです。それで、摂食障害も克服できた。編集部では毎月モデルの面接をしていますが、「私は『ラ・ファーファ』のモデルになることで自信をつけたい、自分を変えたい」と応募いただく方が多いですね。

倉科 確かに、男性は10代の頃は、いわゆるスタイルがいい美人と付き合いたいと思いがちですよね……。でも、やっぱり結婚するなら容姿ではなく性格が合う、困ったときに手を貸してくれる女性がいい。女性も同様だと思います。だから誌面では、デブでもチビでもハゲでも関係ない。清潔感があって明るく前向きであれば、女性にモテる、と毎回打ち出しているんですが、太ることは、日本ではネガティブな方向に行ってしまう傾向がある。お笑い芸人のようにうまく武器として使える人はいいですけど、子どもの頃はいじめの対象になりやすい。

清水 価値観の多様性がやっと認められてきて、今はいろいろな考え方がある。それでも変わらず女性の美しさは「痩せてる=かわいい、きれい」「太っている=醜い」と捉える向きが強い。しかし、痩せ信仰は欧米では変わってきつつあります。2018SSニューヨークコレクションには、人気のプラスサイズブランド「TORRID(トリッド)」がデビューし、カーヴィモデルがランウェイを闊歩していた。海外では徐々に変わってきていますね。フランスでは「痩せすぎモデルを規制する法律」が2015年に可決され、昨年5月に施行されたようで、その影響もあると思います。

倉科 男性でも有名なモデル事務所がぽっちゃり男性モデルを起用し始めています。大昔にさかのぼれば、ミロのヴィーナスはおなかもふくよか。痩せ信仰はアパレル企業の戦略なんですかね。

清水 日本でぽっちゃりしている有名女性といえば、渡辺直美さんが人気とはいえ、やはり“芸人さんの枠”ですよね。女優さんでぽっちゃりして人気がある方がいるかというと、いない。アナウンサーの水トちゃん(水卜麻美・日本テレビアナウンサー)は“癒やされる”という枠ですし。そうではなく、本当にカッコいい、美しいという方向でフィーチャーされるぽっちゃり女性が出てくれば、社会的にネガティブな価値観はなくなってきて、体型によって評価されることも少なくなると思う。

倉科 ぽっちゃりな人のアイコンになっていただける、引っ張っていただけるキャラクターの人が少ないですね。「ミスターベイブ」では、1号目のカバーに、アメリカの俳優・ジャック・ブラックさんを起用しました。彼のようにおちゃめでおしゃれでカッコいいアイコンになる方が日本にもいれば、すぐに価値観は変わると思いますよ。

(後編へつづく)

◎公式サイト
「la farfa WEB」
「Mr.Babeウェブマガジン」

“ぽっちゃり”女性と男性のコンプレックス、モテ意識はどう違う?【la farfa×Mr.Babe編集長対談】

 2016年の婦人服・洋品市場は5兆7563億円(矢野経済研究所「2017 アパレル産業白書」)とされているが、LL以上のサイズの市場は約2000億円程度といわれ、全体から見るとかなり小さい。すなわち「着たい」と思う服があっても、太っていれば入らない。現状では「おしゃれ」であることは、「痩せている」ことと同義になっているのだ。

 そこに意義を唱え、これまで見てみぬふりをされてきた“ぽっちゃり”に焦点を当てているのが、ぽっちゃりした女性向けファッション誌「la farfa(ラ・ ファーファ)」(2013年発刊/ぶんか社)と、男性向けのファッション&ライフ スタイル情報サイト「Mr.Babe(ミスターベイブ)」(15年に雑誌として創刊、現在はサイトがメイン)。今までなかったコンセプトに両誌は好評を博しているが、男女での“ぽっちゃり”意識に違いはあるのだろうか。「ラ・ファーファ」編集長・清水明央氏と、「ミスターベイブ」編集長・倉科典仁氏が初対面し、メディアを作る中で“ぽっちゃり”とどう向き合っているのか、また、ぽっちゃり読者のモテに関する考え、そこに男女の差はあるのかなどを語り合ってもらった。

――最初に、「ラ・ファーファ」と「ミスターベイブ」、それぞれのメディアのテーマについて教えてください。

清水明央氏(以下、清水) 「ラ・ファーファ」は、ぽっちゃりした女性向けのファッション誌として13年に発刊しました。当時はまだプラスサイズ(大きいサイズ)の洋服がいまほど販売されておらず、発刊時の女性編集長が「私が着たい服がない」と思っていたところから始まりました。社としても「どこもやっていない企画だから面白い!」という想いもありまして、ファッションを「ぽちゃティブ」に楽しめる媒体がコンセプトになっています。「ぽちゃティブ」というのは、ぽっちゃりした女性が「アクティブ+ポジティブ」なマインドになる造語です。これまでの「どうせ私が着ても似合わないでしょ」というネガティブなマインドを変えたい。僕もそうしたコンセプトを踏襲して、2年ほど前から編集長を務めています。

倉科典仁氏(以下、倉科) スタートは「ミスターベイブ」も似ています。僕がデブなものですから、似合うサイズ感の服がなかった。以前「メンズナックル」(ミリオン出版)というギャル男向けのファッション誌を編集しており、当然そこには僕に合うサイズの服はなかったんですが、お付き合いしていたアパレルメーカーの方から特注サイズのTシャツをいただいたんです。しかし、着てみるとボンレスハム状態(笑)。長さだけ長くて、体型に合ってない。アパレルさんでも、こういう体型が似合うファッションを知らないんじゃないかと思ったんです。

 13年の厚生労働省の調査でも、日本人の成人男性の3人の1人は肥満。人口は減っているのに肥満は増えているので、同じ悩みを持つ人も多いだろうと思いました。ただ、「ラ・ファーファ」さんと違う点は、おしゃれをするのは「モテるため」という強い意識を持っている男性が圧倒的に多いところです。ファッションを純粋に楽しむ方ももちろんいるんですが、「モテるためにはどうするか」というところから、多くの男性は入ると思っています。

清水 「ラ・ファーファ」の場合は、モテはあまり意識してないですね。自分のおしゃれすら楽しめなかった女の子たちが、やっと「自分の着たい服が選べる」というファッションの入口に立ってきたところなので、モテはハードルが高くて誌面の中ではまだ踏み込めていないです。

倉科 そもそも女性は「モテたい、モテたい」と言わないですね。

清水 そうですね。以前、“赤文字系”はやっていましたけど、その後、媚びない強い女子が支持されるようになって“モテ”は下火に。「ラ・ファーファ」の立ち位置はニュートラルにしています。

倉科 「ミスターベイブ」では、毎回女子アンケート企画を掲載しています。「太っている男性がタイプ」といった声には読者の反響も大きいのですが、中には「ヤラセでしょ」「しこんでるんでしょ」と疑ってかかってくる読者も多い。というのも、「太っている男を結婚対象、恋人対象にするわけがない」と思い込んでいる内向きの読者が多いんですね。ガチンコで女の子を集めて座談会をしたり、リサーチ会社にランダムに調査してもらったりした結果なんですが……。実際に雑誌を作っている私からすると、「自分もまだまだイケるな」と自信を持ってしまうほどですから(笑)。そのテンションを誌面でお伝えしたくて毎回掲載しているんですが、「ネガデブ」の思い込みを一つひとつ取り除くのは時間的にはかかりそうです。

――男性は経済力、地位で判断されることが多く、一方、女性は容姿という価値観がいまだに世間にははびこっていると思われます。その中で、「太っていること」が大きなマイナスと捉えがちなのは、やはり女性のような……。

倉科 いや、女性と同じ感覚は男性もありますよ。晩婚といわれている時代、普通体型の方でも結婚したいのに結婚してない方、女性と交際していない方は多い。普通体型でもモテないなら、ましてや太っている俺は……と考えると、外に出たくなくなってしまう。僕を筆頭に男性は傷つきやすいんです。

清水 女性はそういった悩みが10代の頃から始まっています。例えば、「ラ・ファーファ」専属モデルのNaoは、高校生の頃に付き合っていた彼から、「もう少し痩せてほしい」と言われたのをきっかけに、無理なダイエットを始めたそうです。それで精神と体に負荷がかかり、リバウンドして痩せたり太ったりを繰り返して、摂食障害になってしまった。ほかの女性の中には同様のケースで、命を落とす直前まで苦しんでいた方もいるようです。太っていることはダメなことで、どう生きていけばいいかすらわからない、というレベルの状況まで行ってしまい、一度そのループに入ると抜け出せなくなって、親にも相談しづらいようです。

 Naoは20代になって、たくさんの人のプロフィール写真を扱うアルバイトをしているときに、何千枚もの写真を見て、いろいろな体型の人がいることを知り、「今の自分のままでいいんだ」と受け入れられるようになったそうです。それで、摂食障害も克服できた。編集部では毎月モデルの面接をしていますが、「私は『ラ・ファーファ』のモデルになることで自信をつけたい、自分を変えたい」と応募いただく方が多いですね。

倉科 確かに、男性は10代の頃は、いわゆるスタイルがいい美人と付き合いたいと思いがちですよね……。でも、やっぱり結婚するなら容姿ではなく性格が合う、困ったときに手を貸してくれる女性がいい。女性も同様だと思います。だから誌面では、デブでもチビでもハゲでも関係ない。清潔感があって明るく前向きであれば、女性にモテる、と毎回打ち出しているんですが、太ることは、日本ではネガティブな方向に行ってしまう傾向がある。お笑い芸人のようにうまく武器として使える人はいいですけど、子どもの頃はいじめの対象になりやすい。

清水 価値観の多様性がやっと認められてきて、今はいろいろな考え方がある。それでも変わらず女性の美しさは「痩せてる=かわいい、きれい」「太っている=醜い」と捉える向きが強い。しかし、痩せ信仰は欧米では変わってきつつあります。2018ssニューヨークコレクションには、人気のプラスサイズブランド「TORRID(トリッド)」がデビューし、カーヴィモデルがランウェイを闊歩していた。海外では徐々に変わってきていますね。フランスでは「痩せすぎモデルを規制する法律」が2015年に可決され、昨年5月に施行されたようで、その影響もあると思います。

倉科 男性でも有名なモデル事務所がぽっちゃり男性モデルを起用し始めています。大昔にさかのぼれば、ミロのヴィーナスはおなかもふくよか。痩せ信仰はアパレル企業の戦略なんですかね。

清水 日本でぽっちゃりしている有名女性といえば、渡辺直美さんが人気とはいえ、やはり“芸人さんの枠”ですよね。女優さんでぽっちゃりして人気がある方がいるかというと、いない。アナウンサーの水トちゃん(水卜麻美・日本テレビアナウンサー)は“癒やされる”という枠ですし。そうではなく、本当にカッコいい、美しいという方向でフィーチャーされるぽっちゃり女性が出てくれば、社会的にネガティブな価値観はなくなってきて、体型によって評価されることも少なくなると思う。

倉科 ぽっちゃりな人のアイコンになっていただける、引っ張っていただけるキャラクターの人が少ないですね。「ミスターベイブ」では、1号目のカバーに、アメリカの俳優・ジャック・ブラックさんを起用しました。彼のようにおちゃめでおしゃれでカッコいいアイコンになる方が日本にもいれば、すぐに価値観は変わると思いますよ。

(後編へつづく)