レイプ被害者を描いた衝撃の映画『私は絶対許さない』主演、女優・平塚千瑛の素顔に迫る――

 昨年10月、ハリウッドの映画プロデューサー・ハーヴェイ・ワインスタイン氏の性的スキャンダルが明らかになったことで、「#MeToo」という言葉をキーワードにSNS上でセクハラやパワハラ被害を告発する動きが、世界的な広がりをみせている。

 そんな中、残虐な性犯罪が多発しているインドで開催された「ノイダ国際映画祭」で、審査員特別賞を受賞した話題の日本映画『私は絶対許さない』が4月7日に公開される。

“15歳でレイプ被害に遭い、男性への復讐を誓う”という、実在の女性の手記を原作に、精神科医でもある和田秀樹監督がメガホンを取ったこの作品。主演に選ばれた女優は、この役とどのように出会い、向き合い、そして闘ったのか。公開を前に、彼女の魅力に迫った。

* * *

――本作に主演することになった経緯を教えてください。

平塚千瑛(以下、平塚) 2016年の9月に初めての写真集『Birth』(双葉社)を出させていただいて、その写真集を新聞や週刊誌に載せていただく機会が増えました。その記事を見た映画のスタッフの方から、「オーディションを受けてみないか?」とお誘いを受けたのがきっかけです。

――最初に原作(『私は絶対許さない。15歳で集団レイプされた少女が風俗嬢になり、さらに看護師になった理由』著:雪村葉子/ブックマン社)を読んだ時は、どのように感じましたか?

平塚 この本を読んでいて、心が痛くなり、「これは本当に起こったことなのだろうか?」と初めは信じられませんでした。でも、同じ女性という立場から「女性がこういった性犯罪に遭っているということを、もっと世の中に知ってもらわなければいけない」と感じ、ぜひとも主演をやらせていただきたいと思いましたね。

■「運命を感じた主人公との出会い」

 

――オーディションで平塚さんが選ばれたのは、どのような点を評価されたのだと思いますか?

平塚 原作者の雪村葉子さんにお会いしたんですが、雰囲気や話している感じ、顔まで私によく似ていたんです。雪村さんご自身も「平塚さんて私に似てますよね」と言ってくださいました。

 それと、不思議なことなんですが、作中で主人公「ようこ」が源氏名を次々変えていくんですね。最初に「かおり」と名乗り、次が「ちあき」なんです。実は私の母が「ようこ」で、姉が「かおり」、それで私は「ちあき」じゃないですか。もう運命しか感じなかったです。

――まさに、“出会うべくして出会った役”という感じですね。

平塚 はい。雪村さんにもそのお話をして、打ち解けることができました。

――映画は「主観撮影」(主人公の目線で映像が撮られている)を用いられていますが、具体的にはどのように撮影していたのでしょう?

平塚 撮影監督の高間(賢治)さんが私のすぐ横にいて、相手の俳優さんがカメラ目線で演技をするという手法です。カメラを固定する棒のようなものを高間さんが私の隣で持ち、カメラ本体は私の顔の前に来るようにして撮影しました。全ての動きを高間さんと二人三脚で行うので大変な撮影でした。そして主観撮影のためカメラに私は映っておらず、声だけの演技も多くて、大変難しかったですが本当に勉強させていただきました。

――「特にこんなシーンを注目して欲しい」というところはありますか?

平塚 女性と男性で別々にあるんです。女性の方には、初めは彼の葉子に対する思いが愛情だと信じて受け入れるのですが徐々にその思いが歪んだ愛情だという事に気づき、この人といたら駄目だと気付く瞬間。男性には、エンディングのシーンを見て、“女性の強さ”、“怖さ”を感じて欲しいです。

 このエンディングは、見る人によって、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか分かれると思うんです。ただ、実際に演じた私は「葉子は幸せな道を歩んでいる」と感じました。

 雪村さんとお会いしてみると、あのような痛ましい被害に遭っているとは思えないほど、周囲を和やかにしてくれる女性なんです。もう、「ここまで自分の心を殺して頑張って強く生きてきた葉子さんが幸せにならないんだったら、誰が幸せになるんだ」って思いました。

 実は、映画出演にあたり、同じように性被害に遭ってトラウマを抱えている方から、「映画を見に行こうと思います」という話を聞いたりしました。もしかしたら、映画を見ることで過去の傷をえぐってしまうかもしれないという思いもあるんです。でも、最後まで見てもらいたいです。どんな境遇にも負けず、常に世の中の理不尽や非常識と闘いながら生きてきた雪村さんから勇気をもらえると信じています。

 それは「性被害」ということだけにとどまらず、すべての人に「生きていく強さ」を教えてくれていると思うんです。

――体を張ったハードなシーンが多かったと思います。やはり、辛いこともありました?

平塚 最初に風俗でのシーンを撮影したんですが、なかなかメンタルが追いついていかなくて……カットがかかった瞬間は涙が止まらなくなりました。緊張なのか不安なのか恐怖なのかわからない、そんな感情でした。でも、その分得るものは大きくて、今回の演技を通して、自分の中で一皮も二皮もむけたと思っています。

――佐野史郎さんと一緒のシーンが多いですが、どのような方でしたか?

平塚 私があまりに緊張しっぱなしだったので、「そんなに緊張しなくていいんだよ」と言っていただいて。もうすべて身を任せる感じで演じていました。佐野さんの役柄もとにかくドラマ『ずっとあなたが好きだった』(TBS系)の冬彦さんと重なり、現場にいてもゾクゾクするような演技を目の当たりにして、とてもいい経験をさせていただきました。

――他の共演者の方はいかがでした?

平塚 隆大介さんと東てる美さんのサービスエリアでの喧嘩のシーンを撮影している時に、一般のお客さんが止めに入るぐらいの迫真の演技をされていたんです。その演技力に圧倒されて、「これが演じるっていうことか」と硬直するくらい感動しました。

 他にもとにかく個性の強い役者さんばかりでしたので、みなさんと一緒にこの作品に携われたことはこれから女優業を歩んでいく私にとって財産になりました。

――作品では前半の舞台が東北ですよね。平塚さんご自身も山形の出身ということで、何か通じるものはありましたか?

平塚 現場の和室のシーン、親戚が集まっている様子などは実家を思い出しましたね。噂がすぐに広まってしまうところとかも「分かるなぁ」と思って(苦笑)。

――映画で、葉子は過去を捨てて上京するわけですが、平塚さんが上京した時は、どのような気持ちでしたか?

平塚 私は24歳の時に地元でスカウトされて上京したので、「人生一回だし、東京に行ってみよう」というような感じでした。その時はそんなに強い思いや意気込みのようなものはありませんでした(笑)。

――主人公・葉子にとって「男性」とはどういう存在だと思われますか?

平塚 自分を傷つけた男性のことは、今でも殺したいと思っていると思います。ただ、その思いを前に進むパワーとエネルギーに変えるのもまた、男性相手の性風俗の仕事だったりするんですよね。生きていくための手段として必要な存在だったと思います。

――インドの「ノイダ国際映画祭」では、審査員特別賞を受賞しましたね。

平塚 インドは性犯罪がとても多いと聞いています。特に幼児の強姦とか輪姦が日常茶飯事に行われていると聞きました。その国で賞をとれたのは大変意味のあることだと思います。インドの性犯罪を減らすことに役立てればなと思います。また、日本でも、子どもたちを守っていく立場の家族や公的な機関、NPO団体の方などに見ていただきたいです。

――今回の役柄もそうですが、平塚さんは、外見でクールに見られがちですよね。

平塚 そうなんです。もう、それで損しかしていない(笑)。怒ってるわけでもないのに、「怖そう」とか「近寄りがたい」と思われて。「話してみたら全然違う」ってなるんですけどね。

 一時はだいぶ試行錯誤していて。ボケてみたり、最初からヘラヘラしてたりもしたんです。でも、「逆に怖い」「変!」って言われてしまって(笑)。最近はインタビューなどでお話をする機会が増えたので、以前ほどは冷たく見られなくなりました。

■「ファンの方がお父さんよりも好き」

 

――グラビアや舞台でも活躍されていますが、それぞれ意識することに違いはありますか?

平塚 全然違いますね。グラビアは、カメラマンさんと一対一で作り上げるものですが、映像のように、そこに演技が入ってくると全くの別物になります。

 舞台は、お客さんの反応も含めて一番演技の勉強になります。舞台で得たことがギュッと詰まったものがドラマとか映画に反映されるのかなと思っています。

 今、肩書としては「グラビア女優」としているんですが、需要がある限りグラビア活動も続けていきたいです。あとは、「これ」と決めてしまわずに、いろんなことに挑戦したいですね。

――今後、女優として演じてみたい役はありますか?

平塚 今まで演じてきたのが、激しい女性の役が多かったので、今回のようにトラウマを抱えている女性など、これまで経験したことがない役を演じてみたいです。コメディも大好きなので、そんな演技もしてみたい。韓国のアイドルグループ・2PMのチャンソンさんの映画『忘れ雪』(2015)では掃除のおばさんの役をやりました(笑)。とにかくたくさんの役を演じて、一人前の女優になっていきたいです。

――撮影会などでファンの方と触れ合うことも多いと思いますが、平塚さんにとってファンはどのような存在ですか?

平塚 私のファンは、どんなお仕事をしても「やったね!よかったね!」と肉親のように喜んでくれるんです。ずっと昔からファンでいてくれる方もいて「まだファンでいてくれるんだ」と感動するほどです。私、ファザコンなんですけど、お父さんよりも大好きです(笑)。

 今回の映画を見てファンになってくれる方がいらっしゃれば嬉しいです。全国いろいろなところに舞台挨拶で伺いたいですね。

――平塚さんの意外な一面として、アイドルユニット「A応P」のファンだと伺ったのですが。

平塚 はい。アニメの『おそ松さん』(テレビ東京系)を見ていたら、彼女たちのPVが流れて、それを見て一目惚れしました。残念ながら推しの子は卒業してしまったのですが、今は研究生で新たな推しを見つけたので、そちらを応援しています。もう親心みたいな感じです(笑)。前回のツアーが舞台と重なって行けなかったので、次のツアーは東名阪を追いかけようかと思っています。本当にミーハーなんですよ、私……(爆笑)。

――最後に、これから映画を見る方にメッセージがあればお願いします。

平塚 この映画が実話であるということ、そして性犯罪に遭われて苦しんでいる方がたくさんいるということを知っていただきたいです。そして、被害者の方々が声を上げられる世の中になって欲しい。もし、同じように辛い思いをしている人がこの作品を見て、「自分も強く生きよう」と思い、そして幸せな人生を生きてくだされば本望です。

 男性の方には、これから伴侶になる方が同じような苦しみを抱えていたら、守ってあげてほしい。女性に優しく接してあげてほしいなと思います。

* * *

 170cmの身長と、抜群のスタイル、そしてクールなルックス。ハードな役柄を演じきった彼女の素顔は、驚くほどしなやかで正義感にあふれるものだった。

 自分に壁を作らず、どんなジャンルにでも挑戦していく強さ。映画主演というハードルを越え、新たな世界に踏み出した彼女のこれからの活躍が期待される。
(取材・文=プレヤード)

●平塚千瑛(ひらつか・ちあき)
1986年生まれ。山形県米沢市出身。24歳の時に地元でスカウトされ上京。2011年ミス・アース・ジャパン ファイナリスト、2012年ミス・ユニバース・ジャパン セミファイナリストなどを経て、グラビア、女優、バラエティとマルチに活動する。『私は絶対許さない』では、映画初主演となる。 写真集『Birth』(双葉社)発売中。

オフィシャルブログ『今日もありがとう』
https://ameblo.jp/chiaki-143x

Twitter:@chiaki_Hira2ka

 

 

 ■映画『私は絶対許さない』(監督:和田秀樹)
 4月7日から、テアトル新宿ほか全国公開

「かぼちゃの馬車」には絶対に住みたくない! 女性専用シェアハウス住人たちのリアルな声

 首都圏を中心に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズの“サブリース家賃不払い問題”が、世間に波紋を呼んでいる。同社は、「頭金なしで投資でき、30年間家賃収入を保証」といった謳い文句で、約800人の会社員などをオーナーに勧誘。現在、数億円規模のローンを組み、物件を購入したオーナーたちは、「返済はどうすればいいんだ」と悲痛な声を上げ、同社と役員、また関連会社などを相手取り、損害賠償を求める訴訟騒動にまで発展しつつある。オーナーに融資をしたスルガ銀行への責任も問われるなど、騒動はいまだ解決の糸口が見えず、今後も“大炎上”が続いていくことだろう。

 そもそも家賃不払いが発生した背景には、かぼちゃの馬車の入居率が低かった点が挙げられる。2016年に出版された、同社(当時・スマートライフ)の前代表取締役・大地則幸氏の著書『「家賃0円・空室有」でも儲かる不動産投資――脱・不動産事業の発想から生まれた新ビジネスモデル』(ダイヤモンド社)では、「入居率9割」とされていたものの、実際には4割前後だったとの指摘も。

 スマートデイズは、たとえ入居率が低くても、入居者に対して、提携先企業への人材派遣の斡旋を行い、紹介手数料を得るというビジネスモデルを考えていたそうだが、これがうまく回らなかったようだ。ネット上には、各地の「かぼちゃの馬車」の近隣住民から「確かに人がいる気配がしない」「誰も住んでいないのでは?」といった声が飛び交っている状況である。

入居者のことがわからないのはトラブルの元

 なぜ「かぼちゃの馬車」には人が集まらないのか――? 実際に女性専用シェアハウスに住む人たちに話を聞くと、その理由の数々が見えてきた。「上京したてであまり貯金がなく、でも職場への交通の便がよいところに住みたくて、都心&駅近の女性専用シェアハウスを選んだ」と語る30代のAさんは、かぼちゃの馬車破たん騒動を知り、ネット上に散見される実際の入居者たちの声を読んで、「私だったら絶対住まない」と思ったそうだ。

「報道でもよくいわれていますが、入居者たちが集う『共有部分』がほとんどないという点が気になりました。私が住んでいるシェアハウスの入居者は5人。広いリビングに集って、会社の愚痴を言い合ったり、恋愛相談をしたり、クリスマスパーティーなんかをするんです。私はこういう“入居者同士のつながり”目的でシェアハウスを選んだわけではないですけど、ほかの入居者と仲良くなり、楽しく生活しています。実際に、交流目的でシェアハウスに住む人も多いから、そういう人にはかぼちゃの馬車は選ばれないですよね」

 共用のリビングがないと、「大手シェアハウス専門募集サイト『ひつじ不動産』『東京シェアハウス』の掲載条件を満たせないため、シェアハウスに住みたい人に情報が届かず、結果的に入居率を下げる要因となった」と、報道では盛んに指摘されている。

「入居者のブログやTwitterを読むと、入居者同士、挨拶をしたり、ちょっとした会話はすると書いている人もいました。でもやっぱり、一般的なシェアハウスに比べると、交流は薄そうですよね。『個室のドアの下部分に隙間があるため、ほかの人の生活音に悩まされる』『洗面所に髪の毛が落ちてて嫌だった』といった意見を見て思ったのですが、相手のことをあまり知らないから、イライラするのかなって。うちのシェアハウスも、隣の部屋の子がオナラした音まで聞こえますけど(笑)、仲がいいからそこまで気にならないですよ。“お互い様だよね”と思えます」

 同じく、東京23区内の女性向けシェアハウスで暮らす20代のBさんも、かぼちゃの馬車にリビングがないことを問題視し、「誰が住んでるかわからないって怖くないですか?」と声を上げる。

「女性専用シェアハウスって、“廊下に使用済みナプキンが落ちてる事件”がたまに起こるんですよ(笑)。お風呂から部屋に戻る途中で、うっかり落としちゃうんでしょうね。でも、知ってる仲だし、わざとじゃないってわかるから、『落ちてたよー』とみんなに声をかけると、いつの間にか片付けられてる。ただ、よく知らない人の使用済みナプキンが落ちてたらと想像したら、最悪ですよね……」

 さらにBさんは、ウェブニュースサイトに掲載されたかぼちゃの馬車内の写真を見て、「うなぎの寝床!?」と驚愕したという。

「個室は四畳くらいとのことで、うちとあんまり変わらないんですが、廊下部分の写真を見て、『狭いなぁ』と思っちゃいました。やっぱり、共有部分が広々としているのは、シェアハウスを選ぶ際に重要視する人が多いのでは。あと、実際にかぼちゃの馬車の間取りを検索して見てみたんですけど、シャワールームしかないんですよね。女子は湯船に入りたい人が多いと思うし、シャワーだけだったら選ばないかな。なんかもう、リビングも湯船もないし、狭いしで、シェアハウスっていうかドヤみたいですよね」

 ちなみにかぼちゃの馬車は、5~6人に対して、トイレとシャワーが1~2基といった物件が多いようだが、「それは別に少ないとは思わないかも。うちもそうだから」とBさんは語っていた。

 一方で、「出張の多い仕事をしていて、家の管理が面倒くさいので、シェアハウスを選んだ」と語る都内在住の30代Cさんは、「リビングがないというのは、私はそこまで気にならないです。寝られればいいので」という。

「私みたいに家を空けることが多い人にも、シェアハウスは便利なんです。かぼちゃの馬車も週に何回か清掃の人が来てくれるシステムだったみたいですけど、私のところもそうなので、大変助かっています。電球が切れても、すぐに担当者に連絡できるし、シェアハウス内で問題がないか、定期的にチェックにも来てくれます。だから、かぼちゃの馬車の元入居者さんが、『洗濯機の不調で水漏れが起こったのに、スマートライフの対応が遅くて大変だった』とブログに書いてあるのを見て驚きました。それに、今回の破たんによって、清掃の人が来なくなってしまったトラブルもあったそうですね。『一時来なくなったけど、また来てくれるようになった』と報告している入居者も見かけましたけど、今後もそういうことがあるんだったら、私は絶対入居したくない」

 またCさんは、「家にあまりいないのに、敷金礼金や高い家賃を払うのは嫌」といった理由も、シェアハウスを選ぶポイントになったという。かぼちゃの馬車も、「各部屋に家具・家電付きで初期費用1万円と家賃だけで住める」と宣伝して、礼金敷金などはかからなかったそうだが……。

「現在、かぼちゃの馬車のサイトは閲覧できない状態になっていますが、賃貸物件サイトを見ると、いまも入居者を募集しているんですよね。管理会社がスマートデイズから別の会社に移って、オーナーさんが家賃を改訂したようで、あるサイトでは、三軒茶屋駅から徒歩12分の物件が賃料管理費込みで9万6,000円、中野坂上駅から徒歩10分の物件が賃料管理費込みで9万5,000円と紹介されていました。光熱費やWi-Fi代などが込みだとしても、この値段なら結構いいワンルームを借りられるよね、と思ってしまいます。ナイトワーク専門賃貸情報サイトに載っていたので、『お金はあるけど入居審査が通らない』って人にはいいかもしれませんけど、いやそれにしたって、シェアハウスとしては高すぎる。これじゃあ人が集まらないのでは」

 女性専用シェアハウスに住む人からしても、「魅力を感じない」というかぼちゃの馬車。前出のAさんは、「今回の騒動で、シェアハウスのイメージまで悪くなったような気がして悲しくなりますよ」とため息を吐いていた。かぼちゃの馬車のオーナーの中には、今後自主管理に変更して再建を目指す人もいるだろうが、人を集められるシェアハウスに生まれ変わることはできるのだろうか。

「かぼちゃの馬車」には絶対に住みたくない! 女性専用シェアハウス住人たちのリアルな声

 首都圏を中心に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズの“サブリース家賃不払い問題”が、世間に波紋を呼んでいる。同社は、「頭金なしで投資でき、30年間家賃収入を保証」といった謳い文句で、約800人の会社員などをオーナーに勧誘。現在、数億円規模のローンを組み、物件を購入したオーナーたちは、「返済はどうすればいいんだ」と悲痛な声を上げ、同社と役員、また関連会社などを相手取り、損害賠償を求める訴訟騒動にまで発展しつつある。オーナーに融資をしたスルガ銀行への責任も問われるなど、騒動はいまだ解決の糸口が見えず、今後も“大炎上”が続いていくことだろう。

 そもそも家賃不払いが発生した背景には、かぼちゃの馬車の入居率が低かった点が挙げられる。2016年に出版された、同社(当時・スマートライフ)の前代表取締役・大地則幸氏の著書『「家賃0円・空室有」でも儲かる不動産投資――脱・不動産事業の発想から生まれた新ビジネスモデル』(ダイヤモンド社)では、「入居率9割」とされていたものの、実際には4割前後だったとの指摘も。

 スマートデイズは、たとえ入居率が低くても、入居者に対して、提携先企業への人材派遣の斡旋を行い、紹介手数料を得るというビジネスモデルを考えていたそうだが、これがうまく回らなかったようだ。ネット上には、各地の「かぼちゃの馬車」の近隣住民から「確かに人がいる気配がしない」「誰も住んでいないのでは?」といった声が飛び交っている状況である。

入居者のことがわからないのはトラブルの元

 なぜ「かぼちゃの馬車」には人が集まらないのか――? 実際に女性専用シェアハウスに住む人たちに話を聞くと、その理由の数々が見えてきた。「上京したてであまり貯金がなく、でも職場への交通の便がよいところに住みたくて、都心&駅近の女性専用シェアハウスを選んだ」と語る30代のAさんは、かぼちゃの馬車破たん騒動を知り、ネット上に散見される実際の入居者たちの声を読んで、「私だったら絶対住まない」と思ったそうだ。

「報道でもよくいわれていますが、入居者たちが集う『共有部分』がほとんどないという点が気になりました。私が住んでいるシェアハウスの入居者は5人。広いリビングに集って、会社の愚痴を言い合ったり、恋愛相談をしたり、クリスマスパーティーなんかをするんです。私はこういう“入居者同士のつながり”目的でシェアハウスを選んだわけではないですけど、ほかの入居者と仲良くなり、楽しく生活しています。実際に、交流目的でシェアハウスに住む人も多いから、そういう人にはかぼちゃの馬車は選ばれないですよね」

 共用のリビングがないと、「大手シェアハウス専門募集サイト『ひつじ不動産』『東京シェアハウス』の掲載条件を満たせないため、シェアハウスに住みたい人に情報が届かず、結果的に入居率を下げる要因となった」と、報道では盛んに指摘されている。

「入居者のブログやTwitterを読むと、入居者同士、挨拶をしたり、ちょっとした会話はすると書いている人もいました。でもやっぱり、一般的なシェアハウスに比べると、交流は薄そうですよね。『個室のドアの下部分に隙間があるため、ほかの人の生活音に悩まされる』『洗面所に髪の毛が落ちてて嫌だった』といった意見を見て思ったのですが、相手のことをあまり知らないから、イライラするのかなって。うちのシェアハウスも、隣の部屋の子がオナラした音まで聞こえますけど(笑)、仲がいいからそこまで気にならないですよ。“お互い様だよね”と思えます」

 同じく、東京23区内の女性向けシェアハウスで暮らす20代のBさんも、かぼちゃの馬車にリビングがないことを問題視し、「誰が住んでるかわからないって怖くないですか?」と声を上げる。

「女性専用シェアハウスって、“廊下に使用済みナプキンが落ちてる事件”がたまに起こるんですよ(笑)。お風呂から部屋に戻る途中で、うっかり落としちゃうんでしょうね。でも、知ってる仲だし、わざとじゃないってわかるから、『落ちてたよー』とみんなに声をかけると、いつの間にか片付けられてる。ただ、よく知らない人の使用済みナプキンが落ちてたらと想像したら、最悪ですよね……」

 さらにBさんは、ウェブニュースサイトに掲載されたかぼちゃの馬車内の写真を見て、「うなぎの寝床!?」と驚愕したという。

「個室は四畳くらいとのことで、うちとあんまり変わらないんですが、廊下部分の写真を見て、『狭いなぁ』と思っちゃいました。やっぱり、共有部分が広々としているのは、シェアハウスを選ぶ際に重要視する人が多いのでは。あと、実際にかぼちゃの馬車の間取りを検索して見てみたんですけど、シャワールームしかないんですよね。女子は湯船に入りたい人が多いと思うし、シャワーだけだったら選ばないかな。なんかもう、リビングも湯船もないし、狭いしで、シェアハウスっていうかドヤみたいですよね」

 ちなみにかぼちゃの馬車は、5~6人に対して、トイレとシャワーが1~2基といった物件が多いようだが、「それは別に少ないとは思わないかも。うちもそうだから」とBさんは語っていた。

 一方で、「出張の多い仕事をしていて、家の管理が面倒くさいので、シェアハウスを選んだ」と語る都内在住の30代Cさんは、「リビングがないというのは、私はそこまで気にならないです。寝られればいいので」という。

「私みたいに家を空けることが多い人にも、シェアハウスは便利なんです。かぼちゃの馬車も週に何回か清掃の人が来てくれるシステムだったみたいですけど、私のところもそうなので、大変助かっています。電球が切れても、すぐに担当者に連絡できるし、シェアハウス内で問題がないか、定期的にチェックにも来てくれます。だから、かぼちゃの馬車の元入居者さんが、『洗濯機の不調で水漏れが起こったのに、スマートライフの対応が遅くて大変だった』とブログに書いてあるのを見て驚きました。それに、今回の破たんによって、清掃の人が来なくなってしまったトラブルもあったそうですね。『一時来なくなったけど、また来てくれるようになった』と報告している入居者も見かけましたけど、今後もそういうことがあるんだったら、私は絶対入居したくない」

 またCさんは、「家にあまりいないのに、敷金礼金や高い家賃を払うのは嫌」といった理由も、シェアハウスを選ぶポイントになったという。かぼちゃの馬車も、「各部屋に家具・家電付きで初期費用1万円と家賃だけで住める」と宣伝して、礼金敷金などはかからなかったそうだが……。

「現在、かぼちゃの馬車のサイトは閲覧できない状態になっていますが、賃貸物件サイトを見ると、いまも入居者を募集しているんですよね。管理会社がスマートデイズから別の会社に移って、オーナーさんが家賃を改訂したようで、あるサイトでは、三軒茶屋駅から徒歩12分の物件が賃料管理費込みで9万6,000円、中野坂上駅から徒歩10分の物件が賃料管理費込みで9万5,000円と紹介されていました。光熱費やWi-Fi代などが込みだとしても、この値段なら結構いいワンルームを借りられるよね、と思ってしまいます。ナイトワーク専門賃貸情報サイトに載っていたので、『お金はあるけど入居審査が通らない』って人にはいいかもしれませんけど、いやそれにしたって、シェアハウスとしては高すぎる。これじゃあ人が集まらないのでは」

 女性専用シェアハウスに住む人からしても、「魅力を感じない」というかぼちゃの馬車。前出のAさんは、「今回の騒動で、シェアハウスのイメージまで悪くなったような気がして悲しくなりますよ」とため息を吐いていた。かぼちゃの馬車のオーナーの中には、今後自主管理に変更して再建を目指す人もいるだろうが、人を集められるシェアハウスに生まれ変わることはできるのだろうか。

W不倫15年、彼が脳梗塞で帰らぬ人に――「彼の最期に立ち会ったのは私」と語る女の胸中

 20年近く不倫の取材をしてきたが、このところ「長期不倫」の話を本当によく聞く。短くて8年、あとは12~15年くらいが多い。独身の場合は「子どもがほしい」「結婚したい」気持ちに折り合いをつけるのは容易でない一方、W不倫の女性にとっては、案外、長期不倫は合理的な関係ではないかと思う。そんな女たちの声を全7回で聞いていく。

(第1回:「出産リミットが見えて焦りが」長期不倫8年目、結婚と出産願望で揺れる38歳の岐路
(第2回:「40歳を迎えてラクになった」19歳から10年不倫を繰り返した女の、結婚・出産願望
(第3回:「産まないという選択肢はなかった」W不倫12年、“彼”との子どもを育てる女の決意
(第4回:不倫20年で「妻バレ」して破局……出産・結婚もあきらめた女が苦悩する「私の存在意義」

 社内W不倫のはじまり

 結婚してから本気で人を好きになることはあり得る。そのとき、どういう選択をするかは個人の意思による。どういう選択をしても第三者がとやかく言うべきではないと思う。

 ミヤさん(49歳)が、3歳年上のリョウイチさんと知り合ったのは30歳のとき。結婚して3年目、1人目の子が1歳の誕生日を迎えてすぐのことだった。

「産後、半年ほどで前に勤めていたところとは別の職場に就職したんですが、そこで知り合いました。一目見たときから気になってたまらなかった。どうしてかわかりませんが」

 運命の出会いだったのかもしれない。だが当時、33歳のリョウイチさんにも家庭があった。

「仕事仲間として接していましたが、気持ちは彼に惹かれていました。夫との関係が悪かったわけではないんです。夫は同い年でしたから、一緒に家事をして一緒に子育てもして。同志のような関係だし、絶対的な信頼感を持っていました」

 それでも恋心は止められない。今までの自分にはない焦燥感も覚えた。

「そもそも私、そんなに恋愛体質ではないんです。結婚するまでに付き合ったのは3人くらい。それも、さほど長くは続かなかった。仕事が楽しかったせいもあります。夜勤もある仕事なので、『仕事と僕とどっちが大事?』と聞かれたことも。もちろん仕事をとりましたが(笑)。そういうことを言わなかったのは夫だけ。それなのに、リョウイチさんに対してだけは、自分が感じたことのないような胸の痛みがあった。本当に人を好きになると、実際胸が痛くなるんだと初めて知りました。このまま、彼とただの仕事仲間でいいのかと考えると、体中から冷や汗が出るような感じになるんです」

 恋の病は重症だった。そして実は、リョウイチさんの方も彼女が好きでたまらなかったのだという。もちろん、それは後からわかったことだが。

「職場の懇親会で隣同士になって飲んだり食べたりしながら、彼とよくしゃべりました。一次会の後、2人だけでこっそり二次会に行って。『こんなことを言ってはいけないとわかっているけど』と彼が告白してきたんです。うれしかった。同じ気持ちでしたから」

 気持ちを確かめ合ったものの、2人はその先に進むのを躊躇した。そしてその頃、ミヤさんは2人目を妊娠していることに気づく。

「彼に言えないまま仕事を続けて……。5カ月に入ったところで職場の調整もあるので、ようやく公にしました。そのときの彼の目が妙に寂しくて。後から聞いたら、またしばらく会えなくなるのがつらかった、と。私も同じように思っていました」

 2人目のときは育児休暇をとらなかった。早く職場復帰したかったからだという。それまで控えていた夜勤も、子どもが1歳になる頃には引き受けるようになっていた。

「夜勤でリョウイチさんと一緒に勤務することがあった。もちろん仕事ですが、やはり話す時間が格段に増えて、うれしかったですね。お互いの気持ちは変わってないとわかり、とうとう夫に夜勤だとウソをついて、彼とホテルへ行ったのが、私の33歳の誕生日だったと思います」

 3年越しで思いを遂げた2人。ついに1つになれたという感動は深かった。だが、思いがかなえば次の心配が出てくるものだ。

「やっと結ばれた。でも私たち、これからどうするの、と思いました。このまま関係を続けていってお互いの配偶者にバレたらどうなるのか。そもそも、この関係が続くのか。私たちはどこを目的に進んで行ったらいいのか……。それでも、あえてそんな言葉は口にせず、時間を作っては会いました。会うことだけ、1つになることだけが目的のように。私は彼とだと、快感が止まらない。体も心も燃えて燃えて。夫ともたまにはしましたが、こちらは癒やしのセックス。夫に悪いとは思いませんでした。彼は彼、夫は夫、心の中でまったく違う存在だと分けていたような気がします」

 週に何度も会って愛と快感を確認しあう日々が、しばらくすると少し落ち着いてきた。そこで2人は、あらためて話し合った。

「私は子どもたちが何よりも大切。2人を大人にするまでは何もできない。でも、あなたとの時間も大事。だから苦しいと泣いたんです。すると彼は、『わかった。とにかく今は家庭を優先させよう。ミヤの下の子が就職して独立したら、一緒になりたい』と言ってくれたんです。うれしかった。もちろん、それまでの間に互いの愛情がなくなれば別ですが、私たちはちょっとやそっとでは別れないと思っていた。彼も同じ気持ちだと知って、本当にうれしかった」

 5年、10年と時は流れる。子どもたちは小学校に入り、中学を卒業し、年々、大人になっていく。その頃、ミヤさんは職場を変えた。彼と毎日会えなくなった分、メールで毎日連絡を取り合うようになった。そして、気づいたら15年という時間が流れていた。

 2人が付き合って15年がたったとき、ミヤさんは彼から腕時計をプレゼントされた。

「こういうプレゼントは初めてでした。お互いに持ち物をプレゼントするのは気が引けるから、いつも誕生日前後に一緒に食事をする程度だった。でも彼は、『僕はあなたに会えて人生が豊かになった』と言ってくれた。あと7~8年たてば、私も子どもへの責任は果たしたことになる。そのときの状況にもよるけど、一緒になれるよう頑張ろうと約束しました」

 それから4年近くたった昨年春、リョウイチさんと突然、連絡が取れなくなった。毎日交わしていたメッセージも来ない。どうしたんだろう、具合が悪くて病院に運ばれたのか? 自分がメッセージを打ったら彼に迷惑がかかるだろうか? 前の職場に尋ねてみようかとも思ったが、怪しまれると思って自重した。

「あのときは生きた心地がしませんでした。2日に1回くらい、あたりさわりのないメッセージを送っていましたが、もしかしたらこの世にはいないんじゃないかとか、とにかく胸騒ぎがして」

 10日ほどたった頃、ようやく彼からメッセージが来た。自宅で倒れて病院に運ばれたのだという

「もうダメかと思ったら蘇ったよ。ミヤに会いたいから。しばらくリハビリしなくてはいけないけどミヤに会うために頑張る、と書いてありました。こんなに感情をつづったメッセージも初めてでした。奥さんに見られたらまずいけど、携帯は誰にも見せないから大丈夫とも書いてあって……」

 軽い脳梗塞だったらしい。リョウイチさんはその後、必死でリハビリに取り組んだようだ。1カ月半後に退院、そして2人は会った。

「彼がホテルを予約してくれて。『できるかどうかわからない』と言っていたけど、無事に1つになれました。私はもう泣きっぱなし。その日は夜勤だと言ってあったので、ルームサービスを取って2人で朝まで過ごしました。本当に楽しかった。彼は『今回、いろいろ考えたんだよ。オレが死んだら、学生時代からの親友がミヤに連絡してくれることになった』とつぶやいたんです。縁起でもないことを、と怒ったのですが……」

 久しぶりに彼に会って、ようやく身も心も落ち着いたミヤさんだが、それから数週間でまた彼と連絡が取れなくなった。

「イヤな予感がしました。再度、彼が倒れたんじゃないか、と。毎日が怖かった」

 そのまま1カ月という時間が流れた。

「とうとう我慢できなくなって、前の職場で一緒だった人にさりげなくメールをしてみました。するとやはり彼が倒れた、と。イヤな予感は当たっていました。しかも1カ月たってもまだ目を覚まさないというんです」

 あまり詳しく尋ねるのも疑惑を生む。適当なところでメールのやりとりを切り上げた。ただ、入院先は聞いた。元の仕事仲間なのだから、お見舞いくらい行ってもいいのではないか……。ミヤさんの思いは日に日に強くなっていく。どんな姿でもいい、彼に会いたかった。一方で、そんな彼を見るのが怖い。彼は、私にそういう姿を見られたいと思うだろうかと考えると、なかなか足が前に出ない。

 迷いに迷ったが、ある日、いつものように腕時計をつけながら、彼が呼んでいると感じた。その日、仕事が終わると彼女は彼の病院に駆けつけた。病室の前に行くと、医師や看護師が出たり入ったりと騒がしい。

「ご家族の方ですか」

 看護師に問われてふっと頷いてしまった。中に入ると、彼にはたくさんの管がつながれている。思わず枕元に立って彼の手を握った。

「延命はしない……ということでしたから」

 医師がぼそぼそと言う。ミヤさんは頷きながら、彼ならそう言うだろうと感じていた。彼の手に一瞬、力がこもった。彼女もぎゅっと握り返す。耳元で「ミヤよ」と言うと、彼の目からつっと涙がこぼれた。次の瞬間、彼の手から力が抜けた。

「思いがけず、私は彼の最期に立ち会ってしまったんです。彼の親友という方に後から聞いたら、彼の奥さんとお子さんは、その日に見舞って帰ったところだったらしい。病院から連絡があってあわてて戻ったのですが、間に合わなかった、と。私は彼の手から力が抜けた後、すっと室内から立ち去りました。病院側も家族側も、そのことについては触れず、騒ぎにはならなかったようです」

 彼女自身、そのときの自分の行動をよく覚えていないという。もしかしたら、私の魂が彼に会いに行っただけかも、と小さい声で言った。

「お葬式の案内は、彼の親友からもらったんですが、私は行かれなかった。彼の死を認めたくなかったんだと思います。その後、彼の親友という方に会って、彼の話をいろいろしました。一緒になるはずだったのに、1人で先に逝くなんて嘘つきですよね……」

 彼女の目が潤んだ。最期に立ち会えたのは、やはり彼が呼んだのかもしれない。長年の不倫では、連絡が取れなくなったままで、亡くなってしばらくたってから、ようやく知り合いから聞かされたという話もある。亡くなったことも知らせてもらえない関係なのだ。

「今でもつらいです」

 彼女はふっと時計を見た。彼からもらった時計が今も彼女の腕にはまっている。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
1960年東京生まれ。明治大学文学部卒。不倫、結婚、離婚、性をテーマに取材を続けるフリーライター。「All About恋愛・結婚」にて専門家として恋愛コラムを連載中。近著に『アラフォーの傷跡 女40歳の迷い道』(鹿砦社)『人はなぜ不倫をするのか』(SBクリエティブ)ほか、多数。

「声がけが耳障り」イトーヨーカドー“トンデモお客様の声”、クレーム対応のプロはどう答える?

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 スーパーの警備員の声がけが耳障りなのでやめさせてください――。

 そんな“お客様の声”が、ネット上で話題を呼んでいる。3月下旬、Twitterユーザーが、イトーヨーカドーに掲示された“お客様の声”の写真を投稿。そこには、「車の出入り口のガードマンさんが通る一人一人にお帰りなさいとか、ごくろう様、とか、お気を付けとか、その時々、その人それぞれで多少の違いは有りますが、声を掛けていますが、非常に耳障りですのでやめて下さい。」とあり、その意見に対して、別のお客様が「声がけは良い事なので、変える必要はありません」「私は(声がけが)嬉しい方」「一人のクレームで声掛けが無くなってしまうのは悲しい」などと、掲示板で反論しているようなのだ。

 警備員から利用者への声がけは、世間一般的に、決して咎められるものではなく、むしろ“良い行い”と捉えられている。ネット上でも、「声かけが耳障りって、悪質クレーマー」「イトーヨーカドーは従う必要なし」といった意見が飛び交っているが、店舗側はこうした“トンデモクレーム”に、どのような対応をすべきなのだろうか。今回、『どんなクレームも絶対解決できる!―――近年増加「特殊クレーム」に気をつけろ』(あさ出版)の著者で、株式会社キューブルーツ代表取締役を務める津田卓也氏に、お話を聞いた。

「お客様は神様です」の考えをあらためるべき

 津田氏は、ブックオフコーポレーション株式会社を経て、2005年にセミナー&研修会社のキューブルーツを設立。クレーム対応研修における、“現場目線”の指導が受講者から大評判なのだそうだ。そんな津田氏に、まずイトーヨーカドーへのクレーム内容を説明すると、「今はね、そういうわけのわからないことを言う人がいっぱいいるんですよ。『除夜の鐘がうるさいからやめろ』なんて言う人とかね。昔はそんなことなかったんですが」と語り始めた。

「例えば店員の言葉づかいがすごく悪いとか、商品に欠陥があったというクレームは、店側が丁寧に対応しなければいけないクレームです。しかし、声がけは、普通の人であれば、うれしいことじゃないですか。不快と思うか思わないかは、個人の問題。こういったクレームを言ってくる人たちは常識が通用しないので、コミュニケーションスキルでどうにかできる問題ではありません。ぶっちゃけて言ってしまえば、企業側が、『お客様は神様です』という考えをあらためなければいけないと思います」

 商品を購入してくれる、施設を利用してくれるから、全てのお客様の言いなりにならなければ――そんな企業側の姿勢に、津田氏は疑問を投げかける。企業側は、「お客様を定義しなければいけません。『我々のお客様はこういうお客様です』『度を過ぎた行為を取るお客様は、いくら商品を買っていただいたとしても、お客様ではありません』と」。

 また津田氏は、どこのスーパーでも見かける“お客様の声”の掲示に関して、「何でもかんでも載せればいいというものではない」と厳しい目を向ける。

「今回のような“理不尽な声”を、人の目に触れるところに貼るべきではなかった。お客様は神様だと思っているから、貼ってしまったのかなと思います。そもそも、お客様の声というのは、企業側が“こういった点を努力していきます”“ありがとうございます”の意味を込めて掲示するもの。一般常識から外れているものは除外するなど、マニュアルを作るべきでしょう」

 確かに、スーパーなどでふと目に入った“お客様の声”が、非常識だったり悪意があったりすると、何となく嫌な気持ちになるだけに、「ほかのお客様のためにも、掲示するものは選ばなければ」と津田氏は指摘する。しかし、イトーヨーカドーが「お客様に対して、『こういうクレームが来ているんですが、どう思いますか?』と問いかけ、考えさせるために、あえて戦略的に貼ったというのであれば、いいと思いますよ」という。

 津田氏自身は、「声かけが耳障り」といったお客様の声は「掲示しない」選択を取るそうだが、もし目の前で直接訴えかけられたら、どのように返すのだろうか。

「はっきりと『ご意見としてはお伺いいたしますが、多くのお客様は「声をかけてくれてうれしかった」とおっしゃられています。ご意見に対してお応えしたいのはやまやまですが、全ての人に対してきちんとお応えするのは不可能です』と言います。相手が、それ以上何か言ってきたら、組織としては、CS(顧客満足)モードからリスクマネジメントモードに意識をチェンジし、『業務妨害ですよ』と言った方がいい。ポイントとしては、相手から逃げてはダメ。ただ、1人だと怖いのでみんなで対応する、相手がこういう態度を取ったらICレコーダーでの録音を開始するなど、あらかじめマニュアルを作っておいてもいいかもしれません」

モンスタークレーマーに「娘を襲う」と脅されたことも

 これまで、ありとあらゆるクレーム対応を行ってきた津田氏。過去には、こんなモンスタークレーマーに対峙したこともあったそうだ。

「ブックオフに勤めていた時代の話です。ある人物から、『店長の態度がなっていない、責任者を出せ』とクレームが入り、当時責任者だった私が対応したのですが、『部下の教育がなっていない』『お前は人を育てる資格がない』といわれ、『お前が人を育てられないのは、母親がお前をちゃんと教育しなかったからだ』『お前の母親は生きてるのか。住所か電話番号を教えろ。母親を説教してやる』と。さらには、『お前が娘にちゃんと教育できているか調べてやる』とも言ってきたので、警察に連絡しました。会話を全て録音していたんです。『娘を襲う』というようなことも言っていたので、『あぁこれはもう脅迫罪だ』とも感じていました。ちなみに、その人物はのちに別件で逮捕されましたが、持ち物の中に、うちの娘の写真が入っていたそうです」

 こういったクレーマーにまで、親切・丁寧に対応することは「危ないです」と津田氏はきっぱり言う。イトーヨーカドーのお客様の声を書いた人物は、「さすがに、そこまでヤバい人ではなさそう」と感じるかもしれないが、企業側が生き残っていくために、「お客様の言うことは絶対」といった風潮を作ることは、同時に社員が“被害者”になる危険性を高めていると言えるのかもしれない。

「日本で異常なクレーマーが増えているのは、それだけ心のバランスを崩した人が増えたということではないでしょうか。やり場のない社会への怒りや孤独を発散させる相手が、企業なのかもしれません。お客様という立場を取れば、ペコペコする企業側は、唯一“自分の思い通りになる相手”。そんな相手に対して、企業側が“お客様の言うことは最後までしっかり聞きましょう”というのは、よろしくないと思います」

 商いとは、そもそも物々交換から始まり、それがお金に代わっただけであり、「サービスを提供する側、受ける側に、上も下もない」と津田氏は語る。常識から逸脱したクレームが減るためには、企業側そして客側がともに意識を変えていくことが大切なのだろう。

「港区の高級マンション」なのにクソ物件!? 素人が見落としがちな“貸主”という落とし穴

(前編はこちら)

 前編では、「クソ物件オブザイヤー」を主催する「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」の全宅ツイのグル氏(@emoyino)に、クソ物件が生まれてしまう背景を解説してもらった。後編では、クソ物件に住んでしまった人の体験談、また最近何かと話題の“タワマン”に関する意見を聞いた。

港区のデザイナーズマンションの貸主は?

 今後の人生で、「住んでみたらクソ物件だった!」となった日が来ないとも限らない。全宅のツイ氏が、実際にそんな物件を引き当ててしまった人のエピソードを披露してくれた。

 では、ひとつ、一般の方が見落としがちな「住んでみたらクソ物件だった!」というお話を。私の友人が賃貸マンションを借りたときのお話です。彼が新婚の奥さんと借りたのは港区の築浅の2LDKのマンション。月のお家賃は30万円を超えるいわゆる“デザイナーズマンション”でした。

 このデザイナーズマンションは、もともと分譲用として建設されたマンションで、港区でも上位のエリアに位置しておりました。またちょうどマンションの工事費が現在ほど高騰していない頃に分譲用として新築されていますので、建物の仕様も非常に高い。誰が見ても“高級”といった感じのマンションでした。

 幸せたっぷりの新婚時代に、誰もが羨む高級デザイナーズマンションに住んで半年ほどたった夏の頃、リビングの天井埋め込みの型エアコンが故障します。

 さて、賃貸マンションにお住みの皆さん、今あなたが住んでいるお家をあなたは誰から借りているのか、意識したことはありますか? あなたが誰からお家を借りているかぱっと答えることはできますか? この友人が借りた高級デザイナーズマンションは分譲用で、そこを投資用として購入した芸能会社社長が貸主でした。

 想像してみましょう。あなたは不動産の投資家です。あなたの目的は不動産に投資して、できるだけたくさんのお金をそこから回収すること。間違ってもあなたの不動産を借りている人に、上質な住居を提供して快適に暮らしていただくことではない。たった30万円のお家賃を受け取るために数十万円をかけて天井埋め込みのエアコンを修理したいと思いますか?

 そう考えたこの貸主、芸能会社社長は、借り主である友人からのエアコン修理の依頼の電話を無視し続けました。こうして私が友人と貸主の間に入って問題が解決するまでの間、彼は暑い夏を毎月30万円払いながらエアコンなしで過ごす羽目となりました。そう、毎日、奥さんに故障したエアコンをなんとかしろと言われながら。

 と、このようにですね、クソ物件は、物件そのものの物理的な状態のみならず、“誰からその物件を借りるか”によっても発生するということを皆さんには知っておいていただきたいと思います。トラブルのときにきちんと対応してくれる安心も、多少割高なお家賃に含まれると考えて、ファンド・REIT(証券取引所に上場している、主に不動産を投資対象とした投資信託のこと)の所有する物件、大手不動産会社や大手の一般事業法人が貸主の物件をおすすめします。

 タワマンは、外部から“セレブの象徴”として見られてきた。また“階数が高ければ高いほど金持ち”などと、ヒエラルキーが目に見えやすい形になっていると想像できるだけに、「タワマン内部では血で血を洗うマウンティング合戦が繰り広げられているのではないか?」と、女たちの好奇心を掻き立てたものだ。そんな中、最近やたらと「タワマン大暴落予想」の記事が目につくようになり、タワマンに着目する者の心をザワつかせているが、全宅ツイのグル氏は、タワマンのメリットデメリットに関して、どのような見解を持っているのだろうか。

 タワーマンションのデメリットは、ほとんどありません。それはこれまで建設されてきたタワーマンションの分譲時の抽選倍率、分譲後の中古市場での価格の上昇、また賃貸市場での賃料の高さを見れば客観的に明らかです。

 しかしながら私個人として2点だけ指摘させていただきます。1つめは、ぶっちゃけてしまいますと、タワーマンションは非常にわかりやすくシンボリックであるため、妬みや嫉妬の対象とされがちなことでしょうか。

 本当はもっと坪単価の高い低層の高級マンションはたくさん存在するのですが、タワーマンションこそ鼻持ちならないセレブたちの住まいのシンボルとしてディスられがちです。

 一定以上の、自分にも届きそうで、やっぱりちょっと届かない年収の人がまとまって同じ場所に暮らしている。それはやっぱり叩かれやすい。

 ただただ背が高くて目立ってわかりやすいということから、2000年代前半のタワマンブーム当時より、週刊誌、夕刊紙のルサンチマンとして叩かれ続けた流れがそのまま続いている印象を受けます。実際に住んでる方は、全然鼻持ちならない感じではないですし、職場に近くて便利で、立派な背の高い建物に暮らすのは気分のいいもんです。

 まあ、実際にタワーマンションに暮らしている人とそうではない人の数の比率を思い浮かべれば、如何に皆が想像でディスっているのかは理解できると思いますね。

 もう1つはタワーマンションそのものではなく、その周辺の環境です。もともとは工業エリアや未利用地だった場所を開発したケースが多く、大きな街区に同じようなタワーマンションや大規模な商業施設が存在しています。

 これは便利で清潔だといえばそのとおりなのですが、少額な資本の飲食店や個人の経営するセンスの良い商店を周辺に許容する余地がありません。近所の銭湯に、つっかけで行って帰りに立ち飲み屋さんで一杯、みたいな生活を望むならタワーマンション住まいは向かないかもしれませんね。

 タワーマンションのメリットはいっぱいありますが、ちょっとだけ。

◎都心への近さ
 豊洲なら、銀座1丁目まで有楽町線で6分。勝どきなら銀座4丁目までタクシー10分。これはすごい。貴族ではない一般人が、こんなとこ住めるんかいう話です。

◎眺望
 やっぱりいいですよ。仕事終わって帰ってきてふと見る窓の向こう景色。遮るもののない視界、潤いのある水辺の景色、たくさんのビルに灯された灯り、これぞアーバン! って感じがします。

◎シンボル性
 わかりやすい。ずばーん建ってるマンション指さして、私の家あそこ、言うんわ。タクシー乗ってもマンション名だけで通じる。大規模ゆえのスケールメリットで共用部も豪華。だれが見ても高級。わかりやすいすごさ。コンシェルジュはじめとしたサービスも便利。

◎資産価値
 2000代前半から分譲されてきたタワーマンションがどれだけ値上がりしたか。普通のサラリーマンの方でも、初期にタワーマンションを買った方は2000万円ほどで売却して利益を得た方がたくさんいらっしゃいます。また売却せずとも現在のタワーマンションの市場価格と自分が買った新築時の価格を眺めて、立派なマンションに住みながら含み益でニヤニヤできる。これは素晴らしい。

 これまでさまざまな物件を見てきた全宅ツイのグル氏。最後に、クソ物件が放つ魅力について、次のような言葉を寄せてくれた。

 不動産に関わる人たちの欲望や浅ましさ、組織の中での個人の弱さなどが垣間見られる点がクソ物件の素晴らしさです。

 細長い家の企画を見た不動産会社員は、心の中で「マジで?」って思います。でも、会社員です。会社や上司には逆らえない。「社長いいですね! やりましょう!」って言うんです。

 「もっと儲けたろう。住む人のことなんか後回しや。あと1平米でも余分に貸床を確保しろ」って叫ぶ事業主や「工事費もったいないわ。見えるとこだけきれいにしといたろ」と思うビルオーナーの払うお金と、自分の専門家としての良心に挟まれる現場の人間たちの苦悩。それらが結晶してクソ物件が生まれます。

 クソ物件とはいわば、人間の業や不動産にまつわる悲喜劇が生み出す侘び寂びが行き着く終着点なのです。

「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」公式サイト
「クソ物件オブザイヤー」公式サイト

「港区の高級マンション」なのにクソ物件!? 素人が見落としがちな“貸主”という落とし穴

(前編はこちら)

 前編では、「クソ物件オブザイヤー」を主催する「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」の全宅ツイのグル氏(@emoyino)に、クソ物件が生まれてしまう背景を解説してもらった。後編では、クソ物件に住んでしまった人の体験談、また最近何かと話題の“タワマン”に関する意見を聞いた。

港区のデザイナーズマンションの貸主は?

 今後の人生で、「住んでみたらクソ物件だった!」となった日が来ないとも限らない。全宅のツイ氏が、実際にそんな物件を引き当ててしまった人のエピソードを披露してくれた。

 では、ひとつ、一般の方が見落としがちな「住んでみたらクソ物件だった!」というお話を。私の友人が賃貸マンションを借りたときのお話です。彼が新婚の奥さんと借りたのは港区の築浅の2LDKのマンション。月のお家賃は30万円を超えるいわゆる“デザイナーズマンション”でした。

 このデザイナーズマンションは、もともと分譲用として建設されたマンションで、港区でも上位のエリアに位置しておりました。またちょうどマンションの工事費が現在ほど高騰していない頃に分譲用として新築されていますので、建物の仕様も非常に高い。誰が見ても“高級”といった感じのマンションでした。

 幸せたっぷりの新婚時代に、誰もが羨む高級デザイナーズマンションに住んで半年ほどたった夏の頃、リビングの天井埋め込みの型エアコンが故障します。

 さて、賃貸マンションにお住みの皆さん、今あなたが住んでいるお家をあなたは誰から借りているのか、意識したことはありますか? あなたが誰からお家を借りているかぱっと答えることはできますか? この友人が借りた高級デザイナーズマンションは分譲用で、そこを投資用として購入した芸能会社社長が貸主でした。

 想像してみましょう。あなたは不動産の投資家です。あなたの目的は不動産に投資して、できるだけたくさんのお金をそこから回収すること。間違ってもあなたの不動産を借りている人に、上質な住居を提供して快適に暮らしていただくことではない。たった30万円のお家賃を受け取るために数十万円をかけて天井埋め込みのエアコンを修理したいと思いますか?

 そう考えたこの貸主、芸能会社社長は、借り主である友人からのエアコン修理の依頼の電話を無視し続けました。こうして私が友人と貸主の間に入って問題が解決するまでの間、彼は暑い夏を毎月30万円払いながらエアコンなしで過ごす羽目となりました。そう、毎日、奥さんに故障したエアコンをなんとかしろと言われながら。

 と、このようにですね、クソ物件は、物件そのものの物理的な状態のみならず、“誰からその物件を借りるか”によっても発生するということを皆さんには知っておいていただきたいと思います。トラブルのときにきちんと対応してくれる安心も、多少割高なお家賃に含まれると考えて、ファンド・REIT(証券取引所に上場している、主に不動産を投資対象とした投資信託のこと)の所有する物件、大手不動産会社や大手の一般事業法人が貸主の物件をおすすめします。

 タワマンは、外部から“セレブの象徴”として見られてきた。また“階数が高ければ高いほど金持ち”などと、ヒエラルキーが目に見えやすい形になっていると想像できるだけに、「タワマン内部では血で血を洗うマウンティング合戦が繰り広げられているのではないか?」と、女たちの好奇心を掻き立てたものだ。そんな中、最近やたらと「タワマン大暴落予想」の記事が目につくようになり、タワマンに着目する者の心をザワつかせているが、全宅ツイのグル氏は、タワマンのメリットデメリットに関して、どのような見解を持っているのだろうか。

 タワーマンションのデメリットは、ほとんどありません。それはこれまで建設されてきたタワーマンションの分譲時の抽選倍率、分譲後の中古市場での価格の上昇、また賃貸市場での賃料の高さを見れば客観的に明らかです。

 しかしながら私個人として2点だけ指摘させていただきます。1つめは、ぶっちゃけてしまいますと、タワーマンションは非常にわかりやすくシンボリックであるため、妬みや嫉妬の対象とされがちなことでしょうか。

 本当はもっと坪単価の高い低層の高級マンションはたくさん存在するのですが、タワーマンションこそ鼻持ちならないセレブたちの住まいのシンボルとしてディスられがちです。

 一定以上の、自分にも届きそうで、やっぱりちょっと届かない年収の人がまとまって同じ場所に暮らしている。それはやっぱり叩かれやすい。

 ただただ背が高くて目立ってわかりやすいということから、2000年代前半のタワマンブーム当時より、週刊誌、夕刊紙のルサンチマンとして叩かれ続けた流れがそのまま続いている印象を受けます。実際に住んでる方は、全然鼻持ちならない感じではないですし、職場に近くて便利で、立派な背の高い建物に暮らすのは気分のいいもんです。

 まあ、実際にタワーマンションに暮らしている人とそうではない人の数の比率を思い浮かべれば、如何に皆が想像でディスっているのかは理解できると思いますね。

 もう1つはタワーマンションそのものではなく、その周辺の環境です。もともとは工業エリアや未利用地だった場所を開発したケースが多く、大きな街区に同じようなタワーマンションや大規模な商業施設が存在しています。

 これは便利で清潔だといえばそのとおりなのですが、少額な資本の飲食店や個人の経営するセンスの良い商店を周辺に許容する余地がありません。近所の銭湯に、つっかけで行って帰りに立ち飲み屋さんで一杯、みたいな生活を望むならタワーマンション住まいは向かないかもしれませんね。

 タワーマンションのメリットはいっぱいありますが、ちょっとだけ。

◎都心への近さ
 豊洲なら、銀座1丁目まで有楽町線で6分。勝どきなら銀座4丁目までタクシー10分。これはすごい。貴族ではない一般人が、こんなとこ住めるんかいう話です。

◎眺望
 やっぱりいいですよ。仕事終わって帰ってきてふと見る窓の向こう景色。遮るもののない視界、潤いのある水辺の景色、たくさんのビルに灯された灯り、これぞアーバン! って感じがします。

◎シンボル性
 わかりやすい。ずばーん建ってるマンション指さして、私の家あそこ、言うんわ。タクシー乗ってもマンション名だけで通じる。大規模ゆえのスケールメリットで共用部も豪華。だれが見ても高級。わかりやすいすごさ。コンシェルジュはじめとしたサービスも便利。

◎資産価値
 2000代前半から分譲されてきたタワーマンションがどれだけ値上がりしたか。普通のサラリーマンの方でも、初期にタワーマンションを買った方は2000万円ほどで売却して利益を得た方がたくさんいらっしゃいます。また売却せずとも現在のタワーマンションの市場価格と自分が買った新築時の価格を眺めて、立派なマンションに住みながら含み益でニヤニヤできる。これは素晴らしい。

 これまでさまざまな物件を見てきた全宅ツイのグル氏。最後に、クソ物件が放つ魅力について、次のような言葉を寄せてくれた。

 不動産に関わる人たちの欲望や浅ましさ、組織の中での個人の弱さなどが垣間見られる点がクソ物件の素晴らしさです。

 細長い家の企画を見た不動産会社員は、心の中で「マジで?」って思います。でも、会社員です。会社や上司には逆らえない。「社長いいですね! やりましょう!」って言うんです。

 「もっと儲けたろう。住む人のことなんか後回しや。あと1平米でも余分に貸床を確保しろ」って叫ぶ事業主や「工事費もったいないわ。見えるとこだけきれいにしといたろ」と思うビルオーナーの払うお金と、自分の専門家としての良心に挟まれる現場の人間たちの苦悩。それらが結晶してクソ物件が生まれます。

 クソ物件とはいわば、人間の業や不動産にまつわる悲喜劇が生み出す侘び寂びが行き着く終着点なのです。

「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」公式サイト
「クソ物件オブザイヤー」公式サイト

“クソ物件”はなぜ生まれるのか? 「裸の王様になりやすい」不動産オーナーの実態

 新生活スタートの季節である4月を目前に、現在“引っ越しの真っ最中”という人も多いのではないだろうか。生活の基盤となる“物件”を探すのは、手間のかかる行為ではあるが、一方で、「もしここに住んだら、どんな生活が送れるだろう?」と想像が膨らむ楽しい行為でもある。引っ越しや家を買う予定はないものの、ネット上の物件情報を漁るのが好きという人までいるほどだ。

 しかし、この世には、「なぜこんなトンチキな物件が……?」などと首を傾げてしまう物件があるのも事実。そんな物件を“クソ物件”と称し、2014年から「クソ物件オブザイヤー」なるアワードを開催している、異色の宅建業者団体がいる。それが、「全宅ツイのグル(@emoyino)」氏率いる「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」、通称「全宅ツイ」である。

 「クソ物件オブザイヤー」の公式サイトによると、本アワードは、「2008年のリーマンショック以降、混迷する不動産業界にあって、次世代を担うリーダー層が集い、学び、議論し、不動産市場再生のヴィジョンを描くための場が必要であるとの全宅ツイのグルの考えのもと」生まれたとのこと。今回は、全宅ツイのグル氏にメールインタビューを行い、印象に残っている“クソ物件”、また“クソ物件”が生まれる背景などをお聞きした。

■「クソ物件オブザイヤー」主催者が選ぶ四天王

「クソ物件オブザイヤー」には、毎年さまざまな物件がノミネートされている。これまで全宅ツイのグル氏が見た“クソ物件”の中で、特に印象的だった物件をピックアップしてもらった。

◎銀座アップルストア

【全宅ツイのグル氏講評】外壁の仕上げに高価な素材を使うか廉価なものを使うかで、その費用は数千万円の単位で違ってきます。ですので、道路から見える部分は高価な素材を使って改修し、見えない部分はそのままにしたり、廉価な仕上げを行うことは不動産の世界ではよくあります。それで通常は問題ないのですが、見えないはずの部分が見えちゃったっていうのが、最近隣のビルが解体された「銀座アップルストア」です。

 どうですか? あの立派な道路面の外観からこの側面の昭和なビルそのままの外壁が想像できたでしょうか? たまたま「銀座アップルストア」の近所のHermesも隣のビルが解体されていましたが、こちらは、ご覧のとおりできっちりと側面まで仕上げられています。

 皆さんも、イザというときのために、見えないところまでお手入れをしておいた方がいいかもしれません。

◎カーサ桜上水

【全宅ツイのグル氏講評】分譲マンションを分譲したあとに、その敷地を第三者に売却してしまい、その第三者が戸建を建ててしまったという事例。どうですか? 自分の住んでるマンションの敷地に勝手に戸建てが生えてくるの。

※現在では第三者とマンションの管理組合との間で話し合いが行われ、当該戸建てはマンションの管理組合が買い戻すこととなりました。

◎コニファーコート成城学園前II

【全宅ツイのグル氏講評】人様が住んでいるをお家をクソ物件とはよう言わんので、これは私の知る中でもかなり上位の細長いお家ということでご紹介させてください。置いてある自動車よりお家の方が細い。いうたら毎日車中泊。すごい。

◎トイレと暮らす家

【全宅ツイのグル氏講評】これもすごいですね。トイレしてる時に友達来たらどうするんでしょうね。ぼくが彼氏のお家にお呼ばれしてきた彼女だったら、おしっこしたくなるまでしか滞在しませんね。

■クソ物件が生まれてしまう背景とは?

 素人の目からしても、「おかしい」と感じてしまうクソ物件。なぜ、こうしたクソ物件が生まれてしまうのだろうか? 全宅ツイのグル氏が、その背景を解説してくれた。

 建物の設備や間取りはさまざまな制約のもとに決定されます。例えば、敷地の広さや形、予算、建物の構造、階数などなど。そしてもっとも大きいのが不動産のオーナー(貸主)の意向です。オーナーがこうしたいという間取りを実現するのは、建築士であったり工務店であったりするわけですが、例えば、貴方が工務店の営業担当だとして、オーナーが自分の好みをゴリ押ししたすごく変な間取りを希望してきた場合、貴方は、それは変だからやめときましょうって断れますか? 大きな金額の工事自体を受注できなくなるリスクを犯して。

 不動産のオーナーはその資金力、発注者である立場から、裸の王様になりやすいのです。そして厄介なことに建物を企画する際は誰でも舞い上がってしまう。想像してみてください。自分がオーナーの建物を建てるとき、あなたはあなたの思い入れとロマンをブチ込まずにはいられないはずです。

 もう1つ、建物は、企画する人と実際に利用する人が異なることが多いという構造の問題です。注文住宅なら自分が使いやすいようにできるので、使う人の立場に立った設計を考えると思いますが、人に貸すアパートやビルの設計ならどうでしょう? これまで御覧いただいたクソ物件は? クソ物件を作った人がそこに住んでいると思いますか?

 このように、クソ物件をご覧になるときは、建物新築に舞い上がった裸の大家さんとずる賢い家来たちが仕様や間取りについて話し合ってるシーンを思い浮かべると、いっそうそのクソ物件の味わいがますかと思います。

(後編につづく)

「マタニティヌード」を撮る女と、不快感を覚える女――臨床心理士が“モヤモヤ”の正体を暴く

 ネット上で、ブーイングの嵐が巻き起こるタレントの話題にはパターンがある。例えば、不倫騒動やモラハラ&セクハラ発言、マナー違反などが挙げられるが、その1つに“マタニティヌード”公開がある。

 決して、世間から咎められる行為ではなく、最近では一般人でもこうした写真を撮るのは珍しくもないが、マタニティヌードを公開した女性タレントには、「頭の中がお花畑」「自分にうっとりしちゃって気持ち悪い」「すぐ離婚しそう」など、特に同性から容赦ない批判が飛び交うのが常。さらに批判の矛先は、昨今、ヌードではない、単なる“マタニティフォト”にまで向けられている。

 これまで、MINMI、山田花子、神田うの、鈴木紗理奈、武田久美子、蛯原友里といった女性タレントがマタニティヌードを公開。「美しい」「神秘的」などの称賛の声もある一方で、やはりネット上で、彼女たちは批判に晒されてきたのだ。

 なぜ女性たちは、マタニティヌードを撮るのか、そしてなぜそれに不快感を覚えるのだろう。今回、その双方の心理を、神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授である臨床心理士の杉山崇氏に聞いた。

■人は「自分だったらやらないこと」が気になる

「まず撮る側の心理についてですが、妊娠は人生の転機の1つといわれています。人間はそういったタイミングで、自分の人生の物語を再確認するものなんです。カウンセリングやキャリアコンサルティングにおいては必要なことなのですが、このプロセスの中では、自分が主人公として物語を考えないといけないので、“自分のことしか考えられなくなる”。これが行きすぎてしまうと、自分中心にしか物事を見られなくなり、“頭の中がお花畑”といわれる状態になり得ます。こういう“行きすぎる人”は自己愛的な人、自尊心の強すぎる人といえるでしょう。また、『周りの人は私をこんなふうに祝福してくれるだろう』という幻想に酔いしれる社交性過剰な人もそうですね」

 確かに、妊娠はその人にとって人生の一大イベント。自分が主人公である物語の一部となり、さらに“期間限定”であることから、「それを残しておこうという心理が働くのではないでしょうか」と杉山氏は語る。

 ただ、そのマタニティヌードを“公開するか、しないか”の問題もある。タレントという職業柄、「話題になるはず」と公開を決める人も多いのだろうが、「正直、たくさんのタレントの方がマタニティヌードを披露していますし、世間も“おなかいっぱい”なのかもしれませんね。そもそもあまり人に見せるものではありませんから、最初は『勇気がある』と評価されていたと思うのですが」と、初期と現在の状況の違いもあるようだ。

 では、一方で、マタニティヌードを嫌う人の心理はどうだろう。

「マタニティヌードは、写真を撮る人の物語の一部だけに、見させられる側としては、共感できず、批判的に見てしまうのではないでしょうか。まぁ、見なければいいだけの話なんですが、人というのは、『自分だったらやらない』と思っていることを、他人がやっていると、腹が立つものなんです。特に妊娠は、女性にとって重大なことなので、『ほかの妊婦さんはどうなんだろう?』という心理が働きやすい。最近では、5~6回と妊娠する人はほとんどいませんし、そういった“妊娠の経験値が低い”状態だと、さらにほかの人が気になるのではないでしょうか」

 批判する側もまた「自分」主体のものの見方をしていることがわかる。ママタレの子育てが、ネット上で女性の反感を買いやすいのは、同様の背景があるのだろう。

「人のことを気にしすぎて、過剰に批判してしまうのは、“自分が嫌いな人”。そういう人は、自分が嫌いなところに注目していると、つらくなってしまうので、誰かを批判することで、気を紛らわそうとする。たまたま目に入った人のツッコミどころを見つけ、批判することで、心の安定をはかろうとしているんです」

■なぜ“パパになる夫”まで脱ぐのか?

 最近では、ママになる女性だけでなく、パパになる男性も一緒にヌードになるケースが出てきている。浜崎あゆみの元恋人として、マスコミから注目を浴びた、ダンサーの内山麿我は、2015年に結婚した一般女性とともに、マタニティヌードを公開した。脱ぐ父の心理について、杉山氏は、「脱ぐ意味はあまりないんですけどね(笑)」と少し困りつつ、次のような見解を述べてくれた。

「『妻の妊娠中、自分もつわりを経験した』という男性って、実は結構います。子どもができたことを喜ぶあまり、妻と自分を同一化して、自分も妊娠しているような感覚になるんです。なので、男性もマタニティヌードを撮るというのは、妻への同一化がすぎて、記念に自分も脱いでおこうかといった心理が働いているように見えます」

 また、先日妊娠を発表したモデルのMALIA.は、自身のインスタグラムに、元Jリーガーでファッションモデルの夫・三渡洲舞人とのツーショットを公開。MALIA.がワンピースを身にまとっている一方、三渡洲は下着姿という不思議なマタニティフォトを公開していたが、「女性の方が自分の体をさらすことに慎重ですから、男性側だけ脱いだのかもしれませんね。ただし三渡洲さんはモデルの方なので、話題作りの可能性もありますが。こうした妻と自分を同一化する男性は、“愛情あふれる旦那さん”なのですが、一方で『妻は自分の持ち物』という感覚に陥っているともいえます」

 今後も、多くのタレントがマタニティヌードを披露し、そのたびにネット上が大荒れになることが予想されるが、見る側として“なぜ心がざわつくのか”を考えてみるのも、興味深い行為かもしれない。

“スーパー仲人”たちが語る、眞子さまと小室圭さん「結婚延期」の問題点とこれから

 秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さんの結婚延期騒動が、日本国民に波紋を広げている。宮内庁を通じて発表された眞子さまの文書によると、延期となった理由は「準備を行う時間的な余裕がないことを認識するようになりました」「色々なことを急ぎ過ぎていたのだと思います」とのこと。その上で、「二人で結婚についてより深く具体的に考えるとともに、結婚までの、そして結婚後の準備に充分な時間をかけて、できるところまで深めて行きたいと思っております」と、あらためて結婚へのお気持ちを表明された。

 しかし、週刊誌などでは、“延期の背景”になったと考えられるような報道が日夜繰り広げられているのも事実。特に、圭さんの母・佳代さんが、元婚約者との間に“金銭トラブル”を抱えていることがクローズアップされ、世間の注目を集まっている。佳代さんは、元婚約者から、約400万円を受け取っており、そのお金は、圭さんの学費や留学費などに使われたという。元婚約者は、返済の兆しが一向にないことを週刊誌などで告白しており、一方の佳代さんは「贈与である」と主張しているそうだ。

 この騒動は、“皇族では前代未聞の事態”などといわれるが、一般の世界ではどうだろうか。婚約時にこうしたトラブルが勃発し、カップルや家同士の関係にヒビが入ってしまい、修復するまで結婚延期、もしくは破談となるケースは珍しくないかもしれない。

 そこで今回は、これまで数々のカップルを間近で見続け、結婚の何たるかを熟知する“スーパー仲人”の方々にインタビューを行い、眞子さまと圭さんの結婚延期騒動をどのように見るか、見解を聞いた。

「2年延期」というのは普通あり得ない

 アットホームな雰囲気で相談者を和ませることから、“フレンドリー仲人”と呼ばれ、多くの相談者から慕われているという「ブライダル笑顔株式会社」の代表・大森昌代さんは、金銭トラブルによってカップルの仲が引き裂かれてしまうことは「よくあります」と語る。結婚する当人の金銭トラブルの方が圧倒的に多いそうだが、圭さん同様“親の”というケースも、ないことはないという。今回の佳代さんの金銭トラブルに関しては、現在までに報道されている情報に限れば、一方的に佳代さんだけを非難できるものではないのでは、といった見解を持っているようだ。

「圭さんのお母さまが、元婚約者の方にお金を借りていたとのことですが、その使い道にもよるのかなと思います。ギャンブルに使うためのお金だったら問題ですけれど、圭さんの学費や留学費という話であれば……と、思うところはあります。元婚約者の方は、『お金を返す気がない』と主張しているそうですが、2人の間に何か事情があるかもしれませんしね。ただ、それでも問題視されるのは、“皇室だから”。一般では、お相手の親側に借金があることがわかったら、どんな内容の借金なのかをお聞きします。その内容によっては、また2人の今後に影響がなければ、『結婚しても大丈夫でしょう』とアドバイスすると思います」

 また大森さんは、延期期間が“2年間”という部分に着目する。

「一般でも延期は時々あるんですが、2年というのはないですね。一般では2カ月くらい……例えば、両家顔合わせの際に、親御さん同士があまりいい印象を持てず、もう少し様子を見て、ほかのお相手も見てみようか、といったことはあります。もしくは、親御さんが亡くなられたので1年延期とか。でも2年延期は聞いたことがないです。今回の結婚延期が、本当にお母さまの金銭トラブルが原因だった場合、この2年で返すことができれば、結婚に至る可能性はあると思います。ただ、2年というのは長いといえば長いですよね。眞子さまと小室さんを“諦めさせよう”という期間、もしくは2人の結婚への意思を“試すため”の期間なのかもしれません」

 「ラ・セレヴィーナ」の代表・若林千美枝さんは、「お見合いの数をより少なく、運命の方と出会えるにはどうすればよいか」を目標に掲げ、独自の方法論と直感で成婚に導く「実力派仲人」といわれている。そんな若林さんは、現在圭さんが大学院生であり、弁護士事務所でパラリーガルをしている点に注目し、秋篠宮ご夫妻のお気持ちに寄り添いながら、“娘を持つ親の心情”を次のように語ってくれた。

「圭さんはまだ定職についておらず、生計が成り立っていない状況と思われますが、2年間延期したのは、お母さまの金銭トラブルの影響というより、彼が弁護士の資格を取るなりするための期間ではないかと感じました。以前圭さんが、書店で節約レシピ本を購入されていた話を聞いたことがあります。若いのでそこまで経済力がないため、少しでも節約をという意識なのかもしれませんが、“娘を持つ親の目線”からしたら不安に思ってしまうのではないでしょうか。『ちゃんと目標を掲げてパラリーガルをしているのか』とも感じるのでは」

 若林さんは、「男性のアルバイターの方が悪いと言いたいわけではなく、あくまで結婚となったときに、娘さんのご両親は、親心として、不安になってしまうこともあるという意味です」と強調する。もし圭さんがすでに弁護士資格を持っているなど、結婚後も安定した収入を得られる見通しがあれば、佳代さんの金銭トラブル報道での結婚延期も、事情が変わってきた可能性もなきにしもあらずだ。

「これまで私の結婚相談所では、親の金銭トラブルが問題となったケースはありませんでした。ただ、娘を持つ親の立場になって考えると、『娘の夫となる男性の親が、借金を抱えていた場合、娘にも何かトラブルが降りかかってくるのでは?』と心配になるのが普通だと思います。これからの2年間で、圭さんが弁護士資格を取ることができれば、あっという間に年収1000~2000万円は稼げるようになります。育ててくれた恩返しという意味で、お母さまの借りたお金を返すこともできると思います。ちなみに、私はこれまで、弁護士をされているお客さまに何人もお会いしてきましたが、最も稼いでいる方で、年収2億円超の方もいらっしゃいました。もちろん、こういった大変優秀な方は一握りですけどね。結婚は圭さんの頑張り次第という面もあるのではないでしょうか」

 若林さんの取材は3月中旬に行われたが、その間も、日々結婚延期をめぐるあらたな週刊誌報道が次々と流れている。そういった報道を見ると、「プロの仲人は、一般的にこういったトラブルが起こった際に、双方の意見を聞いて、しっかりと事実確認をして判断をしなければならない」といった思いを強めているといい、この問題がどのように展開していくかによっては、世間もまた別の見方をするようになるのかもしれない。

 「金井美枝子結婚相談室」の代表・金井美枝子さんは、東京で婚活に悩める男女に出会いをサポートするほか、電子書籍『結婚したい人のための勝ちぬく婚活術』を発売、女性セミナーやお見合いパーティーも開催する凄腕仲人士。金井さんは、長年の仲人歴から、一般的に「交際または婚約になって少したつとお相手の欠点や嫌なところが必ず見えてきます」と語る。

「マリッジブルーといわれるように『本当にこのお相手でいいのか、もっとほかに自分に相応しい人がいるのでないか』と不安になることもあります。それでも相性がよかったり、お相手の良いところをたくさん見つけることができれば、ほとんどのカップルはそれを乗り越えていくことができるのですが、どうしても乗り越えることができないトラブルもあり、例えば、“借金”“ギャンブル”“酒乱”などです。もちろんその度合いにもよりますが、乗り越えることができず破局になるケースも多いと感じています」

 金井さんは、「結婚する方ご自身の借金が問題になる場合が多い」と前置きしつつも、“親の金銭トラブルが原因で、結婚したものの離婚したケース”を見ているという。

「皇族の方なので、結婚前の段階で、報道によってトラブルが明るみになりましたが、普通のご家庭では『結婚してみて初めてわかる』こともあります。しかし最近は晩婚化しているので、女性が人生経験を積んでいる分、結婚という話になる前に、賢く、冷静にお相手のことを見る目を持っている印象もあります。一方で、20代のお若い方だと、『この男性が大好き、一緒にいたい』という気持ちだけで結婚するケースも。やはり年齢を重ねると、『好きだけでは結婚しない』と考える方が多くなります」

 眞子さまは現在26歳で、「今は、昔と違い家同士の結婚というより本人同士が良ければという風潮もありますが、やはり結婚はその属する家族への影響も少なからずあります。そして、やはり皇族というお立場上、『好き』という気持ちだけでは結婚はできないと思います」と金井さんは語る。

「圭さんのお母さまが借りられたのは、400万円とのこと。数千万円という目が飛び出るような金額ではないだけに、正直申し上げて、『頑張れば何とかなるのでは?』と思います。それでもこうして問題になり、延期になったことを見るに、『一般の方であれば問題にならなかったのにな』と感じてしまいます。圭さんも、決して悪い方だとは思いませんしね。一般の方なら、さり気なく受け入れられることでも、国民の関心の高い皇室においては、話は別なのでしょう。眞子さまと圭さんが少しのお時間を経てすんなりと結婚することは難しいのではと思います」

 「いずれにしましても若いお2人のお幸せを願わずにはいられません」という金井さん。眞子さまと圭さんの結婚問題は今後もさまざまな議論を呼ぶだろうが、最終的には、ご本人やご家族にとって納得のできる結論が出るよう祈りたい。