「瓜田純士に勝ったら10万円」対戦相手大募集! “キング・オブ・アウトロー”が『THE OUTSIDER』に帰ってきた!!

 ビッグニュースが飛び込んできた! “キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(38)が4月28日(土)、新宿フェイスで行われるリングス・前田日明(59)主催の『THE OUTSIDER実験リーグ(以下アウトサイダー)』のリングで、格闘家として復帰することが決まったのだ。しかも、ただの一選手としての参加ではない。「瓜田純士に勝ったら10万円」というスペシャル企画を設け、挑戦者を公募して復帰戦を行うのだという。素行不良が原因で主催者を怒らせ、アウトサイダーを追放されてから約10年。なぜ瓜田は突然、このリングに舞い戻ることになったのか? 都内のジムでトレーニングを終えたばかりの本人を直撃した。

――つい先ほど、日刊サイゾーの編集長から「瓜田純士がアウトサイダーに復帰する」という情報を聞いて驚いたのですが、それは本当のことですか?

瓜田 ええ、本当です。先月中旬にリングスの運営から「4月28日開催の大会に出ませんか?」というオファーがあり、迷わず「出る」と即答しました。

――2008年3月開催のアウトサイダー第1回大会と、同年7月の第2回大会に出場した瓜田さんですが、会場における素行不良が原因で、リングスの運営から追放処分を食らいましたよね。

瓜田 会場に金属バットを持ち込んだりして、セキュリティーや運営の人間と揉めに揉めてしまい、出禁になってしまったんですよ。

――2012年に日刊サイゾーの記事を通じて前田さんに「復帰させてほしい」というラブコールを送ったこともありましたが、想いは届かず、以後、瓜田さんの口から「アウトサイダー」の言葉が出ることもなくなったので、この“恋”は完全に終わったものかと思っていました。

瓜田 俺もそう思っていました。でも心のどこかで「またいつか出られたらいいな」とずっと思っていたのも事実で、アウトサイダー10周年、追放されてから丸10年という節目にこういうサプライズが起きたというのは、俺にとって神展開以外の何物でもない。生きていて本当によかったと思いましたし、一度失った信頼を取り戻すには10年もの歳月がかかるんだなとも思いました。

――今回、どういう経緯で追放処分が解かれたのでしょう?

瓜田 俺もまだ前田さんとは直接お話しをしていないので、そのへんの事情はよくわからないんですよ。以下は推測ですが、ディファ有明がなくなって、次回大会は新宿フェイスでやるらしいので、「新宿といえば瓜田」「そういえば瓜田はいま何をやっているんだ?」という話の流れになり、俺が昔と比べてまともになっていることが前田さんにも伝わって、ゴーサインが出たんじゃないでしょうか。

――確かに、まともになりましたよね。

瓜田 アウトサイダーの旗揚げ当初の俺って、刑務所や精神病院から出てきてまだ間もなかったし、敵も多かったから、荒んでいたんですよ。他の選手とは精神状態も明らかにズレていて、いろんな問題を起こしてしまいました。

――しかし、その凶暴さゆえに話題を呼んだのは確かで、追放処分を食らったことを悲しむファンもいました。

瓜田 いまにして思えば、他の選手みたいに、アウトサイダーをきっかけとしてストイックに格闘技にのめり込んで、前田さんに可愛がられながら雑誌に出たり、選手同士の飲み会や集まりに参加したり、健康的に体を作ったりしながらファンを増やしていけば、きっとスター街道まっしぐらで、得るものばかりの人生だったと思うんですよ。ところが、当時の俺の脳みそは、そういう境地にたどり着くイメージがまったく湧かなかった。すべてがガキのまんまで、破滅的でしたから。真面目に格闘技をやるという選択肢は、その頃は全然なかったんですよ。

――アウトサイダーを追放されたあと、「ノートレーニングの瓜田」を自称し、まったく練習をしないまま他の地下格闘技に出続けていた時期もありましたよね。『益荒男』(2011年11月)に出たときなんかは、リングの上でウイスキーを飲んでいたから驚きました。

瓜田 あれが本当の酔拳ですから(笑)。

――周りの選手たちがドン引きしている光景が印象的でした。

瓜田 「あいつふざけてんな」と思いつつ、誰も文句を言ってこなかった。要するに、俺とは関わりたくなかったんでしょう(笑)。だけど中途半端に目立ってはいたから、そこでもし真面目に体でも作っていたら、陽の当たる場所に行けたかもしれないのに、当時はしがらみも多くてそれができなかったんですよ。

――しがらみとは?

瓜田 東京の不良のパワーバランスみたいなのがあって、歌舞伎町でヤクザをやっていた時代のケツを拭き切れていなかった俺は、組を抜けたあともいろんな場面に駆り出されたりなんだりと、厄介なしがらみを多く残していたんですよ。本当はバックレたかったけど、顔が中途半端に売れちゃっていたもんだから、どこかに逃げて真面目に出直すことも難しかった。俺にはやっぱり反社が合っているのかな……とか、いろいろ葛藤する中で、つまらないケンカを拾ってみたり、タトゥーを増やしてみたり、酒に溺れてみたりと、本当に長いこと迷走し続けていました。

――当時は人間関係のトラブルも多かったですよね。

瓜田 仲良くなりかけた人に対し、変に噛みついたり、襟首をつかむようなマネをしたりという習性がありましたからね。あれもいま思えば全部、相手の信頼を見たかったんですよ。リングスの前田さんに何度か噛みついたのも、そういう動機でした。

――人間不信だったんでしょうか?

瓜田 結局、実の父親からの愛情が一切なかったんで、他人との関係に、親子のような絆を求めてしまっていたんですね。5回10回噛みついても、本当の親子だったら見捨てずに向き合ってくれる。でも俺が癇癪を起こして噛みついた相手は、たいていギブアップする。「あいつ、面倒だからイヤだ」と。ってことはおまえ、俺の面倒なんてハナから見れねえんじゃねえかと思っちゃう。少しでも人生を預けてみようかなと思う相手には、変にケンカを売ったりして、こいつは信頼できる人間かどうかを試していたところがありました。相手からすれば、迷惑な話ですけどね(笑)。そうやって多くの人間関係を壊し続けて、孤立無援になりかけていた頃にいまの嫁と知り合って、彼女から愛情をたくさん注いでもらって、俺はようやく真人間に戻ることができた。いまひと通り、人間関係だったり生き方だったりが落ち着いたんですよ。いま俺を襲ってくる奴はいないし、俺が「あの野郎!」って思う奴もいない。人として本当に落ち着いてきています。

――そんな折、今回のオファーが舞い込んだわけですね。

瓜田 実はオファーが来る前から、よく頭の中でこんなことを考えていたんですよ。もしアウトサイダーの立ち上げ当初にいまみたいな自分だったら、追い出されるようなマネもしなかったし、真面目にそこにいることもできたのにな、とか。いまだったら前田さんに頭を下げることもできるのにな、とか。やはりそれだけアウトサイダーは魅力的な場所でしたから。アウトサイダーに戻れなくでもいいから、眩しく輝いているアウトサイダー時代のライバルたちに、「俺も頑張っているぜ!」と、どこかで主張できる場所はないだろうか、と模索し続けるここ数年でした。

――その思いをこれまで口外しなかったのは、なぜですか?

瓜田 なんでかというと、自分が一番やりたいことだから。やっぱ男だから、戦う世界にいたいじゃないですか。でもそこに身を置けない自分が悔しくて、あえてアウトサイダーの話題は避けていたんですよ。

――なるほど。

瓜田 だけど、自分の人生の中でいい行いを重ねて、徳を積んでいく中で、何か夫婦の健康とか利益以外で、旦那の俺だけのワガガマが一つ叶うなら、「アウトサイダーに戻りたい」と迷わず答えられるぐらい、実は心の奥底でずっとカムバックを願っていたんですよ。2年前から体を鍛え始めたり、8ヶ月前から格闘技のジムに通い始めたりしたのも、「いつかそういう日が来たときのために」と無意識に準備していたのかもしれません。そこへ今回の話が舞い込んだわけだから、そりゃもう飛びつくに決まっていますよね。

――いま編集部に電話で確認したところ、当日の瓜田さんの試合は、「瓜田純士に勝ったら10万円」というスペシャルマッチになるそうです。10万円の賞金はサイゾー社が用意。瓜田さんの対戦相手はこれからリングスのサイトで募集し、書類選考で残った4人が当日、3分1ラウンドのトーナメントを行い、勝ち上がった1人が瓜田さんへの挑戦権を得る、というシステムになりそうです。

瓜田 面白そうですね! でも俺が勝った場合、賞金はどうなるんですか?

――瓜田さんのものです。

瓜田 10万円。多いのか少ないのか微妙な額だけど、俺を倒したい奴らは奮って応募してほしいですね。もちろん、返り討ちにしてやりますけど。

――体重は65~70キロを予定。試合はストライキング戦(キックボクシングルール)で、瓜田さんの試合は3分2ラウンドを予定。「判定勝ち」でも、勝ちは勝ちだそうです。

瓜田 まあ、判定はないんじゃないでしょうか。いまの俺は自分史上最強ですから、相手をリングに沈めてやりますよ。

――最後に、今回の試合に向けた抱負を語ってください。

瓜田 過去の俺は、いろんなところに不義理を働きつつ、鍛えもせずに酔っ払った状態で、真面目にやっている奴らを冷やかすみたいな戦いをしてきました。それはそれで話題になってよかったんですけど、その生き方を俺自身がもう大嫌いになっているんですよ。当時の写真は見たくもないです。情けないから。でも今度のアウトサイダーでは、昔の俺とは180度違う、本当に強い瓜田純士を見せるつもりです。これは、対戦相手をブッ倒す戦いであると同時に、過去の自分を葬り去る戦いでもある。いままで俺の試合はネットとかでさんざんバカにされてきたけど、もう誰にもバカにさせないです。それぐらい変わったと思っていますんで、新生・瓜田純士をぜひ見に来てください。

 * * *

 ゴールデンウィークの初日を飾るゴールデンマッチ。試合会場は、新宿フェイス。まさに“新宿の顔”である瓜田の復活劇を見逃すな!
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

【サイゾー presents『瓜田に勝ったら10万円!』選手募集】

瓜田選手に闘いを挑みたいという猛者は、以下のエントリーページより、「応募大会」欄から「瓜田チャレンジ」を選択し、必要事項を埋めてください。

エントリーはこちらから!

●応募資格
年齢:
16~35歳まで。プロでの試合経験が3試合以上の方は出場できません。
ただし、主催者が定めるドクターチェック、さらに戦績などを考慮した上で、大会実行委員長、レフェリーの判断のもと、36歳以上でも出場が認められる場合があります。詳しくはリングス事務局までご連絡ください。
(03-3461-6698 月~金 11:00~17:00)

体重制限:65-70キロ
ルール:ストライキング戦(キックボクシングルール)。以下のページを参照してください。
http://www.rings.co.jp/archives/28658

試合当日、最大3試合を戦う可能性あり
(1、2試合目は3分1ラウンド、瓜田選手戦のみ3分2ラウンド。ただし、詳細が変更される可能性があります)

【大会名】THE OUTSIDER 実験リーグ
【会場】新宿フェイス
【開催日時】2018年4月28日(土)13:00開場 14:00試合開始予定
※大会概要、選手募集、チケット情報などの詳細についてはリングス公式サイト(http://www.rings.co.jp)でご確認ください。

イープラスでもチケット発売中
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002256947P0030001

※瓜田純士の人生相談「No problem」
https://kinngofoutlow.jimdo.com

※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。
http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/

 

「瓜田純士に勝ったら10万円」対戦相手大募集! “キング・オブ・アウトロー”が『THE OUTSIDER』に帰ってきた!!

 ビッグニュースが飛び込んできた! “キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(38)が4月28日(土)、新宿フェイスで行われるリングス・前田日明(59)主催の『THE OUTSIDER実験リーグ(以下アウトサイダー)』のリングで、格闘家として復帰することが決まったのだ。しかも、ただの一選手としての参加ではない。「瓜田純士に勝ったら10万円」というスペシャル企画を設け、挑戦者を公募して復帰戦を行うのだという。素行不良が原因で主催者を怒らせ、アウトサイダーを追放されてから約10年。なぜ瓜田は突然、このリングに舞い戻ることになったのか? 都内のジムでトレーニングを終えたばかりの本人を直撃した。

――つい先ほど、日刊サイゾーの編集長から「瓜田純士がアウトサイダーに復帰する」という情報を聞いて驚いたのですが、それは本当のことですか?

瓜田 ええ、本当です。先月中旬にリングスの運営から「4月28日開催の大会に出ませんか?」というオファーがあり、迷わず「出る」と即答しました。

――2008年3月開催のアウトサイダー第1回大会と、同年7月の第2回大会に出場した瓜田さんですが、会場における素行不良が原因で、リングスの運営から追放処分を食らいましたよね。

瓜田 会場に金属バットを持ち込んだりして、セキュリティーや運営の人間と揉めに揉めてしまい、出禁になってしまったんですよ。

――2012年に日刊サイゾーの記事を通じて前田さんに「復帰させてほしい」というラブコールを送ったこともありましたが、想いは届かず、以後、瓜田さんの口から「アウトサイダー」の言葉が出ることもなくなったので、この“恋”は完全に終わったものかと思っていました。

瓜田 俺もそう思っていました。でも心のどこかで「またいつか出られたらいいな」とずっと思っていたのも事実で、アウトサイダー10周年、追放されてから丸10年という節目にこういうサプライズが起きたというのは、俺にとって神展開以外の何物でもない。生きていて本当によかったと思いましたし、一度失った信頼を取り戻すには10年もの歳月がかかるんだなとも思いました。

――今回、どういう経緯で追放処分が解かれたのでしょう?

瓜田 俺もまだ前田さんとは直接お話しをしていないので、そのへんの事情はよくわからないんですよ。以下は推測ですが、ディファ有明がなくなって、次回大会は新宿フェイスでやるらしいので、「新宿といえば瓜田」「そういえば瓜田はいま何をやっているんだ?」という話の流れになり、俺が昔と比べてまともになっていることが前田さんにも伝わって、ゴーサインが出たんじゃないでしょうか。

――確かに、まともになりましたよね。

瓜田 アウトサイダーの旗揚げ当初の俺って、刑務所や精神病院から出てきてまだ間もなかったし、敵も多かったから、荒んでいたんですよ。他の選手とは精神状態も明らかにズレていて、いろんな問題を起こしてしまいました。

――しかし、その凶暴さゆえに話題を呼んだのは確かで、追放処分を食らったことを悲しむファンもいました。

瓜田 いまにして思えば、他の選手みたいに、アウトサイダーをきっかけとしてストイックに格闘技にのめり込んで、前田さんに可愛がられながら雑誌に出たり、選手同士の飲み会や集まりに参加したり、健康的に体を作ったりしながらファンを増やしていけば、きっとスター街道まっしぐらで、得るものばかりの人生だったと思うんですよ。ところが、当時の俺の脳みそは、そういう境地にたどり着くイメージがまったく湧かなかった。すべてがガキのまんまで、破滅的でしたから。真面目に格闘技をやるという選択肢は、その頃は全然なかったんですよ。

――アウトサイダーを追放されたあと、「ノートレーニングの瓜田」を自称し、まったく練習をしないまま他の地下格闘技に出続けていた時期もありましたよね。『益荒男』(2011年11月)に出たときなんかは、リングの上でウイスキーを飲んでいたから驚きました。

瓜田 あれが本当の酔拳ですから(笑)。

――周りの選手たちがドン引きしている光景が印象的でした。

瓜田 「あいつふざけてんな」と思いつつ、誰も文句を言ってこなかった。要するに、俺とは関わりたくなかったんでしょう(笑)。だけど中途半端に目立ってはいたから、そこでもし真面目に体でも作っていたら、陽の当たる場所に行けたかもしれないのに、当時はしがらみも多くてそれができなかったんですよ。

――しがらみとは?

瓜田 東京の不良のパワーバランスみたいなのがあって、歌舞伎町でヤクザをやっていた時代のケツを拭き切れていなかった俺は、組を抜けたあともいろんな場面に駆り出されたりなんだりと、厄介なしがらみを多く残していたんですよ。本当はバックレたかったけど、顔が中途半端に売れちゃっていたもんだから、どこかに逃げて真面目に出直すことも難しかった。俺にはやっぱり反社が合っているのかな……とか、いろいろ葛藤する中で、つまらないケンカを拾ってみたり、タトゥーを増やしてみたり、酒に溺れてみたりと、本当に長いこと迷走し続けていました。

――当時は人間関係のトラブルも多かったですよね。

瓜田 仲良くなりかけた人に対し、変に噛みついたり、襟首をつかむようなマネをしたりという習性がありましたからね。あれもいま思えば全部、相手の信頼を見たかったんですよ。リングスの前田さんに何度か噛みついたのも、そういう動機でした。

――人間不信だったんでしょうか?

瓜田 結局、実の父親からの愛情が一切なかったんで、他人との関係に、親子のような絆を求めてしまっていたんですね。5回10回噛みついても、本当の親子だったら見捨てずに向き合ってくれる。でも俺が癇癪を起こして噛みついた相手は、たいていギブアップする。「あいつ、面倒だからイヤだ」と。ってことはおまえ、俺の面倒なんてハナから見れねえんじゃねえかと思っちゃう。少しでも人生を預けてみようかなと思う相手には、変にケンカを売ったりして、こいつは信頼できる人間かどうかを試していたところがありました。相手からすれば、迷惑な話ですけどね(笑)。そうやって多くの人間関係を壊し続けて、孤立無援になりかけていた頃にいまの嫁と知り合って、彼女から愛情をたくさん注いでもらって、俺はようやく真人間に戻ることができた。いまひと通り、人間関係だったり生き方だったりが落ち着いたんですよ。いま俺を襲ってくる奴はいないし、俺が「あの野郎!」って思う奴もいない。人として本当に落ち着いてきています。

――そんな折、今回のオファーが舞い込んだわけですね。

瓜田 実はオファーが来る前から、よく頭の中でこんなことを考えていたんですよ。もしアウトサイダーの立ち上げ当初にいまみたいな自分だったら、追い出されるようなマネもしなかったし、真面目にそこにいることもできたのにな、とか。いまだったら前田さんに頭を下げることもできるのにな、とか。やはりそれだけアウトサイダーは魅力的な場所でしたから。アウトサイダーに戻れなくでもいいから、眩しく輝いているアウトサイダー時代のライバルたちに、「俺も頑張っているぜ!」と、どこかで主張できる場所はないだろうか、と模索し続けるここ数年でした。

――その思いをこれまで口外しなかったのは、なぜですか?

瓜田 なんでかというと、自分が一番やりたいことだから。やっぱ男だから、戦う世界にいたいじゃないですか。でもそこに身を置けない自分が悔しくて、あえてアウトサイダーの話題は避けていたんですよ。

――なるほど。

瓜田 だけど、自分の人生の中でいい行いを重ねて、徳を積んでいく中で、何か夫婦の健康とか利益以外で、旦那の俺だけのワガガマが一つ叶うなら、「アウトサイダーに戻りたい」と迷わず答えられるぐらい、実は心の奥底でずっとカムバックを願っていたんですよ。2年前から体を鍛え始めたり、8ヶ月前から格闘技のジムに通い始めたりしたのも、「いつかそういう日が来たときのために」と無意識に準備していたのかもしれません。そこへ今回の話が舞い込んだわけだから、そりゃもう飛びつくに決まっていますよね。

――いま編集部に電話で確認したところ、当日の瓜田さんの試合は、「瓜田純士に勝ったら10万円」というスペシャルマッチになるそうです。10万円の賞金はサイゾー社が用意。瓜田さんの対戦相手はこれからリングスのサイトで募集し、書類選考で残った4人が当日、3分1ラウンドのトーナメントを行い、勝ち上がった1人が瓜田さんへの挑戦権を得る、というシステムになりそうです。

瓜田 面白そうですね! でも俺が勝った場合、賞金はどうなるんですか?

――瓜田さんのものです。

瓜田 10万円。多いのか少ないのか微妙な額だけど、俺を倒したい奴らは奮って応募してほしいですね。もちろん、返り討ちにしてやりますけど。

――体重は65~70キロを予定。試合はストライキング戦(キックボクシングルール)で、瓜田さんの試合は3分2ラウンドを予定。「判定勝ち」でも、勝ちは勝ちだそうです。

瓜田 まあ、判定はないんじゃないでしょうか。いまの俺は自分史上最強ですから、相手をリングに沈めてやりますよ。

――最後に、今回の試合に向けた抱負を語ってください。

瓜田 過去の俺は、いろんなところに不義理を働きつつ、鍛えもせずに酔っ払った状態で、真面目にやっている奴らを冷やかすみたいな戦いをしてきました。それはそれで話題になってよかったんですけど、その生き方を俺自身がもう大嫌いになっているんですよ。当時の写真は見たくもないです。情けないから。でも今度のアウトサイダーでは、昔の俺とは180度違う、本当に強い瓜田純士を見せるつもりです。これは、対戦相手をブッ倒す戦いであると同時に、過去の自分を葬り去る戦いでもある。いままで俺の試合はネットとかでさんざんバカにされてきたけど、もう誰にもバカにさせないです。それぐらい変わったと思っていますんで、新生・瓜田純士をぜひ見に来てください。

 * * *

 ゴールデンウィークの初日を飾るゴールデンマッチ。試合会場は、新宿フェイス。まさに“新宿の顔”である瓜田の復活劇を見逃すな!
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

【サイゾー presents『瓜田に勝ったら10万円!』選手募集】

瓜田選手に闘いを挑みたいという猛者は、以下のエントリーページより、「応募大会」欄から「瓜田チャレンジ」を選択し、必要事項を埋めてください。

エントリーはこちらから!

●応募資格
年齢:
16~35歳まで。プロでの試合経験が3試合以上の方は出場できません。
ただし、主催者が定めるドクターチェック、さらに戦績などを考慮した上で、大会実行委員長、レフェリーの判断のもと、36歳以上でも出場が認められる場合があります。詳しくはリングス事務局までご連絡ください。
(03-3461-6698 月~金 11:00~17:00)

体重制限:65-70キロ
ルール:ストライキング戦(キックボクシングルール)。以下のページを参照してください。
http://www.rings.co.jp/archives/28658

試合当日、最大3試合を戦う可能性あり
(1、2試合目は3分1ラウンド、瓜田選手戦のみ3分2ラウンド。ただし、詳細が変更される可能性があります)

【大会名】THE OUTSIDER 実験リーグ
【会場】新宿フェイス
【開催日時】2018年4月28日(土)13:00開場 14:00試合開始予定
※大会概要、選手募集、チケット情報などの詳細についてはリングス公式サイト(http://www.rings.co.jp)でご確認ください。

イープラスでもチケット発売中
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002256947P0030001

※瓜田純士の人生相談「No problem」
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※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。
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「触られるのは嫌だ」と言う権利はある! “痴漢抑止バッジ”の効果と、その後

 「痴漢は犯罪です」「私たちは泣き寝入りしません」そんなフレーズが書かれたバッジ「痴漢抑止バッジ」。女子高生が考案した「痴漢抑止カード」をもとに、「かわいくてつけやすいものを」とデザインを公募し、2016年に誕生した。その後、多くのメディアで取り上げられた痴漢抑止バッジだが、現在はどれぐらい広まっているのか? なにより効果はあるのか? 性犯罪防止・抑止のためにバッジの制作や普及を進める「一般社団法人 痴漢抑止活動センター」代表理事の松永弥生さんに話を聞いた。

■共感が広がる一方で、課題も

 松永さんはバッジを普及させるために、防犯キャンペーンなどの無料配布ではなく、流通に乗せたいと考えている。「キャンペーンでは、その時その場にいた人しか入手できません。防犯ブザーのように必要とする人が、いつでも手に入れられるようにしたい」というのが理由だ。営業は未経験だったが、商談会にも参加し、販路を求めた。

 初めての商談会で、イトーヨーカドー津久野店と商談が成立。16年10月に販売がスタートした。バイヤーは、新聞記事で痴漢抑止バッジを知っていたそうだ。17年2月には、別の大手スーパーでも期間限定で関西の10店舗、3月に南海電鉄が運営するコンビニ「アンスリー」20店舗で販売。夏には首都圏にも進出。小田急電鉄と相模鉄道の売店、原宿竹下通りの雑貨店「ハッピーワン」で取り扱いが始まった。18年3月からは東急ハンズあべのキューズモール店で、防犯ブザーと同じ棚で販売されている。

「かつて自分も痴漢被害に遭い、悔しい思いをしたという女性バイヤーさんや、この活動に意義を感じた男性のバイヤーさんが、積極的に上司に掛け合ってくださり、実現しました。駅構内や駅の近くのお店は、特に売れ行きがいいです」

 現在、痴漢抑止バッジは約6000個普及しているそうだ。引き続き、駅ナカ・駅チカ店舗に向けて営業活動を続けているが、バッジを扱ってもらうには大きく分けると2つの課題があるという。

「バッジは利益が出にくい商品なのです。食べ物や消耗品ではないので、次々売れることはありません。また、このバッジは利幅が少ないので、売れたとしても大きな利益にならないのです。特に駅のコンビニは商品がよく売れる立地で、かつ坪数が狭い『激戦区』。坪数に応じて売り上げを上げないといけないので、簡単には置いてもらえません」

 さらに利益の面だけではなく、鉄道系列ならではの事情もあるらしい。

 バッジを紹介したバイヤーさんが関心を持ち、上司に話を上げてくれても、「このバッジを売店で売っていたら、痴漢が多い鉄道だと思われる」と却下されたことがあったという。「三大首都圏は、どの路線も痴漢が多いんですけどね」と松永さんは苦笑する。

「『ほかの鉄道会社と足並みをそろえ、一斉に販売できるなら扱う』という会社もあります。痴漢が減るのは鉄道会社にとっても大きなメリットだと思いますが、ブランディングイメージも大切なのでしょう」

 なかなか順調に進まないバッジの普及。しかし、松永さんは手ごたえを感じているという。

「取扱店舗は増えていますし、警察からの共感も得られ、防犯キャンペーンにバッジを使っていただくこともありました。社会が少しずつ、痴漢抑止バッジを活用する方向に動いていると感じます」

 痴漢抑止活動を立ち上げた15年当初、「やってもいないことで罪に問われる男の方が大変」という否定的な意見もあったという。しかし、バッジを製作する資金調達のために行ったクラウドファンディングでは、協力者の4割が男性、バッジのデザインコンテストの応募者、バッジ購入者も4割が男性。男性支援者から、「被害者も加害者も出したくない」「性犯罪に苦しむ人がいなくなることを願っております」といったメッセージもあったという。

 また、一部のフェミニストから「被害に遭う女の子は悪くないのに、バッジで被害を防止させようとするのは、セカンドレイプにつながる」という指摘もあった。松永さんは一定の理解を示しつつも反論する。

「これまで痴漢やレイプ被害に遭った女性は、警察をはじめ周りの大人や友人から、『暗い道を歩いていたから』『あなたにも隙があった』などと言われてきた。だから、それを思わせるような言動はいけないということなのでしょう。ですが、これから初めて通勤ラッシュの電車に乗って学校に行く女子高生に、電車の中に痴漢がいることや、身の守り方を教えずに送り出すのは危険です」

■9割以上が効果に肯定的な評価

 批判を受けたり、販路拡大に苦戦したりしながらも、痴漢抑止バッジは個人や企業、警察の理解や共感により、徐々に広がりつつある。だが、本当に痴漢を抑止する効果はあるのだろうか?

 松永さんは16年に埼玉県の浦和麗明高校に100個寄贈した際、バッジについての感想をはがきで募り、女子生徒からの回答を集計した。回答した70名の生徒のうち「効果があった」(バッジをつけるまでは痴漢被害に遭っていたが、つけたら被害がなくなった等)と答えた生徒は61.4%、「効果を感じた」(痴漢被害に遭ったことはあるが、最近は被害に遭っておらず、バッジをつけてからもない。バッジをつけると、より安心。電車に乗ると、周りにほかの女性客が立ってくれるといった配慮があった等)と答えた生徒は32.9%と、90%以上の生徒が肯定的な評価をしている。「変化なし」(これまで痴漢に遭ったことがない)は4.3%、「効果がないと思う」(友達がそう言っていた)は1.4%だったそうだ。

 松永さんは、「『バッジをつけていたのに痴漢に遭った』というコメントは、今までのところ届いていません。痴漢抑止バッジには効果があります」と断言する。

■コンテストで痴漢問題を共有

 バッジのデザインは、毎年コンテストを実施し、選ばれた5種類を商品化している。2回目の16年度からは、将来デザイナーを目指す学生を対象とした。これは、「コンテストに参加することで、同世代が痴漢被害に遭っていると知り、自分のデザインで解決する方法を考えてほしい」という狙いがある。自分は男だから関係ない、私は痴漢に遭ったことがないから関係ない――などと他人事として捉えるのではなく、社会の課題として、皆で解決法を考える機会が「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」だ。

「私は、『このバッジをつけて、自分を守りなさい』と被害者を突き放すつもりはありません。活動を通じて、10年後の社会を変えていきたいのです。世の中の表現には、すべてデザインの要素があります。ジェンダー意識の高いデザイナーが増えれば、社会に発信される情報の質も変わるでしょう」

 17年度のコンテストには、全国43都道府県とニューヨーク、ソウルから1338作品の応募があった。デザインと共に、活動へのメッセージも寄せられている。「今後は学校との連携も強化して、参加者を増やしていきたい」と松永さんは話す。今年も、8月にコンテストを実施するそうだ。

 松永さんは今後、バッジの普及に加えて、中学生・高校生に対して痴漢から自分の身を守るための教育をしたいとも考えている。

「バッジをつけていても、痴漢に遭う可能性はゼロではありません。バッジが見えないかもしれないし、加害者の視力によっては『私たちは泣き寝入りしません 痴漢は犯罪です』の文字が見えにくい場合もあります。だから、バッジでの痴漢の抑止と、痴漢に遭ってしまった時の対処方法の両方が必要だと考えています」

 そして、バッジの有無にかかわらず、痴漢抑止のために伝えていきたいことがあるという。

「もし電車内で触れるなど、痴漢に遭ったのでは――と感じたら『当たっています。どけてください』と言うように伝えたい。警察から『痴漢です』と大きな声を出すように指導されることがありますが、加害者と周りの2〜3人に聞こえる程度の声で十分です。また、『痴漢です』と言うことは『あなたは犯罪者です』と言うことで、決めつけになってしまうし、『冤罪だ』と主張されると、周りの人も助けづらくなります。でも『当たっている手をどけてほしい』のは事実。これなら『痴漢!』よりは言いやすいですよね」

 確かに相手に面と向かって「痴漢」だと言うのは、冤罪を引き起こすかもしれないと思い、声を上げるのをためらうケースもあるだろう。

「『これは痴漢かな? 偶然、手が当たっただけかな?』と考える必要はありません。加害者はその迷いにつけ込み、どちらとも取れるような触り方をします。それを繰り返しても何も言ってこないとわかったら、下着の中に手を入れてくるなど、エスカレートすることも。その状態になると、怖くて声が出せなくなります。だから、早く声を上げる必要があるのです」

 「どけてください」の一言が言えない理由を、松永さんは教育の不足だと考えている。

「私たちには、嫌な触られ方をしたら『嫌だ』という権利があります。けれど、これまで大人は子どもに、そのルールを伝えてきませんでした。教えなければ、子どもは被害に遭っても『嫌だ』と言えません。特に、子どもが知らない大人に対して言うのは難しいです。将来的には、子どもたちへ『NOを言う権利』を伝えるワークショップを行いたいですね」

 15年に、ひとりの女子高生と彼女を支援する数人の人たちから始まった痴漢抑止活動。バッジで痴漢から被害者を守り、デザインコンテストで問題をシェアする。「性暴力に対してNOと言う」ことに対する理解と共感の輪が、世代や性別、立場を超えて、少しずつ広がっているのが感じられた。
(谷町邦子)

一般社団法人痴漢抑止活動センター

「触られるのは嫌だ」と言う権利はある! “痴漢抑止バッジ”の効果と、その後

 「痴漢は犯罪です」「私たちは泣き寝入りしません」そんなフレーズが書かれたバッジ「痴漢抑止バッジ」。女子高生が考案した「痴漢抑止カード」をもとに、「かわいくてつけやすいものを」とデザインを公募し、2016年に誕生した。その後、多くのメディアで取り上げられた痴漢抑止バッジだが、現在はどれぐらい広まっているのか? なにより効果はあるのか? 性犯罪防止・抑止のためにバッジの制作や普及を進める「一般社団法人 痴漢抑止活動センター」代表理事の松永弥生さんに話を聞いた。

■共感が広がる一方で、課題も

 松永さんはバッジを普及させるために、防犯キャンペーンなどの無料配布ではなく、流通に乗せたいと考えている。「キャンペーンでは、その時その場にいた人しか入手できません。防犯ブザーのように必要とする人が、いつでも手に入れられるようにしたい」というのが理由だ。営業は未経験だったが、商談会にも参加し、販路を求めた。

 初めての商談会で、イトーヨーカドー津久野店と商談が成立。16年10月に販売がスタートした。バイヤーは、新聞記事で痴漢抑止バッジを知っていたそうだ。17年2月には、別の大手スーパーでも期間限定で関西の10店舗、3月に南海電鉄が運営するコンビニ「アンスリー」20店舗で販売。夏には首都圏にも進出。小田急電鉄と相模鉄道の売店、原宿竹下通りの雑貨店「ハッピーワン」で取り扱いが始まった。18年3月からは東急ハンズあべのキューズモール店で、防犯ブザーと同じ棚で販売されている。

「かつて自分も痴漢被害に遭い、悔しい思いをしたという女性バイヤーさんや、この活動に意義を感じた男性のバイヤーさんが、積極的に上司に掛け合ってくださり、実現しました。駅構内や駅の近くのお店は、特に売れ行きがいいです」

 現在、痴漢抑止バッジは約6000個普及しているそうだ。引き続き、駅ナカ・駅チカ店舗に向けて営業活動を続けているが、バッジを扱ってもらうには大きく分けると2つの課題があるという。

「バッジは利益が出にくい商品なのです。食べ物や消耗品ではないので、次々売れることはありません。また、このバッジは利幅が少ないので、売れたとしても大きな利益にならないのです。特に駅のコンビニは商品がよく売れる立地で、かつ坪数が狭い『激戦区』。坪数に応じて売り上げを上げないといけないので、簡単には置いてもらえません」

 さらに利益の面だけではなく、鉄道系列ならではの事情もあるらしい。

 バッジを紹介したバイヤーさんが関心を持ち、上司に話を上げてくれても、「このバッジを売店で売っていたら、痴漢が多い鉄道だと思われる」と却下されたことがあったという。「三大首都圏は、どの路線も痴漢が多いんですけどね」と松永さんは苦笑する。

「『ほかの鉄道会社と足並みをそろえ、一斉に販売できるなら扱う』という会社もあります。痴漢が減るのは鉄道会社にとっても大きなメリットだと思いますが、ブランディングイメージも大切なのでしょう」

 なかなか順調に進まないバッジの普及。しかし、松永さんは手ごたえを感じているという。

「取扱店舗は増えていますし、警察からの共感も得られ、防犯キャンペーンにバッジを使っていただくこともありました。社会が少しずつ、痴漢抑止バッジを活用する方向に動いていると感じます」

 痴漢抑止活動を立ち上げた15年当初、「やってもいないことで罪に問われる男の方が大変」という否定的な意見もあったという。しかし、バッジを製作する資金調達のために行ったクラウドファンディングでは、協力者の4割が男性、バッジのデザインコンテストの応募者、バッジ購入者も4割が男性。男性支援者から、「被害者も加害者も出したくない」「性犯罪に苦しむ人がいなくなることを願っております」といったメッセージもあったという。

 また、一部のフェミニストから「被害に遭う女の子は悪くないのに、バッジで被害を防止させようとするのは、セカンドレイプにつながる」という指摘もあった。松永さんは一定の理解を示しつつも反論する。

「これまで痴漢やレイプ被害に遭った女性は、警察をはじめ周りの大人や友人から、『暗い道を歩いていたから』『あなたにも隙があった』などと言われてきた。だから、それを思わせるような言動はいけないということなのでしょう。ですが、これから初めて通勤ラッシュの電車に乗って学校に行く女子高生に、電車の中に痴漢がいることや、身の守り方を教えずに送り出すのは危険です」

■9割以上が効果に肯定的な評価

 批判を受けたり、販路拡大に苦戦したりしながらも、痴漢抑止バッジは個人や企業、警察の理解や共感により、徐々に広がりつつある。だが、本当に痴漢を抑止する効果はあるのだろうか?

 松永さんは16年に埼玉県の浦和麗明高校に100個寄贈した際、バッジについての感想をはがきで募り、女子生徒からの回答を集計した。回答した70名の生徒のうち「効果があった」(バッジをつけるまでは痴漢被害に遭っていたが、つけたら被害がなくなった等)と答えた生徒は61.4%、「効果を感じた」(痴漢被害に遭ったことはあるが、最近は被害に遭っておらず、バッジをつけてからもない。バッジをつけると、より安心。電車に乗ると、周りにほかの女性客が立ってくれるといった配慮があった等)と答えた生徒は32.9%と、90%以上の生徒が肯定的な評価をしている。「変化なし」(これまで痴漢に遭ったことがない)は4.3%、「効果がないと思う」(友達がそう言っていた)は1.4%だったそうだ。

 松永さんは、「『バッジをつけていたのに痴漢に遭った』というコメントは、今までのところ届いていません。痴漢抑止バッジには効果があります」と断言する。

■コンテストで痴漢問題を共有

 バッジのデザインは、毎年コンテストを実施し、選ばれた5種類を商品化している。2回目の16年度からは、将来デザイナーを目指す学生を対象とした。これは、「コンテストに参加することで、同世代が痴漢被害に遭っていると知り、自分のデザインで解決する方法を考えてほしい」という狙いがある。自分は男だから関係ない、私は痴漢に遭ったことがないから関係ない――などと他人事として捉えるのではなく、社会の課題として、皆で解決法を考える機会が「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」だ。

「私は、『このバッジをつけて、自分を守りなさい』と被害者を突き放すつもりはありません。活動を通じて、10年後の社会を変えていきたいのです。世の中の表現には、すべてデザインの要素があります。ジェンダー意識の高いデザイナーが増えれば、社会に発信される情報の質も変わるでしょう」

 17年度のコンテストには、全国43都道府県とニューヨーク、ソウルから1338作品の応募があった。デザインと共に、活動へのメッセージも寄せられている。「今後は学校との連携も強化して、参加者を増やしていきたい」と松永さんは話す。今年も、8月にコンテストを実施するそうだ。

 松永さんは今後、バッジの普及に加えて、中学生・高校生に対して痴漢から自分の身を守るための教育をしたいとも考えている。

「バッジをつけていても、痴漢に遭う可能性はゼロではありません。バッジが見えないかもしれないし、加害者の視力によっては『私たちは泣き寝入りしません 痴漢は犯罪です』の文字が見えにくい場合もあります。だから、バッジでの痴漢の抑止と、痴漢に遭ってしまった時の対処方法の両方が必要だと考えています」

 そして、バッジの有無にかかわらず、痴漢抑止のために伝えていきたいことがあるという。

「もし電車内で触れるなど、痴漢に遭ったのでは――と感じたら『当たっています。どけてください』と言うように伝えたい。警察から『痴漢です』と大きな声を出すように指導されることがありますが、加害者と周りの2〜3人に聞こえる程度の声で十分です。また、『痴漢です』と言うことは『あなたは犯罪者です』と言うことで、決めつけになってしまうし、『冤罪だ』と主張されると、周りの人も助けづらくなります。でも『当たっている手をどけてほしい』のは事実。これなら『痴漢!』よりは言いやすいですよね」

 確かに相手に面と向かって「痴漢」だと言うのは、冤罪を引き起こすかもしれないと思い、声を上げるのをためらうケースもあるだろう。

「『これは痴漢かな? 偶然、手が当たっただけかな?』と考える必要はありません。加害者はその迷いにつけ込み、どちらとも取れるような触り方をします。それを繰り返しても何も言ってこないとわかったら、下着の中に手を入れてくるなど、エスカレートすることも。その状態になると、怖くて声が出せなくなります。だから、早く声を上げる必要があるのです」

 「どけてください」の一言が言えない理由を、松永さんは教育の不足だと考えている。

「私たちには、嫌な触られ方をしたら『嫌だ』という権利があります。けれど、これまで大人は子どもに、そのルールを伝えてきませんでした。教えなければ、子どもは被害に遭っても『嫌だ』と言えません。特に、子どもが知らない大人に対して言うのは難しいです。将来的には、子どもたちへ『NOを言う権利』を伝えるワークショップを行いたいですね」

 15年に、ひとりの女子高生と彼女を支援する数人の人たちから始まった痴漢抑止活動。バッジで痴漢から被害者を守り、デザインコンテストで問題をシェアする。「性暴力に対してNOと言う」ことに対する理解と共感の輪が、世代や性別、立場を超えて、少しずつ広がっているのが感じられた。
(谷町邦子)

一般社団法人痴漢抑止活動センター

吉本興業の新入社員「お前呼ばわり」で退職――悪いのはパワハラ上司? “豆腐メンタル”の新人?

  “お前呼ばわりされたから”という退職理由に対して、同番組の共演者・ケンドーコバヤシは「世も末やな!」と呆れるようなリアクションを取り、「(男が)弱くなった……」と落胆していたのだが、ネット上では退職した新入社員を批判する声は少なく、むしろ矛先はジュニアとケンドーコバヤシへ。

 「周りから見下されるような環境で気持ち良く働けるわけがない」「男も女も関係ないでしょ。男だから、部下だから『お前』って呼んでいい道理なんてないよ」、さらに「吉本ってパワハラが常態化している会社なんですね。吉本のような縦社会がまさに『世も末』なのでは」とついには吉本興業にまで飛び火している状態だ。

 しかし一方で、「その新入社員は、世間知らずのお坊ちゃんだったんだろうか」「そんな豆腐メンタルでよく吉本に入社しようとしたな」「社会を舐めすぎているのでは」などというという意見も見受けられた。

 果たして、「『お前』呼ばわりはパワハラなのか?」――。白黒をはっきりさせるべく、今回、精神保健福祉士やキャリアコンサルタントなどの国家資格を持つメンタル・ジャーナリストの大美賀直子氏に取材。このパワハラ騒動についてお話を伺った。

 大美賀氏はストレスやメンタルコントロールに関する著書の執筆・監修を多数されており、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を保有している。また、カウンセラー、研修講師としても積極的に活動している、いわば“こころ”のプロフェッショナル。セクハラやパワハラ、モラハラなどのハラスメント(=いじめ、嫌がらせ)には心がどう感じるかが密接に関係しているので、この問題に対しまさに適役と言えるだろう。

 そんな大美賀氏に今回の騒動を説明すると、「どのような状況で言われたのか、継続的に言われていたのかなど、細かな情報がないとパワハラかどうかをコメントすることはできないのですが……」と前置きしつつも、「一般的には会社というビジネスの場で『お前』という呼称はふさわしくないですね」ときっぱり言い切った。

「ビジネスの場に限らず当たり前のことですが、『相手の尊厳を傷つけていないか』という配慮は人として基本中の基本です。ましてや、『職場』は多様な価値観を持つ人が働く場です。『吉本だからよい』『この会社の慣習だから仕方がない』ということではなく、職場においては業務の適正な範囲を超えて人に精神的な苦痛を与える言動は、パワハラになります」

 つまり、どのような状況下、どのような頻度や程度でその言動が行われたのかを総合的に判断しないと、パワハラと言えるかどうかはわからない。しかし、言われた人が苦痛になる呼び方を何度も繰り返されて、退職を考えるほど不愉快になっていたのであれば、パワハラの可能性が考えられるということだ。

女性社員への“ちゃん付け”も問題

 では、実際に職場での呼び方がパワハラやセクハラになったという事例はあるのだろうか? 裁判例情報によると、パワハラと認められた事例の中に、“呼び方”が関わっているものも散見された。2009年には、佐川急便で働く男性が上司から「お前なんかいらない」という言葉を受け自殺した一件が大きく報じられた。

 この件では「お前」のほかにも「社内放送では名前を呼び捨て」「名簿から名前を消される」など、呼び方や名前に関わる多くの問題発言や行動があり、さらには激務による過労や飲食代を払わされるなどの金銭的トラブルなどもあったという。

 また、10年には、部下に“ちゃん付け”をしてメールを毎日送ったとして、福井大学の男性職員が停職2カ月の懲戒処分になっている。被害者は、仕事とは関係のないメールが毎日上司から送られてくるというストレスとともに、“ちゃん付け”にもストレスを感じていたのではないかと推測できる。こうした情報を読むと“たかが呼び方”と啓記すような考え方は間違いだということを強く印象付けられる。

 では、自分が上司だったとして、パワハラ加害者にならないためには部下をどのように呼ぶのが適切なのだろうか?

 大美賀氏によると、「人には氏名があるのですから、苗字に『さん』をつけて呼ぶことが原則です。部下に対してでも、ビジネスの場においてはそのような敬称をつけるべきです」とのこと。

 もしあなたが今「部下は呼び捨てされてあたり前」と少しでも考えたのなら、パワハラ予備軍になる可能性があるかもしれないので気を付けるべきだろう。とにかく、“業務の適正な範囲を超えて、職場の人に精神的・身体的苦痛を与えていないかどうか”がパワハラの境界線。相手が仕事を辞めざるを得なくなったり心の病に陥ったりするほど、精神的に追い詰めてしまってからでは遅いのだ。

 ネット上では、「そもそも、プライベートであるべきはずの退職理由が芸人にまで広まってしまい、ましてやそれをテレビで愚痴っぽく語ってしまうのは非常にモラルに欠けている」などとも指摘されている今回の騒動。

 辞めた原因が“お前呼ばわり”された件しか情報が載っておらず、どのような状況で言われたのか、継続的に言われていたのかなど、細かな情報はわからないため、あくまで臆測となってしまうが、社員の退職理由が“ネタ”となってしまう吉本の社風を考えると、きっと原因は“お前呼ばわり”だけではないのだと思ってしまう。ジュニア・ケンドーコバヤシともに“親に殴られるのが当たり前の世代”らしいが、時代は変わっていることに気づいた方がいいかもしれない。
(文=ヨコシマリンコ)

100体限定人形「ロリーナ」買い占めは転売目的? 「違法性ナシ」「高島屋はナンセンス」弁護士解説

 京都高島屋が、100体限定で受注販売した人形「ロリーナ」。画家の故・中原淳一氏の絵を再現したロリーナは、レトロポップな衣装を身にまとった妖艶な表情の女の子で、1体12万4,200円という高額だが、ファンにとっては喉から手が出るほどほしい一体だろう。高島屋は、「1人につき2体まで」との制限を設け、3月31日に受注販売の受付を開始。同店には、開店前から約200人の行列ができており、先着50名に整理券を配布したという。

 しかし、最初に購入した男性客が、ほかの客の代金を一括で支払うという事態が勃発。つまり、整理券を得た人たちはこの男性客の関係者であり、ロリーナ100体を彼が“独り占め”していたことがわかったのだ。ネット上では、「あきらかに転売目的の買い占め」「許されない行為」「なぜ本当に欲しい人の手に行き渡らないの?」という怒りの声が飛び交い、現在、男性客の顔写真まで拡散されている状況だ。高島屋は、今回の事態に、「転売目的かどうか確認できない。契約も成立してしまっている」として、ロリーナを男性客に引き渡す予定なのだという。

 “限定品の買い占め騒動”で、転売疑惑が浮上する事例は、これが初めてではない。2016年1月、東京・世田谷の「スターバックスコーヒー 二子玉川ライズドッグウッドプラザ店」が発売した108個の福袋を、先頭グループの5人が全て買い占めていたことが発覚。その後、ネットオークションサイトで、同福袋が高額転売されていることがわかり、大炎上に発展したのだ。また、昨年1月~3月に開催されたイベント「スウィート・ダッフィー」でも、ダッフィーとシェリーメイのグッズを大量購入する者が続出。「転売目的としか思えない」と、ディズニーファンからの“告発”がネットで噴出することになった。

転売目的であったとしても法的に問題ない

 しかし、こうして目に見える形で問題視されるのはあくまで一部。転売目的で限定品を購入する行為は日常的に行われている状況にある。人々の怒りを買い続ける“転売屋”を法的に罰することはできないのだろうか。弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に話を聞くと、

「“売買”は、買う人と売る人が、物と代金を特定すれば成立しますので、転売目的であったとしても無効にはなりません。また、大麻や覚せい剤など、“違法”とされている物の売買ではない限り、違法とされたり、刑罰が科せられることはありません」

とのこと。今回のロリーナ買い占め騒動を起こした男性が、どれだけ人に批判されようとも、“転売に違法性はない”のが実情であり、この男性客が罰せられることはないという。

 しかし一方で、ジャニーズなどの人気コンサートチケットの転売が罰せられた事例はあるが……。

「いわゆる“ダフ屋行為”が禁止されているからです。各都道府県や市町村は、東京都迷惑防止条例(※)のような条例を制定しており、この中で、(インターネットで転売することなども含む)ダフ屋行為に対し、6月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられています」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(※)東京都迷惑防止条例第2条

何人も、乗車券、急行券、指定券、寝台券その他運送機関を利用し得る権利を証する物又は入場券、観覧券その他公共の娯楽施設を利用し得る権利を証する物(以下「乗車券等」という。)を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、乗車券等を、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所(乗車券等を公衆に発売する場所を含む。以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において、買い、又はうろつき、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を配り、若しくは公衆の列に加わつて買おうとしてはならない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 チケットを“転売目的”で買ったかどうかの判断については、「高額で転売していたり、多数のチケットを転売していれば、『ハナから転売目的でチケットを買った』と評価されます。たまたま用事ができていけなくなったので、友人に同額で譲渡するのは“転売目的”にはならないわけです」(山岸弁護士)。

 このような“ダフ屋”に当たらない場合、違法にはならないという転売。ロリーナを男性客1人に買い占められた高島屋は、「今回のことを真摯に受け止め、販売方法を改善したい」とのコメントを出しているが、山岸弁護士は「とは言いつつ、違法でもなんでもないんで、店側が対策すること自体がナンセンス」と語る。

 また「せいぜい、『多くの方に買ってもらいたい』という目的のために、『1人〇個まで』というシバリを設けるくらいでしょうか」というが、そもそもロリーナ買い占めは、「1人2体まで」とルールを決めていたにもかかわらず起こってしまった騒動だった。転売屋を法的に罰することができない以上、買う側が“転売品には手を出さない”ことを徹底し、転売屋を“商売上がったり”状態に追い込むしか、問題の解決策はないのかもしれない。

100体限定人形「ロリーナ」買い占めは転売目的? 「違法性ナシ」「高島屋はナンセンス」弁護士解説

 京都高島屋が、100体限定で受注販売した人形「ロリーナ」。画家の故・中原淳一氏の絵を再現したロリーナは、レトロポップな衣装を身にまとった妖艶な表情の女の子で、1体12万4,200円という高額だが、ファンにとっては喉から手が出るほどほしい一体だろう。高島屋は、「1人につき2体まで」との制限を設け、3月31日に受注販売の受付を開始。同店には、開店前から約200人の行列ができており、先着50名に整理券を配布したという。

 しかし、最初に購入した男性客が、ほかの客の代金を一括で支払うという事態が勃発。つまり、整理券を得た人たちはこの男性客の関係者であり、ロリーナ100体を彼が“独り占め”していたことがわかったのだ。ネット上では、「あきらかに転売目的の買い占め」「許されない行為」「なぜ本当に欲しい人の手に行き渡らないの?」という怒りの声が飛び交い、現在、男性客の顔写真まで拡散されている状況だ。高島屋は、今回の事態に、「転売目的かどうか確認できない。契約も成立してしまっている」として、ロリーナを男性客に引き渡す予定なのだという。

 “限定品の買い占め騒動”で、転売疑惑が浮上する事例は、これが初めてではない。2016年1月、東京・世田谷の「スターバックスコーヒー 二子玉川ライズドッグウッドプラザ店」が発売した108個の福袋を、先頭グループの5人が全て買い占めていたことが発覚。その後、ネットオークションサイトで、同福袋が高額転売されていることがわかり、大炎上に発展したのだ。また、昨年1月~3月に開催されたイベント「スウィート・ダッフィー」でも、ダッフィーとシェリーメイのグッズを大量購入する者が続出。「転売目的としか思えない」と、ディズニーファンからの“告発”がネットで噴出することになった。

転売目的であったとしても法的に問題ない

 しかし、こうして目に見える形で問題視されるのはあくまで一部。転売目的で限定品を購入する行為は日常的に行われている状況にある。人々の怒りを買い続ける“転売屋”を法的に罰することはできないのだろうか。弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に話を聞くと、

「“売買”は、買う人と売る人が、物と代金を特定すれば成立しますので、転売目的であったとしても無効にはなりません。また、大麻や覚せい剤など、“違法”とされている物の売買ではない限り、違法とされたり、刑罰が科せられることはありません」

とのこと。今回のロリーナ買い占め騒動を起こした男性が、どれだけ人に批判されようとも、“転売に違法性はない”のが実情であり、この男性客が罰せられることはないという。

 しかし一方で、ジャニーズなどの人気コンサートチケットの転売が罰せられた事例はあるが……。

「いわゆる“ダフ屋行為”が禁止されているからです。各都道府県や市町村は、東京都迷惑防止条例(※)のような条例を制定しており、この中で、(インターネットで転売することなども含む)ダフ屋行為に対し、6月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられています」

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(※)東京都迷惑防止条例第2条

何人も、乗車券、急行券、指定券、寝台券その他運送機関を利用し得る権利を証する物又は入場券、観覧券その他公共の娯楽施設を利用し得る権利を証する物(以下「乗車券等」という。)を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、乗車券等を、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所(乗車券等を公衆に発売する場所を含む。以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において、買い、又はうろつき、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を配り、若しくは公衆の列に加わつて買おうとしてはならない。

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 チケットを“転売目的”で買ったかどうかの判断については、「高額で転売していたり、多数のチケットを転売していれば、『ハナから転売目的でチケットを買った』と評価されます。たまたま用事ができていけなくなったので、友人に同額で譲渡するのは“転売目的”にはならないわけです」(山岸弁護士)。

 このような“ダフ屋”に当たらない場合、違法にはならないという転売。ロリーナを男性客1人に買い占められた高島屋は、「今回のことを真摯に受け止め、販売方法を改善したい」とのコメントを出しているが、山岸弁護士は「とは言いつつ、違法でもなんでもないんで、店側が対策すること自体がナンセンス」と語る。

 また「せいぜい、『多くの方に買ってもらいたい』という目的のために、『1人〇個まで』というシバリを設けるくらいでしょうか」というが、そもそもロリーナ買い占めは、「1人2体まで」とルールを決めていたにもかかわらず起こってしまった騒動だった。転売屋を法的に罰することができない以上、買う側が“転売品には手を出さない”ことを徹底し、転売屋を“商売上がったり”状態に追い込むしか、問題の解決策はないのかもしれない。

“ジャニヲタリカちゃん”なぜ生まれた? 制作者が語る、「ジャニファン」の特異性

 リカちゃん人形にジャニヲタ(ジャニーズオタク)の格好をさせているTwitterアカウントをご存じだろうか? ジャニーズファンならば、一度は見たことがあるような場面を切り取り、「ジャニヲタリカちゃん」として再現。その完成度の高さは、ジャニーズファンのみならず、ネットユーザーからも称賛されている。今回は、ご自身もジャニーズ好きというジャニヲタリカちゃんの生みの親・みづきさんに、制作裏話を聞いた。

――まずは、みづきさんのジャニーズファン歴についてうかがいたいと思います。いつ頃から、何がきっかけで好きになったんですか?

みづきさん(以下、みづき) 私、ファン歴はスゴく短くて、まだ3~4年ぐらいです。今年30歳になるんですが、初めてジャニーズのステージを見たのが25歳で、ファンになったのは26歳の時でした。きっかけは、帝国劇場で見た『JOHNNYS' World -ジャニーズ・ワールド-』(以下、『ジャニワ』)で、エンターテイメントの“圧”を受けたことですかね。2012年の初演を観劇する機会があったんですが、その時は“大人の社会科見学”みたいな感じで。「ジャニーズ見たことないから行こう」ぐらいの気持ちだったんです。当時は、Hey!Say!JUMPだと山田涼介くんしか知らないような状態でした。

――『ジャニワ』を見て誰かにハマったんですか?

みづき その時から、今も一番好きなのは、A.B.C-Zの河合郁人くんです。一緒に舞台を見に行ったのは、同い年のSexy Zoneファンの女の子だったんで、いろいろ事細かにレクチャーを受けました。

――その前まで、特定のアイドルを好きになったりは?

みづき ジャニーズは、中高生の時を含めて全然興味がありませんでした。社会人になってから、AKB48、ももいろクローバーZといった女性アイドルを好きになったんですけど。『ジャニワ』で直に洗練を受けました。「何なんだろう、この世界は!」みたいな。とりあえずストーリーの意味はわからないけど……って。戸惑いが先に来ました(笑)。その『ジャニワ』を機に河合くんを好きになって、徐々にいろんなタレントさんを覚えていったんです。

――舞台からジャニーズの世界に惹き込まれたとなると、A.B.C-Zをはじめとする“舞台班”が好きなんですか?

みづき 舞台班も好きですし、コンサートよりも落ち着いて見れる舞台の方が、気持ち的にラクなんです。コンサートでの、10代の女の子の熱狂的な圧とかに、毎回びっくりしてしまうので。ジャニコンは「怖い」っていうイメージを持っているのかもしれません。トラウマがあるわけではないんですが、初めて行ったコンサートが、Sexy Zoneだったんです。そしたら、お客さんが10代ばっかりで。それと今まで、自分が参加していたAKB48やももクロのコンサートって、あまりうちわを持つ習慣がなかったので、ビックリしました。

――あぁ~、なるほど。言われてみれば、女性アイドルのコンサートでうちわを持つイメージってないですね。

みづき なおかつ、女の子に対しては、比較的に“健全な応援”を是とする雰囲気だったので。それが、ジャニヲタの場合は「スゴい性的な応援をするんだな」と、驚いて。

――性的な応援(笑)。「ジャニヲタリカちゃん」の中にも、「あせ(汗)かけて」と書いたうちわを持っている子がいましたよね。

みづき あれは、実際にあのうちわを目撃したんです。初参加したセクゾコンで、「ジャニヲタ恐ろしい……」って思ったぐらいに、スゴく印象強くて。「あせかけて」「今日のパンツ何色?」みたいなうちわを、ももクロのライブで持ってたら、出入り禁止だなって。衝撃を受けたので、ジャニヲタリカちゃんでもそのうちわを作りました(笑)。だから、『滝沢歌舞伎』でタッキー&翼の滝沢秀明がフライングしながら客席に汗をかける“滝汁”のファンサービスは、ちょっとビックリしました。

――ジャニヲタ歴が短いということもあって、ファンの言動を客観的に見られるんですね。

みづき 女子ドル文化からジャニーズに入っただけに、衝撃度は大きかったです。私がファンだったのは、ももクロとかメジャーなアイドルの子たちだったので、いわゆる“ガチ恋”している人が少ないんですよ。一方で、ジャニーズの場合はファンがこれだけ多い上に、「タレントに見られたい」という意識を持っている人がたくさんいる。昨年末の『カウコン』(『ジャニーズカウントダウンコンサート』)で、ジャニーズWESTファンの子が隣にいたんですけど、ずっと「見て!」と叫んでいて。それだけ「見られたい」という欲があるのは驚きました。たまたま、そういう子が隣にいただけかもしれないですけど。

――そういう人は、ももクロの現場にはいないんですか?

みづき AKBを追いかけていた時も、いなくはなかったんですが……。握手会という確実なチャンスもありますし、わざわざコンサートでも最前列にいて、アイドルに“見てもらえるかどうか”を重要視するファンは、少ないのかもしれません。地下アイドルを含めた女子ドルのファンの間で、「推しに見られたいと思ったら厄介の始まり」という、有名な格言があるんです。ジャニーズファンは、メジャーデビューしている規模のアイドルに向かって、そんな性的な言葉を明確に投げかけるって、単純にスゴいなと。「自分の好きなタレントに好かれたい、見られたい、目立ちたい」みたいな。しかもその声援に応えてくれちゃうアイドルもいるので、良くも悪くも夢がありますよね(笑)。

――では、そもそもなぜリカちゃんでジャニーズファンの“あるあるネタ”を形にしようと思ったのでしょうか?

みづき もともと、リカちゃんとか、ブライスとか、お人形がスゴく好きで。集めていた時期もありました。そんな中で、去年の夏頃に買ったリカちゃんがヒントになったんです。(現物を見せながら)これ、前髪が姫カットなんですけど、Kis-My-Ft2のコンサートで見たことがあるような子だな、って思ったんです。玉森裕太ファンでいたな、と。

――あぁ~、たしかにキスマイのファンって、こういう姫系の雰囲気の子が多いかもしれません。

みづき 最初から「リカちゃんでジャニヲタを作ろう」って思ったというよりは、たまたま買ったリカちゃんに対して、「この子、ジャニーズのコンサートで見たな」と気付いたのがきっかけでした。自分が好きな姫カットのお人形に可愛らしい洋服を着せていくと、「ジャニヲタで見たことある」と感じて、それが積もり積もって、ジャニヲタリカちゃんが生まれた感じです。ちなみに、リカちゃんは30体くらい持っています。

――リカちゃん人形を使っているからこそ、女の子らしさが出ているというか、再現度が高いですよね。「ジャニヲタでこういう人、いるいる!」と、共感しやすい気がします。ファン歴は短いとのことですが、ジャニヲタの特徴をよく捉えていますよね。

みづき 私が行ったことのあるコンサートで、わかりやすいなと思ったのが、キスマイとSexy Zoneでしたね。特にキスマイは、コスプレをしている人、お水の世界っぽい人、盛り髪の子も多いと思いました。まぁ、分母が大きくなれば大きくなるほど、目立つ人に遭遇する確率も上がるのかなとは思います。

――そのほかに参戦したコンサートはありますか?

みづき 単独公演だと、A.B.C-Z、Sexy Zone、ジャニーズWEST、キスマイです。あと、運がいいことに3年連続で『ジャニーズカウントダウンライブ』に行けました。舞台はA.B.C-Z以外だと、『滝沢歌舞伎』も見ています。

――それだけの現場に行って、目立っていたのはキスマイとセクゾのファンだったんですね。ジャニーズWESTのファンも、タレントに似て目立つ恰好のファンがいそうな気がするのですが、みづきさんはどう見ていますか?

みづき ジャニーズWESTのファンは、なんかこう……。イメージとしては、「女子バスケットボール部」みたいな女の子が多くて。メンバーカラーの洋服とかを身につけたカラフルな格好でありながら、黒髪の短髪かつ、爽やかで可愛らしい子。セクゾやキスマイのファンに比べて、タレントさんに「見てほしい」という意識が薄いのかなと。まぁ、さっきの「カウコンで絶叫しているジャニーズWESTファン」の例もあるので、入った公演にもよるとは思うんですけど。あと、Hey!Say!JUMPコンサートの前列なんかは、花冠をつけた子がいっぱいなんだろうなぁ~とは想像していますが、単独に行ったことがないので……。

――ほかのグループのファンにはどんな印象を持ってますか?

みづき A.B.C-Zのファンは「ウチの姉ちゃん」って感じがするな、とか。大学1~2年生の男の子から見たら、たぶんSexy Zone、JUMPファンって、「付き合いたい子」なんだろうな~とか。で、キスマイのファンは「サークルの一番上のキレイな先輩」みたいな雰囲気の子が多いのかな、と思いながら見てますね。

――では、ジャニヲタリカちゃんの詳しいお話を聞かせてください。Twitterを見ていると、100円均一で買ったお弁当用ピックをカットして、ペンライトっぽくリカちゃんに持たせていると書いてありましたが、「あせかけて」のうちわなどは、ご自身で手作りされているんですか?

みづき うちわの土台自体はリカちゃんのショップで売っている小物なんです。それがちょうど、ジャニーズのジャンボうちわのサイズだなと思って。文字シールなどで「あせかけて」「つって(釣って)」と飾り付けました。「こういう小物がほしいけど、安く済ませたいな」って時に、100均は便利ですね。

――今日、ご持参いただいたアイテムの中に双眼鏡がありますが、これもリカちゃんのオリジナルグッズですか? あとは、ジャニーズコンサートの終盤に登場する、金テープや銀テープを持っているリカちゃんもいますよね。

みづき この双眼鏡は、ミリタリーフィギュア用の通販ショップで手に入れました。スケールがリカちゃんと同じサイズなんですよ。金テも、100均のラッピンググッズの一種をちぎっただけですね。紙袋やスマートフォンは、リカちゃんの既成品を使ったりしています。あとは、食玩のボールペンとかも使用しています。パッと見て、「これはリカちゃんのパーツに使えるな」と、小物のサイズ感、スケールはすぐわかりますね。コアな話ですが、1/6サイズのリカちゃんの服や小物のサイズが、もっとも流通量が多いので、物の流用がしやすいんです。

――写真をTwitterにアップする場合の作業時間はどれくらいですか? 毎日コンスタントに衣装を作ったりしているのか、それとも使えるネタが見つかった時にだけやるのか。

みづき 思いついた時に、やっているぐらいです。ジャニヲタリカちゃん用に洋服を作るとなると時間がかかるんですが、手持ちのリカちゃんの洋服を着せて小物を持たせるだけだと、5~10分ですね。自宅におもちゃをぎっしり溜めている棚があって、あとはスマホで撮影するだけなので。

――そんな、数分で完成させたものだとは思えないクオリティーです! 日頃、目についたアイテムをストックしておいて、撮影時に組み合わせるという感じでしょうか?

みづき そうですね。新しいお人形を買った時に、なんとなく「あぁいう人いたな」と思い出して持っている小物で撮影する時もあれば、「こういう人を作りたい」と、イメージ先行でアイテムを買い出しする時もあります。前のジャニーズショップの黄色い袋を、人形用に切って持たせてみたり。基本、リカちゃんで遊びたいだけなんです(笑)。

――ネット上の感想を見ると、「観察力がスゴい」と高く評価されていますよね。「帝国劇場前で待ち合わせしてる大人ヲタ」という題材もありましたが、舞台を見に行った時などに周囲を観察して、「これはネタにできそう!」と、意識的に探しているんですか?

みづき いえ、特にリカちゃん作りのためにメモをしているわけではないです(笑)。自分が現場で「こういう人を何回も見たな」って感じた時、家にあるもので再現できれば作ります。

――逆に、ジャニヲタリカちゃんを作るにあたって、「これはやめておこう」と気をつけているポイントはありますか?

みづき 自分の中では、盛り髪みたいな“どうにもならないルール違反の人”を再現するのだけはやめようと思っています。うちわを4連で持ってるのって、外で写真撮影をしている程度なら、“なんとかなる”ルール違反なので、良いとも悪いとも言わずに作ることはあると思うんですけど。ヒールが高い靴も、「気をつけてね」とは思いながら、会場内で脱げば最悪、OKなラインかなと。

――盛り髪をリカちゃんで再現して、「これがジャニヲタ」というイメージを持たれてしまうのも、残念ですよね。

みづき 10代の子がやることって想像がつかないので。たまに、引用リツイートとか、リプライを送ってくれる子もいるんですが、「私もやってる! おそろい!」「私たちがマジョリティです!」ぐらいのニュアンスで共感してくれるんです。スゴくうれしいけど、私としては結構、スレスレで作ったリカちゃんなんですよ。ギリギリのラインを再現したつもりだけどな~と。可能な限り、変なリプライがついたり、炎上はしたくないので、明確なルール違反のジャニヲタについては取り上げないようにしています。

――たくさんあって絞れないかとは思うんですが、中でもお気に入りのリカちゃんっていますか?

みづき お気に入り……。うーん、選ぶのは難しいですが、金テを持ってる子は気に入ってますね。小物として好きなので。

――「番協なのでめったに履かない長ズボンを履き、応援練習の成果を収録で披露するヲタ」も、面白かったです。

みづき あれは、母親と実家で『少クラ』を見ていた時に、「この人たちって、ズボンしかはいちゃいけないルールなの?」と聞かれて、そう言われれば! と思いつきました。微妙にダサい感じの服装ですよね。手持ちのリカちゃんの服だと、もう少し可愛くできるんですけど、「こういう場に来るジャニヲタって、洋服よりもジャニーズにお金かけちゃう人だよな」と思って再現するものもあります。ただ、ジャニヲタリカちゃんを撮影するにあたって、自分で衣装を作るってことはほとんどないんですよ。自分でリカちゃんの洋服を作ると、メルヘンになっちゃうんで。

――ズバリ、ジャニヲタは好きですか?

みづき ジャニヲタ、愛おしいな~と思います。それだけの情熱を注いで応援するって、スゴいです。例えば、AKBは握手会という公式に認められたコミュニケーションの場がある。でも、ジャニーズアイドルに自分を認知してもらう方法は明確じゃないですよね。公式じゃないからこそ、ジャニーズは「○○くんとつなげます」みたいなTwitterアカウントまであるじゃないですか。フワフワしてるけど、具体的な疑似恋愛をしてるところが新鮮に映っています。ジャニーズの場合、プライベートに入っていくのが“タブー”みたいな雰囲気ですし。抑制されているのが、かえってタレントへのあこがれを生むのかな? とか、ジャニーズやジャニヲタについて考察するのは楽しいですね。

“ジャニヲタリカちゃん”なぜ生まれた? 制作者が語る、「ジャニファン」の特異性

 リカちゃん人形にジャニヲタ(ジャニーズオタク)の格好をさせているTwitterアカウントをご存じだろうか? ジャニーズファンならば、一度は見たことがあるような場面を切り取り、「ジャニヲタリカちゃん」として再現。その完成度の高さは、ジャニーズファンのみならず、ネットユーザーからも称賛されている。今回は、ご自身もジャニーズ好きというジャニヲタリカちゃんの生みの親・みづきさんに、制作裏話を聞いた。

――まずは、みづきさんのジャニーズファン歴についてうかがいたいと思います。いつ頃から、何がきっかけで好きになったんですか?

みづきさん(以下、みづき) 私、ファン歴はスゴく短くて、まだ3~4年ぐらいです。今年30歳になるんですが、初めてジャニーズのステージを見たのが25歳で、ファンになったのは26歳の時でした。きっかけは、帝国劇場で見た『JOHNNYS' World -ジャニーズ・ワールド-』(以下、『ジャニワ』)で、エンターテイメントの“圧”を受けたことですかね。2012年の初演を観劇する機会があったんですが、その時は“大人の社会科見学”みたいな感じで。「ジャニーズ見たことないから行こう」ぐらいの気持ちだったんです。当時は、Hey!Say!JUMPだと山田涼介くんしか知らないような状態でした。

――『ジャニワ』を見て誰かにハマったんですか?

みづき その時から、今も一番好きなのは、A.B.C-Zの河合郁人くんです。一緒に舞台を見に行ったのは、同い年のSexy Zoneファンの女の子だったんで、いろいろ事細かにレクチャーを受けました。

――その前まで、特定のアイドルを好きになったりは?

みづき ジャニーズは、中高生の時を含めて全然興味がありませんでした。社会人になってから、AKB48、ももいろクローバーZといった女性アイドルを好きになったんですけど。『ジャニワ』で直に洗練を受けました。「何なんだろう、この世界は!」みたいな。とりあえずストーリーの意味はわからないけど……って。戸惑いが先に来ました(笑)。その『ジャニワ』を機に河合くんを好きになって、徐々にいろんなタレントさんを覚えていったんです。

――舞台からジャニーズの世界に惹き込まれたとなると、A.B.C-Zをはじめとする“舞台班”が好きなんですか?

みづき 舞台班も好きですし、コンサートよりも落ち着いて見れる舞台の方が、気持ち的にラクなんです。コンサートでの、10代の女の子の熱狂的な圧とかに、毎回びっくりしてしまうので。ジャニコンは「怖い」っていうイメージを持っているのかもしれません。トラウマがあるわけではないんですが、初めて行ったコンサートが、Sexy Zoneだったんです。そしたら、お客さんが10代ばっかりで。それと今まで、自分が参加していたAKB48やももクロのコンサートって、あまりうちわを持つ習慣がなかったので、ビックリしました。

――あぁ~、なるほど。言われてみれば、女性アイドルのコンサートでうちわを持つイメージってないですね。

みづき なおかつ、女の子に対しては、比較的に“健全な応援”を是とする雰囲気だったので。それが、ジャニヲタの場合は「スゴい性的な応援をするんだな」と、驚いて。

――性的な応援(笑)。「ジャニヲタリカちゃん」の中にも、「あせ(汗)かけて」と書いたうちわを持っている子がいましたよね。

みづき あれは、実際にあのうちわを目撃したんです。初参加したセクゾコンで、「ジャニヲタ恐ろしい……」って思ったぐらいに、スゴく印象強くて。「あせかけて」「今日のパンツ何色?」みたいなうちわを、ももクロのライブで持ってたら、出入り禁止だなって。衝撃を受けたので、ジャニヲタリカちゃんでもそのうちわを作りました(笑)。だから、『滝沢歌舞伎』でタッキー&翼の滝沢秀明がフライングしながら客席に汗をかける“滝汁”のファンサービスは、ちょっとビックリしました。

――ジャニヲタ歴が短いということもあって、ファンの言動を客観的に見られるんですね。

みづき 女子ドル文化からジャニーズに入っただけに、衝撃度は大きかったです。私がファンだったのは、ももクロとかメジャーなアイドルの子たちだったので、いわゆる“ガチ恋”している人が少ないんですよ。一方で、ジャニーズの場合はファンがこれだけ多い上に、「タレントに見られたい」という意識を持っている人がたくさんいる。昨年末の『カウコン』(『ジャニーズカウントダウンコンサート』)で、ジャニーズWESTファンの子が隣にいたんですけど、ずっと「見て!」と叫んでいて。それだけ「見られたい」という欲があるのは驚きました。たまたま、そういう子が隣にいただけかもしれないですけど。

――そういう人は、ももクロの現場にはいないんですか?

みづき AKBを追いかけていた時も、いなくはなかったんですが……。握手会という確実なチャンスもありますし、わざわざコンサートでも最前列にいて、アイドルに“見てもらえるかどうか”を重要視するファンは、少ないのかもしれません。地下アイドルを含めた女子ドルのファンの間で、「推しに見られたいと思ったら厄介の始まり」という、有名な格言があるんです。ジャニーズファンは、メジャーデビューしている規模のアイドルに向かって、そんな性的な言葉を明確に投げかけるって、単純にスゴいなと。「自分の好きなタレントに好かれたい、見られたい、目立ちたい」みたいな。しかもその声援に応えてくれちゃうアイドルもいるので、良くも悪くも夢がありますよね(笑)。

――では、そもそもなぜリカちゃんでジャニーズファンの“あるあるネタ”を形にしようと思ったのでしょうか?

みづき もともと、リカちゃんとか、ブライスとか、お人形がスゴく好きで。集めていた時期もありました。そんな中で、去年の夏頃に買ったリカちゃんがヒントになったんです。(現物を見せながら)これ、前髪が姫カットなんですけど、Kis-My-Ft2のコンサートで見たことがあるような子だな、って思ったんです。玉森裕太ファンでいたな、と。

――あぁ~、たしかにキスマイのファンって、こういう姫系の雰囲気の子が多いかもしれません。

みづき 最初から「リカちゃんでジャニヲタを作ろう」って思ったというよりは、たまたま買ったリカちゃんに対して、「この子、ジャニーズのコンサートで見たな」と気付いたのがきっかけでした。自分が好きな姫カットのお人形に可愛らしい洋服を着せていくと、「ジャニヲタで見たことある」と感じて、それが積もり積もって、ジャニヲタリカちゃんが生まれた感じです。ちなみに、リカちゃんは30体くらい持っています。

――リカちゃん人形を使っているからこそ、女の子らしさが出ているというか、再現度が高いですよね。「ジャニヲタでこういう人、いるいる!」と、共感しやすい気がします。ファン歴は短いとのことですが、ジャニヲタの特徴をよく捉えていますよね。

みづき 私が行ったことのあるコンサートで、わかりやすいなと思ったのが、キスマイとSexy Zoneでしたね。特にキスマイは、コスプレをしている人、お水の世界っぽい人、盛り髪の子も多いと思いました。まぁ、分母が大きくなれば大きくなるほど、目立つ人に遭遇する確率も上がるのかなとは思います。

――そのほかに参戦したコンサートはありますか?

みづき 単独公演だと、A.B.C-Z、Sexy Zone、ジャニーズWEST、キスマイです。あと、運がいいことに3年連続で『ジャニーズカウントダウンライブ』に行けました。舞台はA.B.C-Z以外だと、『滝沢歌舞伎』も見ています。

――それだけの現場に行って、目立っていたのはキスマイとセクゾのファンだったんですね。ジャニーズWESTのファンも、タレントに似て目立つ恰好のファンがいそうな気がするのですが、みづきさんはどう見ていますか?

みづき ジャニーズWESTのファンは、なんかこう……。イメージとしては、「女子バスケットボール部」みたいな女の子が多くて。メンバーカラーの洋服とかを身につけたカラフルな格好でありながら、黒髪の短髪かつ、爽やかで可愛らしい子。セクゾやキスマイのファンに比べて、タレントさんに「見てほしい」という意識が薄いのかなと。まぁ、さっきの「カウコンで絶叫しているジャニーズWESTファン」の例もあるので、入った公演にもよるとは思うんですけど。あと、Hey!Say!JUMPコンサートの前列なんかは、花冠をつけた子がいっぱいなんだろうなぁ~とは想像していますが、単独に行ったことがないので……。

――ほかのグループのファンにはどんな印象を持ってますか?

みづき A.B.C-Zのファンは「ウチの姉ちゃん」って感じがするな、とか。大学1~2年生の男の子から見たら、たぶんSexy Zone、JUMPファンって、「付き合いたい子」なんだろうな~とか。で、キスマイのファンは「サークルの一番上のキレイな先輩」みたいな雰囲気の子が多いのかな、と思いながら見てますね。

――では、ジャニヲタリカちゃんの詳しいお話を聞かせてください。Twitterを見ていると、100円均一で買ったお弁当用ピックをカットして、ペンライトっぽくリカちゃんに持たせていると書いてありましたが、「あせかけて」のうちわなどは、ご自身で手作りされているんですか?

みづき うちわの土台自体はリカちゃんのショップで売っている小物なんです。それがちょうど、ジャニーズのジャンボうちわのサイズだなと思って。文字シールなどで「あせかけて」「つって(釣って)」と飾り付けました。「こういう小物がほしいけど、安く済ませたいな」って時に、100均は便利ですね。

――今日、ご持参いただいたアイテムの中に双眼鏡がありますが、これもリカちゃんのオリジナルグッズですか? あとは、ジャニーズコンサートの終盤に登場する、金テープや銀テープを持っているリカちゃんもいますよね。

みづき この双眼鏡は、ミリタリーフィギュア用の通販ショップで手に入れました。スケールがリカちゃんと同じサイズなんですよ。金テも、100均のラッピンググッズの一種をちぎっただけですね。紙袋やスマートフォンは、リカちゃんの既成品を使ったりしています。あとは、食玩のボールペンとかも使用しています。パッと見て、「これはリカちゃんのパーツに使えるな」と、小物のサイズ感、スケールはすぐわかりますね。コアな話ですが、1/6サイズのリカちゃんの服や小物のサイズが、もっとも流通量が多いので、物の流用がしやすいんです。

――写真をTwitterにアップする場合の作業時間はどれくらいですか? 毎日コンスタントに衣装を作ったりしているのか、それとも使えるネタが見つかった時にだけやるのか。

みづき 思いついた時に、やっているぐらいです。ジャニヲタリカちゃん用に洋服を作るとなると時間がかかるんですが、手持ちのリカちゃんの洋服を着せて小物を持たせるだけだと、5~10分ですね。自宅におもちゃをぎっしり溜めている棚があって、あとはスマホで撮影するだけなので。

――そんな、数分で完成させたものだとは思えないクオリティーです! 日頃、目についたアイテムをストックしておいて、撮影時に組み合わせるという感じでしょうか?

みづき そうですね。新しいお人形を買った時に、なんとなく「あぁいう人いたな」と思い出して持っている小物で撮影する時もあれば、「こういう人を作りたい」と、イメージ先行でアイテムを買い出しする時もあります。前のジャニーズショップの黄色い袋を、人形用に切って持たせてみたり。基本、リカちゃんで遊びたいだけなんです(笑)。

――ネット上の感想を見ると、「観察力がスゴい」と高く評価されていますよね。「帝国劇場前で待ち合わせしてる大人ヲタ」という題材もありましたが、舞台を見に行った時などに周囲を観察して、「これはネタにできそう!」と、意識的に探しているんですか?

みづき いえ、特にリカちゃん作りのためにメモをしているわけではないです(笑)。自分が現場で「こういう人を何回も見たな」って感じた時、家にあるもので再現できれば作ります。

――逆に、ジャニヲタリカちゃんを作るにあたって、「これはやめておこう」と気をつけているポイントはありますか?

みづき 自分の中では、盛り髪みたいな“どうにもならないルール違反の人”を再現するのだけはやめようと思っています。うちわを4連で持ってるのって、外で写真撮影をしている程度なら、“なんとかなる”ルール違反なので、良いとも悪いとも言わずに作ることはあると思うんですけど。ヒールが高い靴も、「気をつけてね」とは思いながら、会場内で脱げば最悪、OKなラインかなと。

――盛り髪をリカちゃんで再現して、「これがジャニヲタ」というイメージを持たれてしまうのも、残念ですよね。

みづき 10代の子がやることって想像がつかないので。たまに、引用リツイートとか、リプライを送ってくれる子もいるんですが、「私もやってる! おそろい!」「私たちがマジョリティです!」ぐらいのニュアンスで共感してくれるんです。スゴくうれしいけど、私としては結構、スレスレで作ったリカちゃんなんですよ。ギリギリのラインを再現したつもりだけどな~と。可能な限り、変なリプライがついたり、炎上はしたくないので、明確なルール違反のジャニヲタについては取り上げないようにしています。

――たくさんあって絞れないかとは思うんですが、中でもお気に入りのリカちゃんっていますか?

みづき お気に入り……。うーん、選ぶのは難しいですが、金テを持ってる子は気に入ってますね。小物として好きなので。

――「番協なのでめったに履かない長ズボンを履き、応援練習の成果を収録で披露するヲタ」も、面白かったです。

みづき あれは、母親と実家で『少クラ』を見ていた時に、「この人たちって、ズボンしかはいちゃいけないルールなの?」と聞かれて、そう言われれば! と思いつきました。微妙にダサい感じの服装ですよね。手持ちのリカちゃんの服だと、もう少し可愛くできるんですけど、「こういう場に来るジャニヲタって、洋服よりもジャニーズにお金かけちゃう人だよな」と思って再現するものもあります。ただ、ジャニヲタリカちゃんを撮影するにあたって、自分で衣装を作るってことはほとんどないんですよ。自分でリカちゃんの洋服を作ると、メルヘンになっちゃうんで。

――ズバリ、ジャニヲタは好きですか?

みづき ジャニヲタ、愛おしいな~と思います。それだけの情熱を注いで応援するって、スゴいです。例えば、AKBは握手会という公式に認められたコミュニケーションの場がある。でも、ジャニーズアイドルに自分を認知してもらう方法は明確じゃないですよね。公式じゃないからこそ、ジャニーズは「○○くんとつなげます」みたいなTwitterアカウントまであるじゃないですか。フワフワしてるけど、具体的な疑似恋愛をしてるところが新鮮に映っています。ジャニーズの場合、プライベートに入っていくのが“タブー”みたいな雰囲気ですし。抑制されているのが、かえってタレントへのあこがれを生むのかな? とか、ジャニーズやジャニヲタについて考察するのは楽しいですね。

レイプ被害者を描いた衝撃の映画『私は絶対許さない』主演、女優・平塚千瑛の素顔に迫る――

 昨年10月、ハリウッドの映画プロデューサー・ハーヴェイ・ワインスタイン氏の性的スキャンダルが明らかになったことで、「#MeToo」という言葉をキーワードにSNS上でセクハラやパワハラ被害を告発する動きが、世界的な広がりをみせている。

 そんな中、残虐な性犯罪が多発しているインドで開催された「ノイダ国際映画祭」で、審査員特別賞を受賞した話題の日本映画『私は絶対許さない』が4月7日に公開される。

“15歳でレイプ被害に遭い、男性への復讐を誓う”という、実在の女性の手記を原作に、精神科医でもある和田秀樹監督がメガホンを取ったこの作品。主演に選ばれた女優は、この役とどのように出会い、向き合い、そして闘ったのか。公開を前に、彼女の魅力に迫った。

* * *

――本作に主演することになった経緯を教えてください。

平塚千瑛(以下、平塚) 2016年の9月に初めての写真集『Birth』(双葉社)を出させていただいて、その写真集を新聞や週刊誌に載せていただく機会が増えました。その記事を見た映画のスタッフの方から、「オーディションを受けてみないか?」とお誘いを受けたのがきっかけです。

――最初に原作(『私は絶対許さない。15歳で集団レイプされた少女が風俗嬢になり、さらに看護師になった理由』著:雪村葉子/ブックマン社)を読んだ時は、どのように感じましたか?

平塚 この本を読んでいて、心が痛くなり、「これは本当に起こったことなのだろうか?」と初めは信じられませんでした。でも、同じ女性という立場から「女性がこういった性犯罪に遭っているということを、もっと世の中に知ってもらわなければいけない」と感じ、ぜひとも主演をやらせていただきたいと思いましたね。

■「運命を感じた主人公との出会い」

 

――オーディションで平塚さんが選ばれたのは、どのような点を評価されたのだと思いますか?

平塚 原作者の雪村葉子さんにお会いしたんですが、雰囲気や話している感じ、顔まで私によく似ていたんです。雪村さんご自身も「平塚さんて私に似てますよね」と言ってくださいました。

 それと、不思議なことなんですが、作中で主人公「ようこ」が源氏名を次々変えていくんですね。最初に「かおり」と名乗り、次が「ちあき」なんです。実は私の母が「ようこ」で、姉が「かおり」、それで私は「ちあき」じゃないですか。もう運命しか感じなかったです。

――まさに、“出会うべくして出会った役”という感じですね。

平塚 はい。雪村さんにもそのお話をして、打ち解けることができました。

――映画は「主観撮影」(主人公の目線で映像が撮られている)を用いられていますが、具体的にはどのように撮影していたのでしょう?

平塚 撮影監督の高間(賢治)さんが私のすぐ横にいて、相手の俳優さんがカメラ目線で演技をするという手法です。カメラを固定する棒のようなものを高間さんが私の隣で持ち、カメラ本体は私の顔の前に来るようにして撮影しました。全ての動きを高間さんと二人三脚で行うので大変な撮影でした。そして主観撮影のためカメラに私は映っておらず、声だけの演技も多くて、大変難しかったですが本当に勉強させていただきました。

――「特にこんなシーンを注目して欲しい」というところはありますか?

平塚 女性と男性で別々にあるんです。女性の方には、初めは彼の葉子に対する思いが愛情だと信じて受け入れるのですが徐々にその思いが歪んだ愛情だという事に気づき、この人といたら駄目だと気付く瞬間。男性には、エンディングのシーンを見て、“女性の強さ”、“怖さ”を感じて欲しいです。

 このエンディングは、見る人によって、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか分かれると思うんです。ただ、実際に演じた私は「葉子は幸せな道を歩んでいる」と感じました。

 雪村さんとお会いしてみると、あのような痛ましい被害に遭っているとは思えないほど、周囲を和やかにしてくれる女性なんです。もう、「ここまで自分の心を殺して頑張って強く生きてきた葉子さんが幸せにならないんだったら、誰が幸せになるんだ」って思いました。

 実は、映画出演にあたり、同じように性被害に遭ってトラウマを抱えている方から、「映画を見に行こうと思います」という話を聞いたりしました。もしかしたら、映画を見ることで過去の傷をえぐってしまうかもしれないという思いもあるんです。でも、最後まで見てもらいたいです。どんな境遇にも負けず、常に世の中の理不尽や非常識と闘いながら生きてきた雪村さんから勇気をもらえると信じています。

 それは「性被害」ということだけにとどまらず、すべての人に「生きていく強さ」を教えてくれていると思うんです。

――体を張ったハードなシーンが多かったと思います。やはり、辛いこともありました?

平塚 最初に風俗でのシーンを撮影したんですが、なかなかメンタルが追いついていかなくて……カットがかかった瞬間は涙が止まらなくなりました。緊張なのか不安なのか恐怖なのかわからない、そんな感情でした。でも、その分得るものは大きくて、今回の演技を通して、自分の中で一皮も二皮もむけたと思っています。

――佐野史郎さんと一緒のシーンが多いですが、どのような方でしたか?

平塚 私があまりに緊張しっぱなしだったので、「そんなに緊張しなくていいんだよ」と言っていただいて。もうすべて身を任せる感じで演じていました。佐野さんの役柄もとにかくドラマ『ずっとあなたが好きだった』(TBS系)の冬彦さんと重なり、現場にいてもゾクゾクするような演技を目の当たりにして、とてもいい経験をさせていただきました。

――他の共演者の方はいかがでした?

平塚 隆大介さんと東てる美さんのサービスエリアでの喧嘩のシーンを撮影している時に、一般のお客さんが止めに入るぐらいの迫真の演技をされていたんです。その演技力に圧倒されて、「これが演じるっていうことか」と硬直するくらい感動しました。

 他にもとにかく個性の強い役者さんばかりでしたので、みなさんと一緒にこの作品に携われたことはこれから女優業を歩んでいく私にとって財産になりました。

――作品では前半の舞台が東北ですよね。平塚さんご自身も山形の出身ということで、何か通じるものはありましたか?

平塚 現場の和室のシーン、親戚が集まっている様子などは実家を思い出しましたね。噂がすぐに広まってしまうところとかも「分かるなぁ」と思って(苦笑)。

――映画で、葉子は過去を捨てて上京するわけですが、平塚さんが上京した時は、どのような気持ちでしたか?

平塚 私は24歳の時に地元でスカウトされて上京したので、「人生一回だし、東京に行ってみよう」というような感じでした。その時はそんなに強い思いや意気込みのようなものはありませんでした(笑)。

――主人公・葉子にとって「男性」とはどういう存在だと思われますか?

平塚 自分を傷つけた男性のことは、今でも殺したいと思っていると思います。ただ、その思いを前に進むパワーとエネルギーに変えるのもまた、男性相手の性風俗の仕事だったりするんですよね。生きていくための手段として必要な存在だったと思います。

――インドの「ノイダ国際映画祭」では、審査員特別賞を受賞しましたね。

平塚 インドは性犯罪がとても多いと聞いています。特に幼児の強姦とか輪姦が日常茶飯事に行われていると聞きました。その国で賞をとれたのは大変意味のあることだと思います。インドの性犯罪を減らすことに役立てればなと思います。また、日本でも、子どもたちを守っていく立場の家族や公的な機関、NPO団体の方などに見ていただきたいです。

――今回の役柄もそうですが、平塚さんは、外見でクールに見られがちですよね。

平塚 そうなんです。もう、それで損しかしていない(笑)。怒ってるわけでもないのに、「怖そう」とか「近寄りがたい」と思われて。「話してみたら全然違う」ってなるんですけどね。

 一時はだいぶ試行錯誤していて。ボケてみたり、最初からヘラヘラしてたりもしたんです。でも、「逆に怖い」「変!」って言われてしまって(笑)。最近はインタビューなどでお話をする機会が増えたので、以前ほどは冷たく見られなくなりました。

■「ファンの方がお父さんよりも好き」

 

――グラビアや舞台でも活躍されていますが、それぞれ意識することに違いはありますか?

平塚 全然違いますね。グラビアは、カメラマンさんと一対一で作り上げるものですが、映像のように、そこに演技が入ってくると全くの別物になります。

 舞台は、お客さんの反応も含めて一番演技の勉強になります。舞台で得たことがギュッと詰まったものがドラマとか映画に反映されるのかなと思っています。

 今、肩書としては「グラビア女優」としているんですが、需要がある限りグラビア活動も続けていきたいです。あとは、「これ」と決めてしまわずに、いろんなことに挑戦したいですね。

――今後、女優として演じてみたい役はありますか?

平塚 今まで演じてきたのが、激しい女性の役が多かったので、今回のようにトラウマを抱えている女性など、これまで経験したことがない役を演じてみたいです。コメディも大好きなので、そんな演技もしてみたい。韓国のアイドルグループ・2PMのチャンソンさんの映画『忘れ雪』(2015)では掃除のおばさんの役をやりました(笑)。とにかくたくさんの役を演じて、一人前の女優になっていきたいです。

――撮影会などでファンの方と触れ合うことも多いと思いますが、平塚さんにとってファンはどのような存在ですか?

平塚 私のファンは、どんなお仕事をしても「やったね!よかったね!」と肉親のように喜んでくれるんです。ずっと昔からファンでいてくれる方もいて「まだファンでいてくれるんだ」と感動するほどです。私、ファザコンなんですけど、お父さんよりも大好きです(笑)。

 今回の映画を見てファンになってくれる方がいらっしゃれば嬉しいです。全国いろいろなところに舞台挨拶で伺いたいですね。

――平塚さんの意外な一面として、アイドルユニット「A応P」のファンだと伺ったのですが。

平塚 はい。アニメの『おそ松さん』(テレビ東京系)を見ていたら、彼女たちのPVが流れて、それを見て一目惚れしました。残念ながら推しの子は卒業してしまったのですが、今は研究生で新たな推しを見つけたので、そちらを応援しています。もう親心みたいな感じです(笑)。前回のツアーが舞台と重なって行けなかったので、次のツアーは東名阪を追いかけようかと思っています。本当にミーハーなんですよ、私……(爆笑)。

――最後に、これから映画を見る方にメッセージがあればお願いします。

平塚 この映画が実話であるということ、そして性犯罪に遭われて苦しんでいる方がたくさんいるということを知っていただきたいです。そして、被害者の方々が声を上げられる世の中になって欲しい。もし、同じように辛い思いをしている人がこの作品を見て、「自分も強く生きよう」と思い、そして幸せな人生を生きてくだされば本望です。

 男性の方には、これから伴侶になる方が同じような苦しみを抱えていたら、守ってあげてほしい。女性に優しく接してあげてほしいなと思います。

* * *

 170cmの身長と、抜群のスタイル、そしてクールなルックス。ハードな役柄を演じきった彼女の素顔は、驚くほどしなやかで正義感にあふれるものだった。

 自分に壁を作らず、どんなジャンルにでも挑戦していく強さ。映画主演というハードルを越え、新たな世界に踏み出した彼女のこれからの活躍が期待される。
(取材・文=プレヤード)

●平塚千瑛(ひらつか・ちあき)
1986年生まれ。山形県米沢市出身。24歳の時に地元でスカウトされ上京。2011年ミス・アース・ジャパン ファイナリスト、2012年ミス・ユニバース・ジャパン セミファイナリストなどを経て、グラビア、女優、バラエティとマルチに活動する。『私は絶対許さない』では、映画初主演となる。 写真集『Birth』(双葉社)発売中。

オフィシャルブログ『今日もありがとう』
https://ameblo.jp/chiaki-143x

Twitter:@chiaki_Hira2ka

 

 

 ■映画『私は絶対許さない』(監督:和田秀樹)
 4月7日から、テアトル新宿ほか全国公開